(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-24
(45)【発行日】2025-07-02
(54)【発明の名称】ホットメルト組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 123/00 20060101AFI20250625BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20250625BHJP
C08L 25/10 20060101ALI20250625BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20250625BHJP
C08L 23/16 20060101ALI20250625BHJP
C08K 5/01 20060101ALI20250625BHJP
【FI】
C09J123/00
C09J11/08
C08L25/10
C08L23/10
C08L23/16
C08K5/01
(21)【出願番号】P 2024101432
(22)【出願日】2024-06-24
【審査請求日】2024-07-29
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤野 達也
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-076101(JP,A)
【文献】特開2008-045076(JP,A)
【文献】特開2021-152184(JP,A)
【文献】特開2022-099760(JP,A)
【文献】国際公開第2019/004376(WO,A1)
【文献】特開2005-248017(JP,A)
【文献】特開2021-107483(JP,A)
【文献】特開2007-099795(JP,A)
【文献】特開2021-098821(JP,A)
【文献】特開平09-208928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 -101/14
C09J 1/00 - 5/10
C09J 9/00 -201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)~(C)成分の合計100重量部中、スチレン含有割合が18重量%以下であるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)5~35重量部と、非晶性ポリアルファオレフィン(B)5~50重量部と、粘着付与剤(C)35~80重量部と、ワックスを含有することを特徴とする住宅用ホットメルト組成物。
【請求項2】
(A)~(C)成分の合計100重量部中、スチレン含有割合が18重量%以下であるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)5~35重量部と、非晶性ポリアルファオレフィン(B)5~50重量部と、粘着付与剤(C)35~80重量部と、を含有することを特徴とする透湿防水シート用ホットメルト組成物。
【請求項3】
請求項
2記載の透湿防水シート用ホットメルト組成物が塗布された透湿防水シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホットメルト組成物について、広く研究開発が行われている。ホットメルト組成物は、加熱することにより溶融し、23℃程度の常温まで冷却させると固化することから、接着剤として好適に用いられている。その特徴としては、無溶剤で環境に優しく、短時間で固化可能で、非常に扱いやすい材料であることが挙げられ、製造現場における作業環境を改善することが可能であることから、様々な分野において幅広く用いられている。
【0003】
過去に、本願の出願人は、非結晶性ポリアルファオレフィン(A)と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)と、粘着付与剤(C)と、を含み、非結晶性ポリアルファオレフィン(A)は、溶融粘度(190℃)が5,000~300,000mPa・sであり、引張強度が2.3~6.0MPaであることを特徴とするホットメルト組成物を発明した(特許文献1)。このホットメルト組成物は、従来の強度を維持したままで、オレフィン系素材以外に対しても接着力を発揮するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
一般に、木造住宅を建築する際に、外装材と内装材の間には、透湿防水シートが張合されている。これは、壁面からの雨漏りを遮断し、また住宅内部と外部との寒暖差により発生する湿気を外へ逃がすために設けられている。
【0006】
近年では、常温における接着安定性に優れていることから、透湿防水シートの製造工程に、ホットメルト組成物が用いられている。透湿防水シートは、基材となる不織布に対し、いわゆるカーテンスプレーによりホットメルト組成物を塗布し、多孔質フィルムを積層した後、常温にて放置して固化させ、巻き取って建築現場まで運搬し施工されている。ここで、カーテンスプレーは、大面積に薄く塗布する際には、非常に効率的な手法であることから、透湿防水シートを製造する際には好適に用いることができる。そのため、ホットメルト組成物としては、スプレー塗布性に優れることや、溶融時の相分離が発生しにくいことなど、カーテンスプレーに適した性状であることが求められていた。また、巻き取りの際、透湿防水シートの裏面と接着してしまわないよう、固化後の表面タックが抑制されていることが求められていた。さらに、透湿防水シートは、外装材のすぐ隣に設置されることから、高温多湿環境など耐候性が良好であることも要求されており、改善の余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、スプレー塗布に適合していることから生産性が高く、溶融時の相分離が発生しにくく、固化後の表面タックが抑制され、耐湿熱クリープ性に優れていることから耐候性が良好であるホットメルト組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スチレン含有割合が18重量%以下であるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)と、非晶性ポリアルファオレフィン(B)と、粘着付与剤(C)と、を含有することを特徴とするホットメルト組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるホットメルト組成物は、スプレー塗布に適合していることから生産性が高く、溶融時の相分離が発生しにくく、固化後の表面タックが抑制され、耐湿熱クリープ性に優れていることから耐候性が良好であるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<スチレン系熱可塑性エラストマー>
本発明では、スチレン含有割合が18重量%以下であるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)を用いる。当該(A)成分は、本発明にかかるホットメルト組成物のベースポリマーとして用いられる。
【0011】
スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン系化合物由来のハードブロックと、ジエン系化合物由来のソフトブロックから構成されている。各ブロックの結合形態としては、直線状、分岐状、放射状のものが存在するが、直線状であるものが比較的多く提供されている。
【0012】
スチレン系熱可塑性エラストマーの種類としては、ソフトブロックを水素添加していない「未水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー」と、水素添加している「水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー」に分けられる。
【0013】
未水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)や、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)などが挙げられる。
【0014】
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)などが挙げられる。
【0015】
本発明においては、これらの中でも、接着安定性に優れることから、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることが好ましく、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)を用いることが特に好ましい。
【0016】
スチレン系熱可塑性エラストマーにおいては、ハードブロック割合と、ソフトブロック割合を適宜調整することにより、様々な性状のホットメルト組成物を製造することができる。一般に、ハードブロック割合が高ければ剛直性が増し、ハードブロック割合が低ければ柔軟性が増す傾向がある。
【0017】
本発明において、当該(A)成分のスチレン含有割合としては、18重量%以下である必要があり、1~17重量%であることが好ましく、3~16重量%であることがさらに好ましく、5~15重量%であることが特に好ましい。
【0018】
本発明の発明者は、当該(A)成分のスチレン含有割合が、上記の範囲内であることにより、本発明にかかるホットメルト組成物のスプレー塗布性が向上することを見出した。このような作用効果を奏する要因の一つとしては、スチレン含有割合をやや低く抑えることにより、その他の成分と相溶し易くなり、スプレー塗布の際に、効率良くホットメルト組成物を散布させることができるためではないかと推測される。
【0019】
当該(A)成分の配合割合としては、(A)~(C)成分の合計100重量部中、5~35重量部配合することが好ましく、8~30重量部配合することがさらに好ましく、10~25重量部配合することが特に好ましい。
【0020】
当該(A)成分の具体例としては、GLOBALPRENE 9557D(商品名、LCY社製、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、結合形態:直線状、スチレン含有割合:13重量%)などが挙げられる。
【0021】
<非晶性ポリアルファオレフィン>
本発明では、非晶性ポリアルファオレフィン(B)を用いる。当該(B)成分は、非晶性のオレフィン系ポリマーである。
【0022】
当該(B)成分の構造としては、プロピレンを構成単位として含むことが好ましい。具体的には、プロピレンのホモポリマーの他、プロピレンと、エチレン・1-ブテン・1-ヘキセンから選択されるモノマーとの、コポリマー又はターポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、プロピレンホモポリマーや、プロピレン・エチレンコポリマーは、安定性が高く取り扱いが容易であるため、好適に用いることができる。
【0023】
本発明の発明者は、当該(B)成分を用いることにより、本発明にかかるホットメルト組成物の耐湿熱クリープ性が向上することを見出した。このような作用効果を奏する要因の一つとしては、当該(B)成分を用いることにより、系全体の凝集力が向上するためではないかと推測される。また、上記(A)成分との相溶性が良好であるとも推測され、スプレー塗布性における基材への濡れ性が向上する傾向もみられる。
【0024】
当該(B)成分の溶融粘度(190℃)としては、500~60,000mPa・sであることが好ましく、800~30,000mPa・sであることがさらに好ましく、1,000~10,000mPa・sであることが特に好ましい。
【0025】
当該(B)成分の軟化点としては、90~160℃であることが好ましく、95~155℃であることがより好ましく、100~150℃であることがさらに好ましく、105℃~145℃であることが特に好ましい。この範囲内であることにより、ホットメルト組成物の耐熱性と、スプレー塗布性を両立させることができる傾向がある。
【0026】
当該(B)成分の配合割合としては、(A)~(C)成分の合計100重量部中、5~50重量部配合することが好ましく、8~45重量部配合することがさらに好ましく、10~40重量部配合することが特に好ましい。
【0027】
当該(B)成分の具体例としては、RT2535(商品名、Rextack社製、非晶性ポリアルファオレフィン(プロピレン・エチレンコポリマー)、溶融粘度(190℃):3,500mPa・s、軟化点:132℃)、Aerafin 17(商品名、Eastman社製、非晶性ポリアルファオレフィン(プロピレンベースポリマー)、溶融粘度(190℃):1,500mPa・s、軟化点:125℃)、RT2385(商品名、Rextack社製、非晶性ポリアルファオレフィン(プロピレン・エチレンコポリマー)、溶融粘度(190℃):8,500mPa・s、軟化点:141℃)などが挙げられる。
【0028】
<粘着付与剤>
本発明では、粘着付与剤(C)を用いる。当該(C)成分の種類としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、及び、その水添物又は変性物などが挙げられる。
【0029】
当該(C)成分の軟化点としては、60~250℃であることが好ましく、70~200℃であることがさらに好ましく、80~180℃であることが特に好ましい。
【0030】
当該(C)成分の配合割合としては、(A)~(C)成分の合計100重量部中、35~80重量部配合することが好ましく、40~75重量部配合することがさらに好ましく、45~70重量部配合することが特に好ましい。
【0031】
当該(C)成分の具体例としては、YSレジン PX1250(商品名、ヤスハラケミカル社製、テルペン樹脂、軟化点:120℃~130℃)、タマノル 803L(商品名、荒川化学工業社製、テルペンフェノール樹脂、軟化点:145~160℃)、パインクリスタル KR-85(商品名、荒川化学工業社製、ロジン系樹脂、軟化点:80~87℃)、YL120(商品名、Yuen Liang Industrial社製、芳香族系炭化水素樹脂、軟化点:115~125℃)、Escorez 5380(商品名、ExxonMobil社製、脂環族系炭化水素樹脂、軟化点:80~90℃)、H5-1001(商品名、Henghe社製、脂肪族系炭化水素樹脂、軟化点:95~105℃)、T-REZ HA125(商品名、ENEOS社製、水添脂環族系炭化水素樹脂、軟化点:120℃~130℃)などが挙げられる。
【0032】
<結晶性オレフィン系エラストマー>
上記(A)~(C)成分のほか、本発明では、結晶性オレフィン系エラストマー(D)を用いることができる。当該(D)成分としては、例えば、メタロセン触媒を用いて製造された、オレフィン系モノマーのコポリマーが挙げられ、具体的には、エチレン・プロピレンコポリマーや、エチレン・オクテンコポリマーなどが数多く提供されている。
【0033】
当該(D)成分を用いることにより、スプレー塗布性における基材へのぬれ性がやや向上し、また固化後の表面タック性を若干抑制できることからハンドリングが良好になる傾向がある。
【0034】
当該(D)成分の配合割合としては、上記(A)~(C)成分の合計100重量部に対して、1~100重量部配合することが好ましく、2~50重量部配合することがさらに好ましく、3~30重量部配合することが特に好ましい。
【0035】
当該(D)成分の具体例としては、Vistamaxx 8880(商品名、ExxonMobil社製、結晶性オレフィン系エラストマー(プロピレン・エチレンコポリマー、エチレン含有割合:6重量%)、溶融粘度(190℃):1,200mPa・s)などが挙げられる。
【0036】
<その他の成分>
その他、本発明では、可塑剤やワックスを用いても良い。これらの成分を用いることにより、溶融粘度を適切な範囲内に調整し易いため、作業性がさらに向上する傾向がある。
【0037】
可塑剤としては、例えば、常温(23℃)において、流動性を有する有機系化合物などが挙げられる。可塑剤の種類としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、ポリブテン、ポリイソブチレン、流動パラフィンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリブテンやポリイソブチレンは、安定性が高く取り扱いが容易なため、好適に用いることができる。
【0038】
可塑剤の具体例としては、日石ポリブテン HV-100(商品名、ENEOS社製、ポリブテン、数平均分子量:980)、PB-950(商品名、Daelim社製、ポリブテン、数平均分子量:930)などが挙げられる。
【0039】
ワックスとしては、天然ワックスや合成ワックスがあり、天然ワックスとしてはパラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックスなどが、合成ワックスとしてはポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
【0040】
ワックスの具体例としては、ハイワックス NP500(商品名、三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点:161℃)、H-503(商品名、Qingdao SinoplasHi-New Material Co社製、ポリプロピレンワックス、融点:146℃)、ユーメックス 1010(商品名、三洋化成工業社製、無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス、融点:135℃)などが挙げられる。
【0041】
また、本発明では、添加剤として、酸化防止剤を用いても良い。酸化防止剤の種類としては、例えば、亜リン酸塩系、ナフチルアミン系、p-フェニレンジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン系、ビス・トリス・ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダードフェノール系などが挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
酸化防止剤の具体例としては、Sumilizer GP(商品名、住友化学社製)、Songnox 1010(商品名、Songwon社製)、Chinox 1010(商品名、Double Bond Chemical社製)などが挙げられる。
【0043】
なお、本発明においては、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの充填材や、防腐剤、着色剤などの各種添加剤が含まれていても良い。
【0044】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
<実施例及び比較例>
表1に示す配合において、180℃に調整したフラスコにより十分に混練し、実施例及び比較例にかかるホットメルト組成物を製造した。ここで、表1における数値は、重量部を表すものとする。以下に、使用した原材料を示す。
GLOBALPRENE 9557D(商品名、LCY社製、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、結合形態:直線状、スチレン含有割合:13重量%)
GLOBALPRENE 9552U(商品名、LCY社製、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、結合形態:直線状、スチレン含有割合:30重量%)
RT2535(商品名、Rextack社製、非晶性ポリアルファオレフィン(プロピレン・エチレンコポリマー)、溶融粘度(190℃):3,500mPa・s、軟化点:132℃)
Aerafin 17(商品名、Eastman社製、非晶性ポリアルファオレフィン(プロピレンベースポリマー)、溶融粘度(190℃):1,500mPa・s、軟化点:125℃)
RT2385(商品名、Rextack社製、非晶性ポリアルファオレフィン(プロピレン・エチレンコポリマー)、溶融粘度(190℃):8,500mPa・s、軟化点:141℃)
Escorez 5380(商品名、Exxon社製、粘着付与剤(脂環族系炭化水素樹脂)、軟化点:80~90℃)
H5-1001(商品名、Henghe社製、粘着付与剤(脂肪族系炭化水素樹脂)、軟化点:95~105℃)
Vistamaxx 8880(商品名、ExxonMobil社製、結晶性オレフィン系エラストマー(プロピレン・エチレンコポリマー、エチレン含有割合:6重量%)、溶融粘度(190℃):1,200mPa・s)
Affinity GA1900(商品名、Dow社製、結晶性オレフィン系エラストマー、溶融粘度(177℃):8200mPa・s)
PB-950(商品名、Daelim社製、ポリブテン)
PB-1300(商品名、Daelim社製、ポリブテン)
H-503(商品名、Qingdao Sinoplas Hi-New Material Co社製、ポリプロピレンワックス、融点:146℃)
Songnox 1010(商品名、Songwon社製、酸化防止剤)
【0046】
【0047】
上記の実施例等にて製造したホットメルト組成物について、以下の要領で各種の物性評価を行った。この結果を表2に示す。
【0048】
<スプレー塗布性>
180℃に設定したホットメルトガンにホットメルト組成物50gを投入し、1時間維持することにより、完全に溶融させた。そして、PETフィルム(30cm×20cm)に対して、塗布量3g/m2となるようにスプレー塗布を行ない、塗布後の外観を下記の評価基準に基づいて目視にて観察した。
塗布形状:塗布時にファイバー状に均一に塗布できた場合を○、スプレーが安定せず塗布ムラが発生した場合を×と評価した。
基材へのぬれ性:スプレー塗布直後に、PET基材に対して非常に良好なぬれ性を示したものを◎、良好なぬれ性を示したものを〇、ぬれ性が悪かったものを×と評価した。
【0049】
<相溶性>
ホットメルト組成物10gを30mlの規格瓶に入れ、180℃に調温した恒温槽内で24時間静置した後、取り出して、目視にて相分離の有無を確認した。相分離せず均一のものを〇、相分離したものを×と評価した。
【0050】
<耐湿熱クリープ性>
180℃に設定したホットメルトガンを用いて、Bフルート段ボール(10cm×2.5cm)に、塗布量3g/m2にてホットメルト組成物をビード状に塗布し、上側から段ボールを載せ、1kg荷重で2秒間圧着することにより試験片を作製した。試験片を23℃にて24時間養生し、温度60℃湿度90%に調温した恒温機内に30分間静置した後、片面に300gの重りを取り付け、重りが落下するまでの時間を測定した。落下するまでの時間が100分以上であったものを○、100分未満であったものを×と評価した。
【0051】
<表面タック性>
ホットメルト組成物20gを金属缶の中に入れ、180℃に調温した恒温槽内で静置し、完全に溶融させた後、取り出して平滑な離型紙の上に垂らし、23℃にて24時間養生した。その後、固化したホットメルトの表面を指で強く押しこみ、離したときの感覚を官能評価にて確認した。指に残る感覚がなくべたつきがほとんどない場合を◎、少し指に貼りつく感触がある場合を〇、べたつきが強い場合は×と評価した。
【0052】
【0053】
各種のスチレン系熱可塑性エラストマーを用いて、実施例にかかるホットメルト組成物を製造したところ、スプレー塗布に適合していることから生産性が高く、溶融時の相分離が発生しにくく、固化後の表面タックが抑制され、耐湿熱クリープ性に優れていることから耐候性が良好であるという結果が得られた。
【0054】
特に、実施例1と比較例1とを対比すると、非晶性ポリアルファオレフィン(B)の配合有無により、スプレー塗布性や耐湿熱クリープ性に優劣がみられた。また、実施例4と比較例2とを対比すると、スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有割合を変化させることにより、スプレー塗布性や相溶性に優劣がみられた。
【要約】
【課題】 スプレー塗布に適合していることから生産性が高く、溶融時の相分離が発生しにくく、固化後の表面タックが抑制され、耐湿熱クリープ性に優れていることから耐候性が良好であるホットメルト組成物を提供することである。
【解決手段】 スチレン含有割合が18重量%以下であるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)と、非晶性ポリアルファオレフィン(B)と、粘着付与剤(C)と、を含有することを特徴とするホットメルト組成物。
【選択図】なし