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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-25
(45)【発行日】2025-07-03
(54)【発明の名称】圧電感知デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20250626BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/01 560
G06F3/041 600
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021006843
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2021128766
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】20205146
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】521029472
【氏名又は名称】アイト ベスローテンヴェンノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Aito BV
【住所又は居所原語表記】Teleportboulevard 110 1043 EJ Amsterdam Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】ケスキ-ヤスカリ トゥロ
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0146533(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0128250(US,A1)
【文献】特開2017-076198(JP,A)
【文献】特開2014-132445(JP,A)
【文献】特開2007-193469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0165009(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041 - 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触面(101)と、
前記接触面(101)と機械的に結合された圧電変換器(102)と、
前記圧電変換器(102)と電気的に結合された制御回路(103)と、
を備えたデバイス(100)であって、
前記圧電変換器(102)の基準応答を示す少なくとも1つのパラメータ(203)を取得し、
当該少なくとも1つのパラメータ(203)に基づいて基準電圧曲線(401)を形成し、
駆動電圧(402)で前記圧電変換器(102)を駆動し、
前記駆動電圧(402)で前記圧電変換器(102)を駆動した後に前記圧電変換器(102)の電圧曲線を測定し、
前記基準電圧曲線(401)と前記電圧曲線を測定して得られる測定電圧曲線(501,701)とを比較し、
前記比較に基づいて、接触面(101)上の接触を検出するよう構成されていることを特徴とするデバイス(100)。
【請求項2】
前記制御回路(103)は、さらに、前記比較に基づいて、前記接触面(101)上の接触の時間的変化特性を検出するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパラメータ(203)は、前記圧電変換器(102)のRC時定数を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデバイス(100)。
【請求項4】
前記制御回路(103)は、さらに、前記基準電圧曲線(401)と前記測定電圧曲線(501,701)との差を算出することによって前記基準電圧曲線(401)と前記測定電圧曲線(501,701)とを比較するように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のデバイス(100)。
【請求項5】
前記制御回路(103)は、さらに、前記基準電圧曲線(401)を前記測定電圧曲線(501,701)から差し引いて差分電圧曲線(601,801)を生成し、当該差分電圧曲線(601801)に基づいて前記接触を検出することにより、前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線とを比較するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のデバイス(100)。
【請求項6】
前記制御回路(103)は、さらに、前記差分電圧曲線(601,801)の積分を計算し、当該差分電圧曲線の積分に基づいて前記接触を検出するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のデバイス(100)。
【請求項7】
前記制御回路(103)は、さらに、前記差分電圧曲線(601,801)の振動振幅を計算し、当該差分電圧曲線の振動振幅に基づいて前記接触を検出するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のデバイス(100)。
【請求項8】
前記制御回路(103)は、さらに、前記基準電圧曲線(401)の飽和期間(502)を検出し、前記測定電圧曲線(501、701)の飽和期間(503)を検出し、前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線の飽和期間を比較することによって、前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線とを比較するように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のデバイス(100)。
【請求項9】
前記制御回路(103)は、さらに、試験駆動電圧(1001)を使用して前記圧電変
換器(102)を駆動し、当該試験駆動電圧(1001)により前記圧電変換器(102)に引き起こされる応答電圧曲線(1002)を測定し、当該応答電圧曲線(1002)に基づいて前記少なくとも1つのパラメータ(203)を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のデバイス(100)。
【請求項10】
圧電変換器の基準応答を示す少なくとも1つのパラメータを取得する工程(901)と、
前記少なくとも1つのパラメータに基づいて基準電圧曲線を形成する工程(902)と、
駆動電圧によって前記圧電変換器を駆動する工程(903)と、
駆動電圧で前記圧電変換器を駆動した後に前記圧電変換器の電圧曲線を測定する工程(904)と、
前記基準電圧曲線と前記電圧曲線を測定して得られる測定電圧曲線とを比較する工程(905)と、
前記比較に基づいて接触面上の接触を検出する工程(906)と、
を含むことを特徴とする方法(900)。
【請求項11】
前記比較に基づいて、接触面上の接触を検出する工程には、前記比較に基づいて前記接触面上の接触の時間的変化特性を検出する工程が含まれていることを特徴とする請求項10に記載の方法(900)。
【請求項12】
前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線とを比較する工程(905)には、前記基準電圧曲線を前記測定電圧曲線から差し引いて差分電圧曲線を生成する工程が含まれ、前記比較に基づいて接触面上の接触を検出する工程(906)には、前記差分電圧曲線に基づいて前記接触を検出する工程が含まれていることを特徴とする請求項10または11に記載の方法(900)。
【請求項13】
さらに、前記差分電圧曲線の積分を算出する工程を含み、前記比較に基づいて接触面上の接触を検出する工程(906)には、前記差分電圧曲線の積分に基づいて前記接触を検出する工程が含まれていることを特徴とする請求項12に記載の方法(900)。
【請求項14】
試験駆動電圧を使用して前記圧電変換器を駆動する工程と、
当該試験駆動電圧により前記圧電変換器に引き起こされる応答電圧曲線を測定する工程と、
当該応答電圧曲線に基づいて前記少なくとも1つのパラメータを算出する工程と、
がさらに含まれていることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の方法(900)。
【請求項15】
プログラム・コードを備えたコンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータ上で前記プログラム・コードが実行される時に請求項10から14のいずれかに記載された方法を実施するよう構成されたコンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス、より具体的には、感知および/または触覚効果を提供するための電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電変換器は、ユーザーに触覚効果を提供するために、触覚を感知するために、またはその両方のために使用され得る。ただし、単一の圧電変換器を使用して両方の機能を実行すると、さまざまな課題が発生する可能性がある。例えば、圧電変換器が一つの駆動電圧で同時に駆動されている場合、ユーザーの接触によって生成された信号を検出するのは難しい場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の概要は、後述する発明の詳細な説明でさらに説明される簡略化された形式での概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、クレームされた主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、クレームされた主題の範囲を制限するために使用されることも意図していない。
【0004】
感知および/または触覚効果を提供するための電子デバイスを提供することを目的とする。前述の目的および他の目的は、独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実施形態は、従属請求項、説明および図から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本デバイスは、接触面と、前記接触面と機械的に結合された圧電変換器と、前記圧電交変換器と電気的に結合された制御回路と、を備えたデバイスであって、前記圧電変換器の基準応答を示す少なくとも1つのパラメータを取得し、当該少なくとも1つのパラメータに基づいて基準電圧曲線を形成し、駆動電圧で前記圧電変換器を駆動し、前記駆動電圧で前記圧電変換器を駆動した後に前記圧電変換器の電圧曲線を測定し、前記基準電圧曲線と測定された電圧曲線とを比較し、前記比較に基づいて、接触面上の接触を検出するよう構成されていることを特徴とする。本デバイスは、例えば、駆動電圧で圧電変換器を駆動しているときであっても、接触面上の接触を検出することもできる。
【0006】
第1の態様の実装形態では、前記制御回路は、さらに、前記比較に基づいて、前記接触面上の接触の時間的変化特性を検出するよう構成されている。本デバイスは、たとえば、接触によって加えられる力が増加しているか減少しているかを検出することもできる。
【0007】
第1の態様のさらなる実施形態では、前記少なくとも1つのパラメータは、前記圧電変換器のRC時定数を含む。本デバイスは、例えば、単一のパラメータを使用して基準電圧曲線を形成することもできる。
【0008】
第1の態様のさらなる実施形態では、前記制御回路は、さらに、前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線との差を算出することによって前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線とを比較するように構成されている。本デバイスは、例えば、基準電圧曲線と測定電圧曲線とを効率的に比較することもできる。
【0009】
第1の態様のさらなる実施形態では、前記制御回路は、さらに、前記基準電圧曲線を前記測定電圧曲線から差し引いて差分電圧曲線を生成し、当該差分電圧曲線に基づいて前記接触を検出することにより、前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線とを比較するように構成されている。本デバイスは、例えば、圧電変換器を駆動しているときであっても、接触を検出することもできる。
【0010】
第1の態様のさらなる実施形態では、制御回路は、さらに、前記差分電圧曲線の積分を計算し、当該差分電圧曲線の積分に基づいて前記接触を検出するように構成されている。本デバイスは、例えば、接触を効率的に検出することもできる。
【0011】
第1の態様のさらなる実施形態では、制御回路は、さらに、前記差分電圧曲線の振動振幅を計算し、当該差分電圧曲線の振動振幅に基づいて前記接触を検出するように構成されている。本デバイスは、例えば、物体によって誘発される振動を使用して、接触を効率的に検出することもできる。
【0012】
第1の態様のさらなる実施形態では、制御回路は、さらに、前記基準電圧曲線の飽和期間を検出し、前記測定電圧曲線の飽和期間を検出し、前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線の飽和期間を比較することによって、前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線とを比較するように構成されている。本デバイスは、例えば、飽和によって信号の検出が制限されている場合でも、接触を効率的に検出することができる。
【0013】
第1の態様のさらなる実施形態では、制御回路は、さらに、試験駆動電圧を使用して前記圧電変換器を駆動し、当該試験駆動電圧により前記圧電変換器に引き起こされる応答電圧曲線を測定し、当該応答電圧曲線に基づいて前記少なくとも1つのパラメータを算出するように構成されている。本デバイスは、例えば、少なくとも1つのパラメータを更新することができる。このように、圧電変換器の電気的および/または機械的特性が変化する場合、本デバイスはこれらの変化を考慮に入れることができる。
【0014】
上記の第1の態様の実施形態は、互いに組み合わせて使用することができることが理解されるべきである。いくつかの実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができる。
【0015】
第2の態様によれば、本方法は、圧電変換器の基準応答を示す少なくとも1つのパラメータを取得する工程と、前記少なくとも1つのパラメータに基づいて基準電圧曲線を形成する工程と、駆動電圧によって前記圧電変換器を駆動する工程と、駆動電圧で前記圧電変換器を駆動した後に前記圧電変換器の電圧曲線を測定する工程と、前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線とを比較する工程と、前記比較に基づいて接触面上の接触を検出する工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
第2の態様の実装形態では、前記比較に基づいて、接触面上の接触を検出する工程には、前記比較に基づいて前記接触面上の接触の時間的変化特性を検出する工程が含まれている。
【0017】
第2の態様のさらなる実施形態では、前記基準電圧曲線と前記測定電圧曲線とを比較する工程には、前記基準電圧曲線を前記測定電圧曲線から差し引いて差分電圧曲線を生成する工程が含まれ、前記比較に基づいて接触面上の接触を検出する工程には、前記差分電圧曲線に基づいて前記接触を検出する工程が含まれている。
【0018】
第2の態様のさらなる実施形態では、さらに、前記差分電圧曲線の積分を算出しする工程を含み、前記比較に基づいて接触面上の接触を検出する工程には、前記差分電圧曲線の積分に基づいて前記接触を検出する工程が含まれている。
【0019】
第2の態様のさらなる実施形態では、試験駆動電圧を使用して前記圧電変換器を駆動する工程と、当該試験駆動電圧により前記圧電変換器に引き起こされる応答電圧曲線を測定する工程と、当該応答電圧曲線に基づいて前記少なくとも1つのパラメータを算出する工程と、がさらに含まれている。
【0020】
上記の第2の態様の実施形態は、互いに組み合わせて使用することができることが理解されるべきである。いくつかの実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができる。
【0021】
第3の態様によれば、プログラム・コードを備えたコンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータ上で前記プログラム・コードが実行される時に上記の第2の態様に記載された方法を実施するよう構成されたコンピュータ・プログラム製品が提供される。
【0022】
付随する特徴の多くは、添付図面に関連して考慮される以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるようになるので、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、例示的な実施形態は、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【0024】
図1図1は、一実施形態に係るデバイスの断面図である。
【0025】
図2図2は、一実施形態に係る演算部の概略図である。
【0026】
図3図3は、一実施形態に係るデバイスの回路図である。
【0027】
図4図4は、一実施形態に係る圧電変換器を駆動するために用いられる電圧パルスおよび基準電圧曲線の概略図である。
【0028】
図5図5は、一実施形態に係る圧電変換器の測定電圧曲線の概略図である。
【0029】
図6図6は、一実施形態に係る差分電圧曲線の概略図である。
【0030】
図7図7は、一実施形態に係る圧電変換器の測定電圧曲線の概略図である。
【0031】
図8図8は、一実施形態に係る差分電圧曲線の概略図である。
【0032】
図9図9は、一実施形態に係る方法のフローチャートである。
【0033】
図10図10は、一実施形態に係る制御回路で用いられる電圧のフロー図である。
【0034】
以下、同様の参照符号は、添付の図面において同様の部分を指定するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して説明する。図面は、本開示の一部を構成し、図面には本開示が配置され得る特定の態様が例示として示されている。本開示の範囲から逸脱することなく、他の側面を利用することができ、構造的または論理的変更を行うことができることが理解される。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲で定義されている。
【0036】
例えば、説明された方法に関連する開示は、その方法を実行するように構成された対応するデバイスまたはシステムにも当てはまる可能性があり、逆もまた同様であることが理解される。例えば、特定の方法ステップが説明される場合、対応するデバイスは、たとえそのようなユニットが図に明示的に説明または図示されていなくても、説明された方法ステップを実行するためのユニットを含み得る。他方、例えば、特定の装置が機能単位に基づいて記述されている場合、対応する方法は、たとえそのようなステップが図に明示的に記述または図示されていなくても、記述された機能を実行するステップを含み得る。さらに、本明細書に記載の様々な例示的な態様の特徴は、特に断りのない限り、互いに組み合わせることができることが理解される。
【0037】
図1は、一実施形態によるデバイス100の断面の概略図を示している。
【0038】
図1は、本実施形態に係るデバイス100の断面図である。デバイス100は、接触面101を備え得る。
【0039】
接触面101は、また、層、表面層、タッチインターフェース表面、またはタッチインターフェース層とも称される。接触面101は、タッチユーザインタフェースの一部であってもよいです。接触面101は、例えば、トラックパッドの一部、またはラップトップコンピュータまたはタッチスクリーンのキー/ボタンであり得る。
【0040】
接触面101は、第一側面及び第二の側面を含んでもよい。第一側面は、少なくともその一部分において遮るものがない。ユーザーは、例えば指などの物体104によって第一側面に触れてもよい。
【0041】
デバイス100は、圧電変換器102をさらに備え得る。圧電変換器102は、接触面101に機械的に結合され得る。
【0042】
本明細書において、2つの要素が機械的に結合されていることは、2つの要素間に機械的接続があることを示し得る。 2つの要素は、例えば、互いに接触していてもよく、または、他の要素を介して機械的接続が実施されてもよい。例えば、圧電変換器102が接触面101と接触していてもよく、または、圧電変換器102と接触面101との間に1つまたは複数の他の要素が存在し得る。したがって、力が接触面101に加えられるとき、物体104が接触面101に接触すると、力は圧電変換器102に伝達され得る。
【0043】
デバイス100は、圧電変換器102に電気的に結合された制御回路103をさらに備え得る。制御回路103は、圧電変換器102の基準応答を示す少なくとも1つのパラメータを取得するように構成され得る。
【0044】
基準応答はまた、基準行動または類似の名称で呼称され得る。基準応答は、圧電変換器102が、所定の基準信号/電圧などの所定の信号/電圧で駆動されたときにどのように応答するかを示すことができる。基準応答は、圧電変換器102が、所定の基準信号/電圧などの所定の信号/電圧で駆動されるときの、圧電変換器102上の時間依存電圧に対応し得る。
【0045】
少なくとも1つのパラメータは、圧電変換器102の基準応答に対応し得る。
【0046】
少なくとも1つのパラメータは、例えば、圧電変換器102のRC時定数を含み得る。あるいは、または、さらに、少なくとも1つのパラメータは、圧電変換器102の基準応答を示す他の任意のパラメータを含み得る。代替的または追加的に、少なくとも1つのパラメータは、圧電変換器102の基準応答を説明する他のパラメータ、 圧電変換器102の抵抗R、圧電変換器102の静電容量Cなど、および/または圧電変換器102の少なくとも1つの機械的特性 および/または接触面101の剛性、および/または圧電変換器102の剛性など、を含み得る。
【0047】
制御回路103は、さらに、少なくとも1つのパラメータに基づいて基準電圧曲線を形成するように構成され得る。
【0048】
例えば、少なくとも1つのパラメータが圧電変換器のRC時定数を含む場合、制御回路103は、圧電変換器102のRC電圧放電曲線を形成することができる。
【0049】
あるいは、または、さらに、少なくとも1つのパラメータは、複数のパラメータを含み得る。そのような場合、制御回路103は、より複雑な基準電圧曲線を形成するように構成され得る。
【0050】
制御回路103は、少なくとも1つのパラメータに基づいて基準電圧曲線を生成するように構成され得る。制御回路103は、当該少なくとも1つのパラメータに基づいて基準電圧曲線を合成するように構成され得る。
【0051】
本明細書において、「電圧曲線」は、時間の関数である電圧を指し得る。電圧曲線は連続的または離散的である可能性がある。電圧曲線は、例えば、時間の関数であり得る数式を使用して、または複数の離散電圧サンプルを使用して表すことができる。
【0052】
制御回路103は、さらに、駆動電圧で圧電変換器を駆動するように構成され得る。駆動電圧は、駆動電圧曲線と呼ばれることもある。
【0053】
駆動電圧は、時間の関数であり得る。駆動電圧は、例えば、電圧パルスを含み得る。電圧パルスは、例えば、実質的にガウシアンパルスであり得る。
【0054】
制御回路103は、圧電変換器上の電圧曲線を測定するようにさらに構成され得る。これにより、測定された電圧曲線が生成され得る。
【0055】
制御回路103は、圧電変換器102に電気的に接続された少なくとも1つの抵抗器を含み得る。当該少なくとも1つの抵抗器は、圧電変換器102を放電し得る。制御回路103は、圧電変換器102は、少なくとも1つの抵抗器を介して放電する一方、圧電変換器102の電圧曲線を測定するように構成され得る。。
【0056】
制御回路103は、さらに、基準電圧曲線と測定電圧曲線とを比較するように構成され得る。これにより、比較結果が生成される場合がある。制御回路103は、例えば、測定電圧曲線から基準電圧曲線を差し引くことによって、またはその逆によって、基準電圧曲線と測定電圧曲線とを比較することができる。
【0057】
制御回路103は、さらに、比較に基づいて、接触面101への接触を検出するように構成され得る。
【0058】
制御回路103は、比較結果に基づいて、接触面101への接触を検出するように構成され得る。
【0059】
圧電変換器102は、接触面101の第2の側面に配置され得る。デバイス100は、複数の圧電変換器102を含み得る。本明細書の開示は、複数の圧電変換器内の各圧電変換器102に適用され得る。
【0060】
デバイス100が複数の圧電変換器102を含む場合、制御回路103は、各圧電変換器102で検出された力に基づいて、接触面101上の物体104の位置を推定するように構成され得る。制御回路103は、例えば、加重平均または同様の手順を使用してこれを実行することができる。
【0061】
圧電変換器102は、第2の側面の隣に、第2の側面に近接して、または第2の側面から離れて配置されてもよい。複数の圧電変換器内の各圧電変換器102は、物体104によって接触面101の第1の側面に加えられる力によって誘導される圧電変換器102の機械的応力を電圧に変換するように構成され得る。機械的応力は、応力と呼ばれることもある。電圧は、電圧、応力誘導電圧、または対応する電圧と呼ばれることがある。電圧は機械的応力に比例することがある。
【0062】
圧電変換器102は、圧電性とも呼ばれる圧電効果を介して機械的応力を電圧に変換するように構成され得る。物体104は、例えば、ユーザーの指、人間の他の任意の身体部位、スタイラスペン、またはユーザーによって保持される他の物体であり得る。物体104が指である場合、使用者は手袋を着用することができ、手袋の布のみが接触面101と直接接触することもありうる。
【0063】
圧電変換器102上に誘導される電圧、すなわち測定電圧曲線は、物体104によって接触面101に加えられる力/圧力の変化率に比例し得る。
【0064】
圧電変換器102は、また、圧電変換器に印加された電圧を、圧電効果を介して機械的応力に変換するように構成され得る。したがって、駆動電圧が圧電変換器102上に印加されると、触覚効果が接触面101に誘導され得る。
【0065】
図1の実施形態では、1つの物体104のみが示されているが、同時に接触面101に接触する複数の物体104が存在し得る。本明細書に記載のデバイス100の任意の実施形態は、接触面101上の複数の物体104の各物体の位置を特定するように構成することができる。各物体104の位置決めは、本明細書に記載するように実行することができる。
【0066】
図2は、一実施形態による計算ユニット200の概略図を示している。制御回路103は、計算ユニット200を含み得る。
【0067】
計算ユニット200は、少なくとも1つのプロセッサ201を含むことができる。少なくとも1つのプロセッサ201は、例えば、コプロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、付随するDSPを伴うまたは伴わない処理回路、または、例えば、アプリケーション固有の集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの集積回路を含む様々な他の処理デバイス、マイクロプロセッサユニット(MCU)、ハードウェアアクセラレータ、専用コンピュータチップなどの1つまたは複数の様々な処理デバイスを含むことができる。
【0068】
計算ユニット200は、メモリ202をさらに備え得る。メモリは、例えば、コンピュータ・プログラムなどを格納するように構成され得る。メモリは、1つまたは複数の揮発性メモリデバイス、1つまたは複数の不揮発性メモリデバイス、および/または1つまたは複数の揮発性メモリデバイスと不揮発性メモリデバイスとの組み合わせを含むことができる。例えば、メモリの具体例としては、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ、フロッピーディスク、磁気テープなど)、光磁気記憶装置、および半導体メモリ(マスクROM、PROM(プログラム可能ROM)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュROM、RAM(ランダムアクセスメモリ)など)などが挙げられる。
【0069】
計算ユニット200がいくつかの機能を実装するように構成されている場合、少なくとも1つのプロセッサおよび/またはメモリなどの計算ユニット200のいくつかのコンポーネントおよび/またはコンポーネントは、この機能を実装するように構成され得る。さらに、少なくとも1つのプロセッサがいくつかの機能を実装するように構成されている場合、この機能は、例えばメモリに含まれるプログラムコードを使用して実装され得る。
【0070】
メモリ202は、少なくとも1つのパラメータ203を含み得る。
【0071】
計算ユニット200は、例えば、ブースト変換器回路、マイクロプロセッサ、および圧電変換器102と相互作用するために使用される他の構成要素をさらに含み得る。ブースト変換器は、触覚フィードバックの場合、圧電変換器102を駆動するために必要とされ得る高電圧を提供し得る。
【0072】
制御回路103が計算操作を実行するように構成されている場合、計算ユニット200が該計算操作を実行するように構成され得る。かかる計算操作は、例えば、少なくとも1つのパラメータを取得すること、少なくとも1つのパラメータに基づいて基準電圧曲線を形成すること、基準電圧曲線と測定された電圧曲線を比較すること、および/またはその比較に基づいて接触面上の接触を検出することを含み得る。
【0073】
図3は、一実施形態によるデバイス100の回路図表現を示している。
【0074】
デバイス100のいくつかの構成要素は、制御回路103の一部として示されているが、これは、デバイス100を実装することができる唯一の方法ではなく、制御回路103を単一のユニットに実装する必要はない。むしろ、制御回路103は、圧電変換器102を制御するために使用されるデバイス100内の様々な構成要素を含むことができる。
【0075】
圧電変換器102は、コンデンサとして模式化することができる。圧電変換器102の抵抗、インダクタンス、ヒステリシス、およびLC共振などの他の電気的/物理的特性もまた、対応する電気部品を圧電変換器102の模式に追加することによって模式化することができる。例えば、圧電変換器102の抵抗損失を模式化するために抵抗器を追加することができる。圧電変換器102のインダクタンスをモデル化するためにインダクタを追加することができる。多くの場合、圧電変換器102の容量挙動が支配的であり得、したがって、圧電変換器102を単一のコンデンサとして模式化すれば十分であり得る。
【0076】
デバイス100は、第1の抵抗器301と第2の抵抗器302を含む分圧器303を備え得る。
【0077】
デバイス100は、第3の抵抗器304およびコンデンサ305を含むローパスフィルタ306をさらに備え得る。ローパスフィルタ306は、不要な周波数成分を除去するように構成され得る。
【0078】
ローパスフィルタ306のカットオフ周波数は、例えば、50-300ヘルツ(Hz)の範囲、またはこれの任意のサブ範囲、例えば、50-200Hz、50-150Hz、または70-130Hzであり得る。
【0079】
デバイス100は、第1のダイオード307および第2のダイオード308をさらに備え得る。
【0080】
デバイス100は、アナログ-デジタル変換器(ADC)309をさらに備え得る。制御回路103は、例えば、ADC309を備え得る。
【0081】
第1の307および第2のダイオード308は、ADC309に供給される電圧を制限することができる。第1のダイオード307は、第1の導体310と最大電圧Vmaxとの間に結合され得る。第2のダイオード308は、第1の導体310と最小電圧-Vmaxとの間に結合され得る。第1の導体310は、ADC309に電気的に結合され得る。したがって、第1の導体310を介してADC309に供給される電圧は、-Vmaxと+ Vmaxとの間に制限され得る。 ADC309のダイナミックレンジは2Vmaxであり得る。
【0082】
制御回路103は、基準電圧回路330をさらに備えることができる。基準電圧回路330は、基準電圧Vrefを提供することができる。
【0083】
ADC309は、第2の導体311に電気的に結合することができる。第2の導体311は、基準電圧Vrefにあることができる。基準電圧は、例えば、接地電圧、1 / 2Vdd、または同様のものに対応し得る。Vddは電源電圧の場合があります。 ADC309は、第1の導体310と第2の導体311との間の電圧を測定するように構成され得る。
【0084】
refは、ADC309のダイナミックレンジ内の任意の実用的な電圧を含み得、これは、Vrefの上下のピエゾ電圧の読み取りを可能にする。Vrefは、ADC309のダイナミックレンジの中心にある必要はない。また、上下の応答が線形である必要も、上下の同様のダイナミクスを持つ必要もない。ただし、Vrefに関連して、両方向に差動で測定する機能が必要になる場合がある。
【0085】
あるいは、Vrefは接地電圧に対応する場合がある。しかしながら、その場合、ADC309は、負の電圧も読み取ることができる必要があり得、これは、デバイス100の製造コストを増加させ得る。
【0086】
デバイス100は、図に示されていない他の構成要素をさらに含み得る。
【0087】
デバイス100は、マルチプレクサを含み得る。複数の圧電変換器102は、マルチプレクサを介してADC309に結合され得る。
【0088】
デバイス100は、ブーストコンバータ320をさらに備え得る。ブーストコンバータ320は、圧電変換器102を駆動するように構成され得る。制御回路103が圧電変換器102を駆動するように構成される場合、計算ユニット200は、ブーストコンバータ320に電気的に結合され得る。計算ユニット200は、ブーストコンバータ320が圧電変換器102に駆動電圧/電流を提供するようにブースト変換器320を制御することができる。ブースト変換器320は、マルチプレクサを介して複数の圧電変換器102を駆動することができる。
【0089】
デバイス100では、ブーストコンバータ320および感知回路は、感知と触覚とを切り替える必要なしに、常に圧電変換器102に接続され得る。これにより、高度な応答性と改善された使用性が可能になり得る。
【0090】
デバイス100がアイドル状態であるとき、圧電変換器102の各端子は、基準電圧Vrefにあり得る。基準電圧は、手元の検知システムに応じて選択できる。アイドル状態では、この電圧は実質的に一定のままである可能性がある。このように、第1の抵抗器301および/または第2の抵抗器302に電圧があってはならない。
【0091】
第1の抵抗器301に接続された圧電変換器102の端子は、測定端子と呼ばれ得る。第2の導体311に接続された圧電変換器102の端子は、基準端子と呼ばれ得る。
【0092】
物体104が接触面101に接触するか、または電圧パルスが圧電変換器102上に電位を生成するときはいつでも、圧電変換器102の高インピーダンス測定端子の電位は、より安定した低インピーダンスの基準端子と比較して増加し、かくして端子間に制御回路103がADC309を使用して測定することができる電圧差が導入される。
【0093】
該電位差は、第1の抵抗器301および第2の抵抗器302を介して電流を導入することができ、該電流は、圧電変換器102内の電荷を放電する。これは、制御回路103によって、第2の抵抗器302上の電圧として検出され得る。該電圧は、圧電変換器102、第1の抵抗器301、および第2の抵抗器302の抵抗、ならびに圧電変換器102の容量に起因するRC放電曲線を含む。
【0094】
第1の抵抗器301および第2の抵抗器302の抵抗は、圧電変換器102の内部抵抗を支配し得る。第1の抵抗器301および第2の抵抗器302の抵抗は、ヒューマンインターフェイスの目的から、圧電変換器102の電圧の合理的な減衰率を生成するように選択され得る。
【0095】
デバイス100は、計算ユニット200を含み得る。制御回路103は、計算ユニット200を含み得る。計算ユニット200は、ブーストコンバータ320および/またはADC309に電気的に結合され得る。計算ユニット200は、ADC309を経由して電圧測定値のサンプルを取得し得る。計算ユニット200は、ブーストコンバータ320を制御することもできる。ブーストコンバータ320が何らかの動作を実行するように構成されている場合、計算ユニット200は、ブーストコンバータ320を制御することによってその動作を実行するように構成され得る。
【0096】
図4は、一実施形態による、圧電変換器102を駆動するために使用される駆動電圧402の概略図および基準電圧曲線401を示す。
【0097】
駆動電圧402および基準電圧曲線401の縮尺は同じではない場合がある。例えば、駆動電圧402の振幅は、50-500ボルト(V)の範囲、またはこれの任意のサブ範囲、例えば、50-300V、100-300V、または150-250Vであり得る。一方、基準電圧曲線401の最大値は、飽和電圧レベル403によって制限され得る。飽和電圧レベル403は、10V未満、例えば、3.3Vであり得る。
【0098】
飽和電圧レベル403は、例えば、ADC309の制限されたダイナミックレンジに起因する可能性がある。
【0099】
基準電圧曲線401は、駆動電圧402に対応し得る。圧電変換器102が駆動電圧402で駆動される場合、基準電圧曲線401は、圧電変換器102が物体104によって接触されていないときの圧電変換器102上の電圧に対応し得る。
【0100】
制御回路103は、少なくとも1つのパラメータ203に基づいて基準電圧曲線401を形成することができる。例えば、少なくとも1つのパラメータ203が圧電変換器102のRC定数τを含む場合、基準電圧曲線401の時間的挙動は、次の式に従うことがある。
【数1】
ここで、tは時間であり、Vは時刻t = 0およびτ= RCにおけるある最大電圧であり得る。ここで、Rは、圧電変換器102の抵抗であり、Cは、圧電変換器102の静電容量であり得る。Rは、第1の抵抗器301および/または第2の抵抗器302の抵抗を含む。
【0101】
典型的な使用シナリオでは、τは、例えば5-10ミリ秒(ms)である。
【0102】
ADC309のダイナミックレンジが制限されているため、基準電圧曲線401は、図4の実施形態に示されるように飽和し得る。このように、基準電圧曲線401は、基準電圧曲線401が飽和していない場合にのみ、上記の挙動に従い得る。
【0103】
圧電変換器102以外の構成要素が、基準電圧曲線および/または少なくとも1つのパラメータに影響を及ぼし得ることを理解するべきである。例えば、いくつかの構成要素は、基準電圧曲線401および/または少なくとも1つのパラメータ203に影響を及ぼし得る静電容量を含み得る。したがって、少なくとも1つのパラメータ203は、圧電変換器102を含む回路のRC時定数を含み得る。
【0104】
図5は、一実施形態による圧電変換器102上で測定電圧曲線501の概略図を示している。
【0105】
図5の実施形態に提示された測定電圧曲線501は、接触面101に接触している物体104が押圧力を低減している状況に対応し得る。これは、基準電圧曲線401と測定電圧曲線501との差として観察できる。減少力により、測定電圧曲線501の値は、力が減少しているときの基準電圧曲線401の値よりも大きくなる。
【0106】
本明細書の説明は、圧電変換器102が逆分極されていると仮定し得ることを理解すべきである。圧電変換器102が逆分極されていない場合、図5の実施形態に提示された状況は、押圧力が増加した状況に対応し得る。
【0107】
制御回路103はさらに、以下のようにして、基準電圧曲線401と測定電圧曲線501とを比較するように構成され得る。基準電圧曲線402の飽和期間502を検出し、測定電圧曲線501の飽和期間503を検出する。そして、基準電圧曲線401と測定電圧曲線501の飽和期間を比較する。
【0108】
ここで、「飽和期間」は、問題の電圧曲線が飽和状態にある時間間隔の長さを指し得る。電圧曲線の値が飽和電圧レベル403以上である場合、電圧曲線は飽和状態にある可能性がある。
【0109】
例えば、基準電圧曲線401の飽和期間は、図5の実施形態に示される時間間隔ts、r502の長さを指すことができる。同様に、測定電圧曲線501の飽和期間は、図5の実施形態に示される時間間隔ts、m503の長さを指すことができる。
【0110】
制御回路103は、例えば、ts、r502とts、m503との間の時間差Δtを計算することができる。
【数2】
Δtが正の場合、測定電圧曲線501は、基準電圧曲線401よりも長い時間にわたって飽和状態にある。そのような状況の例は、図5の実施形態に示されている。これは、接触面101に接触する物体104が押圧力を減少させている状況に対応し得る。
【0111】
一方、Δtが負の場合、測定電圧曲線501は、基準電圧曲線401よりも短い時間にわたって飽和状態にある。これは、接触面101に接触している物体104が押圧力を増加させている状況に対応し得る。
【0112】
図6は、一実施形態による差分電圧曲線601の概略図を示している。
【0113】
制御回路103は、さらに、基準電圧曲線401と測定電圧曲線501との間の差を計算することによって、基準電圧曲線401と測定電圧曲線501とを比較するように構成され得る。
【0114】
制御回路103は、さらに、差分電圧曲線601を生成する測定電圧曲線501から基準電圧曲線401を差し引くことによって、基準電圧曲線401と測定電圧曲線501とを比較し、差分電圧曲線601に基づいて接触を検出するように構成され得る。
【0115】
差分電圧曲線Vdiff(t)601は、例えば、測定された電圧曲線Vmeas(t)から基準電圧曲線Vref(t)を差し引くことによって得ることができる。
【数3】
【0116】
例えば、図6に示される差分電圧曲線は、図5に示される測定電圧曲線501から基準電圧曲線401を差し引くことによって得られ得る。
【0117】
制御回路103は、差分電圧曲線Vdiff(t)の符号/極性を検出するように構成され得る。例えば、図6に提示された差分電圧曲線601の場合、制御回路103は、差分電圧曲線601が主に正であることを検出するように構成され得る。
【0118】
制御回路103は、差分電圧曲線Vdiff(t)の符号/極性に基づいて、接触の時間的変化特性を検出するように構成され得る。例えば、図6に提示された差分電圧曲線601の場合、制御回路103は、接触によって加えられる力が減少していることを検出するように構成され得る。
【0119】
制御回路103は、さらに、比較に基づいて、接触面101上の接触の時間的変化特性を検出するように構成され得る。
【0120】
接触面101上の接触の時間的変化特性は、時間とともに変化する接触の任意の特性を指し得る。例えば、制御回路103は、接触によって加えられる力/圧力が増加しているか、減少しているか、または一定に保たれているかどうかを検出するように構成され得る。
【0121】
制御回路103は、差分電圧曲線の積分を計算し、差分電圧曲線の積分に基づいて接触を検出するようにさらに構成され得る。
【0122】
制御回路103は、例えば、以下の積分を計算するように構成され得る。
【数4】
は、デバイス100が駆動電圧で圧電変換器を駆動し始める瞬間であり得る。 tは、tの後の事前設定された時刻であり得る。
【0123】
積分Iの結果に基づいて、制御回路103は、物体が接触面101に接触しているかどうかを推測することができる。例えば、図6の実施形態の場合、Vdiff(t)はほとんどの場合正である。したがって、積分の結果は正であり、制御回路103は、物体が減少する力で接触面101に接触している可能性があると推論することができる。
【0124】
制御回路103は、差分電圧曲線Vdiffのサンプルを合計することによって、上に提示された積分を近似することができる。
【数5】
ここで、Vdiff[i]はVdiffのi番目のサンプルを指し、Nはサンプルの総数を指し、Tはサンプルが取得された期間の長さを指し、例えば:T=t-t・である。
【0125】
あるいは、制御回路103は、他の方法を使用して、積分Iの値を評価することができる。
【0126】
制御回路103は、積分Iが事前設定された閾値に到達したことに応じて、接触面101上の接触を検出するように構成され得る。
【0127】
時間分解能T / Nは、例えば、1ミリ秒未満であり得る。
【0128】
Tおよび/またはNは、事前設定された値を含み得る。代替的または追加的に、制御回路103は、ある事前構成された閾値に達するまで差分電圧曲線をサンプリングするように構成され得る。事前構成された値に到達したことに応答して、制御回路103は、接触面101上の接触を検出することができる。
【0129】
一実施形態によれば、制御回路103は、さらに、差分電圧曲線の振動振幅を計算し、差分電圧曲線の振動振幅に基づいて接触を検出するように構成される。
【0130】
物体104が接触面101に接触すると、物体104は、接触面101に振動を導入することができる。この振動は、圧電変換器102を介して検出することができる。
【0131】
制御回路103は、例えば、以下を使用して、平均差電圧Vdiff、aveを計算することができる。
【数6】
ここで、Nは平均の計算に使用されるサンプルの数である。
【0132】
各サンプルVdiff [i]、について、計算ユニット200は、例えば、以下を使用して、振動振幅Aを計算することができる。
【数7】
制御回路103は、例えば、以下を使用して、平均振動振幅Aaveを計算することができる。
【数8】
または
【数9】
平均振動振幅Aaveは、圧電変換器102の振動量を定量化することができる。差電圧の振動振幅は、平均振動振幅Aaveを含み得る。
【0133】
素子102の振動量は、圧電変換器102と物体104との間の距離に反比例し得るので、計算ユニット200は、各圧電変換器102の振動成分を使用して、接触面101上の物体104の位置を計算/推定することができる。
【0134】
制御回路103は、例えば、差電圧の振動振幅を事前設定された閾値と比較することができる。差電圧の振動振幅が事前設定された閾値よりも大きい場合、制御回路103は、物体104が接触面101に接触していると推定することができる。
【0135】
図7は、一実施形態による圧電変換器102上で測定された電圧曲線701の概略図を示している。
【0136】
図7の実施形態に示される測定電圧曲線701は、接触面101に接触している物体104が押圧力を増加させている状況に対応し得る。これは、基準電圧曲線401と測定電圧曲線701との間の差として観察され得る。力が増加するため、測定電圧曲線701の値は、基準電圧曲線401の値よりも小さい。
【0137】
図8は、一実施形態による差分電圧曲線801の概略図を示している。
【0138】
図8に示される差分電圧曲線801は、図7に示される測定電圧曲線701から基準電圧曲線401を差し引くことによって得られ得る。
【0139】
制御回路103は、差分電圧曲線Vdiff(t)の符号/極性を検出するように構成され得る。例えば、図8に提示された差分電圧曲線801の場合、制御回路103は、差分電圧曲線801が主に負であることを検出するように構成され得る。
【0140】
制御回路103は、差電圧曲線Vdiff(t)の符号/極性に基づいて、接触の時間的変化特性を検出するように構成され得る。例えば、図8に提示された差電圧曲線801の場合、制御回路103は、接触によって加えられる力/圧力が増加していることを検出するように構成され得る。
【0141】
図9は、一実施形態による方法のフローチャートによる表現を示している。
【0142】
一実施形態によれば、方法900は、圧電変換器の基準応答を示す少なくとも1つのパラメータを取得する工程901を含む。
【0143】
方法900は、さらに、少なくとも1つのパラメータに基づいて基準電圧曲線を形成する工程902を含み得る。
【0144】
方法900は、さらに、駆動電圧で圧電変換器を駆動する工程903を含み得る。
【0145】
方法900は、さらに、圧電変換器上の電圧曲線を測定する工程904を含み得る。
【0146】
方法900は、さらに、基準電圧曲線と測定電圧曲線とを比較する工程905を含み得る。
【0147】
方法900は、さらに、比較に基づいて接触面上の接触を検出する工程906を含み得る。
【0148】
図10は、一実施形態による制御回路103によって使用される電圧のフロー図表現を示す。
【0149】
制御回路103はさらに、試験駆動電圧1001を用いて圧電変換器102を駆動するように構成され得る。
【0150】
試験駆動電圧1001は、駆動電圧402と同様であり得る。試験駆動電圧1001は、例えば、圧電変換器102の電気的および/または機械的特性を試験するのに適した任意の事前構成された電圧曲線を含み得る。
【0151】
制御回路103は、物体104によって接触面101に加えられる外力がないときに、試験駆動電圧1001で圧電変換器102を駆動するように構成され得る。
【0152】
制御回路103は、さらに、圧電変換器102上の試験駆動電圧1001によって引き起こされる応答電圧曲線1002を測定するように構成され得る。
【0153】
制御回路103は、物体104によって接触面101に外力が加えられていないときに、試験駆動電圧1001で圧電変換器102を駆動するように構成され得るので、応答電圧曲線1002は、基準電圧曲線402に対応し得る。したがって、制御回路103は、応答電圧曲線1002を測定することによって基準電圧402曲線を取得することができる。
【0154】
制御回路103は、さらに、応答電圧曲線1002に基づいて少なくとも1つのパラメータ203を計算するように構成され得る。
【0155】
制御回路103は、さらに、少なくとも1つのパラメータ203を格納するように構成され得る。制御回路103は、少なくとも1つのパラメータ203を、例えば、メモリ202に格納することができる。
【0156】
制御回路103は、例えば、応答電圧曲線1002に基づいて圧電変換器102のRC時定数を推定することができる。制御回路103は、例えば、曲線フィッティングおよび/または他の計算手順を使用して、応答電圧曲線1002から少なくとも1つのパラメータ203を取得し得る。
【0157】
制御回路103は、例えば、定期的に、少なくとも1つのパラメータ203を計算するための前述の動作を実行することができる。圧電変換器102の電気的および/または機械的特性は、時間とともに変化し得るので、制御回路103は、このようにして、圧電変換器102の電流特性に対応するように少なくとも1つのパラメータ203を更新し得る。したがって、基準電圧曲線少なくとも1つのパラメータ203に基づいて形成された401は、圧電変換器102の基準挙動をより正確に示し得る。
【0158】
次に、制御回路103は、少なくとも1つのパラメータ203を取得し、該少なくとも1つのパラメータ203に基づいて基準電圧曲線401を形成し、駆動電圧402で圧電変換器を駆動し、圧電変換器102上の電圧曲線501を測定し、基準電圧曲線401と測定電圧曲線501とを比較し、本明細書に記載されている比較に基づいて、接触面101上の接触を検出する。
【0159】
ここに記載されている範囲またはデバイス値は、所望の効果を失うことなく拡張または変更できる。また、明示的に禁止されていない限り、任意の実施形態を別の実施形態と組み合わせることができる。
【0160】
主題は、構造的特徴および/または行為に固有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、必ずしも上記の特定の特徴または行為に限定されないことを理解すべきである。むしろ、上記の特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実施する例として開示され、他の同等の特徴および行為は、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0161】
上記の利益および利点は、1つの実施形態に関連し得るか、またはいくつかの実施形態に関連し得ることが理解されるであろう。実施形態は、記載された問題のいずれかまたはすべてを解決するもの、または記載された利益および利点のいずれかまたはすべてを有するものに限定されない。さらに、「ひとつ」の事項への言及は、その事項の1つまたは複数を指す場合があることが理解されよう。
【0162】
本明細書に記載の方法の工程は、任意の適切な順序で、または必要に応じて同時に実行することができる。さらに、個々のブロックは、本明細書に記載の主題の精神および範囲から逸脱することなく、任意の方法から削除することができる。上記の実施形態のいずれかの態様は、記載された他の実施形態のいずれかの態様と組み合わせて、所望の効果を失うことなくさらなる実施形態を形成することができる。
【0163】
「含む」という用語は、本明細書では、識別された方法、ブロックまたは要素を含むことを意味するために使用されるが、そのようなブロックまたは要素は、排他的リストを含まず、方法または装置は、追加のブロックまたは要素を含み得る。
【0164】
上記の説明は、例としてのみ与えられており、当業者によって様々な修正を行うことができることが理解されよう。上記の仕様、例、およびデータは、例示的な実施形態の構造および使用の完全な説明を提供する。様々な実施形態がある程度の特殊性をもって、または1つまたは複数の個々の実施形態を参照して上記で説明されてきたが、当業者は、本明細書の精神または範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10