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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-25
(45)【発行日】2025-07-03
(54)【発明の名称】ビーズソファ
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20250626BHJP
   A47C 17/04 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
A47C27/00 Q
A47C17/04 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021124481
(22)【出願日】2021-07-29
(65)【公開番号】P2023019608
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】小原 弘誠
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3067050(JP,U)
【文献】特開2002-272565(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02262227(GB,A)
【文献】中国実用新案第2531693(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 17/00,27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状のソファシートにビーズが充填されたビーズソファであって、
前記ソファシートが、
座面を有する座部と、
前記座部の上面側に配置され肘掛部および背凭れ部を有する上段部と、を有し、
前記座部と前記上段部との間に仕切り壁が設けられ、前記座部のビーズ収容空間と前記上段部のビーズ収容空間とが独立しており、
少なくとも外側側面において、前記座部と前記上段部との境界部分は内部方向にくびれていることを特徴とするビーズソファ。
【請求項2】
前記座面がキルティング加工されている請求項1に記載のビーズソファ。
【請求項3】
複数のビーズ収容空間において、
座部のビーズ収容空間におけるビーズの充填率が最も高い請求項1または2のいずれか一項に記載のビーズソファ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーズソファに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、座面だけでなく背凭れ面等にもクッション性のある椅子(以下、ソファと呼ぶ)が汎用されている。例えば特許文献1には、軟質ウレタンフォームや、ラバーフォーム等により成形された内部クッション体を袋状カバー体で被覆してなるソファ椅子が開示されている。
【0003】
また近年、袋体の内部にビーズを充填してなるビーズソファが提案されている。例えば特許文献2には、ビーズを充填させてなる中袋を準備し、これをソファ状に縫製されたカバーシートの内側に収容してなるビーズソファが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭58-65961号公報
【文献】実登3062635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来のソファおよびビーズソファはそれぞれ以下の欠点を有していた。
即ち、特許文献1に代表される、従来から用いられるソファは、外力が付与されていない状態では定形である軟質ウレタンフォームなどの弾性体が用いられている。そのため、当該ソファは、使用者が座った際に、適度の安定性を維持しつつ、クッション性を発揮可能であるものの、使用者の体形に座面や背凭れ面が追従するフィット感は十分ではなかった。
【0006】
一方、特許文献2に代表されるビーズソファは、内部に小径のビーズが多数充填されているため、使用者の体形に追従し易くフィット感に優れる反面、外力を受けた際の変形が著しく、安定性やクッション性が十分ではなかった。
【0007】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、使用者に対し、安定性およびクッション性のみならず、良好なフィット感も付与可能なビーズソファを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のビーズソファは、袋状のソファシートにビーズが充填されたビーズソファであって、上記ソファシートが、座面を有する座部と、前記座部の上面側に配置され肘かけ部および背凭れ部を有する上段部と、を有し、上記座部と上記上段部との間に仕切り壁が設けられ、上記座部のビーズ収容空間と上記上段部のビーズ収容空間とが独立しており、少なくとも外側側面において、上記座部と上記上段部との境界部分は内部方向にくびれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を備える本発明によれば、ビーズを収容する収容空間が分割されていることによって、ビーズソファ特有のフィット感を発揮するとともに、安定性やクッション性にも優れるビーズソファを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態であるビーズソファの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態であるビーズソファの分解斜視図である。
図3図2に示すソファの部分断面図である。
図4】足置き部を折り畳んだ状態である本発明の一実施形態であるビーズソファの斜視図である。
図5】足置き部および頭部支持部を折り畳んだ状態である本発明の一実施形態であるビーズソファの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明のビーズソファについて説明する。説明には、図1図5に示す本発明の一実施形態であるビーズソファ100を用いる。図1は、本発明の一実施形態であるビーズソファ100の斜視図である。図2は、ビーズソファ100の分解斜視図である。図2は、互いに独立するビーズ収容空間を有する部位でビーズソファ100を分解した状態を示している。図3は、図2に示すソファの部分断面図であり、詳しくは、座部20をIII-III切断面にて切断した際の断面図を示している。図4は、足置き部50を折り畳んだ状態であるビーズソファ100の斜視図であり、図5は、足置き部50および頭部支持部40を折り畳んだ状態であるビーズソファ100の斜視図である。
【0012】
まず本発明の概要について説明する。
本実施形態のビーズソファ100はソファシート10にビーズ56が充填されて構成される。ソファシート10は、座面22Sを有する座部20と、座部20の上面側に配置され肘掛部32および背凭れ部34を有する上段部30と、を有する。座部20と上段部30との間に仕切り壁42が設けられ、座部20のビーズ収容空間と上段部30のビーズ収容空間とが独立している。
【0013】
上述する構成を有するビーズソファ100は、内部にビーズ56が充填されているため、使用者に優れたフィット感を与える。これに加え、ビーズソファ100は、座部20および上端部30の内部が互いに独立のビーズ収容空間になっており、外力がかかった場合であっても内部に充填されたビーズ56の流動は各ビーズ収容空間にとどまる。このようにビーズ56の流動が制限されることから、使用時においてビーズソファ100の形状が変形し過ぎることが防止され、その結果、フィット感に加え適度な安定性とクッション性をも発揮可能である。したがって、本発明のビーズソファ100は、これまでのソファまたはビーズソファにはない、座り心地の良いバランスの取れた使用感を与えることができる。
【0014】
また、ビーズソファ100は、上段部30において、背凭れ部34と肘掛部32とが上面視U字状に連通している。そのため、使用者は、腕全体を肘掛部32に配置しつつ背凭れ部34に背中を凭れ掛けることで、上面視U字形状に一方の腕から他方の腕までを沿わせることができる。しかも肘掛部32および背凭れ部34の間ではビーズ56の流動が許容されるため、沿わせた体に対し違和感を与えることなく自然なフィット感が与えられる。尚、ここでいう上面視U字状とは、類似の形状、例えば上面視コの字状なども含む。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。尚、以下の説明においてビーズソファ100およびこれを構成する各部位の上下方向については、任意の箇所から、頭部支持部40側を上方といい、足置き部50側を下方という。
【0015】
図1および図2に示すとおり、ビーズソファ100は、座部20、上段部30、頭部支持部40、足置き部50を有する。これらは互いに独立のビーズ収容空間を内部に有する。つまり、図1に示す本実施形態のソファシート10は、図2にから理解されるとおり、座部20を構成するソファシート10A、上段部30を構成するソファシート10B、頭部支持部40を構成するソファシート10C、および足置き部50を構成するソファシート10Dから構成されている。各ソファシート10A、10B、10C、10Dは互いに独立したビーズ収容空間を内部に有している。したがって、各ソファシート間(つまり各部位間)でビーズ56の移動が防止されている。
【0016】
各ソファシート10A、10B、10C、10Dにはそれぞれビーズ充填口14が設けられている。ビーズ充填口14は、開閉可能であってビーズ56の出し入れ可能な開口部である。ビーズ充填口14は、例えば線ファスナー(より具体的にはジッパー(登録商標)やチャック(登録商標)など)、面ファスナー(より具体的にはマジックテープ(登録商標)など)といった汎用の手段を適宜装着することで構成される。必要に応じて、線ファスナーや面ファスナーを二重に設けることで、ビーズ56の出し入れを容易にすることができる。
【0017】
ビーズ56は、小径の粒状体やチップなどからなり、形状は特に限定されないが、球状体、柱状体、円筒体、不定形状体、あるいはこれらの2以上の混合などであってよい。ビーズ56の寸法は特に限定されないが、優れたフィット感を与えるという観点からは、直径1mm以上10mm以下程度であることが好ましい。ビーズソファ100に対しクッション性を与えるという観点から、ビーズ56を構成する素材は、発泡樹脂であることが好ましく、中でもスチレン系発泡ビーズ、ポリエチレン系発泡ビーズ、ウレタン系発泡ビーズなどが好ましい。ビーズ56を構成するその他の素材としては、例えばそば殻などを挙げることができる。
【0018】
本実施形態において、座部20は、扁平の形状であって、その上面の一部が座面22Sとなっている。扁平形状の座部20は、例えば、図2に示すとおり四方体とすることができる。図示省略するが、座部20は、例えば四方体以外の断面多角形の柱状体、または円柱体などであってもよい。
【0019】
座面22Sは、使用者が腰を掛ける部分であるため、座部20は、ビーズソファ100の各独立した部位(座部20、上段部30、頭部支持部40、足置き部50)の中で、最も荷重がかかる部位といえる。
座部20の上面であって、座面22S以外の領域の少なくとも一部は、座部20の上面側に配置される上段部30と座部20とを仕切る仕切り壁42が設けられている。本実施形態では、座部20の上面は、実質的に座面22Sおよび仕切り壁42とからなる。仕切り壁42は、座部20の上面と上段部30の下面として兼用されてもよいし、座部20の上面と、これとは異なる上段部30の下面とが積層されて構成されてもよい。
【0020】
本実施形態では、座面22Sはキルティング加工されている。本発明においてキルティング加工とは、図3に示すとおり、ソファシート10を構成する側生地60の裏面にウレタンフォームシート64などのような弾性を示すシート状物を積層させ、これらを縫い合わせる加工を指す。図示省略するが、ウレタンフォームシート64などのシート状物の、側生地60とは反対側の面にさらに任意の層を積層させ、3層以上を併せて縫い合わせてもよい。本実施形態では、側生地60とウレタンフォームシート64とを縫い合わせてなる複数の縫製線(キルト線24)が、ビーズソファ100の上下方向に伸長するとともに座面22Sの幅方向に互いに平行するよう形成されている。
【0021】
最も荷重がかかる座面22Sにおいてキルティング加工が行われることによって、座面22Sに適度な保形性を付与することができ、使用時に座面22Sが使用者の体重によって沈み込み過ぎることが防止される。そのため、キルティング加工がなされた座面22Sを有する本実施形態は、座ったときの安定性、クッション性、フィット感のバランスが非常に良い上、使用者の体の座面22Sに当接した部分が包まれているような居心地の良さを与えることができる。以下においてビーズソファ100に座った際に使用者が感じる「包まれているような居心地の良さ」をホールド感という場合がある。
【0022】
ソファシート10の少なくとも外側に露出する部分を構成する側生地60は、特に限定されず、一般的なソファシートを構成可能なシートから適宜選択することができる。例えば、側生地60としては、綿、麻、ウールなどからなる天然繊維またはポリエステル、アクリル、レーヨン、ナイロンなどからなる化学繊維を用いて製造された織布、編布または人工皮革などが挙げられる。適度な安定性およびクッション性を良好に発揮させるという観点からは、織布を側生地60として用いることが好ましい。
キルティング加工に用いられるウレタンフォームシート64などのシート状物は、側生地60よりも弾性があり、任意の厚みに調整可能なシートが好ましい。例えばウレタンフォームシート64は、ウレタンフォームからなる厚み5mm以上15mm以下のシート状物が好適である。
【0023】
より優れたホールド感を提供するためには、座面22Sだけではなく、使用者の体が当接し、荷重が大きくかかる面(即ち、背凭れ面34S、頭部支持面40S、足置き面50S)にもキルティング加工を施すことが望ましい。つまり、使用者の体本体(腕を除く頭から足まで)を下支えする面は全てキルティング加工されていることが望ましい。これによって使用者は、頭から足まで優れたホールド感を体感することができる。しかも、上述する荷重が大きくかかる面以外の面の一部または全部は、キルティング加工が行われず側生地60だけで構成されることによって、各ビーズ収容空間においてビーズ56の流動性が十分に確保され良好なフィット感が維持される。
【0024】
本実施形態では、キルティング加工におけるキルト線24は、ビーズソファ100の上下方向に伸長する縫製線であって、幅方向(2つの肘掛部32を結ぶ方向)に複数設けられている。
このようにキルト線24を上下方向に伸長させることによって、使用者の体に対しキルト線24を沿わせることができるため、上述するホールド感が増すとともに、使用者に縫い目の違和感を与え難く好ましい。
また図1に示すとおり、座面22Sに対し上下方向に連続する面(後述する背凭れ面34A、頭部支持面40S、足置き面50S)にもキルティング加工を行う場合、各面におけるキルト線24を上下方向に設けるとともに外観上、連続させることで、各面が独立した部位から構成されるにもかかわらず、全体として統一感を与えることができ優れたデザイン性を付与することができる。
ただし、本発明は、キルト線24が上下方向に伸長する態様以外の態様を除外するものではない。
【0025】
座部20および上段部30は、座部20の上面と上段部30の下面とにおいて仕切り壁42において面で連結されている。本実施形態では、仕切り壁42が座部20の上面の一部および上段部30の下面として兼用されており、縫製により仕切り壁42を介して座部20と上段部30とが連結されている。
本実施形態では、仕切り壁42の外縁を、肘掛部32の上下方向中間部における断面の外縁よりもやや小さく形成している。そのため、肘掛部32の上下方向中間部は外方向にやや膨出し、座部20と上段部30との境界部分には内部方向にくびれたくびれ25が形成されている。換言すると、肘掛部32は、上下方向中間部よりも下端において縮径している。このようにくびれ25が形成されることによって、肘掛部32に腕を載せた場合に肘掛部32の内部に充填されたビーズ56の流動性が規制され、肘掛部32の下端側か外方向に膨らみ過ぎることが防止される。そのため、肘掛部32の上下方向の潰れが抑制され、安定性して使用者の腕を下支えすることができる。
【0026】
仕切り壁42は、側生地60と同じ素材で構成することもできるが、本実施形態では、側生地60とは異なる素材で仕切り壁42を構成している。より具体的には、仕切り壁42を構成する生地は、側生地60よりもストレッチ性が高く、また表面がツルツルしていて滑りのよいものであることが好ましい。仕切り壁42が、側生地60よりも相対的にストレッチ性がありかつ滑りの良い部材であることにより、使用者がビーズソファ100に座り、背凭れ部34に背を凭れかけるとともに肘掛部32に腕を載せたとき、上段部30に充填されたビーズ56は、上段部30の底面(仕切り壁42の上面)において流動が許容されやすく、また当該底面が下方に適度に膨張することが許容される。これによって、上段部30は使用時に形状が変形し過ぎることが防止され、安定性、適度なクッション性およびフィット感がより良好に発揮される。
【0027】
例えば、側生地60と仕切り壁42の素材として、好ましい組み合わせは、側生地60として一般的な織布であって生地の目付けが70~300g/m程度の布を選択するとともに、仕切り壁42を構成する素材として、タフタ生地、ファイユ生地、サテン生地などを選択するとよい。
タフタ生地とは、細径の経糸と、これより相対的に太径の緯糸とを用いて平織りで作られた布地である。タフタ生地は、一般的には経糸は緯糸より本数を多くし、これによって独特の畝が表面に浮き出るよう作られる。
ファイユ生地とは、タフタ生地と同様に平織りで作られる生地であって、一般的にタフタ生地より厚みが大きい縦畝織りの布地である。
サテン生地とは、朱子織りで作られた布地である。
タフタ生地、ファイユ生地、サテン生地に用いられる糸としては、綿や絹などの天然繊維、およびレーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステルなどが挙げられる。
【0028】
次に頭部支持部40および足置き部50について説明する。
本実施形態のビーズソファ100は、座部20および上段部30に加え、さらに頭部支持面40Sを備える頭部支持部40および足置き面50Sを備える足置き部50が設けられている。頭部支持部40は、上段部30における背凭れ部34の上方に配置されており、足置き部50は、座部20の座面22Sの下端からさらに下方に連続して配置されている。頭部支持部40は、略四方形であって、上面に頭部支持面40Sを有するとともに背凭れ面34Sに連続する背凭れ補助面40Tを有している。使用時には、頭部支持面40Sと背凭れ補助面40Tとの境界が不明瞭になり、頭部支持面40Sおよび背凭れ補助面40Tのいずれに頭が当接されても構わない。
足置き部50は、略四方形であって上面が足置き面50Sを構成しており、足置き面50Sと座面22Sと略同高さに連続している。
上述のとおり、頭部支持部40および足置き部50も備えるビーズソファ100によれば、使用者の体全体を支持することができ、使用者が十分にくつろぐことができる。本実施形態では、頭部支持部40および足置き部50はそれぞれ略四方形の形状をなしているが、これ以外の形状に変更可能である。
頭部支持部40および足置き部50それぞれは、上述するとおり、他のビーズ収容空間から独立したビーズ収容空間を有している。したがって、ビーズソファ100に充填されるビーズ56は、座部20、上段部30、頭部支持部40および足置き部50において隣り合う他の部位に流動することが防止されている。そのため、座部20および上段部30同様、頭部支持部40および足置き部50もその形状が変形し過ぎることが防止され、使用者の頭部および足部における安定性、クッション性、フィット感のバランスが非常に良い。
【0029】
座部20および上段部30を有し、適宜、頭部支持部40および/または足置き部50が設けられるビーズソファ100において、各部位に充填されるビーズ56の充填率は特に限定されないが、本発明の所期の課題をより十分に解決するという観点からは、8.0kg/m以上13.0kg/m以下であることが好ましく、9.0kg/m以上12.5kg/m以下であることがより好ましい。
また、ビーズソファ100における複数のビーズ収容空間において、座部20のビーズ収容空間におけるビーズ56の充填率が最も高いことが好ましく、特に、各部位における充填率が上記好ましい範囲であって、かつ、座部のビーズ収容空間におけるビーズ56の充填率が最も高いことがより好ましい。これによって座った際の安定性がより良好であるとともに、よりホールド感に優れたビーズソファ100を提供することができる。
【0030】
本実施形態では、頭部支持部40および足置き部50におけるソファシート10C、10Dを構成する側生地60は、座部20および上段部30におけるソファシート10A、10Bと同じ素材により構成されている。ただし本発明では、各ソファシート10A、10B、10C、10Dのいずれか1つ以上を、異なる側生地60より構成することもできる。
【0031】
本実施形態では、頭部支持部40と背凭れ部34とは、頭部支持面40Sの下端と背凭れ面34Sの上端とにおいて線状に縫製されてなる第一線状連結部45により連結されている。そのため、第一線状連結部45を回転軸として頭部支持部40を座面22S側に回転させることが可能である。
また本実施形態では、足置き部50と座部20とは、足置き面50Sの上端と座面22Sの下端とにおいて線状に縫製されてなる第二線状連結部55により連結されている。そのため、第二線状連結部55を回転軸として足置き部50を座面22S側に回転させることが可能である。
【0032】
図4に第二線状連結部55を回転軸として足置き部50を座面22S側に回転させた状態を示す。かかる回転により、足置き部50を座面22S側に折り畳み、足置き面50Sと座面22Sとを当接させることができる。
本実施形態では、足置き部50の高さH2が、肘掛部32の高さH3と略同寸法またはそれ以下であるとともに、足置き部50の幅W2が、座面22Sの幅W3と略同寸法またはそれ以下であることから、第二線状連結部55を回転軸として足置き部50を回転させたときに、図4に示すとおり足置き部50を、座面22S上に収めることができる。また、後述するとおり、頭部支持部40を回転させることを予定する場合には、足置き部50の上下方向の長さL2は、座面22Sの上下方向の長さL3未満とするよい。各部位の高さ、幅、上下方向の長さについては適宜図2が参照される。また本明細書において寸法の比較において「略同寸法」という表現は、同一寸法に対し、数センチ程度のプラスマイナスの寸法差を含むことを意味し、数センチ程度とは、たとえばプラスマイナス5センチ以内の寸法差をいい、さらにはプラスマイナス3センチ以内の寸法差をいう。
尚、以下の説明では、図1に示す通常の使用形態を第一使用形態といい、図4に示すとおり足置き部50を回転させて畳み込んだ状態を第二使用形態といい、後述する図5に示すとおり足置き部50および頭部支持部40を回転させて畳み込んだ状態を第三使用形態という。
【0033】
第二使用形態は、第一使用形態として使用しないとき、あるいは部屋の掃除のときなどに好ましい形態である。本実施形態では、足置き部50の上下方向の長さL2が、座面22Sの上下方向の長さL3未満となるよう設計されており、図4に示すとおり、回転した足置き部50と背凭れ部34との間にスペース26が形成される。使用者はこのスペース26にちょうど腰の部分をすっぽりと沈み込ませるとともに足を足置き部50の裏面である足置き部裏面50Bに載せることで、第一使用形態とは異なった姿勢でビーズソファ100に座ることができる。第一使用形態は、全身を伸ばし横たわった姿勢に近い姿勢で座ることができるのに対し、第二使用形態では、第一使用形態よりも上半身を起こした姿勢で座ることができる。
【0034】
次に第三使用形態について説明する。第三使用形態は、図5に示すとおり足置き部50を座面22S側に回転させるとともに、頭部支持部40を、第一線状連結部45を回転軸として座面22S側に回転させた使用形態である。
本実施形態では、頭部支持部40の高さH1が、肘掛部32の高さH3と略同寸法またはそれ以下であるとともに、頭部支持部40の幅W1が、座面22Sの幅W3と略同寸法またはそれ以下となるよう設計されている。また頭部支持部40の上下方向の長さL1と足置き部50の上下方向の長さL2との和は、座面22Sの上下方向の長さL3以下となるよう設計されている。かかる設計によれば、図5に示すとおり、足置き部50とともに頭部支持部40も座面22S上に収めることができる。
【0035】
第三使用形態において、頭部支持部40および足置き部50を座面22S上に収めたときに、上面が略フラットとなり良好にコンパクト化することができるという観点からは、頭部支持部40の上下方向の長さL1と足置き部50の上下方向の長さL2との和が、座面22Sの上下方向の長さL3以下である態様が好ましい。かかる態様では、頭部支持部40および足置き部50を座面22S上に収容し易く、また第三使用形態の状態にあるビーズソファ100を背凭れおよび肘掛部のないスツールとして使用することもできる。
【0036】
上述するとおり、適切な寸法に設計されるとともに座面22S側に回転可能な頭部支持部40および足置き部50を備えるビーズソファ100は、第一使用形態に加え、第二使用形態および第三使用形態において異なる使用態様が可能であり、3Wayのソファとして使い勝手がよい。
【0037】
以上にビーズソファ100を用いて本発明を説明したが、上述する実施形態は本発明を何ら限定するものではない。本発明のビーズソファは、例えば、頭部支持部および/または足置き部のいずれか一方、または両方を有しない態様を包含する。
【0038】
上述する本発明は、下記の技術的思想を包含する。
(1)袋状のソファシートにビーズが充填されたビーズソファであって、
前記ソファシートが、
座面を有する座部と、
前記座部の上面側に配置され肘掛部および背凭れ部を有する上段部と、を有し、
前記座部と前記上段部との間に仕切り壁が設けられ、前記座部のビーズ収容空間と前記上段部のビーズ収容空間とが独立していることを特徴とするビーズソファ。
(2)前記座面がキルティング加工されている上記(1)に記載のビーズソファ。
(3)少なくとも外側側面において、前記座部と前記上段部との境界部分は内部方向にくびれている上記(1)または(2)に記載のビーズソファ。
(4)複数のビーズ収容空間において、
座部のビーズ収容空間におけるビーズの充填率が最も高い上記(1)~(3)のいずれか一項に記載のビーズソファ。
(5)前記背凭れ部の背凭れ面から上方に連続する頭部支持面を有する頭部支持部、及び/又は、
座面から下方に連続する足置き面を有する足置き部を有し、
前記頭部支持部および前記足置き部は、それぞれ他のビーズ収容空間から独立したビーズ収容空間を有している上記(1)~(4)のいずれか一項に記載のビーズソファ。
(6)前記頭部支持部と前記背凭れ部とは、前記頭部支持面の下端と前記背凭れ面の上端とにおいて線状に縫製されてなる第一線状連結部により連結されており、前記第一線状連結部を回転軸として頭部支持部が座面側に回転可能であり、
前記足置き部と前記座部とは、前記足置き面の上端と前記座面の下端とにおいて線状に縫製されてなる第二線状連結部により連結されており、前記第二線状連結部を回転軸として足置き部が座面側に回転可能である上記(5)に記載のビーズソファ。
(7)前記頭部支持部の上下方向の長さと前記足置き部の上下方向の長さとの和が、
前記座面の上下方向の長さ以下であり、かつ、
前記頭部支持部の高さ及び前記足置き部の高さが、前記肘掛部の高さと略同一またはそれ以下である上記(6)に記載のビーズソファ。
【符号の説明】
【0039】
10、10A、10B、10C、10D・・・ソファシート
12・・・ビーズ収容空間
14・・・ビーズ充填口
20・・・座部
22S・・・座面
24・・・キルト線
25・・・くびれ
26・・・スペース
30・・・上段部
32・・・肘掛部
32S・・・肘掛面
34・・・背凭れ部
34S・・・背凭れ面
40・・・頭部支持部
40S・・・頭部支持面
42・・・仕切り壁
45・・・第一線状連結部
50・・・足置き部
50B・・・足置き部裏面
50S・・・足置き面
55・・・第二線状連結部
56・・・ビーズ
60・・・側生地
62・・・仕切り生地
64・・・ウレタンフォームシート
100・・・ビーズソファ
H1、H2、H3・・・高さ
L1、L2、L3・・・長さ
W1、W2、W3・・・幅

図1
図2
図3
図4
図5