(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-25
(45)【発行日】2025-07-03
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/237 20180101AFI20250626BHJP
F21S 43/241 20180101ALI20250626BHJP
F21S 43/247 20180101ALI20250626BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20250626BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20250626BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20250626BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20250626BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20250626BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20250626BHJP
F21W 103/15 20180101ALN20250626BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250626BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20250626BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/241
F21S43/247
F21V8/00 310
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:55
F21W103:45
F21W103:20
F21W103:15
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2022037160
(22)【出願日】2022-03-10
【審査請求日】2025-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩二
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-171678(JP,A)
【文献】特開2016-139465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/237
F21S 43/241
F21S 43/247
F21V 8/00
F21W 103/00
F21W 103/10
F21W 103/55
F21W 103/45
F21W 103/20
F21W 103/15
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、棒状の導光体とを備え、前記光源から出射された光を前記導光体の基端側に設けられた入射部から前記導光体の内部へと入射し、前記導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記導光体の正面側から前記導光体の外部へと出射することによって、前記導光体の正面側に設けられた発光部を発光させる車両用灯具であって、
前記入射部と前記発光部との間で前記導光体の一部が湾曲した湾曲部と、
前記湾曲部の正面側の一部を軸線方向に切り欠くことにより前記湾曲部の正面側から立ちが上がる立壁とを有し、
前記立壁は、前記湾曲部の内部で導光される光を反射する反射面を形成していることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記立壁は、前記湾曲部の正面側の中央部において、互いに向かい合った状態で2つ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記立壁は、前記湾曲部の正面側の中央部を挟んだ両側を軸線方向に切り欠くことによって形成された凸部の両側面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記立壁は、前記湾曲部の正面側の中央部を軸線方向に切り欠くことによって形成された凹部の両側面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記湾曲部の正面側に複数の拡散反射カットが設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記複数の拡散反射カットは、前記湾曲部の軸線方向に延在し、前記湾曲部の軸線方向とは直交する方向に並ぶ複数のローレットにより構成されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、棒状の導光体(導光棒)とを組み合わせたものが知られている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の基端側に設けられた入射部から導光体の内部へと入射し、導光体の内部で反射を繰り返しながら、導光体の先端側に向けて光を導光させる。また、導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を導光体の正面側から導光体の外部へと出射する。これにより、導光体の正面側に設けられた発光部をライン状に発光させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の車両用灯具では、デザインの多様化によって、例えば方向指示器(ウィンカーランプ、ターンランプ)や車幅灯(ポジションランプ)、昼間点灯ランプ(DRL:Daytime Running Lamps)などをライン状の発光とするデザインが増加している。
【0006】
しかしながら、上述した棒状の導光体では、その基端側から先端側に向けて導光される光の光路長の違いによって、発光部に輝度ムラが生じることがあった。すなわち、導光体の発光部に輝度ムラが生じた場合は、導光体の軸線方向において、光源からの光路長が短い基端側よりも光源からの光路長が長い先端側の方が光の減衰によって相対的に暗くなってしまう。したがって、このような輝度の明暗が発光部の輝度ムラとして認識されてしまう。
【0007】
このため、棒状の導光体をライン状に発光させる場合、上述した輝度ムラの発生などによって、発光部の視認性や見栄えが低下するなどの点灯フィーリングの悪化が問題となっている。
【0008】
特に、入射部と発光部との間で導光体の一部が湾曲した湾曲部を設けた場合、この湾曲部の長さが短く、曲率が小さいと、湾曲部の内部で導光される光の一部が導光体の先端側に向かわず、迷光となって発光部の基端側から外部に漏れ出すことがあった。この場合、発光部の基端側の一部が周囲に比べて強く光って見える、いわゆる点光りによって、車両用灯具の点灯時における見栄えが悪くなってしまう。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、輝度ムラの発生を防ぐことによって、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 光源と、棒状の導光体とを備え、前記光源から出射された光を前記導光体の基端側に設けられた入射部から前記導光体の内部へと入射し、前記導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記導光体の正面側から前記導光体の外部へと出射することによって、前記導光体の正面側に設けられた発光部を発光させる車両用灯具であって、
前記入射部と前記発光部との間で前記導光体の一部が湾曲した湾曲部と、
前記湾曲部の正面側の一部を軸線方向に切り欠くことにより前記湾曲部の正面側から立ちが上がる立壁とを有し、
前記立壁は、前記湾曲部の内部で導光される光を反射する反射面を形成していることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記立壁は、前記湾曲部の正面側の中央部において、互いに向かい合った状態で2つ設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記立壁は、前記湾曲部の正面側の中央部を挟んだ両側を軸線方向に切り欠くことによって形成された凸部の両側面に設けられていることを特徴とする前記〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記立壁は、前記湾曲部の正面側の中央部を軸線方向に切り欠くことによって形成された凹部の両側面に設けられていることを特徴とする前記〔2〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記湾曲部の正面側に複数の拡散反射カットが設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記複数の拡散反射カットは、前記湾曲部の軸線方向に延在し、前記湾曲部の軸線方向とは直交する方向に並ぶ複数のローレットにより構成されていることを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、輝度ムラの発生を防ぐことによって、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具の構成を示す上面図である。
【
図3】
図1中に示す線分A-Aによる導光体の断面図である。
【
図4】
図3中に示す囲み部分Bを拡大した導光体の断面図である。
【
図5】
図2中に示す線分C-Cによる導光体の断面図である。
【
図6】
図2中に示す線分D-Dによる導光体の断面図である。
【
図7】
図2中に示す線分E-Eによる導光体の断面図である。
【
図8】実施例となる導光体を発光させた際の発光部の光源像を示す写真である。
【
図9】比較例となる導光体を発光させた際の発光部の光源像を示す写真である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る車両用灯具が備える導光体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0014】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図7に示す車両用灯具1Aについて説明する。
【0015】
なお、
図1は、車両用灯具1Aの構成を示す正面図である。
図2は、車両用灯具1Bの構成を示す上面図である。
図3は、
図1中に示す線分A-Aによる導光体3Aの断面図である。
図4は、
図3中に示す囲み部分Bを拡大した導光体3Aの断面図である。
図5は、
図2中に示す線分C-Cによる導光体3Aの断面図である。
図6は、
図2中に示す線分D-Dによる導光体3Aの断面図である。
図7は、
図2中に示す線分E-Eによる導光体3Aの断面図である。
【0016】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1Aの前後方向、Y軸方向を車両用灯具1Aの左右方向、Z軸方向を車両用灯具1Aの上下方向として、それぞれ示すものとする。
【0017】
本実施形態の車両用灯具1は、
図1及び
図2に示すように、光源2と、棒状の導光体3Aとを備え、光源2から出射された光Lを導光体3Aの基端側に設けられた入射部4から導光体3Aの内部へと入射し、導光体3Aの先端側に向けて光Lを導光させると共に、導光体3Aの背面側に設けられた複数の反射カット5aで反射された光Lを導光体3Aの正面側から導光体3Aの外部へと出射することによって、導光体3Aの正面側に設けられた発光部6を発光させる。
【0018】
光源2は、例えばLEDからなり、このLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板(図示せず。)の面上に実装されて、導光体3の基端側に向けて光Lを放射状に出射する。
【0019】
導光体3Aは、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなどの光透過性部材からなる。
【0020】
入射部4は、導光体3Aの基端側に位置して、光源2と対向する平坦(平面)な入射面4aを有している。入射部4は、この入射面4aから光源2から出射された光Lを導光体3Aの内部へと入射する。なお、入射部4については、上述した平坦(平面)な入射面4aを有する構成に限らず、光源2から放射状に出射された光Lを平行化又は集光しながら、導光体3Aの内部へと入射するレンズ形状を有する構成であってもよい。
【0021】
複数の反射カット5aは、
図3及び
図4に示すように、導光体3Aの背面側に入射した光Lを導光体3Aの正面側から外部へと出射(透過)する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。
【0022】
本実施形態では、例えば、導光体3Aの背面側の中央部を導光体3Aの軸線方向とは直交する鉛直方向(本実施形態では上下方向)に切り欠く断面略三角形状の反射カット5aが導光体3Aの軸線方向(本実施形態では左右方向)に並ぶことによって構成されている。
【0023】
また、複数の反射カット5aは、導光体3Aの軸線方向において、後述する発光部6をより均一に発光させるため、導光体3Aの基端側から先端側に向かって、互いに隣り合う間隔が漸次狭くなっている。
【0024】
導光体3Aの背面側の中央部(複数の反射カット5a)を挟んだ両側には、一対の反射面5bが設けられている。一対の反射面5bは、導光体3Aの軸線方向とは直交する鉛直方向の断面(以下、「鉛直断面」という。)において、円弧状に湾曲した凹状の曲面により構成されている。
【0025】
発光部6は、
図1、
図2及び
図7に示すように、導光体3Aの正面側に位置して、導光体3Aの軸線方向に連続した出射面6aを有している。出射面6aは、導光体3Aの鉛直断面において、円弧状に湾曲した凸状の曲面により構成されている。
【0026】
なお、出射面6aには、この出射面6aから外部に向けて出射される光Lを拡散させるための複数の拡散カット(図示せず。)が設けられた構成であってもよい。拡散カットとしては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。また、この拡散カットの形状等を調整することによって、出射面6aから出射される光Lの拡散度合いを制御することが可能である。
【0027】
ところで、本実施形態の車両用灯具1は、
図1及び
図2に示すように、入射部4と発光部6との間で導光体3Aの一部が湾曲した湾曲部7と、複数の反射カット5a及び発光部6が設けられた延長部8とを有している。すなわち、この導光体3Aは、光源2と対向する位置から、前方に向かって延長され、湾曲部7により湾曲した後、延長部8が車両の幅方向に延長された長尺形状を有している。
【0028】
なお、湾曲部7の湾曲する角度範囲については、60°以上であることが好ましく、湾曲部7の曲率については、その中心軸においてR18.5以上であることが好ましい。
【0029】
また、導光体3Aは、
図1、
図2及び
図6に示すように、湾曲部7の正面側の中央部を挟んだ両側を軸線方向に切り欠くことによって、湾曲部7の正面側から立ちが上がる一対(2つ)の立壁9を有している。
【0030】
一対の立壁9は、湾曲部7の正面側の中央部を挟んだ両側を軸線方向に切り欠くことによって形成された凸部10の両側面に設けられている。すなわち、これら一対の立壁9は、凸部10の両側面において、互いに向かい合った状態で、湾曲部7の正面側から平行に立ち上がり形成されている。
【0031】
なお、一対の立壁9については、上述した凸部10の両側面において、互いに平行に立ち上がり形成されたものに限らず、互いに傾斜したものであってもよい。また、一対の立壁9は、平面に限らず、互いに凸状又は凹状に湾曲した曲面であってもよい。
【0032】
また、湾曲部7の正面側には、
図1、
図2、
図5及び
図6に示すように、導光体3Aの鉛直方向において、発光部6をより均一に発光させるため、この湾曲部7の内部で導光される光Lを導光体3Aの鉛直方向に拡散しながら反射する複数の拡散反射カット11が設けられている。
【0033】
複数の拡散反射カット11は、湾曲部7の軸線方向に延在し、湾曲部7の軸線方向とは直交する方向に並ぶ複数のローレットにより構成されている。すなわち、各拡散反射カット11は、導光体3Aの鉛直断面において、円弧状に湾曲した凸状の曲面により構成されている。なお、拡散反射カット11については、上述した凸状に湾曲したローレットが並ぶ構成に限らず、凹状に湾曲したローレットが並ぶ構成であってもよく、若しくは、これら凸状及び凹状のローレットが交互に並ぶ構成であってもよい。
【0034】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Aでは、
図6に示すように、上述した一対の立壁9が湾曲部7の内部で導光される光Lを反射する反射面を形成している。これにより、湾曲部7の長さが短く、曲率が小さい場合でも、この湾曲部7の内部で導光される光Lの一部が導光体3Aの先端側に向かわず、迷光となって発光部6の基端側から外部に漏れ出すことを抑制しながら、導光体3Aの先端側に向かって導光させることが可能である。
【0035】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述した発光部6の基端側の一部が周囲に比べて強く光って見える、いわゆる点光りによって、発光部6に輝度ムラが発生することを防ぐことが可能である。
【0036】
ここで、実施例として、上記導光体3Aを発光させた際の発光部6の光源像をシミュレーションにより求めた。そのシミュレーション結果による発光部の光源像を
図8に示す。
【0037】
一方、比較例として、湾曲部7の正面側に位置する一対の立壁9を省略した(湾曲部7が
図5に示す一様の断面形状を有する)以外は、上記導光体3Aと基本的に同じ形状を有する導光体を発光させた際の発光部6の光源像をシミュレーションにより求めた。そのシミュレーション結果による発光部の光源像を
図9に示す。
【0038】
実施例となる導光体3Aでは、
図8に示すように、点光りの発生がなく、発光部6が均一に発光していることがわかる。一方、比較例となる導光体では、
図9に示すように、発光部6の基端側に点光りが発生していることがわかる。
【0039】
以上のようにして、本実施形態の車両用灯具1Aでは、発光部6をより均一に発光させることができ、この発光部6の発光時の見栄えを良くすることが可能である。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図10に示す車両用灯具1Bについて説明する。
なお、
図10は、車両用灯具1Bが備える導光体3Bの断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0041】
本実施形態の車両用灯具1Bは、上記導光体3Aの代わりに、
図10に示すような導光体3Bを備えている。それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成を有している。
【0042】
具体的に、この導光体3Bでは、
図10に示すように、湾曲部7の正面側の中央部を軸線方向に切り欠くことによって形成された凹部12の両側面に一対(2つ)の立壁9が設けられている。すなわち、これら一対の立壁9は、凹部12の両側面において、互いに向かい合った状態で、湾曲部7の正面側から平行に立ち上がり形成されている。
【0043】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した一対の立壁9が湾曲部7の内部で導光される光Lを反射する反射面を形成している。これにより、湾曲部7の長さが短く、曲率が小さい場合でも、この湾曲部7の内部で導光される光Lの一部が導光体3Aの先端側に向かわず、迷光となって発光部6の基端側から外部に漏れ出すことを抑制しながら、導光体3Aの先端側に向かって導光させることが可能である。
【0044】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した発光部6の基端側の一部が周囲に比べて強く光って見える、いわゆる点光りによって、発光部6に輝度ムラが発生することを防ぐことが可能である。
【0045】
以上のようにして、本実施形態の車両用灯具1Bでは、発光部6をより均一に発光させることができ、この発光部6の発光時の見栄えを良くすることが可能である。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記立壁9については、上述した湾曲部7の正面側の中央部を挟んだ両側を軸線方向に切り欠くことによって形成された凸部10の両側面、又は、湾曲部7の正面側の中央部を軸線方向に切り欠くことによって形成された凹部12の両側面に一対(2つ)設けられた構成となっているが、少なくとも1つ以上の立壁9を設けることで、上述した立壁9による反射面の効果を得ることが可能である。また、上述した凸部10又は凹部12を複数設けることで、立壁9の数を増やすことも可能である。
【0047】
なお、上記車両用灯具1A,1Bでは、導光体3A,3Bの背面と対向するリフレクタを配置した構成としてもよい。この構成の場合、導光体3A,3Bの背面側から外部へと出射された光Lをリフレクタにより反射して、再び導光体3A,3Bの背面側から内部へと入射させることによって、光Lの利用効率を高めることが可能である。
【0048】
また、上記車両用灯具1では、実際の車両のデザイン等に合わせて、上記導光体3A,3Bの形状などを適宜変更することが可能である。例えば、上記導光体3A,3Bでは、車両の前端又は後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車両幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって湾曲又は傾斜した形状を有していてもよい。
【0049】
なお、本発明が適用される車両用灯具については、特に限定されるものではなく、例えば、尾灯(テールランプ)や車幅灯(ポジションランプ)、昼間点灯用ランプ(DRL)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)、サイドマーカーランプなど、本発明を幅広く適用することが可能である。
【0050】
また、上記光源2については、光Lを放射状に出射するものであればよく、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、光源2が発する光の色については、赤色光や白色光、橙色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1A,1B…車両用灯具 2…光源 3A,3B…導光体 4…入射部 5a…反射カット 6…発光部 7…湾曲部 8…延長部 9…立壁 10…凸部 11…拡散反射カット 12…凹部 L…光