(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-25
(45)【発行日】2025-07-03
(54)【発明の名称】プローブの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20250626BHJP
【FI】
G01R1/067 J
(21)【出願番号】P 2024031265
(22)【出願日】2024-03-01
(62)【分割の表示】P 2020070038の分割
【原出願日】2020-04-08
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】福士 輝夫
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-90437(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0000993(KR,A)
【文献】台湾特許公告第680300(TW,B)
【文献】米国特許出願公開第2002/0005728(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06-1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の上面に剥離用のシートと第1レジスト膜を順に形成し、前記第1レジスト膜の一部をエッチング除去し、
露出した前記シートおよびエッチングされなかった前記第1レジスト膜の表面に、外部導電膜
、中間絶縁膜
および内部導電膜を順に積層し、
前記エッチングにより形成された前記第1レジスト膜の凹部を埋め込むように中心導体を形成した後、前記第1レジスト膜の表面に堆積された前記外部導電膜、前記中間絶縁膜
、前記内部導電膜および前記中心導体を除去し、
前記第1レジスト膜の凹部に形成された
前記内部導電膜の上部および前記中心導体の上部をエッチング除去し、
前記凹部に露出した前記中心導体の上面に、前記中心導体の下面および側面に形成された
前記内部導電膜および前記中間絶縁膜と合わせて前記中心導体を囲むように
前記内部導電膜および前記中間絶縁膜を
順に形成し、
前記第1レジスト膜を前記基材から除去し、
前記中間絶縁膜の上面に、前記中間絶縁膜の下面および側面に形成された前記外部導電膜と合わせて前記中心導体を囲むように前記外部導電膜を形成し、
端部において前記中心導体が露出するように、前記端部の前記外部導電膜
、前記中間絶縁膜
および前記内部導電膜を除去し、
前記外部導電膜を前記シートから剥離する、
プローブの製造方法。
【請求項2】
前記中心導体の材料が、ニッケル又は銅の少なくともいずれかである、請求項1に記載のプローブの製造方法。
【請求項3】
前記中心導体が、銅材、ニッケル材、銅材をこの順で積層した構造である、請求項
2に記載のプローブの製造方法。
【請求項4】
前記中心導体が、ニッケル材、銅材、ニッケル材をこの順で積層した構造である、請求項
2に記載のプローブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の電気的特性の測定に使用するプローブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路などの被検査体の電気的特性をウェハから分離しない状態で測定するために、被検査体に接触するプローブを有する電気的接続装置を用いる。例えば、プローブがプローブヘッドに形成したガイド穴を貫通した状態で、プローブヘッドがプローブを保持する(特許文献1参照。)。プローブに、金属材からなる導電体やワイヤ、板材、メッキ品などを使用する。
【0003】
電気的接続装置では、被検査体の検査用パッドに対応した位置にプローブを配置する。したがって、半導体集積回路の微細化が進んで検査用パッドの配置間隔が狭くなると、プローブの配置間隔も狭くなる。このため、検査用パッドの狭ピッチ化に伴い、細径化によりプローブを細くしたり薄くしたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プローブを細径化すると、高周波特性において伝送損失が発生したり、高周波での耐電流測定の精度が低下したりして、測定品質が低下する。本発明は、測定品質の低下を低減できるプローブの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、基材の上面に剥離用のシートと第1レジスト膜を順に形成し、第1レジスト膜の一部をエッチング除去し、露出したシートおよびエッチングされなかった第1レジスト膜の表面に外部導電膜、中間絶縁膜および内部導電膜を順に積層し、エッチングにより形成された第1レジスト膜の凹部を埋め込むように中心導体を形成した後、第1レジスト膜の表面に堆積された外部導電膜、中間絶縁膜、内部導電膜および中心導体を除去し、第1レジスト膜の凹部に形成された内部導電膜の上部および中心導体の上部をエッチング除去し、凹部に露出した中心導体の上面に中心導体の下面および側面に形成された内部導電膜および中間絶縁膜と合わせて中心導体を囲むように内部導電膜および中間絶縁膜を順に形成し、第1レジスト膜を基材から除去し、中間絶縁膜の上面に中間絶縁膜の下面および側面に形成された外部導電膜と合わせて中心導体を囲むように外部導電膜を形成し、端部において中心導体が露出するように端部の外部導電膜、中間絶縁膜および内部導電膜を除去し、外部導電膜をシートから剥離する、を含むプローブの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、測定品質の低下を低減できるプローブの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るプローブの構成を示す中心軸に沿った模式的な断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るプローブの構成を示す中心軸に垂直な模式的な断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のプローブヘッドの構成を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のプローブヘッドの他の構成を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のプローブヘッドの導電性ガイドプレートの例を示す模式的な断面図である。
【
図7】
図6に示した導電性ガイドプレートの模式的な平面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るプローブの外形の例を示す模式図であり、
図8(a)および
図8(b)は側面に凸部を形成したプローブであり、
図8(c)および
図8(d)は側面に凹部を形成したプローブである。
【
図9】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その1)。
【
図10】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その2)。
【
図11】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その3)。
【
図12】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その4)。
【
図13】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その5)。
【
図14】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その6)。
【
図15】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その7)。
【
図16】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その8)。
【
図17】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その9)。
【
図18】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その10)。
【
図19】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その11)。
【
図20】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その12)。
【
図21】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その13)。
【
図22】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その14)。
【
図23】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その15)。
【
図24】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その16)。
【
図25】本発明の実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための工程図である(その17)。
【
図26】本発明の実施形態に係るプローブの中心導体の他の構造を示す模式図である。
【
図27】本発明の実施形態に係るプローブの中心導体の更に他の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0010】
図1に示す実施形態に係るプローブ10は、被検査体の電気的特性の測定に使用する。プローブ10は、棒形状の中心導体11と、中心導体11の側面を覆う内部導電膜12と、内部導電膜12の表面を覆って中心導体11の側面を囲む中間絶縁膜13と、中間絶縁膜13の表面を覆う外部導電膜14とを備える。
【0011】
プローブ10は、
図2に示すように、中心導体11の側面に内部導電膜12、中間絶縁膜13および外部導電膜14を順に積層した構造を有する。
図2は
図1のII-II方向に沿った断面図である。内部導電膜12は、中心導体11と中間絶縁膜13の間に形成されている。
図2では、中心導体11の中心軸に垂直な断面が矩形状であるプローブ10を例示的に示した。
【0012】
また、プローブ10の第1の端部(以下、「先端部101」という。)および第2の端部(以下、「基端部102」という。)において、中心導体11が露出している。先端部101は、測定時に被検査体と接触する部分である。
【0013】
中心導体11の材料は、例えば銅(Cu)やニッケル(Ni)などの金属材である。内部導電膜12は、例えばCu膜やNi膜などである。中間絶縁膜13は、例えばポリイミド膜などの低誘電材膜である。外部導電膜14は、例えばCu膜やNi膜などである。中間絶縁膜13は、中心導体11と外部導電膜14を電気的に絶縁する。
【0014】
上記のように、プローブ10は、中心導体11と外部導電膜14が中間絶縁膜13を介して対向する同軸構造を有する。外部導電膜14は、電磁シールドとして機能する。このため、プローブ10によれば、プローブ10を高周波の電気信号が伝搬する場合に、電気信号の伝送特性や耐電流の損失を低減できる。
【0015】
プローブ10は、例えば、後述するフォトリソグラフィ技術により製造する。プローブ10の径は、例えば50μm程度である。
【0016】
これに対し、Cu材やNi材などの金属材をそのまま使用する比較例のプローブの径をプローブ10の径と同程度にした場合は、プローブを伝搬する電気信号の高周波における伝送特性や耐電流に損失が生じ、測定品質が低下する。しかし、同軸構造を有するプローブ10によれば、測定品質の低下を低減できる。
【0017】
図3に、プローブ10を備える電気的接続装置1を示す。電気的接続装置1は、被検査体2の特性の測定に使用する。被検査体2は、例えば半導体基板に形成された半導体集積回路である。電気的接続装置1は、先端部101を被検査体2に向けてプローブ10を保持するプローブヘッド20、および配線基板30を備える。なお、
図3ではプローブヘッド20が保持するプローブ10の本数が4本であるが、プローブ10の本数が4本に限られないのはもちろんである。
【0018】
図3に示すように、プローブ10はプローブヘッド20を貫通する。プローブ10の基端部102は、配線基板30に配置したランド31と接続する。ランド31は金属などの導電性材からなり、テスタなどの検査装置(図示略)とランド31が電気的に接続する。電気的接続装置1を介して、検査装置と被検査体2の間で電気信号が伝搬する。配線基板30は、例えばプリント基板(PCB)やインターポーザ(IP)基板である。
【0019】
ランド31と接触するプローブ10の基端部102は、中心導体11が露出している。このため、プローブ10の中心導体11を介して被検査体2の検査用パッドとランド31が電気的に接続する。
【0020】
プローブヘッド20は、プローブ10が貫通するガイド穴をそれぞれ形成した複数のガイドプレートを有する。例えば
図4に示すプローブヘッド20は、配線基板30に対向するトップガイドプレート21を上段とし、被検査体2に対向するボトムガイドプレート22を下段として、プローブ10の軸方向に沿って配置した複数のガイドプレートを有する。トップガイドプレート21の外縁領域とボトムガイドプレート22の外縁領域との間に配置したスペーサ23が、プローブヘッド20の内部にプローブ10が通過する中間領域200を構成する。
【0021】
更に、
図4に示すプローブヘッド20は、トップガイドプレート21とボトムガイドプレート22の間に配置した、プローブ10が貫通する第1ミドルガイドプレート24および第2ミドルガイドプレート25を有する。第1ミドルガイドプレート24をトップガイドプレート21に近い領域に配置し、第2ミドルガイドプレート25をボトムガイドプレート22に近い領域に配置している。以下において、第1ミドルガイドプレート24や第2ミドルガイドプレート25などの、トップガイドプレート21とボトムガイドプレート22の間に配置するガイドプレートを「ミドルガイドプレート」とも称する。
【0022】
なお、トップガイドプレート21の主面の面法線方向から見て(以下、「平面視」という)、同一のプローブ10が貫通するトップガイドプレート21のガイド穴とボトムガイドプレート22のガイド穴の位置は、主面と平行な方向にずれている。このようなガイド穴の配置(オフセット配置)により、中間領域200でプローブ10は弾性変形によって湾曲する。このため、被検査体2と接触したときにプローブ10が座屈し、プローブ10が所定の押圧で被検査体2に接触する。
【0023】
トップガイドプレート21やボトムガイドプレート22、スペーサ23は、セラミックなどの絶縁性材である。第1ミドルガイドプレート24は、金属膜などの導電性のフィルムを使用した導電性を有するガイドプレート(以下において、「導電性ガイドプレート」という。)である。第2ミドルガイドプレート25は、樹脂などのフィルムである。第1ミドルガイドプレート24に導電性ガイドプレートを使用することにより、プローブヘッド20が保持する複数のプローブ10のそれぞれの外部導電膜14を相互に電気的に接続する。
【0024】
第1ミドルガイドプレート24をプローブヘッド20の外部のGND端子と電気的に接続することにより、第1ミドルガイドプレート24を接地電位に設定する。接地電位に設定した第1ミドルガイドプレート24とプローブ10の外部導電膜14が接触することにより、プローブ10におけるシールド効果を得られる。
【0025】
プローブヘッド20が金属の単体である比較例のプローブを保持する場合には、プローブ間のショートを防止するために、第1ミドルガイドプレート24を含めたすべてのミドルガイドプレートにポリイミド膜などの絶縁性材を使用する。しかし、プローブ10が同軸構造を有するため、第1ミドルガイドプレート24に導電性ガイドプレートを使用できる。金属膜などの導電性のフィルムを使用することで樹脂フィルムよりも剛性の高い導電性ガイドプレートでは、ミドルガイドプレートに形成した貫通孔にプローブ10を通過させる作業を含む、電気的接続装置1におけるプローブ10の交換が容易である。
【0026】
また、
図5に示すように、プローブヘッド20が、ガイドプレートと同様にプローブ10が貫通する金属材からなるスティフナ26を備えてもよい。プローブ10は、スティフナ26に形成した貫通孔を通過する。スティフナ26は、プローブヘッド20の機械的強度を向上する補強板として機能する。また、スティフナ26は、オフセット配置の前後におけるガイドプレートの位置決めおよび固定にも使用する。
【0027】
更に、スティフナ26は、導電性ガイドプレートを接地する際の補助板として機能する。
図5に示すように、スティフナ26とボトムガイドプレート22の境界に配置した導電性ガイドプレート27の端部は、プローブヘッド20の外部に引き出されて、配線基板30のGND端子32に接続する。スティフナ26は導電性ガイドプレート27と接触しており、スティフナ26および導電性ガイドプレート27を介してプローブ10の外部導電膜14が接地する。導電性ガイドプレート27が接地することで、導電性ガイドプレート27と接触するスティフナ26もプローブ10におけるシールド効果を奏する。なお、スティフナ26とトップガイドプレート21の境界に導電性ガイドプレート27を配置してもよい。スティフナ26の貫通孔は導電性ガイドプレート27の貫通孔よりも長いため、スティフナ26の貫通孔において確実にプローブ10がスティフナ26と電気的に接触し、プローブ10をより確実に接地電位に設定できる。
【0028】
図6に、導電性ガイドプレートの例を示す。
図6に示した導電性ガイドプレートは、第1金属膜201、樹脂膜202、第2金属膜203を積層した構造である。第1金属膜201や第2金属膜203は、例えばCu膜、Ni膜、チタン膜などの金属膜である。樹脂膜202は、例えばポリイミド膜などの低誘電材膜である。
【0029】
導電性ガイドプレートのプローブ10が貫通するガイド穴は、導電性ガイドプレートの金属膜とプローブ10の外部導電膜14との接触が容易な構造である。例えば、ガイド穴の外縁から内側に金属膜が張り出した形状を使用する。具体的には、
図7に例示するように、樹脂膜202に形成した矩形状のガイド穴の一部を覆うように、平面視で星型形状や十字形状のガイド穴を第1金属膜201や第2金属膜203に形成する。
【0030】
図8(a)~
図8(d)に、プローブ10の形状の例を示す。
図8(a)および
図8(b)に示したプローブ10は、側面に形成した凸部をガイドプレートのガイド穴の内径よりも太くした形状である。このため、凸部がガイドプレートに引っ掛かった状態で、プローブヘッド20がプローブ10を保持する。
図8(c)および
図8(d)に示したプローブ10は、側面に形成した凹部がガイドプレートのガイド穴の内径よりも細く、かつ凹部以外の部分がガイド穴の内径よりも太い形状である。このため、凹部がガイドプレートのガイド穴を貫通している状態で、プローブヘッド20がプローブ10を保持する。
【0031】
したがって、
図8(a)~
図8(d)に示したプローブ10によれば、ガイドプレートからプローブ10が抜け落ちることを防止できる。例えばプローブヘッド20の導電性ガイドプレートの位置に応じて、プローブ10の側面に形成する凸部や凹部の位置を設定する。
【0032】
以下に、図面を参照してプローブ10の製造方法を説明する。なお、以下に述べるプローブ10の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能である。
【0033】
まず、
図9に示すように、基材100の上面に剥離用のシート110を接着する。シート110には、イソプロピルアルコール(IPA)などの溶剤などにより基材100から容易に剥離するシートを使用する。
【0034】
図10に示すように、シート110の上に第1レジスト膜121を形成する。第1レジスト膜121の膜厚は、プローブ10の径に対応して設定する。その後、
図11に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、第1レジスト膜121の一部をエッチング除去する。
図12に、第1レジスト膜121をパターニングした後の平面図を示す。第1レジスト膜121は、プローブ10の側面から見た形状に応じてパターニングされる。
【0035】
次いで、
図13に示すように、露出したシート110の表面および第1レジスト膜121の表面に外部導電膜14を形成する。例えば、スパッタ法により、銅膜又はNi膜を外部導電膜14として成膜する。更に、
図14に示すように、外部導電膜14の表面に、スパッタ法などにより中間絶縁膜13を成膜する。中間絶縁膜13は、例えばポリイミド膜である。その後、
図15に示すように、中間絶縁膜13の表面にスパッタ法などにより内部導電膜12を成膜する。内部導電膜12は、例えばCu膜である。
【0036】
図16に示すように、第1レジスト膜121の凹部をNi膜で埋め込んで、中心導体11を形成する。例えば、内部導電膜12をメッキ用電極として使用し、中心導体11を電解メッキ法で形成する。その後、
図17に示すように、平面研磨により、第1レジスト膜121の上面に堆積したNi膜、外部導電膜14、中間絶縁膜13および内部導電膜12を除去する。
【0037】
次に、第2レジスト膜122を全面に形成した後、
図18に示すように中心導体11の上面が露出するように、フォトリソグラフィ技術を用いて第2レジスト膜122の一部を除去する。そして、第2レジスト膜122をエッチングマスクに用いて、
図19に示すように、露出した中心導体11の上部と内部導電膜12の上部をエッチング除去する。
【0038】
図20に示すように、中心導体11の上面に、内部導電膜12および中間絶縁膜13を形成する。その後、
図21に示すように、第1レジスト膜121および第2レジスト膜122を除去する。
【0039】
次いで、
図22に示すように、スパッタ用のメタルマスク130を、メタルマスク130の開口部が中心導体11の上方に位置するように配置する。そして、メタルマスク130をスパッタ用マスクに用いて、
図23に示すように、中間絶縁膜13の上面にスパッタ法により外部導電膜14を形成する。上記のように、乾式メッキ法を用いて外部導電膜14を形成する。
【0040】
その後、エッチングレジスト140を全面に形成する。そして、
図24に示す平面図のように、プローブ10の先端部101と基端部102の上方のエッチングレジスト140を、フォトリソグラフィ技術を用いて除去する。次いで、エッチングレジスト140をエッチングマスクに用いて、外部導電膜14、中間絶縁膜13および内部導電膜12をエッチング除去する。これにより、
図25に示すように、プローブ10の先端部101と基端部102において中心導体11が露出する。
【0041】
その後、エッチングレジスト140を除去する。そして、シート110を剥離して、プローブ10が完成する。以上に説明したように、プローブ10はMEMSプロセスを用いて製造可能である。
【0042】
上記の製造方法によれば、中心導体11の表面に絶縁膜と薄膜メッキ膜を積層することにより、金属の単体である比較例のプローブと比較して外径を大幅に大きくすることなく、シールド効果を有する同軸構造のプローブ10を製造できる。なお、フォトリソグラフィ技術により形成できるレジスト膜の膜厚やアスペクト比などの限界により、プローブ10の径は限定される。例えば、プローブ10の径は50μm程度である。また、プローブヘッド20での組み立てを考慮すると、プローブ10の全長は例えば2~3mm程度である。
【0043】
プローブ10を同軸構造にするために中間絶縁膜13を形成するが、一旦絶縁してしまうと電流が流れなくなる。このため、上記の製造方法では、中心導体11の表面に通電のための薄い導電膜として内部導電膜12を形成し、中心導体11を電解メッキ法で形成する。例えば、内部導電膜12をCu膜として、中心導体11としてNi膜を電解メッキ法で形成する。
【0044】
上記では、中心導体11の材料にNi材を使用した例を説明したが、中心導体11の材料にCu材を使用してもよい。また、中心導体11が単一の材料でなくてもよい。
【0045】
例えば、
図26に示すように、中心導体11が、Cu材からなる第1領域111と、Ni材からなる第2領域112と、Cu材からなる第3領域113を積層した構造であってもよい。或いは、
図27に示すように、中心導体11が、Ni材からなる第1領域111と、Cu材からなる第2領域112と、Ni材からなる第3領域113を積層した構造であってもよい。
図26および
図27は、上記に説明したプローブ10の製造工程において
図16を参照して説明した、中心導体11を形成する工程の状態である。
図26や
図27に示す構造のプローブ10では、中心導体11のNi材の部分が、プローブ10のバネ性の強化に寄与する。弾性変形するプローブ10を使用することにより、プローブ10を被検査体2に押し付けるようにオーバードライブを印加したり、プローブ10をランド31に押し付けるようにプリロードを印加したりできる。これにより、被検査体2やランド31とプローブ10との電気的な接続を確保できる。
【0046】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0047】
例えば、上記では断面形状が矩形状であるプローブ10の例を示したが、プローブ10の断面形状がその他の多角形状であってもよいし、或いはプローブ10の断面形状が円形状であってもよい。
【0048】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0049】
1…電気的接続装置
2…被検査体
10…プローブ
11…中心導体
12…内部導電膜
13…中間絶縁膜
14…外部導電膜
20…プローブヘッド
21…トップガイドプレート
22…ボトムガイドプレート
23…スペーサ
24…第1ミドルガイドプレート
25…第2ミドルガイドプレート
26…スティフナ
27…導電性ガイドプレート
30…配線基板
101…先端部
102…基端部