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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-25
(45)【発行日】2025-07-03
(54)【発明の名称】インレットブロック及びバルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20250626BHJP
【FI】
F15B11/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024036057
(22)【出願日】2024-03-08
【審査請求日】2025-05-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 修平
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-56436(JP,A)
【文献】特開2004-19810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットブロックであって、
第一流体圧通路を通じて第一ポンプから吐出される作動流体と、第二流体圧通路を通じて第二ポンプから吐出される作動流体とを合流または遮断させる合流制御弁と、
前記第一流体圧通路に接続され、前記第一ポンプから吐出される作動流体をアンロードさせる第一アンロード弁と、
前記第二流体圧通路に接続され、前記第二ポンプから吐出される作動流体をアンロードさせる第二アンロード弁と、
前記第一流体圧通路及び前記第二流体圧通路が形成されると共に、前記合流制御弁、前記第一アンロード弁、及び第二アンロード弁が設けられるバルブボディと、を備え、
前記第一アンロード弁及び前記第二アンロード弁は、両者の軸が互いに平行になるように並んで設けられ、
前記合流制御弁は、前記第一アンロード弁及び前記第二アンロード弁が並ぶ並列方向と両者の軸方向とに対して垂直な垂直方向において、前記第一アンロード弁及び前記第二アンロード弁と離れて設けられるとともに、前記並列方向において前記第一アンロード弁と前記第二アンロード弁との間に設けられることを特徴とするインレットブロック。
【請求項2】
請求項1に記載のインレットブロックであって、
前記バルブボディは、
前記第一アンロード弁及び前記第二アンロード弁がそれぞれ収容される二つの収容穴と、
前記二つの収容穴の間にわたって形成されタンクに連通するタンク通路と、を有し、
前記第一アンロード弁及び前記第二アンロード弁によりアンロードされる作動流体は、前記タンク通路へ導かれることを特徴とするインレットブロック。
【請求項3】
請求項1に記載のインレットブロックであって、
前記バルブボディの外面には、前記第一ポンプと連通し前記第一流体圧通路に作動流体を導く第一ポンプポートと、前記第二ポンプと連通し前記第二流体圧通路に作動流体を導く第二ポンプポートと、が開口して形成され、
前記第一ポンプポートは、前記垂直方向において、その延長線上に前記第一アンロード弁の少なくとも一部が重なるように形成され、
前記第二ポンプポートは、前記垂直方向において、その延長線上に前記第二アンロード弁の少なくとも一部が重なるように形成されることを特徴とするインレットブロック。
【請求項4】
請求項1に記載のインレットブロックと、
前記インレットブロックに連結され、前記第一流体圧通路又は前記第二流体圧通路から作動流体が供給されてアクチュエータの作動を制御するアクチュエータ制御弁を有するアクチュエータブロックと、
前記アクチュエータ制御弁にパイロット流体を導くパイロット通路と、を備えるバルブ装置であって、
前記第一アンロード弁及び前記第二アンロード弁は、前記バルブボディの一端面に開口して形成される二つの収容穴にそれぞれ収容され、
前記パイロット通路の少なくとも一部は、前記バルブボディの前記一端面とは反対側の他端面と前記第一アンロード弁及び前記第二アンロード弁との間の領域に形成されることを特徴とするバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インレットブロック及びバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のアクチュエータを制御する第一流体圧回路と、複数のアクチュエータを制御する第二流体圧回路と、第一流体圧回路に供給される作動油と第二流体圧回路に供給される作動油とを合流または遮断させる制御弁と、を備える油圧システムが開示されている。油圧システムは、ポンプと、各アクチュエータを制御するバルブユニットと、タンクと、を有する。バルブユニットは、圧油取り入れ用のインレットブロックと、アンロードブロックと、各アクチュエータを制御するバルブブロックと、油排出用のアウトレットブロックと、を有する。インレットブロックは、第一流体圧回路と第二流体圧回路とを合流及び遮断させる合流制御弁を有し、アンロードブロックは、第一流体圧回路の作動油をアンロードさせる第一アンロード弁と、第二流体圧回路の作動油をアンロードさせる第二アンロード弁と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-56436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の油圧システムでは、合流制御弁がインレットブロックに設けられ、第一アンロード弁及び第二アンロード弁がインレットブロックと並ぶアンロードブロックに設けられる。そのため、バルブユニットが一方向(具体的には、インレットブロックとアンロードブロックが並ぶ方向)に長くなり、スペースを取っていたという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、バルブブロックの一方向の寸法を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、インレットブロックであって、第一流体圧通路を通じて第一ポンプから吐出される作動流体と、第二流体圧通路を通じて第二ポンプから吐出される作動流体とを合流または遮断させる合流制御弁と、第一流体圧通路に接続され、第一ポンプから吐出される作動流体をアンロードさせる第一アンロード弁と、第二流体圧通路に接続され、第二ポンプから吐出される作動流体をアンロードさせる第二アンロード弁と、第一流体圧通路及び第二流体圧通路が形成されると共に、合流制御弁、第一アンロード弁、及び第二アンロード弁が設けられるバルブボディと、を備え、第一アンロード弁及び第二アンロード弁は、両者の軸が互いに平行になるように並んで設けられ、合流制御弁は、第一アンロード弁及び第二アンロード弁が並ぶ並列方向と両者の軸方向とに対して垂直な垂直方向において、第一アンロード弁及び第二アンロード弁と離れて設けられるとともに、並列方向において第一アンロード弁と第二アンロード弁との間に設けられることを特徴とする。
【0007】
この発明では、合流制御弁、第一アンロード弁、及び第二アンロード弁は、ともにインレットブロックのバルブボディに設けられる。よって、合流制御弁、第一アンロード弁、及び第二アンロード弁がそれぞれ別のバルブブロックに設けられて並んで配置される構成よりも、バルブブロック全体の一方向(第一アンロード弁と第二アンロード弁が並ぶ並列方向)の寸法を小さくすることができる。さらに、合流制御弁は、垂直方向において、第一アンロード弁及び第二アンロード弁と離れて設けられるとともに、並列方向において第一アンロード弁と第二アンロード弁との間に設けられるため、バルブブロックの一方向(並列方向)の寸法をより小さくすることができる。
【0008】
本発明は、バルブボディは、第一アンロード弁及び第二アンロード弁がそれぞれ収容される二つの収容穴と、二つの収容穴の間にわたって形成されタンクに連通するタンク通路と、を有し、第一アンロード弁及び第二アンロード弁によりアンロードされる作動流体は、タンク通路へ導かれることを特徴とする。
【0009】
この発明では、タンク通路を第一アンロード弁と第二アンロード弁で共有するため、バルブブロックの流路構成を簡易にすることができる。
【0010】
本発明は、バルブボディの外面には、第一ポンプと連通し第一流体圧通路に作動流体を導く第一ポンプポートと、第二ポンプと連通し第二流体圧通路に作動流体を導く第二ポンプポートと、が開口して形成され、第一ポンプポートは、垂直方向において、その延長線上に第一アンロード弁の少なくとも一部が重なるように形成され、第二ポンプポートは、垂直方向において、その延長線上に第二アンロード弁の少なくとも一部が重なるように形成されることを特徴とする。
【0011】
この発明では、第一ポンプポートから第一アンロード弁までの流路と第二ポンプポートから第二アンロード弁までの流路を略直線状とすることができるため、バルブブロックの流路構成を簡易にすることができる。
【0012】
本発明は、上記のインレットブロックと、インレットブロックに連結され、第一流体圧通路又は第二流体圧通路から作動流体が供給されてアクチュエータの作動を制御するアクチュエータ制御弁を有するアクチュエータブロックと、アクチュエータ制御弁にパイロット流体を導くパイロット通路と、を備えるバルブ装置であって、第一アンロード弁及び第二アンロード弁は、バルブボディの一端面に開口して形成される二つの収容穴にそれぞれ収容され、パイロット通路の少なくとも一部は、バルブボディの一端面とは反対側の他端面と第一アンロード弁及び第二アンロード弁との間の領域に形成されることを特徴とする。
【0013】
この発明では、バルブボディにおける、第一アンロード弁及び第二アンロード弁の横にデッドスペースが存在する。そのデットスペースにはパイロット通路が形成されるため、バルブボディのデッドスペースを有効活用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バルブブロックの一方向の寸法を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係るインレットブロックを備える油圧システムの流体圧回路図である。
図2】インレットブロックの平面図である。
図3】インレットブロックの正面図である。
図4図2におけるIV-IV線に沿った断面図である。
図5図3におけるV-V線に沿った断面図であり、スプールが連通位置(Y)にある状態を示す。
図6図2におけるVI-VI線に沿った断面図であり、スプールが連通位置(Y)にある状態を示す。
図7図3におけるVII-VII線に沿った断面図である。
図8図3におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図3におけるIX-IX線に沿った断面図である。
図10図3における矢印Xから見たインレットブロックの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明の実施形態に係るインレットブロック100を備える油圧システム1について説明する。油圧システム1は、建設機械や、農業機械、産業機械等に搭載される。以下では、油圧ショベルに搭載され油圧ショベルの各種アクチュエータを作動させるための油圧システム1を一例に説明する。以下の実施形態では、作動流体として作動油を用いる例について説明するが、作動流体には作動水等の他の流体を用いてもよい。
【0017】
図1に示すように、油圧システム1の油圧回路は、第一ポンプ111から作動油が供給され複数のアクチュエータMR,ASを制御する第一油圧回路HC1と、第二ポンプ114から作動油が供給され複数のアクチュエータML,BSを制御する第二油圧回路HC2と、を備える。第一油圧回路HC1に供給される作動油と第二油圧回路HC2に供給される作動油とは、後述の合流制御弁21によって合流または遮断される。まず、第一油圧回路HC1と第二油圧回路HC2について説明する。
【0018】
第一油圧回路HC1は、右側走行モータMR、アームシリンダAS等のアクチュエータの駆動を制御する回路であり、第二油圧回路HC2は、左側走行モータML、ブームシリンダBS等のアクチュエータの駆動を制御する回路である。
【0019】
第一油圧回路HC1は、油圧供給源としての第一ポンプ111と、第一流体圧通路としての第一メイン供給通路121aと、タンク通路122aと、制御弁110aと、制御弁110bと、第一アンロード弁31と、を有する。
【0020】
第一ポンプ111は、ピストンポンプであり、レギュレータ113により斜板113aの傾きが変更されることで吐出容量が変化する。レギュレータ113には、第一ポンプ111もしくは第二ポンプ114の吐出圧のうち高い方の最高吐出圧と、各アクチュエータMR,AS,ML,BSの最高負荷圧と、が導かれ、第一ポンプ111の吐出容量は、最高吐出圧と最高負荷圧との差圧が所定の値となるように、いわゆるロードセンシング制御によって制御される。なお、図1では、レギュレータ113に最高吐出圧を導く回路の図示を省略している。
【0021】
第一メイン供給通路121aは第一ポンプ111の第一吐出口111aに接続され、第一吐出口111aから吐出される作動油は各アクチュエータMR,ASに供給される。タンク通路122aは、タンク112に接続され、各アクチュエータMR,ASから排出される作動油をタンク112に導く。制御弁110aは、第一メイン供給通路121aから右側走行モータMRに供給される作動油の流れを制御し、制御弁110bは、第一メイン供給通路121aからアームシリンダASに供給される作動油の流れを制御する。各制御弁110a,110bは、例えば、操作レバー(図示省略)の操作に応じて出力されるパイロット圧により切り換えられる。
【0022】
第一アンロード弁31は、第一ポンプ111から吐出される作動油をアンロードさせる。第一アンロード弁31には第一油圧回路HC1の最高負荷圧が入力され、第一メイン供給通路121aの圧力が第一油圧回路HC1の最高負荷圧よりも所定値以上大きくなると、第一アンロード弁31は開弁し、第一ポンプ111から吐出される作動油をアンロードさせる。
【0023】
第二油圧回路HC2は、油圧供給源としての第二ポンプ114と、第二流体圧通路としての第二メイン供給通路121bと、タンク通路122bと、制御弁120aと、制御弁120bと、第二アンロード弁32と、を有する。
【0024】
第二ポンプ114は、第一ポンプ111と同様の構成を有する。レギュレータには、第一ポンプ111もしくは第二ポンプ114の吐出圧のうち高い方の最高吐出圧と、各アクチュエータMR,AS,ML,BSの最高負荷圧と、が導かれる。第二ポンプ114の吐出容量は、最高吐出圧と最高負荷圧との差圧が所定の値となるように、いわゆるロードセンシング制御によって制御される。なお、図1では、レギュレータと、レギュレータに最高吐出圧を導く回路の図示を省略している。
第一ポンプ111
【0025】
第二メイン供給通路121bは第二ポンプ114の第二吐出口114aに接続され、第二吐出口114aから吐出される作動油は各アクチュエータML,BSに供給される。タンク通路122bは、タンク通路122a及びタンク112に接続され、各アクチュエータML,BSから排出される作動油をタンク112に導く。制御弁120aは、第二メイン供給通路121bから左側走行モータMLに供給される作動油の流れを制御し、制御弁120bは、第二メイン供給通路121bからブームシリンダBSに供給される作動油の流れを制御する。各制御弁120a,120bは、例えば、操作レバー(図示省略)の操作に応じて出力されるパイロット圧により切り換えられる。
【0026】
第二アンロード弁32は、第二ポンプ114から吐出される作動油をアンロードさせる。第二アンロード弁32には第二油圧回路HC2の最高負荷圧が入力され、第二メイン供給通路121bの圧力が第二油圧回路HC2の最高負荷圧よりも所定値以上大きくなると、第二アンロード弁32は開弁し、第二ポンプ114から吐出される作動油をアンロードさせる。
【0027】
第一メイン供給通路121aには、第一ポンプ111から吐出される作動油が供給される第一サブ供給通路161aが接続される。第二メイン供給通路121bには、第二ポンプ114から吐出される作動油が供給される第二サブ供給通路161bが接続される。第一サブ供給通路161aと第二サブ供給通路161bの間には、第一サブ供給通路161aと第二サブ供給通路161bの合流及び遮断を切り換える合流制御弁21が設けられる。
【0028】
合流制御弁21は、後述するようにバルブボディ151に形成されたメイン収容孔152(図5図6参照)に摺動自在に収容されるスプール153(図5図6参照)が連通位置(Y)と遮断位置(X)との間で切り換えられるパイロット式の方向切換弁である。合流制御弁21が連通位置(Y)にあるとき、第一サブ供給通路161aと第二サブ供給通路161bとが連通することにより、第一油圧回路HC1と第二油圧回路HC2とが連通する。つまり、合流制御弁21は、第一油圧回路HC1と第二油圧回路HC2とを接続し、第一ポンプ111から吐出される作動油と、第二ポンプ114から吐出される作動油と、を合流させることができる。合流制御弁21が遮断位置(X)にあるとき、第一サブ供給通路161aと第二サブ供給通路161bとの連通が遮断されることにより、第一油圧回路HC1と第二油圧回路HC2との連通が遮断される。
【0029】
第一メイン供給通路121aにおける第一アンロード弁31よりも上流側と第二メイン供給通路121bにおける第二アンロード弁32よりも上流側との間には、第一チェック弁51及び第二チェック弁52が設けられるチェック通路55が接続される。また、チェック通路55における第一チェック弁51と第二チェック弁52の間とタンク通路163との間には、リリーフ弁60が設けられるリリーフ通路62が接続される。第一チェック弁51は第一メイン供給通路121aからリリーフ通路62への作動油の流れのみを許容し、第二チェック弁52は第二メイン供給通路121bからリリーフ通路62への作動油の流れのみを許容する。よって、リリーフ通路62には第一メイン供給通路121aと第二メイン供給通路121bのうち圧力の高い方の作動油が導かれ、導かれた作動油がリリーフ弁60によりリリーフされる。つまり、リリーフ弁60は、第一メイン供給通路121aと第二メイン供給通路121bのうち圧力の高い方をリリーフする。言い換えれば、リリーフ弁60は、第一油圧回路HC1及び第二油圧回路HC2の最高圧力を規定する。
【0030】
また、油圧システム1の油圧回路は、第一油圧回路HC1により制御される複数のアクチュエータMR,ASの負荷圧のうち最も高い負荷圧が導かれる第一負荷圧通路162aと、第二油圧回路HC2により制御される複数のアクチュエータML,BSの負荷圧のうち最も高い負荷圧が導かれる第二負荷圧通路162bと、負荷圧選択弁35と、を備える。なお、図1では、第一負荷圧通路162a及び第二負荷圧通路162bに上記負荷圧を導く回路の図示を省略している。
【0031】
負荷圧選択弁35には、第一負荷圧通路162a及び第二負荷圧通路162bが接続される。負荷圧選択弁35は、第一油圧回路HC1の最高負荷圧及び第二油圧回路HC2の最高負荷圧のうち、高い方を選択する高圧選択弁である。負荷圧選択弁35で選択された最高負荷圧は、最高負荷圧通路35aを通じて第一ポンプ111のレギュレータ113及び第二ポンプ114のレギュレータに導かれ、第一ポンプ111の斜板113a及び第二ポンプ114の斜板(図示省略)の傾斜角度の制御に用いられる。
【0032】
第一負荷圧通路162aには、圧力が籠もってしまうことを防止するために、第一圧抜き通路164aが接続される。同様に、第二負荷圧通路162bには、圧力が籠もってしまうことを防止するために、第二圧抜き通路164bが接続される。第一圧抜き通路164a及び第二圧抜き通路164bは、それぞれタンク通路122aを介してタンク112に接続される。第一圧抜き通路164aには、第一負荷圧通路162aの圧力を保持するための第一絞り131が設けられ、第二圧抜き通路164bには、第二負荷圧通路162bの圧力を保持するための第二絞り132が設けられる。
【0033】
次に、油圧システム1を構成するバルブ装置10について説明する。
【0034】
図1に示すように、バルブ装置10は、圧油取り入れ用のインレットブロック100と、各アクチュエータMR,AS,ML,BSに対応するアクチュエータブロックB11,B12,B21,B22と、を備える。図1では、インレットブロック100及び各アクチュエータブロックB11,B12,B21,B22の境界を二点鎖線で示している。インレットブロック100は、第一ポンプ111及び第二ポンプ114から吐出される作動油が最初に供給されるブロックであり、インレットブロック100から各アクチュエータブロックB11,B12,B21,B22に作動油が供給される。インレットブロック100の一方側に、アクチュエータブロックB11,B12が配置され、インレットブロック100の他方側に、アクチュエータブロックB21,B22が配置され、インレットブロック100と各アクチュエータブロックB11,B12,B21,B22は、ボルト等により連結され、バルブ装置10を構成する。
【0035】
インレットブロック100は、上記の合流制御弁21と、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32と、第一チェック弁51及び第二チェック弁52と、リリーフ弁60と、負荷圧選択弁35と、を備える。また、インレットブロック100は、上記の第一メイン供給通路121aと、第一サブ供給通路161aと、チェック通路55と、リリーフ通路62と、第一負荷圧通路162aと、第二負荷圧通路162bと、第一圧抜き通路164aと、第二圧抜き通路164bと、第一絞り131と、第二絞り132と、タンク通路122aと、を備える。バルブボディ151の構成の詳細については後述する。
【0036】
アクチュエータブロックB11は、上記の制御弁110aと、第一メイン供給通路121aと、第一負荷圧通路162aと、タンク通路122aと、を備える。アクチュエータブロックB12は、上記の制御弁110bと、第一メイン供給通路121aと、第一負荷圧通路162aと、タンク通路122aと、を備える。アクチュエータブロックB21は、上記の制御弁120aと、第二メイン供給通路121bと、第二負荷圧通路162bと、タンク通路122bと、を備える。アクチュエータブロックB22は、上記の制御弁120bと、第二メイン供給通路121bと、第二負荷圧通路162bと、タンク通路122bと、を備える。
【0037】
なお、バルブ装置10は、油圧ショベルを旋回させる旋回モータ、バケット、ドーザ等(図示省略)を駆動するアクチュエータ(図示省略)を制御するバルブブロックも備えるが、図1ではその図示を省略している。
【0038】
次に、図2図10を参照して、インレットブロック100の具体的な構造について説明する。
【0039】
図2はインレットブロック100の平面図であり、図3はインレットブロック100の正面図である。図4図2におけるIV-IV線に沿った断面図であり、図5図3におけるV-V線に沿った断面図であり、図6図2におけるVI-VI線に沿った断面図であり、図7図3におけるVII-VII線に沿った断面図であり、図8図3におけるVIII-VIII線に沿った断面図であり、図9図3におけるIX-IX線に沿った断面図である。図10図3における矢印Xから見たインレットブロック100の側面図である。図5図7図9図2と同じ向きで示し、図4図6図3と同じ向きで示す。なお、以後では、説明の便宜上、図2における上下方向をD1方向、図2における左右方向をD2方向、図2における紙面垂直方向をD3方向とも称する。
【0040】
図2に示すように、インレットブロック100のバルブボディ151の上面151aには、第一ポンプ111と連通する第一ポンプポート260aと、第二ポンプ114と連通する第二ポンプポート260bと、が開口して形成される。第一ポンプポート260a及び第二ポンプポート260bには、それぞれ配管が接続されて第一ポンプ111及び第二ポンプ114とそれぞれ連通する。また、バルブボディ151の上面151aには、第一負荷圧通路162aに連通する第一負荷圧ポート234aと、第二負荷圧通路162bに連通する及び第二負荷圧ポート234bと、が開口して形成される。
【0041】
図4に示すように、バルブボディ151は、第一ポンプポート260aと連通して形成される第一供給通路261aと、第二ポンプポート260bと連通して形成される第二供給通路262a(図5参照)と、を有する。第一供給通路261aは、図1図2に示す油圧回路の第一メイン供給通路121a及び第一サブ供給通路161aに対応し、第二供給通路262aは、図1図2に示す油圧回路の第二メイン供給通路121b及び第二サブ供給通路161bに対応する。第一供給通路261aと第二供給通路262aは、メイン収容孔152に対して対称な形状である。
【0042】
第一供給通路261aは、枝分かれして形成される。具体的には、第一供給通路261aは、第一ポンプポート260aから第一アンロード弁31までD3方向に略直線状に延びて形成される主通路261bと、主通路261bから第一チェック弁51までD2方向に延びて形成される第一サブ通路261cと、主通路261bからスプール153が摺動自在に収容されるメイン収容孔152及びバルブボディ151の背面151cまでD1方向に延びて形成される第二サブ通路261d(図5参照)と、を有する。図5に示すように、バルブボディ151の背面151cには、第二サブ通路261dに連通する第一供給ポート221aが開口して形成される。第一ポンプポート260aから供給される作動油は、第一供給通路261aを通じて、第一アンロード弁31、メイン収容孔152、第一供給ポート221a、及び第一チェック弁51に導かれる。
【0043】
第二供給通路262aは、第一供給通路261aと同様に、第二ポンプポート260bから第二アンロード弁32までD3方向に略直線状に延びて形成される主通路262b(図7参照)と、主通路262bから第二チェック弁52までD2方向に延びて形成される第一サブ通路(図示省略)と、主通路262bからメイン収容孔152及びバルブボディ151の正面151bまでD1方向に延びて形成される第二サブ通路262d(図5参照)と、を有する。主通路262b及び第一サブ通路262cが図1に示す油圧回路の第二メイン供給通路121bに対応し、第二サブ通路262dが第二サブ供給通路161bに対応する。図5に示すように、バルブボディ151の正面151bには、第二サブ通路262dに連通する第二供給ポート221bが開口して形成される。第二ポンプポート260bから供給される作動油は、第二供給通路262aを通じて、第二アンロード弁32、メイン収容孔152、第二供給ポート221b、及び第二チェック弁52に導かれる。
【0044】
図6図7、及び図9に示すように、バルブボディ151は、第一負荷圧通路162aと、第二負荷圧通路162bと、を有する。第一負荷圧通路162a及び第二負荷圧通路162bには、それぞれ、バルブボディ151の外面に形成される負荷圧ポート166a,166b(図9参照)を通じて作動油が導かれる。第一負荷圧通路162a及び第二負荷圧通路162bは、図9に示す断面上にD2方向及びD1方向に延びて形成されるとともに、当該断面からD3方向に延びて形成される(図4の第一負荷圧通路162aを参照)。第一負荷圧通路162aは、第一アンロード弁31(図4図8参照)、メイン収容孔152(図5図6参照)、負荷圧選択弁35(図7参照)、及び第一絞り131(図9参照)に連通する。第二負荷圧通路162bは、同様に、第二アンロード弁32(図8参照)、メイン収容孔152(図5図6参照)、負荷圧選択弁35(図7参照)、及び第二絞り132(図9参照)に連通する。
【0045】
図7に示すように、バルブボディ151には、負荷圧選択弁35で選択された最高負荷圧を外部に導く負荷圧ポート165が設けられる。負荷圧ポート165は、負荷圧選択弁35に連通し、バルブボディ151の一方の側面151dに設けられる。負荷圧ポート165は、第一ポンプ111のレギュレータ113及び第二ポンプ114のレギュレータにそれぞれ最高負荷圧を導く。
【0046】
図6に示すように、バルブボディ151は、タンク112に連通するタンク通路122aを有する。タンク通路122aは、図6に示す断面においてメイン収容孔152と連通してY字状に形成される。また、図8に示すように、タンク通路122aは、第一アンロード弁31と第二アンロード弁32との間にわたってD1方向に延びて形成され、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32が開弁すると、それぞれ第一供給通路261a及び第二供給通路262aの作動油をタンク112に導く。言い換えれば、タンク通路122aは、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32がそれぞれ収容される後述する第一収容穴231と第二収容穴232の間にわたって形成される。また、図9に示すように、タンク通路122aは、第一絞り131と第二絞り132の間にわたってD1方向に延びて形成され、第一絞り131及び第二絞り132を通じて第一負荷圧通路162a及び第二負荷圧通路162bの作動油をタンク112に導く。バルブボディ151の上面151aには、タンク通路122aに連通するタンクポート223a,223bが形成され(図2図6参照)、バルブボディ151の正面151bには、タンク通路122aに連通するタンクポート223cが形成される(図3参照)。
【0047】
図5及び図6に示すように、メイン収容孔152には、第一供給通路261a、第二供給通路262a、第一負荷圧通路162a、第二負荷圧通路162b、及びタンク通路122aが連通し、スプール153に設けられた第一ランド部171、第二ランド部172、及び第三ランド部173により、その連通が遮断される。メイン収容孔152の一方(図5図6における右側)の開口部は、タンク112に接続されるドレン室21aが設けられる第一パイロットキャップ170aにより閉塞される。他方(図5図6における左側)の開口部は、スプール153を遮断位置(X)に切り換えるためのパイロット圧が入力されるパイロット室21bが設けられる第二パイロットキャップ170bにより閉塞される。第一パイロットキャップ170aには、スプール153を遮断位置(X)から連通位置(Y)に切り換える方向に付勢するばね154が設けられる。スプール153は、パイロット室21bに入力されるパイロット圧に応じて軸方向に移動する。
【0048】
第一ランド部171は、隣接する第一供給通路261aと第二供給通路262aとを連通または遮断する。パイロット室21bにパイロット圧が導かれず、スプール153が図5図6に示すような連通位置(Y)にあるときには、第一ランド部171と第二ランド部172との間の環状溝を通じて第一供給通路261aと第二供給通路262aとが連通する。パイロット室21bにパイロット圧が導かれ、スプール153が連通位置(Y)から図5図6における右側に移動して遮断位置(X)となると、第二ランド部172によって第一供給通路261aと第二供給通路262aとの連通が遮断される。
【0049】
また、第一ランド部171は、隣接する第一負荷圧通路162aと第二負荷圧通路162bとを連通または遮断する。スプール153が連通位置(Y)にあるときには、図5図6に示すように、第一ランド部171と第三ランド部173との間の環状溝を介して第一負荷圧通路162aと第二負荷圧通路162bとが連通する。また、スプール153が遮断位置(X)にあるときには、第一ランド部171によって第一負荷圧通路162aと第二負荷圧通路162bとの連通が遮断される。
【0050】
図7に示すように、バルブボディ151は、第一チェック弁51と、第二チェック弁52と、チェック通路55と、を有する。第一チェック弁51及び第二チェック弁52は、バルブボディ151の他方の側面151eに設けられ、互いに平行に並んで同一平面上(図7に示す断面上)に設けられる。バルブボディ151の他方の側面151eには、チェック通路55とリリーフ通路62とを連通するリリーフポート167が開口して形成される。
【0051】
図8に示すように、バルブボディ151は、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32がそれぞれ収容される第一収容穴231及び第二収容穴232を有する。第一収容穴231と第二収容穴232は、バルブボディ151の一方の側面151dに開口し、互いに平行に並んで同一平面上(図8に示す断面上)に形成される。言い換えれば、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32は、両者の軸(具体的には、後述するスプール31aとスプール32a)が互いに平行になるように、第一収容穴231及び第二収容穴232にそれぞれ収容され、互いにD1方向に並んでD2方向に延びて設けられる。D1方向は、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32が並ぶ並列方向である。ここで、「平行」とは、完全に平行である他、厳密には平行でなく製造誤差等により僅かに傾斜した状態も含まれる。第一収容穴231には、第一負荷圧通路162a、第一供給通路261aの主通路261b、及びタンク通路122aが開口し、第二収容穴232には、第二負荷圧通路162b、第二供給通路262aの主通路262b、及びタンク通路122aが開口する。
【0052】
第一アンロード弁31のスプール31aには、第一負荷圧通路162aに連通するスプール通路31bが形成され、スプール通路31bを通じて第一負荷圧通路162aの作動油が導かれて、ばね31dとともにスプール31aを閉弁するように圧力が作用する。また、スプール31aには、第一供給通路261aの主通路261bに連通するスプール通路31cが形成され、スプール通路31cを通じて主通路261bの作動油が導かれて、スプール31aを開弁するように圧力が作用する。スプール通路31cの圧力による荷重が、スプール通路31bの圧力による荷重とばね31dの付勢力との合計荷重を上回ると、第一アンロード弁31が開弁し、スプール31aの外周面に形成されるノッチ(図示省略)を通じて作動油が主通路261bからタンク通路122aに導かれ、作動油がアンロードされる。
【0053】
第二アンロード弁32のスプール32aには、スプール31aと同様に、第二負荷圧通路162bに連通するスプール通路32bと、第二供給通路262aの主通路262bに連通するスプール通路32cが形成される。スプール通路32bを通じて第二負荷圧通路162bの作動油が導かれてばね32dとともにスプール32aを閉弁するように圧力が作用し、スプール通路32cを通じて主通路262bの作動油が導かれて、スプール32aを開弁するように圧力が作用する。スプール通路32cの圧力による荷重が、スプール通路32bの圧力による荷重とばね32dの付勢力との合計荷重を上回ると、第二アンロード弁32が開弁し、スプール32aの外周面に形成されるノッチ(図示省略)通じて作動油が主通路262bからタンク通路122aに導かれ、作動油がアンロードされる。
【0054】
本実施形態では、上記のように、合流制御弁21、第一アンロード弁31、及び第二アンロード弁32は、ともにインレットブロック100のバルブボディ151に設けられる。よって、合流制御弁21、第一アンロード弁31、及び第二アンロード弁32がそれぞれ別のバルブブロックに設けられて並んで配置される構成よりも、インレットブロック100全体の一方向(第一アンロード弁31と第二アンロード弁32が並ぶ並列方向D1)の寸法を小さくすることができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、図10に示すように、合流制御弁21(具体的には、スプール153)は、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32が並ぶ並列方向(D1方向)と両者の軸方向(D2方向)とに対して垂直な垂直方向(D3方向)において、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32と離れて設けられる。言い換えれば、スプール153が、D3方向において第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32と重なることなく所定の距離を空けて設けられる。よって、D1方向において第一アンロード弁31と第二アンロード弁32を互いに近接して配置することができるため、インレットブロック100のD1方向の寸法をより小さくすることができる。さらに、合流制御弁21(具体的には、スプール153)は、D1方向において第一アンロード弁31と第二アンロード弁32との間に設けられる。言い換えれば、スプール153は、D1方向において、第一アンロード弁31よりもバルブボディ151の外側に位置せず、かつ第二アンロード弁32よりもバルブボディ151の外側に位置しない。よって、インレットブロック100のD1方向の寸法をより小さくすることができる。
【0056】
また、本実施形態では、タンク通路122aが第一アンロード弁31と第二アンロード弁32で共有されるため、インレットブロック100の流路構成を簡易にすることができる。
【0057】
また、本実施形態では、図2図4、及び図8に示すように、第一ポンプポート260aが、垂直方向(D3方向)において、その延長線上に第一アンロード弁31の一部が重なるように形成され、第二ポンプポート260bが、垂直方向において、その延長線上に第二アンロード弁32の一部が重なるように形成される。これにより、上記のように、第一ポンプポート260aから第一アンロード弁31までの流路と第二ポンプポート260bから第二アンロード弁32までの流路を略直線状とすることができるため、インレットブロック100の流路構成を簡易にすることができる。なお、第一ポンプポート260a及び第二ポンプポート260bは、D3方向において、その延長線上にそれぞれ第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32の全体が重なるように形成されてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、図8に示すように、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32の両方がバルブボディ151の一方の側面151dに設けられるため、バルブボディ151における、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32の横(具体的には、D2方向における他方の側面151eと第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32との間)にデッドスペースが存在する。このデッドスペースには、バルブ装置10が備えるパイロット通路270が形成される。パイロット通路270は、第一供給通路261a(第一油圧回路HC1)から作動油が供給されてアクチュエータMRの作動を制御するアクチュエータ制御弁としての制御弁110a(図1参照)にパイロット流体を導く。なお、図1では、パイロット通路270の図示を省略している。パイロット通路270は、例えば、パイロット圧を生成する減圧弁(図示省略)に一次圧を導く通路である。パイロット通路270の一部は、バルブボディ151の一方の側面151dとは反対側の他方の側面151eと第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32との間の領域に形成される。言い換えれば、パイロット通路270の一部は、D2方向において、他方の側面151eと第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32との間に形成される。これにより、バルブボディ151のデッドスペースを有効活用することができる。なお、パイロット通路270の全体が上記デッドスペースに形成されてもよく、上記デッドスペースに減圧弁のドレン通路等の他の通路が形成されてもよい。また、上記デッドスペースに制御弁110aとは別の制御弁110b,120a,120bにパイロット流体を導くパイロット通路270が形成されてもよい。
【0059】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0060】
インレットブロック100では、合流制御弁21、第一アンロード弁31、及び第二アンロード弁32が、ともにバルブボディ151に設けられる。よって、合流制御弁21、第一アンロード弁31、及び第二アンロード弁32がそれぞれ別のバルブボディ151に設けられて並んで配置される構成よりも、バルブボディ151全体のD1方向の寸法を小さくすることができる。さらに、スプール153は、D3方向において、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32と離れて設けられるとともに、D1方向において第一アンロード弁31と第二アンロード弁32との間に設けられるため、バルブボディ151のD1方向の寸法をより小さくすることができる。
【0061】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0062】
<変形例1>
上記実施形態では、第一絞り131、第二絞り132、第一チェック弁51、及び第二チェック弁52がインレットブロック100のバルブボディ151に設けられる形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。上記各構成は、バルブボディ151以外に設けてもよい。また、リリーフ弁60をバルブボディ151に設けてもよい。
【0063】
<変形例2>
上記実施形態では、第一ポンプ111及び第二ポンプ114から第一油圧回路HC1及び第二油圧回路HC2それぞれに作動油を供給する形態について説明した。しかし、本発明は、スプリットフロー式の一つのポンプから第一油圧回路HC1及び第二油圧回路HC2に作動油を供給する形態であってもよい。この形態には、一つのポンプ内に第一ポンプ111及び第二ポンプ114が設けられ、一つのポンプが、2つの吐出口を有する。
【0064】
<変形例3>
上記実施形態では、油圧ショベルの油圧システム1に本発明を適用する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。クローラクレーン、ホイールローダ、フォークリフト等、種々の作業機器の油圧システムに本発明を適用することができる。
【0065】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0066】
インレットブロック100は、第一流体圧通路(第一メイン供給通路121a)を通じて第一ポンプ111から吐出される作動流体と、第二流体圧通路(第二メイン供給通路121b)を通じて第二ポンプ114から吐出される作動流体とを合流または遮断させる合流制御弁21と、第一流体圧通路に接続され、第一ポンプ111から吐出される作動流体をアンロードさせる第一アンロード弁31と、第二流体圧通路に接続され、第二ポンプ114から吐出される作動流体をアンロードさせる第二アンロード弁32と、第一流体圧通路及び第二流体圧通路が形成されると共に、合流制御弁21、第一アンロード弁31、及び第二アンロード弁32が設けられるバルブボディ151と、を備え、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32は、両者の軸が互いに平行になるように互いに並んで設けられ、合流制御弁21は、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32が並ぶ並列方向(D1)と両者の軸方向(D2)とに対して垂直な垂直方向(D3)において、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32と離れて設けられるとともに、並列方向において第一アンロード弁31と第二アンロード弁32との間に設けられる。
【0067】
この構成では、合流制御弁21、第一アンロード弁31、及び第二アンロード弁32は、ともにバルブボディ151に設けられる。よって、合流制御弁21、第一アンロード弁31、及び第二アンロード弁32がそれぞれ別のバルブボディ151に設けられて並んで配置される構成よりも、バルブボディ151全体の一方向(第一アンロード弁31と第二アンロード弁32が並ぶ並列方向)の寸法を小さくすることができる。さらに、合流制御弁21は、垂直方向において、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32と離れて設けられるとともに、並列方向において第一アンロード弁31と第二アンロード弁32との間に設けられるため、インレットブロック100の一方向(並列方向)の寸法をより小さくすることができる。
【0068】
また、インレットブロック100は、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32がそれぞれ収容される二つの収容穴231,232と、二つの収容穴231,232の間にわたって形成されタンク112に連通するタンク通路122aと、を有し、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32によりアンロードされる作動流体は、タンク通路122aへ導かれる。
【0069】
この構成では、タンク通路122aを第一アンロード弁31と第二アンロード弁32で共有するため、インレットブロック100の流路構成を簡易にすることができる。
【0070】
また、インレットブロック100では、バルブボディ151の外面には、第一ポンプ111と連通し第一流体圧通路に作動流体を導く第一ポンプポート260aと、第二ポンプ114と連通し第二流体圧通路に作動流体を導く第二ポンプポート260bと、が開口して形成され、第一ポンプポート260aは、垂直方向において、その延長線上に第一アンロード弁31の少なくとも一部が重なるように形成され、第二ポンプポート260bは、垂直方向において、その延長線上に第二アンロード弁32の少なくとも一部が重なるように形成される。
【0071】
この構成では、第一ポンプ111ポートから第一アンロード弁31までの流路と第二ポンプ114ポートから第二アンロード弁32までの流路を略直線状とすることができるため、インレットブロック100の流路構成を簡易にすることができる。
【0072】
また、インレットブロック100と、インレットブロック100に連結され、第一流体圧通路(第一メイン供給通路121a)又は第二流体圧通路(第二メイン供給通路121b)から作動流体が供給されてアクチュエータ(MR,AS,ML,BS)の作動を制御するアクチュエータ制御弁(制御弁110a,110b,120a,120b)を有するアクチュエータブロックと、アクチュエータ制御弁にパイロット流体を導くパイロット通路270と、を備えるバルブ装置10では、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32は、バルブボディ151の一端面に開口して形成される二つの収容穴231,232にそれぞれ収容され、パイロット通路270の少なくとも一部は、バルブボディ151の一端面とは反対側の他端面と第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32との間の領域に形成される。
【0073】
この構成では、バルブボディ151における、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32の横にデッドスペースが存在する。そのデットスペースにはパイロット通路270が形成されるため、インレットブロック100のデッドスペースを有効活用することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0075】
10…バルブ装置、21…合流制御弁、31…第一アンロード弁、32…第二アンロード弁、100…インレットブロック、110…制御弁(アクチュエータ制御弁)、111…第一ポンプ、112…タンク、114…第二ポンプ、121a…第一メイン供給通路(第一流体圧通路)、121b…第二メイン供給通路(第二流体圧通路)、122a…タンク通路、151…バルブボディ、151a…上面(外面)151d…一方の側面(一端面)、151e…他方の側面(他端面)、231,232…収容穴、260a…第一ポンプポート、260b…第二ポンプポート、270…パイロット通路、D1…並列方向、D3…垂直方向
【要約】
【課題】インレットブロックの一方向の寸法を小さくする。
【解決手段】インレットブロック100は、第一ポンプ111から吐出される作動流体と、第二ポンプ114から吐出される作動流体とを合流または遮断させる合流制御弁21と、第一流体圧通路に接続される第一アンロード弁31と、第二流体圧通路に接続される第二アンロード弁32と、第一流体圧通路及び第二流体圧通路が形成されると共に、合流制御弁21、第一アンロード弁31、及び第二アンロード弁32が設けられるバルブボディ151と、を備え、合流制御弁21は、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32が並ぶ並列方向と両者の軸方向とに対して垂直な垂直方向において、第一アンロード弁31及び第二アンロード弁32と離れて設けられるとともに、並列方向において第一アンロード弁31と第二アンロード弁32との間に設けられる。
【選択図】図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10