IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ハロゲン化物の製造方法 図1
  • 特許-ハロゲン化物の製造方法 図2
  • 特許-ハロゲン化物の製造方法 図3
  • 特許-ハロゲン化物の製造方法 図4
  • 特許-ハロゲン化物の製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-26
(45)【発行日】2025-07-04
(54)【発明の名称】ハロゲン化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 17/36 20200101AFI20250627BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20250627BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20250627BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20250627BHJP
【FI】
C01F17/36
H01M10/0562
H01B13/00 Z
H01B1/06 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022511700
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2021008436
(87)【国際公開番号】W WO2021199889
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2020064760
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100143236
【弁理士】
【氏名又は名称】間中 恵子
(72)【発明者】
【氏名】久保 敬
(72)【発明者】
【氏名】宮武 和史
(72)【発明者】
【氏名】林 洋平
(72)【発明者】
【氏名】西尾 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】酒井 章裕
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/135343(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/013867(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/136956(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/136953(WO,A1)
【文献】KOWALCZYK, Ewa et al.,Studies on the reaction of ammonium fluoride with lithium carbonate and yttrium oxide,Thermochimica Acta,1995年,Vol.265,pp.189-195
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 1/00-17/36
H01M 10/05-10/0587
H01M 10/36-10/39
H01B 13/00
H01B 1/00-1/24
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化物の製造方法であって、
(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2を含む混合材料を、不活性ガス雰囲気下で焼成する焼成工程を含み、
ここで、α、β、γ、およびδは、それぞれ独立に、ClおよびBrからなる群より選択される少なくとも1つであり、かつ
以下の3つの数式:
0.5≦a≦3、
0.5≦b≦3、および
1.0≦a+b≦6、
が充足され、
前記混合材料における前記(NH 4 a Yα 3+a 、前記(NH 4 b Gdβ 3+b 、前記Liγ、および前記Caδ 2 のモル比を(NH 4 a Yα 3+a :(NH 4 b Gdβ 3+b :Liγ:Caδ 2 =A:B:C:Dとしたとき、
0.4≦A≦0.9、
0.1≦B≦0.6、
2.8≦C≦2.85、および
0.075≦D≦0.1
を満たし、
製造される前記ハロゲン化物は、ClおよびBrからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記焼成工程においては、前記混合材料は、300℃以上かつ700℃以下で、1時間以上かつ72時間以下焼成される、
ハロゲン化物の製造方法。
【請求項2】
前記焼成工程においては、前記混合材料は、350℃以上で焼成される、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記焼成工程においては、前記混合材料は、650℃以下で焼成される、
請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
以下の2つの数式:
a=3、および
b=3、
が充足される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記(NH4aYα3+aおよび(NH4bGdβ3+bが準備される準備工程を、さらに含み、
前記準備工程においては、前記(NH4aYα3+aは、Y23およびNH4αから合成され、かつ前記(NH4bGdβ3+bは、Gd23およびNH4βから合成される、
請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハロゲン化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ハロゲン化物固体電解質の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/025582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、工業的に生産性の高いハロゲン化物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の製造方法は、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2を含む混合材料を、不活性ガス雰囲気下で焼成する焼成工程を含む。ここで、α、β、γ、およびδは、それぞれ独立に、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つであり、さらに、0≦a≦3、0≦b≦3、および0<a+b≦6が充足される。
【発明の効果】
【0006】
本開示は、工業的に生産性の高いハロゲン化物の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態による製造方法の一例を示すフローチャートである。
図2図2は、第1実施形態による製造方法の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、第1実施形態による製造方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、固体電解質材料のイオン伝導度を評価するために用いられる加圧成形ダイス200の模式図を示す。
図5図5は、サンプル1による固体電解質材料のインピーダンス測定により得られたCole-Coleプロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態が、図面を参照しながら説明される。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0010】
第1実施形態による製造方法は、焼成工程S1000を含む。焼成工程S1000においては、混合材料が不活性ガス雰囲気下で焼成される。
【0011】
焼成工程S1000で焼成される混合材料は、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2を含む材料である。ここで、α、β、γ、およびδは、それぞれ独立に、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。さらに、数式:0≦a≦3、0≦b≦3、および0<a+b≦6が充足される。
【0012】
第1実施形態による製造方法は、ハロゲン化物を製造するための工業的に生産性の高い方法である。工業的に生産性の高い方法は、例えば、低コストで大量に生産できる方法である。すなわち、簡便な製造方法(すなわち、不活性ガス雰囲気下での焼成)により、Li(すなわち、リチウム)、Y(すなわち、イットリウム)、Gd(すなわち、ガドリニウム)、およびCa(すなわち、カルシウム)を含むハロゲン化物を製造することができる。
【0013】
第1実施形態による製造方法は、真空封管および遊星型ボールミルを使用しなくてもよい。
【0014】
混合材料に含まれる「(NH4aYα3+a」は、安価なY23およびNH4αから簡便に合成できるため、製造コストをさらに低減できる。
【0015】
混合材料に含まれる「(NH4bGdβ3+b」は、安価なGd23およびNH4βから簡便に合成できるため、製造コストをさらに低減できる。
【0016】
ハロゲン化物のイオン伝導度を高めるために、数式:0.5≦a≦3、および0.5≦b≦3が充足されてもよい。
【0017】
ハロゲン化物のイオン伝導度を高めるために、数式:a=3、およびb=3が充足されてもよい。
【0018】
ハロゲン化物のイオン伝導度をさらに高めるために、α、β、γ、およびδは、それぞれ独立に、ClおよびBrからなる群より選択される少なくとも1つであってもよい。
【0019】
例えば、焼成工程S1000で焼成される混合材料が、(NH43YCl6、(NH43GdCl6、LiCl、およびCaCl2を含む場合、下記の式(1)により示される反応が進行すると考えられる。
【0020】
0.5(NH43YCl6+0.5(NH43GdCl6+2.8LiCl+0.1CaCl2 → Li2.8Ca0.10.5Gd0.5Cl6+3NH3+3HCl ・・・(1)
【0021】
式(1)に示される反応により、Li2.8Ca0.10.5Gd0.5Cl6が得られる。
【0022】
焼成工程S1000においては、例えば、混合材料の粉末が、容器(例えば、るつぼ)に入れられて、加熱炉内で焼成されてもよい。このとき、不活性ガス雰囲気中で混合材料が所定温度まで昇温された状態が、所定時間以上、保持されてもよい。焼成時間は、ハロゲン化物の揮発などに起因する焼成物の組成ずれを生じさせない程度の長さの時間であってもよい。焼成物の組成ずれを生じさせないとは、焼成物のイオン伝導度を損なわないことを意味する。第1実施形態による製造方法によれば、例えば、室温近傍において2.6×10-10S/cm以上のイオン伝導度を有するハロゲン化物を製造し得る。
【0023】
不活性ガス雰囲気とは、例えば、不活性ガス以外のガスの濃度の合計が1体積%以下の雰囲気のことを意味する。不活性ガスの例は、ヘリウム、窒素、またはアルゴンである。
【0024】
焼成工程S1000の後に、焼成物は粉砕されてもよい。このとき、粉砕器具(例えば、乳鉢またはミキサ)が使用されてもよい。
【0025】
混合材料は、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2が混合された材料であってもよい。
【0026】
混合材料は、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2だけでなく、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2とは異なる他の材料が、さらに混合された材料であってもよい。
【0027】
混合材料に含まれる(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2からなる群より選択される少なくとも1つは、金属カチオンの一部が別の金属カチオンにより置換されていてもよい。すなわち、Y、Gd、Li、およびCaの一部が別の金属カチオンにより置換されていてもよい。すなわち、混合材料は、(NH4aYα3+aにおいてYの一部が別の金属カチオンにより置換されている化合物、(NH4bGdβ3+bにおいてGdの一部が別の金属カチオンにより置換されている化合物、LiγにおいてLiの一部が別の金属カチオンにより置換されている化合物、またはCaδ2においてCaの一部が別の金属カチオンにより置換されている化合物をさらに含んでいてもよい。これにより、製造されるハロゲン化物の特性(例えば、イオン伝導性)を改善することができる。Y、Gd、Li、およびCaの別の金属カチオンによるカチオン置換率は、50mol%未満であってもよい。これにより、より安定な構造を有するハロゲン化物が得られる。
【0028】
混合材料に含まれる(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2からなる群より選択される少なくとも1つは、金属カチオンの一部が、例えば、Na、K、Mg、Sr、Ba、Zn、In、Sn、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群より選択される少なくとも1つのカチオンに置換されていてもよい。
【0029】
焼成工程S1000においては、混合材料は、300℃以上で焼成されてもよい。これにより、工業的に生産性の高い方法で、高いイオン伝導度を有するハロゲン化物を製造することができる。焼成温度を300℃以上とすることにより、混合材料を十分に反応させることができる。すなわち、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2を十分に反応させることができる。ここで、焼成温度とは、周囲温度である。混合材料が300℃以上で焼成された場合、例えば、室温近傍において7.6×10-7S/cm以上のイオン伝導度を有するハロゲン化物が製造され得る。
【0030】
工業的に生産性の高い方法で、より高いイオン伝導度を有するハロゲン化物を製造するために、混合材料は、700℃以下で焼成されてもよい。混合材料は、例えば、300℃以上かつ700℃以下で焼成されてもよい。焼成温度を700℃以下とすることにより、固相反応により生成したハロゲン化物が熱分解するのを抑制できる。その結果、焼成物であるハロゲン化物のイオン伝導度を高めることができる。すなわち、良質なハロゲン化物固体電解質材料が得られる。
【0031】
工業的に生産性の高い方法で、より高いイオン伝導度を有するハロゲン化物を製造するために、混合材料は、350℃以上で焼成されてもよい。混合材料は、例えば、350℃以上かつ700℃以下で焼成されてもよい。これにより、焼成物であるハロゲン化物が、より高い結晶性を有する。その結果、焼成物であるハロゲン化物のイオン伝導度をより高めることができる。すなわち、より良質なハロゲン化物固体電解質材料が得られる。
【0032】
工業的に生産性の高い方法で、より高いイオン伝導度を有するハロゲン化物を製造するために、混合材料は、650℃以下で焼成されてもよい。混合材料は、例えば、300℃以上かつ650℃以下、または、350℃以上かつ650℃以下で焼成されてもよい。これにより、固相反応により生成したハロゲン化物が熱分解するのを抑制できる。その結果、焼成物であるハロゲン化物のイオン伝導度を高めることができる。すなわち、良質なハロゲン化物固体電解質材料が得られる。
【0033】
工業的に生産性の高い方法で、より高いイオン伝導度を有するハロゲン化物を製造するために、混合材料は、1時間以上かつ72時間以下で焼成されてもよい。焼成時間を1時間以上とすることにより、混合材料を十分に反応させることができる。すなわち、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2を十分に反応させることができる。焼成時間を72時間以下とすることにより、焼成物であるハロゲン化物の揮発を抑制できる。すなわち、目的の組成比を有するハロゲン化物が得られる。その結果、組成ずれに起因するハロゲン化物のイオン伝導度の低下を抑制できる。すなわち、より良質なハロゲン化物固体電解質材料が得られる。
【0034】
図2は、第1実施形態による製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0035】
図2に示されるように、第1実施形態による製造方法は、混合工程S1100をさらに含んでいてもよい。
【0036】
混合工程S1100は、焼成工程S1000よりも前に実行される。
【0037】
混合工程S1100においては、原料となる(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2が混合される。これにより、混合材料が得られる。すなわち、焼成工程S1000において焼成される材料が得られる。
【0038】
原料を混合するために、公知の混合器具(例えば、乳鉢、ブレンダー、またはボールミル)が使用されてもよい。
【0039】
例えば、混合工程S1100においては、それぞれの原料の粉末が用意されて、混合されてもよい。このとき、焼成工程S1000においては、粉末状の混合材料が焼成されてもよい。混合工程S1100において得られた粉末状の混合材料は、加圧によりペレット状に形成されてもよい。あるいは、焼成工程S1000において、ペレット状の混合材料が焼成されてもよい。
【0040】
混合工程S1100においては、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2だけでなく、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2とは異なる他の原料がさらに混合されることにより、混合材料が得られてもよい。
【0041】
混合工程S1100においては、(NH4aYα3+aを主成分とする原料、(NH4bGdβ3+bを主成分とする原料、Liγを主成分とする原料、およびCaδ2を主成分とする原料が混合されてもよい。主成分とは、モル比で最も多く含まれる成分のことである。
【0042】
混合工程S1100において、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2が、目的の組成を有するように用意されて、混合されてもよい。
【0043】
(NH43YCl6、(NH43GdCl6、LiCl、およびCaCl2は、例えば、(NH43YCl6:(NH43GdCl6:LiCl:CaCl2=0.5:0.5:2.8:0.1のモル比となるように混合されてもよい。これにより、Li2.8Ca0.10.5Gd0.5Cl6により表される組成を有するハロゲン化物を製造することができる。
【0044】
焼成工程S1000において生じ得る組成変化を相殺するように、予め(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2のモル比が調整されてもよい。
【0045】
混合工程S1100において、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、およびCaδ2からなる群より選択される少なくとも1つは、金属カチオンの一部が別の金属カチオンにより置換されていてもよい。すなわち、Y、Gd、Li、およびCaの一部が別の金属カチオンにより置換されていてもよい。すなわち(NH4aYα3+aにおいてYの一部が別の金属カチオンにより置換されている化合物、(NH4bGdβ3+bにおいてGdの一部が別の金属カチオンにより置換されている化合物、LiγにおいてLiの一部が別の金属カチオンにより置換されている化合物、またはCaδ2においてCaの一部が別の金属カチオンにより置換されている化合物がさらに混合されることで、混合材料が得られてもよい。Y、Gd、Li、およびCaの別の金属カチオンによるカチオン置換率は、50mol%未満であってもよい。
【0046】
図3は、第1実施形態による製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0047】
図3に示されるように、第1実施形態による製造方法は、準備工程S1200をさらに含んでもよい。
【0048】
準備工程S1200は、混合工程S1100よりも前に実行される。
【0049】
準備工程S1200においては、(NH4aYα3+aおよび(NH4bGdβ3+bが準備される。準備工程S1200では、さらにLiγおよびCaδ2が準備されてもよい。すなわち、混合工程S1100において混合される材料が準備されてもよい。
【0050】
準備工程S1200においては、(NH4aYα3+a、(NH4bGdβ3+b、Liγ、またはCaδ2のような原料を合成してもよい。もしくは、準備工程S1200においては、公知の市販品(例えば、純度99%以上の材料)が用いられてもよい。
【0051】
準備される材料は、乾燥していてもよい。
【0052】
準備される材料の形状の例は、結晶状、塊状、フレーク状、または粉末状である。準備工程S1200において、結晶状または塊状またはフレーク状の原料が粉砕されることで、粉末状の原料が得られてもよい。
【0053】
製造コストを低減するために、準備工程S1200において、(NH4aYα3+aは、安価なY23およびNH4αから合成されてもよい。
【0054】
製造コストを低減するために、準備工程S1200において、(NH4aGdβ3+aは、安価なGd23およびNH4βから合成されてもよい。
【0055】
(NH4aYα3+aは、例えば、次のように合成される。
【0056】
原料としてY23およびNH4αが、例えば1:12のY23:NH4αモル比となるように混合され、混合物を得る。当該混合物は、例えば150℃以上かつ350℃以下で焼成される。上記aの値は、焼成温度により変化し得る。
【0057】
例えば、αがClである場合、すなわち、Y23およびNH4Clが混合され、焼成される場合、以下の式(2)および(3)に示される反応が進行する。
【0058】
23+12NH4Cl→2(NH43YCl6+6NH3+3H2O ・・・(2)
2(NH43YCl6→2(NH40.5YCl3.5+5NH4Cl ・・・(3)
【0059】
23およびNH4Clを含む混合物が、例えば200℃程度で焼成される場合、式(2)により示される反応が起こる。その結果、(NH43YCl6が主生成物として得られる。上記混合物が例えば350℃程度で焼成される場合、式(3)により示される反応が起こる。その結果、(NH40.5YCl3.5が主生成物として得られる。このように、焼成温度が変化すると、aの値も変化し得る。
【0060】
なお、本反応を良好に進行させるために、NH4αがY23よりも過剰に用意されてもよい。例えば、NH4αはY23よりも5から15mol%過剰に用意される。
【0061】
焼成は、不活性ガス雰囲気中または減圧雰囲気中で行われてもよい。
【0062】
(NH4bGdβ3+bは、例えば、次のように合成される。
【0063】
原料としてGd23およびNH4βが、例えば1:12のGd23:NH4βモル比となるように混合され、混合物を得る。当該混合物は、例えば150℃以上かつ350℃以下で焼成される。上記bの値は、焼成温度により変化し得る。
【0064】
例えば、βがClである場合、すなわち、Gd23およびNH4Clが混合され、焼成される場合、以下の式(4)および(5)により示される反応が進行する。
【0065】
Gd23+12NH4Cl→2(NH43GdCl6+6NH3+3H2O ・・・(4)
2(NH43GdCl6→2(NH40.5GdCl3.5+5NH4Cl ・・・(5)
【0066】
Gd23およびNH4Clを含む混合物が、例えば200℃程度で焼成される場合、式(4)により示される反応が起こる。その結果、(NH43GdCl6が主生成物として得られる。上記混合物が例えば350℃程度で焼成される場合、式(5)により示される反応が起こる。その結果、(NH40.5GdCl3.5が主生成物として得られる。このように、焼成温度が変化すると、bの値も変化し得る。
【0067】
なお、本反応を良好に進行させるために、NH4ClがGd23よりも過剰に用意されてもよい。例えば、NH4βはGd23よりも5から15mol%過剰に用意される。
【0068】
焼成は、不活性ガス雰囲気中または減圧雰囲気中で行われてもよい。
【0069】
準備工程S1200において準備される(NH4aYα3+aおよび(NH4bGdβ3+bからなる群より選択される少なくとも1つは、金属カチオンの一部が別の金属カチオンにより置換されていてもよい。すなわち、YおよびGdの一部が別の金属カチオンにより置換されていてもよい。すなわち、(NH4aYα3+aにおいてYの一部が別の金属カチオンにより置換されている化合物、または、(NH4bGdβ3+bにおいてGdの一部が別の金属カチオンにより置換されている化合物がさらに準備されてもよい。YおよびGdの別の金属カチオンによるカチオン置換率は、50mol%未満であってもよい。
【0070】
第1実施形態による製造方法により製造されたハロゲン化物は、固体電解質材料として用いられうる。当該固体電解質材料は、例えば、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質材料である。当該固体電解質材料は、例えば、全固体リチウムイオン二次電池において用いられる。
【実施例
【0071】
以下、本開示がより詳細に説明される。
【0072】
以下、本開示の製造方法により製造されるハロゲン化物は、固体電解質材料として評価された。
【0073】
<サンプル1>
(固体電解質材料の作製)
まず、(NH43YCl6および(NH43GdCl6を合成した。
【0074】
(NH43YCl6の原料として、Y23およびNH4Clが、Y23:NH4Cl=1:13.2のモル比となるように用意された。すなわち、NH4ClがY23に対して10mol%過剰となるように用意された。これらの材料はメノウ製乳鉢中で粉砕され、混合された。得られた混合物は、アルミナ製るつぼに入れられ、窒素雰囲気中で、200℃で15時間焼成された。このようにして、(NH43YCl6が得られた。
【0075】
(NH43GdCl6の原料として、Gd23およびNH4Clが、Gd23:NH4Cl=1:13.2のモル比となるように用意された。すなわち、NH4ClがGd23に対して10mol%過剰となるように用意された。これらの材料はメノウ製乳鉢中で粉砕され、混合された。得られた混合物は、アルミナ製るつぼに入れられ、窒素雰囲気中で、150℃で15時間焼成された。このようにして、(NH43GdCl6が得られた。
【0076】
次に、-60℃以下の露点および0.0001体積%以下の酸素濃度を有するアルゴン雰囲気(以下、「乾燥アルゴン雰囲気」という)中で、(NH43YCl6、(NH43GdCl6、LiCl、LiBr、およびCaBr2が、(NH43YCl6:(NH43GdCl6:LiCl:LiBr:CaBr2=0.6:0.4:0.5:2.3:0.1のモル比となるように用意された。これらの材料はメノウ製乳鉢中で粉砕され、混合された。得られた混合物は、アルミナ製るつぼに入れられ、乾燥アルゴン雰囲気中で、500℃で1時間焼成された。得られた焼成物は、メノウ製乳鉢中で粉砕された。このようにして、Li、Ca、Y、Gd、Br、およびClを含むサンプル1による固体電解質材料が得られた。
【0077】
(固体電解質材料の組成分析)
サンプル1による固体電解質材料の単位重量あたりのLi、Y、CaおよびGdの含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(Thermo Fisher Scientific社、iCAP7400)を用いて、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定された。この測定結果から得られたLi、Ca、Y、およびGdの含有量をもとに、Li:Ca:Y:Gdモル比が算出された。その結果、サンプル1による固体電解質材料は、2.8:0.1:0.6:0.4のLi:Ca:Y:Gdモル比を有していた。
【0078】
(イオン伝導度の評価)
図4は、固体電解質材料のイオン伝導度を評価するために用いられた加圧成形ダイス200の模式図を示す。
【0079】
加圧成形ダイス200は、パンチ上部201、枠型202、およびパンチ下部203を具備していた。枠型202は、絶縁性のポリカーボネートから形成されていた。パンチ上部201およびパンチ下部203は、電子伝導性のステンレスから形成されていた。
【0080】
図4に示される加圧成形ダイス200を用いて、下記の方法により、サンプル1による固体電解質材料のインピーダンスが測定された。
【0081】
乾燥アルゴン雰囲気中で、サンプル1による固体電解質材料の粉末が加圧成形ダイス200の内部に充填された。加圧成形ダイス200の内部で、サンプル1による固体電解質材料に、パンチ上部201およびパンチ下部203を用いて、300MPaの圧力が印加された。
【0082】
圧力が印加されたまま、パンチ上部201およびパンチ下部203は、周波数応答アナライザが搭載されたポテンショスタット(Princeton Applied Research社、VersaSTAT4)に接続された。パンチ上部201は、作用極および電位測定用端子に接続された。パンチ下部203は、対極および参照極に接続された。固体電解質材料のインピーダンスは、電気化学的インピーダンス測定法により、室温において測定された。
【0083】
図5は、サンプル1による固体電解質材料のインピーダンス測定により得られたCole-Coleプロットを示すグラフである。
【0084】
図5において、複素インピーダンスの位相の絶対値が最も小さい測定点でのインピーダンスの実数値が、固体電解質材料のイオン伝導に対する抵抗値とみなされた。当該実数値については、図5において示される矢印RSEを参照せよ。当該抵抗値を用いて、下記の数式(6)に基づいて、イオン伝導度が算出された。
σ=(RSE×S/t)-1 ・・・ (6)
ここで、σはイオン伝導度を表す。Sは固体電解質材料のパンチ上部201との接触面積(図4において、枠型202の中空部の断面積に等しい)を表す。Rはインピーダンス測定における固体電解質材料の抵抗値を表す。tは固体電解質材料の厚み(すなわち、図4において、固体電解質材料の粉末101から形成される層の厚み)を表す。
【0085】
25℃で測定された、サンプル1による固体電解質材料のイオン伝導度は、3.9×10-4S/cmであった。
【0086】
<サンプル2から33>
(固体電解質材料の作製)
サンプル2から20および33では、焼成温度および焼成時間以外は、サンプル1と同様にして、サンプル2から20による固体電解質材料が得られた。焼成温度および焼成時間は、表1および2に示される。
【0087】
サンプル21では、原料粉として(NH43YCl6、(NH43GdCl6、LiCl、LiBr、およびCaBr2が、(NH43YCl6:(NH43GdCl6:LiCl:LiBr:CaBr2=0.4:0.6:0.5:2.3:0.1のモル比となるように用意された。
【0088】
サンプル22では、原料粉として(NH43YCl6、(NH43GdCl6、LiCl、LiBr、およびCaBr2が、(NH43YCl6:(NH43GdCl6:LiCl:LiBr:CaBr2=0.5:0.5:0.5:2.3:0.1のモル比となるように用意された。
【0089】
サンプル23では、原料粉として(NH43YCl6、(NH43GdCl6、LiCl、LiBr、およびCaBr2が、(NH43YCl6:(NH43GdCl6:LiCl:LiBr:CaBr2=0.7:0.3:0.5:2.3:0.1のモル比となるように用意された。
【0090】
サンプル24では、原料粉として(NH43YCl6、(NH43GdCl6、LiCl、LiBr、およびCaBr2が、(NH43YCl6:(NH43GdCl6:LiCl:LiBr:CaBr2=0.9:0.1:0.5:2.3:0.1のモル比となるように用意された。
【0091】
サンプル25では、原料粉として(NH43YCl6、(NH43GdCl6、LiBr、およびCaBr2が、(NH43YCl6:(NH43GdCl6:LiBr:CaBr2=0.4:0.6:2.8:0.1のモル比となるように用意された。
【0092】
サンプル26では、原料粉として(NH43YCl6、(NH43GdCl6、LiCl、LiBr、およびCaBr2が、(NH43YCl6:(NH43GdCl6:LiCl:LiBr:CaBr2=0.4:0.6:1.0:1.8:0.1のモル比となるように用意された。
【0093】
上記の事項以外は、サンプル1と同様にして、サンプル21から26による固体電解質材料が得られた。
【0094】
サンプル27では、まず、固体電解質材料の原料となる(NH40.5GdCl3.5を合成した。
【0095】
(NH40.5GdCl3.5の原料として、Gd23およびNH4Clが、Gd23:NH4Cl=1:13.2のモル比となるように秤量した。すなわち、NH4ClがGd23に対して10mol%過剰となるように用意された。これらの材料はメノウ製乳鉢中で粉砕され、混合された。得られた混合物は、アルミナ製るつぼに入れられ、窒素雰囲気中で、350℃で15時間焼成された。このようにして、(NH40.5GdCl3.5が得られた。
【0096】
次に、乾燥アルゴン雰囲気中で、原料粉として(NH43YCl6、(NH40.5GdCl3.5、LiCl、LiBr、およびCaBr2が、(NH43YCl6:(NH40.5GdCl3.5:LiCl:LiBr:CaBr2=0.6:0.4:0.5:2.3:0.1のモル比となるように用意された。上記の事項以外は、サンプル1と同様にして、サンプル27による固体電解質材料が得られた。
【0097】
サンプル28では、まず、固体電解質材料の原料となるGdCl3を合成した。
【0098】
GdCl3の原料として、Gd23およびNH4Clが、Gd23:NH4Cl=1:13.2のモル比となるように用意された。すなわち、NH4ClがGd23に対して10mol%過剰となるように用意された。これらの材料はメノウ製乳鉢中で粉砕され、混合された。得られた混合物は、アルミナ製るつぼに入れられ、窒素雰囲気中で、450℃で15時間焼成された。このようにして、GdCl3が得られた。
【0099】
次に、乾燥アルゴン雰囲気中で、原料粉として(NH43YCl6、GdCl3、LiCl、LiBr、およびCaBr2が、(NH43YCl6:GdCl3:LiCl:LiBr:CaBr2=0.6:0.4:0.5:2.3:0.1のモル比となるように用意された。上記の事項以外は、サンプル1と同様にして、サンプル28による固体電解質材料が得られた。
【0100】
サンプル29では、まず、固体電解質材料の原料となる(NH40.5YCl3.5を合成した。
【0101】
(NH40.5YCl3.5の原料として、Y23およびNH4Clが、Y23:NH4Cl=1:13.2のモル比となるように用意された。すなわち、NH4ClがY23に対して10mol%過剰となるように用意された。これらの材料はメノウ製乳鉢中で粉砕され、混合された。得られた混合物は、アルミナ製るつぼに入れられ、窒素雰囲気中で、350℃で15時間焼成された。このようにして、(NH40.5YCl3.5が得られた。
【0102】
次に、乾燥アルゴン雰囲気中で、原料粉として(NH40.5YCl3.5、(NH43GdCl6、LiCl、LiBr、およびCaBr2が、(NH40.5YCl3.5:(NH43GdCl6:LiCl:LiBr:CaBr2=0.6:0.4:0.5:2.3:0.1のモル比となるように用意された。上記の事項以外は、サンプル1と同様にして、サンプル29による固体電解質材料が得られた。
【0103】
サンプル30では、まず、固体電解質材料の原料となるYCl3を合成した。
【0104】
YCl3の原料として、Y23およびNH4Clが、Y23:NH4Cl=1:13.2のモル比となるように用意された。すなわち、NH4ClがY23に対して10mol%過剰となるように用意された。これらの材料はメノウ製乳鉢中で粉砕され、混合された。得られた混合物は、アルミナ製るつぼに入れられ、窒素雰囲気中で、450℃で15時間焼成された。このようにして、YCl3が得られた。
【0105】
次に、乾燥アルゴン雰囲気中で、原料粉としてYCl3、(NH43GdCl6、LiCl、LiBr、およびCaBr2が、YCl3:(NH43GdCl6:LiCl:LiBr:CaBr2=0.6:0.4:0.5:2.3:0.1のモル比となるように用意された。上記の事項以外は、サンプル1と同様にして、サンプル30による固体電解質材料が得られた。
【0106】
サンプル31では、まず、固体電解質材料の原料となる(NH43YBr6を合成した。
【0107】
(NH43YBr6の原料として、Y23およびNH4Brが、Y23:NH4Br=1:13.2のモル比となるように用意された(すなわち、NH4BrがY23に対して10mol%過剰となるように用意された)。これらの材料はメノウ製乳鉢中で粉砕され、混合された。得られた混合物は、アルミナ製るつぼに入れられ、窒素雰囲気中で、200℃で15時間焼成された。このようにして、(NH43YBr6が得られた。
【0108】
次に、乾燥アルゴン雰囲気中で、原料粉として(NH43YBr6、(NH43GdCl6、LiCl、LiBr、およびCaCl2が、(NH43YBr6:(NH43GdCl6:LiCl:LiBr:CaCl2=0.6:0.4:0.5:2.3:0.1のモル比となるように用意された。上記の事項以外は、サンプル1と同様にして、サンプル31による固体電解質材料が得られた。
【0109】
サンプル32では、まず、固体電解質材料の原料となる(NH43GdBr6を合成した。
【0110】
(NH43GdBr6の原料として、Gd23およびNH4Brが、Gd23:NH4Br=1:13.2のモル比となるように用意された(すなわち、NH4BrがGd23に対して10mol%過剰となるように用意された)。これらの材料はメノウ製乳鉢中で粉砕され、混合された。得られた混合物は、アルミナ製るつぼに入れられ、窒素雰囲気中で、200℃で15時間焼成された。このようにして、(NH43GdBr6が得られた。
【0111】
次に、乾燥アルゴン雰囲気中で、原料粉として(NH43YCl6、(NH43GdBr6、LiCl、LiBr、およびCaCl2が、(NH43YCl6:(NH43GdBr6:LiCl:LiBr:CaCl2=0.5:0.5:1.0:1.85:0.075のモル比となるように用意された。上記の事項以外は、サンプル1と同様にして、サンプル32による固体電解質材料が得られた。
【0112】
(イオン伝導度の評価)
サンプル2から33による固体電解質材料のイオン伝導度は、サンプル1と同様にして測定された。測定結果は、表1および2に示される。
【0113】
表1および2において、原料1は、Yを含むハロゲン化物である。原料2はGdを含むハロゲン化物である。原料3は、LiClである。原料4は、LiBrである。原料5は、Caを含むハロゲン化物である。
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
<考察>
サンプル1から33から明らかなように、得られた固体電解質材料は、室温において、2.6×10-10S/cm以上のイオン伝導度を有する。サンプル1から32をサンプル33と比較すると明らかなように、焼成温度が300℃以上かつ700℃以下であれば、得られた固体電解質材料は、室温において、7.6×10-7S/cm以上のさらに高いイオン伝導度を有する。これは、得られた固体電解質材料が高い結晶性を有するためと考えられる。
【0117】
サンプル1、5、8から12、および16から20をサンプル2と比較すると明らかなように、焼成温度が350℃以上かつ700℃以下であれば、固体電解質材料のイオン伝導度がより高くなる。サンプル1、8から12、および16から20をサンプル5と比較すると明らかなように、焼成温度が400℃以上かつ700℃以下であれば、固体電解質材料のイオン伝導度がさらに高くなる。サンプル1、9から12、および16から20をサンプル8と比較すると明らかなように、焼成温度が420℃以上かつ700℃以下であれば、固体電解質材料のイオン伝導度がさらに高くなる。これは、固体電解質材料がより高い結晶性を有するためと考えられる。
【0118】
サンプル3、4、6、および7をサンプル2および5と比較すると明らかなように、焼成温度が500℃未満である場合、焼成時間が24時間以上かつ60時間以下であれば、固体電解質材料がより高いイオン伝導度を有する。
【0119】
以上のように、本開示の製造方法により製造した固体電解質材料は、高いリチウムイオン伝導性を有する。さらに、本開示の製造方法は、簡便な方法であり、かつ工業的に生産性の高い方法である。工業的に生産性の高い方法は、例えば、低コストで大量に生産できる方法である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本開示の製造方法は、例えば、固体電解質材料の製造方法として利用される。本開示の製造方法により製造された固体電解質材料は、例えば、全固体リチウムイオン二次電池において利用される。
【符号の説明】
【0121】
101 固体電解質材料の粉末
200 加圧成形ダイス
201 パンチ上部
202 枠型
203 パンチ下部
図1
図2
図3
図4
図5