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特許7702666撮像装置及びそれを備えた三次元計測装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-26
(45)【発行日】2025-07-04
(54)【発明の名称】撮像装置及びそれを備えた三次元計測装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/45 20230101AFI20250627BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20250627BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20250627BHJP
   G03B 35/10 20210101ALI20250627BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20250627BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20250627BHJP
【FI】
H04N23/45
H04N23/55
H04N23/60 500
G03B35/10
G03B15/00 T
G01C3/06 110V
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024512374
(86)(22)【出願日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2023011883
(87)【国際公開番号】W WO2023190188
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2022057129
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖野 徹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 繁
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】香山 信三
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0309134(US,A1)
【文献】特表2009-527007(JP,A)
【文献】特開2018-189661(JP,A)
【文献】特開2003-346130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257、
23/00、23/40-23/76、
23/90-23/959
G03B 35/00-37/06
G01C 3/00-3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を通過させる第1撮影レンズと、
前記第1撮影レンズを通過した光を受光する第1固体撮像素子と、
前記第1撮影レンズから第1方向に間隔を空けて設けられ、前記被写体からの光を通過させる第2撮影レンズと、
前記第1方向に対して垂直な第2方向に異なる位置に第1及び第2の第2レンズ側透光部が形成され、前記被写体から前記第2撮影レンズに向かう光の一部を前記第1及び第2の第2レンズ側透光部によって通過させるとともに、当該光の残りを遮断するように配置される第2レンズ側遮蔽部と、
前記第2撮影レンズを通過した前記被写体からの光を受光する第2固体撮像素子とを備え
前記第1及び第2の第2レンズ側透光部を通過したそれぞれの光の情報が、共通の1つの前記第2固体撮像素子により取得される撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第2レンズ側遮蔽部の第1及び第2の第2レンズ側透光部のうちの少なくとも一方の大きさを調整する第2レンズ側サイズ調整部をさらに備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
第1レンズ側透光部が形成され、前記被写体から前記第1撮影レンズに向かう光の一部を前記第1レンズ側透光部によって通過させるとともに、当該光の残りを遮断するように配置される第1レンズ側遮蔽部と、
前記第1レンズ側遮蔽部の第1レンズ側透光部の大きさを調整する第1レンズ側サイズ調整部とをさらに備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第2撮影レンズと前記第2固体撮像素子との間に介設され、かつ前記第2撮影レンズの焦点に位置するサブレンズをさらに備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像装置において、
第1レンズ側透光部が形成され、前記被写体から前記第1撮影レンズに向かう光の一部を前記第1レンズ側透光部によって通過させるとともに、当該光の残りを遮断するように配置される第1レンズ側遮蔽部と、
前記第1レンズ側遮蔽部の第1レンズ側透光部を前記第2方向に移動させる位置調整部とをさらに備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記第1固体撮像素子によって出力された複数の画素の輝度値に基づいて、第1画像を取得する第1画像取得部と、
前記第2固体撮像素子によって出力された複数の画素の輝度値に基づいて、前記第1の第2レンズ側透光部を通過した光に基づく第2画像と、前記第2の第2レンズ側透光部を通過した光に基づく第3画像とを取得する第2画像取得部と、
前記第1画像を構成する少なくとも1つの構成部分について、それぞれ、当該構成部分に対応する対応部分を、前記第2画像のエピポーラ線上で探索し、前記第1画像における前記少なくとも1つの構成部分の位置と、前記第2画像におけるそれぞれの対応部分の位置との距離を示す第1視差情報を取得する第1視差情報取得部と、
前記第1画像を構成する少なくとも1つの構成部分について、それぞれ、当該構成部分に対応する対応部分を、前記第3画像のエピポーラ線上で探索し、当該第1画像における前記少なくとも1つの構成部分の位置と、前記第3画像におけるそれぞれの対応部分の位置との距離を示す第2視差情報を取得する第2視差情報取得部と、
前記第1視差情報及び前記第2視差情報に基づいて、前記第1画像を構成する前記少なくとも1つの構成部分に写った被写体と前記撮像装置との距離を示す距離情報を取得する距離情報取得部とを備えた三次元計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及びそれを備えた三次元計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1画像を取得する第1のイメージングユニットと、第2画像を取得する第2のイメージングユニットと、第3画像を取得する第3のイメージングユニットとが三角形状に互いに間隔を空けて配置された三次元計測装置が開示されている。この三次元計測装置は、第1画像の少なくとも1つの画素について、第1のエピポーラ線に沿って第2画像の画素に関連する第1の類似値を特定し、第1画像の前記少なくとも1つの画素について、第2のエピポーラ線に沿って第3画像の画素に関連する第2の類似値を特定し、第1及び第2の類似値を結合し、前記少なくとも1つの画素について、第1画像、第2画像、及び第3画像間で共通の視差を決定し、当該共通の視差から距離を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第11039114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、第1~第3のイメージングユニットのそれぞれに固体撮像素子を設ける必要があるので、三次元計測装置の大型化及びコストの増大を招く。
【0005】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、三次元計測装置を小型化するとともに、コストを削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示は、被写体からの光を通過させる第1撮影レンズと、前記第1撮影レンズを通過した光を受光する第1固体撮像素子と、前記第1撮影レンズから第1方向に間隔を空けて設けられ、前記被写体からの光を通過させる第2撮影レンズと、前記第1方向に対して垂直な第2方向に異なる位置に第1及び第2の第2レンズ側透光部が形成され、前記被写体から前記第2撮影レンズに向かう光の一部を前記第1及び第2の第2レンズ側透光部によって通過させるとともに、当該光の残りを遮断するように配置される第2レンズ側遮蔽部と、前記第2撮影レンズを通過した前記被写体からの光を受光する第2固体撮像素子とを備えた撮像装置であることを特徴とする。
【0007】
これにより、第1固体撮像素子の出力に基づいて、第1撮影レンズを通過した前記被写体からの光に基づく第1画像を取得するとともに、第2固体撮像素子の出力に基づいて、前記第1の第2レンズ側透光部を通過した前記被写体からの光に基づく第2画像と、前記第2の第2レンズ側透光部を通過した前記被写体からの光に基づく第3画像とを取得できる。したがって、三角形状をなす3つの地点から撮影された第1画像、第2画像、及び第3画像を取得するために固体撮像素子を3つ設けなくてもよいので、三次元計測装置を小型化するとともに、コストを削減できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、三次元計測装置を小型化するとともに、コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る三次元計測装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、撮像装置の正面図である。
図3図3は、図2のIII-III線に対応する断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に対応する断面図である。
図5図5は、サブレンズアレイの一部を示す平面図である。
図6図6は、第1エピポーラ線が、y=xの直線となる場合の、第2画像における対応ブロックの探索方法を説明する説明図である。
図7図7は、第1エピポーラ線が、y=x/2の直線となる場合の、第2画像における対応ブロックの探索方法を説明する説明図である。
図8図8は、均一光照射状態において固体撮像素子によって出力される輝度値と、固体撮像素子における上下方向の位置との関係を例示するグラフである。
図9図9は、実施形態1に係る三次元計測装置による距離情報の生成処理を説明するフローチャートである。
図10図10は、視差情報の取得処理を説明するフローチャートである。
図11図11は、視差の算出処理を説明するフローチャートである。
図12図12は、実施形態2の図1相当図である。
図13図13は、実施形態3の図1相当図である。
図14図14は、第1レンズ側透光部を上方に移動させた状態における図2相当図である。
図15図15は、第1レンズ側遮蔽部の回転動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0011】
(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1に係る三次元計測装置1を示す。この三次元計測装置1は、撮像装置10と、信号処理部20と、メモリ40とを備えている。
【0012】
撮像装置10は、図2~4に示すように、筐体11と、第1撮影レンズ12と、第1レンズ側遮蔽部13と、第1固体撮像素子14と、第2撮影レンズ15と、第2レンズ側遮蔽部16と、第2固体撮像素子17複数のサブレンズ18を備えたサブレンズアレイ19(図5参照)とを備えている。図3及び図4中、点OPは、被写体Oに含まれる点を示す。
【0013】
筐体11には、共通の方向に開口する真円形の第1及び第2の開口部11a,11bが、水平な第1方向に互いに間隔を空けて当該第1方向に対して垂直な水平方向に貫通するように形成されている。筐体11の形状は、図2に示す形状に限定されない。筐体11は、第1撮影レンズ12と、第1レンズ側遮蔽部13と、第1固体撮像素子14と、第2撮影レンズ15と、第2レンズ側遮蔽部16と、第2固体撮像素子17と、サブレンズアレイ19とを収容している。
【0014】
第1撮影レンズ12は、筐体11の第1の開口部11aに対向するように配設されている。第1撮影レンズ12は、被写体Oからの光を通過させる。
【0015】
第1レンズ側遮蔽部13は、板状に形成され、筐体11の第1の開口部11a形成面と、第1撮影レンズ12との間に、筐体11の第1の開口部11aに対向するように配設されている。第1レンズ側遮蔽部13は、筐体11の第1の開口部11aに対向するように配設されたガラス板13aを有している。このガラス板13aの第1の開口部11a側の面における下半部の真円形の領域を除く領域には、全体に亘って塗膜13bが塗装により形成されている。ガラス板13aの塗膜13b非形成領域は、光を通過させる真円形の第1レンズ側透光部13cを構成している。第1レンズ側遮蔽部13は、被写体Oから前記第1撮影レンズ12に向かう光の一部を前記第1レンズ側透光部13cによって通過させるとともに、当該光の残りを遮断するように配置されている。なお、ガラス板13aに代えて、樹脂等のガラス以外の材料からなる透光性の板材を用いてもよい。また、塗膜13bに代えて、塗料以外の材料からなる遮光層を設けてもよい。
【0016】
第1固体撮像素子14は、第1レンズ側遮蔽部13の第1レンズ側透光部13c、及び第1撮影レンズ12を通過した被写体Oからの光L1を受光し、複数の画素の輝度値を出力する。
【0017】
第2撮影レンズ15は、第1撮影レンズ12から第1方向に間隔を空けて、筐体11の第2の開口部11bに対向するように配設されている。つまり、第2撮影レンズ15は、その厚さ方向を第1撮影レンズ12と同じ向きに向けている。第2撮影レンズ15も、被写体Oからの光を通過させる。
【0018】
第2レンズ側遮蔽部16は、板状に形成され、筐体11の第2の開口部11b形成面と、第2撮影レンズ15との間に、筐体11の第2の開口部11bに対向するように配設されている。第2レンズ側遮蔽部16は、筐体11の第2の開口部11bに対向するように配設されたガラス板16aを有している。このガラス板16aの第2の開口部11b側の面における上半部の真円形の領域と下半部の真円形の領域とを除く領域には、全体に亘って塗膜16bが塗装により形成されている。ガラス板16aの上側の塗膜16b非形成領域は、光を通過させる真円形の第1の第2レンズ側透光部16cを構成している。ガラス板16aの下側の塗膜16b非形成領域は、光を通過させる真円形の第2の第2レンズ側透光部16dを構成している。第2レンズ側遮蔽部16は、被写体Oから第2撮影レンズ15に向かう光の一部を第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dによって通過させるとともに、当該光の残りを遮断するように配置されている。第2の第2レンズ側透光部16dは、第1レンズ側透光部13cと上下方向に同じ位置に位置している。第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dの上下方向の間隔は、0よりも長く、第2撮影レンズ15の直径よりも短く設定される。第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dが上下方向(第1方向に対して垂直な第2方向)に異なる位置に形成されているので、第1レンズ側透光部13cと第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dとで、異なる傾きの2本のエピポーラ線EP1,EP2を形成できる。第1レンズ側透光部13cと、第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dとの位置関係は、それぞれの重心が水平方向に一直線とならず、異なる傾きの2本のエピポーラ線EP1,EP2を形成できれば、他の位置関係であってもよい。エピポーラ線EP1,EP2の詳細な説明については後述する。
【0019】
第2固体撮像素子17は、第2レンズ側遮蔽部16の第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dと、第2撮影レンズ15を通過した前記被写体Oからの光L2,L3を受光する。
【0020】
サブレンズアレイ19を構成するサブレンズ18は、第2撮影レンズ15と、第2固体撮像素子17との間に、第2撮影レンズ15と平行に介設されている。サブレンズ18は、第2撮影レンズ15の反第2レンズ側遮蔽部16側の焦点に位置している。図5に示すように、サブレンズ18は、上下方向(以下、「第2方向」と呼ぶ)の長さが第1方向の長さの約2倍である楕円形をなしている。サブレンズ18の第1方向の長さ及び位置は、サブレンズ18を通過した光L2の第2固体撮像素子17における照射領域が、第1方向において、第2固体撮像素子17の1画素に収まるように設定されている。サブレンズ18の下半分(第2方向一方の半分)には、第1の第2レンズ側透光部16cを通過した光L2が通過し、サブレンズ18の上半分(第2方向他方の半分)には、第2の第2レンズ側透光部16dを通過した光L3が通過する。サブレンズ18を通過した光L2,L3は、第2固体撮像素子17における互いに異なる画素に対応する領域に入射する。サブレンズ18の第2方向の長さ及び位置は、サブレンズ18を通過した光L2,L3の第2固体撮像素子17における照射領域が、第2方向において、第2固体撮像素子17の2画素に収まるように設定されている。サブレンズ18は、第1方向に互いに隣り合うように、複数設けられている。サブレンズ18の第1方向の個数は、第2固体撮像素子17において第1方向に並ぶ画素の数に相当する。
【0021】
信号処理部20は、第1画像取得部21と、第2画像取得部22と、第1視差情報取得部23と、第2視差情報取得部24と、距離情報取得部25と、フィルタ情報生成部26とを備えている。
【0022】
第1画像取得部21は、第1固体撮像素子14によって出力された複数の画素の輝度値に基づいて、第1画像を取得する。第1画像取得部21は、第1シェーディング補正部21aを有している。この第1シェーディング補正部21aは、第1固体撮像素子14によって出力された複数の画素の輝度値に、第2方向の位置に応じた補正を行うことにより、第1画像を取得する。具体的には、後述するキャリブレーション処理により第2方向の位置毎に取得されてメモリ40に保存された第1補正値を、第1固体撮像素子14によって出力された全画素の輝度値に乗算する補正を行う。そして、第1画像取得部21は、第1固体撮像素子14によって出力された全画素の補正後の輝度値を、第1画像の全画素の輝度値として出力する。
【0023】
第2画像取得部22は、第2固体撮像素子17によって出力された複数の画素の輝度値に基づいて、前記第1の第2レンズ側透光部16cを通過した光L2に基づく第2画像と、前記第2の第2レンズ側透光部16dを通過した光L3に基づく第3画像とを取得する。具体的には、第2画像取得部22は、情報抽出部22aと、第2シェーディング補正部22bと、第3シェーディング補正部22cと、第2画像サイズ補正部22dと、第3画像サイズ補正部22eとを有している。
【0024】
情報抽出部22aは、第2固体撮像素子17によって出力された全画素の輝度値から、第1の第2レンズ側透光部16cを通過した光L2に基づく画素の輝度値と、第2の第2レンズ側透光部16dを通過した光L3に基づく画素の輝度値とを抽出する。
【0025】
第2シェーディング補正部22bは、情報抽出部22aによって抽出された第1の第2レンズ側透光部16cを通過した光L2に基づく画素の輝度値に、第2方向の位置に応じた補正を行うことにより、第1サイズ補正前画像を取得する。具体的には、第2シェーディング補正部22bは、後述するキャリブレーション処理により第2方向の位置毎に取得されてメモリ40に保存された第2補正値を、第1の第2レンズ側透光部16cを通過した光L2に基づく全画素の輝度値に乗算する補正を行う。
【0026】
第3シェーディング補正部22cは、情報抽出部22aによって抽出された第2の第2レンズ側透光部16dを通過した光L3に基づく画素の輝度値に、第2方向の位置に応じた補正を行うことにより、第2サイズ補正前画像を取得する。具体的には、第3シェーディング補正部22cは、後述するキャリブレーション処理により第2方向の位置毎に取得されてメモリ40に保存された第3補正値を、第2の第2レンズ側透光部16dを通過した光L3に基づく全画素の輝度値に乗算する補正を行う。
【0027】
第2画像サイズ補正部22dは、第2シェーディング補正部22bによって取得された第1サイズ補正前画像に対し、画像サイズの補正を行い、補正後の画像を第2画像として出力する。第2画像サイズ補正部22dは、第1シェーディング補正部21aから出力される第1画像の情報に基づいて、第2画像が第1画像と同じサイズ(画素数)になるように画像サイズの補正を行う。このとき、第2画像を上下方向に引き伸ばすが、左右方向には引き伸ばさないので、後述する第1エピポーラ線EP1上での探索における精度の悪化を招かない。
【0028】
第3画像サイズ補正部22eは、第3シェーディング補正部22cによって取得された第2サイズ補正前画像に対し、画像サイズの補正を行い、補正後の画像を第3画像として出力する。第3画像サイズ補正部22eは、第1シェーディング補正部21aから出力される第1画像の情報に基づいて、第3画像が第1画像と同じサイズ(画素数)になるように画像サイズの補正を行う。このとき、第3画像を上下方向に引き伸ばすが、左右方向には引き伸ばさないので、後述する第2エピポーラ線EP2上での探索における精度の悪化を招かない。
【0029】
第1視差情報取得部23は、第1画像を構成する複数の構成ブロック(構成部分)について、それぞれ、当該構成ブロックに対応する対応ブロック(対応部分)を、前記第2画像の第1エピポーラ線EP1上で探索する。そして、第1画像における前記複数の構成ブロックの位置と、前記第2画像におけるそれぞれの対応ブロックの位置との距離(第1エピポーラ線EP1に沿う方向の距離)を示す第1視差情報を取得する。ここで探索に用いる第1エピポーラ線EP1は、被写体Oの点OPと、第1レンズ側遮蔽部13の第1レンズ側透光部13cと、第2レンズ側遮蔽部16の第1の第2レンズ側透光部16cとを結ぶエピポーラ平面と、第2画像との交差する線である。第1視差情報は、第1画像の各構成ブロックの画素値を、第1画像におけるその構成ブロックの位置と、第2画像における対応ブロックの位置との距離に応じた画素値とした視差画像を示す画像情報である。この画像情報において、対応ブロック(対応部分)を、前記第2画像の第1エピポーラ線EP1上で検出できなかった構成ブロックの画素値は、空白を示す所定の空白値とされる。
【0030】
なお、第1エピポーラ線EP1は、第2画像における横方向に対して上下方向に傾斜する。
【0031】
図6に示すように、例えば、第2画像における横方向をx軸、縦方向をy軸とし、第1エピポーラ線EP1が、y=xの直線となるとき、第1画像を構成する横3画素、縦3画素の正方形の構成ブロックについて、それぞれ、当該構成ブロックに対応する対応ブロックを、前記第2画像の第1エピポーラ線EP1上で探索する。
【0032】
図7に示すように、例えば、第2画像における横方向をx軸、縦方向をy軸とし、第1エピポーラ線EP1が、y=x/2の直線となるとき、第1画像を構成する横3画素、縦6画素の長方形の構成ブロックについて、それぞれ、当該構成ブロックに対応する対応ブロックを、前記第2画像の第1エピポーラ線EP1上で探索する。
【0033】
つまり、第2画像における横方向をx軸、縦方向をy軸とし、第1エピポーラ線EP1が、y=ax+bの直線となるとき、構成ブロック及び対応ブロックの縦方向の画素数を、横方向の画素数の1/a倍とする。
【0034】
第2視差情報取得部24は、第1画像を構成する複数の構成ブロックについて、それぞれ、当該構成ブロックに対応する対応ブロックを、前記第3画像の第2エピポーラ線EP2上で探索する。そして、第1画像における前記複数の構成ブロックの位置と、前記第3画像におけるそれぞれの対応ブロックの位置との距離を示す第2視差情報を取得する。ここで探索に用いる第2エピポーラ線EP2は、被写体Oの点と、第1レンズ側遮蔽部13の第1レンズ側透光部13cと、第2レンズ側遮蔽部16の第2の第2レンズ側透光部16dとを結ぶエピポーラ平面と、第3画像との交差する線である。第2エピポーラ線EP2は、第3画像における横方向に延び、第3画像における横方向に対して上下方向に傾斜しない。第2視差情報は、第1画像の各構成ブロックの画素値を、第1画像における当該構成ブロックの位置と、第3画像における対応ブロックの位置との距離に応じた画素値とした視差画像を示す画像情報である。この画像情報においても、対応ブロック(対応部分)を、前記第3画像の第2エピポーラ線EP2上で検出できなかった構成ブロックの画素値は、空白を示す所定の空白値とされる。
【0035】
距離情報取得部25は、第1視差情報取得部23によって取得された第1視差情報と、第2視差情報取得部24によって取得された第2視差情報とに基づいて、距離情報を取得する。距離情報は、第1画像を構成する各構成ブロックに写った被写体Oと、撮像装置10との距離を示す情報である。詳しくは、距離情報は、第1画像の各構成ブロックの画素値を、当該構成ブロックに写った被写体Oと、撮像装置10との距離に応じた画素値とした画像を示す画像情報である。
【0036】
距離情報取得部25は、視差情報合成部25aと、距離画像生成部25bとを有している。
【0037】
視差情報合成部25aは、第1視差情報によって示される画像における空白値の各画素の画素値を、第2視差情報によって示される画像における当該画素の画素値に置換することにより、合成視差情報を取得する。つまり、合成視差情報は、第1視差情報を第2視差情報によって補完することによって得られる画像情報である。
【0038】
距離画像生成部25bは、視差情報合成部25aによって取得された合成視差情報に基づいて、前記距離情報を生成する。
【0039】
構成ブロックに写った被写体Oと撮像装置10との距離(距離情報における各画素の画素値によって示される距離)をzとし、合成視差情報によって示される視差をd、第1レンズ側透光部13cと第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dとの第1方向の間隔をb、焦点距離をfとすると、zは、以下のような一般的な式1によって算出できる。
【0040】
z = b・f/d ・・・(式1)
フィルタ情報生成部26は、出荷時に、第1固体撮像素子14及び第2固体撮像素子17によって出力される輝度値を取得し、当該輝度値に基づいて、前記第1補正値、前記第2補正値、及び前記第3補正値を算出し、メモリ40に保存するキャリブレーション処理を行う。フィルタ情報生成部26による輝度値の取得は、第1レンズ側遮蔽部13の第1レンズ側透光部13cと、第2レンズ側遮蔽部16の第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dとに、第1又は第2の開口部11a,11b側から均一光を照射した均一光照射状態で行われる。つまり、均一光照射状態では、第1レンズ側透光部13c、第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dの表面上のすべての位置において、入射光の強度が等しくなるように光が照射される。
【0041】
図8は、第1レンズ側透光部13cを第1撮影レンズ12の中央に対向するように配置した場合に、均一光照射状態において第1固体撮像素子14及び第2固体撮像素子17によって出力される輝度値と、固体撮像素子14,17における上下方向の位置との関係を例示する。図8中、x軸方向右側が上側を示す。
【0042】
第1レンズ側透光部13cを第1撮影レンズ12の中央に対向するように配置した場合、第1固体撮像素子14における第1レンズ側透光部13cを通過した光L1の照射領域の輝度値は、図8の曲線C1に示すように、当該照射領域における第2方向(上下方向)中央で大きくなる。第2固体撮像素子17における第1の第2レンズ側透光部16cを通過した光L2の照射領域の輝度値は、図8の曲線C2に示すように、当該照射領域における上側で大きくなる。第2固体撮像素子17における第2の第2レンズ側透光部16dを通過した光L3の照射領域の輝度値は、図8の曲線C3に示すように、当該照射領域における下側で大きくなる。
【0043】
フィルタ情報生成部26は、均一光照射状態で第1レンズ側透光部13cを通過した光L1の照射領域の輝度値の逆数を、各画素における第1補正値として算出する。このとき、第2方向の位置が等しい画素の第1補正値は共通となる。
【0044】
また、フィルタ情報生成部26は、均一光照射状態で第1の第2レンズ側透光部16cを通過した光L2の照射領域の輝度値の逆数を、各画素における第2補正値として算出する。したがって、各画素における第2補正値は、図8の曲線C2で示される値の逆数となる。また、第2方向の位置が等しい画素の第2補正値は共通となる。
【0045】
また、フィルタ情報生成部26は、均一光照射状態で第2の第2レンズ側透光部16dを通過した光L3の照射領域の輝度値の逆数を、各画素における第3補正値として算出する。したがって、各画素における第3補正値は、図8の曲線C3で示される値の逆数となる。また、第2方向の位置が等しい画素の第3補正値は共通となる。
【0046】
次に、上述のように構成された三次元計測装置1による距離情報の生成処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
まず、(S101)において、被写体Oからの光L1,L2,L3を、第1固体撮像素子14及び第2固体撮像素子17が共通のタイミングで受光する。第1固体撮像素子14には、第1レンズ側遮蔽部13の第1レンズ側透光部13c、及び第1撮影レンズ12を通過した被写体Oからの光L1が入射する。第2固体撮像素子17には、第2レンズ側遮蔽部16の第1の第2レンズ側透光部16c、第2撮影レンズ15、及びサブレンズ18を通過した被写体Oからの光L2と、第2レンズ側遮蔽部16の第2の第2レンズ側透光部16d、第2撮影レンズ15、及びサブレンズ18を通過した被写体Oからの光L3が入射する。
【0048】
次いで、(S102)において、第1シェーディング補正部21aが、(S101)において第1固体撮像素子14によって出力された全画素の輝度値に、メモリ40に保存された第1補正値に基づく補正を行うことにより、第1画像を取得する。また、情報抽出部22aが、(S101)において第2固体撮像素子17によって出力された全画素の輝度値から、第1の第2レンズ側透光部16cを通過した光L2に基づく画素の輝度値と、第2の第2レンズ側透光部16dを通過した光L3に基づく画素の輝度値とを抽出する。そして、第2シェーディング補正部22bは、第1の第2レンズ側透光部16cを通過した光L2に基づく全画素の輝度値に、メモリ40に保存された第2補正値に基づく補正を行うことにより、第1サイズ補正前画像を取得する。さらに、第3シェーディング補正部22cは、第2の第2レンズ側透光部16dを通過した光L3に基づく画素の輝度値に、メモリ40に保存された第3補正値に基づく補正を行うことにより、第2サイズ補正前画像を取得する。
【0049】
次いで、(S103)において、第2画像サイズ補正部22dは、(S102)で取得された第1サイズ補正前画像に対し、画像サイズの補正を行い、補正後の画像を第2画像として出力する。また、第3画像サイズ補正部22eは、(S102)で取得された第2サイズ補正前画像に対し、画像サイズの補正を行い、補正後の画像を第3画像として出力する。
【0050】
次いで、(S104)において、第1視差情報取得部23が、(S102)で取得された第1画像と、(S103)で取得された第2画像とに基づいて、第1視差情報を取得する。また、第2視差情報取得部24が、(S102)で取得された第1画像と、(S103)で取得された第3画像とに基づいて、第2視差情報を取得する。第1視差情報、及び第2視差情報の詳細な取得方法については、後述する。
【0051】
次いで、(S105)において、距離情報取得部25の視差情報合成部25aが、(S104)で取得された第1視差情報及び第2視差情報に基づいて、合成視差情報を取得する。
【0052】
最後に、(S106)において、距離情報取得部25の距離画像生成部25bが、(S105)で取得された合成視差情報に基づいて、距離情報を生成する。これにより、信号処理部20による距離情報の生成処理が完了する。
【0053】
次に、(S104)における第1視差情報の取得処理について、図10のフローチャートを参照して詳細に説明する。ここで、(S102)で取得された第1画像を基準画像、(S103)で取得された第2画像を入力画像とする。
【0054】
まず、(S201)において、第1視差情報取得部23が、基準画像と入力画像を取得する。
【0055】
次いで、(S202)において、第1視差情報取得部23が、基準画像を複数の構成ブロックに分割する。このとき、第1エピポーラ線EP1の傾きがaであるとき、例えば、構成ブロックの横方向の画素数は、3画素に設定され、構成ブロックの縦方向の画素数は、3画素の1/a倍に設定される。
【0056】
次いで、(S203)において、第1視差情報取得部23が、(S202)の分割により特定された複数の構成ブロックから、未選択の構成ブロックを選択する。
【0057】
次いで、(S204)において、第1視差情報取得部23が、(S203)で選択された構成ブロックに対応する対応ブロックを、入力画像の第1エピポーラ線EP1上で探索することにより、基準画像における当該構成ブロックの位置と、入力画像における対応ブロックの位置との距離である視差を算出する。(S204)における詳細な処理については、後述する。
【0058】
次いで、(S205)において、第1視差情報取得部23が、(S204)で算出した視差に応じた画素値を、図示しない視差画像用メモリに格納する。視差画像用メモリにおける当該画素値の格納領域は、(S203)で選択された構成ブロックに割り当てられた領域である。
【0059】
次いで、(S206)において、第1視差情報取得部23が、(S202)の分割により特定された複数の構成ブロックの全てを(S203)で選択したか否かを判定する。つまり、未選択の構成ブロックが残っているか否かを判定する。(S202)の分割により特定された複数の構成ブロックの全てを(S203)で選択し終えており、未選択の構成ブロックが残っていない場合には、第1視差情報の取得処理を終了する。一方、(S202)の分割により特定された複数の構成ブロックの一部を(S203)で選択しておらず、未選択の構成ブロックが残っている場合には、(S203)に戻る。
【0060】
次に、(S204)における視差の算出処理について、図11のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0061】
まず、(S301)において、第1視差情報取得部23が、iを初期値に設定する。初期値としては、例えば1が設定される。
【0062】
次いで、(S302)において、第1視差情報取得部23が、(S203)で選択された構成ブロックと共通のサイズの抽出領域AR(図6図7参照)を抽出する。ここでは、まず抽出領域ARを、縦方向の中心が、(S203)で選択された構成ブロックの中心から延びる第1エピポーラ線EP1上に位置し、横方向の中心がi列目となるように移動させる。そしてこの状態で、抽出領域ARの端縁が、図7中、仮想線で示すように、画素の途中に位置するときは、第1視差情報取得部23は、画素の端縁と一致するように上下方向に抽出領域ARを最低限の長さだけ移動させる。
【0063】
次いで、(S303)において、第1視差情報取得部23は、(S203)で選択された構成ブロックと(S302)で抽出した抽出領域ARとの類似度を算出する。ここでは、類似度として例えば、NCC(Normalized Cross Correlation)が算出される。また、第1視差情報取得部23は、iに1を加算する。
【0064】
次いで、(S304)において、第1視差情報取得部23は、iが所定値であるか否かを判定する。所定値は、例えば入力画像の横方向の全画素数よりも1大きい値に設定される。第1視差情報取得部23は、iが所定値である場合には、(S305)の処理に進む一方、iが所定値でない場合には、(S302)の処理に戻る。
【0065】
(S305)では、iが初期値から所定値に至るまでに(S303)で類似度が算出された抽出領域ARのうち、最も類似度が大きい抽出領域ARを対応ブロックとして特定する。そして、入力画像における対応ブロックの位置と、基準画像における構成ブロックの位置との距離である視差を算出し、視差の算出処理が終了する。
【0066】
なお、第2視差情報取得部24は、(S102)で取得された第1画像を基準画像、(S103)で取得された第3画像を入力画像として、図10のフローチャートの処理を同様に実行することにより、第2視差情報を取得する。かかる場合、第2エピポーラ線EP2は水平方向に延びるので、(S202)において、構成ブロックのサイズは常に一定に設定される。構成ブロックの横方向及び縦方向の画素数は、例えば3画素に設定される。また、(S302)で第2視差情報取得部24が抽出する抽出領域ARは、構成ブロックと同じ行に位置し、横方向の中心がi列目となる領域である。
【0067】
したがって、本実施形態1によれば、第1固体撮像素子14の出力に基づいて、第1撮影レンズ12を通過した被写体Oからの光L1に基づく第1画像を取得するとともに、第2固体撮像素子17の出力に基づいて、第1の第2レンズ側透光部16cを通過した被写体Oからの光L2に基づく第2画像と、第2の第2レンズ側透光部16dを通過した被写体Oからの光L3に基づく第3画像とを取得できる。したがって、三角形状をなす3つの地点から撮影された第1画像、第2画像、及び第3画像を取得するために、固体撮像素子を3つ設けなくてもよいので、三次元計測装置1を小型化するとともに、コストを削減できる。
【0068】
また、本実施形態1によれば、第1レンズ側透光部13cと、第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dとを真円形としたので、楕円形とした場合に比べ、被写界深度を深くし、画像のボケを抑制することにより、得られる距離情報の精度を高められる。
【0069】
また、サブレンズ18を、第1方向において、第2固体撮像素子17の画素毎に設けたので、より少なく設けた場合よりも、第2画像及び第3画像の第1方向の解像度を高められる。
【0070】
(実施形態2)
図12は、本開示の実施形態2に係る三次元計測装置1を示す。本実施形態2では、第1レンズ側遮蔽部13が、液晶シャッターで構成されている。また、信号処理部20が、第1レンズ側サイズ調整部としての液晶シャッター制御部51をさらに備えている。また、フィルタ情報生成部26が、前記均一光照射状態で第1固体撮像素子14及び第2固体撮像素子17によって出力される輝度値をメモリ40に記憶させる。液晶シャッター制御部52は、第1固体撮像素子14及び第2固体撮像素子17によって出力されてメモリ40に記憶された輝度値に基づいて、第1レンズ側遮蔽部13の第1レンズ側透光部13cの大きさを調整する。例えば、液晶シャッター制御部51は、均一光照射状態で第1レンズ側透光部13cを通過した光L1に基づく画素の輝度値の平均と、均一光照射状態で第1又は第2の第2レンズ側透光部16c,16dを通過した光L2,L3に基づく画素の輝度値の平均とが等しくなるように、第1レンズ側遮蔽部13の第1レンズ側透光部13cの大きさを調整する。第1レンズ側透光部13cの大きさを大きくすることにより、第1固体撮像素子14によって出力される全画素の輝度値の平均を大きくできる。本実施形態2では、信号処理部20が、第1シェーディング補正部21a、第2シェーディング補正部22b、及び第3シェーディング補正部22cを備えていない。第1画像取得部21は、第1固体撮像素子14によって出力された複数の画素の輝度値を、第1画像として取得する。
【0071】
その他の構成及び動作は、実施形態1と同じであるので、同一の構成には同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0072】
(実施形態2の変形例)
上記実施形態2では、第1レンズ側遮蔽部13だけを液晶シャッターで構成したが、第2レンズ側遮蔽部16だけを液晶シャッターで構成してもよい。そして、液晶シャッター制御部51が、第1固体撮像素子14及び第2固体撮像素子17によって出力されてメモリ40に記憶された輝度値に基づいて、第2レンズ側遮蔽部16の第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dのうちの少なくとも一方の大きさを調整するようにしてもよい。つまり、液晶シャッター制御部51が、第2レンズ側サイズ調整部を構成してもよい。また、第1レンズ側遮蔽部13及び第2レンズ側遮蔽部16の両方を液晶シャッターで構成し、液晶シャッター制御部51が、メモリ40に記憶された輝度値に基づいて、第1レンズ側遮蔽部13の第1レンズ側透光部13cの大きさと、第2レンズ側遮蔽部16の第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dの大きさとを調整するようにしてもよい。
【0073】
また、実施形態1では、第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dを通過した光を第2固体撮像素子17に共通のタイミングで受光させた。しかし、第2レンズ側遮蔽部16を液晶シャッターで構成した場合には、第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dのうちの一方だけを第2レンズ側遮蔽部16に形成した状態で、第2固体撮像素子17に撮像をさせ、その後、第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dのうちの他方だけを第2レンズ側遮蔽部16に形成した状態で、第2固体撮像素子17に撮像をさせることにより、第2画像及び第3画像を取得してもよい。
【0074】
(実施形態3)
図13は、実施形態3に係る三次元計測装置1を示す。本実施形態3では、第1レンズ側遮蔽部13が、液晶シャッターで構成されている。また、信号処理部20が、第1レンズ側透光部13cを前記第2方向に移動させる位置調整部としての液晶シャッター制御部52をさらに備えている。液晶シャッター制御部52は、第1レンズ側透光部13cを、第2の第2レンズ側透光部16dと第2方向(上下方向)に同じ図2に示す第1位置と、第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dのいずれとも第2方向(上下方向)に異なる図14に示す第2位置とに移動させることができる。
【0075】
また、距離情報取得部25の視差情報合成部25aが、第1レンズ側透光部13cを第2方向に異なる複数種類の位置に配置した状態での撮影により取得した複数の合成視差情報をさらに合成できる。例えば、視差情報合成部25aは、第1レンズ側透光部13cを前記第1位置に配置した状態での撮影により取得した合成視差情報を、第1レンズ側透光部13cを前記第2位置に配置した状態での撮影により取得した合成視差情報で補完できる。
【0076】
その他の構成及び動作は、実施形態1と同じであるので、同一の構成には同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0077】
したがって、本実施形態3によれば、被写体Oと撮像装置10との距離に応じた情報を、第1画像の全ての画素について、より確実に取得できる。
【0078】
(実施形態3の変形例)
上記実施形態3において、液晶シャッター制御部52が、第1レンズ側透光部13cを第1方向に移動させるようにしてもよい。また、第1レンズ側遮蔽部13を実施形態1のようにガラス板13a及び塗膜13bで構成し、図15に示すように、第1レンズ側遮蔽部13を自動又は手動でx方向に回転させることにより、第1レンズ側透光部13cを第1方向及び第2方向に移動させる回転機構を設けてもよい。
【0079】
これらの変形例によれば、第1レンズ側透光部13cを第1方向に移動させることにより、第1レンズ側透光部13cと第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dとの第1方向の間隔を変更し、距離分解能を調整することができる。以下の式2において、構成ブロックに写った被写体Oと撮像装置10との距離をz、視差をd、第1レンズ側透光部13cと第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dとの第1方向の間隔をb、焦点距離をfとする。
【0080】
Δz=zΔd/(fb+zΔd)≒zΔd/fb ・・・(式2)
式2より、b、すなわち第1レンズ側透光部13cと第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dとの第1方向の間隔を長くすることにより、距離分解能を向上できることがわかる。b、すなわち第1レンズ側透光部13cと第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dとの第1方向の間隔は、例えば、10~30cmに設定される。
【0081】
(その他の実施形態)
上記実施形態1~3及びそれらの変形例では、第1レンズ側透光部13cと、第1及び第2の第2レンズ側透光部16c,16dとを真円形としたが、楕円形としてもよい。
【0082】
上記実施形態1~3及びそれらの変形例では、サブレンズ18を、サブレンズ18を通過した光L2,L3の第2固体撮像素子17における照射領域が、第1方向において1画素分、第2方向において2画素分に相当するように配設した。しかし、サブレンズ18のレイアウトパターンは、これに限られない。例えば、サブレンズ18を、サブレンズ18を通過した光L2,L3の第2固体撮像素子17における照射領域が、第1方向において2画素分、第2方向において2画素分に相当するように配設してもよい。
【0083】
また、上記実施形態1~3及びそれらの変形例では、(S303)において、類似度を算出したが、SAD(sum of absolute differences)、SSD(sum of square differences)等の相違度や、他の評価値を算出してもよい。(S303)において相違度を算出した場合には、(S305)において、最も相違度が小さい抽出領域ARを対応ブロックとして特定すればよい。
【0084】
また、上記実施形態1~3及びそれらの変形例では、第1視差情報、第2視差情報、及び距離情報を画像情報としたが、画像情報でなくてもよい。また、第1視差情報及び第2視差情報は、第1画像を構成する1つの構成部分の位置と、第2画像又は第3画像におけるその対応ブロックの位置との距離を示す情報であってもよい。距離情報も、第1画像を構成する1つの構成部分に映った被写体Oと撮像装置10との距離を示すものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示は、三次元計測装置を小型化するとともに、コストを削減できる撮像装置及びそれを備えた三次元計測装置として有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 三次元計測装置
10 撮像装置
12 第1撮影レンズ
13 第1レンズ側遮蔽部
13c 第1レンズ側透光部
14 第1固体撮像素子
15 第2撮影レンズ
16 第2レンズ側遮蔽部
16c 第1の第2レンズ側透光部
16d 第2の第2レンズ側透光部
17 第2固体撮像素子
18 サブレンズ
21 第1画像取得部
22 第2画像取得部
23 第1視差情報取得部
24 第2視差情報取得部
25 距離情報取得部
EP1 第1エピポーラ線
EP2 第2エピポーラ線
O 被写体
L1、L2、L3 光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15