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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-26
(45)【発行日】2025-07-04
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/536 20210101AFI20250627BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20250627BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20250627BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20250627BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20250627BHJP
【FI】
H01M50/536
H01M50/152
H01M50/533
H01M50/548 201
H01M10/04 W
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022550643
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 JP2021034620
(87)【国際公開番号】W WO2022059797
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2024-07-09
(31)【優先権主張番号】63/081,068
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下司 真也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 真一
(72)【発明者】
【氏名】清水 一路
(72)【発明者】
【氏名】神月 きよみ
(72)【発明者】
【氏名】小平 一紀
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-243373(JP,A)
【文献】特開平11-312509(JP,A)
【文献】特表2012-510143(JP,A)
【文献】特開2001-256994(JP,A)
【文献】特許第5858158(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/10
H01M 10/04
H01M 10/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の第1集電体、および前記第1集電体に担持された第1活物質層を有する第1電極と、
帯状の第2集電体、および前記第2集電体に担持された第2活物質層を有する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に介在するセパレータと、
を備え、
前記第1電極、前記第2電極、および前記セパレータは、柱状巻回体を構成しており、
前記柱状巻回体の外周を覆うと共に前記第2集電体と電気的に接続され、第1開口を有する筒状体と、
前記第1開口を封口する封口体と、
前記第1集電体と前記封口体とを電気的に接続する少なくとも1つの第1タブと、
をさらに備え、
前記第1タブの一端は、前記第1集電体に接続され、
前記第1タブの他端は、前記封口体に接続され、
前記封口体は、前記柱状巻回体とは反対側を向く第1面を含む第1部材と、前記柱状巻回体側を向く第2面を含む第2部材とを有し、
前記第1タブの前記他端は、前記第1部材の前記第1面に溶接されて第1溶接部を形成しており、
前記第1溶接部は、前記第1面と前記第2面との間に位置する、蓄電装置。
【請求項2】
前記第1部材は、中央に前記第1タブが通過する貫通孔を有する環状部材であり、
前記第2部材は、前記貫通孔を塞いでいる、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第1部材と前記第2部材とは、前記第1溶接部よりも径方向外側の第2溶接部により溶接されている、請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第1部材は、環状に形成されかつ前記第1面を底面とする凹部を有し、
前記第2部材は、前記貫通孔を塞ぐ中央部と、前記中央部の周囲に設けられた外周部とを有し、
前記外周部は、全周にわたって前記第2溶接部により前記第1部材に接合されている、請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第1タブは、前記第2面および前記第1面と接合されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
複数の前記第1タブを備え、
少なくとも2つの前記第1タブの前記他端は、互いに重なって前記第1部材の前記第1面に溶接されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記筒状体は、金属ケースの一部で構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記筒状体は、金属シートの巻回体で構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力を貯蔵する蓄電装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の蓄電装置は、正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した巻回電極群と、巻回電極群を収容する電池容器と、電池容器を封口し外部出力端子となる封口電池蓋群とを備える電池である。特許文献1の蓄電装置では、巻回電極群から導出された多数の集電タブが、巻回電極群の上部に配置された集電リングに溶接されている。集電リングと封口電池蓋群とは、リード板で互いに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4356209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の蓄電装置は、多数の集電タブが、集電リングおよびリード板を介して封口電池蓋群に接続されている。そのため、特にリード板の存在によって、蓄電装置の内部抵抗が大きくなってしまう。このような状況において、本開示は、蓄電装置の内部抵抗を小さくすることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る一局面は、蓄電装置に関する。当該蓄電装置は、帯状の第1集電体、および前記第1集電体に担持された第1活物質層を有する第1電極と、帯状の第2集電体、および前記第2集電体に担持された第2活物質層を有する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在するセパレータと、を備え、前記第1電極、前記第2電極、および前記セパレータは、柱状巻回体を構成しており、前記柱状巻回体の外周を覆うと共に前記第2集電体と電気的に接続され、第1開口を有する筒状体と、前記第1開口を封口する封口体と、前記第1集電体と前記封口体とを電気的に接続する少なくとも1つの第1タブと、をさらに備え、前記第1タブの一端は、前記第1集電体に接続され、前記第1タブの他端は、前記封口体に接続され、前記封口体は、前記柱状巻回体とは反対側を向く第1面を含む第1部材と、前記柱状巻回体側を向く第2面を含む第2部材とを有し、前記第1タブの前記他端は、前記第1部材の前記第1面に溶接されて第1溶接部を形成しており、前記第1溶接部は、前記第1面と前記第2面との間に位置する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、蓄電装置の内部抵抗を小さくすることができる。
【0007】
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本願の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1の蓄電装置を模式的に示す断面図である。
図2】実施形態2の蓄電装置を模式的に示す断面図である。
図3】実施形態3の柱状巻回体の展開図である。
図4】実施形態3の蓄電装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係る蓄電装置の実施形態について例を挙げて以下に説明する。しかしながら、本開示は以下に説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
【0010】
本開示に係る蓄電装置は、帯状の第1電極と、帯状の第2電極と、第1電極と第2電極との間に介在するセパレータとを備える。第1電極、第2電極、およびセパレータは、柱状巻回体を構成している。すなわち、第1電極と第2電極とは、セパレータを介して巻回されている。
【0011】
第1電極は、帯状の第1集電体と、第1集電体に担持された第1活物質層とを有する。第2電極は、帯状の第2集電体と、第2集電体に担持された第2活物質層とを有する。
【0012】
蓄電装置は、第1開口を有する筒状体と、第1開口を封口する封口体と、少なくとも1つの第1タブとをさらに備える。第1開口の外形と封口体の外形は対応しており、通常は円形である。第1タブは、例えばリボン状もしくはストリップ状である。筒状体と封口体との間にはガスケットなどの絶縁材料を介在させてもよい。
【0013】
筒状体は、柱状巻回体の外周を覆うと共に第2集電体と電気的に接続される。筒状体は、導電性材料で構成されてもよい。
【0014】
封口体は、柱状巻回体とは反対側を向く第1面を含む第1部材と、柱状巻回体側を向く第2面を含む第2部材とを有する。すなわち、封口体は、複数部材で構成されており、さらに別部材を具備してもよい。第1部材と第2部材は、それぞれが部分的に筒状体の軸方向において重なり合うように配置されている。第1部材と第2部材とは電気的に導通していてもよい。これにより、太い導電パスを形成することができる。
【0015】
第1タブは、第1集電体と封口体とを電気的に接続する。第1タブの一端は、第1集電体に接続される。第1タブの他端は、封口体に接続される。第1タブは、第1集電体と一体であってもよいし、第1集電体と別体であってもよい。前者の場合、第1タブの一端は、第1タブの基端となり、かつ第1タブの他端は、第1タブの先端となる。後者の場合、第1タブの一端は、溶接などにより第1集電体に電気的に接続される。
【0016】
第1タブの他端は、第1部材の第1面に溶接されて第1溶接部を形成している。この第1溶接部は、例えば、レーザ溶接または超音波溶接により形成されてもよい。第1溶接部は、第1面と第2面との間に位置する。
【0017】
以上のように、本開示によれば、第1タブが封口体に直接的に接続される。つまり、第1タブと封口体との間に集電リングなどの中間部材が存在しない。よって、蓄電装置の内部抵抗を小さくすることができる。また、本開示によれば、第1溶接部が第1面と第2面との間に位置するので、第1溶接部の接続強度を強固にできる。さらに、第1タブを柱状巻回体とは反対側を向く第1部材の第1面に溶接する場合、溶接工程が安定化する。これは、第1溶接部と柱状巻回体との間に頑丈な第1部材(厚さは例えば500μm以上)が介在するため、溶接時のスパッタが柱状巻回体に飛散しにくくなるためである。溶接工程が安定化することで、第1溶接部の強度を高めることが容易になり、第1溶接部の接続抵抗を低減しやすくなる。
【0018】
第1溶接部は、第1面および第2面により挟まれていてもよい。この構成により、第2部材と第1溶接部との間の接触抵抗を低減できる。さらに、第2面も第1タブと接合していてもよい。具体的には、第2部材の第2面の裏側から第2部材と第1タブとを溶接することで両者を接合してもよい。この構成により、第1タブと第2部材との間の抵抗をさらに低減できる。
【0019】
第1面、第1タブ、および第2面を共通の溶接部で接合してもよい。この構成により、抵抗を低減できると共に、第1タブを封口板へより強固に固定できる。第2部材が第1部材の凹部に収容される場合は、第2部材の外面(天面)も第1部材と同様に凹部を有していると、第2部材と第1タブとを接合する際に、第2部材における第1タブとの対向部分が薄くなりやすく、溶接が容易になる。
【0020】
第1部材は、中央に第1タブが通過する貫通孔を有する環状部材であってもよい。第2部材は、貫通孔を塞いでいてもよい。第2部材は円盤状であってもよい。円盤状の第2部材は、中央部とその周縁のフランジ部(外周部)とを有してもよい。
【0021】
第1部材と第2部材とは、第1溶接部よりも径方向外側の第2溶接部により溶接されていてもよい。これにより、さらに太い導電パスを形成することができる。
【0022】
第1部材は、環状に形成されかつ第1面を底面とする凹部を有してもよい。第2部材は、貫通孔を塞ぐ中央部と、中央部の周囲に設けられた外周部とを有してもよい。外周部は、円盤状の第2部材のフランジ部であってもよい。外周部は、全周にわたって第2溶接部により第1部材に接合されていてもよい。この場合、第2溶接部により、太い導電パスを形成できると共に、第1部材と第2部材との間に生じ得る隙間を密閉することができる。
【0023】
第1タブは、第2面および第1面と接合されていてもよい。この構成により、太い導電パスを形成して蓄電装置の内部抵抗を低減することができる。
【0024】
蓄電装置は、複数の第1タブを備えてもよい。少なくとも2つの第1タブの他端は、互いに重なって第1部材の第1面に溶接されていてもよい。この構成によると、複数の第1タブを1つずつ第1面に溶接する場合に比べて、溶接箇所を少なくすることができる。第1面の第1タブが配置される領域、または第2面の第1タブと対面する領域に、第1タブの端部が収容される凹部を形成してもよい。
【0025】
筒状体は、金属ケースの一部で構成されてもよい。例えば、筒状体は、有底筒状の金属ケースの側壁部で構成されてもよい。
【0026】
筒状体は、金属シートの巻回体で構成されてもよい。金属シートは、第2集電体と一体であってもよいし、第2集電体と別体であってもよい。金属シートの厚さTCは、第2集電体の厚さT2と同じでもよく、例えば0.5≦TC/T2≦1.5の関係を満たしてもよい。金属シートで筒状体を構成する場合、金属シートを柱状巻回体の外周に、例えば、2周以上巻回して筒状体の強度を高めることが望ましい。この構成により、巻回体を作成する工程と連続して金属ケースへ巻回体を収容する工程を行うことが可能となる。また、金属ケースの底部と第2集電板とを接合しなくても、金属ケースと第2電極とを電気的に接続できるため、接続に要する作業を簡素化できる。また、第2電極の巻回方向の終端と金属ケースとを電気的に接続することで、金属ケースと第2電極との間の集電経路が増えて抵抗をより低減できる。なお、金属シートの巻回方向の終端を金属シートの別の箇所の外表面と接合して筒状体を形成できる。
【0027】
以下では、本開示に係る蓄電装置の一例について、図面を参照して具体的に説明する。以下で説明する一例の蓄電装置の構成要素には、上述した構成要素を適用できる。以下で説明する一例の蓄電装置の構成要素は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。以下で説明する一例の蓄電装置の構成要素のうち、本開示に係る蓄電装置に必須ではない構成要素は省略してもよい。なお、以下で示す図は模式的なものであり、実際の部材の形状や数を正確に反映するものではない。
【0028】
《実施形態1》
本開示の実施形態1について説明する。本実施形態の蓄電装置10は、リチウムイオン二次電池であるが、これに限られるものではない。図1に示すように、蓄電装置10は、柱状巻回体20と、ケース30と、封口体40とを備える。
【0029】
柱状巻回体20は、帯状の正極21と、帯状の負極22と、正極21と負極22との間に介在するセパレータ23とを巻回して構成される。正極21は、第1電極の一例である。負極22は、第2電極の一例である。
【0030】
正極21は、帯状の正極集電体と、これに担持された正極活物質層とを有する。正極集電体には、複数の正極集電タブ21aが接続されている。正極集電体は、第1集電体の一例である。正極活物質層は、第1活物質層の一例である。正極集電タブ21aは、第1タブの一例である。
【0031】
正極集電体には、帯状の金属材料が用いられる。帯状の金属材料は、金属箔、金属多孔体などであればよい。金属材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタンなどを用い得る。正極集電体の厚さは、例えば、10μm以上、100μm以下である。
【0032】
正極活物質層は、例えば、正極活物質と導電剤と結着剤とを含む。正極活物質層は、例えば、正極集電体の両面に正極活物質と導電剤と結着剤とを含む正極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延することにより得られる。正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出する材料である。正極活物質としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン、フッ素化ポリアニオン、遷移金属硫化物などが挙げられる。
【0033】
複数の正極集電タブ21aは、正極集電体と一体に形成されている。各正極集電タブ21aは、正極集電体の長手方向に沿う一方の端部(図1における上端部)から延出している。複数の正極集電タブ21aの一部は、正極21が巻回された状態において、周方向位置が互いに一致する。複数の正極集電タブ21aの残部は、正極21が巻回された状態において、周方向位置が互いに一致する。
【0034】
負極22は、帯状の負極集電体と、これに担持された負極活物質層と、負極集電体の幅方向の一端に形成された負極集電体露出部22aとを有する。負極集電体は、第2集電体の一例である。負極活物質層は、第2活物質層の一例である。
【0035】
負極集電体には、帯状の金属材料が用いられる。帯状の金属材料は、金属箔、金属多孔体などであればよい。金属材料としては、銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼などを用い得る。負極集電体の厚さは、例えば、10μm以上、100μm以下である。
【0036】
負極活物質層は、例えば、負極活物質と導電剤と結着剤とを含む。負極活物質層は、例えば、負極集電体の両面に負極集電体露出部22aを除いて負極活物質と導電剤と結着剤とを含む負極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延することにより得られる。負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出する材料である。負極活物質としては、炭素材料、金属化合物、合金、セラミックス材料などが挙げられる。
【0037】
負極集電体露出部22aは、負極集電体と一体に形成されている。負極集電体露出部22aは、巻回体の巻回軸方向の一端から突出して巻回体の端面を構成している。負極集電体露出部22aは、柱状巻回体20とケース30の底面との間に設けられた負極集電板51に溶接接続される。負極集電板51は、溶接用部材52でケース30の内底面と溶接されている。なお、負極22においても正極21と同様にタブを用いて負極集電板51またはケース30と接続してもよい。
【0038】
ケース30は、第1開口31を有する有底筒状に形成されていて、柱状巻回体20および非水電解質(図示せず)を収容する。ケース30は、金属製であって、外部負極端子として機能する。ケース30の側壁部32は、柱状巻回体20の外周を覆うと共に負極集電体と電気的に接続される。ケース30の側壁部32は、筒状体の一例である。
【0039】
封口体40は、ケース30の第1開口31を封口する。封口体40は、複数の正極集電タブ21aを介して、正極集電体と電気的に接続される。正極集電タブ21aの基端は、第1集電体に接続され、正極集電タブ21aの先端は、封口体40に接続される。封口体40は、金属製であって、外部正極端子として機能する。封口体40とケース30とは、ガスケット70により互いに絶縁されている。封口体40は、不図示の防爆機構を有してもよい。
【0040】
封口体40は、柱状巻回体20とは反対側(図1における上側)を向く第1面41aを含む第1部材41と、柱状巻回体20側を向く第2面42aを含む第2部材42とを有する。第1部材41は、中央に正極集電タブ21aが通過する貫通孔41bを有する環状部材である。第2部材42は、当該貫通孔41bを塞ぐ板状部材である。
【0041】
正極集電タブ21aの先端は、第1部材41の第1面41aに溶接されて第1溶接部43を形成している。この第1溶接部43は、第1面41aと第2面42aとの間に挟まれ、第1面41aと第2面42aの双方から圧力が印加されている。第1溶接部43では、複数の正極集電タブ21aの先端が、互いに重なって第1部材41の第1面41aに溶接されている。第1溶接部43が形成される第1面41aの領域は、複数の正極集電タブ21aの先端の合計厚さよりも深い凹みを有してもよい。
【0042】
第1部材41は、環状に形成されかつ第1面41aを底面とする凹部41cを有する。第2部材42は、第1部材41の貫通孔41bを塞ぐ中央部42bと、当該凹部41cに収容される外周部42cとを有する。外周部42cの周縁部は、全周にわたって、第1溶接部43よりも径方向外側の第2溶接部44により第1部材41に溶接接合されている。これにより、第1部材41の第1面41aと第2部材42の第2面42aとの間に空隙が形成された場合でも、ケース30内における十分な密閉性を確保することができる。
【0043】
《実施形態2》
本開示の実施形態2について説明する。本実施形態の蓄電装置10は、第1部材41および第2部材42の構成が上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0044】
図2に示すように、第1部材41は、第2部材42を収容する凹部を有しない。また、第1部材41の外周縁部と第2部材42の外周縁部とは、互いに重なってガスケット70に挟持されている。第1部材41と第2部材42とは、外周縁部において第2溶接部44により互いに溶接接合されている。この場合、第1溶接部43は、第2面42aからの圧力が印加されず、第1面41aと第2面42aとの間には正極集電タブ21aの先端の厚さよりも十分に大きい空隙がある。そのため、第1溶接部43における接触抵抗の低減効果は、実施形態1よりも緩やかである。ただし、第2部材42の配置が、正極集電タブ21aの先端の厚さの影響を受けることがないため、製造プロセスが安定化しやすい。
【0045】
《実施形態3》
本開示の実施形態3について説明する。本実施形態の蓄電装置10は、金属製のケース30を備えない点で上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0046】
図3および図4に示すように、本実施形態では、実施形態1のケース30に相当する機能を、金属シートの巻回体で構成される筒状体61が担っている。当該金属シートは、負極集電体と一体に形成されているが、これに限られるものではない。柱状巻回体20は、図3の左方から右方に向かって巻回される。筒状体61は、柱状巻回体20の外周を覆うと共に負極集電体と電気的に接続される。
【0047】
筒状体61の第1開口31は、封口体40で封口される。筒状体61と封口体40とは、絶縁性の接着剤80により互いに絶縁されている。筒状体61は、第1開口31とは反対側の第2開口61aを有する。この第2開口61aは、金属板62(例えば、銅板)で封口される。筒状体61と金属板62とは、全周にわたって互いに溶接接合されている。このとき、負極に実施形態1と同様に負極集電体露出部を形成し、この負極集電体露出部と金属板62とを溶接接合してもよい。
【0048】
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示は、蓄電装置に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
10:蓄電装置
20:柱状巻回体
21:正極(第1電極)
21a:正極集電タブ(第1タブ)
22:負極(第2電極)
22a:負極集電体露出部
23:セパレータ
30:ケース
31:第1開口
32:側壁部(筒状体)
40:封口体
41:第1部材
41a:第1面
41b:貫通孔
41c:凹部
42:第2部材
42a:第2面
42b:中央部
42c:外周部
43:第1溶接部
44:第2溶接部
51:負極集電板
52:溶接用部材
61:筒状体
61a:第2開口
62:金属板
70:ガスケット
80:接着剤
図1
図2
図3
図4