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特許7702845操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-26
(45)【発行日】2025-07-04
(54)【発明の名称】操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/50 20060101AFI20250627BHJP
   B63H 21/21 20060101ALI20250627BHJP
   B63H 25/42 20060101ALI20250627BHJP
   G05D 3/00 20060101ALI20250627BHJP
【FI】
B63H25/50
B63H21/21
B63H25/42 G
G05D3/00 T
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021159280
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023049504
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2024-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】白尾 真人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 隆史
(72)【発明者】
【氏名】徳重 潤
(72)【発明者】
【氏名】秋田 まり乃
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-192923(JP,A)
【文献】特開2017-171086(JP,A)
【文献】特開2000-006891(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0076633(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0096447(US,A1)
【文献】米国特許第06361385(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 25/50
B63H 21/21
B63H 25/42
G05D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータにより前記船舶を前進あるいは後進させる前後進操作を受け付けるスロットル操作部、および、前記アクチュエータにより前記船舶を左あるいは右に回頭させる回頭操作を受け付ける操舵部を含み、前記スロットル操作部および/または前記操舵部への操船者による操作を、入力操作として受け付ける操作部と、
前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、
前記船舶制御装置が前記アクチュエータを作動させている時に、前記アクチュエータを作動させない状態にする停止操作を、前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた場合に、
前記船舶制御装置は、前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる、
操船システム。
【請求項2】
前記船舶制御装置は、
前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記アクチュエータを作動させる期間を、前記アクチュエータを作動させない状態にする前記停止操作を前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた時からの経過時間に基づいて設定する、
請求項1に記載の操船システム。
【請求項3】
前記船舶制御装置は、
前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記アクチュエータを作動させる期間を、前記船舶の速度または角速度に基づいて設定する、
請求項1に記載の操船システム。
【請求項4】
前記操船システムは、前記船舶と、前記船舶とは別個に設けられた入力装置とを備え、
前記船舶は、前記アクチュエータと、前記船舶制御装置とを備え、
前記入力装置は、前記船舶の前進操作、後進操作、左回頭操作、右回頭操作、左旋回操作、右旋回操作を受け付ける前記操作部を備え、
前記船舶制御装置が前記アクチュエータを作動させている時に、前記アクチュエータを作動させない状態にする停止操作を前記入力装置の前記操作部が受け付けた場合に、
前記船舶制御装置は、前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記入力装置の前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる、
請求項1に記載の操船システム。
【請求項5】
前記アクチュエータが、前記船舶を前進または後進させる推進力を発生している時に、前記船舶を前進または後進させる推進力の発生を停止させる入力操作を前記スロットル操作部が受け付けた場合に、
前記船舶制御装置は、前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる、
請求項1に記載の操船システム。
【請求項6】
前記アクチュエータが、前記船舶をその場回頭させるモーメントを前記船舶に発生させている時に、前記船舶をその場回頭させるモーメントの発生を停止させる入力操作を前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた場合に、
前記船舶制御装置は、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる、
請求項1に記載の操船システム。
【請求項7】
前記アクチュエータが、前記船舶を前進させる推進力を発生しており、かつ、前記船舶を旋回させるモーメントを前記船舶に発生させている時に、前記船舶を前進させる推進力および前記船舶を旋回させるモーメントの発生を停止させる入力操作を前記スロットル操作部および前記操舵部が受け付けた場合に、
前記船舶制御装置は、前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、かつ、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる、
請求項1に記載の操船システム。
【請求項8】
前記アクチュエータが、前記船舶を後進させる推進力を発生しており、かつ、前記船舶を旋回させるモーメントを前記船舶に発生させている時に、前記船舶を後進させる推進力および前記船舶を旋回させるモーメントの発生を停止させる入力操作を前記スロットル操作部および前記操舵部が受け付けた場合に、
前記船舶制御装置は、前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、かつ、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる、
請求項1に記載の操船システム。
【請求項9】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータにより前記船舶を前進あるいは後進させる前後進操作を受け付けるスロットル操作部、および、前記アクチュエータにより前記船舶を左あるいは右に回頭させる回頭操作を受け付ける操舵部を含み、前記スロットル操作部および/または前記操舵部への操船者による操作を、入力操作として受け付ける操作部とを備える操船システムに備えられ、前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置であって、
前記船舶制御装置が前記アクチュエータを作動させている時に、前記アクチュエータを作動させない状態にする停止操作を、前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた場合に、
前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる、
船舶制御装置。
【請求項10】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータにより前記船舶を前進あるいは後進させる前後進操作を受け付けるスロットル操作部、および、前記アクチュエータにより前記船舶を左あるいは右に回頭させる回頭操作を受け付ける操舵部を含み、前記スロットル操作部および/または前記操舵部への操船者による操作を、入力操作として受け付ける操作部とを備える操船システムに備えられ、前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置の船舶制御方法であって、
前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる第1ステップと、
前記船舶制御装置が前記アクチュエータを作動させている時に、前記アクチュエータを作動させない状態にする停止操作を、前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた場合に、
前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる第2ステップとを備える、
船舶制御方法。
【請求項11】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータにより前記船舶を前進あるいは後進させる前後進操作を受け付けるスロットル操作部、および、前記アクチュエータにより前記船舶を左あるいは右に回頭させる回頭操作を受け付ける操舵部を含み、前記スロットル操作部および/または前記操舵部への操船者による操作を、入力操作として受け付ける操作部とを備える操船システムに備えられ、前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置に搭載されたコンピュータに、
前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる第1ステップと、
前記船舶制御装置が前記アクチュエータを作動させている時に、前記アクチュエータを作動させない状態にする停止操作を、前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた場合に、
前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる第2ステップとを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、船舶を車両感覚で操作可能とする技術について記載されている。特許文献1に記載された技術では、船体の移動速度を制限するブレーキペダルが船体に設けられている。また、特許文献1に記載された技術では、ブレーキペダルが強く踏み込まれた場合に、アウトドライブ装置の出力方向が逆向きにされ(つまり、船舶の前進時にブレーキペダルが強く踏み込まれると、後進推力が発生させられ)、船舶が減速する。更に、特許文献1に記載された技術では、移動している船舶が、ブレーキペダルの踏み込みによって停船状態にされ、ブレーキペダルの踏み込みが継続されると、船舶の定点保持制御が行われる。
つまり、特許文献1に記載された技術では、移動している船舶を停船状態にするために、操船者がブレーキペダルを踏み込まなければならない。
【0003】
特許文献2には、船舶を停止させるため、操船者が単に機関を停止させるか又はクラッチを切る操作だけでは、船舶が惰性で航行を継続し、船舶が停止するまでには相当の距離を動くことになる旨が記載されている。また、特許文献2には、船舶が前進全速で航行している場合、操船者が、短距離で船舶を停止させるために、クラッチを後進に入れて機関回転数を少し上げる操作を行う旨が記載されている。
つまり、特許文献2に記載された技術では、移動している船舶を停船状態にするために、操船者がクラッチを後進に入れて機関回転数を少し上げる操作を行わなければならない。
すなわち、特許文献1、2に記載された技術では、移動している船舶を、惰性で移動し続けることなく停船状態にするために、操船者が入力操作を行わなければならない。換言すれば、特許文献1、2に記載された技術では、船舶の移動状態から停船状態への移行時に船舶に生じる慣性力を打ち消すために、操船者が入力操作を行わなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6642898号公報
【文献】特開平5-124586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した問題点に鑑み、本発明は、アクチュエータの作動状態からアクチュエータの作動停止状態への移行時に船舶に生じる慣性力および/または慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータにより前記船舶を前進あるいは後進させる前後進操作を受け付けるスロットル操作部、および、前記アクチュエータにより前記船舶を左あるいは右に回頭させる回頭操作を受け付ける操舵部を含み、前記スロットル操作部および/または前記操舵部への操船者による操作を、入力操作として受け付ける操作部と、前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、前記船舶制御装置が前記アクチュエータを作動させている時に、前記アクチュエータを作動させない状態にする停止操作を、前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた場合に、前記船舶制御装置は、前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる、操船システムである。
【0007】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータにより前記船舶を前進あるいは後進させる前後進操作を受け付けるスロットル操作部、および、前記アクチュエータにより前記船舶を左あるいは右に回頭させる回頭操作を受け付ける操舵部を含み、前記スロットル操作部および/または前記操舵部への操船者による操作を、入力操作として受け付ける操作部とを備える操船システムに備えられ、前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置であって、前記船舶制御装置が前記アクチュエータを作動させている時に、前記アクチュエータを作動させない状態にする停止操作を、前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた場合に、前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる、船舶制御装置である。
【0008】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータにより前記船舶を前進あるいは後進させる前後進操作を受け付けるスロットル操作部、および、前記アクチュエータにより前記船舶を左あるいは右に回頭させる回頭操作を受け付ける操舵部を含み、前記スロットル操作部および/または前記操舵部への操船者による操作を、入力操作として受け付ける操作部とを備える操船システムに備えられ、前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置の船舶制御方法であって、前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる第1ステップと、前記船舶制御装置が前記アクチュエータを作動させている時に、前記アクチュエータを作動させない状態にする停止操作を、前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた場合に、前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる第2ステップとを備える、船舶制御方法である。
【0009】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータにより前記船舶を前進あるいは後進させる前後進操作を受け付けるスロットル操作部、および、前記アクチュエータにより前記船舶を左あるいは右に回頭させる回頭操作を受け付ける操舵部を含み、前記スロットル操作部および/または前記操舵部への操船者による操作を、入力操作として受け付ける操作部とを備える操船システムに備えられ、前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置に搭載されたコンピュータに、前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた入力操作に応じて前記アクチュエータを作動させる第1ステップと、前記船舶制御装置が前記アクチュエータを作動させている時に、前記アクチュエータを作動させない状態にする停止操作を、前記スロットル操作部および/または前記操舵部が受け付けた場合に、前記船舶に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力を前記アクチュエータが発生するように、および/または、前記船舶に生じている慣性モーメントの向きとは逆向きのモーメントを前記船舶に発生させるように、前記操作部が追加の入力操作を受け付ける必要なく、前記アクチュエータを作動させる第2ステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アクチュエータの作動状態からアクチュエータの作動停止状態への移行時に船舶に生じる慣性力および/または慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の船舶制御装置が適用された船舶を備える操船システムの一例を示す図である。
図2】操作部が船舶を前進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合における第1実施形態の船舶の挙動の一例を示す図である。
図3】操作部が船舶を前進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図4】操作部が船舶を後進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の後進を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5】操作部が船舶を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6】操作部が船舶を反時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図7】操作部が船舶を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8】操作部が船舶を後進させかつ反時計回りに旋回させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9】操作部が船舶を前進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図10】操作部が船舶を後進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の後進を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図11】操作部が船舶を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図12】操作部が船舶を反時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図13】操作部が船舶を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図14】操作部が船舶を後進させかつ反時計回りに旋回させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図15】第3実施形態の船舶制御装置が適用された船舶を備える操船システムの一例を示す図である。
図16】操作部が船舶を前進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合における比較例の船舶の挙動を説明するための図である。
図17】比較例の船舶において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの実施形態について説明する前に、比較例の船舶制御方法について説明する。
図16は操作部が船舶R11を前進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶R11の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合における比較例の船舶R11の挙動を説明するための図である。図17は比較例の船舶R11において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図16および図17に示す比較例では、図17のステップSR1において、船舶R11の例えば船舶制御装置は、操作部が船舶R11を前進させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部が船舶R11を前進させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSR1が繰り返し実行される。一方、操作部が船舶R11を前進させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSR2に進む。
ステップSR2において、船舶R11は、船舶R11を前進させる推進力を発生する。その結果、図16(C)に示すように、船舶R11が前進する(つまり、船舶R11が図16の上向きに移動する)。
次いで、図17のステップSR3において、船舶R11の例えば船舶制御装置は、操作部が船舶R11の前進を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部が船舶R11の前進を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSR3が繰り返し実行される。一方、操作部が船舶R1の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSR4に進む。
ステップSR4において、船舶R11が、図16の上向きの推進力の発生を停止する。その結果、前進を継続しようとする図16の上向きの慣性力(行き足)が生じ、船舶R11が図16の上向きに移動してしまう(行き足で進んでしまう)。
比較例の船舶R11では、この行き足を抑制するために、操船者が、慣性力を打ち消す入力操作を行わなければならない。
【0013】
<第1実施形態>
以下、本発明の操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第1実施形態について説明する。
図1は第1実施形態の船舶制御装置11Cが適用された船舶11を備える操船システム1の一例を示す図である。
第1実施形態の船舶制御装置11Cは、例えば特許第5196649号公報の図1に記載されたパーソナルウォータークラフト(PWC、水上オートバイ)が有する機能と同様の機能を有するPWC、ジェット推進機を備えていない船舶(例えば特許第6198192号公報、特開2007-22284号公報などに記載された船外機を装備した船舶、船内外機または船内エンジンを備える船舶、サイドスラスタを備える大型船舶など)等のような任意のタイプの船舶11に適用可能である。
図1に示す例では、操船システム1が船舶11を備えている。船舶11は、アクチュエータ11Aと、操作部11Bと、船舶制御装置11Cと、船首方位検出部11Dと、船速検出部11Eと、船舶位置検出部11Fとを備えている。
アクチュエータ11Aは、舵部11A1と、推力発生部11A2とを備えている。舵部11A1は、船舶11にモーメントを発生させる機能を有する。推力発生部11A2は、船舶11の推進力を発生する機能を有する。
船舶11がPWCである例では、アクチュエータ11Aには、例えば特開2019-171925号公報の図1に記載されたエンジン、ノズル、デフレクタ、トリムアクチュエータ、バケット、バケットアクチュエータなどが含まれる。
【0014】
図1に示す例では、操作部11Bが、船舶11の操船者の入力操作を受け付ける。操作部11Bは、例えば操舵部11B1と、スロットル操作部11B2とを備えている。操舵部11B1は、舵部11A1を作動させる操船者の入力操作を受け付ける。スロットル操作部11B2は、推力発生部11A2を作動させる操船者の入力操作を受け付ける。
船舶11がPWCである例では、操舵部11B1およびスロットル操作部11B2が、例えば特許第5196649号公報の図1に記載されたステアリングハンドル装置、特開2019-171925号公報の図1に記載されたステアリングユニットなどと同様に構成されている。
【0015】
図1に示す例では、船舶制御装置11Cが、操作部11Bが受け付けた船舶11の操船者の入力操作などに基づいてアクチュエータ11Aを作動させる。
詳細には、アクチュエータ11Aの推力発生部11A2が、船舶11を前進させる推進力を発生するように、船舶制御装置11Cはアクチュエータ11Aを作動させることができる。アクチュエータ11Aの推力発生部11A2が、船舶11を後進させる推進力を発生するように、船舶制御装置11Cはアクチュエータ11Aを作動させることができる。
また、アクチュエータ11Aが船舶11をその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させるように、船舶制御装置11Cはアクチュエータ11Aを作動させることができる。
更に、アクチュエータ11Aが、船舶11を前進させる推進力を発生し、かつ、船舶11を旋回させるモーメントを船舶11に発生させるように、船舶制御装置11Cはアクチュエータ11Aを作動させることができる。アクチュエータ11Aが、船舶11を後進させる推進力を発生し、かつ、船舶11を旋回させるモーメントを船舶11に発生させるように、船舶制御装置11Cはアクチュエータ11Aを作動させることができる。
【0016】
船首方位検出部11Dは、船舶11の船首方位を検出する。船首方位検出部11Dは、例えば方位センサを備えている。方位センサは、例えば地磁気を利用することによって、船舶11の船首方位を算出する。
他の例では、方位センサが、高速回転するジャイロスコープに指北装置と制振装置とを付加し、常に北を示すようにした装置(ジャイロコンパス)であってもよい。
更に他の例では、方位センサが、複数のGPS(Global Positioning System)アンテナを備え、複数のGPSアンテナの相対的な位置関係から船首方位を算出するGPSコンパスであってもよい。
【0017】
図1に示す例では、船速検出部11Eが、船舶11の速度を検出する。船速検出部11Eは、例えば船舶11の対水速度を検出する水圧感知式であっても、船舶11の対地速度を検出するGPS計測式であってもよい。
船舶位置検出部11Fは、船舶11の位置を検出する。船舶位置検出部11Fは、例えばGPS装置を備えている。GPS装置は、複数のGPS衛星からの信号を受信することによって、船舶11の位置座標を算出する。
【0018】
図2は操作部11Bが船舶11を前進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合における第1実施形態の船舶11の挙動の一例を示す図である。図3は操作部11Bが船舶11を前進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図2および図3に示す例では、図3のステップS11において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を前進させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を前進させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS11が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を前進させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS12に進む。
【0019】
ステップS12において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの推力発生部11A2が、船舶11を前進させる推進力を発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、図2(C)に示すように、船舶11が前進する(つまり、船舶11が図2の上向きに移動する)。
次いで、図3のステップS13において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS13が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS14に進む。
【0020】
ステップS14において、船舶制御装置11Cは、船舶11を前進させる推進力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、前進を継続しようとする図2の上向きの慣性力(行き足)が生じる。そこで、図2および図3に示す例では、ステップS14において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(図2の上向き)とは逆向き(図2の下向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップS14において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが図2の下向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる入力操作を受け付ける必要なく、図2の下向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる。その結果、図2(A)および図2(B)に示すように、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が図2の上向きに移動してしまうこと(行き足)を抑制することができる。
図2および図3に示す例では、アクチュエータ11Aが発生する逆向き(図2の下向き)の推力の大きさが一定値に設定されているが、他の例では、アクチュエータ11Aが発生する逆向き(図2の下向き)の推力の大きさが、船舶11に生じる慣性力の大きさに応じて変更されてもよい。
【0021】
図2および図3に示す例では、次いで、図3のステップS15において、船舶制御装置11Cが、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(つまり、ステップS13において操作部11Bが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けたと判定された時)からの経過時間を監視する。詳細には、ステップS15において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時からの経過時間が第1閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第1閾値以上になっていない場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)によって船舶11が図2の上向きに移動するおそれがあると推定できる場合)には、ステップS15が繰り返し実行される。一方、経過時間が第1閾値以上になった場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)によって船舶11が図2の上向きに移動するおそれがないと推定できる場合)には、ステップS16に進む。
ステップS16において、船舶制御装置11Cが、図2の下向きの推力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
図2および図3に示す例では、「第1閾値」として固定値が用いられるが、他の例では、「第1閾値」として可変値が用いられてもよい。例えば、船舶11に生じる慣性力の大きさに対するアクチュエータ11Aが発生する逆向き(図2の下向き)の推力の大きさの割合が小さいほど、「第1閾値」として大きい値を用いてもよい。
【0022】
つまり、図2および図3に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を前進させる推進力を発生している時(つまり、図2(C)に示す状態の時)に、船舶11を前進させる推進力の発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(図2の上向き)とは逆向き(図2の下向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図2および図3に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向きとは逆向きの推力をアクチュエータ11Aが発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(図3のステップS13においてYESと判定された時)からの経過時間に基づいて設定する。
換言すれば、図2および図3に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(図3のステップS13においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(図2の上向き)とは逆向き(図2の下向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図2および図3に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性力を打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0023】
図4は操作部11Bが船舶11を後進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の後進を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図4に示す例では、ステップS21において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を後進させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を後進させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS21が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を後進させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS22に進む。
【0024】
ステップS22において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの推力発生部11A2が、船舶11を後進させる推進力を発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が後進する。
次いで、ステップS23において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の後進を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の後進を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS23が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の後進を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS24に進む。
【0025】
ステップS24において、船舶制御装置11Cは、船舶11を後進させる推進力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、後進を継続しようとする慣性力(行き足)が生じる。そこで、図4に示す例では、ステップS24において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップS24において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の前向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる入力操作を受け付ける必要なく、船舶11の前向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が後向きに移動してしまうこと(行き足)を抑制することができる。
次いで、ステップS25では、船舶制御装置11Cが、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(つまり、ステップS23において操作部11Bが船舶11の後進を停止させる入力操作を受け付けたと判定された時)からの経過時間を監視する。詳細には、ステップS25において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時からの経過時間が第1閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第1閾値以上になっていない場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)によって船舶11が後向きに移動するおそれがあると推定できる場合)には、ステップS25が繰り返し実行される。一方、経過時間が第1閾値以上になった場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)によって船舶11が後向きに移動するおそれがないと推定できる場合)には、ステップS26に進む。
ステップS26において、船舶制御装置11Cが、船舶11の前向きの推力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0026】
つまり、図4に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を後進させる推進力を発生している時に、船舶11を後進させる推進力の発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図4に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(ステップS23においてYESと判定された時)からの経過時間に基づいて設定する。
換言すれば、図4に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップS23においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図4に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性力を打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0027】
図5は操作部11Bが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5に示す例では、ステップS31において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS31が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS32に進む。
【0028】
ステップS32において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が時計回りにその場回頭する。
次いで、ステップS33において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS33が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS34に進む。
【0029】
ステップS34において、船舶制御装置11Cは、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、時計回りのその場回頭を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、図5に示す例では、ステップS34において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップS34において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が時計回りにその場回頭しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、ステップS35では、船舶制御装置11Cが、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(つまり、ステップS33において操作部11Bが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けたと判定された時)からの経過時間を監視する。詳細には、ステップS35において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時からの経過時間が第1閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第1閾値以上になっていない場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りにその場回頭しすぎるおそれがあると推定できる場合)には、ステップS35が繰り返し実行される。一方、経過時間が第1閾値以上になった場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りにその場回頭しすぎるおそれがないと推定できる場合)には、ステップS36に進む。
ステップS36において、船舶制御装置11Cが、反時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0030】
つまり、図5に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させている時に、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントの発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図5に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(ステップS33においてYESと判定された時)からの経過時間に基づいて設定する。
換言すれば、図5に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップS33においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図5に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0031】
図6は操作部11Bが船舶11を反時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6に示す例では、ステップS41において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を反時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を反時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS41が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を反時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS42に進む。
【0032】
ステップS42において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を反時計回りにその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が反時計回りにその場回頭する。
次いで、ステップS43において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS43が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS44に進む。
【0033】
ステップS44において、船舶制御装置11Cは、船舶11を反時計回りにその場回頭させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、反時計回りのその場回頭を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、図6に示す例では、ステップS44において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップS44において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が反時計回りにその場回頭しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、ステップS45では、船舶制御装置11Cが、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(つまり、ステップS43において操作部11Bが船舶11の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けたと判定された時)からの経過時間を監視する。詳細には、ステップS45において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時からの経過時間が第1閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第1閾値以上になっていない場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が反時計回りにその場回頭しすぎるおそれがあると推定できる場合)には、ステップS45が繰り返し実行される。一方、経過時間が第1閾値以上になった場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が反時計回りにその場回頭しすぎるおそれがないと推定できる場合)には、ステップS46に進む。
ステップS46において、船舶制御装置11Cが、時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0034】
つまり、図6に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を反時計回りにその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させている時に、船舶11を反時計回りにその場回頭させるモーメントの発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図6に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(ステップS43においてYESと判定された時)からの経過時間に基づいて設定する。
換言すれば、図6に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップS43においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図6に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0035】
図7は操作部11Bが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図7に示す例では、ステップS51において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS51が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS52に進む。
【0036】
ステップS52において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を前進させる推進力を発生し、かつ、船舶11を時計回りに旋回させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が前進しかつ時計回りに旋回する。
次いで、ステップS53において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS53が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS54に進む。
【0037】
ステップS54において、船舶制御装置11Cは、船舶11を前進させる推進力の発生および船舶11を時計回りに旋回させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、前進を継続しようとする慣性力および時計回りの旋回を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、図7に示す例では、ステップS54において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップS54において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の後向きの推力を発生させかつ反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、船舶11の後向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させると共に反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が前向きに移動してしまうこと、および、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が時計回りに旋回しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、ステップS55では、船舶制御装置11Cが、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(つまり、ステップS53において操作部11Bが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けたと判定された時)からの経過時間を監視する。詳細には、ステップS55において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時からの経過時間が第1閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第1閾値以上になっていない場合(つまり、船舶11の慣性力によって船舶11が前向きに移動するおそれがあり、かつ、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りに旋回しすぎるおそれがあると推定できる場合)には、ステップS55が繰り返し実行される。一方、経過時間が第1閾値以上になった場合(つまり、船舶11の慣性力によって船舶11が前向きに移動するおそれがなく、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りに旋回しすぎるおそれがないと推定できる場合)には、ステップS56に進む。
ステップS56において、船舶制御装置11Cが、船舶11の後向きの推力の発生および反時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0038】
つまり、図7に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を前進させる推進力を発生しており、かつ、船舶11を時計回りに旋回させるモーメントを船舶11に発生させている時に、船舶11を前進させる推進力および船舶11を時計回りに旋回させるモーメントの発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図7に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(ステップS53においてYESと判定された時)からの経過時間に基づいて設定する。
換言すれば、図7に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップS53においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図7に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0039】
図8は操作部11Bが船舶11を後進させかつ反時計回りに旋回させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合に第1実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8に示す例では、ステップS61において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を後進させかつ反時計回りに旋回させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を後進させかつ反時計回りに旋回させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS61が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を後進させかつ反時計回りに旋回させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS62に進む。
【0040】
ステップS62において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を後進させる推進力を発生し、かつ、船舶11を反時計回りに旋回させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が後進しかつ反時計回りに旋回する。
次いで、ステップS63において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップS63が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップS64に進む。
【0041】
ステップS64において、船舶制御装置11Cは、船舶11を後進させる推進力の発生および船舶11を反時計回りに旋回させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、後進を継続しようとする慣性力および反時計回りの旋回を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、図8に示す例では、ステップS64において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップS64において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の前向きの推力を発生させかつ時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、船舶11の前向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させると共に時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が後向きに移動してしまうこと、および、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が反時計回りに旋回しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、ステップS65では、船舶制御装置11Cが、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(つまり、ステップS63において操作部11Bが船舶11の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けたと判定された時)からの経過時間を監視する。詳細には、ステップS65において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時からの経過時間が第1閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第1閾値以上になっていない場合(つまり、船舶11の慣性力によって船舶11が後向きに移動するおそれがあり、かつ、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が反時計回りに旋回しすぎるおそれがあると推定できる場合)には、ステップS65が繰り返し実行される。一方、経過時間が第1閾値以上になった場合(つまり、船舶11の慣性力によって船舶11が後向きに移動するおそれがなく、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が反時計回りに旋回しすぎるおそれがないと推定できる場合)には、ステップS66に進む。
ステップS66において、船舶制御装置11Cが、船舶11の前向きの推力の発生および時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0042】
つまり、図8に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を後進させる推進力を発生しており、かつ、船舶11を反時計回りに旋回させるモーメントを船舶11に発生させている時に、船舶11を後進させる推進力および船舶11を反時計回りに旋回させるモーメントの発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図8に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた時(ステップS63においてYESと判定された時)からの経過時間に基づいて設定する。
換言すれば、図8に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップS63においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図8に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0043】
<第2実施形態>
以下、本発明の操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の操船システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0044】
第2実施形態の船舶制御装置11Cが適用された船舶11を備える操船システム1は、図1に示す第1実施形態の操船システム1と同様に構成されている。
【0045】
図9は操作部11Bが船舶11を前進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9に示す例では、ステップSA1において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を前進させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を前進させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSA1が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を前進させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSA2に進む。
【0046】
ステップSA2において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの推力発生部11A2が、船舶11を前進させる推進力を発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が前進する。
次いで、ステップSA3において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSA3が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSA4に進む。
【0047】
ステップSA4において、船舶制御装置11Cは、船舶11を前進させる推進力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、前進を継続しようとする慣性力(行き足)が生じる。そこで、図9に示す例では、ステップSA4において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップSA4において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の後向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる入力操作を受け付ける必要なく、船舶11の後向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が前向きに移動してしまうこと(行き足)を抑制することができる。
次いで、ステップSA5では、船舶制御装置11Cが、船舶11の速度を監視する。詳細には、ステップSA5において、船舶制御装置11Cは、船速検出部11Eによって検出される船舶11の速度が第2閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶11の速度が第2閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)によって船舶11が前進し続けている場合)には、ステップSA5が繰り返し実行される。一方、船舶11の速度が第2閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)による船舶11の前進が終了したと推定できる場合)には、ステップSA6に進む。
ステップSA6において、船舶制御装置11Cが、船舶11の後向きの推力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0048】
つまり、図9に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を前進させる推進力を発生している時に、船舶11を前進させる推進力の発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図9に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、船舶11の速度に基づいて設定する。
換言すれば、図9に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップSA3においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図9に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性力を打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0049】
図10は操作部11Bが船舶11を後進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の後進を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図10に示す例では、ステップSB1において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を後進させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を後進させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSB1が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を後進させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSB2に進む。
【0050】
ステップSB2において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの推力発生部11A2が、船舶11を後進させる推進力を発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が後進する。
次いで、ステップSB3において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の後進を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の後進を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSB3が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の後進を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSB4に進む。
【0051】
ステップSB4において、船舶制御装置11Cは、船舶11を後進させる推進力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、後進を継続しようとする慣性力(行き足)が生じる。そこで、図10に示す例では、ステップSB4において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップSB4において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の前向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる入力操作を受け付ける必要なく、船舶11の前向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が後向きに移動してしまうこと(行き足)を抑制することができる。
次いで、ステップSB5では、船舶制御装置11Cが、船舶11の速度を監視する。詳細には、ステップSB5において、船舶制御装置11Cは、船速検出部11Eによって検出される船舶11の速度が第2閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶11の速度が第2閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)によって船舶11が後進し続けている場合)には、ステップSB5が繰り返し実行される。一方、船舶11の速度が第2閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)による船舶11の後進が終了したと推定できる場合)には、ステップSB6に進む。
ステップSB6において、船舶制御装置11Cが、船舶11の前向きの推力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0052】
つまり、図10に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を後進させる推進力を発生している時に、船舶11を後進させる推進力の発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図10に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、船舶11の速度に基づいて設定する。
換言すれば、図10に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップSB3においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図10に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性力を打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0053】
図11は操作部11Bが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図11に示す例では、ステップSC1において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSC1が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSC2に進む。
【0054】
ステップSC2において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が時計回りにその場回頭する。
次いで、ステップSC3において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSC3が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSC4に進む。
【0055】
ステップSC4において、船舶制御装置11Cは、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、時計回りのその場回頭を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、図11に示す例では、ステップSC4において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップSC4において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が時計回りにその場回頭しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、ステップSC5では、船舶制御装置11Cが、船舶11の角速度を監視する。詳細には、ステップSC5において、船舶制御装置11Cは、船首方位検出部11Dによって検出される船首方位に基づいて算出される船舶11の角速度が第3閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶11の角速度が第3閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りにその場回頭し続けている場合)には、ステップSC5が繰り返し実行される。一方、船舶11の角速度が第3閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによる船舶11の時計回りのその場回頭が終了したと推定できる場合)には、ステップSC6に進む。
ステップSC6において、船舶制御装置11Cが、反時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0056】
つまり、図11に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させている時に、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントの発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図11に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、船舶11の角速度に基づいて設定する。
換言すれば、図11に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップSC3においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図11に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0057】
図12は操作部11Bが船舶11を反時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図12に示す例では、ステップSD1において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を反時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を反時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSD1が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を反時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSD2に進む。
【0058】
ステップSD2において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を反時計回りにその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が反時計回りにその場回頭する。
次いで、ステップSD3において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSD3が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の反時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSD4に進む。
【0059】
ステップSD4において、船舶制御装置11Cは、船舶11を反時計回りにその場回頭させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、反時計回りのその場回頭を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、図12に示す例では、ステップSD4において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップSD4において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が反時計回りにその場回頭しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、ステップSD5では、船舶制御装置11Cが、船舶11の角速度を監視する。詳細には、ステップSD5において、船舶制御装置11Cは、船首方位検出部11Dによって検出される船首方位に基づいて算出される船舶11の角速度が第3閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶11の角速度が第3閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が反時計回りにその場回頭し続けている場合)には、ステップSD5が繰り返し実行される。一方、船舶11の角速度が第3閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによる船舶11の反時計回りのその場回頭が終了したと推定できる場合)には、ステップSD6に進む。
ステップSD6において、船舶制御装置11Cが、時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0060】
つまり、図12に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を反時計回りにその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させている時に、船舶11を反時計回りにその場回頭させるモーメントの発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図12に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、船舶11の角速度に基づいて設定する。
換言すれば、図12に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップSD3においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図12に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0061】
図13は操作部11Bが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図13に示す例では、ステップSE1において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSE1が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSE2に進む。
【0062】
ステップSE2において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を前進させる推進力を発生し、かつ、船舶11を時計回りに旋回させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が前進しかつ時計回りに旋回する。
次いで、ステップSE3において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSE3が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSE4に進む。
【0063】
ステップSE4において、船舶制御装置11Cは、船舶11を前進させる推進力の発生および船舶11を時計回りに旋回させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、前進を継続しようとする慣性力および時計回りの旋回を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、図13に示す例では、ステップSE4において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップSE4において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の後向きの推力を発生させかつ反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、船舶11の後向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させると共に反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が前向きに移動してしまうこと、および、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が時計回りに旋回しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、ステップSE5では、船舶制御装置11Cが、船舶11の速度を監視する。詳細には、ステップSE5において、船舶制御装置11Cは、船速検出部11Eによって検出される船舶11の速度が第4閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶11の速度が第4閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶11の慣性力によって船舶11が前進し、かつ、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りに旋回し続けている場合)には、ステップSE5が繰り返し実行される。一方、船舶11の速度が第4閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶11の慣性力による船舶11の前進および船舶11の慣性モーメントによる船舶11の時計回りの旋回が終了したと推定できる場合)には、ステップSE6に進む。
ステップSE6において、船舶制御装置11Cが、船舶11の後向きの推力の発生および反時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0064】
つまり、図13に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を前進させる推進力を発生しており、かつ、船舶11を時計回りに旋回させるモーメントを船舶11に発生させている時に、船舶11を前進させる推進力および船舶11を時計回りに旋回させるモーメントの発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図13に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、船舶11の速度に基づいて設定する。
換言すれば、図13に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップSE3においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図13に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性力および慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0065】
図14は操作部11Bが船舶11を後進させかつ反時計回りに旋回させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合に第2実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図14に示す例では、ステップSF1において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11を後進させかつ反時計回りに旋回させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11を後進させかつ反時計回りに旋回させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSF1が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11を後進させかつ反時計回りに旋回させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSF2に進む。
【0066】
ステップSF2において、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を後進させる推進力を発生し、かつ、船舶11を反時計回りに旋回させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が後進しかつ反時計回りに旋回する。
次いで、ステップSF3において、例えば船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部11Bが船舶11の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、ステップSF3が繰り返し実行される。一方、操作部11Bが船舶11の後進および反時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合には、ステップSF4に進む。
【0067】
ステップSF4において、船舶制御装置11Cは、船舶11を後進させる推進力の発生および船舶11を反時計回りに旋回させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、後進を継続しようとする慣性力および反時計回りの旋回を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、図14に示す例では、ステップSF4において、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、ステップSF4において、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが船舶11の前向きの推力を発生させかつ時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、船舶11の前向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させると共に時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が後向きに移動してしまうこと、および、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が反時計回りに旋回しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、ステップSF5では、船舶制御装置11Cが、船舶11の速度を監視する。詳細には、ステップSF5において、船舶制御装置11Cは、船速検出部11Eによって検出される船舶11の速度が第4閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶11の速度が第4閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶11の慣性力によって船舶11が後進し、かつ、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が反時計回りに旋回し続けている場合)には、ステップSF5が繰り返し実行される。一方、船舶11の速度が第4閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶11の慣性力による船舶11の後進および船舶11の慣性モーメントによる船舶11の反時計回りの旋回が終了したと推定できる場合)には、ステップSF6に進む。
ステップSF6において、船舶制御装置11Cが、船舶11の前向きの推力の発生および時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0068】
つまり、図14に示す例では、アクチュエータ11Aが、船舶11を後進させる推進力を発生しており、かつ、船舶11を反時計回りに旋回させるモーメントを船舶11に発生させている時に、船舶11を後進させる推進力および船舶11を反時計回りに旋回させるモーメントの発生を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
また、図14に示す例では、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる期間を、船舶11の速度に基づいて設定する。
換言すれば、図14に示す例では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(ステップSF3においてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の後向き)とは逆向き(船舶11の前向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(反時計回り)とは逆向き(時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、図14に示す例では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性力および慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
【0069】
<第3実施形態>
以下、本発明の操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の操船システム1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0070】
図15は第3実施形態の船舶制御装置11Cが適用された船舶11を備える操船システム1の一例を示す図である。
図15に示す例では、操船システム1が、船舶11と、入力装置12とを備えている。船舶11は、アクチュエータ11Aと、操作部11Bと、船舶制御装置11Cと、船首方位検出部11Dと、船速検出部11Eと、船舶位置検出部11Fと、通信部11Gとを備えている。アクチュエータ11Aは、図1に示すアクチュエータ11Aと同様に構成されている。操作部11Bは、図1に示す操作部11Bと同様に構成されている。船舶制御装置11Cは、図1に示す船舶制御装置11Cと同様に構成されている。船首方位検出部11Dは、図1に示す船首方位検出部11Dと同様に構成されている。船速検出部11Eは、図1に示す船速検出部11Eと同様に構成されている。船舶位置検出部11Fは、図1に示す船舶位置検出部11Fと同様に構成されている。通信部11Gは、入力装置12との通信を行う。
入力装置12は、船舶11とは別個に設けられている。つまり、入力装置12は、例えば船舶11から離れた位置において船舶11の操船者によって利用可能である。入力装置12は、操作部12Aと、通信部12Bとを備えている。操作部12Aは、船舶11の操船者の入力操作を受け付ける。通信部12Bは、操作部12Aが受け付けた船舶11の操船者の入力操作を示す情報を船舶11に送信する。船舶11の通信部11Gは、入力装置12の通信部12Bによって送信された入力操作を示す情報を受信する。船舶11の船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが受け付けた入力操作に基づいてアクチュエータ11Aを作動させる。
【0071】
入力装置12の操作部12Aが船舶11を前進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合に第3実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理では、図3のステップS11に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11を前進させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11を前進させる入力操作を受け付けていない場合には、図3のステップS11に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11を前進させる入力操作を受け付けた場合には、図3のステップS12に相当するステップに進む。
【0072】
図3のステップS12に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの推力発生部11A2が、船舶11を前進させる推進力を発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、図2(C)に示すように、船舶11が前進する(つまり、船舶11が図2の上向きに移動する)。
次いで、図3のステップS13に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、図3のステップS13に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合には、図3のステップS14に相当するステップに進む。
【0073】
図3のステップS14に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11を前進させる推進力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、前進を継続しようとする図2の上向きの慣性力(行き足)が生じる。そこで、第3実施形態の操船システム1では、図3のステップS14に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(図2の上向き)とは逆向き(図2の下向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、図3のステップS14に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、操作部12Aが図2の下向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる入力操作を受け付ける必要なく、図2の下向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる。その結果、図2(A)および図2(B)に示すように、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が図2の上向きに移動してしまうこと(行き足)を抑制することができる。
【0074】
次いで、図3のステップS15に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cが、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を入力装置12の操作部12Aが受け付けた時(つまり、図3のステップS13に相当するステップにおいて操作部12Aが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けたと判定された時)からの経過時間を監視する。詳細には、図3のステップS15に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部12Aが受け付けた時からの経過時間が第1閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第1閾値以上になっていない場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)によって船舶11が図2の上向きに移動するおそれがあると推定できる場合)には、図3のステップS15に相当するステップが繰り返し実行される。一方、経過時間が第1閾値以上になった場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)によって船舶11が図2の上向きに移動するおそれがないと推定できる場合)には、図3のステップS16に相当するステップに進む。
図3のステップS16に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cが、図2の下向きの推力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0075】
つまり、第3実施形態の操船システム1では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を入力装置12の操作部12Aが受け付けた場合(図3のステップS13に相当するステップにおいてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(図2の上向き)とは逆向き(図2の下向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、操作部12Aが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、第3実施形態の操船システム1では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性力を打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
また、第3実施形態の操船システム1では、船舶11から離れている操船者が船舶11に生じる慣性力を把握できなくても、船舶11の状態をアクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態に適切に移行させることができる。
【0076】
入力装置12の操作部12Aが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合に第3実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理では、図5のステップS31に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けていない場合には、図5のステップS31に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けた場合には、図5のステップS32に相当するステップに進む。
【0077】
図5のステップS32に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が時計回りにその場回頭する。
次いで、図5のステップS33に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、図5のステップS33に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合には、図5のステップS34に相当するステップに進む。
【0078】
図5のステップS34に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、時計回りのその場回頭を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、第3実施形態の操船システム1では、図5のステップS34に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、図5のステップS34に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、操作部12Aが反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が時計回りにその場回頭しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、図5のステップS35に相当するステップでは、船舶制御装置11Cが、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を入力装置12の操作部12Aが受け付けた時(つまり、図5のステップS33に相当するステップにおいて操作部12Aが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けたと判定された時)からの経過時間を監視する。詳細には、図5のステップS35に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部12Aが受け付けた時からの経過時間が第1閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第1閾値以上になっていない場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りにその場回頭しすぎるおそれがあると推定できる場合)には、図5のステップS35に相当するステップが繰り返し実行される。一方、経過時間が第1閾値以上になった場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りにその場回頭しすぎるおそれがないと推定できる場合)には、図5のステップS36に相当するステップに進む。
図5のステップS36に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cが、反時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0079】
つまり、第3実施形態の操船システム1では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を入力装置12の操作部12Aが受け付けた場合(図5のステップS33に相当するステップにおいてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部12Aが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、第3実施形態の操船システム1では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
また、第3実施形態の操船システム1では、船舶11から離れている操船者が船舶11に生じる慣性モーメントを把握できなくても、船舶11の状態をアクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態に適切に移行させることができる。
【0080】
入力装置12の操作部12Aが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合に第3実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理では、図7のステップS51に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けていない場合には、図7のステップS51に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けた場合には、図7のステップS52に相当するステップに進む。
【0081】
図7のステップS52に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を前進させる推進力を発生し、かつ、船舶11を時計回りに旋回させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が前進しかつ時計回りに旋回する。
次いで、図7のステップS53に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、図7のステップS53に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合には、図7のステップS54に相当するステップに進む。
【0082】
図7のステップS54に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11を前進させる推進力の発生および船舶11を時計回りに旋回させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、前進を継続しようとする慣性力および時計回りの旋回を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、第3実施形態の操船システム1では、図7のステップS54に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、図7のステップS54に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、操作部12Aが船舶11の後向きの推力を発生させかつ反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、船舶11の後向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させると共に反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が前向きに移動してしまうこと、および、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が時計回りに旋回しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、図7のステップS55に相当するステップでは、船舶制御装置11Cが、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を入力装置12の操作部12Aが受け付けた時(つまり、図7のステップS53に相当するステップにおいて操作部12Aが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けたと判定された時)からの経過時間を監視する。詳細には、図5のステップS55に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部12Aが受け付けた時からの経過時間が第1閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第1閾値以上になっていない場合(つまり、船舶11の慣性力によって船舶11が前向きに移動するおそれがあり、かつ、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りに旋回しすぎるおそれがあると推定できる場合)には、図7のステップS55に相当するステップが繰り返し実行される。一方、経過時間が第1閾値以上になった場合(つまり、船舶11の慣性力によって船舶11が前向きに移動するおそれがなく、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りに旋回しすぎるおそれがないと推定できる場合)には、図7のステップS56に相当するステップに進む。
図7のステップS56に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cが、船舶11の後向きの推力の発生および反時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0083】
つまり、第3実施形態の操船システム1では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を入力装置12の操作部12Aが受け付けた場合(図7のステップS53に相当するステップにおいてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部12Aが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、第3実施形態の操船システム1では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性力および慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
また、第3実施形態の操船システム1では、船舶11から離れている操船者が船舶11に生じる慣性力および慣性モーメントを把握できなくても、船舶11の状態をアクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態に適切に移行させることができる。
【0084】
<第4実施形態>
以下、本発明の操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第4実施形態について説明する。
第4実施形態の操船システム1は、後述する点を除き、上述した第2および第3実施形態の操船システム1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第2および第3実施形態の操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0085】
第4実施形態の操船システム1は、図15に示す第3実施形態の操船システム1と同様に構成されている。
【0086】
入力装置12の操作部12Aが船舶11を前進させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合に第4実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理では、図9のステップSA1に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11を前進させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11を前進させる入力操作を受け付けていない場合には、図9のステップSA1に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11を前進させる入力操作を受け付けた場合には、図9のステップSA2に相当するステップに進む。
【0087】
図9のステップSA2に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aの推力発生部11A2が、船舶11を前進させる推進力を発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が前進する。
次いで、図9のステップSA3に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、図9のステップSA3に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11の前進を停止させる入力操作を受け付けた場合には、図9のステップSA4に相当するステップに進む。
【0088】
図9のステップSA4に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11を前進させる推進力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、前進を継続しようとする慣性力(行き足)が生じる。そこで、第4実施形態の操船システム1では、図9のステップSA4に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、図9のステップSA4に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、操作部12Aが船舶11の後向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる入力操作を受け付ける必要なく、船舶11の後向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が前向きに移動してしまうこと(行き足)を抑制することができる。
次いで、図9のステップSA5に相当するステップでは、船舶制御装置11Cが、船舶11の速度を監視する。詳細には、図9のステップSA5に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船速検出部11Eによって検出される船舶11の速度が第2閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶11の速度が第2閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)によって船舶11が前進し続けている場合)には、図9のステップSA5に相当するステップが繰り返し実行される。一方、船舶11の速度が第2閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶11の慣性力(行き足)による船舶11の前進が終了したと推定できる場合)には、図9のステップSA6に相当するステップに進む。
図9のステップSA6に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cが、船舶11の後向きの推力の発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0089】
つまり、第4実施形態の操船システム1では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を入力装置12の操作部12Aが受け付けた場合(図9のステップSA3に相当するステップにおいてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、操作部12Aが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、第4実施形態の操船システム1では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性力を打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
また、第4実施形態の操船システム1では、船舶11から離れている操船者が船舶11に生じる慣性力を把握できなくても、船舶11の状態をアクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態に適切に移行させることができる。
【0090】
入力装置12の操作部12Aが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合に第4実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理では、図11のステップSC1に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けていない場合には、図11のステップSC1に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11を時計回りにその場回頭させる入力操作を受け付けた場合には、図11のステップSC2に相当するステップに進む。
【0091】
図11のステップSC2に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が時計回りにその場回頭する。
次いで、図11のステップSC3に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、図11のステップSC3に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11の時計回りのその場回頭を停止させる入力操作を受け付けた場合には、図11のステップSC4に相当するステップに進む。
【0092】
図11のステップSC4に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11を時計回りにその場回頭させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、時計回りのその場回頭を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、第4実施形態の操船システム1では、図11のステップSC4に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、図11のステップSC4に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、操作部12Aが反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が時計回りにその場回頭しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、図11のステップSC5に相当するステップでは、船舶制御装置11Cが、船舶11の角速度を監視する。詳細には、図11のステップSC5に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船首方位検出部11Dによって検出される船首方位に基づいて算出される船舶11の角速度が第3閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶11の角速度が第3閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りにその場回頭し続けている場合)には、図11のステップSC5に相当するステップが繰り返し実行される。一方、船舶11の角速度が第3閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶11の慣性モーメントによる船舶11の時計回りのその場回頭が終了したと推定できる場合)には、図11のステップSC6に相当するステップに進む。
図11のステップSC6に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cが、反時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0093】
つまり、第4実施形態の操船システム1では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を入力装置12の操作部12Aが受け付けた場合(図11のステップSC3に相当するステップにおいてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部12Aが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、第4実施形態の操船システム1では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
また、第4実施形態の操船システム1では、船舶11から離れている操船者が船舶11に生じる慣性モーメントを把握できなくても、船舶11の状態をアクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態に適切に移行させることができる。
【0094】
入力装置12の操作部12Aが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付け、次いで、船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合に第4実施形態の船舶制御装置11Cによって実行される処理では、図13のステップSE1に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けていない場合には、図13のステップSE1に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11を前進させかつ時計回りに旋回させる入力操作を受け付けた場合には、図13のステップSE2に相当するステップに進む。
【0095】
図13のステップSE2に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aが、船舶11を前進させる推進力を発生し、かつ、船舶11を時計回りに旋回させるモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。その結果、船舶11が前進しかつ時計回りに旋回する。
次いで、図13のステップSE3に相当するステップにおいて、例えば船舶制御装置11Cは、入力装置12の操作部12Aが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作部12Aが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けていない場合には、図13のステップSE3に相当するステップが繰り返し実行される。一方、操作部12Aが船舶11の前進および時計回りの旋回を停止させる入力操作を受け付けた場合には、図13のステップSE4に相当するステップに進む。
【0096】
図13のステップSE4に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11を前進させる推進力の発生および船舶11を時計回りに旋回させるモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。その結果、前進を継続しようとする慣性力および時計回りの旋回を継続しようとする慣性モーメントが生じる。そこで、第4実施形態の操船システム1では、図13のステップSE4に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、アクチュエータ11Aを作動させる。詳細には、図13のステップSE4に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、操作部12Aが船舶11の後向きの推力を発生させかつ反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる入力操作を受け付ける必要なく、船舶11の後向きの推力をアクチュエータ11Aに発生させると共に反時計回りのモーメントを船舶11に発生させる。その結果、船舶11に生じた慣性力によって船舶11が前向きに移動してしまうこと、および、船舶11に生じた慣性モーメントによって船舶11が時計回りに旋回しすぎてしまうことを抑制することができる。
次いで、図13のステップSE5に相当するステップでは、船舶制御装置11Cが、船舶11の速度を監視する。詳細には、図13のステップSE5に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cは、船速検出部11Eによって検出される船舶11の速度が第4閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶11の速度が第4閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶11の慣性力によって船舶11が前進し、かつ、船舶11の慣性モーメントによって船舶11が時計回りに旋回し続けている場合)には、図13のステップSE5に相当するステップが繰り返し実行される。一方、船舶11の速度が第4閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶11の慣性力による船舶11の前進および船舶11の慣性モーメントによる船舶11の時計回りの旋回が終了したと推定できる場合)には、図13のステップSE6に相当するステップに進む。
図13のステップSE6に相当するステップにおいて、船舶制御装置11Cが、船舶11の後向きの推力の発生および反時計回りのモーメントの発生をアクチュエータ11Aに停止させる。
【0097】
つまり、第4実施形態の操船システム1では、船舶制御装置11Cがアクチュエータ11Aを作動させている時に、アクチュエータ11Aの作動を停止させる入力操作を操作部11Bが受け付けた場合(図13のステップSE3に相当するステップにおいてYESと判定された場合)に、船舶制御装置11Cは、船舶11に生じている慣性力の向き(船舶11の前向き)とは逆向き(船舶11の後向き)の推力をアクチュエータ11Aが発生するように、かつ、船舶11に生じている慣性モーメントの向き(時計回り)とは逆向き(反時計回り)のモーメントを船舶11に発生させるように、操作部12Aが入力操作を受け付ける必要なく、アクチュエータ11Aを作動させる。
そのため、第4実施形態の操船システム1では、アクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態への移行時に船舶11に生じる慣性力および慣性モーメントを打ち消すための操船者の入力操作を不要にすることができる。
また、第4実施形態の操船システム1では、船舶11から離れている操船者が船舶11に生じる慣性力および慣性モーメントを把握できなくても、船舶11の状態をアクチュエータ11Aの作動状態からアクチュエータ11Aの作動停止状態に適切に移行させることができる。
【0098】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0099】
なお、上述した実施形態における操船システム1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0100】
1…操船システム、11…船舶、11A…アクチュエータ、11A1…舵部、11A2…推力発生部、11B…操作部、11B1…操舵部、11B2…スロットル操作部、11C…船舶制御装置、11D…船首方位検出部、11E…船速検出部、11F…船舶位置検出部、11G…通信部、12…入力装置、12A…操作部、12B…通信部
図1
図2
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