(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-26
(45)【発行日】2025-07-04
(54)【発明の名称】トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及びトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含むパーソナルケア組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/69 20060101AFI20250627BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20250627BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20250627BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20250627BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20250627BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250627BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20250627BHJP
【FI】
A61K8/69
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/89
A61K8/92
A61Q19/00
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2021556791
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(86)【国際出願番号】 CN2020082758
(87)【国際公開番号】W WO2020200239
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/080355
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チャンミン
(72)【発明者】
【氏名】リン、ユークン
(72)【発明者】
【氏名】セティワン、バリー
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-532964(JP,A)
【文献】特表2014-523928(JP,A)
【文献】特表2013-543050(JP,A)
【文献】特開2012-140592(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109464300(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/69
A61K 8/37
A61K 8/34
A61K 8/89
A61K 8/92
A61Q 19/00
A61Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する
非治療方法であって、
(a)パーソナルケア組成物を、安定な水中油型エマルションの形態で、圧力下の容器に提供する工程であって、前記エマルションが、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)発泡体形成成分、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、前記1233zd(E)及び前記1234ze(E)が、合わせて、前記パーソナルケア組成物の40重量%~60重量%を構成し、かつトランス1233zd:トランス1234zeが1:8~8:1の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)7~18のHLB値を有し、かつ前記
連続水相及び/又は不連続相に存在し得る、乳化剤と、ここで、前記乳化剤は、直鎖状の長鎖固体乳化剤である、
(iv)前記
連続水相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(v)任意選択で、前記
連続水相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、工程と、
(b)前記パーソナルケア組成物の少なくとも一部分を前記容器から周囲圧力条件に放出して発泡体を形成することによって、処置されている前記ヒトの前記皮膚、毛髪、及び/又は粘膜の上及び/又は中に前記パーソナルケア組成物を分配する工程と、を含む、
非治療方法。
【請求項2】
前記1233zd(E)及び前記1234ze(E)は、合わせて、前記パーソナルケア組成物の40重量%~60重量%を構成し、トランス1233zd:トランス1234zeが1:8~1:1未満の重量比で存在する、請求項1に記載の
非治療方法。
【請求項3】
前記1233zd(E)及び前記1234ze(E)は、合わせて、前記パーソナルケア組成物の40重量%~60重量%を構成し、トランス1233zd:トランス1234zeが8:1~1:1の重量比で存在する、請求項1に記載の
非治療方法。
【請求項4】
9重量%~14重量%未満の安定性補助成分を更に含む、請求項1~3のいずれかに記載の
非治療方法。
【請求項5】
前記安定性補助成分は、エステル油、シリコーン、脂肪族アルコール、ワックス、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の
非治療方法。
【請求項6】
前記1233zd(E)及び前記1234ze(E)は、合わせて、前記パーソナルケア組成物の少なくとも60重量%を構成し、トランス1233zd:トランス1234zeが1:8~1:1未満の重量比で存在する、請求項1に記載の
非治療方法。
【請求項7】
使用者上に発泡体を形成する前記工程は、前記使用者に、冷感及び/又はクラックリング音を提供する、請求項1に記載の
非治療方法。
【請求項8】
発泡体は、シャーベット状発泡体、アイスクリーム状発泡体、クラックリング発泡体、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択される形態で、使用者上に形成される、請求項1~7のいずれかに記載の
非治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年4月2日に出願された米国特許仮出願第62/827,714号に関し、その優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年3月20日に出願されたPCT出願第PCT/CN2020/080355号に関し、その優先権の利益を主張するものである。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、パーソナルケア組成物、並びに新規な発泡体形態を提供する、及び/又は発泡効果を提供する組成物、物品、及び方法を含むがこれらに限定されない、パーソナルケアを提供するための方法及び装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
皮膚ローション及びクレンザー並びにシェービングクリーム(発泡体及びゲルを含む)などのパーソナルケア組成物は、一般に、活性成分に加えていくつかの成分を含む。このような追加成分としては、例えば、増粘剤、懸濁化剤、界面活性剤、及び発泡剤を含んでもよく、これらは、組成物が皮膚に分配されるとき及び/又は皮膚に適用される際に、組成物の特性に影響を与えるために含まれる。
【0005】
1つの特定のタイプの製剤は、分配されると、及び/又は処置されている皮膚若しくは頭皮の領域内若しくはその上に塗り込む際に自己発泡するゲルである。例えば、今日使用されるパーソナルケア製品のより一般的な形態の1つは、後発泡シェービングゲルである。このような後発泡組成物では、圧力下に維持されたときに、透明で安定したゲル又はエマルションを形成するために、石鹸、界面活性剤、活性成分、及び比較的揮発性の炭化水素を有する他の成分を添加することが一般的である。これらの材料が分配され、機械的に攪拌されると、ゲルは、一般に、分配後のゲルへのエネルギーの印加に起因して発泡体を形成する。
【0006】
出願者らは、後発泡製剤及び非後発泡製剤を含む、従来のパーソナルケア製剤の性能が、いくつかの点で欠けている、及び/又は改善され得ることを理解するようになった。例として、出願者らは、多くの従来的な製剤では、後発泡用途において発泡体を形成するためにこれまで使用されていた揮発性炭化水素が、製剤の他の望ましい態様の劣化をもたらしていたことを見出した。例えば、出願者らは、このような従来の後発泡製剤が、適用後に発泡体を生成するのが早すぎ、それにより、製剤が使用者の皮膚若しくは毛髪上に拡がり、かつ/又は使用者にとって望ましいであろう範囲まで皮膚/毛髪に浸透する能力を打ち消す傾向があることを理解するようになった。更に、従来の後発泡製剤を発泡前に皮膚上に拡げることができた比較的小さい範囲でさえも、そのような製剤は、活性成分が皮膚の毛穴に浸透する能力を強化又は改善することがなく、それによって改善された性能の認識及び実現性のいずれも与えることがなかった。
【0007】
更に、出願者らは、多くの従来の製剤では、皮膚/頭皮上の外見及び/又は初期感覚が、達成できるたであろうほどには使用者にとって魅力的ではなく、製品がその意図された目的のために使用されるときに使用者の満足度を実質的に損なうことを認識するようになった。例えば、出願者らは、その他の点では意図された目的で許容可能である発泡体又はゲルが、分配されたときには液漏れ、へたり、及び/又はそれ以外では魅力的ではないように思われる場合、その製品の成功は、許容できないか、又は少なくとも所望されるものに満たない可能性があることを認識するようになった。
【0008】
従来の製剤の別の態様は、パーソナルケア製品を皮膚及び/又は毛髪に適用した結果として、使用者に冷感を与える能力である。このような感覚は、ヒト組織に含まれる一過性受容体電位(Transient Receptor Potential、TRP)チャネルを操作する感覚剤として既知の特定の成分を含むことによって、多くの従来の製剤に提供されている。例えば、米国特許出願公開第2017/0000713号を参照されたい。出願者らは、このような感覚剤成分の使用が、これらの成分及びそれらの誘導体の比較的高いコストを含むいくつかの欠点を有し得ることを認識するようになった。別の潜在的な欠点は、感覚剤が使用者の生物学的機能と直接的に相互作用する必要性であり、これは、直接的な生物学的相互作用に対して特に敏感及び/又はアレルギー性であり、かつ使用者と接触したままになっている成分の結果として長続きする副作用を経験する可能性のある使用者など、特定の事例/用途において望ましくない場合がある。したがって、出願者らは、より単純で低コストの機構を使用し、かつ上記の感覚剤の他の欠点を伴わずに、このような冷感を達成することの望ましさを認識するようになった。更に、出願者らは、皮膚/毛髪/粘膜への適用時に本質的に直ちに現れる冷感を経験したいとする多くの使用者の要望を認識するようになり、これらの感覚剤は、明らかに瞬時にリフレッシュする冷感が所望される皮膚、身体、及び粘膜への用途に使用が限定されている。加えて、出願者らはまた、冷却効果が長時間持続し、好ましくは同時に、適用時に本質的に即時の冷感を提供すると認識される処置組成物及び方法の利点を理解するようにもなった。
【0009】
出願者らはまた、以下に記載されるように、発泡体を形成するための特定の材料の使用が、望ましいかつ/又は新規の発泡体形態の製造において利点を有し得ることも認識するようになった。しかしながら、出願者らはまた、多くのそのような事例において、圧力下の容器にある間、構成要素を安定な形態で維持する能力が、結果が予測できない実質的な課題となり得ることも認識するようになった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
特許又は出願ファイルは、カラーで実行された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面(1つ又は複数)を有するこの特許又は特許出願公開のコピーは、要求に応じて、必要な手数料を支払って、官庁から提供される。
【0011】
【
図1】
図1は、実施例1Aに記載の実験によって得られた発泡体を示すカラー写真である。
【0012】
【
図2】
図2は、実施例2Aに記載の実験によって得られた発泡体を示すカラー写真である。
【0013】
【
図3】
図3は、実施例3A~3Dに記載の実験によって得られた発泡体を示すカラー写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概要
出願者らは、従来の製剤及び方法に関連して上述された欠点及び障害のうちの1つ以上、好ましくはそのような欠点及び障害の全てを、本発明による方法、物品、及びパーソナルケア製剤を使用して低減又は実質的に排除することができることを理解するようになった。追加として及び/又は代替的に、出願者らは、これまで知られていなかった又は入手可能ではなかった非常に望ましい及び/又は新規な製剤を開発した。
【0015】
本発明は、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、
(a)(i)1つ以上の活性成分と、(ii)任意選択ではあるが好ましくは、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、(iii)トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含む発泡体形成成分と、を含む、ゲル、ローション、又はクリームなどの形態のパーソナルケア組成物を提供する工程と、
(b)ゲル、ローション、又はクリームを、処置されているヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜上にかつ/又は中に拡げる工程と、
(c)送達中、及び/又は皮膚、毛髪、及び/若しくは粘膜と接触している間に、ゲル、ローション、又はクリームから1233zd(E)及び1234ze(E)を蒸発させることによって、ゲル、ローション、又はクリームを発泡させる工程と、を含む、方法を含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、方法1と称される。
【0016】
本発明はまた、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、
(a)パーソナルケア組成物を、安定な水中油型エマルションの形態で、圧力下の容器に提供する工程であって、エマルションが、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)発泡体形成成分、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1-3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、1233zd(E)及び1234ze(E)が、合わせて(together)、パーソナルケア組成物の約40重量%~約60重量%を構成し(comprise)、かつトランス1233zd:トランス1234zeが約8:1~約1:1の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)約7~約18のHLB値を有し、かつ連続相及び/又は不連続相に存在し得る、乳化剤と、
(iv)連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(v)任意選択で、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、工程と、
(b)パーソナルケア組成物の少なくとも一部分を容器から周囲圧力条件に放出して発泡体を形成することによって、処置されているヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜上及び/又は中にパーソナルケア組成物を分配する工程と、を含む、方法を含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、方法2と称される。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「周囲圧力条件」は、大気圧又はおよそ大気圧を意味する。
【0018】
本発明はまた、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、
(a)パーソナルケア組成物を、安定な水中油型エマルションの形態で、圧力下の容器に提供する工程であって、エマルションが、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1-3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、1233zd(E)及び1234ze(E)が、合わせて、パーソナルケア組成物の約40重量%~約60重量%を構成し、かつトランス1233zd:トランス1234zeが約1:8~1:1未満の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)約7~約18のHLB値を有し、かつ連続相及び/又は不連続相に存在し得る、固体乳化剤と、
(iv)好ましくは、エステル油、シリコーン、脂肪族アルコール、ワックス、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、約9重量%~約14重量%未満の安定性補助成分と、
(v)連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(vi)任意選択で、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、工程と、
(b)パーソナルケア組成物の少なくとも一部分を容器から周囲圧力条件に放出して発泡体を形成することによって、処置されているヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜上及び/又は中にパーソナルケア組成物を分配する工程と、を含む、方法を含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、方法3と称される。
本明細書で使用するとき、用語「安定性補助成分」は、本明細書に記載され、出願者らが、本発明の製剤のための安定した水中油型エマルションを達成するのを補助できることを見出した、乳化剤以外の構成成分を指す。
【0019】
本発明はまた、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、
(a)パーソナルケア組成物を、安定な水中油型エマルションの形態で、圧力下の容器に提供する工程であって、エマルションが、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)発泡体形成成分、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1-3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、1233zd(E)及び1234ze(E)が、合わせて、パーソナルケア組成物の少なくとも約60重量%を構成し、かつトランス1233zd:トランス1234zeが約1:8~約1:1未満の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)約7~約18のHLB値を有し、かつ連続相及び/又は不連続相に存在し得る、乳化剤と、
v)連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(vi)任意選択で、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、工程と、
(b)パーソナルケア組成物の少なくとも一部分を容器から周囲圧力条件に放出して使用者上に発泡体を形成し、使用者に冷感を提供することによって、処置されているヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜上及び/又は中にパーソナルケア組成物を分配する工程と、を含む、方法を含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、方法4と称される。
【0020】
本発明はまた、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、
(a)パーソナルケア組成物を、安定な水中油型エマルションの形態で、圧力下の容器に提供する工程であって、エマルションが、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)発泡体形成成分、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1-3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、1233zd(E)及び1234ze(E)が、合わせて、パーソナルケア組成物の少なくとも約40重量%を構成し、かつトランス1233zd:トランス1234zeが約1:8~約8:1未満の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)水中油型エマルションが安定であることを確実にし、約7~約18の乳化剤HLBを提供するのに有効な量の、連続相及び/又は不連続相中に存在し得る、固体長鎖直鎖状乳化剤と、
v)連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(vi)任意選択で、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、工程と、
(b)パーソナルケア組成物の少なくとも一部分を容器から周囲圧力条件に放出して、シャーベット状発泡体、アイスクリーム状発泡体、クラックリング発泡体、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択される形態で、使用者上に発泡体を形成することによって、処置されているヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜上に及び/又は中にパーソナルケア組成物を分配する工程と、を含む、方法を含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、方法5と称される。
【0021】
本発明はまた、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、
(a)パーソナルケア組成物を、安定な水中油型エマルションの形態で、圧力下の容器に提供する工程であって、エマルションが、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)発泡体形成成分、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1-3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、1233zd(E)及び1234ze(E)が、合わせて、パーソナルケア組成物の少なくとも約40重量%を構成し、かつトランス1233zd:トランス1234zeが約1:8~約8:1未満の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)水中油型エマルションが安定であることを確実にするのに有効な量の、連続相及び/又は不連続相中に存在し得る、乳化剤と、
v)連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(vi)任意選択で、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、工程と、
(b)パーソナルケア組成物の少なくとも一部分を容器から周囲圧力条件に放出して、シャーベット状発泡体、アイスクリーム状発泡体、クラックリング発泡体、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択される形態で、使用者上に発泡体を形成することによって、処置されているヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜上に及び/又は中にパーソナルケア組成物を分配する工程と、を含む、方法を含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、方法6と称される。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「シャーベット状発泡体」は、半透明であり、質感のある表面を有する、発泡体を意味する。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「アイスクリーム状発泡体」は、多数の比較的鋭いが柔らかい点/不連続部を含む、高度に質感のある非平滑な表面を有する発泡体を意味する。
【0024】
本発明はまた、発泡体を形成する工程が、送達中並びに/又は皮膚、毛髪、及び/若しくは粘膜と接触している間に、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))を蒸発させて、シャーベット状発泡体、アイスクリーム状発泡体、クラックリング発泡体、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択される形態である発泡体を形成することによって、発泡体を形成することを含む、方法1~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法も含む。
本発明はまた、パーソナルケア発泡体を周囲圧力で形成するための圧力下の容器内のパーソナルケア組成物であって、発泡体が、シャーベット状発泡体、アイスクリーム状発泡体、クラックリング発泡体、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択される形態にあり、組成物は、
(a)水を含む連続水相と、
(b)1つ以上のパーソナルケア活性成分と、
(c)トランス1233zd:トランス1234zeの重量比1:8~8:1で、約40重量%~約60重量%のトランス1233zd及びトランス-1234zeの組み合わせと、
(d)合わせて4を上回るHLB値を有する、1つ以上の非イオン性乳化剤とを含む、実質的に均質な水中油型エマルションを含み、
少なくともトランスHFCO1233zd及びトランスHFO-1234zeが、連続水相において1つ以上の分散相を構成する、パーソナルケア組成物を含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、パーソナルケア組成物1と称される。
本発明はまた、パーソナルケア発泡体を周囲圧力で形成するための圧力下の容器内のパーソナルケア組成物であって、発泡体が、シャーベット状発泡体、アイスクリーム状発泡体、クラックリング発泡体、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択される形態にあり、組成物は、
(a)パーソナルケア組成物の少なくとも約40重量%を構成する、水を含む連続水相と、
(b)1つ以上のパーソナルケア活性成分と、
(c)トランス1233zd:トランス1234zeの重量比1:8~8:1で、パーソナルケア組成物の総重量に基づいて約40重量%~約60重量%のトランス1233zd及びトランス-1234zeの組み合わせと、
(d)合わせて4を超えるHLB値を有する1つ以上の液体乳化剤、及び1つ以上の水ベースの増粘剤とを含む、実質的に均質な水中油型エマルションを含み、少なくともトランスHFCO1233zd及びトランスHFO-1234zeが、連続水相において1つ以上の分散相を構成する、パーソナルケア組成物を含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、パーソナルケア組成物2と称される。
本発明はまた、安定な水中油型エマルションであって、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)発泡体形成成分、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1-3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、1233zd(E)及び1234ze(E)が、合わせて、パーソナルケア組成物の約40重量%~約60重量%を構成し、かつトランス1233zd:トランス1234zeが約8:1~約1:1の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)約7~約18のHLB値を有し、かつ連続相及び/又は不連続相に存在し得る、乳化剤と、
(iv)連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(v)任意選択で、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、エマルションも含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、パーソナルケア組成物3と称される。
本発明はまた、安定な水中油型エマルションの形態のパーソナルケア組成物であって、エマルションが、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1-3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、1233zd(E)及び1234ze(E)が、合わせて、パーソナルケア組成物の約40重量%~約60重量%を構成し、かつトランス1233zd:トランス1234zeが約1:8~1:1未満の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)約7~約18のHLB値を有し、かつ連続相及び/又は不連続相に存在し得る、固体乳化剤と、
(iv)好ましくは、エステル油、シリコーン、脂肪族アルコール、ワックス、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、約9重量%~約14重量%未満の安定性補助成分と、
(v)連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(vi)任意選択で、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、パーソナルケア組成物も含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、パーソナルケア組成物4と称される。
本発明はまた、安定な水中油型エマルションの形態のパーソナルケア組成物であって、エマルションが、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)発泡体形成成分、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1-3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、1233zd(E)及び1234ze(E)が、合わせて、パーソナルケア組成物の少なくとも約60重量%を構成し、かつトランス1233zd:トランス1234zeが約1:8~約1:1未満の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)約7~約18のHLB値を有し、かつ連続相及び/又は不連続相に存在し得る、乳化剤と、
v)連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(vi)任意選択で、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、パーソナルケア組成物も含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、パーソナルケア組成物5と称される。
【0025】
本発明はまた、安定な水中油型エマルションの形態のパーソナルケア組成物であって、エマルションが、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)発泡体形成成分、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1-3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、1233zd(E)及び1234ze(E)が、合わせて、パーソナルケア組成物の少なくとも約40重量%を構成し、かつトランス1233zd:トランス1234zeが約1:8~約8:1未満の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)水中油型エマルションが安定であることを確実にするのに有効な量の、連続相及び/又は不連続相中に存在し得る、乳化剤と、
v)連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(vi)任意選択で、連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、パーソナルケア組成物も含む。便宜上、本発明による方法は、本明細書において、パーソナルケア組成物6と称される。
【0026】
ゲル、ローション、又はクリームを形成するために使用される成分は、皮膚、毛髪、又は粘膜に所望の効果を提供するという意味で活性な機能を有すると考えられ得ることが当業者には理解されるであろう。例として、皮膚コンディショナーはクリームの形態であってもよく、それ自体は製剤の活性成分であると考えられる。したがって、用語「補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分」は、本明細書では、主として、製剤の粘度、感触、質感、送達特性などに影響を及ぼすなど、皮膚又は毛髪の改善以外の目的のために製剤中に含まれる成分を特定して使用される。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「ゲル、ローション、又はクリームを発泡させる」及び同様の用語は、ゲル、ローション、クリームなどの少なくとも実質的な割合が発泡されることを意味する。したがって、この用語は、ゲル、ローション、又はクリームの一部が未発泡のままである段階をその意味に含むが、本発明の好ましい実施形態では、ゲル、ローション、クリームなどの実質的に全て(例えば、90%以上)が発泡される。
【0028】
本発明はまた、発泡体を形成する工程が、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを蒸発させることを含み、ゲル、ローション、クリーム、及び/又は発泡体を、処置されているヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜上及び/又はその中に拡げることを含む、方法1~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法も含む。
【0029】
本発明はまた、発泡体形成成分が、1233zd(E)及び1234ze(E)から本質的になるか、又はそれからなる、方法1~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法、並びにパーソナルケア組成物1~6のそれぞれを含む、パーソナルケア組成物も含む。
【0030】
本発明はまた、1233zd(E)及び1234ze(E)が、トランス1233zd:トランス1234zeの重量比が約4:1~約1:1で存在する、方法1、2及び4~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法、並びにパーソナルケア組成物1~3及び6のそれぞれを含むパーソナルケア組成物も含む。
【0031】
本発明はまた、1233zd(E)及び1234ze(E)が、トランス1233zd:トランス1234zeの重量比が約2:1~約1:1で存在する、方法1、2及び4~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法、並びにパーソナルケア組成物1~3及び6のそれぞれを含むパーソナルケア組成物も含む。
【0032】
本発明はまた、1233zd(E)及び1234ze(E)が、トランス1233zd:トランス1234zeの重量比が約4:1~約1:1で存在し、発泡体が、シャーベット状発泡体の形態である、方法1、2及び4~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法、並びにパーソナルケア組成物1~3及び6のそれぞれを含むパーソナルケア組成物も含む。
【0033】
本発明はまた、1233zd(E)及び1234ze(E)が、トランス1233zd:トランス1234zeの重量比が約4:1~約2:1で存在し、発泡体が、シャーベット状発泡体の形態である、方法1、2及び4~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法、並びにパーソナルケア組成物1~3及び6のそれぞれを含むパーソナルケア組成物も含む。
【0034】
本発明はまた、1233zd(E)及び1234ze(E)が、トランス1233zd:トランス1234zeの重量比が約1:4~1:1未満で存在する、方法1及び3~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法、並びにパーソナルケア組成物1、2、及び4~6のそれぞれを含むパーソナルケア組成物も含む。
【0035】
本発明はまた、1233zd(E)及び1234ze(E)が、トランス1233zd:トランス1234zeの重量比が約2:1~約1:1未満で存在する、方法1及び3~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法、並びにパーソナルケア組成物1、2、及び4~6のそれぞれを含むパーソナルケア組成物も含む。
【0036】
本発明はまた、1233zd(E)及び1234ze(E)が、トランス1233zd:トランス1234zeの重量比が約1:4~1:1未満で存在し、発泡体が、アイスクリーム状発泡体の形態である、方法1及び3~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法、並びにパーソナルケア組成物1、2、及び4~6のそれぞれを含むパーソナルケア組成物も含む。
【0037】
本発明はまた、1233zd(E)及び1234ze(E)が、トランス1233zd:トランス1234zeの重量比が約1:4~約1:2で存在し、発泡体が、アイスクリーム状発泡体の形態である、方法1及び3~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法、並びにパーソナルケア組成物1、2、及び4~6のそれぞれを含むパーソナルケア組成物も含む。
【0038】
本発明は、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、パーソナルカー(car)製剤1~6のそれぞれを含む本発明のパーソナルケア組成物を、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜に適用する工程を含む、方法を含む。
【0039】
本発明は、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、パーソナルカー製剤1~6のそれぞれを含む本発明のパーソナルケア組成物を、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜上に拡げる工程を含む、方法を含む。
【0040】
本発明は、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、パーソナルカー製剤1~6のそれぞれを含む本発明のパーソナルケア組成物を、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜に送達する工程と、次いで、送達されたパーソナルケア組成物を発泡させる工程と、を含む、方法を含む。
【0041】
本発明は、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、パーソナルカー製剤1~6のそれぞれを含む本発明のパーソナルケア組成物を、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜に送達する工程と、次いで、送達されたパーソナルケア組成物を、形態形成成分の蒸発によって発泡させる工程と、を含む、方法を含む。
【0042】
本発明は、(a)1つ以上の活性成分及びトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))を含むパーソナルケア組成物を提供する工程を含み、1つ以上の活性成分が、1233zd(E)によって及び/又はそれを用いて担持される、方法1~6のそれぞれを含む、ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法を含む。
【0043】
本明細書で使用するとき、用語「トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))を蒸発させる」という用語及び同様の用語は、1233zdの少なくとも実質的な割合が蒸発することを意味する。したがって、この用語は、1233zdの一部が蒸発していないままである段階をその意味に含むが、本発明の好ましい実施形態では、1233zdの実質的に全て(例えば、90%以上)が蒸発される。また、1つ以上の活性成分が、処置されているヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜の上に及び/又は中に残っているという要件は、「留まっている」組成物及び方法、並びに「洗い流す」組成物及び方法の両方を意図していることが理解されるであろう。したがって、本発明は、活性成分が、製品を除去しようとする使用者の能動的意図又は努力なしに、使用される皮膚、毛髪、及び/又は粘膜上に残存することが意図される方法を含む。このような「残存する」用途では、1233zdの実質的に全てが、適用後に実質的な期間(例えば、5分以上)にわたって蒸発することが好ましい。一方、「洗い流す」用途では、適用後にクリーム、ローション、ゲル、発泡体などを除去するために積極的な動作をとること(例えば、水で洗い流すことなどによって)が想定され、そのような実施形態では、蒸発前に、1233zdの一部分、可能性としては実質的な部分が使用者から除去されることが想定される。したがって、「留まっている」及び「洗い流す」用途の両方は、本発明の範囲内である。
【0044】
当業者であれば、本発明が、パーソナルケア組成物1~6のそれぞれを含む、本発明のパーソナルケア組成物を分配するための開放可能な閉鎖容器を含む物品を含むことを理解するであろう。したがって、本発明は、容器が開放可能であるが容易に再閉鎖されない容器(例えば、パーソナルケア製剤を分配するための開口部を提供するために破る又は切り裂くことができるサッシェなどの場合のような)、及び再閉鎖可能な容器(パーソナルケア製剤の分配を可能にするために開放することができ、その後、再閉鎖して、後の時点で使用するために製剤の残りの部分を缶内に維持することができるバルブを備えるノズルを有する缶などの場合のような)を含む。いずれの場合もであるが、主として再閉鎖可能な容器の場合には、本発明の発泡成分はまた、容器からパーソナルケア製剤を排出するのに役立つ力も提供し得ることが企図される。一例として、発泡成分が1233zd及び1234zeの両方を含む好ましい実施形態では、パーソナルケア組成物の1234ze成分は、一般に、製剤と共に容器から出て、発泡作用を提供するだけでなく、パーソナルケア製剤を容器から排出するのを少なくとも補助するように機能する。このような実施形態では、製剤は、好ましくは、製剤と混和する、及び/又は製剤中に分散する、及び/又はそれを乳化する成分として1233zd(E)及び1234ze(E)の両方を含み、そのような場合、1234ze(E)成分は、容器から出るときに製剤の発泡、並びに噴射力の提供に寄与する。本発明の説明の目的のために、このような実施形態における1234ze及び1233zd、並びに同じか又は同様の様式で挙動する他の構成成分は、パーソナルケア組成物の発泡に実質的に寄与するため、用語「発泡成分」などの範囲内である。
詳細な説明
【0045】
本発明の好ましい方法、物品、及び組成物は、従来のパーソナルケア方法及びパーソナルケア組成物と比較して、1つ以上、好ましくはいくつかの予想外の性能特性を提供する。これらの性能利点としては、以下が挙げられる。
-外観、感触、及び音を含む、使用者に対する感覚の改善及び増強、
-発泡体を形成するエマルションの安定性の改善
-使用者の皮膚、毛髪、及び/又は粘膜への活性成分の浸透の改善
-本質的に適用直後に感じられるか又は少なくとも認識される皮膚/粘膜に対する冷感
-好ましくは感覚剤を使用することなく、使用者に提供される冷感の増強及び長期持続。
本明細書で使用するとき、用語「パーソナルケア組成物」、「パーソナルケア製剤」などは、人に局所的に適用される組成物、製剤などを意味する。
【0046】
本発明のパーソナルケア組成物及び製剤は、例えばローション、クリーム、ゲルなどの形態であり得、そのような形態のそれぞれにおいて、組成物は、好ましくは後発泡性組成物又は製剤である。したがって、後発泡製剤が、多くの用途において好ましい一方で、使用者に冷感を提供する特定の実施形態も含めて、後発泡ではないローション、クリーム、ゲルなども、本発明の広範な範囲内であることが理解されるであろう。本発明の組成物及び製剤は、一般に後発泡組成物ではないが、本発明の有利な冷感を提供する噴霧剤又はエアゾール化粉末、ミストなどの形態であり得る。
【0047】
本明細書で使用するとき、用語「後発泡性」は、適用されるときには本質的に発泡体の形態ではないが、熱(体温の形態であってもよい)又は他のエネルギー(例えば、皮膚上及び/又は毛髪に製剤を擦る又は拡げることに関連する運動エネルギーなど)の適用の結果として、発泡した製品を生成する、ゲル、クリーム、ローションなどを指す。便宜上、必ずしも限定するものではないが、後発泡作用に関連する組成物、製剤、及び方法は、非後発泡性組成物、製剤、及び方法とは分けて以下に説明される。
活性成分
【0048】
本発明の組成物及び方法に使用される活性成分は、多種多様な目的及び機能を有することができ、そのような成分は全て本発明の範囲内である。一般に、このような成分は、使用者に、好ましくは使用者の皮膚、毛髪、及び/又は粘膜に、何らかの利益を提供するか、又は少なくとも提供することが期待される。したがって、活性成分には、化粧剤(すなわち、局所適用により皮膚、毛髪、又は粘膜を化粧的に処置し、そこに栄養を提供する、及び/又はそれをコンディショニングする、薬剤)、医薬品(すなわち、好ましくは皮膚、毛髪、又は粘膜に対する、損傷又は病気からの回復を促進又は補助することができる薬剤)、並びに薬物医薬品(すなわち、好ましくは皮膚、毛髪、及び粘膜を処置するのに有効な薬物を含む、局所適用による送達に適した薬物)が含まれ得る。活性成分は、2つ以上の動作モード及び/又は効果を有することができ、したがって、本発明の目的のために2つ以上の製品カテゴリーに適切に含まれ得ることが当業者には理解されるであろう。
【0049】
活性成分の例としては、着色、脱色、及び外観変化剤(例えば、色素、色素沈着防止剤、皮膚美白剤、反射剤など);毛髪処理剤(例えば、成形剤、もつれ防止剤、湿潤コーミング剤、抜け毛防止剤、育毛促進剤、育毛阻害剤、染毛剤、ヘアコンディショナー、ヘア柔軟剤;毛髪保湿剤、抗ふけ剤など);フィルム形成ポリマー;保潤剤;アミノ酸及びそれらの誘導体;抗微生物剤;アレルギー阻害剤;抗ニキビ剤(サリチル酸、過酸化ベンゾイル、硫黄、アダパレン、及びグリコール酸など);老化防止剤及び抗しわ剤(ジメチルアミノエタノール(dimethylaminoethanol、「DMAE」)、レチノール、ビタミンC、ヒドロキシ酸、ペプチド(perptide)、茶抽出物、ブドウ種子抽出物、及びナイアシンアミドなど)、防腐剤;鎮痛剤;鎮咳薬;鎮痒薬;局所麻酔薬;抗ヒスタミン薬;抗感染症;炎症阻害剤;脱臭剤及び制汗剤(アルミニウムクロロ水和物及びアルミニウム-ジルコニウムテトラクロロ水和物);医薬品剤;皮膚軟化剤及び皮膚保湿剤;スキンファーミング剤;抗真菌剤;シェービング調製物、ローション、クリーム、及びゲル;香料;メークアップ調製物;化粧品(例えば、皮膚クレンザー、皮膚コンディショナー、メークアップなど)、並びに日焼け止め及びサンブロック(ベンゾフェノン、ボルネロン、ブチルpaba、シナアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、paba、メトキシケイ皮酸カリウム、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸オクチル、オキシベンゾン、オクトクリレン、オクチルサリチレート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、エチルヒドロキシプロピルアミノベンゾエート、メンチルアントラニレート、アミノ安息香酸、シノキセート、メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン、グリセリルアミノベンゾエート、二酸化チタン、酸化亜鉛、オキシベンゾン、パジメート0、及び赤色ペトロラタムなど);昆虫忌避剤、皮膚保護剤(例えば、オートミール(atmeal)、ベタグルカン、ナツシロギク、大豆及びその誘導体、重炭酸ソーダ、コロイド状オートミール、界面活性剤系コロイド状オートミールクレンザー、アカバナルリハコベ、メマツヨイグサ、クマツヅラなど)、ビタミン(ビタミンB複合体、例えば、チアミン、ニコチン酸、ビオチン、パントテン酸、コリン、リボフラビン、ビタミンB6、ビタミンB12、ピリドキシン、イノシトール、カルニチン;ビタミンA、C、D、E、K、並びにそれらの誘導体、例えば、ビタミンAパルミテート及びプロビタミン、例えば、(すなわち、パンテノール(プロビタミンB5)及びパンテノールトリアセテート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本発明と共に使用される活性成分の量は、特定の用途に応じて広く変動し得るものであり、全てのそのような量は、本明細書に含まれる教示を考慮して当業者によって決定することができ、本発明の広範な範囲内にある。例えば、活性成分の量は、本発明によって提供される改善を考慮して、皮膚、毛髪、又は粘膜の細孔に、その上に、又はその中に浸透する成分の能力に応じて変動し得る。活性成分の相対量に影響を及ぼし得る他の要因としては、関与する特定の活性成分、所望される特定の利益、活性成分に対する使用者の感受性、使用者の健康状態、年齢、並びに皮膚、毛髪、及び/又は粘膜の状態などが挙げられる。まとめると、有益な薬剤は、好ましくは「安全かつ有効な量」で使用され、これは、所望される皮膚、毛髪、若しくは粘膜の利点をもたらすか又は処置しようとする特定の状態を改変するのに十分高く、かつ望ましくない有害な重度の副作用を回避する、量である。好ましい実施形態では、活性成分は、組成物/製剤の総重量に基づいて、合わせて、約0.01重量パーセント~約50重量パーセント、又は約0.01重量パーセント~約20重量パーセント、又は約0.01重量パーセント~約10重量パーセント、又は約0.01重量パーセント~約5重量パーセント、又は約0.01重量パーセント~約1.0重量パーセントの量で、パーソナルケア組成物又はパーソナルケア製剤系中に存在する。
補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分
【0051】
本発明の製剤に使用され得る補助成分の種類は、製剤の特定の形態(例えば、ゲル、クリーム、又はローション)、及び所望の製剤の特定の属性に応じて広範囲に変動し得、ありとあらゆるそのような成分は、本発明の範囲内に含まれる。
【0052】
ゲルと関連して、例えば、好ましい実施形態におけるゲル形成成分は、好ましくは、製剤の総重量に基づく主要な割合で、水性石鹸を含む。水性石鹸成分中の石鹸は、例えば、石鹸又は表面活性剤のいずれかであり得、これはまた、一般的にアニオン性又は非イオン性である湿潤剤と呼ばれることもある。
【0053】
後発泡ゲルの製造に好適な、好ましくはアミン又は塩基性塩である石鹸(高級脂肪酸の水溶性塩)は、一般に当該技術分野において既知であり、そのような石鹸は全て本発明の範囲内である。一般に、このような成分は、好ましくは、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸などの脂肪酸のアルカリ、アンモニウム又は可溶性アミン塩であり得る。当該技術分野において既知であるように、石鹸は、獣脂などの動物性脂肪、又は植物性脂肪の中和又はけん化によって調製されてもよい。好適な石鹸成分の選択は、本明細書の教示から当業者の範囲内であると見なされる。
【0054】
石鹸の代わりに、又はそれと共に使用することができるアニオン性又は非イオン性表面活性剤は、水に相当に可溶性であるものであるべきであり、そのような剤の例としては、トリエタノールアミンのラウリル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル置換フェノールの水溶性ポリオキシエチレンエーテル、及び水溶性ポリオキシエチレンセチルエーテルが挙げられる。好適な湿潤剤の選択は、本明細書の教示から当業者の範囲内であると見なされる。
【0055】
好ましくは、方法1~6のそれぞれを含む本発明の方法、及びパーソナルケア組成物1~6のそれぞれを含む本発明のパーソナルケア組成物において、乳化剤は、約9~約16のHLB値を有する非イオン性で固体の長鎖、直鎖状乳化剤を含むか、又はそれから本質的になる。このような乳化剤の一例は、Tween20である。
【0056】
後発泡用途で使用するためのゲルの形成に関連する1つの課題は、その非発泡状態では、均一な流体様式で皮膚又は毛髪上で容易に拡げることができないゲルを形成することの難しさであることが確認されている。例えば、特定のアルコキシル化アルキルリン酸エステル界面活性剤の使用について記載している米国特許第5,334,325号を参照されたく、この文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
後発泡用途で使用するための本発明のゲル、クリーム、及びローションに含まれ得る他の補助成分としては、ゲル増粘及び潤滑のためのポリマー、皮膚軟化のための化粧品用エステル、保湿のための保潤剤、芳香剤、染料、及び保存剤が挙げられる。
【0058】
本発明と共に使用される補助成分の量は、特定の用途に応じて広く変動し得るものであり、全てのそのような量は、本明細書に包含される教示を考慮して当業者によって決定することができ、本発明の広範な範囲内にある。好ましい実施形態では、補助成分は、組成物/製剤の総重量に基づいて、合わせて、製剤中の成分の総重量に基づいて約1パーセント~約60パーセントの量で、パーソナルケア組成物又はパーソナルケア製剤系中に存在する。
【0059】
上述したように、本発明はまた、後発泡作用を呈さないクリーム、ローション、ゲル、発泡体、ミスト、粉末、スプレーなども含む。例として、本明細書に記載されるような有利な冷却効果は、後発泡作用を呈するように設計されてないクリーム、ローション、ゲル、発泡体、ミスト、粉末、スプレーなどにも提供することができ、いずれにせよ、本発明の1233zdが、クリーム、ローション、ゲル、発泡体、ミスト、粉末、スプレーなどが使用者の皮膚、毛髪、及び/又は粘膜に適用された後に蒸発して、その結果本明細書に記載されるような有利な冷却効果を提供する。更なる例として、本製剤の有利な能力は、本発明の1233zdを一部に含めることにより、後発泡作用が達成されない又は所望されない実施形態であっても、使用者の皮膚/粘膜の細孔及び/又は使用者の毛嚢の中に浸透する及び/又は直接送達される活性成分の有利な能力を提供する。
【0060】
したがって、本発明の非後発泡性実施形態もまた、クリーム、ローション、ゲル、発泡体、ミスト、粉末、スプレーなどの形態の製剤及び組成物を利用することができ、ここで、この製剤及び組成物は、一般に、(a)好ましくはクレンザーを含む、1つ以上の活性成分、(b)任意選択であるが好ましくは、クリーム、ローション、ゲル、発泡体、ミスト、粉末、スプレーなどを形成するのに役立つ1つ以上の補助成分、(c)1233zd(E)及び1234ze(E)を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる発泡剤、並びに(d)組成物に含まれ得る成分(a)、(b)、及び(c)以外の任意選択の追加の成分を含む。このような非後発泡(non-fost-foaming)用途における成分(a)、(b)、及び(c)の種類及び量は、広範に変動し得るものであり、後発泡用途に関連して本明細書に記載されるそのような成分の種類及び量を含む。非後発泡実施形態では、便宜上であり限定するためではなく、成分(a)、(b)、及び(d)はまた、本明細書では「製剤ベース」又は「クレンザーベース」(活性成分がクレンザーを含む場合)などと称されることもある。
【0061】
本発明のパーソナルケア組成物は、シャンプー(ベビーシャンプー、コンディショニングシャンプー、保湿シャンプーなどを含む)、皮膚及び身体クレンザー(シャワーゲル、バスフォーム、洗顔料、デリケートゾーンクレンザー、保湿身体洗浄剤、抗菌身体洗浄剤、バスゲル、ハンドソープ、顔面スクラブ、フットスクラブなどを含む)、ヘアケア組成物(毛髪染料、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、及びヘアスタイリング製剤を含む)、スキンケア組成物(皮膚ローション、バーム及びクリーム、スキンホワイトニング剤、セルフタンニングローション、日焼け止めローション、キャリアローション、保湿剤、ビタミンCクリーム、抗菌ローション、フェイシャルマスク、ボディマスク、メイクアップファンデーション、サンケア製剤、制汗剤などを含む)を含む、広範なパーソナルケア製品/用途の形態であり得る、及び/又はそれらにおいて使用され得る。
【実施例】
【0062】
実施例1A-アイスクリーム状発泡体を形成するための保湿ボディローション
保湿ボディローションを、以下の成分:水、セテアリルアルコール(安定性補助成分として)、グリセリン、セチルアルコール(安定性補助成分として)、ベヘントリモニウムクロリド(カチオン性乳化剤として)、アルガニアスピノサ(アルガン)核油、シルクアミノ酸、ジメチコン、シクロペンタシロキサン(安定性補助成分、ジメチコノール、ジステアリン酸グリコール(HLBが1である安定性補助成分として)、ステアリン酸グリコール(HLBが2.9である安定性補助成分)、セテアレス-20(HLBが15.2の乳化剤として)、イソプロピルアルコール、クエン酸、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、DMDMヒダントイン、芳香剤(香水)、赤色40(CI 16035)、黄色5(CI 19140)、黄色6(CI 15985水)を含む、保湿ベースを使用して調製した。この保湿ベース及び様々な量のトランス1233zd、トランス1234zdを、以下の表1に示す相対量で用いたいくつかの製剤。ここで、全ての量は、重量基準のパーセンテージで示す。
【0063】
【0064】
図1から見ることができるように、それぞれ、40%以上の合計量のトランス1233zd及びトランス1234ze並びに1:4のzd/ze重量比を利用した製剤A及び製剤Bは、質感のあるアイスクリーム様発泡体を形成し、これは、半透明の特徴を有していた。対照的に、製剤C及びDは、比較的滑らかな連続表面、並びに比較的ほとんど半透明でないか又は全く半透明でない特徴を有する発泡体を生成した。これらの事例では、zd/ze重量比は1:4であったが、合計適用量は40%未満(それぞれ、30%及び20%)であった。
実施例1B-アイスクリーム状発泡体を形成するための保湿ボディローション
【0065】
実施例1Aを繰り返すが、製剤A及びBのzd/ze重量比を1:1に調整することを除く(すなわち、製剤Aについては25重量%のzd及び25重量%のze、並びに製剤Bについては20重量%のzd及び20重量%のze)。同様の結果が得られる。
実施例1C-アイスクリーム状発泡体を形成するための保湿ボディローション
【0066】
実施例1Aを繰り返すが、製剤A及びBのzd/ze重量比を1:2に調整することを除く(すなわち、製剤Aについては16.67重量%のzd及び33.33重量%、並びに製剤Bについては13.3重量%のzd及び26.7重量%のze)。同様の結果が得られる。
実施例2A-シャーベット状発泡体を形成するための保湿ボディローション
【0067】
保湿ボディローションを、以下の成分:水(アクア)、セテアリルアルコール(安定性補助成分として)、グリセリン、セチルアルコール(安定性補助成分として)、ベヘントリモニウムクロリド(カチオン性乳化剤として)、アルガニアスピノサ(アルガン)核油、シルクアミノ酸、ジメチコン、シクロペンタシロキサン(安定性補助成分)、ジメチコノール、ジステアリン酸グリコール(HLBが1である安定性補助成分として)、ステアリン酸グリコール(HLBが2.9である安定性補助成分として)、セテアレス-20(HLBが15.2の乳化剤として)、イソプロピルアルコール、クエン酸、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、DMDMヒダントイン、芳香剤(香水)、赤色40(CI 16035)、黄色5(CI 19140)、黄色6(CI 15985水)を含む、保湿ベースを使用して調製した。この保湿ベース及び様々な量のトランス1233zd、トランス1234zdを、以下の表2に示す相対量で用いたいくつかの製剤。ここで、全ての量は、重量基準のパーセンテージで示す。
【0068】
【0069】
図2から見ることができるように、それぞれ40%以上の合計量のトランス1233zd及びトランス1234ze、並びに4:1のzd/ze重量比を利用した製剤A及び製剤Bは、半透明の特徴を有するシャーベット状発泡体を形成した。対照的に、製剤C及びDは、比較的滑らかな連続した不透明な表面を有する発泡体を生成した。これらの事例では、zd/ze重量比は4:1であったが、合計適用量は40%未満(それぞれ、30%及び20%)であった。
実施例2B-シャーベット状発泡体を形成するための保湿ボディローション
【0070】
実施例2Aを繰り返すが、製剤A及びBのzd/ze重量比を1:1に調整することを除く(すなわち、製剤Aについては25重量%のzd及び25重量%のze、並びに製剤Bについては20重量%のzd及び20重量%のze)。同様の結果が得られる。
実施例2C-シャーベット状発泡体を形成するための保湿ボディローション
【0071】
実施例2Aを繰り返すが、製剤A及びBのzd/ze重量比を2:1に調整することを除く(すなわち、製剤Aについては33.33t%のzd及び16.67重量%、並びに製剤Bについては26.7重量%のzd及び13.3重量%のze)。同様の結果が得られる。
【0072】
したがって、実施例1及び2により、トランス1233zd及びトランス1234zeが、合わせて、パーソナルケア組成物の少なくとも約40重量%を構成する製剤が、アイスクリーム及びシャーベット(sherbret)型の発泡体を形成するのに好ましいことが明らかとなる。
【0073】
また、約4:1~約1:4のトランス1233zd:トランス1234zeの比は、好ましくは更に適用時にクラックリングし、かつ/又は適用時に冷却を提供する、シャーベット様構造体を形成するために好ましいことが、明らかとなる。
比較例1-低HLBの乳化剤を有するパーソナルケア製剤
【0074】
以下の表C3に示されるように、50重量%のトランス1233zd及びトランス1234zeを含有するパーソナルケア製剤を形成する。
【表3】
【0075】
上記の表から見ることができるように、製剤に使用される乳化剤のHLBは、Brij 93であり、これにより、約4のHLB値を有する乳化剤を有する製剤が得られた。室温において、形成後24時間振盪させた場合に相分離が観察されるかどうかによる測定によれば、安定なエマルションは形成されなかった。本明細書に別途記載のない限り、本明細書に記載される試験は、製剤の安定性を決定するために本明細書の実施例で使用されたものであり、相分離の観察は、製剤が安定しておらず、発泡体を形成するのに許容されないことを示す。
実施例3A、3B、3C、及び3D-高HLBの乳化剤を有するパーソナルケア製剤
【0076】
以下の表3に示されるように、1:4の重量比で50重量%のトランス1233zd及びトランス1234zeを含有する一連のパーソナルケア製剤(3A、3B、3C、及び3D)を形成した。
【表4】
【0077】
上記の表から見ることができるように、一連のパーソナルケア製剤は、乳化パッケージのHLB値を増加させるために、固体の長鎖で実質的に直鎖状の非イオン性界面活性剤(Tween 20)を使用し、それぞれ、実施例3A、3B、3C、及び3Dについて、9.08、12.26、14.16、及び16.7の乳化剤HLB値を有していた。それぞれの事例において安定なエマルションが形成され、それぞれの製剤から、冷たい発泡体が形成された。これらの結果は、本明細書の
図3で明らかにされており、写真は、図内の左から右に、比較例1及び実施例3A~3Dのものである。しかしながら、アイスクリーム状発泡体は、製剤のいずれからも形成されなかった。
比較例2A、2B、2C、2D、及び2E-不安定なパーソナルケア製剤
【0078】
概して比較例1及び実施例3A~3Dに記載される、50重量%のトランス1233zd及びトランス1234zeを含有する一連のパーソナルケア製剤を形成したが、以下の表4に記載されるように、HLBを増加させるために長鎖の実質的に直鎖状の非イオン性界面活性剤は使用しなかった。
【表5】
【0079】
表4に記載される製剤のいずれも、安定なエマルションを形成しなかった。
実施例4A及び4B-高HLBの液体乳化剤及びエステル油を有するパーソナルケア製剤
【0080】
配合C2C及びC2Dに類似であるが、エステル油を添加した2つのパーソナルケア製剤(4A及び4B)を、以下の表4に記載されるように形成した。
【表6】
【0081】
上記の表から見ることができるように、2重量%のエステル油(ミリスチン酸イソプロピル)の添加は、安定なパーソナルケア組成物の作製を補助し、それを可能にした。しかしながら、アイスクリーム状発泡体は、製剤のいずれからも形成されなかった。
実施例5A、5B、及び5C-高HLBの液体乳化剤及び脂肪族アルコール(aclohol)を有するパーソナルケア製剤
【0082】
製剤C2Cに類似であるが、14のHLBを有する液体乳化剤を使用し、4%、8%、及び12%の脂肪族アルコールを添加した、3つのパーソナルケア製剤(5A、5B、及び5C)を形成した。12%及び8%の脂肪族アルコールを使用した製剤は、安定なエマルションを形成しなかったが、4%の脂肪族アルコールを使用した製剤は、安定したパーソナルケア組成物を形成し、しかしながら、アイスクリーム状発泡体は形成されなかった。
実施例6A、6B、及び6C-高HLBの固体乳化剤、脂肪族アルコール、及びエステル油を有するパーソナルケア製剤
【0083】
製剤C2Cに類似であるが、14のHLBを有する液体乳化剤及び4%のエステル油を使用し、それぞれ4%、8%、及び12%の脂肪族アルコールを添加した、3つのパーソナルケア製剤(6A、6B、及び6C)を形成した。3つ全ての製剤が、安定なエマルションを形成したが、アイスクリーム状発泡体は形成されなかった。
実施例7A、7B、及び7C-高HLBの固体乳化剤、脂肪族アルコール、及びエステル油を有するパーソナルケア製剤
【0084】
製剤C2Cに類似であるが、14のHLBを有する固体乳化剤及び4%のエステル油を使用し、それぞれ、4%、8%、及び12%の脂肪族アルコールを添加した、3つのパーソナルケア製剤(7A、7B、及び7C)を形成した。3つ全ての製剤が、安定なエマルションを形成したが、アイスクリーム状発泡体は形成されなかった。
実施例8-高HLBの固体乳化剤、脂肪族アルコール、エステル油、及びシリコーンを有するパーソナルケア製剤
【0085】
製剤C2Cに類似であるが、15.5のHLBを有する固体乳化剤(ステアレス21)、4%エステル油、8%脂肪族アルコールを使用し、水ベースの増粘剤なし、及び2%シリコーンを使用した、パーソナルケア製剤を形成した。製剤は、安定なエマルションを形成し、アイスクリーム状発泡体が生成された。
実施例9A-高HLBの固体乳化剤、脂肪族アルコール、エステル油、及びシリコーンを有するパーソナルケア製剤
【0086】
製剤C2Cに類似であるが、15.5のHLBを有する固体乳化剤(ステアレス21)、2%エステル油、12%脂肪族アルコールを使用し、水ベースの増粘剤なし、及び2%シリコーンを使用した、パーソナルケア製剤を形成した。製剤は、安定なエマルションを形成したが、アイスクリーム状発泡体は生成されなかった。
実施例9B-高HLBの固体乳化剤、脂肪族アルコール、エステル油、シリコーン、及びカルナバワックスを有するパーソナルケア製剤
【0087】
製剤C2Cに類似であるが、15.5のHLBを有する固体乳化剤(ステアレス21)、2%エステル油、4%脂肪族アルコールを使用し、水ベースの増粘剤なし、2%シリコーン、及び4%カルナバワックスを使用した、パーソナルケア製剤を形成した。製剤は、安定なエマルションを形成し、アイスクリーム状発泡体が生成された。
【0088】
比較例3-低HLB乳化剤を有するパーソナルケア製剤
【0089】
以下の表C4に示されるように、50重量%のトランス1233zd及びトランス1234zeを含有するパーソナルケア製剤を形成する。
【表7】
【0090】
上記の表から見ることができるように、製剤に使用される乳化剤のHLBは、Brij 93であり、これにより、約4のHLB値を有する乳化剤を有する製剤が得られた。安定なエマルションは形成されなかった。
実施例10A、10B、10C、及び10D-高HLBの固体乳化剤を有するパーソナルケア製剤
【0091】
以下の表5に示されるように、4:1の重量比で50重量%のトランス1233zd及びトランス1234zeを含有する一連のパーソナルケア製剤(10A、10B、10C、及び10D)を形成した。
【表8】
【0092】
上記の表から見ることができるように、一連のパーソナルケア製剤は、乳化パッケージのHLB値を増加させるために、固体の長鎖で実質的に直鎖状の非イオン性界面活性剤(Tween 20)を使用し、それぞれ、実施例10A、10B、10C、及び10Dについて、9.08、12.26、14.16、及び16.7の乳化剤HLB値を有していた。それぞれの事例において安定なエマルションが形成され、それぞれの製剤から、心地よいクラックリング音を有するシャーベット状発泡体が形成された。
比較例4A、4B、4C、4D、及び4E-不安定なパーソナルケア製剤
【0093】
概して比較例3及び実施例10A~10Dに記載される、50重量%のトランス1233zd及びトランス1234zeを含有する一連のパーソナルケア製剤を形成したが、以下の表4に記載されるように、HLBを増加させるために長鎖の実質的に直鎖状の非イオン性界面活性剤は使用しなかった。
【表9】
【0094】
表4に記載される製剤のいずれも、安定なエマルションを形成しなかった。
実施例11A及び11B-高HLBの液体乳化剤及びエステル油を有するパーソナルケア製剤
【0095】
配合C2C及びC2Dに類似であるが、エステル油を添加した2つのパーソナルケア製剤(4A及び4B)を、以下の表5に記載されるように形成した。
【表10】
【0096】
上記の表から見ることができるように、2重量%のエステル油(ミリスチン酸イソプロピル)の添加は、安定なパーソナルケア組成物の作製を補助し、それを可能にし、更に、心地よいクラッキング音を有するシャーベット状発泡体が形成された。
実施例12A、12B、及び12C-高HLBの液体乳化剤及び脂肪族アルコールを有するパーソナルケア製剤
【0097】
配合C4Cに類似であるが、14のHLBを有する液体乳化剤を使用し、4%、8%、及び12%の脂肪族アルコールを添加した、3つのパーソナルケア製剤(12A、12B、及び12C)を形成した。12%及び8%の脂肪族アルコールを使用した製剤は、安定なエマルションを形成しなかったが、4%の脂肪族アルコールを使用した製剤は、安定なパーソナルケア組成物を形成し、しかしながら、シャーベット状発泡体は形成されなかった。
実施例13A、13B、及び13C-高HLBの固体乳化剤、脂肪族アルコール、及びエステル油を有するパーソナルケア製剤
【0098】
配合C4Cに類似であるが、14のHLBを有する液体乳化剤及び4%のエステル油を使用し、それぞれ4%、8%、及び12%の脂肪族アルコールを添加した、3つのパーソナルケア製剤(13A、13B、及び13C)を形成した。3つ全ての製剤が、安定なエマルションを形成したが、シャーベット状発泡体は形成されず、とはいえそれぞれの発泡体は、心地よいクラッキング音を示した。
実施例14A、14B、及び14C-高HLBの固体乳化剤、脂肪族アルコール、及びエステル油を有するパーソナルケア製剤
【0099】
配合C4Cに類似であるが、14のHLBを有する固体乳化剤及び4%のエステル油を使用し、それぞれ、4%、8%、及び12%の脂肪族アルコールを添加した、3つのパーソナルケア製剤(14A、14B、及び14C)を形成した。3つ全ての製剤は、安定なエマルションを形成したが、8%及び12%の脂肪族アルコールを有する製剤のそれぞれは、分配するためには粘性が高すぎた。4%の脂肪族アルコールを有する製剤からはシャーベット状発泡体は形成されなかったが、発泡体は、心地よいクラッキング音を示した。
実施例15-高HLBの固体乳化剤、脂肪族アルコール、エステル油、及びシリコーンを有するパーソナルケア製剤
【0100】
配合C4Cに類似であるが、15.5のHLBを有する固体乳化剤(ステアレス21)、4%エステル油、8%脂肪族アルコールを使用し、水ベースの増粘剤なし、及び2%シリコーンを使用した、パーソナルケア製剤を形成した。製剤は、安定なエマルションを形成し、シャーベット状発泡体が生成された。
実施例16-高HLBの固体乳化剤、脂肪族アルコール、エステル油、及びシリコーンを有するパーソナルケア製剤
【0101】
配合C4Cに類似であるが、15.5のHLBを有する固体乳化剤(ステアレス21)、2%エステル油、12%脂肪族アルコールを使用し、水ベースの増粘剤なし、及び2%シリコーンを使用した、パーソナルケア製剤を形成した。製剤は安定したエマルションを形成し、心地よいクラッキング音を示すシャーベット状発泡体が生成された。
実施例17-高HLBの固体乳化剤、脂肪族アルコール、エステル油、及びシリコーンを有するパーソナルケア製剤
【0102】
配合C4Cに類似であるが、15.5のHLBを有する固体乳化剤(ステアレス21)、2%エステル油、4%脂肪族アルコールを使用し、水ベースの増粘剤なし、2%シリコーン及び4%カルナバワックスを使用した、パーソナルケア製剤を形成した。製剤は安定したエマルションを形成し、心地よいクラッキング音を示すシャーベット状発泡体が生成された。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[1]
ヒトの皮膚、毛髪、及び/又は粘膜を処置する方法であって、
(a)パーソナルケア組成物を、安定な水中油型エマルションの形態で、圧力下の容器に提供する工程であって、前記エマルションが、
(i)水を含む連続水相と、
(ii)発泡体形成成分、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス-1-3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E))を含み、前記1233zd(E)及び前記1234ze(E)が、合わせて、前記パーソナルケア組成物の約40重量%~約60重量%を構成し、かつトランス1233zd:トランス1234zeが約8:1~約8:1の重量比で存在する、不連続相と、
(iii)約7~約18のHLB値を有し、かつ前記連続相及び/又は不連続相に存在し得る、乳化剤と、
(iv)前記連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の活性成分と、
(v)任意選択で、前記連続相及び/又は不連続相に存在し得る、1つ以上の補助ゲル、ローション、又はクリーム形成成分と、を含む、工程と、
(b)前記パーソナルケア組成物の少なくとも一部分を前記容器から周囲圧力条件に放出して発泡体を形成することによって、処置されている前記ヒトの前記皮膚、毛髪、及び/又は粘膜の上及び/又は中に前記パーソナルケア組成物を分配する工程と、を含む、方法。
[2]
前記1233zd(E)及び前記1234ze(E)は、合わせて、前記パーソナルケア組成物の約40重量%~約60重量%を構成し、トランス1233zd:トランス1234zeが約1:8~1:1未満の重量比で存在する、1に記載の方法。
[3]
前記1233zd(E)及び前記1234ze(E)は、合わせて、前記パーソナルケア組成物の約40重量%~約60重量%を構成し、トランス1233zd:トランス1234zeが約8:1~1:1の重量比で存在する、1に記載の方法。
[4]
前記乳化剤は、固体乳化剤を含む、1~3のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記乳化剤は、直鎖状の長鎖固体乳化剤である、1~3のいずれか一項に記載の方法。
[6]
約9重量%~約14重量%未満の安定性補助成分を更に含む、1~5のいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記安定性補助成分は、エステル油、シリコーン、脂肪族アルコール、ワックス、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、6に記載の方法。
[8]
前記1233zd(E)及び前記1234ze(E)は、合わせて、前記パーソナルケア組成物の少なくとも約60重量%を構成し、トランス1233zd:トランス1234zeが約1:8~約1:1未満の重量比で存在する、1に記載の方法。
[9]
使用者上に発泡体を形成する前記工程は、前記使用者に、冷感及び/又はクラックリング音を提供する、1に記載の方法。
[10]
発泡体は、シャーベット状発泡体、アイスクリーム状発泡体、クラックリング発泡体、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択される形態で、前記使用者上に形成される、1~9のいずれか一項に記載の方法。