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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-26
(45)【発行日】2025-07-04
(54)【発明の名称】測定システム及び光の回折方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20250627BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20250627BHJP
【FI】
G01B11/02 G
G01B11/26 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021560248
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 US2020026829
(87)【国際公開番号】W WO2020214444
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】62/834,219
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/539,930
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フー, ジンシン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, イーフェイ
(72)【発明者】
【氏名】マクマッキン, イアン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ティマーマン タイセン, ラトガー
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ジョセフ シー.
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, モーガン
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0176348(US,A1)
【文献】特開2015-152372(JP,A)
【文献】特開2011-002314(JP,A)
【文献】特開2011-242292(JP,A)
【文献】特開2014-215059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持面を有するステージであって、走査経路で前記ステージを移動させ且つ前記基板支持面に直交する軸を中心に前記ステージを回転させるように構成されたステージアクチュエータに結合されたステージと、
前記軸が延びる方向に光学アームを走査し且つ前記軸を中心に前記光学アームを回転させ、前記光学アームに、ビーム角θの光路に沿って前記基板支持面に配置された基板上へと光ビームを投射させるように構成されたアームアクチュエータに結合された光学アームであって、
第1の検出器に隣接する前記光路に位置付けされたビームスプリッタに隣接して位置付けされたレーザであって、前記ステージへの前記光路に沿って前記ビーム角θで偏向された光ビームを前記ビームスプリッタに投射するように動作可能なレーザ、及び
前記ビームスプリッタを通過する前記光路において前記光学アームへ反射された光ビームを検出するように動作可能な、前記光学アームに配置された前記第1の検出器
を含む光学アームと、
検出器アームであって、
前記光学アームによって生成された前記光ビームの回折光が前記検出器アームに入射するように、前記軸が延びる方向に前記検出器アームを走査し且つ前記軸を中心に前記検出器アームを回転させるように構成された検出器アクチュエータと、
第1の集束レンズと、
前記第1の集束レンズに投射される初期のR ビームの第1の入射スポットを前記第1の集束レンズの光学中心から離れさせる第1のデルタ距離Δ を取得して、局所的な歪み情報を決定するように構成された第2の検出器と、
を含む検出器アームと、
を備える測定システム。
【請求項2】
前記光学アームが更に、
前記ステージへの前記光路に沿って白色光を前記ビーム角θで投射するように動作可能な白色光源と、
前記第1の検出器に結合され、前記第1の検出器に偏向された前記光ビームの波長を決定する分光器と、
を備える、請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記光学アームが更に、
前記レーザと前記ビームスプリッタとの間に位置付けされた偏光子と、
前記光路で前記ビームスプリッタに隣接して位置付けされた1/4波長板と、
を備える、請求項1に記載の測定システム。
【請求項4】
前記第1の検出器の解像度は約Δ未満である、請求項に記載の測定システム。
【請求項5】
第2の集束レンズと第3の集束レンズとを更に備える、請求項に記載の測定システム。
【請求項6】
前記初期のRビームは、前記第1の集束レンズによって第1のRビームに集束され、前記第1のRビームは、前記第2の集束レンズによって第2のRビームに集束され、前記第2のRビームは、前記第3の集束レンズによって第3のRビームに集束される、請求項に記載の測定システム。
【請求項7】
前記第3のRビームは、前記第3の集束レンズに第3の入射スポットで入射し、
前記第3の入射スポットは、前記第3の集束レンズの学中心から第2のデルタ距離Δだけ離れており
前記第2のデルタ距離Δは、前記第1のデルタ距離Δよりも大きい、
請求項に記載の測定システム。
【請求項8】
基板支持面を有するステージであって、走査経路で前記ステージを移動させ且つ前記基板支持面に直交する軸を中心に前記ステージを回転させるように構成されたステージアクチュエータに結合されたステージと、
前記軸が延びる方向に光学アームを走査し且つ前記軸を中心に前記光学アームを回転させ、前記光学アームに、ビーム角θの光路に沿って前記基板支持面に配置された基板上へと光ビームを投射させるように構成されたアームアクチュエータに結合された光学アームであって、
第1の検出器に隣接する前記光路に位置付けされたビームスプリッタに隣接して位置付けされたレーザであって、前記ステージへの前記光路に沿って前記ビーム角θで偏向された光ビームを前記ビームスプリッタに投射するように動作可能なレーザ、及び
前記ビームスプリッタを通過する前記光路において前記光学アームへ反射された光ビームを検出するように動作可能な、前記光学アームに配置された前記第1の検出器
を含む光学アームと、
第1の検出器アーム及び第2の検出器アームであって、それぞれが、
前記第1の検出器アーム又は前記第2の検出器アームを走査するように構成された検出器アクチュエータと、
第1の集束レンズと、
前記第1の集束レンズに投射される初期のR ビームの第1の入射スポットを前記第1の集束レンズの光学中心から離れさせる第1のデルタ距離Δ を取得して、局所的な歪み情報を決定するように構成された第2の検出器と、
を含む第1の検出器アーム及び第2の検出器アームと、
を備える測定システム。
【請求項9】
前記第2の検出器アームは、前記光学アームの後方に配置される、請求項に記載の測定システム。
【請求項10】
記光ビームが前記ステージに配置されたワークピースで反射して反射Rビームとなり、前記反射Rビームは前記第2の検出器アームの前記第1の集束レンズに、前記第2の検出器アームの第1の入射スポットで入射し、
前記第2の検出器アームの前記第1の入射スポットは、前記第2の検出器アームの前記第1の集束レンズの前記光学中心から第3のデルタ距離Δだけ離れている、
請求項に記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、装置及び方法に関し、より具体的には、光を回折させる測定システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002]バーチャルリアリティとは、一般的には、コンピュータによって生成された、ユーザが実際に存在しているかのような模擬環境のことを指す。バーチャルリアリティ体験は、3Dで生成され、眼鏡などのヘッドマウントディスプレイ(HMD)、あるいはニアアイディスプレイパネルをレンズとした他のウェアラブルディスプレイデバイスで見ることで、実際の環境に代わるバーチャルリアリティ環境を表示することができる。
【0003】
[0003]しかし、拡張現実では、ユーザがメガネや他のHMDデバイスのディスプレイレンズを通して周囲の環境を見ながら、ディスプレイ用に生成された仮想オブジェクトの画像を環境の一部として見ることができるという体験が可能である。拡張現実には、音声や触覚入力などのあらゆる種類の入力だけでなく、ユーザが体験する環境を強化または拡張する仮想画像、グラフィックス、ビデオなどが含まれ得る。拡張現実体験を実現するために、周囲の環境に仮想画像を重ねる必要があり、その重ね方は光学装置によって行われる。
【0004】
[0004]当技術分野における欠点の一つは、製造された光学装置が、格子ピッチや格子配向(格子方向)など、不均一な特性を持つ傾向があることである。また、堆積した光学装置は、基板の局所的な反りや変形など、それらの基板の不均一性を引き継ぐ可能性がある。また、支持面に欠陥や粒子があるなど、凹凸のある支持面に配置された基板に堆積が行われると、基板が傾く場合があり、堆積した光学装置もその歪みを引き継ぐ可能性がある。
【0005】
[0005]そのため、当技術分野で必要とされているのは、光学装置の不均一性を検出する装置と方法である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実施形態では、ステージと、光学アームを走査し且つ軸を中心に光学アームを回転させるように構成されたアームアクチュエータに結合された光学アームと、検出器アームとを含む測定システムが提供される。ステージは基板支持面を有する。ステージは、走査経路でステージを移動させ且つ軸を中心にステージを回転させるように構成されたステージアクチュエータに結合されている。光学アームは、光検出器に隣接する光路に位置付けされたビームスプリッタに隣接して位置付けされたレーザを含み、レーザは、ステージへの光路に沿ってビーム角θで偏向された光ビームをビームスプリッタに投射するように動作可能である。検出器アームは、検出器アームを走査し且つ軸を中心に検出器アームを回転させるように構成された検出器アクチュエータと、第1の集束レンズと、検出器とを含む。
【0007】
[0007]別の実施形態では、ステージと、光学アームを走査し且つ軸を中心に光学アームを回転させるように構成されたアームアクチュエータに結合された光学アームと、第1の検出器アームと、第2の検出器アームとを含む測定システムが提供される。ステージは基板支持面を有する。ステージは、走査経路でステージを移動させ且つ軸を中心にステージを回転させるように構成されたステージアクチュエータに結合されている。光学アームは、光検出器に隣接する光路に位置付けされたビームスプリッタに隣接して位置付けされたレーザを含み、レーザは、ステージへの光路に沿ってビーム角θで偏向された光ビームをビームスプリッタに投射するように動作可能である。検出器アームはそれぞれ、検出器アームを走査するように構成された検出器アクチュエータと、第1の集束レンズと、検出器とを含む。
【0008】
[0008]更に別の実施形態では、波長λlaserを有する光ビームを、固定ビーム角θ及び最大配向角(最大方向角)φmaxで第1の基板の第1のゾーンに投射することと、変位角Δθを取得することと、目標最大ビーム角θt-maxを決定することであって、θt-max=θ+Δθである、目標最大ビーム角θt-maxを決定することと、修正格子ピッチ式Pt-grating=λlaser/(sinθt-max+sinθ)により、テスト格子ピッチPt-gratingを決定することとを含む光の回折方法が提供される。
【0009】
[0009]測定システム及び測定方法では、光学装置の領域の局所的不均一性、例えば、格子ピッチ及び格子配向などを測定する。局所的不均一性の値は、光学装置の性能を評価するのに役立つ。
【0010】
[0010]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は典型的な実施形態を単に示すものであり、したがって、実施形態の範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】いくつかの実施形態に係る測定システムの構成を示す概略図である。
図1B】いくつかの実施形態に係る測定システムの構成を示す概略図である。
図1C】いくつかの実施形態に係る測定システムの構成を示す概略図である。
図2】A~Cは、いくつかの実施形態に係るビーム位置検出器を示す概略図である。
図3】一実施形態に係る第1のゾーンを示す概略断面図である。
図4A】幾つかの実施形態に係る1又は複数の検出器アームを含む測定システムを示す概略図である。
図4B】幾つかの実施形態に係る1又は複数の検出器アームを含む測定システムを示す概略図である。
図4C】幾つかの実施形態に係る1又は複数の検出器アームを含む測定システムを示す概略図である。
図4D】幾つかの実施形態に係る1又は複数の検出器アームを含む測定システムを示す概略図である。
図5】一実施形態に係る光の回折方法工程のフロー図である。
【0012】
[0016]理解を容易にするために、可能な限り、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0017]本開示の実施形態は、光学装置の局所的不均一性を測定するための測定システム及び方法に関するものである。測定システムは、ステージと、光学アームと、1または複数の集束レンズを含む1または複数の検出器アームとを含む。光学アームから投射された光は、ステージに配置された基板で反射し、基板表面からの反射光が検出器に入射する。集束レンズの光学中心からのたわみを使用して、光学装置の局所的不均一性が決定される。光の回折方法は、基板表面からの散乱光ビームを測定することを含み、測定値から局所的歪みが取得される。本書に開示の実施形態は、光学システムの局所的均一性の測定に特に有用であり得るが、これに限定されない。
【0014】
[0018]本明細書で使用する用語「約」は、公称値から+/-10%の変動を意味する。上記変動は、本明細書で提示される任意の値に含まれ得ることを理解されたい。
【0015】
[0019]図1Aは、一実施形態に係る測定システム101の第1の構成100Aを示す概略図である。図示したように、測定システム101は、ステージ102と、光学アーム104Aと、1または複数の検出器アーム150とを含む。測定システム101は、光学アーム104によって生じた光を回折させるように構成されている。光学アーム104によって生じた光は、ステージ102の上に配置された基板に向けられ、回折光が1又は複数の検出器アーム150に入射する。
【0016】
[0020]図示したように、ステージ102は、支持面106と、ステージアクチュエータ108とを含む。ステージ102は、支持面106上に基板103を保持するように構成されている。ステージ102は、ステージアクチュエータ108に結合されている。ステージアクチュエータ108は、X方向及びY方向に沿ってステージ102を走査経路110で移動させ、Z軸を中心にステージ102を回転させるように構成されている。ステージ102は、測定システム101の動作中に、光学アーム104Aからの光が基板103の異なる部分または領域に入射するように、基板103を移動及び回転させるように構成されている。
【0017】
[0021]基板103は、格子109の1または複数の領域107を有する1または複数の光学装置105を含む。各領域107は、配向角φ及びピッチPを有する格子109を有しており(図3)、Pは、隣接する第1のエッジ301又は隣接する格子109の質量中心など、隣接する点間の距離として定義される。第1の領域111における格子109のピッチP及び配向角φは、1又は複数の領域107の第2の領域113における格子109のピッチP及び配向角φとは異なり得る。また、基板103の局所的な反り又はその他の変形により、局所的なピッチP´の変動及び局所的な配向角φ´の変動が生じ得る。測定システム101は、各光学装置105の領域107のそれぞれについて、格子109のピッチP及び配向角φを測定するために用いられ得る。基板103は、約150mmから約450mmの半径を有する等、任意のサイズの単結晶ウエハであり得る。図示したように、光学アーム104Aからの光ビーム126Aが領域107から散乱して初期のRビーム450となるが、これについては以下で詳細に説明する。
【0018】
[0022]光学アーム104、検出器アーム150、及びステージ102は、コントローラ130に結合されている。コントローラ130は、本明細書で説明した格子109のピッチP及び配向角φを測定する方法の制御及び自動化を容易にする。コントローラは、中央処理装置(CPU)(図示せず)、メモリ(図示せず)、及び支援回路(またはI/O)(図示せず)を含み得る。CPUは、産業界で様々なプロセス及びハードウェア(例えば、モータ及びその他のハードウェア)を制御する、及びプロセス(例えば、移送装置の位置及び走査時間など)を監視するために使用される、任意の形態のコンピュータプロセッサの1つであり得る。メモリ(図示せず)は、CPUに接続されており、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの容易に入手可能なメモリであり得る。ソフトウェアの命令及びデータを符号化してメモリに記憶し、CPUに指示することができる。また、従来の方法でプロセッサを支援するための支援回路(図示せず)もCPUに接続されている。支援回路は、従来のキャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステムなどを含み得る。コントローラが読み取り可能なプログラム(またはコンピュータ命令)は、基板103上で実行可能なタスクを決定する。プログラムは、コントローラが読み取り可能なソフトウェアであってよく、例えば、基板の位置や光学アームの位置などを監視及び制御するコードを含み得る。
【0019】
[0023]図示したように、光学アーム104Aは、白色光源114A、第1のビームスプリッタ116A、第2のビームスプリッタ118A、レーザ120、検出器122、及び分光器124を含む。白色光源114は、ファイバ結合光源であり得る。第1のビームスプリッタ116Aは、白色光源114に隣接する光路126Aに位置付けされている。白色光源114は、一実施形態によれば、基板103への光路126Aに沿ってビーム角θで白色光を投射するように動作可能である。レーザ120は、ファイバ結合光源であり得る。レーザ120は、第1のビームスプリッタ116Aに隣接して位置付けされている。レーザ120は、光ビームが基板103への光路126Aに沿ってビーム角θで偏向されるように、波長を有する光ビームを第1のビームスプリッタ116Aに投射するように動作可能である。第2のビームスプリッタ118Aは、第1のビームスプリッタ116Aに隣接して光路126Aに配置されている。第2のビームスプリッタ118Aは、基板103で反射した光ビームを検出器122に偏向させるように動作可能である。分光器124は、検出器122に結合されており、検出器122に偏向された光ビームの波長を決定する。本書に記載の光ビームは、レーザビームであり得る。光学アーム104は、光路126に沿って光ビームを送出し、その光が基板103によって偏向され、1又は複数の検出器アーム150によって測定されるようにする。
【0020】
[0024]図1Bは、一実施形態に係る測定システム101の第2の構成100Bを示す概略図である。図示したように、光学アーム104Bは、レーザ120、ビームスプリッタ128、及びビーム位置検出器132を含む。ビーム位置検出器132は、CCD又はCMOSセンサなどのイメージセンサを含み得る。ビームスプリッタ128は、ビーム位置検出器132に隣接して光路126Bに位置付けされている。レーザ120は、ビームスプリッタ128に隣接して位置付けされている。レーザ120は、光ビームが基板103への光路126Bに沿ってビーム角θで偏向されるように、波長を有する光ビームをビームスプリッタ128に投射するように動作可能である。光学アーム104Bは、一実施形態によれば、半波長板等の偏光子156と、1/4波長板158とを含む。偏光子156は、レーザ120とビームスプリッタ128との間にある。偏光子156は、ビームスプリッタ128によって偏向された光ビームの効率を、ビーム角θで最大化する。1/4波長板158は、光路126Bにあり、ビームスプリッタ128に隣接して位置付けされている。1/4波長板158は、基板103で反射した光ビームがビーム位置検出器132に到達する効率を最大化し、レーザ120に反射する光ビームを低減する。
【0021】
[0025]図1Cは、一実施形態に係る測定システム101の第3の構成100Cを示す概略図である。光学アーム104Cは、レーザ134a、134b、・・・134n(総称して「複数のレーザ134」と称する)と、ビームスプリッタ136a、136b、・・・136n(総称して「複数のビームスプリッタ136」と称する)とを含む。複数のビームスプリッタ136は、ビーム位置検出器132に隣接して、光路126Cに互いに隣接して位置付けされている。レーザ134aは、第1の波長を有する光ビームを、第1の波長の光ビームが基板103への光路126cに沿ってビーム角θで偏向されるように、ビームスプリッタ136aに投射するように構成されている。レーザ134bは、第2の波長を有する光ビームを、第2の波長の光ビームが基板103への光路126cに沿ってビーム角θで偏向されるように、ビームスプリッタ136bに投射するように構成されている。レーザ134nは、第3の波長を有する光ビームを、第3の波長の光ビームが基板103への光路126Cに沿ってビーム角θで偏向されるように、ビームスプリッタ136nに投射するように構成されている。
【0022】
[0026]光学アーム104Cは、偏光子156a、156b、...156n(総称して「複数の偏光子156C」と称する)と、1/4波長板158とを含み得る。複数の偏光子156Cは、複数のレーザ134と複数のビームスプリッタ136との間にある。複数の偏光子156Cは、複数のビームスプリッタ136によって偏向された光ビームの効率を、ビーム角θで最大化する。1/4波長板158は、光路126Cにあり、ビームスプリッタ136nに隣接して位置付けされている。1/4波長板158は、基板103で反射した光ビームがビーム位置検出器132に到達する効率を最大化する。1/4波長板158は、所望の波長に合わせて交換可能である。
【0023】
[0027]上記構成100A、100B、100Cのいずれかにおいて、光学アーム104A、104B、104Cは、アームアクチュエータ112を含んでいてよく、アームアクチュエータは、光学アーム104をz軸を中心に回転させ、z方向に光学アームを走査するように構成されている。測定を行っている間、光学アーム104は固定され得る。
【0024】
[0028]第2の構成100B及び第3の構成100Cのビーム位置検出器132は、基板103で反射した光ビームのビーム位置検出器132へのビーム位置を決定するように動作可能である。図2Aは、一実施形態に係る位置感応検出器201A、すなわち、横方向センサとしてのビーム位置検出器132を示す図である。図2Bは、一実施形態に係るビーム位置検出器132を四象限センサ201Bとして示す図である。図2Cは、いくつかの実施形態に係る、電荷結合素子(CCD)アレイまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)アレイなどのイメージセンサアレイ201Cとしてのビーム位置検出器132を示す図である。
【0025】
[0029]図4Aは、一実施形態に係る検出器アーム150を示す概略図である。図示したように、検出器アーム150は、検出器410、検出器アームアクチュエータ152、及び第1の集束レンズ401を含む。検出器アームアクチュエータ152は、z軸を中心に検出器アーム150を回転させ、検出器アーム150をz方向に走査するように構成されている。図4A図4Dでは、光路126からの光は、基板103の領域107で反射する。この光は、初期のRビーム450に反射され、第1の集束レンズ401によって第1のRビーム411に集束される。第1のRビーム411は、検出器410に入射する。検出器410は、CCDアレイやCMOSアレイなど、光を検出するために当技術分野で使用される任意の光学装置である。
【0026】
[0030]領域107の測定の前に、既知の基板103で測定システム101が較正され得、検出器アーム150は、第1のRビーム411が第1の集束レンズ401の光学中心401cに入射するように位置付けされ得る。上述及び後述の測定システム101のいずれも、本明細書に記載したように、既知の基板103で較正され得る。領域107の局所的な歪みのために、基準領域107における初期のRビーム450が、もはや集束レンズ401の光学中心401cに入射しなくなる。例えば、領域107での基板103の局所的な反り、又は全体的なウエハの傾き、ウェッジ、反り、たわみ(ボウ)などがあり得る。支持面上の粒子の存在により、支持面106上で基板103に傾きが生じる場合があり、基板103と支持面との間に配置された粒子は、領域107の高さの上昇、支持面に対する領域の傾き(図4A図4Dでは傾いた基板103tとして示す)など、局所的及び/または全体的な歪みの原因となる。傾いた基板103tを有するこれらの場合、初期のRビーム450tは、一実施形態によれば、第1の角度Δθで第1の集束レンズ401に入射し、第1のRビーム411tは、既知の基板103の集束された第1のRビーム411から第1のデルタ距離Δ程度離れた検出器410の部分に集束される。第1のデルタ距離Δは、Δ=f tan(Δθ)で求められ、fは、集束レンズ401の焦点距離である。このように、第1のデルタ距離Δと第1の角度Δθを使用して、以下で更に詳しく説明するように、局所的な歪み情報を取得することができる。一実施形態によれば、検出器410の解像度は約Δ未満である。
【0027】
[0031]図4Bは、一実施形態に係る検出器アーム150を示す概略図である。図示したように、検出器アーム150は、第2の集束レンズ402及び第3の集束レンズ403を更に含む。初期のRビーム450tは、第1の集束レンズ401にΔθの角度で入射し、第1の集束レンズは、初期のRビームを第1のRビーム411tに集束する。第1のRビーム411tは、第2の集束レンズ402に入射し、第1の集束レンズは、第1のRビームを第2のRビーム412tに集束する。第2のRビーム412は、一実施形態によれば、第3の集束レンズ403上の第2の入射スポットに入射し、第3の集束レンズは、第2のRビームを、既知の基板の集束された第3のRビームから第2のデルタ距離Δ程度離れた検出器410の部分への第3のRビーム413tに集束し、Δ=Δ /fであり、fは第2の集束レンズの焦点距離であり、fは第3の集束レンズの焦点距離である。更に、Δ=f tan(Δθ)/fである。したがって、第2のデルタ距離Δを使用して、以下で更に詳しく説明するように、第1の角度Δθを通して局所的な歪み情報を取得することができる。いくつかの実施形態では、第2のデルタ距離Δは第1のデルタ距離Δよりも大きく、これにより、検出器が第2のデルタ距離Δの大きさによってのみ制限されるため、より低い解像度を有する検出器410を使用することが可能である。一実施形態によれば、検出器410の解像度は約Δ未満である。
【0028】
[0032]上述のように3つの集束レンズ401、402、403が検出器アーム150に含まれているが、任意の数の集束レンズが使用され得ると考えられ、レンズは、検出器410によって測定される更に大きなデルタ距離が生じるように、上述したのと同様に構成され得る。
【0029】
[0033]図4Cは、一実施形態に係る第1の検出器アーム150及び第2の検出器アーム150´を備えた測定システム101を示す概略図である。第1の検出器アーム150は、図4Aで上述した検出器アームと実質的に類似している。図示したように、第2の検出器アーム150´は、第1の集束レンズ401´、検出器410´、及び検出器アクチュエータ152´を含む。この実施形態では、光路126をたどる光が後方散乱して、反射Rビーム450t´が生成される。第2の検出器アーム150t´は、一実施形態によれば、光学アーム104の後方に位置し、光学アームは、反射Rビーム450t´に対して少なくとも部分的に透明である。
【0030】
[0034]反射Rビーム450t´は、一実施形態によれば、第1の集束レンズの光学中心401c´から第3のデルタ距離Δの第1の集束レンズ401´上の第3の集束スポットに入射し、第1の集束レンズは、反射Rビームを第1のRビーム411t´に集束する。第3のデルタ距離Δは、Δ=f´tan(Δθ)で求められ、f´は集束レンズ401´の焦点距離である。このように、第3のデルタ距離Δと第2の角度Δθを使用して、以下に更に詳しく説明するように、局所的な歪み情報を取得することができる。検出器410´の解像度は、一実施形態によれば、約Δ未満である。変位角Δθは、Δθ=Δθ-Δθで求められ、変位角Δθは、以下に更に詳述するように、格子Pt-gratingのピッチの局所的な歪みを提供するものである。
【0031】
[0035]図4Dは、一実施形態に係る第1の検出器アーム150及び第2の検出器アーム150´を備えた測定システム101を示す概略図である。第1の検出器アーム150は、図4Bで上述した検出器アームと実質的に類似している。図示したように、第2の検出器アーム150´は、第1の集束レンズ401´、第2の集束レンズ402´、第3の集束レンズ403´、検出器410´、及び検出器アクチュエータ152´を含む。この実施形態では、光路126をたどる光が後方散乱して、反射Rビーム450t´が生成される。第2の検出器アーム150´は、一実施形態によれば、光学アーム104の後方に位置し、光学アームは、反射Rビーム450´に対して少なくとも部分的に透明である。
【0032】
[0036]反射Rビーム450t´は、一実施形態によれば、第1の集束レンズの光学中心401c´から第3のデルタ距離Δの第1の集束レンズ401´の第3の集束スポットに入射し、第1の集束レンズは、反射Rビームを第1のRビーム411t´に集束する。第1のRビーム411t´は、第2の集束レンズ402´に入射し、第1の集束レンズは、第1のRビームを第2のRビーム412t´に集束する。第2のRビーム412t´は、第3の集束レンズ403´の光学中心403c´から第4のデルタ距離Δの第4の集束スポットに入射し、第3の集束レンズは、既知の基板の集束された第3のRビームから第4のデルタ距離Δ程度離れた検出器410´の部分に対して、第2のRビームを第3のRビーム413t´に集束する。このように、第4のデルタ距離Δを使用して、第2のデルタ距離Δと同様に、局所的な歪み情報を取得することができる。
【0033】
[0037]いくつかの実施形態では、第4のデルタ距離Δは第3のデルタ距離Δよりも大きく、これにより、検出器が第4のデルタ距離Δの大きさによってのみ制限されるため、より低い解像度を有する検出器410´を使用することが可能になる。2つのデルタ距離Δ、Δにより、領域107の局所的な歪みをより詳細に測定することができる。一実施形態によれば、第3のデルタ距離Δは、第1のデルタ距離Δよりも大きい。検出器410´の解像度は、一実施形態によれば、約Δ未満である。一実施形態によれば、第1の検出器アーム150の第1の集束レンズ401の焦点距離は、第1の検出器アームの第2の集束レンズ402の焦点距離とは異なり、第1の検出器アームの第2の集束レンズの焦点距離は、第1の検出器アームの第3の集束レンズ403の焦点距離とは異なる。
【0034】
[0038]図4C図4Dに、同じ数の集束レンズを備えた2つの検出器アーム150、150´を有する測定システム101を示したが、各検出器アームには任意の奇数のレンズを使用できることを理解されたい。例えば、第1の検出器アーム150が1つの集束レンズを有することができ、第2の検出器アーム150´が3つの集束レンズを有することも可能であり、あるいはその逆も可能である。他の例では、第1の検出器アーム150は5つの集束レンズを有し、第2の検出器アーム150´は3つの集束レンズを有する。
【0035】
[0039]上記及び以下のすべての実施形態において、Δ、Δ、Δ、及びΔは、約10umから約1mmの範囲であり、Δθ、Δθ、Δθ、及びΔθは、約0.001°から約1°の範囲であり、例えば、約0.001°から約0.1°の範囲である。
【0036】
[0040]図5は、一実施形態に係る光の回折方法500工程のフロー図である。本方法工程を、図5に関連して説明しているが、当業者であれば、本方法工程を任意の順序で実行するように構成された任意のシステムが、本明細書に記載の実施形態の範囲内に入ることを理解するであろう。
【0037】
[0041]方法500は、工程540で開始し、波長λを有する光ビームが、固定ビーム角θ及び最大配向角φmaxで第1の基板103の第1の領域107に投射される。方法500は、測定システム101の図1A図1C図4A図4Dの構成100A、100B、100Cのいずれか、及び検出器アーム150の構成のいずれかを用い得る。白色光源114は、基準領域107への光路126Aに沿って固定ビーム角θで白色光を投射し、基準領域107は1又は複数の格子109を有し、θ=arcsin(λlaser/2Pgrating)であり、Pgratingは格子の設計/平均ピッチである。
【0038】
[0042]工程550では、変位角Δθが取得される。変位角度Δθは、いくつかの実施形態によれば、ΔθがΔ=f tan(Δθ)で求められる第1の角度Δθと、上述のように測定された変位距離Δとに等しい。いくつかの実施形態では、変位角Δθは、Δθ=Δθ-Δθによって求められ、上記式において、第2の角度Δθは、上述したように、Δ=f tan(Δθ)/fによって求められる。
【0039】
[0043]工程560では、固定ビーム角θでの初期強度最大値(初期Imax)が測定されるまでステージ102を回転させ、最大配向角φmaxを取得する。最大配向角φmaxは、基準領域107における1または複数の格子109の配向角φに対応する。目標最大ビーム角θt-maxが計算され、θt-max=θ+Δθである。Δθを使用した目標最大ビーム角θt-maxの計算では、基板の全体の傾きや反りなどの全体的な歪みを考慮している。
【0040】
[0044]工程570では、最大配向角φmaxでテスト格子ピッチPt-gratingが決定される。初期ピッチの決定には、固定ビーム角θと最大配向角φmaxで白色光を投射することと、式Pt-grating=Pgrating+ΔP=λlaser/(sinθt-max+sinθ)を解くこととが含まれる。更に、測定されたピッチの変化ΔPは次のように求められる。
【0041】
[0045]
【0042】
[0046]測定されたピッチΔPの変化は、約1pmから約5nmであり得る。
【0043】
[0047]一実施形態では、工程540、550、560、及び570が繰り返される。工程570では、ステージ102が走査経路110に沿って走査され、1又は複数の光学装置105の1又は複数の領域107の後続のゾーンに対して工程540、550、560が繰り返される、または後続の領域に対して工程540、550、560が繰り返される。更に、基板103全体をz軸を中心に約180°回転させた後に工程540、550、560、及び570を繰り返すことで、ウエハウェッジの全体的な測定が可能となる。
【0044】
[0048]上述したように、光学装置の局所的不均一性を測定するように構成された装置及び方法が含まれる。検出器アームによって、反射レーザ光が検出される。検出器アームは1または複数の集束レンズを含み、1または複数の集束レンズが光をカメラなどの検出器に集光する。テスト基板に対する反射光の変位を使用して、存在する局所的不均一性を計算する。基板の異なる領域の不均一性を測定できるように、基板を走査することが可能である。
【0045】
[0049]この測定システム及び方法では、基板上の光学装置の不均一な特性、例えば、格子ピッチや格子配向などを測定することができる。更に、この測定システム及び方法は、下地基板の局所的な反りや変形を決定することができる。また、下地となる支持面の欠陥、例えば粒子の不完全さなども、基板や光学装置が許容できる特性を持っているか否かを決定するために位置付けることができる。測定は、様々なサイズ及び形状の基板又は光学装置で実行され得る。
【0046】
[0050]前述の内容は本開示の実施形態を対象としているが、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考案することが可能である。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5