(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-26
(45)【発行日】2025-07-04
(54)【発明の名称】抗OX40抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20250627BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20250627BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20250627BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250627BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20250627BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20250627BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20250627BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250627BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250627BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20250627BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20250627BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250627BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20250627BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20250627BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12P21/08
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K47/68
A61K48/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/04
A61K39/395 Y
(21)【出願番号】P 2022539717
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2020140186
(87)【国際公開番号】W WO2021129872
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】201911383060.5
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】524074633
【氏名又は名称】ハイファイバイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ホンカイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユエン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ユン-ユー
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ユーチャン
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラミネッリ・ニコラ・アルトゥーロ・アルド
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァイツァー,リャン
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン,フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】ラウエ,クラウス・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チエン
(72)【発明者】
【氏名】ガン,ジンピン
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/214624(WO,A1)
【文献】特表2016-515544(JP,A)
【文献】国際公開第2019/028182(WO,A2)
【文献】THE AMERICAN JOURNAL OF HEMATOLOGY/ONCOLOGY,2017年,Vol.13, No.11,pp.4-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 1/00-15/90
C12P 1/00-41/00
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
配列番号1に示される重鎖CDR1構造ドメイン、配列番号2に示される重鎖CDR2構造ドメイン、および配列番号3に示される重鎖CDR3構造ドメインを有する、重鎖可変領域と、
配列番号9に示される軽鎖CDR1ドメイン、配列番号10に示される軽鎖CDR2ドメイン、および配列番号11に示される軽鎖CDR3ドメインを有する、軽鎖可変領域と、を含む、抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
配列番号4に示される重鎖可変領域、または配列番号4と少なくと
も90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の
配列同一性を有する重鎖可変領域と、
配列番号12に示される軽鎖可変領域、または配列番号12と少なくと
も90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の
配列同一性を有する軽鎖可変領域と、を含む、請求項1に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
重鎖定常領域および軽鎖定常領域をさらに含み、
前記重鎖定常領域が、配列番号5に示される重鎖定常領域、または配列番号5と少なくと
も90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の
配列同一性を有する重鎖定常領域であり、かつ/または
前記軽鎖定常領域が、配列番号13に示される軽鎖定常領域、または配列番号13と少なくと
も90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の
配列同一性を有する軽鎖定常領域である、請求項1または2に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記重鎖可変領域に連結された重鎖シグナルペプチドおよび/または前記軽鎖可変領域に連結された軽鎖シグナルペプチドをさらに含み、
前記重鎖シグナルペプチドが、配列番号6に示される重鎖シグナルペプチド、または配列番号6と少なくと
も90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の
配列同一性を有する重鎖シグナルペプチドであり、かつ/または、
前記軽鎖シグナルペプチドが、配列番号14に示される軽鎖シグナルペプチド、または配列番号14と少なくと
も90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の
配列同一性を有する軽鎖シグナルペプチドである、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
IgG抗体またはその抗原結合フラグメントで
ある、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
IgG1抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項5に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項1~
6のいずれか
一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記抗原結合フラグメントが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFvまたはsdAbである、請求項1~
7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントと、追加の治療薬と、を含む抗体-薬物複合
体。
【請求項10】
請求項9に記載の抗体-薬物複合体であって、前記抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントが、リンカーを介して前記追加の治療薬に連結される、抗体-薬物複合体。
【請求項11】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする、核酸。
【請求項12】
配列番号20に示される重鎖可変領域ヌクレオチドコード配列、および/または配列番号28に示される軽鎖可変領域ヌクレオチドコード配列を
含む、請求項
11に記載の核酸。
【請求項13】
前記核酸が、配列番号21に示される重鎖定常領域ヌクレオチドコード配列、および/または配列番号29に示される軽鎖定常領域ヌクレオチドコード配列をさらに含む、請求項12に記載の核酸。
【請求項14】
請求項
11から13のいずれか一項に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項15】
請求項
11から13のいずれか一項に記載の核酸または請求項
14に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項16】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントを調製するための方法であって、前記抗体またはその抗原結合フラグメントを発現するのに好適な条件下で、請求項
15に記載の宿主細胞を培養することと、発現した抗体またはその抗原結合フラグメントを培養培地から回収することと、を含む、方法。
【請求項17】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
9もしくは10に記載の抗体-薬物複合体、または請求項
11~13のいずれか一項に記載の核酸、または請求項
14に記載の発現ベクターと、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項18】
がんの治療に
おける使用のための、請求項1~
8のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
9もしくは10に記載の抗体-薬物複合体、または請求項
17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記がんが、扁平上皮が
ん、上皮扁平細胞が
ん、肺がん
、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん
、肺の扁平上皮がん
、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん
、胃腸がん
、胃腸間質が
ん、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、肝腫瘍、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がん、肛門がん、陰茎がん、黒色腫、びまん性表層黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒色腫、結節性黒色腫、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ケロイドに関連する異常な血管増殖、浮
腫、ならびにメイグス症候群、脳腫瘍および脳がん、頭頸部がん、ならびに付随する転移から選択される、請求項
18に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または抗体-薬物複合体、または医薬組成物。
【請求項20】
がんを治療するための薬物の調製における、請求項1~
8のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項9
もしくは10に記載の抗体-薬物複合体、または請求項
17に記載の医薬組成物の使用。
【請求項21】
前記がんが、扁平上皮が
ん、上皮扁平細胞が
ん、肺がん
、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん
、肺の扁平上皮が
ん、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん
、胃腸がん
、胃腸間質が
ん、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、肝腫瘍、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がん、肛門がん、陰茎がん、黒色腫、びまん性表層黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒色腫、結節性黒色腫、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ケロイドに関連する異常な血管増殖、浮
腫、ならびにメイグス症候群、脳腫瘍および脳がん、頭頸部がん、ならびに付随する転移から選択される、請求項
20に記載の使用。
【請求項22】
Treg機能を阻害す
ること、OX40を発現する細
胞を死滅させること、エフェクターT細胞機能を増強するかつ/もしくはメモリーT細胞機能を増強すること、腫瘍免疫を低下させること、T細胞機能を増強することならびに/またはOX40発現細胞を枯渇させること、のうちの1つ以上において使用される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
9もしくは10に記載の抗体-薬物複合体、または請求項
17に記載の医薬組成物。
【請求項23】
Treg機能を阻害す
ること、OX40を発現する細
胞を死滅させること、エフェクターT細胞機能を増強するかつ/もしくはメモリーT細胞機能を増強すること、腫瘍免疫を低下させること、T細胞機能を増強することならびに/またはOX40発現細胞を枯
渇させること、のうちの1つ以上のための薬物の調製における、請求項1~
8のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
9もしくは10に記載の抗体-薬物複合体、または請求項
17に記載の医薬組成物の使用。
【請求項24】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
9もしくは10に記載の抗体-薬物複合体、または請求項
17に記載の医薬組成物と、1つ以上の追加の治療薬と、を含む、薬学的組み合わせ。
【請求項25】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
9もしくは10に記載の抗体-薬物複合体、または請求項
17に記載の医薬組成物を
含む、キット。
【請求項26】
薬物送達デバイスをさらに含む、請求項25に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規抗OX40抗体、抗OX40抗体を含む組成物、抗OX40抗体をコードする核酸、抗OX40抗体の調製方法、および抗OX40抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
固形腫瘍患者の抗腫瘍免疫応答は、特定の生物学的製剤による治療によって強化されてきた。例えば、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))およびペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))の2つの抗PD-1モノクローナル抗体は、切除不能または転移性黒色腫および転移性非小細胞肺がん等の疾患の治療薬として米国およびEUで承認されている。これらの薬物による患者の治療は、無増悪生存期間および/または全生存期間の改善によって測定されるように、抗腫瘍応答をもたらした。既存の標準治療を補完するために、より多くのがん治療製品および方法が当技術分野で依然として必要とされている。
【0003】
PD-1およびCTLA-4は、T細胞の活性化の過程で免疫抑制の役割を果たし、それによって腫瘍細胞に対するT細胞の免疫殺傷機能を阻害する。したがって、これら2つの標的に対するモノクローナル抗体をブロックすることにより、この免疫抑制を軽減し、T細胞の抗腫瘍免疫機能を回復させることができる。このような抑制性免疫チェックポイント分子に加えて、免疫チェックポイント分子を活性化することが、徐々に医薬品開発の新たな標的となっている。
【0004】
活性化された免疫チェックポイント分子は、T細胞活性化において共刺激シグナルを伝達する分子であるT細胞共刺激受容体を主に指すが、これは腫瘍壊死因子受容体(TNFR)ファミリーに属する。とりわけ、OX40、CD40、4-1BBおよびGITR等の受容体は、T細胞の増殖、活性化および分化を調節するために使用することができる。
【0005】
OX40受容体は、CD134およびTNFRSF4(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4)としても知られ、受容体のTNFRスーパーファミリーのメンバーである。CD28とは異なり、休止期のナイーブT細胞には構成的に発現しない。OX40は、活性化の24~72時間後に発現する二次共刺激免疫チェックポイント分子である。そのリガンドOX40L(CD252、TNFSF4としても知られる)は、休止中の抗原提示細胞にも発現しないが、活性化後に発現する。OX40の発現は、T細胞の完全な活性化に依存する。
【0006】
OX40は、そのリガンドOX40Lに結合して、共刺激シグナルを伝達する。OX40とOX40Lとの間の相互作用は、TNFR関連分子(TRAF)をOX40の細胞内ドメインに動員して、IKKαおよびIKKβ、ならびにPI3kおよびPKB(Akt)を含むシグナル伝達複合体を形成し得る。OX40はまた、TCRシグナル伝達と協調して、未知の機構による細胞内Ca2+を増加させ、それによってNFATの核内移行を促進することもできる。OX40は、古典的NF-κB1経路または非古典的NF-κB2経路、PI3k/PKBおよびNFAT経路を活性化し、それによってT細胞の分裂および生存のための遺伝子を調節すると同時に、サイトカイン遺伝子の転写およびサイトカイン受容体の発現を促進する。それは細胞の生存に不可欠である。OX40シグナル伝達は、CTLA-4およびFoxp3の下方制御を引き起こし得る。
【0007】
OX40がそのリガンドOX40Lに結合すると、以下を含む免疫系の応答能力が向上する:1.エフェクターT細胞およびメモリーT細胞の生存および増殖の増加、ならびにサイトカイン(IL-2、IL-4、IL-5、IFN-γ等)の分泌の増加;2.制御性T細胞の免疫抑制活性を低下させ、T細胞活性化の効果をさらに増幅する。腫瘍微小環境では、免疫活性化がOX40の発現をもたらす可能性がある。これにより、エフェクターT細胞の活性化および増殖を促進し、制御性T細胞を抑制することができ、その結果として複雑な抗腫瘍免疫応答が得られる。現在、がんの治療における抗OX40抗体に関与するいくつかの臨床プロジェクトは、Clinical Trialsのウェブサイトで取得することができる。
【0008】
新しいがん治療の選択肢を提供するために、より新規の抗OX40抗体が当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、OX40に特異的に結合して活性化することができる新規抗OX40抗体を提供することにより、上記の必要性に対応する。
【0010】
一態様において、本発明は、配列番号1に示される重鎖CDR1構造ドメイン、配列番号2に示される重鎖CDR2構造ドメイン、および配列番号3に示される重鎖CDR3構造ドメインを有する、重鎖可変領域と、配列番号9に示される軽鎖CDR1ドメイン、配列番号10に示される軽鎖CDR2ドメイン、および配列番号11に示される軽鎖CDR3ドメインを有する、軽鎖可変領域と、を含む、単離された抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0011】
一態様において、本発明は、本明細書に記載のOX40抗体またはその抗原結合ラグメントと、追加の治療薬と、を含む抗体-薬物複合体を提供する。好ましくは、抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントは、リンカーによって追加の治療薬に連結される。
【0012】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を提供する。
【0013】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の核酸を含む発現ベクターを提供する。
【0014】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の核酸または本明細書に記載の発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0015】
一態様において、本発明は、抗体またはその抗原結合フラグメントの発現に好適な条件下で本明細書に記載の宿主細胞を培養することと、発現した抗体またはその抗原結合フラグメントを培養培地から回収することと、を含む、本明細書に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントを調製するための方法を提供する。
【0016】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の核酸、または本明細書に記載の発現ベクターと、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0017】
一態様において、本発明は、がんの治療に使用するための、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
【0018】
一態様において、本発明は、がんを治療するための方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物を投与し、それによってがんを治療することを含む、方法を提供する。
【0019】
一態様において、本発明は、がんを治療するための薬物の調製における、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0020】
一態様において、本発明は、以下のうちの1つ以上を行うために使用される、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物を提供する:Treg機能を阻害すること(例えば、Tregの抑制機能を阻害すること)、OX40を発現する細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞)を死滅させること、エフェクターT細胞機能を増強するかつ/もしくはメモリーT細胞機能を増強すること、腫瘍免疫を低下させること、T細胞機能を増強することならびに/またはOX40発現細胞を枯渇させること。
【0021】
一態様において、本発明は、以下のうちの1つ以上を行うための薬物の調製における、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物を提供する:Treg機能を阻害すること(例えば、Tregの抑制機能を阻害すること)、OX40を発現する細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞)を死滅させること、エフェクターT細胞機能を増強するかつ/もしくはメモリーT細胞機能を増強すること、腫瘍免疫を低下させること、T細胞機能を増強することならびに/またはOX40発現細胞を枯渇させること。
【0022】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物と、1つ以上の追加の治療薬と、を含む、薬学的組み合わせを提供する。
【0023】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物を含み、好ましくは薬物送達デバイスをさらに含むキットを提供する。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、そのアミノ酸配列に1つ以上の点突然変異を含み、点突然変異は、抗体の発達可能性を改善するように設計される。好ましい実施形態において、1つ以上の点突然変異は、宿主細胞における発現中、製造および/もしくは製剤化の間の精製中、ならびに/または対象への投与中に、抗体をより安定にする。好ましい実施形態において、1つ以上の点突然変異は、製造および/または製剤化の間に抗体が凝集する可能性を低くする。いくつかの実施形態において、本発明は、開発可能性の問題が最小限に抑えられたまたは低減された治療用抗体を提供する。例えば、疎水性および/または最適化された電荷は、その配列中の1つ以上のアミノ酸を(例えば、そのCDRのうちの1つ以上において)置換することによって除去または低減することができる。
【0025】
本発明の一実施形態は、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであり、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号33のアミノ酸残基56~74に対応するOX40のエピトープに特異的に結合することができる(配列番号34:CSRSQNTVCRPCGPGFYN)。
【0026】
本発明の別の実施形態は、OX40に特異的に結合することができるモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであり、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、OX40リガンドのOX40への結合を妨害しない。
【0027】
本発明の別の実施形態は、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであり、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの結合は、三量体または多量体の凝集状態においてOX40リガンドのOX40への結合を妨害しない。
【0028】
本発明の別の実施形態は、OX40に特異的に結合することができるモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであり、抗体のOX40への結合は、内因性OX40リガンドシグナル伝達とともにアゴニストシグナル伝達をもたらす。
【0029】
本発明の別の実施形態は、上記の実施形態のいずれか1つのモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであり、OX40はヒトOX40である。
【0030】
本発明の別の実施形態は、上記の実施形態のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであり、エピトープは配列番号2を含む。
【0031】
本発明の別の実施形態は、上記実施形態のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであり、抗体は、約1nM~約10nMのKDでOX40に結合する。
【0032】
本発明の別の実施形態は、上記の実施形態によるモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであり、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのOX40への結合は、OX40発現を下方制御しないか、または細胞表面上に存在するOX40の量を減少させない。
【0033】
本発明の別の実施形態は、モノクローナル抗体でがんを治療する方法であり、がんは、固形腫瘍もしくは非固形腫瘍であるか、またはがんは、腫瘍浸潤性T細胞の細胞表面上にOX40発現を有するがんである。
【0034】
本発明の別の実施形態は、試料中のOX40を検出する方法であり、この方法は、試料を本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることを含む。
【0035】
本発明の別の実施形態は、対象におけるOX40レベルを決定する方法であり、方法は、
a)対照から試料を得ることと、
b)試料を本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることと、
c)対象のOX40のレベルを決定することと、を含む。
【0036】
試料は、組織試料もしくは血液試料、またはがん組織試料である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1-1】HFB10-1E1hG1のOX40タンパク質への結合。HFB10-1E1hG1のEC80は0.71nMである。
【
図1-2】293T細胞の表面に発現するヒトOX40タンパク質へのHFB10-1E1hG1の結合。EC50は2nM(MFI)であった。
【
図1-3】293T細胞の表面に発現するカニクイザルOX40タンパク質へのHFB10-1E1hG1の結合。EC50は2.9nM(MFI)であった。
【
図1-4】293T細胞の表面に発現するマウスOX40タンパク質へのHFB10-1E1hG1の結合。HFB10-1E1hG1は、293T細胞の表面に発現するマウスOX40タンパク質(MFI)には結合しない。
【
図1-5】293T細胞の表面に発現するヒトCD40タンパク質へのHFB10-1E1hG1の結合。HFB10-1E1hG1は、293T細胞の表面に発現するヒトCD40タンパク質(MFI)には結合しない。
【
図1-6】293T細胞の表面に発現するヒトOX40タンパク質への、それぞれ、HFB10-1E1hG1、参照物質1、参照物質2、参照物質3、および参照物質4の結合。HFB10-1E1hG1のEC50は2.02nM(MFI)であり、参照物質1のEC50は2.67nM(MFI)であり、参照物質2のEC50は4.17nM(MFI)であり、参照物質3のEC50は1.92nM(MFI)であり、参照物質4のEC50は2.11nM(MFI)であった。
【
図1-7】293T細胞の表面に発現するカニクイザルOX40タンパク質への、それぞれ、HFB10-1E1hG1、参照物質1、参照物質2、参照物質3、および参照物質4の結合。HFB10-1E1hG1のEC50は2.94nM(MFI)であり、参照物質1のEC50は2.91nM(MFI)であり、参照物質2のEC50は6.13nM(MFI)であり、参照物質3のEC50は2.57nM(MFI)であり、参照物質4のEC50は3.54nM(MFI)である。
【
図2-1】Jurkatレポーター細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性。抗ヒトIgGとの架橋の場合、HFB10-1E1hG1のEC50は2.9nM(GFPのMFI)である。
【
図2-2】Jurkatレポーター細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性。抗ヒトIgGと架橋しない場合、HFB10-1E1hG1のEC50は、抗ヒトIgGと架橋した場合よりもはるかに大きくなる。三量体OX40L組換えタンパク質は、単独で、抗ヒトIgGとの架橋なしに、EC50=45nM(GFPのMFI)でNF-kbシグナル伝達を活性化することができる。
【
図2-3】Jurkatレポーター細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性。HFB10-1E1hG1は、抗ヒトIgGとの架橋の場合、OX40Lとの協調的なアゴニスト効果を示し、OX40LとともにHFB10-1E1hG1を加えることで、単一成分と比較してGFPのMFIを高める。
【
図2-4】初代CD4
+T細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性。初代CD4
+T細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性は、0.2nMのEC50でIL-2分泌によってアッセイされる。
【
図2-5】初代CD4
+T細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性。初代CD4
+T細胞において、HFB10-1E1hG1は、OX40Lとの協調的なアゴニスト効果を示す。
【
図3-1】HFB10-1E1hG1の薬物動態試験。
【
図4-1】HFB10-1E1hG1のインビボ抗腫瘍効果。HFB10-1E1hG1は、PBS対照と比較して腫瘍増殖を有意に抑制する。
【
図4-2】HFB10-1E1hG1のインビボ抗腫瘍効果。HFB10-1E1hG1は、マウスの有意な体重減少をもたらし得る副作用を示さない。
【
図4-3】異なる用量のHFB10-1E1hG1のインビボ抗腫瘍効果(腫瘍サイズ)。
【
図4-4】異なる用量のHFB10-1E1hG1のインビボ抗腫瘍効果(体重)。
【
図5-1】HFB10-1E1hG1の加速安定性実験。SDS-PAGEの結果は、HFB10-1E1hG1が異なる温度条件下で良好な安定性を有することを示している。
【
図5-2】HFB10-1E1hG1の分解実験。SDS-PAGEの結果は、HFB10-1E1hG1が異なるpH条件下で良好な安定性を有することを示している。
【
図5-3】HFB10-1E1hG1の酸化ストレス実験。SDS-PAGEの結果は、HFB10-1E1hG1が酸化ストレス下で良好な安定性を有することを示している。
【
図5-4】HFB10-1E1hG1の凍結融解実験。SDS-PAGEの結果は、HFB10-1E1hG1が凍結融解条件下で良好な安定性有することを示している。
【
図6】活性化サルCD4
+T細胞へのHFB10-1E1hG1の結合。記号:実際のデータ点、曲線:4パラメータモデルを使用した非線形カーブフィット。3人のドナーから単離された活性化T細胞へのHFB10-1E1hG1の結合:200107番(A:陽性細胞%、およびB:MFI)、M20Z013009番(C:陽性細胞のパーセンテージ、およびD:MFI)、および20Z025008番(E:陽性細胞のパーセンテージ、およびF:MFI)。
【
図7】WTマウスにおけるBmk1およびHFB10-1E1hG1の時間に対する平均濃度。記号:実際のデータ点の平均。
【
図8】hOX40-KIマウスにおけるBmk1およびHFB10-1E1hG1の時間に対する平均濃度。記号:実際のデータ点の平均。
【
図9】腫瘍組織のCD45
+細胞中のCD8
+T細胞のパーセンテージ。
【
図10】腫瘍組織のCD4
+T細胞中のTregのパーセンテージ。
【
図11】腫瘍組織のCD4
+およびCD8
+T細胞におけるKi67発現。
【
図12】腫瘍組織のCD4
+およびCD8
+T細胞におけるPD-1発現。
【
図13】抗OX40抗体HFB301001のエピトープを示し、このエピトープは、複合体のOX40およびOX40Lの3D結晶構造モデルにマッピングされている。
【
図14A】細胞ベースの生物発光アッセイで測定されたOX40リガンドのアゴニスト活性を示す。
図14Aは、個々のOX40リガンドの活性を示す。y軸は相対発光(RLU)を示す。
【
図14B】細胞ベースの生物発光アッセイで測定されたOX40リガンドのアゴニスト活性を示す。
図14Bは、抗OX40抗体HFB301001、ベンチマーク1またはベンチマーク2の存在下でのOX40リガンドの活性を示す。y軸は相対発光(RLU)を示す。
【
図15A】抗体処理後のCD4
+T細胞におけるOX40発現を示す。
図15Aは、フローサイトメトリーによって測定された、異なる濃度の抗OX40抗体で処理した後にヒトPBMCから単離されたOX40陽性CD4
+T細胞のパーセンテージを示している。
【
図15B】抗体処理後のCD4
+T細胞におけるOX40発現を示す。
図15Bは、フローサイトメトリーによって測定された、ヒトOX40ノックインマウスのMC-38マウス結腸直腸がんモデルにおける10mg/kgの抗OX40抗体による3回目の処理から24時間後のCD4
+T細胞におけるOX40の発現を示している。発現は平均蛍光強度(MFI)として測定される。
【
図16】アイソタイプ対照(10mg/kg)、抗OX40抗体ベンチマーク1(1mg/kg)、または抗OX40抗体HFB301001(1mg/kg、0.1mg/kg)で処理した後の、ヒトOX40(hOX40)ノックイン(K/I)マウスのMC-38腫瘍モデルの腫瘍サイズを示す。処理の時点は矢印で示され、エラーバーは平均の標準誤差を示し、有意性は最後の時点での一元配置分散分析によって計算される(*:p値<0.05、**:p値<0.01)。
【
図17】抗OX40抗体HFB301001(10mg/kg、1mg/kg、0.1mg/kg)、抗OX40抗体ベンチマーク1(10mg/kgまたは1mg/kg)、アイソタイプ対照(10mg/kg)による処理、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)処理後の、MC-38マウス結腸直腸がんモデルを用いたヒトOX40(hOX40)ノックイン(K/I)マウスの生存率を示す。有意性は、ログランク検定によって計算される(*:p値<0.05、**:p値<0.01)。
【
図18A】対照(IgG1)、OX40抗体ベンチマーク1または抗OX40抗体@0060HFB301001で処理した後の、ヒトOX40(hOX40)ノックイン(KI)マウスのMC-38マウス結腸直腸がんモデルにおける腫瘍微小環境内の免疫細胞集団のフローサイトメトリー測定を示す。
図18Aは、生存CD45
+CD3
+CD4
+細胞中のCD3
+CD4
+Ki67
+T細胞のパーセンテージを示している。
【
図18B】対照(IgG1)、OX40抗体ベンチマーク1または抗OX40抗体@0061HFB301001で処理した後の、ヒトOX40(hOX40)ノックイン(KI)マウスのMC-38マウス結腸直腸がんモデルにおける腫瘍微小環境内の免疫細胞集団のフローサイトメトリー測定を示す。
図18Bは、生存CD45
+CD3
+CD8
+細胞中のCD3
+CD8
+Ki67
+T細胞のパーセンテージを示している。
【
図18C】対照(IgG1)、OX40抗体ベンチマーク1または抗OX40抗体@0062HFB301001で処理した後の、ヒトOX40(hOX40)ノックイン(KI)マウスのMC-38マウス結腸直腸がんモデルにおける腫瘍微小環境内の免疫細胞集団のフローサイトメトリー測定を示す。
図18Cは、生存CD45
+CD3
+CD4
+細胞中のCD3
+CD4
+PD-1
+T細胞のパーセンテージを示している。
【
図18D】対照(IgG1)、OX40抗体ベンチマーク1または抗OX40抗体@0063HFB301001で処理した後の、ヒトOX40(hOX40)ノックイン(KI)マウスのMC-38マウス結腸直腸がんモデルにおける腫瘍微小環境内の免疫細胞集団のフローサイトメトリー測定を示す。
図18Dは、生存CD45
+CD3
+CD8
+細胞中のCD3
+CD8
+PD-1
+T細胞のパーセンテージを示している。
【
図18E】対照(IgG1)、OX40抗体ベンチマーク1または抗OX40抗体@0064HFB301001で処理した後の、ヒトOX40(hOX40)ノックイン(KI)マウスのMC-38マウス結腸直腸がんモデルにおける腫瘍微小環境内の免疫細胞集団のフローサイトメトリー測定を示す。
図18Eは、生存CD45
+CD3
+CD4
+細胞中のCD3
+CD4
+CD25
+Foxp3
+細胞のパーセンテージを示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
一態様において、本発明は、配列番号1に示される重鎖CDR1構造ドメイン、配列番号2に示される重鎖CDR2構造ドメイン、および配列番号3に示される重鎖CDR3構造ドメインを有する、重鎖可変領域と、配列番号9に示される軽鎖CDR1ドメイン、配列番号10に示される軽鎖CDR2ドメイン、および配列番号11に示される軽鎖CDR3ドメインを有する、軽鎖可変領域と、を含む、単離された抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0039】
一実施形態において、本明細書に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号4に示される重鎖可変領域、または配列番号4と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する重鎖可変領域と、配列番号12に示される軽鎖可変領域、または配列番号12と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0040】
一実施形態において、本明細書に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖定常領域および軽鎖定常領域をさらに含み、好ましくは、重鎖定常領域は、配列番号5に示される重鎖定常領域、または配列番号5と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する重鎖定常領域であり、かつ/または、好ましくは、軽鎖定常領域は、配列番号13に示される軽鎖定常領域、または配列番号13と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する軽鎖定常領域である。
【0041】
一実施形態において、本明細書に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域に連結された重鎖シグナルペプチドおよび/または軽鎖可変領域に連結された軽鎖シグナルペプチドをさらに含み、好ましくは、重鎖シグナルペプチドは、配列番号6に示される重鎖シグナルペプチド、または配列番号6と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する重鎖シグナルペプチドであり、かつ/または、好ましくは、軽鎖シグナルペプチドは、配列番号14に示される軽鎖シグナルペプチド、または配列番号14と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する軽鎖シグナルペプチドである。
【0042】
一実施形態において、本明細書に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG抗体またはその抗原結合フラグメントであり、好ましくは、IgG1抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0043】
一実施形態において、本明細書に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0044】
一実施形態において、本明細書に記載されるその抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFvまたはsdAbである。
【0045】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントと、追加の治療薬と、を含む抗体-薬物複合体を提供する。好ましくは、抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントは、リンカーを介して追加の治療薬に連結される。
【0046】
一態様において、本発明は、本明細書に記載される抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を提供する。
【0047】
一実施形態において、本明細書に記載の核酸は、配列番号20に示される重鎖可変領域ヌクレオチドコード配列、および/または配列番号28に示される軽鎖可変領域ヌクレオチドコード配列を含み、好ましくは、核酸は、配列番号21に示される重鎖定常領域ヌクレオチドコード配列、および/または配列番号29に示される軽鎖定常領域ヌクレオチドコード配列をさらに含む。
【0048】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の核酸を含む発現ベクターを提供する。
【0049】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の核酸または本明細書に記載の発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0050】
一態様において、本発明は、抗体またはその抗原結合フラグメントを発現するのに好適な条件下で、本明細書に記載の宿主細胞を培養することと、発現した抗体またはその抗原結合フラグメントを培養培地から回収することと、を含む、本明細書に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントを調製するための方法を提供する。
【0051】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の核酸、または本明細書に記載の発現ベクターと、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0052】
一実施形態において、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物は、がんの治療に使用される。一実施形態において、がんは、扁平上皮がん(例えば、上皮扁平細胞がん)、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん、および肺の扁平上皮がんを含む)、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん(胃腸がんおよび胃腸間質がんを含む)、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、肝腫瘍、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がん、肛門がん、陰茎がん、黒色腫、びまん性表層黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒色腫、結節性黒色腫、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ケロイドに関連する異常な血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連する)、ならびにメイグス症候群、脳腫瘍および脳がん、頭頸部がん、ならびに付随する転移から選択される。
【0053】
一態様において、本発明は、がんの治療のための方法であって、がんを治療するために、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。一実施形態において、がんは、扁平上皮がん(例えば、上皮扁平細胞がん)、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん、および肺の扁平上皮がんを含む)、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん(胃腸がんおよび胃腸間質がんを含む)、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、肝腫瘍、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がん、肛門がん、陰茎がん、黒色腫、びまん性表層黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒色腫、結節性黒色腫、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ケロイドに関連する異常な血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連する)、ならびにメイグス症候群、脳腫瘍および脳がん、頭頸部がん、ならびに付随する転移から選択される。
【0054】
一態様において、本発明は、がんを治療するための薬物の調製における、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。一実施形態において、がんは、扁平上皮がん(例えば、上皮扁平細胞がん)、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん、および肺の扁平上皮がんを含む)、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん(胃腸がんおよび胃腸間質がんを含む)、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、肝腫瘍、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がん、肛門がん、陰茎がん、黒色腫、びまん性表層黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒色腫、結節性黒色腫、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ケロイドに関連する異常な血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連する)、ならびにメイグス症候群、脳腫瘍および脳がん、頭頸部がん、ならびに付随する転移から選択される。
【0055】
一態様において、本発明は、以下のうちの1つ以上における、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する:Treg機能を阻害すること(例えば、Tregの抑制機能を阻害すること)、OX40を発現する細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞)を死滅させること、エフェクターT細胞機能を増強するかつ/もしくはメモリーT細胞機能を増強すること、腫瘍免疫を低下させること、T細胞機能を増強することならびに/またはOX40発現細胞を枯渇させること。
【0056】
一態様において、本発明は、以下のうちの1つ以上のための薬物の調製における、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する:Treg機能を阻害すること(例えば、Tregの抑制機能を阻害すること)、OX40を発現する細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞)を死滅させること、エフェクターT細胞機能を増強するかつ/もしくはメモリーT細胞機能を増強すること、腫瘍免疫を低下させること、T細胞機能を増強することならびに/またはOX40発現細胞を枯渇させること。
【0057】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物と、1つ以上の追加の治療薬と、を含む、薬学的組み合わせを提供する。
【0058】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載の抗体-薬物複合体、または本明細書に記載の医薬組成物を含み、好ましくは薬物送達デバイスをさらに含むキットを提供する。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態は、OX-40に対するアゴニスト抗体を提供する。それは、他のアゴニスト抗OX-40抗体と比較して、OX-40受容体の下方制御をまったくまたはほとんどもたらさなかった。受容体下方制御の欠如または受容体下方制御の減少は、本発明によって提供されるアゴニスト抗体がそのエピトープを認識することができるという事実に起因し得る。本発明によって提供されるアゴニスト抗体はまた、特に当技術分野で既知の他のアゴニスト抗OX-40抗体と比較して、最適化された結合動態を有し得る。
【0060】
本明細書に記載の様々な実施形態の特徴の1つ、いくつか、またはすべてを組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を形成することができることを理解されたい。本発明のこれらおよび他の態様は、当業者には明らかである。本発明のこれらおよび他の実施形態を、以下にさらに詳述する。
【0061】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、エナンチオマーの最大アライメントについて記載されるときに、その2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が同じである場合、「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、比較ウィンドウにわたって配列を比較し、配列類似性を有する局所領域を特定して比較することにより行われる。本明細書で使用される「比較ウィンドウ」は、少なくとも約20個(通常、約30~約75個、または約40~約50個)の連続位置を有するセグメントを指し、2つの配列を最適に整列させた後、1つの配列を同じ数の連続位置を有する参照配列と比較することができる。
【0062】
比較のための配列の最適なアライメントは、バイオインフォマティクスソフトウェアのプログラム一式(Inc.、Madison,WI)を使用し、デフォルトのパラメータを用いて実行することができる。このプログラムは、以下の参考文献に記載されているいくつかのアライメントスキームを実装している:Dayhoff,M.O.,1978,A model of evolutionary change in proteins-Matrices for detecting distant relationships.In Dayhoff,M.O.(ed.)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC,Vol.5,Supplement 3,pp.345 to 358 pages;Hein J.,1990,Unified Approach to Alignment and Phylogenes,pp.626-645,Methods in Enzymology,Vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.and Sharp,P.M.,1989,CABIOS 5:151-153;Myers,E.W.and Muller W.,1988,CABIOS 4:11-17;Robinson,E.D.,1971,Comb.Theor.11:105;Santou,N.,Nes,M.,1987,Mol.Biol.Evol.4:406-425;Sneath,P.H.A. and Sokal,R.R.,1973,Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.and Lipman,D.J.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:726-730。
【0063】
いくつかの実施形態において、「パーセント配列同一性/相同性」は、少なくとも20の位置を有する比較ウィンドウにわたって最適に整列させた2つの配列を比較することにより決定されるが、この場合、2つの配列の最適なアライメントのために、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の一部が、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、20%以下、典型的には5%~15%、または10%~12%の付加または欠失(すなわちギャップ)を含んでもよい。パーセンテージは、以下のように計算することができる:両方の配列中に同じ核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して一致する位置の数を得て、その一致する位置の数を参照配列中の位置の総数(すなわち、比較ウィンドウサイズ)で除し、次いでその結果に100を乗じて配列同一性/相同性パーセントを得る。
【0064】
代替的に、変異体はまた、天然の遺伝子またはその一部もしくは相補体と実質的に相同であり得る。これらのポリヌクレオチド変異体は、中程度のストリンジェントな条件下で、天然の抗体(または相補的配列)をコードする天然に存在するDNA配列にハイブリダイズすることができる。
【0065】
好適な「適度にストリンジェントな条件」は以下を含む:5×SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA、pH8.0での前洗浄。5×SSCで50℃~65℃で一晩ハイブリダイズする。続いて65℃で20分間2回洗浄し、各洗浄には0.1%SDSを含む2×、0.5×、および0.2×のSSCを使用する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「高度にストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、以下の条件のうちの1つまたはいくつかを指す:(1)洗浄に低イオン強度および高温を採用すること、例えば、0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ラウリル硫酸ナトリウムを50℃で使用すること;(2)ハイブリダイゼーション中に、ホルムアミド等の変性剤、例えば、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%ポリスクロース/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5および42℃)、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを含む50%(v/v)ホルムアミドを使用すること;または(3)42℃で、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルトハイブリダイゼーション溶液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/mL)、0.1%SDSおよび10%デキストラン硫酸を使用すること、ならびに42℃で、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)を使用して洗浄し、55℃で50%ホルムアミドを使用して洗浄した後、EDTAを含む0.1×SSCの高ストリンジェンシー洗浄液を使用して55℃で洗浄すること。当業者は、プローブの長さ等の要因に対応するために、温度、イオン強度等を任意選択的に調整する方法を知っている。
【0067】
当業者は、遺伝暗号の縮重に起因して、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することを理解している。これらのポリヌクレオチドのいくつかは、任意の天然の遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小限の相同性を有する。しかしながら、本発明は、コドン使用頻度の違いに起因して変動するポリヌクレオチドを具体的に企図する。さらに、本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、ヌクレオチドの欠失、付加、および/または置換等の1つ以上の突然変異に起因して変化する内因性遺伝子である。結果として得られるmRNAおよびタンパク質は、変更された構造または機能を有する可能性があるが、そうである必要はない。対立遺伝子は、ハイブリダイゼーション、増幅、および/またはデータベース配列比較等の特定の標準的な技術を用いて同定することができる。
【0068】
本発明のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え法、またはPCRを用いて得ることができる。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は当技術分野で周知であり、本明細書で詳細に説明する必要はない。当業者は、本明細書で提供される配列および市販のDNAシンセサイザーを使用して、所望のDNA配列を生成することができる。
【0069】
組換え法を用いてポリヌクレオチドを産生するために、本明細書に記載のように、所望の配列を含むポリヌクレオチドを好適なベクターに挿入することができ、ベクターを複製および増幅のために好適な宿主細胞にさらに導入することができる。ポリヌクレオチドは、当技術分野で既知の任意の手段によって宿主細胞に挿入することができる。外因性ポリヌクレオチドを導入するために、直接取り込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F-ハイブリダイゼーション、または電気穿孔によって細胞を形質転換することができる。導入されると、外因性ポリヌクレオチドは、非組込みベクター(プラスミド等)として細胞内に維持され得るか、または宿主細胞ゲノムに組み込まれ得る。そのように増幅されたポリヌクレオチドは、当技術分野で既知の特定の方法によって宿主細胞から単離することができる。例えば、Sambrookら、1989を参照することができる。
【0070】
代替的に、PCRはDNA配列の複製を可能にする。
【0071】
RNAは、好適なベクター中の単離されたDNAを使用し、それを好適な宿主細胞に挿入することで得ることができる。細胞が複製して、DNAをRNAに転写すると、次いで、当業者に既知の特定の方法を用いてRNAを単離することができる。
【0072】
好適なクローニングおよび発現ベクターは、プロモーター、エンハンサー、および他の転写調節配列等の様々な成分を含み得る。ベクターはまた、後に抗体可変ドメインを異なるベクターにクローニングできるように構築され得る。
【0073】
好適なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築することができるか、または当技術分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択することができる。選択されるクローニングベクターは、使用されることが意図される宿主細胞によって異なり得る。しかしながら、有用なクローニングベクターは、一般に、それ自体を複製する能力を有する。それらは、特定の制限エンドヌクレアーゼの単一標的を有することができ、かつ/またはベクターを含むクローンを選択するために使用することができるマーカーの遺伝子を保有することができる。好適な例として、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)およびそれらの誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3およびpAT28等のシャトルベクターが挙げられる。これらおよび他の多くのクローニングベクターは、BioRad、Strategene、およびInvitrogen等の商業的供給業者から入手可能である。
【0074】
発現ベクターがさらに提供される。発現ベクターは、典型的には、本発明によるポリヌクレオチドを含む特定の複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームとして、またはその染色体DNAの不可欠な部分として、宿主細胞内で複製可能でなければならないことが暗示される。好適な発現ベクターとして、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター、コスミド、およびPCT公開第87/04462号に開示されている発現ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。担体成分は、典型的には、限定されないが以下のうちの1つ以上を含み得る:複製起点;1つ以上のマーカー遺伝子;好適な転写制御エレメント(プロモーター、エンハンサー、およびターミネーター等)。発現(すなわち、翻訳)のために、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、および終止コドン等の1つ以上の転写制御エレメントも典型的には必要である。
【0075】
目的のポリヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、いくつかの好適な手段のいずれかによって宿主細胞に導入することができる。この手段は、電気穿孔、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質によるトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターがポックスウイルス等の感染病原体である場合)を含む。導入ベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、一般に、宿主細胞の特性に依存する。
【0076】
本発明の抗体は、組換え法によって調製、発現、産生または単離されたヒト抗体、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体(後述のセクションIIでさらに説明する)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体(後述のセクションIIIでさらに説明する)、ヒト免疫グロブリン遺伝子トランスジェニック動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor,L.D.et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295を参照のこと)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを含む任意の他の方法によって、調製、発現、産生、または単離された抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する(Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照のこと)。
【0077】
本発明の抗体または抗体部分は、宿主細胞において免疫グロブリン軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子を組換え発現することによって調製することができる。抗体の組換え発現のために、抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードするDNAフラグメントを保有する1つ以上の組換え発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクトして、軽鎖および重鎖を宿主細胞で発現させることができるようにする。抗体はまた、好ましくは、宿主細胞が培養される培地に分泌され、そこから抗体を回収することができる。標準的な組換えDNA法を用いて抗体の重鎖遺伝子および抗体の軽鎖遺伝子を得て、これらの遺伝子を組換え発現ベクターに導入し、次いでベクターを宿主細胞に導入することができる。本明細書において、標準的な方法は、例えば、Sambrook,Fritsch and Maniatis(eds.),Molecular Cloning;A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1989)、Ausubel,F.M.et al.(eds.)Current Protocols in Molecuar Biology,Greene Publishing Associates,(1989)、およびBossらに対する米国特許第4,816,397号に記載されている方法であり得る。
【0078】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、好適な宿主細胞を使用して組換え的に産生することができる。抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸は、発現ベクターにクローニングすることができ、次いで、組換え宿主細胞で抗体合成を達成するために、細胞が免疫グロブリンを追加的に産生しないE.coli細胞、酵母細胞、昆虫細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞等の宿主細胞に導入することができる。当技術分野で周知の多くの細胞の中で、好ましい宿主細胞として、CHO細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)293細胞、およびSp2.0細胞が挙げられる。
【0079】
抗体フラグメントは、全長抗体のタンパク質分解もしくは他の分解によって、組換え法によって、または化学合成によって生成することができる。抗体のポリペプチドフラグメント(特に最大約50アミノ酸のより短いポリペプチド)は、化学合成によって都合よく作製することができる。タンパク質およびペプチドの化学合成のための方法は、当技術分野で既知であり、商業的に入手可能である。
【0080】
本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントは、親和性成熟させることができる。例えば、親和性成熟抗体は、当技術分野で既知の手順から調製することができる(Marks et al.,1992,Bio/Technology,10:779-783;Barbas et al.,1994,Proc Nat.Acad.Sci,USA 91:3809-3813;Schier et al.,1995,Gene,169:147-155;Yelton et al.,1995,J.Immunol.,155:1994-2004;Jackson et al,1995,J.Immunol.,154(7):3310-9;Hawkins et al.,1992,J.Mol.Biol.,226:889-896;およびWO2004/058184)。
【0081】
抗体変異体
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体を含む。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製することができる。そのような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、および/または挿入および/または置換を含む。最終構築物が所望の特徴、例えば、抗原結合を有する限り、欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせを行って最終構築物を得ることができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、そのアミノ酸配列に1つ以上の点突然変異を含み得る。点突然変異は、抗体の開発可能性を高めるように設計される。例えば、Raybould et al.,“Five computational developability guidelines for therapeutic antibody profiling,”PNAS,Mar.5,2019,116(10)4025-4030は、治療用抗体プロファイリングツール(TAP)(ダウンロード可能な可変ドメイン配列の相同性モデルを構築し、5つの開発可能性ガイドラインに対してそれらを試験し、潜在的な配列の役割および古典的な形式を報告するための計算ツール)について記載している。著者はさらに、opig.stats.ox.ac.uk/webapps/sabdab-sabpred/TAP.phpで自由に利用可能なTAPを提供している。抗原に対する所望の親和性を達成することに加えて、治療用モノクローナル抗体の開発には多くの障害がある。これらの障害は、固有の免疫原性、化学的および立体構造的な不安定性、自己会合、高粘度、多重特異性、不十分な発現等を含む。例えば、特に超可変相補性決定領域(CDR)における、高レベルの疎水性は、凝集、粘度、および多重特異性に繰り返し関与してきた。重鎖および軽鎖可変ドメインの正味電荷の非対称性は、高濃度での自己会合および粘度とも関連している。CDRの正および負に帯電したパッチは、高いクリアランス率および低い発現レベルに関連している。製品の不均一性(例えば、酸化、異性化、またはグリコシル化による)は、多くの場合、翻訳後または同時翻訳修飾を受けやすい特定の配列モチーフによって引き起こされる。配列の役割の特定を容易にするための計算ツールが利用可能である。Warszawskiもまた、可変軽鎖-重鎖界面の自動設計により、抗体の親和性および安定性を最適化するための方法を記載している。Warszawski et al.(2019),Optimizing antibody affinity and stability by the automated design of the variable light-heavy chain interfaces,PLoS Comput Biol 15(8):e1007207,https://doi.org/10.1371/journal.pcbi.1007207。追加の方法を用いて、候補抗体の潜在的な開発可能性の問題を特定することができる。さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態において、そのような問題を解決するために、従来の方法によって1つ以上の点突然変異を候補抗体に導入し、それによって最適化された本発明の治療用抗体を得ることができる。
【0083】
a)置換、挿入、および欠失変異体
いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。代替の突然変異誘発の対象となる部位は、HVRおよびFRを含む。保存的置換は、表Aの「好ましい置換」という見出しの下に示される。より実質的な変化は、表Aの「例示的な置換」という見出しの下に提供され、そのアミノ酸側鎖クラスを参照して後にさらに説明される。アミノ酸置換を目的の抗体に導入することができ、生成物を所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の低下、またはADCCもしくはCDCの改善についてスクリーニングすることができる。
【表1】
【0084】
一般的な側鎖の特性に従って、アミノ酸は以下のようにグループ化することができる。
(1)疎水性:Nle、Met、Ala、Val、Leu、IIe;
(2)中性、親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gin;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0085】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと置き換えることを伴う。
【0086】
置換変異体の1つのクラスは、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することに関与する。一般に、さらなる研究のために選択される、結果として生じる変異体は、親抗体と比較して変更された(例えば、改善された)特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低下)を有し、かつ/または親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持する。例示的な置換変異体は、親和性成熟抗体であり、これは、例えば、本明細書に記載されるもの等のファージディスプレイベースの親和性成熟技術を使用して都合よく生成することができる。簡潔に述べると、1つ以上のHVR残基を変異させることができ、変異抗体をファージ上に提示し、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングすることができる。
【0087】
例えば、抗体親和性を改善するために、HVRに変化(例えば、置換)を加えることができる。HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury、Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照のこと)、および/または抗原と接触する残基は、そのような変化を有することができ、その中で、結果として生じる変異体VHまたはVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリーの構築および再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.,Methods in Molecular Biology 178:1-37(eds.O’Brien et al.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態において、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、またはオリゴヌクレオチド特異的変異誘発)によって、成熟のために選択された可変遺伝子に多様性が導入される。次に、二次ライブラリーが作製される。ライブラリーは、次いで、所望の親和性を有する任意の抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入するための別のアプローチは、複数のHVR残基(例えば、1回に4~6残基)がランダム化されるHVR指向性アプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発またはモデリングを使用して、具体的に同定することができる。特に、CDR-H3およびCDR-L3が標的とされることが多い。
【0088】
いくつかの実施形態において、置換、挿入、または欠失は、そのような変化が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、1つ以上のHVR内で起こり得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的変化(例えば、本明細書で提供されるような保守的な置換)がHVRに加えられてもよい。例えば、そのような変化は、HVRの抗原接触残基の外側にあってもよい。上で提供された変異体VHおよびVL配列のいくつかの実施形態において、各HVRは、変化しないか、または、1、2、もしくは3個以下のアミノ酸置換を含む。
【0089】
突然変異誘発のために標的化され得る抗体の残基または領域を同定するために使用することができる1つの方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081~1085によって記載されるように、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と称される。この方法では、残基または標的残基の群(例えば、arg、asp、his、lys、およびglu等の荷電残基)が同定され、アミノ酸(例えば、アラニン酸またはポリアラニン)置換により中和されるかまたは負に帯電され、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に、さらなる置換を導入することができる。代替的にまたは追加的に、抗原抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原との間の接触点を同定することができる。代替的な候補として、そのような接触残基および隣接残基は、標的化されるかまたは排除され得る。変異体をスクリーニングして、それらが所望の特性を含むかどうかを決定することができる。
【0090】
アミノ酸配列の挿入は、1残基から、100以上の残基を含むポリペプチドまでの長さのアミノ酸および/またはカルボキシ末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体のN末端またはC末端と、抗体の血清半減期を延長する酵素(例えば、ADEPTの場合)またはポリペプチドとの融合を含む。
【0091】
b)グリコシル化変異体
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗体は、抗体のグリコシル化の程度を増加または減少させるように変更することができる。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作製されるかまたは除去されるようにアミノ酸配列を変更することによって、都合よく達成することができる。
【0092】
Fc領域を含む抗体の場合、それが結合している炭水化物を変更することができる。哺乳動物細胞によって産生される天然抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297に典型的にN-結合している、分岐した二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.,TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、およびシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「骨格」にあるGlcNAcに結合したフコースを含み得る。いくつかの実施形態において、本発明の抗体中のオリゴ糖は、特定の改善された特性を有する抗体変異体を作製するために修飾することができる。
【0093】
一実施形態において、Fc領域に(直接的または間接的に)結合するフコースを欠いた炭水化物構造を有する抗体変異体が提供される。例えば、そのような抗体中のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%、または20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、WO2008/077546に記載されるように、MALDI-TOF質量分析法によって測定した場合に、Asn297に結合したすべての糖構造(複合体、ハイブリッド、および高マンノース構造等)の合計に対するAsn297の糖鎖内の平均フコース量を計算することによって決定することができる。Asn297は、Fc領域の約297位(Fe領域残基のEu番号付け)に位置するアスパラギン残基を指す。しかしながら、Asn297はまた、抗体のわずかな配列変化に起因して、位置297の約±3アミノ酸上流または下流、例えば、294~300位の間にも位置する可能性がある。そのようなフコース化変異体は、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許公開第2003/0157108号(Presta,L.)、同第2004/0093621号(協和発酵バイオ株式会社)を参照することができる。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体変異体に関連する刊行物の例として、US2003/0157108、WO2000/61739、WO2001/29246、
US2003/0115614、US2002/0164328、US2004/0093621、US2004/0132140、US2004/0110704、US2004/0110282、US2004/0109865、WO2003/085119、WO2003/084570、WO2005/035586、TO2005/035778、TO2005/053742、TO2002/031140、Okazakiet al,J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004)、Yamane-Ohnuki et al,Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例として、タンパク質フコシル化が欠損したLec I3CHO細胞(Ripka et al.,Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願第2003/0157108A1号、Presta,L;ならびにWO2004/056312A1、Adamsら)、およびα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8ノックアウトCHO細胞等のノックアウト細胞株(例えば、Yamane-Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.87:614(2004)、Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006)、およびWO2003/085107を参照のこと)が挙げられる。
【0094】
例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分された、二分型オリゴ糖を有する抗体変異体がさらに提供される。そのような抗体変異体は、低下したフコシル化および/または改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体変異体の例は、例えば、WO2003/011878(Jean-Mairet et al.)、米国特許第6,602,684号(Umana et al.)、およびUS2005/0123546(Umana et al.)に記載されている。Fc領域に結合したオリゴ糖に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は、改善されたCDC機能を有し得る。そのような抗体変異体は、例えば、WO1997/30087(Patel et al.)、WO1998/58964(Raju,S.)、およびWO1999/22764(Raju,S.)に記載されている。
【0095】
c)Fc領域変異体
いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸修飾を本明細書で提供される抗体のFc領域に導入し、それによってFc領域変異体を生成することができる。Fc領域変異体は、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgGl、IgG2、IgG3またはIgG4のFc領域)を含み得る。
【0096】
いくつかの実施形態において、本発明は、すべてではないが、いくつかのエフェクター機能を有する抗体変異体を含む。エフェクター機能によって、それは、後に記載する用途への適用に望ましい候補となる。抗体のインビボでの半減期は重要である。補体およびADCC等の特定のエフェクター機能は、不要または有害である。CDCおよび/またはADCC活性の低下/枯渇を確認するために、インビトロおよび/またはインビボ細胞傷害性アッセイを行うことができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠いている(したがって、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にするために行うことができる。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するのに対し、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464ページの表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci USA 83:7059-7063(1986)およびHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985)を参照のこと)、同第5,821,337号(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照のこと)に記載されている。代替的に、非放射性アッセイ(例えば、フローサイトメトリーのためのACT I(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Cell Technology,Inc.Mountain View,CA)およびCytoTox96非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison,WI)を参照のこと)が用いられてもよい。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。代替的にまたは追加的に、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.,Proc Nat’l Acad Sci USA 95:652-656(1998)に開示されているもの等の動物モデルにおいて、インビボで評価することができる。Clq結合アッセイを行って、抗体がClqに結合できず、したがってCDC活性を欠いていることを確認することもできる。例えば、WO2006/029879およびWO2005/100402のClqおよびC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)、Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045-1052(2003)、およびCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738-2743(2004)を参照のこと)。FcRn結合およびインビボクリアランス/半減期アッセイもまた、当技術分野で既知の方法を用いて行うことができる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照のこと)。
【0097】
エフェクター機能が低下した抗体は、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327、および329のうちの1つ以上の置換を有する抗体を含む(米国特許第6,737,056号)。そのようなFc変異体は、残基265および297が各々アラニンで置換された、いわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297、および327のうちの2つ以上に置換を有するFc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
【0098】
FcRへの結合が改善または低減された特定の抗体変異体が記載されている(例えば、米国特許第6,737,056号;WO2004/056312、およびShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照のこと)。
【0099】
いくつかの実施形態において、抗体変異体は、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、および/または334位(残基のEU番号付け)における置換を有するFc領域を含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態において、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、およびIdusogie et al.,J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されるように、変更された(すなわち、改善または低減された)C1q結合および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)をもたらす変化がFc領域に加えられる。
【0101】
半減期が延長され、新生児Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体が、US2005/0014934A1(Hinton et al.)に記載されている。新生児Fc受容体(FcRn)は、母体IgGの胎児への移行に関与する(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)およびKim et al.J.Immunol.24:249(1994))。これらの抗体は、Fc領域のFcRnへの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含み得る。そのようなFc変異体は、Fc領域残基238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382;413、424または434のうちの1つ以上に置換を有するもの、例えば、Fc領域残基434に置換を有するものを含む(米国特許第7,371,826号)。
【0102】
Fc領域変異体の他の例に焦点を合わせている、Duncan and Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、およびWO94/29351も参照されたい。
【0103】
d)システイン操作抗体変異体
いくつかの実施形態において、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置き換えられたシステイン操作抗体、例えば「thioMAb」を作製することが望ましい場合がある。特定の実施形態において、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位に存在する。それらの残基をシステインで置き換えることにより、反応性チオール基が抗体のアクセス可能な部位に位置付けられる。さらに、これを使用して、本明細書でさらに説明するように、抗体を薬物部分またはリンカー-薬物部分等の他の部分に結合させて、免疫複合体を作製することができる。いくつかの実施形態において、システインは、以下の残基のうちのいずれか1つ以上で置換され得る:軽鎖のV205(Kabat番号付け)、重鎖のA118(EU番号付け)、および重鎖S400のFc領域のもの(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように生成することができる。
【0104】
e)抗体誘導体
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で既知であり、かつ容易に入手可能な、追加の非タンパク質性部分を含むようにさらに修飾することができる。抗体誘導体化に好適な部分は、水溶性ポリマーを含むが、これに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例として、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマー)、デキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中での安定性に起因して、製造における利点を有し得る。ポリマーは、任意の分子量のものであってもよく、分岐または非分岐であり得る。抗体に結合するポリマーの数は様々であり得、1つ以上のポリマーが結合している場合、それらは同じ分子または異なる分子であり得る。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/または種類は、改善されるべき抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が規定条件下での治療に使用されるかどうか等を含み得るが、これらに限定されない考慮事項に基づいて決定することができる。
【0105】
別の実施形態において、放射線への曝露によって選択的に加熱することができる、抗体と非タンパク質性部分との複合体が提供される。一実施形態において、非タンパク質性部分はカーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長のものであり得、限定されないが、通常の細胞には有害ではないが、抗体-非タンパク質性部分の近くの細胞が死滅する温度まで非タンパク質性部分を加熱する波長を含む。
【0106】
アッセイ
本明細書で提供される抗OX40抗体は、当技術分野で既知の様々なアッセイによって、それらの物理的/化学的特性および/または生物学的活性について同定、スクリーニング、または特徴付けすることができる。
【0107】
1.結合アッセイおよび他のアッセイ
一態様において、本発明の抗体は、例えば、ELISA、ウエスタンブロッティング等の既知の方法によって、それらの抗原結合活性について試験される。OX40結合は、当技術分野で既知の方法を用いて決定することができ、例示的な方法が本明細書に開示される。一実施形態において、結合は、ラジオイムノアッセイを用いて測定される。例示的なラジオイムノアッセイが示される。OX40抗体はヨウ素化され、固定濃度のヨウ素化抗体と、漸減濃度の非標識OX40抗体の段階希釈液とを含む競合反応混合物が調製される。OX40発現細胞(例えば、ヒトOX40で安定的にトランスフェクトされたBT474細胞)が反応混合物に加えられる。インキュベーション後、細胞が洗浄され、細胞に結合したOX40抗体から遊離ヨウ素化OX40抗体が分離される。結合したOX40ヨウ化物抗体のレベルは、例えば、細胞に関連する放射性を計数することによって決定することができ、結合親和性は、標準的な方法を用いて決定される。別の実施形態において、(例えば、T細胞のサブセット上で)OX40抗体が表面に発現したOX40に結合する能力が、フローサイトメトリーを用いて評価される。末梢白血球(例えば、ヒト、カニクイザル、ラットまたはマウスから)が得られ、細胞が血清でブロックされる。標識されたOX40抗体は段階希釈で加えることができ、T細胞サブセットを同定するために(当技術分野で既知の方法を用いる)T細胞も染色される。試料のインキュベーションおよび洗浄に続いて、フローサイトメーターを使用して細胞が選別され、当技術分野で周知の方法を用いてデータが分析される。別の実施形態において、表面プラズモン共鳴を用いてOX40結合を分析することができる。例示的な表面プラズモン共鳴法が示される。
【0108】
別の態様において、競合アッセイを用いて、OX40への結合について本明細書に開示される抗OX40抗体のいずれかと競合する抗体を同定することができる。特定の実施形態において、そのような競合する抗体は、本明細書に開示される抗OX40抗体のいずれかが結合することができる同じエピトープ(例えば、線状または立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープを局在化するための詳細な例示的方法は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に見出すことができる。競合アッセイが示される。
【0109】
例示的な競合アッセイにおいて、第1の標識抗体(OXに結合する、例えば、mab 1A7.gr.1、mab 3C8.gr5)および第2の非標識抗体(第1の抗体のOX40結合能力と競合するように試験される)は、溶液中で固定化OX40とインキュベートすることができる。二次抗体はハイブリドーマ上清に存在し得る。対照として、固定化されたOX40は、第1の標識抗体を含むが、第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。一次抗体がOX40に結合できる条件下でインキュベートした後、過剰な非結合抗体が除去され、固定化されたOX40に結合した標識の量が測定される。固定化されたOX40に関連する標識の量が、対照試料と比較して試験試料で実質的に減少している場合、これは、二次抗体がOX40への結合について一次抗体と競合することを示している。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
【0110】
2.活性アッセイ
一態様において、生物学的に活性な抗OX40抗体を同定するためのアッセイが提供される。本明細書における生物学的活性は、例えば、OX40に結合すること(例えば、ヒトおよび/またはカニクイザルOX40に結合すること)、OX40媒介性シグナル伝達を増加させること(例えば、NFkB媒介性転写を増加させること)、ヒトOX40を発現する細胞(例えば、T細胞)を枯渇させること、ADCCおよび/または食作用によりヒトOX40発現細胞を枯渇させること、Tエフェクター細胞機能(例えば、CD4+エフェクターT細胞)を増強させること(例えば、エフェクターT細胞増殖を増加させることおよび/またはエフェクターT細胞サイトカイン(例えば、インターフェロンγ)産生を増加させることによる)、メモリーT細胞機能(例えば、CD4+メモリーT細胞)を増強させること(例えば、メモリーT細胞増殖を増加させることおよび/またはメモリーT細胞サイトカイン産生(例えば、インターフェロンγ)を増加させることによる)、T細胞機能を調節するTreg抑制を阻害すること(例えば、エフェクターT細胞機能(例えば、CD4+エフェクターT細胞機能)を低下させることによる)、およびヒトエフェクター細胞に結合すること、を含み得る。インビボおよび/またはインビトロでそのような生物学的活性を有する抗体も提供される。
【0111】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、そのような生物学的活性について試験される。
【0112】
T細胞共刺激は、当技術分野で既知の方法を用いて決定することができ、例示的な方法が本明細書に開示される。例えば、T細胞(例えば、メモリーまたはエフェクターT細胞)は、末梢白血球から得ることができる(例えば、フィコール勾配遠心分離を使用してヒト全血から単離される)。メモリーT細胞(例えば、CD4+メモリーT細胞)またはエフェクターT細胞(例えば、CD4+ Teff細胞)は、当技術分野で既知の方法を用いてPBMCから単離することができる。例えば、Miltenyi社製CD4+ Memory T Cell Isolation KitまたはMiltenyi社製Naive CD4+ T Cell Isolation Kitを使用することができる。単離されたT細胞は、抗原提示細胞(例えば、照射されたCD32およびCD80を発現するL細胞)の存在下で培養され、OX40アゴニスト抗体の存在下または非存在下で抗CD3抗体の添加によって活性化される。T細胞増殖に対するアゴニストOX40抗体の効果は、当技術分野で周知の方法を用いて測定することができる。例えば、Cell Titer Gloキット(Promega)を使用して、マルチラベルリーダー(Perkin Elmer)で結果を読み取ることができる。T細胞機能に対するアゴニストOX40抗体の効果は、T細胞によるサイトカイン産生を分析することによって決定することができる。一実施形態において、CD4+T細胞によるインターフェロンガンマ産生は、例えば、細胞培養上清中のインターフェロンガンマを測定することによって決定される。インターフェロンガンマを測定するための方法は、当技術分野で周知である。
【0113】
Treg細胞機能は、当技術分野で既知の方法を用いてアッセイすることができ、例示的な方法が本明細書に開示される。一例では、エフェクターT細胞の増殖を抑制するTregの能力がアッセイされる。T細胞(例えば、メモリーT細胞またはナイーブT細胞の単離)は、当技術分野で既知の方法を用いてヒト全血から単離される。精製されたCD4+ナイーブT細胞は(例えばCFSEで)標識され、精製されたTreg細胞は異なる試薬で標識される。照射された抗原提示細胞(例えば、CD32およびCD80を発現するL細胞)は、標識された精製ナイーブCD4+T細胞および精製Tregと共培養される。共培養は、抗CD3抗体で活性化し、アゴニストOMO抗体の存在下または非存在下で試験することができる。適切な時間(例えば、6日間の共培養)の後、FACS分析を用いて、低減されたマーカー染色(例えば、低減されたCFSEマーカー染色)における色素希釈により、CD4+ナイーブT細胞増殖のレベルを追跡する。
【0114】
OX40シグナル伝達は、当技術分野で周知の方法を用いてアッセイすることができ、例示的な方法が本明細書に開示される。一実施形態において、ヒトOX40、およびレポーター遺伝子(例えば、βルシフェラーゼ)に融合したNFkBプロモーターを含むレポーター遺伝子を発現するトランスジェニック細胞が生成される。OX40アゴニスト抗体の細胞への添加により、NFkB転写の増加がもたらされ得、レポーター遺伝子に対するアッセイを用いてそれを検出することができる。
【0115】
食作用は、例えば、単球由来のマクロファージ、または成熟マクロファージの形態および特徴を有するヒト組織球性リンパ腫細胞株であるU937細胞を使用することによって測定することができる。OX40発現細胞は、抗OX40アゴニスト抗体の存在下または非存在下で単球由来マクロファージまたはU937細胞に加えることができる。細胞を適切な期間培養し、1)マクロファージまたはU937細胞および2)OX40発現細胞のマーカーについて二重染色された細胞のパーセンテージを決定し、次いで、OX40を発現する細胞のマーカー(例えば、GFP)を示す細胞の総数で上記を除すことにより、食作用率を決定することができる。分析はフローサイトメトリーによって行うことができる。別の実施形態において、分析は、蛍光顕微鏡分析によって行うことができる。
【0116】
ADCCは、例えば、当技術分野で周知の方法を用いて決定することができる。例示的な方法は、定義のセクションに記載されている。いくつかの実施形態において、ADCCアッセイで試験するためにOX40発現細胞上のOX40レベルが特徴付けられる。細胞は、検出可能に標識された抗OX40抗体(例えば、PE標識)で染色され、フローサイトメトリーを使用して蛍光レベルが決定され、結果が蛍光強度の中央値(MFI)として示される。別の実施形態において、ADCCは、CellTiter Gloアッセイキットによって分析することができ、細胞生存率/細胞傷害性は、化学発光によって決定することができる。
【0117】
FcγRIA、FcγRIIA、FcγRIIB、およびFcγRIIIAの2つのアロタイプ(F158およびV158)に対する様々な抗体の反応は、対応する組換えFcγ受容体を使用したELISAベースのリガンド結合アッセイで結合親和性により測定することができる。精製されたヒトFcγ受容体は、C末端のGly/6xHis/グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)ポリペプチドタグに結合した受容体γ鎖の細胞外ドメインを含む融合タンパク質として発現する。それらのヒトFcγ受容体に対する抗体の結合親和性は、以下のように決定することができる。低親和性受容体、すなわち、FcγRIIA(CD32A)、FcγRIIB(CD32B)、およびFcγRIIIA(CD16)の2つのアロタイプであるF-158およびV-158の場合、抗体対架橋のおおよそのモル比1:3で、ヤギ抗ヒトカッパ鎖のF(ab’)2フラグメント(ICN Biomedical;Irvine,CA)ab’)2と架橋することによって、抗体を試験するために多量体として得ることができる。プレートを抗GST抗体(Genentech)でコーティングし、ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックすることができる。0.05%Tween-20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)およびELx405(商標)プレート洗浄デバイス(Biotek Instruments;Winooski,VT)で洗浄した後、Fcγ受容体を25ng/ウェルでプレートに加え、室温で1時間インキュベートする。プレートを洗浄した後、試験抗体の段階希釈液を多量体複合体として加えることができ、次いでプレートを室温で2時間インキュベートする。プレートを洗浄して未結合の抗体を除去した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(Jackson ImmunoResearch Laboratories;West Grove,PA)と結合したヤギ抗ヒトF(ab’)2のF(ab’)2フラグメントを使用して、Fcγガンマ受容体に結合した抗体を検出することができる。次いで、基質であるテトラメチルベンジジン(TMB)(Kirkegaard and Perry Laboratories;Gaithersburg,MD)を加える。試験したFcγ受容体に応じて、プレートを室温で5~20分間インキュベートして発色を可能にさせることができる。次いで、反応を1M H3PO4で停止し、マイクロプレートリーダー(SpectraMax(登録商標)190、Molecular Devices、Sunnyvale,CA)を用いて450nmで吸光度を測定する。次いで、重複する抗体希釈液からの平均吸光度値を抗体濃度に対してプロットすることにより、用量反応結合曲線を生成する。Fcγ受容体への結合からの最大反応の50%(EC50)が検出される有効抗体濃度の値は、SoftMax 190(Molecular Devices)を使用して、4パラメータ式を用いて結合曲線を適合させた後に決定することができる。
【0118】
細胞死を誘導する抗体を選択するために、例えば、ヨウ化プロピジウム(PI)、トリパンブルー、または7AADの取り込みによって示されるような膜完全性の喪失を、対照と比較して評価することができる。PI取り込みアッセイは、補体および免疫エフェクター細胞の非存在下で行うことができる。OX40発現細胞を、培地のみで、または例えば約10μg/mlの濃度で適切なモノクローナル抗体を含む培地でインキュベートする。細胞を一定期間(例えば、1日間または3日間)インキュベートする。各処理後、細胞を洗浄し、分取する。いくつかの実施形態において、細胞は、細胞凝集塊を除去するために、35mmのストレーナーキャップ付きの12×75試験管(試験管当たり1ml、処理群当たり3つの試験管)に分取される。次いで、PI(10μg/ml)が試験管に加えられる。試料は、FACSCAN(商標)フローサイトメーターおよびFACSCONVERT(商標)CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析することができる。
【0119】
上記のインビトロアッセイのいずれかで使用するための細胞は、OX40を自然に発現する、またはOX40を発現するように操作することができる、細胞または細胞株を含む。そのような細胞には、OX40を自然に発現する活性化T細胞、Treg細胞、および活性化メモリーT細胞が含まれる。そのような細胞には、OX40を発現する細胞株、および通常はOX40を発現しないがOX40をコードする核酸でトランスフェクトされた細胞株も含まれる。上記のインビトロアッセイのいずれかで使用するために本明細書で提供される例示的な細胞株には、ヒトOX40を発現するトランスジェニックBT474細胞(ヒト乳がん細胞株)が含まれる。
【0120】
上記のアッセイのいずれも、抗OX40抗体の代わりに、またはそれに加えて、本発明の免疫複合体を使用して行うことができると理解されたい。
【0121】
上記のアッセイのいずれも、抗OX40抗体および他の治療薬を使用して行うことができると理解されたい。
【0122】
製剤およびその使用
本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントは、医薬組成物に製剤化することができる。医薬組成物は、凍結乾燥剤または水溶液の形態の、特定の薬学的に許容される担体、賦形剤および/または安定剤(Remington:The Science and practice of Pharmacy,20th Edition,2000,Lippincott Williams and Wilkins,Ed.K.E.Hoover)をさらに含み得る。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、投与量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸、クエン酸、および他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;ヘキサヒドロキシクオタニウムクロリド;アルジサイド;ベンソニンクロリド(bensonin chloride);フェノール、ブタノール、もしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストランを含む他の糖類;キレート剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、本明細書でさらに説明される。
【0123】
本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントは、様々な治療または診断目的に使用することができる。例えば、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントは、親和性精製剤として(例えば、インビトロ精製のために)および診断剤として(例えば、特定の細胞、組織、または血清における発現の検出のために)使用することができる。
【0124】
本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントの例示的な治療用途には、がんの治療が含まれる。本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントはまた、予防的治療にも使用することができる。
【0125】
治療用途の場合、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントは、従来の技術によって、哺乳動物、特にヒトに投与することができる。そのような技術は、静脈内(ボーラスとして、または経時的な持続注入による)、筋肉内、腹腔内、脳内、皮下、関節内、滑液嚢内、髄腔内、経口、局所、または吸入によるものであり得る。本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントはまた、必要に応じて、腫瘍内、腫瘍周囲、病変内、または病変周囲経路によっても投与され得る。
【0126】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。いくつかの実施形態において、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントは、静脈内投与される。
【0127】
医薬組成物は、疾患の重症度に応じて変化し得る頻度で、それを必要とする対象に投与することができる。予防的治療の場合、頻度は、対象の疾患に対する感受性または素因に応じて変化し得る。
【0128】
組成物は、それを必要とする患者に、ボーラス注射として、または持続注入によって投与され得る。例えば、Fabフラグメントとして提示される抗体のボーラス投与は、0.0025~100mg/kg体重、0.025~0.25mg/kg、0.010~0.10mg/kg、または0.10~0.50mg/kgの量で投与することができる。持続注入の場合、Fabフラグメントとして提示される抗体は、0.001~100mg/kg体重/分、0.0125~1.25mg/kg/分、0.010~0.75mg/kg/分、0.010~1.0mg/kg/分、または0.10~0.50mg/kg/分の量であり得、1~24時間、1~12時間、2~12時間、6~12時間、2~8時間、または1~2時間投与される。
【0129】
全長抗体(無傷の定常領域を有する)として提示される抗体の投与の場合、投与量は、約1mg/kg~約10mg/kg、約2mg/kg~約10mg/kg、約3mg/kg~約10mg/kg、約4mg/kg~約10mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約20mg/kg、約2mg/kg~約20mg/kg、約3mg/kg~約20mg/kg、約4mg/kg~約20mg/kg、約5mg/kg~約20mg/kg、約1mg/kg以上、約2mg/kg以上、約3mg/kg以上、約4mg/kg以上、約5mg/kg以上、約6mg/kg以上、約7mg/kg以上、約8mg/kg以上、約9mg/kg以上、約10mg/kg以上、約11mg/kg以上、約12mg/kg以上、約13mg/kg以上、約14mg/kg以上、約15mg/kg以上、約16mg/kg以上、約17mg/kg以上、約19mg/kg以上、または約20mg/kg以上であり得る。投与の頻度は、状態の重症度に依存し得る。頻度は、週に3回から、2、3週間に1回まで変動し得る。
【0130】
代替的に、組成物は、皮下注射によって患者に投与することができる。例えば、1~100mgの用量の抗OX40抗体を、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、1ヶ月に2回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、または3ヶ月に1回の頻度で、患者に皮下または静脈内注射によって投与することができる。
【0131】
いくつかの実施形態において、ヒトにおける抗OX40抗体の半減期は、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約5日~約40日、約5日~約35日、約5日~約30日、約5日~約25日、約10日~約40日、約10日~約35日、約10日~約30日、約10日~約25日、約15日~約40日、約15日~約35日、約15日~約30日、または約15日~約25日であり得る。
【0132】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、以下の用量で2~6週間毎に皮下または静脈内投与することができる:約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.5mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、約1.5mg/kg~約10mg/kg、約2mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約8mg/kg、約0.5mg/kg~約8mg/kg、約1mg/kg~約8mg/kg、約1.5mg/kg~約8mg/kg、約2mg/kg~約8mg/kg、約0.1mg/kg~約5mg/kg、約0.5mg/kg~約5mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約1.5mg/kg~約5mg/kg、約2mg/kg~約5mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約1.5mg/kg、約2.0mg/kg、約2.5mg/kg、約3.0mg/kg、約3.5mg/kg、約4.0mg/kg、約4.5mg/kg、約5.0mg/kg、約5.5mg/kg、約6.0mg/kg、約6.5mg/kg、約7.0mg/kg、約7.5mg/kg、約8.0mg/kg、約8.5mg/kg、約9.0mg/kg、約9.5mg/kg、または約10.0mg/kg。
【0133】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、2~6週間毎に約2.0mg/kgの用量で皮下または静脈内投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約2.0mg/kg~約10.0mg/kgの用量で、2~6週間毎に皮下または静脈内投与される。
【0134】
例示的な実施形態において、医薬組成物は、2週間毎に皮下投与される。
【0135】
本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントは、がんを治療するために、単剤療法として、または他の療法と組み合わせて使用することができる。
【0136】
定義
本明細書で別途定義されない限り、本出願に関連して使用される科学用語および技術用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の要求がない限り、単数形は複数形を含み、複数形は単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載の細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションに関して使用される命名法および技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されているものである。
【0137】
抗体の「抗原結合フラグメント」は、抗原に特異的に結合する能力を保持する(好ましくは、実質的に同じ結合親和性を有する)全長抗体のフラグメントを指す。抗原結合フラグメントの例として、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価のフラグメントであるFabフラグメント、(ii)ヒンジ領域のジスルフィド結合によって結合された2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントであるF(ab’)2フラグメント、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iv)単一アーム抗体のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al.(1989)Nature 341:544-546)、ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、ジスルフィド結合Fv(dsFv)、抗特発性(anti-Id)抗体、およびイントラボディが挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン(VLおよびVH)は、異なる遺伝子によってコードされるが、それらは組換え法を用いて合成リンカーによって結合することができる。合成リンカーは、VL領域とVH領域が対合して一価分子(一本鎖Fv(scFv)と称される)を形成する単一タンパク質鎖になることを可能にする。例えば、Bird et al.Science 242:423-426(1988)およびHuston et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:5879-5883(1988)を参照されたい。ダイアボディ等の他の形態の一本鎖抗体もまた、本発明に含まれる。ダイアボディは、VHドメインおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上で発現する二価の二重特異性抗体の一種であるが、そのような場合にリンカーが用いられると、同じ鎖上で2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるため、それによってドメインを他の鎖の相補的ドメインと強制的に対合させて、2つの抗原結合部位を生じさせる(例えば、Holliger et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993);およびPoljak et al.,1994、Structure 2:1121-1123を参照のこと)。
【0138】
抗体の「可変ドメイン」は、抗体軽鎖(VL)の可変領域または抗体重鎖(VH)の可変領域を、単独でまたは組み合わせたものを指す。当技術分野で既知であるように、重鎖および軽鎖の可変領域は各々、4つのフレームワーク領域(FR)によって接続された3つの相補性決定領域(CDR)からなり、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。
【0139】
可変ドメインの残基は、Kabat番号付けシステムに従って番号が付される。Kabatは、抗体の編集に使用される重鎖または軽鎖可変ドメインの番号付けシステムである。Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい。この番号付けシステムを使用すると、実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短縮または挿入に対応する、より少ないまたは追加のアミノ酸を含み得る。所与の抗体について、残基のKabat番号付けは、抗体の配列を「標準的な」Kabat番号付け配列と相同性のある領域と整列させることによって決定することができる。Kabat番号を割り当てるための様々なアルゴリズムが利用可能である。本明細書に別途記載されない限り、Kabat番号は、2012年に公開されたAbysis(www.abysis.org)で実行されるアルゴリズムを使用して可変領域に割り当てられる。
【0140】
パラトープ残基等の、抗体の特定のアミノ酸残基の位置も、Kabatシステムに従って番号が付される。
【0141】
「相補性決定領域」(CDR)は、Kabat、Chothia、KabatおよびChothiaの両方の集積、AbM、接触および/もしくは立体構造の定義、または当技術分野で周知のCDR決定の任意の方法に従って同定され得る。例えば、Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.(hypervariable regions);Chothia et al.,1989,Nature 342:877-883(structural loop structures)を参照されたい。CDRのAbM定義は、KabatとChothiaとの折衷案であり、Oxford Molecular社のAbM抗体モデリングソフトウェアCDRを使用した「接触」の定義は、MacCallum et al.,1996,J.Mol.Biol.,262:732-745に記載される明らかな抗原接触に基づいている。CDRの「立体構造の」定義は、抗原結合のエンタルピーに寄与する残基の形成に基づいている(例えば、Makabe et al.,2008,Journal of Biological Chemistry,283:1156-1166を参照のこと)。さらに他のCDR境界の定義は、上記方法のうちの1つに厳密に従わなくてもよいが、それにもかかわらずKabat CDRの少なくとも一部と重複し得る。しかしながら、それらは、予測または実験的知見によって短縮または延長される特定の残基もしくは残基の群、またはさらにはCDR全体にも依存して、抗原結合に有意な影響を与えない場合がある。本明細書で使用される場合、CDRは、方法の組み合わせを含む、当技術分野で既知の任意の方法によって定義されるCDRを指し得る。
【0142】
「エピトープ」は、抗体が特異的に結合する抗原(Ag)の領域または範囲、例えば、抗体(Ab)と相互作用するアミノ酸残基を含む領域または範囲を指す。エピトープは、線状または非線状(例えば、立体構造)であり得る。
【0143】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、対応する抗体またはその抗原結合フラグメントの結合が相互に排他的である場合、別の抗体またはその抗原結合フラグメントと実質的に同じエピトープに結合する。すなわち、1つの抗体またはその抗原結合フラグメントの結合は、別の抗体またはその抗原結合フラグメントの同時または連続的な結合を妨げる。抗原が2つの対応する抗体またはその抗原結合フラグメントの同時結合に対応することができる場合、エピトープは特有であるか、または実質的に同一ではないとみなされる。
【0144】
「パラトープ」という用語は、上記の「エピトープ」の定義から異なる観点によって派生したものであり、抗原結合に関与する抗体分子の領域または範囲、例えば、抗原と相互作用する残基を含む領域または範囲を指す。パラトープは、線状または立体構造(CDRの不連続残基等)であり得る。
【0145】
所与の抗体/抗原結合ペアのエピトープ/パラトープは、様々な実験方法および計算的エピトープマッピング法を用いて、様々な詳細レベルで定義および特徴付けることができる。実験方法は、突然変異誘発、X線結晶解析、核磁気共鳴(NMR)分光法、水素/重水素交換質量分析(HX-MS)、および様々な競合結合法を含む。各方法は独自の原理に依存しているため、エピトープの説明は、エピトープが決定された方法と密接に関連している。したがって、所与の抗体/抗原対のエピトープ/パラトープは、用いられるマッピング法に応じて異なって定義され得る。
【0146】
最も詳細なレベルにおいて、抗体(Ab)と抗原(Ag)との相互作用に使用されるエピトープ/パラトープは、Ag-Ab相互作用に存在する原子接触の空間座標の定義、および結合の熱力学に対するそれらの相対的な寄与を定義することに関する情報によって決定され得る。ある程度までは、AgとAbとの間の原子接触の空間座標を定義することによってエピトープ/パラトープ残基を特徴付けることができる。一態様において、エピトープ/パラトープ残基は、AbおよびAgの原子間の距離等の具体的な基準によって定義することができる(例えば、相同抗体の重原子から抗原の重原子までの距離は、そのおおよその定義と等しいかまたはそれよりも少ない)。別の態様において、エピトープ/パラトープ残基は、同族抗体/抗原との水素結合相互作用、または同様に同族抗体/抗体に水素が結合した水分子との水素結合相互作用(水媒介水素結合)に関与するものとして特徴付けることができる。別の態様において、エピトープ/パラトープ残基は、相同抗体/抗原の残基と塩架橋を形成することによって特徴付けることができる。さらに別の態様において、エピトープ/パラトープ残基は、同族抗体/抗原との相互作用に起因して、埋没表面積(BSA)に非ゼロ変数を有する残基として特徴付けることができる。あまり詳細ではないレベルでは、エピトープ/パラトープは、機能によって、例えば他のAbとの競合結合によって特徴付けることができる。エピトープ/パラトープは、別のアミノ酸による置換がAbとAgとの間の相互作用の特徴を変化させる(例えば、アラニンスキャニング)アミノ酸残基を含むものとして、より一般的に定義することもできる。
【0147】
エピトープの説明および定義は、使用されるエピトープマッピング法、およびそれが異なる詳細レベルで取得されるという事実に依存するため、同じAg上の異なるAbのエピトープの比較は、異なる詳細レベルで類似し得ると推測することができる。例えば、これは、X線構造から決定されるエピトープのようにアミノ酸レベルで説明することができ、それらが同じアミノ酸残基のセットを含む場合、それらは同一であるとみなされる。競合結合を特徴とするエピトープは、対応する抗体の結合が相互に排他的である場合、すなわち、ある抗体の結合が別の抗体の同時または連続結合を排除する場合、重複しているとみなすことができる。また、抗原が2つの対応する抗体の同時結合に対応することができる場合、エピトープは別個(特有)であるとみなされる。
【0148】
所与の抗体/抗原対のエピトープおよびパラトープは、ルーチン的な方法で同定することができる。例えば、エピトープの一般的な位置は、本明細書においてすでにより完全に記載したように、様々なフラグメントまたは変異体ポリペプチドに結合する抗体の能力を評価することによって決定することができる。抗体内の特定の残基と接触し得るOX40内の特定の残基は、特定のルーチン的な方法を用いて決定することもできる。例えば、抗体/抗原複合体を結晶化することができる。結晶構造は、抗体と抗原との間の相互作用の特定の部位を特定するために決定および使用することができる。
【0149】
「特異的結合」という用語は当技術分野で周知の用語であり、これらの特異的結合を決定するための方法もまた当技術分野で周知である。分子は、それが代替的細胞または物質と反応または結合する場場合と比べて、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間、および/またはより高い親和性で、特定の細胞または物質と反応または結合する場合、その分子は「特異的結合」を示すとみなされる。抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントが、他の物質と比べて、より高い親和性、より高い結合能、より高い容易性、かつ/またはより長い持続時間を有するという特徴を伴って標的に結合する場合、標的に「特異的に結合する」。
【0150】
例えば、OX40に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントは、他の抗原と比べて、より高い親和性、より高い結合能、より高い容易性、かつ/またはより長い持続時間を有するという特徴を伴ってその同族抗原に結合する抗体である。例えば、標準的な結合アッセイ条件下で、抗OX40抗体は、試料中のヒトOX40に特異的に結合することができるが、同じ試料中の他の分子を実質的に認識しないか、またはそれに結合しない。第1の標的に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントは、第2の標的に特異的に結合する場合もあれば、そうでない場合もあることも理解されたい。したがって、本明細書における「特異的結合」は、排他的結合を(それを含んでもよいが)必ずしも必要としない。必ずしもそうではではないが、通常、本明細書で使用される「結合」は、特異的に結合することを意味する。
【0151】
様々なアッセイ様式を使用して、目的の分子に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを選択することができる。例えば、多くのアッセイの中で、固相ELISAイムノアッセイ、免疫沈降、Biacore(商標)(GE Healthcare)、KinExA、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、Octet(商標)(Forte Bio,Inc.)、およびウエスタンブロット分析を用いて、抗原に結合する特異的抗体またはその抗原結合フラグメントを同定することができる。典型的には、特定の結合は、バックグラウンド信号またはノイズの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの少なくとも10倍、バックグラウンドの少なくとも50倍、バックグラウンドの少なくとも100倍、バックグラウンドの少なくとも500倍、バックグラウンドの少なくとも1000倍、またはバックグラウンドの少なくとも10,000倍であり得る。
【0152】
抗体結合の特異性は、抗体とOX40との間の特異的結合のKD値を決定し、そのKD値を、OX40に結合しないことが分かっている対照抗体のKD値と比較することによって評価することができる。一般に、抗体は、KDが約×10-5M以下の場合に、抗原に「特異的に」結合する。
【0153】
抗体またはその抗原結合フラグメントが、他の抗原に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントと比べて、より高い親和性、より高い結合能、より高い容易性、かつ/またはより長い持続時間を有するという特徴を伴って抗原に結合しない場合、抗体またはその抗原結合フラグメントは、その抗原に「実質的に結合しない」。典型的には、結合は、バックグラウンド信号またはノイズの2倍以下である。一般に、それは1×10-4M以上、1×10-3M以上、1×10-2M以上、または1×10-1M以上のKDで抗原に結合する。
【0154】
抗体に関して本明細書で使用される「競合する」という用語は、第1の抗体またはその抗原結合部分の抗原への結合が、後続の第2の抗体またはその抗原結合部分の同じ抗原への結合を減少させることを意味する。一般に、第1の抗体の結合は、立体障害、立体構造変化、または共通のエピトープ(またはその一部)への結合をもたらし、その結果、同じ抗原への第2の抗体の結合が減少する。標準的な競合結合アッセイを用いて、2つの抗体が互いに競合するかどうかを判断することができる。
【0155】
抗体競合の好適なアッセイは、Biacoreの技術の使用を伴う。この技術は、表面プラズモン共鳴(SPR)技術を使用することができる。相互作用の程度は、典型的には、システム等のバイオセンサーシステムを使用して測定される。例えば、ある抗体が第2の抗体の結合を阻害する能力を決定するために、SPRをインビトロ競合結合阻害アッセイにおいて使用することができる。抗体競合を測定するための別のアッセイは、ELISAベースの方法を用いる。さらに、抗体の競合に基づく抗体の「分画」のためのハイスループット法が、WO2003/48731に記載されている。ある抗体またはその抗原結合フラグメントが、別の抗体またはその抗原結合フラグメントのOX40への結合を減少させる場合、競合が存在する。例えば、異なる抗体を逐次的に加える、逐次的結合競合アッセイを用いることができる。一次抗体は、飽和に近い結合を達成するために加えることができ、次いで二次抗体が加えられる。第2の抗体のOX40への結合が、検出できない場合、または第1の抗体が存在しない場合(中央値は100%に設定可能)と比較して有意に減少している(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%)場合、2つの抗体は、互いに競合するとみなされる。
【0156】
競合結合アッセイを行うこともできる。抗原への抗体の結合が、別様に標的に結合する別の抗体または可溶性受容体等の、その標的の別の結合パートナーによる標的の結合と比較される。50%阻害が生じる濃度はKiと称される。理想的な条件下では、このKiはKDと等しい。したがって、一般に、Kiの測定は、KDの上限を提供するために都合よく用いることができる。異なる分子相互作用に関連する結合親和性(例えば、所与の抗体に対する異なる抗体の結合親和性の比較)は、個々の抗体/抗原複合体のKDの比較によって比較することができる。抗体または他の結合パートナーのKD値は、当技術分野で確立された方法を用いて決定することができる。
【0157】
「Fc融合」タンパク質は、1つ以上のポリペプチドがFcポリペプチドに作動可能に連結したタンパク質である。Fc融合は、免疫グロブリンのFc領域を融合パートナーと組み合わせる。「Fc領域」は、天然配列のFc領域または変異型Fc領域であり得る。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖のFc領域は、一般に、Cys226位またはPro230位のアミノ酸残基からそのカルボキシ末端まで及ぶものとして定義される。Fc領域の残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edition,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991に記載されるように、EUインデックスによる番号付けであり得る。免疫グロブリンのFc領域は、典型的には、2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含む。当技術分野で既知であるように、Fc領域は、二量体または単量体の形態で存在し得る。
【0158】
「治療有効量」という用語は、意図される目的を達成するのに十分な量の、抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはそのような抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む組み合わせの量を意味する。正確な量は、治療組成物の成分および物理的特性、意図される患者集団、個々の患者の考慮事項等を含むがこれらに限定されない、多くの要因に依存し得、当業者によって決定され得る。
【0159】
「治療」という用語は、予防的および/または治療的治療を含む。疾患、障害または状態の臨床症状の前に投与される場合、治療は予防的または予防可能であるとみなされる。治療的治療には、例えば、疾患、障害もしくは状態の重症度を軽減もしくは低減すること、または疾患、障害もしくは状態の長さを短縮することが含まれる。
【0160】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、ある値の+/-10%を指す。
【0161】
治療法および組成物
本明細書で提供される抗ヒトOX40抗体のいずれも、治療の方法において使用することができる。
【0162】
一態様において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、薬物として使用するために提供される。さらに他の態様において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、がんの治療に使用するために提供される。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、治療の方法において使用するために提供される。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、有効量の抗ヒトOX40アゴニスト抗体を個体に投与することを含む、がんを有する個体を治療する方法において使用するために提供される。そのような一実施形態において、方法は、例えば、以下に記載されるように、有効量の少なくとも1つの追加の治療薬を個体に投与することをさらに含む。
【0163】
一態様において、有効量の抗ヒトOX40アゴニスト抗体を個体に投与することを含む、がんを有する個体の免疫機能を(例えば、細胞媒介性の免疫応答を上方制御することにより)増強するのに使用するための抗ヒトOX40アゴニスト抗体が提供される。一態様において、有効量の抗ヒトOX40アゴニスト抗体を個体に投与することを含む、がんを有する個体のT細胞機能を増強するのに使用するための抗ヒトOX40アゴニスト抗体が提供される。一態様において、有効量の抗ヒトOX40アゴニスト抗体を個体に投与することを含む、ヒトOX40発現細胞(例えば、OX40発現T細胞、例えば、OX40発現Treg)を枯渇させるのに使用するための抗ヒトOX40アゴニスト抗体が提供される。いくつかの実施形態において、枯渇は、ADCCを介して達成される。いくつかの実施形態において、枯渇は、食作用によって達成される。腫瘍免疫を有する個体の治療に使用するための抗ヒトOX40アゴニスト抗体が提供される。
【0164】
さらに他の態様において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、感染症(例えば、細菌性もしくはウイルス性感染症または他の病原性感染症)の治療に使用するために提供される。いくつかの実施形態において、本発明は、有効量の抗ヒトOX40アゴニスト抗体を個体に投与することを含む、感染症を有する個体を治療する方法において使用するための抗ヒトOX40アゴニスト抗体を提供する。いくつかの実施形態において、感染症は、ウイルス性および/または細菌性感染症である。いくつかの実施形態において、感染症は病原体感染症である。
【0165】
さらに別の態様において、本発明は、薬物の製造または調製のための抗OX40抗体の使用を提供する。一実施形態において、薬物はがんの治療のためである。さらに別の実施形態において、薬物は、がんを有する個体に有効量の薬物を投与することを含む、がんを治療する方法において使用するためのものである。そのような一実施形態において、方法は、以下に記載されるように、有効量の少なくとも1つの追加の治療薬を個体に投与することをさらに含む。
【0166】
一態様において、薬物は、有効量の薬物を個体に投与することを含む、がんを有する個体の免疫機能を(例えば、細胞媒介性の免疫応答を上方制御することにより)増強するためのものである。一態様において、薬物は、有効量の薬物を個体に投与することを含む、がんを有する個体のT細胞機能を増強するためのものである。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害はがんである。一態様において、薬物は、有効量の薬物を個体に投与することを含む、ヒトOX40発現細胞(例えば、高OX40発現細胞、例えば、OX40発現T細胞)を枯渇させるために使用される。いくつかの実施形態において、枯渇は、ADCCを介して達成される。いくつかの実施形態において、枯渇は、食作用によって達成される。一態様において、薬物は、腫瘍免疫を有する個体を治療するために使用される。
【0167】
さらに他の態様において、感染症(例えば、細菌性もしくはウイルス性感染症または他の病原性感染症)の治療のための薬物が提供される。いくつかの実施形態において、薬物は、有効量の薬物を個体に投与することを含む、感染症を有する個体を治療する方法において使用される。いくつかの実施形態において、感染症は、ウイルス性および/または細菌性感染症である。いくつかの実施形態において、感染症は病原体感染症である。
【0168】
さらに別の態様において、本発明は、がんを治療するための方法を提供する。一実施形態において、方法は、がんを有する個体に有効量の抗OX40抗体を投与することを含む。そのような一実施形態において、方法は、例えば、以下に記載されるように、有効量の少なくとも1つの追加の治療薬を個体に投与することをさらに含む。上記の実施形態のいずれかによる「個体」は、ヒトであり得る。
【0169】
一態様において、有効量の抗ヒトOX40アゴニスト抗体を個体に投与することを含む、がんを有する個体の免疫機能を(例えば、細胞媒介性の免疫応答を上方制御することにより)増強するための方法が提供される。一態様において、有効量の抗ヒトOX40アゴニスト抗体を個体に投与することを含む、がんを有する個体のT細胞機能を増強するための方法が提供される。一態様において、有効量の抗ヒトOX40アゴニスト抗体を個体に投与することを含む、ヒトOX40を発現する細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞、例えば、OX40を発現するT細胞)を枯渇させるための方法が提供される。いくつかの実施形態において、枯渇は、ADCCを介して達成される。いくつかの実施形態において、枯渇は、食作用によって達成される。腫瘍免疫を有する個体の治療に使用するための抗ヒトOX40アゴニスト抗体が提供される。
【0170】
いくつかの実施形態において、がんの例としてさらに、B細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHU、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型無核細胞性NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、およびワルデンストロームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、浮腫(脳腫瘍に関連するもの等)、B細胞増殖性疾患、およびメイグス症候群が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的な例として、再発または難治性のNHL、フロントライン低悪性度NHL、第III/IV病期NHL、化学療法耐性NHL、前駆Bリンパ芽球性白血病および/またはリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ性白血病および/または前リンパ性白血病および/または小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性リンパ腫、免疫細胞腫および/またはリンパ形質細胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性B細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓性辺縁帯リンパ腫、結節外辺縁帯-MALTリンパ腫、結節性辺縁帯リンパ腫、有毛細胞白血病、形質細胞腫および/または形質細胞骨髄腫、低悪性度/濾胞性リンパ腫、中悪性度/濾胞性NHL、マントル細胞リンパ腫、濾胞中心リンパ腫、中悪性度びまん性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、侵襲性NHL(侵襲性フロントラインNHLおよび侵襲性再発性NHLを含む)、自家幹細胞移植後の再発性または難治性NHL、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、進行性免疫芽球性NHL、進行性リンパ芽球性NHL、進行性小型無核細胞性NHL、巨大病変NHL、バーキットリンパ腫、前駆体(末梢)大顆粒リンパ性白血病、菌状息肉症および/またはセザリー症候群、皮膚リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、および血管中心性リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
いくつかの実施形態において、がんの例として、限定されないがB細胞増殖性疾患がさらに挙げられ、これは、限定されないが、リンパ腫(例えば、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL))およびリンパ性白血病を含み得る。そのようなリンパ腫およびリンパ性白血病は、例えば、a)濾胞性リンパ腫、b)小型非切れ込み核細胞性リンパ腫/バーキットリンパ腫(風土性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫および非バーキットリンパ腫を含む)、c)辺縁帯リンパ腫(結節外辺縁帯B細胞リンパ腫(粘膜関連リンパ組織リンパ腫、MALTを含む)、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫および脾臓性辺縁帯リンパ腫)、d)マントル細胞リンパ腫(MCL)、e)大細胞リンパ腫(B細胞性びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、びまん性混合細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫、血管中心性リンパ腫-肺B細胞リンパ腫を含む)、f)有毛細胞白血病、g)リンパ球性リンパ腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、h)急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ性白血病、i)形質細胞新生物、形質細胞骨髄腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、および/またはj)ホジキン病を含む。
【0172】
任意の方法のいくつかの実施形態において、がんは、B細胞増殖性疾患である。いくつかの実施形態において、B細胞増殖性疾患は、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵襲性NHL、再発性侵襲性NHL、再発性無痛性NHL、難治性NHL、難治性無痛性NHL、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、有毛細胞白血病(HCL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、またはマントル細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態において、B細胞増殖性疾患は、緩徐進行性NHLおよび/または侵襲性NHL等のNHLである。いくつかの実施形態において、B細胞増殖性疾患は、緩徐進行性濾胞性リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0173】
さらに別の態様において、本発明は、例えば、上記の治療方法のいずれかで使用するために、本明細書で提供される抗OX40抗体のいずれかを含む医薬製剤を提供する。一実施形態において、医薬製剤は、本明細書で提供される抗OX40抗体のいずれかと、薬学的に許容される担体とを含む。別の実施形態において、医薬製剤は、本明細書で提供される抗OX40抗体のいずれかと、例えば、以下に記載されるような少なくとも1つの追加の治療薬と、を含む。
【0174】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、Treg機能を阻害する(例えば、Tregの抑制機能を阻害する)ことによってOX40発現細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞)を死滅させ、エフェクターT細胞機能を増加させ、かつ/またはメモリーT細胞機能を増加させて、腫瘍免疫を抑制する。本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、OX40発現細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞)を死滅させ、エフェクターT細胞機能を増加させ、かつ/またはメモリーT細胞機能を増強してがんを治療する。本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、OX40発現細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞)を死滅させ、エフェクターT細胞機能を増加させ、かつ/またはメモリーT細胞機能を増強して、免疫機能を増強する。本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、OX40発現細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞)を死滅させ、エフェクターT細胞機能を増加させ、かつ/またはメモリーT細胞機能を増強して、T細胞機能を増強する。
【0175】
本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、枯渇する抗ヒトOX40アゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体による治療は、細胞の枯渇(例えば、OX40を発現する細胞の枯渇、例えば、高レベルのOX40を発現する細胞の枯渇)をもたらす。いくつかの実施形態において、枯渇は、ADCCを介して達成される。いくつかの実施形態において、枯渇は、食作用によって達成される。
【0176】
本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体の投与前のTreg機能に関して、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、例えば、エフェクターおよび/またはメモリーT細胞機能(いくつかの実施形態において、エフェクターT細胞および/またはメモリーT細胞増殖および/またはサイトカイン分泌)のTreg抑制を阻害することにより、Treg機能を阻害する。本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体の投与前のエフェクターT細胞増殖に関して、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、エフェクターT細胞増殖を増加させる。本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体の投与前のメモリーT細胞増殖に関して、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、メモリーT細胞増殖を増加させる。いずれかの方法のいくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体の投与前のエフェクターT細胞サイトカイン産生に関して、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、エフェクターT細胞サイトカイン産生(例えば、ガンマインターフェロン産生)を増加させる。いずれかの方法のいくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体の投与前のメモリーT細胞サイトカイン産生に関して、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、メモリーT細胞サイトカイン産生(例えば、ガンマインターフェロン産生)を増加させる。本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体の投与前のCD4+エフェクターT細胞増殖および/またはCD8+エフェクターT細胞増殖に関して、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD4+エフェクターT細胞増殖および/またはCD8+エフェクターT細胞増殖を増加させる。本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体の投与前のメモリーT細胞増殖に関して、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、メモリーT細胞増殖(例えば、CD4+メモリーT細胞増殖)を増加させる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前の増殖、サイトカイン分泌および/または溶解活性に関して、個体のCD4+エフェクターT細胞は、増強された増殖、サイトカイン分泌および/または溶解活性を有する。
【0177】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、CD4+エフェクターT細胞の数は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。いくつかの実施形態において、CD4+エフェクターT細胞サイトカイン分泌は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前と比較して上昇している。本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、個体のCD8+エフェクターT細胞は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して、増強された増殖、サイトカイン分泌および/または溶解活性を有する。いくつかの実施形態において、CD8+エフェクターT細胞の数は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。いくつかの実施形態において、CD8+エフェクターT細胞サイトカイン分泌は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。
【0178】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ヒトエフェクター細胞に結合し、例えば、ヒトエフェクター細胞によって発現されるFcγRに結合する。いくつかの実施形態において、ヒトエフェクター細胞は、ADCCエフェクター機能を実行する。いくつかの実施形態において、ヒトエフェクター細胞は、食作用性エフェクター機能を実行する。
【0179】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、変異体IgGl Fcポリペプチド(ヒトエフェクター細胞への結合を無効にする突然変異、例えば、DANAまたはN297G突然変異を含む)を含む抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、天然配列IgGl Fc部分を含む抗ヒトOX40アゴニスト抗体と比較して低下した活性(例えば、増殖等のCD4+エフェクターT細胞機能)を有する。いくつかの実施形態において、変異体IgGl Fcポリペプチド(ヒトエフェクター細胞への結合を無効にする突然変異、例えば、DANAまたはN297G突然変異を含む)を含む抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、実質的な活性(例えば、増殖等のCD4+エフェクターT細胞機能)を有しない。
【0180】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、抗体架橋は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体機能のために必要とされる。いくつかの実施形態において、機能は、CD4+エフェクターT細胞増殖を刺激することである。いくつかの実施形態において、抗体架橋は、固体表面(例えば、細胞培養プレート)に付着する抗ヒトOX40アゴニスト抗体を提供することによって決定される。いくつかの実施形態において、抗体架橋は、抗体のIgGl Fc部分に突然変異(例えば、DANAまたはN297S突然変異)を導入し、次いで、突然変異抗体の機能を試験することによって決定される。
【0181】
本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、個体のメモリーT細胞は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して、増強された増殖および/またはサイトカイン分泌を有する。いくつかの実施形態において、メモリーT細胞の数は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。いくつかの実施形態において、メモリーT細胞サイトカイン分泌(レベル)は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、個体のTregは、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して、エフェクターT細胞機能(例えば、増殖および/またはサイトカイン分泌)に対する阻害が低減している。いくつかの実施形態において、エフェクターT細胞の数は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。いくつかの実施形態において、エフェクターT細胞サイトカイン分泌(レベル)は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。
【0182】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、腫瘍内(浸潤性)CD4+エフェクターT細胞の数(例えば、CD4+エフェクターT細胞の総数、または例えば、CD45+細胞中のCD4+細胞のパーセンテージ)は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、インターフェロン-γを発現する腫瘍内(浸潤性)CD4+エフェクターT細胞の数(例えば、CD4+細胞を発現する全インターフェロンガンマ、または例えば、全CD4+細胞でインターフェロンを発現するCD4+細胞のパーセンテージ)は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。
【0183】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、腫瘍内(浸潤性)CD8+エフェクターT細胞の数(例えば、CD8+エフェクターT細胞の総数、または例えば、CD85+細胞中のCD8+細胞のパーセンテージ)は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、インターフェロン-γを発現する腫瘍内(浸潤性)CD8+エフェクターT細胞の数(例えば、全CD8+細胞でインターフェロンを発現するCD8+細胞のパーセンテージ)は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して上昇している。
【0184】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、腫瘍内(浸潤性)Tregの数(例えば、Tregの総数または、例えば、CD4+細胞中のFox3p+細胞のパーセンテージ)は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与前のものと比較して減少している。
【0185】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体の投与は、腫瘍抗原の投与と組み合わされる。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原はタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は核酸を含む。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は腫瘍細胞である。
【0186】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、がんは、ヒトエフェクター細胞を示す(例えば、ヒトエフェクター細胞によって浸潤される)。ヒトエフェクター細胞を検出するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、IHCを含む。いくつかの実施形態において、がんは、高レベルのヒトエフェクター細胞を示す。いくつかの実施形態において、ヒトエフェクター細胞は、NK細胞、マクロファージ、および単球のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態において、がんは、本明細書に記載される任意のがんであり得る。いくつかの実施形態において、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、黒色腫、乳がん(例えば、三重陰性乳がん)、胃がん、結腸直腸がん(CRC)、または肝細胞がんである。
【0187】
本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、がんは、FcR発現細胞を示す(例えば、FcR発現細胞によって浸潤される)。FcRを検出するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、IHCを含む。いくつかの実施形態において、がんは、高レベルのFcR発現細胞を示す。いくつかの実施形態において、FcRはFcyRである。
【0188】
いくつかの実施形態において、FcRは活性化FcγRである。いくつかの実施形態において、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、黒色腫、乳がん(例えば、三重陰性乳がん)、胃がん、結腸直腸がん(CRC)、または肝細胞がんである。
【0189】
上記の実施形態のいずれかによる「個体」は、好ましくはヒトである。
【0190】
本発明の抗体は、治療において、単独でまたは他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体は、少なくとも1つの追加の治療薬と同時投与することができる。
【0191】
上記のような併用療法には、併用投与(2つ以上の治療薬が同じ製剤または別個の製剤に含まれる)、および別個の投与が含まれる。この場合、本発明の抗体の投与は、別の治療薬および/または薬物の投与の前、それと同時に、および/またはその後に行うことができる。一実施形態において、抗OX40抗体の投与および追加の治療薬の投与は、約1ヶ月以内、または約1、2もしくは3週間以内、または約1、2、3、4、5、もしくは6日間以内である。本発明の抗体はまた、放射線療法と組み合わせて使用することもできる。
【0192】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、化学療法または化学療法剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、放射線療法または放射線剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、標的治療または標的治療剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、免疫療法または免疫療法剤、例えば、モノクローナル抗体と組み合わせて投与することができる。
【0193】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、セジラニブ、BMN673、ベリパリブ)、トラベクテジン、nab-パクリタキセル(アルブミン結合パクリタキセル、ABRAXANE)トレバナニブ、パゾパニブ、セジラニブ、パルボシクリブ、エベロリムス、フルオロウラシル(例えば、FOLFOX、FOLFIRI)、IFL、レゴラフェニブ、Reolysin、Alimta、Zykadia、Sutent、Torisel(テムシロリムス)、Inlyta(アキシチニブ、Pfizer)、Afinitor(エベロリムス、Novartis)、Nexavar(ソラフェニブ、Onyx/Bayer)、Votrient、パゾパニブ、アキシチニブ、IMA-901、AGS_003、カボザンチニブ、ビンフルニン、Hsp90阻害剤(例えば、アパトルシン(apatorsin))、Ad-GM-CSF(CT-0070)、テモゾロミド、IL-2、IFNa、ビンブラスチン、Thalomid、ダカルバジン、シクロホスファミド、レナリドミド、アキシチニブ、レナリドミド、ボルテゾミブ(VELCADE)、アムルビシン、カルフィルゾミブ、プララトレキサート、および/またはエンザスタウリンと組み合わせて投与することができる。
【0194】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、PD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせて投与することができる。本明細書におけるPD-1軸結合アンタゴニストには、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、およびPD-L2結合アンタゴニストが含まれるが、これらに限定されない。「PD-1」の代替名は、CD279およびSLEB2を含む。「PD-L1」の代替名は、B7-H1、B7-4、CD274、およびB7-Hを含む。「PD-L2」の代替名は、B7-DC、Btdc、およびCD273を含む。いくつかの実施形態において、PD-1、PD-L1、およびPD-L2は、ヒトPD-1、PD-L1、およびPD-L2である。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-1リガンド結合パートナーは、PD-L1および/またはPD-L2である。別の実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-L1結合パートナーはPD-1および/またはB7-1である。別の実施形態において、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-L2結合パートナーはPD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合フラグメント、免疫アドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドであり得る。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)であり得る。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体は、MDX-1106(ニボルマブ、OPDIVO)、Merck 3475(MK-3475、ペムブロリズマブ、KEYTRUDAWPCT-011(ピジリズマブ)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、免疫アドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPD-L1またはPD-L2の細胞外部分またはPD-1結合部分を含む免疫アドヘシンである。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、AMP-224である。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-L1結合アンタゴニストは、YW243.55.S70、MPDL3280A、MEDI4736およびMDX-1105からなる群から選択される。MDX-1105は、BMS-936559としても知られ、WO2007/005874に記載されるような抗PD-L1抗体である。抗体YW243.55.S70は、WO2010/077634A1に記載されるような抗PD-L1抗体である。MDX-1106は、MDX-1106-04、ONO-4538、BMS-936558、またはニボルマブとしても知られ、WO2006/121168に記載されるような抗PD-1抗体である。Merck 3475は、MK-3475、SCH-900475、またはペムブロリズマブとしても知られ、WO2009/114335に記載されるような抗PD-1抗体である。CT-011は、hBAT、hBAT-1、またはピジルイズマブとしても知られ、WO2009/101611に記載されるような抗PD-1抗体である。AMP-224は、B7-DCIgとしても知られ、WO2010/027827およびWO2011/066342に記載されるようなPD-L2-Fc融合可溶性受容体である。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体は、MDX-1106である。「MDX-1106」の代替名は、MDX-1106-04、0N0-4538、BMS-936558、またはニボルマブを含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体はニボルマブ(CAS登録番号:946414-94-4)である。
【0195】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、活性化共刺激分子に対するアゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、活性化共刺激分子は、CD40、CD226、CD28、GITR、CD137、CD27、HVEM、およびCD127を含み得る。いくつかの実施形態において、活性化共刺激分子に対するアゴニストは、CD40、CD226、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、HVEM、またはCD127に結合するアゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、抑制性共刺激分子に対するアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抑制性共刺激分子は、CTLA-4(CD152としても知られる)、PD-1、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7-H3、B7-H4、IDO、TIGIT、MICA/B、またはアルギナーゼを含み得る。いくつかの実施形態において、抑制性共刺激分子に対するアンタゴニストは、CTLA-4、PD-1、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3(LAG-3-IgG融合タンパク質(IMP321)等)、B7-H3、B7-H4、IDO、TIGIT、MICA/B、またはアルギナーゼに結合するアンタゴニスト抗体である。
【0196】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、アンタゴニスト、例えば、CTLA_4(CD152としても知られる)に対する遮断抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、イピリムマブ(MDX-010、MDX-101、またはYervoy(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、トレメリムマブ(チシリムマブまたはCP-675、206としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、アンタゴニスト、例えば、B7-H3(CD276としても知られる)に対する遮断抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、MGA271と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、TGF-βに対するアンタゴニスト、例えば、メテリムマブ(CAT-192としても知られる)、フレソリムマブ(GC1008としても知られる)、またはLY2157299と組み合わせて投与することができる。
【0197】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞またはCTL)を発現するキメラ抗原受容体(CAR)の養子移入を含む治療法と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、UCART19と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、WT128zと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、KTE-C19(Kite)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CTL019(Novartis)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ドミナントネガティブTGFI3受容体、例えば、ドミナントネガティブTGFWI型受容体を含むT細胞の養子移入を含む治療法と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、HERCREEMレジメンを含む治療法と組み合わせて投与することができる(例えば、ClinicalTrials.gov Identifier NCT00889954を参照のこと)。
【0198】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD19に対するアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、MOR00208と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD38に対するアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ダラツムマブと組み合わせて投与することができる。
【0199】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、アゴニスト、例えば、CD137(TNFRSF9、4-1BB、またはILAとしても知られる)に対する活性化抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ウレルマブ(BMS-663513としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD40に対するアゴニスト、例えば、活性化抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CP-870893と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、アゴニスト、例えば、OX40(CD134としても知られる)のアゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、異なる抗OX40抗体(例えば、AgonOX)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD27のアゴニスト、例えば、活性化抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CDX-1127と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)に対するアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、IDOアンタゴニストは、1-メチル-D-トリプトファン(I-D-MTとしても知られる)である。
【0200】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、アゴニスト、例えばCD137(TNFRSF9、4-1BB、またはILAとしても知られる)の活性化抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ウレルマブ(BMS-663513としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD40のアゴニスト、例えば、活性化抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CP-870893またはR07009789と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、アゴニスト、例えば、OX40(CD134としても知られる)の活性化抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD27のアゴニスト、例えば、活性化抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CDX-1127(バリルマブとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)に対するアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、IDOアンタゴニストは、1-メチル-D-トリプトファン(1-D-MTとしても知られる)である。いくつかの実施形態において、IDOアンタゴニストは、WO2010/005958に記載されるようなIDOアンタゴニストであり、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、IDOアンタゴニストは、(例えば、WO2010/005958の実施例23に記載されるような)4-({2-[(アミノスルホニル)アミノ]エチル}アミノ)-N-(3-ブロモ-4-フルオロフェニル)-N’-ヒドロキシ-1,2,5-オキサジアゾール-3-カルボキサミジンである。いくつかの実施形態において、IDOアンタゴニストは以下のとおりである:
【化1】
【0201】
いくつかの実施形態において、IDOアンタゴニストは、INCB24360である。いくつかの実施形態において、IDOアンタゴニストは、インドキシモド(1-メチル-トリプトファンのD異性体)である。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、抗体-薬物複合体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗体-薬物複合体は、メルタンシンまたはモノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含む。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、抗NaPi2b抗体-MMAE複合体(DNIB0600A、RG7599、またはリファスツズマブベドチンとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、トラスツズマブエムタンシン(T-DM1、アドトラスツズマブエムタンシン、またはKADCYL.A(登録商標)、Genentechとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、抗MUC16抗体-MMAE複合体、DMUC5754Aと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、抗MUC16抗体-MMAE複合体、DMUC4064Aと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、エンドセリンB受容体(EDNBR)を標的とする抗体-薬物複合体、例えば、EDNBRに対するMMAE結合抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E(Ly6E)を標的とする抗体-薬物複合体、例えば、Ly6Eに対するMMAE結合抗体(DLYE5953Aとしても知られる)と組み合わせることができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ポラツズマブベドチンと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD30を標的とする抗体-薬物複合体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ADCETRIS(ブレンツキシマブベドチンとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ポラツズマブベドチンと組み合わせて投与することができる。
【0202】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、血管新生阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、VEGFに対する抗体、例えば、VEGF-Aと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentechとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、アンジオポエチン2(Ang2としても知られる)に対する抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、MEDI3617と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、VEGFR2に対する抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ラムシルマブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、VEGF受容体融合タンパク質と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、アフリベルセプトと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ziv-アフリベルセプト(VEGF trapまたはZALTRAP(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、VEGFおよびAng2に対する二重特異性抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、RG7221(バヌシズマブとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、血管新生阻害剤およびPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体等のPD-1結合アンタゴニスト、抗PD-L1抗体等のPD-L1結合アンタゴニスト、および抗PD-L2抗体等のPD-L2結合アンタゴニスト)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベバシズマブおよびPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体等のPD-1結合アンタゴニスト、抗PD-L1抗体等のPD-L1結合アンタゴニスト、および抗PD-L2抗体等のPD-L2結合アンタゴニスト)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベバシズマブおよびMDX-1106(ニボルマブ、OPDIVO)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベバシズマブおよびMerck 3475(MK-3475、ペムブロリズマブ、KEYTRUDA)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベバシズマブおよびCT-011(ピジリズマブ)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベバシズマブおよびYW243.55.S70と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベバシズマブおよびMPDL3280Aと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベバシズマブおよびMEDI4736と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベバシズマブおよびMDX-1105と組み合わせて投与することができる。
【0203】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、抗腫瘍剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CSF-1R(M-CSFRまたはCD115としても知られる)を標的とする薬剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、抗CSF-1R抗体(IMC-CS4またはLY3022855としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、抗CSF-1R抗体、RG7155(R05509554またはエマクツズマブとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、インターフェロン、例えば、インターフェロン-αまたはインターフェロン-γと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、Roferon-A(組換えインターフェロンα-2aとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、GM-CSF(組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、rhu GM-CSF、サルグラモスチム、またはLeukine(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、IL-2(アルデスロイキンまたはProleukin(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、IL-12と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、IL27と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、IL-15と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ALT-803と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD20を標的とする抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、CD20を標的とする抗体は、オビヌツズマブ(GAlO 1またはGazyva(登録商標)としても知られる)またはリツキシマブである。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、GITRを標的とする抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、GITRを標的とする抗体は、TRX518である。いくつかの実施形態において、GITRを標的とする抗体は、MK04166(Merck)である。
【0204】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、イブルチニブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ワクチンデヒドロゲナーゼ1(IDH1)および/またはワクチンデヒドロゲナーゼ2(IDH2)の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、AG-120(Agios)と組み合わせて投与することができる。
【0205】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、オヌリズマブおよびPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体等のPD-1結合アンタゴニスト、抗PD-1 PD-L1抗体等のPD-L1結合アンタゴニスト、および抗PD-L2抗体等のPD-L2結合アンタゴニスト)と組み合わせて投与することができる。
【0206】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、がんワクチンと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、がんワクチンはペプチドがんワクチンであり、いくつかの実施形態において、個別化されたペプチドワクチンである。いくつかの実施形態において、ペプチドがんワクチンは、多価長ペプチド、多ペプチド、ペプチド混合物、ハイブリッドペプチド、またはペプチドパルス樹状細胞ワクチンである(例えばYamada et al.,Cancer Sci,104:14-21,2013を参照のこと)。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、アジュバントと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、Poly-ICLC(Hiltonol(登録商標)としても知られる)、LPS、MPL、またはCpG ODN等のTLRアゴニストを含む治療と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、腫瘍壊死因子(TNF)αと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、IL-1と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、HMGB1と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、IL-10アンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、IL-4アンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、IL-13アンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、IL-17アンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、HVEMアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ICOSアゴニストと組み合わせて投与(例えば、ICOS-L、またはICOSのアゴニスト抗体を投与)することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CX3CL1を標的とする治療と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CXCL9を標的とする治療と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CXCL10を標的とする治療と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CCL5を標的とする治療と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、LFA-IまたはICAM1アゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、セレクチンアゴニストと組み合わせて投与することができる。
【0207】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、B-Rafの阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、エンコラフェニブ(LGX818)と組み合わせて投与することができる。
【0208】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、EGFR阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、エルロチニブ(Tarceva(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、EGFR-T790Mの阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ゲフィチニブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、アファチニブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、セツキシマブ(Erbitux(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、パニツムマブ(Vectibix(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ロシレチニブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、AZD9291と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、MEK1(MAP2K1としても知られる)および/またはMEK2(MAP2K2としても知られる)等のMEKの阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、コビメチニブ(CDC-0973またはXL-518としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、トラメチニブ(Mekinist(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ビニメチニブと組み合わせて投与することができる。
【0209】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、B-Rafの阻害剤(例えば、ベムラフェニブまたはダブラフェニブ)およびMEKの阻害剤(例えば、MEK1および/またはMEK2)(例えば、コビメチニブまたはトラメチニブ)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ERK(例えば、ERK1/2)の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、GDC-0994と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、B-Rafの阻害剤、MEKの阻害剤、およびERK1/2の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、EGFRの阻害剤、MEKの阻害剤、およびERK1/2の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、1つ以上のMAPキナーゼ経路阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CK127と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、K-Rasの阻害剤と組み合わせて投与することができる。
【0210】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、c-Metの阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、オナルツズマブ(MetMAbとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、AF802(CH5424802またはアレクチニブとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、クリゾチニブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、セリチニブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ブパリシブ(BKM-120)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ピクチリシブ(GDC-0941としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ブパリシブ(BKM-120としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ペリホシン(KRX-0401としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)のデルタ選択的阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、イデラリシブ(GS-1101またはCAL-101としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、タセリシブ(GDC-0032としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、BYL-719と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、Aktの阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、MK2206と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、GSK690693と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、イパタセルチブ(CDC-0068としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、mTORの阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、シロリムス(ラパマイシンとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、テムシロリムス(CCI-779またはTorisel(登録商標)としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、エベロリムス(RAD001としても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、リダフォロリムス(AP-23573、MK_8669、またはデフォロリムスとしても知られる)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、OSI-027と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、AZD8055と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、INK128と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、二重PI3K/mTOR阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、XL765と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、GDC-0980と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、BEZ235(NVP-BEZ235とも称される)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、BGT226と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、GSK2126458と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、PF-04691502と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、PF-05212384(PKI-587としても知られる)と組み合わせて投与することができる。
【0211】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、エストロゲン受容体を選択的に分解する薬剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、GDC-0927と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、HER3の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、デュリゴツズマブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、LSD1の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、MDM2の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、BCL2の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ベネトクラクスと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CHK1の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CDC-0575と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、活性化ヘッジホッグシグナル伝達経路の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ERIVEDGEと組み合わせて投与することができる。
【0212】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、放射線療法と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ゲムシタビンと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、nab-パクリタキセル(ABRAXANE)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、トラスツズマブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、TVECと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、IL27と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、シクロホスファミドと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、T細胞を腫瘍に動員する薬剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、リリルマブ(IPH2102/BMS-986015)と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、イデラリシブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD3およびCD20を標的とする抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、REGN1979と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、CD3およびCD19を標的とする抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、ブリナツモマブと組み合わせて投与することができる。
【0213】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、腫瘍溶解性ウイルスと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、カルボプラチンおよびnab-パクリタキセルと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、カルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、シスプラチンおよびペメトレキセドと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、シスプラチンおよびゲムシタビンと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、FOLFOXと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アゴニスト抗体は、FOLFIRIと組み合わせて投与することができる。
【0214】
上記の併用療法には、併用投与(2つ以上の治療薬が同じ製剤または別個の製剤に含まれる)、および別個の投与が含まれる。この場合、本発明の抗体の投与は、追加の治療薬および/またはアジュバントの投与の前、それと同時、および/またはその後に行うことができる。本発明の抗体はまた、放射線療法と組み合わせて使用することもできる。
【0215】
本発明の抗体(および任意の他の治療薬)は、非経口、肺内、および鼻腔内を含む任意の好適な手段によって投与することができ、局所療法に所望される場合は、病片内投与を行うことができる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、および皮下投与を含む。投与が短期間であるか長期間であるかに一部依存して、投薬は、任意の好適な経路による(例えば、静脈内または皮下注射等の注射による)ものであり得る。単回投与、複数の時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、およびパルス注入を含むがこれらに限定されない、様々な投薬スケジュールが、本明細書において企図される。
【0216】
本発明の抗体は、適正な医療行為に一致する様式で、製剤化、投薬、および投与することができる。この文脈で考慮されるべき要因は、治療される特定の状態、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、状態の原因、薬物送達の部位、投与方法、投与スケジュール、および医療従事者に既知の他の要因を含む。抗体は、そうである必要ではないが、任意選択的に、問題の障害を予防または治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤とともに製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または治療の種類、および上記で考察された他の要因に依存する。それらは一般に、本明細書に記載されるのと同じ投与量および同じ投与経路で、または本明細書に記載される用量の約1%~99%で、または経験的/臨床的に適切であると判断される任意の用量および任意の経路で使用される。
【0217】
疾患の予防または治療のために、本発明の抗体の適切な用量(単独でまたは1つ以上の他の治療薬と組み合わせて使用される場合)は、治療される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度および疾患の経過、抗体が予防目的または治療目的のどちらで投与されるか、以前の治療法、患者の病歴および抗体に対する反応、ならびに担当医師の裁量に依存し得る。抗体は、1回のまたは一連の治療で患者に投与するのに好適である。疾患の種類および重症度に応じて、約1μg/kg~約40mg/kgの抗体を、例えば、1回以上の分割投与または持続注入によって、初期候補用量として患者に投与することができる。典型的な1日量は、上記の要因に応じて、約1μg/kg~約100mg/kg以上の範囲であり得る。数日にわたるまたはそれ以上の反復投与の場合、状態に応じて、通常、疾患症状の所望の抑制が起こるまで治療を継続する。用量は、断続的に、例えば、毎週または3週間毎に(例えば、患者が約2~約20回用量、または例えば、約6回用量の抗体を投与されるように)投与され得る。より高い初期用量を投与し、続いて1つ以上のより低い用量を投与することができる。しかしながら、他の投与レジメンも有用である場合がある。この治療法の進捗は、従来の技術およびアッセイによって容易にモニタリングすることができる。
【0218】
上記の製剤または治療方法のいずれも、抗OX40抗体の代わりに、またはそれに加えて、本発明の免疫複合体を使用して実施され得ることを理解されたい。
【0219】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗OX40抗体の静脈内(IV)注入は、3、4、5、6、7、または8週間毎に患者に投与され得る。抗OX40抗体の用量は、患者1人当たり5mg、10mg、15mg、30mg、50mg、100mg、150mg、200mg、300mg、または500mgであり得る。いくつかの実施形態において、患者は、腎細胞がん、肝細胞がん、または頭頸部扁平上皮がんを有し得る。
【0220】
いくつかの実施形態において、抗OX40抗体は、以下のうちの1つ以上を達成する用量および投薬レジメンで患者に投与することができる。
【0221】
以下のような、患者の血液および腫瘍微小環境(TME)における免疫細胞の所望の変化:
●患者の末梢血のフローサイトメトリーによって測定される、CD4+またはCD8+T細胞の増殖(例えば、Ki67)および活性化(例えば、CD69およびCD25)マーカー、
●患者の末梢血のフローサイトメトリーによって測定される、CD4+CD25+T細胞上のOX40受容体レベルおよび抗OX40抗体の占有レベル、ならびに
●多重免疫組織化学(mIHC)または多重免疫蛍光(mIF)によって患者の治療前および治療後の腫瘍生検で測定される、標的関与(例えば、OX40下方制御)、CD8+およびCD4+T細胞増殖(例えば、Ki67上方制御)。
【0222】
いくつかの実施形態において、本明細書における抗OX40抗体の用量および投与頻度は、適切なピーク対トラフ比を保証し、反復投与時の蓄積を最小限に抑え、それによって長期的な受容体の飽和とそれに続くT細胞枯渇を予防し、その結果として患者の持続的な免疫介在性抗腫瘍活性をもたらす患者の曝露プロファイルを達成するために選択または決定される。
【0223】
いくつかの実施形態において、上記のような免疫細胞および/または患者のTMEにおける所望の変化等の特定の薬力学的(PD)所見は、抗OX40抗体の用量および/または投与頻度を選択または決定するために、曝露プロファイルとともに評価される。
【実施例】
【0224】
実施例1.抗OX40抗体HFB10-1E1hG1の調製
合成OX40抗体HFB10-1E1hG1の重鎖および軽鎖(配列番号24および32)(Goldwisdom Corporation)をコードするヌクレオチド配列を合成し、それらをベクターpFUSEにそれぞれクローンした;重鎖および軽鎖の両方を含むプラスミドを、PEIを用いて1:1の比で293F懸濁細胞に一過性にトランスフェクトし、全長抗体を発現させた。培養の1週間後に、AKTAシステムを用いて、Superdex(商標)200 Increaseプレパックカラムを使用して精製を行った。
【0225】
実施例2.HFB10-1E1hG1の結合特性
実施例2.1 HFB10-1E1hG1のOX40タンパク質との結合特性
ELISAによる予備試験のために、参照物質1、参照物質2、参照物質3、参照物質4、HFB10-1E1hG1およびアイソタイプ対照を含む96ウェルプレートを5μg/mlの抗OX40抗体で一晩コーティングした。翌日、PBST中の1%BSA(Sangon Biotech、カタログ番号A600332-0100)でプレートを37℃で2時間ブロックした後、規定濃度のビオチン化OX40組換えタンパク質を加えた。
【0226】
抗OX40抗体に結合するビオチン化OX40組換えタンパク質のEC80を測定した。
図1-1に示すように、参照物質1のEC80は0.09nMであり、参照物質2のEC80は0.22nMであり、参照物質3のEC80は0.16nMであり、参照物質4のEC80は0.24nMであり、HFB10-1E1hG1のEC80は0.71nMであり、OX40LのEC80は1.6nMであった。
【0227】
実施例2.2 293T細胞の表面に発現したOX40タンパク質に対するHFB10-1E1hG1の結合特性
ヒトOX40(Sinobiological、カタログ番号HG10481-UT)を過剰発現させるために、カニクイザルOX40(Sinobiological、カタログ番号CG90846-UT)、マウスOX40(Sinobiological、カタログ番号MG50808-UT)、またはヒトCD40(Sinobiological、カタログ番号HG10774-UT)を標的として用いた。これらの標的をコードするDNAプラスミドを、Lipusectamine LTX試薬およびPLUS試薬(Thermo、カタログ番号15338100)の指示に従って293T細胞に一過性にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、後に使用するために細胞を回収した。結合親和性を決定するために、回収した細胞を、規定濃度の一次抗体HFB10-1E1hG1とともに4℃で1時間インキュベートした。次いで、PBSで2回洗浄した後、二次抗体ヤギ抗ヒトIgG PE(1:200;Abcam、カタログ番号ab98596)とともに室温で30分間、細胞をインキュベートした。検出は、Beckman CytoFLEXフローサイトメーターを用いて行った。
【0228】
図1-2に示すように、293T細胞の表面に発現したヒトOX40タンパク質に対するHFB10-1E1hG1の結合のEC50は、2nM(MFI)であった。
【0229】
図1-3に示すように、293T細胞の表面に発現したカニクイザルOX40タンパク質に対するHFB10-1E1hG1の結合のEC50は2.9nM(MFI)であった。
【0230】
図1-4に示すように、HFB10-1E1hG1は、293T細胞の表面に発現したマウスOX40タンパク質に結合しなかった(MFI)。
【0231】
図1-5に示すように、HFB10-1E1hG1は、293T細胞の表面に発現したヒトCD40タンパク質に結合しなかった(MFI)。
【0232】
293T細胞の表面に発現したヒトOX40タンパク質に対するHFB10-1E1hG1、参照物質1、参照物質2、参照物質3、および参照物質4の結合のEC50を、それぞれ
図1~6に示した。HFB10-1E1hG1のEC50は2.02nM(MFI)であり、参照物質1のEC50は2.67nM(MFI)であり、参照物質2のEC50は4.17nM(MFI)であり、参照物質3のEC50は1.92nM(MFI)であり、参照物質4のEC50は2.11nM(MFI)であった。
【0233】
293T細胞の表面に発現したカニクイザルOX40タンパク質に対するHFB10-1E1hG1、参照物質1、参照物質2、参照物質3、および参照物質4の結合のEC50を、それぞれ
図1~7に示した。HFB10-1E1hG1のEC50は2.94nM(MFI)であり、参照物質1のEC50は2.91nM(MFI)であり、参照物質2のEC50は6.13nM(MFI)であり、参照物質3のEC50は2.57nM(MFI)であり、参照物質4のEC50は3.54nM(MFI)であった。
【0234】
実施例3.HFB10-1E1hG1のアゴニスト活性
実施例3.1 Jurkatレポータータンパク質におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性
抗OX40抗体は、それらの異なる活性様式に従って2つのカテゴリーに分けることができる:第1のクラスのOX40アゴニスト活性は、Fc受容体の架橋とは無関係であり、もう一方のクラスは、OX40アゴニスト活性のためにFc受容体の架橋を必要とする。腫瘍組織および周辺の流入領域リンパ節は、より多くの腫瘍関連炎症細胞を有する。Fc受容体FcγR2bは、腫瘍細胞の周りでクラスター形成する可能性が高い。したがって、「架橋抗体」アゴニストは、より高い組織選択性を有する。腫瘍内微小環境においてのみ、抗体は、有意なアゴニスト効果を有することができるが、体の正常な組織部分では、その効果は低レベルにとどまる。これにより処理の安全域を向上させることができる。
【0235】
ヒトOX40を構成的に発現するNF-kb応答エレメントの制御下でGFP遺伝子を発現する組換えJurkatレポーター細胞を本試験に用いた。HFB10-1E1hG1のアゴニスト活性を決定するために、96ウェルプレートを5μg/mlの抗ヒトIgG Fc特異的抗体(Sigma、カタログ番号SAB3701275)で一晩コーティングした。既定濃度のHFB10-1E1hG1を、1×105のJurkatレポーター細胞とともに1つのウェルに加えた。別の実験では、50nMのOX40L(Acrobiosystems、カタログ番号OXL-H52Q8)をHFB10-1E1hG1とともに加えて、協調的効果を決定した。24時間のインキュベーション後、Jurkatレポーター細胞を回収した。さらに、Beckman CytoFLEXフローサイトメーターを使用してGFP陽性シグナルを検出し、Jurkatレポーター細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性を示した。
【0236】
HFB10-1E1hG1のアゴニスト活性は、抗ヒトIgG架橋に依存する。
図2-1に示すように、HFB10-1E1hG1のEC50は、抗ヒトIgGとの架橋の存在下で2.9nM(GFPのMFI)であった。
図2-2に示すように、抗ヒトIgGと架橋しない場合、HFB10-1E1hG1のEC50は、抗ヒトIgGと架橋した場合よりもはるかに高かった。
図2-2に示すように、三量体OX40L組換えタンパク質単独では、抗ヒトIgGと架橋することなく、EC50=45nM(GFPのMFI)でNF-kbシグナル伝達を活性化することができた。
【0237】
HFB10-1E1hG1は、抗ヒトIgGとの架橋の存在下で、OX40Lとの協調的なアゴニスト効果を示した。
図2-3に示すように、HFB10-1E1hG1をOX40Lとともに加えることにより、成分単独と比較してGFPのMFIが増強された。
【0238】
実施例3.2 初代CD4+T細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性
初代CD4+T細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性を決定するために、96ウェルプレートを0.3μg/mlまたは1μg/mlの抗CD3抗体(Thermo、カタログ番号16-0037-81)および5μg/mlの抗ヒトIgG Fc特異的抗体(Sigma、カタログ番号SAB3701275)で一晩コーティングした。翌日、CD4+T細胞単離キット(Miltenyi、カタログ番号130-045-101)の指示に従って初代CD4+T細胞を回収した。既定濃度のHFB10-1E1hG1および2μg/mlの抗CD28抗体(Thermo、カタログ番号16-0289-81)を、1×105の初代CD4+T細胞とともに1つのウェルに加えた。別の実験では、50nMのOX40L(Acrobiosystems、カタログ番号OXL-H52Q8)をHFB10-1E1hG1とともに加えて、その協調的効果を決定した。3日間のインキュベーション後、上清中のIL-2分泌のレベルを、ヒトIL-2 DuoSet ELISAキット(R&D、カタログ番号DY202-05)の指示に従って検出し、初代CD4+T細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性を示した。
【0239】
初代CD4+T細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性を決定するために、精製したCD4+T細胞を、1μg/mlの抗CD3抗体および2μg/mlの抗CD28抗体で事前に活性化した。HFB10-1E1hG1との架橋を促進するために、プレートを5μg/mlの抗ヒトIgGで予めコーティングした。3日間のインキュベーション後、初代CD4+T細胞におけるHFB10-1E1hG1のアゴニスト活性をIL-2により決定し、
図2-4に示すように0.2nMのEC50を得た。
【0240】
初代CD4+T細胞において、HFB10-1E1hG1は、OX40Lとの協調的なアゴニスト効果を示した。
図2-5に示すように、HFB10-1E1hG1を50nMのOX40Lとともにインキュベートすることにより、成分単独と比較してIL-2分泌が増強された。
【0241】
実施例4.HFB10-1E1hG1の薬物動態試験
384ウェルプレートを、30μl/ウェルのPBS中1μg/mlのF(ab’)2ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的抗体(Jackson IR、カタログ番号109-006-098)で一晩コーティングした。PBST緩衝液で3回洗浄した後、PBS中に1mM EDTA、0.05% Tween、および2% BSAを含むブロック緩衝液で、プレートを37℃で1時間ブロックした。次いで、1/150で開始する1/3の段階希釈において、マウス血清試料を15μL/ウェルで加え、37℃で2時間インキュベートした。PBST緩衝液で3回洗浄した後、二次抗体ペルオキシダーゼ-ヤギ抗ヒトIgG(Jackson IR、カタログ番号109-035-003)を1/5000で加え、37℃で0.5時間インキュベートした。次いで、TMB基質(Biolegend、カタログ番号421101)を加え、さらに15分間インキュベートした。次に、ELISA停止液(Beijing Dingguo Changsheng Biotechnology Co.,Ltd.)を加えた。Multiskan Sky Microplate分光光度計(ThermoFisher)を用いて450nmでプレートを読み取った。
【0242】
10mg/kgのHFB10-1E1hG1を、hOX40ノックインマウス(131、132、133、Shanghai Southern Model Organism Research Centerより購入)に静脈内投与した。投与後1時間、24時間、48時間、72時間、96時間、および196時間のそれぞれに、マウス血清を採取した。
図3-1に示すように、hOX40-KIマウス血清中のHFB10-1E1hG1の半減期を24時間であると決定した。0時間のデータ点は、上から下に、データ点131、132、および133であった。
【0243】
実施例5.HFB10-1E1hG1のインビボ抗腫瘍効果
hOX40ノックインマウスをShanghai Southern Model Organism Research Centerから購入した。5日間の隔離後、100μlのPBS中の8×105のMC38腫瘍細胞(Professor Zhang Hongkai,Nankai Universityから提供された)を各マウスに皮下接種した。腫瘍サイズが70~100mm3に達したとき、抗OX40抗体を100μlのPBS中10mg/kgで3日毎に5回マウスに腹腔内投与することにより、抗OX40抗体による処理を開始した。腫瘍サイズおよびマウスの体重を週に2回測定した。キャリパーを使用して両方向の腫瘍サイズを測定した。腫瘍体積は、以下の式:V=0.5a×b2(式中、aおよびbは、それぞれ腫瘍の長径および短径である)を使用してmm3で表した。
7日目:MC38腫瘍細胞接種、35匹の8週齢マウス
-MC38細胞は、Zhang Hongkai教授から入手した
-マウス1匹当たり8×105のMC38細胞を接種した
0日目:平均腫瘍サイズは75mm3(40~120mm3)であった
-群当たり5匹のマウス、合計4つの群:
●PBS
●参照抗体1
●HFB10-1E1hG1
●参照抗体2
-10mg/kgの抗体の3日毎に5回の腹腔内投与により開始した。
18日目:PBS対照群の腫瘍が2000mm3のサイズに達した。マウスを屠殺した。
-組織:血液、LN、肝臓、脾臓、腫瘍
-表現型分析:T細胞CD3/CD4/CD8、Treg CD4/CD25/Foxp3、NK CD3/CD16/CD56
【0244】
図4-1および
図4-2に示すように、この実験は、HFB10-1E1hG1が、PBS対照と比較して腫瘍増殖を有意に阻害し、マウスの有意な体重減少を引き起こし得る副作用を示さなかったことを示した。
図4-1において、右端のデータ点は、上から下の順に、PBS、参照抗体1、HFB10-1E1hG1、および参照抗体2であった。
図4-2において、左から2番目のデータ点は、上から下の順に、PBS、参照抗体1、参照抗体2、およびHFB10-1E1hG1であった。
【0245】
抗体の用量反応有効性をhOX40ノックインマウスにおいて調べた。本試験の具体的な群は以下のとおりであった:
第1群:PBS:3日毎に5回、腹腔内;
第2群:HFB10-1E1hG1:1mg/kg、腹腔内、3日/4日毎に5回、腹腔内;
第3群:HFB10-1E1hG1:0.1mg/kg、腹腔内、3日/4日毎に5回、腹腔内;
第4群:参照抗体1:1mg/kg、腹腔内、3日毎に5回、腹腔内。
【0246】
合計20匹のhOX40のノックインマウスを本試験に使用し、各群5匹の4つの群に分けた。
【0247】
マウスにMC38腫瘍細胞を接種した。平均腫瘍サイズが75mm3のときに開始して、0日目、3日目、6日目、10日目、および13日目に5回の抗体注射を行った。腫瘍サイズおよびマウスの体重は、最大3週間、または腫瘍サイズが2000mm3を超えるまで、週2回測定した。
【0248】
異なる用量のHFB10-1E1hG1での腫瘍サイズおよびマウスの体重の反応結果を、
図4-3および
図4-4に示した。この実験は、1mg/kgのHFB10-1E1hG1が、インビボで最良の抗腫瘍効果を示したことを示した。
【0249】
実施例6.HFB10-1E1hG1展性特性のインビトロ特性評価
実施例6.1 HFB10-1E1hG1の加速安定性実験
抗体試料(HFB10-1E1hG1、3.1mg/mL、ロット番号CP181130004)を、遠心フィルターデバイス(Millipore、カタログ番号UFC503096)を用いて10mg/mLに濃縮した(ロット番号JW20181203、ロット番号20190624)。次いで、適切な量の濃縮抗体試料を清潔な600μlの試験管に移し、25℃および40℃で、それぞれ7日、14日、および30日間インキュベートした。
【0250】
インキュベートした試料をSEC-HPLCおよびSDS-PAGEにより分析した:
SEC-HPLCの場合、50μgの各処理試料を注入し、pH7.4の1×PBS緩衝液(0.7mL/分の流速で試験当たり40分間、10×PBS緩衝液(Sangon、カタログ番号E607016-0500)からMilli-Q純水で希釈した)中で試験した。吸吸光度はUV280nmで検出した(4℃で保存した未処理の試料も分析のためにロードした)。その結果を下の表1に示した。25℃および40℃で最大30日間インキュベートした後でも、SEC曲線上でHFB10-1E1hG1の凝集または分解ピークの有意な増加が観察されなかったことから、HFB10-1E1hG1がそのような処理条件下で良好な安定性を有することが示唆される。40℃で30日間インキュベートした後に観察された若干の分解は、高温での長時間インキュベーションによるその不安定性を示唆するものであり得る。
【表2】
【0251】
SDS-PAGEの場合、4μgの各処理試料を、非還元および還元条件下で、それぞれ4%~20%勾配のゲルにロードした。トリス-グリシン緩衝液に150Vで1時間ゲルを流し、染色液(TaKaRa、カタログ番号T9320A)中で1時間超染色し、次いで、蒸留水中で数回脱染し、白色光用プレート上で画像化した(4℃で保存した未処理の試料も分析のためにロードした)。その結果を
図5-1に示した。
【0252】
25℃および40℃で30日間インキュベートした後、HFB10-1E1hG1の明確な凝集または分解バンドがSDS-PAGE画像に観察されなかったことから、HFB10-1E1hG1がそのような処理条件下で良好な安定性を有することが示唆される。40℃で30日間インキュベートした後、非還元ゲル、および還元ゲル上の凝集バンドとともにわずかに分解したバンドが観察されたことは、高温での長時間インキュベーションによるその不安定性を示唆するものであり得る。
【0253】
実施例6.2 HFB10-1E1hG1の分解実験
1.低pH圧力試験:
適切な量の抗体(HFB10-1E1hG1、3.1mg/mL)を600μlの試験管に移し、次いで2M酢酸(抗体試料に対する酸のv/v、最終pHを約3.5に調整)を1:20の比で加えた。試料を十分に混合し、室温で0時間、3時間、または6時間インキュベートした。インキュベーション後、中和緩衝液で抗体溶液のpHを7.4に調整した(pH9.0の1M Tris-HClを13:100(v/v)の比でインキュベートした試料に加えた)。次いで、試料を前述のようにSEC-HPLCおよびSDS-PAGEにより分析した(加速安定性実験を参照のこと。注:4℃で保存した未処理の試料も分析のためにロードした)。
【0254】
2.高pH圧力試験:
適切な量の抗体(HFB10-1E1hG1、3.1mg/mL)を600μlの試験管に移し、次いで1M Tris-HCl、pH8.5(v/v、最終pHを約8.5に調整)を1:25の比で加えた。試料を十分に混合し、室温で0時間または6時間インキュベートした。次いで、試料を前述のようにSEC-HPLCおよびSDS-PAGE(還元条件下のみ)により分析した。
【0255】
SEC分析を表2に示した。対応するpH3.5およびpH8.5の溶液中で最大6時間インキュベートした後、SEC曲線上でHFB10-1E1hG1の凝集または分解ピークの増加が観察されなかったことから、HFB10-1E1hG1がそのような処理条件下で良好な安定性を有することが示唆される。
【表3】
【0256】
SDS-PAGE分析を
図5-2に示した。低pHおよび高pH緩衝液中で最大6時間インキュベートした後、SDS-PAGEゲル上でHFB10-1E1hG1の変化が観察されなかったことから、そのような処理条件下におけるHFB10-1E1hG1の良好な安定性が示唆される。
【0257】
実施例6.3 HFB10-1E1hG1の酸化ストレス実験
適切な量の抗体(HFB10-1E1hG1、3.1mg/mL)を600μlの試験管に移し、次いで、H2O2(それぞれ0.1%および1%)またはt-BHP(最終濃度0.1%)を加えた。試料を十分に混合し、室温で0時間または6時間インキュベートした。次いで、試料を前述のようにSEC-HPLCおよびSDS-PAGEにより分析した
【0258】
注:1)4℃で保存した未処理の試料を分析のためにロードした。2)100mM NaH2PO4、150mM NaClを含むSEC泳動用緩衝液(pH6.8)を社内で調製した。
【0259】
SEC分析を表3に示した。0.1%H
2O
2、1%H
2O
2および0.1%t-BHP(tert-ブチルヒドロペルオキシド)の対応する溶液で6時間インキュベートした後、SEC曲線上でHFB10-1E1hG1の明らかな変化が観察されなかったことから、HFB10-1E1hG1がそのような処理条件下で良好な安定性を有していたことが示唆される。
【表4】
【0260】
SDS-PAGE分析を
図5-3に示した。非還元ゲル上のわずかに分解したバンドを除いて、0.1%H
2O
2、1%H
2O
2および0.1%t-BHP(tert-ブチルヒドロペルオキシド)の対応する溶液で6時間インキュベートした後、SDS-PAGEゲル上でHFB10-1E1hG1の明らかな変化は観察されなかった。これは、HFB10-1E1hG1がそのような処理条件下で良好な安定性を有することを示唆するものである。
【0261】
実施例6.4 HFB10-1E1hG1の凍結融解実験
抗体試料(HFB10-1E1hG1、3.1mg/mL、ロット番号CP181130004)を、遠心フィルターデバイス(Millipore、カタログ番号UFC503096)を用いて10mg/mLに濃縮した(ロット番号JW20181203)。次に、適切な量の濃縮抗体試料を清潔な600μlの試験管に移し(3×試験管)、試料を液体窒素中で2分間凍結した後、室温の水浴で融解し、同じ手順をさらに2回、4回、またはそれ以上行った。
【0262】
注:1)4℃で保存した未処理の試料を分析のためにロードした。2)100mM NaH2PO4、150mM NaClを含むSEC泳動用緩衝液(pH6.8)を社内で調製した。
【0263】
DSFベースの熱安定性分析の場合:3μgの各処理試料をProteoStatアッセイキット(Enzo Life Sciences、カタログ番号ENZ-51027-K400)とともにPCRプレート(Bio-Radプレート、カタログ番号HSP9655;Bio-Radメンブレン、カタログ番号MSB1001)中で、製造業者の指示に従って各25μlの反応において使用した。加熱プログラムは、Bio-Rad PCR機(C1000 touch、CFX96リアルタイムシステム)で以下のように設定した:25℃で2分間、10秒毎に0.5℃ずつ95℃まで上昇させる。Texas Redのモードを使用して蛍光吸光度を読み取った。Tm値は、-dF/dTの最低点と関連していた。
【0264】
SEC分析を表4に示した。DSF分析を表5に示した。SEC分析は、最大5サイクルの凍結/融解処理後に、SEC曲線上でHFB10-1E1hG1の明らかな変化が観察されなかったことを示した。DSF分析は、HFB10-1E1hG1のTm値が同じ処理後に有意に変化しなかったことを示したことから、HFB10-1E1hG1がそのような処理条件下で良好な安定性を有していたことが示唆される。
【表5】
【表6】
【0265】
SDS-PAGE分析を
図5-4に示した。最大5サイクルの凍結/融解処理後に、SDS-PAGEゲル上でHFB10-1E1hG1の明らかな変化が観察されなかったことから、そのような処理条件下におけるHFB10-1E1hG1の良好な安定性が示唆される。
【0266】
実施例7
アゴニスト抗体のOX-40への結合は、受容体下方制御をもたらすことが示されているが、これはインビトロおよび臨床試験で観察されたものである(Wang et al.Cancer Research 2019)。最初の注射後に患者において観察された、結果として生じる標的発現の喪失が、臨床試験におけるOX-40アゴニスト抗体の成功を制限する可能性があるという仮説がさらに立てられた(Wang et al.Cancer Research 2019)。PBMCから単離された、エクスビボで活性化されたナイーブT細胞を使用することにより、本発明は、HFB10-1E1hG1による処理が、ベースラインと比較してOX-40レベルの処理後の減少が少ないことを示した。最適化された結合動態とともに、独自の結合エピトープにより標的の分解が最小限に抑えられ、それによって最初の注射後の標的発現の喪失が回避される。したがって、それは患者への継続的な薬物の投与を可能にする。
【0267】
実施例8
HFB10-1E1hG1のヒト薬物動態(PK)予測
カニクイザルのPKデータを、2コンパートメントモデルに適合させた。
図6は、適合させたPK曲線および観測データを示す。適合のRMSEは0.17、R
2は0.99であり、観測データに良好に適合することを示している。
【0268】
ヒトの2コンパートメントPKパラメータは、指数の法則(ROE)に基づいて対応するサルパラメータから予測した(Dong et al.,2011)。
【0269】
次いで、予測されたパラメータを使用して、ヒトPK曲線をシミュレートした。
図7は、1時間の静脈内注入後の1mg/kgの単回投与ヒトPKプロファイルの例を示した。
【0270】
hOX40KIマウスにおけるHFB10-1E1hG1PKデータに基づく最低ヒトPAD予測
hOX40KIマウスにおける10mg/kgの用量でのHFB10-1E1hG1のCmaxおよびAUC(0~72時間)値は、それぞれ160.5μg/mLおよび2591μg/mL*時間であった。線形PKであったと仮定すると、1mg/kg用量でのCmaxおよびAUC(0-72h)値は、それぞれ16μg/mLおよび259μg/mL*時間であった。
【0271】
1mg/kgの用量では、予測されたヒトのCmaxおよびAUC(0~72時間)値は、それぞれ23.7μg/mLおよび1213μg/mL*時間であった。ヒトの線形PKであったと仮定すると、最低PADは0.68mg/kg(Cmaxに基づく)または0.21mg/kg(AUC(0~72時間)に基づく)であると予測された。控えめに見ても、最小ヒトPADは、0.21mg/kgまたは15mgの固定用量であると想定された(標準体重70kgと仮定)。
【0272】
ヒトの投薬頻度に関する考慮事項
OX40アゴニズムとそれに続くエフェクターT細胞の増殖、および腫瘍微小環境における制御性T細胞の枯渇を最大化するためには、OX40受容体を長期間飽和させないように考慮する必要がある。OX40アゴニズム間の適切な時間を確保するための1つの戦略は、目的のアゴニストの著しい蓄積を回避することである。したがって、2週間(Q2W)、3週間(Q3W)、または4週間(Q4W)毎のスケジュールでHFB10-1E1hG1のPKプロファイルをシミュレートした。
図8は、Q4WでシミュレートされたPK曲線を示している。
【0273】
次いで、各スケジュールのCmaxおよびCmin蓄積指数、ならびに定常状態でのCmax/Cmin比を計算した。
【0274】
実用的な考慮事項に加えて、計算されたAIおよびCmax/Cmin比に基づいて、HFB10-1E1hG1のファースト・イン・ヒューマン試験のために15mgの開始用量およびQ4Wスケジュールを選択した。
【0275】
HFB10-1E1hG1のヒトPKは、典型的なIgG1モノクローナル抗体(mAb)と同様であり、クリアランスが低く(CL、0.084mL/時間/kg)、分布容積が小さく(Vdss、0.084L/kg)、典型的なmAb半減期(T1/2、731時間、約30日)を有すると予測された。
【0276】
HFB10-1E1hG1の最低ヒトPADは、カニクイザルPKからのヒトPK予測、hOX40 KIマウスにおけるMC38腫瘍有効性試験からの最小有効用量、およびhOX40KIマウスにおけるHFB10-1E1hG1曝露データに基づいて予測された。KIマウスの曝露/効力の関係のヒトへの外挿は、ヒトにおいて0.21mg/kgの最小PADを示した。便宜上、同等の固定用量である15mgが、ヒトにおける開始用量として推奨される。様々な投与頻度で予測された定常状態のPKプロファイルに基づくと、推奨される投与頻度は4週間毎に1回(Q4W)である。
【0277】
本明細書では、フローサイトメトリーを使用して、活性化された初代サルT細胞へのHFB10-1E1hG1の結合を評価した。その結果を
図1に示す。
【0278】
CD4+T細胞を認識することができるBmk1を陽性対照として用いた。HFB10-1E1hG1は、3人の異なるドナー(ロット番号200107、M20Z013009、およびM20Z025008)から単離された活性化CD3/CD28初代サルT細胞に結合することが示された。MFI用量反応曲線から計算されたEC50値は、それぞれ0.09nM、0.19nM、および0.17nMであった。
【0279】
ELISAアッセイの線形検出範囲は、それぞれ、実験20200730では125~1000pg/ml、実験20200731では125~2000pg/mlであった。両方の実験のLLOQは18.75ng/mlであった。
【0280】
本明細書では、10mg/kgの単回投与を使用して、WTマウスおよびhOX40-KIマウスにおける10mg/kgおよび1mg/kgの単回投与での静脈内投与によるBmk1およびHFB10-1E1hG1dの薬物動態を評価した。Bmk1およびHFB10-1E1hG1の平均濃度の時間に対するプロットを、線形および片対数スケールで
図7および8に示した。
【0281】
HFB10-1E1hG1およびBmk1の全身曝露は、すべての処理マウスで達成された。WTマウス(
図7)において、HFB10-1E1hG1およびBmk1は、用量比例性を伴う同様の線形クリアランスを示した。HFB10-1E1hG1とBmk1との線量比は1:10であったが、HFB10-1E1hG1のCmaxとAUC(0~72時間)との比は、それぞれ1:6.8および1:7.9であり、Bmk1の用量比は、それぞれ1:11.8および1:8.6であった。
【0282】
1mg/kgおよび10mg/kgでのHFB10-1E1hG1の血清クリアランスは、野生型マウスではそれぞれ0.71±0.34および1.06±0.77ml/時間/kgであったが、hOX40-KIマウスでは3.09±0.27ml/時間/kgであった。血清クリアランスの同様の差が、Bmk1のPKでも観察された。野生型マウスにおけるBmk1の血清クリアランスは、1mg/kgおよび10mg/kgでそれぞれ0.45±0.13および0.62±0.10ml/h/kgであり、一方、hOX40-KIマウスでは、10mg/kgで7.24±2.24ml/h/kgであった。hOX40はhOX40-KIマウスでのみ発現するため、hOX40-KIマウスにおけるより高いクリアランス速度は、標的介在性の薬物消失(TMDD)に起因し得る。
【0283】
1mg/kgおよび10mg/kgでのHFB10-1E1hG1の定常状態分布容積(Vdss)値は、野生型マウスでは0.21±0.03および0.26±0.02L/kgであったが、10mg/kgでは、hOX40-KIマウスでは0.14±0.01L/kgであった。同様に、Bmk1のVdss値は、野生型マウスでは0.19±0.02および0.21±0.01L/kgであり、hOX40-KIマウスでは0.08±0.03L/kgであった。
【0284】
T1/2の有意差は、これら2つの抗体について、WTマウスとhOX40KIマウスとの間でも観察された。野生型マウスでは、10mg/kgおよび1mg/kgでのHFB10-1E1hG1の終末半減期(T1/2)は、それぞれ239.72±140.48時間および274.52±193.12時間であった。10mg/kgおよび1mg/kgでのBmk1の終末半減期は、それぞれ252.04±51.82時間および321.05±75.89時間であった。10mg/kgの用量のHFB10-1E1hG1およびBmk1の場合、そのT1/2値は、hOX40KIマウスで有意に短く、それぞれ38.65±4.84時間および5.45±1.09時間であった。
【0285】
実施例9.薬力学的試験
方法:腫瘍増殖のために、30匹の雌のヒトOX40ノックインマウス(C57BL/6バックグラウンド)の右側にMC-38腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍接種の9日後、76~226mm3(平均腫瘍サイズ155mm3)の腫瘍サイズを有する20匹のマウスを選択し、層別ランダム化により、それらの腫瘍体積に基づいて各群に5匹のマウスを含む4つの群に分けた。ランダム化の日(0日目(D0)として定義)からの処理には以下が含まれていた:アイソタイプ対照、10mg/kg;HFB10-1E1hG1、0.1mg/kg;HFB10-1E1hG1、1mg/kg;およびHFB10-1E1hG1、10mg/kg。すべての治療薬は、D0、D3およびD7の腹腔内注射によって投与した。腫瘍サイズおよび動物の体重を、少なくとも週に3回測定した。3回目の投与から6時間後、フローサイトメトリー(FCM)分析のために腫瘍試料を採取し、受容体占有率(RO)分析のために血液試料を採取し、血漿試料をHiFiBiOに送った。
【0286】
結果:HFB10-1E1hG1のPD効果を、MC-38腫瘍担持hOX40KIマウスで調べた。血液および腫瘍微小環境(主に腫瘍内)の両方で、HFB10-1E1hG1は、T細胞、主にCD4+T細胞の陽性およびMFIのパーセンテージとして表されるOX40発現の低下をもたらした。同時に、HFB10-1E1hG1は、Treg集団も有意に減少させた。腫瘍微小環境では、CD4+T細胞の割合が減少し(主にTreg(CD25+FOXP3+細胞)の減少によって引き起こされた)、CD4+T細胞(Ki67+細胞)の増殖は増加したが、CD69+T細胞は減少した。PD1の発現は、腫瘍微小環境のCD8+T細胞で低下している。これらの観察結果はすべて、HFB10-1E1hG1処理群において用量依存的であった。総合すると、前述のデータは、HFB10-1E1hG1処理がOX40シグナル伝達経路を活性化することができ、有効性研究で持続的反応に寄与し得る腫瘍微小環境における観察結果をもたらしたことを示唆するものであった。
【0287】
血液試料中のOX40発現に対するHFB10-1E1hG1の効果を、HFB10-1E1hG1と競合しないマウス抗hOX40抗体(クローンACT35)を使用して分析した。CD4+、CD4+CD25+およびCD11b+単球における総OX40発現を測定した(データは示さず)。HFB10-1E1hG1処理は、Tregを含むCD4+およびCD4+CD25+T細胞のOX40発現の有意な下方制御(陽性率およびMFI)をもたらした。CD11b+細胞におけるOX40発現の変化は観察されなかった。
【0288】
HFB10-1E1hG1処理後の標的関与を評価するために、FCM分析において抗ヒトIgG(hIgG)を非競合Ab ACT35と組み合わせて使用した。OX40+CD4+T細胞およびOX40+CD4+CD25+T細胞上のhIgG+集団のパーセンテージは低かった。しかしながら、OX40+CD4+CD25+細胞(Tregを含む)でMFIとして表されるhIgG+シグナルは、HFB10-1E1hG1における有意な用量依存的増加を示した。
【0289】
OX40+CD11b+細胞では、アイソタイプ群および10mg/kgのHFB10-1EhG1処理群で高レベルのhIgG+シグナルが観察され得た。これは処理用量と相関しており、hIgGがCD11b+細胞上のFcgRによって捕捉されたことを示唆するものである。
【0290】
腫瘍組織において浸潤免疫細胞集団をフローサイトメトリー(「FCM」)によって分析した。この例のすべてのFCM分析プロットについて以下のとおりであった:
●G1:アイソタイプ対照群;G2:HFB10-1E1hG1 0.1mg/kg処理群;G3:HFB10-1E1hG1 1mg/kg処理群;G4:HFB10-1E1hG1 10mg/kg処理群。
●各小点は個々の動物のデータを表し、長方形のバーは群平均を表し、エラーバーはSEMを表していた。
【0291】
T細胞(CD3
+)、CD4
+T、CD8
+T細胞およびTreg(CD3
+CD4
+CD25
+Foxp3
+)のパーセンテージを測定し、選択した結果を
図9および10に示した。ナイーブT細胞(CD3
+CD44-CD62L
+)、メモリーT細胞(CD3
+CD44
+CD62L
+)およびエフェクターT細胞(CD3
+CD44
+CD62L-)も測定した(データは示さず)。本発明の実験条件下では、アイソタイプ対照群(G1)と比較して、HFB10-1E1hG1で処理した群(G3およびG4、ただしG2ではない)は、CD4
+T細胞、Treg、ナイーブT細胞およびナイーブCD4
+T細胞の有意に減少したパーセンテージを示した。さらに、すべてのHFB10-1E1hG1処理は、メモリーT細胞およびメモリーCD4
+T細胞のパーセンテージの有意な減少をもたらした。すべてのHFB10-1E1hG1処理群がメモリーCD8
+T細胞のパーセンテージの減少を示したが、G2およびG3のみが統計的有意性に達した。処理群間で、T細胞(CD3
+)、CD8
+T細胞、およびエフェクターT細胞の集団に有意な変化は観察されなかった。
【0292】
腫瘍における異なるT細胞サブタイプのOX40発現、活性化および増殖に対するHFB10-1EhG1処理の効果をさらに調べた。総OX40発現に対するHFB10-1E1hG1の効果を、HFB10-1E1hG1と競合しないマウス抗hOX40抗体(クローンACT35)を使用して分析した。CD3+、CD4+、CD8+T細胞およびTreg(CD4+CD25+FoxP3+)におけるOX40発現を測定した(データは示さず)。CD3+およびCD4+T細胞におけるOX40発現は、アイソタイプ対照群(G1)と比較して、HFB10-1E1hG1処理群のパーセンテージおよびMFIの両方で有意に減少した。Tregの場合、HFB10-1E1hG1処理は、パーセンテージで表されるOX40発現は有意に減少させなかったが、MFIで表されるOX40発現を有意に減少させた(データは示さず)。HFB10-1E1hG1処理群のCD8+T細胞では、パーセンテージで表されるOX40発現は有意に減少したが、MFIの減少は有意差には達しなかった。
【0293】
HFB10-1E1hG1(G3およびG4)による処理は、アイソタイプ対照群(G1)と比較してCD69
+CD4
+T細胞およびPD-1
+CD8
+T細胞の有意に低いパーセンテージをもたらした(
図12)。同じ処理により、増殖する(Ki67
+)CD4
+T細胞のパーセンテージも有意に増加した(
図11)。これらの観察結果はすべて、HFB10-1E1hG1処理群で用量依存的であった。
【0294】
実施例10:エピトープマッピング
モノクローナル抗OX40抗体HFB301001は、アゴニスト抗体として開発された。表1に、HFB301001のCDR、VH/VL、およびHC/LC配列を示した。
【0295】
結合エピトープは、競合ELISAアッセイを用いてエピトープビニングを行い、以前に公開された選択抗体およびOX40リガンド結合エピトープと比較して異なる抗OX40抗体のOX40結合エピトープを探索することによって特徴付けた。簡潔に述べると、プレートを50μlの1μg/ml抗OX40捕捉抗体、OX40L、またはアイソタイプ対照でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。次いで、PBST中の1%BSAを用いてプレートを室温で2時間ブロックした。次に、50μl/ウェルのビオチン-OX40(ロット番号160921111、ChemPartner;Tokyo,JP)を加えた。ビオチン-OX40は、0.5μg/mLから開始して8点で1~3倍に希釈し、37℃で1時間インキュベートした。次いでHRP結合ストレプトアビジン(1/5000希釈;50μl/ウェル)を加え、37℃で1時間インキュベートしてから、100μl/ウェルのTMBを加え、室温で15分間インキュベートした。50μl/ウェルのELISA停止液を加えることにより反応を停止した。OD値は、Thermo社のMultiscan Sky分光光度計を使用して450nmの波長で決定した。
【0296】
水素重水素交換質量分析を用いて、結合したエピトープのより詳細な解像度を得た。簡潔に述べると、質量分析(HDX-MS)を使用してH/D交換エピトープマッピングを行い、HFB301001と相互作用するOX40(組換えヒトOX40)のアミノ酸残基を決定した。H/D交換法の一般的な説明は、例えば、Ehring(1999)Analytical Biochemistry 267(2):252-259、およびEngen and Smith(2001)Anal.Chem.73:256A-265Aに記載されている。Hisタグ付きOX40抗原タンパク質はSinobiological(カタログ番号10481-H08H、Sinobiological,Inc.、Beijing,CN)から購入した。HDX-MS実験は、Novabioassays LLCおよびThermoのQ Exactive HF質量分析計によって提供されるペプチド質量測定用の統合HDX/MSプラットフォームで実行した。4.5μLの各試料を75μLの重水標識緩衝液(1×PBS、pD7.4)とともに、20℃で300秒間、600秒間、1800秒間、および3600秒間インキュベートした。4M塩酸グアニジンおよび0.85M TCEPを含む80μLの緩衝液(最終pH2.5)を加えることにより、水素/重水素交換を停止した。次いで、反応停止した試料をオンカラムペプシン/プロテアーゼXIII消化に供した後、LC-MS分析を行った。質量スペクトルはMSのみのモードで記録した。次いで、ペプシン/プロテアーゼXIII消化、LC-MS、およびデータ分析を行った。HDX標識後、4M塩酸グアニジン塩酸および0.85M TCEPを含む80μLの緩衝液(最終pH2.5)を加え、次いで20℃で3分間インキュベートすることにより試料を変性させた。次いで、内部に充填されたペプシン/プロテアーゼXIII(w/w、1:3)カラムを使用して、混合物をオンカラムペプシン/プロテアーゼXIII消化に供した。得られたペプチドを、Q Exactive(商標)およびHybrid Quadrupole-Orbitrap質量分析計(Thermo、Waltham,MA)に連結されたWaters Acquity UPLCからなるUPLC-MSシステムを使用して分析した。ペプチドは、50×1mm C8カラムで、2%~33%の溶媒B(アセトニトリル中の0.2%ギ酸)から開始して20.5分の勾配を用いて分離した。溶媒Aは0.1%ギ酸を含む水であった。注入バルブおよび酵素カラム、ならびにそれに関連する接続チューブは、15℃に維持された冷却ボックス内に配置した。第2のスイッチバルブ、C8カラム、およびそれに関連するステンレス鋼接続チューブは、-6℃に維持された冷蔵循環ボックス内に配置した。ペプチドの同定は、非特異的酵素消化およびヒトのグリコシル化を共通の変数とみなすように変更されたByonics(Protein Metrics、San Carlos,CA)ソフトウェアを使用して、HFB301001配列のMS/MSデータを検索することによって行われた。プリカーサーイオンおよびプロダクトイオンの質量許容差は、それぞれ10ppmおよび0.02Daであった。未加工のMSデータを、H/D交換MSデータを分析するためのHDX WorkBenchソフトウェア(バージョン3.3)を使用して処理した(J.Am.Soc.Mass Spectrom.2012,23(9),1512-1521)。重水素取り込みレベルは、重水素化ペプチドとその非標識形態(t0)との平均質量差を使用して計算した。同じペプチドの重水素取り込みレベルを、抗原単独の試料および抗原抗体複合体の試料で比較した。5%を超える相対的な差異は有意であるとみなした。有意なレベルの重水素取り込みを示す複数の重複ペプチドによりエピトープ領域を定義した。hOX40-hisからの合計46のペプチドが、hOX40.his単独およびHFB301001試料と複合体を形成したhOX40-hisから同定され、それはhOX40の70%の配列カバレッジに相当する(
図13)。5%を超える重水素取り込み値のパーセンテージ差を示したペプチドは、著しく保護されていると定義された。hOX40-hisの場合、アミノ酸56~74 CSRSQNTVCRPCGPGFYNDに対応する領域のペプチドは、HFB301001によって著しく保護されていたため、エピトープとして定義した。
図13に示すように、エピトープ領域を、Compaan and Hymowitz.Structure.2006,14(8),1321-30.から採用された、OX40/OX40L複合体の3Dモデルにマッピングした。HFB301001のエピトープは、配列番号33、CSRSQNTVCRPCGPGFYND(配列番号34)のアミノ酸56~74として定義された。
【0297】
実施例11:OX40リガンドのアゴニスト活性
OX40リガンド(OX40L)のアゴニスト活性を決定するために、OX40バイオアッセイキット(Promega、カタログ番号CS197704;Promega;Madison,WI)を、製造業者のプロトコルに従って使用した。このアッセイでは、ヒトOX40を発現する遺伝子操作されたJurkat T細胞株(OX40エフェクター細胞)、および応答エレメントによって駆動されるルシフェラーゼレポーター遺伝子を使用した。簡潔に述べると、OX40エフェクター細胞を使用前日にアッセイ緩衝液で培養した。アッセイ当日に、OX40Lを段階的に希釈し、プレートに加えた。生物発光シグナルは、5時間の誘導後にBio-Glo Luciferase Assay Systemを使用して定量化した。その結果は、OX40LがOX40エフェクター細胞において用量依存的に生物発光シグナルを誘導することを示した(
図14A)。
【0298】
OX40-Lのアゴニスト活性に対する抗OX40抗体の効果を調べるために、OX40エフェクター細胞を10nM OX40Lの存在下で抗OX40抗体の段階希釈液(HFB301001、ベンチマーク1またはベンチマーク2)とともにインキュベートした。ベンチマーク1およびベンチマーク2は、以前に公開された抗OX40抗体であり、OX40上の抗体エピトープが細胞膜から最も離れているために選択された。他のベンチマークは、OX40のリガンド結合ポケット付近での結合として説明された。5時間の誘導後、Bio-Glo Luciferase Assay Systemを使用して生物発光シグナルを定量化した。ベンチマーク1およびベンチマーク2の両方が、用量依存的にOX40Lアゴニズムをブロックしたが、HFB301001はブロックしなかった(
図14B)。その結果は、HFB301001が、ベンチマーク1およびベンチマーク2とは異なるOX40上の結合部位を認識することができることを示した。結合部位はOX40Lのアゴニスト機能を妨害しない。
【0299】
実施例12:OX40受容体調節
OX40受容体に結合する抗OX40抗体の受容体調節効果を調べるために、Miltenyi社のHuman CD4
+T Isolation Kit(カタログ番号130-096-533、Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach,Germany)を使用してヒト末梢血単核細胞(PBMC)からCD4
+T細胞を単離した。初代CD4
+T細胞を、参照抗体またはHFB301001の段階希釈液、および0.5μg/mLのプレート結合抗CD3抗体
(クローンOKT3、eBioscience、カタログ番号16-0037-81)および2μg/mLの可溶性抗CD28抗体(クローンCD28.2、eBioscience、カタログ番号16-0289-81、eBioscience,Inc.、San Diego,CA)とともにインキュベートし、それらを同時に活性化した。3日間のインキュベーション後、抗OX40抗体(PerCP-Cy5.5、クローンACT35、Thermo Fisher、カタログ番号17-1347-42)で染色することにより、総OX40表面発現を検出した。アイソタイプ対照と比較して、HFB301001はOX40発現を増強し、これは細胞表面上に安定して保持された(
図15A)。ベンチマークを使用したすべての処理で、OX40表面発現は抗体濃度の増加とともにU字型であった。OX40レベルは減少し、約1nMの最低点に達し、その後再び増加した。
【0300】
実施例13:結合親和性の決定
ヒトOX40タンパク質の組換え二量体(mFcタグ付き)形態に対するHFB301001の結合親和性を決定するために、Octet QKe機器でバイオフィルム層干渉(BLI)実験を行った。様々な濃度の組換えヒトOX40タンパク質を、センサーで捕捉した試験抗体またはアイソタイプ対照とpH7.4および25℃で混合した後に解離相が続いた。結合シグナルの変化を記録し、物質移動の制限がある1:1結合モデルを使用して動力学的結合パラメータを決定した。泳動用緩衝液は、0.1%BSAおよび0.1%Tween 20を含むPBS、pH7.4とした。動力学的結合実験の前に、抗ヒトFc捕捉センサーを泳動用緩衝液ですすいだ。機器を25℃の温度になるように調整した。試験抗体およびアイソタイプ対照抗体を泳動用緩衝液で200nMに希釈した。OX40-mFcタンパク質を泳動用緩衝液で250、125、62.5、31.25、15.125nMに希釈した。OX40タンパク質の抗体への結合は、pH7.4および25℃の泳動用緩衝液で測定した。実験は二通り行った。簡潔に述べると、抗ヒトFc捕捉センサーを、最初に泳動用緩衝液中で300秒間ベースライン化した。次いで、センサーを200nM試験抗体溶液と600秒間混合して、抗体をロードした。次いで、センサーを泳動用緩衝液中で300秒間再度ベースライン化した後、様々な濃度のOX40抗原と900秒間会合させた。次いで、センサーを泳動用緩衝液にさらに900秒間浸漬することにより解離を行った。並行して、1つのセンサーを参照実験用に選択し、すべてのローディング、会合、および解離のステップを泳動用緩衝液中で行った。陰性対照実験として別のセンサーを選択し、HFB-TT-hG1アイソタイプ対照抗体をローディングステップに使用し、500nM OX40-mFcタンパク質を会合ステップに使用した。センサーグラムは、Fortebioデータ分析ソフトウェアバージョン8.2(ForteBio、Fremont,CA)により分析した。シグナルは、最初に陰性対照実験から差し引かれ、ベースラインステップを通じて整列させた。動態パラメータは、これらの特定のセンサーグラムを異なる抗原濃度で1:1結合モデルに全体的に適合させることによって得られた。平衡解離定数(KD)は、解離速度定数と会合速度定数との比(KD=kd/ka)に基づいて計算した。HFB301001とヒト由来のOX40タンパク質との相互作用の動力学的結合パラメータは、BLI技術を使用して決定した。このアッセイでは、様々な濃度のOX40タンパク質を使用して、25℃およびpH7.4で捕捉されたHFB10-1E1および他の抗体と相互作用させた。以下の結合親和性表は、計算された動力学的結合パラメータを要約したものである。25℃およびpH7.4で実施された実験では、HFB301001は組換えヒトOX40(hOX40.mFc)タンパク質に、4.5nMのKD値を有する高い親和性で結合した。他の2つの比較抗体は、より遅い解離速度を示し、ベンチマーク1では0.49nM、ベンチマーク2では0.58nMの、より低いKD値をもたらした。HFB301001のヒトOX40-mFcとの相互作用の動力学的結合パラメータは、25℃およびpH7.4でBLI技術により決定した。HFB301001は、1桁のnM親和性で組換えヒトOX40-mFcタンパク質に特異的に結合することができる。HFB301001は、試験した他の比較抗体と比較して、より速い解離速度を示した。
【表7】
【0301】
実施例14.インビボ腫瘍モデル
MC-38マウス結腸がんモデルを、ヒトOX40(hOX40)ノックイン(KI)マウス(カタログ番号NM-HU-00041、Shanghai Model Organisms Center,Inc.)に使用した。MC-38マウス結腸直腸がんモデルにおけるHFB301001の薬力学的(PD)効果を評価するために、45匹の雌のhOX40 KIマウスの右側にMC-38腫瘍細胞(マウス当たり8×105細胞)を皮下接種して腫瘍を発生させた。腫瘍接種の8日後、104~243mm3(平均腫瘍サイズ181mm3)の範囲の腫瘍を有する12匹のマウスを選択し、腫瘍体積に応じた層別ランダム化に基づいて、各群に4匹のマウスを含む3つの群に分けた。マウスに、10mg/kgの用量の抗OX40抗体HFB301001、10mg/kgの用量の抗OX40抗体ベンチマーク1、および10mg/kgの用量のIgG1アイソタイプ対照を注射した。すべての治療薬は、D0(D)日目に腹腔内(ip)注射によって投与した。
【0302】
CD4+T細胞におけるOX40発現を、10mg/kgの抗OX40抗体による3回目の処理の24時間後にフローサイトメトリーによって測定した。ベンチマーク1は、血液中のCD4
+T細胞においてOX40発現の有意な下方制御を誘導したが、HFB301001は誘導しなかった(
図15B)。
【0303】
皮下MC-38マウス結腸直腸がんモデルにおけるHFB301001のインビボ抗腫瘍活性を評価するために、26匹の雌のhOX40 KIマウスの右側にMC-38腫瘍細胞(マウス当たり8×10
5細胞)を皮下接種して腫瘍を発生させた。腫瘍接種の7日後、101~175mm
3(平均腫瘍サイズ133mm
3)の腫瘍サイズを有する20匹のマウスを選択し、腫瘍体積に応じた層別ランダム化に基づいて、各群に5匹のマウスを含む4つの処理群に分けた。マウスに、1mg/kgおよび0.1mg/kgの用量の抗OX40抗体HFB301001、1mg/kgの抗OX40抗体ベンチマーク1、ならびに10mg/kgのIgG1アイソタイプ対照を注射した。すべての治療薬は、D0、D3、D6、D10およびD13に腹腔内注射によって投与した。処理の時点は矢印で示され、エラーバーは平均の標準誤差を示し、有意性は最後の時点での一元配置分散分析によって計算される(*:p値<0.05、**:p値<0.01)。各処理群の腫瘍サイズは、デジタルノギスを使用して測定された腫瘍の直径(幅、長さ)によってランダム化した後、D0、D3、D6、D10、D12、およびD15に測定した。
図16に示すように、HFB301001は、対照と比較して有意な腫瘍増殖阻害をもたらし、ベンチマーク1よりも優れていた。
【0304】
皮下MC-38マウス結腸直腸がんモデルにおけるHFB301001のインビボ抗腫瘍活性を評価するために、80匹の雌hOX40 KIマウスの右側にMC-38腫瘍細胞(マウス当たり8×10
5細胞)を皮下接種して腫瘍を発生させた。腫瘍接種の7日後、42~147mm
3(平均腫瘍サイズ82mm
3)の範囲の腫瘍を有する65匹のマウスを選択し、腫瘍体積に応じた層別ランダム化に基づいて、各群に10匹のマウスを含む7つの処理群に分けた(5匹のマウスしかいなかったPBS群を除く)。処理は、ランダム化の日(0日目(D0)として定義)に開始された。マウスに、10mg/kg、1mg/kgおよび0.1mg/kgの用量の抗OX40抗体HFB301001、10mg/kgおよび1mg/kgの用量の抗OX40抗体ベンチマーク1、ならびに10mg/kgの用量のIgG1アイソタイプ対照を注射した。すべての治療薬は、D0、D3、D6、D10およびD13に腹腔内注射によって投与した。腫瘍サイズおよび動物の体重を、処理開始後から61日目まで少なくとも週に3回測定した。有意性は、ログランク検定によって計算した(*:p値<0.05、**:p値<0.01)。ランダム化後60日間、生存を追跡した。10mg/kgのHFB301001で処理したマウスの生存率は、10mg/kgのベンチマーク1で処理したマウスの生存率よりも有意に高かった(
図17)。
【0305】
抗OX40抗体HFB301001による処理の効果をさらに調べるために、抗OX40抗体による処理後に腫瘍T細胞に誘導された変化を、3回目の処理の24時間後にフローサイトメトリーによって測定した。腫瘍接種の8日後、104~243mm
3(平均腫瘍サイズ181mm
3)の範囲の腫瘍を有する12匹のマウスを選択し、腫瘍体積に応じた層別ランダム化に基づいて、各群に4匹のマウスを含む3つの群に分けた。HFB301001によるKI67
+細胞の有意な増加が、CD4
+およびCD8
+T細胞の両方に観察された(
図18Aおよび
図18B)。加えて、HFB301001によるPD-1
+細胞の有意な減少が、CD4
+およびCD8
+T細胞の両方に観察された(
図18Cおよび
図18D)。さらに、ベンチマークおよびHFB301001の両方が、腫瘍Tregの有意な減少をもたらし、HFB301001群はより顕著な減少を示した(
図18E)。
【0306】
参照文献
Wang,R.,Gao,C.,Raymond,M.,Dito,G.,Kabbabe,D.,Shao,X.,Hilt,E.,Sun,Y.,Pak,I.,Gutierrez,M.,Melero,I.,Spreafico,A.,Carvajal,R.,Ong,M.,Olszanski,A.,Milburn,C.,Thudium,K.,Yang,Z.,Feng,Y.,Fracasso,P.,Korman,A.,Aanur,P.,Huang,S.,Quigley,M.(2019).An Integrative Approach to Inform Optimal Administration of OX40 Agonist Antibodies in Patients with Advanced Solid Tumors,Clinical Cancer Research,https://dx.doi.org/10.1158/1078-0432.CCR-19-0526.
【0307】
本発明の原理は、好ましい実施形態に関連して上に記載してきたが、この記載は、本発明の範囲を限定するものではなく、単なる例として与えられていることを理解されたい。
本発明は非限定的に、以下の態様を含む。
[態様1]
単離された抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
配列番号1に示される重鎖CDR1構造ドメイン、配列番号2に示される重鎖CDR2構造ドメイン、および配列番号3に示される重鎖CDR3構造ドメインを有する、重鎖可変領域と、
配列番号9に示される軽鎖CDR1ドメイン、配列番号10に示される軽鎖CDR2ドメイン、および配列番号11に示される軽鎖CDR3ドメインを有する、軽鎖可変領域と、を含む、抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様2]
配列番号4に示される重鎖可変領域、または配列番号4と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する重鎖可変領域と、
配列番号12に示される軽鎖可変領域、または配列番号12と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する軽鎖可変領域と、を含む、態様1に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様3]
重鎖定常領域および軽鎖定常領域をさらに含み、
好ましくは、前記重鎖定常領域が、配列番号5に示される重鎖定常領域、または配列番号5と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する重鎖定常領域であり、かつ/または
好ましくは、前記軽鎖定常領域が、配列番号13に示される軽鎖定常領域、または配列番号13と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する軽鎖定常領域である、態様1または2に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様4]
前記重鎖可変領域に連結された重鎖シグナルペプチドおよび/または前記軽鎖可変領域に連結された軽鎖シグナルペプチドをさらに含み、
好ましくは、前記重鎖シグナルペプチドが、配列番号6に示される重鎖シグナルペプチド、または配列番号6と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する重鎖シグナルペプチドであり、かつ/または、
好ましくは、前記軽鎖シグナルペプチドが、配列番号14に示される軽鎖シグナルペプチド、または配列番号14と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の相同性を有する軽鎖シグナルペプチドである、態様1~3のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様5]
IgG抗体またはその抗原結合フラグメントであり、好ましくはIgG1抗体またはその抗原結合フラグメントである、態様1~4のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様6]
モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである、態様1~5のいずれか
一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様7]
前記抗原結合フラグメントが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFvまたはsdAbである、態様1~6のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様8]
態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントと、追加の治療薬と、を含む抗体-薬物複合体であって、好ましくは、前記抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントが、リンカーを介して前記追加の治療薬に連結される、抗体-薬物複合体。
[態様9]
態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする、核酸。
[態様10]
配列番号20に示される重鎖可変領域ヌクレオチドコード配列、および/または配列番号28に示される軽鎖可変領域ヌクレオチドコード配列を含み、
好ましくは、前記核酸が、配列番号21に示される重鎖定常領域ヌクレオチドコード配列、および/または配列番号29に示される軽鎖定常領域ヌクレオチドコード配列をさらに含む、態様9に記載の核酸。
[態様11]
態様9または10に記載の核酸を含む、発現ベクター。
[態様12]
態様9または10に記載の核酸または態様11に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
[態様13]
態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメントを調製するための方法であって、前記抗体またはその抗原結合フラグメントを発現するのに好適な条件下で、態様12に記載の宿主細胞を培養することと、発現した抗体またはその抗原結合フラグメントを培養培地から回収することと、を含む、方法。
[態様14]
態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または態様8に記載の抗体-薬物複合体、または態様9もしくは10に記載の核酸、または態様11に記載の発現ベクターと、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
[態様15]
がんの治療に使用される、態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または態様8に記載の抗体-薬物複合体、または態様14に記載の医薬組成物。
[態様16]
前記がんが、扁平上皮がん(例えば、上皮扁平細胞がん)、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん、および肺の扁平上皮がんを含む)、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん(胃腸がんおよび胃腸間質がんを含む)、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、肝腫瘍、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がん、肛門がん、陰茎がん、黒色腫、びまん性表層黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒色腫、結節性黒色腫、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ケロイドに関連する異常な血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連する)、ならびにメイグス症候群、脳腫瘍および脳がん、頭頸部がん、ならびに付随する転移から選択される、態様15に記載の抗O
X40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または抗体-薬物複合体、または医薬組成物。
[態様17]
がんの治療のための方法であって、前記がんを治療するために、それを必要とする対象に、治療有効量の態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または態様8に記載の抗体-薬物複合体、または態様14に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[態様18]
前記がんが、扁平上皮がん(例えば、上皮扁平細胞がん)、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん、および肺の扁平上皮がんを含む)、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん(胃腸がんおよび胃腸間質がんを含む)、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、肝腫瘍、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がん、肛門がん、陰茎がん、黒色腫、びまん性表層黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒色腫、結節性黒色腫、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ケロイドに関連する異常な血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連する)、ならびにメイグス症候群、脳腫瘍および脳がん、頭頸部がん、ならびに付随する転移から選択される、態様17に記載の方法。
[態様19]
がんを治療するための薬物の調製における、態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または態様8に記載の抗体-薬物複合体、または態様14に記載の医薬組成物の使用。
[態様20]
前記がんが、扁平上皮がん(例えば、上皮扁平細胞がん)、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん、および肺の扁平上皮がんを含む)、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん(胃腸がんおよび胃腸間質がんを含む)、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、肝腫瘍、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がん、肛門がん、陰茎がん、黒色腫、びまん性表層黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒色腫、結節性黒色腫、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ケロイドに関連する異常な血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連する)、ならびにメイグス症候群、脳腫瘍および脳がん、頭頸部がん、ならびに付随する転移から選択される、態様19に記載の使用。
[態様21]
Treg機能を阻害する(例えば、Tregの抑制機能を阻害する)こと、OX40を発現する細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞)を死滅させること、エフェクターT細胞機能を増強するかつ/もしくはメモリーT細胞機能を増強すること、腫瘍免疫を低下させること、T細胞機能を増強することならびに/またはOX40発現細胞を枯渇させること、のうちの1つ以上において使用される、態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または態様8に記載の抗体-薬物複合体、または態様14に記載の医薬組成物。
[態様22]
Treg機能を阻害する(例えば、Tregの抑制機能を阻害する)こと、OX40を発現する細胞(例えば、高レベルのOX40を発現する細胞)を死滅させること、エフェクターT細胞機能を増強するかつ/もしくはメモリーT細胞機能を増強すること、腫瘍免疫を低下させること、T細胞機能を増強することならびに/またはOX40発現細胞を枯
渇させること、のうちの1つ以上のための薬物の調製における、態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または態様8に記載の抗体-薬物複合体、または態様14に記載の医薬組成物の使用。
[態様23]
態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または態様8に記載の抗体-薬物複合体、または態様14に記載の医薬組成物と、1つ以上の追加の治療薬と、を含む、薬学的組み合わせ。
[態様24]
態様1~7のいずれか一項に記載の抗OX40抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または態様8に記載の抗体-薬物複合体、または態様14に記載の医薬組成物を含み、好ましくは薬物送達デバイスをさらに含む、キット。
【0308】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【配列表】