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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-26
(45)【発行日】2025-07-04
(54)【発明の名称】半導体駆動装置及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20250627BHJP
【FI】
H02M1/08 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023566998
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 JP2022027184
(87)【国際公開番号】W WO2024013779
(87)【国際公開日】2024-01-18
【審査請求日】2023-10-31
【審判番号】
【審判請求日】2024-08-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】恩田 航平
【合議体】
【審判長】吉田 美彦
【審判官】山崎 慎一
【審判官】脇岡 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-161343号公報(JP,A)
【文献】特開2019-176162号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゲート端子を有するマルチゲート型半導体スイッチング素子を駆動する半導体駆動装置であって、
外部からのオンオフ指令信号に基づき前記複数のゲート端子に対するゲートオン指令信号をそれぞれオンオフするタイミング生成部と、
前記ゲートオン指令信号のオンオフに基づき前記複数のゲート端子の中の少なくとも1つの第1ゲート端子に対応する第1ゲート指令波形及び少なくとも1つの第2ゲート端子に対応する第2ゲート指令波形をそれぞれ生成し、前記マルチゲート型半導体スイッチング素子の非導通状態から導通状態への移行時及び導通状態から非導通状態への移行時のいずれか一方または両方において、前記第1ゲート指令波形及び前記第2ゲート指令波形のいずれか一方または両方を出力するゲート指令波形生成部と、
前記第1ゲート指令波形及び前記第2ゲート指令波形のいずれか一方または両方を入力波形として、出力波形が前記入力波形に追従するように前記入力波形を増幅する信号増幅部と、を備え、
前記第1ゲート指令波形及び前記第2ゲート指令波形は予め設定された時間差を有する同一の波形形状であることを特徴とする半導体駆動装置。
【請求項2】
複数のゲート端子を有するマルチゲート型半導体スイッチング素子を駆動する半導体駆動装置であって、
外部からのオンオフ指令信号に基づき前記複数のゲート端子に対するゲートオン指令信号をそれぞれオンオフするタイミング生成部と、
前記ゲートオン指令信号のオンオフに基づき前記複数のゲート端子の中の少なくとも1つの第1ゲート端子に対応する第1ゲート指令波形及び少なくとも1つの第2ゲート端子に対応し、前記第1ゲート指令波形に対して予め設定された時間差を有する第2ゲート指令波形をそれぞれ生成し、前記マルチゲート型半導体スイッチング素子の非導通状態から導通状態への移行時及び導通状態から非導通状態への移行時の両方において、前記第1ゲート指令波形及び前記第2ゲート指令波形を出力するゲート指令波形生成部と、
前記第1ゲート指令波形及び前記第2ゲート指令波形を入力波形として、出力波形が前記入力波形に追従するように前記入力波形を増幅する信号増幅部と、を備え、
前記ゲート指令波形生成部は、前記マルチゲート型半導体スイッチング素子の非導通状態から導通状態への移行時における前記第2ゲート指令波形の一部に、前記第2ゲート指令波形の1階微分値が不連続に減少する形状を含ませ、導通状態から非導通状態への移行時における前記第2ゲート指令波形の一部に、前記第2ゲート指令波形の1階微分値が不連続に増加する形状を含ませることを特徴とする半導体駆動装置。
【請求項3】
前記マルチゲート型半導体スイッチング素子の少なくとも前記第1ゲート端子に対して、前記第2ゲート端子を含む他のゲート端子よりも時間的に先行して閾値電圧以上の電圧が印加されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体駆動装置。
【請求項4】
前記マルチゲート型半導体スイッチング素子の少なくとも前記第1ゲート端子に対して、前記第2ゲート端子を含む他のゲート端子よりも時間的に先行して閾値電圧未満の電圧が印加されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体駆動装置。
【請求項5】
前記ゲート指令波形生成部は、演算増幅器を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体駆動装置。
【請求項6】
前記マルチゲート型半導体スイッチング素子は、マルチゲート型IGBT、RC-IGBT、IGBT及びMOSFETを並列配置したハイブリッド素子のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体駆動装置。
【請求項7】
半導体スイッチング素子としてマルチゲート型半導体スイッチング素子を有し、直流電力を交流電力に変換するインバータ装置、直流電力の電圧を昇圧させる昇圧コンバータ装置、直流電力の電圧を降圧させる降圧コンバータ装置、交流電力を直流電力に変換するAC-DCコンバータ装置、前記昇圧コンバータ装置及び前記インバータ装置を含む昇圧型インバータ装置、前記降圧コンバータ装置及び前記インバータ装置を含む降圧型インバータ装置のいずれか1つと、
前記マルチゲート型半導体スイッチング素子を駆動する請求項1または2に記載の半導体駆動装置と、
を備える電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体駆動装置及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策の一つとして、パワーエレクトロニクス技術による省エネ化の期待が高まっている。特に、複数の半導体スイッチング素子をオン/オフさせる動作によって実現している電力変換装置の高効率化に向けて、電力変換装置を構成する半導体スイッチング素子の低損失化が求められている。
【0003】
代表的な半導体スイッチング素子として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、及びMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの電圧駆動型の半導体スイッチング素子と、半導体スイッチング素子に並列に配置して整流機能を果たすダイオードが挙げられる。
【0004】
半導体スイッチング素子の導通損失及びスイッチング損失のトレードオフを改善する手段として、独立した2つのゲート端子を備えたダブルゲート型半導体スイッチング素子の適用がある。ダブルゲート型半導体スイッチング素子は、例えばターンオフ動作の際に、一方のゲート端子を他方のゲート端子に対して十分に先行してオフした後に、他方のゲート端子をオフするように制御する点に特徴がある。かかる制御方法によれは、ダブルゲート型半導体スイッチング素子内の一部のキャリアを予め引き抜いた状態でターンオフ動作することになるため、キャリアの引き抜き時間を短縮できるので、ターンオフ損失を低減することが可能となる。
【0005】
さらに、一方のゲート端子をオン/オフさせた後に他方のゲート端子をオン/オフするタイミングがスイッチング動作期間内となるように両者のオン/オフ動作間の時間差を短く設定することで、スイッチング特性を過渡的に可変とする効果、すなわちアクティブゲート効果を得ることもできる。
【0006】
例えば、シングルゲート型半導体スイッチング素子のアクティブゲート効果の一例として、ターンオン動作期間中にゲート抵抗を切り替える方法がある。かかる切り替え方法を適用することにより、半導体スイッチング素子のターンオン損失と対向アームのダイオードのリカバリ電圧変化率dV/dtとのトレードオフ関係を改善することが知られている。これに対して、ダブルゲート型半導体スイッチング素子では、2つのゲート端子における時間差による駆動によって、上述の切り替え方法と類似した効果を得ることができる。
【0007】
ダブルゲート型導体スイッチング素子の2つのゲート端子に時間差を与えて駆動する方法として、例えば特許文献1に開示された半導体装置及び半導体装置の制御方法では、半導体装置が制御信号入力端子に入力された信号を遅延時間Lだけ遅延させる遅延部と、制御信号入力端子に入力された信号と遅延部で遅延した信号との論理積を演算する論理積部とを備え、遅延部の出力と論理積部の出力をダブルゲート型IGBTの2つのゲート端子のそれぞれに接続する構成が示されている。特許文献1に開示された半導体装置の構成において、2つのゲート端子に与える電圧波形の時間差を短く設定した場合には、上述したアクティブゲート効果を得ることができる。
【0008】
また、特許文献2に記載された半導体装置及び半導体装置の駆動方法において、ダブルゲート型IGBTの非導通状態から導通状態への移行時に、第1のゲート端子に対して第2のゲート端子よりも第1の所定時間先行して閾値電圧以上の電圧が印加され、導通状態から非導通状態への移行時に第2のゲート端子に対して第1のゲート端子よりも第2の所定時間先行して閾値電圧未満の電圧が印加され、非導通状態から導通状態への移行時及び導通状態から非導通状態への移行時に発生するコレクタ電圧の時間変化が略一定となるように第1の所定時間及び第2の所定時間を可変に制御する方法が開示されている。
【0009】
上述の構成において2つのゲート電極に与える電圧波形の時間差を短く設定した場合には、電圧波形の時間差を変化させることでノイズに起因する電圧変化率dV/dt及びサージ電圧の負荷電流及び温度等に対するロバスト性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2019-103286号公報
【文献】特開2020-162022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、例えば特許文献1に記載の半導体装置及び半導体装置の制御方法において、ダブルゲート型IGBTの一方のゲート端子をオン/オフさせた後に他方のゲート端子をオン/オフするタイミングがスイッチング動作期間内になるように時間差を短く設定して上述のアクティブゲート効果を得ようとする場合、スイッチング動作期間内で遅延させた制御信号入力端子がオンすることで、ノイズ及びサージ電圧が増加するという第1の課題、及びスイッチング動作期間内で遅延させた制御信号入力端子をオンする駆動方法では、アクティブゲート駆動の一般的な課題である、負荷電流、温度、ゲート閾値電圧ばらつきといった諸条件に対するロバスト性という第2の課題が生じる。
【0012】
本開示は上記のような問題点を解消するためになされたもので、マルチゲート型半導体スイッチング素子のスイッチング動作において発生するノイズ及びサージ電圧とスイッチング損失とのトレードオフを改善する、ロバスト性に優れた半導体駆動装置及び電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係る半導体駆動装置は、
複数のゲート端子を有するマルチゲート型半導体スイッチング素子を駆動する半導体駆動装置であって、
外部からのオンオフ指令信号に基づき前記複数のゲート端子に対するゲートオン指令信号をそれぞれオンオフするタイミング生成部と、
前記ゲートオン指令信号のオンオフに基づき前記複数のゲート端子の中の少なくとも1つの第1ゲート端子に対応する第1ゲート指令波形及び少なくとも1つの第2ゲート端子に対応する第2ゲート指令波形をそれぞれ生成し、前記マルチゲート型半導体スイッチング素子の非導通状態から導通状態への移行時及び導通状態から非導通状態への移行時のいずれか一方または両方において、前記第1ゲート指令波形及び前記第2ゲート指令波形のいずれか一方または両方を出力するゲート指令波形生成部と、
前記第1ゲート指令波形及び前記第2ゲート指令波形のいずれか一方または両方を入力波形として、出力波形が前記入力波形に追従するように前記入力波形を増幅する信号増幅部と、を備え、
前記第1ゲート指令波形及び前記第2ゲート指令波形は予め設定された時間差を有する同一の波形形状であることを特徴とする。











【0014】
本開示に係る電力変換装置は、
半導体スイッチング素子としてマルチゲート型半導体スイッチング素子を有し、直流電力を交流電力に変換するインバータ装置、直流電力の電圧を昇圧させる昇圧コンバータ装置、直流電力の電圧を降圧させる降圧コンバータ装置、交流電力を直流電力に変換するAC-DCコンバータ装置、前記昇圧コンバータ装置及び前記インバータ装置を含む昇圧型インバータ装置、前記降圧コンバータ装置及び前記インバータ装置を含む降圧型インバータ装置のいずれか1つと、
上述の前記マルチゲート型半導体スイッチング素子を駆動する半導体駆動装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る半導体駆動装置及び半導体駆動装置を用いた電力変換装置によれば、ゲート指令波形に追従するようなフィードフォワード制御によってダブルゲート型半導体スイッチング素子のゲート駆動を実現する構成としたので、ゲート端子電圧の変化率を自在に抑制することが可能となり、この結果、ダブルゲート型半導体スイッチング素子におけるゲート端子間の短時間での時間差による駆動であっても、ノイズ及びサージ電圧を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1に係る半導体駆動装置の構成を表すブロック図である。
図2A】実施の形態1に係る半導体駆動装置における信号増幅部の具体的構成の一例を表す回路図である。
図2B】実施の形態1に係る半導体駆動装置における信号増幅部の具体的構成の一例を表す回路図である。
図2C】実施の形態1に係る半導体駆動装置における信号増幅部の具体的構成の一例を表す回路図である。
図2D】実施の形態1に係る半導体駆動装置における信号増幅部の具体的構成の一例を表す回路図である。
図3A】実施の形態1に係る半導体駆動装置におけるゲート指令生成部の具体的構成の一例を表す図である。
図3B】実施の形態1に係る半導体駆動装置におけるゲート指令生成部の具体的構成の一例を表す図である。
図3C】実施の形態1に係る半導体駆動装置におけるゲート指令生成部の具体的構成の一例を表す図である。
図3D】実施の形態1に係る半導体駆動装置におけるゲート指令生成部の具体的構成の一例を表す図である。
図3E】実施の形態1に係る半導体駆動装置におけるゲート指令生成部の具体的構成の一例を表す図である。
図3F】実施の形態1に係る半導体駆動装置におけるゲート指令生成部の具体的構成の一例を表す図である。
図4A】実施の形態1に係る半導体駆動装置におけるゲート指令生成部の具体的構成の一例を表す図である。
図4B】実施の形態1に係る半導体駆動装置におけるゲート指令生成部の具体的構成の一例を表す図である。
図5】実施の形態1に係る半導体駆動装置における各信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
図6】実施の形態1の変形例1に係る半導体駆動装置における各信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
図7】実施の形態1の変形例2に係る半導体駆動装置における各信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
図8】実施の形態2に係る半導体駆動装置の構成を表すブロック図である。
図9】実施の形態3に係る電力変換装置の構成を表すブロック図である。
図10】実施の形態4に係る電力変換装置の構成を表すブロック図である。
図11】実施の形態5に係る電力変換装置の構成を表すブロック図である。
図12】比較例による半導体駆動装置におけるゲート駆動部の構成例を示す回路図である。
図13】比較例による半導体駆動装置において、2つのゲート端子に短い時間差を与えた場合のターンオン駆動の問題を説明する模式的な波形図である。
図14】実施の形態1に係る半導体駆動装及び実施の形態2から5に係る電力変換装置のハードウエアの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
以下、図面に基づいて実施の形態1について説明する。なお、以下に記載の説明では、同様の構成要素または相当する構成要素には各々同じ符号を付けて示すものとする。なお、半導体駆動装置100に入力される上位からのオンオフ指令信号を絶縁するためのアイソレータ部品、例えばフォトカプラ、光ファイバモジュール、パルストランスなどをはじめとして、ゲートの電圧保護用のクランプダイオード及び短絡保護回路などの要素は記載を省略している。
【0018】
<実施の形態1に係る半導体駆動装置の構成>
図1は、実施の形態1に係る半導体駆動装置100の構成を表すブロック図である。なお、図1では半導体駆動装置100の一例として、ダブルゲート型IGBT20及びダイオード21を組み合わせたIGBTモジュール25を駆動する構成を挙げている。ダブルゲート型IGBT20のゲート端子に印加される駆動電圧、つまりゲート電圧Vgeは、エミッタ電位FGを基準として正側電圧をVP、負側電圧をVNとする。
【0019】
実施の形態1に係る半導体駆動装置100は、タイミング生成部12と、ゲート指令波形生成部13と、信号増幅部14と、駆動電圧生成部15と、を備える。ゲート指令波形生成部13は、さらに、第1ゲート指令波形生成部13Aと、第2ゲート指令波形生成部13Bと、を備える。信号増幅部14は、さらに、第1信号増幅部14Aと、第2信号増幅部14Bと、を備える。
【0020】
タイミング生成部12は、半導体駆動装置100の外部から入力されたオンオフ指令信号Sgdに基づき、ダブルゲート型IGBT20のスイッチングゲートである第1ゲート端子Gsの駆動タイミングと、ダブルゲート型IGBT20のコントロールゲートである第2ゲート端子Gcの駆動タイミングをそれぞれ生成し、第1ゲートオン指令信号Sg1及び第2ゲートオン指令信号Sg2として出力する。なお、第1ゲートオン指令信号Sg1はダブルゲート型IGBT20の第1ゲート端子Gsに対応する信号であり、第2ゲートオン指令信号Sg2はダブルゲート型IGBT20の第2ゲート端子Gcに対応する信号である。
【0021】
ゲート指令波形生成部13は、タイミング生成部12から出力された第1ゲートオン指令信号Sg1に基づき、第1ゲート指令波形生成部13Aにおいて第1ゲート指令波形Vgr1を生成する。また、ゲート指令波形生成部13は、タイミング生成部12から出力された第2ゲートオン指令信号Sg2に基づき、第2ゲート指令波形生成部13Bにおいて第2ゲート指令波形Vgr2を生成する。
【0022】
信号増幅部14は、ゲート指令波形生成部13から出力された第1ゲート指令波形Vgr1及び第2ゲート指令波形Vgr2をそれぞれ増幅し、半導体駆動装置100の外部に設けられたダブルゲート型IGBT20に出力する。つまり、第1信号増幅部14Aは入力された第1ゲート指令波形Vgr1を増幅して第1ゲート電圧VgeSを出力し、第2信号増幅部14Bは入力された第2ゲート指令波形Vgr2を増幅して第2ゲート電圧VgeCを半導体駆動装置100の外部に設けられたダブルゲート型IGBT20に出力する。第1ゲート電圧VgeSはダブルゲート型IGBT20の第1ゲート端子Gsに、第2ゲート電圧VgeCはダブルゲート型IGBT20の第2ゲート端子Gcに、それぞれ印加される。
【0023】
実施の形態1に係る半導体駆動装置100は、ゲート指令波形生成部13においてゲート指令波形を予め所望の波形に生成し、信号増幅部14において、ゲート指令波形を増幅することにより、ダブルゲート型IGBT20をゲート指令波形に追従するように、すなわち、フィードフォワード制御によってダブルゲート型半導体スイッチング素子のゲート駆動を実現する構成とした点に特徴がある。
【0024】
<実施の形態1に係る半導体駆動装置の各部の構成>
実施の形態1に係る半導体駆動装置100を構成する各部、すなわちタイミング生成部12、ゲート指令波形生成部13、信号増幅部14の具体的構成を以下に説明する。なお、各部は図示した構成に限られるものではなく、図示した構成を組み合わせたり、部品を追加したり、あるいは同一機能を実現する別の構成で構成したりすることができる。
【0025】
<信号増幅部14の具体的構成例>
図2A、2B、2C、2Dは、それぞれ実施の形態1に係る半導体駆動装置100の信号増幅部14における第1信号増幅部14A及び第2信号増幅部14Bの具体的構成の一例を表す回路図である。図2A、2B、2C、2Dにおいては、構成の簡略化のためにベース抵抗の記載を省略しているが、必要に応じてベース抵抗を追加するものとする。信号増幅部14は、第1ゲート指令波形及び第2ゲート指令波形のいずれか一方または両方を入力波形として、出力波形が入力波形に追従するように入力波形を増幅する。
【0026】
上述の「出力波形が入力波形に追従するように入力波形を増幅する。」について、以下に説明する。
半導体駆動装置100としては、入力信号であるゲート指令波形をゲート端子に与えたいが、半導体駆動装置100に接続される負荷容量が大きい場合は、出力電圧波形は入力信号の波形とは変わってくる。例えば、ゲート指令波形では、負荷容量の動的な変化によってミラー期間(テラス状の停滞期間)が現れようとするが、信号増幅部14はミラー期間に大電流を流してゲート指令波形と一致するように、つまり追従するように動作する。逆に、負荷インピーダンスが多くなれば、信号増幅部14は電流を減らしてゲート指令波形と一致するように、つまり追従するように動作する。例えば、信号増幅部14が図2Aの構成であれば、図2Aの右側の出力電圧は、図2Aの左側のベース電圧に一致するように自動的に電流が調整される。かかる調整は、出力波形が入力波形に追従するように入力波形を増幅する、と言える。したがって、信号増幅部14の電圧の増幅率は1であっても良い。
【0027】
図2Aは、信号増幅部14Pの構成を表す回路図である。信号増幅部14Pは、NPNトランジスタQ1及びPNPトランジスタQ2によって構成される相補型エミッタフォロワ回路によって構成される。後述する図12に示す比較例の定電圧駆動回路では、ゲート抵抗によってゲート電流が制限されていた。実施の形態1に係る半導体駆動装置100の信号増幅部14Pの構成では、入力した電圧波形に出力波形が追従するようにゲート電流が自動調整される。
【0028】
信号増幅部14Pでは、NPNトランジスタQ1及びPNPトランジスタQ2の閾値電圧だけ出力電圧は低下し、かつゲート電流の最大値はNPNトランジスタQ1及びPNPトランジスタQ2の電流駆動性能で制限されるため、入力した電圧波形と出力波形との間に波形の差異が生じる場合がある。NPNトランジスタQ1及びPNPトランジスタQ2の閾値電圧に起因した出力波形のひずみが生じる不具合を防止する方法として、ベース端子に閾値電圧を補償するダイオードを加えるという公知の方法を適用しても良い。
【0029】
図2Bは、信号増幅部14Qの構成を表す回路図である。信号増幅部14Qは、NPNトランジスタQ1及びPNPトランジスタQ2並びにNPNトランジスタQ3及びPNPトランジスタQ4によってそれぞれ構成される相補型エミッタフォロワ回路によって構成される。上述の信号増幅部14Pが一段の相補型エミッタフォロワ回路で構成されていたのに対して、信号増幅部14Qは、二段の相補型エミッタフォロワ回路で構成している点に特徴がある。信号増幅部14Qの構成によれば、信号増幅部14として電流駆動力をより一層増加させる効果を奏する。
【0030】
図2Cは、信号増幅部14Rの構成を表す回路図である。信号増幅部14Rは、NPNトランジスタQ1及びPNPトランジスタQ2で構成される相補型エミッタフォロワ回路の前段にオペアンプOP1(演算増幅器)を用いたヴォルテージフォロワ回路を追加して構成される。信号増幅部14Rの構成によれば、後段の相補型エミッタフォロワ回路のNPNトランジスタQ1及びPNPトランジスタQ2のベース電流として電流が消費されることにより入力した電圧波形が変化することを防止する効果を奏する。
【0031】
図2Dは、信号増幅部14Sの構成を表す回路図である。信号増幅部14Sは、NPNトランジスタQ1及びPNPトランジスタQ2によって構成される相補型エミッタフォロワ回路のオフ側にゲート抵抗R2を加えて構成される。信号増幅部14Sの構成によれば、実施の形態1に係る半導体駆動装置100が奏する効果が高いターンオン動作時に信号増幅部14Sを適用することにより、ターンオフ動作時は従来の定電圧駆動とすることでゲート指令波形生成部13の構成を簡素化することができる。
【0032】
<ゲート指令波形生成部13の具体的構成例I>
図3A、3B、3C、3D、3E、3Fは、それぞれ実施の形態1に係る半導体駆動装置100のゲート指令波形生成部13における第1ゲート指令波形生成部13A及び第2ゲート指令波形生成部13Bの具体的構成の一例を表す回路図である。ゲート指令波形生成部13は、第1ゲート指令波形の微分値及び第2ゲート指令波形の微分値のいずれか一方または両方を制御することにより波形を制御することを特徴とする。
【0033】
図3Aは、ゲート指令波形生成部13Pを表す回路図である。ゲート指令波形生成部13Pは、ゲート指令波形として、抵抗R3とコンデンサC1によるCR充放電波形、つまり電圧の2階微分値がゼロ未満(dV/dt<0)となる波形を生成する。抵抗R4は後段の信号増幅部14のベース電流を制限するベース抵抗の役割を果たす。なお、少なくとも1つのゲート指令波形の一部に、静電容量及び抵抗によって生成される充電電圧形状または放電電圧形状が含まれれば良い。
【0034】
図3Bは、ゲート指令波形生成部13Qを表す回路図である。ゲート指令波形生成部13Qは、図3Aに示すゲート指令波形生成部13Pの抵抗R3の代わりに定電流ダイオードDS1及びDS2を用いた構成からなる。ゲート指令波形生成部13Qは、傾きが一定のランプ型波形、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を生成する。
【0035】
図3Cは、ゲート指令波形生成部13Rを表す回路図である。ゲート指令波形生成部13Rは、図3Aに示すゲート指令波形生成部13Pの抵抗R3に対して並列にツェナーダイオードDZ1及びDZ2並びに抵抗R5を設けた構成である。ゲート指令波形生成部13Rは、ターンオン開始直後及びターンオフ開始直後にコンデンサC1の充電電流及び放電電流を大きくすることにより、ゲート指令波形の傾きの大きさを増大させるように機能する。
【0036】
図3Dは、ゲート指令波形生成部13Sを表す回路図である。ゲート指令波形生成部13Sは、図3Aに示すゲート指令波形生成部13Pに対する図3Cに示すゲート指令波形生成部13Rへの変更と同様の変更を図3B示すゲート指令波形生成部13Qに加えた構成である。すなわち、図3B示すゲート指令波形生成部13Qの定電流ダイオードDS1及びDS2に対して並列にツェナーダイオードDZ1及びDZ2並びに抵抗R5を設けた構成である。
【0037】
図3Eは、ゲート指令波形生成部13Tを表す回路図である。ゲート指令波形生成部13Tは、図3Aに示すゲート指令波形生成部13Pの抵抗R3に対して並列にダイオードD2及び抵抗R5を加えることで、ターンオフ動作時のゲート指令波形を矩形波状にするとともに、図2Dに示す信号増幅部14Sと組み合わせてターンオフ動作を定電圧駆動にすることを想定した構成である。
【0038】
図3Fは、ゲート指令波形生成部13Uを表す回路図である。ゲート指令波形生成部13Uは、図3Aに示すゲート指令波形生成部13Pに対する図3Eに示すゲート指令波形生成部13Tの変更と同様の変更を、図3Bに示すゲート指令波形生成部13Qに加えたものである。すなわち、図3B示すゲート指令波形生成部13Pの抵抗R3に対して並列にダイオードD2及び抵抗R5を加えた構成である。
【0039】
<ゲート指令波形生成部13の具体的構成例II>
上述の図3Aから3Fに示すゲート指令波形生成部13の各構成例は、抵抗、コンデンサ、ダイオード類を用いた構成であった。一方、以下に説明する図4A及び4Bに示すゲート指令波形生成部13の各例は、オペアンプ(演算増幅器)、コンパレータなどを用いた構成例である。
【0040】
図4Aは、ゲート指令波形生成部13Vを表す回路図である。ゲート指令波形生成部13Vは、論理反転回路INV1及びオペアンプOP2(演算増幅器)、抵抗R6、抵抗R7、コンデンサC2によって構成された積分回路を組み合わせた構成である。ゲート指令波形生成部13Vは、図3Bに示すゲート指令波形生成部13Pと同様の波形である傾きが一定のランプ型波形、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を生成する。
【0041】
図4Bは、ゲート指令波形生成部13Wを表す回路図である。ゲート指令波形生成部13Wは、コンパレータCP1、CP2で構成されるVrefL以上VrefH未満の基準範囲を判定するウィンドウコンパレータと、ツェナーダイオードDZ3とNPNトランジスタQ3とで構成される電圧制限回路と、定電流ダイオードDS3、DS4及びコンデンサC3並びに定電流ダイオードDS5、DS6及びコンデンサC4の二つの同一なランプ型波形生成回路と、抵抗R8及び抵抗R9で構成される。ゲート指令波形生成部13Wによって生成される波形は、基準となるランプ型波形がVrefL以上VrefH未満の基準範囲内にある場合に、出力するランプ型波形にDZ3のツェナー電圧によって決定されるテラス型波形、つまり電圧の1階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を設けることができる。
【0042】
<実施の形態1に係る半導体駆動装置の動作>
図5は、実施の形態1に係る半導体駆動装置100の動作を表す各信号のタイミングチャートの一例を示す図である。実施の形態1に係る半導体駆動装置100のゲート指令波形生成部13の具体的構成として、図3Aに示すゲート指令波形生成部13Pを適用している。ゲート指令波形生成部13Pは、ゲート指令波形として、抵抗R3とコンデンサC1によるCR充放電波形、つまり電圧の2階微分値がゼロ未満(dV/dt<0)の波形を生成する。なお、少なくとも1つのゲート指令波形の一部に、静電容量及び抵抗によって生成される充電電圧形状または放電電圧形状が含まれれば良い。
【0043】
図5に示す各波形は、上側から順に、オンオフ指令信号Sgd、第1ゲートオン指令信号Sg1、第2ゲートオン指令信号Sg2、第1ゲート指令波形Vgr1及び第2ゲート指令波形Vgr2、第1ゲート電圧VgeS、第2ゲート電圧VgeC、コレクタ電流Ic、コレクタ電圧Vceである。
【0044】
以下、実施の形態1に係る半導体駆動装置100の動作について、図5を参照しながら説明する。
<実施の形態1に係る半導体駆動装置のターンオン動作>
まず、オンオフ指令信号Sgdがオフからオンになった際、つまりターンオン動作時の各信号の一連の動作を説明する。時間t5において、外部からのオンオフ指令信号Sgdがオフからオンとなる。つまり、オンオフ指令信号SgdはLo状態からHi状態となる。時間t5において、オンオフ指令信号Sgdのオン動作に基づき、タイミング生成部12は第1ゲートオン指令信号Sg1を出力する。つまり、第1ゲートオン指令信号Sg1は、Lo状態からHi状態となる。
【0045】
時間t6において、オンオフ指令信号Sgdのオン動作に基づき、タイミング生成部12は第2ゲートオン指令信号Sg2を出力する。第2ゲートオン指令信号Sg2は、第1ゲートオン指令信号Sg1に対して予め設定された時間、つまりt6-t5の時間差分、遅延させて出力される。
【0046】
時間t5において、第1ゲートオン指令信号Sg1のオン動作に基づき、第1ゲート指令波形生成部13Aは第1ゲート指令波形Vgr1を生成する。第1ゲート指令波形Vgr1は時間t5から立ち上がるが、第1ゲート指令波形生成部13Aとしてゲート指令波形生成部13Pの回路構成が適用されているため、電圧の増加率を制限するような波形、つまり電圧の2階微分値がゼロ未満(dV/dt<0)となる波形を呈する。
【0047】
時間t6において、第2ゲートオン指令信号Sg2のオン動作に基づき、第2ゲート指令波形生成部13Bは第2ゲート指令波形Vgr2を生成する。第2ゲート指令波形Vgr2は時間t6から立ち上がるが、第2ゲート指令波形生成部13Bとしてゲート指令波形生成部13Pの回路構成が適用されているため、電圧の増加率を制限するような波形、つまり電圧の2階微分値がゼロ未満(dV/dt<0)となる波形を呈する。また、第2ゲート指令波形Vgr2は第1ゲート指令波形Vgr1に対して予め設定された時間、つまりt6-t5の時間差分、遅延させて出力されている。
【0048】
時間t5において、第1信号増幅部14Aは入力された第1ゲート指令波形Vgr1を増幅して第1ゲート電圧VgeSを出力する。第1ゲート電圧VgeSは第1ゲート指令波形Vgr1の波形を反映して、電圧の増加率を制限するような波形、つまり電圧の2階微分値がゼロ未満(dV/dt<0)となる波形を呈する。
【0049】
時間t6において、第2信号増幅部14Bは入力された第2ゲート指令波形Vgr2を増幅して第2ゲート電圧VgeCを出力する。第2ゲート電圧VgeCは第2ゲート指令波形Vgr2の波形を反映して、電圧の増加率を制限するような波形、つまり電圧の2階微分値がゼロ未満(dV/dt<0)となる波形を呈する。また、第2ゲート電圧VgeCは第1ゲート電圧VgeSに対して予め設定された時間、つまりt6-t5の時間差分、遅延させて出力されている。
【0050】
第1ゲート電圧VgeS及び第2ゲート電圧VgeCは、半導体駆動装置100の外部に設けられたダブルゲート型IGBT20の第1ゲート端子Gs及び第2ゲート端子Gcにそれぞれ出力される。
【0051】
第1ゲート電圧VgeSが閾値電圧Vth以上となる時間t7において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電流Icが時間t7以前のゼロの状態から立ち上がり、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth以上となる時間t8において、一定値となる。
【0052】
第1ゲート電圧VgeSが閾値電圧Vth以上となる時間t7において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電圧Vceが時間t7以前のVB+Vfの状態から減少し、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth以上となる時間t8において、一定値であるオン電圧Vonとなる。
以上が、オンオフ指令信号Sgdがオフからオンになった際、つまりターンオン動作時の各信号の一連の動作である。
【0053】
<実施の形態1に係る半導体駆動装置のターンオフ動作>
次に、オンオフ指令信号Sgdがオンからオフになった際、つまりターンオフ動作時の各信号の一連の動作を説明する。
【0054】
時間t9において、外部からのオンオフ指令信号Sgdが、オンからオフとなる。つまり、オンオフ指令信号Sgdは、Hi状態からLo状態となる。時間t9において、オンオフ指令信号Sgdのオフ動作に基づき、タイミング生成部12は第1ゲートオン指令信号Sg1をオフとする。つまり、第1ゲートオン指令信号Sg1は、Hi状態からLo状態となる。
【0055】
時間t10において、オンオフ指令信号Sgdのオフ動作に基づき、タイミング生成部12は第2ゲートオン指令信号Sg2をオフとする。第2ゲートオン指令信号Sg2のオフ動作は、第1ゲートオン指令信号Sg1のオフ動作に対して予め設定された時間、つまりt10-t9の時間差分、遅延させて出力される。
【0056】
時間t9において、第1ゲートオン指令信号Sg1のオフ動作に基づき、第1ゲート指令波形生成部13Aは第1ゲート指令波形Vgr1をオフとする。第1ゲート指令波形Vgr1は時間t9から立ち下がるが、第1ゲート指令波形生成部13Aとしてゲート指令波形生成部13Pの回路構成が適用されているため、電圧の減少率を制限するような波形、つまり電圧の2階微分値がゼロより大きい(dV/dt>0)波形を呈する。
【0057】
時間t10において、第2ゲートオン指令信号Sg2のオフ動作に基づき、第2ゲート指令波形生成部13Bは第2ゲート指令波形Vgr2をオフとする。第2ゲート指令波形Vgr2は時間t10から立ち下がるが、第2ゲート指令波形生成部13Bとしてゲート指令波形生成部13Pの回路構成が適用されているため、電圧の減少率を制限するような波形、つまり電圧の2階微分値がゼロより大きい(dV/dt>0)波形を呈する。また、第2ゲート指令波形Vgr2のオフ動作は第1ゲート指令波形Vgr1のオフ動作に対して予め設定された時間、つまりt10-t9の時間差分、遅延させて生じている。
【0058】
時間t9において、第1信号増幅部14Aは入力された第1ゲート指令波形Vgr1を増幅して第1ゲート電圧VgeSを出力する。第1ゲート電圧VgeSは第1ゲート指令波形Vgr1の波形を反映して、電圧の減少率を制限するような波形、つまり電圧の2階微分値がゼロより大きい(dV/dt>0)波形を呈する。
【0059】
時間t10において、第2信号増幅部14Bは入力された第2ゲート指令波形Vgr2を増幅して第2ゲート電圧VgeCを出力する。第2ゲート電圧VgeCは第2ゲート指令波形Vgr2の波形を反映して、電圧の減少率を制限するような波形、つまり電圧の2階微分値がゼロより大きい(dV/dt>0)波形を呈する。また、第2ゲート電圧VgeCのオフ動作は第1ゲート電圧VgeSのオフ動作に対して予め設定された時間、つまりt10-t9の時間差分、遅延させて出力されている。
【0060】
第1ゲート電圧VgeS及び第2ゲート電圧VgeCは、半導体駆動装置100の外部に設けられたダブルゲート型IGBT20の第1ゲート端子Gs及び第2ゲート端子Gcにそれぞれ出力される。
【0061】
第2ゲートオン指令信号Sg2のオフ動作を開始する時間t10において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電流Icがそれまでの一定の状態から立ち下がり、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth未満となる時間t12において、ゼロとなる。
【0062】
第1ゲートオン指令信号Sg1のオフ動作が開始する時間t9において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電圧Vceがそれまでのオン電圧Vonの状態から上昇し、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth未満となる時間t12において、一定値であるVB+Vfに復帰する。
以上が、オンオフ指令信号Sgdがオンからオフになった際、つまりターンオフ動作時の各信号の一連の動作である。
【0063】
実施の形態1に係る半導体駆動装置100では、図5に示すように、ターンオン動作時の第1ゲート指令波形Vgr1及び第2ゲート指令波形Vgr2の増加率を制限するような波形、すなわち電圧の2階微分値をゼロ未満(dV/dt<0)とすることで、コントロールゲートである第2ゲート端子Gcがオン動作する際に発生するコレクタ電流変化率dIc/dtの増加を抑制することが可能となり、この結果、スイッチング動作時のノイズを抑制できる。
【0064】
また、実施の形態1に係る半導体駆動装置100では、図5に示すように、ターンオフ動作時の第1ゲート指令波形Vgr1及び第2ゲート指令波形Vgr2の減少率を制限するような波形、すなわち電圧の2階微分値をゼロより大きい(dV/dt>0)波形とすることで、コントロールゲートである第2ゲート端子Gcがオフ動作する際に発生するコレクタ電流変化率dIc/dtの減少を抑制することが可能となる。この結果、サージ電圧を抑制することができる。さらに、2つのゲート指令波形である第1ゲート指令波形Vgr1及び第2ゲート指令波形Vgr2のCR時定数を同一とすることで、上述したロバスト性が向上するという効果を奏する。
【0065】
比較例.
図12は、比較例による半導体駆動装置において適用される定電圧駆動方式を実現する定電圧駆動回路の一例であり、図13は比較例による半導体駆動装置において、2つのゲート電圧波形に短い時間差を与えてダブルゲート型IGBT20を駆動した場合の模式的な波形を示している。以下、比較例による半導体駆動装置における問題点を説明する。
【0066】
比較例による半導体駆動装置の構成は、例えば特許文献1に開示されている。比較例による半導体駆動装置において、ダブルゲート型IGBT20の一方のゲート端子をオン/オフさせた後に他方のゲート端子をオン/オフするタイミングがスイッチング動作期間内になるように時間差を短く設定して上述のアクティブゲート効果を得ようとする場合、以下の2つの問題が生じる。
【0067】
まず、第1の問題について説明する。図12に示す定電圧駆動回路は、図12の左側から入力される矩形波信号が、ベース抵抗R10を介してNPNトランジスタQ1及びPNPトランジスタQ2で構成されるバッファ回路によって電流増幅される構成である。比較例のような定電圧駆動方式では、ゲート電流値がゲート抵抗R11及びゲート抵抗R12によって制限される駆動方式となる。
【0068】
図13は、比較例による半導体駆動装置を定電圧駆動方式によって動作させ、2つのゲート電圧波形に短い時間差を与えてダブルゲート型IGBT20を駆動した場合の模式的な波形を示している。図13において、比較例におけるシングルゲート型IGBTの駆動波形を破線で、比較例におけるダブルゲート型IGBT20の駆動波形を実線でそれぞれ表している。
【0069】
比較例による半導体駆動装置が駆動するダブルゲート型IGBT20では、スイッチングを担うスイッチングゲートGsとキャリア注入量を制御するコントロールゲートGcのそれぞれに印加されるゲート電圧に短い時間差(t2-t1)が与えられている。スイッチングゲートGsが閾値電圧Vthを超過する時間t3にコレクタ電流Icが流れ始めるが、コレクタ電流Icの流入を担うのはスイッチングゲートGsに接続された一部のセルであるため、シングルゲート型IGBTと同等のコレクタ電流変化率dIc/dtを得るためには、より大きな電圧変化率dVge/dtのもとで、より大きなゲート電圧Vgeを印加する必要がある。
【0070】
コレクタ電流Icの流入の開始後、ダブルゲート型IGBT20のコントロールゲートGcが閾値電圧Vthに到達する時間t4になると、ダブルゲート型IGBT20全体に電流が流れることによって導通性能が向上し、コレクタ電圧Vceの効果が急峻になってスイッチング損失を低減する効果が現れる。同時に、導通性能の向上によって時間t4以降はコレクタ電流変化率dIc/dtが増加するが、dIc/dtの増加はインバータを構成する対向アームダイオードのリカバリ動作にともなうカソード-アノード間の電圧変化率dV/dtの増加によってノイズ増加を招くことが知られている。また、同様の理由で、ターンオフ動作時はサージ電圧の増加を招くことが知られている。以上のように、スイッチング動作期間内で遅延させたコントロールゲートGcがオン動作する際に、ノイズ及びサージ電圧が増加することが比較例による半導体駆動装置の第1の問題である。
【0071】
比較例による半導体駆動装置におけるスイッチング動作期間内で遅延させたコントロールゲートGcをオンする駆動方法では、アクティブゲート駆動の一般的な課題である、負荷電流、温度、ゲート閾値電圧ばらつきといった諸条件に対するロバスト性の悪化という、比較例による半導体駆動装置の第2の問題が生じる。第2の問題は、上述の諸条件に依存して発生するミラー電圧レベルの変化に対して、ミラー電圧レベル近傍の2つのゲート電圧の時間差が一定でないということに起因する。
【0072】
第2の問題の明白な一例として、ダブルゲート型IGBT20のコントロールゲートGcのゲート抵抗をスイッチングゲートGsのゲート抵抗よりも小さくしてスイッチング期間を短縮しようとする場合が挙げられるが、かかる場合は2つのゲート電圧の時間差の電圧レベル依存性が大きくなることでロバスト性の課題が顕在化する。
【0073】
<実施の形態1の効果>
以上、実施の形態1に係る半導体駆動装置によれば、比較例において発生する上記のような問題点を解消することが可能となり、マルチゲート型半導体スイッチング素子のスイッチングにおいて発生するノイズ及びサージ電圧とスイッチング損失とのトレードオフを改善することが可能となり、ロバスト性に優れた半導体駆動装置が得られるという効果を奏する。
【0074】
実施の形態1の変形例1.
図6は、実施の形態1の変形例1に係る半導体駆動装置における各信号のタイミングチャートの一例を示す図である。実施の形態1の変形例1に係る半導体駆動装置のゲート指令波形生成部13の具体的構成として、図3Dに示すゲート指令波形生成部13Sを適用している。ゲート指令波形生成部13Sは、ゲート指令波形の一部にランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)を持つ波形を生成する。
【0075】
図6に示す各波形は、上側から順に、オンオフ指令信号Sgd、第1ゲートオン指令信号Sg1、第2ゲートオン指令信号Sg2、第1ゲート指令波形Vgr1及び第2ゲート指令波形Vgr2、第1ゲート電圧VgeS、第2ゲート電圧VgeC、コレクタ電流Ic、コレクタ電圧Vceである。
【0076】
<実施の形態1の変形例1に係る半導体駆動装置の動作>
以下、実施の形態1に係る変形例1の半導体駆動装置の動作について、図6を参照しながら説明する。
【0077】
<実施の形態1の変形例1に係る半導体駆動装置のターンオン動作>
まず、オンオフ指令信号Sgdがオフからオンになった際、つまりターンオン動作時の各信号の一連の動作を説明する。
時間t13において、外部からのオンオフ指令信号Sgdが、オフからオンとなる。つまり、オンオフ指令信号SgdはLo状態からHi状態となる。時間t13において、オンオフ指令信号Sgdのオン動作に基づき、タイミング生成部12は、第1ゲートオン指令信号Sg1を出力する。つまり、第1ゲートオン指令信号Sg1は、Lo状態からHi状態となる。
【0078】
時間t14において、オンオフ指令信号Sgdのオン動作に基づき、タイミング生成部12は第2ゲートオン指令信号Sg2を出力する。第2ゲートオン指令信号Sg2は、第1ゲートオン指令信号Sg1に対して予め設定された時間、つまりt14-t13の時間差分、遅延させて出力される。
【0079】
時間t13において、第1ゲートオン指令信号Sg1のオン動作に基づき、第1ゲート指令波形生成部13Aは第1ゲート指令波形Vgr1を生成する。第1ゲート指令波形Vgr1は時間t13から立ち上がるが、第1ゲート指令波形生成部13Aとしてゲート指令波形生成部13Sの回路構成が適用されているため、第1ゲート指令波形Vgr1の一部に電圧の増加率を制限するような波形であるランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を生成する。
【0080】
時間t14において、第2ゲートオン指令信号Sg2のオン動作に基づき、第2ゲート指令波形生成部13Bは第2ゲート指令波形Vgr2を生成する。第2ゲート指令波形Vgr2は時間t14から立ち上がるが、第2ゲート指令波形生成部13Bとしてゲート指令波形生成部13Sの回路構成が適用されているため、第2ゲート指令波形Vgr2の一部に電圧の増加率を制限するような波形であるランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を生成する。また、第2ゲート指令波形Vgr2は第1ゲート指令波形Vgr1に対して予め設定された時間、つまりt14-t13の時間差分、遅延させて出力されている。
【0081】
時間t13において、第1信号増幅部14Aは入力された第1ゲート指令波形Vgr1を増幅して第1ゲート電圧VgeSを出力する。第1ゲート電圧VgeSは第1ゲート指令波形Vgr1の波形を反映して、第1ゲート電圧VgeSの一部に電圧の増加率を制限するような波形であるランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を生成する。
【0082】
時間t14において、第2信号増幅部14Bは入力された第2ゲート指令波形Vgr2を増幅して第2ゲート電圧VgeCを出力する。第2ゲート電圧VgeCは第2ゲート指令波形Vgr2の波形を反映して、第2ゲート電圧VgeCの一部に電圧の増加率を制限するような波形であるランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を生成する。また、第2ゲート電圧VgeCは第1ゲート電圧VgeSに対して予め設定された時間、つまりt14-t13の時間差分、遅延させて出力されている。
【0083】
第1ゲート電圧VgeS及び第2ゲート電圧VgeCは、半導体駆動装置100の外部に設けられたダブルゲート型IGBT20の第1ゲート端子Gs及び第2ゲート端子Gcにそれぞれ出力される。
【0084】
第1ゲート電圧VgeSが閾値電圧Vth以上となる時間t15において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電流Icが時間t15以前のゼロの状態から立ち上がり、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth以上となる時間t16において、一定値となる。
【0085】
第1ゲート電圧VgeSが閾値電圧Vth以上となる時間t15において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電圧Vceが時間t15以前のVB+Vfの状態から減少し、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth以上となる時間t16において、一定値であるオン電圧Vonとなる。
以上が、オンオフ指令信号Sgdがオフからオンになった際、つまりターンオン動作時の各信号の一連の動作である。
【0086】
<実施の形態1の変形例1に係る半導体駆動装置のターンオフ動作>
次に、オンオフ指令信号Sgdがオンからオフになった際、つまりターンオフ動作時の各信号の一連の動作を説明する。
【0087】
時間t17において、外部からのオンオフ指令信号Sgdが、オンからオフとなる。つまり、オンオフ指令信号Sgdは、Hi状態からLo状態となる。時間t17において、オンオフ指令信号Sgdのオンに基づき、タイミング生成部12は第1ゲートオン指令信号Sg1をオフとする。つまり、第1ゲートオン指令信号Sg1は、Hi状態からLo状態となる。
【0088】
時間t18において、オンオフ指令信号Sgdのオフ動作に基づき、タイミング生成部12は第2ゲートオン指令信号Sg2をオフとする。第2ゲートオン指令信号Sg2のオフ動作は、第1ゲートオン指令信号Sg1のオフ動作に対して予め設定された時間、つまりt18-t17の時間差分、遅延させて出力される。
【0089】
時間t17において、第1ゲートオン指令信号Sg1のオフ動作に基づき、第1ゲート指令波形生成部13Aは第1ゲート指令波形Vgr1をオフとする。第1ゲート指令波形Vgr1は時間t17から立ち下がるが、第1ゲート指令波形生成部13Aとしてゲート指令波形生成部13Sの回路構成が適用されているため、第1ゲート指令波形Vgr1の一部に電圧の減少率を制限するような波形であるランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を生成する。
【0090】
時間t18において、第2ゲートオン指令信号Sg2のオフ動作に基づき、第2ゲート指令波形生成部13Bは第2ゲート指令波形Vgr2をオフとする。第2ゲート指令波形Vgr2は時間t18から立ち下がるが、第2ゲート指令波形生成部13Bとしてゲート指令波形生成部13Sの回路構成が適用されているため、第2ゲート指令波形Vgr2の一部に電圧の減少率を制限するような波形であるランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を生成する。また、第2ゲート指令波形Vgr2のオフ動作は第1ゲート指令波形Vgr1のオフ動作に対して予め設定された時間、つまりt18-t17の時間差分、遅延させて生じている。
【0091】
時間t17において、第1信号増幅部14Aは入力された第1ゲート指令波形Vgr1を増幅して第1ゲート電圧VgeSを出力する。第1ゲート電圧VgeSは第1ゲート指令波形Vgr1の波形を反映して、第1ゲート電圧VgeSの一部に電圧の減少率を制限するような波形であるランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を生成する。
【0092】
時間t18において、第2信号増幅部14Bは入力された第2ゲート指令波形Vgr2を増幅して第2ゲート電圧VgeCを出力する。第2ゲート電圧VgeCは第2ゲート指令波形Vgr2の波形を反映して、第2ゲート電圧VgeCの一部に電圧の減少率を制限するような波形であるランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を呈する。また、第2ゲート電圧VgeCのオフは第1ゲート電圧VgeSのオフに対して予め設定された時間、つまりt18-t17の時間差分、遅延させて出力されている。
【0093】
第1ゲート電圧VgeS及び第2ゲート電圧VgeCは、実施の形態1の変形例1に係る半導体駆動装置の外部に設けられたダブルゲート型IGBT20の第1ゲート端子Gs及び第2ゲート端子Gcにそれぞれ出力される。
【0094】
第1ゲート電圧VgeSが閾値電圧Vth未満となる時間t19において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電流Icがそれまでの一定の状態から立ち下がり、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth未満となる時間t20において、ゼロとなる。
【0095】
第1ゲート電圧VgeSが閾値電圧Vth未満となる時間t19において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電圧Vceがそれまでのオン電圧Vonの状態から上昇し、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth未満となる時間t20において、一定値であるVB+Vfに復帰する。
以上が、オンオフ指令信号Sgdがオンからオフになった際、つまりターンオフ動作時の各信号の一連の動作である。
【0096】
<実施の形態1の変形例1の効果>
以上、実施の形態1の変形例1に係る半導体駆動装置では、ターンオン動作時のゲート指令波形の増加率を制限するような波形、すなわち電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)とすることで、コントロールゲートGcがオンする際に発生するコレクタ電流変化率dIc/dtの増加を抑制するので、この結果、スイッチング動作時のノイズを抑制できる。実施の形態1の変形例1に係る半導体駆動装置では、特に電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)としたことによって、2つのゲート電圧の時間差が電圧レベルに依存しないように制御できるため、ロバスト性が最善となる。なお、ターンオフ動作についても同様な効果を奏するため、説明は省略する。
【0097】
実施の形態1の変形例2.
図7は、実施の形態1の変形例2に係る半導体駆動装置における各信号のタイミングチャートの一例を示す図である。実施の形態1の変形例2に係る半導体駆動装置のゲート指令波形生成部の具体的構成として、図4Bに示したゲート指令波形生成部13Wを適用している。ゲート指令波形生成部13Wは、ランプ型形状の波形の一部に電圧の1階微分値がゼロ(dV/dt=0)となるテラス型波形を設けた波形を生成する。
【0098】
すなわち、図7に示す実施の形態1の変形例2に係る半導体駆動装置は、図6に示す実施の形態1の変形例1において2つのゲートオン指令である第1ゲートオン指令信号Sg1及び第2ゲートオン指令信号Sg2における信号の立上り及び立下りのタイミングを一致させ、さらに、ランプ型形状の波形の途中、つまり一部にテラス期間を設けている点に特徴がある。
【0099】
図7に示す各波形は、上側から順に、オンオフ指令信号Sgd、第1ゲートオン指令信号Sg1、第2ゲートオン指令信号Sg2、第1ゲート指令波形Vgr1及び第2ゲート指令波形Vgr2、第1ゲート電圧VgeS、第2ゲート電圧VgeC、コレクタ電流Ic、コレクタ電圧Vceである。
【0100】
<実施の形態1の変形例2に係る半導体駆動装置の動作>
以下、実施の形態1に係る変形例2の半導体駆動装置の動作について、図7を参照しながら説明する。
【0101】
<実施の形態1の変形例2に係る半導体駆動装置のターンオン動作>
まず、オンオフ指令信号Sgdがオフからオンになった際、つまりターンオン動作時の各信号の一連の動作を説明する。時間t21において、外部からのオンオフ指令信号Sgdがオフからオンとなる。つまり、オンオフ指令信号SgdはLo状態からHi状態となる。時間t21において、オンオフ指令信号Sgdのオン動作に基づき、タイミング生成部12は、第1ゲートオン指令信号Sg1を出力する。つまり、第1ゲートオン指令信号Sg1は、Lo状態からHi状態となる。
【0102】
時間t21において、オンオフ指令信号Sgdのオン動作に基づきタイミング生成部12は、第2ゲートオン指令信号Sg2を出力する。第2ゲートオン指令信号Sg2は第1ゲートオン指令信号Sg1と同時に出力される。
【0103】
時間t21において、第1ゲートオン指令信号Sg1のオン動作に基づき、第1ゲート指令波形生成部13Aは第1ゲート指令波形Vgr1を生成する。第1ゲート指令波形Vgr1は時間t21から立ち上がるが、第1ゲート指令波形生成部13Aとしてゲート指令波形生成部13Sの回路構成が適用されているため、第1ゲート指令波形Vgr1は急峻な傾きの立ち上がり波形の後に電圧の減少率を制限するような波形であるランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を設けた波形を呈する。
【0104】
時間t21において、第2ゲートオン指令信号Sg2のオン動作に基づき、第2ゲート指令波形生成部13Bは第2ゲート指令波形Vgr2を生成する。第2ゲート指令波形Vgr2は時間t22から立ち上がるが、第2ゲート指令波形生成部13Bとしてゲート指令波形生成部13Wの回路構成が適用されているため、第2ゲート指令波形Vgr2の一部に電圧の増加率を制限するような波形である、ランプ型形状の波形の一部に電圧の1階微分値がゼロ(dV/dt=0)となるテラス型波形を設けた波形を呈する。
【0105】
時間t21において、第1信号増幅部14Aは入力された第1ゲート指令波形Vgr1を増幅して第1ゲート電圧VgeSを出力する。第1ゲート電圧VgeSは第1ゲート指令波形Vgr1の波形を反映して、第1ゲート電圧VgeSの一部に電圧の増加率を制限するような波形である、ランプ型形状を設けた波形を呈する。
【0106】
時間t23において、第2信号増幅部14Bは入力された第2ゲート指令波形Vgr2を増幅して第2ゲート電圧VgeCを出力する。第2ゲート電圧VgeCは第2ゲート指令波形Vgr2の波形を反映して、第2ゲート電圧VgeCの一部に電圧の増加率を制限するような波形である、ランプ型形状の波形の一部に電圧の1階微分値がゼロ(dV/dt=0)となるテラス型波形を設けた波形を呈する。
【0107】
第1ゲート電圧VgeS及び第2ゲート電圧VgeCは、実施の形態1の変形例2に係る半導体駆動装置の外部に設けられたダブルゲート型IGBT20の第1ゲート端子Gs及び第2ゲート端子Gcにそれぞれ出力される。
【0108】
第1ゲート電圧VgeSが閾値電圧Vth以上となる時間t22において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電流Icが時間t22以前のゼロの状態から立ち上がり、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth以上となる時間t23において、一定値となる。
【0109】
第1ゲート電圧VgeSが閾値電圧Vth以上となる時間t22において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電圧VceがそれまでのVB+Vfの状態から減少し、時間t23以降において、一定値であるオン電圧Vonとなる。
以上が、オンオフ指令信号Sgdがオフからオンになった際、つまりターンオン動作時の各信号の一連の動作である。
【0110】
<実施の形態1の変形例2に係る半導体駆動装置のターンオフ動作>
次に、オンオフ指令信号Sgdがオンからオフになった際、つまりターンオフ動作時の各信号の一連の動作を説明する。
【0111】
時間t24において、外部からのオンオフ指令信号Sgdがオンからオフとなる。つまり、オンオフ指令信号Sgdは、Hi状態からLo状態となる。時間t24において、オンオフ指令信号Sgdのオンに基づき、タイミング生成部12は第1ゲートオン指令信号Sg1をオフとする。つまり、第1ゲートオン指令信号Sg1は、Hi状態からLo状態となる。
【0112】
時間t24において、オンオフ指令信号Sgdのオフ動作に基づきタイミング生成部12は、第2ゲートオン指令信号Sg2をオフとする。
【0113】
時間t24において、第1ゲートオン指令信号Sg1のオフ動作に基づき、第1ゲート指令波形生成部13Aは第1ゲート指令波形Vgr1をオフとする。第1ゲート指令波形Vgr1は時間t24から立ち下がるが、第1ゲート指令波形生成部13Aとしてゲート指令波形生成部13Sの回路構成が適用されているため、第1ゲート指令波形Vgr1は急峻な傾きの立ち下がり波形の後に電圧の減少率を制限するような波形であるランプ型形状、つまり電圧の2階微分値がゼロ(dV/dt=0)となる波形を設けた波形を呈する。
【0114】
時間t24において、第2ゲートオン指令信号Sg2のオフ動作に基づき、第2ゲート指令波形生成部13Bは第2ゲート指令波形Vgr2をオフとする。第2ゲート指令波形Vgr2は時間t24から立ち下がるが、第2ゲート指令波形生成部13Bとしてゲート指令波形生成部13Wの回路構成が適用されているため、第2ゲート指令波形Vgr2の一部に電圧の減少率を制限するような波形であるランプ型形状の波形の途中、つまり一部にテラス期間が設けられた波形を呈する。
【0115】
時間t24において、第1信号増幅部14Aは入力された第1ゲート指令波形Vgr1を増幅して第1ゲート電圧VgeSを出力する。第1ゲート電圧VgeSは第1ゲート指令波形Vgr1の波形を反映して、第1ゲート電圧VgeSの一部に電圧の減少率を制限するような波形であるランプ型形状の波形が設けられた波形を呈する。
【0116】
時間t25において、第2信号増幅部14Bは入力された第2ゲート指令波形Vgr2を増幅して第2ゲート電圧VgeCを出力する。第2ゲート電圧VgeCは第2ゲート指令波形Vgr2の波形を反映して、第2ゲート電圧VgeCの一部に電圧の減少率を制限するような波形であるランプ型形状の波形の途中、つまり一部にテラス期間が設けられた波形を呈する。
【0117】
第1ゲート電圧VgeS及び第2ゲート電圧VgeCは、実施の形態1の変形例1に係る半導体駆動装置の外部に設けられたダブルゲート型IGBT20の第1ゲート端子Gs及び第2ゲート端子Gcにそれぞれ出力される。
【0118】
第1ゲート電圧VgeSが閾値電圧Vth未満となる時間t25において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電流Icがそれまでの一定の状態から立ち下がり、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth未満となる時間t25において、ゼロとなる。
【0119】
第1ゲート電圧VgeSが閾値電圧Vth未満となる時間t25において、ダブルゲート型IGBT20のコレクタ電圧Vceがそれまでのオン電圧Vonの状態から上昇し、第2ゲート電圧VgeCが閾値電圧Vth未満となる時間t26において、一定値であるVB+Vfに復帰する。
以上が、オンオフ指令信号Sgdがオンからオフになった際、つまりターンオフ動作時の各信号の一連の動作である。
【0120】
<実施の形態1に係る変形例2の効果>
以上、実施の形態1に係る変形例2の半導体駆動装置では、第1ゲートオン指令信号Sg1及び第2ゲートオン指令信号Sg2における信号の立上り及び立下がりの傾きを急峻にすることで導通性能を増加し、図7に示したランプ型波形の時間差駆動で発生するコレクタ電流Icの立上り及び立下りの鈍化を抑制する効果を奏する。一方で、コレクタ電流Icの増加に伴って第2ゲートオン指令信号Sg2の一部にテラス期間を設けて導通性能を減少させることにより、コレクタ電流の立ち上がり後の時間変化率であるdIc/dtの増加を抑制する効果を奏する。
【0121】
実施の形態2.
<実施の形態2に係る半導体駆動装置の構成>
図8は、実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aの構成を表すブロック図である。実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aは、タイミング生成部12と、ゲート指令波形生成部13と、信号増幅部14と、駆動電圧生成部15と、を備える。ゲート指令波形生成部13は、第1ゲート指令波形生成部13Cを備える。信号増幅部14は、さらに、第1信号増幅部14Aと定電圧駆動部16とを備える。
【0122】
実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aが実施の形態1に係る半導体駆動装置100の構成と異なる点は、実施の形態1に係る半導体駆動装置100のゲート指令波形生成部13が第1ゲート指令波形生成部13A及び第2ゲート指令波形生成部13Bで構成されているのに対して、実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aのゲート指令波形生成部13は第1ゲート指令波形生成部13Cのみで構成されている点である。
【0123】
実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aでは、2つのゲート電圧である第1ゲート電圧VgeS及び第2ゲート指令波形Vgr2の中で、第1ゲート電圧VgeSはゲート指令波形に追従するように駆動し、第2ゲート電圧VgeCは定電圧で駆動する。第2ゲート電圧VgeCは定電圧で駆動するので、例えば定電圧駆動部16は、図12に示す定電圧回路によって構成しても良い。
【0124】
<実施の形態2の効果>
以上、実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aによれば、上述のロバスト性の悪化が顕在化するものの、アクティブゲートの効果を高めるという効果を奏する。
【0125】
実施の形態3.
<実施の形態3に係る電力変換装置の構成>
図9は、実施の形態3に係る電力変換装置200の構成を表すブロック図である。図9に示すように、電力変換装置200は、合計6個のダブルゲート型半導体スイッチング素子50a、50b、50c、50d、50e、50fを有する電力変換器30と、平滑コンデンサ40と、電力変換器30内の各ダブルゲート型半導体スイッチング素子50aから50fを駆動する実施の形態1に係る半導体駆動装置100及び実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aのいずれかと、を備える。実施の形態3に係る電力変換装置200を適用した一例として、直流電源60からの直流電力を交流電力に変換して交流モータ70に供給するインバータ装置を挙げている。
【0126】
<実施の形態3の効果>
実施の形態3に係る電力変換装置200では、上述の実施の形態1に係る半導体駆動装置100または実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aをダブルゲート型半導体スイッチング素子50aから50fを駆動するための信号生成に用いることで、ダブルゲート型半導体スイッチング素子の低損失効果による省エネ化と、装置内で発生する放射ノイズなどの低ノイズ化とを両立したインバータ装置を提供することが可能となる。
【0127】
なお、実施の形態3に係る電力変換装置200の一例として、正負の2レベルの交流電圧を出力する3相インバータ装置を示したが、任意の個数のダブルゲート型半導体スイッチング素子を直並列に接続されたマルチレベルの電圧出力が可能なインバータ装置であっても良い。
【0128】
実施の形態4.
図10は、実施の形態4に係る電力変換装置200Aの構成を表すブロック図である。以下、実施の形態3に係る電力変換装置200と異なる点のみ簡潔に説明する。
【0129】
<実施の形態4に係る電力変換装置の構成>
実施の形態4に係る電力変換装置200Aは、複数のダブルゲート型半導体スイッチング素子51a及び51bを有して構成された電力変換器31と、電力変換器31内の各ダブルゲート型半導体スイッチング素子51a及び51bを駆動する、実施の形態1に係る半導体駆動装置100及び実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aのいずれかと、を備える。実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aを適用した場合、電力変換装置200Aは、直流電源60の直流電圧を昇圧して直流の負荷70Aに供給する昇圧コンバータ装置として動作する。
【0130】
電力変換器31は、ダブルゲート型半導体スイッチング素子51a及び51bを直列接続したレグと、入力側の平滑コンデンサ41と、出力側の平滑コンデンサ42と、昇圧リアクトル43とを備える。
【0131】
実施の形態4に係る電力変換装置200Aにおいても、実施の形態1に係る半導体駆動装置100及び実施の形態2に係る半導体駆動装置100Aのいずれかを用いることで、ダブルゲート型半導体スイッチング素子の低損失効果による省エネ化とインバータから発生する放射ノイズなどの低ノイズ化を両立した昇圧コンバータ装置を提供できる。さらに、低損失効果を利用して、損失が同等な状態において昇圧コンバータ装置の駆動周波数を向上すれば、昇圧リアクトル43の小型化を実現することができる。
【0132】
なお、実施の形態4に係る電力変換装置200Aの一例として昇圧コンバータ装置を示したが、降圧コンバータ装置、あるいは昇圧コンバータ装置と降圧コンバータ装置とを組み合わせた昇降圧コンバータ装置にも同様に適用できる。
【0133】
実施の形態5.
<実施の形態5に係る電力変換装置の構成>
図11は、実施の形態5に係る電力変換装置200Bの構成を表すブロック図である。以下、実施の形態3と異なる点のみ簡潔に説明する。実施の形態5に係る電力変換装置200Bは、図9に示した実施の形態3に係る電力変換装置200を構成する電力変換器30と、電力変換器30の直流側に接続される、図10に示される実施の形態3に係る電力変換装置200Aを構成する電力変換器31と、各ダブルゲート型半導体スイッチング素子50aから50fを駆動する実施の形態1及び2に示した半導体駆動装置100及び100Aのいずれか1つと、を備える。
【0134】
電力変換装置200Bは、直流電源60の直流電圧を電力変換器31によって昇圧し、昇圧された直流電力が電力変換器30によって交流電力に変換して交流モータ74に供給する。電力変換装置200Bは昇圧型インバータシステムとして動作し、例えば、電動自動車に適用される。なお、電力変換装置200B内の電力変換器30は、マルチレベルの電圧出力が可能なインバータ装置であっても良い。また、電力変換装置200B内の電力変換器31は、昇圧コンバータに限らず、降圧コンバータ装置、あるいは昇圧コンバータ装置と降圧コンバータ装置とを組み合わせた昇降圧コンバータ装置にも同様に適用できる。
【0135】
実施の形態5に係る電力変換装置200Bは、実施の形態1及び2に示した半導体駆動装置100及び100Aのいずれかを用いることで、ダブルゲート型半導体スイッチング素子の低損失効果による省エネ化とインバータ装置から発生する放射ノイズなどの低ノイズ化とを両立した昇圧型インバータシステムを提供することができる。さらに、低損失効果を利用して、損失同等でコンバータの駆動周波数を向上すれば、昇圧リアクトル43の小型化を実現することができる。
【0136】
上記の実施の形態1から5では、マルチゲート型半導体スイッチング素子を、すべてダブルゲート型IGBTを一例として説明した。しかしながら、マルチゲート型半導体スイッチング素子として、トリプルゲート型IGBTなどのマルチゲート型IGBT全般を適用できる。さらに、一部をシングルゲート型IGBTまたはシングルゲート型MOSFET構造に置き換えたハイブリッド素子であっても良い。また、マルチゲート型半導体スイッチング素子は、RC(Reverse―Conducting)-IGBT、IGBT及びMOSFETを並列配置したハイブリッド素子のいずれかであっても良い。また、第1ゲート端子Gs(スイッチングゲート)は複数で構成されても良く、第2ゲート端子Gc(コントロールゲート)も複数で構成されても良い。
【0137】
なお、上述の実施の形態1から5に係る半導体駆動装置100、100A、及び電力変換装置200、200A、200Bの構成では、半導体駆動装置100、100A及び電力変換装置200、200A、200Bの一部は機能ブロックとして説明されているが、半導体駆動装置100、100A及び電力変換装置200、200A、200Bを格納するハードウエアとしての構成の一例を図14に示す。ハードウエア800は、プロセッサ801と記憶装置802から構成される。記憶装置802は図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。
【0138】
また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備しても良い。プロセッサ801は、記憶装置802から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ801にプログラムが入力される。また、プロセッサ801は、演算結果等のデータを記憶装置802の揮発性記憶装置に出力しても良いし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存しても良い。
【0139】
本開示は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
【0140】
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0141】
12 タイミング生成部、13、13P、13Q、13R、13S、13T、13U、13V、13W ゲート指令波形生成部、13A、13C 第1ゲート指令波形生成部、13B 第2ゲート指令波形生成部、14、14P、14Q、14R、14S 信号増幅部、14A 第1信号増幅部、14B 第2信号増幅部、15 駆動電圧生成部、16 定電圧駆動部、20 ダブルゲート型IGBT、21 ダイオード、25 IGBTモジュール、30、31 電力変換器、40、41、42 平滑コンデンサ、43 昇圧リアクトル、50a、50b、50c、50d、50e、50f、51a、51b ダブルゲート型半導体スイッチング素子、60 直流電源、70、74 交流モータ、70A 負荷、100、100A 半導体駆動装置、200、200A、200B 電力変換装置、800 ハードウエア、801 プロセッサ、802 記憶装置、C1、C2、C3、C4 コンデンサ、D2 ダイオード、DS1、DS2、DS3、DS4、DS5、DS6 定電流ダイオード、DZ1、DZ2、DZ3 ツェナーダイオード、Gs 第1ゲート端子、Gc 第2ゲート端子、OP1、OP2 オペアンプ、Q1、Q3 NPNトランジスタ、Q2、Q4 PNPトランジスタ、R2、R11、R12 ゲート抵抗、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9 抵抗、R10 ベース抵抗、Sgd オンオフ指令信号、Sg1 第1ゲートオン指令信号、Sg2 第2ゲートオン指令信号、Vce コレクタ電圧、Vge ゲート電圧、VgeS 第1ゲート電圧、VgeC 第2ゲート電圧、Vgr1 第1ゲート指令波形、Vgr2 第2ゲート指令波形、Von オン電圧、Vth 閾値電圧
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14