(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-26
(45)【発行日】2025-07-04
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0014 20190101AFI20250627BHJP
F24F 1/0033 20190101ALI20250627BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20250627BHJP
F24F 13/14 20060101ALI20250627BHJP
【FI】
F24F1/0014
F24F1/0033
F24F11/79
F24F13/14 D
(21)【出願番号】P 2023576527
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2022003370
(87)【国際公開番号】W WO2023145010
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2024-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 遼太
(72)【発明者】
【氏名】北村 文人
(72)【発明者】
【氏名】若▲松▼ 昭宏
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121071(WO,A1)
【文献】実開昭59-16909(JP,U)
【文献】特開平10-38305(JP,A)
【文献】特開昭61-49960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0014
F24F 1/0033
F24F 11/00-11/89
F24F 13/08-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口および2つの吹出口を有する筐体と、
前記筐体の内部にその幅方向に並べて配置され、前記吸入口から吸い込んだ空気を前記2つの吹出口のうちそれぞれ異なる一方から吹き出す2つの送風機と、
前記2つの送風機の間に設けられた仕切板と、
前記2つの吹出口のそれぞれの縁に設けられ、前記筐体の外側に突出した導風板と、を備え、
2つの前記導風板は、
前記2つの吹出口の間に位置するように設けられており、かつ、それぞれが設けられた前記吹出口の開口面に対する角度が90°以下となるように設けられて
おり、
それぞれが設けられた前記吹出口の前記幅方向の幅内に収まるように設けられている
空気調和機。
【請求項2】
吸入口および2つの吹出口を有する筐体と、
前記筐体の内部にその幅方向に並べて配置され、前記吸入口から吸い込んだ空気を前記2つの吹出口のうちそれぞれ異なる一方から吹き出す2つの送風機と、
前記2つの送風機の間に設けられた仕切板と、
前記2つの吹出口のそれぞれの縁に設けられ、前記筐体の外側に突出した導風板と、を備え、
2つの前記導風板は、
前記2つの吹出口の間に位置するように設けられており、かつ、それぞれが設けられた前記吹出口の開口面に対する角度が90°以下となるように設けられており、
2つの前記導風板は長方形状を有し、長手方向が前記2つの吹出口のそれぞれの縁に沿うように設けられており、長手方向において前記2つの吹出口のそれぞれの縁の長さよりも大きい
空気調和機。
【請求項3】
吸入口および2つの吹出口を有する筐体と、
前記筐体の内部にその幅方向に並べて配置され、前記吸入口から吸い込んだ空気を前記2つの吹出口のうちそれぞれ異なる一方から吹き出す2つの送風機と、
前記2つの送風機の間に設けられた仕切板と、
前記2つの吹出口のそれぞれの縁に設けられ、前記筐体の外側に突出した導風板と、を備え、
2つの前記導風板は、
前記2つの吹出口の間に位置するように設けられており、かつ、それぞれが設けられた前記吹出口の開口面に対する角度が90°以下となるように設けられており、
2つの前記送風機をそれぞれ駆動するモーターと、
2つの前記モーターの負荷の差に応じて2つの前記導風板を回動させる制御装置と、を備えた
空気調和機。
【請求項4】
前記制御装置は、
2つの前記モーターの負荷の差が、あらかじめ設定された第1閾値を超えた場合、2つの前記導風板の前記角度があらかじめ設定された第1角度小さくなるように2つの前記導風板を回動させる
請求項
3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御装置は、
2つの前記モーターの負荷の差が、前記第1閾値より小さいあらかじめ設定された第2閾値より小さくなるまで、2つの前記導風板の前記角度が前記第1角度小さくなるように2つの前記導風板を回動させる
請求項
4に記載の空気調和機。
【請求項6】
制御装置は、
2つの前記モーターの負荷の差が前記第2閾値より小さい状態が、あらかじめ設定された一定時間以上経過した場合、2つの前記導風板の前記角度があらかじめ設定された第2角度大きくなるように2つの前記導風板を回動させる
請求項
5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記制御装置は、
2つの前記モーターの負荷の差が、前記第2閾値より大きくなるまで、2つの前記導風板の前記角度が前記第2角度大きくなるように2つの前記導風板を回動させる
請求項
6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記仕切板の面積は、前記2つの送風機の吸込口の開口面積よりも大きい
請求項1
~7のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記仕切板の前記吸入口側の端部は、前記2つの送風機の吸込口の前記吸入口側の端部よりも前記吸入口側に位置している
請求項
8に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2つの送風機が筐体の幅方向に並べて配置された空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの送風機が筐体の幅方向に並べて配置された空気調和機がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の空気調和機は、筐体の内部が、熱交換器が収納された熱交換室と、送風機が収納された送風室とに区画されており、送風機の吹き出し部には、熱交換器まで延長したディフューザ部が設けられている。そして、筐体の送風室側に形成された吸入口より筐体内に吸い込まれた空気は、送風機の吹き出し部より吹き出され、ディフューザ部を通って熱交換器を通過し、その後、筐体の熱交換室側に形成された吹出口より筐体外へ放出される。
【0003】
また、ディフューザ部は、空気の流れを幅方向に拡散させるように形成されており、これにより、熱交換器に対して幅方向の風速分布の均一化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、2つの送風機の間にはそれらに両軸シャフトで連結されたモーターしか設けられておらず、2つの送風機の距離が近いと、2つの送風機の吸込口から吸い込まれる空気が互いに干渉して2つの送風機の負荷が不均一となってしまう。また、特許文献1では、送風機の吹き出し部にディフューザ部が設けられており、ディフューザ部は、空気の流れを幅方向に拡散させるように形成されているため、一方の送風機の吹き出し部から吹き出された空気は、ディフューザ部を通過した後、他方の送風機の吹き出し部から吹き出されてディフューザ部を通過した空気と干渉するようになっており、2つの送風機の吹き出し部から吹き出された空気が互いに干渉することにより、送風抵抗が大きくなってしまう。そして、2つの送風機の負荷が不均一となったり、送風抵抗が大きくなったりすると、運転効率が低下し、空力性能が低下してしまうという課題があった。
【0006】
本開示は、以上のような課題を解決するためになされたもので、2つの送風機の負荷が不均一となること、および、送風抵抗が大きくなることにより発生する運転効率の低下を抑制した空気調和機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る空気調和機は、吸入口および2つの吹出口を有する筐体と、前記筐体の内部にその幅方向に並べて配置され、前記吸入口から吸い込んだ空気を前記2つの吹出口のうちそれぞれ異なる一方から吹き出す2つの送風機と、前記2つの送風機の間に設けられた仕切板と、前記2つの吹出口のそれぞれの縁に設けられ、前記筐体の外側に突出した導風板と、を備え、2つの前記導風板は、前記2つの吹出口の間に位置するように設けられており、かつ、それぞれが設けられた前記吹出口の開口面に対する角度が90°以下となるように設けられており、それぞれが設けられた前記吹出口の前記幅方向の幅内に収まるように設けられているものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る空気調和機によれば、2つの送風機の間に仕切板が設けられているため、2つの送風機の距離が近くても、送風機から吸い込まれる空気が互いに干渉して2つの送風機の負荷が不均一となるのを抑制することができる。また、2つの吹出口のそれぞれの縁に2つの導風板が設けられており、2つの導風板は、2つの吹出口の間に位置するように設けられており、かつ、それぞれが設けられた吹出口の開口面に対する角度が90°以下となるように設けられている。そのため、吹出口から吹き出された空気の流れが幅方向に拡散されるのが抑制され、送風抵抗が大きくなることを抑制することができる。その結果、2つの送風機の負荷が不均一となること、および、送風抵抗が大きくなることが抑制されるため、運転効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る空気調和機を示す正面斜視図である。
【
図2】
図1に示す空気調和機から前板を取り外した正面斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る空気調和機の上部の内部構造を示す正面図である。
【
図4】
図3に示す送風機からファンケーシングを取り外した状態の正面図である。
【
図5】実施の形態1に係る空気調和機の筐体内の空気の流れを示す正面模式図である。
【
図6】実施の形態1に係る空気調和機の上部構造を拡大した正面斜視図である。
【
図7】実施の形態1に係る空気調和機の仕切板のサイズを説明する図である。
【
図8】実施の形態1に係る空気調和機の仕切板の下端部の位置を説明する図である。
【
図9】実施の形態1に係る空気調和機の導風板の角度を説明する図である。
【
図10】実施の形態1に係る空気調和機の導風板のサイズを説明する図である。
【
図11】実施の形態1に係る空気調和機の運転時に制御装置が行う導風板の制御フローを示す図である。
【
図12】実施の形態2に係る空気調和機の運転停止時に制御装置が行う導風板の制御フローを示す図である。
【
図13】実施の形態2に係る空気調和機の運転時に制御装置が行う導風板の制御フローの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係る空気調和機100を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本開示を限定するものではない。これらの方向を示す用語は、特に明示しない限り、空気調和機100を正面視した場合の方向を意味している。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和機100を示す正面斜視図である。
図2は、
図1に示す空気調和機100から前板2を取り外した状態の正面斜視図である。
図3は、実施の形態1に係る空気調和機100の上部の内部構造を示す正面図である。
図4は、
図3に示す送風機5a、5bからファンケーシング50a、50bを取り外した状態の正面図である。
【0012】
実施の形態1に係る空気調和機100は、
図1および
図2に示すように、例えば床置き型であり、ダクト60(後述する
図5参照)を介して室内空間に調和空気を供給するものである。空気調和機100は、外郭を構成する筐体1を備えており、筐体1の前面には前板2が設けられている。筐体1の内部には、2つの送風機5a、5b、熱交換器6、熱交換器6からの凝縮水を回収するドレンパン7、および、制御装置30を収納する制御箱8が設けられている。筐体1の前板2には、筐体1の内部に空気を取り込む吸入口20が形成されている。また、筐体1の上面4には、筐体1の外部へ空気を吹き出す吹出口40a、40bが形成されている。そして、筐体1の内部には、吸入口20から吹出口40a、40bに至る風路が形成されている。また、筐体1の上面4に形成された吹出口40a、40bの周縁部の一辺(以下、縁と称する)には、筐体1の外側つまり上方に突出した導風板11a、11bが設けられている。導風板11a、11bは、吹出口40aの吹出口40b側の縁と、吹出口40bの吹出口40a側の縁にそれぞれ設けられている。つまり、2つの導風板11a、11bは、2つの吹出口40a、40bの間に位置するように設けられている。なお、導風板11a、11bの詳細については後述する。
【0013】
熱交換器6は、筐体1の前板2が配置されている側から見て、吸入口20の裏側に配置されている。また、熱交換器6は、筐体1の内部において傾斜して配置されている。
【0014】
2つの送風機5a、5bは、筐体1の内部において熱交換器6よりも上側かつ吹出口40a、40bよりも下側に配置されている。また、2つの送風機5a、5bは、左右方向(幅方向)に並べて配置されている。2つの送風機5a、5bは、
図3および
図4に示すように、ファン51a、51bと、ファン51a、51bの周囲を覆い筐体1の上面4に固定されたファンケーシング50a、50bと、を備えている。ここで、ファン51a、51bは、シロッコファンにより構成されている。また、2つの送風機5a、5bのファン51a、51bには、モーター9a、9bがそれぞれ連結されている。そして、モーター9a、9bをインバーター制御することにより、ファン51a、51bが駆動される。なお、実施の形態1では、2つの送風機5a、5bのファン51a、51bにモーター9a、9bがそれぞれ連結されている構成としたが、それに限定されず、2つの送風機5a、5bのファン51a、51bに同一のモーターが連結されている構成としてもよい。
【0015】
ドレンパン7は、
図2に示すように、筐体1の内部において傾斜して配置されている熱交換器6の下方で流下する水分を捕集できるように配置されている。
【0016】
制御装置30は、例えば、専用のハードウェア、または記憶部(図示せず)に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成される。
【0017】
制御装置30が専用のハードウェアである場合、制御装置30は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御装置30が実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現してもよいし、各機能部を一つのハードウェアで実現してもよい。
【0018】
制御装置30がCPUの場合、制御装置30が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、記憶部に格納される。CPUは、記憶部に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置30の各機能を実現する。ここで、記憶部は、各種情報を記憶するものであり、例えば、フラッシュメモリ、EPROM、および、EEPROMなどの、データの書き換え可能な不揮発性の半導体メモリを備えている。
【0019】
なお、制御装置30の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0020】
制御装置30は、空気調和機100に設けられた各種センサ(図示せず)からの検知信号、および、操作部(図示せず)からの操作信号などに基づいて、送風機5a、5bなどを制御し、空気調和機100全体の動作を制御する。
【0021】
図5は、実施の形態1に係る空気調和機100の筐体1内の空気の流れを示す正面模式図である。なお、
図5の矢印は空気の流れを示している。
【0022】
図5に示すように、吸入口20から筐体1の内部に流入した空気は、熱交換器6を通過して調和された後、上方に流れながら分岐し、送風機5a、5bのファンケーシング50a、50bの内部に吸い込まれる。送風機5a、5bのファンケーシング50a、50bに吸い込まれた調和空気は、筐体1の上面4に形成された吹出口40a、40bからそれぞれ吹き出され、ダクト60を介して室内空間に供給される。
【0023】
図6は、実施の形態1に係る空気調和機100の上部構造を拡大した正面斜視図である。
図7は、実施の形態1に係る空気調和機100の仕切板10のサイズを説明する図である。
図8は、実施の形態1に係る空気調和機100の仕切板10の下端部の位置を説明する図である。なお、
図6~
図8は、空気調和機100から前板2を取り外した状態を示している。また、
図7および
図8は、説明を分かりやすくするため一部部品を図示省略している。
【0024】
図6に示すように、左右方向に設置された2つの送風機5a、5bの間には、矩形状の仕切板10が設けられている。このように、2つの送風機5a、5bの間に仕切板10を設けることで、2つの送風機5a、5bの距離が近くても、送風機5a、5bの下方の吸入口20から送風機5a、5bに流れてきた空気を送風機5a、5bで奪い合うことが抑制される(
図5のB部参照)。そのため、送風機5a、5bの吸込口52a、52bから吸い込まれる空気が互いに干渉して2つの送風機5a、5bの負荷が不均一となるのを抑制することができる。そして、その結果、2つの送風機5a、5bの間で電流値不均衡が発生するなどによる運転効率の低下を抑制することができ、運転効率の低下によって生じる空力性能の低下を抑制することができる。
【0025】
また、
図7に示すように、仕切板10の高さ方向(上下方向)の幅H1は、送風機5a、5bの破線で示す吸込口52a、52bの直径H2よりも大きくなっている。また、仕切板10の奥行き方向(前後方向)の幅W1は、送風機5a、5bの破線で示す吸込口52a、52bの奥行き方向の幅W2よりも大きくなっている。このように、仕切板10の面積を送風機5a、5bの吸込口52a、52bの開口面積よりも大きく設けることで、送風機5a、5bの下方の吸入口20から送風機5a、5bに流れてきた空気を送風機5a、5bで奪い合うことがさらに抑制される。そのため、送風機5a、5bの吸込口52a、52bから吸い込まれる空気が互いに干渉して2つの送風機5a、5bの負荷が不均一となるのを抑制する効果を高めることができる。そして、その結果、運転効率の低下を抑制する効果を高めることができ、運転効率の低下によって生じる空力性能の低下を抑制する効果を高めることができる。
【0026】
さらに、仕切板10は、その吸入口20側の端部が、送風機5a、5bの吸込口52a、52bの吸入口20側の端部よりも吸入口20側に位置するように設けられている。つまり、
図8に示すように、仕切板10は、その下端L1が、送風機5a、5bの吸込口52a、52bの下端L2よりも下側に位置するように設けられている。このように、仕切板10の下端L1が、送風機5a、5bの吸込口52a、52bの下端L2よりも筐体1の吸入口20側に位置するように仕切板10を設けることで、送風機5a、5bの下方の吸入口20から送風機5a、5bに流れてきた空気を送風機5a、5bで奪い合うことがさらに抑制される。そのため、送風機5a、5bの吸込口52a、52bから吸い込まれる空気が互いに干渉して2つの送風機5a、5bの負荷が不均一となるのを抑制する効果をさらに高めることができる。そして、その結果、運転効率の低下を抑制する効果をさらに高めることができ、運転効率の低下によって生じる空力性能の低下を抑制する効果をさらに高めることができる。
【0027】
図9は、実施の形態1に係る空気調和機100の導風板11の角度を説明する図である。
図10は、実施の形態1に係る空気調和機100の導風板11のサイズを説明する図である。なお、
図9および
図10は、空気調和機100から前板2を取り外した状態を示している。また、
図9は、説明を分かりやすくするため一部部品を図示省略している。また、
図9では、導風板11aと導風板11bとで異なる角度を示しているが、説明のためである。導風板11aと導風板11bとは、同じ角度にしてもよいし、異なる角度にしてもよい。
【0028】
図9に示すように、導風板11a、11bは、筐体1の上面4のそれぞれが設けられた吹出口40a、40bの開口面に対する角度θが90°以下となるように設けられている。詳しくは、導風板11a、11bの上面11a1、11b1(
図6参照)が、上記の吹出口40a、40bの開口面に対する角度θが90°以下となるように設けられている。なお、
図6に示すように、導風板11a、11bの上面11a1、11b1は、長方形状を有しているが、それに限定されない。さらに、導風板11a、11bは、正面視して、吹出口40a、40bの上方への投影面X内に収まる任意の長さで設けられている。ここで、投影面Xの左右方向の幅は吹出口40a、40bの左右方向の幅と同じである。つまり、導風板11a、11bは、それぞれが設けられた吹出口40a、40bの左右方向の幅内に収まるように設けられている。
【0029】
このように導風板11a、11bを設けることで、吹出口40a、40bから吹き出された空気の流れ(
図5のA部参照)が幅方向に拡散されるのが抑制され、送風抵抗が大きくなることを抑制することができる。なお、吹出口40a、40bの左右方向の幅内の少なくとも一部に導風板11a、11bが設けられていれば、吹き出された空気の拡散を抑止する効果が得られる。そのため、導風板11a、11bをそれぞれが設けられた吹出口40a、40bの左右方向の幅内に収まらないように設けても、吹出口40a、40bから吹き出された空気の流れが幅方向に拡散されるのが抑制される効果はあまり変わらない。そこで、導風板11a、11bをそれぞれが設けられた吹出口40a、40bの左右方向の幅内に収まるように設けることで、導風板11a、11bを無駄に長く設けなくて済む。
【0030】
なお、導風板11a、11bの角度θが小さくなると、吹出口40a、40bから吹き出される空気を導風板11a、11bが遮ることで生じる送風抵抗が大きくなるため、導風板11a、11bの角度θは30°以上が好ましい。
図10に示すように、導風板11a、11bの奥行き方向の幅W3は、筐体1の上面4に設けられたダクト60の接続部の奥行き方向の幅W4よりも小さくなっている。つまり、導風板11a、11bの長手方向の長さは、ダクト60の接続部よりも小さくなっている。これは、ダクト60を吹出口40a、40bを覆うようにダクト60を筐体1の上面4に接続できるようにするためである。また、導風板11a、11bの奥行き方向の幅W3を、吹出口40a、40bの奥行き方向の幅W5よりも大きくする。つまり、導風板11a、11bは、長手方向において、吹出口40a、40bの縁の長さよりも大きくする。そうすることで、吹出口40a、40bから吹き出された空気の流れが幅方向に拡散されるのがさらに抑制されるため、送風抵抗が大きくなることを抑制する効果を高めることができる。
【0031】
以上、実施の形態1に係る空気調和機100は、吸入口20および2つの吹出口40a、40bを有する筐体1と、筐体1の内部にその幅方向に並べて配置され、吸入口20から吸い込んだ空気を2つの吹出口40a、40bのうちそれぞれ異なる一方から吹き出す2つの送風機5a、5bと、2つの送風機5a、5bの間に設けられた仕切板10と、2つの吹出口40a、40bのそれぞれの縁に設けられ、筐体1の外側に突出した導風板11a、11bと、を備え、2つの導風板11a、11bは、2つの吹出口40a、40bの間に位置するように設けられており、かつ、それぞれが設けられた吹出口40a、40bの開口面に対する角度θが90°以下となるように設けられている。
【0032】
実施の形態1に係る空気調和機100によれば、2つの送風機5a、5bの間に仕切板10が設けられている。そのため、2つの送風機5a、5bの距離が近くても、送風機5a、5bから吸い込まれる空気が互いに干渉して2つの送風機5a、5bの負荷が不均一となるのを抑制することができる。また、2つの吹出口40a、40bのそれぞれの縁に2つの導風板11a、11bが設けられており、2つの導風板11a、11bは、2つの吹出口40a、40bの間に位置するように設けられており、かつ、それぞれが設けられた吹出口40a、40bの開口面に対する角度θが90°以下となるように設けられている。そのため、吹出口40a、40bから吹き出された空気の流れが幅方向に拡散されるのが抑制され、送風抵抗が大きくなることを抑制することができる。その結果、2つの送風機5a、5bの負荷が不均一となること、および、送風抵抗が大きくなることが抑制されるため、運転効率の低下を抑制することができる。
【0033】
また、実施の形態1に係る空気調和機100において、2つの導風板11a、11bは、それぞれが設けられた吹出口40a、40bの幅方向の幅内に収まるように設けられている。
【0034】
実施の形態1に係る空気調和機100によれば、導風板11a、11bを無駄に長くしなくて済む。
【0035】
また、実施の形態1に係る空気調和機100において、仕切板10の面積は、2つの送風機5a、5bの吸込口52a、52bの開口面積よりも大きい。
【0036】
実施の形態1に係る空気調和機100によれば、吸入口20から送風機5a、5bに流れてきた空気を送風機5a、5bで奪い合うことがさらに抑制される。そのため、送風機5a、5bの吸込口52a、52bから吸い込まれる空気が互いに干渉して2つの送風機5a、5bの負荷が不均一となるのを抑制する効果を高めることができる。そして、その結果、運転効率の低下を抑制する効果を高めることができ、運転効率の低下によって生じる空力性能の低下を抑制する効果を高めることができる。
【0037】
また、実施の形態1に係る空気調和機100において、仕切板10の吸入口20側の端部は、2つの送風機5a、5bの吸込口52a、52bの吸入口20側の端部よりも吸入口20側に位置している。
【0038】
実施の形態1に係る空気調和機100によれば、吸入口20から送風機5a、5bに流れてきた空気を送風機5a、5bで奪い合うことがさらに抑制される。そのため、送風機5a、5bの吸込口52a、52bから吸い込まれる空気が互いに干渉して2つの送風機5a、5bの負荷が不均一となるのを抑制する効果をさらに高めることができる。そして、その結果、運転効率の低下を抑制する効果をさらに高めることができ、運転効率の低下によって生じる空力性能の低下を抑制する効果をさらに高めることができる。
【0039】
また、実施の形態1に係る空気調和機100において、2つの導風板11a、11bは長方形状を有し、長手方向が前記2つの吹出口40a、40bのそれぞれの縁に沿うように設けられており、長手方向において2つの吹出口40a、40bのそれぞれの縁の長さよりも大きい。
【0040】
実施の形態1に係る空気調和機100によれば、吹出口40a、40bから吹き出された空気の流れが幅方向に拡散されるのがさらに抑制されるため、送風抵抗が大きくなることを抑制する効果を高めることができる。
【0041】
実施の形態2.
以下、実施の形態2について説明するが、実施の形態1と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
【0042】
実施の形態1に係る空気調和機100では、導風板11a、11bの角度θが90°以下となるように設けられており、角度θは不変である。それに対して、実施の形態2に係る空気調和機100では、導風板11a、11bの角度θが90°以下の角度で可変に設けられている。そのため、実施の形態2では、2つの導風板11a、11bにそれぞれ連結され、それらを回動させる導風板用モーター(図示せず)がモーター9a、9bとは別に設けられている。なお、実施の形態2では、2つの導風板11a、11bに導風板用モーターがそれぞれ連結されている構成としたが、それに限定されず、2つの導風板11a、11bに同一の導風板用モーターが連結されている構成としてもよい。ただし、実施の形態2では、2つの送風機5a、5bのファン51a、51bにモーター9a、9bがそれぞれ連結されている構成とする。
【0043】
制御装置30は、送風機5a、5bのファン51a、51bを駆動するモーター9a、9bの負荷をそれぞれ検知する。ここで、モーター9a、9bの負荷を検知する方法としては、例えば、電流センサを用いてモーター9a、9bに入力される電流値を検知する方法などであるが、それに限定されず、モーター9a、9bの消費電力を検知するなどその他の方法でもよい。そして、制御装置30は、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが、あらかじめ設定された第1閾値Th1を超えた場合、導風板11a、11bの角度θがあらかじめ設定された第1角度θ1だけ小さくなるように導風板11a、11bを回動させる。ここで、ΔLは絶対値である。
【0044】
また、制御装置30は、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが、あらかじめ設定された第2閾値Th2(<Th1)以下である場合、導風板11a、11bの角度θがあらかじめ設定された第2角度θ2だけ大きくなるように導風板11a、11bを回動させる。ここで、第1角度θ1と第2角度θ2とは同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。このように、2つのモーター9a、9bの負荷を検知し、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLに応じて、導風板11a、11bの角度θを制御する。そうすることで、2つの送風機5a、5bの負荷が不均一となるのを抑制し、2つの送風機5a、5bの間で電流値不均衡が発生することによる運転効率の低下を抑制することができ、運転効率の低下によって生じる空力性能の低下を抑制することができる。
【0045】
実施の形態2では、導風板11a、11bの角度θが90°を超えない規制構造を有している。規制構造は、例えば、導風板11a、11bの角度θが90°のときにぶつかる位置に設けられたストッパーなどである。
【0046】
図11は、実施の形態1に係る空気調和機100の運転時に制御装置30が行う導風板11a、11bの制御フローを示す図である。
以下、空気調和機100の運転時の導風板11a、11bの制御フローについて、
図11を用いて説明する。空気調和機100の運転が開始されたら、あるいは、風量設定の変更があったら、処理はステップS101に進む。
【0047】
(ステップS101)
制御装置30は、2つのモーター9a、9bの負荷を検知し、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLがあらかじめ設定された第1閾値Th1より大きいかどうか判定する。制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第1閾値Th1より大きいと判定した場合(YES)、処理はステップS102に進む。一方、制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第1閾値Th1より大きくないと判定した場合(NO)、処理はステップS101を繰り返す。
【0048】
(ステップS102)
制御装置30は、導風板11a、11bの角度θがあらかじめ設定された第1角度θ1だけ小さくなるように導風板11a、11bを回動させる。
【0049】
(ステップS103)
制御装置30は、2つのモーター9a、9bの負荷を検知し、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLがあらかじめ設定された第2閾値Th2より小さいかどうか判定する。制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第2閾値Th2より小さいと判定した場合(YES)、処理はステップS104に進む。一方、制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第2閾値Th2より小さくないと判定した場合(NO)、処理はステップS102に戻る。
【0050】
(ステップS104)
制御装置30は、導風板11a、11bの角度θを維持する。つまり、処理的には何も行われない。
【0051】
(ステップS105)
制御装置30は、2つのモーター9a、9bの負荷を検知し、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第1閾値Th1より大きいかどうか判定する。制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第1閾値Th1より大きいと判定した場合(YES)、処理はステップS102に戻る。一方、制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第1閾値Th1より大きくないと判定した場合(NO)、処理はステップS106に進む。
【0052】
なお、ステップS105は、外的要因によってモーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが変動した場合を想定した処理である。この処理によって、外的要因によってモーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第1閾値Th1より大きくなっても、処理をステップS102に戻すことができ、再びモーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLを小さくする処理(ステップS102~S103)を行うことができる。
【0053】
(ステップS106)
制御装置30は、2つのモーター9a、9bの負荷を検知し、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第2閾値Th2より小さい状態が、あらかじめ設定された一定時間T1以上経過したかどうか判定する。制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第2閾値Th2より小さい状態が、一定時間T1以上経過したと判定した場合(YES)、処理はステップS107に進む。一方、制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第2閾値Th2より小さい状態が、一定時間T1以上経過していないと判定した場合(NO)、処理はステップS104に戻る。
【0054】
(ステップS107)
制御装置30は、導風板11a、11bの角度θがあらかじめ設定された第2角度θ2だけ大きくなるように導風板11a、11bを回動させる。
【0055】
(ステップS108)
制御装置30は、2つのモーター9a、9bの負荷を検知し、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第2閾値Th2より大きいかどうか判定する。制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第2閾値Th2より大きいと判定した場合(YES)、処理はステップS101に戻る。一方、制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第2閾値Th2より大きくないと判定した場合(NO)、処理はステップS107に戻る。
【0056】
図12は、実施の形態1に係る空気調和機100の運転停止時に制御装置30が行う導風板11a、11bの制御フローを示す図である。
以下、空気調和機100の運転停止時の導風板11a、11bの制御フローについて、
図12を用いて説明する。空気調和機100の運転が停止されたら、処理はステップS201に進む。
【0057】
(ステップS201)
制御装置30は、導風板11a、11bの角度θが90°になるように導風板11a、11bを回動させる。
【0058】
これにより、空気調和機100の運転再開後、導風板11a、11bを常に同じ位置とすることができる。
【0059】
図13は、実施の形態1に係る空気調和機100の運転時に制御装置30が行う導風板11a、11bの制御フローの変形例を示す図である。
なお、空気調和機100の運転時の導風板11a、11bの制御フローは、
図13に示すように、
図11に示す制御フローよりもシンプルな制御フローとしてもよい。つまり、制御装置30が、モーター9aの負荷とモーター9bの負荷との差ΔLが第1閾値Th1より大きいと判定したら、第2閾値Th2より小さくなるまで導風板11a、11bの角度θを小さくする処理のみとしてもよい。
【0060】
以上、実施の形態2に係る空気調和機100は、2つの送風機5a、5bをそれぞれ駆動するモーター9a、9bと、2つのモーター9a、9bの負荷の差ΔLに応じて2つの導風板11a、11bを回動させる制御装置30と、を備えたものである。
【0061】
実施の形態2に係る空気調和機100によれば、2つのモーター9a、9bの負荷ΔLの差に応じて2つの導風板11a、11bを回動させる。そのため、2つの送風機5a、5bの負荷が不均一となるのを抑制し、2つの送風機5a、5bの間で電流値不均衡が発生することによる運転効率の低下を抑制することができ、運転効率の低下によって生じる空力性能の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 筐体、2 前板、4 (筐体の)上面、5a 送風機、5b 送風機、6 熱交換器、7 ドレンパン、8 制御箱、9a モーター、9b モーター、10 仕切板、11 導風板、11a 導風板、11a1 (導風板の)上面、11b 導風板、11b1 (導風板の)上面、20 吸入口、30 制御装置、40a 吹出口、40b 吹出口、50a ファンケーシング、50b ファンケーシング、51a ファン、51b ファン、52a 吸込口、52b 吸込口、60 ダクト、100 空気調和機。