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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-27
(45)【発行日】2025-07-07
(54)【発明の名称】テープ端末貼付け装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 81/06 20060101AFI20250630BHJP
【FI】
B65H81/06 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023114227
(22)【出願日】2023-07-12
(65)【公開番号】P2025011855
(43)【公開日】2025-01-24
【審査請求日】2024-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中島 大雅
(72)【発明者】
【氏名】井上 亮
(72)【発明者】
【氏名】石井 利政
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-169003(JP,A)
【文献】特開2019-29219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 81/00-81/08
B65H 35/00-35/10
H01B 12/26
H01B 13/00
H01B 13/26
D07B 1/00- 5/00
D07B 5/04- 9/00
F16G 11/00
B65B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な柔軟材料で帯状に形成されたバンド部と、
周面がテープの貼付け対象となった線状のテープ貼付け対象に対する交差方向に延在するように前記バンド部を保持するバンド保持部と、
先端から離れた中途部分が前記テープ貼付け対象と交差するように配置された前記テープを、前記バンド部で前記テープ貼付け対象の前記周面に押し付けるように前記バンド保持部を駆動することで、前記テープにおける前記中途部分よりも前記先端寄りの端末部を前記周面に貼り付けるバンド駆動部と、
を備えたことを特徴するテープ端末貼付け装置。
【請求項2】
前記バンド保持部が、
前記バンド部の両端を保持するとともに、前記バンド部が前記テープを前記周面に押し付けた状態で前記テープ貼付け対象を避ける形状を有するフレーム部と、
前記フレーム部における前記テープ貼付け対象から遠い側の端部を、前記テープ貼付け対象に沿った回転軸を中心にして回転可能に保持するアーム部と、を備え、
前記バンド駆動部が、
前記アーム部を、前記テープ貼付け対象に対する接離方向に直線駆動する部位であって、前記テープの貼付け時には、前記アーム部を介して前記フレーム部を前記テープ貼付け対象に近づける直線駆動部と、
前記フレーム部を、前記回転軸回りに回転駆動する部位であって、前記テープの貼付け時には、前記フレーム部を介して前記バンド部を前記テープ貼付け対象の前記周面に押し付ける回転駆動部と、を備えたことを特徴する請求項1に記載のテープ端末貼付け装置。
【請求項3】
前記回転駆動部が、前記フレーム部の所定箇所をピストンの先端で直線的に押すことで前記フレーム部を前記回転軸回りに回転駆動するシリンダ機構であることを特徴する請求項2に記載のテープ端末貼付け装置。
【請求項4】
前記バンド駆動部は、前記回転駆動部が前記フレーム部を前記周面から離す方向に回転させて引き上げた状態で、前記バンド部の一部が前記テープに接するまで前記直線駆動部が前記アーム部を介して前記フレーム部を前記テープ貼付け対象に近づけ、その後に、前記周面との間に前記テープを挟みつつ前記周面に沿って前記バンド部が撓んだ状態になるまで前記回転駆動部が前記フレーム部を前記周面に近づける方向に回転させることを特徴する請求項2に記載のテープ端末貼付け装置。
【請求項5】
前記フレーム部が、
前記テープ貼付け対象を内側に収めた状態で前記交差方向に延在することで前記テープ貼付け対象を避けるアーチ形状のフレーム本体と、
前記フレーム本体における前記アーチ形状の両端部から前記テープ貼付け対象に沿って突出した一対の保持バーと、を備え、
前記バンド部は、前記一対の保持バーの間に掛け渡されるように前記フレーム部に取り付けられていることを特徴する請求項2に記載のテープ端末貼付け装置。
【請求項6】
前記バンド保持部が、前記バンド部を、前記テープの幅方向に並ぶように複数本保持することを特徴する請求項1に記載のテープ端末貼付け装置。
【請求項7】
前記バンド部が、弾性材料で形成された伸縮可能な部材であることを特徴する請求項1に記載のテープ端末貼付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば電線束等といった線状のテープ貼付け対象の周面にテープの端末部を貼り付けるテープ端末貼付け装置に関するものとなっている。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用のワイヤーハーネス等の製造において電線束等のといった線状のテープ貼付け対象の周面にテープを巻き付ける装置が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の装置では、テープ貼付け対象の周面へのテープの巻き付けに先だって、引き出されたテープの端末部を周面に貼り付ける処理が行われている。そして、このような処理のために、テープの端末部を回転ローラでテープ貼付け対象の周面に押さえ付けることで貼り付けるテープ端末貼付け装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-224123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のテープ端末貼付け装置では、回転ローラがテープ貼付け対象を周方向に乗り越えるようにしてテープの端末部の貼付けが行われる。このような構成上、テープ貼付け対象の中心より上側に回転ローラを設定しなければ、テープ貼付け対象を乗り越えることができず、テープの貼付け面積が限定されがちとなる。また、上述のテープ端末貼付け装置では、外径が異なるテープ貼付け対象にテープを貼り付ける場合、想定される最大外径のテープ貼付け対象を乗越え可能となるように回転ローラの位置を設定する必要がある。その結果、外径の小さいテープ貼付け対象については回転ローラから周面までの距離が遠くなり、テープの貼付け自体がそもそも困難となる可能性がある。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、外径が互いに異なる複数種類のテープ貼付け対象について十分な貼付け面積でテープの端末部を貼り付けることができるテープ端末貼付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、テープ端末貼付け装置は、変形可能な柔軟材料で帯状に形成されたバンド部と、周面がテープの貼付け対象となった線状のテープ貼付け対象に対する交差方向に延在するように前記バンド部を保持するバンド保持部と、先端から離れた中途部分が前記テープ貼付け対象と交差するように配置された前記テープを、前記バンド部で前記テープ貼付け対象の前記周面に押し付けるように前記バンド保持部を駆動することで、前記テープにおける前記中途部分よりも前記先端寄りの端末部を前記周面に貼り付けるバンド駆動部と、を備えたことを特徴する。
【発明の効果】
【0007】
上記の電線搬送装置によれば、外径が互いに異なる複数種類のテープ貼付け対象について十分な貼付け面積でテープの端末部を貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るテープ端末貼付け装置を示す模式図である。
図2図1に示されているテープ端末貼付け装置を備えたテープ巻付け装置においてテープが引き出され、その中途部分が電線束の周面に接するように配置される様子を示す図である。
図3図2に示されている一連動作について、特徴部分を簡略化して示した模式図である。
図4図2及び図3の第2ステップで電線束の周面に中途部分が押し当てられたテープに対し、テープ端末貼付け装置においてバンド部が近付けられて接触する様子を示す図である。
図5図4に示されている一連動作について、特徴部分を簡略化して示した模式図である。
図6図4及び図5の第4ステップで電線束の周面へと曲げられたテープの端末部を、テープ端末貼付け装置においてバンド部が電線束の周面へと押し付けて貼り付ける様子を示す図である。
図7図6に示されている動作について、特徴部分を簡略化して示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、テープ端末貼付け装置の一実施形態について説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係るテープ端末貼付け装置を示す模式図である。
【0011】
本実施形態のテープ端末貼付け装置1は、自動車用のワイヤーハーネス等の製造において電線束W1を線状のテープ貼付け対象とし、周面保護等を目的として、テープリールT2から引き出されたテープT1を螺旋状に巻き付けるのに先立って用いられる。テープ端末貼付け装置1は、このようなテープT1の巻き付け処理に先だって、先端T11から離れた中途部分T12よりも先端寄りの端末部T13を電線束W1の周面W11に貼り付ける。この後に行われる巻き付け処理は、この周面W11に貼り付けられた端末部T13を巻き付けの起点として行われることとなる。このテープ端末貼付け装置1は、バンド部11と、バンド保持部12と、バンド駆動部13とを備えている。
【0012】
バンド部11は、変形可能な柔軟材料で帯状に形成された部材であり、具体的には、弾性材料としてのゴムで帯状に形成された伸縮可能な部材となっている。本実施形態では、バンド部11は、複数本、具体的には3本設けられている。
【0013】
バンド保持部12は、電線束W1に対する交差方向D11に延在するようにバンド部11を保持する部材であり、フレーム部121と、アーム部122とを備えている。
【0014】
フレーム部121は、バンド部11の両端を保持するとともに、バンド部11がテープT1を電線束W1の周面W11に押し付けた状態で電線束W1を避ける形状を有する部材となっている。そして、このフレーム部121が、フレーム本体121aと、一対の保持バー121bとを備えている。フレーム本体121aは、電線束W1を内側に収めた状態で電線束W1に対する交差方向D11に延在することで電線束W1を避ける略C字状のアーチ形状を有した部材である。一対の保持バー121bは、フレーム本体121aにおけるアーチ形状の両端部から電線束W1に沿って突出したバー部材となっている。そして、3本のバンド部11が、一対の保持バー121bの間に掛け渡されるように、テープT1の幅方向D12に並べられた状態でフレーム部121に取り付けられている。
【0015】
アーム部122は、フレーム部121における電線束W1から遠い側の端部を、この電線束W1に沿った回転軸122aを中心にして回転可能に保持する部位である。
【0016】
バンド駆動部13は、中途部分T12が電線束W1と交差するように配置されたテープT1を、バンド部11で電線束W1の周面W11に押し付けるようにバンド保持部12を駆動する。バンド駆動部13は、バンド保持部12のこのような駆動により、テープT1における中途部分T12よりも先端T11寄りの端末部T13を電線束W1の周面W11に貼り付ける。このバンド駆動部13は、直線駆動部131と、回転駆動部132とを備えている。
【0017】
直線駆動部131は、バンド保持部12におけるアーム部122を、電線束W1に対する接離方向D13に直線駆動する部位である。直線駆動部131は、このような直線駆動により、テープT1の貼付け時には、アーム部122を介してフレーム部121、つまりはバンド部11を電線束W1に近づける。
【0018】
回転駆動部132は、アーム部122に回転軸122aを介して連結されたフレーム部121を、回転軸122a回りに回転駆動する部位である。テープT1の貼付け時には、回転駆動部132が、フレーム部121を介してバンド部11を電線束W1の周面W11に押し付ける。ここで、本実施形態では、この回転駆動部132が、フレーム部121の所定の連結箇所121cをピストン132aの先端で直線的に押すことでフレーム部121を回転軸122a回りに回転駆動するシリンダ機構となっている。ピストン132aの先端は、回転軸122aと平行に設けられたピストン端回転軸132b回りに回転可能にフレーム部121におけるフレーム本体121aに連結されている。
【0019】
バンド駆動部13は、テープT1の貼付け時の初期段階では、回転駆動部132がフレーム部121を周面W11から離す方向に回転させて引き上げた状態となっている。そして、バンド駆動部13では、フレーム部121が引き上げられた状態で、バンド部11の一部がテープT1に接するまで直線駆動部131がアーム部122を介してフレーム部121を電線束W1に近づける。バンド駆動部13では、その後、周面W11との間にテープT1を挟みつつ周面W11に沿ってバンド部11が撓んだ状態になるまで回転駆動部132がフレーム部121を周面W11に近づける方向に回転させる。
【0020】
次に、以上に説明したテープ端末貼付け装置1を備えたテープ巻付け装置2においてテープT1が引き出されてから、その端末部T13が電線束W1に貼り付けられるまでの一連の動きについて、以下に説明する。
【0021】
図2は、図1に示されているテープ端末貼付け装置を備えたテープ巻付け装置においてテープが引き出され、その中途部分が電線束の周面に接するように配置される様子を示す図である。図3は、図2に示されている一連動作について、特徴部分を簡略化して示した模式図である。
【0022】
図2及び図3に示されている第1ステップS11では、テープ巻付け装置2にセットされたテープリールT2からテープT1が引き出される。このテープT1の引出しは、テープ短把持機構21でテープT1の先端T11を把持し、電線束W1と交差する引出し方向D14へと引き出すことで行われる。この第1ステップS11の段階では、テープT1は電線束W1から離されており、テープ端末貼付け装置1は、このテープT1から離された位置に配置されている。更に、テープ端末貼付け装置1では、バンド駆動部13の回転駆動部132がフレーム部121を介してバンド部11を引き上げた状態となっている。
【0023】
第1ステップS11に続く第2ステップS12では、テープT1がテープ巻付け装置2ごと、電線束W1へと第1近接方向D15に近づけられる。これにより、テープT1の中途部分T12が電線束W1の周面W11に押し当てられる。このとき、上述のようにバンド引上げ状態のテープ端末貼付け装置1もテープT1と一緒に電線束W1に近づけられるが、第2ステップS12の段階では、テープ端末貼付け装置1とテープT1との相対距離に変化はない。
【0024】
図4は、図2及び図3の第2ステップで電線束の周面に中途部分が押し当てられたテープに対し、テープ端末貼付け装置においてバンド部が近付けられて接触する様子を示す図である。図5は、図4に示されている一連動作について、特徴部分を簡略化して示した模式図である。
【0025】
図2及び図3の第2ステップS12に続く第3ステップS13では、テープ巻付け装置2においてテープ短把持機構21がテープT1の先端T11を開放する。これと同時に、テープ端末貼付け装置1においてバンド部11が、回転駆動部132による引上げ状態のまま、テープT1へと向かう第2近接方向D16の移動を開始する。このバンド部11の移動は、直線駆動部131がアーム部122を介してフレーム部121、即ちバンド部11を、電線束W1に対する接離方向D13に沿って第2近接方向D16に移動させることで行われる。
【0026】
第3ステップS13に続く第4ステップS14では、テープ端末貼付け装置1において、直線駆動部131によるバンド部11の第2近接方向D16への移動が、バンド部11の一部がテープT1に接するまで進んでいる。この第4ステップS14の段階では、テープ巻付け装置2において先端T11が開放されたテープT1の端末部T13がバンド部11に押されて電線束W1の周面W11へと曲げられた状態となっている。
【0027】
図6は、図4及び図5の第4ステップで電線束の周面へと曲げられたテープの端末部を、テープ端末貼付け装置においてバンド部が電線束の周面へと押し付けて貼り付ける様子を示す図である。図7は、図6に示されている動作について、特徴部分を簡略化して示した模式図である。
【0028】
図4及び図5の第4ステップS14に続く第5ステップS15では、テープ端末貼付け装置1において、直線駆動部131によるバンド部11の移動が、テープT1の端末部T13が電線束W1の周面W11へと十分に曲げられた段階で停止する。その後、回転駆動部132が、フレーム部121をピストン132aによる押出し方向D17に押し出す。この押出しにより、フレーム部121、即ちバンド部11が回転軸122aを中心にしてテープ貼付け方向D18に回転し、上記のように曲げられた状態のテープT1の端末部T13を電線束W1の周面W11へと押し付けて貼り付ける。このときには、バンド部11は、電線束W1の周面W11との間にテープT1を挟んだ状態で周面W11の形状に沿って伸長、変形して撓み、その撓みに対する復元力でテープT1の端末部T13を周面W11へと強く押し付けて貼り付ける。
【0029】
この第5ステップS15を以て、テープT1の端末部T13のテープ端末貼付け装置1による貼付けが終了する。この後、テープ端末貼付け装置1では、上述の第3ステップS13~第5ステップS15の動作と逆の動作が行われて、テープ端末貼付け済みの電線束W11からバンド部11が離されて初期位置へと戻される。
【0030】
以上に説明した実施形態のテープ端末貼付け装置1によれば、電線束W1の周面W11に対するテープT1の端末部T13の貼付けが、変形可能な柔軟材料で帯状に形成されたバンド部11でテープT1を押し付けることで行われる。バンド部11は電線束W1の周面W11にテープT1を押し付けつつ、電線束W1の外径に応じ、周面W11の形状になじむように柔軟に変形するため、電線束W1に対しても十分な貼付け面積でテープT1の端末部T13が貼り付けられることとなる。つまり、本実施形態によれば、外径が互いに異なる複数種類の電線束W1について十分な貼付け面積でテープT1の端末部T13を貼り付けることができる。
【0031】
ここで、本実施形態では、バンド保持部12が、バンド部11の両端を保持するとともに電線束W1を避ける形状を有するフレーム部121と、フレーム部121の端部を、回転軸122aを中心にして回転可能に保持するアーム部122とを備えている。また、バンド駆動部13が、アーム部122を直線駆動する直線駆動部131と、フレーム部121を回転軸122a回りに回転駆動してバンド部11を電線束W1の周面W11に押し付ける回転駆動部132とを備えている。この構成によれば、直線駆動部131でバンド部11を電線束W1に近づけつつ、回転駆動部132でバンド部11を周面W11へと回転させることで、必要最小限の動きでバンド部11によるテープT1の端末部T13の貼付けを行うことができる。
【0032】
また、本実施形態では、回転駆動部132がシリンダ機構となっている。この構成によれば、シリンダ機構におけるピストン132aの押出し量を制御することで、電線束W1の周面W11の形状に十分になじんで変形するように、フレーム部121を介してバンド部11の回転量を効果的にコントロールすることができる。また、シリンダ機構を採用することで、このようなコントロールを、例えばサーボモータを用いた回転駆動構造等に比較して安価に行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では、バンド駆動部13において、まず、回転駆動部132がフレーム部121を引き上げた状態で、バンド部11の一部がテープT1に接するまで直線駆動部131がフレーム部121を電線束W1に近づける。その後に、周面W11との間にテープT1を挟みつつ周面W11に沿ってバンド部11が撓んだ状態になるまで回転駆動部132がフレーム部121を回転させる。この構成によれば、電線束W1との干渉を抑えつつ、フレーム部121、即ちバンド部11を電線束W1に十分に近づけ、その後の回転駆動により、バンド部11を十分に撓ませて電線束W1の周面W11に押し付けることができる。
【0034】
また、本実施形態では、フレーム部121が、アーチ形状のフレーム本体121aと、その両端部から突出した一対の保持バー121bと、を備え、バンド部11が一対の保持バー121bの間に掛け渡されるように取り付けられている。この構成によれば、フレーム本体121aのアーチ形状により電線束W1を効果的に避けつつ、両端部の保持バー121bに掛け渡されたバンド部11を電線束W1の周面W11に十分に押し付けることができる。
【0035】
また、本実施形態では、バンド保持部12が、バンド部11を、テープT1の幅方向D12に並ぶように複数本(本実施形態では3本)保持している。この構成によれば、複数本のバンド部11により、テープ幅の異なる複数種類のテープT1を、電線束W1の周面W11へと効果的に押し付けて貼り付けることができる。
【0036】
また、本実施形態では、バンド部11が、弾性材料としてのゴムで形成された伸縮可能な部材となっている。この構成によれば、バンド部11を電線束W1の周面W11の形状になじむように一層柔軟に変形させることができる。また、テープ貼付け時のバンド部11の変形にはゴム製のバンド部11の伸長を伴うことから、その伸長に対する復元力でテープT1の端末部T13を周面W11へと強く押し付けて貼り付けることができる。
【0037】
尚、以上に説明した実施形態は、テープ端末貼付け装置の代表的な形態を示したに過ぎない。テープ端末貼付け装置は、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、テープ端末貼付け装置の一例として、自動車用のワイヤーハーネスのための電線束W1にテープT1の端末部T13を貼り付けるテープ端末貼付け装置1が例示されている。しかしながら、テープ端末貼付け装置は、これに限るものではない。テープ端末貼付け装置は、線状のテープ貼付け対象の周面にテープの端末部を貼り付けるものであれば、例えばワイヤーハーネスにおけるコルゲートチューブ等といった外装材の周面にテープの端末部を貼り付けるものであってもよい。即ち、テープ貼付け対象については、その具体的な態様を問うものではない。
【0039】
また、上述した実施形態では、テープ端末貼付け装置の一例として、テープ巻付け装置2にセットされたテープリールT2から引き出されたテープT1の端末部T13を電線束W1の周面W11に貼り付けるテープ端末貼付け装置1が例示されている。しかしながら、テープ端末貼付け装置は、これに限るものではない。テープ端末貼付け装置は、先端から離れた中途部分がテープ貼付け対象と交差するように配置されたテープの端末部をテープ貼付け対象の周面に貼り付けるものであれば、テープは、巻き付け以外の目的に使用されるものでもよい。また、テープは、テープ巻付け装置にセットされたテープリールから引き出されたものに限るものでもなく、帯状にカットされてテープ貼付け対象と交差するように配置されたもの等であってもよい。即ち、使用されるテープについては、その具体的な態様を問うものではない。
【0040】
また、上述した実施形態では、バンド保持部及びバンド駆動部の各一例として、フレーム部121とアーム部122とを備えたバンド保持部12、及び直線駆動部131と回転駆動部132とを備えたバンド駆動部13が例示されている。しかしながら、バンド保持部及びバンド駆動部は、これらに限るものではない。バンド保持部は、バンド部に対する具体的な保持構造を問うものではなく、バンド駆動部についても、バンド保持部に対する具体的な駆動構造を問うものではない。ただし、バンド駆動部13の直線駆動部131でバンド保持部12のアーム部122を直線駆動し、フレーム部121を回転駆動部132で回転駆動することで、必要最小限の動きでテープT1の端末部T13の貼付けを行うことができる点は上述した通りである。
【0041】
また、上述した実施形態では、回転駆動部の一例として、シリンダ機構となった回転駆動部132が例示されている。しかしながら、回転駆動部は、これに限るものではなく、モータを利用した機構等であってもよく、その具体的な機構を問うものではない。ただし、回転駆動部132としてシリンダ機構を採用することで、バンド部11の回転量を効果的且つ安価にコントロールすることができる点は上述した通りである。
【0042】
また、上述した実施形態では、バンド駆動部の一例として、フレーム部121が引き上げられた状態で直線駆動部131が直線駆動を行い、その後、回転駆動部132が回転駆動を行うバンド駆動部13が例示されている。しかしながら、バンド駆動部は、これに限るものではなく、直線駆動部と回転駆動部を備える場合であっても、各駆動部の具体的な駆動態様は、これを問うものではない。ただし、フレーム部121が引き上げられた状態での直線駆動とその後の回転駆動という駆動態様によれば、バンド部11を電線束W1に十分に近づけ、その後、バンド部11を十分に撓ませて周面W11に押し付けることができる点は上述した通りである。
【0043】
また、上述した実施形態では、フレーム部の一例として、アーチ形状のフレーム本体121aに設けられた一対の保持バー121bにバンド部11が掛け渡されて取り付けられるフレーム部121が例示されている。しかしながら、フレーム部は、これに限るものではなく、テープ貼付け対象を避ける形状を有するものであれば、その具体的な形状やバンド部の保持態様は、これを問うものではない。ただし、アーチ形状のフレーム本体121aとバンド部11が掛け渡される一対の保持バー121bを備えたフレーム部121によれば、電線束W1を効果的に避けつつバンド部11を十分に押し付けることができる点は上述した通りである。
【0044】
また、上述した実施形態では、バンド保持部の一例として、バンド部11を複数本(具体的は3本)保持したバンド保持部12が例示されている。しかしながら、バンド保持部は、これに限るものではなく、バンド部の保持数については、1本であってもよい。ただし、バンド保持部12で複数本のバンド部11を保持することにより、テープ幅の異なる複数種類のテープT1を効果的に押し付けて貼り付けることができる点は上述した通りである。尚、バンド部を複数本設ける場合であっても、その数は、3本に限るものではなく、任意の本数を設定し得るものである。
【0045】
また、上述した実施形態では、バンド部の一例として、弾性材料(具体的にはゴム)で形成された伸縮可能なバンド部11が例示されている。しかしながら、バンド部は、これに限るものではなく、変形可能な柔軟材料で帯状に形成されたものであれば、例えば布製や撓み変形可能なプラスチック製のバンド等であってもよく、その素材については任意のものを採用し得るものである。ただし、弾性材料で形成された伸縮可能なバンド部11によれば、一層柔軟に変形させることができ、また、伸長に対する復元力でテープT1の端末部T13を強く押し付けて貼り付けることができる点は上述した通りである。尚、バンド部を弾性材料で形成する場合であっても、その弾性材料はゴムに限るものではなく、弾性を有する樹脂材料等であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 テープ端末貼付け装置
11 バンド部
12 バンド保持部
13 バンド駆動部
21 テープ短把持機構
121 フレーム部
121a フレーム本体
121b 保持バー
121c 連結箇所
122 アーム部
122a 回転軸
131 直線駆動部
132 回転駆動部
132a ピストン
132b ピストン端回転軸
D11 交差方向
D12 幅方向
D13 接離方向
D14 引出し方向
D15 第1近接方向
D16 第2近接方向
D17 押出し方向
D18 テープ貼付け方向
S11 第1ステップ
S12 第2ステップ
S13 第3ステップ
S14 第4ステップ
S15 第5ステップ
T1 テープ
T2 テープリール
T11 先端
T12 中途部分
T13 端末部
W1 電線束(テープの貼付け対象)
W11 周面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7