(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-27
(45)【発行日】2025-07-07
(54)【発明の名称】オゾン発生装置及びオゾン発生方法
(51)【国際特許分類】
C01B 13/11 20060101AFI20250630BHJP
【FI】
C01B13/11 M
(21)【出願番号】P 2024549688
(86)(22)【出願日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2024002801
【審査請求日】2024-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】平松 幸成
(72)【発明者】
【氏名】小野 祐司
(72)【発明者】
【氏名】中村 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】西村 真一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴翔
(72)【発明者】
【氏名】生沼 学
(72)【発明者】
【氏名】塩田 有波
(72)【発明者】
【氏名】葛本 昌樹
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/132919(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2244936(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第115650175(CN,A)
【文献】特開平11-246205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン発生装置であって、
平板状の第1の金属電極と、
前記第1の金属電極に対向して配置される平板状の第2の金属電極とを備え、前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの電極は、中央部にガス流出口を有し、
前記第1及び第2の金属電極間において、前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの金属電極に隣接して設けられる少なくとも一つの電極用誘電体をさらに備え、
前記第1及び第2の金属電極間において、前記少なくとも一つの電極用誘電体に接して放電空間が設けられ、
前記第1及び第2の金属電極間に電圧が印加されることにより前記放電空間に誘電体バリア放電が発生し、
前記放電空間に原料ガスが供給され、前記誘電体バリア放電が発生する前記放電空間を前記原料ガスが通過することによりオゾンガスが得られ、
前記放電空間は前記ガス流出口に連通する放電中央空間と前記放電中央空間の周辺に存在する放電周辺空間とを含み、前記原料ガスは前記放電周辺空間から前記放電中央空間に向けて供給され、
前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの金属電極は流路内蔵金属電極であり、
前記流路内蔵金属電極は、平面視して前記放電中央空間と重複する電極中央領域と、平面視して前記放電周辺空間と重複する電極周辺領域とを有し、
前記流路内蔵金属電極は、内部に冷媒を流す冷媒流路を有し、前記冷媒流路は前記電極中央領域から前記電極周辺領域にかけて形成され、
前記放電空間にて得られた前記オゾンガスは前記放電中央空間から前記ガス流出口を介して外部に出力され、
前記冷媒流路は、前記電極周辺領域に先がけて前記電極中央領域に前記冷媒を流す中心優先冷媒流路構造を有
し、
前記オゾン発生装置は、
外部から前記冷媒を受ける冷媒供給口と、
外部に前記冷媒を排出する冷媒排出口とをさらに備え、
前記冷媒流路は、
流路方向を変える少なくとも一つの屈曲流路と、
各々が流路方向に沿って前記冷媒を流す複数の周回流路とを含み、
前記複数の周回流路のうち隣接する一対の周回流路は前記少なくとも一つの屈曲流路のうち一の屈曲流路を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続され、
前記複数の周回流路は前記冷媒供給口に連通する供給側周回流路と、前記冷媒排出口に連通する排出側周回流路とを含み、前記複数の周回流路のうち前記供給側周回流路は前記ガス流出口から最も近くに存在し、前記排出側周回流路は前記ガス流出口から最も遠くに存在し、
前記中心優先冷媒流路構造は、
最初に前記冷媒供給口から前記供給側周回流路に前記冷媒が供給され、最後に前記排出側周回流路から前記冷媒排出口を介して外部に前記冷媒が排出されるように、前記複数の周回流路及び前記少なくとも一つの屈曲流路に前記冷媒を流す周回循環流路構造を含む、
オゾン発生装置。
【請求項2】
請求項
1記載のオゾン発生装置であって、
前記冷媒流路は複数の部分冷媒流路を含み、
前記複数の部分冷媒流路はそれぞれ、前記複数の周回流路と前記少なくとも一つの屈曲流路とを有し、
前記複数の部分冷媒流路それぞれの前記供給側周回流路が前記冷媒供給口に連通し、
前記複数の部分冷媒流路それぞれの前記排出側周回流路が前記冷媒排出口に連通し、
前記複数の部分冷媒流路はそれぞれ前記周回循環流路構造を有する、
オゾン発生装置。
【請求項3】
請求項
1記載のオゾン発生装置であって、
前記冷媒供給口及び前記冷媒排出口は、平面視して前記放電空間に重複しない、
オゾン発生装置。
【請求項4】
請求項
3記載のオゾン発生装置であって、
前記冷媒供給口及び前記冷媒排出口は、平面視して前記放電空間に対し同一方向に設けられる、
オゾン発生装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれかに記載のオゾン発生装置であって、
前記放電空間は平面視して円状を呈する、
オゾン発生装置。
【請求項6】
請求項1から請求項
4のいずれかに記載のオゾン発生装置であって、
前記流路内蔵金属電極は前記第1の金属電極を含み、
前記第2の金属電極に隣接して前記放電空間の反対側に設けられた絶縁構造体と、
前記絶縁構造体に隣接して前記放電空間の反対側に設けられ、冷却機能を有する冷却板とをさらに備える、
オゾン発生装置。
【請求項7】
請求項
6記載のオゾン発生装置であって、
前記冷却板は内部に第2の冷媒を流す第2の冷媒流路を有し、
前記冷却板は、平面視して前記放電中央空間と重複する冷却中央領域と、平面視して前記放電周辺空間と重複する冷却周辺領域とを有し、
前記第2の冷媒流路は前記冷却中央領域から前記冷却周辺領域にかけて形成され、前記冷却周辺領域に先がけて前記冷却中央領域に前記第2の冷媒を流す第2の中心優先冷媒流路構造を有する、
オゾン発生装置。
【請求項8】
オゾン発生装置を用いてオゾンガスを発生するオゾン発生方法であって、
前記オゾン発生装置は
、
平板状の第1の金属電極と、
前記第1の金属電極に対向して配置される平板状の第2の金属電極と
を備え、前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの電極は、中央部にガス流出口を有し、
前記オゾン発生装置は、
前記第1及び第2の金属電極間において、前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの金属電極に隣接して設けられる少なくとも一つの電極用誘電体
をさらに備え、
前記第1及び第2の金属電極間において、前記少なくとも一つの電極用誘電体に接して放電空間が設けられ、
前記放電空間は前記ガス流出口に連通する放電中央空間と前記放電中央空間の周辺に存在する放電周辺空間とを含み、
前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの金属電極は流路内蔵金属電極であり、
前記流路内蔵金属電極は、平面視して前記放電中央空間と重複する電極中央領域と、平面視して前記放電周辺空間と重複する電極周辺領域とを有し、
前記流路内蔵金属電極は、内部に冷媒を流す冷媒流路を有し、前記冷媒流路は前記電極中央領域から前記電極周辺領域にかけて形成され、
(a) 前記第1及び第2の金属電極間に電圧を印加して前記放電空間に誘電体バリア放電が発生させるステップと、
(b) 前記冷媒流路において、前記電極周辺領域に先がけて前記電極中央領域に前記冷媒を流す中心優先冷媒流路設定処理を実行するステップと、
(c) 前記放電周辺空間の周辺から前記放電中央空間に向けて原料ガスを供給することにより、前記放電空間内で前記オゾンガスを得るステップとを備え、
前記放電空間にて得られた前記オゾンガスは前記放電中央空間から前記ガス流出口を介して外部に出力され
、
前記オゾン発生装置は、
外部から前記冷媒を受ける冷媒供給口と、
外部に前記冷媒を排出する冷媒排出口とをさらに備え、
前記冷媒流路は、
流路方向を変える少なくとも一つの屈曲流路と、
各々が流路方向に沿って前記冷媒を流す複数の周回流路とを含み、
前記複数の周回流路のうち隣接する一対の周回流路は前記少なくとも一つの屈曲流路のうち一の屈曲流路を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続され、
前記複数の周回流路は前記冷媒供給口に連通する供給側周回流路と、前記冷媒排出口に連通する排出側周回流路とを含み、前記複数の周回流路のうち前記供給側周回流路は前記ガス流出口から最も近くに存在し、前記排出側周回流路は前記ガス流出口から最も遠くに存在し、
前記ステップ(b)における前記中心優先冷媒流路設定処理は、
(b-1) 前記冷媒供給口から前記供給側周回流路に前記冷媒を供給するステップと、
(b-2) 前記排出側周回流路から前記冷媒排出口に前記冷媒を排出するステップとを備え、
前記ステップ(b-1)及び(b-2)の実行により、前記冷媒流路において、最初に前記冷媒供給口から前記供給側周回流路に前記冷媒が供給され、最後に前記排出側周回流路から前記冷媒排出口を介して外部に前記冷媒が排出される態様で、前記複数の周回流路及び前記少なくとも一つの屈曲流路に前記冷媒が流れる周回循環流路が設定される、
オゾン発生方法。
【請求項9】
オゾン発生装置であって、
平板状の第1の金属電極と、
前記第1の金属電極に対向して配置される平板状の第2の金属電極とを備え、前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの電極は、中央部にガス
供給口を有し、
前記第1及び第2の金属電極間において、前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの金属電極に隣接して設けられる少なくとも一つの電極用誘電体
をさらに備え、
前記第1及び第2の金属電極間において、前記少なくとも一つの電極用誘電体に接して放電空間が設けられ、
前記第1及び第2の金属電極間に電圧が印加されることにより前記放電空間に誘電体バリア放電が発生し、
前記ガス供給口を介して前記放電空間に原料ガスが供給され、前記誘電体バリア放電が発生する前記放電空間を前記原料ガスが通過することによりオゾンガスが得られ、
前記放電空間は前記ガス供給口に連通する放電中央空間と前記放電中央空間の周辺に存在する放電周辺空間とを含み、前記原料ガスは前記放電中央空間から前記放電周辺空間に向けて供給され、前記放電周辺空間に連通する外部空間がオゾンガス出力空間となり、
前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの金属電極は流路内蔵金属電極であり、
前記流路内蔵金属電極は、平面視して前記放電中央空間と重複する電極中央領域と、平面視して前記放電周辺空間と重複する電極周辺領域とを有し、
前記流路内蔵金属電極は、内部に冷媒を流す冷媒流路を有し、前記冷媒流路は前記電極周辺領域から前記電極中央領域にかけて形成され、
前記放電空間にて得られた前記オゾンガスは前記放電周辺空間から前記オゾンガス出力空間に出力され、
前記冷媒流路は、前記電極中央領域に先がけて前記電極周辺領域に前記冷媒を流す周辺優先冷媒流路構造を有
し、
前記オゾン発生装置は、
外部から前記冷媒を受ける冷媒供給口と、
外部に前記冷媒を排出する冷媒排出口とをさらに備え、
前記冷媒流路は、
流路方向を変える少なくとも一つの屈曲流路と、
各々が流路方向に沿って前記冷媒を流す複数の周回流路とを含み、
前記複数の周回流路のうち隣接する一対の周回流路は前記少なくとも一つの屈曲流路のうち一の屈曲流路を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続され、
前記複数の周回流路は前記冷媒供給口に連通する供給側周回流路と、前記冷媒排出口に連通する排出側周回流路とを含み、前記複数の周回流路のうち前記供給側周回流路は前記ガス供給口から最も遠くに存在し、前記排出側周回流路は前記ガス供給口から最も近くに存在し、
前記周辺優先冷媒流路構造は、
最初に前記冷媒供給口から前記供給側周回流路に前記冷媒が供給され、最後に前記排出側周回流路から前記冷媒排出口を介して外部に前記冷媒が排出されるように、前記複数の周回流路及び前記少なくとも一つの屈曲流路に前記冷媒を流す周回循環流路構造を含む、
オゾン発生装置。
【請求項10】
請求項
9記載のオゾン発生装置であって、
前記冷媒流路は複数の部分冷媒流路を含み、
前記複数の部分冷媒流路はそれぞれ、前記複数の周回流路と前記少なくとも一つの屈曲流路とを有し、
前記複数の部分冷媒流路それぞれの前記供給側周回流路が前記冷媒供給口に連通し、
前記複数の部分冷媒流路それぞれの前記排出側周回流路が前記冷媒排出口に連通し、
前記複数の部分冷媒流路はそれぞれ前記周回循環流路構造を有する、
オゾン発生装置。
【請求項11】
請求項
9記載のオゾン発生装置であって、
前記冷媒供給口及び前記冷媒排出口は、平面視して前記放電空間に重複しない、
オゾン発生装置。
【請求項12】
請求項
11記載のオゾン発生装置であって、
前記冷媒供給口及び前記冷媒排出口は、平面視して前記放電空間に対し同一方向に設けられる、
オゾン発生装置。
【請求項13】
請求項
9から請求項
12のいずれかに記載のオゾン発生装置であって、
前記放電空間は平面視して円状を呈する、
オゾン発生装置。
【請求項14】
請求項
9から請求項
12のいずれかに記載のオゾン発生装置であって、
前記流路内蔵金属電極は前記第1の金属電極を含み、
前記第2の金属電極に隣接して前記放電空間の反対側に設けられた絶縁構造体と、
前記絶縁構造体に隣接して前記放電空間の反対側に設けられ、冷却機能を有する冷却板とをさらに備える、
オゾン発生装置。
【請求項15】
請求項
14記載のオゾン発生装置であって、
前記冷却板は内部に第2の冷媒を流す第2の冷媒流路を有し、
前記冷却板は、平面視して前記放電中央空間と重複する冷却中央領域と、平面視して前記放電周辺空間と重複する冷却周辺領域とを有し、
前記第2の冷媒流路は前記冷却周辺領域から前記冷却中央領域にかけて形成され、前記冷却中央領域に先がけて前記冷却周辺領域に前記第2の冷媒を流す第2の周辺優先冷媒流路構造を有する、
オゾン発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は平板状の第1及び第2の金属電極を含む電極構造を有するオゾン発生装置及びオゾン発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオゾン発生装置として、各々が平板状の第1及び第2の金属電極を含む電極構造を有するオゾン発生装置がある。このようなオゾン発生装置として例えば特許文献1に開示されたオゾン発生器がある。
【0003】
特許文献1で開示されたオゾン発生器は、平板状の低圧電極と、低圧電極の主面に対向する平板状の高圧電極と、低圧電極と高圧電極との間に設けられた平板状の誘電体及び積層方向に厚さの薄い放電空間を形成するためのスペーサと有している。低圧電極には、オゾンガス通路が設けられていた。
【0004】
原料ガスとなる酸素ガスは放電空間の全周囲から中心に向かって流れ、放電空間でオゾンガス(オゾン化酸素ガス)として生成され、生成されたオゾンガスは内部のオゾンガス通路を介して外部に出力されていた。一方、低圧電極には冷却水通路が設けられ、冷却水通路に冷媒となる冷却水を流すことにより、放電空間内のガス温度を下げていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で開示さされオゾン発生器で代表される従来のオゾン発送装置は、低圧電極内に冷媒(冷却水)を流す冷媒流路(冷却水通路)を設けることにより、放電空間内のガス温度を下げていた。
【0007】
しかしながら、低圧電極に設けられる冷媒流路として、低圧電極内において各々が周方向に沿って設けられる複数の部分冷媒流路を設け、複数の部分冷媒流路それぞれに冷媒を流していた。
【0008】
このように、従来のオゾン発生装置の電極内に設けられる冷媒流路は放電空間全体のガス温度を低下することを目的とした構造のため、使用する冷媒の冷媒量の最適化が図られておらず、かつ、発生されるオゾンガスのオゾン濃度の最適な高濃度化が実現されていないという問題点があった。
【0009】
本開示では、上記のような問題点を解決し、冷媒の冷媒量を必要最小限に抑えて比較的高濃度なオゾンガスを発生することができるオゾン発生装置及びオゾン発生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のオゾン発生装置は、平板状の第1の金属電極と、前記第1の金属電極に対向して配置される平板状の第2の金属電極とを備え、前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの電極は、中央部にガス流出口を有し、前記第1及び第2の金属電極間において、前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの金属電極に隣接して設けられる少なくとも一つの電極用誘電体をさらに備え、前記第1及び第2の金属電極間において、前記少なくとも一つの電極用誘電体に接して放電空間が設けられ、前記第1及び第2の金属電極間に電圧が印加されることにより前記放電空間に誘電体バリア放電が発生し、前記放電空間に原料ガスが供給され、前記誘電体バリア放電が発生する前記放電空間を前記原料ガスが通過することによりオゾンガスが得られ、前記放電空間は前記ガス流出口に連通する放電中央空間と前記放電中央空間の周辺に存在する放電周辺空間とを含み、前記原料ガスは前記放電周辺空間から前記放電中央空間に向けて供給され、前記第1及び第2の金属電極のうち少なくとも一つの金属電極は流路内蔵金属電極であり、前記流路内蔵金属電極は、平面視して前記放電中央空間と重複する電極中央領域と、平面視して前記放電周辺空間と重複する電極周辺領域とを有し、前記流路内蔵金属電極は、内部に冷媒を流す冷媒流路を有し、前記冷媒流路は前記電極中央領域から前記電極周辺領域にかけて形成され、前記放電空間にて得られた前記オゾンガスは前記放電中央空間から前記ガス流出口を介して外部に出力され、前記冷媒流路は、前記電極周辺領域に先がけて前記電極中央領域に前記冷媒を流す中心優先冷媒流路構造を有する。
【発明の効果】
【0011】
本開示のオゾン発生装置において、流路内蔵金属電極に設けられる冷媒流路は、上述した中心優先冷媒流路構造を有するため、ガス流出口に近い電極中央領域の温度を比較的低く保つことができる。一方、原料ガスは放電周辺空間から放電中央空間に向けて供給されるため、放電空間にて生成されるオゾンガスに関し、放電中央空間におけるオゾン濃度は放電周辺空間におけるオゾン濃度より高くなる傾向がある。
【0012】
したがって、本開示のオゾン発生装置は、流路内蔵金属電極に設けられる冷媒流路を上記中心優先冷媒流路構造にして放電中央空間の冷却効果を高めることにより、冷媒の冷媒量を必要最小限に抑えて比較的高濃度なオゾンガスを発生することができる。
【0013】
本開示の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】オゾン発生装置の原理を模式的に示す説明図である。
【
図2】実施の形態1の基本構成である電極ユニットの断面構造を模式的に示す説明図である。
【
図3】実施の形態1の第1の態様における低圧電極の冷媒流路の平面構造を模式的に示す説明図である。
【
図4】
図3で示した低圧電極上の放電空間を模式的に示す説明図である。
【
図5】
図3で示した低圧電極の断面構造を模式的に示す説明図(その1)である。
【
図6】
図3で示した低圧電極の断面構造を模式的に示す説明図(その2)である。
【
図7】実施の形態1の第2の態様における低圧電極の冷媒流路の平面構造を模式的に示す説明図である。
【
図8】
図7で示した低圧電極の断面構造を模式的に示す説明図(その1)である。
【
図9】
図7で示した低圧電極の断面構造を模式的に示す説明図(その2)である。
【
図10】実施の形態1の第3の態様におけるオゾンガス発生ユニットの平面構造を模式的に示す説明図である。
【
図11】
図10で示したオゾンガス発生ユニットの断面構造を模式的に示す説明図(その1)である。
【
図12】
図10で示したオゾンガス発生ユニットの断面構造を模式的に示す説明図(その2)である。
【
図13】実施の形態1の第4の態様における低圧電極の冷媒流路の平面構造を模式的に示す説明図である。
【
図14】
図13で示した低圧電極における一の分岐屈折領域の詳細を模式的に示す説明図である。
【
図15】冷却水の冷却水流量とオゾンガスのオゾン濃度との関係を示すグラフである。
【
図16】実施の形態1の低圧電極の電極中心領域の温度とオゾン濃度との関係を示すグラフである。
【
図17】実施の形態2の基本構成である電極ユニットの断面構造を模式的に示す説明図である。
【
図18】実施の形態3の基本構成である電極ユニットの断面構造を模式的に示す説明図である。
【
図19】実施の形態3の第1の態様における低圧電極の冷媒流路の平面構造を模式的に示す説明図である。
【
図20】
図19で示した低圧電極上の放電空間を模式的に示す説明図である。
【
図21】
図19で示した低圧電極の断面構造を模式的に示す説明図(その1)である。
【
図22】
図19で示した低圧電極の断面構造を模式的に示す説明図(その2)である。
【
図23】実施の形態3の第4の態様における低圧電極の冷媒流路の平面構造を模式的に示す説明図である。
【
図24】
図23で示した低圧電極の一の分岐屈折領域の詳細を模式的に示す説明図である。
【
図25】実施の形態4の基本構成である電極ユニットの断面構造を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本開示の原理>
図1は本開示のオゾン発生装置の原理を模式的に示す説明図である。同図に内部に冷媒流路を有する流路内蔵金属電極の電極内部領域R1を示している。流路内蔵金属電極は各々が平板状の第1及び第2の金属電極のうち、少なくとも一つの金属電極が該当する。
【0016】
外部の冷媒供給流路31から冷媒供給口21を介して流路内蔵金属電極の電極内部領域R1に冷媒C1が供給され、電極内部領域R1内に冷媒C1が供給された後、冷媒排出口22を介して外部の冷媒排出流路32に排出される。
【0017】
第1及び第2の金属電極間に交流電圧を印加することにより、放電空間6に誘電体バリア放電を発生させることができる。ここで、
図1で示す電極内部領域R1の上方の空間が放電空間6であると仮定する。
【0018】
放電空間6に誘電体バリア放電が発生している際、放電空間6の全周囲から放電空間6の中心に向かって、酸素ガス等の原料ガスG1が供給されると、放電空間6にて原料ガスG1からオゾンガスG2を得ることができる。生成されたオゾンガスG2は電極内部領域R1の中心に貫通して設けられたガス流出口12を介して外部に出力される。
【0019】
前述したように、電極内部領域R1には冷媒C1が供給されているため、電極内部領域R1は冷却される。例えば、
図1に示すように、ガス流出口12を中心とした同心円状に冷媒C1による温度分布T(0)~T(8)が存在する場合、ガス流出口12に近い放電中央空間の温度分布T(0)~T(2)を最も低温にすることが望ましい。
【0020】
なぜなら、放電空間6にて生成されるオゾンガスG2は、放電空間6の放電中央空間におけるオゾン濃度が最も高くなるため、放電中央空間の温度を低下させて、高オゾン濃度状態のオゾンガスG2が分解されることを回避する必要があるからである。
【0021】
理想的には温度分布T(0)が最も低温であり、温度分布T(8)が最も高温であり、k=0~7として場合、T(k)<T(k+1)が成立することが望ましい。このような温度分布T(0)~T(8)を設定することにより、電極内部領域R1に供給する冷媒C1の冷媒量を必要最小限に抑えて比較的高濃度なオゾンガスG2を発生させることが期待できる。
【0022】
<実施の形態1>
(基本構成)
図2は本開示の実施の形態1の基本構成である電極ユニット61の断面構造を模式的に示す説明図である。電極ユニット61を含むオゾン発生装置が実施の形態1のオゾン発生装置となる。
図2にXYZ直交座標系を記している。
図2に示すように、電極ユニット61は電極構成部E1及びE2並びにスペーサ7を主要構成要素として含んでいる。
【0023】
電極構成部E1は低圧電極1を主要構成要素として含んでいる。平板状の第1の金属電極である低圧電極1は中央部に設けられるガス流出口として中央部を貫通するガス流出口12を有している。
【0024】
電極構成部E1の低圧電極1上にスペーサ7を介して電極構成部E2が設けられる。電極構成部E2は高圧電極2及び誘電体3を主要構成要素として含んでいる。平板状の第2の金属電極である高圧電極2の下面上に電極用誘電体となる誘電体3が形成される。なお、誘電体3は薄膜状に形成されている。
【0025】
このように、平板状の第1の金属電極となる低圧電極1に対向して平板状の第2の金属電極となる高圧電極2が配置される。そして、低圧電極1及び高圧電極2の間において、誘電体3に接して放電空間6が設けられる。
【0026】
なお、
図2で示した実施の形態1の基本構成では、電極用誘電体となる誘電体3は高圧電極2に隣接して設けられたが、低圧電極1に隣接して設けても良い。すなわち、低圧電極1及び高圧電極2の間において、低圧電極1及び高圧電極2のうち少なくとも一つの電極に隣接して少なくとも一つの電極用誘電体を設ければ良い。
【0027】
ただし、低圧電極1及び高圧電極2の間において、少なくとも一つの電極用誘電体に接して放電空間6が設けられる必要がある。すなわち、電極構成部E1に電極用誘電体を形成する場合は、低圧電極1の上面上に電極用誘電体を設ける必要がある。
【0028】
図2で示す電極ユニット61において、低圧電極1及び高圧電極2間に交流電圧を印加することにより放電空間6に誘電体バリア放電が発生させることができる。例えば、高圧電極2に交流電圧が印加され、低圧電極1は接地電圧等の基準電圧に設定される。
【0029】
放電空間6はガス流出口12に連通する放電中央空間S1と放電中央空間S1の周辺に存在する放電周辺空間S2とを含んでいる。
【0030】
図2で示したように、放電空間6の全周囲から中心に向けて酸素ガス等の原料ガスG1が供給される。すなわち、原料ガスG1は放電周辺空間S2から放電中央空間S1に向けて供給される。誘電体バリア放電が発生する放電空間6を原料ガスG1が通過することによりオゾンガスG2が得られる。
【0031】
放電空間6にて得られたオゾンガスG2は放電中央空間S1からガス流出口12を介して外部に出力される。
【0032】
低圧電極1は流路内蔵金属電極として機能し、内部に冷媒C1を流す冷媒流路4を有している。流路内蔵金属電極として機能する低圧電極1は、平面視して放電中央空間S1と重複する電極中央領域D1と、XY平面で平面視して放電周辺空間S2に重複する電極周辺領域D2とを有している。なお、冷媒C1として例えば冷却水が考えられる。
【0033】
低圧電極1内に設けられる冷媒流路4は、低圧電極1の下面における中央領域に冷媒入口4aを有し低圧電極1の側面側に冷媒出口4bを有し、電極中央領域D1から電極周辺領域D2にかけて形成される。そして、低圧電極1内に設けられる冷媒流路4は、冷媒入口4aから冷媒出口4bに向けて冷媒C1を流すことにより、電極周辺領域D2に先がけて電極中央領域D1に冷媒C1を流す中心優先冷媒流路構造を有している。
【0034】
本開示の実施の形態1の基本構成となる電極ユニット61を有するオゾン発生装置において、流路内蔵金属電極として機能する低圧電極1に設けられる冷媒流路4は、上述した中心優先冷媒流路構造を有するため、ガス流出口12に近い電極中央領域D1の温度を比較的低く保つことができる。
【0035】
一方、原料ガスG1は放電周辺空間S2から放電中央空間S1に向けて供給されるため、放電空間6にて生成されるオゾンガスG2に関し、放電中央空間S1におけるオゾン濃度は放電周辺空間S2におけるオゾン濃度より高くなる傾向がある。
【0036】
したがって、実施の形態1の基本構成となるオゾン発生装置は、低圧電極1に設けられる冷媒流路4を上記中心優先冷媒流路構造にして放電中央空間S1の冷却効果を高めることにより、放電中央空間S1の温度を低下させて、高オゾン濃度状態のオゾンガスG2が分解される現象を最小限に抑えることができる。
【0037】
その結果、実施の形態1の基本構成となるオゾン発生装置は、冷媒C1の冷媒量を必要最小限に抑えて比較的高濃度なオゾンガスG2を発生することができる。
【0038】
なお、
図2で示した電極ユニット61では、低圧電極1及び高圧電極2のうち、低圧電極1を流路内蔵金属電極と機能させたが、低圧電極1及び高圧電極2のうち少なくとも一つの金属電極を流路内蔵金属電極として機能させれば良い。
【0039】
例えば、高圧電極2を流路内蔵金属電極として高圧電極2内に冷媒流路4に相当する冷媒流路を設けても良い。但し、高圧電極2内の冷媒流路に流す冷媒は絶縁性を有する必要がある。
【0040】
(オゾン発生方法)
図2で示した実施の形態1の基本構成となるオゾン発生装置を用いたオゾン発生方法(以下、実施の形態1及び実施の形態2において「基本構成用のオゾン発生方法」と略記する場合あり)は以下のステップ(a)~(c)を備えている。
【0041】
ステップ(a):第1の金属電極となる低圧電極1と第2の金属電極となる高圧電極2との間に交流電圧を印加して放電空間6に誘電体バリア放電を発生させる。
【0042】
ステップ(b):低圧電極1内の冷媒流路4において、冷媒入口4aから冷媒出口4bにかけて冷媒C1を流すことにより、電極周辺領域D2に先がけて電極中央領域D1に冷媒C1を流す中心優先冷媒流路設定処理を実行する。
【0043】
ステップ(c):放電周辺空間S2の全周囲から放電中央空間S1に向けて原料ガスG1を供給することにより、放電空間6内でオゾンガスG2を得る。
【0044】
上述したステップ(a)~(c)を実行することにより、放電空間6にて得られたオゾンガスG2は放電中央空間S1からガス流出口12を介して外部に出力される。なお、ステップ(a)~(c)間の実行順序は任意である。
【0045】
実施の形態1の基本構成用のオゾン発生方法において、上述したステップ(b)によって中心優先冷媒流路設定処理を実行するため、ガス流出口12に近い電極中央領域D1の温度を比較的低く保つことができる。一方、放電空間6にて生成されるオゾンガスG2に関し、放電中央空間S1におけるオゾン濃度は放電周辺空間S2におけるオゾン濃度より高くなる傾向がある。
【0046】
したがって、基本構成用のオゾン発生方法は、ステップ(b)を実行して放電中央空間S1の冷却効果を高めることにより、冷媒C1の冷媒量を必要最小限に抑えて比較的高濃度なオゾンガスG2を発生することができる。
【0047】
(第1の態様)
図3は実施の形態1の第1の態様となるオゾン発生装置における低圧電極1Aの冷媒流路4の平面構造を模式的に示す説明図である。
図4は
図3で示した低圧電極1A上の放電空間6を模式的に示す説明図である。
図3及び
図4それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0048】
図5及び
図6は
図3で示した低圧電極1Aの断面構造を模式的に示す説明図である。
図5は
図3のA-A断面を示し、
図6は
図3のB-B断面を示している。
図5及び
図6それぞれにXYZ直交座標系を記している。以下、
図3~
図6を参照して、実施の形態1の第1の態様について説明する。なお、第1の態様は
図2で示した基本構成の電極ユニット61における低圧電極1に相当する低圧電極1Aの具体的構造を示している。
【0049】
図3及び
図4に示すように、低圧電極1AはXY平面で平面視して矩形状を呈している。一方、
図4に示すように、放電空間6はXY平面で平面視して円状を呈している。例えば、高圧電極2の平面形状を円状に形成することにより、低圧電極1Aと高圧電極2との間に形成される放電空間6を円状にすることができる。
【0050】
図3及び
図6に示すように、低圧電極1Aの下面に冷媒供給口21及び冷媒排出口22を有している。冷媒供給口21は外部から冷媒C1を受け、冷媒排出口22は外部に冷媒C1を排出する。なお、冷媒排出口22も
図6で示した冷媒供給口21と同様な断面構造を呈している。
【0051】
第1の態様の低圧電極1内において、外周に沿って流路外壁25を設け、内部に流路分離壁26を設けることにより、冷媒流路4は、流路方向を変える屈曲流路41(1)~41(2)と各々が流路方向に沿って冷媒C1を流す周回流路42(1)~42(3)とを有している。屈曲流路41(1)~41(2)が少なくとも一つの屈曲流路となり、周回流路42(1)~42(3)が複数の周回流路となる。なお、流路外壁25はXY平面で平面視して放電空間6の外周に合致するように形成される。
【0052】
図3及び
図6に示すように、冷媒供給口21及び冷媒排出口22は、XY平面で平面視して放電空間6に重複しない位置に配置される。さらに、冷媒供給口21及び冷媒排出口22は平面視して放電空間6に対し同一方向の+X方向側に設けられる。
【0053】
また、冷媒流路4はガス流出口用壁16により冷媒流路4を流れる冷媒C1から遮断されたガス流出口12を設けている。
【0054】
周回流路42(1)~42(3)のうち隣接する一対の周回流路42(i)及び周回流路42(i+1)(i=1,2のいずれか)は屈曲流路41(i)を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続される。
【0055】
すなわち、複数の周回流路(周回流路42(1)~42(3))のうち隣接する一対の周回流路は少なくとも一つの屈曲流路(屈曲流路41(1)~41(2))のうち一の屈曲流路を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続される。
【0056】
周回流路42(1)は冷媒供給口21に連通し、周回流路42(3)は冷媒排出口22に連通する。したがって、周回流路42(1)は供給側周回流路となり、周回流路42(3)が排出側周回流路となる。
【0057】
すなわち、複数の周回流路(周回流路42(1)~42(3))は冷媒供給口21に連通する供給側周回流路(周回流路42(1))と、冷媒排出口22に連通する排出側周回流路(周回流路42(3))とを含んでいる。
【0058】
そして、周回流路42(1)~42(3)のうち、供給側周回流路となる周回流路42(1)はガス流出口12から最も近くに存在し、排出側周回流路となる周回流路42(3)はガス流出口12から最も遠くに存在する。
【0059】
このように、低圧電極1A内に設けられた冷媒流路4は、最初に冷媒供給口21から周回流路42(1)に冷媒C1が供給され、最後に周回流路42(3)から冷媒排出口22を介して外部に冷媒C1が排出されるように、周回流路42(1)~42(3)及び屈曲流路41(1)~41(2)に冷媒C1を流す周回循環流路構造を実現している。
【0060】
すなわち、実施の形態1の第1の態様では、基本構成の中心優先冷媒流路構造として、周回循環流路構造を実現し、周回流路42(1)~42(3)及び屈曲流路41(1)~41(2)それぞれの流路幅が一定の範囲に収まるようにしている。
【0061】
本開示の実施の形態1の第1の態様のオゾン発生装置は中心優先冷媒流路構造として上述した周回循環流路構造を実現している。このため、流路幅が一定の範囲に収まることに起因して、冷媒流路4を流れる冷媒C1の流速を向上させ、冷媒C1の熱伝導性を比較的高く保つことができる分、冷媒C1による放電空間6の冷却効果を高めることができる。
【0062】
実施の形態1の第1の態様のオゾン発生装置において冷媒供給口21及び冷媒排出口22は、平面視して放電空間6に重複しない。このため、冷媒供給口21及び冷媒排出口22を設けても、電極構成部E1の低圧電極1Aと電極構成部E2との間に支障無く放電空間6を設けることができる。
【0063】
実施の形態1の第1の態様では、冷媒供給口21及び冷媒排出口22は、平面視して放電空間6に対し同一方向に設けられるため、冷媒供給口21及び冷媒排出口22を互いに近接配置して、外部からの冷媒C1の供給及び外部への冷媒C1の排出を比較的簡単に行うことができる。
【0064】
実施の形態1の第1の態様では、放電空間6は平面視して円状を呈するため、放電空間6の全周囲から放電中央空間に向けて原料ガスG1を均等に供給することができる。
【0065】
(オゾン発生方法)
図3~
図6で示した実施の形態1の第1の態様となるオゾン発生装置を用いたオゾン発生方法は、基本構成用のオゾン発生方法で実行したステップ(b)における上述した中心優先冷媒流路設定処理として、以下のステップ(b-1)及び(b-2)を含んでいる。
【0066】
ステップ(b-1):冷媒供給口21から供給側周回流路となる周回流路42(1)に冷媒C1を供給する。
【0067】
ステップ(b-2):排出側周回流路となる周回流路42(3)から冷媒排出口22に冷媒C1を排出する。
【0068】
上述したステップ(b-1)及び(b-2)の実行により、冷媒流路4において、最初に冷媒供給口21から周回流路42(1)に冷媒C1が供給され、最後に周回流路42(3)から冷媒排出口22を介して外部に冷媒C1が排出される態様で、周回流路42(1)~42(3)及び屈曲流路41(1)~41(2)に冷媒C1が流れる周回循環流路が設定される。
【0069】
第1の態様用のオゾン発生方法は上述したステップ(b-1)及び(b-2)の実行により上述した周回循環流路が設定されるため、冷媒流路4を流れる冷媒C1の流速を向上させ、冷媒C1の熱伝導性を比較的高く保つことができる分、冷媒C1による放電空間6の冷却効果を高めることができる。
【0070】
(第2の態様)
図7は実施の形態1の第2の態様となるオゾン発生装置における低圧電極1Bの冷媒流路4の平面構造を模式的に示す説明図である。
図7にXYZ直交座標系を記している。
【0071】
図8及び
図9は
図7で示した低圧電極1Bの断面構造を模式的に示す説明図である。
図8は
図7のC-C断面を示し、
図9は
図7のD-D断面を示している。
図8及び
図9それぞれにXYZ直交座標系を記している。以下、
図3、
図7~
図9を参照して、実施の形態1の第2の態様について説明する。なお、第2の態様は
図2で示した基本構成の電極ユニット61における低圧電極1に相当する低圧電極1Bの具体的構造を示している。
【0072】
また、低圧電極1B内に形成される冷媒流路4の内部構造は
図3で示した低圧電極1A内に形成される冷媒流路4の内部構造と実質的に同じである。
【0073】
以下、
図3~
図6で示した第1の態様と同様な構成部等は同一の符号を付して説明を適宜省略し、第2の態様の特徴箇所を中心に説明する。
【0074】
図7及び
図8に示すように、低圧電極1Bの下面にオゾンガス取出口19を有している。ガス流出口12Bは低圧電極1Bを貫通することなく中間領域にてオゾンガス通路15に連通している。オゾンガス通路15はX方向に沿って水平に形成され、-X方向側の一方端がガス流出口12Bの下端に連通し、+X方向側の他方端がオゾンガス取出口19の上端に連通している。
【0075】
したがって、放電空間6で得られたオゾンガスG2は、ガス流出口12B及びオゾンガス通路15を介してオゾンガス取出口19から外部に取り出される。
【0076】
このように、実施の形態1の第2の態様では、
図2で示した基本構成のガス流出口12に対応して、ガス流出口12B、オゾンガス通路15及びオゾンガス取出口19を設けている。
【0077】
本開示の実施の形態1の第2の態様のオゾン発生装置は第1の態様と同様、周回循環流路構造を実現している。このため、冷媒流路4を流れる冷媒C1の流速を向上させ、冷媒C1の熱伝導性を比較的高く保つことができる分、冷媒C1による放電空間6の冷却効果を高めることができる。
【0078】
(第3の態様)
図10は実施の形態1の第3の態様となるオゾン発生装置における低圧電極1Cを含むオゾンガス発生ユニット55の平面構造を模式的に示す説明図である。
図10にXYZ直交座標系を記している。
【0079】
図11及び
図12は
図10で示したオゾンガス発生ユニット55の断面構造を模式的に示す説明図である。
図11は
図10のE-E断面を示し、
図12は
図10のF-F断面を示している。
図11及び
図12それぞれにXYZ直交座標系を記している。以下、
図3、
図10~
図12を参照して、実施の形態1の第3の態様について説明する。なお、第3の態様は
図2で示した基本構成の電極ユニット61における低圧電極1に相当する低圧電極1Cを含むオゾンガス発生ユニット55の具体的構造を示している。
【0080】
低圧電極1Cはオゾンガス・冷媒用補助部材30側にオゾンガス接続部45、冷媒供給接続部46及び冷媒排出接続部47を有し、オゾンガス接続部45、冷媒供給接続部46及び冷媒排出接続部47を介して低圧電極1Cはオゾンガス・冷媒用補助部材30と連結されている。なお、
図10で示す低圧電極1C内及びオゾンガス・冷媒用補助部材30内にはそれぞれ複数のボルト固定用穴38が設けられている。
【0081】
図10に示すように、低圧電極1Cの主要部はXY平面で平面視して円状を呈している。なお、低圧電極1Cの主要部は低圧電極1Cのうちオゾンガス接続部45、冷媒供給接続部46及び冷媒排出接続部47を除く部分を意味する。
【0082】
実施の形態1の第3の態様は、例えば、高圧電極2の平面形状を円状に形成することにより、第1及び第2の態様と同様、放電空間6はXY平面で平面視して円状を呈している。
【0083】
なお、低圧電極1C内に形成される冷媒流路4の内部構造は
図3で示した低圧電極1A内に形成される冷媒流路4の内部構造と実質的に同じである。
【0084】
以下、
図3~
図6で示した第1の態様または
図7~
図9で示した第2の態様と同様な構成部等は同一の符号を付して説明を適宜省略し、第3の態様の特徴箇所を中心に説明する。
【0085】
前述したように、第3の態様は、低圧電極1C及びオゾンガス・冷媒用補助部材30を含むオゾンガス発生ユニット55で構成されている。
【0086】
図10及び
図12に示すように、オゾンガス・冷媒用補助部材30は冷媒供給通路36を有し、冷媒供給通路36はZ方向に沿って形成されている。この冷媒供給通路36が第3の態様における冷媒供給口を兼ねている。
図12に示すように、低圧電極1C内に形成される冷媒流路4において、周回流路42(1)と冷媒供給通路36とが連通している。第3の態様では周回流路42(1)は、低圧電極1Cの冷媒供給接続部46及びオゾンガス・冷媒用補助部材30内に延びて形成されている。
【0087】
オゾンガス・冷媒用補助部材30は冷媒排出通路37をさらに有し、冷媒排出通路37も冷媒供給通路36と同様にZ方向に沿って形成されている。この冷媒排出通路37が第3の態様における冷媒排出口を兼ねている。低圧電極1C内に形成される冷媒流路4において、周回流路42(3)と冷媒排出通路37とが連通している。第3の態様では周回流路42(3)は、低圧電極1Cの冷媒排出接続部47及びオゾンガス・冷媒用補助部材30内に延びて形成されている。
【0088】
図10及び
図11に示すように、オゾンガス・冷媒用補助部材30はオゾンガス通路35をさらに有し、オゾンガス通路35も冷媒供給通路36及び冷媒排出通路37と同様にZ方向に沿って形成されている。
【0089】
図11に示すように、ガス流出口12Cは低圧電極1Cを貫通して設けられると共に中間領域にてオゾンガス通路18に連通している。オゾンガス通路18はX方向に沿って水平に形成され、-X方向側の一方端がガス流出口12Cの中間領域に連通し、+X方向側の他方端がオゾンガス通路35に連通している。
【0090】
なお、第3の態様ではオゾンガス通路18は、低圧電極1Cのオゾンガス接続部45及びオゾンガス・冷媒用補助部材30内に延びて形成されている。
【0091】
したがって、放電空間6で得られたオゾンガスG2は、ガス流出口12C及びオゾンガス通路18を介してオゾンガス通路35に流れ、オゾンガス・冷媒用補助部材30に設けられたオゾンガス通路35に連通するオゾン出力口(図示せず)から外部に取り出される。
【0092】
図10に示すように、冷媒供給口となる冷媒供給通路36と冷媒排出口となる冷媒排出通路37とは、XY平面で平面視して放電空間6に重複しない位置に配置される。さらに、冷媒供給通路36及び冷媒排出通路37は平面視して放電空間6に対し同一方向の+X方向側に設けられる。
【0093】
このように、実施の形態1の第3の態様では、
図2で示した基本構成のガス流出口12に対応して、ガス流出口12C、オゾンガス通路18、オゾンガス通路35及び図示しないオゾン出力口を設けている。
【0094】
なお、ガス流出口12Cを低圧電極1Cを貫通して設けたのは、低圧電極1Cの下面側にも電極構成部E2を設けた積層構造でオゾンガス発生ユニット55を構成して、低圧電極1Cの上面側及び下面側それぞれに放電空間6が形成する場合を想定している。
【0095】
本開示の実施の形態1の第3の態様のオゾン発生装置は第1及び第2の態様と同様、周回循環流路構造を実現している。このため、冷媒流路4を流れる冷媒C1の流速を向上させ、冷媒C1の熱伝導性を比較的高く保つことができる分、冷媒C1による放電空間6の冷却効果を高めることができる。
【0096】
さらに、実施の形態1の第3の態様では、オゾンガス・冷媒用補助部材30によって冷媒C1の供給及び排出、オゾンガスG2の取出等の処理を行うことができる。
【0097】
実施の形態1の第3の態様のオゾン発生装置において冷媒供給通路36及び冷媒排出通路37は、平面視して放電空間6に重複しない。このため、冷媒供給通路36及び冷媒排出通路37を有するオゾンガス・冷媒用補助部材30を設けても、低圧電極1Cと電極構成部E2との間に支障無く放電空間6を設けることができる。
【0098】
したがって、実施の形態1の第3の態様のオゾン発生装置は、各々が低圧電極1C及び高圧電極2並びに誘電体3を含む複数の電極ユニット61による積層構造を比較的簡単に実現することができる。
【0099】
実施の形態1の第3の態様では、冷媒供給口を兼ねる冷媒供給通路36と冷媒排出口を兼ねる冷媒排出通路37とは、平面視して放電空間6に対し同一方向に設けられるため、冷媒供給通路36及び冷媒排出通路37を互いに近接配置して、外部からの冷媒C1の供給及び外部への冷媒C1の排出を比較的簡単に行うことができる。
【0100】
さらに、実施の形態1の第3の態様では、冷媒供給通路36及び冷媒排出通路37を有するオゾンガス・冷媒用補助部材30を、冷媒C1の供給及び排出用の専用部材として用いることにより、冷媒C1の供給及び排出処理を精度良く行うことができる。
【0101】
(第4の態様)
図13は実施の形態1の第4の態様となるオゾン発生装置における低圧電極1Dの冷媒流路4の平面構造を模式的に示す説明図である。
図14は
図13で示した低圧電極1Dの分岐屈折領域R50(1)の詳細を模式的に示す説明図である。
図13及び
図14にXYZ直交座標系を記している。
【0102】
図13に示すように、第4の態様の冷媒流路4は8つの分岐屈折領域R50(1)~R50(8)を有している。なお、
図13では低圧電極1Dの中央部に設けられるガス流出口の図示を省略している。第4の態様のガス流出口として、第1~第3の態様のガス流出口12、ガス流出口12B及びガス流出口12C等の構造が考えられる。
【0103】
以下、
図13及び
図14を参照して、実施の形態1の第4の態様について説明する。なお、第4の態様は
図2で示した基本構成の電極ユニット61における低圧電極1に相当する低圧電極1Dの具体的構造を示している。
【0104】
図13に示すように、第1の態様と同様、低圧電極1Dの下面に冷媒供給口21及び冷媒排出口22を有している。冷媒供給口21は外部から冷媒C1を受け、冷媒排出口22は外部に冷媒C1を排出する。
【0105】
第4の態様の低圧電極1D内において、外周に沿って流路外壁25を設け、内部に流路分離壁27を設けることにより、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)を設けている。分岐屈折領域R50(1)~R50(8)内にそれぞれ部分冷媒流路が形成される。すなわち、低圧電極1D内に形成される冷媒流路4は分岐屈折領域R50(1)~R50(8)に対応する8つの部分冷媒流路を含んでいる。
【0106】
なお、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれに形成される部分冷媒流路は同様な構造を呈しているため、以下、
図14で示す分岐屈折領域R50(1)に形成される部分冷媒流路を代表して説明する。
【0107】
図14に示すように、分岐屈折領域R50(1)において、流路方向を変える分岐屈折流路51(1)~51(7)と各々が流路方向に沿って冷媒C1を流す分岐周回流路52(1)~52(8)とを設けている。分岐屈折流路51(1)~51(7)が少なくとも一つの屈曲流路に対応し、分岐周回流路52(1)~52(8)が複数の周回流路に対応する。
【0108】
分岐周回流路52(1)~52(8)のうち隣接する一対の分岐周回流路52(i)及び分岐周回流路52(i+1)(i=1~7のいずれか)は屈曲流路41(i)を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続される。
【0109】
すなわち、複数の周回流路(分岐周回流路52(1)~52(8))のうち隣接する一対の周回流路は少なくとも一つの屈曲流路(分岐屈折流路51(1)~51(7))のうち一の屈曲流路を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続される。
【0110】
分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれの分岐周回流路52(1)は冷媒供給口21に連通し、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれ分岐周回流路52(8)相当の流路は冷媒排出口22に連通する。したがって、分岐周回流路52(1)は供給側周回流路となり、分岐周回流路52(8)相当の流路が排出側周回流路となる。
【0111】
なお、分岐周回流路52(8)相当の流路とは、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれにおいて、ガス流出口12からも最も遠くに位置にする分岐周回流路52(K)(Kは2~8のいずれか)を意味する。
【0112】
すなわち、複数の周回流路(分岐周回流路52(1)~52(8))は冷媒供給口21に連通する供給側周回流路(分岐周回流路52(1))と、冷媒排出口22に連通する排出側周回流路(分岐周回流路52(8)相当の流路)とを含んでいる。
【0113】
そして、分岐周回流路52(1)~52(8)のうち、供給側周回流路となる分岐周回流路52(1)はガス流出口12から最も近くに存在し、排出側周回流路となる分岐周回流路52(8)相当の流路はガス流出口12から最も遠くに存在する。
【0114】
このように、低圧電極1D内に設けられた冷媒流路4は、冷媒供給口21から分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれの分岐周回流路52(1)に分岐して冷媒C1が供給される分岐供給形態を有している。さらに、冷媒流路4は、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれの分岐周回流路52(8)相当の流路から合流した冷媒C1が冷媒排出口22を介して外部の冷媒C1が排出される合流排出形態を有している。したがって、第4の態様の冷媒流路4は、上述した分岐供給形態及び合流排出形態で、分岐周回流路52(1)~52(8)及び分岐屈折流路51(1)~51(7)に冷媒C1を流す周回循環流路構造を実現している。
【0115】
すなわち、実施の形態1の第4の態様では、基本構成の中心優先冷媒流路構造として、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれに上述した分岐供給形態及び合流排出形態を有する部分冷媒流路を設け、部分冷媒流路の流路幅が一定の範囲に収まるようにしている。
【0116】
このように、実施の形態1の第4の態様における低圧電極1D内に形成される冷媒流路4として、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)に対応して複数の部分冷媒流路を有している。
【0117】
複数の部分冷媒流路はそれぞれ、複数の周回流路となる分岐周回流路52(1)~52(8)と、少なくとも一つの屈曲流路となる分岐屈折流路51(1)~51(7)とを有している。
【0118】
複数の部分冷媒流路それぞれの供給側周回流路となる分岐周回流路52(1)は冷媒供給口21に連通し、複数の部分冷媒流路それぞれの排出側周回流路となる分岐周回流路52(8)相当の流路が冷媒排出口22に連通する。
【0119】
このように、実施の形態1の第4の態様において、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)に対応して設けられる複数の部分冷媒流路はそれぞれ周回循環流路構造を有している。
【0120】
本開示の実施の形態1の第4の態様のオゾン発生装置は分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれに周回循環流路構造を実現している。このため、冷媒流路4を流れる冷媒C1の流速を向上させ、冷媒C1の熱伝導性を比較的高く保つことができる分、冷媒C1による放電空間6の冷却効果を高めることができる。
【0121】
実施の形態1の第4の態様のオゾン発生装置における冷媒流路4は複数の部分冷媒流路を含む。そして、冷媒供給口21から複数の部分冷媒流路それぞれの分岐周回流路52(1)に並列に分岐した後、互いに並列関係になる複数の部分冷媒流路それぞれの分岐周回流路52(8)相当の流路が合流して冷媒排出口22に連通する態様で、複数の周回循環流路構造が実現される。すなわち、複数の部分冷媒流路に対応して複数の周回循環流路構造が実現される。
【0122】
このように、実施の形態1の第4の態様は、中心優先冷媒流路構造として複数の周回循環流路構造を実現することができる。一方、放電空間6にて生成されるオゾンガスG2は、放電空間6の全周囲から放電周辺空間S2及び放電中央空間S1を経由して平面視してガス流出口12に向かうオゾンガス方向成分を有している。
【0123】
したがって、複数の周回循環流路構造によって形成される温度分布は、上述したオゾンガス方向成分に精度良く対向した温度分布となるため、放電中央空間S1を均一な低温状態に設定することができる。
【0124】
その結果、実施の形態1の第4の態様であるオゾン発生装置は、放電空間6における放電中央空間S1の冷却効果を均一に高めることにより、より高濃度なオゾンガスG2を発生することができる。
【0125】
(実験結果)
図15は冷媒C1の冷媒流量となる冷却水の冷却水流量[L/min]とオゾンガスG2のオゾン(ガス)濃度[g/Nm
3]との関係を示すグラフである。同図において、横軸に冷却水流量を縦軸にオゾン濃度を示している。
【0126】
同図において、オゾンガス濃度変化線L1は、低圧電極1(低圧電極1A~1D)を有する実施の形態1のオゾン発生装置のオゾンガス濃度変化線であり、オゾンガス濃度変化線L2は特許文献1で代表される従来の低圧電極を有するオゾン発生装置のオゾンガス濃度変化線である。
【0127】
図15に示すように、オゾンガス濃度変化線L1はオゾンガス濃度変化線L2と比較して低い冷却水流量で、オゾンガス濃度変化線L2では実現困難な比較的高いオゾン濃度のオゾンガスG2を発生させることができている。
【0128】
図16は実施の形態1の低圧電極1(低圧電極1A~1D)の電極中央領域D1の温度[℃]とオゾンガスG2のオゾン(ガス)濃度との関係示すグラフである。同図において、横軸に電極中央領域D1の温度を縦軸にオゾン濃度を示している。
【0129】
同図に示すオゾンガス濃度変化線L10から、電極中央領域D1の温度を低くする程、オゾンガスG2のオゾン濃度を高めることができていることがわかる。
【0130】
図15及び
図16で示した実験結果から、実施の形態1のオゾン発生装置は、冷媒C1(冷却水)の冷媒量(冷却水流量)を必要最小限に抑えて比較的高濃度なオゾンガスG2を発生することが理解できる。
【0131】
実施の形態1の第1~第4の態様では冷媒供給口21(冷媒供給通路36)及び冷媒排出口22(冷媒排出通路37)を平面視して放電空間6の外側に設ける構成を示したが他の構成も勿論可能である。例えば、低圧電極1(1A~1D)の下面側に設けられた冷媒流路4の冷媒入口4aの直下に冷媒供給機構を設けても良い。但し、冷媒供給機構はガス流出口12から出力されるオゾンガスG2に影響を与えない態様で設ける必要がある。
【0132】
<実施の形態2>
(基本構成)
図17は本開示の実施の形態2の基本構成である電極ユニット62の断面構造を模式的に示す説明図である。同図にXYZ直交座標系を記している。電極ユニット62を含むオゾン発生装置が実施の形態2のオゾン発生装置となる。同図に示すように、電極ユニット62は電極構成部E1及びE22並びにスペーサ7を主要構成要素として含んでいる。
【0133】
以下、
図2で示した実施の形態1の基本構成と同様な構成部等は同一の符号を付して説明を適宜省略し、実施の形態2の特徴箇所を中心に説明する。
【0134】
電極構成部E1の低圧電極1上にスペーサ7を介して電極構成部E22が設けられる。電極構成部E22は高圧電極2、誘電体3、絶縁構造体5及び冷却板8を主要構成要素として含んでいる。高圧電極2の下面上に誘電体3が形成される。
【0135】
低圧電極1は実施の形態1と同様、冷媒流路4を有する流路内蔵金属電極として機能している。
【0136】
電極構成部E22において、高圧電極2の上面上に絶縁構造体5が設けられる。すなわち、第2の金属電極となる高圧電極2に隣接して放電空間6の反対側に絶縁構造体5が設けられる。
【0137】
さらに、絶縁構造体5の上面上に冷却機能を有する冷却板8が設けられる。すなわち、絶縁構造体5に隣接して放電空間6の反対側に冷却板8が設けられる。
【0138】
冷却板8は内部に第2の冷媒となる冷媒C2を流す第2の冷媒流路となる冷媒流路9を有している。また、冷却板8はXY平面で平面視して放電中央空間S1と重複する冷却中央領域B1と、XY平面で平面視して放電周辺空間S2と重複する冷却周辺領域B2とを有している。
【0139】
冷却板8内に設けられる冷媒流路9は、冷却板8の上面における中央領域に冷媒入口9aを有し冷却板8の側面側に冷媒出口9bを有し、冷却中央領域B1から冷却周辺領域B2にかけて形成される。そして、冷媒流路9は、冷媒入口9aから冷媒出口9bに向けて冷媒C2を流すことにより、冷却周辺領域B2に先がけて冷却中央領域B1に冷媒C2を流す第2の中心優先冷媒流路構造を有している。
【0140】
電極ユニット62を有する実施の形態2のオゾン発生装置は冷却板8を備えることにより、冷媒C1を流す冷媒流路4を有する低圧電極1によって低圧電極1側から放電空間6を冷却し、かつ、冷却板8によって高圧電極2側からも放電空間6を冷却することができる。
【0141】
その結果、実施の形態2のオゾン発生装置は、放電空間6の冷却効果をより高めることができる。
【0142】
さらに、実施の形態2のオゾン発生装置における冷却板8は、上述した第2の中心優先冷媒流路構造を有するため、高圧電極2側からガス流出口12に近い冷却中央領域B1の温度を比較的低く保つことができる。
【0143】
その結果、実施の形態2のオゾン発生装置は、第2の冷媒である冷媒C2の第2の冷媒量を必要最小限に抑えてより高濃度なオゾンガスG2を発生することができる。
【0144】
なお、実施の形態2においても、
図17で示した基本構成を拡張して、実施の形態1の第1~第4の態様と同様な構造を実現し、同様な効果を発揮することができる。
【0145】
<実施の形態3>
(基本構成)
図18は本開示の実施の形態3の基本構成である電極ユニット63の断面構造を模式的に示す説明図である。同図にXYZ直交座標系を記している。電極ユニット63を含むオゾン発生装置が実施の形態3のオゾン発生装置となる。同図に示すように、電極ユニット63は電極構成部E1R及びE2並びにスペーサ7を主要構成要素として含んでいる。
【0146】
以下、
図2で示した実施の形態1の基本構成と同様な構成部等は同一の符号を付して説明を適宜省略し、実施の形態3の特徴箇所を中心に説明する。
【0147】
電極構成部E1Rは低圧電極1Rを主要構成要素として含んでいる。平板状の第1の金属電極である低圧電極1Rは中央部に設けられるガス供給口として中央部を貫通するガス供給口11を有している。
【0148】
電極構成部E1Rの低圧電極1R上にスペーサ7を介して電極構成部E2が設けられる。電極構成部E2は高圧電極2及び誘電体3を主要構成要素として含んでいる。平板状の第2の金属電極である高圧電極2の下面上に電極用誘電体である誘電体3が形成される。
【0149】
なお、実施の形態3では電極用誘電体となる誘電体3は高圧電極2に隣接して設けられたが、低圧電極1Rに隣接して設けても良い。すなわち、低圧電極1R及び高圧電極2の間において、低圧電極1R及び高圧電極2のうち少なくとも一つの電極に隣接して少なくとも一つの電極用誘電体を設ければ良い。
【0150】
ただし、低圧電極1R及び高圧電極2の間において、少なくとも一つの電極用誘電体に接して放電空間6が設けられる必要がある。すなわち、電極構成部E1Rに電極用誘電体を形成する場合は、低圧電極1Rの上面上に電極用誘電体を設ける必要がある。
【0151】
図18で示す電極ユニット63において、実施の形態1の電極ユニット61と同様、低圧電極1R及び高圧電極2間に交流電圧を印加することにより放電空間6に誘電体バリア放電が発生させることができる。
【0152】
放電空間6はガス供給口11に連通する放電中央空間S1と放電中央空間S1の周辺に存在する放電周辺空間S2とを含んでいる。そして、放電周辺空間S2に連通する外部空間がオゾンガス出力空間となる。すなわち、放電空間6の全周囲において放電周辺空間S2に連通する空間がオゾンガス出力空間となる。
【0153】
図18で示したように、低圧電極1Rのガス供給口11の下方から原料ガスG1が供給され放電空間6の中心から全周囲に向けて原料ガスG1が供給される。すなわち、原料ガスG1は放電中央空間S1から放電周辺空間S2に向けて供給される。誘電体バリア放電が発生する放電空間6を原料ガスG1が通過することによりオゾンガスG2が得られる。
【0154】
放電空間6にて得られたオゾンガスG2は放電周辺空間S2を介して外部のオゾンガス出力空間に出力される。
【0155】
低圧電極1Rは流路内蔵金属電極として機能し、内部に冷媒C1を流す冷媒流路4Rを有している。流路内蔵金属電極として機能する低圧電極1Rは、XY平面で平面視して放電中央空間S1と重複する電極中央領域D1と、XY平面で平面視して放電周辺空間S2に重複する電極周辺領域D2とを有している。
【0156】
低圧電極1R内に設けられる冷媒流路4Rは、低圧電極1の側面側に冷媒入口4Raを有し低圧電極1の下面における中央領域に冷媒出口4Rbを有し、電極周辺領域D2から電極中央領域D1にかけて形成される。そして、低圧電極1R内に設けられる冷媒流路4Rは、冷媒入口4Raから冷媒出口4Rbに冷媒C1を流すことにより、電極中央領域D1に先がけて電極周辺領域D2に冷媒C1を流す周辺優先冷媒流路構造を有している。
【0157】
本開示の実施の形態3の基本構成となる電極ユニット63を有するオゾン発生装置において、流路内蔵金属電極として機能する低圧電極1Rに設けられる冷媒流路4Rは、上述した周辺優先冷媒流路構造を有するため、オゾンガス出力空間に近い電極周辺領域D2の温度を比較的低く保つことができる。
【0158】
一方、原料ガスG1は放電中央空間S1から放電周辺空間S2に向けて供給されるため、放電空間6にて生成されるオゾンガスG2に関し、放電周辺空間S2におけるオゾン濃度は放電中央空間S1におけるオゾン濃度より高くなる傾向がある。
【0159】
したがって、実施の形態3の基本構成となるオゾン発生装置は、低圧電極1Rに設けられる冷媒流路4Rを上記周辺優先冷媒流路構造にして放電周辺空間S2の冷却効果を高めることにより、放電周辺空間S2の温度を低下させて、高オゾン濃度状態のオゾンガスG2が分解される現象を最小限に抑えることができる。
【0160】
その結果、実施の形態3の基本構成となるオゾン発生装置は、冷媒C1の冷媒量を必要最小限に抑えて比較的高濃度なオゾンガスG2を発生することができる。
【0161】
なお、
図18で示した電極ユニット63では、低圧電極1R及び高圧電極2のうち、低圧電極1Rを流路内蔵金属電極と機能させたが、低圧電極1R及び高圧電極2のうち少なくとも一つの金属電極を流路内蔵金属電極として機能させれば良い。
【0162】
例えば、高圧電極2を流路内蔵金属電極として高圧電極2内に冷媒流路4Rに相当する冷媒流路を設けても良い。但し、高圧電極2内の冷媒流路に流す冷媒は絶縁性を有する必要がある。
【0163】
(オゾン発生方法)
図18で示した実施の形態3の基本構成となるオゾン発生装置を用いたオゾン発生方法(以下、実施の形態3及び実施の形態4において「基本構成用のオゾン発生方法」と略記する場合あり)は以下のステップ(a)~(c)を備えている。
【0164】
ステップ(a):第1の金属電極となる低圧電極1Rと第2の金属電極となる高圧電極2との間に交流電圧を印加して放電空間6に誘電体バリア放電を発生させる。
【0165】
ステップ(b):低圧電極1R内の冷媒流路4Rにおいて、冷媒入口4Raから冷媒出口4Rbにかけて冷媒C1を流すことにより、電極中央領域D1に先がけて電極周辺領域D2に冷媒C1を流す周辺優先冷媒流路設定処理を実行する。
【0166】
ステップ(c):ガス供給口11から放電中央空間S1を経由して放電周辺空間S2に向けて原料ガスG1を供給することにより、放電空間6内でオゾンガスG2を得る。
【0167】
上述したステップ(a)~(c)を実行することにより、放電空間6にて得られたオゾンガスG2は放電周辺空間S2を介して、放電周辺空間S2の全周囲から外部のオゾンガス出力空間に出力される。
【0168】
基本構成用のオゾン発生方法において、上述したステップ(b)によって周辺優先冷媒流路設定処理を実行するため、放電周辺空間S2の温度を比較的低く保つことができる。一方、放電空間6にて生成されるオゾンガスG2に関し、放電周辺空間S2におけるオゾン濃度は放電中央空間S1におけるオゾン濃度より高くなる傾向がある。
【0169】
したがって、基本構成用のオゾン発生方法は、ステップ(b)を実行して放電周辺空間S2の冷却効果を高めることにより、冷媒C1の冷媒量を必要最小限に抑えて比較的高濃度なオゾンガスG2を発生することができる。
【0170】
(第1の態様)
図19は実施の形態3の第1の態様となるオゾン発生装置における低圧電極1ARの冷媒流路4Rの平面構造を模式的に示す説明図である。
図20は
図19で示した低圧電極1AR上の放電空間6を模式的に示す説明図である。
図19及び
図20それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0171】
図21及び
図22は
図19で示した低圧電極1ARの断面構造を模式的に示す説明図である。
図21は
図19のG-G断面を示し、
図22は
図19のH-H断面を示している。
図21及び
図22それぞれにXYZ直交座標系を記している。以下、
図19~
図22を参照して、実施の形態3の第1の態様について説明する。なお、第1の態様は
図18で示した基本構成の電極ユニット63における低圧電極1Rに相当する低圧電極1ARの具体的構造を示している。
【0172】
図19及び
図20に示すように、低圧電極1ARはXY平面で平面視して矩形状を呈している。一方、
図20に示すように、放電空間6はXY平面で平面視して円状を呈している。例えば、高圧電極2の平面形状を円状に形成することにより、低圧電極1ARと高圧電極2との間に形成される放電空間6を円状にすることができる。
【0173】
図19及び
図22に示すように、低圧電極1ARの下面に冷媒供給口21R及び冷媒排出口22Rを有している。冷媒排出口22Rは周回流路42(1)からの冷媒C1を排出し、冷媒供給口21Rは低圧電極1AR内の周回流路42(3)に冷媒C1を供給する。なお、冷媒供給口21Rも
図22で示した冷媒排出口22Rと同様な断面構造を呈している。
【0174】
第1の態様の低圧電極1AR内において、外周に沿って流路外壁25を設け、内部に流路分離壁26を設けることにより、冷媒流路4Rは、流路方向を変える屈曲流路41(1)~41(2)と各々が流路方向に沿って冷媒C1を流す周回流路42(1)~42(3)とを有している。すなわち、実施の形態3の第1の態様は、実施の形態1の第1の態様と同様、屈曲流路41(1)~41(2)が少なくとも一つの屈曲流路となり、周回流路42(1)~42(3)が複数の周回流路となる。
【0175】
図19及び
図22に示すように、冷媒供給口21R及び冷媒排出口22Rは、XY平面で平面視して放電空間6に重複しない位置に配置される。さらに、冷媒供給口21R及び冷媒排出口22Rは平面視して放電空間6に対し同一方向の+X方向側に設けられる。
【0176】
また、冷媒流路4Rはガス流出口用壁16により冷媒流路4Rを流れる冷媒C1から遮断されたガス供給口11を設けている。
【0177】
周回流路42(1)~42(3)のうち隣接する一対の周回流路42(i+1)及び周回流路42(i)(i=2,1のいずれか)は屈曲流路41(i)を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続される。
【0178】
すなわち、複数の周回流路(周回流路42(1)~42(3))のうち隣接する一対の周回流路は少なくとも一つの屈曲流路(屈曲流路41(1)~41(2))のうち一の屈曲流路を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続される。
【0179】
周回流路42(1)は冷媒排出口22Rに連通し、周回流路42(3)は冷媒供給口21Rに連通する。したがって、周回流路42(1)は排出側周回流路となり、周回流路42(3)が供給側周回流路となる。
【0180】
すなわち、複数の周回流路(周回流路42(1)~42(3))は冷媒供給口21Rに連通する供給側周回流路(周回流路42(3))と、冷媒排出口22Rに連通する排出側周回流路(周回流路42(1))とを含んでいる。
【0181】
そして、周回流路42(1)~42(3)のうち、供給側周回流路となる周回流路42(3)はガス供給口11から最も遠くに存在し、排出側周回流路となる周回流路42(1)はガス供給口11から最も近くに存在する。
【0182】
このように、低圧電極1AR内に設けられた冷媒流路4Rは、最初に冷媒供給口21Rから周回流路42(3)に冷媒C1が供給され、最後に周回流路42(1)から冷媒排出口22Rを介して外部に冷媒C1が排出されるように、周回流路42(1)~42(3)及び屈曲流路41(1)~41(2)に冷媒C1を流す周回循環流路構造を実現している。
【0183】
すなわち、実施の形態3の第1の態様では、基本構成の周辺優先冷媒流路構造として、周回循環流路構造を実現し、周回流路42(1)~42(3)及び屈曲流路41(1)~41(2)それぞれの流路幅が一定の範囲に収まるようにしている。
【0184】
本開示の実施の形態3の第1の態様のオゾン発生装置は周辺優先冷媒流路構造として上述した周回循環流路構造を実現している。このため、流路幅が一定の範囲に収まることに起因して冷媒流路4Rを流れる冷媒C1の流速を向上させ、冷媒C1の熱伝導性を比較的高く保つことができる分、冷媒C1による放電空間6の冷却効果を高めることができる。
【0185】
実施の形態3の第1の態様のオゾン発生装置において冷媒供給口21R及び冷媒排出口22Rは、平面視して放電空間6に重複しない。このため、冷媒供給口21R及び冷媒排出口22Rを設けても、低圧電極1ARと電極構成部E2との間に支障無く放電空間6を設けることができる。
【0186】
実施の形態3の第1の態様では、冷媒供給口21R及び冷媒排出口22Rは、平面視して放電空間6に対し同一方向に設けられるため、冷媒供給口21R及び冷媒排出口22Rを互いに近接配置して、外部からの冷媒C1の供給及び外部への冷媒C1の排出を比較的簡単に行うことができる。
【0187】
実施の形態3の第1の態様では、放電空間6は平面視して円状を呈するため、放電空間6の全周囲から外部のオゾンガス出力空間にオゾンガスG2を均等に出力することができる。
【0188】
(オゾン発生方法)
図19~
図22で示した実施の形態3の第1の態様となるオゾン発生装置を用いたオゾン発生方法は、基本構成用のオゾン発生方法で実行したステップ(b)における上述した周辺優先冷媒流路設定処理として、以下のステップ(b-1)及び(b-2)を含んでいる。
【0189】
ステップ(b-1):冷媒供給口21Rから供給側周回流路となる周回流路42(3)に冷媒C1を供給する。
【0190】
ステップ(b-2):排出側周回流路となる周回流路42(1)から冷媒排出口22Rに冷媒C1を排出する。
【0191】
上述したステップ(b-1)及び(b-2)の実行により、冷媒流路4Rにおいて、最初に冷媒供給口21Rから周回流路42(3)に冷媒C1が供給され、最後に周回流路42(1)から冷媒排出口22Rを介して外部に冷媒C1が排出される態様で、周回流路42(1)~42(3)及び屈曲流路41(1)~41(2)に冷媒C1が流れる周回循環流路が設定される。
【0192】
第1の態様用のオゾン発生方法は上述したステップ(b-1)及び(b-2)の実行により上述した周回循環流路が設定されるため、冷媒流路4Rを流れる冷媒C1の流速を向上させ、冷媒C1の熱伝導性を比較的高く保つことができる分、冷媒C1による放電空間6の冷却効果を高めることができる。
【0193】
(第2の態様)
なお、実施の形態3においても、
図7~
図9で示した実施の形態1の第2の態様と同様な構造を実現することができる。実施の形態1の第2の態様と同様な効果を奏する。この場合、実施の形態3の第2の態様におけるガス供給口、原料ガス取込口、冷媒排出口22R、冷媒供給口21Rが、実施の形態1の第2の態様のガス流出口12B、オゾンガス取出口19、冷媒供給口21、及び冷媒排出口22に対応する。
【0194】
(第3の態様)
なお、実施の形態3においても、
図10~
図12で示した実施の形態1の第3の態様と同様な構造を実現することができる。実施の形態1の第3の態様と同様な効果を奏する。この場合、実施の形態3の第3の態様におけるガス供給口、原料ガス通路、冷媒排出口、冷媒供給口が、実施の形態1の第3の態様のガス流出口12C、オゾンガス通路35、冷媒供給通路36、及び冷媒排出通路37に対応する。
【0195】
(第4の態様)
図23は実施の形態3の第4の態様となるオゾン発生装置における低圧電極1DRの冷媒流路4Rの平面構造を模式的に示す説明図である。
図24は
図23で示した低圧電極1DRの分岐屈折領域R50(1)の詳細を模式的に示す説明図である。
図23及び
図24にXYZ直交座標系を記している。
【0196】
図23に示すように、第4の態様の冷媒流路4Rは8つの分岐屈折領域R50(1)~R50(8)を有している。なお、
図23では低圧電極1DRの中央部に設けられるガス供給口の図示を省略している。第4の態様のガス供給口として、第1の態様のガス供給口11等の構造が考えられる。
【0197】
以下、
図23及び
図24を参照して、実施の形態3の第4の態様について説明する。なお、第4の態様は
図18で示した基本構成の電極ユニット63における低圧電極1Rに相当する低圧電極1DRの具体的構造を示している。
【0198】
図23に示すように、第1の態様と同様、低圧電極1DRの下面に冷媒供給口21R及び冷媒排出口22Rを有している。冷媒供給口21Rは外部から冷媒C1を受け、冷媒排出口22Rは外部に冷媒C1を排出する。
【0199】
第4の態様の低圧電極1DR内において、外周に沿って流路外壁25を設け、内部に流路分離壁27を設けることにより、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)を設けている。分岐屈折領域R50(1)~R50(8)内にそれぞれ部分冷媒流路が形成される。すなわち、低圧電極1DR内に形成される冷媒流路4Rは分岐屈折領域R50(1)~R50(8)に対応する8つの部分冷媒流路を含んでいる。
【0200】
なお、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)に形成される部分冷媒流路は互いに同様な構造を呈しているため、以下、
図24で示す分岐屈折領域R50(1)に形成される部分冷媒流路を代表して説明する。
【0201】
分岐屈折領域R50(1)において、流路方向を変える分岐屈折流路51(1)~51(7)と各々が流路方向に沿って冷媒C1を流す分岐周回流路52(1)~52(8)とを設けている。すなわち、実施の形態3の第4の態様は、実施の形態1の第4の態様と同様、分岐屈折流路51(1)~51(7)が少なくとも一つの屈曲流路に対応し、分岐周回流路52(1)~52(8)が複数の周回流路に対応する。
【0202】
分岐周回流路52(1)~52(8)のうち隣接する一対の分岐周回流路52(i+1)及び分岐周回流路52(i)(i=7~1のいずれか)は屈曲流路41(i)を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続される。
【0203】
すなわち、複数の周回流路(分岐周回流路52(1)~52(8))のうち隣接する一対の周回流路は少なくとも一つの屈曲流路(分岐屈折流路51(1)~51(7))のうち一の屈曲流路を介して互いの流路方向が反対方向になるように接続される。
【0204】
分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれの分岐周回流路52(8)相当の流路は冷媒供給口21Rに連通し、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれの分岐周回流路52(1)は冷媒排出口22Rに連通する。したがって、分岐周回流路52(8)相当の流路は供給側周回流路となり、分岐周回流路52(1)が排出側周回流路となる。
【0205】
すなわち、複数の周回流路(分岐周回流路52(1)~52(8))は冷媒供給口21Rに連通する供給側周回流路(分岐周回流路52(8)相当の流路)と、冷媒排出口22Rに連通する排出側周回流路(分岐周回流路52(1))とを含んでいる。
【0206】
そして、分岐周回流路52(1)~52(8)のうち、供給側周回流路となる分岐周回流路52(8)相当の流路はガス供給口11から最も遠くに存在し、排出側周回流路となる分岐周回流路52(1)はガス供給口11から最も近くに存在する。
【0207】
このように、低圧電極1DR内に設けられた冷媒流路4Rは、冷媒供給口21Rから分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれの分岐周回流路52(8)相当の流路に分岐して冷媒C1が供給される分岐供給形態を有している。さらに、冷媒流路4Rは、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれの分岐周回流路52(1)から合流した冷媒C1が冷媒排出口22Rを介して外部に排出される合流排出形態を有している。したがって、第4の態様の冷媒流路4Rは、上述した分岐供給形態及び合流排出形態で、分岐周回流路52(1)~52(8)及び分岐屈折流路51(1)~51(7)に冷媒C1を流す周回循環流路構造を実現している。
【0208】
すなわち、実施の形態3の第4の態様では、基本構成の周辺優先冷媒流路構造として、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれに上述した分岐供給形態及び合流排出形態を有する部分冷媒流路を設け、部分冷媒流路の流路幅が一定の範囲に収まるようにしている。
【0209】
このように、実施の形態3の第4の態様における低圧電極1DR内に形成される冷媒流路4Rとして、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)に対応して複数の部分冷媒流路を有している。
【0210】
複数の部分冷媒流路はそれぞれ、複数の周回流路となる分岐周回流路52(1)~52(8)と、少なくとも一つの屈曲流路となる分岐屈折流路51(1)~51(7)とを有している。
【0211】
複数の部分冷媒流路それぞれの供給側周回流路となる分岐周回流路52(8)相当の流路は冷媒供給口21Rに連通し、複数の部分冷媒流路それぞれの排出側周回流路となる分岐周回流路52(1)が冷媒排出口22Rに連通する。
【0212】
このように、実施の形態3の第4の態様において、分岐屈折領域R50(1)~R50(8)に対応して設けられる複数の部分冷媒流路はそれぞれ周回循環流路構造を有している。
【0213】
本開示の実施の形態3の第4の態様のオゾン発生装置は分岐屈折領域R50(1)~R50(8)それぞれに周回循環流路構造を実現している。このため、冷媒流路4Rを流れる冷媒C1の流速を向上させ、冷媒C1の熱伝導性を比較的高く保つことができる分、冷媒C1による放電空間6の冷却効果を高めることができる。
【0214】
実施の形態3の第4の態様のオゾン発生装置における冷媒流路は複数の部分冷媒流路を含む。このため、冷媒供給口21Rから複数の部分冷媒流路それぞれの分岐周回流路52(8)相当の流路に並列に分岐した後、互いに並列関係になる複数の部分冷媒流路それぞれの分岐周回流路52(1)が合流して冷媒排出口22Rに連通する態様で複数の周回循環流路構造が実現される。すなわち、複数の部分冷媒流路に対応して複数の周回循環流路構造が実現される。
【0215】
このように、実施の形態3の第4の態様は、周辺優先冷媒流路構造として複数の周回循環流路構造を実現することができる。一方、放電空間6にて生成されるオゾンガスG2は、ガス供給口11から放電中央空間S1及び放電周辺空間S2を経由して放電空間6の全周囲に向かうオゾンガス方向成分を有している。
【0216】
したがって、複数の周回循環流路構造によって形成される温度分布は、上述したオゾンガス方向成分に精度良く対向した温度分布となるため、放電周辺空間S2を均一な低温状態に設定することができる。
【0217】
その結果、実施の形態3の第4の態様であるオゾン発生装置は、放電空間6における放電周辺空間S2の冷却効果を均一に高めることにより、より高濃度なオゾンガスG2を発生することができる。
【0218】
実施の形態3の第1~第4の態様では冷媒供給口21R及び冷媒排出口22Rを平面視して放電空間6の外側に設ける構成を示したが他の構成も勿論可能である。例えば、低圧電極1R(1AR,1DR)の下面側に設けられた冷媒流路4Rの冷媒出口4Rbの直下に冷媒排出機構を設けても良い。但し、冷媒排出機構はガス供給口11から供給される原料ガスG1に影響を与えない態様で設ける必要がある。
【0219】
<実施の形態4>
(基本構成)
図25は本開示の実施の形態4の基本構成である電極ユニット64の断面構造を模式的に示す説明図である。同図にXYZ直交座標系を記している。電極ユニット64を含むオゾン発生装置が実施の形態4のオゾン発生装置となる。同図に示すように、電極ユニット64は電極構成部E1R及びE22R並びにスペーサ7を主要構成要素として含んでいる。
【0220】
以下、
図18で示した実施の形態3の基本構成と同様な構成部等は同一の符号を付して説明を適宜省略し、実施の形態4の特徴箇所を中心に説明する。
【0221】
電極構成部E1Rの低圧電極1R上にスペーサ7を介して電極構成部E22Rが設けられる。電極構成部E22Rは高圧電極2、誘電体3、絶縁構造体5及び冷却板8Rを主要構成要素として含んでいる。高圧電極2の下面上に誘電体3が形成される。
【0222】
低圧電極1Rは実施の形態3と同様、冷媒流路4を有する流路内蔵金属電極として機能している。
【0223】
電極構成部E22Rにおいて、高圧電極2の上面上に絶縁構造体5が設けられる。すなわち、第2の金属電極となる高圧電極2に隣接して放電空間6の反対側に絶縁構造体5が設けられる。
【0224】
さらに、絶縁構造体5の上面上に冷却機能を有する冷却板8Rが設けられる。すなわち、絶縁構造体5に隣接して放電空間6の反対側に冷却板8Rが設けられる。
【0225】
冷却板8Rは内部に第2の冷媒となる冷媒C2を流す第2の冷媒流路となる冷媒流路9Rを有している。また、冷却板8RはXY平面で平面視して放電中央空間S1と重複する冷却中央領域B1と、XY平面で平面視して放電周辺空間S2と重複する冷却周辺領域B2とを有している。
【0226】
冷却板8R内に設けられる冷媒流路9Rは、冷却板8Rの側面側に冷媒入口9Raを有し冷却板8Rの上面における中央領域に冷媒出口9Rbを有し、冷却周辺領域B2から冷却中央領域B1にかけて形成される。そして、冷媒流路9Rは、冷媒入口9Raから冷媒出口9Rbに向けて冷媒C2を流すことにより、冷却中央領域B1に先がけて冷却周辺領域B2に冷媒C2を流す第2の周辺優先冷媒流路構造を有している。
【0227】
電極ユニット64を有する実施の形態4のオゾン発生装置は冷却板8Rを備えることにより、冷媒C1を流す冷媒流路4Rを有する低圧電極1Rによって低圧電極1R側から放電空間6を冷却し、かつ、冷却板8Rによって高圧電極2側からも放電空間6を冷却することができる。
【0228】
その結果、実施の形態4のオゾン発生装置は、放電空間6の冷却効果をより高めることができる。
【0229】
さらに、実施の形態4のオゾン発生装置における冷却板8Rは、上述した第2の周辺優先冷媒流路構造を有するため、高圧電極2側から放電空間6の全周囲のオゾンガス出力空間に近い冷却周辺領域B2の温度を比較的低く保つことができる。
【0230】
その結果、実施の形態4のオゾン発生装置は、第2の冷媒である冷媒C2の第2の冷媒量を必要最小限に抑えてより高濃度なオゾンガスG2を発生することができる。
【0231】
なお、実施の形態4においても、
図25で示した基本構成を拡張して、実施の形態3の第1~第4の態様と同様な構造を実現し、同様な効果を発揮することができる。
【0232】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本開示がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0233】
上述した実施の形態では、低圧電極1(1A~1D,1AR,1DR)の中央部にガス流出口12(12B,12C)を設けたが、低圧電極1及び高圧電極2のうち少なくとも一つの電極が中央部にガス流出口12を有すれば良い。
【符号の説明】
【0234】
1,1A~1D,1AR,1DR 低圧電極
2 高圧電極
3 誘電体
4,4R,9,9R 冷媒流路
5 絶縁構造体
6 放電空間
8,8R 冷却板
11 ガス供給口
12,12B,12C ガス流出口
19 オゾンガス取出口
21 冷媒供給口
22 冷媒排出口
30 オゾンガス・冷媒用補助部材
35 オゾンガス通路
36 冷媒供給通路
37 冷媒排出通路
55 オゾンガス発生ユニット
61~64 電極ユニット
C1,C2 冷媒
E1,E1R,E2,E22,E22R 電極構成部
G1 原料ガス
G2 オゾンガス
【要約】
本開示は、冷媒の冷媒量を必要最小限に抑えて比較的高濃度なオゾンガスを発生することができるオゾン発生装置の構造を提供することを目的とする。そして、本開示のオゾン発生装置において、放電空間(6)の全周囲から中心に向けて原料ガス(G1)が供給され、放電空間(6)にて得られたオゾンガス(G2)は放電中央空間(S1)からガス流出口(12)を介して外部に出力される。低圧電極(1)内に設けられる冷媒流路(4)は、冷媒入口(4a)から冷媒出口(4b)に向けて冷媒(C1)を流すことにより、電極周辺領域(D2)に先がけて電極中心領域(D1)に冷媒(C1)を流す中心優先冷媒流路構造を有している。