(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-27
(45)【発行日】2025-07-07
(54)【発明の名称】構成要素用のろう付け接合部及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
B23K 1/008 20060101AFI20250630BHJP
B23K 1/00 20060101ALN20250630BHJP
【FI】
B23K1/008 A
B23K1/00 330P
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020180585
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-10-17
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】シャン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ジェイ.・ドリエティ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エー.・クック
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・レスリー・ヘンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ティー.・スミス
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-154197(JP,A)
【文献】特開2015-093326(JP,A)
【文献】特開2006-082112(JP,A)
【文献】特開平10-135624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろう付け接合部(202)を生成するためのシステム(200、300、400、500)であって、
当該システム(200、300、400、500)
が、
ろう付け材料(218)の少なくとも一部を溶融するのに十分なろう付け温度に到達するように動作可能な環境(206)と、
前記環境(206)内の構成要素(204)であって、
基部表面(212)を備える基部(210)、
前記基部表面(212)から内縁(224)へと前記基部(210)内に垂下する凹部(214)、
及び
前記凹部(214)内にあり、前記基部表面(212)の上にキャップ(220)を形成する前記ろう付け材料(218)であって、前記ろう付け材料(218)
が、前記キャップ(220)から前記内縁(224)までの前記凹部(214)を充填し、前記キャップ(220)
が、露出したろう付け表面(222)を有する前記ろう付け材料(218)
を備える構成要素(204)と、
前記露出したろう付け表面(222)を少なくとも部分的に覆う
断熱層(302)と
、
前記基部(210)上の場所(403)から熱を抽出するように動作可能な冷却装置(401)であって、前記場所(403)が、前記キャップ(220)に近い前記ろう付け材料(218)の第1の部分(230)での影響を少なくしながら前記凹部(214)の前記内縁(224)に近い前記ろう付け材料(218)の第2の部分(232)での熱抽出を高めるように前記キャップ(220)よりも前記凹部(214)の前記内縁(224)に近い、冷却装置(401)と
を備える、システム(200、300、400、500)。
【請求項2】
前記ろう付け材料(218)
が、ろう付けフィラー合金を含む、請求項1に記載のシステム(200、300、400、500)。
【請求項3】
前記ろう付け材料(218)
が、前記ろう付け
フィラー合金
及びろう付け粉末を含むろう付けペーストを含み、前記ろう付け粉末
が、前記ろう付けフィラー合金よりも高い融点を有する、請求項2に記載のシステム(200、300、400、500)。
【請求項4】
前記
断熱層(302)
が、セラミック、セラミック繊維、ミネラルウール、多結晶繊維、
及びシリカ布の少なくとも1つを含み、前記
断熱層(302)
が、前記キャップ(220)を完全に覆い、前記基部表面(212)を少なくとも部分的に覆う、請求項1に記載のシステム(200、300、400、500)。
【請求項5】
前記
断熱層(302)
が、
物体の体積をその物体の放熱面積で除算した値として定義されるモジュラスについて、1.1以上の前記ろう付け接合部(202)の
モジュラスに対する前記キャップ(220)の
モジュラスの比
をもたらす、請求項1に記載のシステム(200、300、400、500)。
【請求項6】
基部(210)内に画定された凹部(214)をろう付けする方法(600)であって、前記凹部(214)
が、前記基部(210)の基部表面(212)から内縁(224)へと前記基部(210)内に垂下し、
当該方法(600)
が、
前記凹部(214)の上にろう付け材料(218)のキャップ(220)を生成すること(602)であって、前記キャップ(220)
が、露出したろう付け表面(222)を有することと、
前記露出したろう付け表面(222)上に断熱層(302)を位置決めすること(604)と、
環境(206)内で前記ろう付け材料(218)を加熱し、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料(218)を生成すること(606)と、
前記少なくとも部分的に溶融したろう付け材料(218)を冷却し、前記凹部(214)内に固体ろう付け接合部(202)を形成すること(608)と
を含
んでおり、
前記少なくとも部分的に溶融したろう付け材料(218)を冷却すること(608)が、前記キャップ(220)に近い前記ろう付け材料(218)の第1の部分(230)での影響を少なくしながら前記凹部(214)の前記内縁(224)に近い前記ろう付け材料(218)の第2の部分(232)での熱抽出を高めるように、前記キャップ(220)よりも前記内縁(224)に近い前記基部(210)上の場所(403)を冷却することを含む、方法(600)。
【請求項7】
前記ろう付け材料(218)
が、ろう付けフィラー合金、ろう付け粉末、
及びバインダを含むろう付けペーストであり、前記凹部(214)の上にろう付け材料(218)のキャップ(220)を生成すること(602)
が、前記凹部(214)内の前記キャップ(220)
及びろう付けペーストが流体連通するように、前記表面から前記内縁(224)までの前記凹部(214)を前記ろう付けペーストで充填することをさらに含む、請求項
6に記載の方法(600)。
【請求項8】
環境(206)内で前記ろう付け材料(218)を加熱して少なくとも部分的に溶融したろう付け材料(218)を生成すること(606)
が、毛細管効果を介して前記キャップ(220)からの少なくとも部分的に溶融したろう付け材料(218)で前記内縁(224)までの前記凹部(214)を充填することをさらに含む、請求項
6に記載の方法(600)。
【請求項9】
前記少なくとも部分的に溶融したろう付け材料(218)を冷却すること(608)
が、前記キャップ(220)を固化させることをさらに含み、
その固化したキャップ(220)
が、前記固体ろう付け接合部(202)よりも大きな多孔性を有する、請求項
6に記載の方法(600)。
【請求項10】
基部(210)内に画定された凹部(214)をろう付けする方法(700)であって、前記凹部(214)
が、前記基部(210)の基部表面(212)から内縁(224)へと前記基部(210)内に垂下し、前記方法(700)
が、
少なくとも部分的に溶融したろう付け材料(218)をキャップ(220)から前記内縁(224)へと前記凹部(214)内に供給すること(702)と、
前記基部(210)上の場所(403)から熱を抽出すること(704)であって、前記場所(403)
が、
前記キャップ(220)に近い前記ろう付け材料(218)の第1の部分(230)での影響を少なくしながら前記凹部(214)の前記内縁(224)に近い前記ろう付け材料(218)の第2の部分(232)での熱抽出を高めるように前記キャップ(220)よりも前記凹部(214)の前記内縁(224)に近いことと
を含む、方法(700)。
【請求項11】
熱を抽出すること(704)
が、熱交換器(402)を使用して前記場所(403)で伝導的に冷却することをさらに含む、請求項
10に記載の方法(700)。
【請求項12】
熱を抽出すること(704)
が、前記場所(403)での衝突冷却をさらに含む、請求項
10に記載の方法(700)。
【請求項13】
環境(206)内の前記凹部(214)の上に少なくとも部分的に固体のろう付け材料(218)を位置決めすることをさらに含み、前記少なくとも部分的に溶融したろう付け材料(218)を前記キャップ(220)から前記凹部(214)に供給すること(702)
が、前記環境(206)をろう付け温度に加熱し、前記少なくとも部分的に溶融したろう付け材料(218)を生成することをさらに含む、請求項
10に記載の方法(700)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、一般に、金属合金用のろう付け接合部に関し、より具体的には、ろう付けプロセスの熱的制御に関する。
【背景技術】
【0002】
金属合金から全体的又は部分的に製作された少なくともいくつかの既知の構成要素については、構成要素の通常の使用中に合金に亀裂又は欠陥が発生する場合がある。例えば、少なくともいくつかの既知の回転機械は、動作中に回転機械の高温流路で使用される構成要素にステンレス鋼並びにニッケル基、コバルト基及び鉄基超合金を使用する。高温流路は、構成要素に熱的及び/又は機械的応力及びひずみを与える。したがって、これらの構成要素の合金に亀裂又は欠陥が発生したとき、修復された亀裂又は欠陥は、高温流路の高温、応力、及びひずみに同様に耐えることができなければならない。
【0003】
合金における亀裂又は欠陥を修復する1つの既知の方法は、ろう付けプロセスを使用してろう付け接合部を生成することである。Rene’N5、Rene’108、CMSX-4(登録商標)、及びCMSX-6(登録商標)(Cannon Muskegon Corporationの登録商標)などのいくつかの既知のニッケル基超合金では、損傷した部品を救済するための典型的な技法は、ろう付けの使用である。従来のろう付けプロセスでは、ろう付け材料を使用して、ギャップを液体又は部分的に液体のろう付け材料で充填し、次にろう付け材料を固化させることによって、既存の構成要素における欠陥を修復する。少なくとも1つの既知のろう付け方法は、接合される欠陥表面を洗浄し、欠陥のある構成要素を真空ろう付け炉に入れ、ろう付け材料が溶融又は部分的に溶融するように炉を目標温度に加熱し、そしてろう付け材料が欠陥を形成する空間に流入することを可能にすることを含む。ろう付けプロセスを使用して、2つの構成要素間のギャップを充填してそれらを共に接合することができ、又はろう付け材料を使用して、新しい構成要素を形成することができる。
【0004】
上述のろう付け接合部を形成するための既知のろう付けプロセスの少なくともいくつかでは、ろう付け材料が構成要素における欠陥を充填した後にろう付け材料が冷却し始めると、接合部内で凝固収縮が発生する。加えて、少なくともいくつかの既知のろう付け接合部では、ろう付け材料が冷却されると、金属合金の表面に近いろう付け材料は、欠陥の深部のろう付け材料よりも速く冷却される。この差動冷却は、凝固収縮と組み合わされると、高度の多孔性及び/又は高温割れを伴うろう付け接合部などの凝固欠陥を引き起こす可能性がある。少なくともいくつかの既知のろう付けプロセスでは、ろう付け材料で充填されたギャップが0.1mmよりも大きく、ろう付け材料が超合金粉末とはるかに低い融点のろう付けフィラーのブレンドであるとき、多孔性が形成される可能性がある。少なくともいくつかの既知のろう付けプロセスでは、ろう付け材料で充填されたギャップが0.1mm未満であり、ろう付け材料が純粋なろう付けフィラーであるとき、高温割れが発生する可能性がある。ろう付け接合部におけるこれらの欠陥は、ろう付け接合部の引張強度を低下させ、かつクリープ寿命及び疲労寿命を短くすることになり、これにより合金含有構成要素上の摩耗を増加させ、タービンの強制停止又は他の内部構成要素上の追加の摩耗を引き起こし得る。ろう付け接合部における欠陥に関連するこれらの問題は、ロータリーエンジンの高温流路内などの高応力領域で使用するように設計された構成要素にとって、特に問題となり得る。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、ろう付け接合部を生成するためのシステムが提供される。システムは、ろう付け材料の少なくとも一部を溶融するのに十分なろう付け温度に到達するように動作可能な環境を含む。システムはまた、環境内の構成要素であって、基部表面を有する基部、基部表面から内縁へと基部内に垂下する凹部、及び凹部内にあり、基部表面の上にキャップを形成するろう付け材料を含む構成要素を含む。ろう付け材料は、キャップから内縁までの凹部を充填する。キャップは、露出したろう付け表面を有する。システムはまた、露出したろう付け表面を少なくとも部分的に覆う断熱層を含む。
【0006】
別の態様では、基部内に画定された凹部をろう付けするための方法が提供される。凹部は、基部の表面から内縁へと基部内に垂下する。方法は、凹部の上にろう付け材料のキャップを生成することを含む。キャップは、露出したろう付け表面を有する。方法は、露出したろう付け表面上に断熱層を位置決めすることをさらに含む。方法はまた、環境内でろう付け材料を加熱し、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を生成することを含む。方法は、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を冷却し、凹部内に固体ろう付け接合部を形成することをさらに含む。
【0007】
別の態様では、基部内に画定された凹部をろう付けするための方法が提供される。凹部は、基部の基部表面から内縁へと基部内に垂下する。方法は、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料をキャップから内縁へと凹部内に供給することを含む。方法はまた、基部上の場所から熱を抽出することを含み、この場所は、キャップよりも凹部の内縁に近い。
【0008】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されよう。添付の図面では、図面の全体にわたって、同様の符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】構成要素内にろう付け接合部を生成するための例示的なシステムの断面図である。
【
図3】構成要素内にろう付け接合部を生成するための別の例示的なシステムの断面図である。
【
図4】構成要素内にろう付け接合部を生成するための別の例示的なシステムの断面図である。
【
図5】構成要素内にろう付け接合部を生成するための別の例示的なシステムの断面図である。
【
図6】ろう付け接合部を生成する例示的な方法の流れ図である。
【
図7】ろう付け接合部を生成する別の例示的な方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に明記しない限り、本明細書において提供される図面は、本開示の実施形態の特徴を図示するものである。これらの特徴は、本開示の1つ又は複数の実施形態を含む多種多様なシステムで適用可能であると考えられる。したがって、図面は、本明細書に開示される実施形態の実践のために必要とされる当業者に知られているすべての従来の特徴を含むものではない。
【0011】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、いくつかの用語が参照されるが、これらの用語は以下の意味を有すると定義されるものとする。
【0012】
単数形「1つの(a、an)」、及び「この(the)」は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の言及を含む。
【0013】
特に明記しない限り、本明細書で使用される「一般に」、「実質的に」、及び「およそ」などの近似を表す文言は、そのように修飾された用語が、絶対的又は完全な程度ではなく、当業者によって認識されるようなおおよその程度にのみ適用され得ることを示している。したがって、「およそ」、「約」、及び「実質的に」などの用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、並びに本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、範囲の限界が特定されてもよい。このような範囲は、組み合わせ及び/又は置き換えが可能であり、文脈又は文言が特に指示しない限り、本明細書に含まれるすべての部分範囲を含む。加えて、特に明記しない限り、「第1の」、「第2の」、などの用語は、本明細書において単に標識として使用されているにすぎず、これらの用語が言及する項目について順序、位置、又は階層上の要件を加えることを意図するものではない。さらに、例えば、「第2の」項目への言及は、例えば、「第1の」もしくはより小さい番号の項目、又は「第3の」もしくはより大きい番号の項目の存在を要求するものではなく、又は排除するものでもない。
【0014】
本明細書に記載のシステム及び方法は、構成要素内にろう付け接合部を生成することに関する。具体的には、例示的な実施形態では、システムは、ろう付け材料の少なくとも一部を溶融するのに十分なろう付け温度に到達するように動作可能な環境を含む。システムはまた、環境内の構成要素であって、基部表面を有する基部、基部表面から内縁へと基部内に垂下する凹部、及び凹部内にあり、基部表面の上にキャップを形成するろう付け材料を含む構成要素を含む。ろう付け材料は、キャップから内縁までの凹部を充填する。キャップは、露出したろう付け表面を有する。いくつかの実施形態では、システムはまた、キャップの露出したろう付け表面を少なくとも部分的に覆う断熱層を含む。環境がろう付け温度に加熱された後、システムは、断熱層のないシステムと比較して、キャップの露出したろう付け表面からのより少ない急速な熱放散を容易にする。追加的又は代替的に、システムは、キャップよりも凹部の内縁に近い場所で基部から熱を抽出するように動作可能な冷却システムを含み、これは、キャップの露出したろう付け表面と比較して、ろう付け接合部のより急速な冷却を容易にする。したがって、システムは、ろう付けプロセス中、基部表面の上に延びるキャップと比較して、凹部内に凝固欠陥が少ないか又はまったくないろう付け接合部の生成を容易にする。
【0015】
図1は、例示的な回転機械100、すなわちターボ機械、より具体的にはタービンエンジンの概略図である。例示的な実施形態では、回転機械100は、ガスタービンエンジンである。
或いは、回転機械は、限定はしないが、蒸気タービンエンジン、ガスターボファン航空機エンジン、他の航空機エンジン、風力タービン、圧縮機、
及びポンプを含む、任意の他のタービンエンジン
及び/
又は回転機械であってもよい。例示的な実施形態では、タービンエンジン100は、吸気セクション102、吸気セクション102の下流に結合された圧縮機セクション104、圧縮機セクション104の下流に結合された燃焼器セクション106、燃焼器セクション106の下流に結合されたタービンセクション108、
及びタービンセクション108の下流に結合された排気セクション110を含む。タービンセクション108は、ロータシャフト112を介して圧縮機セクション104に結合されている。本明細書で使用する場合、「結合する」という用語は、構成要素間の直接的な機械的、熱的、電気的、
及び/
又は流れ連通接続に限定されず、複数の構成要素間の間接的な機械的、熱的、電気的、
及び/
又は流れ連通接続も含むことができることに留意されたい。例示的な実施形態では、燃焼器セクション106は、複数の燃焼器114を含む。燃焼器セクション106は、各燃焼器114が圧縮機セクション104と流れ連通するように、圧縮機セクション104に結合される。ロータシャフト112は、限定はしないが、発電機
及び/
又は機械的駆動用途などの負荷116にさらに結合される。例示的な実施形態では、圧縮機セクション104
及びタービンセクション108の各々は、ロータシャフト112に結合された少なくとも1つのロータアセンブリ118を含む。タービンセクション108の各ロータアセンブリ118は、円周方向に配置され、半径方向に延びる複数のタービンブレード119を含む。
【0016】
動作中、吸気セクション102は、空気120を圧縮機セクション104に向けて送る。圧縮機セクション104は、吸入空気120をより高い圧力に圧縮し、その後に圧縮空気122を燃焼器セクション106に向けて放出する。圧縮空気122は燃焼器セクション106に送られ、そこで燃料(図示せず)と混合され、燃焼されて高温燃焼ガス124を生成する。燃焼ガス124はタービンセクション108に向かって下流に送られ、タービンブレード119に衝突し、熱エネルギーは、長手方向軸126の周りでロータアセンブリ118を駆動するために使用される機械的回転エネルギーに変換される。しばしば、燃焼器セクション106及びタービンセクション108は、タービンエンジン100の高温ガスセクション109と呼ばれる。次いで、排気ガス128は、排気セクション110を通って周囲大気に放出される。
【0017】
いくつかの実施形態では、タービンエンジン100の動作中、限定はしないが、ステータベーン(図示せず)及びシュラウド(図示せず)を含み得るタービンブレード119などの高温ガスセクション109の構成要素204は、例えば、摂氏1250度の高温に曝される場合があり、熱応力を生成する。タービンセクション108において、構成要素204はまた、高速回転からの応力及び燃焼器106からの高速高温ガスの押し出しなど、動作中に機械的応力を受ける。そのような極端な動作条件は、クリープ及び/又は疲労による亀裂、並びに高温ガスセクション109の構成要素204内に形成される他の欠陥を引き起こし、修復を必要とし得る。
【0018】
図2は、構成要素204の1つ
又は複数内にろう付け接合部202を生成するためのシステム200の断面図である。構成要素204は説明の目的で回転機械100の構成要素として説明されているが、システム200はまた、多種多様な用途において任意の適切な構成要素204内にろう付け接合部を生成するために企図されており、本明細書に記載の回転機械100の構成要素での使用に限定されないことを理解されたい。
【0019】
いくつかの実施形態では、構成要素204は、タービンエンジン100の高温ガスセクション109又は燃焼器106内で使用される金属合金から形成される。いくつかのそのような実施形態では、構成要素204は、コバルト基又はニッケル基超合金から製作される。例えば、構成要素204は、CMSX-4(登録商標)などの単結晶ニッケル基超合金から製作され得る。代替の実施形態では、構成要素204は、本明細書に記載のシステム及び方法を使用してろう付けすることができる任意の合金から形成される。
【0020】
システム200は、ろう付け接合部202を生成するための環境206を含む。いくつかの実施形態では、環境206は、加熱コンパートメント208内に画定された空洞である。例示的な実施形態では、加熱コンパートメント208は、ろう付けプロセス中に熱と真空の両方を空洞に供給するように構成された真空炉である。例えば、加熱コンパートメント208は、環境206全体に均一な温度を供給し、環境206内に十分な真空を引いて環境206に存在する少なくとも一部のガスを除去するように構成される。一実施形態では、そのようなガスには、酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気、及びメタンが挙げられる。代替の実施形態では、環境206は、本明細書に記載のようにろう付け接合部が構成要素204内に形成されることを可能にする任意の適切な環境である。
【0021】
構成要素204は、基部表面212を有する基部210と、基部表面212から内縁224へと凹部深さ216内に垂下する凹部214とを含む。例示的な実施形態では、凹部214は、構成要素204の通常の使用中に発生する可能性がある、基部210内の亀裂などの欠陥を表す。内縁224は、基部表面212からの亀裂の最も内側又は最も深い範囲を表す。例えば、構成要素204がタービンエンジン100の高温ガスセクション109内で使用される金属合金から形成される実施形態では、凹部214は、回転応力、急速に流れる高温ガス流からの力、及び/又は構成要素204への周期的な熱機械的ひずみの組み合わせにより形成され得る。代替の実施形態では、凹部214は、構成要素204の鋳造又は機械加工プロセス中、又は2つの別々に形成された構成要素204を共に結合する接合中など、別のプロセスによって意図的に又は意図的でなく形成されている場合がある。
【0022】
ろう付け接合部202は、ろう付け材料218から形成される。一実施形態では、ろう付け材料218は、DF-4B拡散ろう付け合金などの純粋なろう付けフィラー合金を含む。ろう付けフィラー合金は、アルミニウム、ケイ素、銅、銀、ゲルマニウム、金、ニッケル、コバルト、及びホウ素の1つ又は複数を含み得る。例示的な実施形態では、ろう付け合金は、構成要素204と比較して比較的低い融点を有する多成分共晶である。例えば、コバルト基及びニッケル基超合金から形成された構成要素204に使用されるろう付け合金は、典型的には、摂氏1120度未満、より具体的には、摂氏900~1100度の溶融温度を有する。別の実施形態では、ろう付け材料218は、ろう付け粉末とろう付けフィラー合金のブレンドを含む。ろう付け粉末は、典型的には、構成要素204用の超合金であり、ろう付けフィラー合金と比較してより高い強度及びより高い融点を有する。したがって、特定の温度では、ろう付け合金は溶融するがろう付け粉末が固体であり、部分的に溶融したろう付け材料218を生成する。代替の実施形態では、ろう付け材料218は、完全に又は実質的にろう付けフィラー合金からなり得るか、又はろう付け接合部202が本明細書に記載のように形成されることを可能にする他の材料を含み得る。
【0023】
一実施形態では、ろう付け材料218は、バインダと混合されてろう付けペーストを生成するろう付けフィラー合金及びろう付け粉末を含む。例えば、限定はしないが、ろう付けフィラー合金及びろう付け粉末は、8パーセントのバインダと混合される。ろう付けペーストは半固体であり、これにより、いくつかの実施形態では、ろう付け材料218を凹部214内に注ぐか注入することが可能である。そのような充填技法は、0.1ミリメートルよりも広い凹部214に特に適している。代替の実施形態では、ろう付けペースト又は純粋なろう付けフィラー合金を凹部214の上に載置してキャップ220を生成することができ、毛細管効果によってろう付け材料218を凹部に流入させることが可能である。そのような充填技法は、0.1ミリメートル以下の凹部214に特に適している。
【0024】
いくつかの実施形態では、ろう付けプロセス中、環境206は、ろう付け温度に加熱される。いくつかの実施形態では、環境206は、ろう付け温度で10分~120分間保持される。いくつかのそのような実施形態では、環境206は、ろう付け温度で20分~40分間、そしていくつかのそのような実施形態では、30分間保持される。或いは、環境206は、任意の適切な長さの時間、ろう付け温度に保たれる。ろう付け温度は、構成要素204の溶融温度よりも低く、上述のようにろう付け材料218を溶融させるか、又は部分的に溶融させるのに十分高い。ろう付け材料218がろう付けペーストを含む例示的な実施形態では、ろう付け温度において、ろう付け合金は溶融するがろう付け粉末が固体のままであり、部分的に溶融したろう付け材料218を生成する。いくつかのそのような実施形態では、環境206がろう付け温度に加熱される前、固体又はペーストろう付け材料218が凹部214内に載置され、内縁224から基部表面212までの凹部を充填する。いくつかのそのような実施形態では、追加のろう付け材料218が基部表面212の上に載置され、キャップ220を生成する。キャップ220は、凹部214内のろう付け材料218と流体連通している。次に、ろう付け材料218はろう付け温度に加熱され、存在するバインダのほとんど又はすべてを燃焼させ、ろう付け材料218を少なくとも部分的に溶融させる。
【0025】
上述のように、代替の実施形態では、ろう付けペースト又は純粋なろう付け合金を凹部214の上に載置してキャップ220を生成することができ、毛細管効果によってろう付け材料218を凹部214に流入させることが可能である。凹部214の充填は、室温で発生し得るか、又は環境206をろう付け温度に加熱することによって発生し得る。例示的な実施形態では、ろう付け材料218は、ろう付け温度に加熱され、少なくとも部分的に溶融したキャップ220上の露出したろう付け表面222、及び部分的に溶融したろう付け材料218と凹部214との間の接触角219を生成する。いくつかのそのような実施形態では、純粋なろう付けフィラーは、凹部214の基部表面212、内縁224、及び他の表面を濡らし、90度未満の接触角219を生成する。さらなる実施形態では、接触角219は30度以下であり、ろう付け材料が凹部214の内縁224及び他の表面上に広がり、毛細管効果によってろう付け材料218を凹部214内に引き込むことを可能にする。代替の実施形態では、ろう付け材料218は、ろう付け温度で完全に溶融される。代替の又は追加の実施形態では、ろう付け材料218は、部分的に溶融した状態で凹部214上の基部表面212上に載置され、毛細管効果によって凹部214に供給することが可能である。さらなる実施形態では、ろう付け材料218は、ろう付け材料が環境206内でろう付け温度に加熱されると、キャップ220が凹部214内に引き込まれるように凹部214の一部のみを充填することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、ろう付け材料218がろう付け温度に到達して少なくとも部分的に溶融し、凹部を完全に充填した後、環境206内の温度を下げ、ろう付け材料218を冷却してろう付け材料218を固化させ、凹部214内にろう付け接合部202を生成することが可能である。いくつかの実施形態では、ろう付け材料218の凝固は、ろう付け材料218を収縮させ、これは、ろう付け接合部202において凝固欠陥228をもたらし得る。いくつかのそのような凝固欠陥228は、
図2の細孔227によって示されるように、固体ろう付け接合部202における高い多孔性(量とサイズの両方)を含む。他の凝固欠陥228は、線状指示模様229によって示されるように、線状指示模様、
又は亀裂を含む。いくつかの実施形態では、基部210
及びろう付け材料218が冷却し始めると、露出したろう付け表面222に
又はその近くに位置するろう付け材料218の第1の部分230は、内縁224に
又はその近くに位置するろう付け材料218の第2の部分232よりも急速に温度が低下する。ろう付け材料218のある部分が別の部分よりも速く冷却するとき、例えば、第1の部分230が第2の部分232よりも環境206において速く冷却する場合、凝固収縮により欠陥228が形成され得る。この例示的な実施形態では、第1の部分230が第2の部分232よりも速く冷却することによって、凝固欠陥228が第2の部分232の近くに固化したろう付け材料218内で形成される。ろう付け接合部202を含む構成要素204が使用に戻されると、少なくともいくつかのそのような既知の凝固欠陥228は、ろう付け接合部202の引張強度の低下、
並びにより短いクリープ寿命
及び疲労寿命をもたらす。
【0027】
いくつかの実施形態では、ろう付け接合部202のサイズと比較したキャップ220のサイズは、キャップ220の能力に影響を及ぼし、冷却中に凹部214内のろう付け材料218の収縮をもたらし得る。いくつかのそのような実施形態では、ろう付け接合部202のモジュラスに対するキャップ220のモジュラスの比を使用して、キャップ220がろう付け接合部202にどれだけ効果的に供給するかを特徴付けることができ、ここで、モジュラスは、幾何学的物体の体積を幾何学的物体の放熱面積で除算した値として定義される。例えば、モジュラス比が1.0未満である場合、キャップ220内のろう付け材料218は、環境206内で冷却しながら凹部214内のろう付け材料218よりも早く凝固を開始し、完了する。一実施形態では、1.0よりも大きいろう付け接合部202のモジュラスに対するキャップ220のモジュラスの比は、ろう付け材料218を凹部214内に効果的に供給し、冷却中の収縮を少なくとも部分的に補償する。いくつかの実施形態では、1.1よりも大きいろう付け接合部202のモジュラスに対するキャップ220のモジュラスの比は、冷却中にろう付け材料218を凹部214内に効果的に供給して収縮を少なくとも部分的に補償し、凝固欠陥228を減少させる。さらなる実施形態では、1.5よりも大きいろう付け接合部202のモジュラスに対するキャップ220のモジュラスの比は、冷却中にろう付け材料218を凹部214内に特に効果的に供給して収縮を少なくとも部分的に補償し、凝固欠陥228を減少させる。代替の実施形態では、1.5よりも大きいろう付け接合部202のモジュラスに対するキャップ220のモジュラスの比は、冷却中にろう付け材料218を凹部214内に供給して収縮を完全に補償し、ろう付け接合部202における凝固欠陥228を排除する。追加的又は代替的に、基部表面212での接触角219を増加させると、キャップ220のモジュラスが効果的に増加し、冷却中のキャップ220から凹部214へのろう付け材料218の供給が増加して収縮を少なくとも部分的に補償する。様々な実施形態において、キャップ220のサイズ及び接触角219は、冷却中の凹部214内へのキャップ220の供給能力を高めるために変更される。
【0028】
図3は、システム300と呼ばれる、構成要素204内にろう付け接合部202を生成するためのシステムの別の例示的な実施形態の断面図である。システム300はシステム200に類似しており、したがって、同様の構成要素はシステム200と同じようにラベル付けされている。システム300は、システム300が、ろう付け材料218のキャップ220の露出したろう付け表面222を少なくとも部分的に覆う断熱層302を含むという点で、システム200とは異なる。例示的な実施形態では、断熱層302は、キャップ220
及び基部表面212の一部を完全に覆う。システム200と同様に、システム300において、ろう付け接合部202は、ろう付け材料218をろう付け温度に加熱することによって生成され、ろう付け材料218を少なくとも部分的に溶融させ、ろう付け材料218が凹部214に入ることを可能にする。システム300のいくつかの実施形態では、ろう付け材料218をろう付け温度に加熱する前、
又はろう付け材料218が少なくとも部分的に溶融した後、断熱層302は、断熱層302が露出したろう付け表面222を少なくとも部分的に覆うように露出したろう付け表面222上に載置される。
【0029】
断熱層302は、断熱層302が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、断熱層302は、セラミック材料、セラミック繊維、ミネラルウール、多結晶繊維、シリカ布、及びそれらの任意の組み合わせの1つ又は複数から形成される。
【0030】
システム200と同様に、システム300の例示的な実施形態では、構成要素204が環境206内で少なくとも部分的に溶融したろう付け材料218を生成するのに十分な時間加熱されると、環境206は、ろう付け温度から冷却することが可能である。環境206が冷却すると、基部210及びろう付け材料218も冷却し始め、ろう付け材料218が固化してろう付け接合部202を形成することを可能にする。システム200とは異なり、いくつかの実施形態では、断熱層302は、キャップ220及びろう付け表面222の近くに位置する第1の部分230を、内縁224の近くに位置する第2の部分232よりもゆっくりと冷却させる。第1の部分230と第2の部分232との間の温度差のために、ろう付け材料218の凝固は、第1の部分230よりも第2の部分232の近くでより早く開始及び完了する。したがって、凝固中にろう付け材料218に収縮が発生すると、ろう付け材料218に形成される凝固欠陥228は、第2の部分232よりも第1の部分230の近くで発生する。より具体的には、例示的な実施形態では、断熱層302は、露出したろう付け表面222の近くのキャップ220に凝固欠陥228を主に形成させる。構成要素204が使用に戻される前、キャップ220は取り外されるか、場合によってはろう付け接合部202の強度に寄与するように設計されていない。したがって、いくつかの実施形態では、ろう付け材料218の第1の部分230における凝固欠陥228は、ろう付け接合部202の性能に有意に影響を及ぼさない。
【0031】
システム200と同様に、システム300において、断熱層302を適用することと組み合わせて、ろう付け接合部202のサイズと比較してキャップ220のサイズを変更することは、ろう付け材料218を凹部214内に供給して冷却中の収縮を少なくとも部分的に補償するキャップ220の能力に影響を及ぼし得る。いくつかのそのような実施形態では、ろう付け接合部202のモジュラスに対するキャップ220のモジュラスの比を使用して、キャップ220がろう付け接合部202にどれだけ効果的に供給するかを特徴付けることができる。いくつかのさらなる実施形態では、断熱層302は、システム200に示されるキャップ220などの断熱層のないキャップ220についての対応する比と比較して、キャップ220のモジュラス、したがってろう付け接合部202のモジュラスに対するその比を増加させる。いくつかのそのような実施形態では、断熱層302は、より狭い幅を有するキャップ220が、より広い幅を有するが断熱層を有さないキャップ220と同じ量のろう付け接合部202に対する供給を提供することを可能にする。
【0032】
図4は、システム400と呼ばれる、構成要素204内にろう付け接合部202を生成するためのシステムの別の例示的な実施形態の断面図である。システム400はシステム200に類似しており、したがって、同様の構成要素はシステム200と同じようにラベル付けされている。システム400は、システム400が、基部210上の場所403から熱を抽出するように動作可能な冷却装置401を含むという点で、システム200とは異なる。より具体的には、場所403は、キャップ220よりも凹部214の内縁224に近い。
【0033】
例示的な実施形態では、冷却装置401は、場所403と接触する熱伝導要素402を含む。また、例示的な実施形態では、場所403は、基部表面212の反対側に位置する基部210の第2の基部表面404である。しかし、場所403は、キャップ220よりも凹部214の内縁224に近い任意の場所であり得ることが認識されよう。言い換えれば、場所403は、冷却装置401がろう付け材料218の第2の部分232の熱抽出を高める一方で、ろう付け材料218の第1の部分230への影響を少なくするように選択される。
【0034】
システム200と同様に、システム400の例示的な実施形態では、構成要素204が環境206内で少なくとも部分的に溶融したろう付け材料218を生成するのに十分な時間加熱された後、環境206は、ろう付け温度から冷却することが可能である。例示的な実施形態では、熱伝導要素402は、環境206が冷却している間、基部210の場所403から熱を抽出するように構成される。代替の実施形態では、熱伝導要素402は、環境206が環境206を能動的に加熱している間、そして次に環境206が冷却している間、基部210の場所403から熱を抽出するように構成される。熱伝導要素402が第1の部分230よりも第2の部分232の近くに位置しているので、ろう付け材料218は、第1の部分230よりも第2の部分232の近くでより速く温度が低下する。第1の部分230と第2の部分232との間の温度差のために、ろう付け材料218の凝固は、第1の部分230よりも第2の部分232の近くでより急速に発生する。したがって、凝固中にろう付け材料218に収縮が発生すると、ろう付け材料218に形成される凝固欠陥228は、第2の部分232よりも第1の部分230の近くで発生する。例示的な実施形態では、凝固欠陥228は、露出したろう付け表面222の近くのキャップ220に主に形成される。構成要素204が使用に戻される前、キャップ220は取り外されるか、場合によってはろう付け接合部202の強度に寄与するように設計されていない。したがって、ろう付け材料218の第1の部分230における凝固欠陥228は、ろう付け接合部202の性能に有意に影響を及ぼさない。
【0035】
熱伝導要素402は、熱伝導要素が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の熱伝導材料及び/又はシステムを含む。いくつかの実施形態では、熱伝導要素402は、熱交換器を含む。熱伝導要素402は、例えば、プレートフィン熱交換器、プレート熱交換器、又はチューブ熱交換器であり得る。さらに別の実施形態では、熱伝導要素402は、冷却媒体に接続された埋め込まれた冷却チャネルを備えたグラファイトプレートを含む。代替の実施形態では、冷却装置401は、システム400が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の適切な構造を含む。
【0036】
図5は、システム500と呼ばれる、構成要素204内にろう付け接合部202を生成するための別の例示的なシステムの断面図である。システム500はシステム400に類似しており、したがって、同様の構成要素はシステム400と同じようにラベル付けされている。システム500は、冷却装置401が、流体504を場所403で基部210と衝突させるように構成された衝突マニホールド502として実装されるという点で、システム400とは異なる。上記のように、場所403は、流体504が、キャップ220、露出したろう付け表面222、
及び第1の部分230よりも凹部214の内縁224、
及び第2の部分232に近い基部210の部分に衝突するように選択される。図示の実施形態では、場所403は、再び、基部表面212の反対側に位置する基部210の第2の基部表面404である。
或いは、場所403は、キャップ220よりも凹部214の内縁224に近い任意の場所であり得る。
【0037】
システム200と同様に、システム500の例示的な実施形態では、構成要素204が環境206内で少なくとも部分的に溶融したろう付け材料218を生成するのに十分な時間加熱された後、環境206は、ろう付け温度から冷却することが可能である。衝突マニホールド502は、環境206が冷却している間、流体504を送り基部210の場所403から熱を抽出するように構成される。流体504が第1の部分230よりも第2の部分232に近い場所403で基部210に衝突するので、ろう付け材料218は、第1の部分230よりも第2の部分232の近くでより速く温度が低下する。第1の部分230と第2の部分232との間の温度差のために、ろう付け材料218の凝固は、第1の部分230よりも第2の部分232の近くでより急速に発生する。したがって、凝固中にろう付け材料218に収縮が発生すると、ろう付け材料218に形成される凝固欠陥228は、第2の部分232よりも第1の部分230の近くで発生する。例示的な実施形態では、凝固欠陥228は、露出したろう付け表面222の近くのキャップ220に主に形成される。構成要素204が使用に戻される前、キャップ220は取り外されるか、場合によってはろう付け接合部202の強度に寄与するように設計されていない。したがって、ろう付け材料218の第1の部分230における凝固欠陥228は、ろう付け接合部202の性能に有意に影響を及ぼさない。
【0038】
衝突マニホールド502、及びそれによって送られる流体504は、冷却装置401が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の熱対流システム及び/又はプロセスを含む。いくつかの実施形態では、衝突マニホールド502は、加圧ガスなどの流体504の供給源に接続されたジェットノズルを備える。いくつかのそのような実施形態では、流体504は、アルゴン、ヘリウム、水素、及び/又は窒素の1つ又は複数を含む。
【0039】
断熱層302(
図3に示す)
及び冷却装置401(
図4及び図5に示す)は、別々に実装されるものとして上に示されているが、いくつかの実施形態では、ろう付け接合部202から凝固欠陥228を低減
又は排除することにおける追加の利点は、
断熱層302
及び冷却装置401を同時に実装することによって得られる。言い換えれば、環境206がろう付け温度に加熱された後の冷却段階中、
断熱層302は、基部210の場所403から熱を抽出するように動作する冷却装置401(例えば、熱伝導要素402
又は衝突マニホールド502)と同時にキャップ220の露出したろう付け表面222を少なくとも部分的に覆い、第1の部分230よりも第2の部分232の近くのろう付け材料218のより急速な凝固をさらに容易する。
【0040】
図6は、基部210内に画定されたろう付け凹部214(
図2~
図5に示す)など、基部内に画定された凹部をろう付けする例示的な方法600の流れ図である。凹部は、基部表面212などの基部表面から内縁224などの内縁へと基部内に垂下する。方法600は、凹部の上に、ろう付け材料218などのろう付け材料のキャップ220などのキャップを生成すること602を含む。キャップは、露出したろう付け表面222などの露出したろう付け表面を有する。方法600は、露出したろう付け表面上に、断熱層302などの断熱層を位置決めすること604をさらに含む。方法600は、環境206などの環境内でろう付け材料を加熱し、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を生成すること606をさらに含む。方法600は、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を冷却し、ろう付け接合部202などの固体ろう付け接合部を形成すること608をさらに含む。
【0041】
ろう付け材料がろう付けフィラー合金、ろう付け粉末、及びバインダを含むろう付けペーストであるいくつかの実施形態では、凹部の上にろう付け材料のキャップを生成すること602は、凹部内のキャップ及びろう付けペーストが流体連通するように、表面から内縁までの凹部をろう付けペーストで充填することをさらに含む。さらなる実施形態では、環境内でろう付け材料を加熱して少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を生成すること606は、毛細管効果を介してキャップからの少なくとも部分的に溶融したろう付け材料で内縁までの凹部を充填することをさらに含む。特定の実施形態では、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を冷却し、ろう付け接合部を形成すること608は、環境が冷却するのを受動的に可能にすることをさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を冷却すること608は、キャップよりも内縁に近い基部上の場所を冷却することを含む。特定の実施形態では、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を冷却すること608は、キャップを固化させることをさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、固体キャップは、固体ろう付け接合部よりも大きな多孔性を有する。
【0043】
図7は、基部210内のろう付け凹部214(
図2~
図5に示す)など、基部内に画定された凹部をろう付けする別の例示的な方法700の流れ図である。凹部は、基部表面212などの基部表面から内縁224などの内縁へと基部内に垂下する。方法700は、ろう付け材料218などの少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を、キャップ220などのキャップから内縁へと凹部内に供給すること702を含む。方法700はまた、基部上の場所で基部から熱を抽出すること704を含み、この場所は、基部表面よりも基部の内縁に近い位置にある。
【0044】
いくつかの実施形態では、基部から熱を抽出すること704は、熱交換器を使用した基部上の場所での伝導性冷却を含む。他の実施形態では、基部から熱を抽出すること704は、衝突冷却を使用した基部上の場所での対流冷却を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、方法700は、環境206などの環境内の凹部の上に少なくとも部分的に固体のろう付け材料を位置決めすることをさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料をキャップから凹部に供給すること702は、環境をろう付け温度に加熱し、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を生成することをさらに含む。
【0046】
特定の実施形態では、方法700は、少なくとも部分的に溶融したろう付け材料を供給して基部から熱を抽出する前、キャップ上の露出したろう付け表面222などの露出したろう付け表面上に、断熱層302などの断熱層を位置決めすることをさらに含む。
【0047】
構成要素内にろう付け接合部を生成するための上記のシステム及び方法は、ろう付けプロセス中に接合部内に形成される欠陥が少ないか又はまったくなく、構成要素内にろう付け接合部を生成することを容易にし、したがってろう付け接合部を交換する必要性を減らし、ろう付け接合部のある構成要素の寿命を延ばす。システム及び方法は、高度な冶金学的完全性をもたらし、優れた信頼性の高い機械的能力をろう付け接合部に付与する。システム及び方法は、ガスタービンの高温ガスセクションで高温及び回転応力に曝される構成要素など、極端な熱及び高機械的応力環境で使用される構成要素にとって、特に有利であり得る。
【0048】
加えて、本明細書に記載のシステム及び方法の例示的な技術的効果は、以下の少なくとも1つを含む:(a)凝固収縮によるろう付け接合部内の欠陥の低減、(b)構成要素内にろう付け接合部を形成する際の、凹部に供給するために必要なろう付け材料の量の削減、及び(c)ろう付け接合部の寿命の延長。
【0049】
構成要素内の接合部をろう付けするためのシステム及び方法の例示的な実施形態は、上で詳細に説明されている。本方法及びシステムは、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、システムの構成要素及び/又は方法のステップは、本明細書に記載した他の構成要素及び/又はステップから独立に、かつ別々に利用することができる。例えば、本システム及び方法は、多くのタイプの構成要素と組み合わせて使用することもでき、本明細書に記載したガスタービンエンジンのみで実践することに限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、多くの他の接合部/ろう付け用途に関連して実装及び利用することができる。
【0050】
本開示の様々な実施形態の特定の特徴は、一部の図面に示され、他の図面には示されていないかもしれないが、これは単に便宜上にすぎない。本開示の実施形態の原理によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照及び/又は特許請求することができる。
【0051】
本明細書は、本開示の実施形態を開示するために実施例を使用しており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者も本開示の実施形態を実践することができるように実施例を使用しており、任意の装置又はシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含んでいる。本明細書に記載した実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0052】
100 回転機械、タービンエンジン
102 吸気セクション
104 圧縮機セクション
106 燃焼器セクション、燃焼器
108 タービンセクション
109 高温ガスセクション
110 排気セクション
112 ロータシャフト
114 燃焼器
116 負荷
118 ロータアセンブリ
119 タービンブレード
120 吸入空気
122 圧縮空気
124 高温燃焼ガス
126 長手方向軸
128 排気ガス
200 システム
202 ろう付け接合部
204 構成要素
206 環境
208 加熱コンパートメント
210 基部
212 基部表面
214 凹部
216 凹部深さ
218 ろう付け材料
219 接触角
220 キャップ
222 露出したろう付け表面
224 内縁
227 細孔
228 凝固欠陥
229 線状指示模様
230 第1の部分
232 第2の部分
300 システム
302 断熱層、断熱層
400 システム
401 冷却装置
402 熱伝導要素
403 場所
404 第2の基部表面
500 システム
502 衝突マニホールド
504 流体
600 方法
602 ステップ
604 ステップ
606 ステップ
608 ステップ
700 方法
702 ステップ
704 ステップ