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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-27
(45)【発行日】2025-07-07
(54)【発明の名称】複合誘電体層を含む集積回路
(51)【国際特許分類】
   H10D 84/80 20250101AFI20250630BHJP
【FI】
H10D84/80 101A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021577226
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 US2020039052
(87)【国際公開番号】W WO2020263774
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】16/453,796
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】グルヴァユラッパン エス マトゥール
(72)【発明者】
【氏名】アッバス アリ
(72)【発明者】
【氏名】プールニカ フェルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】バスカール スリニヴァサン
(72)【発明者】
【氏名】ダレル アール クルーメ
(72)【発明者】
【氏名】ジョアオ セルジオ アフォンソ
(72)【発明者】
【氏名】シーチャン チャン
(72)【発明者】
【氏名】シャリク アルシャド
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-290039(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151786(WO,A1)
【文献】特開2003-282726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0187598(US,A1)
【文献】特開2011-086769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 84/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路を製造する方法であって、
半導体基板を提供することであって、前記半導体基板が、前記半導体基板上又は前記半導体基板の上に配置される絶縁層と、前記絶縁層の上に配置される第1の導電性プレートとを含む前記半導体基板を提供することと、
前記第1の導電性プレートの上に複合誘電体層を形成することであって、
各々が実質的に同じ第1の化学組成を有する第1のサブ層と第2のサブ層とを形成することと、
前記第1のサブ層と前記第2のサブ層との間に第2の異なる化学組成を有する第3のサブ層を形成することと、
を含む、前記複合誘電体層を形成することと、
前記複合誘電体層の直接上に位置する第2の導電性プレートを形成することと、
を含み、
前記第1及び第3のサブ層を形成することが、約312Wの高周波RF電力を供給することと、それぞれ約42sccmと8000sccmと1420sccmとでシランガスとヘリウムと亜酸化窒素とを流すこととを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記複合誘電体層をトランジスタゲート電極の上に形成することを更に含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記第2の導電性プレート上に第2の誘電体層を形成することであって、前記第2の誘電体層が、前記第2の導電性プレートの直接上に位置し、前記第2の導電性プレートと横方向に同一の広がりを有する、前記第2の誘電体層を形成することと、
前記複合誘電体層と前記第2誘電体層との上にプレメタル誘電体(PMD)層を堆積することであって、前記PMD層が頂部側を有する、前記PMD層を堆積することと、
前記トランジスタゲート電極と前記第1導電性プレートと前記第2導電性プレートとに前記頂部側から延在する導電性コンタクトを形成することと、
を更に含む、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記トランジスタゲート電極上と前記第1導電性プレート上とにシリサイドコンタクトを形成することをに含む方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
前記第2の誘電体層が窒化シリコンを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の化学組成がシリコン酸化物を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示のいくつかの例に従って、集積回路が、半導体基板上又は半導体基板の上に配置される絶縁層を含む。集積回路はまた、絶縁層の上に位置する第1の導電性プレートと、第1の導電性プレートの上に位置する複合誘電体層とを含む。複合誘電体層は、第1の化学組成を含む第1のサブ層と、第2の異なる化学組成を含む第2のサブ層と、第1の化学組成と実質的に同様の第3の化学組成を含む第3のサブ層とを含む。集積回路はさらに、第1の導電性プレートの上の複合誘電体層の直接上に位置する第2の導電性プレートを含む。
【発明の概要】
【0002】
本開示のいくつかの例に従って、集積回路を製造する方法が、半導体基板を提供することを含み、半導体基板は、半導体基板上又は半導体基板の上に配置される絶縁層と、絶縁層の上に配置される第1の導電性プレートとを含む。この方法は、第1の導電性プレートの上に複合誘電体層を形成することをさらに含み、複合誘電体層は、各々が実質的に同じ第1の化学組成を有する、第1のサブ層及び第2のサブ層を含む。次に、この方法は、第1のサブ層と第2のサブ層との間に第2の異なる化学組成を有する第3のサブ層を形成することと、複合誘電体層の直接上に配置される第2の導電性プレートを形成することとを含む。
【0003】
種々の例の詳細な説明のため、ここで添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】種々の例に従った、高精度コンデンサ及びトランジスタを含む、例示の集積回路を示す。
【0005】
図2】種々の例に従った、集積回路の製造方法を説明する例示の方法を示す。
【0006】
図3a】種々の例に従った、製造の連続的段階における集積回路の製造を示す。
図3b】種々の例に従った、製造の連続的段階における集積回路の製造を示す。
図3c】種々の例に従った、製造の連続的段階における集積回路の製造を示す。
図3d】種々の例に従った、製造の連続的段階における集積回路の製造を示す。
図3e】種々の例に従った、製造の連続的段階における集積回路の製造を示す。
図3f】種々の例に従った、製造の連続的段階における集積回路の製造を示す。
図3g】種々の例に従った、製造の連続的段階における集積回路の製造を示す。
図3h】種々の例に従った、製造の連続的段階における集積回路の製造を示す。
図3i】種々の例に従った、製造の連続的段階における集積回路の製造を示す。
図3j】種々の例に従った、製造の連続的段階における集積回路の製造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
アナログデジタルコンバータなどの高精度アナログ集積回路は、しばしば、適切な動作のためにいくつかの高精度コンデンサを用いる。例えば、ビットコンバータでは、コンデンサ要件の例には、10年間で0.00075%未満の比安定性、10ppm/V未満の電圧係数、0.05%/℃未満の温度ドリフト整合、0.00075%未満の誘電吸収、及び0.5fF/μmを超える静電容量がある。高精度コンデンサは一般に、アナログ集積回路を製造するために用いられる製造プロセスの一部として形成される。場合によっては、高精度コンデンサは、2つの導電性プレートの間に複数層の誘電性材料の積層を置くことによって形成される。導電性プレートは、窒化チタン、ドープされた多結晶シリコン、及び/又は金属など、集積回路内に存在する導電性材料を用いて形成し得る。複数層の積層は、窒化シリコン及び二酸化シリコンなどの、誘電性材料の1つ又は複数の層を含み得る。例えば、複数の誘電体材料の積層が、二酸化シリコン(SiO)を含む第1の層と、窒化シリコン(Si)を含む第2の層と、二酸化シリコンを含む第3の層とを含み得、一方の二酸化シリコン層は頂部導電性プレートに接し、他方の二酸化シリコン層は底部導電性プレートに接し、窒化シリコン層は2つの二酸化シリコン層の間に配置される。二酸化シリコン、窒化シリコン、及び二酸化シリコンのこの積層は、ONO積層と称することがある。
【0008】
現在用いられている製造プロセスは、窒化シリコン(Si)プレメタル誘電体(PMD)ライナ層を用い、PMDライナ層は、引っ張り強度を提供し、下にあるトランジスタをその後形成されるPMD材料から保護し、PMD材料を介するトランジスタ及び高精度コンデンサへのコンタクトのための開口の形成の間のエッチストップ層として作用する。PMDライナは、典型的にはONO積層上に堆積され、そのような配置を有することで、窒化シリコン及びシリコン酸化物層をエッチングするために異なるドライ/ウェットエッチング化学物質が実装されるので、コンタクトエッチングプロセスは、複数の事例においてエッチング化学物質を変更しなければならないという点で、コンタクト開口の形成の間の付加的な課題がもたらされる。例えば、シリコン酸化物をエッチングするためには、アルゴン、水素、及びペルフルオロシクロペンテン(C)を混合したテトラフルオロメタン/酸素(CF/O)プラズマを含む第1のエッチング化学物質が必要である。一方、窒化シリコンをエッチングするためには、アルゴンとジフルオロメタン(CH)とを混合したCFプラズマを含む第2のエッチング化学物質が必要である。製造の観点からは、コンタクトエッチングプロセス中の複数の事例においてエッチング化学物質を変えることは望ましくない。したがって、上述の問題を軽減する製造方法が望ましい。
【0009】
したがって、本開示で説明されるシステム及び方法は、上述の問題を軽減する。本開示は、誘電体の期待される機能を果たすことに加えて、PMDライナ層として作用するONOを含む誘電体積層を用いることを記載する。特に、ONO積層中に存在する窒化シリコンは、エッチストップ層の機能を果たし、下にあるトランジスタに対し、利点となる引っ張り強度を提供する。このような多機能ONO積層を用いることにより、別個のライナ層を用いる必要がなくなり、したがって、エッチング化学物質を変更する事例数が低減される。
【0010】
ここで、添付の図面に示される例を詳細に参照する。可能な限り、図面及び明細書における同じ参照番号は、同じ又は類似の部分を参照するために用いられている。図面において、一例の形状及び厚さは、明確さ及び便宜のために誇張されている場合がある。具体的に示されていないか又は説明されていない要素は様々な形態をとり得る。また、或る層が別の層上又は或る基板「上」にあると言及される場合、それは、直接他の層上又は基板上に存在してもよく、又は介在層が存在してもよい。
【0011】
図1は、高精度コンデンサ110及びトランジスタ120を含む例示の集積回路100を示し、トランジスタ120は、半導体基板130内及び上に形成される。半導体基板130は、例えば、シリコンウェハ、ガリウムヒ化物ウェハ又は他の合金化合物半導体ウェハ、SOI(silicon-on-insulator)ウェハ、又は、集積回路100の形成に適した他の基板とし得る。高精度コンデンサ110は絶縁層103の上に形成され、絶縁層103は、厚いシリコン酸化物層(例えば、3500~4500A)であり、トランジスタなどの近隣の半導体デバイス構成要素間の電流リークを防止するために用いられる。いくつかの例において、絶縁層103はシャロートレンチアイソレーション(STI)領域であり、他の例において、絶縁層103は、シリコンを局所的に酸化すること(LOCOS層/領域とも称される)によって形成される。
【0012】
図1に示されている絶縁層103は、STI層であり、半導体デバイス製造プロセスの間の初期に、また半導体デバイス構成要素が形成される前に、つくられる。STIプロセスの工程は、半導体基板内のトレンチのパターンをエッチングすることと、トレンチを充填するために1つ又は複数の誘電体材料(二酸化シリコンなど)を堆積することと、化学機械的平坦化などの技法を用いて過剰な誘電体を除去することとを含む。デバイスを製造する前にこの絶縁層103を形成することで、半導体基板130が、能動領域と絶縁領域に分割される(このような領域の例が図1に示されている)。能動領域101は、トランジスタなどの能動デバイスが形成される半導体基板130内の位置であり、一方、絶縁領域102は、能動デバイスを隔離する領域である。
【0013】
本例では、高精度コンデンサ110が、底部プレート104と、頂部プレート108と、底部プレート104と頂部プレート108との間に配置される複合誘電体層109とを含む。いくつかの例において、底部プレート104は、一般にポリシリコンと称される、厚さ約50ナノメートルから1000ナノメートルの多結晶シリコンを含み、場合によっては底部プレート104上に金属シリサイド層113を含む。金属シリサイド層113は、例えば、チタンシリサイド、タングステンシリサイド、白金シリサイド、コバルトシリサイド、モリブデンシリサイド、ニッケルシリサイドを含み得る。いくつかの例において、誘電体側壁111及び112が、底部プレート104の側面上に存在してもよい。
【0014】
頂部プレート108は、例えば、約20ナノメートル~300ナノメートルの厚さを有する、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、チタンタングステン、及び/又はタングステンの1つ又は複数の層を含み得る。底部プレート104、複合誘電体層109、及び頂部プレート108は、高精度コンデンサ110を形成する。高精度コンデンサ110の横方向の寸法は、頂部プレート108の横方向の寸法を画定するために用いられるフォトリソグラフィ及びエッチングプロセスによって制御され得る。
【0015】
複合誘電体層109は、複数のサブ層、例えば、第1、第2、及び第3のサブ層132、134、及び136を含み得る。第1のサブ層132は第1の化学組成を含み、第2のサブ層134は、第2の異なる化学組成を含み、第3のサブ層136は、第1の化学組成と実質的に同様の化学組成を含む。一例では、第1のサブ層132はシリコン酸化物を含み、第2のサブ層134は窒化シリコンを含み、第3のサブ層136はシリコン酸化物を含む。共に、複合誘電体層109はONO積層と呼ぶことができ、ここで、Oはシリコン酸化物を指し、Nは窒化シリコンを指す。集積回路100はまた、頂部プレート108の直接上に配置され、頂部プレート108と横方向に同一の広がりを有する別の誘電体層118を含む。誘電体層118は、一例では、窒化シリコン、シリコンカーバイド、又は非晶質炭素などのハードマスク材料を含む。
【0016】
ここで、金属酸化物半導体(MOS)トランジスタのゲート誘電体層123を含むトランジスタ120を参照する。ゲート誘電体層123は、半導体基板130の頂部表面に形成される。トランジスタ120のソース領域121及びドレイン領域122は、ゲート電極124の下の半導体基板130内に形成される。ゲート電極124は、いくつかの例においてポリシリコンを含んでもよい。金属シリサイド層125、128、及び129は、ゲート電極124、ソース領域121、及びドレイン領域122上に任意に形成され得る。金属シリサイド層125、128、及び129は、例えば、チタンシリサイド、タングステンシリサイド、白金シリサイド、コバルトシリサイド、モリブデンシリサイド、又はニッケルシリサイドを含み得る。いくつかの例において、誘電体側壁126及び127が、ゲート電極124の側面上に存在してもよい。
【0017】
複合誘電体層109はまた、ゲート電極124上に配置され、エッチストップ及びプレメタル誘電体ライナ層の両方として作用する。複合誘電体層109の第2のサブ層134は、窒化物層であり、キャリア移動度を高めるためにトランジスタ120に引っ張り応力を与えるように構成され、それによって、高速、低電力、低電圧デバイス動作が容易になる。第2のサブ層134は、窒化物層であり、任意の窒化シリコン材料を含み得る。第2のサブ層134はまた、プレメタル誘電体層140又はPMD層140などの、上にある誘電体を介してトランジスタ端子へのコンタクトのための開口の形成の間、エッチストップ材料として作用する。PMD層は、例えばボロンリン珪酸ガラス(BPSG)を含み得る。PMD層140の頂部表面は、例えば、半導体基板130の頂部表面の100ナノメートル~2000ナノメートル上方に位置し得る。
【0018】
集積回路100はまた、導電性コンタクト152、154、156、158、及び160を含む。導電性コンタクト152、154、156、158、及び160は、PMD層140を介して及び複合誘電体層109の一部を介して形成され、それぞれ、PMD層140の頂部表面上に存在する金属相互接続部144、145、146、147、及び148間の接続を形成する。導電性コンタクト152、154、及び156は、トランジスタ端子(例えば、それぞれ、シリサイド化トランジスタゲート電極124、シリサイド化ソース領域121、及びシリサイド化ドドレイン領域122)とのコンタクトを形成し、導電性コンタクト158、及び160は、コンデンサ端子(例えば、それぞれ、シリサイド化底部プレート104及び頂部プレート108)とのコンタクトを形成する。
【0019】
金属相互接続144~148は第1のレベル上に存在する。図1は、後続のレベル上に存在する他の金属相互接続を明示的に示していない。金属相互接続144~148は、集積回路100内の様々な電気的構成要素間の電気的相互接続を提供し、各レベルは前のレベルの上に形成されるレベル間又は層間誘電体(ILD)を含み、導電性コンタクト(ビアとも称される)及び/又はトレンチが、その中に形成され、導電性材料(例えば、銅など)で充填される。
【0020】
次に、図2を参照すると、集積回路100の製造方法を説明する例示の方法200が示されている。方法200は、一連の行為又は事象として以下に図示及び説明されるが、集積回路100の製造方法はそのような行為又は事象の図示された順序によって限定されないことを理解されたい。例えば、いくつかの行為は、異なる順で、及び/又は本明細書で図示及び/又は説明されるものとは別の他の行為又は事象と同時に、起こり得る。また、或る手法を実装するために、図示されたすべての工程が必要とされるわけではない。
【0021】
方法200は、製造の連続的段階における集積回路100の製造を示す図3(a)~図3(j)に関連して説明される。方法200は、絶縁層103と、底部プレート104と、ゲート電極124(図3(e))とを含む半導体基板130を提供することを含む、ブロック210で始まる。
【0022】
図3(e)に示すように、半導体基板130を得る前に、複数の製造プロセスが行なわれ得、それらの工程を図3(a)~3(e)に関して説明する。方法200は、拡散、注入、又は他の適切な処理工程(図3(a))を用いるn及びpウェルの形成を含む、様々なフロントエンド処理工程を実施することによって先行され得る。nウェル及びpウェルは、図3(a)には明示的に示されていない。図3(a)は、頂部表面161を有する半導体基板130を示す。フロントエンド処理工程は、LOCOS、STI、又はトランジスタ形成前の任意の適切な絶縁処理を用いて、半導体基板130のフィールド領域に絶縁構造を形成することをさらに含み得る。図3(b)は、STI製造プロセスを用いて形成された絶縁層103を示す。STIプロセスの工程は、半導体基板内のトレンチのパターンをエッチングすることと、トレンチを充填するために1つ又は複数の誘電体材料(二酸化シリコンなど)を堆積することと、化学機械的平坦化などの技法を用いて過剰な誘電体材料を除去することとを含む。
【0023】
絶縁層103は、上述したように、半導体基板130内に能動領域及び絶縁領域を形成する。絶縁領域102は図3(b)に示されている。絶縁層103の形成の後、半導体ボディの予期されるチャネル領域もまた、初期的にドープされて、予期されるトランジスタ仕事関数を調整して、パンチスルー等を抑制し得る。その後、半導体基板130(例えば、シリコン)を酸化して、頂部表面161上にゲート誘電体層(例えば、二酸化シリコン)の薄い(例えば、5~200nm)絶縁層を形成することによって、ゲート誘電体(例えば、ゲート誘電体123層、図3(c))が形成され得、その後、底部プレート104と共に、導電性ゲート構造(例えば、ゲート電極124、図3(d))が、ドープされたポリシリコン又は他の導電性材料の蒸着及びパターン化を用いて、それぞれ、ゲート誘電体層123及び絶縁層103の上に形成され得る。
【0024】
また、ソース領域121及びドレイン領域122が、選択的注入(図3(e))などによって、nチャネル又はpチャネルトランジスタに対して適切なドーパント種を用いてドープされ得る。その後、ソース/ドレイン領域形成に続いて、トランジスタ端子において導電性コンタクトをつくためにシリサイド処理が行われ得る。例えば、金属シリサイド層125、128、129が、任意の適切な材料(例えば、ニッケルシリサイド、コバルトシリサイドなど)を用いて、それぞれ、ソース領域121、ドレイン領域122、及びゲート電極124上に形成され得る。シリサイド処理は、底部プレート104に導電性コンタクトを生成するためにも成され得る。例えば、金属シリサイド層113は、シリサイド処理工程中に形成され得る。シリサイド処理に加えて、いくつかの例において、側壁がゲート電極124及び底部プレート104の側面上に形成され得る。例えば、誘電体側壁126及び127がゲート電極124の側面に形成され得、誘電体側壁111及び112が底部プレート104の側面に形成され得る。図3(e)はトランジスタ120を示す。
【0025】
ここで、方法200は、底部プレート104及びゲート電極124の上に複合誘電体層109を形成することを含む、ブロック220(及び図3(f))に進み得る。複合誘電体層109は、複数のサブ層(例えば、サブ層132、134、及び136)を含み、サブ層の少なくとも1つ(例えば、サブ層134)が窒化物層(ブロック230、図3(f))であり、サブ層132、136が酸化物層である。一例において、複合誘電体層109は、約350℃又はそれ以下の比較的低い蒸着温度を用いてプラズマ強化学蒸着(PECVD)を用いて形成され得る。PECVD蒸着プロセスはPECVDチャンバを用い得、例えば、シリコン酸化物などの第3のサブ層136の堆積で始まる。いくつかの例において、第3のサブ層136は、350℃の蒸着温度、8トール(約1067Pa)の圧力、312Wの高周波(HF)RF電力、42sccmのシラン(SiH)流量、8000sccmのヘリウム(He)流量、1420sccmの亜酸化窒素(NO)流量、及び9nmの目標厚さを含む、公称プロセスパラメータによって蒸着される。「高周波」とは、約13MHz~約15MHzの周波数範囲内にあるものと定義される。任意選択で、パラメータは、下記のような対応する範囲で選択され得る:325℃~425℃、6.4トール(853Pa)~9.6トール(1280Pa)、HF RF電力、230W~390W、SiH流量34sccm~50sccm、He流量6400sccm~9600sccm、NO流量1130sccm~1700sccm、及び目標厚さ5nm~20nm。
【0026】
いくつかの例において、第2のサブ層134は、第3のサブ層136の直接上に堆積され、これは堆積チャンバ内の真空を破ることなく成されることが好ましい場合がある。蒸着条件は、PECVDチャンバ圧を約2.5トール(約333Pa)に制御すること、及びシラン(SiH)ガスを約175sccm±20%の流量で供給すること、アンモニア(NH)ガスを約400sccmの流量で供給すること、窒素ガスを約8000sccmの流量で供給すること、及び高周波RF電力を約230Wで供給することを含み得る。約22nmの公称厚さを目標とし得る。この例示のPECVDプロセスは、水素含有量が低く、水素がシリコンと(例えば、Si‐H結合)及び窒素(例えば、N‐H結合)とほぼ等しく結合されている、化学的に安定した窒化シリコン膜(例えば、Si、一例では、Xは約3であり、Yは約4である)を提供する。さらに、この堆積したままの安定した窒化膜は、トランジスタに適度な初期引っ張り応力(この例では0~600MPa)を与える。任意選択的に、第2のサブ層134の蒸着パラメータは、下記のような対応する範囲で選択され得る:325℃~425℃の温度、2トール(267Pa)~3トール(400Pa)の圧力、170W~290WのHF RF電力、140sccm~210sccmのSiH流量、320sccm~480sccmのNH流量、及び6400sccm~9600sccmのN流量。厚さは、15nm~50nmの範囲とし得る。いくつかの例において、第1のサブ層132は第2のサブ層134の直接上に堆積され、これは堆積チャンバ内の真空を破ることなく成されることが好ましい場合がある。
【0027】
第1のサブ層132は、任意で、第3のサブ層136を形成するために用いられるのと同じプロセス条件を用いて形成されてもよく、そのプロセス条件は、第3のサブ層136について説明したものと同じ範囲内で選択され得る。第3のサブ層136の公称厚さは13nmとし得、厚さは5nm~20nmの範囲とし得る。
【0028】
次いで、方法200は、複合誘電体層109上に頂部プレート108を形成すること(図3(g))を含むブロック240に進む。頂部プレート108は、TiN(又は他の金属含有材料)などの導電層を第1のサブ層132の直接上に、及びフォトレジスト層を導電層上に堆積させることによって形成され得る。次いで、フォトレジスト層がパターン化され、導電層がエッチングされて頂部プレート108を形成する。いくつかの例において、誘電体層も導電層上に堆積され得る。このような例では、フォトレジスト層が誘電体層上に堆積及びパターン化され、誘電体層はまず、例えばハードマスクとして、パターン化され、それによって、誘電体層118を形成し得る。次いで、導電層がエッチングされて頂部プレート108を形成し得る。
【0029】
図3(h)はPMD層140を示し、PMD層140は、複合誘電体層109の露出された部分、誘電体層118の頂部表面、及び頂部プレート108及び誘電体層118の側壁上に、例えば、ボロンリン珪酸ガラス(BPSG)又は二酸化シリコンを堆積することによって形成される。PMD層140は、化学気相成長プロセスを用いて堆積され得る。PMD層140は、いくつかの例において、100ナノメートル~2000ナノメートルの厚さに堆積され得る。図3(i)は導電性コンタクト152、154、156、158、及び160を示しており、これらは、PMD層140と複合誘電体層109の一部とを介して形成されて、異なる金属相互接続間に接続を形成する。導電性コンタクト152、154、及び156は、トランジスタ端子(例えば、それぞれ、シリサイド化トランジスタゲート電極124、シリサイド化ソース領域121、及びシリサイド化ドドレイン領域122)との導電性接続を形成し、導電性コンタクト158、及び160は、コンデンサ端子(例えば、それぞれ、シリサイド化底部プレート104、及び頂部プレート108)との導電性接続を形成する。導電性コンタクト152、154、156、158、及び160は、まずPMD層140の一部をエッチングして開口を形成し、次いで、後述するように開口内に導電性材料を堆積させて導電性コンタクトを形成することによって、形成され得る。開口は、下記工程を用いて形成され得る。すなわち、PMD層140の頂部側をまずコンタクトマスクでパターン化すること、次いで、PMD層140をドライエッチングすることである。ドライエッチングは、アルゴン、水素、及びペルフルオロシクロペンテン(C)を混合したテトラフルオロメタン/酸素(CF/O)プラズマを含む、第1のエッチング化学物質を用いて行われる。第1のエッチング化学物質は、窒化物層でありエッチストップとして作用する第2のサブ層134においてエッチングを自動で停止する。この時点で、第2のサブ層134をエッチング除去するのに適合する第2のエッチング化学物質を用いてドライエッチングプロセスが行なわれ、第2のエッチング化学物質は、アルゴン及びジフルオロメタン(CH)が混合されたCFプラズマを含む。第2の化学物質は、第2のサブ層134がエッチング除去されるにつれて自動的にエッチングを停止し、ドライエッチングプロセスは第3のサブ層136に達する。この時点で、ドライエッチングプロセスの第1のエッチング化学物質が、第3のサブ層136を介してエッチングするために再確立される。
【0030】
PMD層140に開口が形成された後、下記の工程を用いて、導電性コンタクト152、154、156、158、及び160が形成され得る。まず、チタンの薄い障壁膜が、トレンチの底部と内部に適切な堆積プロセスによって堆積される。その後、チタンの上に窒化チタン層が堆積される。最後に、CVD(化学気相成長)プロセスを用いて、開口がタングステンで充填される。図3(j)は、PMD層140の頂部表面上に存在する金属相互接続144~148を示す。金属相互接続144~148はまず、堆積(例えば、CVD)プロセスを用いて、チタン、窒化チタン、及びアルミニウム-銅合金のスタックを堆積すること、次いで、それをパターン化することによって、形成され得る。
【0031】
前述の説明及び特許請求の範囲において、用語「含む」は、「~を含むが、これらに限定されない」ことを意味するようにオープンエンドに解釈されるべきである。また、用語「結合する」は、間接的又は直接的な接続のいずれかを意味することが意図される。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的接続を介するもの、又は、他のデバイス及び接続を介した間接的接続を介するものであり得る。同様に、第1の構成要素又は位置と第2の構成要素又は位置との間に結合されるデバイスは、直接接続を介するもの、又は他のデバイス及び接続を介する間接的接続を介するものであり得る。或るタスク又は機能を実施するように「構成される」要素又は特徴は、製造時にその機能を実施するように製造業者によって構成され(例えば、プログラムされるか又は構造的に設計され)得、及び/又は、その機能及び/又は他の付加的又は代替の機能を実施するように製造後にユーザによって構成可能(又は再構成可能)であってもよい。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介するもの、デバイスのハードウェア構成要素及び相互接続の構成及び/又はレイアウトを介するもの、又はそれらの組み合わせによるものであり得る。また、前述の説明における「接地」又は同様の語句の使用は、シャーシ接地、アース接地、浮遊接地、仮想接地、デジタル接地、共通接地、及び/又は本開示の教示に適用可能な、又はそれに適した任意の他の様式の接地接続を含むことが意図される。特に明記しない限り、値に先行する「約」、「ほぼ」、又は「実質的に」は、記載された値の+/-10%を意味する。
【0032】
上述の説明は、本明細書の原理及び種々の実施例の例示であることを意味している。上記開示を完全に理解したならば、当業者には複数の変更や変形が明らかになるであろう。後述の特許請求の範囲は、このような変更及び変形を含有するよう解釈されることを意図している。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図3(e)】
図3(f)】
図3(g)】
図3(h)】
図3(i)】
図3(j)】