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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-27
(45)【発行日】2025-07-07
(54)【発明の名称】排気システム、及び、作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 13/04 20060101AFI20250630BHJP
   B62D 25/10 20060101ALI20250630BHJP
【FI】
B60K13/04 B
B62D25/10 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022011087
(22)【出願日】2022-01-27
(65)【公開番号】P2023109528
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2024-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【弁理士】
【氏名又は名称】森 昌康
(74)【代理人】
【識別番号】100175628
【弁理士】
【氏名又は名称】仁野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 聡
(72)【発明者】
【氏名】服部 晃典
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-135041(JP,A)
【文献】特開2018-144749(JP,A)
【文献】特開2015-117577(JP,A)
【文献】実開昭62-103624(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0145299(US,A1)
【文献】特許第6400520(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/00-15/10
B62D 25/10-25/13
E02F 9/00- 9/18,
9/24- 9/28
F01N 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームの高さに沿う高さ方向において前記車体フレーム上に設けられ、第1開口を有するボンネットカバーと、
前記車体フレームと前記ボンネットカバーに囲まれた空間の内部に設けられ、エンジンからの排気を処理する排気処理装置と、
前記第1開口を貫通し、給気口と前記給気口と反対側の排気口とを有し、前記給気口が前記排気処理装置に接続され、前記排気口が前記空間の外部に配置される排気管と、
前記高さ方向において前記ボンネットカバー上に設けられ、前記排気口に面する部分に第2開口を有し、前記第1開口を覆うマフラーカバーと、
前記高さ方向における前記ボンネットカバーと前記排気口との間の隙間を覆う邪魔板と、を備え
前記邪魔板の前記高さ方向の長さは、前記排気口の下端と前記ボンネットカバーとの間の前記高さ方向の距離よりも長い
排気システム。
【請求項2】
前記邪魔板は、前記高さ方向に対して垂直な幅方向に延び、
前記邪魔板の前記幅方向の長さは、前記第2開口の前記幅方向の長さ以上である、
請求項1に記載の排気システム。
【請求項3】
前記邪魔板の前記幅方向の前記長さは、前記第2開口の前記幅方向の前記長さと実質的に等しい、請求項2に記載の排気システム。
【請求項4】
前記邪魔板は、
前記高さ方向に延びる直立部と、
前記高さ方向及び前記幅方向に対して垂直な延伸方向に延びる延伸部と、
を含むL字型部材である、
請求項2に記載の排気システム。
【請求項5】
前記邪魔板は、
前記高さ方向に延びる直立部と、
前記高さ方向及び前記幅方向に対して垂直な延伸方向に延びる延伸部と、
を含むL字型部材である、
請求項3に記載の排気システム。
【請求項6】
前記排気口は、その中心軸が排気方向に向いた形状であって、
前記延伸部の前記高さ方向の上端は、前記排気口の前記高さ方向の下端から前記排気方向に伸ばした直線よりも前記高さ方向の下方に位置する、
請求項4に記載の排気システム。
【請求項7】
前記排気口は、その中心軸が排気方向に向いた形状であって、
前記延伸部の前記高さ方向の上端は、前記排気口の前記高さ方向の下端から前記排気方向に伸ばした直線よりも前記高さ方向の下方に位置する、
請求項5に記載の排気システム。
【請求項8】
車体フレームと、
前記車体フレームの高さに沿う高さ方向において前記車体フレーム上に設けられ、第1開口を有するボンネットカバーと、
前記車体フレームと前記ボンネットカバーに囲まれた空間の内部に設けられ、エンジンからの排気を処理する排気処理装置と、
前記第1開口を貫通し、給気口と前記給気口と反対側の排気口とを有し、前記給気口が前記排気処理装置に接続され、前記排気口が前記空間の外部に配置される排気管と、
前記高さ方向において前記ボンネットカバー上に設けられ、前記排気口に面する部分に第2開口を有し、前記第1開口を覆うマフラーカバーと、
前記高さ方向における前記ボンネットカバーと前記排気口との間の隙間を覆う邪魔板と、を備え、
前記邪魔板は、前記高さ方向に対して垂直な幅方向に延び、
前記邪魔板は、
前記高さ方向に延びる直立部と、
前記高さ方向及び前記幅方向に対して垂直な延伸方向に延びる延伸部と、
を含むL字型部材であり、
前記マフラーカバーは、
前記ボンネットカバーと接するカバー基端と、
前記カバー基端と前記排気口の中心軸に沿う排気方向において反対側のカバー末端と、
を有し、
前記延伸部は、前記直立部と交わる板基端と、前記延伸方向における前記板基端と反対の板末端とを有し、
前記板末端と前記第1開口の中心との前記延伸方向との距離は、前記カバー末端と前記第1開口の中心との前記延伸方向の距離よりも短い
気システム。
【請求項9】
前記邪魔板は、前記マフラーカバーと一体に形成される、
請求項2からのいずれかに記載の排気システム。
【請求項10】
車体フレームと、
前記車体フレームの高さに沿う高さ方向において前記車体フレーム上に設けられ、第1開口を有するボンネットカバーと、
前記車体フレームと前記ボンネットカバーに囲まれた空間の内部に設けられ、エンジンからの排気を処理する排気処理装置と、
前記第1開口を貫通し、給気口と前記給気口と反対側の排気口とを有し、前記給気口が前記排気処理装置に接続され、前記排気口が前記空間の外部に配置される排気管と、
前記高さ方向において前記ボンネットカバー上に設けられ、前記排気口に面する部分に第2開口を有し、前記第1開口を覆うマフラーカバーと、
前記高さ方向における前記ボンネットカバーと前記排気口との間の隙間を覆う邪魔板と、を備え、
前記邪魔板は、前記マフラーカバーと一体に形成され、前記高さ方向において前記ボンネットカバーから離間している
気システム。
【請求項11】
前記邪魔板と前記ボンネットカバーとの間の隙間の前記高さ方向の距離は、前記邪魔板の前記高さ方向の長さの1/10より小さい、請求項10に記載の排気システム。
【請求項12】
車体フレームと、
前記車体フレームに設けられるキャビンと、
前記キャビンの左側に設けられる第1アームと、
前記キャビンの、幅方向において前記左側の反対の右側に設けられる第2アームと、
前記幅方向に垂直な高さ方向において前記車体フレーム上に設けられるボンネットカバーであって、前記車体フレームと前記ボンネットカバーに囲まれた空間に空気を取り込むための空気吸引口と、前記幅方向と前記高さ方向とに垂直な前後方向において前記空気吸引口と前記キャビンとの間に設けられる第1開口とを備えるボンネットカバーと、
前記空間の内部において、前記キャビンの前記前後方向の後方に設けられ、前記第1アームと前記第2アームを動かす動力を生成するためのエンジンと、
前記空間に設けられ、前記エンジンに接続し、前記エンジンからの排気を処理するための排気処理装置と、
前記高さ方向において前記空気吸引口と前記エンジンとの間に設けられる熱交換器と、
前記空間に設けられ、前記空気吸引口を通して前記空気を取り込んで、前記熱交換器を空冷するためのファンと、
前記第1開口を貫通し、給気口と前記給気口と反対側の排気口とを有し、前記給気口が前記排気処理装置に接続され、前記排気口が前記空間の外部に配置される排気管と、
前記高さ方向において前記ボンネットカバー上に設けられ、前記排気口に面する部分に前記後方に開かれた第2開口を有し、前記第1開口を覆うマフラーカバーと、
前記高さ方向における前記ボンネットカバーと前記排気口との間の隙間を覆う邪魔板と、を備える、作業車両。
【請求項13】
前記邪魔板は、前記幅方向に延び、
前記邪魔板の前記幅方向の長さは、前記第2開口の前記幅方向の長さ以上である、
請求項12に記載の作業車両。
【請求項14】
前記邪魔板は、
前記高さ方向に延びる直立部と、
前記高さ方向及び前記幅方向に対して垂直な延伸方向に延びる延伸部と、
を含むL字型部材である、
請求項13に記載の作業車両。
【請求項15】
前記邪魔板の前記高さ方向の長さは、前記排気口の下端と前記ボンネットカバーとの間の前記高さ方向の距離よりも長い、
請求項12に記載の作業車両。
【請求項16】
前記邪魔板は、前記マフラーカバーと一体に形成され、前記高さ方向において前記ボンネットカバーから離間している、
請求項12に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に設けられる排気システム、及び、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、開閉自在なキャビンを有する作業車両に設けられた排気システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6400520号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような作業車両においては、排気管がカバー外部に突出しているが、排気管とカバーとの間の隙間からダストが侵入する恐れがあった。
【0005】
本願に開示される技術の課題は、排気管とカバーとの間の隙間から侵入するダストを低減する排気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る作業車両に設けられる排気システムは、車体フレームと、車体フレームの高さに沿う高さ方向において車体フレーム上に設けられ、第1開口を有するボンネットカバーと、車体フレームとボンネットカバーに囲まれた空間の内部に設けられ、エンジンからの排気を処理する排気処理装置と、第1開口を貫通し、吸気口と吸気口と反対側の排気口とを有し、吸気口が排気処理装置に接続され、排気口が空間の外部に配置される排気管と、高さ方向においてボンネットカバー上に設けられ、排気口に面する部分に第2開口を有し、第1開口を覆うマフラーカバーと、高さ方向におけるボンネットカバーと排気口との間の隙間を覆う邪魔板と、を備える。
【0007】
本開示の第2態様に係る作業車両は、第1態様に係る排気システムを備える。
【発明の効果】
【0008】
本願に開示される技術によれば、例えば、排気管とカバーとの間の隙間から侵入するダストを低減する排気システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、作業車両の側面図である。
図2図2は、作業車両の上面図である。
図3図3は、作業車両の背面図である。
図4図4は、作業車両の一部を作業車両の前端から後方に向かって見たときの図である。
図5図5は、エンジン周辺を側方から見た図である。
図6図6は、排気管及び排気口の拡大図である。
図7図7は、マフラーカバー及び排気口の上方から見た拡大図である。
図8図8は、図7の切断面線XIII-XIII'線による断面図である。
図9図9は、図8の邪魔板付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、図中において同じ符号は、対応するまたは実質的に同一の構成を示している。
<実施形態>
<全体構成>
【0011】
図1~3を参照すると、作業車両1、例えばコンパクトトラックローダは、排気システム10を含む。作業車両1は、車体フレーム2と、走行装置3と、作業装置4と、キャビン5とを備えている。車体フレーム2は、走行装置3、作業装置4、及び、キャビン5を支持する。図示の実施形態では、走行装置3は、履帯式の走行装置である。このため、走行装置3は、駆動輪31、従動輪32、33、及び、転輪34を含む。ただし、走行装置3は、履帯式走行装置に限定されない。走行装置3は、例えば、前輪/後輪走行装置であってもよいし、前輪と後部クローラとを有する走行装置であってもよい。作業装置4は、作業装置4の末端(distal end)に器具(work equipment)(バケット)41を含む。作業装置4の基端(proximal end)は、車体フレーム2の後部に取り付けられている。作業装置4は、バケットピボット軸43を介してバケット41を回転可能に支持するための一対のアーム42を含む。一対のアーム42のそれぞれは、リフトリンク44とブーム45を含む。
【0012】
リフトリンク44は、支点軸(fulcrum shaft)46の周りで車体フレーム2に対して回転可能である。ブーム45は、ジョイント軸(joint shaft)47の周りでリフトリンク44に対して回転可能である。作業装置4は、複数のブームシリンダ48と少なくとも1つの器具シリンダ(equipment cylinder)49とをさらに含む。複数のブームシリンダ48のそれぞれは、車体フレーム2およびブーム45に回転可能に接続され、リフトリンク44およびブーム45を移動させて、バケット41を昇降させる。少なくとも1つの器具シリンダ49は、バケット41を傾けるように構成される。キャビン5は、車体フレーム2の前部に取り付けられている。作業車両1は、キャビン5の前方にフロントドア51を備え、キャビン5内に運転席52および操作装置(図示せず)を備えている。キャビン5の内部空間は、キャブフレーム53によって規定される。図2に示されるように、キャブフレーム53は、車体フレーム2上の回動軸(rotational shaft)RSL及びRSR周りに回転可能である。図1及び図2では、回動軸RSL及びRSRによって規定される共通の回転軸線(rotational axis)AXCを図示している。
【0013】
なお、本願に係る実施形態において、前後方向DFB(前方向D/後方向D)とは、キャビン5の運転席52に着座したオペレータから見て前後方向(前方向/後方向)を意味する。左方向D、右方向D、幅方向Dとは、当該オペレータから見てそれぞれ、左方向、右方向、左右方向を意味する。上方向D、下方向D、高さ方向Dとは、当該オペレータから見て上方向、下方向、高さ方向を意味する。作業車両1の前後/左右(幅)/上下(高さ)方向とは、それぞれ、当該オペレータから見た前後/左右(幅)/上下(高さ)方向と一致するものとする。
【0014】
図1では、一対のアーム42の一方がキャビン5の左側に設けられている。一対のアーム42の他方は、キャビン5の右側に設けられている。より具体的には、ブームシリンダ48の一方とブーム45の一方は、キャビン5の左側に設けられている。ブームシリンダ48の他方およびブーム45の他方は、キャビン5の右側に設けられている。図1は、作業車両1の左側を示している。図2及び図3に示すように、車体フレーム2は、車体中央面Mに対して概ね面対称であり、一対のアーム42のうち、車体中央面Mに対して左側に設けられるアーム42が第1アーム42Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるアーム42が第2アーム42Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるリフトリンク44が第1リフトリンク44Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるリフトリンク44が第2リフトリンク44Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるブーム45が第1ブーム45Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるブーム45が第2ブーム45Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられる支点軸46が第1支点軸46Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられる支点軸46が第2支点軸46Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるジョイント軸47が第1ジョイント軸47Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるジョイント軸47が第2ジョイント軸47Rとして示されている。
【0015】
図1を参照すると、作業車両1は、車体フレーム2の後部に設けられたエンジン6および熱交換器7をさらに備える。エンジン6は、走行装置3および作業装置4に駆動力を提供するように構成されている。熱交換器7は、エンジン6の冷媒を冷却するラジエータを備えている。さらに、好ましくは、熱交換器7は、作業車両1の油圧システム(例えば、ブームシリンダ48および少なくとも1つの器具シリンダ49)で使用される作動油を冷却するように構成されたオイルクーラを含む。作業車両1は、熱交換器7を空冷するためのファン71を含む。エンジン6および熱交換器7は、作業車両1の幅方向Dにおいて、一対のアーム42の間に設けられている。
【0016】
作業車両1は、熱交換器7を覆うためのボンネットカバー8をさらに備える。ボンネットカバー8は、さらに、エンジン6を覆っている。ボンネットカバー8の上面には、カバー8内部に空気を取り込むための空気吸引口8aが設けられている。作業車両1は、車体フレーム2の後端に設けられている後ボンネットカバー9をさらに備える。後ボンネットカバー9は、開閉可能であり、保守員がエンジン6などの保守作業を行うことができる。
【0017】
排気システム10は、その一端がエンジン6に接続される排気管11と、排気管11に接続される排気口12とを備える。より具体的には、排気管11は、エンジン6の排気を処理する排気処理装置61を介してエンジン6に接続される。排気処理装置61は、例えば、微粒子除去フィルタを含む。ただし、排気処理装置61は、選択還元触媒装置を含んでもよい。図2を参照すると、排気システム10は、作業車両1の幅方向Dにおいて第1アーム42Lと車体中央面Mとの中間付近に設けられる。
【0018】
図4は、作業車両1の一部を作業車両1の前端から後方Dに向かって見たときの図である。図4においては、車体フレーム2、エンジン6、排気処理装置61、排気システム10、熱交換器7、ファン71、及び、ボンネットカバー8以外の図示を省略している。図4を参照すると、車体フレーム2は、第1内壁21L、第2内壁21R、第1外壁22L、第2外壁22R、第1後壁23L、第2後壁23R、上壁24、底壁25、第1トラックフレーム28L、第2トラックフレーム28R、第1取付フレーム29L、及び、第2取付フレーム29Rを含む。
【0019】
第1内壁21L及び第2内壁21Rは、上壁24と底壁25とを接続し、高さ方向Dに延びる。第1外壁22Lは、幅方向Dにおいて第1内壁21Lと対向し、高さ方向Dに延びる。第2外壁22Rは、幅方向Dにおいて第2内壁21Rと対向し、高さ方向Dに延びる。第1内壁21L及び第1外壁22Lは、車体中央面Mに対して左側に位置する。第2内壁21R及び第2外壁22Rは、車体中央面Mに対して右側に位置する。第1内壁21Lは、幅方向Dにおいて第1外壁22Lと車体中央面Mとの間に位置する。第2内壁21Rは、幅方向Dにおいて第2外壁22Rと車体中央面Mとの間に位置する。第1後壁23Lは、第1内壁21Lの後端と第1外壁22Lの後端とを接続する。第2後壁23Rは、第2内壁21Rの後端と第2外壁22Rとの後端を接続する。底壁25は、第1内壁21Lの下端と第2内壁21Rの下端とを接続する。上壁24は、第1内壁21Lの上端と第2内壁21Rの上端とを接続する。上壁24は、高さ方向Dにおいて底壁25と対向する。上壁24は、上述する回動軸RSLを回動可能に支持するための第1支持部27Lと、上述する回動軸RSRを回動可能に支持するための第2支持部27Rとを有している。
【0020】
第1リフトリンク44L、第1アーム42L、及び、第1アーム42Lを作動するブームシリンダ48は、幅方向Dにおいて第1内壁21Lと第1外壁22Lとの間に設けられる。第1リフトリンク44Lを支持する第1支点軸46Lは、第1内壁21Lと第1外壁22Lとに接続する。第2リフトリンク44R、第2アーム42R、及び、第2アーム42Rを作動するブームシリンダ48は、幅方向Dにおいて第2内壁21Rと第2外壁22Rとの間に設けられる。第2リフトリンク44Rを支持する第2支点軸46Rは、第2内壁21Rと第1外壁22Lとに接続する。
【0021】
第1トラックフレーム28Lは、第1内壁21Lの下端に第1取付フレーム29Lを介して取り付けられている。第2トラックフレーム28Rは、第2内壁21Rの下端に第2取付フレーム29Rを介して取り付けられている。第1トラックフレーム28L及び第2トラックフレーム28Rには、従動輪32、33及び転輪34が回転自在に取り付けられている。駆動輪31は、第1内壁21L及び第2内壁21Rによって支持される。エンジン6は図示しないダンパーを介して底壁25に支持される。図4では、エンジン6の向きを規定するために、エンジン6のクランク軸AXEを図示している。クランク軸AXEは、実質的に車体中央面M上に前後方向DFBに延びる。
【0022】
図5は、図4に表示されているエンジン6の周辺を側方から見た図である。図5において、上壁24を除く車体フレーム2の表示は省略している。また、エンジン6の構造は模式的に表示しており、エンジン6の一部の構造の表示は省略されている。図5に示されるように、熱交換器7、ファン71、及び、ボンネットカバー8は、ステー30を介して第1内壁21L及び第2内壁21Rに取り付けられる。つまり、ボンネットカバー8は、車体フレーム2の高さに沿う高さ方向Dにおいて車体フレーム2上に設けられる。上壁24は、点線で図示している。図4及び図5を参照すると、上壁24は、その前端で下方に折れ曲がったL字状の形状を有している。上壁24は、貫通孔24hを有し、排気管11が貫通孔24hを通過するように配置される。
【0023】
さらに、図4及び図5を参照すると、ファン71は、エンジンの上方Dに位置する。熱交換器7は、ファン71の上方Dに位置する。空気吸引口8aを有するボンネットカバー8は、熱交換器7の上方Dに位置する。ファン71が回転することによって、空気吸引口8aから空気が熱交換器7に送られる。なお、ファン71とエンジン6との間にはファンダクト72が設けられ、ファンダクト72は、熱交換器7を通過して暖められた空気がエンジン室62に流入することを抑止している。また、ファンダクト72は、粉塵を含む外気がエンジン室62に流入することも抑止している。図4及び図5では、一部のファンダクト72の図示を省略しているため、ファン71が表示されているが、実際は、ファン71は、ファンダクト72によって覆われることによってエンジン室62に露出されない。なお、エンジン室62とは、キャビン5、ファンダクト72、第1内壁21L、第2内壁21R、底壁25、及び、後ボンネットカバー9によって囲まれた空間をいう。別の言い方をすれば、エンジン室62は、車体フレーム2とボンネットカバー8に囲まれた空間である。
【0024】
排気処理装置61は、エンジン室62の内部においてエンジン6の前方Dに設けられ、接続管63によってエンジン6と接続している。接続管63は、排気処理装置61の右端において接続している。図4に示すように、排気管11の給気口は、排気処理装置61の左端において接続している。排気管11の給気口の反対側には、排気口12が設けられる。排気口12は、圧入、接着剤、溶接などの方法で排気管11に固定される。つまり、排気管11は、排気口12を有する。図4及び図5などに示されるように、排気口12は、マフラーカバー13に覆われることによって保護される。つまり、排気システム10は、マフラーカバー13を含む。マフラーカバー13は、ボンネットカバー8にボルトB1、B2等によって固定される。図2及び図5等に示されるように、排気口12は、空気吸引口8aに面している。
【0025】
図6は、排気口12を正面に見たときの排気口12及びマフラーカバー13の拡大図である。図7は、図2に示した排気口12及びマフラーカバー13の上部拡大図である。図8は、図7で示した切断面線VIII-VIII'で示した断面図である。図6等を参照すると、排気口12は長穴パイプ形状を有している。図8を参照すると、排気口12の中心軸Ax12が排気方向D1に向いた形状である。図7及び図8を参照すると、ボンネットカバー8は、第1開口8hを有する。図6~8を参照すると、排気管11は、第1開口8hを貫通し、排気口12がエンジン室62の外部に配置される。なお、排気口12の一部が第1開口8hよりもエンジン室62側に配置されてもよい。なお、第1開口8hは、隙間65(図5参照)を介してエンジン室62に連通している。したがって、第1開口8hから侵入した外気は、排気管11を冷却し、エンジン室62の温度上昇を抑制することができるが、第1開口8hからダストがエンジン室62(特に排気処理装置61付近)に侵入する恐れもある。
【0026】
図6を参照すると、排気口12は、排気方向D1から幅方向DLOに排気する向きを変えるための導風板17を備える。幅方向DLOとは、排気方向D1を高さ方向Dに対して垂直な平面(水平面)に投影したベクトルの向きに対して垂直な方向である。具体的には、導風板17は、バイラテラルな幅方向DLOのうち、車体中央面Mから遠ざかる導風方向D4に、排気方向D1から排気方向を変えるように構成されている。図6を参照すると、導風板17は、排気口12の内部に設けられる。
【0027】
図6~8を参照すると、マフラーカバー13は、高さ方向Dにおいてボンネットカバー8上に設けられる。マフラーカバー13は、ボンネットカバー8と接するカバー基端13bと、カバー基端13bと排気方向D1において反対側のカバー末端13tと、を有する。マフラーカバー13は、排気口12に面する部分に第2開口13hを有し、第1開口8hを覆う。
【0028】
図5~8を参照すると、排気システム10は、高さ方向Dにおけるボンネットカバー8と排気口12との間の隙間を覆う邪魔板14を備える。邪魔板14は、高さ方向Dに延びる直立部15と、高さ方向D及び幅方向DLOに対して垂直な延伸方向DEOに延びる延伸部16とを含むL字型部材である。延伸方向DEOは、排気方向D1を高さ方向Dに対して垂直な平面(水平面)に投影したベクトルの向きと平行なバイラテラルな方向である。邪魔板14は、高さ方向Dに対して垂直な幅方向DLOに延びる。邪魔板14の幅方向DLOの長さW1は、第2開口13hの幅方向DLOの長さW0以上である。より具体的には、邪魔板14の幅方向DLOの長さW1は、第2開口13hの幅方向DLOの長さW0と実質的に等しい。これによって、邪魔板14は、ダストが第2開口13hからエンジン室62に侵入することを抑止することができる。邪魔板14は、マフラーカバー13と一体に形成される。これにより、邪魔板14のボンネットカバー8への取り付けが容易となる。ただし、邪魔板14は、ボンネットカバー8へ溶接またはボルト等で取り付けられてもよい。
【0029】
図8を参照すると、延伸部16の高さ方向Dの上端16tは、排気口12の高さ方向Dの下端12bから排気方向D1に伸ばした直線ELよりも高さ方向Dの下方に位置する。これにより、邪魔板14による排気の流れへの影響を最小限とし、排気の流れの悪化による排気管11の内部の温度の上昇を防止する。また、邪魔板14の高さ方向Dの長さL1は、排気口12の下端12bと前記ボンネットカバー8との間の高さ方向Dの距離L0よりも長い。これによって、邪魔板14は、ダストが第2開口13hからエンジン室62に侵入することを抑止することができる。邪魔板14の高さ方向Dの長さL1は、邪魔板14の延伸方向DEOの長さL2と実質的に等しい。これによって、長さL1と長さL2の取付け間違いによる不具合を防止することができる。図9は、図8の邪魔板14付近の拡大図である。図6図9とを参照すると、邪魔板14は、ボンネットカバー8と接触しておらず、高さ方向Dにおいてボンネットカバー8から離間している。邪魔板14とボンネットカバー8との間の隙間Gの高さ方向Dの距離LGは、邪魔板14の高さ方向Dの長さL1の1/10より小さい。具体的には、距離LGは、1mmよりも短い。このような微小な隙間Gが邪魔板14とボンネットカバー8との間に設けられることによって、直立部15と延伸部16とに囲まれた空間内に流れた空気が渦を巻くことがなく、隙間Gから抜けることとなるため、邪魔板14に引っかかったダストが上方に巻きあげられることがない。また、隙間Gがダストを通さない程度に小さい。よって、邪魔板14は、効果的に第1開口8hからのダストの侵入を抑止することができる。
【0030】
図7及び図8を参照すると、延伸部16は、直立部15と交わる板基端16bと、延伸方向DEOにおける板基端16bと反対の板末端16dとを有し、板末端16dと第1開口8hの中心Oとの延伸方向DEOとの距離L3は、カバー末端13tと第1開口8hの中心Oとの延伸方向DEOの距離L4よりも短い。このように、邪魔板14がマフラーカバー13の内部に設けられるため、邪魔板14は、ダストが第2開口13hからエンジン室62に侵入することをさらに抑止することができる。
<実施形態の作用及び効果>
【0031】
本実施形態に係る作業車両1の排気システム10は、第1開口8hを有するボンネットカバー8と、第1開口8hを貫通し、排気処理装置61に接続され、排気口12がエンジン室62の外部に配置される排気管11と、高さ方向Dにおいてボンネットカバー8上に設けられ、排気口12に面する部分に第2開口13hを有し、第1開口8hを覆うマフラーカバー13と、高さ方向Dにおけるボンネットカバー8と排気口12との間の隙間を覆う邪魔板14と、を備える。これにより、車体フレーム2とボンネットカバー8に囲まれた空間(エンジン室62)の内部に設けられ、エンジン6からの排気を処理する排気処理装置61の付近にダストが落下することが抑止される。
【0032】
本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0033】
「~部材」、「~部」、「~要素」、「~体」、および「~構造」という文言は、単一の部分や複数の部分といった複数の意味を有し得る。
【0034】
「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在することを暗に意味するわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在することを暗に意味するわけではない。
【0035】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、実施形態に特段の説明がない限りにおいて、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0036】
本願において「A及びBの少なくとも一方」という文言は、Aだけ、Bだけ、及びAとBの両方を含むように解釈されるべきである。
【0037】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9