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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-27
(45)【発行日】2025-07-07
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6566 20140101AFI20250630BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250630BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250630BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20250630BHJP
   H01M 10/6565 20140101ALI20250630BHJP
   H01M 10/667 20140101ALI20250630BHJP
【FI】
H01M10/6566
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/6565
H01M10/667
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022083047
(22)【出願日】2022-05-20
(65)【公開番号】P2023008821
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2021110823
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 一人
(72)【発明者】
【氏名】丹波 大樹
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-123165(JP,A)
【文献】特開2018-030450(JP,A)
【文献】特開2016-141322(JP,A)
【文献】特開2018-129187(JP,A)
【文献】特開2014-235900(JP,A)
【文献】特開2017-130467(JP,A)
【文献】特開2012-054032(JP,A)
【文献】特開2021-027010(JP,A)
【文献】特開2015-210913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6566
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6563
H01M 10/6565
H01M 10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリの出力電圧を制御するインバータと、
前記バッテリ及び前記インバータを冷却風により冷却する空冷装置と、
前記バッテリ、前記インバータ、前記空冷装置を収容するケースと、
前記ケースの内部に配置されて前記空冷装置に含まれる冷却ファンから吹き出された空気を前記バッテリ及び前記インバータへと導く導風板と、
を備え
前記導風板は、前記バッテリの上方に配置された第1部位と、前記冷却ファン側から前記第1部位に向けて延びる第2部位とを有し、
前記バッテリは、平面的に並べて配置された複数のバッテリモジュールを含み、
前記第1部位には、前記冷却ファンから吹き出された空気を、前記複数のバッテリモジュールの間に導くスリットが形成されており、
前記インバータは、前記第2部位の下方又は上方に配置され、
前記冷却ファンから吹き出された空気は、前記導風板に導かれて、前記第2部位の上方を流れて前記第1部位の上方に達し、前記スリットから前記複数のバッテリモジュールの間を通った後、前記第2部位の下方に向けて流れる電源装置。
【請求項2】
前記空冷装置は、熱交換器を含み、
前記熱交換器は、前記バッテリ及び前記インバータを通過した後の空気を冷却する請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記導風板は、前記冷却ファンから吹き出された空気を、前記バッテリ、前記インバータの順に導く請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記導風板は、前記冷却ファンから吹き出された空気を、前記インバータ、前記バッテリの順に導く請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記複数のバッテリモジュールは、前記冷却ファンの空気の吹き出し方向に対して直交する方向に並べて配置され、
前記スリットは、前記吹き出し方向に沿って延びるように形成されている請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第2部位は、前記冷却ファン側から前記第1部位に向けて上り勾配を有するように傾斜している請求項1に記載の電源装置。
【請求項7】
前記導風板は、前記冷却ファンから吹き出された空気を前記スリットへと導くガイド部を有し、
前記ガイド部は、前記スリットを挟んで配置されるとともに、前記冷却ファンの空気の吹き出し方向の上流側から下流側に向けて延びる一対のガイド板を有し、
前記一対のガイド板の間の距離は、前記上流側から前記下流側に向かうにつれて狭くなっている請求項1に記載の電源装置。
【請求項8】
前記ケースの内底部から立設されて前記導風板を前記バッテリの上方に支持する支持部を備え、
前記バッテリは、前記冷却ファンの空気の吹き出し方向の下流側に配置された第1側面を有し、
前記支持部は、前記第1側面に形成された前記複数のバッテリモジュールの隙間を塞いでいる請求項1に記載の電源装置。
【請求項9】
前記バッテリは、前記スリットが延びる方向と直交する方向の一方側に配置された第2側面と、前記スリットが延びる方向と直交する方向の他方側に配置された第3側面と、を有し、
前記スリットから前記複数のバッテリモジュールの隙間に導かれた空気は、前記バッテリモジュールを構成する複数のセル同士の間を通って前記スリットと直交する方向に流れて、前記第2側面及び前記第3側面から排出される請求項1に記載の電源装置。
【請求項10】
前記バッテリと前記インバータとを電気的に接続可能なリレーを収容したジャンクションボックスと、
前記バッテリの出力電圧を昇圧するDC-DCコンバータと、
を備え、
前記ジャンクションボックス及び前記DC-DCコンバータは、前記ケースに収容されている請求項1に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば作業車両等の産業機械に搭載される電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された電源装置が知られている。
特許文献1に開示された電源装置は、バッテリを収容したバッテリボックス、バッテリの出力電圧を制御するインバータ、バッテリ及びインバータを冷却する冷却装置等を備えている。冷却装置は、バッテリを冷却するためのバッテリファンと、インバータ等を冷却するためのウォータポンプから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-172507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した電源装置は、バッテリとインバータとは独立した別々の冷却装置(バッテリファンとウォータポンプ)により冷却する構成となっている。そのため、電源装置は、冷却装置を収容するために広い内部空間を有するケースを必要とする。そのため、この電源装置は、小型化することが困難であり、設置のために広いスペースを要する。また、部品点数が多くなるため、製造コストが高くなるという問題もある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、バッテリ及びインバータを効率良く冷却することができるとともに、小型化することが可能であり、製造コストを低減することもできる電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が上記課題を解決するために講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の一態様に係る電源装置は、バッテリと、前記バッテリの出力電圧を制御するインバータと、前記バッテリ及び前記インバータを冷却風により冷却する空冷装置と、前記バッテリ、前記インバータ、前記空冷装置を収容するケースと、前記ケースの内部に配置されて前記空冷装置に含まれる冷却ファンから吹き出された空気を前記バッテリ及び前記インバータへと導く導風板と、を備え、前記導風板は、前記バッテリの上方に配置された第1部位と、前記冷却ファン側から前記第1部位に向けて延びる第2部位とを有し、前記バッテリは、平面的に並べて配置された複数のバッテリモジュールを含み、前記第1部位には、前記冷却ファンから吹き出された空気を、前記複数のバッテリモジュールの間に導くスリットが形成されており、前記インバータは、前記第2部位の下方又は上方に配置され、前記冷却ファンから吹き出された空気は、前記導風板に導かれて、前記第2部位の上
方を流れて前記第1部位の上方に達し、前記スリットから前記複数のバッテリモジュールの間を通った後、前記第2部位の下方に向けて流れる。
また、前記空冷装置は、熱交換器を含み、前記熱交換器は、前記バッテリ及び前記インバータを通過した後の空気を冷却するようにしてもよい。
【0007】
また、前記導風板は、前記冷却ファンから吹き出された空気を、前記バッテリ、前記インバータの順に導くようにしてもよい。
また、前記導風板は、前記冷却ファンから吹き出された空気を、前記インバータ、前記バッテリの順に導くようにしてもよい。
【0008】
また、前記複数のバッテリモジュールは、前記冷却ファンの空気の吹き出し方向に対して直交する方向に並べて配置され、前記スリットは、前記吹き出し方向に沿って延びるように形成されているようにしてもよい。
また、前記第2部位は、前記冷却ファン側から前記第1部位に向けて上り勾配を有するように傾斜しているようにしてもよい。
【0009】
また、前記導風板は、前記冷却ファンから吹き出された空気を前記スリットへと導くガイド部を有し、前記ガイド部は、前記スリットを挟んで配置されるとともに、前記冷却ファンの空気の吹き出し方向の上流側から下流側に向けて延びる一対のガイド板を有し、前記一対のガイド板の間の距離は、前記上流側から前記下流側に向かうにつれて狭くなっているようにしてもよい。
【0010】
また、電源装置は、前記ケースの内底部から立設されて前記導風板を前記バッテリの上方に支持する支持部を備え、前記バッテリは、前記冷却ファンの空気の吹き出し方向の下流側に配置された第1側面を有し、前記支持部は、前記第1側面に形成された前記複数のバッテリモジュールの隙間を塞いでいるようにしてもよい。
また、前記バッテリは、前記スリットが延びる方向と直交する方向の一方側に配置された第2側面と、前記スリットが延びる方向と直交する方向の他方側に配置された第3側面と、を有し、前記スリットから前記複数のバッテリモジュールの隙間に導かれた空気は、前記バッテリモジュールを構成する複数のセル同士の間を通って前記スリットと直交する
方向に流れて、前記第2側面及び前記第3側面から排出されるようにしてもよい。
【0011】
また、電源装置は、前記バッテリと前記インバータとを電気的に接続可能なリレーを収容したジャンクションボックスと、前記バッテリの出力電圧を昇圧するDC-DCコンバータと、を備え、前記ジャンクションボックス及び前記DC-DCコンバータは、前記ケースに収容されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バッテリとインバータと空冷装置とが共通のケースに収容されているため、バッテリ及びインバータを空冷装置からの冷却風によって効率良く冷却することができる。また、バッテリとインバータとを共通の空冷装置によって冷却することができるため、電源装置を小型化することが可能となるとともに、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電源装置の全体構成を示す分解斜視図である。
図2】電源装置の上蓋を外した状態の平面図である。
図3】電源装置の断面図であって、図2のA-A線の位置に相当する断面である。
図4】電源装置の断面図であって、図2のB-B線の位置に相当する断面である。
図5】バッテリの概略斜視図である。
図6】導風板の斜視図である。
図7】導風板にガイド部を設けた構成を有する電源装置の上蓋を外した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る電源装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1図4に示すように、電源装置1は、バッテリ(二次電池)2、電力変換器3、空冷装置4、ケース5を備えている。バッテリ2、電力変換器3、空冷装置4は、共通の(1つの)ケース5の内部空間に収容されている。
以下、説明の便宜上、電源装置1の向きについて、図1図4等に示す矢印A1方向を前方、矢印A2方向を後方、矢印B1方向を左方、矢印B2方向を右方、矢印C1方向を上方、矢印C2方向を下方とする。矢印A0方向を前後方向、矢印B0方向を幅方向又は左右方向、矢印C0方向を上下方向という。また、左方又は右方から幅方向の中心に向かう方向を幅方向内方、幅方向の中心から左方又は右方に向かう方向を幅方向外方という。
【0015】
図5に示すように、バッテリ2は、複数のバッテリモジュール20A,20Bを含む。本実施形態の場合、バッテリ2は、2つのバッテリモジュール20A,20Bを含む。但し、バッテリ2を構成するバッテリモジュールの数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。
1つのバッテリモジュールは、複数のバッテリセル21から構成されている。複数のバッテリセル21は、電気的に接続されている。図5では、1つのバッテリモジュールが4つのバッテリセル21から構成されているものを示している。但し、1つのバッテリモジュールを構成するバッテリセル21の数は、4つには限定されず、5つ以上であってもよいし、3つ以下であってもよい。以下の説明において、バッテリセルを単にセルという場合がある。
【0016】
バッテリセル21は、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池等である。本実施形態の場合、バッテリセル21及びバッテリモジュール20A,20Bは、それぞれ直方体形状である。
バッテリモジュール20Aを構成する複数のバッテリセル21と、バッテリモジュール20Bを構成する複数のバッテリセル21は、それぞれ外装ケース16に収容されている。本実施形態の場合、外装ケース16は、直方体形状である。外装ケース16の外面(上面、下面、側面)は、バッテリモジュール20A,20Bの外面(上面、下面、側面)を構成している。バッテリモジュール20A,20Bの外面のうち、互いに対向する面(モジュール間通路10を隔てて配置された面)以外の面は、バッテリ2の外面を構成している。
【0017】
図2図5に示すように、複数のバッテリモジュール20A,20Bは、平面的に並べて配置されている。本実施形態の場合、2つのバッテリモジュール20A,20Bが、幅方向B0に並んで配置されている。2つのバッテリモジュール20A,20Bの間には、モジュール間通路10が構成されている。モジュール間通路10は、前後方向A0に延びている。
【0018】
複数のバッテリセル21は、平面的に並べて配置されている。本実施形態の場合、1つのバッテリモジュールについて、複数(4つ)のバッテリセル21が前後方向A0に並んで配置されている。隣り合うバッテリセル21の間には、セル間通路11が構成されている。セル間通路11は、幅方向(左右方向)B0に延びている。
尚、図示していないが、バッテリ2は、平面的に並べて配置された複数のバッテリモジュール20A,20Bを上下方向に複数段重ねて配置した構成を有するものであってもよい。また、複数のバッテリモジュール20A,20Bのそれぞれは、平面的に並べて配置された複数のバッテリセル21を上下方向に複数段重ねて配置した構成を有するものであってもよい。
【0019】
図5に示すように、バッテリ2は、全体として直方体形状であって、上面、側面、下面を有している。詳しくは、バッテリ20は、上面2a、第1側面2b、第2側面2c、第3側面2d、第4側面2e、下面2fを有している。第1側面2bは、後方を向いて配置されている。第2側面2cは、左方を向いて配置されている。第3側面2dは、右方を向いて配置されている。第4側面2eは、前方を向いて配置されている。
【0020】
バッテリ2の上面2a、第1側面2b、第4側面2e、下面2fは、モジュール間通路10によって、2つに分けられている。言い換えれば、モジュール間通路10は、バッテリ2の上面2a、第1側面2b、第4側面2e、下面2fにわたって開口している。
セル間通路11は、バッテリ2の第2側面2c及び第3側面2dにそれぞれ開口しており、モジュール間通路10に面する部分にも開口している。言い換えれば、セル間通路11は、幅方向内方の端部がモジュール間通路10と連通しており、幅方向外方の端部が開放されている。
【0021】
図5に示すように、外装ケース16には、セル間通路11に面する位置に、通気口16aが形成されている。通気口16aは、外装ケース16の幅方向内側の面及び幅方向外側の面にそれぞれ形成されている。通気口16aは、セル間通路11と連通している。外装ケース16の幅方向内側の面に形成された通気口16aは、後述する冷却風をバッテリ2の外部(外装ケース16の外部)からセル間通路11へと導く入口となる。外装ケース16の幅方向外側の面に形成された通気口16aは、後述する冷却風をセル間通路11からバッテリ2の外部(外装ケース16の外部)へと導く出口となる。
【0022】
電力変換器3は、バッテリ2から出力される電力(電気エネルギー)を電源装置1により駆動される駆動機器(モータ等)に供給するために適した形態に変換する装置である。図2図3に示すように、本実施形態の場合、電力変換器3は、インバータ31とDC-DCコンバータ32とを含む。図示例の場合、インバータ31とDC-DCコンバータ32とは、一体化されたユニットとして構成されている。具体的には、インバータ31とDC-DCコンバータ32とは、共通の筐体33の内部に収容されている。
【0023】
但し、インバータ31とDC-DCコンバータ32とは、一体化されていなくてもよい
。この場合、インバータ31とDC-DCコンバータ32とは、近傍位置に並べて配置される。インバータ31とDC-DCコンバータ32とは、前後方向に並べて配置してもよいし、幅方向に並べて配置してもよいし、上下方向に並べて配置してもよい。
インバータ31は、バッテリ2の出力電圧を制御する。具体的には、インバータ31は、バッテリ2から出力される直流電圧を交流に変換して出力する。バッテリ2から出力される直流電圧は、DC-DCコンバータ32を介してインバータ31に供給される。DC-DCコンバータ32は、バッテリ2から出力される直流電圧を昇圧する。インバータ31は、DC-DCコンバータ32により昇圧された直流電圧を交流に変換して出力する。但し、電力変換器3は、少なくともインバータ31を含んでいるものであればよく、DC-DCコンバータ32を含まないものであってもよい。電力変換器3がDC-DCコンバータ32を含まないものである場合、以下の説明における「電力変換器3」を「インバータ31」と読み替えればよい。
【0024】
図1図3に示すように、空冷装置4は、冷却ファン41と熱交換器42とを含む。
冷却ファン41は、ファンの回転により空気(冷却風)を吹き出す吹き出し部41aと、ファンに向けて空気を吸い込む吸い込み部41bと、を有している。本実施形態の場合、冷却ファン41は、遠心ファン(シロッコファン)である。冷却ファン41は、バッテリ2に蓄えられた電力を用いて駆動することができる。
【0025】
熱交換器42は、ケース5の内部空間を流通する空気を熱交換によって冷却する。熱交換器42は、バッテリ2及び電力変換器3を通過した後の空気を冷却する。本実施形態の場合、熱交換器42としてエバポレータが用いられている。熱交換器42は、内部を冷媒が流通する管と、この管と熱伝導可能に設けられる放熱用のフィンとを有する。熱交換器42の管内を流れる冷媒と、管やフィンの周囲を通過する空気との間で熱交換が行われることにより、熱交換器42を通過する空気が冷却される。熱交換器42の管の入口部42aと出口部42b(図2参照)とは、ケース5の外部に突出している。
【0026】
図1図2に示すように、電源装置1は、ジャンクションボックス6を備えている。ジャンクションボックス6は、バッテリ2とインバータ31とを電気的に接続可能なリレーを収容している。ジャンクションボックス6は、ケース5の内部に収容されている。
図1に示すように、ケース5は、本体51と蓋体52とから構成されている。本実施形態の場合、ケース5は、略直方体形状であって、前後方向A0の長さが幅方向B0の長さよりも長い。また、上下方向C0の長さ(高さ)が、前後方向A0の長さ及び幅方向B0の長さよりも短い。但し、ケース5の形状は、適宜変更することができる。
【0027】
本体51は、底板51a、側壁51b、第1フランジ51cを有している。底板51a、は、ケース5の底面を構成している。側壁51bは、第1側壁511、第2側壁512、第3側壁513、第4側壁514を含む。第1側壁511は、底板51aの前縁から上方に延びている。第2側壁512は、底板51aの後縁から上方に延びている。第3側壁513は、底板51aの左縁から上方に延びており、第1側壁511の左縁と第2側壁512の左縁とを繋いでいる。第4側壁514は、底板51aの右縁から上方に延びており、第1側壁511の右縁と第2側壁512の右縁とを繋いでいる。第1フランジ51cは、側壁51bの上縁から外方(ケース5の内部空間から離れる方向)に延設されている。
【0028】
蓋体52は、天板52a、側板52b、第2フランジ52cを有している。天板52aは、ケース5の上面を構成している。側板52bは、第1側板521、第2側板522、第3側板523、第4側板524を含む。第1側板521は、天板52aの前縁から下方に延びている。第2側板522は、天板52aの後縁から下方に延びている。第3側板523は、天板52aの左縁から下方に延びており、第1側板521の左縁と第2側板522の左縁とを繋いでいる。第4側板524は、天板52aの右縁から下方に延びており、第1側板521の右縁と第2側板522の右縁とを繋いでいる。第2フランジ52cは、側板52bの下縁から外方(ケース5の内部空間から離れる方向)に延設されている。
【0029】
第1フランジ51cには、複数の第1貫通孔51dが形成されている。第2フランジ52cには、複数の第2貫通孔52dが形成されている。第1貫通孔51dと第2貫通孔52dとを重ねてボルトを挿通して当該ボルトにナットを螺合することにより、第1フランジ51cと第2フランジ52cとが固定される。これにより、蓋体52と本体51とが固定される。蓋体52と本体51とにより囲まれる空間が、ケース5の内部空間を構成する。ケース5の内部空間は、外気が導入されない密閉された空間である。
【0030】
図1図3に示すように、バッテリ2は、ケース5の内部空間の後部に配置されている。冷却ファン41は、ケース5の内部空間の前部に配置されている。吹き出し部41aは、後方(バッテリ2側)を向いて配置されている。これにより、冷却ファン41は、吹き出し部41aから後方に向けて(バッテリ2に向けて)空気(冷却風)を吹き出すことができる。また、吹き出し部41aは、ケース5の幅方向中心から幅方向外方(右方)にずれた位置に配置されている。吸い込み部41bは、下方を向いて配置されている。これにより、冷却ファン41は、下方から空気を吸い込むことができる。
【0031】
図3に示すように、バッテリ2と冷却ファン41の吹き出し部41aとは、上下方向の位置が重なっている。バッテリ2の上端(上面2a)は、冷却ファン41の吹き出し部41aよりも上方に配置されている。バッテリ2の下端(下面2f)は、冷却ファン41の吹き出し部41aよりも下方に配置されている。
図3等に示すように、熱交換器42は、冷却ファン41の下方に配置されている。具体的には、熱交換器42は、冷却ファン41の吸い込み部41bの下方に配置されている。これにより、熱交換器42を通過して冷却された空気が冷却ファン41の吸い込み部41bから吸い込まれ、この空気が冷却風として吹き出し部41aから吹き出される。
【0032】
図3に示すように、電力変換器3は、前後方向において、バッテリ2と熱交換器42との間に配置されている。従って、インバータ31及びDC-DCコンバータ32は、前後方向において、バッテリ2と熱交換器42との間に配置されている。図3に示すように、電力変換器3の上端は、冷却ファン41の吹き出し部41aの上端よりも下方に配置されている。また、電力変換器3の上端は、バッテリ2の上端よりも下方に配置されている。
【0033】
図1図2に示すように、ジャンクションボックス6は、バッテリ2の後方に配置されている。但し、ジャンクションボックス6は、他の位置に配置してもよい。例えば、ジャンクションボックス6は、電力変換器3とバッテリ2との間に配置してもよい。或いは、ジャンクションボックス6は、導風板7の第2部位72の上方に配置してもよい。
図1図2に示すように、電源装置1は、バッテリマネジメントユニット(BMU)15を備えている。バッテリマネジメントユニット15は、ケース5の内部に収容されている。バッテリマネジメントユニット15は、バッテリ2の状態(バッテリ2の充電残量、バッテリ2の温度等)を監視するコントロールユニットである。バッテリマネジメントユニット15は、空冷装置4(冷却ファン41、熱交換器42)と幅方向に並んで配置されている。
【0034】
図1図4に示すように、電源装置1は、導風板7を備えている。導風板7は、ケース5の内部に配置されている。導風板7は、冷却ファン41から吹き出される空気(冷却風)を所望の方向に導くための板である。導風板7は、冷却ファン41から吹き出された空気を、バッテリ2及び電力変換器3へと導くことができる。
導風板7は、例えば、絶縁性材料で被覆した金属板や樹脂板などから構成される。これにより、バッテリ2と導風板7との間で電気的短絡が生じることを防止できる。
【0035】
図6等に示すように、導風板7は、第1部位71と第2部位72とを有している。
第1部位71は、一方の面が上方を向き、他方の面が下方を向くように配置されている。つまり、第1部位71は、水平面内に配置された平板として構成されている。第1部位71は、平面視にて四角形(長方形)である。図1図4に示すように、第1部位71は、バッテリ2の上方に配置されている。第1部位71は、バッテリ2の上面2aを覆うように配置されている。第1部位71は、バッテリ2の上面2aと平行に配置されている。
【0036】
第1部位71には、スリット74が形成されている。スリット74は、前後方向の長さが幅方向の長さよりも長い穴である。つまり、スリット74は、前後方向に延びている。言い換えれば、スリット74は、冷却ファン41からの空気の吹き出し方向(図2図3の矢印D1の方向)に延びている。スリット74の前後方向の長さは、モジュール間通路10の前後方向の長さと同じか、或いはモジュール間通路10の前後方向の長さよりも短
い。スリット74の幅(幅方向B0の長さ)は、モジュール間通路10の幅と同じか、或いはモジュール間通路10の幅よりも大きい。
【0037】
バッテリ2の第1側面2bは、スリット74が延びる方向(前後方向)の一方側(後側)に配置されている。言い換えれば、第1側面2bは、冷却ファン41からの空気の吹き出し方向D1の下流側に配置されている。第4側面2eは、スリット74が延びる方向(前後方向)の他方側(前側)に配置されている。言い換えれば、第4側面2eは、冷却ファン41からの空気の吹き出し方向D1の上流側に配置されている。第2側面2cは、スリット74が延びる方向と直交する方向(幅方向)の一方側(左側)に配置されている。第3側面2dは、スリット74が延びる方向と直交する方向(幅方向)の他方側(右側)に配置されている。
【0038】
図2に示すように、スリット74は、平面視において、複数のバッテリモジュール20A,20Bの間(モジュール間通路10)と重なる位置に配置されている。これにより、スリット74は、冷却ファン41から吹き出された空気(冷却風)を、複数のバッテリモジュール20A,20Bの間(モジュール間通路10)に導くことができる。
図1図3図6に示すように、第2部位72は、第1部位71の前縁から斜め前下方に延びている。図1図3に示すように、第2部位72は、ケース5の内部において、冷却ファン41側(前方)から第1部位71側(後方)に向けて上り勾配を有するように傾斜している。第2部位72の前部には、水平方向に前方に延びる第3部位73が設けられている。第1部位71、第2部位72、第3部位73は、一体的に形成されている。
【0039】
図3に示すように、冷却ファン41の吹き出し部41aから吹き出された空気(冷却風)は、導風板7の第2部位72の上面に沿って流れて(矢印D2参照)、バッテリ2の上方に配置された第1部位71の上方へと到達し、第1部位71の上面に沿って後方へと流れる(矢印D3参照)。
図3に示すように、第1部位71の上面とケース5の内上面(天板52aの下面)との距離は、第2部位72の上面とケース5の内上面との距離よりも狭くなっている。そのため、冷却風が第2部位72の上方から第1部位71の上方の隙間に導かれたとき、風速が増加する。これにより、冷却風を確実に第2部位72の後部まで導くことが可能となる。また、第1部位71の上方の隙間において、冷却風の流れ方向に直交する断面積(風路断面積)が減少することにより、冷却風の圧力が増加するため、冷却風がスリット74へと導かれやすくなる。
【0040】
図1図3に示すように、第2部位72の下方には、電力変換器3が配置されている。電力変換器3がインバータ31とDC-DCコンバータ32とを含むものである場合、インバータ31及びDC-DCコンバータ32が第2部位72の下方に配置される。電力変換器3がインバータ31を含むがDC-DCコンバータ32を含まないものである場合、インバータ31が第2部位72の下方に配置され、DC-DCコンバータ32は配置されない。
【0041】
図3等に示すように、導風板7の前部(第3部位73)は、冷却ファン41の吹き出し部41aの下部に当接又は近接して配置される。導風板7の後部(第1部位71)は、吹き出し部41aよりも上方に配置される。導風板7の前後方向の中間部(第2部位72)は、吹き出し部41aの下部から吹き出し部41aよりも上方に至るように上り勾配で傾斜して配置される。
【0042】
図1図4に示すように、電源装置1は、導風板7を支持する支持部8を備えている。図6等に示すように、支持部8は、第1部位71の後部に設けられた第1支持部81と、第1部位71の前部に設けられた第2支持部82と、を含む。第1支持部81は、スリット74の後方に配置されている。第2支持部82は、スリット74の前方に配置されている。第1支持部81及び第2支持部82の幅は、スリット74の幅と同じ、或いはスリット74の幅よりも小さい。第1支持部81及び第2支持部82は、第1部位71から下方に延びている。第1支持部81及び第2支持部82の長さ(高さ)は、バッテリ2の高さと同じ、或いはバッテリ2の高さより長く設定される。
【0043】
支持部8の下端は、ケース5の内底部(底板51aの上面)に固定されている。つまり
、支持部8は、ケース5の内底部(底板51aの上面)から上方に向けて立設されている。支持部8の下端がケース5に固定されることによって、導風板7がケース5に対して固定されている。但し、導風板7をケース5に固定する方法は、例えば、導風板7を第1フランジ51c又は第2フランジ52cに固定する等の他の方法であってもよい。当該他の方法を採用する場合、支持部8の下端はケース5の内底部(底板51aの上面)から離れていてもよい。
【0044】
図1図3に示すように、第1支持部81は、バッテリ2の第1側面2b近傍の位置に配置されている。図1図2に示すように、第1支持部81は、バッテリ2の第1側面2bに形成された複数のバッテリモジュール20A,20Bの隙間をふさいでいる。第2支持部82は、バッテリ2の第4側面2e側に配置されている。図2図4に示すように、第2支持部82は、バッテリ2の第4側面2eに形成された複数のバッテリモジュール20A,20Bの隙間をふさいでいる。これにより、複数のバッテリモジュール20A,20Bの隙間は、前部と後部が支持部8によって塞がれている。言い換えれば、モジュール間通路10の前部と後部は、支持部8によって塞がれている。これにより、モジュール間通路10の前方及び後方からのモジュール間通路10への空気(冷却風)の流入が防がれている。その結果、モジュール間通路10への空気(冷却風)の流入を上方から(スリット74から)集中して行わせることができる。
【0045】
本実施形態の場合、支持部8は柱状であるが、支持部8は板状であってもよい。支持部8が板状である場合、板状の第1支持部81がバッテリ2の第1側面2bを覆い、板状の第2支持部82がバッテリ2の第4側面2eを覆うように配置される。この構成によっても、モジュール間通路10の前方及び後方からのモジュール間通路10への空気の流入を防ぐことができる。
【0046】
図7に示すように、電源装置1は、導風板7の上面にガイド部9を設けた構成を備えていてもよい。ガイド部9は、冷却ファン41から吹き出された空気をスリット74へと導くために設けられる。ガイド部9は、スリット74を挟んで配置された一対のガイド板9L,9Rを有している。ガイド板9Lは、スリット74の左方に配置されている。ガイド板9Rは、スリット74の右方に配置されている。
【0047】
一対のガイド板9L,9Rは、導風板7の上面から上方に向けて立設されている。一対のガイド板9L,9Rは、冷却ファン41の吹き出し方向D1の上流側から下流側(前方から後方)に向けて延びている。一対のガイド板9L,9Rの前端部は、スリット74の前端部よりも後方に配置されている。一対のガイド板9L,9Rの後端部は、スリット74の後端部よりも前方に配置されている。一対のガイド板9L,9Rの間の距離(ガイド板9Lとガイド板9Rとの間の距離)は、冷却ファン41の吹き出し方向D1の上流側から下流側に向かうにつれて狭くなっている。ガイド板9Lの後端部とガイド板9Rの後端部とは、スリット74の後方で接続されている。
【0048】
図7に示すように、本実施形態の場合、一対のガイド板9L,9Rは、平面視にてV字状に配置されている。一対のガイド板9L,9Rは、V字の開いた側が吹き出し方向D1の上流側に配置され、V字の閉じた側が吹き出し方向D1の下流側に配置されている。
導風板7にガイド部9を設けることにより、冷却ファン41から吹き出された空気(冷却風)をガイド部9によってスリット74に向けて集めることができる(矢印E1参照)。また、冷却ファン41から吹き出された空気が、スリット74を越えてバッテリ2の後方まで流れることを防ぐことができる。そのため、冷却ファン41から吹き出された空気(冷却風)を効率良くスリット74へと導くことができる。
【0049】
以下、電源装置1のケース5の内部の空気(冷却風)の流れについて詳しく説明する。
図2図3に示すように、冷却ファン41の吹き出し部41aから吹き出された空気(冷却風)は、ケース5の内部空間において前方から後方に向けて流れる(矢印D1参照)。この吹き出された空気は、導風板7の上面に沿って流れる(矢印D2,D3参照)。具体的には、第3部位73の上面と第2部位72の上面に順次沿って流れて、第1部位71の上方に達する。ここで、導風板7は、第2部位72が第1部位71に向けて緩やかに傾斜しているため、第2部位72の上方から第1部位71の上方に向けて空気が流れるときの圧力損失を低減させることができる。
【0050】
第1部位71の上方に達した空気は、第1部位71の上面に沿って流れるとともに、第1部位71に設けられたスリット74から複数のバッテリモジュール20A,20Bの隙間(モジュール間通路10)に導かれる(矢印D4参照)。複数のバッテリモジュール20A,20Bの隙間に導かれた空気は、バッテリモジュール20A,20Bを構成する複数のセル同士の間(セル間通路11)を通って、スリット74と直交する方向に流れ(矢印D5参照)、バッテリ2の第2側面2c及び第3側面2dから排出される。これにより、複数のバッテリモジュール20A,20Bにそれぞれ含まれる複数のバッテリセル21が冷却風によって効率良く冷却される。
【0051】
バッテリ2の第2側面2cから排出された空気は、第2側面2cとケース5の内面(第3側壁513及び第3側板523の内面)との隙間を通って前方へと流れる(矢印D6参照)。バッテリ2の第3側面2dから排出された空気は、第3側面2dとケース5の内面(第4側壁514及び第4側板524の内面)との隙間を通って前方へと流れる(矢印D7参照)。これら前方へと流れた空気は、電力変換器3の周囲を通ることによって、電力変換器3を冷却しながら更に前方へと流れる(矢印D8参照)。
【0052】
導風板7の第2部位72が後方から前方に向けて下り勾配に傾斜しているため、前方へと流れる空気(冷却風)は、上昇することが防がれて前方に向かうにつれて下方へと集められる。そのため、冷却風を確実に電力変換器3の周囲に流すことができ、電力変換器3を効率良く冷却することができる。
電力変換器3の周囲を通過した空気は、熱交換器42を通ることによって冷却され(矢印D9参照)、冷却された空気は吸い込み部41bから冷却ファン41に吸い込まれた後、吹き出し部41aから吹き出される(矢印D1参照)。これにより、吹き出し部41aから吹き出された空気(冷却風)は、ケース5の内部を循環しながら、バッテリ2、電力変換器3(インバータ31、DC-DCコンバータ32)を冷却する。
【0053】
上述したように、導風板7は、冷却ファン41から吹き出された空気を、バッテリ2、インバータ31(電力変換器3)の順に導く。一般的に、バッテリ2の耐熱温度は、インバータ31の耐熱温度よりも低い。例えば、バッテリ2の耐熱温度は約60℃、インバータ31の耐熱温度は約80℃である。そのため、冷却ファン41から吹き出されてすぐの未だ温められていない(温度が低い)空気を、先ずバッテリ2に当てることにより、耐熱温度の低いバッテリ2を耐熱温度が高いインバータ31よりも優先的に冷却することができる。
【0054】
但し、導風板7は、冷却ファン41から吹き出された空気を、インバータ31(電力変換器3)、バッテリ2の順に導くように構成してもよい。この構成は、例えば、電力変換器3(インバータ31、DC-DCコンバータ32)とバッテリ2の位置を入れ替えることによって得ることができる。また、この構成は、バッテリ2の配置はそのままで電力変換器3(インバータ31、DC-DCコンバータ32)を導風板7の第2部位72の上方に配置することによっても得ることができる。この構成は、インバータ31の耐熱温度がバッテリ2の耐熱温度よりも低い場合に好適に採用される。
【0055】
また、上述した実施形態の場合、バッテリ2はバッテリモジュール20A,20Bを含むものであるが、バッテリ2はバッテリモジュールを含まずに複数のバッテリセル21のみから構成されているものであってもよい。この場合、バッテリセル21は、前後方向と幅方向にそれぞれ並べられて配置される。そのため、セル間通路11は、前後方向に延びるセル間通路と、幅方向に延びるセル間通路とを含むものとなる。スリット74の下方には、前後方向に延びるセル間通路が配置される。
【0056】
電源装置1は、例えば、農業機械、建設機械、ユーティリティビークル、モア等を駆動するためのモータ(モータ・ジェネレータを含む)に電力を供給するための装置として使用することができる。詳しくは、電源装置1は、電動モータを用いて駆動する電動車両、或いは、電動モータとエンジンの両方を用いて駆動するハイブリッド車両に搭載して、電動モータに電力を供給するための装置として好適に使用可能である。具体的には、電源装置1は、トラクタ、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ等の作業車両に搭
載して使用することができる。
上記実施形態の電源装置1によれば、以下の効果を奏する。
電源装置1は、バッテリ2と、バッテリ2の出力電圧を制御するインバータ31と、バッテリ2及びインバータ31を冷却風により冷却する空冷装置4と、バッテリ2、インバータ31、空冷装置4を収容するケース5と、を備えている。
【0057】
この構成によれば、バッテリ2とインバータ31と空冷装置4とが共通のケース5に収容されているため、バッテリ2及びインバータ31を空冷装置4からの冷却風によって効率良く冷却することができる。また、バッテリ2とインバータ31とを共通の空冷装置4によって冷却することができるため、電源装置1を小型化することが可能となる。そのため、限られた狭いスペースであっても電源装置1を設置することができる。また、複数の冷却装置を設けた場合のようにコネクタ、ハーネス、冷媒用配管を必要としないため、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。また、バッテリ2とインバータ31と空冷装置4とを共通の(1つの)ケース5に収容することによって、高い防水性能及び防塵性能を確保することができる。そのため、高価な防水ケースや防塵ケースが不要となる。
【0058】
また、電源装置1は、ケース5の内部に配置された導風板7を備え、空冷装置4は、冷却ファン41と熱交換器42とを含み、導風板7は、冷却ファン41から吹き出された空気をバッテリ2及びインバータ31へと導き、熱交換器42は、バッテリ2及びインバータ31を通過した後の空気を冷却する。
この構成によれば、導風板7によって冷却ファン41から吹き出された空気をバッテリ2及びインバータ31へと導いてバッテリ2及びインバータ31を冷却することができるとともに、バッテリ2及びインバータ31を冷却した後の温まった空気を熱交換器42により冷却することができる。そのため、バッテリ2及びインバータ31を、常に温度が低い冷却風によって冷却することができ、バッテリ2及びインバータ31の温度上昇を長時間にわたって抑制することができる。そのため、電源装置1は、長時間にわたって高い出力を維持することができる。
【0059】
また、導風板7は、冷却ファン41から吹き出された空気を、バッテリ2、インバータ31の順に導く。
この構成によれば、バッテリ2の耐熱温度がインバータ31の耐熱温度よりも低い場合において、冷却ファン41から吹き出された空気が未だ温められていない低温の状態で、当該空気をバッテリ2に接触させることができる。そのため、耐熱温度が低いバッテリ2を耐熱温度が高いインバータ31よりも優先的に効率良く冷却することができる。
【0060】
また、導風板7は、冷却ファン41から吹き出された空気を、インバータ31、バッテリ2の順に導く。
この構成によれば、インバータ31の耐熱温度がバッテリ2の耐熱温度よりも低い場合において、冷却ファン41から吹き出された空気が未だ温められていない低温の状態で、当該空気をインバータ31に接触させることができる。そのため、耐熱温度が低いインバータ31を耐熱温度が高いバッテリ2よりも優先的に効率良く冷却することができる。
【0061】
また、導風板7は、バッテリ2の上方に配置された第1部位71を有し、バッテリ2は、平面的に並べて配置された複数のバッテリモジュール20A,20Bを含み、第1部位71には、冷却ファン41から吹き出された空気を複数のバッテリモジュール20A,20Bの間に導くスリット74が形成されている。
この構成によれば、冷却ファン41から吹き出された空気を、スリット74を通して複数のバッテリモジュール20A,20Bの間に導くことによって、複数のバッテリモジュール20A,20Bを効率良く冷却することができる。
【0062】
また、複数のバッテリモジュール20A,20Bは、冷却ファン41の空気の吹き出し方向D1に対して直交する方向に並べて配置され、スリット74は、吹き出し方向D1に沿って延びるように形成されている。
この構成によれば、複数のバッテリモジュール20A,20Bに対して同じ温度の冷却風を接触させることが可能であるため、複数のバッテリモジュール20A,20Bを均等
に効率良く冷却することができる。また、冷却ファン41から吹き出された空気を、吹き出し方向D1に沿った長い距離範囲でスリット74に導入することができる。
【0063】
また、導風板7は、冷却ファン41側から第1部位71に向けて延びる第2部位72を有し、第2部位72は、冷却ファン41側から第1部位71に向けて上り勾配を有するように傾斜している。
この構成によれば、冷却ファン41から吹き出された冷却風を導風板7の傾斜に沿って第1部位71まで円滑に導くことができるため、冷却風の圧力損失を低減することができる。
【0064】
また、インバータ31は、第2部位72の下方に配置されている。
この構成によれば、冷却風の上昇を第2部位72により抑えて、冷却風の流れをインバータ31の近傍(第2部位72の下方)に集中させることができるため、インバータ31を効率良く冷却することができる。
また、導風板7は、冷却ファン41から吹き出された空気をスリット74へと導くガイド部9を有し、ガイド部9は、スリット74を挟んで配置されるとともに、冷却ファン41の空気の吹き出し方向D1の上流側から下流側に向けて延びる一対のガイド板9L,9Rを有し、一対のガイド板9L,9Rの間の距離は、空気の吹き出し方向D1の上流側から下流側に向かうにつれて狭くなっている。
【0065】
この構成によれば、冷却ファン41から吹き出された空気を一対のガイド板9L,9Rによって効率良く確実にスリット74へと導くことができる。
また、電源装置1は、ケース5の内底部から立設されて導風板7をバッテリ2の上方に支持する支持部8を備え、バッテリ2は、冷却ファン41の空気の吹き出し方向D1の下流側に配置された第1側面2bを有し、支持部8は、第1側面2bに形成された複数のバッテリモジュール20A,20Bの隙間を塞いでいる。
【0066】
この構成によれば、支持部8によって第1側面2bに形成された複数のバッテリモジュール20A,20Bの隙間から冷却風が侵入することを防止できる。そのため、冷却風をスリット74に向けて集中させて導くことが可能となる。これにより、バッテリモジュール20A,20Bの隙間に上方から集中して冷却風が導入されるため、バッテリモジュール20A,20Bの冷却効率を向上させることができる。
【0067】
また、バッテリ2は、スリット74が延びる方向と直交する方向の一方側に配置された第2側面2cと、スリット74が延びる方向と直交する方向の他方側に配置された第3側面2dと、を有し、スリット74から隙間に導かれた空気は、バッテリモジュール20A,20Bを構成する複数のセル21同士の間を通ってスリット74と直交する方向に流れて、第2側面2c及び第3側面2dから排出される。
【0068】
この構成によれば、複数のバッテリモジュール20A,20Bの隙間から導入された冷却風を、複数のセル21の間を通して排出することができるため、複数のセル21を効率良く確実に冷却することができる。
また、電源装置1は、バッテリ2とインバータ31とを電気的に接続可能なリレーを収容したジャンクションボックス6と、バッテリ2の出力電圧を昇圧するDC-DCコンバータ32と、を備え、ジャンクションボックス6及びDC-DCコンバータ32は、ケース5に収容されている。
【0069】
この構成によれば、DC-DCコンバータ32がケース5に収容されているため、DC-DCコンバータ32を空冷装置4によってバッテリ2及びインバータ31と共に冷却することができる。そのため、DC-DCコンバータ32を冷却するために別の冷却装置を設ける必要が無く、1つの空冷装置4で効率良くDC-DCコンバータ32、バッテリ2及びインバータ31を冷却することができる。また、ジャンクションボックス6がケース5に収容されているため、バッテリ2とインバータ31とをケース5の内部でジャンクションボックス6に収容されたリレーによって接続することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内
での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 電源装置
2 バッテリ
2b 第1側面
2c 第2側面
2d 第3側面
4 空冷装置
5 ケース
6 ジャンクションボックス
7 導風板
8 支持部
9 ガイド部
9L,9R ガイド板
20A,20B バッテリモジュール
21 バッテリセル(セル)
31 インバータ
32 DC-DCコンバータ
41 冷却ファン
42 熱交換器
71 第1部位
72 第2部位
74 スリット
D1 空気の吹き出し方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7