(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-27
(45)【発行日】2025-07-07
(54)【発明の名称】接続要素、及び接続要素を摩擦圧接によって部品に固定するためのツール
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20250630BHJP
【FI】
B23K20/12 Z
(21)【出願番号】P 2022536667
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2020084435
(87)【国際公開番号】W WO2021122031
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】102019135240.1
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522235652
【氏名又は名称】エジョット エスエー ウント コンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】EJOT SE & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キッテル、ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、ニコ
(72)【発明者】
【氏名】エンゲル、ダンニ
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-224854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦圧接によって部品(38)の表面に固定するための接続要素であって、
前記接続要素は、主部(1)と機能部(19)とを備え、
前記主部(1)は、上面と、前記上面の反対で環状のビード(9)を備える下面と、を有し、
前記主部(1)は、前記上面と前記下面とを結ぶ開口(3)を有し、
前記機能部(19)は、シャンク(25)と前記シャンク(25)の第一端の頭部(21)とを有し、
前記シャンク(25)の縦軸を横切る前記頭部の直径又は広がりは、前記開口(3)の直径よりも大きい、
接続要素。
【請求項2】
前記主部(1)は、前記上面及び/又は外郭(17)上に少なくとも1つのインターロック要素を有し、
前記少なくとも1つのインターロック要素は、摩擦圧接中に必要とされるトルクを前記主部(1)との接合用のツール(31)から伝達するように設計される
ことを特徴とする請求項1に記載の接続要素。
【請求項3】
前記インターロック要素は、前記主部(1)の上面に、1つ以上の窪み(5)を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の接続要素。
【請求項4】
前記インターロック要素は、前記主部(1)の前記外郭(17)上に、1つ、2つ又は3つ以上の縦溝(7)或いは窪みを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の接続要素。
【請求項5】
1つの前記インターロック要素は、非回転対称の前記外郭(17)を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の接続要素。
【請求項6】
前記機能部(10)の前記頭部(21)は、板体として設計される
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の接続要素。
【請求項7】
前記機能部(19)と前記主部(1)とが、回転固定及びインターロック方式で互いに接続されるように、前記主部(1)の前記下面は、前記機能部(19)の前記頭部(21)に対して相補的である
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の接続要素。
【請求項8】
前記機能部(19)は、前記主部(1)において前記開口(3)と相互作用するセンタリング部(23)を有する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の接続要素。
【請求項9】
前記主部(1)の前記開口(3)と前記機能部(19)のセンタリング部(23)とは、回転固定及びインターロック方式で互いに接続される
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の接続要素。
【請求項10】
前記機能部(19)の前記シャンク(25)は、1つ以上のアンダーカット(29)と
のスナップ接続の一部として設計される
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の接続要素。
【請求項11】
雄ネジ及び/又は雌ネジ(41)が、前記機能部(1)の前記シャンク(25)上に形成される
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の接続要素。
【請求項12】
前記主部(1)は、圧接可能な材料からなる
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の接続要素(10)。
【請求項13】
1つの前記インターロック要素は、正多角形、不規則な多角形、或いは定幅図形(Gleichdick)の外郭を有することを特徴とする請求項2に記載の接続要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CFRP又はGFRPのような繊維強化複合材料で作られた部品の表面に固定するための接続要素、特に熱接着性接合突起部に関する。
【背景技術】
【0002】
このような接続要素は、例えば、アタッチメントを重量最適化されたCFRP部品に固定したり、他のパーツに接続したりするために必要である。繊維複合材料で作られた部品の場合では、リベット又はネジを部品を通して案内し、この公知でよく確立された方法で接続要素を部品に接続するために、部品に穴を開けることは、多くの場合望ましくない、あるいはさらには不可能である。この制約は、それぞれの穴が繊維強化複合材料(複合材料部品)で作られた部品内の繊維パターンを乱し、その耐荷力を低下させるためである。また、穴の不適切な導入は、層間剥離につながる可能性がある。
【0003】
これらの欠点を避けるため、このような接続要素は、従来、CFRP部品の表面に接着されていた。しかし、この確保手法には種々の欠点がある。特に、自動化された連続生産のための接着剤の長い硬化時間と、そのような接着剤結合をプロセス信頼性が高い方法で製造することの困難さとが、欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が対処する問題は、従来技術の欠点を回避する接続要素を提供することである。前記接続要素は、部品が穴を必要とすることなく、プロセス信頼性が高くかつ自動化された方法で部品に接続することができるように意図される。さらに、コスト効率が良いだけでなく、異なる作業/固定作業に柔軟に適応できることも意図している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、摩擦圧接によって部品の表面に固定するための接続要素、特に熱接着性接合突起部であって、主部と機能部とを備え、主部は、上面と、上面の反対で環状のビードを備える下面と、を有し、主部は、上面と下面とを結ぶ開口を有し、機能部は、シャンクとシャンクの第一端の頭部とを有し、シャンクの縦軸を横切る頭部の直径又は広がりは、主部の開口の直径よりも大きい接続要素による、本発明によって解決される。
【0006】
したがって、本発明に係る接続要素は、2つの部分に分けられる。接続要素は、その下面上のビードを有する主部を備える。ビードは、摩擦圧接中に圧接加算を「供給する」。さらに、摩擦圧接プロセス及び摩擦圧接接合部の強度は、対応する設計(特に直径、幅、高さ及び断面形状)によって、合成材料部品及び固定作業に簡単かつ柔軟に適合させることができる。
【0007】
さらに、本発明に係る接続要素は、機能部を備え、そのシャンクは、機能部の頭部が主部の下面に当接するまで、主部内の開口を通して下から挿入される。次いで、機能部と主部との間で引張力を伝達することができる。主部が、摩擦圧接によってそのビードと結合した形で部品に固定されるとすぐに、機能部は、間接的であるが固定的に部品に接続される。必要に応じて、機能部と主部との間の回転固定式インターロック接続も容易に製造することができる。
【0008】
二つの部分からなる設計により、異なる機能部を構造的に同一の主部に組み合わせることができるので、機能部を、例えば、本発明に係る主部及び接合プロセスに何ら変更を加えることなく、雌ネジ又は雄ネジによって、スナップ接続又はネジ接合部を生じさせるために使用することができる。例えば、スナップ接続を有する固定要素と雌ネジを有する固定要素とは、異なった機能部と組み合わされ、かつ、摩擦圧接のために装置に供給された、構造的に同一の主部によって、プロセスパラメータを変更することなく、摩擦圧接用の同一の装置を用いて部品に固定することができる。これは、高性能軽量部品のプロセス信頼性の高い連続生産のための大きな利点である。
【0009】
本発明に係る接続要素は、2つの構成要素(主部及び機能部)の材料を関連する作業に応じて最適化することができるので、非常に費用対効果が高い。主部は、多くの場合、熱可塑性材料製である。好ましくは、PA 66 35 GFなどの繊維強化熱可塑性材料から作製される。繊維強化材の有無にかかわらず、他の(熱可塑性)プラスチック材料も、勿論使用することができる。ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド 6(PA 6)及び30%ガラス繊維を有するポリプロピレン(PP GF30)が特に適している。
【0010】
しかし、本発明に係る接続要素は、圧接可能な金属材料から製造することもできる。
【0011】
次に、接続要素を摩擦圧接によって金属部品に接続することができる。このとき、部品と主部とは、互いに圧接可能でなければならない。機能部は、インターロック方式でのみ接続部に接続され、材料結合では接続されないため、機能部の材料に関する制約はない。
【0012】
これらの非網羅的な例は、多種多様な要求プロファイルに対する本発明に係る接続要素の大きな柔軟性及び適応性を示す。
【0013】
本発明によれば、少なくとも1つのインターロック要素が、主部の上面及び/又は外郭上に形成され、少なくとも1つのインターロック要素は、摩擦圧接中に必要とされるトルクを主部との接合用のツールから伝達するように設計される。
【0014】
1つまたは複数のインターロック要素は、例えば、主部の上面に1つ又は複数の好ましくは円形窪み(盲孔)を備えることができる。また、主部の外郭に、縦溝又は窪みとしてインターロック要素を形成することもできる。勿論、摩擦圧接に必要なトルクを外郭を介して主部に導入できるように、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、…)のような、又は定幅図形(Gleichdick)のような非回転対称の幾何学的な外郭を有する主部を形成することもできる。これは、滑らかな表面を有する接続要素をもたらす。
【0015】
考えられる多数のインターロック要素のために、主部の設計は、いかなる制限もほとんど受けない。むしろ、設計上の懸念も考慮に入れることができ、魅力的な設計を達成することができる。
【0016】
例えば、清浄度に大きな重要性が置かれる用途では、窪みや溝を伴わない、平滑な表面を有する主部の外郭が、特に有利であり得る。このとき、主部の外郭は、多角形又は定幅図形(Gleichdick)になり得る。そして外郭上の盲孔及び溝は、省略され得る。
【0017】
機能部のシャンクから主部への引張力の良好で弾性的な伝達を確実にするために、機能部の頭部は、板体として、好ましくは非回転対称板体として設計される。板体が回転対称でなく、対応する窪みが主部の下側に形成される場合、トルクは、主部と機能部との間で伝達されることも可能である。これは、機能部がそのシャンク上に雄又は雌ネジを有し、ネジ又はナットが機能部にねじ込まれる場合に、しばしば有利である。頭部の寸法は、接続要素が曝される荷重(軸力、トルク)の集合に応じて決定され、予想される軸力が選定される。
【0018】
機能部は、任意に、筐体の主部内の開口と相互作用するセンタリング部を有することができる。そして、機能部は、センタリング部によって主部の開口の中心に配置される。また、この場合、密着嵌合又は僅かな締まり嵌めを提供することもでき、機能部のセンタリング部を主部の開口に押し込んだとき、本発明に係る接続要素の2つの構成要素が、互いに連結されるようになっている。これにより、主部が部品に圧接される前に本発明に係る接続要素の取扱い(手動の、又は、自動化された)が、容易になる。
【0019】
用途の要求に応じて、機能部のシャンクをスナップ接続の一部にすることができる。ただし、それは、雄ネジ又は雌ネジを有することもできる。割ピンを受け入れる横穴や、止め輪(シーガーリング)を受け入れる溝も形成される。シャンク上に返しを配置することもでき、これによって軟らかい材料をシャンクに固定することができる。シャンクは、1つ以上の部品に最適に接続できるように設計することができる。シャンクの設計に制限はない。
【0020】
請求項に記載の発明は、また、接続要素を部品に接合するためのツールを含み、そのツールは、少なくとも部分的に中空又は管状のツール本体を有し、その第一端は、前記第一端が接続部の上に配置されたときに、主部、及び/又は、機能部のセンタリング部と回転固定式インターロック接続を形成するように設計される。ツール本体内のキャビティ/中央穴は、機能部のシャンクを収容するために使用される。
【0021】
本発明に係るツールの第一端は、主部の上面又は外郭に相補的である。例えば
図1に示すように、主部の上面に窪みが形成される場合、本発明に係るツールの第一端は、ツールが主部上に配置されたときに窪みに入る3つのピンを有する。他にも多数の設計が可能である。しかし、ツールの第一端と主部との相補的な設計のために、摩擦圧接に必要なトルクが、摩擦圧接プロセス中にツールから主部に伝達され、本発明に係る接続要素が、部品にこのように接続されることが重要である。
【0022】
本発明のさらなる利点及び有利な実施形態は、以下の図面、その明細書及び特許請求の範囲に見られ得る。図面、その明細書及び特許請求の範囲に開示される特徴の全ては、個々に、及び、互いの任意の組合せに、の双方において本発明に不可欠であり得る。
【0023】
図面
【0024】
図面において:
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1a】
図1は、本発明に係る接続要素の主部の上方から見た図であり、
【
図3】
図3は、本発明に係る主部を貫通する断面図を示し、
【
図4】
図4は、本発明に係る主部の下方から見た図であり、
【
図8】
図8は、主部と機能部とを有する本発明に係る2部の接続要素を部分的に示し;
【
図9】
図9は、部品に圧接された2部の接続要素を示し;
【
図10】
図10は、接続要素を部品に接合するための、本発明に係るツールの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施形態の説明
【0027】
図1aは、本発明に係る接続要素の主部1の上方から見た図である。この実施形態では、主部1は、実質的に円形のディスク又は板体として設計される。前記主部は、中央に開口3を有する。主部1の上面には、円周上に分布する3つの円形の窪み5が、配置される。前記窪みは、摩擦圧接に必要なトルクを、相補的に設計及び配置されたツールの対応するピンで、ツールから主部1へ伝達するために使用される盲孔である(
図9参照)。
【0028】
摩擦圧接用のツールと主部1との間のトルク伝達のための別の代替案が、
図1bに示される:3つの縦溝又は窪み7が円形の外郭上に配置される。窪み7は、摩擦圧接用のツール上の対応するリブ又はピンとのインターロック係合を形成することができ、従って、必要なトルクをツールから主部1に伝達することができる。そのとき、第1の実施形態に係る窪み5は、省略できる。
【0029】
窪み5と溝7との両方を一つの主部に形成する必要はない。要素5又は7のうちの1つで一般的に十分である。主部1は、縦溝7と窪み5との両方によって、ツールに対して中心合わせすることができる。ただし、例えば、主部1の外郭とツールの補完的な設計とによって、主部1をツールに対して中心合わせすることもできる。
【0030】
また、主部1を円形に形成するのではなく、例えば、六角形や定幅図形(Gleichdick)(多角形)として形成することもできる。次いで、外郭は、回転対称ではなく、補完的な形状を有するツールによって、ツールから主部にトルクを伝達することができる。このとき、窪み5も縦溝7も不要である。これは、特に、汚染を受けにくい、主部1の円滑な外郭をもたらす。この実施形態の図示は省略する。
【0031】
図1a及び
図1bの破線の円形の線は、主部1の下面上のビード9及び窪み11を示す。ビード9及び凹部11の形態及び機能は、
図3及び
図4に関連して後でより詳細に説明する。
【0032】
図2は、本発明に係る主部1の側面図である。この側面図から、主部1のディスク状の基本構成が明らかである。ビード9は、主部1の下面上(
図2の下部)に明らかに確認できる。ビード9は、摩擦圧接のための圧接加算又は材料代として使用される。具体的には、主部1が摩擦圧接によって部品(不図示)に接続される場合には、主部1が、回転に設定され、同時にビード9が部品に押し付けられる。結果として生じる摩擦熱のために、ビード9の材料は、少なくとも部分的に軟らかく且つ可塑性になる。このプロセスが十分に進むと直ちに、回転が停止され、主部が、その液化した/可塑化したビード9と共に、ビード9の材料が再度固化するまで、部品に押し付けられる。
【0033】
図3では主部1が、断面図で示される。この図では、中心の開口3と3つの窪み5のうちの1つとが、明らかに分かる。窪み5には小さなリブ13が、形成される。それは、接合用ツールのピン(不図示)と共に圧入を生じるために使用される。そのとき、本発明に係る接続要素(主部1)と機能部(不図示)とは、部品に前記要素又は部が接合される前に、ツールから脱落しなくなる。
【0034】
主部1の下面上の凹部11は、
図3中に明らかに分かる。凹部11は、
図4から特に明らかに分かるように、円形の基本形状を有し、右側に平坦部15を有する;したがって、それは、回転対称ではない。この平坦部15は、機能部(不図示)の頭部との回転固定式インターロック接続をもたらすために使用される。
【0035】
ビード9の寸法、特にその高さ、幅、直径及び断面は、利用可能な圧接加算と摩擦圧接プロセスのパラメータとを決定する。ビード9の寸法は、用途の要求に応じて調整することができる。本発明に係る接続要素の、異なった用途への良好な適応性も、ここで明らかである。
【0036】
図示の実施形態では、ビード9は、比較的大きく、その結果、大量の材料が、摩擦圧接のために利用可能である。
【0037】
図4では主部1は、下から見た図に示される。この図から、平坦部15と共に凹部11の形が、特によく分かる。主部1の外郭は、
図4において17で示される。
【0038】
図5乃至
図7は、本発明に係る機能部19の2つの実施形態の異なる図である。
図5は、機能部19の第1の実施形態の上方から見た図である。
図5乃至
図7から分かるように、機能部19は、全ての実施形態において、頭部21、センタリング部23及びシャンク25を備える。
【0039】
上方から見た図(
図5)から特によく分かるように、頭部21は円形であり、平坦部27を有する。頭部21と平坦部27とは、主部1の下面上に平坦部15を備え、凹部11と相補的であり、その結果、頭部21が主部1に当接するまで、シャンク25が主部1の開口3を介して下方から押し込まれると、機能部19の頭部21と主部1との間に回転固定式インターロック接続が生じる。
【0040】
図示の実施形態では、機能部19は、(任意の)センタリング部23を備え、その寸法は、主部1の開口3の直径に適合される。機能部のシャンク25が開口を通して主部内に押し込まれると、センタリング部23と主部1の開口3との間にわずかな圧入が、好ましく生じる。これにより、機能部19が誤って主部1から再度脱落することが防止される。
【0041】
凹部11及び頭部21内の平坦部15及び27は、それぞれ、機能部19と主部1との間でのトルクの確実かつ効率的な伝達を保証する。トルク伝達は、図示の実施形態に限定されない。また、頭部21を介して、機能部19と主部1との間で、大きな軸力を伝達することもできる。
【0042】
図6において、機能部19のシャンク25は、スナップ接続の一部として設計される。シャンクは、対応するラッチフック又は対応する部品のスナップフック(不図示)とともに、前述のスナップ接続を形成する複数のアンダーカット29を備える。
【0043】
代替的な機能部19が、
図7中に例示される。このとき、シャンク25は、雌ネジを有する。センタリング部23と頭部21とは、
図6に係る実施形態と構造的に同一である。これは、
図6及び
図7に係る機能部19を代替的に同じ主部1で使用することができるという利点を有する。その結果、主部1を部品に接続するための摩擦圧接プロセスには何も変化がない。2部設計のため、さらに多数の機能部19(不図示)を同一の主部と組み合わせることもできる。機能部19の設計の自由度には、ほとんど制限がない。機能部19を主部1とは異なる材料から作製することもできる。
【0044】
図8は、本発明に係る接続要素の組立図を示す。接続要素31は、2部に形成される。既に述べたように、接続要素は、主部1及び機能部19を備える。開口3とセンタリング部23との間のわずかな圧入によって、機能部19が主部1から脱落しないようにすることができる。
【0045】
次いで、本発明に係る2部の接続要素は、接合用のツール上に配置され得、そして、上述の方法で摩擦圧接によって部品に接続され得る。
【0046】
図9は、
図8による接続要素を示しており、これは、摩擦圧接によって複合材料部品30に接続される。ビード9は著しく平坦で幅広くなっている。これは、摩擦圧接中に生じるビード9の塑性化及び変形の結果である。部品30と接続要素の主部1との接合面積は、摩擦圧接前のビード9の断面積よりもはるかに大きい。その結果、接続部の負荷容量は、非常に高い。既に述べたように、接合表面は、ビード9の寸法及び設計によって、非常に広い制限内で、個々のケースの要求に適合させることができる。
【0047】
図10は、接合のための本発明に係るツール31の実施形態を示す。それは、接続要素のシャンク25を収容する管状の本体33を備える。
【0048】
ツール31の第一端35は、主部1のための接触表面36として設計される。3本のピン37は、ツール31の端面に押圧されており、それらのうちの2本が見える。これらのピン37は、
図1aに係る主部1の窪み5内に移動し、従って、摩擦圧接に必要なトルクをツールから接続要素に伝達するのに適したインターロック接続をもたらす。
【0049】
駆動要素39は、第一端35の反対側の端部に設けられている。
図示の実施形態では、駆動要素39は、ツールホルダ内でクランプするための2つの平行な表面を有する円筒形のピンである。ツール31は、摩擦圧接するための装置の中で、前記駆動要素とクランプされる。
【0050】
参照符号のリスト
【符号の説明】
【0051】
1 主部
3 開口
5 窪み
7 縦溝
9 ビード
11 窪み/凹部
13 リブ
15 平坦部
17 外郭
19 機能部
21 頭部
23 センタリング部
25 シャンク
27 平坦部
29 アンダーカット
30 部品
31 ツール
33 管状の本体
35 第一端
37 ピン
39 駆動要素
41 雌ネジ