(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-27
(45)【発行日】2025-07-07
(54)【発明の名称】膜の音響信号ベース分析
(51)【国際特許分類】
G01N 29/04 20060101AFI20250630BHJP
G01N 29/44 20060101ALI20250630BHJP
G01N 29/27 20060101ALI20250630BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20250630BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20250630BHJP
H01M 4/64 20060101ALI20250630BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20250630BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20250630BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20250630BHJP
H01M 50/411 20210101ALI20250630BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20250630BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20250630BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20250630BHJP
【FI】
G01N29/04
G01N29/44
G01N29/27
H01M50/105
H01M50/403 Z
H01M4/64 Z
H01M50/121
H01M50/119
H01M50/129
H01M50/411
H01M4/04 Z
H01M4/66 A
H01M4/13
(21)【出願番号】P 2022567109
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2021031166
(87)【国際公開番号】W WO2021226388
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-26
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519157886
【氏名又は名称】リミナル・インサイト・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】LIMINAL INSIGHTS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・タッセル、バリー
(72)【発明者】
【氏名】キースリング、アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ビスワス、シャウロー
(72)【発明者】
【氏名】ドウ、シャン
(72)【発明者】
【氏名】シー、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジュズコウ、マーク
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-029084(JP,A)
【文献】特開2017-168353(JP,A)
【文献】特開2012-167959(JP,A)
【文献】特開平11-051917(JP,A)
【文献】特開2010-205678(JP,A)
【文献】特開2005-003382(JP,A)
【文献】特開2010-101656(JP,A)
【文献】特開昭53-083672(JP,A)
【文献】特開2016-176865(JP,A)
【文献】特開2013-044536(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0164383(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0223498(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0094189(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0207274(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0197382(US,A1)
【文献】特表2018-537682(JP,A)
【文献】特開2017-020863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
G01H 1/00-17/00
G01B 17/00-17/08
H01M 4/00-4/98
H01M 50/00-50/77
H01M 10/00-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響信号ベース
の分析の方法であって、
バッテリー製造プロセスの一部としての電極生産ステップの期間中に少なくとも一つの音響励起信号をバッテリーシートの少なくとも一部の中に送信すること、
前記少なくとも一つの音響励起信号を前記バッテリーシートの前記少なくとも一部の中に送信することに応じて、音響応答信号データを受信すること、
前記音響応答信号データに基づいて、前記バッテリーシートに関連する少なくとも一つの計量を決定すること、及び
前記バッテリーシートに関連する前記少なくとも一つの計量を
、少なくとも一つの参照バッテリーシートに対して以前に決定された、対応する
少なくとも一つの参照計量と比較することに基づいて、前記バッテリーシートの一つ以上の
物理的特性を決定すること、
を具備し、
前記音響信号ベース
の分析は、前記電極生産ステップとインラインで行われ、
かつ、前記バッテリーシートの第1の面及び第2の面にコーティングが適用された後に、前記バッテリーシートの第1の面及び第2の面に対して行われ、および
前記バッテリー製造プロセスは、前記バッテリー製造プロセスの完了前に前記電極生産ステップに続く複数のステップを含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つの音響応答信号データを受信することは、
前記バッテリーシートの二つ以上の部分が、(i)時間内の二つ以上の時点で少なくとも一つのトランスデューサに接触するか、又は(ii)前記少なくとも一つのトランスデューサの閾値近傍内になるように、前記バッテリーシートを移動することによって、前記少なくとも一つのトランスデューサによって、時間内の二つ以上の時点で、前記バッテリーシートの前記二つ以上の部分から前記音響応答信号データを取得することを具備する、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記バッテリーシートは(i)一つ以上のローラーと(ii)一つ以上の楔との少なくとも一つを使用して移動され、前記一つ以上のローラーの少なくとも一つは前記少なくとも一つのトランスデューサを収容している状態であり、前記一つ以上の楔の少なくとも一つは前記少なくとも一つのトランスデューサを収容している状態である、
請求項2の方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つの音響励起信号は導波路を用いて送信されるか、又は
前記音響応答信号データは前記導波路を用いて受信されるかの少なくとも一方であり、前記導波路は前記シートを移動するための一つ以上の楔又は一つ以上のローラー内に配置されている、
請求項2又は3の
いずれかの方法。
【請求項5】
前記バッテリーシートの2次元の領域を横切った前記バッテリーシートの音響信号ベースの空間分析に基づいて、前記音響応答信号データを取得することを更に具備する、請求項1乃至4のいずれかの方法。
【請求項6】
前記少なくとも一つの計量は、
前記バッテリーシート及び前記
少なくとも一つの参照バッテリーシートを通過する音響信号の飛行時間のシフト、
損傷を被った試料及び前記
少なくとも一つの参照バッテリーシートを具備する前記バッテリーシートに行われた前記音響信号ベース
の分析に基づいた音響信号データの類似性又は非類似性、
重心周波数、
スペクトル中心、
第1のトラフマグニチュード対重心周波数広がり、
信号強度、又は
前記音響信号データの二乗平均平方根振幅の少なくとも一つ以上を具備する、
請求項1乃至5のいずれかの方法。
【請求項7】
前記バッテリーシートはバッテリーに使用されたセパレータであり、及び、
前記一つ以上の特性は、
損傷を受け、穴を有し、裂け目を有し、又は折り重なる、セパレータの一つ以上の部分、
ポリマー凝集体、大型ポア、又は汚染粒子を含んでいる一つ以上の製造不均等性、
多孔性、
質量負荷
厚さ、又は
均一性の少なくとも一つを具備する、
請求項1乃至6のいずれかの方法。
【請求項8】
前記バッテリーシートは、前記バッテリーに使用された電極であり、及び、
前記一つ以上の特性は、
カレンダーされた
又はカレンダーされてない電極コーティングの多孔性、局所密度、質量負荷、ポリマー凝集体、又は粒子サイズ分布における不一致、
活性材料と導電性添加物とバインダーとの間の結合、
ボイド、スクラッチ、又はクラックを具備している損傷、
バブルと、金属又は非金属の粒子を含んでいる汚染粒子とを具備している異物含有物、
電極コーティングの層間剥離又はフレーキング、
電極コーティングと金属集電体との間の剥離、
集電体とコーティングとの間の結合、又は
多孔性又は密度の表面変動の少なくとも一つを具備する、
請求項1乃至7のいずれかの方法。
【請求項9】
前記音響信号ベース
の分析は、
コーティングが適用される前の薄膜に前記音響信号ベース
の分析を行うことによって、前記薄膜は前記バッテリーシートであること、
前記薄膜の第1の面にウエットスラリーコーティングが適用され次第、前記薄膜の前記第1の面に前記音響信号ベース
の分析を行うことによって、
前記薄膜の第2の面にウエットスラリーコーティングが適用され次第、前記薄膜の前記第2の面に前記音響信号ベース
の分析を行うことによって、及び
前記薄膜の前記第1の面及び前記第2の面の上の前記ウエットスラリーコーティングが乾燥炉内で乾燥され次第、前記薄膜の前記第1の面及び前記第2の面に前記音響信号ベース
の分析を行うことによって、
前記電極生産ステップの期間中に前記バッテリーシートに対して行われる、
請求項1乃至8のいずれかの方法。
【請求項10】
前記バッテリーシートはバッテリーパウチパッケージングであり、及び
前記一つ以上の特性は、
セルの漏れをもたらすピンホール又は不適切密封を含んでいる損傷、又は
ポリマー溶解粘着層、ナイロン保護層、アルミニウムホイル層、又はPET保護層の非一貫性な、不均一な又は欠落した領域を含んでいる損傷を具備する、
請求項1乃至9のいずれかの方法。
【請求項11】
前記バッテリーシートは集電体であり、及び
前記一つ以上の特性は、
電極コーティングが適用される前、電極活性材料が塗られた後、乾燥後、又はカレンダー後において、前記集電体中の一つ以上の折り重なり、クラック、穴、及び湾曲を具備する、
請求項1乃至10のいずれかの方法。
【請求項12】
前記
少なくとも一つの参照バッテリーシートの一つ以上の参照計量に対応する前記バッテリーシートに関連する前記一つ以上の計量の比較のために前記少なくとも一つの計量を薄膜品質インデックス
にまとめることを更に具備している、請求項1乃至11のいずれかの方法。
【請求項13】
前記バッテリーシート及び前記
少なくとも一つの参照バッテリーシートは、それぞれ単面コーティングされた一つ以上のカソード又はアノード、集電体、又は両面コーティングされた電極を具備する、請求項1乃至12のいずれかの方法。
【請求項14】
バッテリー製造プロセスの一部としての電極生産ステップとインラインで音響信号ベース
の分析を行うように構成された装置であって、
前記電極生産ステップとインラインで設置された複数のトランスデューサと、
コンピュータ読み取り可能な命令が格納された一つ以上のメモリと、
前記複数のトランスデューサと通信的に結合されたプロセッサであって、
バッテリー製造プロセスの一部としての電極生産ステップの期間中に少なくとも一つの音響励起信号をバッテリーシートの少なくとも一部の中に送信し、
前記少なくとも一つの音響励起信号を前記バッテリーシートの前記少なくとも一部の中に送信することに応じて、音響応答信号データを受信し、
前記音響応答信号データに基づいて、前記バッテリーシートに関連する少なくとも一つの計量を決定し、および
前記シートに関連する前記少なくとも一つの前記計量を
、少なくとも一つの参照バッテリーシート
に対して以前に決定された、対応する一つ以上の参照計量と比較することに基づいて、前記シートの一つ以上の特性を検出し、
前記音響信号ベースの分析は、前記電極生産ステップとインラインで行われ、かつ、前記バッテリーシートの第1の面及び第2の面にコーティングが適用された後に、前記バッテリーシートの第1の面及び第2の面に対して行われ、および
前記バッテリー製造プロセスは、前記バッテリー製造プロセスの完了前に前記電極生産ステップに続く複数のステップを含む、装置。
【請求項15】
バッテリー製造プロセスの一部としての電極生産ステップとインラインで音響信号ベース
の分析を行うように構成された装置によって実行されると、
前記装置に、
少なくとも一つの音響励起信号を後にバッテリーの部品として使用されるバッテリーシートの少なくとも一部の中に送信させ、
前記少なくとも一つの音響励起信号を前記バッテ
リ-シートの前記一部の中に送信することに応じて、音響応答信号データを受信させ、
前記音響応答信号データに基づいて、前記バッテリーシートに関連する少なくとも一つの計量を決定させ、及び
前記バッテリーシートに関連する前記少なくとも一つの前記計量を
、少なくとも一つの参照バッテリーシート
に対して以前に決定された、対応する一つ以上の参照計量と比較することに基づいて、前記シートの一つ以上の特性を決定させ、
前記音響信号ベースの分析は、前記電極生産ステップとインラインで行われ、かつ、前記バッテリーシートの第1の面及び第2の面にコーティングが適用された後に、前記バッテリーシートの第1の面及び第2の面に対して行われ、および
前記バッテリー製造プロセスは、前記バッテリー製造プロセスの完了前に前記電極生産ステップに続く複数のステップを含む、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年5月6日に出願された“膜の音響信号ベース分析”と題する米国出願第17/313,878号の優先権の利益を主張し、それは2020年0115月6日に出願された“バッテリーで使用するための膜の音響信号ベース分析”と題する米国仮特許出願63/020,797に対するU.S.C.§119(e)下の利益を主張し、その内容は参照によりあらゆる目的のために本明細書に完全に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
開示された態様は、電気化学的システムに用いられる薄膜、被覆層、及び他の材料の検査及び診断に関する。より具体的には、例態様(example aspect)は、セパレータ、電極、及び他のバッテリーセルの部品に用いられる、薄膜、コーティング、メンブレンの音響信号ベース分析(acoustic signal based analysis)に関する。
【背景技術】
【0003】
家電用電化製品、自動車、クリーンエネルギー、その他などの様々な産業からのバッテリーセルの需要の高まりのために、バッテリーセルの製造の要求は増加している。薄膜及びコーティングは、エレクトロニクス、航空宇宙、医療用機器、その他などの多くの産業で広く使用され、そしてまたバッテリーセルにおいて重要な役割を果たす。例えば、薄膜は、電極、セパレータ、及びバッテリーセルの異なるタイプの部品に用いられ得る。異なるバッテリーセル用途に用いられる薄膜及び被覆層の特性の一貫性及び品質を維持することは重要である。例えば、薄膜の一貫性及び均一性は、リチウムイオンバッテリー(LIB)、リチウム金属バッテリー(LMB)、その他などのバッテリーの電極の製造期間中において重要な事項である。LIB/LMBの製造のいくつかの例では、活性アノード及びカソード電極材料はスリラー中で形成され、そして、金属の集電体シートの網の上にコーティング又は広げられ、それからベーク及び乾燥される。金属の集電体シート上にスラリーを均一にコーティングすることは、LIB/LMBの適切な機能及び長寿の要因である。金属の集電体上にスラリーを広げると、金属の集電体シートは、“カレンダー(calendering)”と呼ばれるプロセスを通じて圧縮され、電極の所望の厚さ、かさ密度(bulk density))、及び電極の多孔性(porosityを得る。したがって、バッテリー製造を改善する別の目的は、カレンダープロセスを正しく実行することを含む。
【0004】
電極コーティングの品質を検査するための現在の方法は、電極コーティングの密度及び厚さを測定することに限定されている。いくつかの従来の検査方法において、抵抗率測定は、電極コーティングパラメーターの情報を提供するためにコーティングされた電極に行われる。他の従来の検査方法において、マクロスケールのかき跡又は粒子凝縮を検査するために光学的方法が用いられ得る。電極コーティング特性を研究するために、X線断層撮影法及び電子顕微鏡法もまた(主に研究開発セット又は実験室環境において)用いられている。
【0005】
しかし、これらの検査方法は、時間がかかり、そして、大量のエネルギー大量消費である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面は、本開示の様々な態様の説明を助けるために提示され、限定ではなく例証のためにのみ提供される。
【0007】
【
図1】
図1は、この開示の態様による、試料の音響信号ベース分析のための装置を例証する。
【0008】
【
図2A】
図2Aは、この開示の態様による、薄膜試料の音響信号ベース分析のためのローラーの使用を例証する。
【0009】
【
図2B】
図2Bは、この開示の態様による、薄膜試料の音響信号ベース分析のためのローラーの使用を例証する。
【0010】
【
図2C】
図2Cは、この開示の態様による、薄膜試料の音響信号ベース分析のためのローラーの使用を例証する。
【0011】
【
図2D】
図2Dは、この開示の態様による、薄膜試料の音響信号ベース分析のためのローラーの使用を例証する。
【0012】
【
図3A】
図3Aは、この開示の態様による、音響信号ベース分析を使用して試料中の欠陥を検出に用いられる様々なモード及び構成のトランスデューサを例証する。
【0013】
【
図3B】
図3Bは、この開示の態様による、音響信号ベース分析を使用して試料中の欠陥を検出に用いられる様々なモード及び構成のトランスデューサを例証する。
【0014】
【
図4A】
図4Aは、この開示の態様による、品質スコアを使用して、欠陥を検出、かつ、損傷を被った試料を初期状態の試料(pristine sample)と比較するためのローラー内のトランスデューサの使用を例証する。
【0015】
【
図4B】
図4Bは、この開示の態様による、品質スコアを使用して、欠陥を検出、かつ、損傷を被った試料を初期状態の試料と比較するためのローラー内のトランスデューサの使用を例証する。
【0016】
【
図5A】
図5Aは、この開示の態様による、薄膜試料の音響信号ベース分析に用いるローラーを有するホルーダシステムを例証する。
【0017】
【
図5B】
図5Bは、この開示の態様による、薄膜試料の音響信号ベース分析に用いるローラーを有するホルーダシステムを例証する。
【0018】
【
図6】
図6は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された波形を例証する。
【0019】
【
図7】
図7は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得されたフーリエ変換を例証する。
【0020】
【
図8】
図8は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、トラフ値(trough values)及び重心周波数を例証する。
【0021】
【
図9】
図9は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、損傷を被ったカソード及び初期状態の(pristine)カソードに対しての平均波形を例証する。
【0022】
【
図10】
図10は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、損傷を被ったカソード及び初期状態のカソードに対しての平均フーリエ変換を例証する。
【0023】
【
図11】
図11は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、損傷を被ったカソード及び初期状態のカソードに対しての重心周波数を例証する。
【0024】
【
図12】
図12は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、損傷を被ったカソード及び初期状態のカソードに対しての平均波形を例証する。
【0025】
【
図13】
図13は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、損傷を被ったカソード及び初期状態のカソードに対しての平均フーリエ変換を例証する。
【0026】
【
図14】
図14は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、損傷を被ったカソード及び初期状態のカソードに対しての重心周波数を例証する。
【0027】
【
図15】
図15は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、損傷を被ったカソード及び初期状態のカソードに対しての平均波形を例証する。
【0028】
【
図16A】
図16Aは、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、カソードに対しての波形を例証する。
【0029】
【
図16B】
図16Bは、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、カソードに対しての波形を例証する。
【0030】
【
図17】
図17は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、カソードに対しての重心周波数を例証する。
【0031】
【
図18】
図18は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、両面コーティングされたカソードに対しての波形を例証する。
【0032】
【
図19】
図19は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、両面コーティングされたカソードに対しての重心周波数を例証する。
【0033】
【
図20】
図20は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、損傷を被ったアノード及び初期状態のアノードに対してのフーリエ変換を例証する。
【0034】
【
図21】
図21は、この開示の態様による、カソード試料の音響信号ベース分析から取得された、損傷を被ったアノード及び初期状態のアノードに対して重心周波数を例証する。
【0035】
【
図22】
図22は、この開示の態様による音響信号ベース分析のための電極ストリップ(electrode strip)をスイープするためのシステムを例証する。
【0036】
【
図23】
図23は、この開示の態様による、音響信号ベース分析のための電極ストリップをスイーピすることに基づく第1のトラフマグニチュード(trough magnitude)及び重心周波数を例証する。
【0037】
【
図24】
図24は、この開示の態様による、音響信号ベース分析のための電極ストリップをスイーピすることに基づく第1のトラフマグニチュード及び重心周波数を例証する。
【0038】
【
図25】
図25は、この開示の態様による、電極ストリップの空間分析を行うためのシステムを例証する。
【0039】
【
図26】
図26は、この開示の態様による、電極ストリップの空間分析から取得された重心周波数を例証する。
【0040】
【
図27】
図27は、この開示の態様によるシステムを用いて電極ストリップの空間分析から取得された重心周波数を例証する。
【0041】
【
図28】
図28は、この開示の態様による、誘導波を使用する電極ストリップの音響信号分析に用いられるシステムを例証する。
【0042】
【
図29】
図29は、この開示の態様による音響信号ベース分析の例方法である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示の態様は、以下の説明及び関連のある図面に開示される。別の態様は、本開示の範囲を逸脱せずに案出し得る。また、本開示の周知の要素は、本開示の周知の要素は、詳細には説明されないか、又は省略される。
【0044】
用語“見本(exemplary)”は、“例(example)、事例(instance)、又は例証(illustration)としての役割を果たすこと”を意味するために、本明細書では使用される。本明細書で使用される“見本”は、他の態様に対して好ましい又は有利であるとは必ずしも解釈されるものではない。同様に、用語“本開示の態様”は、本開示の全ての態様が説明された特徴、利点又は動作モードを含むことを要求するものではない。
【0045】
本明細書に使用される術語は、特定の例のみを説明する目的のものであり、本開示の態様を限定することは意図していない。本明細書に使用されるように、“1つ(a)”、“1つ(an)”及び“その(the)は,文脈から明らかにそうでないことが示されていなければ,複数のものを含むものとする。更に、本明細書中で、用語”具備する“、”具備すること“、”含む“及び/又は”含むこと“が用いられるときは、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は部品の存在を明記するが、一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、部品及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことは理解されるべきである。
【0046】
更に、多くの態様は、実行される動作の順序、例えば、コンピューティングデバイスの要素の点から説明される。本明細書に記載された様々な動作は、特定の回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASICs))によって、一つ以上のプロセッサで実行されるプログラム命令によって、又はそれらの組み合わせによって実行できることが認識されるだろう。その上、本明細書に記載されたこれらの動作の順序は、本明細書に記載された機能を関連するプロセッサに実行させる、対応する一組のコンピュータ命令が格納されている、任意の形式のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体内で完全に体現できると考えられる。したがって、本開示の様々な態様は多くの異なる形式で体現でき得り、その全ては特許請求された主題の範囲内であると解釈される。また、本明細書に記載された態様のそれぞれについて、任意のそのような態様の対応する形式は、例えば、記載された動作を行うように“構成されたロジック”のように本明細書に記載され得る。
【0047】
この開示の例態様において、システム、技術、及びコンピュータ実装プロセスは、バッテリーの薄膜、電極コーティング、及び他の部品の音響信号ベース分析のために開示される。例えば、材料の超音波励起によって取得された信号のデータ分析は、電極コーティングパラメーター、分析セパレータ、及び他の電気部品を分析するために使用される。電極コーティング組成物パラメーター又は品質計量(quality metric)は、
・バインダーへの活性材料(active materials)の一様な分布
・一様な質量負荷及び密度
・無凝集
・一様な粒子サイズ分布
・一様な多孔性及びねじれ
・集電体への材料の良好な粘着(adhesion)
・最小の(表面及びサブ表面上の)ひび及び欠陥
・一様な熱及び電気伝導率
を含むことができる。
【0048】
これらの組成物パラメーター又は品質計量は、一般には電極、セパレータ、薄膜、及び/又は集電体上のコーティングに関連する状態を決定するために、一つ以上の回路(circuitry)によって測定及び分析されることができる。一般的な例として、理想的な組成物パラメーター又は品質計量からの偏差(deviations)は、試料薄膜からの測定の理想試料(例えば、初期状態の、公称の、又は予期された組成物パラメーター又は品質計量を備えた薄膜)からの測定との比較に基づいて、基づいて決定されることができる。
【0049】
いくつかの例では、バッテリー製造及び生産において開示された技術を用いることは、ダメージ又はスクラップされたバッテリーセルの廃物の低減を導くことができ、そして生産時間を短縮する。効率的かつ迅速なバッテリー診断方法は、バッテリーの品質、寿命、及び製造プロセス効率を高めるために重要である。更に、エネルギーコスト(例えば、キロワット時間(kWh)当たりの価格)を低減すること及び再現性を改善することは、バッテリー及びバッテリー部品の製造及び生産に関してのいくつかの目的である。一例として、バッテリーの監視及び診断方法は、長ったらしい生産プロセス時間に関連するコストを削減する(それよって生産に要するエネルギー量の低減)、及び更に無駄にされた/損傷を被ったバッテリー部品に関連するコストを低減する。
【0050】
開示されたプラットフォームは、中性子イメージング、X線に基づいた方法、分解解析、その他などの従来技術の欠点を克服不すると同時に、バッテリーセル及びその部品の物理的特性、組成物パラメータ、及び/又は品質計量を非侵襲、効率的かつ能率化なアプローチで評価するために、超音波及び信号処理を用いることができる。更に、開示された技術は、動作期間中、例えば、充電-放電中サイクル中のバッテリーを分析するために用いることができる。いくつかの例では、動作中のバッテリーの空間イメージング(spatial imaging)を取得することができ、リチウムめっきなどの劣化プロセス(degradation processes)の手がかり、及び劣化の始まり及び程度などの貴重な情報を提供する。開示された技術は、バッテリー形成プロセスの終了の情報を明らかにするために、電解液充填を評価するための技術と連動して用いることもでき、したがって、損傷に起因してスクラップされているかもしれないセルを救済する機会を与える。
【0051】
例態様において、診断技術は、上記の通りに、バッテリー電極及び他のバッテリー部品を評価するために用いることができる。リチウムイオンバッテリー(LIBs)の場合、電極材料は、グラファイト、シリコン化合物及び(例えば、バッテリーアノード用の)合金などの活性材料、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、リチウムネッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)、リチウムコバルト酸化物(LCO)、リチウムリン酸鉄(LFP)、リチウムマンガンスピネル酸化物(LiMn2O4)、(例えば、バッテリーカソードのための)その他などの活性材料の混合物、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、SBR及びCMCなどのバインダー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ又は(例えば、電極の電導性又は安定性を改善するための)界面活性剤などの添加物の混合物を含むことができるが、それらには限定されない。これらの材料は、ミキシングと呼ばれるプロセスにおいて、アノード用の水及びカソード用のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの溶媒と混合される。ミキシングから取得したスラリーを集電体上に塗って、電極を形成する。スラリーは非常に粘性があるので、適切なコーティングは複雑かつ困難なプロセスである。その結果、電極コーティングは、組成物において著しい相違を示し得る。組成物の相違を検出すること、そして、それに応じてより同質の電極を作ることは、増大したバッテリー寿命及び経年変化の低減につながる。更に、バッテリーコストの相当の割合(例えば、75%又は閾値割合)は、材料コストであることがあり、それは生産チェーンをまたがる廃棄されたセルに関して無駄を低減できることを意味する。
【0052】
LIBの他の部品の中でも、以下の薄シート(thin-sheet)部品:集電体、電極コーティング、セパレータ、及び外装パッケージ構成要素は、LIBを構成すると考えることができる。したがって、これらの薄シートの任意の一つが不均一性、損傷、汚染、異物含有物、コーティング基板剥離、又は不適切な/漏れやすいパッケージングなどの品質問題を被ると、バッテリーの安全性及び特性は重度に障害されることがある。バッテリー生産の期間において、インライン監視及びそれらの品質問題の早期捕捉は、破棄比率を下げるために望ましく、それは次にLIBsに対する生産コストを劇的に低減する。
【0053】
LIBsの薄シート部品におけるこれらのほとんどの品質問題は物理的異常として現れるので、開示された音響測定はインライン検査メトロロジーとしてふさわしい。以下の例は、本開示で提供された薄シート検査技術を例証する。
【0054】
セパレータにおける検出問題は以下の非限定的な例を含むことができる;
・材料の取り扱い期間中又はセル生産の期間中に受けた、穴、裂け目(tears)、又は折り重なり(folds)などの損傷を被ったセパレータの部分の検出;
・ポリマー凝集体、大型ポア、又は汚染粒子のような生産不均質性の検出。この種の生産不均質性に起因するセパレータに関連する欠陥は、過剰なウェブ張力が適用されたとき又は製造セットアップが適切な洗浄度を持たないときなどの不適切な材料の取り扱いによっておこることがある;
・セパレータの束及びロールを横切ったセパレータの多孔性及び均一性に基づくセパレータの特性決定/品質評価。
【0055】
これらのセパレータ問題は、一つ以上のセパレータが損傷を受け、穴を有し、又は折り重なりを有していることを示している物理的損傷状態、一つ以上のセパレータがポリマー凝集体、大型ポア、又は汚染粒子を有していることを示している不均質性状態、及びセパレータの不均一な多孔性、セパレータの不適切な質量負荷、セパレータの不正確な厚さ、又はセパレータの不均一性を示している不適切なカレンダー状態な(calendering condition)どの音響応答信号に基づいて、セパレータに関連する状態を決定するように構成された処理回路(circuitry)によって特に検出することができる。
【0056】
バッテリー電極内で検出できる実例問題は、
・多孔性、局所密度、質量負荷、粒子凝集、及び粒子サイズ分布における、ウエット及びドライ、カレンダーされた又は/及びカレンダーされてない電極コーティングの不一致(inconsistency);
・ボイド(voids)、ストリーク(streaks)、スクラッチ(scratches)、又はクラック(cracks)などの損傷;
・バブル及び(金属及び/又は非金属の)汚染粒子などの異物含有物;
・電極コーティングの層間剥離(delamination)又はフレーキング(flaking);
・電極コーティングと金属集電体との間の剥離(debonding);
・集電体とコーティングとの間の粘着;
・光学及び他の検査方法では検出されない可能性のある、サブ表面の多孔性又は密度の変動を含むが、これらには限定されない。
【0057】
これらのバッテリー電極問題は、多孔性、局所密度、質量負荷、粒子汚染、又は粒子サイズ分布における不一致(inconsistencies)を示している不適切なカレンダー状態などの音響応答信号に基づいて、電極に関連する状態を決定するように構成された処理回路(circuitry)によって特に検出することができる。音響応答信号に基づいて処理回路(circuitry)によって検出することができる他の状態は、活性材料と導電性添加物とバインダーとの間の弱まった結合(cohesion)を示している不適切な結合状態と、電極に関連するボイド、スクラッチ、又はクラックを具備する損傷を具備する損傷状態と、バブル、及び電極に関連する金属又は非金属の粒子を含んでいる汚染物質を示している異物含有状態と、電極のコーティングの剥離又は剥落(flaking)を示している層間剥離(delamination)状態と、電極のコーティングと金属集電体との間の損なわれた結合を示している剥離(debonding)状態とを含む。
【0058】
バッテリーパウチパッケージング(battery pouch packaging)における問題を検出することは、アルミホイル-ポリマ-ラミネートを封止しているセルの漏れをもたらすピンホール又は不適切な密封のような損傷の検出を含むことができる。いくつかの損傷は、ポリマー溶解粘着層(典型的にはDNP当たりのPP/PPa製品パンフレット)、ナイロン保護層、アルミニウムホイル層又はPET保護層の非一貫性(inconsistent)な、不均一な又は欠損の表面を含むことができる。したがって、複数の層の全てにピンホールがないとしても、ポリマー粘着層の非一貫性な、不均一な又は欠落した領域は、例えば、封止エッジ領域内にある場合、パウチセルの封止の完全性が損なわれ得る。上記の問題は、アルミニウムホイルのみにピンホールがあり、ポリマー層にはピンホールがない場合でも見られる。
【0059】
現行の集電体に検出される可能性がある問題は、電極コーティングが適用される前、電極活性材料がコーティングされた後、乾燥後、カレンダー後の集電体中の折り重なり、クラック、穴、及び湾曲を含む。
【0060】
上記の問題を検出し、そして関連する仕事を行うために、開示された技術は、以下の音響信号ベースの波形の分析及び分類のための方法の一つ以上を使用し得る。
・時間領域、周波数領域、時間周波数領域、又はウェーブレット領域内において音響信号を分析すること;
・分析に関する参照波形を用いて波形(waveforms)又はその一部(parts)を比較すること;
・時間領域、周波数領域、時間周波数領域、又はウェーブレット領域などから抽出された特性(characteristic feature)を参照データから取得された対応する特性と比較すること;
・試験信号(例えば、損傷した、電極シートなどの薄シートから獲得した信号)と参照信号(例えば、初期状態の、電極シートなどの薄シートから取得した信号)との間の相違計量(dissimilarity metrics)を抽出及び分析すること、ここで、相違計量は、飛行時間(time-of-travel)、周波数成分、振幅、スペクトログラムなどの信号特性に関しての試験信号と参照信号との間の相違に基づいた計量を含む。
・関連する音響計量を薄シート品質インデックスなどのインデックスにまとめ、それは上記の試験及び分析を用いて取得した薄シートの品質の度合い(measure)を提供する。様々な例において、薄シート品質インデックスは、二次元(2D)マップ(例えば、異なる軸上の異なる計量に対してプロットされた薄シート品質インデックスを用いて)、一次元(1D)プロット(例えば、時間上の薄シート品質インデックスの時系列変化)などの様々な視覚表示を用いて提供することができる。製品セッティング(production settings)において、薄シート品質インデックス中の予期しない逸脱又は異常に基づいて警告を発生することができ、ここで、例えば、警告は、生産段階の期間中における薄シート中の可能性のある損傷を速く特定し、そして潜在的に可能な修正を支援することができる。
【0061】
上に言及した分析を行うための実例システム及び技術は、以下のものを含むことができる。
・0.02MHzを超える周波数の超音波の使用;
・ 薄シート試料との接触又は非接触のモードを含むモードを通じての超音波を用いた薄シートの測定;
・広帯域共鳴スイーピモード又は単一周波数伝送モードでの薄シート試料の測定;
・固体接触媒質、液体接触媒質、又はそれらの組み合わせを用いた、トランスデューサの薄シート試料への接続;
・トランスデューサ、カウンターピースの圧縮、ホイル張力を用いる圧縮を作動する空気力学(pneumatics)などのプレス技術を用いるトランスデューサの薄シート試料への取り付け;
・連続的又は不連続的に行われる音響測定プロセス;
・超音波のソース及びレシーバとしての指先(fingertip)又はローラートランスデューサの使用
・目的とする領域上の全体又は選択的な収束(focusing)としての電極(electrodes)の分析;
・所望の空間分解能及び測定速度までトランスミッタ及びレシーバのセンサを薄シート試料を横切ってラスタ走査すること;
・薄シート試料の完全又は一部の範囲を取得するための一つ以上の単素子音響センサ又は一つ以上の超音波/トランスデューサのアレイの使用;
・電極又はバッテリー部品の品質を評価するための協力したある範囲内の技術(technologies)の使用。このような技術は、被覆された電極と接触するローラーの中に埋め込まれたセンサを有することができ、又は被覆された膜(films)をそれらが通り過ぎるときに分析する非接触のセンサとすることができる。これらの方法の例は、
〇 膜及びコーティングなどの品質及び組成物を評価するための超音波に基づいた分析方法;
〇 膜/コーティングの導電率、低効率などの測定するための4点プローブ;
〇 薄膜試料の応力/ひずみを測定するためのひずみゲージセンサ;
〇 膜/コーティングの厚さを評価するための光学測定;
〇 膜/コーティングの質量負荷及び被覆重量(coating weight)を評価するためのベータ線センサ;
〇 膜品質及びコーティング中の不純物を評価するための熱イメージングを含む。
【0062】
図1は、この開示による音響信号を用いて試料102を分析するための一例のシステム100を示す。試料102は、薄膜、セパレータ、電極材料、被覆シート、集電体などの任意の適切なバッテリー部品を含むことができる。システム100(装置100)は、送信トランスデューサTx104又は励起音信号をバッテリーセル又は部品中に送信するための(例えば、超音波又は他の音響波の一つのパルス又は複数のパルス又、振動、共振測定などをバッテリーセルを介して送信するための)他の手段を含むことができる。システム100は、Txトランスデューサ104によって送信された音信号から生成された応答信号を受信できる、受信トランスデューサRx106又は音信号を受信/感知するための他の手段を更に含むことができる。Txトランスデューサ104が設置された試料102の一つの側からの、Txトランスデューサ104から送信された信号は、入力励起信号を含み得る。例えば、試料102の別の側からの反射信号は、エコー信号を含み得る。応答信号への参照は、入力信号及びエコー信号の両方を含み得ると理解される。更に、Txトランスデューサ104はまた応答信号を受信するように構成され得り、そして、同様に、Rxトランスデューサ106はまた音響信号を送信するように構成され得る。したがって、Tx及びRxは分かれて例証されているといえども、これらのトランスデューサの機能は、音響信号を送信及受信する両方のためのものであり得る。いくつかの例では、明確には例証されてはいないが、一つ以上のTxトランスデューサ及び一つ以上のRxトランスデューサは、試料102の同じ面又は壁に、又は試料102の異なる(例えば、反対側の)面又は壁に設置することができる。
【0063】
音響パルサ/レシーバ108は、音響信号(例えば、超音波信号)の送信及び応答信号の受信を制御するために、Tx及びRxトランスデューサ104及び/又は106に結合されることができる。音響パルサ/レシーバ108は、送信された信号の振幅、周波数、及び/又は信号特徴(signal features)を調整するためのコントローラー(ここでは分かれて例証されていない)を含み得る。このようなコントローラーは、遠隔制御及び/又は自動制御のために、手動で調整され得り、又はプロセッサ(例えば、プロセッサ10)に通信的に結合され得る。音響パルサ/レシーバ108はまた、Rxトランスデューサ106から信号を受信し得る。いくつかの例では、Txトランスデューサ104を介して励起信号を送信するための音響パルサ/レシーバ108は、Rxトランスデューサ106からの信号を受信するためのレシーバと通信するための分離ユニットであることができる一方、いくつかの例では、音響パルサ/レシーバ108は、結合されたユニットとして構成され得る。本開示によれば、音響パルサ/レシーバ108と通信するプロセッサ110は、応答信号波形を格納及び分析するように構成され得る。典型的には単一のプロジェクトとして示されているが、プロジェクト110は、遠隔プロセッサ、クラウドコンピューティング基盤を含む、一つ以上のプロセッサを含むことができる。
【0064】
図1には明示的には示されてはいないが、一つ以上のTxトランスデューサ及び/又は一つ以上のRxトランスデューサは、試料102を横切って一つ以上の空間的位置に設置することができる。複数のTx/Rxトランスデューサを使用することは、試料102を横切って音響信号特徴の空間的変動を調査することを可能にすることができる。マルチプレクサは、送信される励起信号と受信される応答信号とを分離し、及びチャネリングするために、音響パルサ/レシーバと通信するように構成することができる。更に、いくつかの例では、バッテリーサイクラーは、バッテリーの動作の期間中、例えば、種々の充電条件又は充電の状態下で、試料102を調査するための試料102を具備するバッテリーを充電及び放電するために使用することができる。いくつかの例では、Txトランスデューサ104とRxトランスデューサ106と試料102との間の接触を作り、又は強めるために、様々な接触媒質(例えば、固体、液体、又はそれらの組み合わせ)を用いることができる。更にまた、様々な取り付け機構(例えば、空気圧(pneumatic)、圧縮、スクリューなど)もまた、Txトランスデューサ104とRxトランスデューサ106と試料102との間の接触を築く又は強めるために、使用することができる。
【0065】
いくつかの例では、一つ以上の参照バッテリーセルを用いて、参照モデルを生成することができる。音響信号の一つ以上のトランスミッタ及び一つ以上のレシーバの選択された装置は、一つ以上の参照バッテリーの音響信号分析のために使用することができる。いくつかの例では、一つ以上の計量のセットは、他の試料を計測するための基準となる参照モデルを生成するために使用してもよい。例えば、参照モデルを生成するために、一つ以上の音響信号特徴の選択された組み合わせ、及びオプションとして、参照バッテリーのための一つ以上の非音響データ点(ここでは、計量の組み合わせは、一定期間にわたっての単一の時間における例(instance)、又は2以上の時間における例が収集され得る)が使用され得る。試験試料の対応する計量は、参照モデルの計量に対して測定され及び比較される。計測又は比較は、試験試料のある特性の参照モデルのそれからのずれを明らかにすることができる。これらのずれは、試験試料の一つ以上の状態を決定、見積もり、又は予測するために用いることができる。参照モデルと同様に計量は、試験試料からより多くのデータが取集されるにつれて動的にアップグレードすることができる。いくつかの例では、機械学習及び人工知能などの学習ツールは、参照モデルを動的にアップグレードするために使用することができる。
【0066】
図2Aは、本開示の態様を実行する一例のシステム200を例証する。システム200中に示される薄膜202は、集電体上にコーティングされた電極材料を含むことができる。薄膜202の特性は、音響信号ベース分析を用いて調査し得る。薄膜202は、電極及びバッテリーセルの製作の期間中に、ツールの中でもローラーを用いて処理される。サポートローラー204、テンションローラー208、及びカレンダーコーティングローラー又は加熱コーティングローラー206(本開示の範囲を逸脱せずに他のタイプのローラー及び/又は他の装置を用いることができることを留意すること)を含む、異なるタイプのローラーが例証されている。実例態様では、一つ以上のローラー204,206、208は、トランスデューサ(例えば、Tx及びRxトランスデューサ104,106などの送信及び/又は受信するトランスデューサ)を含むように構成することができる。例えば、一つ以上のローラー204,206、208は、薄膜202の音響特性を測定するために使用することができるトランスデューサ又は音響信号を送信及び/又は受信する他の手段を収納するように設計することができる。
【0067】
以下に
図2B-Dを参酌して説明する、いくつかの例では、音響信号ベースの測定は、ウエット又はドライ電極コーティングを有する薄膜上で得ることができる。いくつかの例では、薄膜202は、どちらかの面又は両方の面上にコーティングを有することができる。ローラー204,206、208内に設けられたトランスデューサは、薄膜202のコーティング側及び/又は集電体側上で測定を得るために使用することができる。トランスデューサは、ローラー204,206、208のうちの一つ以上の中に埋め込まれた、一つ以上の単素子トランスデューサ及び/又は一つ以上のトランスデューサのアレイを含むことができる。トランスデューサに追加して、又はトランスデューサに代わる手段として、一つ以上の音響センサ、又は他のタイプのセンサもローラーの中に組み込むことができる。いくつかの例では、膜の導電率の測定のための4点プローブのためのセンサ、不純物を検出するための熱センサ、又は他のセンサをローラーの中に含めることができる。いくつかの例では、セパレータはセラミックコーティングを有することができ、ここで音響信号(例えば、超音波)に基づいた分析はセラミックコーティング層の質量負荷、厚さ、又は不均一性を測定するために用いることができる。
【0068】
図2Bは、集電体212b上にコーティング212aを含む、薄シート又は薄膜試料212を有するシステム210を示す。コーティング212aは、終電体212b上に最初に塗られたとき、スラリーの形態にすることができ、ここで、スラリーはウエットであり得る。集電体212bは、一様の幅の長い連続のシートとなることができる。スラリーの形態のコーティング212aは、ひょっとすると集電体212bの幅よりも狭い幅であるが、集電体212bの長さに沿って、集電体212b上に広げることができる。集電体212bのより広い幅は、コーティング212aがコーティングされると、集電体212bの(幅方向における)どちら一方上においてコーティングされていない材料の狭いチャネルを可能とすることができる。狭いチャネルは、ドライコーティングを生産するための乾燥などの更なる処理に晒されるウエットスラリーの任意の流出又は広がりを収容する
【0069】
試料212は試料212の長さに沿ってローラー218に沿って運ぶことができるので、ローラー218は幅方向(例えば、管形状のローラー218の軸は試料212の幅方向に平行となることができる)に沿って示される。ローラー218は、Txトランスデューサ214及びRxトランスデューサ216を含んでいる、二つのトランスデューサを収納又は収容することができる。Txトランスデューサ214及びRxトランスデューサ216は、様々な構成に設計することができ、一例では、それらはローラー218の軸に近傍して示される。Txトランスデューサ214は、試料212に入射するように超音波/音響信号をローラー218を介して送信することができる。送信された音響信号は、試料の任意の部分を通って伝わることができ、それは入射の角度、試料212へのトランスデューサの近傍、導波路の使用、又は以下のセクションでより詳細に説明される他の構成を用いて制御することができる。Rxトランスデューサ216は、送信された音響信号に応答する応答音響信号を受信することができる。Txトランスデューサ214及びRxトランスデューサ216が試料212の同じ面に設置される一例においては、応答信号は送信された音響信号の反射を含むことができる。
【0070】
図2Bのシステム220は、試料212に類似した試料222(試料22はコーティング222a及び集電体222bを含むことができる)を有する他の例の構成を例証する。Txトランスデューサ224はローラー228a内に配置され得り、そしてRxトランスデューサ226はローラー228b内に配置され得り、ここでローラー228a-bは異なるローラー又は同じローラーの異なる部分であり得る。システム222に示される構成において、Txトランスデューサ224とRxトランスデューサ226との間の増大した分離又は物理的距離は、例えば、Txトランスデューサ224から試料222上に入射すると、試料222上を幅方向に沿って又は試料222を介して横切る音響信号を含む、様々な信号特徴を調査するために使用され得る。
【0071】
上記の例から分かるように、トランスデューサ(Tx及び/又はRx)は、単一素子232、二重素子234、及び二つ以上のトランスデューサを具備する多素子アレイ236などの様々な組み合わせに構成することができる。多素子アレイ236は、1列のトランスデューサ又は2次元のアレイを含むことができる。これらの様々な構成は、試料に関してのTx/Rxトランスデューサの配置(例えば、試料からの距離、トランスデューサが配置される試料の面)、送信/受信された音響信号の角度、Tx/Rxトランスデューサの相対的位置、音響信号のための導波路の使用などに関連する様々なパラメーターを制御することに基づいて、異なる信号特性を調査するために使用され得る。
【0072】
いくつかの例では、音響信号ベース分析は、薄膜/ホイル上に電極スラリーがコーティングされた後、しかし、乾燥に、例えば、乾燥炉に晒される前に、電極スラリーのウエット負荷を測定するために用いることができる。ウエットコーティングされた電極を分析することは、負荷変動(例えば、集電体へのウエットスラリーのコーティング/負荷の変動)、電極が連続的にコーティングされていることによる電極の長さに沿った変動又は不一致、コーティングに起因するストリークの検出などの情報に対する重要な洞察を明らかにする
【0073】
スラリーを負荷するためのドクターブレード又は逆巻きコーティングを利用し得る技術などのもっと左右に変動する傾向があるいくつかのコーティング技術がある。集電体上にスラリーを負荷することは、スリラーを混ぜ、それを貯蔵器に貯蔵し、そして、様々なバルブ及び他の計量分配機(dispensing mechanisms)を介して、例えば、ドクターブレードの援助を介して、貯蔵器からのスリラーを集電体上に絶えず負荷することを典型的には含む。貯蔵器内の電解質スラリーの体積は、ドクターブレード下におけるスループットに影響を与える。もし体積が変化すると、負荷特性は変わることができる(例えば、スラリーのより少ない体積は減少された負荷につながる)。このような負荷することにおける潜在的な減少は、パターンを負荷することにおけるそのような不一致に由来する、任意の欠陥の早い検出につながることができる。いくつかの例では、コーティング方法は、スロット-ダイコーティングを含むことができ、ここでスラリー溶液は基板の表面の近くに配置された狭いスロットを介して基板又は集電体上に届けられ得る。これらの両方のコーティング技術において、集塊(agglomerate)は、ドクターブレードの下、又はスロット内に詰まる可能性があり、コーティングされてない集電体の縞をもたらす。乾燥炉内でコーティングされた電極を乾燥に晒す前に、上記に記載された任意の欠陥を見つけることは、均一なコーティングに戻すため、又はコーティングを基板上に堆積する塗布頭部(coating head)の停止及びクリーニングを提案するために、コーティングプロセスの調整を可能とすることができる。もし、乾燥炉を介してコーティングされた電極が処理された後まで分析が遅れたらならば、スラリー及び集電体材料の無駄につながる、損傷を被った電極のリスク増加がある。
【0074】
いくつかの例では、以下にFIG.2Cを参照して説明するが、音響信号ベースの試験は、スラリーの堆積の前、電極の一つ面上のウエットコーティング/スラリーの堆積の後、電極の別の面上のウエットコーティング/スラリーの堆積の後など、ウエットコーティングを乾燥することを許可する前を含んでいる、電極形成の様々な段階の期間中に非侵襲(non-invasive)の方法で行うことができる。一つ以上のローラーの中に設けられ、様々なプロセスを介して電極材料薄膜の運動を援助するために使用されるトランスデューサを用いることで、音響信号ベース分析において、パルスエコー超音波モード又は他の適切なモードを採用することができる。
【0075】
ウエットコーティングの音響信号ベース分析のための、ローラーの中のトランスデューサの使用は、コーティングされてしまっている二つの面に対して実行すると、困難であることを留意する。例えば、(集電体の第1の面が既にコーティングされた後に)集電体の第2の面の測定を行うことは、ローラーが第1の面に接触するように設計され得り、そして、第1の面の測定の期間中の集電体ではないので、困難であり得る。このような困難を克服するために、音響信号ベース分析は、両面がコーティングされた集電体を乾燥炉内で乾燥に晒す前に、第1の面をコーティングし、第1の面上のウエットコーティングを分析し、そして次に、第2の面についての分析を続いて行うために第2の面をコーティングすることにより、段階的な方法で行われ得る。
【0076】
図2Cは、上述したトランスデューサの配置又はその適切は変更を用いる電極製作の期間中の音響信号ベースの試料の検査及び分析のためのプロセス250を例証する。例えば、ローラーの中に配置されたトランスデューサなどのトランスデューサの使用は、製造の様々な段階の期間中の薄膜試料の音響信号ベース分析に適用することができる。試料252が裸集電体252bを有する薄膜電極の例では、試料252の音響検査は、集電体252bのどちらかの面上のウエット電極コーティング252a及び252cの塗布、及びドライコーティングに導くためのそれらの乾燥という次の段階などの様々な段階で行うことができる。
図2Cには明確には例証されていないが、
図2A-Bを参照して述べたローラーの中に配置されたトランスデューサなどのトランスデューサの任意の構成は、プロセス250に含まれる音響検査の様々な段階で使用され得る。
【0077】
例えば、ステップ260は、コーティングが適用される前に任意の潜在的な欠陥を明らかにするために、裸集電体252bを音響信号ベース分析を用いて分析できる、時間段階(time instance)又は期間(time period)を含むことができる。例えば、ローラーのシステムは、続くプロセス/機械/装置に向って、裸集電体252bのシートを運ぶために用いることができる。
【0078】
ステップ262では、電極コーティング252aは、ウエットコーティング又はスラリーとして、裸集電体252bの第1の面上に塗布することができる。ステップ264では、裸集電体252bの第2の面上に電極コーティングが塗布される前に、電極コーティング252a及び/又は裸集電体252bと電極コーティング252aとの組み合わせ中の任意の潜在的な欠陥を分析するための期間中に、第1の面上のウエットコーティングの音響検査を行うことができる。
【0079】
ステップ266では、電極コーティング252cは裸集電体252bの第2の面上に塗布される。ステップ270では、電極コーティング252c及び/又は試料252の電極コーティング252a,252c、及び裸集電体252bを具備する三つの層の一つ以上の組み合わせ中の任意の潜在的な欠陥を分析するための期間中に、第2の面上のウエットコーティングの音響検査を行うことができる。
【0080】
ステップ272では、電極コーティング252a,252c、及び裸集電体252bを具備する試料252は、ことによると更なるローラーの使用により、乾燥炉チャンバーに向って運ぶことができる。これらの更なるローラーの一つ以上の中に組み込まれたトランスデューサは、電極コーティング252a,252c乾燥のように、試料252について同様の音響信号ベース分析を行うために用いることができる。
【0081】
図2Dは、試料252と同様の試料282を有する一例のシステム10080を示す。試料282は、集電体252b上のウエットコーティング282aを示す。ウエットコーティング282は、乾燥電極コーティングをもたらすために電極コーティングが十分に乾燥される前に上述した任意の電極コーティングを表すことができる。ウエットコーティング282aはウエットであるので、ウエットコーティング282aとローラーとの間に直接的な接触を作ることは、ウエットコーティング282a及び/又はローラーに損傷又は望ましくない効果をもたらす結果となる可能性がある。したがって、例えば、任意のこのような潜在的な損傷を避けるために、システム280に示された配置は、トランスデューサ284及び286を収容するために使用されるローラー282a-bのために用いることができる。ウエットコーティング282aとの接触を大部分又は完全に避けながら、ローラー282a-bは、集電体252bの境界(例えば、前述した長さに沿った狭いチャネル)との接触を作ることができる。図に例証されるように、この構成では、音響信号ベース分析の中でも、試料282の幅を横切る信号は調査される。
【0082】
図3Aは、この開示の態様による、音響信号ベース分析技術を使用して欠陥を検出するためのシステム300を例証する。上記で述べたように電極材料でコーティングされた電極302は、任意の欠陥があるかどうかを検出するために、超音波信号を用いて評価することができる。欠陥は、とりわけ不均一性、腐食された部分、汚染粒子、クランクのような材料特性の任意の変化を含むことができる。例えば、バッテリー電極のために使用される薄膜の例では、欠陥は、電極コーティング(ウエット又はドライ)及び/又は集電体に現れることができる。他の例では、欠陥は、任意の薄膜(例えば、セパレータ)又は他のバッテリー部品に現れることができ、ここで欠陥は薄膜の製造/製作の任意の段階で導入され得る。
【0083】
デバイス304A及び304Bはおのおの(
図1のTx104及び/又はRx106と同じとすることができる)超音波パルス発生器及びセンサを含むことができ、そして電極302中に超音波信号を送信でき及び応答信号を受信できるように構成することができる。前に述べたように、異なるモード又は送信された信号及び応答信号を用いて音響信号ベース分析を行うことができる構成することができる。例えば、パルス-エコーモードでは、デバイス304A及び304Bは、電極302の一つの面から超音波信号(パラス)を送信でき及び信号の往復の飛行時間を調査するために反射(エコー)を受信できる。反射は、反対側の壁(デバイス304Aからの移動距離Ep)からの短縮された距離(デバイス304Bから欠陥までの移動距離D)であるとできる。欠陥を検出することは、飛行時間(ToF)及び振幅測定を用いて反射波を比較することを含むことができる。欠陥の存在は、より短い移動距離Dのために飛行時間を縮小する。移動距離Epに対応する信号の振幅は、欠陥によってエネルギーの一部(fraction)が減少するので、減少する。ToFは以下の式(1)を用いて計算される。いくつかのパルス-エコー測定では、電極302又は他の試料を一つの面からアクセスすることができ、及び同じデバイス(例えば、304A又は304B)を超音波信号を送信すること及びそれらの対応する応答を受信することの両方に用いることができる。
ToF=D/c
i (1)
【0084】
グラフ310A及び310B中の応答信号の振幅は、より短い飛行時間に起因する、欠陥の存在を例証する。いくつかの例では、一つは欠陥がなく(又は既知の欠陥)及び一つは未知欠陥がある少なくとも二つの試料からの測定を取得するために、複数の位置又は複数の試料の上に置かれる(送信トランスデューサ及び受信トランスデューサを含んでいる)デバイス304A及び304Bは、同じデバイスとすることができる。
【0085】
図3Bは、音響信号ベース分析が行われ得るセットアップ350A-Dで使用される様々な例のモードを例証する。セットアップ350Aには、スルー送信(through-transimission)モード測定が示され、ここでトランスデューサ(例えば、一つ以上のTxトランスデューサ354A及び一つ以上のTxトランスデューサ356B)は、試料352(例えば、コーティング及び集電体を有する薄膜電極)の一つの反対側の面に置かれ得る。
図1はスルー送信モードの別の例を示し、ここで、前に述べたように、Tx及びRxトランスデューサ104,106は試料102の反対側の面上にあり、Txトランスデューサ104はパルサとしての役割を果たしており、そしてRxトランスデューサ106は音響信号ベースのレシーバとしての役割を果たしている。スルー送信モードでの欠陥検出は、欠陥のない試料から取得された音響信号の信号特性(例えば、振幅)と欠陥のある試料から取得された同様の信号特性とを比較することによって、行うことができる。欠陥のある試料は、欠陥から反対方向に送信された反射又は欠陥から分散した反射のためにより振幅の小さい、Rxトランスデューサ356aで収集された応答信号をもたらす。欠陥(defects)は、それらの信号振幅、続いて検出された波形(waves)によって、特徴づけられ得る。更に、欠陥のある材料は異なる減衰特性を示し得り、したがって、重心周波数としてフーリエ変換に違いを現れるようにする。
【0086】
セットアップ350Bは、
図3Aを参酌して説明したパルス-エコーモードの変形となることができるピッチ及びキャッチモードを例証する。ピッチ及びキャッチモードでは、Txトランスデューサ354bから送信された音響信号からの反射は、Rxトランスデューサ356bによって受信することができ、ここで、調査された送信された信号(ピッチ)と受信された反射された信号(キャッチ)との間には対応があり得る。このモードを促進するために、Tx及びRxトランスデューサ354b及び356bは、それぞれ、試料352の同じ面に置かれ得り、そしてTxトランスデューサ354bからの送信された信号からの反射がRxトランスデューサ356bによって受信することができる角度に置かれ得る。セットアップ350Cは別の例を例証し、ここでTxトランスデューサ354cはTxトランスデューサ356cと同様に試料352の同じ面にあり得るが、これらのトランスデューサは試料352の少なくとも一部を介して横に伝わってしまっている信号の捕獲及び分析を可能とするために物理的に分離され得る。セットアップ350Dでは、パルス-エコーモード又はピッチ及びキャッチモードは、音響信号の送信及び受信の両方を行うように構成された同じトランスデューサによって支援される。例えば、連続する送信された信号の間の間隔にあわせて、これらの送信された信号の応答を同じTx/Rxトランスデューサ355によって、受信することを可能とするために、Tx/Rxトランスデューサ355は、試料352に入射される音響信号又はパルスを送信し得る。
【0087】
いくつかの例では、試料(samples)は音響信号によって共振周波数まで励起することができる。試料中の欠陥は異なる共振挙動をもたらし、こうして音響信号ベース分析を使用して信号の変化を検出することができる。
【0088】
図4A-Bは、前述したモード及びトランスデューサの構成を使用して薄膜中の欠陥を特定するために使用することができる技術の例を例証する。システム400において、Txトランスデューサ又はパルサ414は一つ以上の試料に音響信号を送信できるが、これに対してRxトランスデューサ又はレシーバ416は応答信号を受信することができる(応答信号は任意の送信モードで送信された音響信号に対して応答し得ることに注。)。上述の通り、いくつかの例では、パルサ414及びレシーバ416はローラー418内に配置することができる。試料は、初期状態の試料412(又は任意の他の既知特性の参照試料)及び損傷を被った試料414(又は任意の未知特性の試験試料)を含むことができる。
【0089】
ローラーの使用は、長さ方向に沿って様々な地点で音響測定が行われることを可能とするために、試料412及び414が長さ方向に沿って通過又は運ばれることをを可能とすることができるが、これに対してローラー(rollores)は同じ地点にとどまり、そしてそれらの軸に沿って回転し得る。例えば、ローラー418は特定の位置に固定されたままにでき、そしてその軸に沿って回転することができるが、これに対して試料の地点1-8などの様々な地点は、電極コーティングがウエットのときなどのように直接的な接触が望ましくない場合には、ローラー118と接触するか、又はローラー118の近傍に来る(例えば、ローラー418の閾値近傍(threshold proximity))。いくつかの例では、閾値近傍は、実験及び/又は実証的研究に基づいて決定される設定可能なパラメーターであり得る(例えば、1ミリメーター、2ミリメーターなど)。
【0090】
特性のプロット420は、比較される試料412及び414の両方のそれぞれの地点で取得することできる。プロットのy軸上に示されたスコア(例えば、薄膜品質インスタンス又はその他)は、特定の地点における音響信号特性を分析することから導かれる特定の計量を例証する。一例では、地点1,3,5,及び7は、損傷を被った試料内の欠陥を有し得るが、それに対して、それらの地点1,3,5,及び7を含んでいる、初期状態の試料412は無欠陥であり得る。したがって、初期状態の試料412及び損傷を被った試料414に対するプロット420中のスコアは、少なくともこれらの地点1,3,5,及び7では、それに応じて異なる。
【0091】
図4Bは、試料中の上述した欠陥などの欠陥を特定するために使用され得るシステムズ450を例証する。図に示すように、ローラー458は少なくともTxトランスデューサ454及びRxトランスデューサ456を含むことができ、ここでローラー458はその軸上で回転することができると同時に、長さ方向に沿った試料452の移動を可能とする(及び、ことによると援助する)。その移動のコースに沿って、試料452はローラー458に接触する(上記で定義したように閾値近傍内に来る)。Txトランスデューサ454及びRxトランスデューサ456は、試料452の長さに沿った様々な地点(
図4Aに示された地点1-8など)での測定をもたらすために、連続的又は周期的に試料452の音響測定を行うことができる。これらの地点での測定(又は場合によっては同じ試料452内の他の地点の測定を伴って)は、欠陥460などの欠陥の検出を導き得る、それらのスコア及び変動を特定するために、参照試料のそれらと比べることできる。欠陥は、電極コーティング452a及び/又は集電体452bの中にあることがあり、そして、これらの異なる層での欠陥は、試料452の形成の様々な段階で測定を行うことによって、特定することができる(例えば、
図2Cをプロセス250を参照して説明したように)。
【0092】
図5A-Bは、一つ以上のローラーの中に配置された一つ以上のトランスデューサ(又は音響信号を送信/受信するための他の素子(elements))によって助けられ、薄膜の音響分析のために使用できるシステム又はセットアップの例を例証する。
【0093】
例えば、
図5Aは、電極ストリップ又は他の薄膜などの試料502中の欠陥の検出のために使用することができるシステム500の二つの概観を例証する。システム500は、ホルダートップ508A及びホルダーボトム508Bを有するホルダーを含む(ホルダーのトップ及びボトムの名称は例証の目的のためだけであり、そして、本開示中に示され、及び記載された部品のいずれも、それらをトップ又はボトム部品に限定することなく、ホルダーの異なる部分に構成することができることに留意)。システム500中に示されたホルダーは、3次元(3D)プリンタを用いて組み立てられたパーツを用いて比較的容易に設計できるホルダーの一例である。産業中における特定のニーズのためにカスタマイズ及び最適化された進んだホルダー設計は、この開示の範囲内にあり、そして、本開示に記載された一般概念を用いて設計することができる。
【0094】
図面に示されるように、システム500を介して試料502を移動するため、及び本開示による一つ以上のトランスデューサを収納するための両方に用いられ得る、一つ以上のホルダートップ508Aを含むことができる。ホルダートップ508Aはまた、トランスデューサホルダー516を伴うトランスデューサ514などの一つ以上のトランスデューサだけではなく、一つ以上のスクリュー506、接触媒質512を含むことができる。ホルダーボトム508Bは、ホルダートップ508Aを支持するための構造上の支持(例えば、スタンド)をもたらすことができ、そしてまた試料502へのトランスデューサの取り付け及び接触を提供又は高めるための空気力学(pneumatics)518又は他の部品を収容することができる。ローラー504を使用することで、システム500を介して試料502を搬送し、及び、システム500に沿って試料502を移動することができるので、システム500を用いて、試料502の様々な地点での連続的な音響信号測定を取得することができる。いくつかの例では、ローラー504は、パルス-エコーモードで音響信号を送信及び受信するためのトランスデューサを含むことができ、及び/又はスルー送信モードで試料502を介して送信された音響信号への応答を受信するための一式のトランスデューサ(例えば、Rxトランスデューサ)を含むことができ、ここでトランスデューサ514は音響信号を送信するための別の一式のトランスデューサ(例えば、Txトランスデューサ)を含むことができる。
【0095】
一例では、システム500内に示されたセットアップは、3Dプリントされたトップ及びボトム部品(例えば、ホルダートップ508A及びホルダーボトム508B)、トランスデューサホルダー516を伴う二つの空気圧式アクチュエーター及び二つのトランスデューサ514を使用することで、設計することができる。二つのローラー504は、二つのトランスデューサ514が試料502と接触する面と反対側の試料の面上に設けることができる。ローラー504は、圧縮組手(compression counterpart)としての役割を果たすことができ、そして、試料502とトランスデューサ514との間に確立される十分な音響接触を可能とする。ローラーはホルダーの他の部分に強固に結合されていないので、ローラーは音響波を伝搬しない。実装例では、受信された信号は、任意のホルダーアーティファクト(holder artefact)がなく、そして波は試料52中を伝搬するだけであると思われる。
【0096】
図5Bは、システム500において上述したようなローラーを使用することの利益を例証するための別のシステム550を示す。システム500において、トランスデューサ554は試料552の下に示され(例えば、電極ストリップ)、例えば、ここでトランスデューサ554は試料552を介して音響パルスを送信することができる。
図5Aのローラー454の代わりに、丸みを帯びた円筒状のホルダートップ556が示されている。ホルダートップ556は、ホルダー構造(例えば、ホルダートップ508Aに類似のもの)に強固に取り付けられている。強固な取り付け具は、試料552から受信された音波を、ホルダートップ556及びホルダー構造のその他の部分を介して、伝搬又は広めることができ、そして受信された信号にアーティファクトを導入する。
【0097】
次のセクションは、上で述べた実例の技術を用いて、様々なタイプの試料を分析した結果を例証する。
1. 試料として使用されるアルミニウムホイルについてのデータ、ここでデータはブランク試料試験についての参照の役目がある;
2. 試験下のカソードについてのデータ;
3. 試験下のアノードについてのデータ;
4. 二つの特殊試験の場合についてのデータ;トランスデューサ-トランスデューサ軸を横断する電極ストリップの変位に関する第1の試験の場合;及び初期状態の電極ストリップに関連する第2の試験の場合。
【0098】
図に示される試験結果は以下に論じられ、ここで平均波形(WF)及びフーリエ変換(TF)は初期状態の材料及び試験下の試料について例証されている。初期状態の材料は、材欠陥のない料又は試料のことであり、そしてそれは参照データとして使用され得る。これらの図に表示されたデータは、一つの標準偏差を表すエラーバーを用いて補完されている。更に、重心周波数は、これらの波形及び第1のトラフ値の振幅(図のy軸における “第1の最小値”又は“第1のトラフ値”とも称される)に対して算出されている。重心周波数はフーリエ変換におけるシフトの代表的な計量であり、そして第1のトラフマグニチュードのシフトは信号振幅の代表的な計量であるので、重心周波数及び第1のトラフマグニチュードは、試験試料を評価するための主要な計量(primary metric)としての役目を果たす。図において、波形の振幅は、欠陥での散乱の影響及び減衰特性のばらつきを取り込んでいる。
【0099】
試験から取得されたデータは、時間窓について評価される(例えば、おおよそ5μsから13μsの範囲を含むように選択され、いくつかの試験では、この範囲の外側で得られた波形は、有意な任意分散を示したため、除外されたことに留意すること)。場合によっては、上記の選択された時間窓の外側の時間窓は、図中では、“評価特性”とラベルされたボックスで特定されている。
【0100】
初期状態のカソードコーティングについての相違
【0101】
図6は、電極の試験の波形を例証する。特に、LCO,Lithium Iron Phosphate(LiFePO4, 又は“LFP”)及びNMCなどのバッテリーのカソードで用いる材料でコーティングされた電極の波形が示されている。初期状態のカソードコーティングの違いは、これらの波形から分かる。これらの相違は、様々な初期状態の電極コーティングの相違を検出するのに役立つ。例えば、NMCの規格化された振幅は、LCO及びLFPの他のコーティングの規格化された振幅よりもはるかに小さくなるように見られる。更に、最も大きな振幅はLFPで見られる。
【0102】
図7は、
図6に波形が示されたLCO、LFP及びNMCカソードの対応するフーリエ変換を示す。
図7では、LFP及びLCOは周波数においては非常に接近して一致していることが分かるが、NMCは1MHzを超える周波数でより高い周波数へのシフトを示している。
【0103】
図8は、初期状態のLCO、LFP及びNMCカソードの重心周波数に対してプロットされた第1のトラフ値の振幅を例証する。波形の分布から見られるように、高い重心周波数に対応して高い周波数へのシフトが見えられる。しかし、重心周波数だけに基づいたデータの分類は、異なる材料のデータセットの重複のせいで不十分であり得る。
【0104】
図6から、そこに示されるカソードの飛行時間(ToF)は~6.9μsの平均値であり、それは初期状態のアルミニウム試料に対応するToFよりも1.9μs大きいことが観察される。この違いは、~1900m/sの波速に対応する。アルミニウムホイルは、
図6に示された試験結果に使用された集電体材料であり、ここでカソード材料LCO、LFP及びNMCカソードはアルミニウムホイル上にコーティングされている。アルミニウム側に導入された音波はアルミニウムホイル中を伝搬するだけであると思われ得り、そしてコーティングの存在によって影響されないかもしれず、カソード(アルミニウムホイル上のカソード材料LCO、LFP及びNMCカソード)に対して観察された増大したToFは、飛行時間の違いにつながる、アルミニウム間のいくつかの相互作用があり得ることを示す。
【0105】
損傷を被ったカソード対カソード初期状態のカソード
【0106】
以下の例では、損傷を被ったカソードと初期状態のカソードとの区別を決定するために、損傷を被った波形及びフーリエ変換は、参照データとして使用される初期状態のカソードと比べられる。損傷を被ったカソード及び初期状態のカソードは、アルミニウムホイル上にLCO、LFP及びNMCカソードなどの材料を結合又はコーティングすることによって(例えば、アルミニウム集電体側の上だけにカソード材料を結合することによって)、形成される。
【0107】
図9は、損傷を被ったNMCカソード及び初期状態のNMCカソードの平均波形を例証する。広いエラーバーが見られるが、波形は損傷を被ったNMCカソードと初期状態のNMCカソードとの間のいくつかの違いを例証する。エラーバーは広くなるように見えられ、それはこれらの違いに基づいた正確な結論を制限し得る。
【0108】
図10は、損傷を被ったNMCカソード及び初期状態のNMCカソードの平均フーリエ変換を例証しており、ここで1MHzを超える周波数では、損傷を被ったNMCカソード試料は、低い周波数への小さいシフトだけではなく、低い強度を示すことが分かる。
【0109】
図11は、損傷を被ったNMCカソード及び初期状態のNMCカソードの重心周波数を例証しており、ここで損傷を被ったNMCカソードは初期状態のNMCカソードと比較して低い重心周波数を示すことが分かる。いくつかのデータ点は、試験のセットアップ中で起こり得る調整不良(misalignment)のせいで、損傷を被ったNMCカソードと初期状態のNMCカソードとの間で重なるように見える。重心周波数及び第1のトラフマグニチュードには傾向が観察され、損傷を被ったカソードは小さい重心周波数及び小さな第1のトラフマグニチュードを示している。
【0110】
図12は、損傷を被ったLEPカソード及び初期状態のLEPカソードの平均波形を例証し、ここで、LEPカソードは、ToF中のシフト及びより目立たないピークを示すことが分かる
【0111】
図13は、損傷を被ったLEPカソード及び初期状態のLEPカソードの平均フーリエ変換を例証し、ここで、損傷を被ったLEPカソードは、初期状態のLEPカソードよりも弱い高周波数成分を有することが分かり、それはまた以下に示すように小さな重心周波数に変わる。
【0112】
図14は、損傷を被ったLEPカソード及び初期状態のLEPカソードの重心周波数を例証し、ここで、損傷を被ったLEPカソードの重心周波数及び強度は、初期状態のLEPカソードの対応する重心周波数及び強度よりも一般には小さいことが分かる(重心周波数分布にはいくつかの重複は見られるが)。
【0113】
図15は、損傷を被ったLCOカソード及び初期状態のLCOカソードの平均波形を例証し、ここで、損傷を被ったLCOカソードは、初期状態のLCOカソードよりも小さな重心周波数及び振幅を示すことが観察される
【0114】
図9-15から観察されるように、損傷を被ったカソード及び初期状態のカソードのデータセットは、損傷を被ったカソードが初期状態のカソードよりも小さな重心周波数及び小さな第1のトラフマグニチュードを有することを一貫して示す。重心周波数の違いは、より高い周波数はより速く減衰するので、0.6MHzを超える周波数では強度が低くなるのが原因であるかもしれない。高い周波数の音波もまた損傷を被った電極試料中の欠陥によって散乱し得り、全体の強度の減少をもたらす。重心周波数のシフトは、強度の計量として役割を果たす第1のトラフマグニチュードの減少に対応する。したがって、損傷を被った電極(例えば、カソード))は、上述したように上記のように重心周波数及び第1のトラフマグニチュードなどの計量に基づいて、初期状態の電極(カソード)と区別できる。
【0115】
LFPコーティング上の結合
【0116】
以下のセクションは、集電体側の代わりにコーティング側に結合するための信号の違いを決定することを対象としている(
図9-15ではカソード材料はアルミニウム集電体側だけに結合されていることに留意すること)。
【0117】
図16Aはコーティング上に結合されたLFPの波形を示し、そして
図16Bは集電体上に結合されたLFPの波形を示す。
図16A-Bから、コーティング上の結合のためのToF窓は増大しているとはいえ、与えられたToF窓に対するピークはよりいっそう顕著であることが分かる。フーリエ変換を分析すると、初期状態の電極では、1.1MHZを超える周波数で強い強度が観察され、それが支配的な周波数になることが明らかである。しかし、損傷を被った電極は、0.4MHZのあたりで低周波数成分が優勢であることを示す。
【0118】
図17は重心周波数分布を例証し、ここで、損傷を被った試料は、損傷を被った試料及び初期状態の試料のデータセット中にかなりの重複があるにもかかわらず、平均小重心周波数(average smaller centroid frequency)を示す。
【0119】
両面コーティングされたNMCカソード
【0120】
商業用のバッテリーでは、電極は両面がコーティングされ、これは集電体材料を減らせるからである。更に、両面コーティングは、低コスト及び非活性質量コンテンツ(non-active mass contents)を導くことができる。しかし、両面コーティングは、電極ストリップの適切な調整についてより高い要求を出すので、より困難である。両面コーティングされた電極を破棄することは、活性材料の損失及びプロセスコストをより高くする結果になる。以下のセクションでは、音響信号分析を用いて両面コーティング中の欠陥を決定するための技術を提供する。以下のセクションで、損傷を被った両面コーティングされた電極及び初期状態の両面コーティングされた電極を検討する。
【0121】
図18は損傷を被った及び初期状態の両面コーティングされたNMCのフーリエ変換を示し、ここで、1.25MHzを超える周波数の成分は観測されない。
【0122】
図19は、損傷を被った及び初期状態の両面コーティングされたNMCの重心周波数を例証する。
図18ではフーリエ変換は近接して重なり合っているが、
図19では強度及び第1の大きさも重なりを示している。このような重なりは、NMCコーティングがかなりの量の粒子を放って接触媒質の表面を汚染するので、コーティング上に直接的に結合されたNMCの貧弱な信号品質が原因であるかもしれない。しかし、他の活性材料では、重心周波数、強度、及び第1のトラフマグニチュードに基づく、より小さな重なり及びより高いレベルの検出可能性が可能である。
【0123】
損傷を被ったアノード対初期状態のアノード
【0124】
以下のセクションでは、損傷を被ったアノードコーティング及び初期状態のアノードコーティングの波形及びフーリエ変換の相違を決定することを対象とする。
【0125】
図20は、損傷を被ったアノード及び初期状態のアノードのフーリエ変換を例証する。損傷を被ったアノードは、より低い強度(例えば、0.80MHzを超える周波数では)を示すことが観察される。
【0126】
図21は、損傷を被ったグラファイトアノード及び初期状態のグラファイトアノードの波形の分布を例証する。損傷を被ったアノードは、より低い重心周波数を示すことが見られる(重心周波数の重なりは損傷を被ったアノード及び初期状態のアノードで見られるが)。第1のトラフマグニチュードは、損傷を被った試料と初期状態の試料との間で、より明確な相違(divide)を示す。
【0127】
アノードの実際のToFは、1940m/sに対応する、6.7μsであることが観測された。(比較のため、銅のP-波速度はc-P=4900m/sであり、そしてS-波速度はc-S=2300m/sに等しい)。したがって、算出された速度は、アノードのS-波の範囲内にあり、それはアルミニウム電極で観測されたのと同じである。
【0128】
LEPコーティングのスイーピ及び空間解析
【0129】
以下のセクションでは、製造環境と似ている、トランスデューサ-トランスデューサ軸に沿って移動している損傷を被った電極ストリップをセットアップを模擬するために、LFPスイーピ及びLCOスイーピを説明する。このようなセットアップでは、より低い重心への所望の傾向及びより小さい第1のトラフマグニチュードが観察されるか否かを決定するために、信号変化は、電気の位置に基づいて観察することができる。
【0130】
以下の分析は、(フーリエ変換及び波形ではなく)計量として選択された重心周波数及び第1のトラフマグニチュードについて説明され、それは、これらの選択された計量を使用して取得されたデータセットが、損傷を被った試料と初期状態の試料との間の意図された違いの意図を表示するように観察されるからである。結果は以下のスキームに従って提示され;同じ色のグループは同じ位置タイプを示す。
1.青:測定環境の外側、
2.緑:トランスデューサ上、
3.オレンジ/赤:トランスデューサに隣接、
4.黒:前の測定に使用された位置の中心位置のなか。
【0131】
図22は、パルサ2204及びレシーバ2206(例えば、それぞれTx及びRxトランスデューサ)を横切って電極ストリップ2202をスイーピするためのシステム2200を例証する。電極ストリップ2202は、スイーピに対応して四つの位置A,B,C,Dに示される。電極ストリップ2202はパルサ2204及びレシーバ2206を横切って移動又はスイーピするので、(
図22中の矢印を用いて特定された)電極ストリップ中の欠陥は、位置A(パルサ2204の右、測定範囲の外側)から、位置B及びC(レシーバ2206の左及び右、ともに測定範囲の内部)に、位置D(レシーバ2206の左、再び測定範囲の外側)に移動する。
【0132】
図23は、例えば、
図22で説明したシステムを用いて、電極ストリップ2202として使用された損傷を被った試料LFPをトランスデューサ-トランスデューサ軸を横切ってスイーピングすることに基づく、第1のトラフマグニチュード及び重心周波数を例証する。点で描かれた紫の線で強調された傾向は、LFPカソード中の欠陥の出現(appearance)のガイドとしての役割を果たす。重心周波数は、測定範囲内に欠陥が出現するときに減っていくのが見え、そして、測定範囲を去ると再び増加する。第1のトラフマグニチュードは、測定範囲内に欠陥が出現するときに減少し、そして、測定範囲を去ると再び増加するという同じ傾向を示す。しかし、初期状態点(例えば、パルサ2204の右の、位置A)と終点(例えば、レシーバ2206の左の、位置D)との間には重心周波数の違いは観察されるが、強度は初期状態点及び終点で同じである。
【0133】
図24は、例えば、
図22で説明したシステムを用いて、電極ストリップ2202として使用された損傷を被った試料LCOをトランスデューサ-トランスデューサ軸を横切ってスイーピングすることに基づく、第1のトラフマグニチュード及び重心周波数を例証する。
図23を参酌して説明したLFPの傾向と同様の傾向が見られ、より小さい重心周波数へのシフトが観察され;重心周波数に関しては初期状態点及び終点は合致しないが、強度に関しては近い合致を示す。パルサの右までの値のデータ点は、例証されているところからより低い重心周波数であるいくつかのデータ点を除去するために、フィルタされた。
【0134】
図23-24中の出発点及び終点における不一致は、測定のために
図22に示されたシステムを用いて試料をスイーピングしているうちの試料の潜在的な劣化が原因で起こる可能性がある。このような劣化は、接触媒質の表面の汚染は実行中には観測されなかったので、コーティングの圧縮が原因で起こる可能性がある。これの改善は、緩和された潜在的な劣化と、出発点及び終点におけるより高いレベルの一致とにつながり得る。
【0135】
LFPコーティングの空間分析
【0136】
以下のセクションは、スイープ中における異なる位置に沿った同じ材料の相違を検討することを対象とする
【0137】
図25は、電極ストリップ(例えば、LFP電極ストリップ)の空間分析を行うための一例のシステム2500を例証する。例えば、
図22に示された200を用いて、例えば、レシーバ206上にセルが整列されたときに、LFP電極ストリップは異なるセルに分割され、そして、セル毎に収集された複数(例えば、10)のデータ点(矢印2510によって示される)を伴う。
【0138】
図26は、空間分析2500のための重心周波数を例証する。異なる位置でエラーバーが重なって見えたが、電極ストリップに沿って収集された重心周波数の相違は、重心周波数中に観察される。空間分析2500のためのシステムの改善は、各位置又はセルで収集されたデータに対する広がりにおける減少をもたらすことができる。
【0139】
図27は、システムの改善に基づいて取得された波形を例証する。パルサ及びレシーバのための高周波数トランスデューサ(例えば、10MHトランスデューサ)を用いて、システムの潜在的な改善のために空間分析で高品質のLFPカソードが使用された。より高い周波数トランスデューサから取得されたデータは、より高い解像度のために設計されたデータ処理を用いて、より役立つ。以下の改善がデータ分析に提供された:スムージング機能は除去され;最も強いピークへの整列(alignment)によって行われる整列;最も強いピークの強度を用いた分割に追って行われる規格化;及び集電体側の結合による、いくつかの波は、より代表的な波形を受信するために除去された。
【0140】
更に、
図27の波形の表出は、損傷を被ったLFP電極と初期状態のLFP電極との間の区別の表示を改善する。トランスデューサの高い周波数(例えば、10MHz)が原因で、整列はToFの小さい変化によって影響できるようになり、それは比較的大きな時間シフトを引き起こす可能性があり、潜在的に第1のトラフ検出をより困難にする。
【0141】
図27から分かるように、集電体側に結合されたLFP電極のフィルタされた波形は、特徴のある波形の違いを明らかにする。損傷を被ったLFP電極の波形は、初期状態の電極の波形と比べて、より短いToFを持つように観察される。損傷を被ったLFP電極及び初期状態のLFP電極のそれぞれのToFは、~6.7と~5.9である。時間窓(例えば、6から10,5μsまでの時間範囲)が示されるが、いくつかの検出された波は時間窓の外側であり得る。
【0142】
以下の観察は上記のデータを用いて可能である。2.25MHzの測定に対して:
1.損傷を被った電極は、初期状態の電極よりも小さな第1のトラフマグニチュードを示す。
2.損傷を被った電極は、初期状態の電極よりも小さな重心周波数を示す。
3.コーティング側に結合するとき、信号品質はコーティング材料に依存し得る。
【0143】
MHzの測定に対して、
1.波形品質はコーティング材料に依存する。
2.電極が損傷を被ったときに信号振幅は増加する.
3.損傷を被った電極のToFは減少する。
4.損傷を被った電極の重心周波数は減少する。
【0144】
誘導波:
【0145】
電極の音響信号ベース分析のためのいくつかの例のシステムにおいて、誘導波を用いることができ、誘導波は上記の分析のために改善されたデータ点をもたらすことができる。本明細書で言及される誘導波は、特別(particular)の位置に入射し、又は特別の特性を持つように、特定(specific)の点に誘導でき、又は特定の角度に向けることができる、音響波である。例えば、楔(wedge)又は他のデバイスは、コーティング又は薄膜試料中に音響波を曲げるための導波路を作成するために使用することができる。しかし、薄膜試料を製造又は試験するためのシステム中への誘導波の導入は困難である。これは、(例えば、
図22に示される)誘導波を用いて薄膜又はホイルの音響信号スイープピングを行うことは、適切な張力及び適切な整列を提供するために、カスタマイズされた機構の使用を要するからである。商業的に入手可能な楔は、張力を提供するための固有の個体性を有するプローブに圧力を加えるように設計することができるが(例えば、パルサ)、以下の技術は、既存のセットアップに誘導波の使用を支援することができる、改善された代替を提供する。
【0146】
図28は、音響入力信号として誘導波を用いて、ストリップ、薄膜又はホイルの音響信号分析に用いる一例のシステム800を例証する。電極ストリップ2802が示されており、これは、電極ストリップ2802の本体(body)上の様々な点での測定のために、ローラー2806、又は電極ストリップ2802をスイーピング又は移動(例えば、人的相互作用を共わない自動移動)するための他のメカニズムを、通過させることができる。楔2810が示されており、これは、インピーダンス整合された電極コーティング又は電極ストリップ802の集電体のどちらか一方の材料から構築することができる。トランスデューサトランスデューサ2804は、導波された音響波を提供するために楔2810内に設けられ得る。トランスデューサ2804は、電極コーティング2806に直接的に接触しなくてもよいが、誘導波を提供するために適切な距離に配置されてもよい。張力2807は、電極ストリップ2801を楔2810に押し付ける機構によって、提供することができる。例えば、機構2808は、張力を提供するためのスプリング又は空気圧システムを含むことができる。楔2810と電極ストリップ2802との間にはゲルをオプションとして用いることができる。楔2810を横切った長い電極ストリップ2802の高速移動は、摩擦熱を引き起こすことができる。楔2810の表面(特に電極ストリップ2802と接触することができる表面)は、電極ストリップ2802が楔2810上をなめからにスライド又はグライドすることができるように、非常に滑らかに製作するができる。
【0147】
楔のいくつかの代替は、前述したローラー、又はローラーと楔との組み合わせを含むことができる。例えば、破線で示された輪郭2820は、楔を収容することができるローラー設計の図式を提供する。輪郭2820は一つの可能な実装の例ではあるが、円筒状のローラーに対しての実際のセットアップではより円形状の輪郭を実施することができる。ローラーは、トランスデューサを埋め込むことができる
図2A-2Dに示されたローラーの一つとすることができる。楔に使用されるのと同じ材料を運ぶ輪郭2820は、(輪郭2820に対応する)円形断面を有する円筒状のローラーの形状に設計することができ、それは、電極コーティング802のより容易かつより滑らかな移動を可能にすることができる。
【0148】
“ローラートランスデューサ”は、トランスデューサ2804を提供することでき、そして、電極ストリップ2802を励起するために導波された音響波を提供するために使用することができる、ローラーを指すこともある。ローラートランスデューサは、製造環境内で比較的容易に実施することができる。ローラートランスデューサは、パイプ腐食検出のために使用されるローラーを使用することで設計することができ、したがって、既存のセットアップ及び製品中にあり得る。ローラートランスデューサは、楔の代替として、又はいくつかのセットアップ中の楔に加えて、使用することができる。
【0149】
図29は、本開示の態様による音響信号ベース分析の一例の方法である。
図29は、
図1及びその構成要素を用いて説明される。
【0150】
ステップ2900では、少なくとも一つの音響励起信号(acoustic excitation signal)が、
図1の試料102などの試料の少なくとも一部分に送信され得る。試料は、先に述べたように、バッテリーの部品に関連する、シート又は膜を含み得る。一例では、励起信号は、
図1のトランスデューサ104などの少なくとも一つのトランスデューサを用いて、試料中に送信し得る。
【0151】
ステップ2910では、音響応答信号データは、試料の一部に少なくとも一つの音響励起信号を送信することに応じて、受信され得る。いくつかの例では、音響応答信号データは、
図1のトランスデューサ106などの少なくとも一つのトランスデューサを介して収集し得る。一例では、音響応答信号データは、試料の2次元領域を横切った試料の音響信号ベースの空間分析に基づいて、収集し得る。
【0152】
一例では、音響応答信号データは、試料の二つ以上の部分が、時間内の二つ以上の時点で少なくとも一つのトランスデューサを接触するように、又は、少なくとも一つのトランスデューサの閾値近傍内になるように、試料を移動することによって、時間内の二つ以上の時点で試料の二つ以上の部分から収集され得る。
【0153】
一例では、少なくとも一つトランスデューサを収容する、少なくとも一つ以上のローラーハウジングの少なくとも一つを用いて、試料は移動される。別の例では、少なくとも一つのトランスデューサを収容する、少なくとも一つ以上の楔の少なくとも一つを用いて、試料は移動される。一例では、少なくとも一つの音響励起信号は導波路を用いて送信され、及び/又は音響応答信号データは導波路を用いて受信される。導波路は、試料を移動するための一つ以上の楔又は一つ以上のローラーの中に配置され得る。
【0154】
一例では、試料中に送信された音響信号及び/又は少なくとも一つのトランスデューサによって受信された音響信号は、
図1の音響パルサ/レシーバ108によって生成又は制御され得る。
【0155】
ステップ2920では、試料に関連する少なくとも一つの計量は、ステップ2910で受信された音響応答信号データに基づいて、決定されてもよい。一例では、少なくとも一つの計量は、
図1のプロセスコスト110を用いて決定されてもよく、それは、プロセッサ110に通信的に結合された一つ以上の関連するメモリ(
図1には示されていない)内に格納されたコンピュータ読み取り可能な命令によって実行されるように構成され得る。
【0156】
一例では、ステップ2920で決定された少なくとも一つの計量は、試料及び参照試料を通過する音響信号の飛行時間のシフト;損傷を被った試料及び参照試料を具備する試料について行われた分析に基づく音響信号ベースの音響信号データの類似性又は非類似性;初期状態の試料、公称の試料、又は予期された試料を含んでいる参照試料;重心周波数、又は音響信号データの二乗平均平方根振幅を含む。
【0157】
ステップ2930では、試料に関連する少なくとも一つの計量を対応する参照試料の少なくとも一つ以上の参照計量と比較することに基づいて、プロセッサ110によって、試料の少なくとも一つ以上の特性が決定され得る。一例では、試料は,バッテリーで使用されるセパレータを含み、そして、少なくとも一つ以上の特性は、損傷を受け、ホールを有し、裂け目又は折り重なりを有するセパレータの少なくとも一つ以上の部分;ポリマー凝集体、大型ポア、又は汚染粒子を含んでいる一つ以上の製造不均等性;質量負荷;厚み;及び/又は均一性を含む。
【0158】
別の例では、試料は、バッテリーで使用される電極を含み、そして、少なくとも一つ以上の特性は、多孔性、局所密度、質量負荷、質量凝集、又は粒子サイズ分布におけるカレンダー及び/又は非カレンダーの電極コーティングの不一致;活性材料と導電性添加物とバインダーとの間の結合;ボイド、スクラッチ、又はクラックを具備する損傷;バブルと、金属又は非金属の粒子とを含んでいる汚染物質を含んでいる異物含有物;電極コーティングの剥離又は剥落;電極コーティングと金属集電体との間の剥離;集電体とコーティングとの間の粘着;及び/又は多孔性又は密度の表面変動(surface variation)を含む。
【0159】
別の例では、試料はバッテリーパウチパッケージング、そして、一つ以上の特性は、ピンホール又はセル封止ホイルの漏れを結果的にもたらす不適切な封止を含む損傷;又はポリマー溶解粘着層(典型的にはDNP当たりのPP/PPa製品文献)、ナイロン保護層、アルミニウムホイル、及び/又はPET保護層の領域の非一貫性、非均一性又は脱落を含む。
【0160】
別の例では、試料は集電体を含み、そして一つ以上の特性は、電極コーティングが適用される前、電極活性材料がコーティングされた後、及び/又はカレンダー後に、集電体における折り重なり、クラック、穴、及び湾曲を含む。
【0161】
一例では、一つ以上の対応する参照試料の計量は、初期状態の、公称の試料の、又は予期された試料に対する計量である。別の例では、少なくとも一つの計量は、飛行時間、スペクトル中心、第1のトラフマグニチュード対(vs)重心周波数広がり、及び/又は試料信号強度の一つ以上を含む。
【0162】
一例では、プロセッサ110は、ステップ2930での比較を支援するために、薄膜品質インデックス中に少なくとも一つの計量を集める。
【0163】
一例では、試料及び参照試料は、一つ以上の単面コーティングされたカソード又はアノード、集電体、及び/又は両面コーティングされた電極を含む。
【0164】
一例では、ステップ2900乃至2930による、コーティングが適用される前の薄膜に音響信号ベース分析を行うことによって;薄膜の第1の面にウエットスラリーコーティングが適用され次第、薄膜の第1の面に音響信号ベース分析を行うことによって;薄膜の第2の面にウエットスラリーコーティングが適用され次第、薄膜の第2の面に音響信号ベース分析を行うことによって;及び薄膜の第1の面及び第2の面の上のウエットスラリーコーティングが乾燥炉内で乾燥され次第、薄膜の第1の面及び第2の面に音響信号ベース分析を行うことによって、試料をコーティングするプロセスの期間中に、音響信号ベース分析は、試料に対して段階的なやり方で行われる。
【0165】
いくつかの例では、本明細書に記載された方法(例えば、方法2900及び/又は本明細書に記載された任意の他の方法)は、コンピューティングデバイス又はコンピューティング装置(computing apparatus)によって実行され得る。一例では、方法2900は
図1のシステム100によって受信することができる。コンピューティングデバイスは、ラップトップコンピューティングデバイス、携帯デバイス(例えば、携帯電話)、ウェアラブルデバイス(VRヘッドセット、ARヘッドセット、ARグラス、ネットワーク接続ウォッチ又はスマートウォッチ、又は他のウェアラブルデバイス)、ロボットデバイス、及び/又は、方法2900及び/又は本明細書に記載された他の方法を含む、本明細書に記載されたプロセスを行う資源能力を有する任意の他のコンピューティングデバイスなどの任意の適切なデバイスを含むことができる。いくつかの場合、コンピューティングデバイス又はコンピューティング装置は、一つ以上の入力デバイス、一つ以上の出力デバイス、一つ以上のプロセッサ、一つ以上のマイクロプロセッサ、一つ以上のマイクロコンピュータ、一つ以上のカメラ、一つ以上のセンサ、及び/又は、本明細書に記載されたプロセスのステップを実行するように構成された他の部品などの様々な部品を含み得る。いくつかの例では、コンピューティングデバイスは、ディスプレイ、データと通信及び/又はデータを受信するように構成されたネットワークインターフェース、メモリ、それらの任意の組み合わせ、及び/又は他の部品を含み得る。ネットワークインターフェースは、インターネット・プロトコル(IP)と通信及び/又はIPを受信するように構成され得る。
【0166】
コンピューティングデバイスの部品は回路で実行することができる。例えば、部品は、電子回路又は他の電子機器を含むことができ、及び/又は当該電子回路又は他の電子機器を用いて実行することができ、それは、一つ以上のプログラムブル電子回路(例えば、複数のマイクロプロセッサ、複数のグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)、複数のデジタル・シグナル・プロセッサ(DSPs)、複数の中央処理ユニット(CPUs)、及び/又は他の適切な電子回路)を含むことができ、及び/又は、それは、本明細書に記載された様々な動作を行うためのコンピュータソフト、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができ、及び/又は当該コンピュータソフト、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせを用いて実行することができる。
【0167】
方法2900は、論理フローダイアグラムとして示されているが、その動作は、ハードウェア、コンピュータ命令、又はそれらの組み合わせで実行することができる一連の動作を表す。コンピュータ命令の観点では、動作は、一つ以上のプロセッサによって実行され、当該記載された動作を実行するときの、一つ以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されたコンピュータ実行可能な命令を表す。一般に、コンピュータ実行可能な命令は、特定の機能を行うか、又は特定のデータタイプを実行する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。動作が記述されている命令は、限定として解釈されることを意図しておらず、そして、任意の数の記述された動作は、プロセスを実行するために、任意の順番及び/又は並列に組み合わせることができる。
【0168】
また、方法2900及び/又は本明細書に記載された他の方法は、実行可能な命令で構成された一つ以上のコンピュータシステムの制御下で行われ得り、そして、ハードウェア、又はその組み合わせによって、一つ以上のプロセッサ上で一括して実行するコード(例えば、実行可能な命令、一つ以上のコンピュータプログラム、又は一つ以上のアプリケーション)として実行され得る。上述したように、コードは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体又は機械読み取り可能な記録媒体上に、例えば、一つ以上のプロセッサによって実行可能な複数の命令を具備するコンピュータプログラムの形で、格納され得る。コンピュータ読取り可能な記憶媒体又は機械読み取り可能な記録媒体は、非一時的であり得る。
【0169】
いくつかの例では、コンピュータ読み取り可能な記憶デバイス、媒体、及びメモリは、ビット流などを含有するケーブル又は無線信号を含むことができる。しかし、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に明確に言及するときには、エネルギー、キャリア信号、電磁波、及び信号自体を除外する。
【0170】
当業者であれば、情報及び信号は、任意の様々な異なる技術(technologies)及び技法(techniques)を用いて表し得ることは認識できるであろう。例えば、上記の説明を通じて参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場又は粒子、光場又は粒子、又はそれらの任意の組み合わせによって表し得る。
【0171】
更に、当業者であれば、本明細書に開示された態様に関連して記載された、様々な例証となる論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップは、電子機器、コンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実装され得ることを認識できるであろう。ハードウェア及びソフトウェア、様々な部品、ブロック、モジュール、回路、及びステップの互換性を明瞭に例証するために、概してそれらの機能の観点から、上記では説明している。当業者は、特定の用途の各々に対して様々なやり方で説明した機能を実装し得るが、そのような実装決定は本開示の範囲からの逸脱を生じさせるものであるとは解釈されるべきではない。
【0172】
したがって、本開示の態様は、一つ以上のバッテリーセル又は一つ以上のバッテリー部品の電気化学的音響信号審問(electrochemical-acoustic signal interrogation(EASI))の方法を具現化するコンピュータ読み取り可能な媒体を含むことができる。したがって、本開示は、例証された例には限定されず、そして、本明細書で記載された機能を実行するための任意の手段は本開示の態様に含まれる。
【0173】
前述の開示は本開示の例証としての態様を示しているが、特許請求の範囲で定義された本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を本明細書で行うことができることを留意されたい。本明細書に記載された本開示の態様に従う、方法請求項の機能、ステップ及び/又は動作は、特定の順番で行われる必要はない。更に、本開示の要素は単数形で説明又は請求されていることがあるが、単数形に限定することが明示的に述べられていない限り、複数形は想定されている。
【0174】
本明細書で提供される実施形態および例の完全な理解を提供するために、特定の詳細が上記の説明で提供される。しかし、当業者であれば、これらの具体的な詳細がなくても実施形態を実施できることは理解されよう。説明を明確にするために、いくつかの事例では、デバイス、デバイスコン部品、ソフトウェアで具現化される方法中のステップ又はルーチン、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを具備している個々の機能ブロックを含むものとして提示され得る。図に示したもの及び/又は本明細書で説明したもの以外の追加の部品を用い得る。例えば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、及び他の部品は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にしないために、ブロック図の形式で構成要素として示され得る。他の事例では、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、及び技術は、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、不必要な詳細なしに示され得る。
【0175】
様々な態様は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、又はブロック図として示されるプロセス又は方法として上で説明され得る。フローチャートでは動作を順次処理として説明し得るが、多くの動作は並行又は同時に実行することができる。また、動作の順序を並べ替え得る。プロセスは、その動作が完了すると終了するが、図には含まれていない追加のステップを有することもあり得る。プロセスは、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、呼び出し関数又はメイン関数への関数の返し(return)に対することができる。
【0176】
上述の例によるプロセス及び方法は、コンピュータ読み取り可能な媒体に格納されたコンピュータ実行可能な命令、さもなければコンピュータ読み取り可能な媒体から利用可能なコンピュータ実行可能な命令を用いて、実施することができる。そのような命令は、例えば、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、又は処理デバイスに、特定の機能又は機能群を実行させるデータか、さもなければ特定の機能又は機能群を構成するデータを含むことができる。使用するコンピュータ資源の一部は、ネットワーク経由でアクセスすることができる。コンピュータ実行可能な命令は、例えば、バイナリ、アセンブリ言語などの中間フォーマット命令、ファームウェア、ソースコードであり得る。命令、説明された例による方法の期間中に使用された情報、及び/又は作成された情報を格納するために使用され得るコンピュータ読み取り可能な媒体の例は、磁気又は光ディスク、フラッシュメモリ、不揮発性メモリを備えるUSBデバイス、ネットワーク化された記憶デバイスなどを含む。
【0177】
これらの開示によるプロセス及び方法を実装するデバイスは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができ、そして、様々なフォームファクタのいずれかを取ることができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、又はマイクロコードで実装される場合、必要なタスクを実行するためのプログラム コード又はコードセグメント(例えば、コンピュータプログラム製品)は、コンピュータ読み取り可能な媒体又は機械読み取り可能な媒体に格納され得る。プロセッサは、必要なタスクを実行し得る。フォームファクタの典型的な例は、ラップトップ、スマートフォン、携帯電話、タブレットデバイス、サーバー、又はその他のフォームファクターコンピュータ、ラックマウントデバイス、スタンドアロンデバイスなどがあります。本明細書で説明した機能は、周辺機器又はアドインカードで具現化することもできる。さらなる例として、そのような機能は、異なるチップ又は単一デバイス内で実行している異なるプロセスの間で回路基板上でも実装することができる。
【0178】
命令、そのような命令を伝達するための媒体、それらを実行するためのコンピューティング資源、及びそのようなコンピューティング資源を支援するための他の構造は、本開示で説明する機能を提供するための一例の手段である。
【0179】
前述の説明において、本願の態様は、その特定の実施形態を参照して説明されているが、当業者であれば、本願がこれに限定されないことを認識されよう。したがって、本出願の例証的な実施形態が本明細書で詳細に説明されたが、開示された概念は、別の方法で様々に具現化及び使用され得ること、及び添付の特許請求の範囲は、従来技術によって限定されることを除いて、そのような変形を含むように解釈されることが意図されることが理解されるべきである。
【0180】
当業者であれば、本明細書で使用される、より小さい(“<”)、及びより大きい(“>”)の記号又は用語は、それぞれ、この説明の範囲から逸脱することなく、以下(“≦”)記号、及び以上(“≧”)記号に置き換えることができる。
【0181】
コンポーネントが特定の動作を実行するように“構成されている”と説明されている場合、そのような構成は、例えば、その動作を実行するために電子回路又は他のハードウェアを設計することによって、その動作を実行するためにプログラム可能な電子回路(例えば、マイクロプロセッサ、又は他の適切な電子回路)をプログラミングすることによって、又はそれらの任意の組み合わせによって、達成することができる。
【0182】
“結合された”という語句は、別のコンポーネントに直接的又は間接的に物理的に接続されている任意の部品、及び/又は別の部品と通信している任意の部品(例えば、有線又は無線接続を介して他の部品に接続されている)を指す。
【0183】
セットの“少なくとも一つ”及び/又はセットの“一つ以上”を列挙している、本開示における請求項の文言又は他の文言は、セットの一つのメンバー又はセットの複数のメンバー(任意の組み合わせ)が請求項を満たすことを示す。例えば、“AとBの少なくとも一つ”又は“A又はBの少なくとも一つ”と記載されている請求項の文言は、A、B、又はA及びBを表す。別の例では、“A、B、及びCの少なくとも一つ”又は“A、B、又はCの少なくとも一つ”を記載する請求項の文言は、A、B、C、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを意味する。セットの“少なくとも一つ”及び/又はセットの“一つ以上”という文言は、セットをそのセットに列挙された項目に限定するものではない。例えば、“A及びBの少なくとも一つ”又は“A又はBの少なくとも一つ”を記載する請求項の文言は、A、B、又はA及びBを意味し、そして、A及びBのセットに列挙されていない項目を更に含むことができる。
【0184】
本明細書に開示された例に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせとして実装され得る。このハードウェアとソフトウェアとの互換性を明確に例証するために、様々な例示的な部品、ブロック、モジュール、回路、及びステップを、その機能性の観点から一般的に説明してきた。このような機能をハードウェアとして実装するか、又はソフトウェアとして実装するかは、システム全体に課される特定の用途及び設計上の制約に依存する。当業者は、記載された機能を各特定の用途毎に様々な方法で実装することができるが、そのような実装の決定は、本出願の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈されるべきではない。
【0185】
本明細書に記載された技術も、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装され得る。そのような技術は、汎用コンピュータ、無線通信デバイスハンドセット、又は無線通信デバイスハンドセット、又は無線通信デバイスハンドセット又は他のデバイスにおける用途を含む複数の用途を有する集積回路デバイスなどの様々なデバイスのいずれかで実装され得る。モジュール又はコンポーネントとして説明された任意の機能は、統合された論理デバイスに一緒に実装されてもよいし、分離されているが相互運用可能な論理デバイスとして別々に実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、本技術は、実行されると、上述した方法、アルゴリズム、及び/又は動作の一つ以上を実行する命令を含むプログラムコードを含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体によって少なくとも部分的に実現され得る。コンピュータ読み取り可能なデータ記憶媒体は、パッケージング材料を含み得る、コンピュータプログラム製品の一部を形成し得る。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、電気的消去可能プログラムなプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気又は光学データ記憶媒体などを具備し得る。本技術は、追加的又は代替的に、命令又はデータ構造の形でプログラムコードを搬送又は通信し、そして、伝播された信号又は波動など、コンピュータによってアクセス、読み取り、及び/又は実行できる、コンピュータ読み取り可能な通信媒体によって少なくとも部分的に実現され得る。
【0186】
プログラムコードは、一つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、又は他の同等の集積された又は個別の論理回路などの一つ以上のプロセッサを含み得る、プロセッサによって実行され得る。そのようなプロセッサは、本開示で説明された技法のいずれかを実行するように構成され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代わりに、従来のプロセッサ、コントローラー、マイクロコントローラー、又はステートマシンのいずれでもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併用する一つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成として実装し得る。したがって、本明細書で使用される“プロセッサ”という用語は、前述の構造のいずれか、前述の構造の任意の組み合わせ、又は本明細書に記載の技術の実装に適した任意の他の構造又は装置を指し得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
音響信号ベース分析の方法であって、
少なくとも一つの音響励起信号を試料の少なくとも一部の中に送信すること、前記試料はバッテリーの部品に関連するシート又は膜を含むこと、
前記少なくとも一つの音響励起信号を前記試料の前記一部の中に送信することに応じて、音響応答信号データを受信すること、
前記音響応答信号データに基づいて、前記試料に関連する少なくとも一つの計量を決定すること、及び
前記試料に関連する前記少なくとも一つの計量を対応する参照試料の一つ以上の参照計量と比較することに基づいて、前記試料の一つ以上の特性を決定すること、
を具備する、方法。
[2]
前記少なくとも一つの音響応答信号データを受信することは、
前記試料の二つ以上の部分が、時間内の二つ以上の時点で少なくとも一つのトランスデューサに接触するか、又は前記少なくとも一つのトランスデューサの閾値近傍内になるように、前記試料を移動することによって、前記少なくとも一つのトランスデューサによって、時間内の二つ以上の時点で、前記試料の前記二つ以上の部分から前記音響応答信号データを取得することを具備する、
[1]の方法。
[3]
前記試料は一つ以上のローラーを使用して移動され、前記一つ以上のローラーの少なくとも一つは前記少なくとも一つのトランスデューサを収容している状態である、
[2]の方法。
[4]
前記試料は一つ以上の楔を使用して移動され、前記一つ以上の楔の少なくとも一つは前記少なくとも一つのトランスデューサを収容している状態である、
[2]の方法。
[5]
前記少なくとも一つの音響励起信号は導波路を用いて送信されるか、又は
前記音響応答信号データは導波路を用いて受信されるかの少なくとも一方の、
[2]の方法。
[6]
前記導波路は、前記試料の移動のために、少なくとも一つ以上の楔又は少なくとも一つ以上のローラーの中に配置される、
[5]の方法。
[7]
前記試料の2次元の領域を横切った前記試料の音響信号ベースの空間分析に基づいて、前記音響応答信号データを取得することを更に具備する、[1の方法。
[8]
前記少なくとも一つの計量は、
前記試料及び参照試料を通過する音響信号の飛行時間のシフト、
損傷を被った試料及び前記参照試料を具備する前記試料に行われた音響信号ベース分析に基づいた音響信号データの類似性又は非類似性、前記参照試料は初期状態の、公称の、又は予期された試料を含むこと、
重心周波数、又は
前記音響信号データの二乗平均平方根振幅
の少なくとも一つ以上を具備する、
[1]の方法。
[9]
前記試料はバッテリーに使用されたセパレータを具備し、及び、
前記一つ以上の特性は、
損傷を受け、穴を有し、裂け目を有し、又は折り重なる、セパレータの一つ以上の部分、
ポリマー凝集体、大型ポア、又は汚染粒子を含んでいる一つ以上の製造不均等性、
多孔性、
質量負荷
厚さ、又は
均一性の少なくとも一つを具備する、
[1]の方法。
[10]
前記試料は、前記バッテリーに使用された電極を具備し、及び、
前記少なくとも一つ以上の特性は、
カレンダーされた又は/及びカレンダーされてない電極コーティングの多孔性、局所密度、質量負荷、ポリマー凝集体、又は粒子サイズ分布における不一致、
活性材料と導電性添加物とバインダーとの間の凝集、
ボイド、スクラッチ、又はクラックを具備している損傷、
バブルと、及び金属又は非金属の粒子を含んでいる汚染粒子とを具備している異物含有物、
電極コーティングの層間剥離又はフレーキング、
電極コーティングと金属集電体との間の剥離、
集電体とコーティングとの間の粘着、又は
多孔性又は密度の表面変動の少なくとも一つを具備する、
[1]の方法。
[11]
前記音響信号ベース分析は、
コーティングが適用される前の薄膜に前記音響信号ベース分析を行うことによって、
前記薄膜の第1の面にウエットスラリーコーティングが適用され次第、前記薄膜の前記第1の面に前記音響信号ベース分析を行うことによって、
前記薄膜の第2の面にウエットスラリーコーティングが適用され次第、前記薄膜の前記第2の面に前記音響信号ベース分析を行うことによって、及び
前記薄膜の前記第1の面及び前記第2の面の上の前記ウエットスラリーコーティングが乾燥炉内で乾燥され次第、前記薄膜の前記第1の面及び前記第2の面に前記音響信号ベース分析を行うことによって、
前記試料をコーティングするプロセスの期間中に、前記試料に対して段階的なやり方で行われる、
[1]の方法。
[12]
前記試料はバッテリーパウチパッケージングを具備し、及び
前記一つ以上の特性は、
セルの漏れをもたらすピンホール又は不適切密封を含んでいる損傷、又は
ポリマー溶解粘着層(典型的には、DNP当たりのPP/PPa製品文献(PP/PPa per DNP product literature))、ナイロン保護層、アルミニウムホイル層、又はPET保護層の非一貫性な、不均一な又は欠落した領域を含んでいる損傷を具備する、
[1]の方法。
[13]
前記試料は集電体を具備し、及び
電極コーティングが適用される前、電極活性材料が塗られた後、乾燥後、又はカレンダー後において、前記一つ以上の特性は前記集電体中の折り重なり、クラック、穴、及び湾曲を具備する、
[1]の方法。
[14]
前記参照試料の前記一つ以上の対応する計量は、初期状態の、公称の、又は予期された試料の計量である、[1]の方法。
[15]
前記少なくとも一つの計量は、飛行時間、スペクトル中心、第1のトラフマグニチュード対重心周波数広がり、又は試料信号強度の一つ以上を具備する、[14]の方法。
[16]
前記比較のために前記少なくとも一つの計量を薄膜品質インデックス中に集めることを更に具備している、[1]の方法。
[17]
前記試料及び前記参照試料は、単面コーティングされた一つ以上のカソード又はアノード、集電体、又は両面コーティングされた電極を具備する、[14]の方法。
[18]
音響信号ベース分析を行うように構成された装置であって、
試料に関連する少なくとも一つの計量を、前記試料のために収集された音響応答信号データに基づいて決定し、前記試料はバッテリーの部品に関連するシート又は膜を含んでいること、及び
前記試料の少なくとも一つ以上の特性を、前記試料に関連する前記少なくとも一つの前記計量を参照試料の対応する一つ以上の計量と比較することに基づいて検出するために、
メモリに格納されたコンピュータ読み取り可能な命令を実行するように構成されたプロセッサを具備している、装置。
[19]
少なくとも一つの音響励起信号を試料の少なくとも一部に送信し、前記試料はバッテリーの部品に関連するシート又は膜を含んでいること、及び
前記少なくとも一つの音響励起信号を前記試料の前記一部の中に送信することに応じて、音響応答信号データを受信するように構成された、
一つ以上のトランスデューサを更に具備している、[18]の装置。
[20]
音響信号ベース分析を行うように構成された装置によって実行されると、
前記装置に、
少なくとも一つの音響励起信号を試料の少なくとも一部の中に送信させ、前記試料はバッテリーの部品に関連するシート又は膜を含むこと、
前記少なくとも一つの音響励起信号を前記試料の前記一部の中に送信することに応じて、音響応答信号データを受信させ、
前記音響応答信号データに基づいて、前記試料に関連する少なくとも一つの計量を決定させ、及び
前記試料に関連する前記少なくとも一つの計量を対応する参照試料の一つ以上の参照計量と比較することに基づいて、前記試料の一つ以上の特性を決定させる、
コンピュータ読み取り可能な命令を具備している、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。