(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-27
(45)【発行日】2025-07-07
(54)【発明の名称】基礎構造物、基礎構造物の構築方法、並びに取付具
(51)【国際特許分類】
E02D 27/10 20060101AFI20250630BHJP
E21D 5/10 20060101ALI20250630BHJP
【FI】
E02D27/10
E21D5/10
(21)【出願番号】P 2024099096
(22)【出願日】2024-06-19
【審査請求日】2025-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳
(72)【発明者】
【氏名】堂園 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中井 寛
(72)【発明者】
【氏名】原田 剛男
(72)【発明者】
【氏名】阿部 幸夫
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-068287(JP,A)
【文献】特開2021-134479(JP,A)
【文献】特開2020-204163(JP,A)
【文献】特開2012-180647(JP,A)
【文献】特開2000-282777(JP,A)
【文献】特開2014-234658(JP,A)
【文献】実用新案登録第2529763(JP,Y2)
【文献】特開2011-032670(JP,A)
【文献】登録実用新案第3158383(JP,U)
【文献】実開平05-057087(JP,U)
【文献】特開2018-188865(JP,A)
【文献】特開平08-027784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/10
E21D 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物であって、
前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体と、
前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋と、
前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられる複数の取付具と、
前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって形成された内側本体部とが備えられ、
前記取付具は、
前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、
前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ
、
前記ライナー保持部は、
前記フランジをクランプするクランプ構造に構成された
基礎構造物。
【請求項2】
前記ライナー保持部は、
前記ライナープレートの軸方向フランジを挟んで前記周方向に二つ並設された
請求項
1に記載の基礎構造物。
【請求項3】
地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物であって、
前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体と、
前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋と、
前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられる複数の取付具と、
前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって形成された内側本体部とが備えられ、
前記取付具は、
前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、
前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、
前記ライナー保持部は、
付勢力によって前記フランジを挟持するクリップ構造に構成された
基礎構造物。
【請求項4】
前記ライナー保持部は、
前記フランジを挟んで対向する略棒状の一対の挟持部と、
前記挟持部の端部を連結する略環状の環状連結部とで一体形成された
請求項
3に記載の基礎構造物。
【請求項5】
前記ライナー保持部は、
前記フランジを挟んで対向する板状の一対の挟持板部と、前記挟持板部の端部を連結する連結底部とで、前記周方向から見て頂部が開口可能な略三角形状に一体形成された
請求項
3に記載の基礎構造物。
【請求項6】
一対の前記挟持板部は、
前記ライナープレートの軸方向フランジを挿入可能な大きさで、前記略三角形状の前記頂部側から前記連結底部へ向けて切り欠かれたスリット部が設けられた
請求項
5に記載の基礎構造物。
【請求項7】
前記鉄筋保持部は、
前記軸方向鉄筋を保持するとともに、前記ライナー保持部における一対の前記挟持板部の先端側を開放可能に構成された
請求項
5に記載の基礎構造物。
【請求項8】
地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物であって、
前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体と、
前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋と、
前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられる複数の取付具と、
前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって形成された内側本体部とが備えられ、
前記取付具は、
前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、
前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、
前記鉄筋保持部は、
前記深さ方向に沿って貫通する貫通孔を有する形状に形成され、
前記鉄筋保持部は、
前記貫通孔の内部が連通するように、前記貫通孔を前記周方向に二つ備えられた
基礎構造物。
【請求項9】
地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物の構築方法であって、
前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて筒状構造体を構築する構造体構築工程と、
前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられた複数の取付具に、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋をそれぞれ取り付ける配筋工程と、
前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって内側本体部を形成する打設工程とを行い、
前記配筋工程において、
前記取付具は、ライナー保持部が前記ライナープレートのフランジを挟持し、鉄筋保持部が前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持
し、
前記ライナー保持部は、
前記フランジをクランプするクランプ構造に構成された
基礎構造物の構築方法。
【請求項10】
地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物の構築方法であって、
前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて筒状構造体を構築する構造体構築工程と、
前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられた複数の取付具に、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋をそれぞれ取り付ける配筋工程と、
前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって内側本体部を形成する打設工程とを行い、
前記配筋工程において、
前記取付具は、ライナー保持部が前記ライナープレートのフランジを挟持し、鉄筋保持部が前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持
し、
前記ライナー保持部は、
付勢力によって前記フランジを挟持するクリップ構造に構成された
基礎構造物の構築方法。
【請求項11】
地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物の構築方法であって、
前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて筒状構造体を構築する構造体構築工程と、
前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられた複数の取付具に、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋をそれぞれ取り付ける配筋工程と、
前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって内側本体部を形成する打設工程とを行い、
前記配筋工程において、
前記取付具は、ライナー保持部が前記ライナープレートのフランジを挟持し、鉄筋保持部が前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持
し、
前記鉄筋保持部は、
前記深さ方向に沿って貫通する貫通孔を有する形状に形成され、
前記鉄筋保持部は、
前記貫通孔の内部が連通するように、前記貫通孔を前記周方向に二つ備えられた
基礎構造物の構築方法。
【請求項12】
地盤を掘削して形成した掘削孔に前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋が複数配筋され、前記筒状構造体の内側に打設した固化材が硬化して内側本体部が形成されて構築される基礎構造物を構成する前記筒状構造体における前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、
前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、
前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられ
、
前記ライナー保持部は、
前記フランジをクランプするクランプ構造に構成された
取付具。
【請求項13】
地盤を掘削して形成した掘削孔に前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋が複数配筋され、前記筒状構造体の内側に打設した固化材が硬化して内側本体部が形成されて構築される基礎構造物を構成する前記筒状構造体における前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、
前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、
前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられ、
前記ライナー保持部は、
付勢力によって前記フランジを挟持するクリップ構造に構成された
取付具。
【請求項14】
地盤を掘削して形成した掘削孔に前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋が複数配筋され、前記筒状構造体の内側に打設した固化材が硬化して内側本体部が形成されて構築される基礎構造物を構成する前記筒状構造体における前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、
前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、
前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられ、
前記鉄筋保持部は、
前記深さ方向に沿って貫通する貫通孔を有する形状に形成され、
前記鉄筋保持部は、
前記貫通孔の内部が連通するように、前記貫通孔を前記周方向に二つ備えられた
取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば地中にライナープレートを高さ方向に組み付けて構成した筒状構造体の内部に複数の鉄筋を配設し、コンクリートを打設して構築する基礎杭などの基礎構造物及び基礎構造物の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地盤を掘削した掘削孔にライナープレートを組み付けて構成した筒状構造体を構築するとともに、構築した筒状構造体の内部に複数の鉄筋を配筋したのち、筒状構造体の内部にコンクリートを打設して基礎杭などの基礎構造物を構築する深礎工法がある。
【0003】
具体的には、掘削孔の孔底部を掘削するとともに、ライナープレートを環状に組み付けて掘削孔の孔壁を保護することを所定深さまで繰り返して立坑を構築したのち、コンクリートを打設して基礎構造物を構築する工法であり、特許文献1に記載の工法もその一つである。
【0004】
ところで、上述の深礎工法では、例えば、特許文献1で示すように、筒状構造体の内部に、周方向に所定間隔を隔てて配置した、深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋(主筋ともいう)と、深さ方向に所定間隔を隔てて複数の軸方向鉄筋に巻き付けるフープ筋(帯筋ともいう)とをコンクリートの打設前に配筋することで、所望の強度を有する鉄筋コンクリート製の基礎構造物を構築している。
【0005】
しかしながら、筒状構造体で囲まれた孔内において、長尺状の軸方向鉄筋を周方向に所定間隔を隔てて複数本配置し、その外径側に円形となるフープ筋を深さ方向に所定間隔を隔てて配置するとともに、軸方向鉄筋と結束して一体化する配筋作業、配筋に要する工数が多くなり現場作業員の負担が増加するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎構造物、基礎構造物の構築方法、並びに取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物であって、前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体と、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋と、前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられる複数の取付具と、前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって形成された内側本体部とが備えられ、前記取付具は、前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、前記ライナー保持部は、前記フランジをクランプするクランプ構造に構成されたことを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物の構築方法であって、前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて筒状構造体を構築する構造体構築工程と、前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられた複数の取付具に、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋をそれぞれ取り付ける配筋工程と、前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって内側本体部を形成する打設工程とを行い、前記配筋工程において、前記取付具は、ライナー保持部が前記ライナープレートのフランジを挟持し、鉄筋保持部が前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持し、前記ライナー保持部は、前記フランジをクランプするクランプ構造に構成されたことを特徴とする。
【0010】
さらにこの発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋が複数配筋され、前記筒状構造体の内側に打設した固化材が硬化して内側本体部が形成されて構築される基礎構造物を構成する前記筒状構造体における前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられ、前記ライナー保持部は、前記フランジをクランプするクランプ構造に構成された取付具であることを特徴とする。
【0011】
上記筒状構造体は、深さ方向において、ライナープレート同士の周方向の連結位置が一致しないように周方向にずらして組み付けた筒状構造体、あるいはライナープレート同士の周方向の連結位置が一致するように組み付けた筒状構造体、さらには、これらを組み合わせた筒状構造体のことをいう。なお、筒状構造体は、平面視円形状はもちろん、平面視楕円状、平面視小判状、さらには平面視多角形状の構造体を含む。
【0012】
上記ライナー保持部は、例えばクランプ構造のライナー保持部、あるいはクリップ構造のライナー保持部などのことをいい、ライナープレートのフランジ等に対して装着可能な保持部をいう。
なお、ライナープレートのフランジとしては、ライナープレート同士を連結する連結部を構成するものだけでなく、ライナープレートを補強するためのリブも含まれる。また、ライナープレートのフランジとしては、深さ方向、つまり軸方向鉄筋の延出方向と略一致する軸方向フランジと、周方向に延びる周方向フランジとがある。
【0013】
上記鉄筋保持部は、深さ方向に貫通した貫通孔を有する平板で構成された鉄筋保持部、つまり軸方向鉄筋を挿通可能な保持部、あるいは例えば、線材を湾曲して形成した貫通孔を有する保持部、つまり挿通することなく装着可能な保持部などのことをいう。
【0014】
上記クランプ構造とは、例えばフランジを挟んで対向する一対の平板と、一方の平板に螺合するとともに、一方の平板の貫通孔を介してフランジに当接する固定ボルトとで構成された構造などのことをいう。
【0015】
この発明により、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎構造物を構築することができる。
詳述すると、取付具が挟持によってライナープレートのフランジに組み付けられるため、所望される数量の軸方向鉄筋を筒状構造体における周方向の所定の位置に取付具を介して連結することができる。
【0016】
この際、取付具の鉄筋保持部がフランジに近接する位置で軸方向鉄筋を保持するため、取付具は、ライナープレートのフランジに対して軸方向鉄筋を規制することができる。
これにより、基礎構造物は、筒状構造体を軸方向鉄筋に巻き付けるフープ筋として機能させることができる。このため、基礎構造物は、深さ方向に所定間隔を隔てて配筋するフープ筋を削減あるいは軽減することができる。
【0017】
よって、基礎構造物、基礎構造物の構築方法、並びに取付具は、配筋に要する工数を低減できるため、耐震強度や耐久性を損なうことなく、つまり所望の強度を確保できる基礎構造物を構築する深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減することができる。
【0018】
加えて、基礎構造物の構築方法は、ライナープレートを深さ方向に組み付ける過程で取付具をフランジに組み付け可能なため、筒状構造体の構築と取付具の組付けとを効率よく行うことができる。
【0019】
なお、取付具を周方向フランジに取り付ける場合は、周方向フランジに対して任意の位置に取り付けることができ、軸方向鉄筋を周方向の所望の位置に配筋することができる。
【0020】
なお、基礎構造物における、深さ方向に所定間隔を隔てて配筋するフープ筋を削減あるいは軽減することができると記載したが、フープ筋を併用してもよい。
【0021】
また、前記ライナー保持部は、前記フランジをクランプするクランプ構造に構成されているため、ライナー保持部を簡素な構成にできるため、取付具の大型化を抑えられるとともに、フランジに対する取付具の組付け性を向上することができる。このため、基礎構造物は、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記ライナー保持部は、前記ライナープレートの軸方向フランジを挟んで前記周方向に二つ並設されてもよい。
この発明により、周方向におけるライナープレートの連結箇所である軸方向フランジを跨いで取付具を取り付けられるため、軸方向鉄筋の配筋が所望される周方向の位置に取付具を配置することができる。
【0023】
またこの発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物であって、前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体と、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋と、前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられる複数の取付具と、前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって形成された内側本体部とが備えられ、前記取付具は、前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、前記ライナー保持部は、付勢力によって前記フランジを挟持するクリップ構造に構成されたことを特徴とする。
【0024】
またこの発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物の構築方法であって、前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて筒状構造体を構築する構造体構築工程と、前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられた複数の取付具に、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋をそれぞれ取り付ける配筋工程と、前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって内側本体部を形成する打設工程とを行い、前記配筋工程において、前記取付具は、ライナー保持部が前記ライナープレートのフランジを挟持し、鉄筋保持部が前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持し、前記ライナー保持部は、付勢力によって前記フランジを挟持するクリップ構造に構成されたことを特徴とする。
【0025】
さらにこの発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋が複数配筋され、前記筒状構造体の内側に打設した固化材が硬化して内側本体部が形成されて構築される基礎構造物を構成する前記筒状構造体における前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられ、前記ライナー保持部は、付勢力によって前記フランジを挟持するクリップ構造に構成された取付具であることを特徴とする。
上記クリップ構造とは、フランジを挟んで対向する部位を有し、当該部位に作用する付勢力によってフランジを挟持する構造のことをいう。
【0026】
この発明により、ライナー保持部を簡素な構成にできるため、取付具の大型化を抑えられるとともに、フランジに対する取付具の組付け性を向上することができる。このため、基礎構造物は、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記ライナー保持部は、前記フランジを挟んで対向する略棒状の一対の挟持部と、前記挟持部の端部を連結する略環状の環状連結部とで一体形成されてもよい。
この発明により、簡素な構成で一対の挟持部に付勢力を生じさせることができ、取付具の大型化をより抑えることができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記ライナー保持部は、前記フランジを挟んで対向する板状の一対の挟持板部と、前記挟持板部の端部を連結する連結底部とで、前記周方向から見て頂部が開口可能な略三角形状に一体形成されてもよい。
この発明により、簡素な構成で一対の挟持板部に付勢力を生じさせることができ、取付具の大型化をより抑えることができる。
【0029】
またこの発明の態様として、一対の前記挟持板部は、前記ライナープレートの軸方向フランジを挿入可能な大きさで、前記略三角形状の前記頂部側から前記連結底部へ向けて切り欠かれたスリット部が設けられてもよい。
この発明により、周方向におけるライナープレートの連結箇所である軸方向フランジを跨いで取付具を取り付けられるため、軸方向鉄筋の配筋が所望される周方向の位置に取付具を配置することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記鉄筋保持部は、前記軸方向鉄筋を保持するとともに、前記ライナー保持部における一対の前記挟持板部の先端側を開放可能に構成されてもよい。
この発明により、ライナー保持部における頂部側の開口を容易に開閉できるため、フランジへの取付具の組付け性を向上することができる。
【0031】
またこの発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物であって、前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体と、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋と、前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられる複数の取付具と、前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって形成された内側本体部とが備えられ、前記取付具は、前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、前記鉄筋保持部は、前記深さ方向に沿って貫通する貫通孔を有する形状に形成され、前記鉄筋保持部は、前記貫通孔の内部が連通するように、前記貫通孔を前記周方向に二つ備えられたことを特徴とする。
【0032】
またこの発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物の構築方法であって、前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて筒状構造体を構築する構造体構築工程と、前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられた複数の取付具に、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋をそれぞれ取り付ける配筋工程と、前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって内側本体部を形成する打設工程とを行い、前記配筋工程において、前記取付具は、ライナー保持部が前記ライナープレートのフランジを挟持し、鉄筋保持部が前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持し、前記鉄筋保持部は、前記深さ方向に沿って貫通する貫通孔を有する形状に形成され、前記鉄筋保持部は、前記貫通孔の内部が連通するように、前記貫通孔を前記周方向に二つ備えられたことを特徴とする。
【0033】
さらにこの発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋が複数配筋され、前記筒状構造体の内側に打設した固化材が硬化して内側本体部が形成されて構築される基礎構造物を構成する前記筒状構造体における前記ライナープレートのフランジを挟持するライナー保持部と、前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、前記深さ方向及び前記周方向に所定間隔を隔てて前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられ、前記鉄筋保持部は、前記深さ方向に沿って貫通する貫通孔を有する形状に形成され、前記鉄筋保持部は、前記貫通孔の内部が連通するように、前記貫通孔を前記周方向に二つ備えられた取付具であることを特徴とする。
【0034】
前記鉄筋保持部は、前記深さ方向に沿って貫通する貫通孔を有する形状に形成されてもよい。
この発明により、深さ方向に沿って軸方向鉄筋を貫通孔に挿通するだけで、軸方向鉄筋を保持することができる。
【0035】
また、前記鉄筋保持部は、前記貫通孔の内部が連通するように、前記貫通孔を前記周方向に二つ備えられているため、ひとつの取付具で2本の軸方向鉄筋を保持したり、軸方向鉄筋の重ね継手箇所を取付具によって保持することができる。
【0036】
またこの発明の態様として、前記鉄筋保持部は、前記ライナー保持部へ向けて切り欠かれるとともに、前記貫通孔に連通する切欠き部が設けられてもよい。
この発明により、深さ方向に対して交差する方向から軸方向鉄筋を貫通孔に挿通できるため、軸方向鉄筋の取付具への組付け性を向上することができる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記鉄筋保持部は、前記切欠き部を介した前記軸方向鉄筋の離脱を規制する規制部が設けられてもよい。
この発明により、例えば弾性を有する鉄筋保持部でなくとも、貫通孔に挿通した軸方向鉄筋を保持することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明により、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎構造物、基礎構造物の構築方法、並びに取付具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図3】ライナープレートへの取付具及び軸方向鉄筋の取付状態の概略側面図。
【
図4】ライナープレートへの取付具及び軸方向鉄筋の取付を説明する説明図。
【
図5】ライナープレートへの取付具及び軸方向鉄筋の取付を説明する説明図。
【
図7】第2実施形態及び第3実施形態の取付具の説明図。
【
図9】第5実施形態の取付具によって軸方向鉄筋をライナープレートへ取り付けた状態の概略斜視図。
【
図11】ライナープレートへの取付具及び軸方向鉄筋の取付を説明する説明図。
【
図12】第6実施形態の取付具によって軸方向鉄筋をライナープレートへ取り付けた状態の概略斜視図。
【
図14】ライナープレートへの取付具及び軸方向鉄筋の取付を説明する説明図。
【
図15】第6実施形態の取付具の別の態様についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
(第1実施形態)
以下において、
図1乃至
図5とともに第1実施形態の取付具10及び取付具10を用いた基礎杭1について説明する。
【0041】
詳述すると、
図1は第1実施形態の取付具10を用いた基礎杭1の概略斜視図を示し、
図2は第1実施形態の取付具10の概略斜視図を示し、
図3はライナープレート110への取付具10及び軸方向鉄筋2の取付状態の概略側面図を示し、
図4及び
図5はライナープレート110への取付具10及び軸方向鉄筋2の取付を説明する説明図を示している。
【0042】
なお、
図1においてライナープレート110で構成する筒状構造体100及び基礎杭1の手前側を透過状態で図示するとともに、手前側の軸方向鉄筋2の図示を省略している。
また、
図2では、取付具10に取り付ける軸方向鉄筋2を破線で図示している。
【0043】
また、
図3及び
図4では、基礎杭1を構成する筒状構造体100並びに軸方向鉄筋2の高さ方向の一部分の拡大図を示している。
さらに
図4(a)はライナープレート110に対して取付具10を取り付ける前の状態の概略側面図を図示し、
図4(b)はライナープレート110に取り付けた取付具10に対して軸方向鉄筋2を装着する前の状態の概略側面図を図示している。また、
図1及び
図3においてコンクリート本体3の図示を省略している。
【0044】
また、
図5(a)はライナープレート110の軸方向フランジ112を跨いで周方向フランジ113に取付具10を取り付ける前の状態の概略平面図を図示し、
図5(b)はライナープレート110の軸方向フランジ112を跨いで周方向フランジ113に取り付けた状態の概略平面図を図示している。
【0045】
ここで、取付具10を筒状構造体100に取り付けた状態における筒状構造体100の深さ方向を高さ方向Hとし、筒状構造体100の平面視中心に対する径方向を径方向Dとし、筒状構造体100の周方向を幅方向Rとしている。そして、高さ方向Hの上側を上方側Huとし、下側を下方側Hdとしている。さらに、径方向Dのうち径外側に向かう側を径方向外側Doとし、径方向Dのうち径内側に向かう側を径方向内側Diとしている。なお、取付具10の単体の説明においても、筒状構造体100に取り付けた状態を想定して、上述の方向を用いて説明している。また、以下、
図2乃至
図15においても同様とする。
【0046】
この発明の取付具10を用いて構築する基礎杭1は、地盤200に形成した掘削孔201に構築される基礎構造物であり、ライナープレート110で構成する筒状構造体100と、筒状構造体100の内面に沿って配筋される軸方向鉄筋2と、筒状構造体100の内部に打設されたコンクリート本体3とで構成される。
【0047】
具体的には、地盤200を円形状に掘削し、掘削孔の壁面に沿ってライナープレート110を周方向に配列してリング状に形成する。そして、さらに地盤200を掘削し、リング状に組付けた既設のライナープレート110の下方に対して、さらに、地盤200を周方向に配列してリング状に形成するとともに、既設のライナープレート110と組付ける。これを繰り返して所定の深さの掘削孔201を構成するとともに、掘削孔201の内部に、ライナープレート110を周方向及び高さ方向Hに配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体100が構成される(構造体構築工程)。なお、地盤200の掘削は、機械での掘削であってもよいし、人力掘削であってもよい。
【0048】
このように、所定の深さの掘削孔201の内面に沿って構成された筒状構造体100の内周面に沿って、高さ方向Hに延びる軸方向鉄筋2を、所定間隔を隔てて後述する取付具10で取り付けて配筋するとともに(配筋工程)、筒状構造体100の内部に生コンクリートを打設して(打設工程)コンクリート本体3を構成し、鉄筋コンクリート製の基礎杭1を構築するものである。
【0049】
続いて、筒状構造体100を構成するライナープレート110について説明する。
ライナープレート110は、波付けされた平面視円弧状の薄鋼板の四辺に組立用のフランジ111(112,113)を設けている。フランジ111には、組付け用の組付ボルト120を挿通するボルト孔114を、所定間隔を隔てて複数設けている。
【0050】
なお、波付けされた平面視円弧状の薄鋼板の四辺に設けられた組立用のフランジ111のうち、高さ方向Hに沿うフランジを軸方向フランジ112といい、円弧状に沿う、つまり周方向に沿うフランジを周方向フランジ113という。
【0051】
このように、波付けされた平面視円弧状の薄鋼板の四辺にフランジ111が設けられたライナープレート110は、周方向に複数配列して平面視リング状を構成するが、周方向に隣り合うライナープレート110の軸方向フランジ112同士を重ね合わせ、ボルト孔114に組付ボルト120で締結して一体化している。
【0052】
また、上述するように、高さ方向Hに配列し、高さ方向Hに隣り合うライナープレート110の周方向フランジ113同士を重ね合わせ、ボルト孔114に組付ボルト120で締結して一体化している。
このように構成したライナープレート110を組み付けて構成した筒状構造体100の内周面に沿って所定間隔を隔てて複数配置する軸方向鉄筋2は、いわゆる異形鉄筋であり、基礎杭1の要求性能に応じた径及び本数で配筋される。
【0053】
本発明の取付具10は、周方向に所定間隔を隔てて配置する複数の軸方向鉄筋2を、筒状構造体100の内周面に沿って配置するための治具である。
換言すると、取付具10は、筒状構造体100を構成するライナープレート110に対して、所定の位置に軸方向鉄筋2を取り付けるための治具である。
【0054】
具体的には、取付具10は、ライナープレート110のフランジ111のうち周方向フランジ113を挟持するライナー保持部20と、軸方向鉄筋2を保持する鉄筋保持部30とが設けられている。
ライナー保持部20は、周方向フランジ113を挟んで対向する板状の一対の挟持板部21と、挟持板部21の径方向内側Diの端部を高さ方向Hに連結する連結底部22とで、側面視において頂部、つまり径方向外側Doの端部が開口可能な略三角形状に形成されている。
【0055】
なお、挟持板部21の幅方向Rの中央には、軸方向フランジ112を挿入可能な大きさで、先端から連結底部22へ向けて切り欠かれたスリット部23が設けられている。
このように構成されたライナー保持部20は、挟持板部21の径方向外側Doが高さ方向Hに開口可能に構成されるとともに、挟持板部21の開口状態において、閉口する方向へ付勢する弾性材で構成している。
【0056】
鉄筋保持部30は、ライナー保持部20の挟持板部21に沿って延びる固定部31と、連結底部22より径方向内側Diに突出し、軸方向鉄筋2を保持する保持部本体32とで、棒材を曲げ加工して所定の形状に形成されている。
【0057】
固定部31は、挟持板部21の径方向外側Doから径方向内側Diに向かって延びるとともに、幅方向Rに所定間隔を隔てて2本配置されている。このように2本設けられた固定部31は、挟持板部21の表面に固定されている。
【0058】
保持部本体32は、2本の固定部31の径方向外側Doの端部から、挟持板部21の傾斜角度に沿って径方向内側Diに突出し、略円形状を形成している。略円形状に形成された保持部本体32は、内部に軸方向鉄筋2が挿通できるように、軸方向鉄筋2より大きな径の貫通孔を形成している。
このように構成された鉄筋保持部30は、連結底部22によって径方向内側Diの端部が連結された一対の挟持板部21のそれぞれに対して設けられている。
【0059】
このように構成した取付具10は、連結底部22によって径方向内側Diの端部が連結された一対の挟持板部21のそれぞれに対して鉄筋保持部30が設けられるとともに、挟持板部21より保持部本体32が径方向内側Diに突出している。つまり、保持部本体32がライナー保持部20より径方向内側Diに突出する取付具10は、いわゆるダブルクリップ構造を構成している。そのため、連結底部22より径方向内側Diに突出する保持部本体32を高さ方向Hに近接するように外力を作用させると、弾性材で構成したライナー保持部20は、付勢力に抗して挟持板部21の径方向外側Doが高さ方向Hに開口する(
図4(a)参照)。そして、保持部本体32から入力した外力を解放すると、ライナー保持部20の付勢力によって挟持板部21は閉口することとなる。
【0060】
上述のように、ライナー保持部20と鉄筋保持部30とで構成した取付具10は、ライナー保持部20における一対の挟持板部21で、高さ方向Hに組付けられたライナープレート110の周方向フランジ113を高さ方向Hから挟み込んで取り付けることができる。なお、ライナープレート110同士を高さ方向Hに連結する組付ボルト120同士の間の周方向フランジ113に取付具10を取り付ける。
【0061】
また、取付具10における連結底部22より径方向内側Diに突出する保持部本体32に軸方向鉄筋2を挿通することで、取付具10は軸方向鉄筋2を保持することができる。
したがって、ライナー保持部20における一対の挟持板部21で、高さ方向Hに組付けられたライナープレート110の周方向フランジ113を高さ方向Hから挟み込んで取り付けた取付具10を介して、軸方向鉄筋2をライナープレート110の周方向フランジ113の近傍に保持することができる。
【0062】
なお、ライナープレート110の周方向フランジ113に対する取付具10の取付け及び取付具10の保持部本体32への軸方向鉄筋2の挿通については適宜のタイミングや順序で行えばよい。具体的には、
図4(a)に示すように、周方向フランジ113に対して取付具10を取り付けるためには、既設のライナープレート110の下方に新たなライナープレート110を組み付けた後に行う。
【0063】
そして、周方向フランジ113を高さ方向Hから一対の挟持板部21で挟み込んで取り付けた取付具10に対して軸方向鉄筋2を装着するためには、
図4(b)に示すように、略円形状に形成した保持部本体32に対して高さ方向Hから挿入することになるが、取付具10を取り付けるたびに軸方向鉄筋2を挿入してもよいし、高さ方向Hに複数の取付具10を取り付けた後、複数の取付具10に対してまとめて軸方向鉄筋2を挿入するように構成してもよい。
【0064】
なお、上述の説明では、ライナープレート110同士を高さ方向Hに連結する組付ボルト120同士の間の周方向フランジ113に取付具10を取り付けたが、
図5に示すように、ライナープレート110同士を周方向に連結する軸方向フランジ112を跨いで取付具10を取り付けてもよい。
【0065】
具体的には、
図5(a)に示すように、ライナープレート110同士を周方向に連結する軸方向フランジ112に対して取付具10を配置する。このとき、取付具10の挟持板部21に設けたスリット部23と軸方向フランジ112とが径方向Dに対向するように配置する。そして、上述したように、ライナー保持部20で周方向フランジ113を高さ方向Hから挟み込むように取付具10のライナー保持部20を周方向フランジ113に取付けるが、このとき、軸方向フランジ112がスリット部23に挿入されるように取付ける(
図5(b)参照)。これにより、軸方向鉄筋2を保持する鉄筋保持部30を有する取付具10を、周方向に連結して筒状構造体100を構成するライナープレート110同士の連結部である軸方向フランジ112を跨いで取付けることができる。
【0066】
上述したように、取付具10は、地盤200を掘削して形成した掘削孔201に掘削孔201の壁面に沿ってライナープレート110を幅方向R及び高さ方向Hに配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体100の内部に沿って所定間隔を隔てて、高さ方向Hに延びる長尺状の軸方向鉄筋2が複数配筋され、筒状構造体100の内側に打設した固化材が硬化してコンクリート本体3が形成されて構築される基礎杭1を構成する筒状構造体100におけるライナープレート110の周方向フランジ113を挟持するライナー保持部20と、周方向フランジ113に近接する位置で軸方向鉄筋2を保持する鉄筋保持部30とが設けられ、高さ方向H及び幅方向Rに所定間隔を隔てて筒状構造体100に組み付けられるとともに、軸方向鉄筋2が取り付けられている。
【0067】
また、地盤200を掘削して形成した掘削孔201に構築される基礎杭1は、掘削孔201の壁面に沿ってライナープレート110を幅方向R及び高さ方向Hに配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体100と、筒状構造体100の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、高さ方向Hに延びる長尺状の軸方向鉄筋2と、高さ方向H及び幅方向Rに所定間隔を隔てて筒状構造体100に組み付けられるとともに、軸方向鉄筋2が取り付けられる複数の取付具10と、筒状構造体100の内側に打設した固化材の硬化によって形成されたコンクリート本体3とが備えられ、取付具10は、ライナープレート110の周方向フランジ113を挟持するライナー保持部20と、周方向フランジ113に近接する位置で軸方向鉄筋2を保持する鉄筋保持部30とが設けられている。
【0068】
また、地盤200を掘削して形成した掘削孔201に構築される基礎杭1の構築方法は、掘削孔201の壁面に沿ってライナープレート110を幅方向R及び高さ方向Hに配列するとともに、互いに組付けて筒状構造体100を構築する構造体構築工程と、高さ方向H及び幅方向Rに所定間隔を隔てて筒状構造体100に組み付けられた複数の取付具10に、筒状構造体100の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、高さ方向Hに延びる長尺状の軸方向鉄筋2をそれぞれ取り付ける配筋工程と、筒状構造体100の内側に打設した固化材の硬化によってコンクリート本体3を形成する打設工程とを行い、配筋工程において、取付具10は、ライナー保持部20がライナープレート110の周方向フランジ113を高さ方向Hで挟持し、鉄筋保持部30が周方向フランジ113に近接する位置で軸方向鉄筋2を保持している。
【0069】
これらにより、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎杭1を構築することができるという第1実施形態の取付具10による第1の効果を奏する。
詳述すると、ライナープレート110の周方向フランジ113に取付具10が挟持によって組み付けられるため、所望される数量の軸方向鉄筋2を筒状構造体100における周方向の任意の位置に取付具10を介して連結することができる。
【0070】
この際、取付具10の鉄筋保持部30が周方向フランジ113に近接する位置で軸方向鉄筋2を保持するため、取付具10は、ライナープレート110の周方向フランジ113に対して軸方向鉄筋2を規制することができる。
これにより、基礎杭1は、筒状構造体100を軸方向鉄筋2に巻き付けるフープ筋として機能させることができる。このため、基礎杭1は、高さ方向Hに所定間隔を隔てて配筋するフープ筋を削減あるいは軽減することができる。
【0071】
よって、基礎杭1、及び基礎杭1の構築方法並びに取付具10は、配筋に要する工数を低減できるため、耐震強度や耐久性を損なうことなく、つまり所望の強度を確保できる基礎杭1を構築する深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減することができるという第1実施形態の取付具10による第1の効果を奏する。
【0072】
加えて、基礎杭1の構築方法は、ライナープレート110を高さ方向Hに組み付ける過程で取付具10を周方向フランジ113に組み付け可能なため、筒状構造体100の構築と取付具10の組付けとを効率よく行うことができるという第1実施形態の取付具10による第2の効果を奏する。
【0073】
また、鉄筋保持部30は、高さ方向Hに沿って貫通する貫通孔を有する形状に形成されているため、高さ方向Hに沿って軸方向鉄筋2を貫通孔に挿通するだけで、軸方向鉄筋2を保持することができるという第1実施形態の取付具10による第3の効果を奏する。
【0074】
また、ライナー保持部20は、付勢力によって周方向フランジ113を挟持するクリップ構造に構成されている。そのため、ライナー保持部20を簡素な構成にできるため、取付具10の大型化を抑えられるとともに、周方向フランジ113に対する取付具10の組付け性を向上することができる。このため、基礎杭1は、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減することができるという第1実施形態の取付具10による第4の効果を奏する。
【0075】
また、ライナー保持部20は、周方向フランジ113を挟んで対向する板状の一対の挟持板部21と、挟持板部21の端部を連結する連結底部22とで、幅方向Rから見て頂部が開口可能な略三角形状に一体形成されているため、簡素な構成で一対の挟持板部21に付勢力を生じさせることができ、取付具10の大型化をより抑えることができるという第1実施形態の取付具10による第5の効果を奏する。
【0076】
また、鉄筋保持部30は、保持部本体32で軸方向鉄筋2を保持するとともに、固定部31が挟持板部21に沿って固定されているため、鉄筋保持部30によってライナー保持部20における一対の挟持板部21の径方向外側Doを開放可能に構成されている。よって、ライナー保持部20より径方向内側Diに突出する保持部本体32を高さ方向Hに近接させるように外力を作用することで、ライナー保持部20における頂部側の開口を容易に開閉できるため、周方向フランジ113への取付具10の組付け性を向上することができるという第1実施形態の取付具10による第6の効果を奏する。
【0077】
また、一対の挟持板部21は、ライナープレート110の軸方向フランジ112を挿入可能な大きさで、略三角形状の頂部側から連結底部22へ向けて切り欠かれたスリット部23が設けられている。
【0078】
そのため、幅方向Rにおけるライナープレート110の連結箇所である軸方向フランジ112に取付具10を取り付けられ、軸方向鉄筋2の配筋が所望される幅方向Rの位置に取付具10を配置することができるという第1実施形態の取付具10による第7の効果を奏する。
【0079】
(第2実施形態)
上述の取付具10では、ライナー保持部20の連結底部22より略円形状に形成された保持部本体32が径方向内側Diに突出するように構成されていた。
これに対し、第2実施形態の取付具10aは、径方向内側Diが開口する略C字状に形成された保持部本体32aを備えている。以下において、
図6及び
図7とともに、第2実施形態の取付具10aについて説明する。
【0080】
図6は第2実施形態の取付具10aの概略斜視図を示し、
図7はライナープレート110への取付についての説明図を示している。
なお、
図6では、取付具10に取り付ける軸方向鉄筋2を破線で図示している。
【0081】
また、
図7(a)はライナープレート110に対して取付具10a及び軸方向鉄筋2を取り付けた状態を図示し、
図7(b)はライナープレート110に取り付けた取付具10に対して軸方向鉄筋2を装着する前の状態を図示している。なお、
図7(c)は後述する第3実施形態の取付具10b及び軸方向鉄筋2を取り付けた状態を図示している。また、
図7において軸方向鉄筋2は破線で図示している。
また、以下の説明において、上述の第1実施形態の取付具10における構成と同じ取付具10aの構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0082】
取付具10aのライナー保持部20aは、挟持板部21にスリット部23を備えていないだけで、挟持板部21及び連結底部22は取付具10と同じ構造である。
取付具10aの鉄筋保持部30aの保持部本体32aは、径方向内側Diに開口33を有する略C字状であり、その先端に曲げ返し部34を設けている。
【0083】
このように開口33を有する略C字状の保持部本体32aは、上述の鉄筋保持部30と同様に、棒材を曲げ加工して所定の形状に形成されているが、弾性を有している。
そのため、曲げ返し部34が形成された保持部本体32aの先端を幅方向Rに開くように外力を作用させると、開口33が広がり、外力を解放すると、保持部本体32aの付勢力によって当初形状に復元する。
【0084】
このように構成した取付具10aは、上述の取付具10と同様に、ライナープレート110の周方向フランジ113に対して取り付けたうえで、
図7(b)に示すように、保持部本体32aに対して開口33を広げるように、開口33から軸方向鉄筋2を保持部本体32aの内部に向かって押し込むことで、保持部本体32aは開口33が開く方向に弾性変形する。そして、開いた状態の開口33を軸方向鉄筋2が通過すると、付勢力によって保持部本体32aは当初形状に復元し、保持部本体32aの内部に軸方向鉄筋2を装着することができる(
図7(a)参照)。
【0085】
第2実施形態の取付具10aは、第1実施形態の取付具10による第1から第6の効果に加え、鉄筋保持部30aは、ライナー保持部20aへ向けて切り欠かれるとともに、貫通孔に連通する開口33が設けられているため、高さ方向Hに対して交差する方向である径方向Dから軸方向鉄筋2を貫通孔に挿通できるため、軸方向鉄筋2の取付具10aへの組付け性を向上することができるという第2実施形態の取付具10aによる第1の効果を奏する。
【0086】
(第3実施形態)
なお、上述の取付具10の説明では、鉄筋保持部30には、ひとつの保持部本体32を備え、当該保持部本体32の貫通孔に軸方向鉄筋2を挿通できるように構成したが、
図7(c)に示すように、2つの保持部本体32bを有する鉄筋保持部30bを備えた取付具10bであってもよい。
【0087】
詳しくは、取付具10bは、取付具10aにおけるライナー保持部20aと、二つの保持部本体32bを有する鉄筋保持部30bとで構成されている。なお、取付具10bを構成するライナー保持部20aは、スリット部23を有するライナー保持部20で構成してもよい。
【0088】
二つの保持部本体32bを有する鉄筋保持部30bは、ひとつの保持部本体32を有する取付具10の鉄筋保持部30と同様に、2本の固定部31の基端部側にひとつの保持部本体32bが設けられ、幅方向Rにもうひとつの保持部本体32bが配置されている。このように構成された鉄筋保持部30bは、二つの保持部本体32bが周方向の一部が共有されているため、平面視略8の字状を形成してる。このように、二つの保持部本体32bを有する取付具10bは、二つの保持部本体32bのそれぞれに軸方向鉄筋2を保持できるため、上述の取付具10による効果と同じ効果を奏するとともに、2本の軸方向鉄筋2をライナープレート110の周方向フランジ113の近傍に保持することができる。
【0089】
第3実施形態の取付具10bは、第1実施形態の取付具10による第1から第6の効果に加え、鉄筋保持部30bは、貫通孔の内部が連通するように、貫通孔を幅方向Rに二つ備えられているため、ひとつの取付具10bで2本の軸方向鉄筋2を保持したり、軸方向鉄筋2の重ね継手箇所を取付具10bによって保持することができるという第3実施形態の取付具10bによる第1の効果を奏する。
【0090】
(第4実施形態)
また、上述の取付具10aにおける保持部本体32aは、開口33を有し、開口33から軸方向鉄筋2を挿通可能に構成したが、
図8に図示する第4実施形態の取付具10cでは、開口33cを有するものの、開口33cを閉鎖するカバー部35を有している。
【0091】
図8(a)は鉄筋保持部30cに軸方向鉄筋2を挿通した状態の取付具10cの概略平面図を示し、
図8(b)はカバー部35を開放状態とした鉄筋保持部30cの中心を通る概略断面図を示し、
図8(c)はカバー部35を閉鎖状態とした鉄筋保持部30cの中心を通る概略断面図を示している。なお、
図8において軸方向鉄筋2は破線で図示している。
【0092】
図8に示す第4実施形態の取付具10cは、取付具10aと同じ構造のライナー保持部20aと、開口33cを有する保持部本体32cを有する鉄筋保持部30cとが備えられている。
鉄筋保持部30cは、上述の鉄筋保持部30と同様に、幅方向Rに所定間隔を隔てて配置した2本の固定部31の径方向内側Diに保持部本体32cを備えている。
【0093】
径方向内側Diに開口33を有する略C字状に形成された保持部本体32aに対して、保持部本体32cは、開口33より開口幅が広い開口33cによって略半円状に形成されている。
【0094】
そして、略半円状に形成された保持部本体32cの一方側の端部に、開口33cを閉鎖する半円状のカバー部35を枢動可能に連結するヒンジ部36を備えている。
ヒンジ部36によって、保持部本体32cに連結されたカバー部35は、保持部本体32cより一回り大きく、保持部本体32cの他方側の端部に覆いかぶさるような断面形状に形成されている。
【0095】
また、保持部本体32cの他方側の端部に覆いかぶさるような断面形状に形成されたカバー部35及び、カバー部35が覆いかぶさる保持部本体32cの他方側の端部には、カバー部35の閉鎖状態を係止して保持する係止部37を設けている。
【0096】
このように構成した取付具10cでは、上述の取付具10と同様に、ライナープレート110の周方向フランジ113に取り付けた状態で、
図8(b)に図示するように、ヒンジ部36を枢動中心としてカバー部35を開放し、開口33cから軸方向鉄筋2を保持部本体32cの内部の貫通孔に配置する。
【0097】
そして、保持部本体32cの内部に軸方向鉄筋2が配置された状態で、ヒンジ部36を枢動中心としてカバー部35を閉鎖方向に枢動して、開口33cを閉鎖し、カバー部35の内部と保持部本体32cの他方側の端部に設けた係止部37を係止させることで、カバー部35による閉鎖状態を維持でき、保持部本体32cで軸方向鉄筋2を保持することができる。
【0098】
第4実施形態の取付具10cは、第1実施形態の取付具10による第1から第6の効果に加え、鉄筋保持部30cは、開口33を介した軸方向鉄筋2の離脱を規制するカバー部35が設けられているため、例えば弾性を有する鉄筋保持部30cでなくとも、貫通孔に挿通した軸方向鉄筋2を保持することができるという第4実施形態の取付具10cによる第1の効果を奏する。
【0099】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態の取付具10dについて、
図9乃至
図11とともに、説明する。
図9は第5実施形態の取付具10dによって軸方向鉄筋2をライナープレート110へ取り付けた状態の概略斜視図を示し、
図10は第5実施形態の取付具10dの斜視図を示し、
図11はライナープレート110への取付具10d及び軸方向鉄筋2の取付を説明する説明図を示している。
図9においてコンクリート本体3の図示を省略している。
【0100】
詳しくは、
図9は、筒状構造体100に対して取付具10dを取り付け、取付具10dで軸方向鉄筋2を保持した状態の一部概略斜視図を示しており、手前側を透過して図示している。
図11(a)はライナープレート110に対して取付具10dを取り付ける前の状態の取付具10dの中心を通る概略断面図を図示し、
図11(b)はライナープレート110に取付具10dを取り付けた状態の取付具10dの中心を通る概略断面図を図示している。
【0101】
図9乃至
図11に図示する取付具10dは、ダブルクリップ構造を構成する上述の取付具10,10a乃至10cと異なり、周方向フランジ113を高さ方向Hから挟み込むクリップ部20dと、クリップ部20dに連結され、挿通孔38を有する平板状の鉄筋保持部30dで構成されている。
【0102】
クリップ部20dは、高さ方向Hに所定間隔を隔てて配置された2本のクリップ片24と、クリップ片24の径方向内側Diに配置された側面視略円形状の円弧部25とで構成されている。
【0103】
2本のクリップ片24は一対構成され、一方のクリップ片24の先端面には、他方のクリップ片24に向かって傾斜する案内面241が施されている。
【0104】
一対構成されたクリップ片24は、高さ方向Hに隣り合うライナープレート110において対面し、重ね合わせられる周方向フランジ113の厚みより狭い間隔で配置されている。
そして、重ね合わせられる周方向フランジ113の厚みより狭い間隔で配置された一対のクリップ片24の径方向内側Diの端部が側面視略円形状の円弧部25と連結されて一体化されている。
【0105】
なお、2本のクリップ片24の基端部を連結する円弧部25は、2本のクリップ片24の高さ方向Hの間隔より広い径で形成されている。このように、2本のクリップ片24と円弧部25とが一体化されたクリップ部20dは、弾性を有する丸棒材で上述の形状に形成されている。そのため、2本のクリップ片24を開く方向に外力を作用させると、円弧部25が撓んで変形し、外力を解放すると、丸棒材の弾性によって、2本のクリップ片24は当初間隔に復元する。
【0106】
鉄筋保持部30dは、平面視正方形状に形成され、その平面視中央に、軸方向鉄筋2を挿通可能な挿通孔38を設けている。なお、鉄筋保持部30dの平面形状は正方形状に限定されず、適宜の形状で形成されてもよい。
このように構成された鉄筋保持部30dは、側面視略円形状の円弧部25の径方向内側Diに連結されて、クリップ部20dと鉄筋保持部30dが一体化されている。
【0107】
上述のように、クリップ部20dと鉄筋保持部30dとで構成した取付具10dは、クリップ部20dにおける一対のクリップ片24で、高さ方向Hに組付けられたライナープレート110の周方向フランジ113を高さ方向Hから挟み込んで取り付けることができる。
【0108】
具体的には、
図11(a)に示すように、ライナープレート110同士を高さ方向Hに連結する組付ボルト120同士の間の周方向フランジ113に対して、クリップ片24の先端面が周方向フランジ113と対向するように配置する。
【0109】
そして、周方向フランジ113に対して、径内側から径外側に向かって取付具10dを差し込むように装着すると、重ね合わされた周方向フランジ113の厚みより狭い間隔で配置された一対のクリップ片24は、案内面241によって広がるように誘導され、円弧部25が撓んで変形し、取り付けることができる。
【0110】
また、取付具10dにおいて径方向内側Diに突出する鉄筋保持部30dの挿通孔38に軸方向鉄筋2を挿通することで、取付具10dで軸方向鉄筋2を保持することができる。
したがって、クリップ部20dにおける一対のクリップ片24で、高さ方向Hに組付けられたライナープレート110の周方向フランジ113を高さ方向Hから挟み込んで取り付けた取付具10dを介して、軸方向鉄筋2をライナープレート110の周方向フランジ113の近傍に保持することができる。
【0111】
なお、ライナープレート110の周方向フランジ113に対する取付具10dの取付け及び取付具10dの鉄筋保持部30dへの軸方向鉄筋2の挿通については、取付具10等と同様に、適宜のタイミングや順序で行えばよい。
【0112】
上述の第5実施形態の取付具10dは、第1実施形態の取付具10による第1から第4の効果、及び第3実施形態の取付具10bによる第1の効果に加え、ライナー保持部20は、周方向フランジ113を挟んで対向する略棒状の一対のクリップ片24と、クリップ片24の端部を連結する略環状の円弧部25とで一体形成されているため、簡素な構成で一対のクリップ片24に付勢力を生じさせることができ、取付具10の大型化をより抑えることができるという第5実施形態の取付具10dによる第1の効果を奏する。
【0113】
なお、上述の取付具10dの説明では、クリップ部20dに対してひとつの挿通孔38を有する鉄筋保持部30dを備えたが、鉄筋保持部30dに二つの挿通孔38を備えてもよい。この場合、幅方向Rに所定間隔を隔てて二つの挿通孔38を配置するため、鉄筋保持部30dは径方向Dより幅方向Rに長い長方形状となる。
【0114】
このように、二つの挿通孔38を有する鉄筋保持部30dを備えた取付具10dは、二つの挿通孔38のそれぞれに軸方向鉄筋2を挿通して保持できるため、上述の取付具10dによる効果と同じ効果を奏するとともに、2本の軸方向鉄筋2をライナープレート110の周方向フランジ113の近傍に保持することができる。
【0115】
(第6実施形態)
続いて、第6実施形態の取付具10eについて、
図12乃至
図15とともに、説明する。
図12は第6実施形態の取付具10eによって軸方向鉄筋2をライナープレート110へ取り付けた状態の概略斜視図を示し、
図13は第6実施形態の取付具10eの分解斜視図を示し、
図14はライナープレート110への取付具10e及び軸方向鉄筋2の取付を説明する説明図を示し、
図15は第6実施形態の取付具10eの別の態様についての説明図を示している。
【0116】
詳しくは、
図12は、筒状構造体100に対して取付具10eを取り付け、取付具10eで軸方向鉄筋2を保持した状態の一部概略斜視図を示しており、手前側を透過して図示している。また、
図12においてコンクリート本体3の図示を省略している。
【0117】
図14(a)はライナープレート110に対して取付具10eを取り付ける前の状態の取付具10eの中心を通る概略断面図を図示し、
図14(b)はライナープレート110に取付具10eを取り付けた状態の取付具10eの中心を通る概略断面図を図示している。
【0118】
第6実施形態の取付具10eの別の態様についての説明図である
図15のうち
図15(a)は取付具10eの概略平面図であり、
図15(b)は保持部本体32eが二つ設けられた場合の取付具10eの概略平面図を示している。また、
図15(c)は、軸方向フランジ112を跨いで取り付けるため、スリット部23を設けた取付具10eをライナープレート110に取り付ける前の状態の概略平面図を示し、
図15(d)はライナープレート110に取付具10eを取り付けた状態の概略平面図を示している。
【0119】
図12乃至
図15に図示する取付具10eは、ダブルクリップ構造を構成する上述の取付具10,10a乃至10cやクリップ状に形成した取付具10dと異なり、周方向フランジ113を高さ方向Hから挟み込むクランプ部20eと、クランプ部20eに連結され、挿通孔38を有する平板状の鉄筋保持部30dで構成されている。鉄筋保持部30dは、上述の取付具10dの鉄筋保持部30dと同じ構成であるため、説明を省略する。
【0120】
クランプ部20eは、高さ方向Hに所定間隔を隔てて配置された2枚の平板状の固定板26(261,262)と、固定板26の径方向内側Diの端部を高さ方向Hに連結する連結板27と、一対構成された固定板26のうち上方側Huの上側固定板261に取り付けられた固定ナット28と、固定ナット28に螺合する固定ボルト29とで構成されている。
【0121】
詳述すると、一対構成された2枚の固定板26は、鉄筋保持部30dと同程度の幅を有する平面視略正方形状であり、高さ方向Hに所定間隔を隔てて配置されている。一対構成された固定板26は、高さ方向Hに隣り合うライナープレート110において対面し、重ね合わせられる周方向フランジ113の厚みより広い間隔で配置されている。なお、一対構成された固定板26のうち説明の便宜上、上方側Huに配置された固定板26を上側固定板261とし、下方側Hdに配置された固定板26を下側固定板262としている。
【0122】
上側固定板261には、後述する固定ナット28のボルト孔より大きく、固定ボルト29のボルト軸部が高さ方向Hに貫通する貫通孔263を設けている。
下側固定板262は、鉄筋保持部30dと連結されて、あたかも一枚板状に形成されている。
【0123】
連結板27は、高さ方向Hに所定間隔を隔てて配置した固定板26の径方向内側Diの端部を高さ方向Hに連結する板材であり、
図14に示すように、一対構成された固定板26と連結板27とで幅方向Rから視てコの状を形成している。
【0124】
固定ナット28は、後述する固定ボルト29と螺合可能なナットであり、上側固定板261の上面において、貫通孔263とボルト孔とが高さ方向Hにおいて同心状に配置され、固定されている。
【0125】
固定ボルト29は、平面視六角状のボルト頭部と、ねじ山が形成された円柱状のボルト軸部291とで構成し、固定ナット28と螺合可能な一般的のボルトである。
【0126】
なお、ボルト軸部291は、固定ナット28に螺合し、その先端が貫通孔263を通過して、下側固定板262の上面に当接できる程度の長さで形成している。
このように構成したクランプ部20eは、上側固定板261の上面に固定された固定ナット28に固定ボルト29を螺合することで組み付けは完了する。
【0127】
上述のように、クランプ部20eと鉄筋保持部30dとで構成した取付具10eは、クランプ部20eにおける一対の固定板26を、高さ方向Hに組付けられたライナープレート110の周方向フランジ113を高さ方向Hから挟み込むように配置するとともに、固定ボルト29を固定ナット28に対して螺入して取り付けることができる。
【0128】
具体的には、
図14(a)に示すように、ライナープレート110同士を高さ方向Hに連結する組付ボルト120同士の間の周方向フランジ113に対して、固定板26の先端面が周方向フランジ113と対向するように配置する。
【0129】
そして、周方向フランジ113に対して、径内側から径外側に向かって取付具10eを差し込むように装着すると、重ね合わされた周方向フランジ113の厚みより広い間隔で配置された一対の固定板26は、周方向フランジ113の高さ方向Hの外側に配置される。この状態で、固定ナット28に対して固定ボルト29を螺入すると、固定ボルト29のボルト軸部291の先端は上側固定板261の貫通孔263を通過して、高さ方向Hに重ね合わされた周方向フランジ113の上面に当接する。さらに、固定ボルト29を固定ナット28に対して螺入すると、周方向フランジ113に対して上方側Huに取付具10eが相対移動し、重ね合わされた周方向フランジ113の下面が下側固定板262の上面に当接し、下側固定板262の上面と固定ボルト29のボルト軸部291の先端とで、重ね合わされた周方向フランジ113を高さ方向Hの両側から固定し、取り付けることができる。
【0130】
また、取付具10eにおいて径方向内側Diに突出する鉄筋保持部30dの挿通孔38に軸方向鉄筋2を挿通することで、取付具10eで軸方向鉄筋2を保持することができる。
したがって、クランプ部20eにおける一対の固定板26で、高さ方向Hに組付けられたライナープレート110の周方向フランジ113を高さ方向Hから挟み込んで取り付けた取付具10eを介して、軸方向鉄筋2をライナープレート110の周方向フランジ113の近傍に保持することができる。
【0131】
なお、ライナープレート110の周方向フランジ113に対する取付具10eの取付け及び取付具10eの鉄筋保持部30dへの軸方向鉄筋2の挿通については、取付具10等と同様に、適宜のタイミングや順序で行えばよい。
【0132】
第6実施形態の取付具10eは、第1実施形態の取付具10による第1から第3の効果並びに第3実施形態の取付具10bによる第1の効果に加え、クランプ部20eは、周方向フランジ113をクランプするクランプ構造に構成されているため、クランプ部20eを簡素な構成にでき、取付具10eの大型化を抑えられるとともに、周方向フランジ113に対する取付具10eの組付け性を向上することができる。このため、基礎杭1は、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減することができるという第6実施形態の取付具10eによる第1の効果を奏する。
【0133】
なお、上述の取付具10eの説明では、
図15(a)に示すように、クランプ部20eに対してひとつの挿通孔38を有する鉄筋保持部30dを備えたが、
図15(b)に示すように、鉄筋保持部30dに二つの挿通孔38を備えてもよい。この場合、幅方向Rに所定間隔を隔てて二つの挿通孔38を配置するため、鉄筋保持部30dは径方向Dより幅方向Rに長い長方形状となる。
【0134】
このように、二つの挿通孔38を有する鉄筋保持部30dを備えた取付具10eは、二つの挿通孔38のそれぞれに軸方向鉄筋2を挿通して保持できるため、上述の取付具10eによる効果と同じ効果を奏するとともに、第3実施形態の取付具10bによる第1の効果を奏することができる。
【0135】
また、上述の説明では、ライナープレート110同士を高さ方向Hに連結する組付ボルト120同士の間の周方向フランジ113に取付具10eを取り付けたが、
図15(c),(d)に示すように、ライナープレート110同士を周方向に連結する軸方向フランジ112を跨いで取付具10eを取り付けてもよい。
【0136】
具体的には、
図15(c)に示すように、クランプ部20eは、二つの固定ナット28と2本の固定ボルト29を幅方向Rの所定間隔を隔てて配置するため、クランプ部20eを構成する固定板26及び連結板27は径方向Dより幅方向Rに長い長方形状となる。
【0137】
径方向Dより幅方向Rに長い長方形状となる上側固定板261には、幅方向Rの所定間隔を隔てて上側固定板261を配置している。
また、径方向Dより幅方向Rに長い長方形状となる固定板26の幅方向Rの中央には、径方向外側Doの端部から径方向内側Diに向かって凹状となるスリット部23を設けている。
【0138】
このように構成した取付具10eを、ライナープレート110同士を周方向に連結する軸方向フランジ112に対して配置する。このとき、取付具10eの固定板26に設けたスリット部23と軸方向フランジ112とが対向するように配置する。そして、上述したように、クランプ部20eで周方向フランジ113を高さ方向Hから挟み込んで固定するように取付具10eのクランプ部20eを周方向フランジ113に取付けるが、このとき、軸方向フランジ112がスリット部23に挿入されるように装着する(
図15(d)参照)。これにより、コンクリート本体3を保持する鉄筋保持部30dを有する取付具10eを、周方向に連結して筒状構造体100を構成するライナープレート110同士の連結部である軸方向フランジ112を跨いで装着することができる。
【0139】
このように、二つの固定ナット28と2本の固定ボルト29を備えた取付具10eは、二つの固定ナット28と2本の固定ボルト29で、軸方向フランジ112の両側の周方向フランジ113を固定できるため、軸方向フランジ112をまたいで取付具10eを取り付けることができるという上述の取付具10eによる効果と同じ効果に加えて、ライナー保持部20は、ライナープレート110の軸方向フランジ112を挟んで幅方向Rに二つ並設されている。そのため、幅方向Rにおけるライナープレート110の連結箇所である軸方向フランジ112に取付具10を取り付けられるため、軸方向鉄筋2の配筋が所望される幅方向Rの位置に取付具10を配置することができるという効果を奏する。
【0140】
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、本発明の地盤は地盤200に対応し、
以下同様に、
掘削孔は掘削孔201に対応し、
基礎構造物は基礎杭1に対応し、
ライナープレートはライナープレート110に対応し、
周方向は幅方向Rに対応し、
深さ方向は高さ方向Hに対応し、
筒状構造体は筒状構造体100に対応し、
軸方向鉄筋は軸方向鉄筋2に対応し、
取付具は取付具10,10a~10eに対応し、
内側本体部はコンクリート本体3に対応し、
フランジは周方向フランジ113に対応し、
ライナー保持部はライナー保持部20,20a~20c,クリップ部20d、クランプ部20eに対応し、
鉄筋保持部は鉄筋保持部30,30a~30dに対応し、
軸方向フランジは軸方向フランジ112に対応し、
挟持部はクリップ片24に対応し、
環状連結部は円弧部25に対応し、
挟持板部は挟持板部21に対応し、
連結底部は連結底部22に対応し、
スリット部はスリット部23に対応し、
切欠き部は開口33,33cに対応し、
規制部はカバー部35に対応するも、上記実施形態に限定するものではない。
【0141】
例えば、上述の筒状構造体100は、高さ方向Hにおいて、ライナープレート110同士の幅方向Rの連結位置、つまり軸方向フランジ112が一致しないように幅方向Rにずらして組み付けたが、ライナープレート110同士の幅方向Rの連結位置、つまり軸方向フランジ112の周方向の位置が一致するように組み付けてもよいし、これらを組み合わせてもよい。
【0142】
また上述の第5実施形態の取付具10dや第6実施形態の取付具10eについては高さ方向Hにおいて上下逆さまで装着してもよい。
また、上述の取付具10,10a~10eは、周方向フランジ113をライナー保持部(20,20a~20e)で保持して取り付けたが、ライナー保持部(20,20a~20e)と鉄筋保持部(30,30a~30e)の向きを直交させ、ライナー保持部(20,20a~20e)で軸方向フランジ112を保持して取り付けるように構成してもよいし、ライナープレート110に設けた補強リブをライナー保持部(20,20a~20e)で保持して取り付けるように構成してもよい。
さらには、筒状構造体100を平面視円形状に形成したが、例えば、平面視楕円状、平面視小判状、さらには平面視多角形状に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0143】
1…基礎杭
2…軸方向鉄筋
3…コンクリート本体
10,10a~10e…取付具
20,20a~20c…ライナー保持部
20d…クリップ部
20e…クランプ部
21…挟持板部
22…連結底部
23…スリット部
24…クリップ片
25…円弧部
30,30a~30d…鉄筋保持部
33,33c…開口
35…カバー部
100…筒状構造体
110…ライナープレート
112…軸方向フランジ
113…周方向フランジ
200…地盤
201…掘削孔
H…高さ方向
W…幅方向
【要約】
【課題】深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎構造物、基礎構造物の構築方法、並びに取付具を提供する。
【解決手段】基礎杭1を構成する筒状構造体100におけるライナープレート110の周方向フランジ113を挟持するライナー保持部20と、周方向フランジ113に近接する位置で軸方向鉄筋2を保持する鉄筋保持部30とが設けられた取付具10が、高さ方向H及び幅方向Rに所定間隔を隔てて筒状構造体100に組み付けられるとともに、軸方向鉄筋2が取り付けられる。
【選択図】
図1