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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】足漕ぎ運動装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/04 20060101AFI20250701BHJP
   A63B 22/06 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
A63B23/04 C
A63B22/06 G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021052980
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150398
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】池田 富夫
(72)【発明者】
【氏名】青木 英祐
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3209237(JP,U)
【文献】登録実用新案第3113248(JP,U)
【文献】特開2009-45233(JP,A)
【文献】特開昭52-64318(JP,A)
【文献】登録実用新案第3205604(JP,U)
【文献】特開2000-116818(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139781(JP,U)
【文献】特開2012-152301(JP,A)
【文献】登録実用新案第3056821(JP,U)
【文献】特表2019-534769(JP,A)
【文献】特開昭50-108032(JP,A)
【文献】登録実用新案第3089318(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 21/00 - 23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが着座する着座部と、
ユーザの足を載せる左右一対のペダル部と、
ユーザの足が前記ペダル部を踏み込みクランクが回転軸周りに回転することで、前記ペダル部を円軌道又は楕円軌道で回転させる回転機構と、
前記回転機構の前記着座部側の端を中心に、前記回転機構の前記着座部側と反対の端を上下方向へ移動可能なように構成された、揺動機構と、
を備え
前記着座部は、前後方向へ延在する前記回転機構の後方端に設けられ、
前記回転機構には、前記回転軸が設けられ、該回転軸に前記クランクが連結され、該クランクに前記ペダル部が連結され、該クランクは該回転軸周りに回転し、
前記揺動機構は、U字状に形成されたフレームであり該U字の下辺部が路面に接地する本体フレームと、該本体フレームに連結された調整バーと、を有し、
前記調整バーは、前記本体フレームの対向する2本のフレーム間において、左右方向に延在し、
前記調整バーの中央部には、ユーザが把持できる把持部が設けられており、
前記調整バーの両端は、前記本体フレームに締結部材で連結されており、前記締結部材を緩めることで、前記調整バーを前記本体フレームに対して上下方向へスライド可能なように構成されており、
前記回転機構の前端が前記調整バーの中央部に接続されている、
足漕ぎ運動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足漕ぎ運動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが着座する着座部と、ユーザの足を載せる左右一対のペダル部と、ユーザの足がペダル部を踏み込むことで、ペダル部を楕円軌道で回転させる回転機構と、回転機構の回転に負荷を与える負荷部と、を備える足漕ぎ運動装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-116818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記足漕ぎ運動装置においては、ユーザの姿勢が予め定まるため、その姿勢に応じたユーザの特定部位しか鍛えることができない。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、ユーザの様々な部位を鍛えることができる足漕ぎ運動装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
ユーザが着座する着座部と、
ユーザの足を載せる左右一対のペダル部と、
ユーザの足が前記ペダル部を踏み込むことで、前記ペダル部を円軌道又は楕円軌道で回転させる回転機構と、
前記回転機構の前記着座部側の端を中心に、前記回転機構を上下方向へ揺動させる、又は、前記着座部の回転機構側の端を中心に、前記着座部を上下方向に揺動させる揺動機構と、
を備える足漕ぎ運動装置
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの様々な部位を鍛えることができる足漕ぎ運動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】足漕ぎ運動装置を側方から見た図である。
図2】足漕ぎ運動装置を前方から見た図である。
図3】回転機構を立てた状態にした図である。
図4】足漕ぎ運動装置の構成を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、足漕ぎ運動装置を側方から見た図である。図2は、足漕ぎ運動装置を前方から見た図である。
【0011】
本実施形態にかかる足漕ぎ運動装置100は、ユーザUが足漕ぎ運動を行うことで、ユーザUの脚部、腹部、臀部、などの様々な部位を鍛えることができる運動機器である。本実施形態にかかる足漕ぎ運動装置100について、図1及び図2を用いて説明する。なお、以下の説明では、前後方向、左右方向、上下方向は、ユーザUの方向を基準とする方向である。
【0012】
図1に示すように、足漕ぎ運動装置100は、着座部10と、回転機構20と、リンク30と、クランク40と、傾斜台50と、を備えている。回転機構20の後方には、着座部10が設けられている。着座部10は、例えば、ユーザUが着座する椅子として構成されている。ユーザUは、着座部10に着座した状態で足漕ぎ運動を行う。
【0013】
なお、着座部10は、回転機構20と一体的に設けられていてもよく、別体として設けられていても良い。着座部10は、回転機構20に着脱可能に設けられていてもよい。例えば、着座部10は、ユーザUがいる施設や自宅などにある椅子であってもよい。つまり、ユーザUや補助者が着座部10を回転機構20の後方に設置しても良い。
【0014】
足漕ぎ運動装置100において、回転機構20に取り付けられた構成要素は、左右対称となっている。回転機構20は、クランク40を回転可能に保持している。例えば、回転機構20には、回転軸21が設けられている。回転軸21にクランク40が連結されている。クランク40は回転軸21周りに回転する。
【0015】
回転機構20は、クランク40の回転運動に対して負荷を与える負荷抵抗体を有していてもよい。なお。回転機構20は、負荷を可変とするためのギアなどを有していてもよい。
【0016】
リンク30は、ペダル31、及び滑走車輪35を有している。リンク30の前端にはクランク40が連結され、後端には滑走車輪35が連結されている。クランク40とリンク30とは回転可能に連結されている。例えば、リンク30は、軸受けなどを介して、クランク40に取り付けられている。
【0017】
ペダル31の下面に、ペダルの長手方向に沿ってリンク30が取り付けられている。ペダル31は、ユーザUが足FTを載せるステップ(足置き台)となる。着座中のユーザUは、ペダル31の上に足FTを載せる。ペダル31には、足を固定するストラップなどの固定部が設けられていても良い。
【0018】
滑走車輪35は、回転軸(車軸)を介して、リンク30に取り付けられている。つまり、リンク30は、滑走車輪35を回転可能に保持している。滑走車輪35は、傾斜台50を滑走する滑走部材となる。
【0019】
ユーザUは足FTをペダル31に載せて、足漕ぎ運動を行う。つまり、ユーザUが足FTを踏み込むように、膝関節や股関節を動かす。これにより、クランク40が回転軸21周りに回転する。さらに、クランク40の回転に応じて、リンク30とクランク40との間の角度が変化する。つまり、クランク40の回転角度(クランク角度ともいう)に応じて、クランク40に対するリンク30の相対角度が変化する。また、滑走車輪35は傾斜台50の傾斜面52に接触した状態で、前後方向に移動する。これにより、足漕ぎ運動に応じて、ペダル31が楕円軌道を描くように、クランク40及びリンク30が回転動作する。
【0020】
なお、ペダル31、滑走車輪35、リンク30、クランク40は、ユーザUの左右の足FTに対してそれぞれ設けられている。つまり、回転機構20の左右それぞれに、ペダル31、滑走車輪35、リンク30、クランク40が設けられている。回転機構20の右側に設けられたペダル31、滑走車輪35、リンク30、等がユーザUの右足FTに対応している。回転機構20の左側に設けられたペダル31、リンク30、がユーザUの左足FTに対応している。
【0021】
クランク40は、左右の足FTに対して逆位相となるように、回転機構20の回転軸21に取り付けられている。つまり、左足用のクランク40と右足用のクランク40は回転角度が180°ずれている。ユーザUが左脚及び右脚を交互に伸縮させて、足漕ぎ運動を行う。
【0022】
なお、クランク40は、左右の足FTに対して同位相となるように、回転機構20の回転軸21に取り付けられていてもよい。また、本実施形態に係る足漕ぎ運動装置100は、ペダル31が楕円軌道を描くように構成されているが、これに限定されず、例えば、ペダル31が円軌道を描くように構成されていてもよい。
【0023】
傾斜台50は、回転機構20に取り付けられている。傾斜台50は、路面上に配置されるベースフレーム51と、ベースフレーム51に揺動可能に連結された傾斜面52と、を有している。傾斜面52は、例えば、矩形の板状部材である。傾斜面52は、回転機構20の後端に接続されている。傾斜面52は回転機構20に対して略平行となるように回転機構20に固定されている。したがって、傾斜面52の傾斜角度と回転機構20の傾斜角度は、略同一となる。リンク30の下端の滑走車輪35は、傾斜面52上を転動する。
【0024】
滑走車輪35は、リンク30の回転運動に応じて、前後方向に往復移動する。ユーザUが右脚を伸ばして、かつ左脚を曲げる方向に足漕ぎ運動している間、右側の滑走車輪35が前方に移動し、左側の滑走車輪35が後方に移動する。ユーザUが左脚を伸ばして、かつ右脚を曲げる方向に足漕ぎ運動している間、左側の滑走車輪35が前方に移動し、右側の滑走車輪35が後方に移動する。
【0025】
ところで、従来の足漕ぎ運動装置においては、ユーザの姿勢が予め定まるため、その姿勢に応じたユーザの特定部位しか鍛えることができない。
【0026】
これに対し、本実施形態に係る足漕ぎ運動装置100は、回転機構20の着座部側の端を中心に回転機構20を上下方向へ揺動させる揺動機構60を備えている。これにより、回転機構20を任意の傾斜角度で傾斜させることができ、ユーザUはその傾斜角度で足漕ぎ運動を行うことで、その傾斜角度に応じた部位を鍛えることができる。
【0027】
本実施形態に係る揺動機構60は、本体フレーム61と、本体フレーム61に連結された調整バー62と、を有している。本体フレーム61は、略U字状に形成されたフレームである。U字の下辺部が路面に接地する。調整バー62は、本体フレーム61の対向する2本のフレーム間において、左右方向に延在している。調整バー62は、例えば、2本の略平行な棒状部材からなる。回転機構20の前端が調整バー62の中央部に接続されている。
【0028】
調整バー62の両端は、本体フレーム61にネジなどの締結部材63で連結されている。この締結部材63を緩めることで、調整バー62を本体フレーム61に対して上下方向へスライドさせることができる。これにより、回転機構20の着座部側の端(後端)を中心に回転機構20を上下方向へ揺動させることができる。そして、回転機構20が所望の傾斜角度になったところで、締結部材63を締付けて固定することができる。
【0029】
調整バー62の中央部には、ユーザUが把持できる把持部64が設けられている。ユーザUは、締結部材63を緩め、把持部64を持ち上げることで、調整バー62を上方へ移動させ、回転機構20の傾斜を大きくすることができる。あるいは、ユーザUは、締結部材63を緩め、把持部64を持ち下げることで、調整バー62を下方へ移動させ、回転機構20の傾斜を小さくすることができる。このようにして、調整バー62の高さ位置を調整することで、回転機構20の傾斜角を容易に調整することができる。
【0030】
ベースフレーム51と、調整バー62との間には、ダンパー装置65が設けられている。ダンパー装置65は、気体や液体が封入されたシリンダ、ピストン、などで構成されている。ダンパー装置65の後端は、ベースフレーム51の前端に連結されている。ダンパー装置65の前端は、調整バー62の中央部に連結されている。
【0031】
締結部材63を緩めた際に調整バー62には、回転機構20の重力が掛かるため、調整バー62を下方へ押し下げる大きな力が作用する。ダンパー装置65は、その調整バー62を下方へ押し下げる力を受け止め、緩和することができる。これにより、ユーザUは、上述の調整バー62の高さ位置及び回転機構20の傾斜角をスムーズに調整することができる。
【0032】
図3に示す如く、ダンパー装置65を最大の長さに伸長させ、回転機構20を立てた状態にすることができる。このとき、ベースフレーム51と、傾斜面52及び回転機構20と、が成す角度は直角に近くなっている。これにより、足漕ぎ運動装置100を立てた状態で狭い隙間などにコンパクトに収納することができる。
【0033】
次に本実施形態に係る傾斜機構の作用について詳細に説明する。図4は、足漕ぎ運動装置の構成を模式的に示す側面図である。
【0034】
例えば、調整バー62を上方に移動させ、調整バー62の高さh及び回転機構20の傾斜角θを大きくした場合、ユーザUが足漕ぎ運動装置100のペダル31と漕いだときのユーザUの股関節周りの関節角度域α及び膝関節周りの関節角度域βはより大きくなる。この場合、ユーザUの腹部及び臀部により大きな負荷が掛かるため、これら部位を重点的に鍛えることができる。
【0035】
一方、調整バー62の下方に移動させ、調整バー62の高さh及び回転機構20の傾斜角θを小さくした場合、ユーザUが足漕ぎ運動装置100のペダル31と漕いだときのユーザUの股関節周りの関節角度域α及び膝関節周りの関節角度域βはより小さくなる。この場合、ユーザUの脚部に対しより大きな負荷が掛かるため、脚部を重点的に鍛えることができる。
【0036】
以上、本実施形態に係る足漕ぎ運動装置100は、ユーザUが着座する着座部10と、ユーザUの足FTを載せる左右一対のペダル31と、ユーザUの足FTがペダル31を踏み込むことで、ペダル31を楕円軌道で回転させる回転機構20と、回転機構20の着座部側の端を中心に回転機構20を上下方向へ揺動させる揺動機構60を備えている。これにより、回転機構20を任意の傾斜角度で傾斜させることができ、ユーザUはその傾斜角度で足漕ぎ運動を行うことで、その傾斜角度に応じた様々な部位を鍛えることができる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0038】
例えば、上記実施形態に係る足漕ぎ運動装置100は、回転機構20の着座部側の端を中心に、回転機構20を上下方向へ揺動させる揺動機構60を備えているが、これに限定されない。足漕ぎ運動装置100は、着座部10の回転機構側の端を中心に、着座部10を上下方向に揺動させる揺動機構を備えていてもよい。さらに、足漕ぎ運動装置100は、上記回転機構20を揺動させる揺動機構60、及び着座部10を揺動させる揺動機構の両方の機構を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 着座部、20 回転機構、21 回転軸、30 リンク、31 ペダル、35 滑走車輪、40 クランク、50 傾斜台、51 ベースフレーム、52 傾斜面、60 揺動機構、61 本体フレーム、62 調整バー、63 締結部材、64 把持部、65 ダンパー装置、100 足漕ぎ運動装置
図1
図2
図3
図4