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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】シート製造装置およびシート製造方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/732 20120101AFI20250701BHJP
   D04H 1/58 20120101ALI20250701BHJP
【FI】
D04H1/732
D04H1/58
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021083188
(22)【出願日】2021-05-17
(65)【公開番号】P2022176652
(43)【公開日】2022-11-30
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】永井 芳之
(72)【発明者】
【氏名】尾曲 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌英
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-200541(JP,A)
【文献】特開2017-154341(JP,A)
【文献】特開2016-130009(JP,A)
【文献】特開2017-087520(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163118(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/043065(WO,A1)
【文献】特開2015-183319(JP,A)
【文献】特開2012-144819(JP,A)
【文献】特開2012-144825(JP,A)
【文献】特開2015-137437(JP,A)
【文献】特開2016-188448(JP,A)
【文献】特開2020-200542(JP,A)
【文献】特開2021-017657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27N 1/00 - 9/00
D04H 1/00 - 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解繊物を乾式で堆積させ、ウェブを形成する堆積部と、
形成された前記ウェブの一方の面側から水分を付与して、前記ウェブの含水率を12質量%以上40質量%以下にする水分付与部と、
水分が付与された前記ウェブを加熱する加熱部と、
を含み、
前記加熱部は、
前記ウェブの前記一方の面に接触する第1部分と、
前記ウェブの他方の面に接触する第2部分と、
を有し、
前記加熱部は、前記第1部分の表面温度が前記第2部分の表面温度よりも10℃以上50℃以下高い状態で、前記ウェブを加熱する、シート製造装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記加熱部は、前記第1部分の表面温度と前記第2部分の表面温度との差が20℃以上の状態で、前記ウェブを加熱する、シート製造装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記加熱部は、前記第1部分の表面温度と前記第2部分の表面温度との差が30℃以下の状態で、前記ウェブを加熱する、シート製造装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記加熱部は、前記第1部分の表面温度と前記第2部分の表面温度との合計が180℃以上240℃以下の状態で、前記ウェブを加熱する、シート製造装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記加熱部は、前記第1部分の表面温度は130℃で前記第2部分の表面温度は100℃以上110℃以下である、シート製造装置。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1項において、
前記解繊物および前記ウェブの少なくとも一方に水溶性多糖を付与する結着剤付与部を含む、シート製造装置。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれか1項において、
古紙又はパルプシートを解繊して解繊物を作成する解繊部を含む、シート製造装置。
【請求項8】
解繊物を乾式で堆積させ、ウェブを形成する工程と、
形成された前記ウェブの一方の面側から水分を付与して、前記ウェブの含水率を12質量%以上40質量%以下にする工程と、
水分が付与された前記ウェブを、加熱部によって加熱する工程と、
を含み、
前記加熱部は、
前記ウェブの前記一方の面に接触する第1部分と、
前記ウェブの他方の面に接触する第2部分と、
を有し、
前記加熱部によって加熱する工程では、
前記第1部分の表面温度が前記第2部分の表面温度よりも10℃以上50℃以下高い状態で、前記ウェブを加熱する、シート製造方法。
【請求項9】
請求項において、
加熱された前記ウェブを切断する工程を含む、シート製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート製造装置およびシート製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小型化、省エネルギーのために、乾式によるシート製造方法が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、紙を粉砕して解繊する乾式解繊部と、乾式解繊部で解繊された解繊物で紙を成形する紙成形部と、形成された紙に水分を噴霧する水分噴霧器と、水分噴霧器によって水分を噴霧された紙を加熱するヒーターローラーと、を含む紙再生装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-144819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように堆積された解繊物の一方の面側から水分を付与して加熱する場合、ヒーターローラーの温度によっては、製造されたシートに紙粉が多く発生してしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシート製造装置の一態様は、
解繊物を乾式で堆積させ、ウェブを形成する堆積部と、
形成された前記ウェブの一方の面側から水分を付与して、前記ウェブの含水率を12質量%以上40質量%以下にする水分付与部と、
水分が付与された前記ウェブを加熱する加熱部と、
を含み、
前記加熱部は、
前記ウェブの前記一方の面に接触する第1部分と、
前記ウェブの他方の面に接触する第2部分と、
を有し、
前記加熱部は、前記第1部分の表面温度が前記第2部分の表面温度よりも高い状態で、前記ウェブを加熱する。
【0007】
本発明に係るシート製造方法の一態様は、
解繊物を乾式で堆積させ、ウェブを形成する工程と、
形成された前記ウェブの一方の面側から水分を付与して、前記ウェブの含水率を12質量%以上40質量%以下にする工程と、
水分が付与された前記ウェブを、加熱部によって加熱する工程と、
を含み、
前記加熱部は、
前記ウェブの前記一方の面に接触する第1部分と、
前記ウェブの他方の面に接触する第2部分と、
を有し、
前記加熱部によって加熱する工程では、
前記第1部分の表面温度が前記第2部分の表面温度よりも高い状態で、前記ウェブを加
熱する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るシート製造装置を模式的に示す図。
図2】本実施形態に係るシート製造方法を説明するためのフローチャート。
図3】作製したシートの紙粉量の測定方法を説明するための図。
図4】作製したシートの紙粉量の評価結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1. シート製造装置
1.1. 全体の構成
まず、本実施形態に係るシート製造装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るシート製造装置100を模式的に示す図である。
【0011】
シート製造装置100は、図1に示すように、例えば、供給部10と、粗砕部12と、解繊部20と、選別部40と、第1ウェブ形成部45と、回転体49と、混合部50と、堆積部60と、第2ウェブ形成部70と、水分付与部78と、シート形成部80と、切断部90と、を含む。
【0012】
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。供給部10は、例えば、粗砕部12に原料を連続的に投入するための自動投入部である。供給部10によって供給される原料は、例えば、古紙やパルプシートなどの繊維を含むものである。
【0013】
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を、大気中等の気中で裁断して細片にする。細片の形状や大きさは、例えば、数cm角の細片である。図示の例では、粗砕部12は、粗砕刃14を有し、粗砕刃14によって、投入された原料を裁断することができる。粗砕部12としては、例えば、シュレッダーを用いる。粗砕部12によって裁断された原料は、ホッパー1で受けてから管2を介して、解繊部20に移送される。
【0014】
解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料を解繊する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
【0015】
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止剤、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態、すなわち独立した状態で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態、すなわちダマを形成している状態で存在してもよい。
【0016】
解繊部20は、乾式で解繊を行う。ここで、液体中ではなく、大気中等の気中において、解繊や堆積等の処理を行うことを乾式と称する。解繊部20としては、例えば、インペラーミルを用いる。解繊部20は、原料を吸引し、解繊物を排出するような気流を発生さ
せる機能を有している。これにより、解繊部20は、自ら発生する気流によって、導入口22から原料を気流と共に吸引し、解繊処理して、解繊物を排出口24へと搬送することができる。解繊部20を通過した解繊物は、管3を介して、選別部40に移送される。なお、解繊部20から選別部40に解繊物を搬送させるための気流は、解繊部20が発生させる気流を利用してもよいし、ブロアー等の気流発生装置を設け、その気流を利用してもよい。
【0017】
選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物を導入口42から導入し、繊維の長さによって選別する。選別部40は、例えば、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43と、を有している。ドラム部41としては、例えば、篩を用いる。ドラム部41は、網を有し、網の目開きの大きさより小さい繊維または粒子、すなわち網を通過する第1選別物と、網の目開きの大きさより大きい繊維や未解繊片やダマ、すなわち網を通過しない第2選別物と、を分けることができる。例えば、第1選別物は、管7を介して、堆積部60に移送される。第2選別物は、排出口44から管8を介して、解繊部20に戻される。具体的には、ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いる。
【0018】
第1ウェブ形成部45は、選別部40を通過した第1選別物を、管7に搬送する。第1ウェブ形成部45は、例えば、メッシュベルト46と、張架ローラー47と、サクション機構48と、を有している。
【0019】
サクション機構48は、選別部40の開口を通過して空気中に分散された第1選別物をメッシュベルト46上に吸引することができる。第1選別物は、移動するメッシュベルト46上に堆積し、ウェブVを形成する。メッシュベルト46、張架ローラー47、およびサクション機構48の基本的な構成は、後述する第2ウェブ形成部70のメッシュベルト72、張架ローラー74、およびサクション機構76と同様である。
【0020】
ウェブVは、選別部40および第1ウェブ形成部45を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態に形成される。メッシュベルト46に堆積されたウェブVは、管7へ投入され、堆積部60へと搬送される。
【0021】
回転体49は、ウェブVを切断することができる。図示の例では、回転体49は、基部49aと、基部49aから突出している突部49bと、を有している。突部49bは、例えば、板状の形状を有している。図示の例では、突部49bは4つ設けられ、4つの突部49bが等間隔に設けられている。基部49aが方向Rに回転することにより、突部49bは、基部49aを軸として回転することができる。回転体49によってウェブVを切断することにより、例えば、堆積部60に供給される単位時間当たりの解繊物の量の変動を小さくすることができる。
【0022】
回転体49は、第1ウェブ形成部45の近傍に設けられている。図示の例では、回転体49は、ウェブVの経路において下流側に位置する張架ローラー47aの近傍に設けられている。回転体49は、突部49bがウェブVと接触可能な位置であって、ウェブVが堆積されるメッシュベルト46と接触しない位置に設けられている。これにより、メッシュベルト46が突部49bによって磨耗することを抑制することができる。突部49bとメッシュベルト46との間の最短距離は、例えば、0.05mm以上0.5mm以下である。これは、メッシュベルト46が損傷を受けずにウェブVを切断することが可能な距離である。
【0023】
混合部50は、例えば、選別部40を通過した第1選別物と、添加物と、を混合する。
混合部50は、例えば、添加物を供給する添加物供給部52と、第1選別物と添加物とを搬送する管54と、ブロアー56と、を有している。図示の例では、添加物は、添加物供給部52からホッパー9を介して管54に供給される。管54は、管7と連続している。
【0024】
混合部50では、ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、第1選別物と添加物とを混合させながら、搬送することができる。なお、第1選別物と添加物とを混合させる機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよい。
【0025】
添加物供給部52としては、図1に示すようなスクリューフィーダーや、図示せぬディスクフィーダーなどを用いる。添加物供給部52から供給される添加物は、特に限定されないが、例えば、複数の繊維を結着させる結着剤を含む。結着剤の詳細については、後述する。添加物供給部52から供給される添加物は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。
【0026】
なお、添加物供給部52から供給される添加物には、製造されるシートの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や添加物の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃え難くするための難燃剤が含まれていてもよい。混合部50を通過した混合物は、管54を介して、堆積部60に移送される。
【0027】
堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。堆積部60は、解繊物を乾式で堆積させ、ウェブWを形成する。さらに、堆積部60は、添加物供給部52から供給される添加物の樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす。これにより、堆積部60は、第2ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
【0028】
堆積部60は、例えば、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63と、を有している。ドラム部61としては、回転する円筒の篩を用いる。ドラム部61は、網を有し、混合部50を通過した混合物に含まれる、網の目開きの大きさより小さい繊維または粒子を降らせる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。
【0029】
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
【0030】
第2ウェブ形成部70は、堆積部60を通過した通過物が堆積されて、ウェブWを形成する。第2ウェブ形成部70は、例えば、メッシュベルト72と、張架ローラー74と、サクション機構76と、を有している。
【0031】
メッシュベルト72には、堆積部60の開口を通過した通過物が堆積される。メッシュベルト72は、張架ローラー74によって張架され、通過物を通し難く空気を通す構成となっている。メッシュベルト72は、張架ローラー74が自転することによって移動する。メッシュベルト72が連続的に移動しながら、堆積部60を通過した通過物が連続的に降り積もることにより、メッシュベルト72上にウェブWが形成される。
【0032】
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方に設けられている。サクション機構76は、下方に向く気流を発生させることができる。サクション機構76によって、堆積部60により空気中に分散された混合物をメッシュベルト72上に吸引することができる。これにより、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクショ
ン機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
【0033】
以上のように、堆積部60および第2ウェブ形成部70を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態のウェブWが形成される。
【0034】
堆積されたウェブWには、シート形成部80に搬送される途中で、水分が付与される。水分は、水分付与部78により付与される。水分付与部78の詳細については、後述する。
【0035】
水分付与部78により水分が付与されたウェブWは、シート形成部80へと搬送される。
【0036】
シート形成部80は、メッシュベルト72に堆積したウェブWを加圧および加熱してシートSを成形する。シート形成部80は、ウェブWを加圧および加熱する加熱部82を有している。加熱部82の詳細については、後述する。
【0037】
切断部90は、シート形成部80によって成形されたシートS、すなわち加熱されたウェブWを切断する。図示の例では、切断部90は、シートSの搬送方向と交差する方向にシートSを切断する第1切断部92と、搬送方向に平行な方向にシートSを切断する第2切断部94と、を有している。第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過したシートSを切断する。
【0038】
以上により、所定のサイズの単票のシートSが成形される。切断された単票のシートSは、排出受け部96に排出される。
【0039】
1.2. 添加物供給部
添加物供給部52は、例えば、解繊物およびウェブWの少なくとも一方に結着剤を付与する結着剤付与部である。結着剤は、複数の繊維を結着させる。添加物供給部52は、解繊物に結着剤を付与しウェブWに結着剤を付与しなくてもよいし、ウェブWに結着剤を付与し解繊物に結着剤を付与しなくてもよいし、解繊物およびウェブWの両方に結着剤を付与してもよい。また、添加物供給部52は、ウェブVに結着剤を付与してもよい。
【0040】
添加物供給部52から供給される結着剤としては、水溶性多糖、樹脂が挙げられる。ただし、シートの環境適合性をより向上できる点で、添加物は、樹脂を含まない方が好ましい。
【0041】
水溶性多糖は、水、温水、または熱湯に対して溶解する多糖を指す。水溶性多糖としては、例えば、澱粉、デキストリンが挙げられる。
【0042】
澱粉は、複数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した高分子である。澱粉は、直鎖状であってもよいし、分岐を含んでもよい。澱粉は、各種植物由来のものを用いることができる。澱粉の原料としては、例えば、トウモロコシ、小麦、米等の穀類、ソラマメ、緑豆、小豆等の豆類、ジャガイモ、サツマイモ、タピオカ等のイモ類、カタクリ、ワラビ、葛等の野草類、サゴヤシ等のヤシ類が挙げられる。
【0043】
また、澱粉として加工澱粉、変性澱粉を用いてもよい。加工澱粉としては、例えば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化澱粉、アセチル化澱粉、酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸物エステル化リン酸架橋澱粉、尿素リン酸化エステル化澱粉、
澱粉グリコール酸ナトリウム、高アミロースコーンスターチ等が挙げられる。変性澱粉としては、例えば、α化澱粉、デキストリン、ラウリルポリグルコース、カチオン化澱粉、熱可塑性澱粉、カルバミン酸澱粉等が挙げられる。なお、デキストリンは、澱粉を加工または変性して得られるものを好適に用いることができる。
【0044】
樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であり、例えば、AS(Acrylonitrile Styrene)樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などである。これらの樹脂は、単独または適宜混合して用いてもよい。
【0045】
シートにおける結着剤の含有量は、例えば、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下である。
【0046】
1.3. 水分付与部
水分付与部78は、形成されたウェブWの第1面Wa側からウェブWに水分を付与する。具体的には、水分付与部78は、第1面Wa側からウェブWに水を付与する。ウェブWは、互いに反対方向を向く第1面Waおよび第2面Wbを有している。第1面Waは、ウェブWの一方の面であり、図示の例では、下面である。第2面Wbは、ウェブWの他方の面であり、図示の例では、上面である。
【0047】
水分付与部78は、水蒸気、または超音波ミストなどのミストをウェブWの第1面Waに付与する。水分付与部78は、例えば、加湿器、インクジェット、シャワーなどによって構成されている。図示の例では、水分付与部78からの水分は、下から上に向けて放出される。
【0048】
水分付与部78は、ウェブWに水分を付与して、ウェブWの含水率を12質量%以上40質量%以下、より好ましくは14質量%以上35質量%以下、さらにより好ましくは15質量%以上30質量%以下にする。ウェブWの含水率は、例えば、加熱乾燥式水分計によって測定される。ウェブWの含水率を12質量%以上にすれば、解繊物に含まれる複数の繊維を水素結合によって結着させることができる。ウェブの含水率を40質量%以下にすれば、ウェブWの搬送性および成形性を向上させることができる。
【0049】
1.4. 加熱部
加熱部82は、水分付与部78によって水分が付与されたウェブWを加熱する。加熱部82の熱によりウェブWの水分が蒸発することで、水素結合によって複数の繊維が結合される。これにより、機械的強度が良好なシートSを形成することができる。さらに、添加物として水溶性多糖を含む場合は、加熱部82の熱により水分と水溶性多糖の温度が上昇することで、水溶性多糖が糊化し、その後、水分が蒸発することにより、糊化した水溶性多糖を介して複数の繊維が結着される。これにより、機械的強度がより良好なシートSを形成することができる。さらに、添加物として樹脂を有する場合は、熱により樹脂が軟化し、軟化した樹脂を介して複数の繊維が結着される。これにより、機械的強度がより良好なシートSを形成することができる。
【0050】
加熱部82は、ウェブWの第1面Waに接触する第1部分84と、ウェブWの第2面Wbに接触する第2部分86と、を有している。第1部分84および水分付与部78は、第1面Wa側に設けられている。図示の例では、第1部分84は、ウェブWの下側に設けられ、第2部分86は、ウェブWの上側に設けられている。
【0051】
加熱部82は、例えば、加熱ローラー、熱プレス成形機、ホットプレート、温風ブロワー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器を用いて構成されている。図示の例では、加熱部82は、一対のローラーであり、第1部分84は、一対のローラーのうちの一方のローラーであり、第2部分86は、一対のローラーのうちの他方のローラーである。第1部分84および第2部分86を構成しているローラーは、例えば、アルミ製の心金にゴム層を形成し、ゴム層の表面にフッ素層を形成したものである。加熱部82を一対のローラーとして構成することにより、加熱部82を板状のプレス装置として構成する場合に比べて、ウェブWを連続的に搬送しながらシートSを成形することができる。
【0052】
加熱部82は、第1部分84の表面温度が第2部分86の表面温度よりも高い状態で、ウェブWを加熱する。第1部分84の表面とは、第1部分84のウェブWに接触する面のことである。第2部分86の表面とは、第2部分86のウェブWに接触する面のことである。
【0053】
加熱部82は、第1部分84の表面温度が、例えば、80℃以上130℃以下、好ましくは85℃以上120℃以下、より好ましくは90℃以上110℃以下の状態で、ウェブWを加熱する。
【0054】
加熱部82は、第2部分86の表面温度が、例えば、100℃以上160℃以下、好ましくは110℃以上150℃以下、より好ましくは120℃以上140℃以下の状態で、ウェブWを加熱する。
【0055】
加熱部82は、第1部分84の表面温度と第2部分86の表面温度との差が、例えば、10℃以上50℃以下の状態で、好ましくは15℃以上40℃以下の状態で、より好ましくは20℃以上30℃以下の状態でウェブWを加熱する。
【0056】
加熱部82は、第1部分84の表面温度と第2部分86の表面温度との合計が、例えば、180℃以上240℃以下の状態で、好ましくは210℃以上240℃以下の状態で、より好ましくは230℃以上240℃以下の状態で、ウェブWを加熱する。
【0057】
加熱部82は、さらに、水分が付与されたウェブWを加圧する。図示の例では、加熱部82は、第1部分84と第2部分86とでウェブWを挟んで加圧する。加熱部82は、ウェブWを、例えば、0.2MPa以上10MPa以下、好ましくは0.3MPa以上5MPa以下、より好ましくは0.4MPa以上1MPa以下の圧力で加圧する。図示の例では、シート製造装置100は、加熱部82がウェブWを加圧する機能を有しているため、別途、ウェブWを加圧する機構を有していない。
【0058】
1.5. 作用効果
シート製造装置100では、解繊物を乾式で堆積させ、ウェブWを形成する堆積部60と、形成されたウェブWの一方の面Wa側から水分を付与して、ウェブWの含水率を12質量%以上40質量%以下にする水分付与部78と、水分が付与されたウェブを加熱する加熱部82と、を含む。加熱部82は、ウェブWの一方の面Waに接触する第1部分84と、ウェブWの他方の面Wbに接触する第2部分86と、を有し、加熱部82は、第1部分84の表面温度が第2部分86の表面温度よりも高い状態で、ウェブWを加熱する。
【0059】
そのため、シート製造装置100では、後述する実施例および比較例に示すように、例えば第1部分の表面温度と第2部分の表面温度とが同じ状態でウェブWを加熱する場合に比べて、シートSに発生する紙粉量を少なくすることができる。シート製造装置100では、水分の量が多い一方の面Wa側を、他方の面Wb側よりも高い温度で加熱することにより、一方の面Wa側と他方の面Wb側とにおいて水素結合を発生させるために適切な水
分量とすることができる。これにより、複数の繊維を水素結合で強固に結着させることができ、紙粉量を少なくすることができる。
【0060】
シート製造装置100では、加熱部82は、第1部分84の表面温度と第2部分86の表面温度との差が10℃以上50℃以下の状態で、ウェブWを加熱する。そのため、シート製造装置100では、紙粉量をより少なくすることができる。
【0061】
シート製造装置100では、加熱部82は、第1部分84の表面温度と第2部分86の表面温度との合計が180℃以上240℃以下の状態で、ウェブWを加熱する。第1部分84の表面温度と第2部分86の表面温度との合計を180℃以上とすることにより、シートSの生産効率を高めることができる。第1部分84の表面温度と第2部分86の表面温度との合計が180℃未満の場合は、ウェブWの加熱部82における通過速度を遅くしなければ水素結合を十分に発生させることができず、生産効率が低くなる。第1部分84の表面温度と第2部分86の表面温度との合計を240℃以下とすることにより、紙粉量をより少なくすることができる。
【0062】
シート製造装置100では、加熱部82は、ウェブWを0.2MPa以上10MPa以下の圧力で加圧する。そのため、シート製造装置100では、別途、ウェブWを加圧する機構を設ける必要がなく、装置の小型化を図ることができる。さらに、ウェブWを0.2MPa以上の圧力で加圧とすることにより、シートSの強度を高めることができる。ウェブWを10MPa以下の圧力で加圧することにより、繊維の劣化を抑制することができる。そのため、製造したシートを解繊した解繊物を原料にして、再びシートを製造することができる。
【0063】
シート製造装置100では、解繊物およびウェブWの少なくとも一方に結着剤を付与する結着剤付与部としての添加物供給部52を含む。そのため、シート製造装置100では、シートSの強度を高めることができる。
【0064】
シート製造装置100では、水分付与部78は、水蒸気またはミストをウェブWに付与する。そのため、シート製造装置100では、ウェブWに均一性よく水分を付与することができる。
【0065】
シート製造装置100では、加熱されたウェブWを切断する切断部90を含む。シート製造装置100では、加熱部82は第1部分84の表面温度が第2部分86の表面温度よりも高い状態でウェブWを加熱するため、加熱されたウェブWを切断部90で切断しても、発生する紙粉量を少なくすることができる。
【0066】
2. シート製造方法
次に、本実施形態に係るシート製造方法について、図面を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係るシート製造方法を説明するためのフローチャートである。本実施形態に係るシート製造方法は、例えば、上述したシート製造装置100を用いて行うことができる。
【0067】
本実施形態に係るシート製造方法は、図2に示すように、例えば、解繊物を乾式で堆積させ、ウェブWを形成する工程(ステップS1)と、形成されたウェブWの一方の面Wa側から水分を付与して、ウェブWの含水率を12質量%以上40質量%以下にする工程(ステップS2)と、水分が付与されたウェブWを、加熱部82によって加熱する工程(ステップS3)と、加熱されたウェブWを切断する工程(ステップS4)と、を含む。
【0068】
ウェブWを形成する工程(ステップS1)は、例えば、シート製造装置100の堆積部
60によって行うことができる。
【0069】
形成されたウェブWの一方の面Wa側から水分を付与する工程(ステップS2)は、例えば、シート製造装置100の水分付与部78によって行うことができる。
【0070】
加熱部82によって加熱する工程(ステップS3)では、第1部分84の表面温度が第2部分86の表面温度よりも高い状態で、ウェブWを加熱する。
【0071】
加熱されたウェブWを切断する工程(ステップS4)は、例えば、シート製造装置100の切断部90によって行うことができる。
【0072】
本実施形態に係るシート製造方法は、ウェブWを加熱する工程の前に、解繊物およびウェブWの少なくとも一方に結着剤を付与する工程を含んでもよい。結着剤を付与する工程は、例えば、シート製造装置100の添加物供給部52によって行うことができる。
【0073】
さらに、本実施形態のシート製造方法は、上述の工程以外に、例えば、解繊工程、選別工程などを含んでもよい。これらの工程は、シート製造装置100の解繊部20、選別部40などによって行うことができる。
【0074】
3. 実施例および比較例
3.1. シートの作製
上述したシート製造装置100に対応する装置を用いて、シートを作製した。具体的には、解繊物を乾式で堆積させてウェブを形成し、水分付与部からウェブに水分を付与した後、水分が付与されたウェブを加熱部によって加圧および加熱してシートを作製した。水分は、ウェブの下側から付与した。また、解繊物に結着剤を付与した場合と、結着剤を付与しない場合と、に分けて、シートを作製した。
【0075】
原料しては、富士フィルムビジネスイノベーションの再生紙GR70W(坪量67g/cm)を用いた。水分付与部は、シートの含水率が20質量%となるように、ウェブの下側から超音波ミストを噴射した。結着剤としては、日澱化學株式会社製の澱粉「ラスターゲンFK」を用いた。水分を付与する前の解繊物の総量に対して、13質量%の結着剤を付与した。加熱部としては、直径100mmのアルミ心金に、ゴム層およびフッ素層が形成された一対のローラーを用いた。一対のローラーでウェブを挟み、ウェブを0.6MPaの圧力で加圧した。ローラーの表面温度を振った。
【0076】
3.2. 評価方法
上述のようにして作製したシートの紙粉量を測定した。図3は、作製したシートの紙粉量の測定方法を説明するための図である。
【0077】
図3に示すように、作製したシートSを、50mm×25mmに切り出した。さらに、パナック工業株式会社製の自己粘着フィルムFを、20mm×40mmに切り出した。
【0078】
次に、自己粘着フィルムFの保護フィルムと基材フィルムとでシートSを挟み、加熱せずに、ハンドプレスによって自己粘着フィルムFを10kNで3秒間加圧した。そして、加圧してから3分以内に、自己粘着フィルムFを持ち上げたまま、シートSの右半分を持って、シートSを上方向に勢いよく剥がした。次に、保護フィルムで再度、基材フィルムの表面を保護した。
【0079】
次に、株式会社キーエンス社製のデジタルマイクロスコープ「VHX-5000」の明るさを「マニュアル 6msec」にセットし、倍率20倍で基材フィルムを観察し、画
像を取得した。次に、取得した画像に対して、HDR(High Dynamic Range)画像処理を行い、その後、自動面積計測処理を行って面積を計測し、画像を保存した。HDR画像処理は、「明度/テクスチャー/コントラスト/色彩=30/0/100/0」の条件で行った。自動面積計測処理は、「明度90-255、最大面積>2500」の条件で行った。なお、HDR画像処理および自動面積計測処理の明度については、ノイズが多い場合は、都度調整した。次に、保存した画像に対して二値化処理を行い、紙粉の個数を算出して、紙粉量を求めた。
【0080】
紙粉量の評価基準は、以下のとおりである。
【0081】
A:120個以下
B:121個以上150個以下
C:151個以上200個以下
D:201個以上。
【0082】
3.3. 評価結果
図4は、作製したシートの紙粉量の評価結果を示す表である。
【0083】
図4において、「Tu」は、一対のローラーのうちの上側のローラーの表面温度(以下、「上ローラー温度」ともいう)を示している。「Td」は、一対のローラーのうちの下側のローラーの表面温度(以下、「下ローラー温度」ともいう)を示している。「Td-Tu」は、下ローラー温度から上ローラー温度を引いた値を示している。「Td+Tu」は、下ローラー温度と上ローラー温度との合計値を示している。
【0084】
図4に示すように、下ローラー温度が上ローラー温度よりも高い実施例1~5は、下ローラー温度と上ローラー温度とが同じ比較例1、および上ローラー温度が下ローラー温度よりも高い比較例2に比べて、紙粉量が少なかった。これにより、水分が付与される側のローラーの温度を、水分が付与されない側のローラーの温度よりも高くすることにより、紙粉量を少なくできることがわかった。
【0085】
また、下ローラー温度と上ローラー温度との差がそれぞれ20℃、30℃である実施例2,4は、実施例1,3,5よりも紙粉量が少なかった。これにより、下ローラー温度と上ローラー温度との差を20℃以上30℃以下とすることにより、紙粉量をより少なくできることがわかった。
【0086】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0087】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0088】
シート製造装置の一態様は、
解繊物を乾式で堆積させ、ウェブを形成する堆積部と、
形成された前記ウェブの一方の面側から水分を付与して、前記ウェブの含水率を12質量%以上40質量%以下にする水分付与部と、
水分が付与された前記ウェブを加熱する加熱部と、
を含み、
前記加熱部は、
前記ウェブの前記一方の面に接触する第1部分と、
前記ウェブの他方の面に接触する第2部分と、
を有し、
前記加熱部は、前記第1部分の表面温度が前記第2部分の表面温度よりも高い状態で、前記ウェブを加熱する。
【0089】
このシート製造装置によれば、紙粉量を少なくすることができる。
【0090】
前記シート製造装置の一態様において、
前記加熱部は、前記第1部分の表面温度と前記第2部分の表面温度との差が10℃以上50℃以下の状態で、前記ウェブを加熱してもよい。
【0091】
このシート製造装置によれば、紙粉量をより少なくすることができる。
【0092】
前記シート製造装置の一態様において、
前記加熱部は、前記第1部分の表面温度と前記第2部分の表面温度との合計が180℃以上240℃以下の状態で、前記ウェブを加熱してもよい。
【0093】
このシート製造装置によれば、生産効率を高めることができ、かつ紙粉量をより少なくすることができる。
【0094】
前記シート製造装置の一態様において、
前記加熱部は、前記ウェブを0.2MPa以上10MPa以下の圧力で加圧してもよい。
【0095】
このシート製造装置によれば、別途、ウェブを加圧する機構を設ける必要がなく、装置の小型化を図ることができる。
【0096】
前記シート製造装置の一態様において、
前記解繊物および前記ウェブの少なくとも一方に結着剤を付与する結着剤付与部を含んでもよい。
【0097】
このシート製造装置によれば、シートの強度を高めることができる。
【0098】
前記シート製造装置の一態様において、
前記水分付与部は、水蒸気またはミストを前記ウェブに付与してもよい。
【0099】
このシート製造装置によれば、ウェブに均一性よく水分を付与することができる。
【0100】
前記シート製造装置の一態様において、
加熱された前記ウェブを切断する切断部を含んでもよい。
【0101】
このシート製造装置によれば、加熱部は第1部分の表面温度が第2部分の表面温度よりも高い状態でウェブを加熱するため、加熱されたウェブを切断部で切断しても、発生する紙粉量を少なくすることができる。
【0102】
シート製造方法の一態様は、
解繊物を乾式で堆積させ、ウェブを形成する工程と、
形成された前記ウェブの一方の面側から水分を付与して、前記ウェブの含水率を12質
量%以上40質量%以下にする工程と、
水分が付与された前記ウェブを、加熱部によって加熱する工程と、
を含み、
前記加熱部は、
前記ウェブの前記一方の面に接触する第1部分と、
前記ウェブの他方の面に接触する第2部分と、
を有し、
前記加熱部によって加熱する工程では、
前記第1部分の表面温度が前記第2部分の表面温度よりも高い状態で、前記ウェブを加熱する。
【0103】
このシート製造方法によれば、紙粉量を少なくすることができる。
【0104】
前記シート製造方法の一態様において、
前記加熱部によって加熱する工程の前に、前記解繊物および前記ウェブの少なくとも一方に結着剤を付与する工程を含んでもよい。
【0105】
このシート製造方法によれば、シートの強度を高めることができる。
【0106】
前記シート製造方法の一態様において、
加熱された前記ウェブを切断する工程を含んでもよい。
【0107】
このシート製造方法によれば、加熱部は第1部分の表面温度が第2部分の表面温度よりも高い状態でウェブを加熱するため、加熱されたウェブを切断部で切断しても、発生する紙粉量を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0108】
1…ホッパー、2,3,7,8…管、9…ホッパー、10…供給部、12…粗砕部、14…粗砕刃、20…解繊部、22…導入口、24…排出口、40…選別部、41…ドラム部、42…導入口、43…ハウジング部、44…排出口、45…第1ウェブ形成部、46…メッシュベルト、47,47a…張架ローラー、48…サクション機構、49…回転体、49a…基部、49b…突部、50…混合部、52…添加物供給部、54…管、56…ブロアー、60…堆積部、61…ドラム部、62…導入口、63…ハウジング部、70…第2ウェブ形成部、72…メッシュベルト、74…張架ローラー、76…サクション機構、78…水分付与部、80…シート形成部、82…加熱部、84…第1部分、86…第2部分、90…切断部、92…第1切断部、94…第2切断部、96…排出受け部、100…シート製造装置
図1
図2
図3
図4