(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/115 20200101AFI20250701BHJP
H05B 47/17 20200101ALI20250701BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20250701BHJP
H05B 47/13 20200101ALI20250701BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20250701BHJP
【FI】
H05B47/115
H05B47/17
H05B47/175
H05B47/13
H05B47/125
(21)【出願番号】P 2021083298
(22)【出願日】2021-05-17
【審査請求日】2024-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 祐也
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-018644(JP,A)
【文献】特開2011-071743(JP,A)
【文献】国際公開第2012/127609(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/115
H05B 47/17
H05B 47/175
H05B 47/13
H05B 47/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内への人の入室時に、前記人の個人識別情報を取得する入退出管理装置と、
前記室内に設けられた複数の照明器具と、
ボタン表示部を有し、押下されることで前記複数の照明器具のうち対応する照明器具の点灯状態が変化する複数のボタンを有するスイッチ部と、
を備え、
前記スイッチ部は、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、
前記複数のボタンが配置された状態で、前記複数のボタンのうち前記取得された個人識別情報に対応する照明器具の点灯状態を変化させる対応ボタン
のみについて、前記ボタン表示部の表示状態を第1状態から第2状態に変化させることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記対応ボタンの前記表示状態は、前記第2状態に変化してから予め定められた規定時間の間に前記対応ボタンが押下されると、前記第2状態から第3状態に変化し、前記第2状態に変化してから前記規定時間の間に前記対応ボタンが押下されないと、前記第1状態に戻ることを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記対応ボタンの前記表示状態が前記第2状態に変化したあと、前記対応ボタンが押下されるまでは、前記取得された個人識別情報に対応する照明器具の点灯状態は、前記個人識別情報が取得される前の状態に維持されることを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記対応ボタンの前記表示状態は、前記第2状態に変化してから予め定められた規定時間の間に前記対応ボタンが押下されないと、前記第1状態に戻り、前記規定時間は、変更可能であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記個人識別情報と前記複数の照明器具との対応関係を保持する記憶装置と、
前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記対応ボタンの前記表示状態を前記第1状態から前記第2状態に変化させる制御装置と、
を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記照明制御システムは、点灯候補表示モードと自動点灯モードの動作モードを有し、
前記点灯候補表示モードでは、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記対応ボタンの前記表示状態が前記第1状態から前記第2状態に変化し、
前記自動点灯モードでは、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記取得された個人識別情報に対応する照明器具の点灯状態が変化することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記照明制御システムは、点灯候補表示モードと通常モードの動作モードを有し、
前記点灯候補表示モードでは、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記対応ボタンの前記表示状態が前記第1状態から前記第2状態に変化し、
前記通常モードでは、前記取得された個人識別情報に応じて前記対応ボタンの前記表示状態は変化せず、前記取得された個人識別情報に応じて前記取得された個人識別情報に対応する照明器具の点灯状態が変化しないことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項8】
室内への人の入室時に、前記人の個人識別情報を取得する入退出管理装置と、
前記室内に設けられた複数の照明器具と、
ボタン表示部を有し、押下されることで前記複数の照明器具のうち対応する照明器具の点灯状態が変化する複数のボタンを有するスイッチ部と、
前記個人識別情報と前記複数の照明器具との対応関係を保持する記憶装置
と、
を備え、
前記スイッチ部は、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記複数のボタンのうち前記取得された個人識別情報に対応する照明器具の点灯状態を変化させる対応ボタンが有する前記ボタン表示部の表示状態を第1状態から第2状態に変化させる照明制御システムであり、
前記照明制御システムは、点灯候補表示モードと学習モードの動作モードを有し、
前記学習モードでは、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記記憶装置は前記個人識別情報が取得されてから予め定められた時間内に押下された前記ボタンに対応する照明器具の情報を、前記取得された個人識別情報と関連付けて記憶し、
前記点灯候補表示モードでは、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記記憶装置が記憶する前記情報に基づき、前記対応ボタンの前記表示状態が前記第1状態から前記第2状態に変化することを特徴とす
る照明制御システム。
【請求項9】
室内への人の入室時に、前記人の個人識別情報を取得する入退出管理装置と、
前記室内に設けられた複数の照明器具と、
ボタン表示部を有し、押下されることで前記複数の照明器具のうち対応する照明器具の点灯状態が変化する複数のボタンを有するスイッチ部と、
前記個人識別情報と前記複数の照明器具との対応関係を保持する記憶装置
と、
を備え、
前記スイッチ部は、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記複数のボタンのうち前記取得された個人識別情報に対応する照明器具の点灯状態を変化させる対応ボタンが有する前記ボタン表示部の表示状態を第1状態から第2状態に変化させる照明制御システムであり、
前記照明制御システムは、複合モードの動作モードを有し、
前記複合モードでは、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記対応ボタンの前記表示状態が前記第1状態から前記第2状態に変化し、前記記憶装置は前記個人識別情報が取得されてから予め定められた時間内に押下された前記ボタンに対応する照明器具の情報を、前記取得された個人識別情報と関連付けて記憶することを特徴とす
る照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内を照らす複数の照明器具を制御する照明制御システムが開示されている。この照明制御システムは、記憶装置、入力装置および制御装置を備える。記憶装置は、各個人を一意に識別する個人識別情報と、個人照明情報とを記憶する。入力装置は、個人識別情報の入力を受け付ける。制御装置は、入退室管理部と、照明特定部と、照明制御部とを有する。入退室管理部は、入力装置により入力が受け付けられた個人識別情報を、記憶装置に記憶された個人識別情報と照合することで、個人を識別し、当該個人が入退室したと判断する。照明特定部は、記憶装置に記憶された個人照明情報を参照することで、入退室管理部により入退室したと判断された個人に対応する照明器具を特定する。照明制御部は、照明特定部により特定された照明器具に対して所定の制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、入退出管理システムとの連動により入室した個人を特定し、座席付近の照明器具を点灯させることができる。しかし、入室した個人は、必ずしも座席に座るとは限らない。このため、個人が座席に座らなくても照明が不要に点灯する可能性がある。従って、無駄な消費電力が発生するおそれがある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、必要なエリアを点灯させることができる照明制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明制御システムは、室内への人の入室時に、前記人の個人識別情報を取得する入退出管理装置と、前記室内に設けられた複数の照明器具と、ボタン表示部を有し、押下されることで前記複数の照明器具のうち対応する照明器具の点灯状態が変化する複数のボタンを有するスイッチ部と、を備え、前記スイッチ部は、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記複数のボタンが配置された状態で、前記複数のボタンのうち前記取得された個人識別情報に対応する照明器具の点灯状態を変化させる対応ボタンのみについて、前記ボタン表示部の表示状態を第1状態から第2状態に変化させる。
本開示に係る照明制御システムは、室内への人の入室時に、前記人の個人識別情報を取得する入退出管理装置と、前記室内に設けられた複数の照明器具と、ボタン表示部を有し、押下されることで前記複数の照明器具のうち対応する照明器具の点灯状態が変化する複数のボタンを有するスイッチ部と、前記個人識別情報と前記複数の照明器具との対応関係を保持する記憶装置と、を備え、前記スイッチ部は、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記複数のボタンのうち前記取得された個人識別情報に対応する照明器具の点灯状態を変化させる対応ボタンが有する前記ボタン表示部の表示状態を第1状態から第2状態に変化させる照明制御システムであり、前記照明制御システムは、点灯候補表示モードと学習モードの動作モードを有し、前記学習モードでは、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記記憶装置は前記個人識別情報が取得されてから予め定められた時間内に押下された前記ボタンに対応する照明器具の情報を、前記取得された個人識別情報と関連付けて記憶し、前記点灯候補表示モードでは、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記記憶装置が記憶する前記情報に基づき、前記対応ボタンの前記表示状態が前記第1状態から前記第2状態に変化する。
本開示に係る照明制御システムは、室内への人の入室時に、前記人の個人識別情報を取得する入退出管理装置と、前記室内に設けられた複数の照明器具と、ボタン表示部を有し、押下されることで前記複数の照明器具のうち対応する照明器具の点灯状態が変化する複数のボタンを有するスイッチ部と、前記個人識別情報と前記複数の照明器具との対応関係を保持する記憶装置と、を備え、前記スイッチ部は、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記複数のボタンのうち前記取得された個人識別情報に対応する照明器具の点灯状態を変化させる対応ボタンが有する前記ボタン表示部の表示状態を第1状態から第2状態に変化させる照明制御システムであり、前記照明制御システムは、複合モードの動作モードを有し、前記複合モードでは、前記入退出管理装置が前記個人識別情報を取得すると、前記対応ボタンの前記表示状態が前記第1状態から前記第2状態に変化し、前記記憶装置は前記個人識別情報が取得されてから予め定められた時間内に押下された前記ボタンに対応する照明器具の情報を、前記取得された個人識別情報と関連付けて記憶する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る照明制御システムでは、個人識別情報が取得されると、スイッチ部の複数のボタンのうち、取得された個人識別情報に対応する照明器具の点灯状態を変化させる対応ボタンが有するボタン表示部の表示状態が第2状態に変化する。入室した人が第2状態のボタンを押下することで、必要なエリアを点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係るスイッチ部の構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る各機器の設置例を示す平面図である。
【
図4】実施の形態1に係る照明制御システムの点灯候補表示モードでの動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態2に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各実施の形態に係る照明制御システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム100の構成を示すブロック図である。照明制御システム100は、コントローラ1と、コントローラの下位通信側に接続された照明器具2およびスイッチ部3を備える。
【0011】
照明器具2は、コントローラ1からの無線信号または有線信号による制御指令によって、点灯状態が制御される。コントローラ1は、例えば照明器具2の通信機能を用いて照明器具2を個別に制御できる。また、コントローラ1は、1台または複数の照明器具2の電源線が接続されたリレーを介して、照明器具2を制御しても良い。また、照明器具2はPWM(Pulse Width Modulation)信号等の調光制御信号の入力により調光される機能を有しても良い。この場合、コントローラ1は、調光制御信号の変化によって、1台または複数の照明器具2の点灯状態を制御しても良い。
【0012】
本実施の形態では、各照明器具2が通信機能を持ち、コントローラ1が照明器具2を個別制御する例について説明する。点灯状態の制御には、例えば点灯、消灯、調光または色温度の制御が含まれる。各照明器具2は、個別にアドレスを持ち、コントローラ1により個別に制御されても良い。また、照明器具2はグループまたはゾーン単位で制御されても良い。
【0013】
コントローラ1は上位側にも無線または有線信号による通信機能を有し、ゲートウェイ装置8と通信を行う。ゲートウェイ装置8は、他の設備システムと通信するために通信データを変換する。これにより、例えば空調設備またはセキュリティシステム等の他メーカまたは他業種のシステムと、照明制御システム100とを連携させることができる。
【0014】
具体的にはコントローラ1は、照明器具2の点灯状態などの現在状態を、上位のシステムに通知することができる。また、上位システムから照明制御システム100内の個別機器、グループまたはゾーンに対して制御指令が送信されると、ゲートウェイ装置8が通信データを変換してコントローラ1に制御指令を送信する。これにより、コントローラ1は照明器具2に制御指令を発信することができる。
【0015】
中央管理装置9は例えばEthernet(登録商標)を使用したオープン規格のBACnet通信によって各設備システムの情報を収集する。中央管理装置9は、予め記憶された制御アルゴリズムまたは設定値と、収集したデータとに基づき、各システムへ制御指令を発信する。
【0016】
中央管理装置9と通信する場合に限らず、コントローラ1とゲートウェイ装置8は中央管理装置9から独立していても良い。また、コントローラ1とゲートウェイ装置8は同一機器であっても良い。つまり、コントローラ1のみで照明器具2、スイッチ部3等の端末器を制御しても良い。
【0017】
スイッチ部3への機能の割付け、コントローラ1への各種設定および各機器の状態のモニタ等には、設定器7が使用される。設定器7と各機器は、無線通信または有線通信によって接続される。設定器7は、例えば赤外線を利用したポータブルタイプのリモコン、パソコンまたはモバイル端末のアプリである。
【0018】
設定器7は、無線通信によってコントローラ1と直接通信しても良い。また設定器7は、無線通信機能を搭載した照明器具2またはスイッチ部3等の端末器と、直接通信を行い、データの送受信を行っても良い。また、有線通信の場合、コントローラ1と照明器具2およびスイッチ部3が通信するための有線通信ラインに、設定器7が接続されても良い。これにより、設定器7はコントローラ1または端末器と通信できる。
【0019】
また設定器7は、コントローラ1とゲートウェイ装置8との間の通信、または、ゲートウェイ装置8よりも上位側の通信を介して、各機器と通信できても良い。ゲートウェイ装置8よりも上位側の通信は、例えばBACnet通信である。
【0020】
図2は、実施の形態1に係るスイッチ部3の構成を示す図である。スイッチ部3は、コントローラ1と無線信号または有線信号により通信を行う。スイッチ部3は、例えば壁スイッチである。スイッチ部3は、複数のボタン13を有する。スイッチ部3は例えば1~8個のボタン13を搭載している。各ボタン13には、例えばモーメンタリ動作をするスイッチが内蔵される。1台のスイッチ部3に複数のチャンネルが搭載された場合、例えばチャンネルと同数のボタン13が設けられる。
【0021】
各ボタン13には、様々な機能を割付けることができる。例えばボタン13は、特定の照明器具2の点灯状態を個別に制御する機能を有する。またボタン13は、複数の照明器具2をまとめたグループの点灯状態を制御する機能を有しても良い。さらにボタン13は、ゾーンの点灯状態を制御する機能を有しても良い。ここで、グループを更にまとめた範囲をゾーンと呼ぶ。またボタン13には、操作毎に調光率を上昇または下降させる機能が設けられても良い。またボタン13には、各種機能の有効、無効を設定する機能が割付けられても良い。
【0022】
スイッチ部3の記憶部3cには、各ボタン13に割付けられた回路番号、グループ番号およびゾーン番号が記憶されている。各ボタン13が押下されると、ボタン13の押下情報が制御部3bに通知される。制御部3bは、記憶部3cの情報を参照し、押されたボタン13に割付けられた機能およびボタン13の状態についての押下情報を、通信部3aを介してコントローラ1に送信する。ボタン13に割付けられた機能の情報は、例えばボタン13の操作により制御される照明器具2の情報である。ボタン13の状態についての情報には、例えばボタン13がオン状態であるかオフ状態であるかの情報が含まれる。
【0023】
コントローラ1は、照明器具2を個別に識別する回路番号、各グループに属する回路番号または各ゾーンに属するグループ番号を、予め記憶部1cに記憶している。コントローラ1の制御部1bは、スイッチ部3から押下情報を受信すると、通信部1aを介して押下情報に対応する照明器具2を制御する。このように、ボタン13が押下されることで、複数の照明器具2のうち、押下されたボタン13に対応する照明器具2の点灯状態が変化する。
【0024】
スイッチ部3はアドレス情報を保持しなくても良い。この場合は上記のように、スイッチ部3は押下情報をコントローラ1に通知すれば良い。また、スイッチ部3の各ボタン13にアドレス情報が割付けられていても良い。この場合、ボタン13が押された時には、例えばボタン13に割付けられたアドレス情報とボタン番号がコントローラ1に送信される。このときコントローラ1の記憶部1cは、スイッチ部3のボタン13の各アドレスに割付けられた機能を記憶している。また、コントローラ1の記憶部1cには、照明器具2の制御単位が予め設定されている。コントローラ1の制御部1bは、スイッチ部3から送信されたアドレス情報に応じて制御内容を判別し、押下されたボタン13に対応する照明器具2を制御する。
【0025】
スイッチ部3の各ボタン13はボタン表示部3dを有する。ボタン表示部3dは例えばLED表示部から構成される。
図2に示される例では、ボタン表示部3dは、例えば緑LED表示部14と赤LED表示部15を有する。緑LED表示部14と赤LED表示部15は、例えばボタン13の付近に設置される。各ボタン13に割付けられた照明器具2が点灯状態の時には、例えば赤LED表示部15のみが点灯する。各ボタン13に割付けられた照明器具2が消灯状態の時には、例えば緑LED表示部14のみが点灯する。これにより、使用者に点灯状態を通知できる。緑LED表示部14と赤LED表示部15は、点滅動作により利用者に状態を通知しても良い。
【0026】
コントローラ1の制御部1bは、通信部1a、3aを介して、スイッチ部3に対して各ボタン表示部3dの表示状態を指示しても良い。また、スイッチ部3の制御部3bがボタン表示部3dの表示状態を管理しても良い。本実施の形態では、通信によってコントローラ1が各ボタン表示部3dの表示状態を指示できるものとする。
【0027】
図3は、実施の形態1に係る各機器の設置例を示す平面図である。スイッチ部3は設置する部屋の規模または性質によって、例えば1台ずつ設置される場合または部屋の入口付近に複数台が集合して設置される場合がある。本実施の形態のスイッチ部3は、例えば室内への入口付近の壁に設置される。本実施の形態では、特にスイッチ部3が部屋の入口付近に設置される場合に効果を得ることができる。スイッチ部3は複数台が集合した集合スイッチであっても良い。つまり、複数のスイッチ部3が並べて設置されても良い。
【0028】
入退出管理装置10は、複数の照明器具2が設けられた室内への人の入室時に、当該人の個人識別情報を取得する。室内は、例えば利用者が使用する机および椅子が配置された事務所である。入退出管理装置10は、無線信号または有線信号により、1台または複数の入退出検出装置11と接続される。
【0029】
入退出検出装置11は、予め個人識別情報が記録された個人識別端末12の存在を検出し、個人識別情報を読み込む。入退出検出装置11は、例えば接触型または非接触型のカードリーダーである。
図3に示されるように入退出検出装置11は、例えば部屋の入り口付近の外側に設置される。これに限らず入退出検出装置11は、複数の照明器具2が設けられた部屋がある建物の入り口または建物がある敷地内への入り口に設けられても良い。
【0030】
個人識別端末12を所持した利用者は、室内への入室時または退出時に個人識別端末12を入退出検出装置11に接触または近接させる。これにより、入退出検出装置11は個人識別情報を読み込む。入退出検出装置11は、読み込んだデータを入退出管理装置10に送信する。
【0031】
個人識別情報は、各個人を特定するID番号または個人名称等である。これらは個人識別端末12として、例えば接触型または非接触型のICカードまたは磁気カードに記憶される。個人識別端末12は、一般的な社員証または入館証であっても良い。個人識別端末12は、利用者が携帯するパソコン、携帯電話、モバイル端末であっても良い。
【0032】
また、入退出検出装置11はカメラであっても良い。入退出検出装置11は、カメラの画像認識機能により、顔認証または指紋認証によって個人識別情報を読み込んでも良い。また、入退出検出装置11はキー操作による番号入力機能を有しても良い。この場合、キー操作により入力された情報が個人識別情報に該当する。入退出管理装置10または入退出検出装置11は、セキュリティシステムの一部として施錠連動システムと連動しても良い。入退出管理装置10と入退出検出装置11は同一機器であっても良い。
【0033】
入退出管理装置10は、室内への人の入室時に個人識別情報を取得すると、取得した情報を中央管理装置9に送信する。中央管理装置9には、あらかじめ個人識別情報に対応する照明エリアを登録することができる。つまり、中央管理装置9の記憶部9cは、個人識別情報と複数の照明器具2との対応関係を保持する記憶装置に該当する。照明エリアは、例えば回路番号、グループ番号またはゾーン番号等の番号で設定することができる。各個人識別情報には、1つまたは複数の番号が登録される。具体的には、各個人識別情報には、その個人識別情報に対応する使用者が入室後に滞在する照明エリアが登録される。
【0034】
各個人の照明エリアが設定し易いように、部屋のレイアウトまたは使用者の用途に応じて、照明制御システム100内の個別回路、グループまたはゾーンを予め登録しておくことが望ましい。管理者または設定作業者は、各利用者が入室した際に使用する照明エリアとして、例えば個人の作業机または座席付近の照明器具2の回路番号、グループ番号またはゾーン番号を予め個人識別情報と関連付ける。室内は複数の利用者が利用する可能性がある。このため、利用者毎に照明エリアを登録することが望ましい。
【0035】
個人識別情報に対応した照明エリアの設定は、例えば設定器7を使用してコントローラ1に対して行うことができる。これにより、コントローラ1から中央管理装置9に設定情報が転送される。または、設定器7によって直接、中央管理装置9に設定されても良い。
【0036】
なお、中央管理装置9ではなくコントローラ1の記憶部1cが、個人識別情報と複数の照明器具2との対応関係を保持する記憶装置であっても良い。以下の説明では、中央管理装置9が個人識別情報と複数の照明器具2との対応関係を保持する例について説明する。
【0037】
本実施の形態のコントローラ1は、例えば点灯候補表示モード、自動点灯モード、学習モード、複合モードおよび通常モードで動作する。コントローラ1の動作モードの変更は設定器7の操作で行うことができる。また、予めスイッチ部3のボタン13に動作モードの切り替え機能が割付けられていても良い。
【0038】
まず、コントローラ1が点灯候補表示モードで動作している場合の動作を説明する。
図4は、実施の形態1に係る照明制御システム100の点灯候補表示モードでの動作を示すフローチャートである。初期状態として、利用者の入室前は利用者の個人識別情報に対応する照明器具2が消灯状態であるものとする。このため、対応するボタン表示部13dは、緑LED表示部14が点灯した第1状態である。
【0039】
次に、人が室内に入室し、入退出管理装置10が個人識別情報を取得する(ステップ1)。中央管理装置9の制御部9bは、通信部9aを介して個人識別情報を受信すると記憶部9cの情報を参照して、受信した個人識別情報に対応する照明エリアを読み込む。さらに制御部9bは、通信部9aおよびゲートウェイ装置8を介して、対応する照明器具2を制御するための制御指令をコントローラ1へ送信する(ステップ2)。制御指令には、対応する照明器具2の回路番号、グループ番号またはゾーン番号と、対応する照明器具2をオンさせる情報を含む。つまり、中央管理装置9は個人識別情報を照明制御指令に変換する。
【0040】
コントローラ1の制御部1bは、通信部1aを介して中央管理装置9が発信する制御指令を受信すると、制御指令が指定する照明器具2に点灯指令を発信しない。また、コントローラ1の制御部1bは、対応ボタンのボタン表示部3dを変化させるように、通信部1aを介してスイッチ部3に制御指令を送信する(ステップ3)。ここで対応ボタンは、スイッチ部3の複数のボタン13のうち、取得された個人識別情報に対応する照明器具2の点灯状態を変化させるボタン13である。
【0041】
なお、コントローラ1が、個人識別情報と複数の照明器具2との対応関係を保持する場合、中央管理装置9からコントローラ1に対しては、例えば受信した個人識別情報と入室情報のみが送信される。この場合コントローラ1は、記憶部1cの情報を参照して受信した個人識別情報に対応する照明エリアを読み込み、対応ボタンのボタン表示部3dを変化させるようにスイッチ部3に制御指令を送信する。
【0042】
本実施の形態の制御部1bは、入退出管理装置10が個人識別情報を取得すると、対応ボタンの表示状態を第1状態から第2状態に変化させる制御装置に該当する。なお、中央管理装置9の制御部9bが制御装置として機能しても良い。この場合、中央管理装置9は、ゲートウェイ装置8およびコントローラ1を介して、対応ボタンのボタン表示部3dを変化させるように、スイッチ部3に制御指令を送信する。
【0043】
スイッチ部3の制御部3bは、通信部3aを介してコントローラ1から制御指令を受信する。制御部3bは、制御指令に応じて対応ボタンのボタン表示部3dの表示状態を第2状態に変更する(ステップ4)。このようにスイッチ部3は、入退出管理装置10が個人識別情報を取得すると、対応ボタンが有するボタン表示部13dの表示状態を第1状態から第2状態に変化させる。
【0044】
以上から、入室した人が滞在する可能性がある場所を照射する照明器具2を点灯させるためのボタン13を、利用者に知らせることができる。従って、入室した人が今後の座席への滞在予定等に応じて第2状態のボタン13を押下することで、必要なエリアを点灯させることができる。個人識別情報に対応する照明エリアは1つ以上であれば良い。このため、第1状態から第2状態に変化する対応ボタンは1つまたは複数でも良い。対応ボタンが複数である場合、入室した人は、複数の第2状態のボタン13から、必要な照明エリアのボタン13を選択して押下しても良い。
【0045】
第2状態は、例えば緑LED表示部14が点滅を繰り返す状態である。第2状態は、赤LED表示部15が点滅を繰り返す状態でも良い。また、第2状態は、緑LED表示部14および赤LED表示部15が同時または交互に点滅する状態でも良い。第2状態は、スイッチ部3による照明器具2の通常のオンオフ操作時の状態表示として使用されていない状態であることが望ましい。
【0046】
また、人の入室を検出する前から別の人が入室している場合または上記とは別の手段により、既に対象の照明エリアが点灯している場合が想定される。この場合、対応ボタンを入室した人に通知する必要がない。このため、コントローラ1の制御部1bは、対象の照明エリアが消灯状態の場合のみに、対応ボタンを第2状態に変化させるものとしても良い。また、コントローラ1は、対象の照明エリアが既に点灯中であることを通知するために、第1状態および第2状態とは別の状態にボタン表示部3dを変化させても良い。
【0047】
対応ボタンの表示状態は、予め定められた規定時間だけ第2状態に維持されても良い。コントローラ1の制御部1bは、規定時間内に対応ボタンが押下されたかを判別する(ステップ5)。制御部1bは、規定時間の間に対応ボタンが押下されないと、対応ボタンの表示状態を第1状態に戻す(ステップ6)。この場合、個人識別情報に対応する照明器具2は消灯状態に維持される。
【0048】
制御部1bは、規定時間の間に対応ボタンが押下されると、対応ボタンの表示状態を第2状態から第3状態に変化させる(ステップ7)。第3状態は、赤LED表示部15が点灯した状態である。コントローラ1の制御部1bは、対応ボタンの押下に応じて、個人識別情報に対応する照明器具2に点灯指令を発信する。これにより、個人識別情報に対応する照明器具2が点灯する。このように、対応ボタンの表示状態は、第2状態に変化してから規定期間の間に対応ボタンが押下されると第2状態から第3状態に変化し、規定時間の間に対応ボタンが押下されないと第1状態に戻る。
【0049】
点灯候補表示モードの動作パラメータとして、対応ボタンの表示状態が第2状態に維持される期間は変更可能であっても良い。第2状態がボタン表示部3dの点滅状態である場合、入室を検出してからボタン表示部3dを点滅させる期間である点滅保持時間が任意に設定できても良い。この設定は、例えば設定器7からコントローラ1に対して行われる。点滅保持時間は全ての照明エリアで共通の値としても良い。また、点滅保持時間は、照明エリアまたはスイッチ部3のボタン13毎に異なっても良い。点滅保持時間は、例えば1秒~300秒の範囲で設定できる。
【0050】
また、第2状態におけるボタン表示部3dの点滅間隔についても、設定可能であっても良い。点滅間隔は例えば0.1秒~5.0秒の範囲で設定できる。例えば点滅保持時間が30秒に設定され、点滅間隔が1秒に設定された場合は、緑LED表示部14が1秒の点灯と1秒の消灯を繰り返す動作を30秒間継続する。このように、第2状態を決めるための各種設定値は任意に設定することができる
【0051】
この後は通常の壁スイッチ操作と同様に、ボタン13の押下によって照明エリアを点灯させることができる。
【0052】
本実施の形態では、利用者が滞在しようとする照明エリアを予測して、対応ボタンの表示状態の変化により利用者に点灯操作を促すことができる。利用者は、ボタン表示部3dの表示状態により、滞在する照明エリアに対応するボタン13の位置を把握できる。一般に壁スイッチの各ボタンには、対応する照明エリアを示すネームプレートが設けられることがある。また、壁スイッチに隣接して、利用者に各ボタンに対応する照明エリアを説明するための図面等が設置されることがある。しかし、特に夜間などの室内が暗い状態では、このようなネームプレートまたは図面が目視できない可能性がある。本実施の形態では、室内が暗い状態であっても、利用者がLED表示の変化に従ってボタン13を押すことで、簡単に所望の照明エリアを点灯させることができる。
【0053】
なお、既にスイッチ部3の付近に設置された照明器具2が点灯し、ネームプレートまたは説明用の図面等が視認できる程度にスイッチ部3の付近が明るい場合には、対応ボタンの表示状態の変化させない機能を追加しても良い。
【0054】
また、利用者の入退出に連動して対応する照明エリアが自動で点灯、消灯する場合、利用者が自席に座らなくても、室内にいる限り無駄な点灯状態が継続する可能性がある。これに対し本実施の形態では、対応ボタンの表示状態が第2状態に変化したあと、対応ボタンが押下されるまでは、取得された個人識別情報に対応する照明器具2の点灯状態は、個人識別情報が取得される前の状態に維持される。このため、利用者が入室したものの自席に座らない場合等に、対応する照明器具2が不要に点灯することを防止できる。従って、消費電力を低減できる。
【0055】
次に、コントローラ1が自動点灯モードの場合の動作を説明する。自動点灯モードでは、入退出管理装置10が個人識別情報を取得すると、取得された個人識別情報に対応する照明器具2の点灯状態が変化する。自動点灯モードでの動作は、ステップ2までは点灯候補表示モードと同様である。制御指令を受信したコントローラ1の制御部1bは、通信部1aを介して対応する照明器具2を制御するための制御指令を送信する。なお、中央管理装置9からコントローラ1に対しては、個人識別情報と入室情報のみが送信されても良い。この場合、コントローラ1が個人識別情報を制御指令に変換する。
【0056】
制御指令に応じて、対応する照明器具2は点灯状態となる。同時に、コントローラ1はスイッチ部3の対応ボタンの表示状態を第3状態とする。すなわち自動点灯モードでは、上位からの制御指令の通りに、利用者の照明エリアが即点灯する。
【0057】
次に、コントローラ1が学習モードの場合の動作を説明する。学習モードでは、入退出管理装置10が個人識別情報を取得すると、中央管理装置9の記憶部9cは、個人識別情報が取得されてから予め定められた学習時間内に押下されたボタン13に対応する照明器具2の情報を、取得された個人識別情報と関連付けて記憶する。
【0058】
学習モードでの動作は、ステップ2までは点灯候補表示モードと同様である。学習モードにおいてコントローラ1は、中央管理装置9から制御指令を受信してもスイッチ部3の表示状態を変更せず、照明器具2を点灯させない。学習モードにおいてコントローラ1は、スイッチ部3のボタン13が押下された時に、ボタン13に割付けられた照明エリアを点灯させる。すなわち学習モードでの点灯制御は、後述する通常モードと同様となる。
【0059】
学習モードでは、押下されたスイッチ部3のボタン13に割付けられた回路番号、グループ番号またはゾーン番号の情報は、コントローラ1からゲートウェイ装置8を介して中央管理装置9に送信される。中央管理装置9は、直前に入退出管理装置10から受信した個人識別情報と、コントローラ1から受信した情報を、データベース上で関連付けて記憶する。
【0060】
記憶されたデータは、次回から点灯候補表示モードにおけるスイッチ部3の表示、または、自動点灯モードにおける点灯制御のための設定値となる。つまり、記憶部9cの学習データは、点灯候補表示モードまたは自動点灯モードにおいて入退出管理装置10から個人識別情報を受信した際に、コントローラ1へ送信する制御指令を作成するためのベースデータとなる。例えば点灯候補表示モードでは、中央管理装置9の記憶部9cが記憶する学習データに基づき、対応ボタンの表示状態が第1状態から第2状態に変化する。
【0061】
学習モードを継続することで、同じ個人識別情報についてのデータが複数回取得される場合が想定される。この場合、データベースに最新データのみを残すように、保存情報を上書きしても良い。また、中央管理装置9の制御部9bは、独自の算出方法で例えば複数回のデータを加算しても良い。また制御部9bは、複数回のデータのうち操作頻度が多いデータのみを残しても良い。
【0062】
また、学習モードにおいて、中央管理装置9が個人識別情報を受信してから押下されたボタン13の情報を取得する期間である学習時間は、任意に設定可能である。学習時間は例えば1秒~300秒に設定される。学習時間は、例えば設定器7により中央管理装置9に設定される。中央管理装置9は、学習時間が経過した後にコントローラ1からボタン13が押下された情報を受信した場合には、データの関連付けを行わない。関連付けを行わない場合、中央管理装置9は既に関連付けされたデータを継続して運用しても良い。また中央管理装置9は、直近の操作がなかったことから、取得された個人識別情報に関連付けされたデータを削除しても良い。
【0063】
また、学習時間はコントローラ1に設定されても良い。この場合、学習時間の経過前にボタン13が押下されると、コントローラ1はボタン13が押下された情報を設定データとして中央管理装置9に送信する。学習時間の経過後にボタン13が押下されると、コントローラ1はボタン13が押下された情報を中央管理装置9に送信しない。
【0064】
これらの制御により、入室した利用者がスイッチ部3を押下するまでに経過する時間を想定して、学習時間を任意に設定することができる。具体的には、入退出検出装置11の設置個所からスイッチ部3の設置個所までの距離または利用者の歩行速度などに応じて、学習時間を任意に設定することができる。
【0065】
次に、コントローラ1が複合モードの場合の動作を説明する。複合モードでは、入退出管理装置10が個人識別情報を取得すると、対応ボタンの表示状態が第1状態から第2状態に変化する。さらに複合モードでは、中央管理装置9の記憶部9cは個人識別情報が取得されてから学習時間内に押下されたボタン13に対応する照明器具2の情報を、取得された個人識別情報と関連付けて記憶する。つまり複合モードでは、点灯候補表示モードと学習モードの動作が同時に行われる。
【0066】
複合モードの動作はステップ2までは点灯候補表示モードと同様である。複合モードにおいてコントローラ1は、中央管理装置9から受信した制御指令により、対応ボタンの表示状態を変化させる。この後、利用者がボタン13を押下すると、コントローラ1は対応する照明器具2を点灯させる。このときコントローラ1は、押下されたボタン13に対応する照明器具2の情報を中央管理装置9へ送信する。これにより、中央管理装置9は、直前に入退出管理装置10から受信した個人識別情報と、コントローラ1から受信した情報を、データベース上で関連付けて記憶する。
【0067】
複合モードでは、点灯候補表示モードの設定パラメータである点滅保持時間、点滅間隔および学習モード時の設定パラメータである学習時間を任意に設定できても良い。
【0068】
次に、コントローラ1が通常モードの場合の動作を説明する。通常モードでは、入退出管理装置10で取得された個人識別情報に応じて、対応ボタンの表示状態は変化しない。また、取得された個人識別情報に応じて、取得された個人識別情報に対応する照明器具2の点灯状態が変化しない。つまり、コントローラ1は、中央管理装置9から個人識別情報に応じた制御指令を受信しても、照明器具2またはスイッチ部3の制御を行わない。またコントローラ1は、学習モードのように押下されたボタンの情報を設定データに反映させない。すなわち、通常モードにおいてコントローラ1は、ボタン13の押下に応じて対応する照明器具2の点灯状態を制御することのみを行う。
【0069】
コントローラ1は、時計機能またはカレンダー機能を有し、年月日、曜日または時間帯を管理していても良い。時間帯、曜日、特定の日付などに応じて、コントローラ1の動作モードが切り替わっても良い。また時間帯、曜日、特定の日付などに応じて、点滅保持時間、点滅間隔、学習時間などの設定パラメータが変更されても良い。これらの設定は、設定器7によってコントローラ1に対して行うことができる。例えば学習モードで動作させる日付または時間帯を設定し、その結果得られる学習データを使用して点灯候補表示モードで動作する日付または時間帯を任意に設定することができる。
【0070】
本実施の形態において、制御部1b、3b、9bは例えばマイコンで構成される。また、記憶部1c、3c、9cは、例えば不揮発性メモリ等のメモリで構成される。
【0071】
コントローラ1の動作モードとして、少なくとも点灯候補表示モードが設けられれば良く、上記のうち一部の動作モードは設けられなくても良い。また、照明器具2およびスイッチ部3の数は、
図1、3に示されるものに限定されない。また、スイッチ部3の構成は
図2に示されるものに限らない。例えばボタン13およびボタン表示部3dは、液晶パネルに表示されていても良い。この場合、液晶パネルの操作によりボタン13が押下されても良い。
【0072】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る照明制御システムについて適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る照明制御システムについては実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0073】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る照明制御システム200の構成を示すブロック図である。照明制御システム200は、さらに照度センサ4、人感センサ5および画像センサ6を備える点が照明制御システム100と異なる。他の構成は照明制御システム100の構成と同様である。
【0074】
照度センサ4は、通信機能を有し、コントローラ1に接続される。照度センサ4は、例えば天井などに設置され、配下の床面または机上面の明るさを検出する。コントローラ1は、照度センサ4が検出した明るさを照度値で管理する。コントローラ1は、予め設定された目標照度に対する照度センサ4で検出した現在の照度値の高低に応じて、照明器具2を制御する。コントローラ1は、検出された照度値が目標照度に近づくように、照度センサ4に対応するエリアの照明器具2の出力を調整する。照度センサ4に対応する照明器具2の情報はコントローラ1に予め設定されている。また、照度センサ4に対応する照明器具2は、個別回路、グループ、ゾーンの単位で設定されても良い。
【0075】
人感センサ5は天井等に設置される。人感センサ5には焦電センサ等が搭載され、配下の検出エリア内で人体が移動したことを検出する。人感センサ5は、室内の人の存在、不在の情報をコントローラ1に通知する。コントローラ1は、例えば人が存在するエリアの照明器具2を点灯させ、不在のエリアの照明器具2を消灯または減光させる。
【0076】
画像センサ6は天井等に設置される。画像センサ6はカメラが搭載される。画像センサ6は、配下の検出エリアの画像データを取得し、検出エリア内に人が存在するかを判別する。画像センサ6は、独自の検出アルゴリズムによって、ベースとなる背景画像と取得した画像データを比較する。これにより画像センサ6は、焦電センサのように熱源体の移動を検出するだけでなく、人体の検出エリアへの進入、移動、滞在および通過等を検出することができる。
【0077】
画像センサ6はコントローラ1に検出情報を送信する。コントローラ1は受信した検出情報に応じて、照明器具2を制御する。コントローラ1は例えば人の不在時は照明器具2を消灯させても良い。またコントローラ1は、検出エリアからの人の移動を検出した際には、検出エリアの照明器具2を低い調光率で点灯させても良い。またコントローラ1は、検出エリアへの人の滞在を検出した際には、検出エリアの照明器具2を高い調光率で点灯させても良い。
【0078】
照明制御システム200では、実施の形態1で説明した機能と、照度センサ4、人感センサ5、画像センサ6による機能を組み合わせて動作することができる。例えば点灯候補表示モードにおいて、ボタン13の操作による点灯制御時に、照度センサ4による制御を組み合わせても良い。例えばコントローラ1は、押下されたボタン13に対応する照明エリアの照度を目標照度と一致させるように、照度センサ4で検出した照度値を基づき照明器具2の明るさを制御する。自動点灯モード、学習モード、複合モードにおいても、照明器具2の点灯時に同様の制御が行われても良い。また、照明器具2が点灯した後、人感センサ5または画像センサ6が検出エリア内の人の不在を検出すると、コントローラ1は検出エリアの照明器具2を消灯させても良い。
【0079】
また、コントローラ1は時計機能が搭載され、年月日、曜日または時間帯を管理している。コントローラ1は、時間帯、曜日、特定の日付などに応じて、照度センサ4、人感センサ5、画像センサ6との組合せ制御をするか否かの切替えを行っても良い。また、コントローラ1は、時間帯、曜日、特定の日付などに応じて、照度センサ4、人感センサ5、画像センサ6による制御の各種設定パラメータを変更しても良い。
【0080】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0081】
1 コントローラ、1a 通信部、1b 制御部、1c 記憶部、2 照明器具、3 スイッチ部、3a 通信部、3b 制御部、3c 記憶部、3d ボタン表示部、4 照度センサ、5 人感センサ、6 画像センサ、7 設定器、8 ゲートウェイ装置、9 中央管理装置、9a 通信部、9b 制御部、9c 記憶部、10 入退出管理装置、11 入退出検出装置、12 個人識別端末、13 ボタン、13d ボタン表示部、14 緑LED表示部、15 赤LED表示部、100 照明制御システム、200 照明制御システム