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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20250701BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G15/20
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021094752
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022186495
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晃治
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-099188(JP,A)
【文献】特開2004-109168(JP,A)
【文献】特開2018-087851(JP,A)
【文献】特開2007-079039(JP,A)
【文献】特開2010-244032(JP,A)
【文献】特開2007-058061(JP,A)
【文献】特開平10-143004(JP,A)
【文献】特開2012-141408(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0116489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
13/34
15/00
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筐体と、
前記開口を開閉するカバーと
トナー像をシートに転写するプロセス部と、
シートを加熱する加熱部を有し、前記プロセス部で転写されたトナー像をシートに定着する定着部であって、閉じた状態の前記カバーと前記プロセス部との間に配置された定着部と、
前記カバーが閉じられている状態で前記定着部によってトナー像が定着されたシートが排出される排出トレイと、
駆動したときに前記筐体内の空気を排出するファンと、
シートに画像を形成する印刷動作を実行可能な制御部と、を備え、
前記カバーは、開いた状態で前記定着部によってトナー像が定着されたシートが前記開口を通って当該カバー上に排出されるものであり、
前記制御部は、印刷動作を実行する場合において、
前記カバーが閉じていて前記定着部によってトナー像が定着されたシートを前記排出トレイに排出する場合は前記ファンを第1速度で駆動させ、
前記カバーが開いていて前記定着部によってトナー像が定着されたシートを前記開口を通して前記カバー上に排出する場合は前記ファンを前記第1速度よりも遅い第2速度で駆動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
温度センサを備え、
前記制御部は、印刷動作を実行する場合において、前記カバーが閉じている場合であっても、前記温度センサの検出結果に基づく第1温度が第1閾値未満である場合は前記ファンを前記第2速度で駆動させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1温度は、前記温度センサの測定値を補正した温度であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
温度センサを備え、
前記制御部は、
前記温度センサの検出結果に基づき、前記印刷動作の実行を禁止して前記定着部を冷却する冷却動作を実行可能であり、
前記冷却動作を実行する場合は、前記ファンを前記第1速度で駆動させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記温度センサは、前記加熱部の温度を検出する定着温度センサを含み、
前記制御部は、前記定着温度センサの検出結果に基づく第2温度が第2閾値以上である場合に前記冷却動作を実行することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記温度センサは、前記加熱部の温度を検出する定着温度センサを含み、
前記制御部は、
前記印刷動作として、シートを第1搬送速度で搬送する第1印刷動作と、シートを前記第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度で搬送する第2印刷動作とを実行可能であり、
前記定着温度センサの検出結果に基づく第2温度が第2閾値以上である場合に前記第2印刷動作を実行することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記温度センサは、前記筐体外の温度を検出する機外温度センサを含み、
前記制御部は、前記機外温度センサの検出結果に基づく第3温度が第3閾値以上である場合に前記冷却動作を実行することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記温度センサは、前記筐体内の温度を検出する機内温度センサを含み、
前記制御部は、前記機内温度センサの検出結果に基づく第4温度が第4閾値以上である場合に前記冷却動作を実行することを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記温度センサは、前記筐体内の温度を検出する機内温度センサを含み、
前記制御部は、
前記印刷動作として、シートを第1搬送速度で搬送する第1印刷動作と、シートを前記第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度で搬送する第2印刷動作とを実行可能であり、
前記機内温度センサの検出結果に基づく第5温度が第5閾値以上である場合に前記第2印刷動作を実行することを特徴とする請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記カバーの開閉を検知する開閉検知センサを備え、
前記制御部は、前記開閉検知センサの検知結果に基づいて前記カバーが開いているか閉じているかを判定することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
温度センサを備え、
前記制御部は、印刷ジョブの入力を待つ待機状態において、
前記温度センサの検出結果に基づく第1温度が第6閾値以上である場合に前記ファンを前記第1速度で駆動させ、
前記第1温度が前記第6閾値未満、かつ、前記第6閾値よりも低い第7閾値以上である場合に前記ファンを前記第2速度で駆動させ、
前記第1温度が前記第7閾値未満である場合に前記ファンを停止させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1温度が前記第6閾値以上である場合であっても、前記カバーが開いている場合は前記ファンを前記第2速度で駆動させることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の開口を開閉するカバーを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体の開口を開閉するカバーを備えた画像形成装置が知られている(特許文献1)。この技術では、画像形成装置は、筐体内の空気を外部に排気するファンを備え、制御部は、定着部の温度を検出するサーミスタの検出温度が閾値より高い場合は、印刷動作の開始後、ファンを高速で駆動し、検出温度が閾値より低い場合は、印刷動作の開始後、所定の時間はファンを高速よりも遅い低速で駆動し、所定の時間経過後にファンを高速で駆動する。また、制御部は、カバー(リヤカバー)が開いている場合は、印刷動作中、ファンを常に高速で駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-135370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カバーが開いている状態でファンを高速で駆動すると、開口から筐体内に流れ込む空気の流量が多くなる。この場合において、開口から筐体内に流れ込んだ空気が定着部付近を通過して加熱され、その後、トナー像をシートに転写するプロセス部に流れ込むと、プロセス部が高温になる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、プロセス部の温度上昇を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するための画像形成装置は、開口を有する筐体と、開口を開閉するカバーであって、開いた状態で画像が形成されたシートを開口から排出可能とするカバーと、トナー像をシートに転写するプロセス部と、シートを加熱する加熱部を有し、プロセス部で転写されたトナー像をシートに定着する定着部であって、閉じた状態のカバーとプロセス部との間に配置された定着部と、駆動したときに筐体内の空気を排出するファンと、シートに画像を形成する印刷動作を実行可能な制御部と、を備える。
制御部は、印刷動作を実行する場合において、カバーが閉じている場合はファンを第1速度で駆動させ、カバーが開いている場合はファンを第1速度よりも遅い第2速度で駆動させる。
【0007】
このような構成によれば、印刷動作を実行する場合において、カバーが閉じている場合はファンを速い速度で駆動させることで、筐体内に形成される気流によって定着部やプロセス部を冷却することができる。また、印刷動作を実行する場合において、カバーが開いている場合はファンを遅い速度で駆動させることで、開口から筐体内に流れ込む空気の流量を減らすことができる。これにより、定着部付近を通過して加熱された空気がプロセス部に流れ込むのを抑制することができるので、プロセス部の温度上昇を抑制することができる。
【0008】
また、画像形成装置は、温度センサを備え、制御部は、印刷動作を実行する場合において、カバーが閉じている場合であっても、温度センサの検出結果に基づく第1温度が第1閾値未満である場合はファンを第2速度で駆動させる構成とすることができる。
【0009】
これによれば、印刷中において、カバーが閉じている場合であっても、第1温度が低い場合はファンを遅い速度で駆動させることで、定着部やプロセス部を冷却しつつ、ファンが必要以上に動作するのを抑制することができる。
【0010】
また、第1温度は、温度センサの測定値を補正した温度である構成とすることができる。
【0011】
これによれば、温度センサの測定値を用いてファンを制御する場合と比較して、ファンの制御を精度良く行うことができる。
【0012】
また、画像形成装置は、温度センサを備え、制御部は、温度センサの検出結果に基づき、印刷動作の実行を禁止して定着部を冷却する冷却動作を実行可能であり、冷却動作を実行する場合は、ファンを第1速度で駆動させる構成とすることができる。
【0013】
これによれば、冷却動作を実行するときにファンを速い速度で駆動させることで、定着部付近を流れる空気の流量を確保することができる。これにより、定着部を効率良く冷却することができる。
【0014】
また、温度センサは、加熱部の温度を検出する定着温度センサを含み、制御部は、定着温度センサの検出結果に基づく第2温度が第2閾値以上である場合に冷却動作を実行する構成とすることができる。
【0015】
これによれば、加熱部の温度が高い場合に冷却動作を実行することができるので、定着部の温度が高くなりすぎるのを抑制することができる。
【0016】
また、温度センサは、加熱部の温度を検出する定着温度センサを含み、制御部は、印刷動作として、シートを第1搬送速度で搬送する第1印刷動作と、シートを第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度で搬送する第2印刷動作とを実行可能であり、定着温度センサの検出結果に基づく第2温度が第2閾値以上である場合に第2印刷動作を実行する構成とすることができる。
【0017】
これによれば、加熱部の温度が高い場合に、定着部の熱がシートに移動しやすい第2印刷動作を実行することができるので、定着部の温度が高くなりすぎるのを抑制することができる。
【0018】
また、温度センサは、筐体外の温度を検出する機外温度センサを含み、制御部は、機外温度センサの検出結果に基づく第3温度が第3閾値以上である場合に冷却動作を実行する構成とすることができる。
【0019】
これによれば、筐体外の温度が高い場合に冷却動作を実行することができる。
【0020】
また、温度センサは、筐体内の温度を検出する機内温度センサを含み、制御部は、機内温度センサの検出結果に基づく第4温度が第4閾値以上である場合に冷却動作を実行する構成とすることができる。
【0021】
これによれば、筐体内の温度が高い場合に冷却動作を実行することができる。
【0022】
また、温度センサは、筐体内の温度を検出する機内温度センサを含み、制御部は、印刷動作として、シートを第1搬送速度で搬送する第1印刷動作と、シートを第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度で搬送する第2印刷動作とを実行可能であり、機内温度センサの検出結果に基づく第5温度が第5閾値以上である場合に第2印刷動作を実行する構成とすることができる。
【0023】
これによれば、筐体内の温度が高く加熱部の温度が高くなりやすい場合に、定着部の熱がシートに移動しやすい第2印刷動作を実行することができるので、定着部の温度が高くなりすぎるのを抑制することができる。
【0024】
また、画像形成装置は、カバーの開閉を検知する開閉検知センサを備え、制御部は、開閉検知センサの検知結果に基づいてカバーが開いているか閉じているかを判定する構成とすることができる。
【0025】
これによれば、カバーの実際の開閉状態に応じてカバーが開いているか閉じているかを判定することができる。
【0026】
また、画像形成装置は、温度センサを備え、制御部は、印刷ジョブの入力を待つ待機状態において、温度センサの検出結果に基づく第1温度が第6閾値以上である場合にファンを第1速度で駆動させ、第1温度が第6閾値未満、かつ、第6閾値よりも低い第7閾値以上である場合にファンを第2速度で駆動させ、第1温度が第7閾値未満である場合にファンを停止させる構成とすることができる。
【0027】
これによれば、待機中において、第1温度が高い場合はファンを速い速度で駆動させることで、定着部やプロセス部を冷却することができる。また、第1温度が中程度である場合はファンを遅い速度で駆動させることで、定着部やプロセス部を冷却しつつ、ファンが必要以上に動作するのを抑制することができる。また、第1温度が低い場合はファンを停止させることで、ファンが無駄に動作するのを抑制することができる。
【0028】
また、制御部は、第1温度が第6閾値以上である場合であっても、カバーが開いている場合はファンを第2速度で駆動させる構成とすることができる。
【0029】
これによれば、開口から筐体内に流れ込む空気の流量を減らすことができ、これによって、定着部付近を通過して加熱された空気がプロセス部に流れ込むのを抑制することができるので、プロセス部の温度上昇を抑制することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、プロセス部の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2】第1実施形態の待機中のファン制御の処理を示すフローチャートである。
図3】印刷中のファン制御の処理を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の動作決定の処理を示すフローチャートである。
図5】冷却動作の処理を示すフローチャートである。
図6】カバーが閉じられている場合においてファンを高速で駆動させた場合の空気の流れを説明する図である。
図7】カバーが開かれている場合においてファンを低速で駆動させた場合の空気の流れを説明する図(a)と、比較例としてカバーが開かれている場合においてファンを高速で駆動させた場合の空気の流れを説明する図(b)である。
図8】第2実施形態の動作決定の処理を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態の動作決定の処理を示す、図8に続くフローチャートである。
図10】第3実施形態の待機中のファン制御の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、第1実施形態について説明する。
図1に示すように、画像形成装置1は、カラープリンタであり、筐体10と、フロントカバー11と、カバーの一例としてのリアカバー12と、シート供給部20と、画像形成部30と、シート搬送部90と、制御部100とを備えている。
【0033】
筐体10は、前部に設けられたフロント開口10Aと、後部に設けられた、開口の一例としてのリア開口10Bとを有している。また、筐体10は、上部に設けられた排出トレイ10Cを有している。
【0034】
フロントカバー11は、フロント開口10Aを開閉するカバーであり、下端部が筐体10に回動可能に支持されている。フロントカバー11は、筐体10に対し、フロント開口10Aを閉じる位置と、フロント開口10Aを開く位置(図示省略)との間で回動可能である。画像形成装置1は、フロントカバー11の開閉を検知する第1開閉センサSC1を備えており、制御部100は、第1開閉センサSC1の検知結果に基づいてフロントカバー11が開いているか閉じているかを判定する。
【0035】
リアカバー12は、リア開口10Bを開閉するカバーであり、下端部が筐体10に回動可能に支持されている。リアカバー12は、筐体10に対し、リア開口10Bを閉じる位置と、リア開口10Bを開く位置(図7参照)との間で回動可能である。画像形成装置1は、リアカバー12の開閉を検知する開閉検知センサの一例としての第2開閉センサSC2を備えており、制御部100は、第2開閉センサSC2の検知結果に基づいてリアカバー12が開いているか閉じているかを判定する。
【0036】
シート供給部20は、シートSを画像形成部30に供給する機能を有し、シートSを収容するシートトレイ21と、シート供給機構22とを備えている。シートトレイ21は、筐体10に対して着脱可能であり、筐体10に装着された状態で筐体10内の下部に配置される。シート供給機構22は、シートトレイ21内のシートSを1枚ずつ分離して画像形成部30に供給する。
【0037】
画像形成部30は、シートSに画像を形成する機能を有し、トナー像をシートSに転写するプロセス部31と、プロセス部31で転写されたトナー像をシートSに定着する定着部80とを備えている。
プロセス部31は、露光ユニット40と、ドラムユニット50と、4つの現像カートリッジ60と、転写ユニット70とを備えている。
【0038】
露光ユニット40は、筐体10内の上部に配置され、図示しない光源、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。露光ユニット40は、一点鎖線で示す光ビームを感光ドラム51の表面に出射することで、感光ドラム51の表面を露光する。
【0039】
ドラムユニット50は、筐体10内においてシートトレイ21と露光ユニット40との間に配置され、4つの感光ドラム51と、4つの帯電器52と、感光ドラム51などを支持する支持フレーム55とを備えている。ドラムユニット50は、フロントカバー11が開いた状態で、筐体10に対してフロント開口10Aを通して着脱可能である。
【0040】
現像カートリッジ60は、ドラムユニット50に着脱可能に装着されている。現像カートリッジ60は、それぞれ、現像ローラ61と、供給ローラ62と、層厚規制ブレード63と、トナー収容部64とを備えている。
【0041】
転写ユニット70は、筐体10内においてシートトレイ21とドラムユニット50との間に配置され、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に架け渡されており、上側の面が感光ドラム51と接触している。4つの転写ローラ74は、搬送ベルト73の内側において、対応する感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟むように配置されている。
【0042】
定着部80は、筐体10内においてプロセス部31の後方に配置されている。さらに言えば、定着部80は、閉じた状態のリアカバー12とプロセス部31との間に配置されている。定着部80は、シートSを加熱する加熱部81と、加熱部81との間でシートSを挟む加圧部82とを有している。本実施形態では、加熱部81は、加熱ローラ81Aと、加熱ローラ81Aを加熱するヒータ81Bとを有している。加圧部82は、符号を省略して示すエンドレスベルト、加熱部81との間でエンドレスベルトを挟む押圧パッド、押圧パッドを支持するホルダ、ベルトガイドなどを有している。
【0043】
画像形成部30は、帯電器52によって感光ドラム51の表面を一様に帯電し、露光ユニット40によって感光ドラム51の表面を露光することで、感光ドラム51の表面に静電潜像を形成する。また、画像形成部30は、トナー収容部64内のトナーを供給ローラ62に供給し、供給ローラ62から現像ローラ61に供給する。現像ローラ61に供給されたトナーは、現像ローラ61の回転に伴って現像ローラ61と層厚規制ブレード63との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ61上に担持される。
【0044】
画像形成部30は、現像ローラ61上に担持されたトナーを感光ドラム51上に形成された静電潜像に供給することで、感光ドラム51の表面にトナー像を形成する。その後、画像形成部30は、シート供給部20から供給されたシートSを感光ドラム51と搬送ベルト73との間で搬送することで感光ドラム51上のトナー像をシートSに転写する。その後、画像形成部30は、シートSを加熱部81と加圧部82との間で搬送することでシートSに転写されたトナー像をシートSに定着してシートSに画像を形成する。
【0045】
シート搬送部90は、画像形成部30から搬送されるシートSを筐体10外または再び画像形成部30に搬送する機能を有している。シート搬送部90は、第1経路91と、第2経路92と、第3経路93と、第1搬送ローラ94と、第2搬送ローラ95と、第1スイッチバックローラ96と、第2スイッチバックローラ97と、複数の第3搬送ローラ98と、フラッパ99とを備えている。第2経路92の一部は、閉じた状態のリアカバー12によって形成されている。
【0046】
シート搬送部90は、シートSを筐体10外に搬送する場合において、リアカバー12が閉じられている場合、画像形成部30から搬送されるシートSを第1搬送ローラ94によって搬送し、フラッパ99によって第1経路91に案内する。その後、シート搬送部90は、第1経路91に案内されたシートSを第2搬送ローラ95および第1スイッチバックローラ96によって搬送し、排出トレイ10C上に排出する。
【0047】
また、シート搬送部90は、シートSを筐体10外に搬送する場合において、リアカバー12が開かれている場合、画像形成部30から搬送されるシートSを第1搬送ローラ94によって搬送し、仮想線で示す位置に揺動したフラッパ99によって後方に向けて案内し、リア開口10Bを通して開いた状態のリアカバー12上に排出する。画像形成装置1は、リアカバー12が開いた状態でもシートSへの画像形成が可能であり、リアカバー12は、開いた状態で、画像が形成されたシートSをリア開口10Bから排出可能とするカバーである。
【0048】
また、シート搬送部90は、シートSを再び画像形成部30に搬送する場合、画像形成部30から搬送されるシートSを第1搬送ローラ94によって搬送し、フラッパ99によって第1経路91または第2経路92に案内する。シートSを第1経路91に案内した場合、シート搬送部90は、第1経路91内のシートSを第2搬送ローラ95および第1スイッチバックローラ96によって第3経路93に搬送する。また、シートSを第2経路92に案内した場合、シート搬送部90は、第2経路92内のシートSを第2スイッチバックローラ97によって第3経路93に搬送する。
【0049】
第3経路93に搬送されたシートSは、第3搬送ローラ98およびシート供給機構22によって再び画像形成部30に供給される。その後、シートSは、画像形成部30で画像が形成された後、シート搬送部90によって排出トレイ10C上に排出される。
【0050】
画像形成装置1は、ファン13と、機内温度センサST1と、定着温度センサST2と、機外温度センサST3と、パッチ読取センサSPとをさらに備えている。
【0051】
ファン13は、駆動したときに筐体10内の空気を筐体10外に排出するように設けられている。筐体10は、図示しない左右一対のサイドフレームを有しており、ファン13は、右のサイドフレームに設けられている。ファン13は、左右方向から見て、プロセス部31と閉じた状態のリアカバー12との間に配置されている。また、ファン13は、左右方向から見て、定着部80よりも上に配置されている。なお、プロセス部31と閉じた状態のリアカバー12との間であって、定着部80の上方には、左右に延びる図示しないダクトが設けられており、ファン13は、ダクトの右側に配置されている。ファン13は、第1速度と、第1速度よりも遅い第2速度とで駆動可能である。以下では、第1速度を「高速」ともいい、第2速度を「低速」ともいう。
【0052】
機内温度センサST1は、筐体10内の温度を検出する温度センサである。機内温度センサST1は、筐体10内における、ドラムユニット50と定着部80との間付近に配置されている。詳しくは、機内温度センサST1は、シートSの搬送方向において最も下流に配置される現像カートリッジ60(以下、「現像カートリッジ60A」という。)と、定着部80との間に配置されている。機内温度センサST1は、支持フレーム55の後部に設けられている。機内温度センサST1としては、例えば、サーミスタなどを用いることができる。
【0053】
定着温度センサST2は、定着部80の温度を検出する温度センサである。詳しくは、定着温度センサST2は、加熱部81の温度を検出する。定着温度センサST2は、定着部80に設けられ、加熱ローラ81Aと非接触の状態で対向して配置されている。定着温度センサST2としては、例えば、非接触式のサーミスタなどを用いることができる。
【0054】
機外温度センサST3は、筐体10外の温度を検出する温度センサである。筐体10は、図示しない左のサイドフレームの前端部の下部に設けられた吸気開口10Dを有し、機外温度センサST3は、吸気開口10Dから取り込まれた空気の温度を検出するように設けられている。機外温度センサST3としては、例えば、サーミスタなどを用いることができる。
【0055】
機内温度センサST1、定着温度センサST2、機外温度センサST3は、「温度センサ」の一例である。言い換えると、本実施形態において、「温度センサ」は、機内温度センサST1と、定着温度センサST2と、機外温度センサST3とを含む。
【0056】
パッチ読取センサSPは、搬送ベルト73上に転写されるトナー像(以下、「パッチ」という。)を検出するセンサである。パッチ読取センサSPは、シートSの搬送方向において、プロセス部31と定着部80との間に配置されている。詳しくは、パッチ読取センサSPは、搬送ベルト73の後部に対向して配置されている。パッチ読取センサSPとしては、例えば、発光素子と受光素子とを有する光反射型のセンサなどを用いることができる。画像形成装置1は、パッチ読取センサSPによって搬送ベルト73上のパッチを検出することで、位置ずれ補正や濃度補正などを実行する。
【0057】
制御部100は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを有している。制御部100は、ROMなどに記憶されたプログラムやデータなどに基づいて各種演算処理を行うことで、シート供給部20、画像形成部30、シート搬送部90、ファン13を制御する。
【0058】
制御部100は、シートSに画像を形成する印刷動作を実行可能である。制御部100は、印刷開始の指令や画像データなどを含む印刷ジョブを受信すると印刷動作を実行する。
【0059】
制御部100は、印刷動作を実行する場合において、リアカバー12が閉じている場合はファン13を高速で駆動させ、リアカバー12が開いている場合はファン13を低速で駆動させる。また、本実施形態では、制御部100は、印刷動作を実行する場合において、リアカバー12が閉じている場合であっても、後述する補正機内温度T1が第1閾値Tth1未満である場合はファン13を低速で駆動させる。
【0060】
すなわち、制御部100は、印刷動作を実行する場合において、リアカバー12が閉じている場合は、補正機内温度T1が第1閾値Tth1以上である場合にファン13を高速で駆動させ、補正機内温度T1が第1閾値Tth1未満である場合にファン13を低速で駆動させる。また、制御部100は、印刷動作を実行する場合において、リアカバー12が開いている場合は、補正機内温度T1に関わらず、ファン13を低速で駆動させる。
【0061】
補正機内温度T1は、温度センサの検出結果に基づく第1温度の一例であり、本実施形態では、温度センサの測定値を補正した温度である。詳しくは、補正機内温度T1は、機内温度センサST1の測定値を補正した温度である。
【0062】
制御部100は、補正機内温度T1として、定着部80の最も近くに配置される現像カートリッジ60Aの現像ローラ61の温度である現像ローラ温度T11と、現像カートリッジ60Aの層厚規制ブレード63の温度であるブレード温度T12を演算する。制御部100は、機内温度センサST1の測定値である機内温度、機外温度センサST3の測定値である機外温度、現像カートリッジ60Aの現像ローラ61の駆動状態などに基づいて、現像ローラ温度T11とブレード温度T12を演算する。
【0063】
一例として、制御部100は、現像ローラ温度T11を、機内温度を含む項と、機外温度を含む項とを含む演算式によって演算する。また、制御部100は、ブレード温度T12を、機内温度を含む項と、機外温度を含む項と、現像カートリッジ60Aの現像ローラ61の駆動状態に応じてROMなどから取得した層厚規制ブレード63の発熱量(予め設定された定数)を含む項とを含む演算式によって演算する。
【0064】
現像ローラ温度T11およびブレード温度T12の演算は、例えば、特開2016-224374号公報に開示された方法によって行うことができるので、本明細書では詳細な説明は省略する。
【0065】
制御部100は、印刷ジョブの入力を待つ待機状態のときに、定着部80(加熱部81)を所定温度に維持するレディモードと、加熱部81のヒータ81BをOFFにするスリープモードとを実行可能である。そして、レディモードの実行中には、筐体10内の温度が上昇することがある。
【0066】
そこで、制御部100は、待機状態において、補正機内温度T1が第6閾値Tth12以上である場合には、ファン13を高速で駆動させる。また、制御部100は、待機状態において、補正機内温度T1が第6閾値Tth12未満、かつ、第6閾値Tth12よりも低い第7閾値Tth11以上である場合には、ファン13を低速で駆動させる。さらに、制御部100は、待機状態において、補正機内温度T1が第7閾値Tth11未満である場合には、ファン13を停止させる。
【0067】
また、制御部100は、温度センサST1~ST3の検出結果に基づき、印刷動作の実行を禁止して定着部80を冷却する冷却動作をさらに実行可能である。制御部100は、冷却動作を実行する場合は、印刷動作の実行を禁止し、定着部80のヒータ81BをOFFにするとともに、ファン13を高速で駆動させる。さらに言えば、制御部100は、冷却動作を実行する場合は、リアカバー12が開いているか閉じているかに関わらず、ファン13を高速で駆動させる。
【0068】
なお、制御部100は、冷却動作の実行に伴って印刷動作の実行を禁止する場合において、例えば、供給開始前のシートSがある場合は当該シートSの画像形成部30への供給を禁止し、また、供給開始後のシートS(搬送中のシートS)がある場合は当該シートSを筐体10外に排出する。制御部100は、印刷動作の実行を中断した後に冷却動作を実行する。
【0069】
制御部100は、機外温度T3が第3閾値Tth32以上である場合に冷却動作を実行する。機外温度T3は、機外温度センサST3の検出結果に基づく第3温度の一例であり、本実施形態では、機外温度センサST3の測定値である。
【0070】
また、制御部100は、補正機内温度T1が第4閾値Tth43以上である場合に冷却動作を実行する。本実施形態では、補正機内温度T1は、機内温度センサST1の検出結果に基づく第4温度の一例でもある。なお、本実施形態において、制御部100は、現像ローラ温度T11およびブレード温度T12の少なくとも一方が閾値以上である場合に、補正機内温度T1が閾値以上であると判定し、現像ローラ温度T11およびブレード温度T12の両方が閾値未満(以下)である場合に、補正機内温度T1が閾値未満(以下)であると判定する。
【0071】
また、制御部100は、定着部温度T2が第2閾値Tth22以上である場合に冷却動作を実行する。定着部温度T2は、定着温度センサST2の検出結果に基づく第2温度の一例であり、本実施形態では、定着温度センサST2の測定値である。
【0072】
次に、制御部100の動作について、フローチャートを参照しながら説明する。
制御部100は、印刷ジョブの入力を待つ待機状態にある場合、図2に示す待機中のファン制御の処理を繰り返し実行する。
【0073】
図2に示すように、待機状態にある場合、制御部100は、補正機内温度T1が第7閾値Tth11以上であるか否かを判定する(S11)。補正機内温度T1が第7閾値Tth11未満である場合(S11,No)、制御部100は、ファン13を停止させる(S12)。
【0074】
補正機内温度T1が第7閾値Tth11以上である場合(S11,Yes)、制御部100は、補正機内温度T1が第7閾値Tth11よりも高い第6閾値Tth12以上であるか否かを判定する(S13)。補正機内温度T1が第6閾値Tth12未満である場合(S13,No)、制御部100は、ファン13を低速で駆動させる(S15)。補正機内温度T1が第6閾値Tth12以上である場合(S13,Yes)、制御部100は、ファン13を高速で駆動させる(S16)。
【0075】
制御部100は、印刷ジョブを受信すると、図3に示す印刷中のファン制御の処理を実行する。
図3に示すように、印刷ジョブを受信した場合、制御部100は、第2開閉センサSC2の検知結果に基づいてリアカバー12が開いているか閉じているかを判定する(S21)。リアカバー12が開いている場合(S21,Yes)、制御部100は、ファン13を低速で駆動させる(S23)。
【0076】
リアカバー12が閉じている場合(S21,No)、制御部100は、補正機内温度T1が第1閾値Tth1未満であるか否かを判定する(S22)。補正機内温度T1が第1閾値Tth1未満である場合(S22,Yes)、制御部100は、ファン13を低速で駆動させる(S23)。補正機内温度T1が第1閾値Tth1以上である場合(S22,No)、制御部100は、ファン13を高速で駆動させる(S24)。
【0077】
ファン13を駆動させた後、制御部100は、印刷が終了したか否かを判定する(S25)。制御部100は、印刷が終了していない場合(S25,No)、ステップS21に戻って以降の処理を実行し、印刷が終了した場合(S25,Yes)、印刷中のファン制御の処理を終了する。
【0078】
また、制御部100は、印刷ジョブを受信すると、図4に示す動作決定の処理を実行する。
【0079】
図4に示すように、印刷ジョブを受信した場合、制御部100は、機外温度T3が第3閾値Tth32以上であるか否かを判定する(S111)。機外温度T3が第3閾値Tth32未満である場合(S111,No)、制御部100は、補正機内温度T1が第4閾値Tth43以上であるか否かを判定する(S112)。補正機内温度T1が第4閾値Tth43未満である場合(S112,No)、制御部100は、定着部温度T2が第2閾値Tth22以上であるか否かを判定する(S113)。定着部温度T2が第2閾値Tth22未満である場合(S113,No)、制御部100は、印刷動作を実行する(S114)。
【0080】
ステップS111において機外温度T3が第3閾値Tth32以上である場合(Yes)、ステップS112において補正機内温度T1が第4閾値Tth43以上である場合(Yes)、または、ステップS113において定着部温度T2が第2閾値Tth22以上である場合(Yes)、制御部100は、冷却動作を実行する。
【0081】
詳しくは、図5に示すように、制御部100は、まず印刷動作を中断する(S131)。例えば、供給開始前のシートSがある場合は当該シートSの画像形成部30への供給を禁止し、また、搬送中のシートSがある場合は当該シートSを筐体10外に排出する。
【0082】
その後、制御部100は、定着部80のヒータ81BをOFFにする(S132)。また、制御部100は、リアカバー12が開いているか閉じているかに関わらず、ファン13を高速で駆動させる(S133)。なお、冷却動作を実行する場合、制御部100は、図3に示した印刷中のファン制御の処理を一旦終了する。
【0083】
その後、制御部100は、機外温度T3が第3閾値Tth32よりも低い閾値Tth31以下であるか否かを判定する(S134)。機外温度T3が閾値Tth31よりも高い場合(S134)、制御部100は、ステップS133に戻って以降の処理を実行する。
【0084】
ステップS134において機外温度T3が閾値Tth31以下である場合(Yes)、制御部100は、補正機内温度T1が第4閾値Tth43よりも低い閾値Tth42以下であるか否かを判定する(S135)。補正機内温度T1が閾値Tth42よりも高い場合(S135,No)、制御部100は、ステップS133に戻って以降の処理を実行する。
【0085】
ステップS135において補正機内温度T1が閾値Tth42以下である場合(Yes)、制御部100は、冷却動作を終了する。その後、図4に示すように、制御部100は、印刷動作を再開する(S114)。なお、冷却動作が終了した場合、制御部100は、図3に示した印刷中のファン制御の処理を再開する。
【0086】
ステップS114において印刷動作の実行を開始したり、印刷動作の実行を再開したりした後、制御部100は、印刷が終了したか否かを判定する(S115)。制御部100は、印刷が終了していない場合(S115,No)、印刷動作の実行を継続しつつステップS111に戻って以降の処理を実行し、印刷が終了した場合(S115,Yes)、動作決定の処理を終了する。
【0087】
以上の第1実施形態によれば、印刷動作を実行する場合において、リアカバー12が閉じている場合はファン13を速い速度で駆動させることで、筐体10内に形成される気流によって定着部80やプロセス部31を冷却することができる。また、印刷動作を実行する場合において、リアカバー12が開いている場合はファン13を遅い速度で駆動させることで、プロセス部31の温度上昇を抑制することができる。
【0088】
詳しくは、図6に示すように、印刷動作を実行する場合において、リアカバー12が閉じている場合にファン13を高速で駆動させることで、筐体10内の空気がプロセス部31側からファン13に向けて流れるとともに、筐体10外の空気が第1経路91や第2経路92から筐体10内に流れ込む。
【0089】
プロセス部31側からファン13に向けて流れる空気は、プロセス部31で発生した熱を取り込んでファン13から筐体10外に排出される。また、第1経路91や第2経路92から筐体10内に流れ込んだ空気は、定着部80付近を通過し、定着部80で発生した熱を取り込んでファン13から筐体10外に排出される。これにより、定着部80やプロセス部31を冷却することができる。また、第1経路91や第2経路92から筐体10内に流れ込む空気は、第1経路91内や第2経路92内を搬送されるシートS(図示省略)を冷却する。
【0090】
図7(b)に比較例として示すように、印刷動作を実行する場合において、リアカバー12が開いている場合にファン13を高速で駆動させると、リア開口10Bから筐体10内に流れ込む空気の流量が多くなる。この場合において、リア開口10Bから筐体10内に流れ込んだ空気が定着部80付近を通過して加熱され、その後、プロセス部31側に流れ込むと、プロセス部31(特に現像カートリッジ60A付近)やパッチ読取センサSP付近が高温になる可能性がある。
【0091】
図7(a)に示すように、本実施形態では、印刷動作を実行する場合において、リアカバー12が開いている場合はファン13を低速で駆動させることで、定着部80を冷却しつつ、リア開口10Bから筐体10内に流れ込む空気の流量を減らすことができる。これにより、定着部80付近を通過して加熱された空気がプロセス部31側に流れ込むのを抑制することができるので、プロセス部31(現像カートリッジ60A付近)やパッチ読取センサSP付近の温度上昇を抑制することができる。
【0092】
また、印刷中において、リアカバー12が閉じている場合であっても、補正機内温度T1が第1閾値Tth1未満と低い場合はファン13を遅い速度で駆動させることで、定着部80やプロセス部31を冷却しつつ、ファン13が必要以上に動作するのを抑制することができる。
【0093】
また、補正機内温度T1が機内温度センサST1の測定値を補正した温度であることで、機内温度センサST1の測定値を用いてファン13を制御する場合と比較して、ファン13の制御を精度良く行うことができる。
【0094】
また、冷却動作を実行するときにファン13を速い速度で駆動させることで、定着部80付近を流れる空気の流量を確保することができる。これにより、定着部80を効率良く冷却することができる。
【0095】
また、定着部温度T2が第2閾値Tth22以上である場合に冷却動作を実行するので、加熱部81の温度が高い場合に冷却動作を実行することができ、定着部80の温度が高くなりすぎるのを抑制することができる。これにより、定着部80を所定の温度以下で使用することができる。
【0096】
また、機外温度T3が第3閾値Tth32以上である場合に冷却動作を実行するので、筐体10外の温度が高い場合に冷却動作を実行することができる。
【0097】
また、補正機内温度T1が第4閾値Tth43以上である場合に冷却動作を実行するので、筐体10内の温度が高い場合に冷却動作を実行することができる。
【0098】
また、第2開閉センサSC2の検知結果に基づいてリアカバー12が開いているか閉じているかを判定するので、リアカバー12の実際の開閉状態に応じてリアカバー12が開いているか閉じているかを判定することができる。
【0099】
また、待機中において、補正機内温度T1が第6閾値Tth12以上と高い場合はファン13を速い速度で駆動させることで、定着部80やプロセス部31を冷却することができる。また、補正機内温度T1が第6閾値Tth12未満、かつ、第7閾値Tth11以上と中程度である場合はファン13を遅い速度で駆動させることで、定着部80やプロセス部31を冷却しつつ、ファン13が必要以上に動作するのを抑制することができる。また、補正機内温度T1が第7閾値Tth11未満と低い場合はファン13を停止させることで、ファン13が無駄に動作するのを抑制することができる。
【0100】
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下では、先に説明した実施形態と異なる点について詳細に説明し、同じ点については同一の要素に同一の符号を付すなどして適宜説明を省略する。
【0101】
本実施形態において、制御部100は、印刷動作として、第1印刷動作の一例としての通常印刷動作と、第2印刷動作の一例としての半速印刷動作とを実行可能である。制御部100は、通常印刷動作において、シートSを第1搬送速度で搬送し、半速印刷動作において、シートSを第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度で搬送する。本実施形態において、第2搬送速度は、第1搬送速度の略半分の搬送速度である。なお、通常印刷動作は、前記した第1実施形態の印刷動作と略同じ動作である。
【0102】
制御部100は、定着部温度T2が第2閾値Tth22未満である場合に通常印刷動作を実行し、定着部温度T2が第2閾値Tth22以上である場合に、冷却動作を実行するのではなく、半速印刷動作を実行する。
【0103】
また、制御部100は、補正機内温度T1が第5閾値Tth41以上である場合に半速印刷動作を実行する。補正機内温度T1は、機内温度センサST1の検出結果に基づく第5温度の一例である。第5閾値Tth41は、第4閾値Tth43よりも低い。また、第5閾値Tth41は、閾値Tth42(図5参照)よりも低い。
【0104】
次に、制御部100の動作について、フローチャートを参照しながら説明する。
制御部100は、印刷ジョブを受信すると、図8および図9に示す動作決定の処理を実行する。
【0105】
図8に示すように、印刷ジョブを受信した場合、制御部100は、機外温度T3が第3閾値Tth32以上であるか否かを判定する(S211)。機外温度T3が第3閾値Tth32未満である場合(S211,No)、制御部100は、補正機内温度T1が第4閾値Tth43以上であるか否かを判定する(S212)。補正機内温度T1が第4閾値Tth43未満である場合(S212,No)、制御部100は、補正機内温度T1が第5閾値Tth41以上であるか否かを判定する(S213)。補正機内温度T1が第5閾値Tth41未満である場合(S213,No)、制御部100は、定着部温度T2が第2閾値Tth22以上であるか否かを判定する(S214)。
【0106】
定着部温度T2が第2閾値Tth22未満である場合(S214,No)、制御部100は、通常印刷動作を実行する(S215)。その後、制御部100は、印刷が終了したか否かを判定し(S216)、印刷が終了していない場合(S216,No)は印刷動作の実行を継続しつつステップS211に戻って以降の処理を実行し、印刷が終了した場合(S216,Yes)は動作決定の処理を終了する。
【0107】
一方、ステップS213において補正機内温度T1が第5閾値Tth41以上である場合(Yes)、または、ステップS214において定着部温度T2が第2閾値Tth22以上である場合(Yes)、制御部100は、半速印刷動作を実行する(S217)。その後、制御部100は、印刷が終了したか否かを判定し(S218)、印刷が終了していない場合(S218,No)は印刷動作の実行を継続しつつ後述するステップS221(図9参照)に進んで以降の処理を実行し、印刷が終了した場合(S218,Yes)は動作決定の処理を終了する。
【0108】
また、ステップS211において機外温度T3が第3閾値Tth32以上である場合(Yes)、または、ステップS212において補正機内温度T1が第4閾値Tth43以上である場合(Yes)、制御部100は、冷却動作を実行する(図5参照)。冷却動作が終了した場合、制御部100は、半速印刷動作を実行する(S217)。
【0109】
なお、ステップS215において通常印刷動作の実行を開始した後、印刷が終了しておらず(S216,No)、ステップS211に戻った場合において、ステップS213で補正機内温度T1が第5閾値Tth41以上となり(Yes)、または、ステップS214で定着部温度T2が第2閾値Tth22以上となって(Yes)、半速印刷動作の実行を決定した場合(S217)、制御部100は、現在、通常印刷動作で印刷を実行しているシートSの次のシートSから半速印刷動作を実行する。
【0110】
ステップS217において半速印刷動作の実行を開始した後、印刷が終了していない場合(S218,No)、図9に示すように、制御部100は、機外温度T3が第3閾値Tth32以上であるか否かを判定する(S221)。機外温度T3が第3閾値Tth32未満である場合(S221,No)、制御部100は、補正機内温度T1が第4閾値Tth43以上であるか否かを判定する(S222)。補正機内温度T1が第4閾値Tth43未満である場合(S222,No)、制御部100は、補正機内温度T1が第5閾値Tth41よりも低い閾値Tth40以下であるか否かを判定する(S223)。補正機内温度T1が閾値Tth40よりも高い場合(S223,No)、制御部100は、半速印刷動作の実行を継続する(S227)。
【0111】
また、ステップS223において補正機内温度T1が閾値Tth40以下である場合(Yes)、制御部100は、定着部温度T2が第2閾値Tth22よりも低い閾値Tth21以下であるか否かを判定する(S224)。定着部温度T2が閾値Tth21よりも高い場合(S224,No)、制御部100は、半速印刷動作の実行を継続する(S227)。
【0112】
その後、制御部100は、印刷が終了したか否かを判定し(S228)、印刷が終了していない場合(S228,No)は印刷動作の実行を継続しつつステップS221に戻って以降の処理を実行し、印刷が終了した場合(S228,Yes)は動作決定の処理を終了する(図8、END)。
【0113】
ステップS224において定着部温度T2が閾値Tth21以下である場合(S224,Yes)、制御部100は、通常印刷動作の実行を決定する(S225)。制御部100は、現在、半速印刷動作で印刷を実行しているシートSの次のシートSから通常印刷動作を実行する。ステップS225の後、制御部100は、印刷が終了したか否かを判定し(SS26)、印刷が終了していない場合(S226,No)は印刷動作の実行を継続しつつ図8のステップS211に戻って以降の処理を実行し、印刷が終了した場合(S226,Yes)は動作決定の処理を終了する(図8、END)。
【0114】
図9のステップS221において機外温度T3が第3閾値Tth32以上である場合(Yes)、または、ステップS222において補正機内温度T1が第4閾値Tth43以上である場合(Yes)、制御部100は、冷却動作を実行する(図5参照)。冷却動作が終了した場合、制御部100は、半速印刷動作を実行する(S227)。
【0115】
以上の第2実施形態によれば、定着部温度T2が第2閾値Tth22以上である場合(図8、S214,Yes)に半速印刷動作を実行する(S217)ので、加熱部81の温度が高い場合に、定着部80の熱がシートSに移動しやすい半速印刷動作を実行することができる。これにより、定着部80の温度が高くなりすぎるのを抑制することができる。これにより、定着部80を所定の温度以下で使用することができる。
【0116】
また、補正機内温度T1が第5閾値Tth41以上である場合(図8、S213,Yes)に半速印刷動作を実行する(S217)ので、筐体10内の温度が高く加熱部81の温度が高くなりやすい場合に、定着部80の熱がシートSに移動しやすい半速印刷動作を実行することができる。これにより、定着部80の温度が高くなりすぎるのを抑制することができる。これにより、定着部80を所定の温度以下で使用することができる。
【0117】
なお、本実施形態では、定着部温度T2が第2閾値Tth22以上である場合と、補正機内温度T1が第5閾値Tth41以上である場合に半速印刷動作を実行したが、これに限定されない。例えば、補正機内温度が第5閾値以上である場合は半速印刷動作を実行し、定着部温度が第2閾値以上である場合は冷却動作を実行してもよい。
【0118】
次に、第3実施形態について説明する。
本実施形態において、制御部100は、印刷ジョブの入力を待つ待機状態において、補正機内温度T1が第6閾値Tth12以上である場合であっても、リアカバー12が開いている場合はファン13を低速で駆動させる。
【0119】
詳しくは、図10に示すように、制御部100は、補正機内温度T1が第6閾値Tth12以上である場合(S13,Yes)、リアカバー12が開いているか閉じているかを判定する(S14)。そして、リアカバー12が閉じている場合(S14,No)、制御部100は、ファン13を高速で駆動させる(S16)。一方、リアカバー12が開いている場合(S14,Yes)、制御部100は、ファン13を低速で駆動させる(S15)。
【0120】
以上の第3実施形態によれば、待機中において、補正機内温度T1が第6閾値Tth12以上である場合であっても、リアカバー12が開いている場合はファン13を低速で駆動させることで、リア開口10Bから筐体10内に流れ込む空気の流量を減らすことができる。これにより、定着部80付近を通過して加熱された空気がプロセス部31に流れ込むのを抑制することができるので、プロセス部31の温度上昇を抑制することができる。
【0121】
以上、実施形態について説明したが、画像形成装置は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0122】
前記実施形態では、印刷動作を実行する場合において、リアカバー12が閉じている場合であっても、補正機内温度T1が第1閾値Tth1未満である場合はファン13を低速で駆動させたが、これに限定されない。例えば、カバーが閉じている場合はファンを常に高速で駆動させてもよい。
【0123】
前記実施形態では、冷却動作を実行する場合、ファン13を常に高速で駆動させたが、これに限定されない。例えば、冷却動作を実行する場合、定着部の冷却の度合いに応じて、ファンの速度を高速から低速に切り替えたり、ファンの速度を徐々に遅くしたりしてもよい。
【0124】
前記実施形態では、定着温度センサST2の検出結果に基づく第2温度として、定着温度センサST2の測定値である定着部温度T2を例示したが、これに限定されない。例えば、第2温度は、定着温度センサの測定値を補正した温度であってもよい。
【0125】
前記実施形態では、機外温度センサST3の検出結果に基づく第3温度として、機外温度センサST3の測定値である機外温度T3を例示したが、これに限定されない。例えば、第3温度は、機外温度センサの測定値を補正した温度であってもよい。なお、前記実施形態で説明した機外温度センサST3の配置位置は一例であり、前記実施形態で説明した位置とは異なる位置に配置されていてもよい。
【0126】
前記実施形態では、機内温度センサST1の検出結果に基づく第4温度として、機内温度センサST1の測定値を補正した温度である補正機内温度T1を例示したが、これに限定されない。例えば、第4温度は、機内温度センサの測定値であってもよい。第5温度についても同様である。なお、前記実施形態で説明した機内温度センサST1の配置位置は一例であり、前記実施形態で説明した位置とは異なる位置に配置されていてもよい。例えば、機内温度センサは、前記実施形態の現像カートリッジ60A内に配置されていてもよい。
【0127】
前記実施形態では、温度センサの検出結果に基づく第1温度として、機内温度センサST1の測定値を補正した温度である補正機内温度T1を例示したが、これに限定されない。例えば、第1温度は、機内温度センサの測定値であってもよい。また、第1温度は、定着温度センサの測定値や、定着温度センサの測定値を補正した温度などであってもよい。また、第1温度は、機外温度センサの測定値や、機外温度センサの測定値を補正した温度などであってもよい。
【0128】
前記実施形態では、補正機内温度T1が第1温度の一例であり、かつ、第4温度の一例でもあったが、これに限定されない。すなわち、前記実施形態では、第1温度と第4温度が、同じものであったが、これに限定されず、異なるものであってもよい。第1温度と第5温度についても同様である。
【0129】
前記実施形態では、画像形成装置1が第2開閉センサSC2(開閉検知センサ)を備え、制御部100が第2開閉センサSC2の検知結果に基づいてリアカバー12が開いているか閉じているかを判定したが、これに限定されない。例えば、画像形成装置が開閉検知センサを備えない構成において、制御部は、ユーザがシートをリア開口から排出する印刷モードなどを選択した場合にリアカバーが開いていると判定する構成であってもよい。
【0130】
前記実施形態では、温度センサとして、機内温度センサST1、定着温度センサST2および機外温度センサST3を例示したが、これに限定されない。例えば、温度センサとして、前記実施形態の機内温度センサST1、定着温度センサST2、機外温度センサST3のうちの2つまたは1つのみを備える構成であってもよい。また、温度センサとして、前記実施形態の温度センサST1~ST3以外の温度センサをさらに備える構成であってもよい。
【0131】
前記実施形態では、筐体の開口およびカバーとして、筐体10の後部に設けられたリア開口10Bおよびリアカバー12を例示したが、これに限定されない。カバーは、開いた状態で画像が形成されたシートを筐体の開口から排出可能とするカバーであれば、筐体の後部に設けられたカバーに限定されない。例えば、筐体の開口およびカバーは、筐体の上部に設けられた開口およびカバーなどであってもよい。
【0132】
前記実施形態では、ファン13を1つだけ図示したが、ファンの数は任意である。すなわち、ファンは、複数設けられていてもよい。また、画像形成装置は、発明に係るファン、すなわち、印刷動作を実行する場合においてカバーが開いている場合に低速で駆動させるファンとは別に、例えば、空気を筐体内に取り込む第2のファンなどをさらに備える構成であってもよい。
【0133】
前記実施形態で説明したプロセス部の構成は一例である。例えば、前記実施形態では、露光ユニット40が光ビームを感光ドラム51に出射することで感光ドラム51の表面を露光する構成であったが、これに限定されず、露光ユニットは、配列された複数のLEDなどを有する露光ヘッドを備え、LEDからの光を感光ドラムに照射することで感光ドラムの表面を露光する構成であってもよい。
【0134】
また、前記実施形態では、転写ユニット70が感光ドラム51との間でシートSを搬送する搬送ベルト73を備える構成であったが、これに限定されず、例えば、転写ユニットは、搬送ベルトの代わりに、中間転写ベルトと、中間転写ベルト上のトナー像をシートに転写する2次転写ローラとを備える構成であってもよい。
【0135】
また、前記実施形態では、ドラムユニット50がドラム状の感光体である感光ドラム51を備える構成であったが、これに限定されず、例えば、ドラムユニットは、ベルト状の感光体を備える構成であってもよい。
【0136】
また、前記実施形態では、プロセス部31は、ドラムユニット50と、ドラムユニット50に着脱可能な現像カートリッジ60とを備える構成であったが、これに限定されず、例えば、プロセス部は、前記実施形態のドラムユニット50と現像カートリッジ60が着脱不能に一体的に形成されたようなユニットを備える構成であってもよい。
【0137】
前記実施形態で説明した定着部の構成は一例である。例えば、前記実施形態では、加熱部81が加熱ローラ81Aを有する構成であったが、これに限定されず、加熱部は、加熱ローラの代わりに、ヒータによって加熱されるエンドレスベルトを有する構成であってもよい。また、前記実施形態では、加圧部82がエンドレスベルト、押圧パッド、ホルダ、ベルトガイドなど有する構成であったが、これに限定されず、例えば、加圧部は、芯金と、芯金の周囲に形成された弾性層とを有する加圧ローラなどであってもよい。
【0138】
前記実施形態では、画像形成装置1がカラープリンタであったが、これに限定されない。例えば、画像形成装置は、モノクロプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、複写機や複合機などであってもよい。
【0139】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 画像形成装置
10 筐体
10B リア開口
12 リアカバー
13 ファン
31 プロセス部
80 定着部
81 加熱部
100 制御部
S シート
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