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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20250701BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20250701BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20250701BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20250701BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20250701BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021118209
(22)【出願日】2021-07-16
(65)【公開番号】P2023013788
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伯耆 雄介
(72)【発明者】
【氏名】杉山 宏石
(72)【発明者】
【氏名】勝又 久美子
(72)【発明者】
【氏名】良邊 理恵
(72)【発明者】
【氏名】桜田 伸
(72)【発明者】
【氏名】山中 富夫
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/038940(WO,A1)
【文献】特開2012-252020(JP,A)
【文献】特開2014-87228(JP,A)
【文献】特開2013-18361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26-21/36
G08G 1/00-99/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象情報と、車両の位置情報と、前記車両の走行状態情報と、前記車両に対応付けられたユーザの住居で消費される消費電力量と、前記車両が備える二次電池の残量と、前記車両の停車毎の停車時間の履歴に関する履歴情報と、を取得し、
前記履歴情報に基づいて、前記車両が次に停車する停車時間を予測し、
前記停車時間と、前記気象情報と、前記位置情報と、に基づいて、前記車両が走行中および停車中の少なくとも一方において異常気象と遭遇するか否かを判定し、
前記消費電力量と、前記残量と、に基づいて、前記車両から供給可能な給電可能時間を算出し、
前記異常気象に遭遇すると判定した場合、少なくとも給油を促すメッセージ、充電を促すメッセージおよび低燃費走行モードを促すメッセージのいずれか一つを含む気象異常対策情報を出力するように構成されたプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記走行状態情報に基づいて、前記車両が走行中であるか否かを判定し、
前記異常気象に遭遇すると判定した場合において、前記車両が走行中であると判定したとき、前記車両の走行モードを低燃費走行モードに切り替える一方、
前記異常気象に遭遇すると判定した場合において、前記車両が走行中でないと判定したとき、前記消費電力量と、前記残量と、に基づいて、前記車両から供給可能な給電可能時間を算出し、
前記給電可能時間に関する給電情報を出力する
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、停電が発生した状況において、停電地点で外部給電を行うため、対象車両に燃料を供給可能な給油地点を停電地域外に設定することで、燃料枯渇が生じやすい停電地域内の給油地点における燃料枯渇を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-112969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1では、停電が発生した後の対応となるため、停電や異常気象の災害に対する十分な備えができていなかった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、異常気象の災害に対する備えを行うことができる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御装置は、気象情報と、車両の位置情報と、を取得し、前記気象情報と、前記位置情報と、に基づいて、前記車両が異常気象と遭遇するか否かを判定し、前記異常気象に遭遇すると判定した場合、少なくとも給油を促すメッセージ、充電を促すメッセージおよび低燃費走行モードを促すメッセージのいずれか一つを含む気象異常対策情報を出力するように構成されたプロセッサを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、異常気象の災害に対する備えを行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1に係る災害支援システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る車両の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係るECUが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態1に係る表示部が表示する気象異常対策情報の一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態1に係る表示部が表示する経路変更情報の一例を示す図である。
図6図6は、実施の形態1に係る表示部が表示する給電情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施の形態2に係る災害支援システムの概略構成を示す図である。
図8図8は、実施の形態2に係る支援サーバの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る制御装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態により本開示が限定されるものではない。また、以下において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0010】
(実施の形態1)
〔災害支援システムの概略構成〕
図1は、実施の形態1に係る災害支援システムの概略構成を示す図である。図1に示す災害支援システム1は、車両100と、車両100に対応付けられた通信機器200と、ネットワークNWを介して車両100または通信機器200と通信可能な気象サーバ300と、を備える。このネットワークNWは、このネットワークNWは、例えばインターネット回線網、携帯電話回線網等から構成される。
【0011】
車両100は、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)およびBEV(Battery Electric Vehicle)のいずれかを用いて実現される。なお、車両100の詳細な構成は、後述する。
【0012】
通信機器200は、所定の通信規格に従って車両100と通信可能であり、かつ、ネットワークNWを介して気象サーバ300と通信可能である。ここで、所定の通信規格とは、4G(4th Generation Mobile Communication System)、5G(5th Generation Mobile Communication System)、Bluetooth(登録商標)およびWi-Fi(登録商標)の少なくとも一方である。通信機器200は、例えば携帯電話およびタブレット型の通信端末等を用いて実現される。
【0013】
気象サーバ300は、ネットワークNWを介して車両100および通信機器200と通信可能であり、車両100または通信機器200の位置情報に応じた気象情報を出力する。ここで、気象情報には、異常気象、災害注意情報および防災情報等が含まれる。また、異常気象とは、豪雨、大雨、台風、大雪、強風、暴風、土砂、火山、高潮、浸水、津波および地震等の災害によって引き起こされる警報に基づく気象である。
【0014】
〔車両の機能構成〕
次に、車両100の詳細な機能構成について説明する。図2は、車両100の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、車両100は、エンジン101と、発電機102と、第1のインバータ103と、モータ104と、駆動輪105と、二次電池106と、コンバータ107と、切替部108と、第2のインバータ109と、インレット部110と、第1の検出部111と、車内コンセント112と、第2の検出部113と、燃料タンク114と、第3の検出部115と、第4の検出部116と、ドアロック機構117と、通信部118と、外部通信部119と、カーナビゲーションシステム120と、記録部121と、ECU(Electronic Control Unit)122と、を備える。
【0015】
エンジン101は、周知の内燃機関によって構成され、燃料タンク114内に貯留されている燃料を用いて動力を出力する。エンジン101は、ECU122の制御のもと、駆動する。エンジン101から出力された動力は、発電機102を駆動する。
【0016】
発電機102は、第1のインバータ103を介してモータ104と電気的に接続される。発電機102は、ECU122の制御のもと、発電した交流電力を、切替部108およびコンバータ107を介して二次電池106へ供給する。発電機102は、発電機能に加えてモータ機能を有する発電用モータジェネレータを用いて構成される。
【0017】
第1のインバータ103は、ECU122の制御のもと、切替部108およびコンバータ107を介して供給される二次電池106からの放電電力(直流電力)を交流電力に変換し、この交流電力をモータ104へ供給する。また、第1のインバータ103は、ECU122の制御のもと、車両100の回生制動時において、モータ104で発電される交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を、切替部108およびコンバータ107を介して二次電池106へ供給する。第1のインバータ103は、例えば三相分のスイッチング素子を含むブリッジ回路を含む三相インバータ回路等を用いて構成される。
【0018】
モータ104は、ECU122の制御のもと、車両100の加速時に、第1のインバータ103から供給される交流電力によって駆動する。モータ104から出力された動力は、駆動輪105を駆動させる。また、モータ104は、ECU122の制御のもと、車両100の制動時に、駆動輪105から伝達される外力によって発電する発電機として機能し、この発電した電力を、第1のインバータ103から切替部108およびコンバータ107を介して二次電池106へ供給する。モータ104は、モータ機能に加えて発電機能を有する駆動用モータジェネレータを用いて構成される。
【0019】
二次電池106は、例えばニッケル水素電池若しくはリチウムイオン電池等の充放電可能な蓄電池または電気二重層キャパシタ等の蓄電素子等を用いて構成される。二次電池106は、コンバータ107によって充放電可能であり、高電圧の直流電力を蓄える。
【0020】
コンバータ107は、一端が二次電池106と電気的に接続され、他端が切替部108を介して第1のインバータ103および第2のインバータ109の一方と電気的に接続される。コンバータ107は、ECU122の制御のもと、二次電池106の充放電を行う。具体的には、コンバータ107は、二次電池106を充電する場合、第2のインバータ109、インレット部110および切替部108を介して外部から供給された直流電力を所定の電圧に降圧し、この降圧した充電電流を二次電池106に供給する。これに対して、コンバータ107は、二次電池106を放電させる場合、二次電池106からの直流電力の電圧を昇圧し、この昇圧した放電電流を、切替部108を介して第1のインバータ103へ供給する。
【0021】
切替部108は、一端がコンバータ107に電気的に接続され、他端が第1のインバータ103および第2のインバータ109の一方と電気的に接続され。切替部108は、ECU122の制御のもと、コンバータ107と、第1のインバータ103および第2のインバータ109の一方とを電気的に接続する。切替部108は、機械式リレーまたは半導体スイッチ等を用いて構成される。
【0022】
第2のインバータ109は、一端が切替部108に電気的に接続され、他端がインレット部110または車内コンセント112に電気的に接続される。第2のインバータ109は、ECU122の制御のもと、切替部108およびコンバータ107を介して供給される二次電池106からの放電電力(直流電力)を交流電力に変換し、この交流電力をインレット部110へ供給する。具体的には、第2のインバータ109は、ECU122の制御のもと、インレット部110および充放電ケーブル(図示せず)を介して外部へ交流電力を供給する。第2のインバータ109は、外部で使用される電力の形態に対応するように単相インバータ回路等を用いて構成される。
【0023】
インレット部110は、一端が第2のインバータ109と電気的に接続される。インレット部110は、充放電ケーブル(図示せず)が着脱自在に接続される。インレット部110は、充放電ケーブルを介して、外部から供給された交流電力を第2のインバータ109へ供給し、かつ、外部から入力された制御信号等を含む各種情報を通信部118へ出力する。また、インレット部110は、充放電ケーブルを介して第2のインバータ109から供給された交流電力を外部へ供給し、かつ、通信部118を介して入力されたECU122からの制御信号等を含む各種情報を外部へ出力する。
【0024】
第1の検出部111は、二次電池106のSOC(充電率)、温度、SOH(State of Health)、電圧値および電流値の各々を検出し、この検出結果をECU122へ出力する。第1の検出部111は、電流計、電圧計および温度センサ等を用いて構成される。
【0025】
車内コンセント112は、第2のインバータ109と電気的に接続される。車内コンセント112は、一般の電化製品の電源プラグを接続可能であり、電源プラグが接続された電化製品に対して第2のインバータ109から供給された交流電力を供給する。
【0026】
第2の検出部113は、車内コンセント112と第2のインバータ109との間に設けられ、車内コンセント112に接続された電気機器の消費電力および電流値の少なくとも一方を検出し、この検出結果をECU122へ出力する。第2の検出部113は、電力計、電流計および電圧計等を用いて構成される。
【0027】
燃料タンク114は、エンジン101へ供給される燃料を貯留する。ここで、燃料としては、ガソリン等の化石燃料である。なお、車両100がFCEVの場合、水素燃料を貯留する。
【0028】
第3の検出部115は、燃料タンク114内に貯留された燃料の残量を検出し、この検出結果をECU122へ出力する。第3の検出部115は、燃料計等を用いて構成される。
【0029】
第4の検出部116は、車両100の走行状態に関する走行状態情報を検出し、この検出結果をECU122へ出力する。ここで、走行状態情報とは、車両100の加速度、傾斜角度および速度等である。第4の検出部116は、加速度センサ、速度センサおよびジャイロセンサ等を用いて構成される。
【0030】
ドアロック機構117は、ECU122の制御のもと、車両100に設けられた扉の開閉動作を行う。
【0031】
通信部118は、インレット部110を介して外部から入力された各種情報を含む制御信号を受信し、受信した制御信号をECU122へ出力する。また、通信部118は、ECU122から入力されたCANデータ等を含む制御信号をインレット部110へ出力する。通信部118は、通信モジュール等を用いて構成される。
【0032】
外部通信部119は、ECU122の制御のもと、所定の通信規格に従って、ECU122から入力される各種情報を通信機器200へ送信する。また、外部通信部119は、通信機器200から受信した各種情報をECU122へ出力する。ここで、所定の通信規格とは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)の少なくとも一方である。外部通信部119は、無線通信モジュール等を用いて構成される。
【0033】
カーナビゲーションシステム120は、GPS(Global Positioning System)センサ120aと、地図データベース120bと、報知装置120cと、操作部120dと、を有する。
【0034】
GPSセンサ120aは、複数のGPS衛星または送信アンテナからの信号を受信し、受信した信号に基づいて、車両100の位置(経度および緯度)に関する位置情報を算出する。GPSセンサ120aは、GPS受信センサ等を用いて構成される。なお、実施の形態1では、GPSセンサ120aを複数個搭載することによって車両100の向き精度向上を図ってもよい。
【0035】
地図データベース120bは、各種の地図データを記憶する。地図データベース120bは、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を用いて構成される。
【0036】
報知装置120cは、画像、地図、映像および文字情報を表示する表示部120eと、音声や警報音等の音を発生する音声出力部120fと、を有する。表示部120eは、液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示ディスプレイを用いて構成される。音声出力部120fは、スピーカ等を用いて構成される。
【0037】
操作部120dは、ユーザの操作の入力を受け付け、受け付けた各種の操作内容に応じた信号をECU122へ出力する。操作部120dは、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびジョグダイヤル等を用いて実現される。
【0038】
このように構成されたカーナビゲーションシステム120は、GPSセンサ120aによって取得した現在の車両100の位置に関する位置情報を、地図データベース120bが記憶する地図データに対応する地図上に重ねることによって、車両100の現在走行している道路および目的値までの走行経路等を含む情報を、表示部120eと音声出力部120fとによってユーザに対して報知する。
【0039】
記録部121は、車両100に関する各種情報を記録する。記録部121は、ECU122から入力された車両100のCANデータおよびECU122が実行する各種の処理中のデータ等を記録する。記録部121は、車両100に関する車種情報記録部121aと、車両100の停車毎の停車時間の履歴に関する履歴情報を記録する履歴情報記録部121bと、車両100が実行する各種のプログラムを記録するプログラム記録部121cと、を有する。ここで、車種情報とは、車両100の車種、車両100を識別する識別情報、車両100の年式、発電の有無、HEV、PHEV、FCEVおよびBEVのいずれかを示す情報等が含まれる。また、停車時間の履歴とは、車両100を駆動するエンジンスイッチまたはスタートスイッチ等が操作されて車両100が停車している時間と日時とを対応付けた履歴である。記録部121は、DRAM、ROM、Flashメモリ、SSD等を用いて構成される。
【0040】
ECU122は、メモリと、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアを有するプロセッサと、を用いて構成される。ECU122は、車両100を構成する各部の動作を制御する。ECU122は、取得部122aと、判定部122bと、予測部122cと、出力制御部122dと、モード切替部122eと、経路変更部122fと、算出部122gと、を有する。なお、実施の形態1では、ECU122が制御装置として機能する。
【0041】
取得部122aは、GPSセンサ120aから車両100の位置情報、第4の検出部116から走行状態情報および履歴情報記録部121bから履歴情報を取得する。
【0042】
判定部122bは、取得部122aが取得した気象情報に基づいて、車両100が走行中において異常気象に遭遇するか否かを判定する。また、判定部122bは、取得部122aが取得した気象情報と、後述する予測部122cが予測した車両100が次に停車する停車時間と、取得部122aが取得した気象情報と、に基づいて、車両100が走行中停止中において異常気象に遭遇するか否かを判定する。
【0043】
予測部122cは、取得部122aが取得した履歴情報に基づいて、車両100が次に停車する停車時間を予測する。ここで、停車時間とは、搭乗者がスタートボタンを操作し、車両100のエンジン101が停止してから、搭乗者がスタートボタンを操作して車両100のエンジン101が駆動するまでの時間である。
【0044】
出力制御部122dは、気象異常体側情報を表示部120eおよび通信機器200へ出力する。また、出力制御部122dは、車両100の位置情報と、地図データ記録部402bが記録する地図データと、に基づいて、車両100の走行経路上に位置する給油または充電可能なステーション情報を表示部120eに出力する。さらに、出力制御部122dは、車両100の走行経路を、給油ステーションまたは充電ステーションに立ち寄り可能な走行経路に変更することを推奨する経路変更情報を表示部120eに出力する。
【0045】
モード切替部122eは、判定部122bによって車両100が異常気象に遭遇すると判定された場合、車両100の走行モードを低燃費走行モードに切り替える。
【0046】
経路変更部122fは、車両100の搭乗者が操作部120dに対して、走行経路を変更する変更操作を行った場合、判定部122bによって車両100が異常気象に遭遇すると判定された場合、車両100の走行経路を給油ステーションまたは充電ステーションに立ち寄り可能な走行経路に変更する。
【0047】
算出部122gは、取得部122aが取得したユーザの住居で消費される消費電力と、二次電池106の残量と、に基づいて、ユーザの住居に対して車両100から給電可能な給電可能時間を算出する。
【0048】
〔ECUの処理〕
次に、ECU122が実行する処理について説明する。図3は、車両100が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【0049】
図3に示すように、取得部122aは、GPSセンサ120aから車両100の位置情報、第4の検出部116から走行状態情報および履歴情報記録部121bから履歴情報を取得する(ステップS101)。
【0050】
続いて、取得部122aは、車両100の位置情報に基づいて、車両100を含む所定の範囲(例えば20km×20km)または車両100が走行する走行経路上の気象情報を取得する(ステップS102)。
【0051】
その後、予測部122cは、取得部122aが取得した履歴情報に基づいて、車両100が次に停車する停車時間を予測する(ステップS103)。
【0052】
判定部122bは、予測部122cが予測した車両100が次に停車する停車時間と、取得部122aが取得した気象情報と、に基づいて、車両100が走行中および停止中の少なくとも一方において異常気象に遭遇するか否かを判定する(ステップS104)。判定部122bによって車両100が走行中および停止時の少なくとも一方において異常気象に遭遇すると判定された場合(ステップS104:Yes)、車両100は、後述するステップS105へ移行する。これに対して、判定部122bによって車両100が走行中おおよび停止時の少なくとも一方において異常気象に遭遇しないと判定された場合(ステップS104:No)、車両100は、本処理を終了する。
【0053】
ステップS105において、判定部122bは、取得部122aが取得した車両100の走行状態情報に基づいて、車両100が走行中であるか否かを判定する。判定部122bによって車両100が走行中であると判定された場合(ステップS105:Yes)、車両100は、後述するステップS106へ移行する。これに対して、判定部122bによって車両100が走行中でないと判定された場合(ステップS105:No)、車両100は、後述するステップS112へ移行する。
【0054】
ステップS106において、出力制御部122dは、気象異常体側情報を表示部120eおよび通信機器200へ出力する。例えば、図4に示すように、出力制御部122dは、気象異常対策情報M1を表示部120eに出力する。気象異常対策情報M1には、少なくとも、給油を促すメッセージ、充電を促すメッセージおよび車両100の運転モードを低燃費走行モードに促すメッセージのいずれか一つが含まれる。これにより、車両100の搭乗者は、異常気象に遭遇する可能性を把握することができるうえ、異常気象について備えることができる。
【0055】
続いて、出力制御部122dは、車両100の位置情報と、地図データ記録部402bが記録する地図データと、に基づいて、車両100の走行経路上に位置する給油または充電可能なステーション情報を表示部120eに出力する(ステップS107)。これにより、車両100の搭乗者に対して、車両100の給油または充電を促すことで、異常気象に備えさせることができる。
【0056】
その後、モード切替部122eは、車両100の走行モードを低燃費走行モードに切り替える(ステップS108)。例えば、モード切替部122eは、図示しないアクセルペダルに対する運転者の踏み込み量の反応を緩くすることによって、車両100が急発進しづらくなる低燃費走行モードに切り替える。これにより、車両100の燃費消費を少なくすることができる。
【0057】
続いて、出力制御部122dは、車両100の走行経路を、給油ステーションまたは充電ステーションに立ち寄り可能な走行経路に変更することを推奨する経路変更情報を表示部120eに出力する(ステップS109)。具体的には、図5に示すように、出力制御部122dは、給油ステーションまたは充電ステーションを組み込んだ走行経路に変更することを推奨する経路変更情報M2を表示部120eに出力する。
【0058】
その後、車両100の搭乗者が操作部120dに対して、走行経路を変更する変更操作を行った場合(ステップS110:Yes)、経路変更部122fは、車両100の走行経路を給油ステーションまたは充電ステーションに立ち寄り可能な走行経路に変更する(ステップS111)。これにより、車両100は、異常気象に対する備えることができる。ステップS111の後、車両100は、本処理を終了する。これに対して、車両100の搭乗者が操作部120dに対して、走行経路を変更する変更操作を行っていない場合(ステップS110:No)、車両100は、本処理を終了する。
【0059】
ステップS112において、取得部122aは、外部通信部119を経由して車両100に対応付けられたユーザの住居で消費される消費電力量と、第1の検出部111から二次電池106の残量と、を取得する。
【0060】
続いて、算出部122gは、取得部122aが取得したユーザの住居で消費される消費電力と、二次電池106の残量と、に基づいて、ユーザの住居に対して車両100から給電可能な給電可能時間を算出する(ステップS113)。
【0061】
その後、出力制御部122dは、算出部122gが算出した給電可能時間に関する給電情報を表示部120eまたは車両100に関連付けられた通信機器200に出力する(ステップS114)。具体的には、図6に示すように、出力制御部122dは、算出部122gが算出した給電情報M3を表示部120eまたは車両100に関連付けられた通信機器200に出力する。これにより、ユーザは、車両100を用いて住宅に給電を行う場合の給電時間を把握することができる。ステップS114の後、車両100は、本処理を終了する。
【0062】
以上説明した実施の形態1によれば、取得部122aが気象サーバ300から気象情報と、GPSセンサ120aから車両100の位置情報と、を取得し、判定部122bが取得部122aによって取得された気象情報と位置情報と、に基づいて、車両100が異常気象と遭遇するか否かを判定する。そして、出力制御部122dは、判定部122bによって異常気象に遭遇すると判定された場合、少なくとも給油を促すメッセージ、充電を促すメッセージおよび低燃費走行モードを促すメッセージのいずれか一つを含む気象異常対策情報M1を表示部120eまたは通信機器200へ出力する。これにより、ユーザは、気象異常対策情報M1を確認することによって、異常気象の災害に対する備えを行うことができる。
【0063】
また、実施の形態1によれば、取得部122aが第4の検出部116から車両100の走行状態と、履歴情報記録部121bから所定期間における車両100の停車毎の停車時間の履歴情報と、をさらに取得する。そして、予測部122cは、判定部122bによって車両100が走行していると判定された場合、取得部122aが取得した履歴情報に基づいて、車両100が次に停車する停車時間を予測する。その後、出力制御部122dは、判定部122bによって車両100停止中に異常気象に遭遇すると判定された場合、車両100が停止する前に、気象異常対策情報M1を出力する。これにより、ユーザは、車両100の停止中に異常気象に遭遇する場合であっても、異常気象の災害に対する備えを行うことができる。
【0064】
また、実施の形態1によれば、出力制御部122dが判定部122bによって気象異常が発生すると判定された場合、給油ステーションおよび充電ステーションの少なくとも1つを含むステーション情報を出力する。これにより、ユーザは、車両100の給油または充電を促されるため、異常気象に備えさせることができる。
【0065】
また、実施の形態1によれば、モード切替部122eが判定部122bによって気象異常に遭遇すると判定された場合、車両100の運転モードを低燃費走行モードに切り替える。これにより、ユーザは、車両100の燃料タンク114の化石燃料または二次電池106の電力が消費されることを低減することができるため、異常気象に遭遇する場合であっても、異常気象に対して十分に備えさせることができる。
【0066】
また、実施の形態1によれば、経路変更部122fが判定部122bによって車両100が異常気象に遭遇すると判定された場合、車両100の走行経路を、給油ステーションおよび充電ステーションの少なくとも一つを含む経路を走行可能な走行経路に変更する。これにより、ユーザは、車両100に対して化石燃料の補給または電力の充電を行うことができるため、異常気象に対して十分に備えさせることができる。
【0067】
また、実施の形態1によれば、出力制御部122dが車両100に紐付けられた通信機器200に、気象異常対策情報M1を出力するため、車両100を所有するユーザは、通信機器200に表示される気象異常対策情報M1を確認することによって、異常気象に対して十分に備えさせることができる。
【0068】
また、実施の形態1によれば、取得部122aが車両100に対応付けられたユーザの住居に必要な消費電力量と、車両100が備える外部へ給電可能な二次電池106の残量と、を取得し、算出部122gが取得部122aによって取得された二次電池106の残量と消費電力量に基づいて、住居に給電可能な給電時間を算出する。そして、出力制御部122dは、算出部122gによって算出された給電時間を表示部120eまたは通信機器200に出力する。これにより、ユーザは、異常気象に遭遇する場合であっても、車両100による給電時間を把握することができる。
【0069】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1では、車両100のECU122が気象サーバ300から気象情報を取得して車両100の停止中に異常気象に遭遇する場合、異常気象に対する備えを促していたが、実施の形態2では、災害支援サーバをさらに設け、災害支援サーバが異常気象に対する備えを促す。以下においては、実施の形態2に係る災害支援システムについて説明する。なお、実施の形態1に係る災害支援システム1と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
〔災害支援システムの概略構成〕
図7は、実施の形態2に係る災害支援システムの概略構成を示す図である。図7に示す災害支援システム1Aは、実施の形態1に係る災害支援システム1の構成に加えて、支援サーバ400をさらに備える。
【0071】
〔支援サーバの機能構成〕
次に、支援サーバ400の機能構成について説明する。図8は、支援サーバ400の機能構成を示すブロック図である。図8に示す支援サーバ400は、通信部401と、記録部402と、サーバ制御部403と、を備える。
【0072】
通信部401は、サーバ制御部403のもと、ネットワークNWを介して車両100または通信機器200から各種情報を受信するとともに、車両100または通信機器200へ各種情報を送信する。通信部401は、各種情報を送受信可能な通信モジュール等を用いて構成される。
【0073】
記録部402は、支援サーバ400に関する各種情報を記録する。記録部402は、支援サーバ400が実行する各種のプログラムを記録するプログラム記録部402aと、地図データを記録する地図データ記録部402bと、複数の車両100の各々の停車毎の停車時間の履歴に関する履歴情報を記録する履歴情報記録部402cと、を有する。記録部402は、DRAM、ROM、Flashメモリ、HDD、SSD等を用いて構成される。
【0074】
サーバ制御部403は、支援サーバ400を構成する各部を制御する。サーバ制御部403は、メモリと、CPU等のハードウェアを有するプロセッサを用いて構成される。サーバ制御部403は、車両100のECU122と同等の機能を有する。具体的には、サーバ制御部403は、判定部122bと、予測部122cと、出力制御部122dと、モード切替部122eと、経路変更部122fと、算出部122gと、を有する。なお、実施の形態2では、サーバ制御部403が制御装置として機能する。
【0075】
このように構成された支援サーバ400は、実施の形態1に係るECU122と同等の処理(例えば図3を参照)を行うことによって、車両100が異常気象に遭遇する場合、車両100または通信機器200に向けて異常気象に備えるために準備を促す情報を出力する。
【0076】
以上説明した実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、ユーザは、気象異常対策情報M1を確認することによって、異常気象の災害に対する備えを行うことができる。
【0077】
(その他の実施の形態)
また、実施の形態1,2では、上記してきた「部」を、「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御回路に読み替えることができる。
【0078】
また、実施の形態1,2に係る災害支援システムに実行させるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルデータでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB媒体、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0079】
また、実施の形態1,2に係る災害支援に実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0080】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」等の表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本実施の形態を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。即ち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0081】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。従って、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1,1A 災害支援システム
100 車両
101 エンジン
102 発電機
103 第1のインバータ
104 モータ
105 駆動輪
106 二次電池
107 コンバータ
108 切替部
109 第2のインバータ
110 インレット部
111 第1の検出部
112 車内コンセント
113 第2の検出部
114 燃料タンク
115 第3の検出部
116 第4の検出部
117 ドアロック機構
118,401 通信部
119 外部通信部
120 カーナビゲーションシステム
120a GPSセンサ
120b 地図データベース
120c 報知装置
120d 操作部
120e 表示部
120f 音声出力部
121 記録部
121a 車種情報記録部
121b,402c 履歴情報記録部
121c,402a プログラム記録部
122 ECU
122a 取得部
122b 判定部
122c 予測部
122d 出力制御部
122e モード切替部
122f 経路変更部
122g 算出部
400 支援サーバ
402b 地図データ記録部
403 サーバ制御部
P1 燃料位置情報
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8