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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20250701BHJP
【FI】
G03G15/08 347
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021125641
(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023020335
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】源 陸
(72)【発明者】
【氏名】楠川 喬
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-116306(JP,A)
【文献】特開2009-020375(JP,A)
【文献】特開2014-191056(JP,A)
【文献】特開2013-242500(JP,A)
【文献】特開2000-162861(JP,A)
【文献】特開平07-306575(JP,A)
【文献】米国特許第06438328(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第00989472(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第103425020(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転することでトナーの供給口を開閉するシャッターを備えるトナーコンテナと、
前記トナーコンテナが所定の方向に沿って着脱される収容部と、
前記収容部を閉止する閉位置と開放する開位置との間を移動可能なカバーと、
前記収容部に前記トナーコンテナが装着された状態で、前記カバーを前記開位置に移動する開動作に伴って前記シャッターを一方向に回転させて前記供給口を閉止し、前記カバーを前記閉位置に移動する閉動作に伴って前記シャッターを他方向に回転させて前記供給口を開放する開閉機構と、を備え、
前記トナーコンテナは、
前記カバーが正規の開位置に移動されていない場合に、前記開閉機構と干渉して前記収容部への装着を阻害する干渉部と、
回転することで前記供給口を通してトナーを供給する供給スクリューと、
前記供給スクリューに設けられたコンテナ側カップリングと、を備え、
前記開閉機構は、
前記カバーの開閉動作に伴って移動するラックギアと、
前記ラックギアと噛み合って回転すると共に前記トナーコンテナが前記収容部に装着された際に前記シャッターと係合する開閉ギアと、を備え、
前記カバーの開動作時に前記ラックギアが一方向に移動して前記開閉ギアを介して前記シャッターを一方向に回転させて前記供給口を閉止し、前記カバーの閉動作時には前記ラックギアが前記一方向と反対の方向に移動して前記開閉ギアを介して前記シャッターを他方向に回転させて前記供給口を開放するように構成され、
前記干渉部は、前記シャッターに設けられて、前記開閉ギアと干渉する干渉突起であり、
前記収容部は、
前記供給スクリューを回転させる駆動源と接続され、前記コンテナ側カップリングと連結可能な連結位置と連結が解除される非連結位置とに移動可能な駆動側カップリングと、
前記駆動側カップリングと前記開閉ギアとを連結するリンク部材と、を備え、
前記カバーが前記開位置に移動されると、前記リンク部材を介して前記駆動側カップリングが前記非連結位置に移動し、前記カバーが前記閉位置に移動されると、前記リンク部材を介して前記駆動側カップリングが前記連結位置に移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シャッターは、係合突起を有し、
前記開閉ギアは、前記係合突起と係合可能な係合片と、前記開閉ギアの回転方向において前記係合片の両側に設けられた一対のガイド片と、を有し、
前記シャッターの前記干渉突起は、前記開閉ギアの前記一対のガイド片の一方と干渉することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能なトナーコンテナを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
着脱可能なトナーコンテナを備える画像形成装置において、特許文献1に記載されているように、トナー容器(トナーコンテナに相当)の装着部を開放する開位置と閉止する閉位置とに回動可能なカバー部材を備え、カバー部材の開閉動作に連動して、トナー容器のシャッター部材の開閉状態を切り替え可能な構成が知られている。
【0003】
この画像形成装置は、カバー部材の開閉動作に伴って移動するラックギアと、ラックギアと噛み合って回転すると共にトナー容器が装着部に装着された際にシャッター部材と係合するギアと、を備える。カバー部材の開動作時には、ラックギアが一方向に移動してギアを介してシャッター部材を閉状態に切り替える。一方で、カバー部材の閉動作時には、ラックギアが一方向と反対の方向に移動してギアを介してシャッター部材を開状態に切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-017749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されている画像形成装置では、カバー部材を正規の開位置に回動した状態でトナー容器を装着部に装着すると、シャッター部材がギアと係合するようになっている。しかしながら、カバー部材が半開きなど、正規の開位置に回動していない状態でも、トナー容器が装着部に装着される場合があり得る。すると、シャッター部材がギアと係合せず、カバー部材を閉位置に回動しても、シャッター部材を開状態に切り替えることができなくなり、トナー容器からのトナーの供給が不可能となる。また、カバー部材が正規の開位置に回動していない状態と、正規の開位置に回動した状態とで、装着部に装着されたトナー容器の位置が変わらないので、トナー容器が正常に装着されたかどうかを目視にて確認することが不可能である。
【0006】
本発明は上記事情を考慮し、トナーコンテナの誤装着を確実に把握可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、回転することでトナーの供給口を開閉するシャッターを備えるトナーコンテナと、前記トナーコンテナが所定の方向に沿って着脱される収容部と、前記収容部を閉止する閉位置と開放する開位置との間を移動可能なカバーと、前記収容部に前記トナーコンテナが装着された状態で、前記カバーを前記開位置に移動する開動作に伴って前記シャッターを一方向に回転させて前記供給口を閉止し、前記カバーを前記閉位置に移動する閉動作に伴って前記シャッターを他方向に回転させて前記供給口を開放する開閉機構と、を備え、前記トナーコンテナは、前記カバーが正規の開位置に移動されていない場合に、前記開閉機構と干渉して前記収容部への装着を阻害する干渉部を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記開閉機構は、前記カバーの開閉動作に伴って移動するラックギアと、前記ラックギアと噛み合って回転すると共に前記トナーコンテナが前記収容部に装着された際に前記シャッターと係合する開閉ギアと、を備え、前記カバーの開動作時に前記ラックギアが一方向に移動して前記開閉ギアを介して前記シャッターを一方向に回転させて前記供給口を閉止し、前記カバーの閉動作時には前記ラックギアが前記一方向と反対の方向に移動して前記開閉ギアを介して前記シャッターを他方向に回転させて前記供給口を開放するように構成され、前記干渉部は、前記シャッターに設けられて、前記開閉ギアと干渉する干渉突起であることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明において、前記シャッターは、係合突起を有し、前記開閉ギアは、前記係合突起と係合可能な係合片と、前記開閉ギアの回転方向において前記係合片の両側に設けられた一対のガイド片と、を有し、前記シャッターの前記干渉突起は、前記開閉ギアの前記一対のガイド片の一方と干渉することを特徴としてもよい。
【0010】
本発明において、前記トナーコンテナは、回転することで前記供給口を通してトナーを供給する供給スクリューと、前記供給スクリューに設けられたコンテナ側カップリングと、を備え、前記収容部は、前記供給スクリューを回転させる駆動源と接続され、前記コンテナ側カップリングと連結可能な連結位置と連結が解除される非連結位置とに移動可能な駆動側カップリングと、前記駆動側カップリングと前記開閉ギアとを連結するリンク部材と、を備え、前記カバーが前記開位置に移動されると、前記リンク部材を介して前記駆動側カップリングが前記非連結位置に移動し、前記カバーが前記閉位置に移動されると、前記リンク部材を介して前記駆動側カップリングが前記連結位置に移動することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カバーが正規の開位置に回動していない場合、トナーコンテナを収容部へ装着することが不可能となるので、トナーコンテナの誤装着をユーザーが簡易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のトナーコンテナを後方から見た図である。
図3】本発明の一実施形態の画像形成装置のコンテナ収容部(排出トレイが閉位置に回動した状態)を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態の画像形成装置のコンテナ収容部(排出トレイが開位置に回動した状態)を示す正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、開閉ギアを示す正面図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、開閉ギアと本体側カップリングとを連結するリンク部材(排出トレイが開位置に回動した状態)を示す図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、開閉ギアと本体側カップリングとを連結するリンク部材(排出トレイが閉位置に回動した状態)を示す図である。
図7】本発明の一実施形態の画像形成装置において、コンテナ収容部へ装着途中のトナーコンテナを示す図である。
図8A】本発明の一実施形態の画像形成装置において、トナーコンテナの係合突起と開閉ギアの係合突起とが係合した状態を示す図である。
図8B】本発明の一実施形態の画像形成装置において、トナーコンテナのシャッターが開放位置に回動した状態を示す図である。
図9A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、排出トレイが完全に開位置に回動していない場合のトナーコンテナと開閉ギアとを示す図である。
図9B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、排出トレイが完全に開位置に回動していない場合のトナーコンテナと開閉ギアとを示す図である。
図10】シャッターに干渉突起を設けない場合に、排出トレイが完全に開位置に回動していない際のトナーコンテナと開閉ギアとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0014】
図1を参照して、画像形成装置1について説明する。図1は、画像形成装置1の内部構成を模式的に示す正面図である。各図のL、Rは、それぞれ画像形成装置1の左側、右側を示す。
【0015】
画像形成装置1は、略直方体状の中空部を有する筐体3を備える。筐体3の中空部には、シート給紙部5と、電子写真方式の画像形成部7と、定着装置9と、排出装置11と、が備えられている。さらに、筐体3の中空部には、シート給紙部5から、画像形成部7と定着装置9とを経由して排出装置11に向かうシートの主搬送路13が設けられている。
【0016】
また、筐体3の天板には、シートの排出口15と、排出トレイ17とが設けられている。排出トレイ17は、排出口15の下方に設けられた回転軸19を中心として回動可能に支持されている。排出トレイ17を上方に回転させることで、筐体3の中空部が開放される。
【0017】
シート給紙部5は、中空部の下部に配置されて、シートが収容される給紙カセット21と、給紙カセット21から主搬送路13にシートを給送する給紙装置23と、を備えている。
【0018】
画像形成部7は、シート給紙部5の上方に配置されて、無端状の中間転写ベルト27と、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーに対応する4個の像担持体ユニット29及び4個の現像ユニット31と、4個の像担持体ユニット29に対応する4個の一次転写ローラー33と、二次転写ローラー35と、露光装置37と、を備えている。
【0019】
中間転写ベルト27は、左右方向に離れて配置された駆動ローラーと従動ローラーとに巻き掛けられている。駆動ローラーが回転することで、中間転写ベルト27は、図1の反時計回り方向に走行する。
【0020】
4個の像担持体ユニット29は、中間転写ベルト27の下側の軌道に対向して、該ベルト27の走行方向に沿って並んで配置されている。4個の現像ユニット31は、中間転写ベルト27の走行方向において4個の像担持体ユニット29の上流側に隣接して配置されている。4個の一次転写ローラー33は、中間転写ベルト27の中空部に配置されて、中間転写ベルト27を挟んで4個の像担持体ユニット29に対向している。二次転写ローラー35は、中間転写ベルト27の走行方向において4個の像担持体ユニット29及び4個の現像ユニット31の下流側で、中間転写ベルト27に対向して配置されている。二次転写ローラー35と中間転写ベルト27との間には、転写ニップ39が形成されている。
【0021】
露光装置37は、4個の像担持体ユニット29及び4個の現像ユニット31の下方に配置されて、4個の像担持体ユニット29に対して画像データに対応する露光を行う。
【0022】
また、4個の現像ユニット31は、それぞれ対応する色のトナーが収容されたトナーコンテナ41に接続している。4個のトナーコンテナ41は、筐体3に設けられたコンテナ収容部43に収容されている。コンテナ収容部43は、中間転写ベルト27の上方、かつ、排出トレイ17の下方に設けられている。排出トレイ17を上方に回動することで、コンテナ収容部43が開放される。トナーコンテナ41は、上下方向に沿った着脱方向に沿って取り外し可能にコンテナ収容部43に装着される。このように、排出トレイ17は、コンテナ収容部43を開閉するカバーの一例である。トナーコンテナ41がコンテナ収容部43に装着されると、トナーコンテナ41が対応する現像ユニット31に連通可能となる。トナーコンテナ41とコンテナ収容部43とについては後述する。
【0023】
定着装置9は、転写ニップ39の上方に配置されて、加圧ローラーと加熱ローラーとを有し、両ローラー間に定着ニップ47を形成している。排出装置11は、定着装置9の上方で、排出口15の内側に配置されている。
【0024】
主搬送路13は、シート給紙部5の給紙装置23から、転写ニップ39と定着ニップ47とを通って排出装置11へ向けて形成されている。主搬送路13には、給紙装置23と転写ニップ39との間にレジストローラー対49が配置されている。
【0025】
次に画像形成動作について簡単に説明する。画像形成部7において、像担持体ユニット29は、露光装置37による露光によって、画像データに対応する静電潜像を形成する。現像ユニット31は、像担持体ユニット29に形成された静電潜像をトナー像に現像する。各像担持体ユニット29のトナー像は、対応する一次転写ローラー33によって中間転写ベルト27に転写される。
【0026】
一方で、シート給紙部5においては、給紙カセット21から給紙装置23によって主搬送路13にシートが搬送される。シートは、レジストローラー対49によって適宜なタイミングで転写ニップ39に搬送される。転写ニップ39において、中間転写ベルト27に形成されたトナー像がシートに転写される。シートは主搬送路13に沿って定着装置9に搬送され、定着ニップ47においてトナー像がシートに定着される。シートはさらに排出装置11に搬送され、排出装置11によって排出口15を通って排出トレイ17に排出される。
【0027】
次に、図2を参照してトナーコンテナ41について説明する。図2はトナーコンテナ41を後方からみた図である。
【0028】
トナーコンテナ41は、前後方向に長い中空部を有する略直方体状のハウジング51と、ハウジング51に収容された供給スクリュー53及び撹拌パドル55と、を備えている。ハウジング51の後側板には、着脱方向(上下方向)と交差する方向(左右方向)に沿って内側へ凹んだ凹部51aが形成されている。
【0029】
ハウジング51には、後側板の下部から後方に突出する円筒状のダクト51bが形成されている。ダクト51bの下面には、現像ユニット31にトナーを供給するための供給口(図示省略)が形成されている。ダクト51bの周囲には、円筒状のシャッター57が回転可能に支持されている。シャッター57には、周方向に沿って連通口(図示省略)が形成されている。シャッター57を回転させて連通口をダクト51bの供給口と一致させることで、供給口と連通口とを通って現像ユニット31にトナーが供給可能となる。
【0030】
シャッター57の外周面には、係合突起61と、干渉突起63とが、周方向に離間して形成されている。一例として、係合突起61と干渉突起63とは、シャッター57の中心に対して約70度の中心角度で離間している。係合突起61は、後方から見て、シャッター57の周方向に長い四角筒状を有している。係合突起61には、シャッター57の軸方向に沿ったスリット61aが形成されている。干渉突起63は、後方から見て、シャッター57の周方向に長い略台形の筒形状であり、シャッター57の径方向に沿った2つの脚部63aと、2つの脚部63aを接続する外周部63bと、を有している。係合突起61に近い側の脚部63aの長さは、他方の脚部63aの長さよりも長い。
【0031】
係合突起61は、周方向において連通口とは異なる位置に配置されている。一例として、係合突起61と連通口とは、シャッター57の中心に対して約90度の中心角度で離間している。したがって、図2に示されるように係合突起61が真下になるようにシャッター57を回転させると、シャッター57の連通口とダクト51bの供給口とは連通せず、トナーは供給されない。この際(図2の実線参照)のシャッター57の姿勢を閉止姿勢とする。
【0032】
シャッター57が閉止姿勢に回動すると、干渉突起63は、ダクト51bよりも外方向(後方向)に突出して、外周部63bが上下方向に沿うように延びる。一方で、閉止姿勢に回動したシャッター57を、図2の時計回り方向に約90度回転させると、シャッター57の連通口とダクト51bの供給口とが連通し、トナーが供給可能となる。この際(図2の二点鎖線参照)のシャッター57の姿勢を開放姿勢とする。シャッター57が開放姿勢に回動すると、干渉突起63は、ダクト51bよりも上方に突出する。このように、干渉突起63は、シャッター57が閉止姿勢から開放姿勢へ向かう回転方向において、係合突起61の下流側に配置されている。
【0033】
供給スクリュー53の前端はハウジング51の前側板に回転可能に支持され、後端はダクト51bの後板から後方に突出している。ダクト51bの後板から突出した供給スクリュー53の後端には、第1ギア71が固定されている。
【0034】
撹拌パドル55は、供給スクリュー53の上方に配置されて、前端がハウジング51の前側板に回転可能に支持され、後端はハウジング51の後側板から後方に突出している。ハウジング51の後板から突出した撹拌パドル55の後端には、第2ギア73が固定されている。第2ギア73の後側の面には、コンテナ側カップリング75が、供給スクリュー53と同軸上に固定されている。コンテナ側カップリング75は、撹拌パドル55の回転方向に沿って、所定の間隔を開けて配置された3個のカップリング片を有している。
【0035】
第1ギア71と第2ギア73とは、アイドルギア77を介して接続されている。第2ギア73が回転すると、撹拌パドル55が回転してハウジング51内のトナーが撹拌される。また、第2ギア73が回転すると、アイドルギア77を介して第1ギア71が回転して供給スクリュー53が回転する。これにより、ハウジング51内のトナーが供給口に向けて搬送される。
【0036】
次に、図3及び図4を参照してコンテナ収容部43について説明する。図3及び図4は後側のコンテナ収容部43を示す正面図である。
【0037】
コンテナ収容部43は、前述のように、中間転写ベルト27(図1参照)の上方において、筐体3の前側板と後側板とに設けられている。前側板と後側板とには、上下方向に沿って設けられた5個のガイド突部81と、ガイド突部81の下方に、左右方向に沿って設けられた段部83と、が形成されている。5個のガイド突部81は、左右方向に所定の幅を開けて形成されている。前側の段部83は、前側板を後方に向けて凹ませて筐体3の中空部に突出するようにして形成され、後側の段部83は、後側板を前方に向けて凹ませて筐体3の中空部に突出するようにして形成されている。隣接する2個のガイド突部81の下方の段部83は、トナーコンテナ41のハウジング51の底部の形状に対応するように形成されている。
【0038】
隣接する2個のガイド突部81と、2個のガイド突部81の下方の段部83とによって、4個のトナーコンテナ41が収容される4個の個別収容部が、左右方向に並んで形成される。各個別収容部の一方のガイド突部81には、トナーコンテナ41を位置決めするためのロック部材85が、着脱方向(上下方向)と交差する左右方向に沿って移動可能に支持されている。各ロック部材85は、個別収容部へ突出する方向へバネによって付勢されている。
【0039】
トナーコンテナ41は、左右方向に隣接するガイド突部81によって着脱方向に案内されて、ハウジング51の前後の端部が前後の段部83に載置されることで、個別収容部に装着される。トナーコンテナ41が個別収容部に装着されると、ガイド突部81のロック部材85がトナーコンテナ41の凹部51a(図2参照)に係合して、トナーコンテナ41が対応する個別収容部に位置決めされる。
【0040】
また、各個別収容部において、後側板には、段部83の上方に支軸87が突設され、支軸87の上方に円形の開口89が形成されている。支軸87には、開閉ギア91が支持されている。開口89には、駆動側カップリング115が支持されている。
【0041】
まず、開閉ギア91について、図5を参照して説明する。図5は開閉ギア91を前方から見た図である。開閉ギア91は、前方から見て略扇形状の部材であり、平板部93と、平板部93に設けられたギア部95及び係合突部97と、を有している。
【0042】
平板部93は前方から見て略扇形形状を有している。略扇形の中心付近には、支軸87が挿通される軸孔101が形成されている。さらに、平板部93には、周方向の一方の端部の側に、略矩形状の開口103が形成されている。平板部93の外周には、軸孔101を中心とする周方向に沿った外周壁93aが形成されている。
【0043】
ギア部95は、平板部93の外周壁93aの外周面に沿って形成されている。一例として、ギア部95は、軸孔101を中心として中心角度が約90度の範囲に形成されている。係合突部97は、平板部93の外周壁93aの内周面に形成されている。係合突部97は、周方向において開口103と反対側に形成されている。係合突起97は、係合片111と、周方向において係合片111の両側に配置された一対のガイド片113と、を有している。係合片111は、軸孔101の径方向に沿って直線状に形成されている。ガイド片113のそれぞれは、前方から見て、周方向に長い略台形の筒形状であり、径方向に沿った長さ(高さ)は、係合片111よりも長い。各ガイド片113は、2つの脚部113aと、2つの脚部113aを接続する外周部113bと、を有している。各ガイド片113の、係合片111に近い側の脚部113aは、係合片111と平行に形成され、係合片111から遠い側の脚部113aは、径方向に沿って形成されている。
【0044】
図3及び図4に示されるように、開閉ギア91は、後側板に突設された支軸87に回転可能に支持されて、排出トレイ17の開閉動作に応じて回転する。
【0045】
排出トレイ17の回転軸19には、駆動ギア121が設けられている。駆動ギア121は、扇形のギアであり、回転軸19と共に回転軸19を中心として回転する。すなわち、排出トレイ17の開閉動作に伴って回転する。
【0046】
また、後側板の段部83の下方には、ラックギア123が水平方向に沿って移動可能に支持されている。ラックギア123の一端部は、駆動ギア121に噛み合っている。また、ラックギア123は、段部83の底面に形成されたスリット(図示省略)を通って、各個別収容部に支持された開閉ギア91のギア部95(図5参照)と噛み合っている。これにより、排出トレイ17の開閉動作に伴って駆動ギア121が回転すると、ラックギア123が水平方向に沿って移動して、開閉ギア91が回転する。
【0047】
詳細には、図3に示されるように、排出トレイ17が開位置に回動した状態では、ラックギア123は最も左位置まで移動して、開閉ギア91は、係合突起97の係合片111が真下になるように回転している。この際の開閉ギア91の姿勢を初期姿勢とする。排出トレイ17を開位置から閉位置に回動させると、駆動ギア121が図3の反時計回り方向に回転し、ラックギア123が右方向に移動する。これにより、開閉ギア91が図3の反時計回り方向に回転する。図4に示されるように、排出トレイ17が開位置まで回動すると、開閉ギア91は初期姿勢から、支軸87を中心として約90度回転する。この際の開閉ギア91の姿勢を回動姿勢とする。このように、排出トレイ17が開位置から閉位置へ回動する閉動作によって、開閉ギア91が初期姿勢から回動姿勢に回転し、排出トレイ17が閉位置から開位置へ回動する開動作によって、開閉ギア91が回動姿勢から初期姿勢に回転する。
【0048】
次に、駆動側カップリング115について、図6A及び図6Bも参照して説明する。図6A及び図6Bは駆動側カップリング115と開閉ギア91とを前方から見た図である。駆動側カップリング115は、円筒状の部材であり、一方の端面には、周方向に沿った3個のカップリング片が形成されている。3個のカップリング片は、周方向に沿って所定の間隔を開けて配置されている。また、駆動側カップリング115は、筐体3内に配置された駆動源(図示省略)と接続して、所定の方向に回転可能である。駆動側カップリング115は、カップリング片が形成された端面を前方に向けた姿勢で、後側板の開口89を通して筐体3の内部(コンテナ収容部43)に突出する連結位置と、筐体3の内部から退避する非連結位置とに前後方向に沿って移動可能に支持されている。
【0049】
駆動側カップリング115は、連結位置に向けて付勢されていると共に円筒状のカム部材(図示省略)に回転可能に収容されている。カム部材の内周面にはカムが形成され、外周面には周方向に沿ったギアが形成されている。カム部材は、後側板の開口89に固定されたブッシュ(図示省略)に回転可能に支持されている。ブッシュには、カム部材のカムが係合するカムフォロアが形成されている。カム部材が回転すると、カム部材のカムがブッシュのカムフォロアによって案内されて、カム部材が前後方向に移動する。これにより、駆動側カップリング115がカム部材と共に連結位置と非連結位置とに移動する。
【0050】
コンテナ収容部43の各個別収容部にトナーコンテナ41が収容された状態で、駆動側カップリング115が連結位置に移動すると、トナーコンテナ41のコンテナ側カップリング75(図2参照)と係合する。このように駆動側カップリング115とコンテナ側カップリング75が係合することで、駆動側カップリング115の回転が第2ギア73に伝達され、撹拌パドル55及び供給スクリュー53を回転させることが可能となる。一方で、駆動側カップリング115が非連結位置に移動すると、コンテナ側カップリング75との係合が解除される。
【0051】
カム部材と開閉ギア91とは、図6A及び図6Bに示されるように、リンク部材131によって連結されている。リンク部材131の一端は、開閉ギア91の平板部93に形成された開口103に回転可能に連結されている。リンク部材131の他端には、カム部材のギアと噛み合うラックギア131aが形成されている。
【0052】
前述のように排出トレイ17の開閉動作に伴ってラックギア123が移動して開閉ギア91が回転すると、リンク部材131を介してカム部材が回転する。図6Aに示されるように排出トレイ17が開位置に回動して、開閉ギア91が初期姿勢に回動している状態では、カム部材はリンク部材131によってブッシュに沿って最も後方に移動して、駆動側カップリング115は非連結位置に移動している。図6Bに示されるように、排出トレイ17が閉位置に回動して開閉ギア91が回動姿勢に回転すると、カム部材がリンク部材131によってブッシュに沿って最も前方に移動し、駆動側カップリング115が連結位置に移動する。
【0053】
上記構成を有する画像形成装置1におけるトナーコンテナ41の装着動作について、図3及び図4と、図7図8A及び図8B参照して説明する。図7図8A及び図8Bは、トナーコンテナ41を後方から見た図である。トナーコンテナ41のシャッター57は閉止姿勢に回動している。
【0054】
トナーコンテナ41を装着する際、図3に示されるように、排出トレイ17を開位置に回動してコンテナ収容部43を開放する。ラックギア123は最も左位置まで移動して、開閉ギア91は初期姿勢に回動している。すなわち、図7に示されるように、開閉ギア91は係合突起97の係合片111が真下になるように回動している。係合片111の両側にそれぞれガイド片113が位置している。係合片111と両ガイド片113との間には、上下方向に沿った空間が形成されている。また、駆動側カップリング115は非連結位置へ移動している。
【0055】
トナーコンテナ41は、図7に示されるように、対応する個別収容部の隣接するガイド突部81に沿って下方に向けて差し込まれる。この際、ガイド突部81に支持されたロック部材85は、トナーコンテナ41のハウジング51によってバネの付勢力に抗してガイド突部81に押し込まれている。
【0056】
トナーコンテナ41を下方に差し込んでいくと、図8Aに示されるように、やがて、シャッター57の係合突起61が、開閉ギア91の係合突起97に係合していく。詳細には、シャッター57の係合突起61のスリット61aに、開閉ギア91の係合片111が入り込んでいく。この際、シャッター57の係合突起61は、開閉ギア91の両ガイド片113に沿って下方に案内され、やがて、両ガイド片113間に嵌まり込む。あるいは、シャッター57の係合突起61と干渉突起63との間に、開閉ギア91の一方のガイド片113がはまり込む。これにより、シャッター57と開閉ギア91とが係合し、トナーコンテナ41のハウジング51の前端部と後端部とが、前後の側板の段部83に載置される。さらに、ロック部材85がバネで付勢されて凹部51aに係合する。この結果、トナーコンテ41が個別収容部に装着される。また、係合片111がスリット61aに入り込む際に、開閉ギア91の係合片111がやや弾性変形するとともに、両者の摩擦によってユーザーに負荷が加わる。そして、係合片111がスリット61aに完全に入り込むと、開閉ギア91の係合片111が弾性復帰して、ユーザーにクリック感を与える。
【0057】
トナーコンテナ41が装着された後、排出トレイ17を閉位置に回動させる。すると、ラックギア123が移動して開閉ギア91が回転する。これにより、開閉ギア91に係合しているシャッター57がダクト51bに沿って回転する。排出トレイ17が閉位置まで完全に回動すると、図8Bに示されるように、開閉ギア91は回動姿勢に回転する。そして、シャッター57が開閉ギア91と共に開放姿勢に回動する。これにより、シャッター57の連通口がダクト51bの供給口に連通して、供給口を通ってトナーの供給が可能となる。このように、開閉ギア91とラックギア123とは、排出トレイ17の開動作に伴ってシャッター57を一方向に回転させて供給口を閉止し、排出トレイ17の閉動作に伴ってシャッター57を他方向に回転させて供給口を開放する開閉機構を構成する。
【0058】
さらに、開閉ギア91の回転に伴い、リンク部材131を介してカム部材が前方に移動し、駆動側カップリング115を非連結位置から連結位置へ移動させる。これにより駆動側カップリング115がコンテナ側カップリング75に係合して、駆動源の回転力を撹拌パドル55及び供給スクリュー53へ伝達することが可能となる。
【0059】
このように排出トレイ17が完全に開位置に回動することで、トナーコンテナ41が対応する個別収容部に収容され、さらに、トナーコンテナ41からのトナーの供給が可能となる。一方で、排出トレイ17が正規の開位置に回動していない場合は、開閉ギア91が初期姿勢に回動していないことになる。
【0060】
例えば、図9A及び図9Bに示されるように、開閉ギア91が初期姿勢に回動していない、すなわち、係合片111が最下位置に回動していない場合、トナーコンテナ41を個別収容部へ差し込んでいくと、やがて、シャッター57の干渉突起63が開閉ギア91のガイド片113に当接し、トナーコンテナ41の下方への移動が不可能となる。つまり、トナーコンテナ41はコンテナ収容部43に完全に装着されず、コンテナ収容部43からある程度浮き上がる。このように、シャッター57の干渉突起63は、排出トレイ17が正規の開位置に配置されていない場合にコンテナ収容部43へのトナーコンテナ41の装着を阻害する干渉部の一例である。
【0061】
トナーコンテナ41がコンテナ収容部43から浮き上がっていることは、ユーザーが目視にて容易に把握できる。さらに、排出トレイ17の閉動作時に、排出トレイ17が浮き上がったトナーコンテナ41に干渉する。これにより、ユーザーに、トナーコンテナ41が正しく装着されていないことを気付かせることができる。その後、ユーザーは、例えば、トナーコンテナ41を一旦取り外した後で、排出トレイ17を開位置に正しく回動させ、トナーコンテナ41を装着し直す。
【0062】
なお、シャッター57に干渉突起63が設けられていないと、図10に示されるように、排出トレイ17が正規の開位置に回動していない場合でも、トナーコンテナ41をコンテナ収容部43へ装着することが可能となってしまうことがある。この場合、シャッター57の係合突起61が開閉ギア91の係合突起97に係合しないので、排出トレイ17を閉位置に回動しても、シャッター57が回転せず、トナーコンテナ41の供給口が開放されない。このような状態のまま画像形成動作が実行されると、トナーコンテナ41から現像ユニット31へトナーが供給されず、画像濃度不足などの不具合が発生する。
【0063】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、排出トレイ17が正規の開位置に回動していない場合、トナーコンテナ41が開閉ギア91と干渉して、トナーコンテナ41をコンテナ収容部43へ装着することが不可能となる。言い換えると、排出トレイ17が半開きの状態で、トナーコンテナ41がコンテナ収容部43に装着されることを防止できる。トナーコンテナ41が開閉ギア91と干渉した状態では、トナーコンテナ41はコンテナ収容部43(筐体3)から浮き上がっているので、目視にて容易に把握できる。さらに、トナーコンテナ41がコンテナ収容部43から浮き上がると、排出トレイ17を閉位置に回動させることができなくなる。したがって、トナーコンテナ41がコンテナ収容部43に正しく装着されていないこと(誤装着)をユーザーが確実に把握することができる。
【0064】
また、シャッター57に干渉突起63を設けることで、開閉ギア91に本来から備えられているガイド片113を利用して、排出トレイ17が半開きの状態でのトナーコンテナ41の装着を防止できる。
【0065】
さらに、開閉ギア91の回転に伴って駆動側カップリング115とコンテナ側カップリング75とを連結又は非連結とすることができるので、トナーコンテナ41の撹拌パドル55や供給スクリュー53への回転力の伝達機構の構成を簡易化できる。
【0066】
上記実施形態では、干渉突起63がトナーコンテナ41のシャッター57に設けられている例を示したが、干渉突起63は、トナーコンテナ41のハウジング51に設けられてもよい。ただし、本発明では、トナーコンテナ41をコンテナ収容部43に装着するとシャッター57と開閉ギア91とが係合する構成であるので、干渉突起63をシャッター57に設けることで、排出トレイ17が正規の開位置に回動していない場合に、干渉突起63を開閉ギア91に確実に当接させることができる。
【0067】
また、上記実施形態では、カバーとしての排出トレイ17が開位置と閉位置とに回動する構成について説明したが、カバーが開位置と閉位置とに上下方向に移動してもよい。この場合、カバーに、上下方向に沿ったラックギアを設け、このラックギアを、ピニオンギアを介して開閉機構のラックギア123と噛み合わせるようにしてもよい。カバーを上下方向に移動させることで、ラックギアが上下方向に移動し、ピニオンギアを介してランクギア123を水平方向に移動させることができる。
【0068】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 画像形成装置
17 排出トレイ(カバー)
41 トナーコンテナ
43 コンテナ収容部
53 供給スクリュー
57 シャッター
61 係合突起
63 干渉突起(干渉部)
75 コンテナ側カップリング
91 開閉ギア(開閉機構)
111 係合片
113 ガイド片
115 駆動側カップリング
123 ラックギア(開閉機構)
131 リンク部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10