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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】金属製指紋認証カード
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20250701BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20250701BHJP
   G06V 40/12 20220101ALI20250701BHJP
   A61B 5/1172 20160101ALI20250701BHJP
【FI】
G06T1/00 400G
G06K19/07 180
G06V40/12
A61B5/1172
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021146126
(22)【出願日】2021-09-08
(65)【公開番号】P2023039123
(43)【公開日】2023-03-20
【審査請求日】2024-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】片野 ゆきこ
【審査官】佐田 宏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-104037(JP,A)
【文献】特表2005-525894(JP,A)
【文献】特開2013-055637(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168173(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/066085(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G06T 1/00,7/00-7/90
G06V 40/12
A61B 5/1172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状基板と、前記フィルム状基板の上に積層した磁性シートを、表裏のカード基材で挟み込みラミネートすることで一体化した金属製指紋認証カードであって、
前記表裏のカード基材のうち少なくとも表面のカード基材の一部は、金属板を含み、
前記フィルム状基板には、外部装置と通信する外部接続端子と、ユーザの指紋データを取得する能動的静電容量式指紋センサと、各部品を接続する配線パターンと、非接触式通信を行うためのループアンテナ回路と、前記ユーザの指紋データが登録されるメモリである指紋登録部と、前記指紋センサにより読み取られたユーザの指紋と前記指紋登録部に登録されている指紋データとを比較照合する指紋照合処理部とが設けられたICモジュールと、グラウンドパターンが実装され、
前記フィルム状基板には、前記グラウンドパターンを囲むようにコの字型のスリットが設けられ、前記磁性シートには、フィルム状基板のコの字領域と重なり、向きが対向するようなコの字型のスリットが設けられたことを特徴とする金属製指紋認証カード。
【請求項2】
前記フィルム状基板内部の回路構成がESD保護回路構成を備えることを特徴とする請求項1に記載の金属製指紋認証カード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクレジットカード、デビットカード、キャッシュカード、アクセスコントロール用カードなどに使用される、金属製指紋認証カードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、指紋認証スマートカードなどの指紋認証デバイスが普及し始めている。指紋認証スマートカードの例としては、クレジットカード、アクセスカードなどが挙げられる。指紋認証の方式は大きく分けて、「静電容量式」「光学式」「超音波式」の3種類がある。現在、指紋認証方式の主流となっているのは、「静電容量式」という方法である。
【0003】
受動的な静電容量式指紋センサは、センサアレイの近傍に配置された導電構造に接触した指の表面とセンサアレイに配置された感知構造との間の距離に応じて変化する静電容量を測定して、指紋パターンを検出する。指の表面と感知構造の静電容量を受動的に読み出す場合、比較的大きな静電容量を必要とするために保護層を非常に薄くする必要があり、そのためスクラッチングやESD(静電放電)に対してかなり感度が高くなる。
【0004】
能動的な静電容量式指紋センサとして、導電構造を介して指に励起信号を供給し、センサアレイの感知構造が帯びる電荷変動を測定するものがある(特許文献1参照)。センサアレイに触れる指の表面とセンサアレイの感知構造との電位差は、乾燥した指では低くなるため、指紋パターンの取得感度が低くなる。
【0005】
また、他の能動的静電容量式指紋センサとして、感知電極から指に励起信号を供給する場合は、導電駆動構造を使用せず、センサの電源電圧の低電位(センサグラウンド)と高電位を装置基準電位(装置グラウンド)に関して変動させ、センサアレイの基準電位(センサグラウンド)を指の電位に関して揺動させる。センサグラウンドを揺動させると、センサアレイの感知構造の電位は装置基準電位に関して上下に揺動され、またセンサアレイに触れる指の電位に関しても上下に揺動される。指と感知構造との間の電圧の変化に起因する、感知構造が帯びる電荷の変動を測定することによって、指の表面と感知構造との距離を推定できる。このように、指に励起信号を供給する導電構造なしに指紋を感知することができる(特許文献2参照)。
【0006】
この指紋感知は指の変動電位に依存するため、電位の異なる指でも同じであり乾燥した指の指紋パターンの質を向上することができる。また、指は装置の導電部分によってグラウンドさせることができる。指励振信号の振幅はセンサアレイへの電源電圧に制限されないため、感知構造を覆うより厚い保護膜の使用が可能になり、より強固な指紋センサとなる。
【0007】
また、能動的容量式指紋感知システムおよび導電筐体を備えた電子機器の場合は、導電筐体の電位を少なくとも断続的に電子機器の基準電位、例えば電気グラウンドに保つように配置させることによって、導電筐体は、電子機器の任意の追加の電気的機能を満たせると同時に、コモンモードノイズおよび指の異なる電気特性(湿っている/乾いている)において指紋パターンの取得を助ける。そして、筐体接続回路構成がESD保護回路構成を備えることによって、静電気放電が指紋感知回路構成や金属カードの他の部分を損傷することを防ぐこともできる。
【0008】
また、導電筐体の電位が指紋パターン取得時の指励振信号に追従できるようにされた信号追従状態と、導電筐体の電位が電子機器の基準電位に保たれる基準電位状態との間で切
り替えるよう制御可能にする能動回路構成を備えることができる。導電筐体の電位が指励振信号に追従することで能動的静電容量式指紋感知システムとして機能性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第7864992号公報
【文献】特表2017-525004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した、受動的静電容量式指紋センサを金属カードに搭載する場合、
指の表面と感知構造の静電容量を受動的に読み出すため、乾燥した指で感度が低くなってしまう。また、指紋センサの保護層が非常に薄いためスクラッチングやESDに対してかなり感度が高くなってしまう問題がある。また、カードの表側に金属板を使用した金属カードに受動的な静電容量式指紋センサを搭載する場合、指紋センサの周囲には金属カードの一部である金属板とは別に、指紋感知システムが使用される時にユーザの指に導電接触するための導電性の指接触構造を備える必要がある。導電性の指接触構造は、金属板から絶縁する必要があり、カードのデザインに影響するという問題がある。
【0011】
また、能動的静電容量式指紋センサを金属カードに搭載する場合は、
導電筐体としての役割をなす金属板に内部回路のグラウンドを接続させることで、コモンモードノイズおよび指の異なる電気特性(湿っている/乾いている)において指紋パターンの取得に有利となる。さらに、筐体接続回路構成がESD保護回路構成を備えることによって、静電気放電が指紋感知回路構成や金属カードの他の部分を損傷することを防ぐこともできる。また、導電性の指接触構造を別途設ける必要がないため、より自由なカードデザインを実現することができる。
【0012】
ところで、非接触式通信可能な金属カードにおいて、アンテナから十分な電力を得るためには、金属板とアンテナ回路との間に、金属面で発生する渦電流を抑止し、アンテナからの磁束をよく集束できる磁性シート、例えばフェライトシートを入れることが好ましい。金属製指紋認証カードでは指紋センサを動作させ、ユーザの指紋を読み取り、取得し、登録されている指紋データと照合して認証するためには、通常の金属カードよりも大きな電力が必要となり、そのためには磁性シートを入れることが好ましい。しかし、アンテナ回路が配置されたフィルム状基板と金属板の間に、磁性シートを設けると、同一のフィルム状基板に配置されたグラウンドと金属板を電気的に接続するためには、磁性シートを何らかの方法で貫通させた導体を介して、フィルム状基板上のグラウンドと金属板を密着させ導通させる必要があった。
【0013】
本発明は、以上のような問題点を鑑み、導電筐体としての役割をなす金属板にフィルム状基板上に形成されたグラウンドパターンを密着させて導通させることで、コモンモードノイズおよび指の異なる電気特性(湿っている/乾いている)において指紋パターン取得に有利であり、さらにフィルム状基板内部の回路構成がESD保護回路構成を備えることによって、静電気放電が指紋感知回路構成や金属カードの他の部分を損傷することを防ぐことができる金属製指紋認証カードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に於いて上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、フィルム状基板と、前記フィルム状基板の上に積層した磁性シートを、表裏のカード基材で挟み込みラミネートすることで一体化した金属製指紋認証カードであって、
前記表裏のカード基材のうち少なくとも表面のカード基材の一部は、金属を含み、
前記フィルム状基板には、外部装置と通信する外部接続端子と、ユーザの指紋データを取得する能動的静電容量式指紋センサと、各部品を接続する配線パターンと、非接触式通信を行うためのループアンテナ回路と、前記ユーザの指紋データが登録されるメモリである指紋登録部と、前記指紋センサにより読み取られたユーザの指紋と前記指紋登録部に登録されている指紋データとを比較照合する指紋照合処理部とが設けられたICモジュールと、グラウンドパターンが実装され、
前記フィルム状基板には、前記グラウンドパターンを囲むようにコの字型のスリットが設けられ、前記磁性シートには、フィルム状基板のコの字領域と重なり、向きが対向するようなコの字型のスリットが設けられたことを特徴とする金属製指紋認証カードである。
【0015】
フィルム状基板の上に磁性シートを積層する際、フィルム状基板と磁性シートの各コの字型のスリット部分を互い違いに重ねて、フィルム状基板のスリットから、磁性シートのスリットの内側領域を差し込むことによって、グランドパターンの部分では磁性シートの上にフィルム状基板が重なり、フィルム状基板上に形成されたグラウンドパターンを最上部に位置させる構成となっている。そして、その上に積層される金属板とグラウンドパターンを密着させて導通させることが可能となる。
【0016】
また、本発明の第2の態様は、フィルム状基板内部の回路構成がESD保護回路構成を備えることを特徴とする請求項1に記載の金属製指紋認証カードである。
【0017】
集積回路(IC)はESDに敏感であり、ESDの高いピーク電圧と電流がICに破壊を引き起こす可能性がある。静電気に敏感なICをESDから保護するためには、ESD保護回路を作成し、電流をグランドに流すことによって静電気放電が指紋感知回路構成や金属カードの他の部分を損傷することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、導電筐体としての役割をなす金属板にフィルム状基板上に形成されたグラウンドパターンを密着させて導通させることで、コモンモードノイズおよび指の異なる電気特性(湿っている/乾いている)において指紋パターン取得に有利であり、さらにフィルム状基板内部の回路構成がESD保護回路構成を備えることによって、静電気放電が指紋感知回路構成や金属カードの他の部分を損傷することを防ぐことができる金属製指紋認証カードを提供することができる。フィルム状基板上に形成されたグラウンドパターンを使用するため、磁性シートを貫通させるような導体を別途設ける必要がなく、コストやカードの厚さ方向への厚さのむらを抑えつつ金属板と回路基板のグラウンドを導通させることができる。また、導電性の指接触構造を別途設ける必要がないため、より自由なカードデザインを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る金属製指紋認証カードの平面図である。
図2】本発明に係るフィルム状基板上に実装された構成部品を示す平面図である。
図3】本発明に係るフェライトシートの平面図である。
図4】フィルム状基板の上にフェライトシートを重ねた状態の平面図ある。
図5図4のX-X'での概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る金属指紋認証カードの実施形態を図面に基づいて説明する。ここで図面は模式的なものであり平面寸法との関係や各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって本発明の技術的思想は構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定されるも
のではない。
【0021】
<基本構成>
図1は、本発明の一実施形態の金属指紋認証カード1を示す平面図である。接触式通信のための外部接続端子3と、指紋を読み取り、指紋データを取得する能動的静電容量式指紋センサ4が、カードの表側の基材2に露出している。そして、内部には、指紋データを記憶し、ユーザの指に対して指紋センサで生成した指紋データと記憶された指紋データを照合して一致するか否かを判断し、照合結果に応じて外部装置と通信するICモジュールとを備えている。本実施形態では外部装置と通信する通信手段として、接触データ通信と非接触データ通信の両方を備えているが、非接触データ通信のみであってもよい。
【0022】
カード表面の基材2は、少なくとも一部の層が厚さ100~500μmのステンレスやチタンなどの金属素材で構成され、金属板には外部接続端子基板と指紋センサを露出するための開口がレーザーや切削加工により予め設けられている。カード表面2には金属板の開口を通して接触端子と指紋センサが露出している。金属板の外側には樹脂シートが設けられていてもよく、金属板の表面や樹脂シートには印刷が施されていてもよいが、ユーザが指紋センサに触れる際に金属板とユーザの指が必ず直接触れるように、指紋センサ周辺部分では印刷がない状態、もしくは一定の間隔で印刷のない領域を設ける必要がある。
【0023】
図2は、表裏のカード基材の内部に配置された、フィルム状基板10上に実装された構成部品を示す平面図である。図2に示すように、外部装置と通信する外部接続端子3と、ユーザの指紋データを読み取り、取得する静電容量式指紋センサ4と、ユーザの指紋データが登録されるメモリである指紋登録部と、指紋センサにより取得されたユーザの指紋と指紋登録部に登録されている指紋データとを比較照合する指紋照合処理部とが設けられたICモジュール5と、フィルム状基板10の表側の面に半田やACFなどの導電性接合材で実装され、各部品を接続する配線パターン7と非接触式通信を行うためのループアンテナ回路8と、グラウンドパターン6が設けられている。
【0024】
ICモジュール5は、カード1表面に露出せずカード1に内包されており、ICモジュール5を収容するために、金属板のICモジュール5の上に位置する領域には凹状のキャビティが形成されている。
【0025】
フィルム状基板10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)などのプラスック基材の表裏に、アルミニウムや銅などがエッチングによって回路パターン形状が形成されている。外部接続端子基板3は、ガラスエポキシやポリイミド等の基材の両面に銅パターンが形成され、銅パターンの上にはニッケルやパラジウム、金などのメッキ処理が施されたものが用いられる。
【0026】
フィルム状基板10の表側の面に回路グラウンドと接続し、配置されたグラウンドパターン6を囲むようにコの字型のスリット9を配置する。グランドパターン6は金属板との接触抵抗を少なく、また導通をより確実にするために大きさは1cm以上であることが好ましい。また、カード1の中心線から遠ざけて配置させることで、カード1が曲げられた際にグランドパターン6部分に加わる応力を最小限に留めることが好ましい。
【0027】
図3は、本実施形態の磁性シート20を示した図である。金属板とフィルム状基板10との間に磁性シート20を挿入することで、金属面での渦電流の発生を抑止し、アンテナからの磁束をよく集束することで指紋認証の一連の動作(指紋センサを動作させ、ユーザの指紋を読み取り、取得し、登録されている指紋データと照合して認証する)に必要な電力を非接触式通信から得ることができる。磁性シート20には、フィルム状基板10のコ
の字型のスリット9と重なり、向きが対向するようなコの字型のスリット16が配置され、外部接続端子基板3、指紋センサ4、ICモジュール5を入れるための開口部(それぞれ13、14、15)が設けられている。磁性シート20の厚さは、50μm~200μmである。
【0028】
図4は、本実施形態のフィルム状基板10に磁性シート20を積層した状態を示す平面図である。フィルム状基板10の上に磁性シート20を積層する際、コの字のスリット部分(それぞれ9、16)を互い違いに重ねて、フィルム状基板10のスリット9から、磁性シート20のスリット16の内側領域をフィルム状基板10の下に差し込むことによって、グランドパターン6の部分では磁性シート20の上にフィルム状基板10が重なる。このように、グラウンドパターン6で互い違いに重ねられるため、グランドパターン6部分と他の部分とで積層後の厚さを同程度にしながらグランドパターン6の部分では磁性シート20の上にフィルム状基板10が重なり、フィルム状基板10上に形成されたグラウンドパターン6を最上部に位置させ、その上に積層される金属板とグラウンドパターン6を密着させて導通させることができる。さらに、積層時に磁性シート20の両面に接着剤を塗布することで、ラミネート時の密着性を高めつつ、グラウンドパターン6の上に接着剤が付着し、金属板との導通を阻害することを防ぐことができる。
【0029】
図5は、フィルム状基板10の上に磁性シート20を積層した状態のグランドパターン部6の、X-X'間での層構成を表す概略断面図(図4参照)である。フィルム状基板10に磁性シート20を積層させたものを金属板22とPVCやPET-G等の外装樹脂(21、25)で挟み込み、熱プレスによってラミネートすることでカード基材を一体化する。ここで熱プレスによるラミネートではなく、2液硬化樹脂や常温硬化樹脂、UV硬化樹脂を使いコールドプレス方式のラミネートでカード基材を一体化することもできる。ラミネートにより一体化したシート状のカード基材はレーザーや切削加工により、カード個片形状に成形される。
【0030】
図5に示すように、グランドパターン6の部分では、磁性シート20の上にフィルム状基板10が重なり、フィルム状基板10上に形成されたグラウンドパターン6が最上部に位置し、グランドパターン6と金属板22が密着する構造となる。
【0031】
圧力をかけてラミネートすることで、コの字部分では接着層23が薄くなり、カード1の厚さ方向への厚さのムラを抑えつつ金属板22とグラウンドパターン6を密着させ、導通させることができる。また、ラミネート時にグラウンドパターン6の金属板22に対する密着をより強固にさせるために、フィルム状基板10の、グラウンドパターン6と反対側の面にグランドパターン6と同じ形状のパターンを形成し、コの字部分の接着層23をより薄い状態でカード化することもできる。
【0032】
本実施形態の図には示されていないが、フィルム状基板10の回路構成にESD保護回路構成を備えることによって、静電気放電が指紋感知回路構成や金属カードの他の部分を損傷することを防ぐこともできる。
【実施例
【0033】
以下、本発明を具体的に実施したカード例を示す。
カード寸法:JIS X6301:2005(ISO/IEC)
長辺:85.47~85.72mm(公称値85.6mm)
厚さ:0.68~0.84mm(公称値0.76mm)
【符号の説明】
【0034】
1・・・金属製指紋認証カード
2・・・金属製指紋認証カードの表側基材
3・・・外部接続端子
4・・・能動的静電容量式指紋センサ
5・・・ICモジュール
6・・・グラウンドパターン
7・・・配線パターン
8・・・ループアンテナ回路
9・・・スリット(フィルム状基板内)
10・・・フィルム状基板
13・・・外部接続端子用開口部
14・・・指紋センサ用開口部
15・・・ICモジュール用開口部
16・・・スリット(磁性シート内)
20・・・磁性シート
21・・・外装樹脂層(表面)
22・・・金属板
23・・・接着層
24・・・中間樹脂層
25・・・外装樹脂層(裏面)
図1
図2
図3
図4
図5