(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20250701BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
B25J9/22 A
G05B19/42 J
(21)【出願番号】P 2021172498
(22)【出願日】2021-10-21
【審査請求日】2024-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知大
(72)【発明者】
【氏名】井上 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】前廣 毅
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-276389(JP,A)
【文献】特開2021-016886(JP,A)
【文献】特開2009-274204(JP,A)
【文献】特開2004-078682(JP,A)
【文献】実開昭62-179609(JP,U)
【文献】特開2008-221281(JP,A)
【文献】特開平04-013530(JP,A)
【文献】特開2003-326485(JP,A)
【文献】特開2007-122705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05B 19/42 - 19/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドエフェクタを有するマニピュレータと、
前記マニピュレータの動作を制御する制御部と、
前記エンドエフェクタに設けられ、光線を出力する出力部と
、
前記エンドエフェクタに設けられた第1センサから前記エンドエフェクタの姿勢情報を取得し、かつ、マークを有する対象物に設けられた第2センサから前記対象物の姿勢情報を取得する取得部と、
前記エンドエフェクタの前記姿勢情報及び前記対象物の前記姿勢情報を表示する第1表示部と
を備え、
前記マニピュレータの動作の教示において、前記出力部から出力された前記光線が
前記対象物に向けられた状態で、前記制御部が前記マニピュレータの動作を制御する、
制御システム。
【請求項2】
前記光線は、前記対象物における前記マークが設けられた面に照射される、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記出力部は、前記エンドエフェクタの中心に設けられている、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記マークは、前記対象物における前記光線が照射される面の中心に設けられている、
請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記出力部は、前記エンドエフェクタに対して移動可能に設けられている、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項6】
複数の前記出力部が、前記エンドエフェクタに設けられており、
複数の前記出力部の少なくとも一つが、前記エンドエフェクタに対して移動可能である、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項7】
複数の前記出力部から出力される前記光線の色が異なる、
請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記マークは、前記対象物における前記光線が照射される面の外周部分に設けられている、
請求項5から7の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記エンドエフェクタは、前記対象物を把持する把持具を有する、
請求項1から8の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記対象物を撮像する撮像装置を備え、
前記出力部は、前記光線を間欠的に出力し、
前記撮像装置は、前記対象物に前記光線が照射された状態の前記対象物の第1画像データと、前記対象物に前記光線が照射されていない状態の前記対象物の第2画像データとを生成し、
前記制御部は、前記第1画像データと前記第2画像データとの差分データを生成し、前記差分データに基づいて前記光線の照射位置を検出する、
請求項1から9の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項11】
前記制御部は、
前記マニピュレータの動作の前記教示において前記出力部から出力された前記光線が前記対象物に向けられた状態で行う前記マニピュレータの動作の前記制御を、前記エンドエフェクタの前記姿勢情報及び前記対象物の前記姿勢情報に基づいて行う、
請求項1から10の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項12】
前記出力部によって計測された前記出力部から前記対象物までの距離値を表示する第2表示部を備える、
請求項1から1
1の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項13】
前記対象物の高さは、前記マニピュレータによって所定の作業が行われるワークの高さと異なる、
請求項1
2に記載の制御システム。
【請求項14】
作業者から前記マニピュレータの操作に関する操作入力が入力される入力部を備え、
前記制御部は、前記操作入力に基づいて、前記マニピュレータの動作を制御する、
請求項1から1
3の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項15】
前記光線は、可視波長のレーザ光線である、
請求項1から1
4の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項16】
前記光線は、赤外波長のレーザ光線であり、
前記対象物は、前記赤外波長のレーザ光線によって感光する感光性部材が設けられている、
請求項1から1
4の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項17】
前記出力部の前記光線の出力の開始及び停止を制御する出力制御部を備え、
前記出力制御部は、前記マニピュレータの動作の教示が開始される前に前記出力部の前記光線の出力を開始し、前記マニピュレータの動作の教示が終了した後に前記出力部の前記光線の出力を停止する、
請求項1から1
6の何れか一項に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マニピュレータでワークを把持して作業を行うには、予めマニピュレータが行う動作の内容をマニピュレータに対して指示している。マニピュレータの動作に対する指示を、ティーチング(教示)という。教示の方法としては、コントローラ(教示ペンダント)を用いてマニピュレータの動作を制御することにより、マニピュレータの位置、姿勢等を制御する方法がある。
【0003】
特許文献1には、教示作業を短縮するため、ロボットアームやマニプレータの先端に設けられた2個のレーザ投光器から角度を異にして対象物にレーザ光を照射し、その照射光により対象物にマークを形成してその形成されたマークを目標として利用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マニピュレータに正確な動作を教示するためには、マニピュレータの手先(エンドエフェクタ)と対象ワークとの間の空間的な位置関係を合わせこむ作業が必要である。しかし、目視で位置を確認する場合、目分量で感覚的に調整を行うため、教示者の習熟度が低い場合には、教示作業の工数が肥大する。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、マニピュレータの動作の教示を容易に行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点に係る制御システムは、エンドエフェクタを有するマニピュレータと、前記マニピュレータの動作を制御する制御部と、前記エンドエフェクタに設けられ、光線を出力する出力部とを備え、前記マニピュレータの動作の教示において、前記出力部から出力された前記光線がマークを有する対象物に向けられた状態で、前記制御部が前記マニピュレータの動作を制御する、制御システムである。
【0008】
作業者は、出力部から出力された光線の位置と、対象物のマークの位置とを参照して、マニピュレータを移動することにより、マニピュレータ2の動作の教示を容易に行うことができる。また、マニピュレータの動作の教示における感覚的な調整を抑制することができる。したがって、作業者におけるマニピュレータの動作の教示の習熟度が低い場合であっても、作業者は、マニピュレータの動作の教示を正確に行うことができる。
【0009】
前記光線は、前記対象物における前記マークが設けられた面に照射されてもよい。前記出力部は、前記エンドエフェクタの中心に設けられてもよい。前記マークは、前記対象物における前記光線が照射される面の中心に設けられてもよい。
【0010】
前記出力部は、前記エンドエフェクタに対して移動可能に設けられてもよい。複数の前
記出力部が、前記エンドエフェクタに設けられており、複数の前記出力部の少なくとも一つが、前記エンドエフェクタに対して移動可能であってもよい。
【0011】
複数の前記出力部から出力される前記光線の色が異なってもよい。前記マークは、前記対象物における前記光線が照射される面の外周部分に設けられてもよい。前記エンドエフェクタは、前記対象物を把持する把持具を有してもよい。
【0012】
前記対象物を撮像する撮像装置を備え、前記出力部は、前記光線を間欠的に出力し、前記撮像装置は、前記対象物に前記光線が照射された状態の前記対象物の第1画像データと、前記対象物に前記光線が照射されていない状態の前記対象物の第2画像データとを生成し、前記制御部は、前記第1画像データと前記第2画像データとの差分データを生成し、前記差分データに基づいて前記光線の照射位置を検出してもよい。
【0013】
前記エンドエフェクタに設けられた第1センサから前記エンドエフェクタの姿勢情報を取得し、かつ、前記対象物に設けられた第2センサから前記対象物の姿勢情報を取得する取得部と、前記エンドエフェクタの姿勢情報及び前記対象物の前記姿勢情報を表示する第1表示部とを備えてもよい。
【0014】
前記エンドエフェクタに設けられた第1センサから前記エンドエフェクタの姿勢情報を取得し、かつ、前記対象物に設けられた第2センサから前記対象物の姿勢情報を取得する取得部を備え、前記制御部は、前記エンドエフェクタの前記姿勢情報及び前記対象物の前記姿勢情報に基づいて、前記マニピュレータの動作を制御してもよい。
【0015】
前記出力部によって計測された前記出力部から前記対象物までの距離値を表示する第2表示部を備えてもよい。前記対象物の高さは、前記マニピュレータによって所定の作業が行われるワークの高さと異なってもよい。
【0016】
作業者から前記マニピュレータの操作に関する操作入力が入力される入力部を備え、前記制御部は、前記操作入力に基づいて、前記マニピュレータの動作を制御してもよい。
【0017】
前記光線は、可視波長のレーザ光線であってもよい。前記光線は、赤外波長のレーザ光線であり、前記対象物は、前記赤外波長のレーザ光線によって感光する感光性部材が設けられてもよい。
【0018】
前記出力部の前記光線の出力の開始及び停止を制御する出力制御部を備え、前記出力制御部は、前記マニピュレータの動作の教示が開始される前に前記出力部の前記光線の出力を開始し、前記マニピュレータの動作の教示が終了した後に前記出力部の前記光線の出力を停止してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マニピュレータの動作の教示を容易に行うことができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る制御システムの構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る制御システムの構成図である。
【
図8】
図8(A)及び(B)は、エンドエフェクタの拡大図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る制御システムの構成図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態に係る制御システムの構成図である。
【
図12】
図12は、第5実施形態に係る制御システムの構成図である。
【
図13】
図13は、第5実施形態における処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図14】
図14は、第5実施形態の変形例に係る制御システムの構成図である。
【
図15】
図15は、第5実施形態の変形例における処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態について図を参照しながら説明する。以下に示す実施形態は、本願の一態様であり、本願の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
<適用例>
以下、本発明が適用される場面の一例について説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る制御システム1の構成図である。制御システム1は、マニピュレータ2と、マニピュレータ制御部3と、入力部4と、光線出力部5と、発光制御部6と、を備える。
【0024】
マニピュレータ2は、ベース部21と、ベース部21に設けられたアーム(リンク)22と、アーム22の先端に設けられたエンドエフェクタ23とを有する多関節ロボットである。ベース部21は、マニピュレータ2を固定するための土台である。アーム22の各関節24には、関節24を駆動するためのサーボモータ等の駆動装置と、関節24の軸の角度の変位を検出するためのエンコーダ等の検出装置と、関節24の軸の回転速度やトルクを測定する測定装置と、が設けられている。ベース部21内に設けられた処理装置が、関節24の軸の角度、回転速度、トルクやその他の情報をマニピュレータ制御部3に送る。
【0025】
エンドエフェクタ23は、ワークを把持する把持具(把持爪)25A,25Bを有する。エンドエフェクタ23は、把持具25A,25Bを開閉することによりワークを把持可能なように構成されている。把持具25A,25Bをエンドエフェクタ23に接続する箇所に軸が設けられている。把持具25A,25Bとエンドエフェクタ23とを接続する軸を起点に、
図1に示す矢印方向R1に把持具25Aを動かし、
図1に示す矢印方向R2に把持具25Bを動かすことで、把持具25A,25Bがワークを把持したり、把持具25A,25Bがワークを離したりする。ワークは、例えば、最終製品、中間製品、半製品、部品、材料等である。
【0026】
マニピュレータ制御部3は、各関節24を動作させるための演算を行い、演算結果に基づいてマニピュレータ2の動作の制御指示を行うことで、マニピュレータ2の動作を制御する。マニピュレータ制御部3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ
、プロセッサが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM(Read Only Memory)、プロセッサのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)等で構成されている。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2から関節24の軸の角度、回転速度、トルクやその他の情報を受信する。入力部4は、作業者(ユーザ)からマニピュレータ2の操作に関する操作入力が入力される。入力部4は、マニピュレータ2を操作するための操作ペンダント(ティーチングペンダント)であってもよい。マニピ
ュレータ制御部3は、入力部4にマニピュレータ2の操作に関する操作入力が入力された場合、入力部4に入力された操作入力に基づいて、マニピュレータ2の動作を制御する。
【0027】
光線出力部5は、エンドエフェクタ23に設けられており、光線出力部5の先端部分から光線を出力する装置である。光線出力部5は、エンドエフェクタ23の内部に埋め込まれるようにして配置されており、光線出力部5の先端部分がエンドエフェクタ23から露出している。光線出力部5は、エンドエフェクタ23の中心に設けられてもよい。光線出力部5から出力される光線は、可視波長のレーザ光線又は赤外波長のレーザ光線であってもよい。
図1では、光線出力部5から出力される光線を符号L1で示す。光線出力部5は、レーザ光線によって位置を指示表示するためのレーザーポインタ等の光線発射装置であってもよい。
【0028】
発光制御部6は、光線出力部5の発光を制御する装置である。発光制御部6は、CPU等のプロセッサ、プロセッサが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM、プロセッサのワークエリアとして機能するRAM等で構成されている。
【0029】
発光制御部6は、光線出力部5の光線L1の出力の開始及び停止を制御する。発光制御部6は、出力制御部の一例である。発光制御部6は、発光指示受付部61と、発光指示部62とを有する。発光指示受付部61が発光開始の指示を受け付けた場合、発光指示部62は光線出力部5に発光開始の指示信号を出す。光線出力部5は、発光指示部62からの発光開始の指示信号に応じて、発光を開始し、光線L1を出力する。発光指示受付部61が発光停止の指示を受け付けた場合、発光指示部62は光線出力部5に発光停止の指示信号を出す。光線出力部5は、発光指示部62からの発光停止の指示信号に応じて、発光を停止し、光線L1の出力を停止する。
【0030】
発光制御部6は、エンドエフェクタ23に設けられてもよい。エンドエフェクタ23の側面等の把持具25A,25Bと接触しない位置に発光制御部6を設けてもよい。エンドエフェクタ23の内部に発光制御部6を配置することで、発光制御部6とエンドエフェクタ23とを一体としてもよい。
【0031】
発光制御部6をエンドエフェクタ23と離間した位置に配置してもよい。マニピュレータ2に敷設されたケーブルで発光制御部6をマニピュレータ2に接続し、有線により光線出力部5と発光制御部6とを接続してもよい。また、無線により光線出力部5と発光制御部6とを接続してもよい。
【0032】
発光指示受付部61に対する発光開始及び発光終了の指示は、作業者によるスイッチ操作、マニピュレータ制御部3又は他の機器からの制御信号の入力等であってもよい。作業者がマニピュレータ2に接続されたスイッチを操作することで、発光指示受付部61に発光開始及び発光終了の指示を行ってもよい。スイッチは、押下ボタンであってもよいし、足踏みペダルであってもよい。作業者の音声入力により、発光指示受付部61に発光開始及び発光終了の指示を行ってもよい。
【0033】
光線出力部5から出力される光線L1は、少なくとも一つのマーク(目印)7を有する教示用ワーク8に向けられる。教示用ワーク8は、マニピュレータ2に動作を教示するために用いられるワークである。教示用ワーク8は、対象物の一例である。一種類のワークを作業対象とする場合、教示用ワーク8は、ワークと同一形状及び同一サイズである。複数種類のワークを作業対象とし、複数種類の教示用ワーク8を用いる場合、ワーク毎に教示用ワーク8の形状及びサイズが異なる。
図1に示す教示用ワーク8の一例では、教示用ワーク8は立方体形状である。マーク7は、教示用ワーク8に貼り付け可能なシート部材、教示用ワーク8に形成された凸形状の部材、教示用ワーク8に形成された凹形状の溝、
教示用ワーク8に形成されたペイント等である。マーク7は、教示用ワーク8における光線L1が照射される面に設けられている。教示用ワーク8における光線L1が照射される面の中心にマーク7を設けてもよい。教示用ワーク8における光線L1が照射される面は、教示用ワーク8の上面であってもよい。教示用ワーク8は、複数のマーク7を有してもよい。
【0034】
図1では、教示用ワーク8を床又は作業台に載置する例を示しているが、教示用ワーク8を壁に着脱可能に取り付けてもよい。複数の教示用ワーク8を床又は作業台に載置してもよいし、複数の教示用ワーク8を壁に着脱可能に取り付けてもよい。マニピュレータ2の動作の教示において、光線出力部5から出力された光線L1が教示用ワーク8に向けられる。
図1では、光線出力部5から出力された光線L1が、教示用ワーク8におけるマーク7が設けられた面に照射されている。光線出力部5から出力された光線L1が教示用ワーク8に向けられた状態で、マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の動作を制御する。マニピュレータ2の動作の教示において、入力部4にマニピュレータ2の操作に関する操作入力が入力された場合、マニピュレータ制御部3は、入力部4に入力された操作入力に基づいて、マニピュレータ2の動作を制御する。
【0035】
作業者は、光線出力部5から出力された光線L1の位置と、教示用ワーク8のマーク7の位置とを参照(確認)して、マニピュレータ2を移動することにより、マニピュレータ2の動作の教示を容易に行うことができる。作業者は、マニピュレータ2の動作の教示において、把持具25A,25Bが教示用ワーク8に干渉するかどうかのチェックを行うことができる。作業者は、光線出力部5から出力された光線L1の位置と、教示用ワーク8のマーク7の位置とを参照し、エンドエフェクタ23の中心軸CLと教示用ワーク8の上面の中心とが所定方向で重畳するように、マニピュレータ2を移動してもよい。所定方向は、例えば、鉛直方向であるが、鉛直方向以外の方向であってもよい。
【0036】
作業者は、光線出力部5から出力された光線L1の位置と、教示用ワーク8のマーク7の位置とを参照して、マニピュレータ2を移動するため、マニピュレータ2の動作の教示における感覚的な調整を抑制することができる。したがって、作業者におけるマニピュレータ2の動作の教示の習熟度が低い場合であっても、作業者は、マニピュレータ2の動作の教示を正確に行うことができる。
【0037】
光線出力部5から出力された光線L1が教示用ワーク8に照射された場合、作業者は、教示用ワーク8に照射された光線L1の位置を参照することができる。作業者は、教示用ワーク8に照射された光線L1の位置を、教示用ワーク8の把持位置の目安とすることができる。把持具25A,25Bが教示用ワーク8を把持する場合、教示用ワーク8の把持位置は、把持具25A,25Bと教示用ワーク8との接触位置である。
【0038】
光線出力部5から出力される光線L1の光軸とエンドエフェクタ23の中心軸CL1とが一致するように、エンドエフェクタ23に対して光線出力部5を配置してもよい。マニピュレータ2を移動して、光線出力部5から出力された光線L1を教示用ワーク8のマーク7に照射することで、エンドエフェクタ23の中心軸CL1と教示用ワーク8のマーク7とが所定方向で重畳する。
【0039】
光線出力部5から出力される光線L1の光軸とエンドエフェクタ23の中心軸CL1とが一致するように、エンドエフェクタ23に対して光線出力部5を配置し、かつ、教示用ワーク8の上面の中心位置にマーク7を設けてもよい。マニピュレータ2を移動して、光線出力部5から出力された光線L1を教示用ワーク8のマーク7に照射することで、エンドエフェクタ23の中心軸CL1と教示用ワーク8の中心とが所定方向で重畳する。
【0040】
光線出力部5が赤外波長のレーザ光線を出力する場合、赤外波長に対応する感光性物質を有する塗布部を教示用ワーク8に設ける。すなわち、光線出力部5から出力される赤外波長のレーザ光線によって感光する感光性部材を教示用ワーク8に設ける。教示用ワーク8に設けられた感光性部材に赤外波長のレーザ光線が照射されると、感光性部材における赤外波長のレーザ光線が照射された部分のみが可視化される。赤外波長のレーザ光線は不可視のため、光線出力部5からレーザ光線が出力された状態が続いても、作業者や他の周囲の人にストレスを与えることが無い。
【0041】
エンドエフェクタ23に把持具25A,25Bを設けることに替えて、エンドエフェクタ23に吹付塗装装置、塗布装置、ドリル、ネジ締め装置、液体を注ぐ装置、溶接装置などを設けてもよい。
【0042】
図2は、第1実施形態における処理の流れを示すシーケンス図である。
図2を参照して、第1実施形態における処理の流れを説明する。例えば、マニピュレータ2の位置決めが必要となる場合に、
図2に示す処理が行われる。作業者が、発光開始操作を行い(S11)、発光指示受付部61が、発光開始の指示を受け付ける(S12)。例えば、作業者がマニピュレータ2に接続されたスイッチを操作したり、作業者が音声入力を行ったりすることで、発光指示受付部61に発光開始の指示を行う。また、作業者が、マニピュレータ2の操作を開始した場合、マニピュレータ制御部3又は他の機器が発光指示受付部61に発光開始の指示を行ってもよい。
【0043】
光線出力部5は、発光指示部62から発光開始の指示信号を受け取ることにより、発光を開始して、光線L1を出力する(S13)。作業者は、光線出力部5から出力された光線L1の位置及び教示用ワーク8のマーク7の位置を用いてマニピュレータ2の動作の教示を行う(S14)。マニピュレータ2の動作の教示においてマニピュレータ2の位置決めが行われる。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の位置決めが行われたときのマニピュレータ2の位置座標を生成してマニピュレータ2に記憶する。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の位置座標を外部記憶装置に記憶してもよい。マニピュレータ2の位置決めが必要な教示が完了した場合、作業者は、マニピュレータ2の動作の教示を終了する(S15)。
【0044】
作業者が、発光停止操作を行い(S16)、発光指示受付部61が、発光終了の指示を受け付ける(S17)。例えば、作業者がマニピュレータ2に接続されたスイッチを操作したり、作業者が音声入力を行ったりすることで、発光指示受付部61に発光停止の指示を行う。また、作業者がマニピュレータ2の操作を終了した場合、マニピュレータ制御部3又は他の機器が発光指示受付部61に発光停止の指示を行ってもよい。光線出力部5は、発光指示部62から発光停止の指示信号を受け取ることにより、発光を終了して、光線L1の出力を停止する(S18)。
【0045】
発光制御部6は、マニピュレータ2の動作の教示が開始される前に光線出力部5の光線L1の出力を開始し、マニピュレータ2の動作の教示が終了した後に光線出力部5の光線L1の出力を停止する。光線出力部5から光線L1が常時出力するようにしてもよい。光線出力部5から光線L1が常時出力するように、発光制御部6が光線出力部5の光線L1の出力を制御してもよい。
【0046】
マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の1つ又は複数の位置座標を有する教示データを生成し、マニピュレータ2に記憶してもよい。マニピュレータ制御部3は、教示データを外部記憶装置に記憶してもよい。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2又は外部記憶装置に記憶されたマニピュレータ2の位置座標や教示データに基づいて、マニピュレータ2の動作を制御してもよい。マニピュレータ制御部3がマニピュレータ2の
動作を制御することにより、マニピュレータ2は、ワークに対して作業を実行する。
【0047】
<変形例>
第1実施形態の変形例について説明する。
図3は、エンドエフェクタ23の拡大図である。
図3に示すエンドエフェクタ23には、光線出力部5に替えて、ネジ締め部200が設けられている。エンドエフェクタ23に対して光線出力部5を取り外し可能に設けることで、光線出力部5をネジ締め部200に交換することができる。ネジ締め部200の先端には、回転可能なドライバ201が取り付けられている。ドライバ201が回転することで、ワークに対するネジ締め及びネジ緩め等の作業を行うことができる。マニピュレータ2の動作の教示の終了後に、エンドエフェクタ23から光線出力部5を取り外し、エンドエフェクタ23にネジ締め部200を取り付けてもよい。エンドエフェクタ23にネジ締め部200を取り付けた後に、マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2又は外部記憶装置に記憶されたマニピュレータ2の位置座標や教示データに基づいて、マニピュレータ2の動作を制御してもよい。
【0048】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素については、第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。第1,第2実施形態に係る制御システム1を適宜組み合わせてもよい。
図4は、第2実施形態に係る制御システム1の構成図である。制御システム1は、マニピュレータ2と、マニピュレータ制御部3と、入力部4と、発光制御部6と、光線出力部15A,15Bと、を備える。
【0049】
エンドエフェクタ23は、ワークを把持する把持具(把持爪)26A,26Bを有する。エンドエフェクタ23には、エンドエフェクタ23に対して把持具26A,26Bの少なくとも一方をスライド移動可能なスライダが設けられている。エンドエフェクタ23が、把持具26A,26Bの少なくとも一方をスライド移動することにより、把持具26A,26Bがワークを把持したり、把持具26A,26Bがワークを離したりする。
図4の白抜き矢印は、把持具26A,26Bの移動方向を示している。
【0050】
光線出力部15A,15Bの少なくとも一方が、エンドエフェクタ23に対して移動可能に設けられている。把持具26Aに光線出力部15Aが設けられ、把持具26Bに光線出力部15Bが設けられている。光線出力部15A,15Bは、把持具26A,26Bと連動して移動する。把持具26Aがスライド移動することにより光線出力部15Aがスライド移動し、把持具26Bがスライド移動することにより光線出力部15Bがスライド移動する。把持具26Aの側面に光線出力部15Aを設けてもよいし、光線出力部15Aと把持具26Aとを一体としてもよい。把持具26Bの側面に光線出力部15Bを設けてもよいし、光線出力部15Bと把持具26Bとを一体としてもよい。
【0051】
光線出力部15A及び把持具26Aをエンドエフェクタ23に固定し、光線出力部15B及び把持具26Bをスライダ移動可能としてもよい。光線出力部15B及び把持具26Bをエンドエフェクタ23に固定し、光線出力部15A及び把持具26Aをスライダ移動可能としてもよい。
【0052】
光線出力部15A,15Bから出力される光線は、可視波長のレーザ光線又は赤外波長のレーザ光線であってもよい。
図4では、光線出力部15Aから出力される光線を符号L2で示し、光線出力部15Aから出力される光線を符号L3で示す。光線出力部15A,15Bは、レーザーポインタ等の光線発射装置であってもよい。光線出力部15A,15Bが赤外波長のレーザ光線を出力する場合、赤外波長に対応する感光性物質を有する塗布部を教示用ワーク8に設ける。すなわち、光線出力部15A,15Bから出力される赤外波長のレーザ光線によって感光する感光性部材を教示用ワーク8に設ける。
【0053】
図5は、エンドエフェクタ23の拡大図である。把持具26Aの側面に光線出力部15Aが設けられ、把持具26Bの側面に光線出力部15Bが設けられている。
図5では、把持具26Aの外側面に光線出力部15Aが設けられているが、把持具26Aの内側面に光線出力部15Aを設けてもよい。
図5では、把持具26Bの外側面に光線出力部15Aが設けられているが、把持具26Bの内側面に光線出力部15Aを設けてもよい。把持具26Aの内側面と把持具26Bの内側面とが対向している。把持具26Aの外側面は、把持具26Aの内側面の反対側の面である。把持具26Bの外側面は、把持具26Bの内側面の反対側の面である。
【0054】
マニピュレータ2の動作の教示において、光線出力部15Aから出力される光線L2及び光線出力部15Bから出力される光線L3は、複数のマーク7(7A,7B)を有する教示用ワーク8に向けられる。
図5に示す教示用ワーク8の一例では、教示用ワーク8は立方体形状であり、教示用ワーク8にマーク7A,7Bが設けられている。マーク7A,7Bは、教示用ワーク8における光線L2,L3が照射される面に設けられている。
【0055】
マーク7A,7Bを、教示用ワーク8における光線L2,L3が照射される面の外周部分に設けてもよい。
図5に示す教示用ワーク8の一例では、マーク7Aとマーク7Bとが対向するようにして、立方体形状の教示用ワーク8の二辺にマーク7A,7Bが設けられている。光線出力部15A,15Bから出力された光線L2,L3が教示用ワーク8に向けられた状態で、マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の動作を制御する。マニピュレータ2の動作の教示において、入力部4にマニピュレータ2の操作に関する操作入力が入力された場合、マニピュレータ制御部3は、入力部4に入力された操作入力に基づいて、マニピュレータ2の動作を制御する。
【0056】
作業者は、光線出力部15A,15Bから出力された光線L2,L3の各位置と、教示用ワーク8のマーク7A,7Bの各位置とを参照して、マニピュレータ2を移動することにより、マニピュレータ2の動作の教示を容易に行うことができる。作業者は、マニピュレータ2の動作の教示において、把持具26A,26Bが教示用ワーク8に干渉するかどうかのチェックを行うことができる。
【0057】
光線出力部15A,15Bから出力された光線L2,L3が教示用ワーク8に照射された場合、作業者は、教示用ワーク8に照射された光線L2,L3の位置を参照することができる。このように、作業者は、教示用ワーク8に照射された光線L2,L3の各位置を、教示用ワーク8の把持位置の目安とすることができる。把持具26A,26Bが教示用ワーク8を把持する場合、教示用ワーク8の把持位置は、把持具26A,26Bと教示用ワーク8との接触位置である。例えば、教示用ワーク8に照射された光線L2,L3の各位置を参照することにより、把持具26A,26Bの少なくとも一方をスライド移動させて、把持具26Aと把持具26Bとの間の間隔を教示用ワーク8の幅のサイズと略同じにすることが可能である。
【0058】
把持具26Aの側面に光線出力部15Aを設け、把持具26Bの側面に光線出力部15Bを設ける場合、光線出力部15Aから出力される光線L2及び光線出力部15Bから出力される光線L3の広がり角を調整して、光線L2,L3の広がり角を大きくしてもよい。これにより、作業者は、教示用ワーク8の把持位置をより容易に把握することができる。
【0059】
図6、エンドエフェクタ23の拡大図である。把持具26Aの内部に光線出力部15Aを設けることで光線出力部15Aと把持具26Aとを一体としている。また、把持具26Bの内部に光線出力部15Bを設けることで光線出力部15Bと把持具26Bとを一体と
している。
【0060】
光線出力部15Aから出力される光線L2の光軸と把持具26Aの中心軸CL2とが一致し、かつ、把持具26Aの先端から光線L2が出射されるように、把持具26Aに光線出力部15Aが設けられている。光線出力部15Aから出力される光線L2が教示用ワーク8のマーク7Aに照射されるように、マニピュレータ2を移動することで、把持具26Aの中心軸CL2と教示用ワーク8のマーク7Aとが所定方向で重畳する。
【0061】
光線出力部15Bから出力される光線L3の光軸と把持具26Bの中心軸CL3とが一致し、かつ、把持具26Bの先端から光線L3が出射されるように、把持具26Bに光線出力部15Bが設けられている。光線出力部15Bから出力される光線L3が教示用ワーク8のマーク7Bに照射されるように、マニピュレータ2を移動することで、把持具26Bの中心軸CL3と教示用ワーク8のマーク7Bとが所定方向で重畳する。
【0062】
図7は、エンドエフェクタ23の拡大図である。把持具26Aの側面に光線出力部15Aが設けられ、把持具26Bの側面に光線出力部15Bが設けられている。マニピュレータ2の動作の教示において、光線出力部15Aから出力された光線L2及び光線出力部15Bから出力された光線L3は、複数のマーク7(7A,7B)を有する教示用ワーク8に向けられる。
図7に示す教示用ワーク8の一例では、教示用ワーク8はリング形状であり、教示用ワーク8にマーク7A,7Bが設けられている。マーク7A,7Bは、教示用ワーク8における光線L2,L3が照射される面に設けられている。
【0063】
教示用ワーク8における光線L2,L3が照射される面の外周部分にマーク7A,7Bを設けてもよい。
図7に示す教示用ワーク8の一例では、マーク7Aとマーク7Bとが対向するようにして、リング形状の教示用ワーク8の外周部分にマーク7A,7Bが設けられている。光線出力部15A,15Bから出力された光線L2,L3が教示用ワーク8に向けられた状態で、マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の動作を制御する。マニピュレータ2の動作の教示において、入力部4にマニピュレータ2の操作に関する操作入力が入力された場合、マニピュレータ制御部3は、入力部4に入力された操作入力に基づいて、マニピュレータ2の動作を制御する。
【0064】
図7を参照して、把持具26A,26Bの位置確認方法について説明する。ここでは、リング形状の教示用ワーク8の内側に把持具26A,26Bを挿し込み、把持具26A,26Bの少なくとも一方をスライド移動して、把持具26A,26が教示用ワーク8を把持する方式を用いる。教示用ワーク8の上方にエンドエフェクタ23を移動して、光線出力部15A,15Bから光線L2,L3を出力する。作業者は、光線出力部15A,15Bから出力された光線L2,L3の各位置を参照することで、把持具26A,26Bが教示用ワーク8を把持する際に教示用ワーク8の内側に把持具26A,26Bが位置するかを確認することができる。すなわち、作業者は、教示用ワーク8の内側に挿し込まれる把持具26A,26Bの位置を視認することができる。
図7に示す把持具26A,26Bの位置確認方法は、
図6に示すエンドエフェクタ23を用いる場合にも適用することができる。
【0065】
光線出力部15Aから出力される光線L2の色と光線出力部15Bから出力される光線L3の色とが異なってもよい。すなわち、光線出力部15Aの発光色と光線出力部15Aの発光色とが異なるように、光線出力部15A,15Bの光線の出力設定を変更してもよい。例えば、光線出力部15A及び把持具26Aをエンドエフェクタ23に固定し、光線出力部15B及び把持具26Bをスライダ移動可能とする場合、光線出力部15Aから赤色の光線L2を出力し、光線出力部15Bから緑色の光線L3を出力してもよい。
【0066】
図8(A)及び
図8(B)は、エンドエフェクタ23の拡大図である。把持具26Aの側面に光線出力部15A,15Cが設けられ、把持具26Bの側面に光線出力部15B,15Dが設けられている。光線出力部15A,15Cは、把持具26Aの同じ側面に設けられている。光線出力部15B,15Dは、把持具26Bの同じ側面に設けられている。光線出力部15A,15Cが設けられた把持具26Aの側面は、把持具26Aの長手方向に沿って延在している。光線出力部15B,15Dが設けられた把持具26Bの側面は、把持具26Bの長手方向に沿って延在している。把持具26Aの外側面に光線出力部15A,15Cを設けてもよいし、把持具26Aの内側面に光線出力部15A,15Cを設けてもよい。把持具26Bの外側面に光線出力部15B,15Dを設けてもよいし、把持具26Bの内側面に光線出力部15B,15Dを設けてもよい。
【0067】
マニピュレータ2の動作の教示において、光線出力部15Aから出力された光線L2、光線出力部15Bから出力された光線L3、光線出力部15Cから出力された光線L4及び光線出力部15Dから出力された光線L5は、教示用ワーク8に向けられる。把持具26Aの奥行が長い場合、把持具26Aの同じ側面に2つの光線出力部15(15A,15C)を設けるようにしてもよい。把持具26Bの奥行が長い場合、把持具26Bの同じ側面に2つの光線出力部15(15B,15D)を設けるようにしてもよい。作業者は、光線出力部15A~15Dから出力された光線L2~L5の各位置を参照することで、教示用ワーク8の把持位置を把握することができる。
【0068】
光線L2,L4の色と、光線L3,L5の色とが異なってもよい。すなわち、光線出力部15Aの発光色と光線出力部15Bの発光色とが異なるように、光線出力部15A,15Bの光線の出力設定を変更してもよい。例えば、光線出力部15A,15C及び把持具26Aをエンドエフェクタ23に固定し、光線出力部15B,15D及び把持具26Bをスライダ移動可能とする場合、光線出力部15A,15Cから赤色の光線L2,L4を出力し、光線出力部15B,15Dから緑色の光線L3,L5を出力してもよい。また、光線L2~L5の各色がそれぞれ異なってもよい。
【0069】
エンドエフェクタ23に把持具26A,26Bを設けることに替えて、エンドエフェクタ23に吹付塗装装置、塗布装置、ドリル、ネジ締め装置、液体を注ぐ装置、溶接装置などを設けてもよい。
【0070】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。第3実施形態において、第1,第2実施形態と同一の構成要素については、第1,第2実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
図9は、第3実施形態に係る制御システム1の構成図である。第1~第3実施形態に係る制御システム1を適宜組み合わせてもよい。制御システム1は、マニピュレータ2と、マニピュレータ制御部3と、入力部4と、光線出力部5と、発光制御部6と、撮像装置9とを備える。
【0071】
撮像装置9は、教示用ワーク8を撮像して撮像画像を生成するカメラである。撮像装置9は、所定のフレームレートで教示用ワーク8を撮像し、逐次、画像データを生成する。撮像装置9が生成した画像データは、マニピュレータ制御部3に送られる。撮像装置9は、例えば、レンズ等の光学系と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor
)やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子とを有する。
図9では、撮像装置9
は、マニピュレータ2に設けられている。アーム22に撮像装置9を設けてもよいし、エンドエフェクタ23に撮像装置9を設けてもよい。また、撮像装置9をマニピュレータ2と分離して配置してもよい。
【0072】
発光制御部6は、光線出力部5の光線L1の出力の開始及び停止を制御する。発光制御
部6は、発光指示受付部61と、発光指示部62と、発光選択部63とを有する。発光選択部63は、発光指示部62から光線出力部5に対する発光指示のタイミングを制御する。マニピュレータ制御部3から発光制御部6及び撮像装置9に撮像トリガー信号(撮像制御信号)が送られる。撮像装置9は、マニピュレータ制御部3から送信される撮像トリガー信号に応じて、画像データを生成する。発光選択部63は、発光指示部62から光線出力部5に対する発光指示のタイミングが撮像トリガー信号の隔回と同期するように発光指示部62を制御する。光線出力部5は、発光指示部62からの発光指示のタイミングに応じて、光線L1を間欠的に出力する。このように、光線出力部5は、撮像トリガー信号の隔回と同期して光線L1を間欠的に出力する。したがって、教示用ワーク8に光線L1が間欠的に照射される。
【0073】
撮像装置9は、教示用ワーク8に光線L1が照射された状態の教示用ワーク8の画像データ(第1画像データ)と、教示用ワーク8に光線L1が照射されていない状態の教示用ワーク8の画像データ(第2画像データ)とを生成する。マニピュレータ制御部3は、第1画像データ及び第2画像データを撮像装置9から取得する。マニピュレータ制御部3は、第1画像データ及び第2画像データを比較する。マニピュレータ制御部3は、第1画像データ及び第2画像データに基づいて、第1画像データと第2画像データとの差分データを生成する。マニピュレータ制御部3は、第1画像データと第2画像データとの差分データに基づいて、光線L1の照射位置を検出する。
【0074】
図10(A)~
図10(C)は、画像データの一例を示す図である。
図10(A)には、教示用ワーク8に光線L1が照射された状態の教示用ワーク8の画像データ(第1画像データ)が示されている。
図10(B)には、教示用ワーク8に光線L1が照射されていない状態の教示用ワーク8の画像データ(第2画像データ)が示されている。
図10(C)には、第1画像データと第2画像データとの差分データが示されている。
図10(A)及び
図10(C)では、光線L1の照射位置を符号P1で示している。
【0075】
マニピュレータ制御部3は、第1画像データと第2画像データとの差分データ(以下、単に「差分データ」と表記する)を用いて、エンドエフェクタ23の交換の成否判定を行ってもよい。マニピュレータ制御部3は、エンドエフェクタ23の交換前に生成した差分データと、エンドエフェクタ23の交換後に生成した差分データとに基づいて、光線L1の照射位置のズレが発生しているか否かを判定する。マニピュレータ制御部3は、光線L1の照射位置のズレが発生していない場合、エンドエフェクタ23の交換が成功したと判定する。マニピュレータ制御部3は、光線L1の照射位置のズレが発生している場合、エンドエフェクタ23の交換が失敗したと判定する。また、マニピュレータ制御部3は、差分データを用いて、光線出力部5の交換の成否判定を行ってもよい。
【0076】
マニピュレータ制御部3は、差分データを用いて、光線出力部5の故障(出力不良)の検出を行ってもよい。マニピュレータ制御部3は、一定の間隔で差分データを生成する。マニピュレータ制御部3は、差分データから光線L1の照射位置が検知できない場合、光線出力部5に故障が発生した又は光線出力部5の光線L1の出力不良が発生したと判定する。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の動作の教示中の所定のタイミングで差分データを生成してもよいし、マニピュレータ2の動作の教示前や教示後の所定のタイミングで差分データを生成してもよい。
【0077】
マニピュレータ制御部3は、差分データを用いて、エンドエフェクタ23の位置ズレの検出を行ってもよい。第1のタイミングで生成した差分データと、第2のタイミングで生成した差分データとに基づいて、光線L1の照射位置のズレが発生しているか否かを判定する。第1のタイミングと第2のタイミングとは異なるタイミングである。マニピュレータ制御部3は、光線L1の照射位置のズレが発生している場合、エンドエフェクタ23の
位置ズレが発生したと判定する。マニピュレータ制御部3は、差分データを用いて、光線出力部5の位置ズレの検出を行ってもよい。
【0078】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。第4実施形態において、第1~第3実施形態と同一の構成要素については、第1~第3実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。第1~第4実施形態に係る制御システム1を適宜組み合わせてもよい。
図11は、第4実施形態に係る制御システム1の構成図である。制御システム1は、マニピュレータ2と、マニピュレータ制御部3と、入力部4と、光線出力部5と、発光制御部6と、計測装置10とを備える。
【0079】
エンドエフェクタ23にセンサ31が設けられ、教示用ワーク8にセンサ32が設けられている。エンドエフェクタ23の外装面にセンサ31を配置してもよいし、エンドエフェクタ23の内部にセンサ31を配置してもよい。教示用ワーク8の外装面にセンサ32を配置してもよいし、教示用ワーク8の内部にセンサ32を配置してもよい。センサ31,32は、例えば、加速度センサ、傾斜センサ又は地磁気センサである。センサ31,32は、加速度センサ、傾斜センサ及び地磁気センサの何れか2つ以上を有するセンサユニットであってもよい。
【0080】
計測装置10は、センサ31,32によって計測された計測データを取得する。有線又は無線により計測装置10とセンサ31とを接続してもよい。有線又は無線により計測装置10とセンサ32とを接続してもよい。
【0081】
計測装置10は、処理部101及び表示部102を有する。処理部101は、CPU等のプロセッサ、プロセッサが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM、プロセッサのワークエリアとして機能するRAM等で構成されている。表示部102は、処理部101による演算処理の結果などのデータや情報を表示する。また、表示部102は、作業者が操作するためのデバイスを有してもよい。作業者が操作するためのデバイスは、例えば、キーボード、ボタン、タッチパネル等である。
【0082】
処理部101は、センサ31によって計測された計測データに基づいて、エンドエフェクタ23の姿勢情報を取得し、センサ32によって計測された計測データに基づいて、教示用ワーク8の姿勢情報を取得する。処理部101は、取得部の一例である。
【0083】
センサ31,32が、加速度センサ又は傾斜センサである場合、処理部101は、センサ31,32によって計測された計測データに基づいて、エンドエフェクタ23の傾き及び教示用ワーク8の傾きを演算する。この場合、エンドエフェクタ23の姿勢情報は、エンドエフェクタ23の傾きに関する情報を含み、教示用ワーク8の姿勢情報は、教示用ワーク8の傾きに関する情報を含む。エンドエフェクタ23の傾きは、エンドエフェクタ23の鉛直方向に対する傾きであってもよい。教示用ワーク8の傾きは、教示用ワーク8の鉛直方向に対する傾きであってもよい。
【0084】
センサ31,32が、地磁気センサである場合、処理部101は、センサ31,32によって計測された計測データに基づいて、エンドエフェクタ23の方位角及び教示用ワーク8の方位角を演算する。この場合、エンドエフェクタ23の姿勢情報は、エンドエフェクタ23の方位角に関する情報を含み、教示用ワーク8の姿勢情報は、教示用ワーク8の方位角に関する情報を含む。
【0085】
処理部101は、エンドエフェクタ23の姿勢情報及び教示用ワーク8の姿勢情報を表示部102に表示する。作業者は、エンドエフェクタ23の姿勢情報及び教示用ワーク8
の姿勢情報を参照して、マニピュレータ2の動作の教示を行ってもよい。作業者は、光線出力部5から出力された光線L1の位置と、教示用ワーク8のマーク7の位置と、エンドエフェクタ23の姿勢情報と、教示用ワーク8の姿勢情報とを参照して、マニピュレータ2を移動することにより、マニピュレータ2の動作の教示をより正確に行うことができる。
【0086】
マニピュレータ制御部3は、計測装置10からエンドエフェクタ23の姿勢情報及び教示用ワーク8の姿勢情報を取得してもよい。マニピュレータ制御部3は、エンドエフェクタ23の姿勢情報及び教示用ワーク8の姿勢情報に基づいて、マニピュレータ2の動作を制御することにより、マニピュレータ2の傾き、姿勢等を調整したり、エンドエフェクタ23の傾き、姿勢等を調整したりしてもよい。
【0087】
マニピュレータ2の傾き、姿勢等の調整後やエンドエフェクタ23の傾き、姿勢等の調整後に、作業者は、光線出力部5から出力された光線L1の位置と、教示用ワーク8のマーク7の位置とを参照して、マニピュレータ2を移動することにより、マニピュレータ2の動作の教示をより正確に行うことができる。なお、マニピュレータ2の傾き、姿勢等の調整やエンドエフェクタ23の傾き、姿勢等の調整が自動的に行われると、マニピュレータ2やエンドエフェクタ23が周囲の物体と干渉する可能性がある。そのため、作業者が、マニピュレータ2やエンドエフェクタ23の動きを静止するための指示をマニピュレータ制御部3に行うことで、マニピュレータ2やエンドエフェクタ23の動きを静止できるようにしてもよい。
【0088】
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。第5実施形態において、第1~第4実施形態と同一の構成要素については、第1~第4実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。第1~第5実施形態に係る制御システム1を適宜組み合わせてもよい。
図12は、第5実施形態に係る制御システム1の構成図である。制御システム1は、マニピュレータ2と、マニピュレータ制御部3と、入力部4と、距離計測装置11と、計測制御部12と、表示部13を備える。
【0089】
距離計測装置11は、エンドエフェクタ23に設けられており、距離計測装置11の先端部分から光線を出力し、距離計測装置11から対象物までの距離を計測する。距離計測装置11は、出力部の一例である。距離計測装置11は、エンドエフェクタ23の内部に埋め込まれるようにして配置されており、距離計測装置11の先端部分がエンドエフェクタ23から露出している。距離計測装置11から出力される光線は、可視波長のレーザ光線又は赤外波長のレーザ光線であってもよい。
図12では、距離計測装置11から出力される光線を符号L6で示す。距離計測装置11は、レーザ距離計であってもよい。
【0090】
計測制御部12は、距離計測装置11の発光を制御し、かつ、距離計測装置11の距離計測を制御する装置である。計測制御部12は、CPU等のプロセッサ、プロセッサが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM、プロセッサのワークエリアとして機能するRAM等で構成されている。表示部13は、計測制御部12による演算処理の結果などのデータや情報を表示する。表示部13は、距離計測装置11によって計測された距離計測装置11から対象物までの距離値を表示する。また、表示部13は、作業者が操作するためのデバイスを有してもよい。作業者が操作するためのデバイスは、例えば、キーボード、ボタン、タッチパネル等である。
【0091】
計測制御部12は、計測指示受付部121と、計測指示部122と、距離値取得部123とを有する。計測指示受付部121が計測開始の指示を受け付けた場合、計測指示部122は距離計測装置11に距離計測開始の指示信号を出す。距離計測装置11は、計測指
示部122からの距離計測開始の指示信号に応じて、発光を開始し、光線L6を出力すると共に、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離を計測する。計測指示受付部121が距離計測停止の指示を受け付けた場合、計測指示部122は距離計測装置11に距離計測停止の指示信号を出す。距離計測装置11は、計測指示部122からの距離計測停止の指示信号に応じて、発光を停止し、光線L6の出力を停止すると共に、距離計測を停止する。
【0092】
計測制御部12及び表示部13は、エンドエフェクタ23に設けられてもよい。エンドエフェクタ23の側面等の把持具25A,25Bと接触しない位置に計測制御部12及び表示部13を設けてもよい。エンドエフェクタ23の内部に計測制御部12を配置することで、計測制御部12とエンドエフェクタ23とを一体としてもよい。エンドエフェクタ23の外装面に計測制御部12を配置してもよい。
【0093】
計測制御部12をエンドエフェクタ23と離間した位置に配置してもよい。マニピュレータ2に敷設されたケーブルで計測制御部12をマニピュレータ2に接続し、有線により距離計測装置11と計測制御部12とを接続してもよい。また、無線により距離計測装置11と計測制御部12とを接続してもよい。表示部13をエンドエフェクタ23と離間した位置に配置してもよい。有線又は無線により計測制御部12と表示部13とを接続してもよい。
【0094】
計測指示受付部121に対する計測開始及び計測終了の指示は、作業者によるスイッチ操作、マニピュレータ制御部3又は他の機器からの制御信号の入力等であってもよい。作業者がマニピュレータ2に接続されたスイッチを操作することで、計測指示受付部121に計測開始及び計測終了の指示を行ってもよい。スイッチは、押下ボタンであってもよいし、足踏みペダルであってもよい。作業者の音声入力により、計測指示受付部121に計測開始及び計測終了の指示を行ってもよい。
【0095】
距離計測装置11は、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離を計測して、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値(距離データ)を出力する。距離値取得部123は、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値を距離計測装置11から取得する。表示部13は、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値を表示する。
【0096】
マニピュレータ2の動作の教示において、距離計測装置11から出力される光線L6は、教示用ワーク8に向けられる。距離計測装置11から出力された光線L6が教示用ワーク8に向けられた状態で、マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の動作を制御する。マニピュレータ2の動作の教示において、入力部4にマニピュレータ2の操作に関する操作入力が入力された場合、マニピュレータ制御部3は、入力部4に入力された操作入力に基づいて、マニピュレータ2の動作を制御する。
【0097】
作業者は、距離計測装置11から出力された光線L6の位置と、教示用ワーク8のマーク7の位置と、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値とを参照して、マニピュレータ2を移動することにより、マニピュレータ2の動作の教示を容易に行うことができる。例えば、ワークのXXcm上の位置でマニピュレータ2が所定の作業を行う場合のマニピュレータ2の動作の教示において、作業者は、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値を参照することができるため、マニピュレータ2の動作の教示を容易に行うことができる。
【0098】
距離計測装置11から出力された光線L6が教示用ワーク8に照射された場合、作業者は、教示用ワーク8に照射された光線L6の位置を参照することができる。作業者は、教
示用ワーク8に照射された光線L6の位置を、教示用ワーク8の把持位置の目安とすることができる。
【0099】
距離計測装置11から出力される光線L6の光軸とエンドエフェクタ23の中心軸CL1とが一致するように、エンドエフェクタ23に対して距離計測装置11を配置してもよい。距離計測装置11から出力された光線L6が教示用ワーク8のマーク7に照射されるように、マニピュレータ2を移動することで、エンドエフェクタ23の中心軸CL1と教示用ワーク8のマーク7とが所定方向で重畳する。
【0100】
距離計測装置11が赤外波長のレーザ光線を出力する場合、赤外波長に対応する感光性物質を有する塗布部を教示用ワーク8に設ける。すなわち、距離計測装置11から出力される赤外波長のレーザ光線によって感光する感光性部材を教示用ワーク8に設ける。教示用ワーク8に設けられた感光性部材に赤外波長のレーザ光線が照射されると、感光性部材における赤外波長のレーザ光線が照射された部分のみが可視化される。赤外波長のレーザ光線は不可視のため、距離計測装置11からレーザ光線が出力された状態が続いても、作業者や他の周囲の人にストレスを与えることが無い。
【0101】
距離計測装置11は、LED等の拡散光源を用いて、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離を計測してもよい。また、距離計測装置11は、マイクロ波、ミリ波等を教示用ワーク8に照射することにより、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離を計測してもよい。これらの場合、光線出力部5をエンドエフェクタ23に設けて、光線出力部5から出力される光線L1を教示用ワーク8に向けるようにしてもよい。計測制御部12が、光線出力部5の発光を制御してもよい。また、
図12に示す制御システム1が、発光制御部6を有し、発光制御部6が、光線出力部5の発光を制御してもよい。
【0102】
図13は、第5実施形態における処理の流れを示すシーケンス図である。
図13を参照して、第5実施形態における処理の流れを説明する。例えば、マニピュレータ2の位置決めが必要となる場合に、
図13に示す処理が行われる。作業者が、計測開始操作を行い(S21)、計測指示受付部121が、計測開始の指示を受け付ける(S22)。例えば、作業者がマニピュレータ2に接続されたスイッチを操作したり、作業者が音声入力を行ったりすることで、計測指示受付部121に計測開始の指示を行う。また、作業者が、マニピュレータ2の操作を開始した場合、マニピュレータ制御部3又は他の機器が計測指示受付部121に計測開始の指示を行ってもよい。
【0103】
距離計測装置11は、計測指示部122から計測開始の指示信号を受け取ることにより、発光を開始して、光線L6を出力すると共に、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離を計測する(S23)。作業者は、距離計測装置11から出力された光線L6の位置及び教示用ワーク8のマーク7の位置を用いてマニピュレータ2の動作の教示を行う(S24)。マニピュレータ2の動作の教示においてマニピュレータ2の位置決めが行われる。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の位置決めが行われたときのマニピュレータ2の位置座標を生成してマニピュレータ2に記憶する。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の位置座標を外部記憶装置に記憶してもよい。
【0104】
距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値が重要な教示作業に到達する(S25)。距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値が重要な教示作業として、例えば、吹付塗装、塗布、液体を注ぐ調理、溶接等が挙げられる。作業者は、距離計測装置11から出力された光線L6の位置、教示用ワーク8のマーク7の位置及び距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値を用いてマニピュレータ2の動作の教示を行う(S26)。
【0105】
マニピュレータ2の動作の教示の一例について説明する。作業者は、距離計測装置11から出力された光線L6の位置及び教示用ワーク8のマーク7の位置を参照して、マニピュレータ2を移動する。例えば、作業者は、距離計測装置11から出力された光線L6が教示用ワーク8のマーク7に照射されるように、マニピュレータ2を移動する。次に、作業者は、表示部13に表示された距離値を参照しながら、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値が所望の値(例えば、距離値D)となるように、マニピュレータ2を移動して、マニピュレータ2の位置決めを行う。すなわち、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値が所望の値となるような位置にマニピュレータ2を移動して、マニピュレータ2の位置決めを行う。作業者は、表示部13に表示された距離値を参照して、マニピュレータ2の位置決めを行うことができるため、教示用ワーク8とエンドエフェクタ23との間の距離を定規などで実測する必要がない。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の位置決めが行われたときのマニピュレータ2の位置座標を生成してマニピュレータ2に記憶する。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の位置座標を外部記憶装置に記憶してもよい。
【0106】
マニピュレータ2の位置決めが必要な教示が完了した場合、作業者は、マニピュレータ2の動作の教示を終了する(S27)。作業者が、計測停止操作を行い(S28)、計測指示受付部121が、計測終了の指示を受け付ける(S29)。例えば、作業者がマニピュレータ2に接続されたスイッチを操作したり、作業者が音声入力を行ったりすることで、計測指示受付部121に計測停止の指示を行う。また、作業者が、マニピュレータ2の操作を終了した場合、マニピュレータ制御部3又は他の機器が計測指示受付部121に計測停止の指示を行ってもよい。
【0107】
距離計測装置11は、計測指示部122から計測停止の指示信号を受け取ることにより、発光を停止すると共に光線L6の出力を停止し、距離計測を終了する(S30)。上記では、マニピュレータ2の動作の教示が行われる前に、距離計測装置11からの光線L6の出力及び距離計測が開始され、マニピュレータ2の動作の教示の終了後に、距離計測装置11からの光線L6の出力及び距離計測が終了する一例を示している。この例に限定されず、距離計測装置11から光線L6が常時出力されるようにしてもよいし、距離計測装置11が距離計測を常時行ってもよい。
【0108】
<変形例>
第5実施形態の変形例について説明する。例えば、ワークの重心がワークの下部分にある場合、把持具25A,25Bによりワークの下部分を把持する。そのため、マニピュレータ2の動作の教示においても、把持具25A,25Bにより教示用ワーク8の下部分を把持することになる。この場合、作業者は、表示部13に表示された距離値に対して教示用ワーク8の上面から下部分までの距離値を加算して、表示部13に表示された距離値を修正する。そして、修正後の距離値を参照して、マニピュレータ2の位置決めを行うことになる。第5実施形態の変形例では、表示部13に表示された距離値の修正を行わずに、マニピュレータ2の位置決めを行う手法について説明する。
【0109】
図14は、第5実施形態の変形例に係る制御システム1の構成図である。制御システム1は、マニピュレータ2と、マニピュレータ制御部3と、入力部4と、距離計測装置11と、計測制御部12と、表示部13を備える。第5実施形態の変形例に係る制御システム1では、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値が、距離値取得部123からマニピュレータ制御部3に送られる。
図14では、マニピュレータ2によって所定の作業(処理)が行われるワークの上部分を点線で示しており、教示用ワーク8の高さが、ワークの高さよりも低く設定されている。このように、教示用ワーク8の高さは、ワークの高さと異なる。
図14に示す例では、教示用ワーク8の高さが、ワークの半分の高さであるが、この例に限定されず、教示用ワーク8の高さを、ワークの1/4の高さに設定しても
よいし、ワークの3/4の高さに設定してもよい。
【0110】
教示用ワーク8の高さが、ワークの高さよりも低く設定されているため、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値は、距離計測装置11からワークまでの距離値よりも大きい。距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値は、距離計測装置11からワークまでの距離値にワークの上面から下部分までの距離値を加算した値である。このように、教示用ワーク8の高さをワークの高さよりも低く設定することで、作業者は、表示部13に表示された距離値の修正を行わずに、マニピュレータ2の位置決めを行うことが可能であり、マニピュレータ2の動作の教示を容易に行うことができる。
【0111】
また、把持具25A,25Bにより教示用ワーク8の上部分を把持する場合には、教示用ワーク8の高さをワークの高さよりも高く設定してもよい。教示用ワーク8の高さをワークの高さよりも高く設定することで、作業者は、表示部13に表示された距離値の修正を行わずに、マニピュレータ2の位置決めを行うことが可能であり、マニピュレータ2の動作の教示を容易に行うことができる。
【0112】
図15は、第5実施形態の変形例における処理の流れを示すシーケンス図である。
図15を参照して、第5実施形態の変形例における処理の流れを説明する。例えば、マニピュレータ2の位置決めが必要となる場合に、
図15に示す処理が行われる。
図15に示すシーケンス図のS31~S35の処理では、
図13に示すシーケンス図のS21~S25の処理と同様の処理が行われるので、その説明を省略する。
【0113】
作業者は、距離計測装置11から出力された光線L6の位置及び教示用ワーク8のマーク7の位置を用いてマニピュレータ2の位置決めを行う(S36)。作業者は、距離計測装置11から出力された光線L6の位置及び教示用ワーク8のマーク7の位置を参照して、マニピュレータ2を移動する。例えば、教示用ワーク8の上方にエンドエフェクタ23が位置し、かつ、教示用ワーク8の把持位置と把持具25A,25Bの中心軸の位置とが所定方向で重畳するように、マニピュレータ2を移動してマニピュレータ2の位置決めを行ってもよい。例えば、教示用ワーク8の上方にエンドエフェクタ23が位置し、かつ、距離計測装置11から出力された光線L6が教示用ワーク8のマーク7に照射されるように、マニピュレータ2を移動してマニピュレータ2の位置決めを行ってもよい。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の位置決めが行われたときのマニピュレータ2の位置座標を生成してマニピュレータ2に記憶する。マニピュレータ制御部3は、マニピュレータ2の位置座標を外部記憶装置に記憶してもよい。
【0114】
作業者は、入力部4を用いて、マニピュレータ制御部3に位置取得信号を送ると共に、マニピュレータ2の位置決めを確定する(S37)。マニピュレータ制御部3は、位置取得信号を受け付ける(S38)。マニピュレータ制御部3は、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値を、距離値取得部123から取得する。
【0115】
マニピュレータ制御部3は、S36で生成されたマニピュレータ2の位置座標と、距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値とに基づいて、マニピュレータ2の位置座標を新たに生成する(S39)。新たに生成されたマニピュレータ2の位置座標は、S36で生成されたマニピュレータ2の位置座標に対して距離計測装置11から教示用ワーク8までの距離値に関するデータが追加された位置座標である。マニピュレータ制御部3は、新たに生成されたマニピュレータ2の位置座標をマニピュレータ2に記憶する。マニピュレータ制御部3は、新たに生成されたマニピュレータ2の位置座標を外部記憶装置に記憶してもよい。
【0116】
上記で説明した各処理は、コンピュータが実行する方法として捉えてもよい。また、上
記で説明した各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを、ネットワークを通じて、又は、非一時的にデータを保持するコンピュータ読取可能な記録媒体等からコンピュータに提供してもよい。
【0117】
<付記>
エンドエフェクタ(23)を有するマニピュレータ(2)と、
前記マニピュレータ(2)の動作を制御する制御部(3)と、
前記エンドエフェクタ(23)に設けられ、光線(L1~L6)を出力する出力部(5,11,15A,15B)と
を備え、
前記マニピュレータ(2)の動作の教示において、前記出力部(5,11,15A,15B)から出力された前記光線(L1~L6)がマーク(7)を有する対象物(8)に向けられた状態で、前記制御部(3)が前記マニピュレータ(2)の動作を制御する、
制御システム(1)。
【符号の説明】
【0118】
1:制御システム
2:マニピュレータ
3:マニピュレータ制御部
4:入力部
5,15,15A,15B,15C:光線出力部
6:発光制御部
7,7A,7B:マーク
8:教示用ワーク
9:撮像装置
11:距離計測装置
12:計測制御部
13,102:表示部
23:エンドエフェクタ
31,32:センサ