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特許7704002テーピング装置、および連結電力ケーブルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】テーピング装置、および連結電力ケーブルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/14 20060101AFI20250701BHJP
   H02G 15/18 20060101ALI20250701BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
H02G1/14
H02G15/18
H01R4/70 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021176157
(22)【出願日】2021-10-28
(65)【公開番号】P2023065810
(43)【公開日】2023-05-15
【審査請求日】2024-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100187643
【弁理士】
【氏名又は名称】白鳥 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】森 義和
(72)【発明者】
【氏名】大倉 雅志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良輔
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-298820(JP,A)
【文献】特開2001-052835(JP,A)
【文献】特開2000-312417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/14
H02G 15/18
H01R 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電力ケーブルをそれぞれ把持する一対のケーブルクランプと、
前記電力ケーブルの径方向の外側に、テープを有するテープロールを保持するテープホルダと、
前記テープロールから前記電力ケーブルの外周に向けて前記テープを搬送するテープ搬送機構と、
前記電力ケーブルの周方向に前記テープホルダおよび前記テープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に前記テープを巻回する回転機構と、
前記一対のケーブルクランプの間で、前記テープホルダ、前記テープ搬送機構および前記回転機構を前記電力ケーブルの軸方向に移動させる移動機構と、
を備え
前記テープホルダは、前記テープロールの軸が前記電力ケーブルの軸に交差する方向に向くように、該テープホルダを保持する
テーピング装置。
【請求項2】
前記テープホルダは、複数設けられ、
前記テープ搬送機構は、前記テープホルダと同じ数だけ複数設けられ、
前記回転機構は、前記電力ケーブルの周方向に前記複数のテープホルダおよび前記複数のテープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に複数のテープを巻回するよう構成されている
請求項1に記載のテーピング装置。
【請求項3】
前記テープホルダは、前記テープロールの回転を抑制する摩擦力を前記テープロールに印加可能に構成されている
請求項1または請求項2に記載のテーピング装置。
【請求項4】
複数の電力ケーブルを準備する工程と、
前記複数の電力ケーブルのうち一対の電力ケーブルを接続した少なくとも1つのケーブル接続部を形成する工程と、
を備え、
前記ケーブル接続部を形成する工程は、テーピング装置を用い、前記一対の電力ケーブルの外周にテープを巻回することで、絶縁層を形成する工程を有し、
前記絶縁層を形成する工程では、
前記テーピング装置として、
前記一対の電力ケーブルをそれぞれ把持する一対のケーブルクランプと、
前記電力ケーブルの径方向の外側に、前記テープを有するテープロールを保持するテープホルダと、
前記テープロールから前記電力ケーブルの外周に向けて前記テープを搬送するテープ搬送機構と、
前記電力ケーブルの周方向に前記テープホルダおよび前記テープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に前記テープを巻回する回転機構と、
前記一対のケーブルクランプの間で、前記テープホルダ、前記テープ搬送機構および前記回転機構を前記電力ケーブルの軸方向に移動させる移動機構と、
を備え
前記テープホルダは、前記テープロールの軸が前記電力ケーブルの軸に交差する方向に向くように、該テープホルダを保持する装置を用いる
連結電力ケーブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テーピング装置、および連結電力ケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長い距離にわたって布設される電力ケーブルを製造する場合に、工場内において複数の電力ケーブルを接続することで、所望の距離を有する連結電力ケーブルを製造することがある。この場合のケーブル接続部は「工場ジョイント(FJ:Factory Joint)」と呼ばれている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-56039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、ケーブル接続部の少なくとも1層をテープにより自動且つ安定的に形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
一対の電力ケーブルをそれぞれ把持する一対のケーブルクランプと、
前記電力ケーブルの径方向の外側に、テープを有するテープロールを保持するテープホルダと、
前記テープロールから前記電力ケーブルの外周に向けて前記テープを搬送するテープ搬送機構と、
前記電力ケーブルの周方向に前記テープホルダおよび前記テープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に前記テープを巻回する回転機構と、
前記一対のケーブルクランプの間で、前記テープホルダ、前記テープ搬送機構および前記回転機構を前記電力ケーブルの軸方向に移動させる移動機構と、
を備える
テーピング装置が提供される。
【0006】
本開示の他の態様によれば、
複数の電力ケーブルを準備する工程と、
前記複数の電力ケーブルのうち一対の電力ケーブルを接続した少なくとも1つのケーブル接続部を形成する工程と、
を備え、
前記ケーブル接続部を形成する工程は、テーピング装置を用い、前記一対の電力ケーブルの外周にテープを巻回することで、絶縁層を形成する工程を有し、
前記絶縁層を形成する工程では、
前記テーピング装置として、
前記一対の電力ケーブルをそれぞれ把持する一対のケーブルクランプと、
前記電力ケーブルの径方向の外側に、前記テープを有するテープロールを保持するテープホルダと、
前記テープロールから前記電力ケーブルの外周に向けて前記テープを搬送するテープ搬送機構と、
前記電力ケーブルの周方向に前記テープホルダおよび前記テープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に前記テープを巻回する回転機構と、
前記一対のケーブルクランプの間で、前記テープホルダ、前記テープ搬送機構および前記回転機構を前記電力ケーブルの軸方向に移動させる移動機構と、
を備える装置を用いる
連結電力ケーブルの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ケーブル接続部の少なくとも1層をテープにより自動且つ安定的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るケーブル接続部を示す概略断面図である。
図2図2は、図1における電力ケーブルの先端部分の概略拡大図である。
図3図3は、図1における金属管の溶接部の概略拡大図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に係るテーピング装置を示す概略図である。
図5図5は、図4の一部を電力ケーブルの軸方向から見た拡大図である。
図6図6は、本開示の一実施形態に係る連結電力ケーブルの製造方法を示すフローチャートである。
図7図7は、絶縁層形成工程を示すフローチャートである。
図8図8は、導体接続工程を示す概略図である。
図9図9は、架橋工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
<発明者等の得た知見>
まず、発明者等の得た知見について説明する。
【0010】
(i)ケーブル接続部に関する知見
上述のように、長い距離にわたって布設される電力ケーブルとしては、例えば、海底ケーブル(水底ケーブル)が挙げられる。海底ケーブルを構成する電力ケーブルは、工場の製造能力に基づき、有限長しか製造できない。このため、上述のように工場内において複数の電力ケーブルを接続することで、必要長を有する連結電力ケーブルを海底ケーブルとして製造する。その後、連結電力ケーブルを布設船上に積載する。
【0011】
このような連結電力ケーブルは、ターンテーブルへの巻き取り、運搬、延線および布設などの際に、曲げ応力を受けることとなる。このため、連結電力ケーブルには、例えば、可撓性が求められる。したがって、ケーブル接続部における最外径が、電力ケーブルの最外径とほぼ同等であることが望まれる。
【0012】
また、連結電力ケーブルは、延線および布設などの際、または布設後の潮流などが生じている際に、引張力を受けることとなる。このため、連結電力ケーブルには、例えば、引張強度が求められる。したがって、ケーブル接続部における電力ケーブル同士の接続強度が高いことが望まれる。
【0013】
さらに、連結電力ケーブルは、例えば、海底に布設される際に、ケーブル接続部中に浸水し、導体などが腐食するおそれがある。このため、連結電力ケーブルには、例えば、浸水耐性(防水性)が求められる。したがって、ケーブル接続部における封止性が高いことが望まれる。
【0014】
(ii)ケーブル接続部を構成する各層に関する知見
上述のケーブル接続部では、一対の電力ケーブルが段階的に剥がされた状態で、導体同士が接続される。このため、ケーブル接続部を構成する各層を、内側の層における複雑な外形に合わせて形成することが求められる。
【0015】
そこで、本開示者等は、例えば、ケーブル接続部の絶縁層をテープにより形成することを検討した。これにより、絶縁層よりも内側の層における複雑な外形に合わせて、絶縁層を安定的に形成することができることが分かった。
【0016】
しかしながら、ケーブル接続部の絶縁層を形成するためには、電力ケーブルの外周に、多数回、テープを巻回しなければならなかった。このため、作業者が自身の手でテープを巻回する方法では、作業時間が長くなったり、作業者への負担が増加したりしていた。また、作業者によってテープの巻き付け状態がばらつくことがあった。したがって、ケーブル接続部の少なくとも1層をテープにより自動且つ安定的に形成することができるテーピング装置が望まれていた。
【0017】
さらに、本開示者等は、上述の自動のテーピング装置の必要性に基づき、該テーピング装置として、テープロールを電力ケーブルの周方向に回転させる構成を検討した。
【0018】
しかしながら、テープロールを電力ケーブルの周方向に回転させる構成では、回転機構を含めたテーピング装置の全体が過大となる可能性があった。このため、装置コストが増大したり、装置スペースが拡大したりする可能性があった。
【0019】
本開示は、本開示者等が見出した上記知見(i)および(ii)に基づくものである。
【0020】
<本開示の実施態様>
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
【0021】
[1]本開示の一態様に係るテーピング装置は、
一対の電力ケーブルをそれぞれ把持する一対のケーブルクランプと、
前記電力ケーブルの径方向の外側に、テープを有するテープロールを保持するテープホルダと、
前記テープロールから前記電力ケーブルの外周に向けて前記テープを搬送するテープ搬送機構と、
前記電力ケーブルの周方向に前記テープホルダおよび前記テープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に前記テープを巻回する回転機構と、
前記一対のケーブルクランプの間で、前記テープホルダ、前記テープ搬送機構および前記回転機構を前記電力ケーブルの軸方向に移動させる移動機構と、
を備える。
この構成によれば、ケーブル接続部の少なくとも1層をテープにより自動且つ安定的に形成することが可能となる。
【0022】
[2]上記[1]に記載のテーピング装置において、
前記テープホルダは、前記テープロールの軸が前記電力ケーブルの軸に交差する方向に向くように、該テープホルダを保持する。
この構成によれば、テーピング装置が過大となることを抑制することができる。
【0023】
[3]上記[1]又は[2]に記載のテーピング装置において、
前記テープホルダは、複数設けられ、
前記テープ搬送機構は、前記テープホルダと同じ数だけ複数設けられ、
前記回転機構は、前記電力ケーブルの周方向に前記複数のテープホルダおよび前記複数のテープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に複数のテープを巻回するよう構成されている。
この構成によれば、多数回のテープの巻回が必要な層を早く形成することができる。
【0024】
[4]上記[1]から[3]のいずれか1つに記載のテーピング装置において、
前記テープホルダは、前記テープロールの回転を抑制する摩擦力を前記テープロールに印加可能に構成されている。
この構成によれば、テープの張力を容易に調整することができる。
【0025】
[5]本開示の更に他の態様に係る連結電力ケーブルの製造方法は、
複数の電力ケーブルを準備する工程と、
前記複数の電力ケーブルのうち一対の電力ケーブルを接続した少なくとも1つのケーブル接続部を形成する工程と、
を備え、
前記ケーブル接続部を形成する工程は、テーピング装置を用い、前記一対の電力ケーブルの外周にテープを巻回することで、絶縁層を形成する工程を有し、
前記絶縁層を形成する工程では、
前記テーピング装置として、
前記一対の電力ケーブルをそれぞれ把持する一対のケーブルクランプと、
前記電力ケーブルの径方向の外側に、前記テープを有するテープロールを保持するテープホルダと、
前記テープロールから前記電力ケーブルの外周に向けて前記テープを搬送するテープ搬送機構と、
前記電力ケーブルの周方向に前記テープホルダおよび前記テープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に前記テープを巻回する回転機構と、
前記一対のケーブルクランプの間で、前記テープホルダ、前記テープ搬送機構および前記回転機構を前記電力ケーブルの軸方向に移動させる移動機構と、
を備える装置を用いる。
この構成によれば、ケーブル接続部の少なくとも1層をテープにより自動且つ安定的に形成することが可能となる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0027】
<本開示の一実施形態>
(1)連結電力ケーブルおよびケーブル接続部
本開示の一実施形態に係る連結電力ケーブル10およびケーブル接続部(ケーブル接続構造)20について、図1図3を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るケーブル接続部を示す概略断面図である。図2は、図1における電力ケーブルの先端部分の概略拡大図である。図3は、図1における金属管の溶接部の概略拡大図である。
【0028】
なお、図1において、電力ケーブル100は、段剥ぎされた側面が示されている。図1図3は、あくまで模式図であるため、各図で示された各部の厚さ、間隔および形状などは、実形状と異なっている可能性がある。また、図1図3のそれぞれの下側は省略している。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の連結電力ケーブル10は、水底(海底)に布設される水底ケーブルとして構成され、複数の電力ケーブル100と、少なくとも1つケーブル接続部20と、を有している。
【0030】
なお、以下において、電力ケーブル100等の「軸方向」とは、電力ケーブル100等の中心軸に沿った方向のことをいい、電力ケーブル100等の長手方向と言い換えることができる。また、電力ケーブル100等の「径方向」とは、電力ケーブル100等の軸方向に垂直な方向のことをいい、場合によっては電力ケーブル100等の短手方向と言い換えることができる。また、電力ケーブル100等の「周方向」とは、電力ケーブル100等の外周に沿った方向のことをいう。
【0031】
[電力ケーブル]
電力ケーブル100は、高電圧の送電ケーブルである固体絶縁ケーブル(CEケーブル:Crosslinked polyethylene(PE) insulated PE sheathed cable、XLPEケーブルともいう)として構成されている。
【0032】
電力ケーブル100は、例えば、中心軸側から外周側に向けて、導体110、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁層130、ケーブル外部半導電層140、吸水層(不図示)、ケーブル金属管150、およびケーブルシース160を有している。なお、電力ケーブル100のうち、導体110からケーブル外部半導電層140までの部分を「ケーブルコア」ということがある。
【0033】
導体110は、例えば、図1および図2では省略しているが、複数の導体素線112を螺旋状に撚り合わせた複数の導体素線層114を有している。導体素線112は、例えば、銅、銅合金、アルミ、またはアルミ合金からなっている。
【0034】
電力ケーブル100は、導体110の先端から反対側に向けて段階的に剥がされている(いわゆる“段剥ぎ”されている)。すなわち、導体110、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁層130、ケーブル外部半導電層140、ケーブル金属管150、およびケーブルシース160は、導体110の先端側から反対側に向けてこの順で露出している。以下、段剥ぎされた各部を「露出部」ということがある。このような構成により、電力ケーブル100同士を中心軸側から外周側に向けて順番に接続することができる。
【0035】
導体110、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁層130、ケーブル外部半導電層140、およびケーブル金属管150は、導体110の軸に対して斜めにカットされている。言い換えれば、電力ケーブル100は、例えば、鉛筆状に加工されており、導体110の先端から反対側に向けて拡径した円錐状の剥離面(符号不図示)を有している。
【0036】
ここで、図2に示すように、ケーブル絶縁層130は、例えば、導体110の軸に対して所定のテーパ角度θで傾斜した剥離面を有している。ケーブル絶縁層130の剥離面のテーパ角度θは、例えば、導体110の軸に対して5.2°以上8.6°以下である。テーパ角度θを5.2°以上とすることで、導体110の軸方向におけるケーブル接続部20の長さが過剰に長くなることを抑制することができる。一方、テーパ角度θを8.6°以下とすることで、露出したケーブル絶縁層130周辺の電界を緩和しつつ作業性も確保することができる。
【0037】
図1に示すように、電力ケーブル100は、複数設けられている。複数の電力ケーブル100のうち、一対の電力ケーブル100は、互いの導体110の軸を一致させて突き合わせられている。なお、以下において、当該一対の電力ケーブル100のうちの1つの電力ケーブル100を「第1電力ケーブル100a」といい、他の1つ電力ケーブル100を「第2電力ケーブル100b」ということがある。
【0038】
[ケーブル接続部]
図1に示すように、ケーブル接続部20は、例えば、導体接続部210と、内部半導電層220と、絶縁層230と、外部半導電層240と、吸水テープ層242と、金属管(保護管)250と、防食層(接続部シース)260と、を有している。
【0039】
(導体接続部)
導体接続部210では、一対の電力ケーブル100のそれぞれの導体110が接続されている。なお、一対の導体110が接続された点を「接続点」ともいう。導体接続部210は、例えば、一対の導体110の露出部(符号不図示)と、溶接部212と、を有している。
【0040】
導体接続工程の詳細は後述するが、本実施形態の導体接続部210の溶接部212では、例えば、導体110の外周に金属筒(いわゆる導体スリーブ)が設けられていない状態で、導体110同士が直接溶接されている。当該溶接部212では、後述のように、導体110が有する複数の導体素線層114のそれぞれで、複数の導体素線112が溶接されている。また、導体接続部210は、例えば、導体110の径方向に圧縮されている。このような構成により、導体接続部210の外径は、ほぼ電力ケーブル100の導体110の外径と等しくなっている。
【0041】
(内部半導電層)
図1および図2に示すように、内部半導電層220は、導体接続部210の外周を覆うように設けられている。内部半導電層220は、半導電性を有している。これにより、導体接続部210の表面付近の電界集中を緩和することができる。
【0042】
本実施形態では、内部半導電層220は、例えば、導体接続部210の外周に巻き付けられた半導電性テープにより構成されている。半導電性テープは、例えば、半導電性ゴムを塗り込んだナイロンまたはテトロン(登録商標)などの布テープ、または、電力ケーブル100のケーブル内部半導電層120と同様の半導電性樹脂材料により構成され架橋剤を有したテープであり、後述の架橋工程によって架橋される。このような半導電性テープにより内部半導電層220を形成することで、導体接続部210の外形および長さに合わせて、内部半導電層220を形成することができる。
【0043】
(絶縁層)
図1に示すように、絶縁層230は、内部半導電層220の外周を覆うように設けられている。絶縁層230は、絶縁性を有している。これにより、導体接続部210の外側の絶縁性が確保されている。
【0044】
本実施形態では、絶縁層230は、例えば、内部半導電層220、およびケーブル絶縁層130の露出部を覆っている。該絶縁層230は、例えば、導体110の軸方向における絶縁層230の端部から中央に向けて拡径した円錐面を有している。
【0045】
本実施形態では、絶縁層230は、例えば、内部半導電層220およびケーブル絶縁層130の露出部の外周に巻き付けられた絶縁性テープにより構成されている。絶縁性テープは、例えば、電力ケーブル100のケーブル絶縁層130と同様の絶縁性樹脂材料により構成され架橋剤を有したテープであり、後述の架橋工程によって架橋される。このような絶縁性テープにより絶縁層230を形成することで、内部半導電層220およびケーブル絶縁層130の露出部における複雑な外形に合わせて、絶縁層230を形成することができる。
【0046】
当該絶縁層230は、後述のテーピング装置40を用いて絶縁性のテープ232により形成される。この内容については、詳細を後述する。
【0047】
(外部半導電層)
図1に示すように、外部半導電層240は、絶縁層230の外周を覆うように設けられている。外部半導電層240は、半導電性を有している。これにより、絶縁層230の外側付近の電界集中を緩和することができる。
【0048】
本実施形態では、外部半導電層240は、例えば、ケーブル絶縁層130の外周を被覆する半導電性チューブにより構成されている。半導電性チューブの材質としては、例えば、カーボンブラックなどを含む樹脂材料などが挙げられる。また、半導電性チューブは、熱収縮性を有している。また、半導電性チューブは、当該半導電性チューブの製造時に電子線照射などの手法で架橋されているが、後述の架橋工程によって絶縁層と溶着して一体化する。このような半導電性チューブにより外部半導電層240を構成することで、外部半導電層240よりも内側の層がテープにより構成されていても、外部半導電層240の表面を滑らかにすることができる。
【0049】
本実施形態では、外部半導電層240は、絶縁層230の外周を覆いつつ、ケーブル外部半導電層140の露出端部に接している。これにより、外部半導電層240は、ケーブル外部半導電層140と電気的に等電位となっている。
【0050】
(吸水テープ層)
図1に示すように、吸水テープ層242は、例えば、外部半導電層240の外周を覆うように設けられ、すなわち、外部半導電層240と後述の金属管250との間に設けられていることが好ましい。吸水テープ層242は、電力ケーブル100の吸水層と同様に構成されたものであり、例えば、ポリエステル基布に半導電性ゴムを塗り込み吸水ポリマを貼り付けたテープである。このような吸水テープ層242を設けることにより、金属管250内に水が侵入したとしても、水の伝播(すなわち、走水)を抑制することができる。
【0051】
(金属管)
図1に示すように、金属管250は、外部半導電層240(吸水テープ層242)の外周を覆うように設けられている。金属管250は、剛性を有する金属からなっている。金属管250を構成する金属としては、例えば、鉛、アルミなどが挙げられる。このような金属管250を設けることで、ケーブル接続部20の耐衝撃性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態では、金属管250は、該金属管250の内側に位置する層(すなわち、ここでいう吸水テープ層242)の外周面に接するように縮径されている。そのため、金属管250は、例えば、縮径された痕跡を有している。このような構成により、ケーブル接続部20の最外径を小さくすることができる。
【0053】
図3に示すように、金属管250の軸方向の端部とケーブル金属管150の軸方向の端部とは、溶接部252により溶接されている。これにより、金属管250およびケーブル金属管150の間における浸水を抑制し、これらを電気的に等電位とすることができる。
【0054】
また、本実施形態では、溶接部252とケーブル外部半導電層140との間に、断熱性を有する断熱部244が設けられていることが好ましい。これにより、溶接部252の溶接時に、ケーブルコアの熱劣化を抑制することができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、溶接部252の外周を覆うように、補強部254が設けられている。具体的には、補強部254は、例えば、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂に浸したガラステープと、これらを覆う粘着PET(Polyethylene Terephthalate)テープと、を有している。これにより、溶接部252の端部におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0056】
(防食層)
図1に示すように、防食層260は、金属管250の外周およびケーブル金属管150の露出部を覆うように設けられている。防食層260は、防食性を有する樹脂からなっている。防食性を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレン混和物などが挙げられる。これにより、ケーブルコアの腐食を抑制することができる。
【0057】
本実施形態では、防食層260は、例えば、金属管250の外周、ケーブル金属管150の露出部およびケーブルシース160の外周の一部を覆うチューブにより構成されている。防食層260のチューブにより、金属管250の外周を容易に覆うことができる。また、防食層260の外周面を滑らかにすることができる。
【0058】
防食層260は、ケーブルシース160の外周の一部までを覆っているため、ケーブルシース160の外周上に膨らみ部260aを有している。膨らみ部260aにより、ケーブルコアへの浸水を安定的に抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、防食層260は、例えば、導体110の径方向に複数層設けられていてもよい。これにより、防食層260の防食性および信頼性を向上させることができる。
【0060】
具体的には、第1防食層262は、金属管250の外周、ケーブル金属管150の露出部およびケーブルシース160の外周の一部を覆うように設けられている。第1防食層262の軸方向の端部とケーブルシース160との間の段差を覆うように、第1防食部263が設けられている。第1防食部263は、例えば、加熱溶融させたポリエチレン(PE)テープにより構成されている。
【0061】
さらに、第2防食層264は、第1防食層262の外周、第1防食部263、およびケーブルシース160の外周の一部を覆うように設けられている。第2防食層264の軸方向の端部とケーブルシース160との間の段差を覆うように、第2防食部265が設けられている。第2防食部265は、例えば、加熱溶融させたPEテープにより構成されている。
【0062】
このような構成により、防食層260の防食性および信頼性を向上させることが可能となる。
【0063】
なお、図1に示すように、本実施形態では、ケーブル金属管150の露出部とケーブルシース160との間の段差を埋めるように、充填部256が設けられていることが好ましい。充填部256は、例えば、粘着PEテープおよび粘着PETテープにより構成されている。これにより、ケーブル金属管150の露出部とケーブルシース160との間において、防食層260を滑らかに被覆させることができる。
【0064】
(カバー部)
本実施形態では、防食層260の軸方向の端部(第2防食部265)を覆うように、カバー部270が設けられていることが好ましい。カバー部270は、例えば、粘着PEテープおよび粘着PETテープにより構成されている。これにより、防食層260の軸方向の端部付近の凹凸を滑らかにすることができる。
【0065】
(その他)
本実施形態では、連結電力ケーブル10は、ケーブル接続部20の位置を示す標識を有していることが好ましい。標識は、例えば、電力ケーブル100またはケーブル接続部20の外周面に貼り付けられた着色テープにより構成されている。なお、標識は、電力ケーブル100の外周面上に印刷または塗布されたパターンとして構成されていてもよい。標識の位置としては、ケーブル接続部20の両端、または中央部などが挙げられる。これにより、ケーブル接続部20の位置を容易に視認することができる。
【0066】
(具体的寸法等)
本実施形態のケーブル接続部20の最外径は、例えば、電力ケーブル100の最外径とほぼ同等となっている。具体的には、導体接続部210を含み電力ケーブル100の軸に垂直な断面における防食層260の最外径は、例えば、電力ケーブル100の最外径に対して+5mm以上+15mm以下である。
【0067】
なお、本実施形態では、上述の防食層260の膨らみ部260aが形成されている位置であっても、ケーブル接続部20の最外径が抑えられている。具体的には、膨らみ部260aを含み電力ケーブル100の軸に垂直な断面における最外径は、例えば、電力ケーブル100の最外径に対して+5mm以上+20mm以下である。
【0068】
(2)テーピング装置
次に、図4および図5を参照し、本実施形態に係るテーピング装置40について説明する。図4は、本実施形態に係るテーピング装置を示す概略図である。図5は、図4の一部を電力ケーブルの軸方向から見た拡大図である。
【0069】
なお、テーピング装置40において、「電力ケーブル100の軸方向」とは、「ケーブルクランプ410に把持される電力ケーブル100の延在方向」、或いは「ケーブルクランプ410における電力ケーブル100の挿通方向」と言い換えることができる。
【0070】
本実施形態に係るテーピング装置40は、例えば、電力ケーブル100の外周に所定のテープ232を巻回することで、ケーブル接続部20を構成する少なくとも1層を形成するよう構成されている。具体的には、テーピング装置40は、例えば、上述のように、少なくとも絶縁層230を形成するよう構成されている。
【0071】
図4および図5に示すように、本実施形態のテーピング装置40は、例えば、ケーブルクランプ410と、テープホルダ420と、テープ搬送機構430と、回転機構440と、移動機構450と、支持台462と、昇降機構464と、台車466と、制御部490と、を備えている。
【0072】
[ケーブルクランプ]
図4に示すように、ケーブルクランプ410は、例えば、一対設けられている。一対のケーブルクランプ410(410a、410b)は、例えば、一対の電力ケーブル100(100a、100b)をそれぞれ把持するよう構成されている。
【0073】
一対のケーブルクランプ410に把持される一対の電力ケーブル100では、上述の段剥ぎされた状態で導体110同士が接続され、導体接続部210が形成されている。さらに、導体接続部210の外周を覆うように、内部半導電層220が設けられている。
【0074】
具体的には、ケーブルクランプ410は、例えば、電力ケーブル100が挿通される挿通穴(符号不図示)を有している。また、ケーブルクランプ410の上側と下側とは、ケーブルクランプ410の該挿通穴を含む断面で、開閉可能に分離されている。ケーブルクランプ410の上側と下側とは、該挿通穴内に電力ケーブル100を挿通させた状態で互いにネジ締結されるよう構成されている。このような構成により、ケーブルクランプ410により電力ケーブル100を把持することができる。
【0075】
[テープホルダ]
図4および図5に示すように、テープホルダ420は、例えば、電力ケーブル100の外側に、テープ232を有するテープロール234を保持するよう構成されている。
【0076】
なお、ここでいう「テープ232」は、例えば、絶縁層230を構成する絶縁性のテープである。また、「テープロール234」は、テープ232を複数回巻回したロールである。
【0077】
ここで、絶縁層230よりも内側の層における複雑な外形に合わせて、絶縁層230を形成するため、絶縁層230用のテープ232の幅を短くすることが好ましい。このため、電力ケーブル100に対するテープ232の巻回数が増加する。その結果、テープロール234の直径は、大きくなり、例えば、テープ232の幅よりも大きくなる。
【0078】
そこで、本実施形態では、テープホルダ420は、例えば、テープロール234の軸が電力ケーブル100の軸に交差する方向に向くように、該テープロール234を保持するよう構成されている。さらには、テープホルダ420は、例えば、電力ケーブル100の軸に直交する方向にテープロール234の軸が向くように、該テープロール234を保持することが好ましい。これにより、テープロール234の直径が大きくても、テーピング装置40が過大となることを抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態では、テープホルダ420は、例えば、テープロール234の回転を抑制する摩擦力を該テープロール234に印加可能に構成されている。具体的には、テープホルダ420は、例えば、テープロール234の筒状の芯の内周面に摩擦力を印加する皿ネジを有している。これにより、テープ232の張力を容易に調整することができる。
【0080】
[テープ搬送機構]
図4および図5に示すように、テープ搬送機構430は、例えば、テープロール234から電力ケーブル100の外周に向けてテープ232を搬送する(送り出す)よう構成されている。
【0081】
具体的には、図5に示すように、テープ搬送機構430は、例えば、テープロール234からのテープ232の搬送方向を変換させる複数の搬送ローラを有している。複数の搬送ローラは、例えば、第1搬送ローラ432と、第2搬送ローラ434と、を含んでいる。
【0082】
第1搬送ローラ432は、例えば、テープホルダ420に保持されるテープロール234の軸に沿った第1回転軸433を有している。第1搬送ローラ432は、例えば、テープホルダ420に保持されるテープロール234と、電力ケーブル100との間に配置されている。また、第1搬送ローラ432の第1回転軸433は、例えば、電力ケーブル100の軸方向から見て、テープホルダ420に保持されるテープロール234の軸と重なり且つ平行に配置されていることが好ましい。
【0083】
第2搬送ローラ434は、例えば、電力ケーブル100の軸に沿った第2回転軸435を有している。第2搬送ローラ434は、例えば、電力ケーブル100の径方向の外側で、第1搬送ローラ432と干渉しない位置に配置されている。また、第2搬送ローラ434の第2回転軸435は、例えば、電力ケーブル100の軸に平行に配置されていることが好ましい。
【0084】
テープ搬送機構430は、例えば、第1搬送ローラ432と第2搬送ローラ434との間で、テープ232を捩じって、テープ232の幅方向をテープロール234の軸に沿った方向から電力ケーブル100の軸に沿った方向に変換するよう構成されている。
【0085】
なお、第2搬送ローラ434は、例えば、複数設けられていてもよい。
【0086】
[複数配置]
本実施形態では、上述のテープホルダ420は、複数設けられている。また、テープ搬送機構430は、テープホルダ420と同じ数だけ複数設けられている。
【0087】
具体的には、テープホルダ420は、例えば、2つ設けられている。2つのテープホルダ420を、「テープホルダ420a、420b」とする。また、テープ搬送機構430も、例えば、2つ設けられている。2つテープ搬送機構430を、「テープ搬送機構430a、430b」とする。テープ搬送機構430aが、テープホルダ420aからのテープ232を搬送し、テープ搬送機構430bが、テープ搬送機構430aと同様の構成部材を有し、テープホルダ420bからのテープ232を搬送するよう構成されている。
【0088】
[回転機構]
図4および図5に示すように、回転機構440は、例えば、電力ケーブル100の周方向(例えば図中の太矢印方向)にテープホルダ420およびテープ搬送機構430を回転させ、電力ケーブル100の外周にテープ232を巻回するよう構成されている。なお、回転機構440は、例えば、テープホルダ420およびテープ搬送機構430を、これらの相対的な位置関係を維持したまま、電力ケーブル100の周方向に回転させる。
【0089】
具体的には、回転機構440は、例えば、回転筒442と、モータ444と、を有している。
【0090】
回転筒442は、例えば、電力ケーブル100が挿通される中空部(符号不図示)を有している。また、回転筒442は、例えば、テープホルダ420およびテープ搬送機構430を電力ケーブル100の径方向の外側に保持しつつ、電力ケーブル100の周方向に回転可能に構成されている。より具体的には、回転筒442は、例えば、回転筒442の外周側にテープホルダ420を保持し、回転筒442の軸方向の第1端側にテープホルダ420を保持している。さらに、回転筒442は、例えば、回転筒442の軸方向の第2端側の外周に亘って設けられたギア442gを有している。
【0091】
なお、回転筒442は、例えば、該回転筒442の軸方向に沿った中空部を含む断面で開閉可能に分割されている。これにより、回転筒442の中空部内に、電力ケーブル100を容易に挿通させることができる。
【0092】
モータ444は、例えば、上述の回転筒442のギア442gに噛み合うことで、回転筒442を回転させるよう構成されている。モータ444は、例えば、後述の制御部490に接続されている。
【0093】
また、本実施形態では、回転機構440は、例えば、電力ケーブル100の周方向に複数のテープホルダ420および複数のテープ搬送機構430を回転させ、電力ケーブル100の外周に複数のテープ232を巻回するよう構成されている。なお、回転機構440は、例えば、複数のテープホルダ420および複数のテープ搬送機構430を、これらの相対的な位置関係を維持したまま、電力ケーブル100の周方向に回転させる。このような構成により、複数のテープ232を同時に巻回したり、複数のテープ232の少なくとも一部を互いに重ね合わせて巻回する(いわゆるラップ巻きする)ことができる。
【0094】
[移動機構]
図4に示すように、移動機構450は、例えば、一対のケーブルクランプ410の間で、テープホルダ420、テープ搬送機構430および回転機構440を電力ケーブル100の軸方向に移動させるよう構成されている。
【0095】
具体的には、移動機構450は、いわゆるリニアガイドとして構成され、例えば、レール452と、ボールねじ(不図示)と、ボールねじ用モータ(不図示)と、ブロック454と、を有している。
【0096】
レール452およびボールねじは、例えば、一対のケーブルクランプ410に把持される電力ケーブル100の軸方向に沿って設けられている。例えば、一対のレール452の間に、ボールねじが配置されている。ボールねじ用モータは、該ボールねじの周方向にボールねじを回転させるよう構成されている。ブロック454は、ボールねじに螺合し、ボールねじの周方向への回転にしたがって、レール452に沿って直線的に移動するよう構成されている。ブロック454上には、上述の少なくとも回転機構440が固定されている。このような構成により、移動機構450のブロック454をレール452に沿って移動させることで、テープ搬送機構430および回転機構440を電力ケーブル100の軸方向に移動させることができる。
【0097】
[装置下方の構成]
図4に示すように、支持台462は、例えば、少なくとも一対のケーブルクランプ410および移動機構450を支持するよう構成されている。昇降機構464は、例えば、支持台462を鉛直方向に昇降させるよう構成されている。これにより、電力ケーブル100の鉛直下側からテーピング装置40を上昇させることで、テーピング装置40に電力ケーブル100を容易にセットすることができる。
【0098】
台車466は、例えば、昇降機構464を載置した状態で移動可能に構成されている。これにより、テーピング装置40を任意の位置に移動させることができる。
【0099】
[制御部(制御盤)]
図4に示すように、制御部490は、例えば、少なくとも回転機構440および移動機構450に接続され、これらを制御するよう構成されている。
【0100】
制御部490は、例えば、コンピュータを有している。具体的には、コンピュータは、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)として構成され、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、記憶装置、I/Oポートおよび入出力部を有している。RAM、記憶装置、およびI/Oポートは、CPUとデータ交換可能に構成されている。I/Oポートは、例えば、回転機構440および移動機構450のそれぞれに接続されている。入出力部は、作業員が所定の指示および運転条件などをコンピュータに入力したり、テーピング装置40の状況を出力(表示)したりするよう構成されている。
【0101】
制御部490は、例えば、電力ケーブル100の周方向にテープホルダ420およびテープ搬送機構430を回転させるように、回転機構440を制御可能に構成されている。また、制御部490は、例えば、回転機構440のモータ444から取得した回転数に基づいて、回転機構440をフィードバック制御可能に構成されている。
【0102】
制御部490は、例えば、一対のケーブルクランプ410の間で、テープホルダ420、テープ搬送機構430および回転機構440を電力ケーブル100の軸方向に移動させるように、移動機構450を制御可能に構成されている。また、制御部490は、例えば、移動機構450のモータから取得した回転数に基づいて、移動機構450をフィードバック制御可能に構成されている。
【0103】
制御部490は、移動機構450を制御する際に、位置センサからの情報を得ることで、テープホルダ420、テープ搬送機構430および回転機構440の位置を把握し、
任意の位置で反転操作や停止操作を行うことができる。位置センサは、例えば、エンコーダや変位センサなどである。
【0104】
制御部490は、回転機構440と移動機構450を制御することで、テープ232を任意の長さに重ね合わせて巻回する(ラップ巻きする)ことができる。
【0105】
本実施形態では、制御部490は、例えば、電力ケーブル100の外周に巻回されるテープ232の一部を電力ケーブル100の軸方向に順次重ならせながら、テープホルダ420、テープ搬送機構430および回転機構440を移動させるように、移動機構450を制御する。また、制御部490は、例えば、一対のケーブルクランプ410の間で、テープホルダ420、テープ搬送機構430および回転機構440を電力ケーブル100の軸方向に反復移動させるように、移動機構450を制御する。また、制御部490は、例えば、一対の電力ケーブル100の接続点から電力ケーブル100の軸方向の外側に向けて徐々に反復移動範囲を広げていくように、移動機構450を制御する。
【0106】
さらに、本実施形態では、制御部490は、例えば、自動運転モードと、手動運転モードとに切り替え可能に構成されている。
【0107】
自動運転モードでは、制御部490は、例えば、作業員が入出力部に入力した運転条件に基づいて、開始指示をトリガとして、回転機構440および移動機構450を自動制御するよう構成されている。運転条件として、例えば、テープ232の重なり長さ、テープ巻き速度、反転回数、左右反転位置、反転後の反転位置補正などを入力することで、接続部の絶縁層230の形状に合せて自動巻きが可能となる。
【0108】
一方で、手動運転モードでは、制御部490は、例えば、作業員により手動運転可能に構成され、すなわち、作業員が入出力部に入力した運転指示に基づき、回転機構440および移動機構450を制御(運転、停止、速度変更、左右反転)する。
【0109】
[その他の構成]
その他、テーピング装置40は、例えば、一対のケーブルクランプ410内に侵入する物体を検知する侵入センサ(不図示)、および、テープホルダ420、テープ搬送機構430並びに回転機構440に近接する物体を検知する近接センサ(不図示)のうち少なくともいずれかを有していることが好ましい。これにより、テーピング装置40と人体との接触などを回避することができる。
【0110】
さらには、テーピング装置40は、例えば、一対のケーブルクランプ410、テープホルダ420、テープ搬送機構430、回転機構440および移動機構450を全て覆うカバー(不図示)を有していることが好ましい。これにより、テーピング装置40と人体との接触などを確実に回避することができる。
【0111】
(3)連結電力ケーブルの製造方法(ケーブル接続方法)
次に、図1図9を参照し、本実施形態に係る連結電力ケーブルの製造方法について説明する。図6は、本実施形態に係る連結電力ケーブルの製造方法を示すフローチャートである。図7は、絶縁層形成工程を示すフローチャートである。なお、ステップを「S」と略している。図8は、導体接続工程を示す概略図である。図9は、架橋工程を示す概略図である。
【0112】
図6に示すように、本実施形態の連結電力ケーブル10の製造方法は、例えば、準備工程S100と、ケーブル接続工程S200と、を有している。
【0113】
[S100:準備工程]
まず、複数の電力ケーブル100を準備する
【0114】
具体的には、電力ケーブル100を、導体110の先端から反対側に向けて段階的に剥がす。このとき、電力ケーブル100を鉛筆状に加工し、導体110の先端から反対側に向けて拡径した円錐状の剥離面を形成する。
【0115】
また、図2に示すように、ケーブル絶縁層130において、例えば、導体110の軸に対して所定のテーパ角度θで傾斜した剥離面を形成する。ケーブル絶縁層130の剥離面のテーパ角度θを、例えば、5.2°以上8.6°以下とする。
【0116】
一対の電力ケーブル100のそれぞれの段剥ぎが完了したら、例えば、外部半導電層240を構成する半導電性チューブ、第2架橋工程S244に用いる押えチューブ群、金属管250、および防食層260を構成するチューブの内部に、第1電力ケーブル100aを挿通させておく。
【0117】
次に、電力ケーブル100を直線状に整形する(いわゆる“直出し”を行う)。具体的には、導体110、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁層130およびケーブル外部半導電層140の露出部を覆うように、ヒータを巻き付け、所定時間、所定の温度に加熱する。加熱が完了したら、ヒータなどを外す。次に、固定治具に沿わせて、導体110、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁層130およびケーブル外部半導電層140の露出部を固定する。その状態で、導体110、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁層130およびケーブル外部半導電層140の露出部を冷却する。これにより、電力ケーブル100が直線状に整形される。
【0118】
[S200:ケーブル接続工程]
準備工程S100が完了したら、ケーブル接続工程S200を行う。ケーブル接続工程S200は、例えば、導体接続工程S210と、内部半導電層形成工程S220と、第1架橋工程S224、絶縁層形成工程S230と、外部半導電層形成工程S240と、第2架橋工程S244と、検査工程S250と、金属管形成工程S260と、防食層形成工程S270と、後処理工程S280と、を有している。
【0119】
(S210:導体接続工程)
一対の電力ケーブル100のそれぞれの導体110を接続した導体接続部210を形成する。
【0120】
具体的には、図8に示すように、導体110を構成する最も外側の導体素線層114fの外周にリング320を嵌める。当該リング320は、溶接時の冷却のためにも用いられる。リング320を嵌めたら、リング320の外形に沿って、導体素線層114fを構成する導体素線112を折り曲げる。
【0121】
以上の導体素線層114fに係る手順と同様の手順を、導体素線層114e~114cのそれぞれにおいて順次繰り返す。その後、中心の導体素線層114aおよび114bのみを直線状に残す。直線状に残した導体素線層114aおよび114bの先端を、錐状(テーパ状)にカットする。
【0122】
導体素線層114の折り曲げなどが完了したら、エアノズル310を導体110の露出部に向けて配置する。一対の電力ケーブル100のそれぞれの導体110を、所定間隔をあけて一直線上に突き合わせる。
【0123】
次に、以下の手順で、導体素線層114のそれぞれを溶接する。導体110の溶接方法としては、例えば、プロパンガスおよび酸素ガスなどを用いたガス溶接が挙げられる。
【0124】
まず、一対の電力ケーブル100において、直線状の導体素線層114aおよび114bを溶接する。溶接中および溶接後、エアノズル310から導体110に対して冷却エアーを供給し、導体素線層114aおよび114bの溶接部分を冷却する。冷却方法は、リング320の内部に冷却水の流路を形成し冷却水を通す方法であってもよい。冷却後、ベルトサンダーおよびサンドペーパーにより、導体素線層114aおよび114bの溶接部分を整形する。
【0125】
次に、折り曲げられていた導体素線層114cの導体素線112を直線状に戻し、導体素線層114cの折り曲げに用いられたリング320を外す。このとき、治具などを用い、導体素線層114cを整形する。整形後、一対の電力ケーブル100において、導体素線層114cのそれぞれの導体素線112を溶接する。溶接後、導体素線層114cの導体素線112の溶接部分を冷却する。冷却後、仕上がり外径が仕様を満たさない場合には、適宜、治具を用いて、導体素線層114c~114aを整形する。
【0126】
以上の導体素線層114cの溶接に係る手順と同様の手順を、導体素線層114d~114fのそれぞれにおいて順次繰り返す。このようにして導体接続部210を形成する。
【0127】
その後、所定の導体圧縮装置あるいは圧縮工具を用い、導体接続部210を圧縮整形する。圧縮成型により、導体接続部210の外径を、ほぼ電力ケーブル100の導体110の外径と等しくするとともに、導体接続部210の曲がりを矯正する。
【0128】
これらの結果、導体接続部210において溶接された全ての導体素線112は一体となる。
【0129】
(S220:内部半導電層形成工程)
導体接続工程S210後、導体接続部210の外周を覆うように、半導電性を有する内部半導電層220を形成する。
【0130】
具体的には、一対の電力ケーブル100を相反する方向に引張り、これらを直線状に維持する。この状態で、導体接続部210の外周を覆うように、半導電性テープを巻き付ける。これにより、内部半導電層220を形成する。
【0131】
(S224:第1架橋工程)
内部半導電層形成工程S220後、本実施形態では、内部半導電層220を架橋させる。
【0132】
具体的には、内部半導電層220、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁層130およびケーブル外部半導電層140の露出部を覆うように、押えテープ群を巻き付ける。更に、熱電対、アルミ箔、ヒータを取付け、所定時間、所定の温度に加熱領域を加熱する。これにより、内部半導電層220を架橋させる。架橋が完了したら、ヒータおよび押えテープ群を順次外していく。架橋完了後、内部半導電層220、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁層130およびケーブル外部半導電層140の表面を削り、規定の外径寸法に仕上げる。
【0133】
(S230:絶縁層形成工程)
第1架橋工程S224後、内部半導電層220の外周を覆うように、絶縁性を有する絶縁層230を形成する。本実施形態では、上述したテーピング装置40を用い、内部半導電層220、およびケーブル絶縁層130の露出部を覆うように、絶縁性のテープ232を巻き付ける。これにより、絶縁層230を形成する。
【0134】
本実施形態では、絶縁層形成工程S230は、例えば、テーピング装置準備工程S231と、自動テーピング工程S232と、手動テーピング工程S233と、手巻き工程S234と、装置解体工程S235と、を有している。
【0135】
(S231:テーピング装置準備工程)
まず、クリーンブース内の清掃を行う。清浄になったクリーンブース内に、上述のテーピング装置40を配置する。
【0136】
次に、テーピング装置40において、一対のケーブルクランプ410のそれぞれの上側を開くとともに、回転機構440の回転筒442の上側を開く。また、昇降機構464により、支持台462を下降させておく。この状態のテーピング装置40を、一対の電力ケーブル100の接続点付近の鉛直下側に移動させる。テーピング装置40を所定位置に移動させたら、昇降機構464により、支持台462を上昇させる。
【0137】
支持台462を上昇させたら、一対のケーブルクランプ410により、それぞれ、一対の電力ケーブル100を把持させる。また、回転機構440の回転筒442の中空部内に電力ケーブル100を挿通させた状態で、該回転筒442の上側を閉じ、回転筒442の上側および下側を連結する。
【0138】
上述のようにテーピング装置40に電力ケーブル100をセットしたら、テープホルダ420にテープロール234をセットする。次に、テープ232をテープロール234からテープ搬送機構430を通して電力ケーブル100まで送り出し、該テープ232の始点を一対の電力ケーブル100の接続点の外周に接着させる。
【0139】
(S232:自動テーピング工程)
上述の準備が完了したら、作業員は、制御部490において自動運転モードに切り替え、入出力部に運転条件および開始指示を入力する。作業員が入出力部に入力した開始指示をトリガとして、所定の運転条件に基づいて、回転機構440および移動機構450によるテープ232の巻回を行う。
【0140】
具体的には、電力ケーブル100の周方向にテープホルダ420およびテープ搬送機構430を回転させ、電力ケーブル100の外周にテープ232を巻回する。
【0141】
また、一対のケーブルクランプ410の間で、テープホルダ420、テープ搬送機構430および回転機構440を電力ケーブル100の軸方向に反復移動させる。このとき、一対の電力ケーブル100の接続点から電力ケーブル100の軸方向の外側に向けて徐々に反復移動範囲を広げていく。
【0142】
所定の運転条件に基づいて、自動運転モードによるテープ232の巻回が完了したら、移動機構450を自動停止させる。あるいは、自動運転によるテープ巻き状態が悪い場合は、任意のタイミングで強制的に停止させる。
【0143】
(S233:手動テーピング工程)
自動テーピング工程S232が完了したら、作業員は、制御部490において手動運転モードに切り替える。作業員が入出力部に入力した運転指示に基づき、制御部490を介して回転機構440および移動機構450によるテープ232の巻回を行う。
【0144】
このとき、作業員は、運転指示として、例えば、電力ケーブル100の周方向にテープホルダ420およびテープ搬送機構430を回転させる回転方向並びに回転速度、一対のケーブルクランプ410の間で、テープホルダ420、テープ搬送機構430および回転機構440を電力ケーブル100の軸方向に反転させるタイミングなどを指示する。
【0145】
手動運転モードによるテープ232の巻回が完了したら、作業員による運転指示により、テーピング装置40を停止させる。次に、テープ232を切断した後、テープホルダ420、テープ搬送機構430および回転機構440をテーピング装置40の端に退避させ、次工程に進む。
【0146】
(S234:手巻き工程)
手動テーピング工程S233が完了したら、作業員が、自身の手により、テープ232の巻回を行う。これにより、絶縁層230の外形などを整える。
【0147】
(S235:装置解体工程)
手巻き工程S234が完了したら、テーピング装置40を解体する。
【0148】
具体的には、テーピング装置40において、一対のケーブルクランプ410のそれぞれの上側を開くとともに、回転機構440の回転筒442の上側を開く。これらを開いたら、昇降機構464により、支持台462を下降させる。その後、電力ケーブル100からテーピング装置40を取り外す。
【0149】
(S240:外部半導電層形成工程)
絶縁層形成工程S230後、絶縁層230の外周を覆うように、半導電性を有する外部半導電層240を形成する。
【0150】
具体的には、予め第1電力ケーブル100aに通しておいた半導電性チューブを、ケーブル絶縁層130の外周に被せる。半導電性チューブを被せたら、半導電性チューブを熱収縮させる。その後、半導電性チューブの余長分をカットする。これにより、絶縁層230の外周を覆いつつ、ケーブル外部半導電層140の露出端部に接するように、外部半導電層240を形成する。
【0151】
(S244:第2架橋工程)
外部半導電層形成工程S240後、ケーブルコアを加熱し、絶縁層230を架橋させるとともに、内部半導電層220と絶縁層230と外部半導電層240とを融着させ一体化させる。
【0152】
まず、外部半導電層240の外周を、押えチューブおよび押えチューブ群により覆う。
【0153】
次に、図9に示すように、押えチューブ群によって覆ったケーブルコアを、架橋装置50内にセットする。
【0154】
架橋装置50は、例えば、加熱炉(モールド釜)510と、ヒータ520と、ガス供給ライン530と、を有している。加熱炉510は、ケーブルコアを挿入する中空部を有する筒状体として構成されている。ヒータ520は、加熱炉510に設けられ、加熱炉510の中空部内のケーブルコアを加熱するよう構成されている。ガス供給ライン530は、加熱炉510の中空部内に、窒素ガスや空気等の気体を封入し加圧できる能力を有している。
【0155】
ケーブルコアを架橋装置50内にセットしたら、ガス供給ライン530から加熱炉510の中空部内のケーブルコアに対して窒素ガスや空気等の気体を供給し加圧しつつ、ヒータ520によりケーブルコアを加熱する。所定時間、所定温度、所定圧力でケーブルコアを加熱することで、絶縁層230を架橋させる。
【0156】
架橋後、架橋装置50からケーブルコアを取り出す。次に、ケーブルコアを覆っていた押えチューブ群を取り外す。
【0157】
(S250:検査工程)
第2架橋工程S244後、X線により、ケーブル接続部20内の異物の有無や絶縁層230の厚さ測定などの検査を行う。
【0158】
(S260:金属管形成工程)
検査工程S250において異常がないことが確認できたら、図1に示すように、以下のようにして、外部半導電層240の外周を覆うように、金属からなる金属管250を形成する。
【0159】
まず、外部半導電層240の外周を覆うように、吸水テープを巻き付ける。これにより、吸水テープ層242を形成する。
【0160】
次に、図3に示すように、後述の溶接部252の直下となる位置において、断熱性を有する断熱部244を形成する。
【0161】
断熱部244を形成したら、予め第1電力ケーブル100aに通しておいた金属管250を移動し、外部半導電層240の外周に金属管250を被せる。
【0162】
金属管250を被せたら、スウェージング装置を用い、金属管250の内側に位置する層の外周面に接するように、金属管250を縮径させる。
【0163】
次に、図3に示すように、金属管250の軸方向の端部とケーブル金属管150の軸方向の端部とを、溶接部252により溶接する。金属管250の溶接方法としては、例えば、水素ガスおよび酸素ガスなどを用いたガス溶接が挙げられる。
【0164】
溶接後、溶接部252の外周を覆うように、補強部254を形成する。具体的には、溶接部252の外周にエポキシ樹脂を塗り、エポキシ樹脂に浸したガラステープを巻き付ける。さらに、これらを覆うように、粘着PETテープを巻き付ける。このようにして、補強部254を形成する。
【0165】
その後、図1に示すように、ケーブル金属管150の露出部とケーブルシース160との間の段差を埋めるように、粘着PEテープおよび粘着PETテープをこの順で巻き付ける。これにより、充填部256を形成する。
【0166】
(S270:防食層形成工程)
金属管形成工程S260後、図1に示すように、以下のようにして、金属管250の外周を覆うように、樹脂からなる防食層260を形成する。
【0167】
まず、予め第1電力ケーブル100aに通しておいたPEチューブを用い、金属管250の外周、ケーブル金属管150の露出部およびケーブルシース160の外周の一部に、PEチューブを被せる。PEチューブを被せたら、PEチューブを熱収縮させる。これにより、第1防食層262を形成する。
【0168】
第1防食層262を形成したら、図1および図10に示すように、第1防食層262の軸方向の端部とケーブルシース160との間の段差を覆うように、PEテープを巻き付け加熱溶融させる。これにより、第1防食部263を形成する。
【0169】
次に、予め第1電力ケーブル100aに通しておいたPEチューブを用い、第1防食層262の外周、第1防食部263、およびケーブルシース160の外周の一部に、PEチューブを被せる。PEチューブを被せたら、PEチューブを熱収縮させる。これにより、第2防食層264を形成する。
【0170】
第2防食層264を形成したら、図1に示すように、第2防食層264の軸方向の端部とケーブルシース160との間の段差を覆うように、PEテープを巻き付け加熱溶融させる。これにより、第2防食部265を形成する。
【0171】
(S280:後処理工程)
防食層形成工程S270後、必要に応じて、以下の後処理を行う。
【0172】
図1に示すように、防食層260の軸方向の端部(第2防食部265)を覆うように、粘着PEテープおよび粘着PETテープをこの順で巻き付ける。これにより、カバー部270を形成する。
【0173】
以上により、本実施形態の連結電力ケーブル10が製造される。
【0174】
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0175】
(a)本実施形態では、上述のテーピング装置40における回転機構440により、電力ケーブル100の周方向にテープホルダ420およびテープ搬送機構430を回転させ、電力ケーブル100の外周にテープ232を巻回する。また、移動機構450により、一対のケーブルクランプ410の間で、テープホルダ420、テープ搬送機構430および回転機構440を電力ケーブル100の軸方向に移動させる。
【0176】
例えば、ケーブル接続部20の絶縁層230を形成するために、電力ケーブル100の外周に、多数回、テープ232を巻回する場合であっても、上述のテーピング装置40により、テープ232の巻回を早く且つ容易に行うことができる。これにより、絶縁層形成工程S230の作業時間を短縮するとともに、作業者への負担を軽減させることができる。また、上述のテーピング装置40により、連結電力ケーブル10におけるケーブル接続部20の位置などによらず、テープ232の巻き付け状態を連結電力ケーブル10内で一様に揃えることができる。
【0177】
このように、テーピング装置40を用いることで、ケーブル接続部20の少なくとも1層をテープ232により自動且つ安定的に形成することが可能となる。
【0178】
(b)本実施形態では、テープホルダ420は、テープロール234の軸が電力ケーブル100の軸に交差する方向に向くように、該テープロール234を保持するよう構成されている。
【0179】
ここで、上述のように、ケーブル接続部20では、絶縁層230よりも内側の層における複雑な外形に合わせて、絶縁層230を形成するため、絶縁層230用のテープ232の幅を短くすることが好ましい。このため、テープロール234の直径が大きくなる傾向にある。
【0180】
このようなテープロール234を保持するテープホルダ420において、テープロール234の軸を電力ケーブル100の軸と平行とした場合では、電力ケーブル100の周方向にテープホルダ420を回転させるときの回転最外径が、テープロール234の直径に依存して大きくなる。そのため、テーピング装置40が過剰に大きくなる可能性がある。
【0181】
これに対し、本実施形態では、テープロール234の軸を電力ケーブル100の軸に交差する方向(好ましくは直交方向)に向けることで、たとえ使用するテープロール234の直径が大きくなったとしても、テープロール234の直径によらず、上述の回転最外径を小さくすることができる。これにより、テーピング装置40が過大となることを抑制することができる。その結果、装置コストを低減し、装置スペースを縮小することが可能となる。
【0182】
(c)本実施形態では、回転機構440は、電力ケーブル100の周方向に複数のテープホルダ420および複数のテープ搬送機構430を回転させ、電力ケーブル100の外周に複数のテープ232を巻回するよう構成されている。このような構成により、複数のテープ232を同時に巻回したり、複数のテープ232の少なくとも一部を互いに重ね合わせて巻回する(いわゆるラップ巻きする)ことができる。これにより、多数回のテープ232の巻回が必要な絶縁層230を早く形成することができる。その結果、絶縁層形成工程S230の作業時間をさらに短縮することが可能となる。
【0183】
(d)本実施形態では、テープホルダ420は、テープロール234の回転を抑制する摩擦力を該テープロール234に印加可能に構成されている。テープロール234の回転を抑制する摩擦力を強めることで、テープ232の張力を強めることができる。一方で、テープロール234の回転を抑制する摩擦力を弱めることで、テープ232の張力を弱めることができる。このようにして、テープ232の張力を調整することができる。
【0184】
<本開示の他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0185】
上述の実施形態では、テーピング装置40が絶縁層230を形成するよう構成されている場合について説明したが、この場合に限られない。テーピング装置40は、ケーブル接続部20を構成する他の層を形成するように構成されていてもよい。例えば、テーピング装置40のテープホルダ420にセットするテープロール234を変更することにより、内部半導電層220などの他の層を形成してもよい。
【0186】
上述の実施形態では、連結電力ケーブル10が水底ケーブルとして構成されている場合について説明したが、連結電力ケーブル10は、地中または地上に布設されるよう構成されていてもよい。
【0187】
上述の実施形態では、連結電力ケーブル10が有する1つのケーブル接続部20について説明したが、連結電力ケーブル10は複数のケーブル接続部20を有していてもよい。
【0188】
上述の実施形態では、導体接続部210において導体110同士が直接溶接されている場合について説明したが、導体接続部210において導体110の外周を囲む導体スリーブを圧縮することで、導体110同士が接続されていてもよい。ただし、導体接続部210の外径縮小および接続強度向上の観点からは、導体110同士が直接溶接されていることが好ましい。
【0189】
上述の実施形態では、ケーブル金属管150の露出部とケーブルシース160との間に、充填部256が設けられている場合について説明したが、ケーブルシース160の端部がテーパ状にカットされていてもよい。
【0190】
上述の実施形態では、防食層260が導体110の径方向に複数層設けられている場合について説明したが、防食性を確保できるのであれば、防食層260が単層であってもよい。
【0191】
上述の実施形態では、防食層260がチューブにより構成されている場合について説明したが、防食層260は、テープにより構成されていてもよい。また、防食層260は、絶縁性であっても、半導電性であってもどちらでもよい。
【0192】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様を付記する。
【0193】
(付記1)
一対の電力ケーブルをそれぞれ把持する一対のケーブルクランプと、
前記電力ケーブルの径方向の外側に、テープを有するテープロールを保持するテープホルダと、
前記テープロールから前記電力ケーブルの外周に向けて前記テープを搬送するテープ搬送機構と、
前記電力ケーブルの周方向に前記テープホルダおよび前記テープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に前記テープを巻回する回転機構と、
前記一対のケーブルクランプの間で、前記テープホルダ、前記テープ搬送機構および前記回転機構を前記電力ケーブルの軸方向に移動させる移動機構と、
を備える
テーピング装置。
【0194】
(付記2)
前記テープホルダは、前記テープロールの軸が前記電力ケーブルの軸に交差する方向に向くように、該テープホルダを保持する
付記1に記載のテーピング装置。
【0195】
(付記3)
前記テープ搬送機構は、前記テープロールからの前記テープの搬送方向を変換させる複数の搬送ローラを有する
付記1又は付記2に記載のテーピング装置。
【0196】
(付記4)
前記複数の搬送ローラは、
前記テープロールの軸に沿った第1回転軸を有する第1搬送ローラと、
前記電力ケーブルの軸に沿った第2回転軸を有する第2搬送ローラと、
を含み、
前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間で、前記テープを捩じって、前記テープの幅方向を前記テープロールの軸に沿った方向から前記電力ケーブルの軸に沿った方向に変換する
付記3に記載のテーピング装置。
【0197】
(付記5)
前記回転機構および前記移動機構を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記電力ケーブルの外周に巻回される前記テープの一部を前記電力ケーブルの軸方向に順次重ならせながら、前記テープホルダ、前記テープ搬送機構および前記回転機構を移動させるように、前記移動機構を制御する
付記1から付記4のいずれか1つに記載のテーピング装置。
【0198】
(付記6)
前記回転機構および前記移動機構を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記一対のケーブルクランプの間で、前記テープホルダ、前記テープ搬送機構および前記回転機構を反復移動させるように、前記移動機構を制御する
付記1から付記5のいずれか1つに記載のテーピング装置。
【0199】
(付記7)
前記制御部は、前記一対の電力ケーブルの接続点から外側に向けて徐々に反復移動範囲を広げていくように、前記移動機構を制御する
付記6に記載のテーピング装置。
【0200】
(付記8)
前記テープホルダは、複数設けられ、
前記テープ搬送機構は、前記テープホルダと同じ数だけ複数設けられ、
前記回転機構は、前記電力ケーブルの周方向に前記複数のテープホルダおよび前記複数のテープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に複数のテープを巻回するよう構成されている
付記1から付記7のいずれか1つに記載のテーピング装置。
【0201】
(付記9)
前記テープホルダは、前記テープロールの回転を抑制する摩擦力を前記テープロールに印加可能に構成されている
付記1から付記8のいずれか1項に記載のテーピング装置。
【0202】
(付記10)
複数の電力ケーブルを準備する工程と、
前記複数の電力ケーブルのうち一対の電力ケーブルを接続した少なくとも1つのケーブル接続部を形成する工程と、
を備え、
前記ケーブル接続部を形成する工程は、テーピング装置を用い、前記一対の電力ケーブルの外周にテープを巻回することで、絶縁層を形成する工程を有し、
前記絶縁層を形成する工程では、
前記テーピング装置として、
前記一対の電力ケーブルをそれぞれ把持する一対のケーブルクランプと、
前記電力ケーブルの径方向の外側に、前記テープを有するテープロールを保持するテープホルダと、
前記テープロールから前記電力ケーブルの外周に向けて前記テープを搬送するテープ搬送機構と、
前記電力ケーブルの周方向に前記テープホルダおよび前記テープ搬送機構を回転させ、前記電力ケーブルの外周に前記テープを巻回する回転機構と、
前記一対のケーブルクランプの間で、前記テープホルダ、前記テープ搬送機構および前記回転機構を前記電力ケーブルの軸方向に移動させる移動機構と、
を備える装置を用いる
連結電力ケーブルの製造方法。
【符号の説明】
【0203】
10 連結電力ケーブル
20 ケーブル接続部
40 テーピング装置
50 架橋装置
100 電力ケーブル
100a 第1電力ケーブル
100b 第2電力ケーブル
110 導体
112 導体素線
114(114a~114f) 導体素線層
120 ケーブル内部半導電層
130 ケーブル絶縁層
140 ケーブル外部半導電層
150 ケーブル金属管
160 ケーブルシース
210 導体接続部
212 溶接部
220 内部半導電層
230 絶縁層
232 テープ
234 テープロール
240 外部半導電層
242 吸水テープ層
244 断熱部
250 金属管
252 溶接部
254 補強部
256 充填部
260 防食層
260a 膨らみ部
262 第1防食層
263 第1防食部
264 第2防食層
265 第2防食部
270 カバー部
310 エアノズル
320 リング
410 ケーブルクランプ
420(420a、420b) テープホルダ
430(430a、430b) テープ搬送機構
432 第1搬送ローラ
433 第1回転軸
434 第2搬送ローラ
435 第2回転軸
440 回転機構
442 回転筒
442g ギア
444 モータ
450 移動機構
452 レール
454 ブロック
462 支持台
464 昇降機構
466 台車
490 制御部
510 加熱炉
520 ヒータ
530 ガス供給ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9