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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20250701BHJP
   B41J 13/00 20060101ALI20250701BHJP
   B65H 43/08 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
B65H29/70
B41J13/00
B65H43/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021189834
(22)【出願日】2021-11-24
(65)【公開番号】P2023076855
(43)【公開日】2023-06-05
【審査請求日】2024-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】織田 浩史
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178498(JP,A)
【文献】特開2015-229541(JP,A)
【文献】特開2020-177188(JP,A)
【文献】特開2017-077941(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0107071(US,A1)
【文献】特開2017-001879(JP,A)
【文献】特開2004-284786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/70
B41J 13/00
B65H 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部と、
前記排出部により排出された媒体を受ける媒体受け部と、を備え、装置本体に対してオプション装置を装着して前記排出部から前記オプション装置へ媒体の送り込みが可能な記録装置であって、
前記排出部は、媒体を排出する排出ローラーと、
排出される媒体に癖付けを行う癖付け部と、
前記媒体受け部に積載された媒体の積載高さを検出する為の検出部であって、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にある検出部と、を備え、
前記検出部と前記癖付け部とが一体に構成され、前記検出部と前記癖付け部とが一体となって前記装置本体に対し着脱可能である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記媒体受け部の少なくとも一部は前記装置本体に対して着脱可能な着脱部位であり、
前記検出部と前記癖付け部とが前記着脱部位を介して一体に構成される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、前記着脱部位は、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にある、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、前記着脱部位は、前記媒体受けトレイに積載される媒体の後端と当接して前記後端の位置を規定する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の記録装置において、前記検出部は、媒体の排出方向と交差する幅方向に向けて検出光を発する発光部と、
前記検出光を受光する受光部と、を備え、
前記発光部と前記受光部は、前記幅方向において前記媒体受け部に積載される媒体を挟んで互いに向き合う位置に設けられる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の記録装置において、前記検出部と一体に構成される前記癖付け部を媒体の第1面に接する第1癖付け部とした際に、前記排出部は、媒体の前記第1面とは反対の第2面に接して前記第1癖付け部ともに媒体に癖付けを行う第2癖付け部を備え、
前記第1癖付け部と前記第2癖付け部のうち、前記第1癖付け部が前記検出部と一体に構成され、
前記第1癖付け部は、前記第2癖付け部に対し、媒体の排出方向下流に位置する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部と、
前記排出部により排出された媒体を受ける媒体受け部と、を備え、装置本体に対してオプション装置を装着して前記排出部から前記オプション装置へ媒体の送り込みが可能な記録装置であって、
前記排出部は、媒体を排出する排出ローラーと、
排出される媒体に癖付けを行う癖付け部と、を備え、
前記媒体受け部の少なくとも一部は前記装置本体に対して着脱可能な着脱部位であり、
前記着脱部位は、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にあり、
前記着脱部位と前記癖付け部とが一体に構成され、前記着脱部位と前記癖付け部とが一体となって前記装置本体に対し着脱可能である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部と、
前記排出部により排出された媒体を受ける媒体受け部と、を備え、装置本体に対してオプション装置を装着して前記排出部から前記オプション装置へ媒体の送り込みが可能な記録装置であって、
前記排出部は、媒体を排出する排出ローラーと、
排出される媒体に癖付けを行う癖付け部と、
前記媒体受け部に積載された媒体の積載高さを検出する為の検出部であって、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にあり、前記装置本体に対して着脱可能な検出部と、を備え、
前記癖付け部は、媒体に癖付けを行う際の第1状態と、前記第1状態より媒体から離れる第2状態とを切り替え可能であり、
前記検出部が前記癖付け部と係わり合う様に設けられ、前記検出部が取り外されると、前記癖付け部が前記第1状態から前記第2状態に切り換わる、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターに代表される記録装置では、記録の行われた媒体に対して後処理が行われる場合がある。後処理には、例えば綴じ針による綴じ処理が挙げられる。またこの様な後処理を行う後処理装置が、オプション装置として記録装置に対し事後的に装着される場合がある。
後処理装置は、記録装置において記録の行われた媒体を排出する排出部に対し装着されるが、後処理装置の装着に際して記録装置側の構成を変化させる必要が生じる場合がある。例えば特許文献1には、媒体に腰付けを行う際の腰付け条件を後処理装置の装着前後で切り換える為に、排紙ローラーを交換することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-1879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
後処理装置の装着に際しては、腰付け条件の変更のみならず、他の作業も必要になる場合がある。特に、後処理装置の装着領域に設けられた部材は取り外す必要がある。
しかしながら複数の作業を個別に行う構成では、多くの作業時間を要してしまうこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部と、前記排出部により排出された媒体を受ける媒体受け部と、を備え、装置本体に対してオプション装置を装着して前記排出部から前記オプション装置へ媒体の送り込みが可能な記録装置であって、前記排出部は、媒体を排出する排出ローラーと、排出される媒体に癖付けを行う癖付け部と、前記媒体受け部に積載された媒体の積載高さを検出する為の検出部であって、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にある検出部と、を備え、前記検出部と前記癖付け部とが一体に構成され、前記検出部と前記癖付け部とが一体となって前記装置本体に対し着脱可能であることを特徴とする。
【0006】
また上記課題を解決する為の本発明の記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部と、前記排出部により排出された媒体を受ける媒体受け部と、を備え、装置本体に対してオプション装置を装着して前記排出部から前記オプション装置へ媒体の送り込みが可能な記録装置であって、前記排出部は、媒体を排出する排出ローラーと、排出される媒体に癖付けを行う癖付け部と、を備え、前記媒体受け部の少なくとも一部は前記装置本体に対して着脱可能な着脱部位であり、前記着脱部位は、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にあり、前記着脱部位と前記癖付け部とが一体に構成され、前記着脱部位と前記癖付け部とが一体となって前記装置本体に対し着脱可能であることを特徴とする。
【0007】
また上記課題を解決する為の本発明の記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部と、前記排出部により排出された媒体を受ける媒体受け部と、を備え、装置本体に対してオプション装置を装着して前記排出部から前記オプション装置へ媒体の送り込みが可能な記録装置であって、前記排出部は、媒体を排出する排出ローラーと、排出される媒体に癖付けを行う癖付け部と、前記媒体受け部に積載された媒体の積載高さを検出する為の検出部であって、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にあり、前記装置本体に対して着脱可能な検出部と、を備え、前記癖付け部は、媒体に癖付けを行う際の第1状態と、前記第1状態より媒体から離れる第2状態とを切り替え可能であり、前記検出部が前記癖付け部と係わり合う様に設けられ、前記検出部が取り外されると、前記癖付け部が前記第1状態から前記第2状態に切り換わることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】後処理装置の未装着状態におけるプリンターの媒体搬送経路を示す図。
図2】後処理装置の装着状態におけるプリンターの媒体搬送経路を示す図。
図3】排紙部の全体を示す斜視図。
図4】排紙部の一部の側断面図。
図5】排紙部の一部の正面図。
図6】排紙部の一部の斜視図。
図7】着脱部位の一例である後端規制部材の斜視図。
図8】着脱部位の一例である後端規制部材の斜視図。
図9】模式的に示した排紙部の平面図。
図10】他の実施形態に係る排紙部の一部の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部と、前記排出部により排出された媒体を受ける媒体受け部と、を備え、装置本体に対してオプション装置を装着して前記排出部から前記オプション装置へ媒体の送り込みが可能な記録装置であって、前記排出部は、媒体を排出する排出ローラーと、排出される媒体に癖付けを行う癖付け部と、前記媒体受け部に積載された媒体の積載高さを検出する為の検出部であって、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にある検出部と、を備え、前記検出部と前記癖付け部とが一体に構成され、前記検出部と前記癖付け部とが一体となって前記装置本体に対し着脱可能であることを特徴とする。
【0010】
前記癖付け部による媒体の癖付けは、前記オプション装置を装着した場合に前記オプション装置での搬送不良を招き易く、前記オプション装置を装着する場合は前記癖付け部が機能しない様にする必要がある。また前記検出部は、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にある為、前記オプション装置を装着する場合は前記検出部を取り外す必要がある。
この様な構成において、前記検出部と前記癖付け部とが一体に構成されるので、一方を取り外すことで他方も取り外されることとなり、前記検出部と前記癖付け部とをそれぞれ個別に取り外す構成に比べて前記オプション装置を装着する為に必要な作業時間を短縮することができる。
【0011】
また前記媒体受け部における媒体積載方向での前記検出部と前記癖付け部との相対的な位置関係は重要となる。例えば、前記媒体受け部に積載された媒体に対し排出される媒体が衝突することを回避する為に、前記検出部の検出情報を利用する場合、媒体積載方向における前記検出部と前記癖付け部との位置が想定よりも近くなっていると、前記媒体受け部に積載された媒体に対し排出される媒体が衝突し易くなってしまう。
しかしながら前記検出部と前記癖付け部とが一体に構成され、前記検出部と前記癖付け部とが一体となって前記装置本体に対し着脱可能である為、前記検出部と前記癖付け部との相対的な位置関係が維持されることとなり、上述した課題の発生を抑制できる。
【0012】
第2の態様は、第1の態様において、前記媒体受け部の少なくとも一部は前記装置本体に対して着脱可能な着脱部位であり、前記検出部と前記癖付け部とが前記着脱部位を介して一体に構成されることを特徴とする。
本態様によれば、前記検出部と前記癖付け部とが前記媒体受け部を構成する着脱部位を介して一体に構成されるので、前記検出部と前記癖付け部とを一体に構成する為の専用の部材が不要となり、装置のコストアップを抑制できる。
【0013】
第3の態様は、第2の態様において、前記着脱部位は、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にあることを特徴とする。
本態様によれば、前記着脱部位は、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にある為、前記オプション装置を装着するに際して前記検出部と前記癖付け部とに加えて前記着脱部位を取り外す必要があるが、前記検出部、前記癖付け部、及び前記着脱部位が一体に構成されている為、前記検出部、前記癖付け部、及び前記着脱部位のそれぞれを個別に取り外す必要がなく、前記オプション装置を装着する為に必要な作業時間を短縮することができる。
【0014】
第4の態様は、第3の態様において、前記着脱部位は、前記媒体受けトレイに積載される媒体の後端と当接して前記後端の位置を規定することを特徴とする。
本態様によれば、前記着脱部位が、前記媒体受けトレイに積載される媒体の後端と当接して前記後端の位置を規定する構成において、上述した第3の態様の作用効果が得られる。
【0015】
第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記検出部は、媒体の排出方向と交差する幅方向に向けて検出光を発する発光部と、前記検出光を受光する受光部と、を備え、前記発光部と前記受光部は、前記幅方向において前記媒体受け部に積載される媒体を挟んで互いに向き合う位置に設けられることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記発光部と前記受光部は、前記幅方向において前記媒体受け部に積載される媒体を挟んで互いに向き合う位置に設けられる構成であり、前記幅方向において前記媒体受け部の両側に前記検出部の設置スペースが必要となる構成であり、装置が大型化し易い。
しかしながら前記検出部、即ち前記発光部と前記受光部は前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にある為、前記検出部を避ける様に前記オプション装置を設計する必要がなく、前記オプション装置を装着することに伴う装置の更なる大型化を抑制できる。
【0017】
第6の態様は、第1から第5の態様のいずれかにおいて、前記検出部と一体に構成される前記癖付け部を媒体の第1面に接する第1癖付け部とした際に、前記排出部は、媒体の前記第1面とは反対の第2面に接して前記第1癖付け部ともに媒体に癖付けを行う第2癖付け部を備え、前記第1癖付け部と前記第2癖付け部のうち、前記第1癖付け部が前記検出部と一体に構成され、前記第1癖付け部は、前記第2癖付け部に対し、媒体の排出方向下流に位置することを特徴とする。
【0018】
前記第1癖付け部は前記第2癖付け部より媒体の排出方向下流に位置することから、前記第1癖付け部は、前記第2癖付け部よりも、前記媒体受けトレイの媒体積載方向における排出位置に大きく影響する。
この様な構成において前記第1癖付け部が前記検出部と一体に構成され、前記検出部と前記第1癖付け部とが一体となって前記装置本体に対し着脱可能となる為、前記検出部と前記第1癖付け部との相対的な位置関係を維持することができる。これにより上述した課題、即ち前記検出部と前記第1癖付け部との相対的な位置関係がずれることに伴う課題の発生を抑制できる。
【0019】
第7の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部と、前記排出部により排出された媒体を受ける媒体受け部と、を備え、装置本体に対してオプション装置を装着して前記排出部から前記オプション装置へ媒体の送り込みが可能な記録装置であって、前記排出部は、媒体を排出する排出ローラーと、排出される媒体に癖付けを行う癖付け部と、を備え、前記媒体受け部の少なくとも一部は前記装置本体に対して着脱可能な着脱部位であり、前記着脱部位は、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にあり、前記着脱部位と前記癖付け部とが一体に構成され、前記着脱部位と前記癖付け部とが一体となって前記装置本体に対し着脱可能であることを特徴とする。
【0020】
前記癖付け部による媒体の癖付けは、前記オプション装置を装着した場合に前記オプション装置での搬送不良を招き易く、前記オプション装置を装着する場合は前記癖付け部が機能しない様にする必要がある。また前記媒体受け部の少なくとも一部は前記装置本体に対して着脱可能な着脱部位であり、この着脱部位は、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にある為、前記オプション装置を装着する場合は前記着脱部位を取り外す必要がある。
この様な構成において、前記着脱部位と前記癖付け部とが一体に構成されるので、一方を取り外すことで他方も取り外されることとなり、前記着脱部位と前記癖付け部とのそれぞれを個別に取り外す構成に比べて前記オプション装置を装着する為に必要な作業時間を短縮することができる。
【0021】
第8の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部と、前記排出部により排出された媒体を受ける媒体受け部と、を備え、装置本体に対してオプション装置を装着して前記排出部から前記オプション装置へ媒体の送り込みが可能な記録装置であって、前記排出部は、媒体を排出する排出ローラーと、排出される媒体に癖付けを行う癖付け部と、前記媒体受け部に積載された媒体の積載高さを検出する為の検出部であって、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にあり、前記装置本体に対して着脱可能な検出部と、を備え、前記癖付け部は、媒体に癖付けを行う際の第1状態と、前記第1状態より媒体から離れる第2状態とを切り替え可能であり、前記検出部が前記癖付け部と係わり合う様に設けられ、前記検出部が取り外されると、前記癖付け部が前記第1状態から前記第2状態に切り換わることを特徴とする。
【0022】
前記癖付け部による媒体の癖付けは、前記オプション装置を装着した場合に前記オプション装置での搬送不良を招き易く、前記オプション装置を装着する場合は前記癖付け部が機能しない様にする必要がある。また前記検出部は、前記オプション装置を装着する際に前記オプション装置と干渉する位置にある為、前記オプション装置を装着する場合は前記検出部を取り外す必要がある。
この様な構成において、前記検出部が前記癖付け部と係わり合う様に設けられ、前記検出部が取り外されると、前記癖付け部が前記第1状態から前記第2状態に切り換わるので、前記検出部の取り外しと前記癖付け部の状態切り換えとをそれぞれ個別に行う構成に比べて前記オプション装置を装着する為に必要な作業時間を短縮することができる。
【0023】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では記録用紙に代表される媒体に対し、インクに代表される液体を吐出することで記録を行うインクジェットプリンター1を、記録装置の一例として説明する。以下においてインクジェットプリンター1は、プリンター1と略称する。
【0024】
各図において示すX-Y-Z座標系は直交座標系であって、Y軸方向が媒体の搬送方向と交差する幅方向であり、また装置奥行き方向である。Y軸方向のうち矢印の向く方向である+Y方向は装置背面から装置前面に向かう方向であり、+Y方向とは反対の-Y方向は装置前面から装置背面に向かう方向である。
またX軸方向は装置幅方向であり、プリンター1の操作者から見て矢印の向く方向である+X方向が左側、その反対の-X方向が右側となる。Z軸方向は鉛直方向即ち装置高さ方向であり、矢印の向く方向である+Z方向が上方向、その反対の-Z方向が下方向となる。以下、「上」の用語を用いる場合は+Z方向を意味し、「下」の用語を用いる場合は-Z方向を意味する。
【0025】
またG軸方向は後述するラインヘッド26のインク吐出面に対する法線方向であって、矢印の向く方向である+G方向は後述するヘッドユニット25が搬送ベルト7から離間する方向であり、その反対の-G方向はヘッドユニット25が搬送ベルト7に近接する方向である。
またF軸方向はラインヘッド26のインク吐出面に平行な方向であって、ラインヘッド26と対向する位置における媒体搬送方向であり、矢印の向く方向である+F方向が搬送方向下流となり、その反対の-F方向が搬送方向上流となる。尚、以下では媒体が送られていく方向を「下流」と言い、またその反対方向を「上流」と言う場合がある。
【0026】
図1において媒体搬送経路は破線で示されている。プリンター1において媒体は、破線で示す媒体搬送経路を通って搬送される。
プリンター1の装置本体2は給送前の媒体を収容する第1媒体カセット3と第2媒体カセット4とを備えている。符号Pは、各媒体カセットに収容される媒体を示している。第1媒体カセット3及び第2媒体カセット4は、装置本体2に対して装置前方側から着脱可能に設けられている。
第1媒体カセット3に対しては、収容された媒体を送り出すピックローラー9が設けられ、第2媒体カセット4に対しては、収容された媒体を送り出すピックローラー10が設けられている。
【0027】
また第1媒体カセット3に対しては、送り出された媒体を斜め上方向に給送する給送ローラー対11が設けられている。また第2媒体カセット4に対しては、送り出された媒体を斜め上方向に給送する給送ローラー対12と、媒体を上方向に搬送する搬送ローラー対13とが設けられている。
尚、以下では「ローラー対」とは、特に説明しない限り不図示のモーターによって駆動される駆動ローラーと、この駆動ローラーに接して従動回転する従動ローラーとで構成されるものとする。
【0028】
各媒体カセットから送り出された媒体は搬送ローラー対14及び搬送ローラー対15によって搬送ローラー対16に送られる。搬送ローラー対16から送り力を受ける媒体は、ラインヘッド26と、搬送ベルト7との間、つまりラインヘッド26と対向する位置に送られる。
【0029】
ラインヘッド26は、ヘッドユニット25に設けられ、媒体の面にインクを吐出して記録を実行する。ラインヘッド26は、インクを吐出するノズル(不図示)が媒体幅方向の全域をカバーする様に構成されたインク吐出ヘッドであり、媒体幅方向への移動を伴わないで媒体幅全域に記録が可能なインク吐出ヘッドとして構成されている。ラインヘッド26は、媒体に記録を行う記録部の一例である。
【0030】
符号5はインクを収容するインク収容部である。ラインヘッド26から吐出されるインクは、インク収容部5から、図示を省略するチューブを介してラインヘッド26へと供給される。インク収容部5は、X軸方向に沿って配置される複数のインクタンクによって構成される。
【0031】
搬送ベルト7、プーリー8a、8bは、搬送ユニット6を構成する。搬送ベルト7は、媒体搬送方向に沿って配置されるプーリー8a及びプーリー8bに掛け回される無端ベルトである。搬送ベルト7は、プーリー8a及びプーリー8bのうち少なくとも一方が不図示のモーターにより駆動されることで回転する。
媒体は、搬送ベルト7のベルト面に吸着されつつラインヘッド26と対向する位置を搬送される。搬送ベルト7に対する媒体の吸着は、エアー吸引方式や静電吸着方式などの公知の吸着方式を採用できる。
【0032】
ここでラインヘッド26と対向する位置を通る媒体搬送経路は、水平方向及び鉛直方向の双方に対して交差しており、斜め上方向に媒体を搬送する構成である。この斜め上向きの搬送方向は、図1において-X方向成分と+Z方向成分とを含む方向であり、このような構成により、プリンター1の水平方向寸法を抑制できる。
尚本実施形態では、ラインヘッド26と対向する位置を通る媒体搬送経路は水平方向に対して50°~70°の範囲の傾斜角に設定され、より具体的には60°の傾斜角に設定されている。
【0033】
ラインヘッド26により第1面に記録が行われた媒体は、搬送ベルト7の下流に位置する搬送ローラー対17により、更に斜め上方向に送られる。
搬送ローラー対17の下流にはフラップ23が設けられており、このフラップ23によって媒体の搬送方向が切り換えられる。媒体をそのまま排出する場合は、媒体の搬送経路はフラップ23によって上方の搬送ローラー対20に向かう様に切り換えられる。搬送ローラー対20の下流には更に排出ローラー対31が設けられ、この排出ローラー対31によって媒体が媒体受け部45に排出されるか、或いは後処理装置100(図2参照)に排出される。
排出ローラー対31は、排出部30を構成する。尚、本実施形態において媒体排出方向は、+X方向成分と+Z方向成分とを含む斜め上方向である。
【0034】
媒体の第1面に加えて更に第2面に記録を行う場合、媒体は、フラップ23によって-X方向成分と+Z方向成分とを含む斜め上方向に搬送方向が切り替えられ、分岐位置K1を通り、分岐位置K1から上方のスイッチバック経路に送られる。このスイッチバック経路には搬送ローラー対21が設けられており、スイッチバック経路に入った媒体は、搬送ローラー対21によって上方向に搬送され、そして媒体の後端が分岐位置K1を通過したら、搬送ローラー対21の回転方向が切り換えられ、これにより媒体は下方向に搬送される。
【0035】
搬送ローラー対21によって下方向に搬送された媒体は搬送ローラー対18、搬送ローラー対19、及び搬送ローラー対15から送り力を受けて搬送ローラー対16に到達し、搬送ローラー対16によって再びラインヘッド26と対向する位置に送られる。
再びラインヘッド26と対向する位置に送られた媒体は、既に記録が行われた第1面に対し反対側の第2面がラインヘッド26と対向する。これにより、媒体の第2面に対しラインヘッド26による記録が可能となる。第2面に記録が行われた媒体は、排出ローラー対31によって媒体受け部45に排出されるか、或いは後処理装置100(図2参照)に排出される。
【0036】
続いて排出部30と媒体受け部45について更に説明する。排出部30は、上述した排出ローラー対31に加え、図4図6に示す様に第1癖付け部35と、第2癖付け部40とを備えている。
排出ローラー対31は、媒体の上面に接する排出駆動ローラー32と、媒体の下面に接する排出従動ローラー33とを備えて成る。図5において符号Pは、排出される媒体を示している。本実施形態において排出駆動ローラー32はゴムローラーであり、排出従動ローラー33は拍車である。
排出ローラー対31は、媒体幅方向の中心位置CL(図5参照)に対し左右にそれぞれ2つ設けられており、また中心位置CLに対し線対称となる位置に配置されている。
【0037】
第1癖付け部35は、第1ホルダ36を備えている。第1ホルダ36には媒体搬送方向に沿って二つの従動ローラー37が設けられている。従動ローラー37は、排出される媒体の下面と接する。
第1癖付け部35は、媒体幅方向の中心位置CL(図5参照)に対し左右にそれぞれ2つ設けられており、また中心位置CLに対し線対称となる位置に配置されている。
【0038】
第2癖付け部40は、第2ホルダ41を備えている。第2ホルダ41には媒体搬送方向に沿って二つの従動ローラー42が設けられている。従動ローラー42は、排出される媒体の上面と接する。
第2癖付け部40は、媒体幅方向の中心位置CL(図5参照)に対し左右にそれぞれ一つ設けられており、また中心位置CLに対し線対称となる位置に配置されている。
【0039】
図4図5に示す様に第1癖付け部35と第2癖付け部40はZ軸方向においてオーバーラップする様に設けられており、これにより排出される媒体に対し図5に示す様に媒体幅方向に沿って波打つ様に癖付けが行われる。この癖付けにより、媒体排出方向に沿った媒体の剛性が高められ、媒体受け部45上での媒体のカール、即ち媒体排出方向に沿ったカールが抑制される。
【0040】
次に、図3に示す様に媒体受け部45はトレイ46と、後端規制部材47と、変位部材48とを備えている。トレイ46は+X方向に向かって斜め上方に延びる様に設けられている。
後端規制部材47は、Y-Z平面に沿った壁面を形成する規制壁47aを備えており、規制壁47aはトレイ46に積載される媒体の後端と接し、当該後端位置を規制する。
変位部材48は、媒体幅方向においてトレイ46の中央部に設けられており、不図示の駆動機構によりトレイ46から突出する状態と突出しない状態とを切り替え可能に設けられている。変位部材48がトレイ46から突出した状態では、積載される媒体が媒体幅方向に沿って上に凸となる様に湾曲される。これにより媒体排出方向に沿った媒体の剛性が高められ、トレイ46上において媒体が媒体排出方向に沿ってカールすることが抑制される。
【0041】
後端規制部材47は、図7図8に示す様に+Y方向端部にX-Z平面に沿った壁面を形成する第1側壁47bを備えている。また後端規制部材47は、-Y方向端部にX-Z平面に沿った壁面を形成する第2側壁47cを備えている。
第1側壁47bには、穴部47eが形成されており、また穴部47eの下側には穴部47gが形成されている。穴部47eに対応する位置において+Y方向の壁面には、第1検出部50を構成する第1受光部52が設けられている。また穴部47gに対応する位置において+Y方向の壁面には、第2検出部55を構成する第2受光部57が設けられている。
【0042】
第2側壁47cには、穴部47dが形成されており、また穴部47dの下側には穴部47fが形成されている。穴部47dに対応する位置において-Y方向の壁面には、第1検出部50を構成する第1発光部51が設けられている。また穴部47fに対応する位置において-Y方向の壁面は、第2検出部55を構成する第2発光部56が設けられている。
【0043】
第1検出部50を構成する第1発光部51と第1受光部52はY軸方向において積載される媒体を挟んで互いに向き合うように配置され、第1発光部51から発せられた検出光が、穴部47d、47eを介して第1受光部52に到達する様に構成されている。
同様に第2検出部55を構成する第2発光部56と第2受光部57はY軸方向において積載される媒体を挟んで互いに向き合うように配置され、第2発光部56から発せられた検出光が、穴部47f、47gを介して第2受光部57に到達する様に構成されている。
【0044】
以上の様に構成されたことにより、プリンター1の制御部(不図示)は、第2検出部55から送信される検出信号に基づき、トレイ46上の媒体積載高さが所定値に到達したことを検知でき、更に第1検出部50から送信される検出信号に基づき、トレイ46上の媒体積載高さが上限値に到達したことを検知できる。
尚、本実施形態に係る第1検出部50と第2検出部55は、媒体受け部45における媒体の積載高さを検出する為の検出部の一例であり、換言すれば媒体受け部45における媒体の積載高さが所定高さに達したことを検出する検出部の一例である。但し媒体受け部45における媒体の積載高さを検出する為の検出部はこれに限られず、媒体の積載高さをより細かい分解能で検出できるものであっても良い。また或いは、その逆に第2検出部55を省略し、第1検出部50のみを設け、媒体の積載高さが上限値に到達したことのみを検知できるものであっても良い。
【0045】
後端規制部材47には、上述した第1検出部50と第2検出部55とが設けられているが、後端規制部材47には更に上述した第1癖付け部35と第2癖付け部40のうち第1癖付け部35が設けられている。第2癖付け部40は、装置本体2を構成するフレーム30a(図6参照)に設けられている。
【0046】
媒体受け部45を構成するトレイ46と後端規制部材47とは別体に構成されており、またそれぞれが装置本体2に対して着脱可能に構成されている。トレイ46、変位部材48、及び変位部材48を変位させる駆動機構(不図示)は一体に構成されており、図1の状態からこれらを取り外した後、後端規制部材47を取り外すと、媒体受け部45が装置本体2から取り外された状態となる。そして媒体受け部45を装置本体2から取り外すことで形成されたスペースに、図2に示す様にオプション装置の一例である後処理装置100を装着することができる。そして排出ローラー対31から後処理装置100への媒体の送り込みが可能となる。
【0047】
後処理装置100は、導入ローラー対101を備え、排出ローラー対31から排出された媒体が導入ローラー対101により後処理装置100内に導入される。後処理装置100内部の具体的構成は図示とその説明を省略するが、本実施形態において後処理装置100は処理トレイ(不図示)と、処理トレイに載置された媒体に対し綴じ針による綴じ処理を行う綴じ部(不図示)とを備えている。そして綴じられた媒体が後処理トレイ102に排出される。
尚、本実施形態では後処理装置100は媒体に後処理の一例である綴じ処理を行うが、後処理はこれに限られず、例えば媒体に対し穿孔処理を行う構成であっても良いし、中折り処理を行う構成であっても良い。
【0048】
図9に示す様に後端規制部材47、第1癖付け部35、第1検出部50、第2検出部55、のこれらの配置領域は、後処理装置100の装着領域と重なっており、後処理装置100を装着する為には、後端規制部材47、第1癖付け部35、第1検出部50、第2検出部55、のこれらを取り外す必要のある位置関係となっている。
尚、以降において第1検出部50と第2検出部55とを纏めて「検出部50、55」と称する場合がある。
【0049】
そしてプリンター1において、排出される媒体に癖付けを行う第1癖付け部35と、媒体受け部45に積載された媒体の積載高さを検出する為の検出部であって、後処理装置100を装着する際に後処理装置100と干渉する位置にある検出部50、55とが、後端規制部材47を介して一体に構成されている。そして検出部50、55と第1癖付け部35とが一体となって装置本体2に対し着脱可能である。
【0050】
これにより、以下の作用効果が得られる。第1癖付け部35による媒体の癖付けは、後処理装置100を装着した場合に後処理装置100での搬送不良を招き易く、後処理装置100を装着する場合は第1癖付け部35が機能しない様にする必要がある。また検出部50、55は、後処理装置100を装着する際に後処理装置100と干渉する位置にある為、後処理装置100を装着する場合は検出部50、55を取り外す必要がある。
この様な構成において、検出部50、55と第1癖付け部35とが一体に構成されるので、検出部50、55と第1癖付け部35とをそれぞれ個別に取り外す構成に比べて後処理装置100を装着する為に必要な作業時間を短縮することができる。
【0051】
また媒体受け部45における媒体積載方向での第1検出部50と第1癖付け部35との相対的な位置関係は重要となる。例えば、媒体受け部45に積載された媒体に対し排出される媒体が衝突することを回避する為に、第1検出部50の検出情報を利用する場合、媒体積載方向における第1検出部50と第1癖付け部35との位置が想定よりも近くなっていると、媒体受け部45に積載された媒体に対し排出される媒体が衝突し易くなってしまう。
しかしながら第1検出部50と第1癖付け部35とが一体に構成され、第1検出部50と第1癖付け部35とが一体となって装置本体2に対し着脱可能である為、第1検出部50と第1癖付け部35との相対的な位置関係が維持されることとなり、上述した課題の発生を抑制できる。
【0052】
尚、本実施形態では検出部50、55から延出する不図示のケーブルに設けられた第1コネクタ(不図示)が、装置本体2に設けられた第2コネクタ(不図示)に嵌合している。従って後端規制部材47、検出部50、55、及び第1癖付け部35を装置本体2から一体に取り外す場合、ユーザーが第1コネクタを第2コネクタから取り外すこととなる。しかしながら後端規制部材47、検出部50、55、及び第1癖付け部35を装置本体2から取り外す際に、ユーザーの作業によらず第1コネクタが第2コネクタから外れる様に構成しても良い。この場合、後端規制部材47、検出部50、55、及び第1癖付け部35を装置本体2に装着する際に、ユーザーの作業によらず第1コネクタが第2コネクタに嵌合する様に構成しても良い。
【0053】
またプリンター1において、媒体受け部45の少なくとも一部である後端規制部材47は装置本体2に対して着脱可能な着脱部位であり、後端規制部材47は後処理装置100を装着する際に後処理装置100と干渉する位置にある。そして後端規制部材47と第1癖付け部35とが一体に構成され、後端規制部材47と第1癖付け部35とが一体となって装置本体2に対し着脱可能である。
従って後端規制部材47を取り外すことで第1癖付け部35も取り外されることとなり、後端規制部材47と第1癖付け部35とのそれぞれを個別に取り外す構成に比べて後処理装置100を装着する為に必要な作業時間を短縮することができる。
【0054】
また本実施形態では、検出部50、55と第1癖付け部35とが後端規制部材47を介して一体に構成されるので、検出部50、55と第1癖付け部35とを一体に構成する為の専用の部材が不要となり、装置のコストアップを抑制できる。
【0055】
また第1検出部50を構成する第1発光部51と第1受光部52はY軸方向即ち媒体幅方向において積載される媒体を挟んで互いに向き合うように配置されている。同様に第2検出部55を構成する第2発光部56と第2受光部57はY軸方向即ち媒体幅方向において積載される媒体を挟んで互いに向き合うように配置されている。従って媒体幅方向において媒体受け部45の両側に第1検出部50と第2検出部55の設置スペースが必要となる構成であり、装置が大型化し易い。
しかしながら第1検出部50と第2検出部55は、後処理装置100を装着する際に後処理装置100と干渉する位置にある為、第1検出部50と第2検出部55を避ける様に後処理装置100を設計する必要がなく、後処理装置100を装着することに伴う装置の更なる大型化を抑制できる。
【0056】
また排出部30は、第1癖付け部35と、第1癖付け部35ともに媒体に癖付けを行う第2癖付け部40を備え、第1癖付け部35と第2癖付け部40のうち、第1癖付け部35が検出部50、55と一体に構成され、第1癖付け部35は、第2癖付け部40に対し、媒体の排出方向下流に位置する。このことにより、以下の作用効果が得られる。
第1癖付け部35は第2癖付け部40より媒体の排出方向下流に位置することから、第1癖付け部35は、第2癖付け部40よりも、媒体積載方向における排出位置に大きく影響する。
この様な構成において第1癖付け部35が第1検出部50と一体に構成され、第1検出部50と第1癖付け部35とが一体となって装置本体2に対し着脱可能となる為、第1検出部50と第1癖付け部35との相対的な位置関係を維持することができる。これにより第1検出部50と第1癖付け部35との相対的な位置関係がずれることに伴う課題の発生を抑制できる。第1検出部50と第1癖付け部35との相対的な位置関係がずれることに伴う課題は、例えば媒体積載方向における第1検出部50と第1癖付け部35との位置が想定よりも近くなっていることに起因して、積載された媒体に対し、排出される媒体が衝突し易くなることが一例として挙げられる。
【0057】
続いて図10を参照して他の実施形態に係る第1癖付け部35Aと後端規制部材47Aについて説明する。尚、以下説明する実施形態は、特に説明する構成を除く他の構成については上述した実施形態と同様である。
第1癖付け部35Aは、Y軸方向に平行な回転軸36aを中心に回転可能に設けられている。図10(A)に示す様に後端規制部材47Aが装置本体2に装着された状態では、第1癖付け部35Aが規制壁47aに支持され、第1癖付け部35Aは媒体に癖付けを行う第1状態となっている。尚、本実施形態に係る第1癖付け部35Aは、後端規制部材47Aと一体に設けられていない。
【0058】
この状態から後端規制部材47Aを取り外すと、図10(B)に示す様に後端規制部材47Aによる第1癖付け部35Aの支持が解除され、第1癖付け部35Aは下方に回転し、媒体に癖付けを行わない第2状態となる。尚、第1癖付け部35Aの下方への回転は、不図示の規制部により図10(B)に示す姿勢で止められる。
【0059】
この様に第1癖付け部35Aは、媒体に癖付けを行う際の第1状態(図10(A))と、第1状態より媒体から離れる第2状態(図10(B))とを切り替え可能である。検出部50、55は後端規制部材47Aを介して第1癖付け部35Aと係わり合う様に設けられ、後端規制部材47A即ち検出部50、55が取り外されると、第1癖付け部35Aが第1状態から第2状態に切り換わる。これにより検出部50、55の取り外しと第1癖付け部35Aの状態切り換えとをそれぞれ個別に行う構成に比べて後処理装置100を装着する為に必要な作業時間を短縮することができる。
【0060】
以上説明した実施形態は、以下の様に変形することもできる。
(1)図1図9を参照して説明した第1実施形態において、第1癖付け部35と、検出部50、55とが、後端規制部材47を介して一体に構成されているが、第1癖付け部35が後端規制部材47と一体に構成され、後端規制部材47を取り外した際に検出部50、55が装置本体2に残る構成であっても良い。
その場合において、後端規制部材47を取り外した際に検出部50、55が後処理装置100と干渉する位置から退避する様に構成しても良い。またその場合、取り外した後端規制部材47を再び装着した際に、退避位置から元の位置に戻る様に構成することが好ましい。
【0061】
(2)図1図9を参照して説明した第1実施形態、或いは図10を参照して説明した第2実施形態において、第2癖付け部40を、媒体に癖付けを行う第1状態と癖付けを行わない第2状態とを切り替え可能に構成しても良い。
この場合、図1図9を参照して説明した構成においては、後端規制部材47を装置本体2から取り外すと、第1癖付け部35と検出部50、55とが取り外されるとともに、第2癖付け部40が第1状態から第2状態に切り換わる様に構成しても良い。尚その場合、後端規制部材47を装置本体2に装着すると、第2癖付け部40が第2状態から第1状態に戻る様に構成することが好ましい。
また図10を参照して説明した構成においては、後端規制部材47Aを装置本体2から取り外すと、第1癖付け部35Aが媒体に癖付けを行う第1状態と癖付けを行わない第2状態との間で切り替わり、これに加えて更に第2癖付け部40が第1状態から第2状態に切り換わる様に構成しても良い。尚その場合、後端規制部材47Aを装置本体2に装着すると、第2癖付け部40が第2状態から第1状態に戻る様に構成することが好ましい。
【0062】
(3)図1図9を参照して説明した第1実施形態は、後端規制部材47と第1癖付け部35とが一体に構成され、後端規制部材47と第1癖付け部35とを装置本体2から取り外すと第2癖付け部40が装置本体2に残る構成であるが、後端規制部材47と第1癖付け部35と第2癖付け部40とを一体に構成しても良い。これにより後端規制部材47を取り外すと、第1癖付け部35、第2癖付け部40、及び検出部50、55を一体に取り外すことができる。
また或いは、後端規制部材47と第2癖付け部40とを一体に構成し、後端規制部材47と第2癖付け部40とを取り外すと第1癖付け部35が装置本体2に残る構成であっても良い。
【0063】
(4)図10を参照して説明した第2実施形態は、後端規制部材47Aの着脱に伴い第1癖付け部35Aが状態切り替えを行う構成であるが、後端規制部材47Aの着脱に伴い第1癖付け部35Aの固定(図10(A)に示す状態の固定)が解除されて、第1癖付け部35Aの状態切り換えをユーザーが行う構成であっても良い。後端規制部材47Aの着脱に伴い第1癖付け部35Aの固定が解除されることで、第1癖付け部35Aの固定解除をユーザーが行う必要がなく、後処理装置100を装着する為に必要な作業時間を短縮することができる。また同様に、後端規制部材47Aの着脱に伴い第2癖付け部40の固定が解除される様に構成しても良い。
【0064】
(5)排出部30は、排出ローラー対31の下流に、図6に示す様に保護シート34を備えている。保護シート34により、ユーザーが排出ローラー対31に接触することが抑制される。この保護シート34を後端規制部材47と一体に構成し、後端規制部材47を取り外すことで保護シート34も取り外される様に構成しても良い。
【0065】
(6)上述した各実施形態では、トレイ46と後端規制部材47とが別体に構成されたが、トレイ46と後端規制部材47とを一体に構成しても良い。
【0066】
また更に本発明は上記において説明した各実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0067】
1…インクジェットプリンター、2…装置本体、2a…前面、2b…背面、2c…底面、3…第1媒体カセット、4…第2媒体カセット、5…インク収容部、6…搬送ユニット、7…搬送ベルト、8a、8b…プーリー、9、10…ピックローラー、11、12…給送ローラー対、13、14、15、16、17、18、19、20、21…搬送ローラー対、23…フラップ、25…ヘッドユニット、26…ラインヘッド、30…排出部、31…排出ローラー対、32…排出駆動ローラー、33…排出従動ローラー、34…保護シート、35、35A…第1癖付け部、36…第1ホルダ、36a…回転軸、37…従動ローラー、40…第2癖付け部、41…第2ホルダ、42…従動ローラー、45…媒体受け部、46…トレイ、47、47A…後端規制部材、47a…規制壁、47b…第1側壁、47c…第2側壁、47d、47e、47f、47g…穴部、48…変位部材、50…第1検出部、51…第1発光部、52…第1受光部、55…第2検出部、56…第2発光部、57…第2受光部、100…後処理装置、101…導入ローラー対、102…後処理トレイ、P…媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10