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特許7704027光モジュール、及び光モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】光モジュール、及び光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20250701BHJP
【FI】
G02F1/01 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021208394
(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公開番号】P2023093017
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2024-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓二
(72)【発明者】
【氏名】上村 浩
(72)【発明者】
【氏名】三澤 太一
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0194308(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0411407(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0259676(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0011233(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0279960(US,A1)
【文献】特開2018-189699(JP,A)
【文献】特開2004-253456(JP,A)
【文献】特開2021-118215(JP,A)
【文献】特表2021-509483(JP,A)
【文献】国際公開第2021/171599(WO,A1)
【文献】UEMURA, Hiroshi et al.,“A surface-mount photonic package with a photonic-wire-bonded glass interposer as a hybrid integration platform for co-packaged optics”,2024 IEEE 74th Electronic Components and Technology Conference (ECTC),2024年05月28日,p. 90-95,DOI: 10.1109/ECTC51529.2024.00024
【文献】KIM, Do-Won et al.,“2.5D Silicon optical interposer for 400 Gbps electronic-photonic integrated circuit platform packaging”,2017 IEEE 19th Electronics Packaging Technology Conference (EPTC),2017年12月,p. 1-4,DOI: 10.1109/EPTC.2017.8277464
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
G02B 6/26 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/42 - 6/43
H04B 10/00 - 10/90
H04J 14/00 - 14/08
IEEE Xplore
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に形成されたバンプと、前記第1面と反対の第2面に形成された配線と、前記第1面と前記第2面との間を貫通するスルービアと、を有するリッドと、
前記第2面にフリップチップ実装された第1ICと、
前記第2面にフリップチップ実装された光変調器と、
前記第1ICに第1熱伝導性接着剤によって接続された第1放熱ブロックと、
前記光変調器に接続された温度調整素子と、
開口部を有し、前記第1ICと、前記光変調器と、前記第1放熱ブロックと、前記温度調整素子と、を前記開口部の中に収容するパッケージと、
を備え、
前記第1ICは、前記配線を介して前記光変調器に電気的に接続されると共に、前記スルービアを介して前記バンプに電気的に接続され、
前記第1放熱ブロック及び前記温度調整素子は、第2熱伝導性接着剤によって前記パッケージの内部の第3面に接続され、
前記パッケージは、前記リッドによって前記開口部を塞ぐことにより気密封止されている、
光モジュール。
【請求項2】
前記リッドは、母材にガラスを含む、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記第2熱伝導性接着剤は、前記第1熱伝導性接着剤の厚さよりも大きい厚さを有する、
請求項1又は請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記パッケージは放熱部材を有し、前記放熱部材が前記第3面を有する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記パッケージの前記第3面は、前記リッドの前記第2面に対向して配置されている、
請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記放熱部材は、前記第3面に前記第2熱伝導性接着剤を収容するための囲いを有する、
請求項4又は請求項5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記第2面にフリップチップ実装された第2ICを更に備え、
前記第2ICは、前記第1ICと前記スルービアとの間に電気的に接続され、
前記第2ICは、第2放熱ブロックに接続され、
前記第2放熱ブロックは、前記第2熱伝導性接着剤によって前記第3面に接続されている、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項8】
第1面に形成されたバンプと、前記第1面と反対の第2面に形成された配線と、前記第1面と前記第2面との間を貫通するスルービアと、を有するリッドを用意する工程と、
第1熱伝導性接着剤によって第1放熱ブロックに第1ICを接続する工程と、
温度調整素子に光変調器を接続する工程と、
前記リッドの前記第2面上に前記第1IC及び前記光変調器をフリップチップ実装して、前記第1ICを、前記配線を介して前記光変調器に電気的に接続すると共に、前記第1ICを前記スルービアを介して前記バンプに電気的に接続する工程と、
パッケージの内部の第3面に第2熱伝導性接着剤を塗布する工程と、
前記パッケージの開口部の中に前記第1放熱ブロック、前記第1IC、前記温度調整素子及び前記光変調器を保持して、前記第1放熱ブロック及び前記温度調整素子を前記第2熱伝導性接着剤によって前記パッケージの前記第3面に接続する工程と、
前記リッドによって前記パッケージの前記開口部を塞ぎ、前記パッケージを気密封止する工程と、
を備える光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュール、及び光モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光集積回路と、電子集積回路と、光集積回路及び電子集積回路が埋め込まれたモールド基板とを備えた光モジュールが記載されている。モールド基板は、第一表面に配置される第一リディストリビューション層と、第二表面に設けられる第二リディストリビューション層とを有する。第一リディストリビューション層は、光集積回路に光ファイバと接続するための開口部を有する。第二リディストリビューション層は、BGA(Ball Grid Array)を有する。第一リディストリビューション層と第二リディストリビューション層とは、電気配線を介して互いに接続されている。
【0003】
特許文献2には、回路基板と、電子ICと、光ICと、キャリアと、BGAとを備えた集積パッケージ構成が記載されている。電子ICは、光IC及び回路基板に接続される。キャリアは、リディストリビューション層を有する。キャリア、電子IC及び光ICは、POP(Package On Package)によって集積化される。キャリアは、モールド材によって構成されている。キャリアは、電子ICと光ICを包む。電子ICは、リディストリビューション層に物理的に接続される。電子ICは、リディストリビューション層、スルーモールドビア(TMV:Through Mold Via)及びBGAを介して回路基板に接続される。
【0004】
特許文献3には、光チップと、モールド基板とを備えた光電子モジュールが記載されている。光チップはモールド基板に埋め込まれており、光チップの表面は露出している。モールド基板は、TMVを有する。モールド基板の上にはICチップがフリップチップ実装される。ICチップは、光チップ及びTMVと電気的に接続される。モールド基板には光導波路を有する光コネクタがフリップチップ実装され、この光コネクタが光チップと光学的に結合する。
【0005】
特許文献4には、基板、リッド、シールリング及びMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)を備えたチップスケール表面実装パッケージが記載されている。MMICは、リッドのキャビティの内部において基板に実装される。リッドは、電磁シールドとスルービアとを有する。基板は、スルーサブストレートビア及びハンダボールを有する。シールリングは、リッドを基板に取り付ける。電磁シールドは、スルービアを介してMMICに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2020/173561号
【文献】米国特許第10025047号
【文献】米国特許出願公開第2018/0180808号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0259676号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、光モジュールでは、高周波信号の伝送線路が長いことがあり、特に高周波信号では伝送線路配線の導体損や配線に用いる絶縁体の誘電体損失が大きくなるという問題が生じうる。例えば、高周波信号が50GHz以上の周波数成分を含むようになると、伝送線路等での損失によって高周波信号の帯域が低下して光信号の伝送特性が劣化する。また、パッケージ、ドライバIC及び光変調器を備えた光モジュールにおいて、ドライバICとパッケージとの間、及びドライバICと光変調器との間、のそれぞれがボンディングワイヤを介して互いに接続されることがある。この場合、ワイヤボンディングは寄生インダクタンスが大きいので高周波信号の周波数特性が良好でなくなる懸念がある。
【0008】
本開示は、高周波信号の周波数特性を良好にすることができる光モジュール、及び光モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る光モジュールは、第1面に形成されたバンプと、第1面と反対の第2面に形成された配線と、第1面と第2面との間を貫通するスルービアと、を有し、気密性を有するリッドと、第2面にフリップチップ実装された第1ICと、第2面にフリップチップ実装された光変調器と、第1ICに第1熱伝導性接着剤によって接続された第1放熱ブロックと、光変調器に接続された温度調整素子と、開口部を有し、第1ICと、光変調器と、第1放熱ブロックと、温度調整素子と、を開口部の中に収容するパッケージと、を備える。第1ICは、配線を介して光変調器に電気的に接続されると共に、スルービアを介してバンプに電気的に接続される。第1放熱ブロック及び温度調整素子は、第2熱伝導性接着剤によってパッケージの内部の第3面に接続される。パッケージは、リッドによって開口部を塞ぐことにより気密封止されている。
【0010】
本開示に係る光モジュールの製造方法は、第1面に形成されたバンプと、第1面と反対の第2面に形成された配線と、第1面と第2面との間を貫通するスルービアと、を有し、気密性を有するリッドを用意する工程と、第1熱伝導性接着剤によって第1放熱ブロックに第1ICを接続する工程と、温度調整素子に光変調器を接続する工程と、リッドの第2面上に第1IC及び光変調器をフリップチップ実装して、第1ICを、配線を介して光変調器に電気的に接続すると共に、第1ICをスルービアを介してバンプに電気的に接続する工程と、パッケージの内部の第3面に第2熱伝導性接着剤を塗布する工程と、パッケージの開口部の中に第1放熱ブロック、第1IC、温度調整素子及び光変調器を保持して、第1放熱ブロック及び温度調整素子を第2熱伝導性接着剤によってパッケージの第3面に接続する工程と、リッドによってパッケージの開口部を塞ぎ、パッケージを気密封止する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、高周波信号の周波数特性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る光モジュールの内部構造を示す平面図である。
図2図2は、実施形態に係る光モジュールの縦断面図である。
図3図3は、実施形態に係る光モジュールの製造方法の一工程を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る光モジュールの製造方法の一工程を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る光モジュールの製造方法の一工程を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る光モジュールの製造方法の一工程を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る光モジュールの製造方法の一工程を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る光モジュールの製造方法の一工程を示す図である。
図9図9は、変形例に係る光モジュールの縦断面図である。
図10図10は、参考例に係る光モジュールの内部構造を示す平面図である。
図11図11は、参考例に係る光モジュールの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示に係る光モジュール、及び光モジュールの製造方法の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光モジュールは、第1面に形成されたバンプと、第1面と反対の第2面に形成された配線と、第1面と第2面との間を貫通するスルービアと、を有し、気密性を有するリッドと、第2面にフリップチップ実装された第1ICと、第2面にフリップチップ実装された光変調器と、第1ICに第1熱伝導性接着剤によって接続された第1放熱ブロックと、光変調器に金スズ半田等で接続された温度調整素子と、開口部を有し、第1ICと、光変調器と、第1放熱ブロックと、温度調整素子と、を開口部の中に収容するパッケージと、を備える。第1ICは、配線を介して光変調器に電気的に接続されると共に、スルービアを介してバンプに電気的に接続される。第1放熱ブロック及び温度調整素子は、第2熱伝導性接着剤によってパッケージの内部の第3面に接続される。パッケージは、リッドによって開口部を塞ぐことにより気密封止されている。
【0014】
一実施形態に係る光モジュールの製造方法は、第1面に形成されたバンプと、第1面と反対の第2面に形成された配線と、第1面と第2面との間を貫通するスルービアと、を有し、気密性を有するリッドを用意する工程と、第1熱伝導性接着剤によって第1放熱ブロックに第1ICを接続する工程と、温度調整素子に光変調器を接続する工程と、リッドの第2面上に第1IC及び光変調器をフリップチップ実装して、第1ICを、配線を介して光変調器に電気的に接続すると共に、第1ICをスルービアを介してバンプに電気的に接続する工程と、パッケージの内部の第3面に第2熱伝導性接着剤を塗布する工程と、パッケージの開口部の中に第1放熱ブロック、第1IC、温度調整素子及び光変調器を保持して、第1放熱ブロック及び温度調整素子を第2熱伝導性接着剤によってパッケージの第3面に接続する工程と、リッドによってパッケージの開口部を塞ぎ、パッケージを気密封止する工程と、を備える。
【0015】
一実施形態に係る光モジュール、及び光モジュールの製造方法では、パッケージの第3面に第1放熱ブロック及び温度調整素子が接続される。第1放熱ブロックには第1熱伝導性接着剤によって第1ICが接続されており、温度調整素子には光変調器が金スズ半田等で接続されている。第1IC及び光変調器はリッドの第2面に接続されており、リッドの第2面とは反対側を向く第1面には回路基板からリッドに電気信号を供給するバンプが固定される。よって、リッドの第2面に第1ICが接続され、リッドの第1面にバンプが固定されている。そして、バンプを介して回路基板からリッドに電気信号が供給されるので、回路基板からバンプ及びリッドを介して高周波信号が供給される。従って、高周波信号の伝送線路を短くできるので、高周波信号の損失を軽減できる。よって、高周波特性を良好にすることができる。特にプリント基板等への接続を目的としたハンダボール(例えば、直径300~500umの球状の形状を有するバンプ)よりサイズの小さいバンプ(例えば、直径300um以下)を用いて、微細な回路パターンを形成できるインターポーザーの様な回路基板と接続することにより、50GHzを超える様な高周波信号を良好に伝送できる。
【0016】
リッドは、母材にガラスを含んでもよい。この場合、リッドの熱抵抗を高めることができる。
【0017】
第2熱伝導性接着剤は、第1熱伝導性接着剤の厚さよりも大きい厚さを有してもよい。
【0018】
パッケージは放熱部材を有してもよく、放熱部材が第3面を有してもよい。この場合、第3面に載せられた第1放熱ブロック及び温度調整素子のそれぞれからの放熱性を一層高めることができる。
【0019】
パッケージの第3面は、リッドの第2面に対向して配置されていてもよい。
【0020】
放熱部材は、第3面に第2熱伝導性接着剤を収容するための囲いを有してもよい。この場合、パッケージの第3面に第2熱伝導性接着剤が塗布されたときに、第2熱伝導性接着剤の漏れが囲いによって抑制される。
【0021】
光モジュールは、第2面にフリップチップ実装された第2ICを更に備えてもよい。第2ICは、第1ICを介して光変調器に電気的に接続され、第2ICは、第2放熱ブロックに接続されてもよい。第2放熱ブロックは、第2熱伝導性接着剤によって第3面に接続されていてもよい。この場合、第2ICは、パッケージの内部においてリッドの第2面に接続されているので、第2面を介して第1ICとの高周波接続を行うことができる。従って、第2ICと第1ICは、リッドを介して特性インピーダンスが制御された伝送線路で直接接続されるので、第1ICに対する高周波信号の劣化をより確実に抑制できる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光モジュール、及び光モジュールの製造方法の具体例を以下で図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲内に含まれる全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0023】
図1は、本実施形態に係る光モジュール1の内部構造を示す平面図である。図2は、光モジュール1を示す縦断面図である。図1及び図2に示されるように、光モジュール1は、例えば、直方体状のパッケージ2、及び光コネクタ3を備える光送信モジュール(TOSA:Transmitter Optical Sub Assembly)である。パッケージ2は、例えば、気密性を有するセラミック、ガラス、金属等の材料のうち少なくともいずれか一つが用いられる。パッケージ2は、パッケージ2の長手方向である方向D1、パッケージ2の幅方向である方向D2、及びパッケージ2の高さ方向である方向D3に延在している。例えば、方向D1、方向D2及び方向D3はそれぞれ互いに直交している。
【0024】
パッケージ2は、方向D1の端部に位置する一対の第1側壁2bと、方向D2の端部に位置する一対の第2側壁2cと、方向D3の一端に位置する放熱板2d(放熱部材)とを有する。光コネクタ3は第1側壁2bを貫通している。放熱板2dは、例えば、銅タングステン(CuW)によって構成されている。放熱板2dは、例えば、CuW以外の金属材料や窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックによって構成されていてもよい。一対の第1側壁2b、一対の第2側壁2c、及び放熱板2dに囲まれた領域にはパッケージ2の内部空間2Aが画成される。内部空間2Aには、光モジュール1の部品が収容される。光モジュール1は、内部空間2Aを封止するリッド5及び封止材6を更に備える。リッド5は、例えば、可視光を透過する材料によって構成されている。リッド5の母材は、一例として、ガラスを含んでいる。例えば、ガラスの成分が一部結晶化したガラスセラミックやアルミノケイ酸ガラスにより線膨張係数がリッド5に実装される部品に合わせて調整されているものが好ましい。例えば、シリコン半導体やInP化合物半導体の線膨張係数は、それぞれ、3.0ppm/℃、4.5ppm/℃であり、例えばInP化合物半導体で製造されている光変調器12がTEC15で温度一定に制御されることを考慮すると、0~4.5ppm/℃の線膨張係数の範囲にある気密性を有したリッドを用いることが望ましい。それにより、例えば、パッケージ2の温度変化に対して後述するバンプ接続への応力を緩和することができる。応力を緩和することによってより確実なバンプ接続を構成することができる。
【0025】
図1は、方向D3からの平面視にて、リッド5及び封止材6を省略した状態におけるパッケージ2の内部空間2Aを示している。内部空間2Aはパッケージ2の開口部2Cの内側に形成されており、開口部2Cの中にドライバIC11(第1IC)と、光変調器12と、光学部品20とが設けられている。ドライバIC11は、第1放熱ブロック13及び第2熱伝導性接着剤14を介して放熱板2dに接続されている。第1放熱ブロック13は第2熱伝導性接着剤14を介してパッケージ2の第3面2fに接着されている。ドライバIC11は第1熱伝導性接着剤18を介して第1放熱ブロック13に接着されている。第2熱伝導性接着剤14は、方向D3において、第1熱伝導性接着剤18の厚さよりも大きい厚さを有する。
【0026】
第1熱伝導性接着剤18及び第2熱伝導性接着剤14は、例えば、銀ペーストである。第1熱伝導性接着剤18及び第2熱伝導性接着剤14は、銀ペースト以外の熱伝導性及び導電性を有する接着剤であってもよい。光変調器12は、温度調整素子であるTEC(Thermo Electric Cooler)15及び第2熱伝導性接着剤14を介して放熱板2dに接続されている。TEC15はパッケージ2の第3面2fに接着されている。例えば、第3面2fは、放熱板2dに形成されている。パッケージ2は、第3面2fから方向D3に沿って突出する囲い2kを有する。囲い2kは、方向D3に沿ってパッケージ2を見たときにドライバIC11及び光変調器12を囲むように形成される。例えば、方向D3に沿って見たときにおける囲い2kの形状は矩形枠状である。方向D3に沿って見たときにおける囲い2kの内側に第2熱伝導性接着剤14が塗布される。
【0027】
例えば、光学部品20は、レンズ、ミラー、ビームスプリッタ及び光学フィルタの少なくともいずれかを含む。光学部品20は、光変調器12に対する光信号の入出力を行う。光学部品20は光コネクタ3と光学的に結合している。光モジュール1は、例えば、方向D2に沿って並ぶ2つの光コネクタ3を有する。2つの光コネクタ3のうちの一方には、光モジュール1の外部から局発光L2が光モジュール1の内部空間2A内に入力される。2つの光コネクタ3のうちの他方には、光モジュール1の内部からパッケージ2の外側へ信号光L1が光モジュール1の外部に出力される。光学部品20は、光コネクタ3及び光変調器12に対する信号光L1及び局発光L2の入出力を行う。なお、方向について、光コネクタ3から信号光L1がパッケージ2の外側へ出力される方向を前、前側又は前方と称することがあり、前、前側又は前方の反対の方向を後、後側又は後方と称することがある。例えば、光コネクタ3から後、後側又は後方に出力される局発光L2は、パッケージ2の外側から光学部品20に入力する。但し、これらの方向は、説明の便宜上のものであり、部品が配置されている方向等を限定するものではない。
【0028】
光モジュール1は、リッド5に固定された複数の導電性のバンプ(第1バンプ)7を更に備える。バンプ7は、例えば、複数のバンプ7が方向D1及び方向D2に沿って2次元的に配置されてBGA(Ball Grid array)を構成する。リッド5は、バンプ7によって回路基板8に電気的に接続される。ドライバIC11及び光変調器12は方向D1に沿って並んでおり、ドライバIC11、リッド5、バンプ7及び回路基板8は、この順で方向D3に沿って並んでいる。リッド5は、バンプ7が固定された第1面5cと、ドライバIC11及び光変調器12がフリップチップ実装される第2面5bとを有する。第1面5cは、パッケージ2の外側に露出している。第2面5bは、内部空間2Aに対向している。すなわち、リッド5において、第2面5bは、第1面5cの反対の面である。第2面5bには光学部品20が実装されており、光変調器12は光学部品20と光学的に結合している。リッド5は第2面5bに固定された複数の配線5dを有し、ドライバIC11はリッド5に対向する複数の配線11b及びバンプ9bを有する。配線5d及び配線11bはバンプ9bを介して互いに電気的に接続されている。ここで、バンプ7は、電気的な接続を得るための突起状の金属であって、例えばハンダボール、C4バンプ(ハンダバンプ)、金バンプ、銀バンプ、銅バンプ、インジウムバンプ等が代表例である。ハンダボールは、バンプがハンダによって構成されたものであって、バンプの一形態である。
【0029】
光変調器12はリッド5に対向する配線12b及びバンプ(第2バンプ)9cを有し、配線5d及び配線12bはバンプ9cを介して互いに電気的に接続されている。例えば、配線5d、バンプ(第2バンプ)9b,9c、配線11b及び配線12bは、高周波配線を構成する。バンプ9b、9cは、例えば、金(Au)によって構成される金スタッドバンプである。なお、配線12bのバンプ9cが接続される部分は、パッドと称される場合がある。光変調器12は、さらにダミーバンプ9dを有していてもよい(図2参照)。ダミーバンプ9dは、例えば、光変調器12に形成されたパッドとリッド5に形成されたバッドとを接続する。ダミーバンプは、ダミーバンプによって接続されるパッドも含めてダミーバンプと称されることがある。ダミーバンプ9dは、光変調器12とリッド5との間に十分な機械的強度を確保するために形成され、電気的な接続には寄与しない。例えば、ダミーバンプ9は、グランド電位に接続されているか、電気的にフローティングとなっている。リッド5は、例えば、微細孔(TGV:Through Glass Vias)付きガラス基板である。すなわち、リッド5はスルービア(TGV)5fを有し、リッド5の配線5dはスルービア5fを介して第1面5cに固定されたバンプ7と電気的に接続される。バンプ7は、例えば、回路基板8と電気的に接続される。バンプ7を介した接続により、比較的短い配線長でリッド5の配線5dに回路基板8から電気信号を供給することができる。
【0030】
バンプ7を介してリッド5の第1面5cから高周波信号がリッド5に供給され、高周波信号はリッド5及びバンプ9bを介してドライバIC11に供給される。ドライバIC11は、バンプ9b、配線5d及びバンプ9cを介して、特性インピーダンスが制御された電気信号を光変調器12に供給する。より詳細には、リッド5の第2面5bには、例えば、配線5dによって伝送線路が形成されている。例えば、伝送線路は、方向D1に沿って延びる互いに平行な4本の配線(GSSG配線)によってコプレーナ線路として構成される。GSSG配線は、方向D2に沿って配列されるグランド配線(G)、信号配線(S)、信号配線(S)、グランド配線(G)によって構成される。例えば、中心の2本の信号配線S、Sによって高周波信号である差動信号がドライバIC11から光変調器12に伝送される。伝送線路によって高周波信号を伝送することによって、信号配線のインダクタンスの影響を低減して周波数特性を向上することができる。
【0031】
伝送線路を構成する配線5dは、1層の金属層で構成されてもよいし、方向D3に沿って積層された2層の金属層で構成されてもよいし、それさらに3層以上の金属層で構成されてもよい。2層以上の金属層で構成される場合、各金属層の電気配線を絶縁する絶縁膜がリッド5の第2面5bの上に形成されてもよい。配線5dが2層の金属層のを有する場合、伝送線路は、例えばグランド層付きコプレーナ線路として構成されてもよい。この場合、例えば、リッド5の第1面5cに近い層(2層の金属層の一方)にグランド層が形成され、リッド5の第1面5cにから遠い層(2層の金属層の他方)に上述のコプレーナ線路層が形成され、グランド層とコプレーナ線路層のに設けられたグランド配線(G)がスルーホールを介して電気的に接続されていてもよい。すなわち、グランド層は、コプレーナ配線層とリッド5との間に配置される。
【0032】
なお、図面では、簡略化のため、高周波配線のみを図示している。高周波配線以外の電源、グランド及び制御信号等の配線は、高周波配線と同様に、リッド5及びバンプ7を介して回路基板8と電気的に接続されている。例えば、リッド5は、パッケージ2の放熱板2dとは反対側の端部に形成された凹部2jに収容される。凹部2jは、パッケージ2の開口部2Cを画成している。凹部2jは、例えば、方向D3に沿って見た場合における内部空間2Aの外側において矩形状を呈する。封止材6は、凹部2jに収容されたリッド5とパッケージ2との間に介在する。封止材6の材料は、特に限定されないが、例えば、ガラス又は半田である。
【0033】
次に、本実施形態に係る光モジュールの製造方法について説明する。以下では、前述した光モジュール1を組み立てる方法について説明する。まず、図3に示されるように、ドライバIC11及び第1放熱ブロック13を互いに接続する(第1放熱ブロックに第1ICを接続する工程)。そして、光変調器12及びTEC15を互いに接続する(温度調整素子に光変調器を接続する工程)。
【0034】
また、第2面5bの配線5dは、パッドを含み、それらのパッドにバンプ9b,9cを形成し(バンプを形成する工程)、リッド5の第1面5cに複数のバンプ7が固定されたリッド5を用意する(リッドを用意する工程)。ここで、バンプ7は、C4バンプ、金バンプ、銀バンプ、銅バンプ、インジウムバンプ等のいずれかであってもよく、汎用のハンダボールの直径300~500umより小さい直径を有していてもよい。図4に示されるように、リッド5の第2面5bにドライバIC11を接続する。そして、第2面5bに光変調器12を接続する(電気的に接続する工程)。具体的には、配線5dのパッドにバンプ9bが固定されたリッド5にドライバIC11をフリップチップ実装する。このとき、バンプ9bにドライバIC11の配線11bのパッドが接合される。また、バンプ9cに光変調器12の配線12bのパッドが接合される。なお、バンプ9bは、ドライバIC11の配線11bのパッドに形成されていて、リッド5の配線5dのパッドに接合されてもよい。また、バンプ9cは、光変調器12の配線12bのパッドに形成されていて、リッド5の配線5dのパッドに接合されてもよい。
【0035】
図5に示されるように、リッド5の第2面5bに光学部品20を実装する(光学部品を実装する工程)。より具体的には、変調器チップの劈開によって形成された光導波路の端面である光変調器12の光入出力ポートに対して光学調芯を行って光学部品20を樹脂で第2面5bに固定する(光学部品を樹脂で固定する工程)。この光学調芯では、例えば、光変調器12から光コネクタ3に出力されるコリメート光を生成するレンズの調芯、光コネクタ3から出力されるコリメート光を光変調器12の導波路端面に結合させるレンズの調芯、及びリッド5へのミラーの実装等が行われる。
【0036】
図6に示されるように、第3面2fのうち囲い2kの内側の部分に第2熱伝導性接着剤14を塗布する(第2熱伝導性接着剤を塗布する工程)。そして、ドライバIC11、光変調器12及び光学部品20が実装されたリッド5をパッケージ2の凹部2jに収容する。図7に示されるように、第2熱伝導性接着剤14に第1放熱ブロック13及びTEC15を押しつけて、第1放熱ブロック13及びTEC15にパッケージ2の第3面2fを接続する(パッケージの第3面に接続する工程)。このとき、第1放熱ブロック13及びTEC15とパッケージ2の第3面2fとの第2熱伝導性接着剤14による接続状態を、リッド5を可視光で透視して確認する(接続状態を確認する工程)ことを行ってもよい。
【0037】
ドライバIC11の厚さ(方向D3に沿った長さ)と第1放熱ブロック13の厚さ(方向D3に沿った長さ)と第1熱伝導性接着剤18の厚さの合計厚さは、それぞれの製造上のばらつき(製造ばらつき)によってばらつく。第2熱伝導性接着剤14の塗布厚については、金スズ半田等により接続された光変調器12とTEC15の半田接合後の合計厚さと、第1熱伝導性接着剤18で接続されたドライバIC11と第1放熱ブロック13の接合後の合計厚さ相互のばらつきを考慮して決定される。例えば、複数の部材で構成されているTEC15の厚さばらつきは最も大きく、最大で金スズ半田の接合厚を含んで+/―150um程度の製造ばらつきを有している。一方、第1熱伝導性接着剤18で接続されているドライバIC11と第1放熱ブロック13の合計厚さばらつきは最大+/―100um程度のばらつきとなる。従って、それぞれの合計厚さの平均値が同じになる様に、第1放熱ブロック13と、パッケージ2の凹部2jの寸法を設計しておけば、第2熱伝導性接着剤14の厚さを300umより厚く塗布することで、ドライバIC11、信号源IC21及びTEC15で発生する熱をパッケージ2の第3面2fを介して確実に放熱することが出来る。また同時に、リッド5がパッケージ2の凹部2jに収納され、封止材6により、パッケージ2を確実に気密封止することができる。
【0038】
また、光学部品20からのコリメート光が光コネクタ3(具体例として、光コネクタ3のスタブに保持された光ファイバ)に光結合するように光学部品20に対して光コネクタ3を調芯し、光コネクタ3をパッケージ2に固定する(光コネクタを固定する工程)。なお、このときに、例えば、光コネクタ3のパッケージ2を貫通する部分の周囲と、パッケージ2との間に隙間を生じないように気密封止する。図8に示されるように、パッケージ2の凹部2jに収容したリッド5とパッケージ2との間に封止材6を挿入してパッケージ2を封止する(パッケージを気密封止する工程)。そして、バンプ7に回路基板8を接続した後に、一連の工程が完了する。
【0039】
次に、本実施形態に係る光モジュール1、及び光モジュールの製造方法から得られる作用効果について説明する。まず、図10及び図11を用いて参考例に係る光送信モジュール100について説明する。図10及び図11に示されるように、光送信モジュール100は、パッケージ101と、放熱ブロック102を介してパッケージ101の内面101bに固定されたドライバIC103と、温度変調素子104を介して内面101bに固定された光変調器105とを備える。光送信モジュール100は、光変調器105への光信号の入出力を行う光学部品106と、光学部品106に対する光信号をパッケージ101の外部と送受信する光コネクタ107とを更に備える。
【0040】
光送信モジュール100は、光送信モジュール100の外部に位置する信号源IC110に対する高周波信号の電気接続をFPC(Flexible Printed Circuit)111を介して行う。光送信モジュール100では、セラミック製のパッケージ101が用いられる。パッケージ101は内部空間101c及びフィードスルー101dを有し、フィードスルー101dはパッケージ101の壁101fを貫通している。光送信モジュール100の内部空間101cには、FPC111及びフィードスルー101dを介して高周波信号が供給される。よって、高周波信号の伝送線路が比較的長くなっており、高周波信号の損失が大きくなるという問題が生じうる。
【0041】
光送信モジュール100の内部では、ドライバIC103とパッケージ101との間、及びドライバIC103と光変調器105との間、のそれぞれがボンディングワイヤ113を介して互いに接続されている。ワイヤボンディングは寄生インダクタンスが大きく高周波信号の周波数特性が良好でなくなる懸念がある。特に、高周波信号が50GHz以上の周波数成分を含むときにそれらを通過させるのに十分な帯域を得られなくなる。
【0042】
これに対し、本実施形態に係る光モジュール1、及び光モジュールの製造方法では、パッケージ2の第3面2fに第1放熱ブロック13及びTEC15が接続される。第1放熱ブロック13には第1熱伝導性接着剤18によってドライバIC11が接続されており、TEC15には光変調器12が接続されている。ドライバIC11及び光変調器12はリッド5の第2面5bに接続されており、パッケージ2の外側を向くリッド5の第1面5cには回路基板8からリッド5に電気信号を供給するバンプ7が固定される。よって、リッド5の第2面5bにドライバIC11が接続され、リッド5の第1面5cにバンプ7が固定されている。そして、バンプ7を介して回路基板8からリッド5に電気信号が供給されるので、回路基板8からバンプ7及びリッド5を介して高周波信号が供給される。従って、高周波信号の配線線路を比較的短くできるので、高周波信号の損失を軽減できる。よって、高周波信号の周波数特性を良好にすることができる。また、バンプ7は、300μm以下の直径を有するバンプであってもよく、より微細な回路パターンが形成された回路基板(インターポーザー)とリッド5とを接続することにより、ハンダボールの寄生容量の影響が軽減され、50GHzを超える周波数成分を含む高周波信号を良好に伝送できる。
【0043】
リッド5は、母材にガラスを含んでもよい。この場合、リッド5の熱抵抗を高めることができる。
【0044】
第2熱伝導性接着剤14は、第1熱伝導性接着剤18の厚さよりも大きい厚さを有してもよい。
【0045】
パッケージ2は放熱板2dを有してもよく、放熱板2dが第3面2fを有してもよい。この場合、第3面2fに載せられた第1放熱ブロック13及びTEC15のそれぞれからの放熱性を一層高めることができる。
【0046】
パッケージ2の第3面2fは、リッド5の第2面5bに対向して配置されていてもよい。
【0047】
放熱板2dは、第3面2fに第2熱伝導性接着剤14を収容するための囲い2kを有してもよい。この場合、パッケージ2の第3面2fに第2熱伝導性接着剤14が塗布されたときに、第2熱伝導性接着剤14の方向D1及び方向D2に沿った周囲への漏れが囲い2kによって抑制される。
【0048】
次に、変形例に係る光モジュール1Aについて図9を参照しながら説明する。図9は、光モジュール1Aの縦断面図である。光モジュール1Aの一部の構成は、前述した光モジュール1の一部の構成と同一である。よって、以下の説明では、光モジュール1の構成と重複する部分の説明を同一の符号を付して適宜省略する。
【0049】
光モジュール1Aは、信号源IC21(第2IC)と、第2放熱ブロック23とを更に備える。信号源IC21の厚さ(方向D3に沿った長さ)と第2放熱ブロック23の厚さ(方向D3に沿った長さ)と第1熱伝導性接着剤18の厚さの合計厚さと、ドライバIC11の厚さ(方向D3に沿った長さ)と第1放熱ブロック13の厚さ(方向D3に沿った長さ)と第1熱伝導性接着剤18の厚さの合計厚さは、それぞれの製造ばらつきによってばらつく。第2熱伝導性接着剤14の塗布厚については、金スズ半田等により接続された光変調器12とTEC15の接合後の合計厚さと、第1熱伝導性接着剤18で接続されたドライバIC11と第1放熱ブロック13の接合後の合計厚さと、第1熱伝導性接着剤18で接続された信号源IC21と第2放熱ブロック23の接合後の合計厚さとのばらつきを考慮して決定される。例えば、複数の部材で構成されているTEC15の厚さばらつきが最も大きく、最大で+/―150um程度の製造ばらつきを有している。一方、第1熱伝導性接着剤18で接続されているドライバIC11と第1放熱ブロック13と信号源IC21と第2放熱ブロック23の厚さばらつきは最大+/―100um程度のばらつきとなる。従って、それぞれの厚さの平均値が同じになる様に、第1放熱ブロック13と、パッケージ2の凹部2jの寸法を設計しておけば、第2熱伝導性接着剤14の厚さを300umより厚く塗布することで、ドライバIC11、信号源IC21及びTEC15で発生する熱をパッケージ2の第3面2fを介して確実に放熱することができる。また同時に、リッド5がパッケージ2の凹部2jに収納され、封止材6により、確実に気密封止される。
【0050】
信号源IC21は、例えば、第1熱伝導性接着剤18を介して第2放熱ブロック23に接続されている。信号源IC21は、例えば、低速の電気信号(低周波信号)を多重化して高速の電気信号(高周波信号)を生成する機能を有する。例えば、多重化機能によって、4本の互いに独立な通信速度12.5Gbit/sの電気信号を多重化して1本の通信速度50Gbit/sの電気信号を生成する。低周波信号は、高周波信号の通信速度よりも低い通信速度を有する。第2放熱ブロック23は、第2熱伝導性接着剤14によってパッケージ2の第3面2fに接続されている。信号源IC21は、リッド5の第2面5bにフリップチップ実装されている。信号源IC21は、ドライバIC11を介して光変調器12に電気的に接続されている。信号源IC21はリッド5に対向する複数の配線21bを有する。リッド5は、信号源IC21に対向する配線5gと、配線5gから方向D3に延びるスルービア5hとを有する。
【0051】
スルービア5h、配線5g及び配線21bはバンプ19bを介して互いに電気的に接続されている。例えば、配線5d、バンプ9b,9c, 19b、配線11b、配線12b及び配線21bは、高周波信号を伝送する高周波配線を構成する。例えば、配線21b、バンプ19b、配線5g、スルービア5h、及びバンプ7は、低周波信号を伝送する低周波配線を構成する。回路基板8からバンプ7及びスルービア5hを介して複数の低周波信号が信号源IC21に供給される。複数の低周波信号から多重化によって生成された高周波信号はリッド5の配線5d及びバンプ9b、19bを介して信号源IC21からドライバIC11に供給される。このように、信号源IC21によって生成された高周波信号はドライバIC11に供給される。ドライバIC11は、バンプ9b、配線5d及びバンプ9cを介して、特性インピーダンスが制御された高周波信号(駆動信号)を光変調器12供給する。
【0052】
以上、変形例に係る光モジュール1Aは、第2面5bにフリップチップ実装された信号源IC21を更に備える。信号源IC21は、ドライバIC11を介して光変調器12に電気的に接続され、信号源IC21は、第2放熱ブロック23に接続されている。第2放熱ブロック23は、第2熱伝導性接着剤14によって第3面2fに接続されている。このように、多重化機能を有する信号源IC21をパッケージ2の内部に収容することで、回路基板8と光モジュール1との間で高周波信号の伝送をなくすことができる。従って、高周波信号がバンプ7及びスルービア5hを通過することによって損失やインピーダンス不整合によって周波数特性が劣化するのを回避することができる。従って、パッケージ2の内部空間2Aの内部にて、信号源IC21、ドライバIC11、及び光変調器12は、リッド5を介して特性インピーダンスが制御された伝送線路で相互に接続されるので、信号源IC21から光変調器12までの間で伝送される高周波信号の周波数特性の劣化をより確実に抑制できる。また、バンプ7には低周波信号しか通らないため、直径の小さいバンプを使用する必要が無く、製造が容易で安価な回路基板8を使うことが出来る。またバンプ7と回路基板の接続にソケットを使うことが可能となり、光モジュール1Aの取付や保守が容易となる。
【0053】
以上、本開示に係る実施形態及び変形例について説明した。しかしながら、本発明は、前述の実施形態又は変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。例えば、前述の実施形態では、光送信モジュールである光モジュール1について説明した。しかしながら、光モジュールは、光送信モジュールでなくてもよく、例えば、光受信モジュールであってもよい。例えば、光受信モジュールにおいて、図2の構成におけるドライバIC11の代わりにトランスインピーダンスアンプIC(TIA)が、光変調器12の代わりに受光素子PDが、第1放熱ブロック13の代わりに第1ブロックが、TEC15の代わりに第2ブロックが、それぞれ使用されてもよい。また、第1熱伝導性接着剤の代わりに接着剤(第1接着剤)が、第2熱伝導性接着剤の代わりに接着剤(第2接着剤)が、それぞれ使用されてもよい。そのような構成により、受光素子PDによって生成された受信信号(例えば、光電流)をリッド5の配線5dで構成された伝送線路を介してTIAに伝送することができる。リッド5に形成された配線5dによってボンディングワイヤによる接続よりも寄生インダクタンスを低減することができ、受信信号の周波数特性を向上することができる。
【0054】
前述した第1ブロック及び第2ブロックは、絶縁性を有する材料によって構成されていてもよい。また、第1接着剤及び第2接着剤は、それぞれで絶縁性を有していてもよい。さらに、図2の構成における信号源IC21の代わりに多重化機能と反対の分離機能を有する信号処理ICが使用されてもよい。それにより、高周波信号は、パッケージ2の内部空間2Aの中に収納される受光素子、TIA、及び信号処理ICの間でリッド5の配線5dを介して伝送され、信号処理ICによって高周波信号から生成された複数の低周波信号がスルービア5h及びバンプ7を介して回路基板8に伝送される。このような構成により、高周波信号がバンプ7及びスルービア5hを通過することによって損失やインピーダンス不整合によって周波数特性が劣化するのを回避することができる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A…光モジュール
2…パッケージ
2A…内部空間
2b…第1側壁
2c…第2側壁
2C…開口部
2d…放熱板(放熱部材)
2f…第3面
2j…凹部
2k…囲い
3…光コネクタ
5…リッド
5b…第2面
5c…第1面
5d,5g…配線
5f,5h…スルービア
6…封止材
7…バンプ(第1バンプ)
8…回路基板
9b,9c…バンプ(第2バンプ)
9d…ダミーバンプ
11…ドライバIC(第1IC)
11b,12b…配線
12…光変調器
13…第1放熱ブロック
14…第2熱伝導性接着剤
15…TEC(温度調整素子)
18…第1熱伝導性接着剤
19b…バンプ
20…光学部品
21…信号源IC(第2IC)
21b…配線
23…第2放熱ブロック
100…光送信モジュール
101…パッケージ
101b…内面
101c…内部空間
101d…フィードスルー
101f…壁
102…放熱ブロック
104…温度変調素子
105…光変調器
106…光学部品
107…光コネクタ
111…FPC
113…ボンディングワイヤ
D1,D2,D3…方向
L1…信号光
L2…局発光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11