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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20250701BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20250701BHJP
   G03B 21/16 20060101ALI20250701BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
G03B21/14 E
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
G03B21/14 C
G03B21/16
H04N5/74 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022010739
(22)【出願日】2022-01-27
(65)【公開番号】P2023109303
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2024-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】川上 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】玉井 聡志
【審査官】武田 知晋
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112153523(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112904652(CN,A)
【文献】特開2012-018232(JP,A)
【文献】特開2014-053872(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0286027(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G03B 21/00
G03B 21/16
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筐体と、
前記外筐体に収容され、第1収容部と機能素子を収容する第2収容部とを有する1つの
内筐体と、
前記第1収容部に収容され、フレームを有するスピーカーと、を有し、
前記第1収容部は、前記フレームに沿って延在する壁部を有し
前記外筐体は、前記第1収容部と対向する内面を有し、
前記第1収容部の前記壁部の開口端と前記内面との間に設けられた弾性部材と、を備え

プロジェクター。
【請求項2】
前記スピーカーは、電気信号を伝送するケーブルを有し、
前記第1収容部は、前記開口端に切り欠きを有し、
前記ケーブルは、前記切り欠きを介して前記第1収容部から引き出される、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記第1収容部は、前記スピーカーの背面に、密閉空間を有する、
請求項1または2のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記機能素子は、電源ユニットであり、
前記内筐体は電源ユニット用筐体である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第1収容部は、前記第2収容部と前記外筐体との間に設けられる、
請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
外筐体と、
前記外筐体に収容され、第1収容部と機能素子を収容する第2収容部とを有する1つの
内筐体と、
前記第1収容部に収容され、フレームを有するスピーカーと、を有し、
前記第1収容部は、前記フレームに沿って延在する壁部を有し、
前記機能素子は、電源ユニットであり、
前記内筐体は電源ユニット用筐体である、
プロジェクター。
【請求項7】
前記第1収容部は、前記第2収容部と前記外筐体との間に設けられる、
請求項6に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して投影するプロジェクターは、投影された画像に応じた音声を出力するためのスピーカーを内蔵している。例えば、特許文献1に記載のプロジェクターにおいて、スピーカーは、エンクロージャに取り付けられた状態で、プロジェクターを構成する外装筐体の内側に、固定されている。
スピーカーにエンクロージャを取り付けることによって、互いに逆位相となるスピーカーの前面からの低域の音と背面からの低域の音とが打ち消しあうことを防止することができるので、プロジェクターから出力される音の音質や音圧を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-139770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクターの音質や音圧を改善するためにスピーカーにエンクロージャを取り付けると、部品点数の増加によるコストアップや組み立て工数の増加が生じるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様に係るプロジェクターは、外筐体と、前記外筐体に収容され、第1収容部と機能素子を収容する第2収容部とを有する1つの内筐体と、前記第1収容部に収容され、フレームを有するスピーカーと、を有し、前記第1収容部は、前記フレームに沿って延在する壁部を有する。
【0006】
本願の一態様に係るプロジェクターは、外筐体と、前記外筐体に収容され、第1収容部と内部に冷媒が流通する冷媒流通部とを有する冷却装置と、前記第1収容部に収容され、フレームを有するスピーカーを有し、前記第1収容部は、前記フレームに沿って延在する壁部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1のプロジェクターの外観を示す斜視図。
図2図1のプロジェクターの内部を示す平面図。
図3】実施形態1の電源ユニットの斜視図。
図4】電源ユニットの分解斜視図。
図5】電源用筐体の上部保持部の斜視図。
図6】電源用筐体の上部保持部の平面図。
図7図1のB-B線断面図。
図8】実施形態2のプロジェクターの外観を示す斜視図。
図9図8のプロジェクターの内部を示す平面図。
図10】ダクトの斜視図。
図11】ダクトの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
ここで、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
また、各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸が図示されている。また、以下では、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」とも言う。また、各軸の矢印方向先端側を「プラス側」とも言い、反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z軸方向プラス側を「上」とも言い、Z軸方向マイナス側を「下」とも言う。また、X軸とY軸とを含む面を「XY面」とも言いい、XY面をZ軸方向に見ることを「平面視」あるいは「平面的」ともいう。また、Z軸を含む断面に対して垂直方向から見ることを「断面視」あるいは「断面的」ともいう。
【0009】
1.実施形態1
1.1.プロジェクターの概要
図1は、本実施形態のプロジェクターの外観を示す斜視図である。図2は、図1のプロジェクターの内部を示す平面図である。
プロジェクター1は、図1および図2に示すように、外筐体としての外装筐体2、光源ユニット3、スピーカー4、投写レンズ51を含む光学ユニット5、メイン基板6、電源ユニット7、吸気ユニット8および排気ユニット9を備える。
【0010】
外装筐体2は、合成樹脂製であり、図1に示すように、アッパーケース21、ロアーケース22等を備えており、これらは、ネジ等によって組み合わされる。
【0011】
アッパーケース21は、図1に示すように、外筐体としての外装筐体2の上部を構成する。アッパーケース21の上面21aには、スピーカー4が配置される位置に対応して、複数の孔211が設けられている。また、アッパーケース21の上面21aには、開口部212が形成されており、この開口部212に、投写レンズ51の焦点を調整するレバー541が露出している。
【0012】
ロアーケース22は、外装筐体2の下部を構成する。図2に示すように、ロアーケース22のマイナスX側の側面には、外気を取り込むための吸気口221が設けられる。また、外装筐体2のプラスX側の側面には、排気口222が設けられる。また、ロアーケース22の下部には、プロジェクター1が机上等に設置される際に用いられる脚部が設けられる。
【0013】
メイン基板6は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を実装し、プロジェクター1の動作の制御を行う制御部、画像信号処理部、音声信号処理部として機能する。
【0014】
光学ユニット5は、制御部による制御の下、光源ユニット3からの光束を、図示しない光変調装置によって変調し、投写レンズ51を介して投写する。光学ユニット5は、光変調装置として、赤色、緑色、青色の各色に対応した3つの液晶ライトバルブを備える。光源ユニット3からの光束は、3つの液晶ライトバルブによって、各色の画像信号に応じて変調された後、合成され、フルカラーの映像として、投写レンズ51によりに拡大投写される。なお、液晶ライトバルブとしては、透過型や反射型のものを用いることができる。また、光変調装置は、DMD(Digital Micromirror Device)を用いてもよい。また、光変調装置は、3板式に限らず、単板式のものであってもよい。
【0015】
1.2.電源ユニットの概要
【0016】
次に、電源ユニット7の構成について説明する。
図3は、電源ユニットを示す斜視図であり、図4は、電源ユニットの分解斜視図である。
電源ユニット7は、図3に示すように、機能素子としての電源回路基板71、内筐体としての電源用筐体73、電磁シールド板74、空気導入口75およびスピーカー4を備えている。
【0017】
電源ユニット7は、図示しないインレットコネクターを介して入力された電力を整流し、各種の電圧値の電力に変換してメイン基板6、光源ユニット3、吸気ユニット8、排気ユニット9に出力する。
電源回路基板71は、図4に示すように、電源回路基板71に実装されたコイル、トランジスター、ダイオード等の回路素子やヒートシンク等を備える。
【0018】
電源用筐体73は、第2収容部としての上部保持部731と下部保持部732とから構成される。上部保持部731と下部保持部732とを組み合わせることによって上部保持部731と下部保持部732との間にできる空間73sに、電源回路基板71は収容される。
【0019】
上部保持部731は、第1収容部としての壁部733を備える。上部保持部731は、樹脂材料からなる成形部品であり、壁部733は、上部保持部の上面731aに、上部保持部731の一部として、一体に成形されている。
【0020】
スピーカー4は、図3に示すように、壁部733の開口端733aの近傍に、取り付けられる。スピーカー4は、スピーカーコーン43と、スピーカーコーン43を振動可能に支持するフレーム42とを備える。なお、スピーカーコーン43は、音波を出力する出力部である。
【0021】
壁部733は、壁部733の内壁733bが、スピーカー4のフレーム42の外縁42aに沿って、スピーカー4をぐるりと1周する形状に形成される。よって、スピーカー4を壁部733の開口端733aの近傍に配置することで、壁部733の開口端733a側が、スピーカー4によって閉塞され、スピーカー4の背面の空間73eは、密閉空間となる。
【0022】
スピーカー4の背面の空間73eを密閉空間とすることで、スピーカー4の前面からの音波と背面からの音波とを遮断し、互いに逆位相となる前面からの低域の音と背面からの低域の音とが打ち消しあうことを抑制できる。これによって、スピーカー4の音圧を向上させることができる。本出願人は、本実施形態の壁部733の構造を採用したプロジェクター1において、スピーカー4のワット数が5Wの場合、約3dBの音圧の向上を、確認することができた。
【0023】
なお、スピーカー4の背面は、完全な密閉空間である必要はない。スピーカー4の前面からの音と背面からの音とを遮断し、互いに逆位相となる前面からの低域の音と背面からの低域の音とが打ち消しあうことを抑制できれば、スピーカー4と壁部733の内壁733bとの間に、スピーカー4の背面につながる隙間があってもよい。
【0024】
壁部733の開口端733aには、切り欠き部734が設けられる。図3に示すように、切り欠き部734を介して、スピーカー4に接続されたケーブル41が、電源用筐体73から引き出される。ケーブル41は、メイン基板6に接続され、音声信号処理部から出力された音響電気信号をスピーカー4に伝送する。
【0025】
空気導入口75には、図示しないシロッコファンが配置され、空間73sに電源用筐体73の外部から冷却用空気を、空気導入口75を介して、空間73sに導入する。
【0026】
図5は、電源用筐体の上部保持部の斜視図であり、図6は、電源用筐体の上部保持部の平面図である。
図5に示すように、壁部733の内側には、スピーカー4を開口端733aの近傍に固定するためのねじ穴を有する柱76a,76bが配置される。
【0027】
壁部733には、開口端733aに設けられる切り欠き部734を除き、壁部733を貫通する孔は設けられていない。また、図6に示すように、空間73eに面する上面731aには、空間73eと空間73sとの間を貫通する孔は設けられない。よって、スピーカー4の背面の空間73eを密閉空間とすることができ、壁部733は、スピーカー4の密閉型のエンクロージャとして機能する。なお、空間73eに面する上面731aに対応する上部保持部731の反対側の面は、空間73sに面する。すなわち、上部保持部731は、片側が、空間73eに面し、反対側が、空間73sに面している部分を有する。
【0028】
上述したように、壁部733は、上部保持部731の上面731aに、上部保持部731と一体に成形されている。すなわち、スピーカー4のエンクロージャとして機能する壁部733を、電源用筐体73を構成する上部保持部731に一体に設けているため、部品点数の増加を抑制し、また、部品点数の増加によるコスト増も抑制することができる。
【0029】
図7は、図1のB-B線断面図である。
スピーカー4は、電源用筐体73の壁部733に収容され、外装筐体2において、スピーカー用の孔211が設けられた位置に配置される。
壁部733の開口端733aとアッパーケース21の内面21bとの間には、弾性部材11が配置される。弾性部材11は、スピーカー4の音波が、壁部733とアッパーケース21の内面21bとの隙間を通じて、外装筐体2内に漏れて、外装筐体2内の他の部品に、ビビリノイズが発生することを抑制する。また、スピーカーコーン43の振動が、フレーム42を介して壁部733に伝わり、開口端733aのうち、アッパーケース21に触れた部分が擦れることで、ビビリノイズが発生することを抑制する。
【0030】
このように、弾性部材11を配置することで、ビビリノイズの発生を抑制できるため、本実施形態のプロジェクター1は、トーナリティを向上させることができる。本願出願人は、本実施形態の弾性部材11を採用したプロジェクター1において、トーナリティが0.9から0.95に向上したことを、確認することができた。
【0031】
壁部733の内壁733bには、延出部733cが形成される。延出部733cは、スピーカー4のフレーム42の外縁42aに沿って1周ぐるりと、フレーム42の外縁42aと壁部733の内壁733bとの間の隙間を埋めるように、配置される。
【0032】
延出部733cを設けることで、スピーカー4の背面の空間73eの密閉度を上げることができる。よって、スピーカー4の音圧をさらに向上させることができる。
なお、延出部733cは、必須の構成ではない。スピーカー4の背面の空間73eを、所望の密閉度の空間とするために、延出部733c以外の構成を採用することができる。また、壁部733のみの構成で、スピーカー4の背面の空間73eを、所望の密閉度とすることができれば、延出部733cを設ける必要はない。
【0033】
以上、述べたとおり、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態のプロジェクター1は、外筐体としての外装筐体2と、外装筐体2に収容され、第1収容部としての壁部733と、機能素子を収容する第2収容部としての上部保持部731と下部保持部732とを有する1つの内筐体としての電源用筐体73と、第1収容部に収容され、フレーム42を有するスピーカー4と、を有し、第1収容部は、フレーム42に沿って延在する壁部733を有する。
【0034】
この構成によれば、電源用筐体73に、スピーカー4のエンクロージャとして機能する壁部733を設けたため、スピーカー4の背面から発せられる音波がスピーカー4の前面側に漏れるのを抑制することができる。よって、プロジェクター1のスピーカー4から出力される音の音圧を向上させることができる。
【0035】
また、スピーカー4のエンクロージャとして機能する壁部733を、電源用筐体73の上部保持部731と一体に形成している。さらには、スピーカー4の背面の空間73eに面する上部保持部731は、電源回路基板71を収容する第2収容部として機能する上部保持部731でもある。よって、スピーカー4の背面の空間73eを密閉するために、専用の部材が不要で、部品の増加及びコストアップを抑制することができる。
【0036】
本実施形態のプロジェクター1は、さらに、外装筐体2は、壁部733と対向する内面21bを有し、壁部733の開口端733aと内面21bとの間に設けられた弾性部材11と、を備える。
この構成によれば、スピーカー4の音波が、壁部733と外装筐体2との隙間を通じて、外装筐体2内に漏れて、外装筐体2の内側に設けられた他の部品に、ビビリノイズが発生することを抑制することができる。
【0037】
本実施形態のプロジェクター1は、さらに、スピーカー4は、電気信号を伝送するケーブル41を有し、壁部733は、開口端733aに切り欠きとしての切り欠き部734を有し、ケーブル41は、切り欠き部734を介して壁部733から引き出される。
この構成によれば、壁部733からの音漏れを抑制しつつ、ケーブル41を壁部733の外部に引き出すことができる。
【0038】
本実施形態のプロジェクター1は、さらに、壁部733は、スピーカー4の背面に、密閉空間としての空間73eを有する。
この構成によれば、スピーカー4の背面から出力される逆位相の音波が、スピーカー4の前面側に音漏れすること、を効果的に抑制することができる。よって、スピーカー4の音圧を向上させることができる。
【0039】
本実施形態のプロジェクター1は、さらに、機能素子は、電源ユニット7であり、内筐体は電源ユニット用筐体としての電源用筐体73である。
この構成によれば、電源ユニット7は、画像形成をする光学ユニット5を収容しないので、スピーカー4の音波によって光学ユニット5に画像の歪みが生じることを抑制することができる。
【0040】
本実施形態のプロジェクター1は、さらに、壁部733は、上部保持部731とアッパーケース21の内面21bとの間に設けられる。
この構成によれば、電源用筐体73と、アッパーケース21との間の狭い空間を使用して、壁部733を配置できるので、外装筐体2のサイズアップを抑制することができる。また、壁部733を配置することで、外装筐体2の内部のデッドスペースが削減され、外装筐体2の内部空間の使用効率を向上させることができる。
【0041】
2.実施形態2
2.1.プロジェクターの概要
実施形態2では、エンクロージャをダクトに形成した例を説明する。
図8は、実施形態2のプロジェクターの外観を示す斜視図である。図9は、図8のプロジェクターの内部を示す平面図である。
プロジェクター1000は、図8および図9に示すように、外筐体としての外装筐体1002、光源ユニット1003、スピーカー1004、投写窓1051を有する光学ユニット1005、電源ユニット1007、吸気ユニット1008、冷却装置としての排気ユニット1009を備える。
【0042】
外装筐体1002は、合成樹脂製であり、図8に示すように、アッパーケース1021、ロアーケース1022等を備えており、これらは、ネジ等によって組み合わされる。
【0043】
アッパーケース1021は、図8に示すように、外装筐体1002の上部を構成する。アッパーケース1021の上面1021aには、スピーカー1004が配置される位置に対応して、複数の孔1211が設けられている。また、アッパーケース1021の上面1021aには、投写窓1051が設けられており、光学ユニット1005から出力される映像をこの投写窓1051から投写する。投写窓1051から投写された映像は、プロジェクター1000のマイナスY側となる背面方向に出力される。また、アッパーケース1021のマイナスX側の側面には、外気を取り込むための吸気口1221が設けられる。また、外装筐体1002のプラスX側の側面には、排気口1222が設けられる。
【0044】
ロアーケース1022は、外装筐体1002の下部を構成する。また、ロアーケース1022の下部には、プロジェクター1000を壁際や天井などに設置する際に用いられる脚部や天井吊り下げ金具の固定部が設けられる。
【0045】
光学ユニット1005は、図示しない制御部による制御の下、光源ユニット1003からの光束を、図示しない光変調装置を介して射出した光束を投写する。光変調装置は、3板式の液晶ライトバルブである。なお、光変調装置としては、実施形態1と同様に、DMDや単板式のものを採用してもよい。
【0046】
スピーカー1004は、図9に示すように、壁部1933の開口端1933aの近傍に、取り付けられる。スピーカー1004は、スピーカーコーン1043と、スピーカーコーン1043を振動可能に支持するフレーム1042とを備える。本実施形態において、スピーカー1004は、排気ユニット1009のダクト1091に設けられた壁部1933に収容される。スピーカー1004のフレーム1042は、平面視で、略四角形の形であり、壁部1933の形状も、フレーム1042と同じ略四角形の形に形成される。
【0047】
2.2.ダクトの概要
次に、冷却装置としての排気ユニット1009に用いられるダクトの構成について説明する。
図10は、ダクトを示す斜視図であり、図11は、ダクトの平面図である。
冷媒流通部としてのダクト1091は、図10に示すように、機能素子としての冷媒を流通されるための管構造を有する。なお、本実施形態において、冷媒は、冷却に用いられる空気である。ダクト1091を通る冷媒は、空気排出口1975を介して、排気口1222から外部に排出される。
【0048】
ダクト1091は、第1収容部としての壁部1933を備える。ダクト1091は、樹脂材料からなる成形部品であり、壁部1933は、ダクト1091の上面1091aに、ダクト1091の一部として、一体に成形されている。
【0049】
壁部1933の内側の各コーナーには、スピーカー1004を壁部1933の開口端1933aの近傍にねじ止めするための柱1976が設けられる。壁部1933の開口端1933aには、切り欠き部1934が設けられる。実施形態1と同様に、切り欠き部1934には、図示しないケーブルが通され、ケーブルを介して、スピーカー1004に、音響電気信号が伝送される。
【0050】
壁部1933は、その内壁1933bが、スピーカー1004のフレーム1042の外縁に沿って、スピーカー1004をぐるりと1周する形状に形成される。よって、スピーカー1004を壁部1933の開口端1933aの近傍に配置することで、壁部1933の開口端1933a側が、スピーカー1004によって閉塞され、スピーカー1004の背面の空間1093eを密閉空間とすることができる。
【0051】
スピーカー4の背面の空間1093eを密閉空間とすることで、スピーカー1004の前面からの音波と背面からの音波とを遮断し、互いに逆位相となる前面からの低域の音と背面からの低域の音とが打ち消しあうことを抑制できる。これによって、スピーカー1004の音圧を向上させることができる。
なお、スピーカー1004の背面の空間1093eは、実施形態1と同様に完全な密閉空間である必要はない。
【0052】
図9に示すように、壁部1933には、開口端1933aに設けられる切り欠き部1934を除き、壁部1933を貫通する孔は設けられていない。また、図10に示すように、空間1093eに面する上面1091aには、空間1093eと空間1093sとの間を貫通する孔は設けられない。よって、壁部1933とダクト1091の上面1091aとによって、スピーカー1004の背面の空間1093eを密閉空間とすることができる。すなわち、ダクト1091に設けた壁部1933を、スピーカー1004の密閉型のエンクロージャとして機能させることができる。なお、空間1093eに面する上面1091aに対応するダクト1091の反対側の面は、ダクトの内側の空間1093sに面する。すなわち、ダクト1091は、片側が、空間1093eに面し、反対側が、空間1093sに面している部分を有する。
【0053】
上述したように、壁部1933は、ダクト1091の上面1091aに、ダクト1091と一体に成形されている。すなわち、スピーカー1004のエンクロージャとして機能する壁部1933を、ダクト1091に一体に設けているため、部品点数の増加を抑制し、また、部品点数の増加によるコスト増も抑制することができる。
【0054】
図9および図10に示すように、スピーカー1004は、ダクト1091の壁部1933に収容され、外装筐体1002において、スピーカー用の孔1211が設けられた位置に配置される。
【0055】
なお、図示しないが、壁部1933の開口端1933aとアッパーケース1021の内面との間には、実施形態1と同様に、弾性部材が配置される。このように、弾性部材を配置することで、実施形態1と同様に、トーナリティを向上させることができる。
【0056】
また、壁部1933の内壁1933bには、実施形態1と同様に、延出部を形成してもよい。延出部を設けることで、実施形態1と同様に、スピーカー1004の背面の空間1093eの密閉度を上げることができるので、スピーカー1004の音圧をさらに向上させることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、壁部1933を排気ユニット1009に用いられるダクト1091に形成したが、吸気ユニット1008に用いられるダクトに壁部1933を設けて、スピーカー1004のエンクロージャとして機能させる構成としてもよい。また、外装筐体1002の内部に配置される他のダクトに壁部1933を設けてもよい。
【0058】
以上、述べたとおり、本実施形態のプロジェクター1000によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
本実施形態のプロジェクター1000は、外筐体としての外装筐体1002と、外装筐体1002に収容され、第1収容部としての壁部1933と内部に冷媒が流通する冷媒流通部としてのダクト1091とを有する冷却装置としての排気ユニット1009と、壁部1933に収容され、フレーム1042を有するスピーカー1004を有し、第1収容部は、フレーム1042に沿って延在する壁部1933を有する。
【0059】
この構成によれば、ダクト1091に、スピーカー1004のエンクロージャとして機能する壁部1933を設けたため、スピーカー1004の背面から発せられる音波がスピーカー1004の前面側に漏れるのを抑制することができるので、音圧を向上させることができる。
【0060】
また、スピーカー1004のエンクロージャとして機能する壁部1933を、ダクト1091と一体に形成しているため、スピーカー1004の背面の空間1093eを密閉するために、専用の部材が不要で、部品の増加及びコストアップを抑制することができる。
【0061】
また、ダクト1091は、画像形成をする光学ユニット1005を収容しないので、スピーカー1004の音波によって光学ユニット1005に画像の歪みが生じることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…プロジェクター、2…外装筐体、21…アッパーケース、21a…上面、21b…内面、22…ロアーケース、211…孔、212…開口部、221…吸気口、222…排気口、3…光源ユニット、4…スピーカー、41…ケーブル、42…フレーム、42a…外縁、43…スピーカーコーン、5…光学ユニット、51…投写レンズ、541…レバー、6…メイン基板、7…電源ユニット、71…電源回路基板、73…電源用筐体、73e…空間、73s…空間、74…電磁シールド板、75…空気導入口、76a…柱、731…上部保持部、731a…上面、732…下部保持部、733…壁部、733a…開口端、733b…内壁、733c…延出部、734…切り欠き部、8…吸気ユニット、9…排気ユニット、11…弾性部材、1000…プロジェクター、1002…外装筐体、1021…アッパーケース、1021a…上面、1211…孔、1221…吸気口、1222…排気口、1022…ロアーケース、1003…光源ユニット、1004…スピーカー、1042…フレーム、1005…光学ユニット、1051…投写窓、1007…電源ユニット、1008…吸気ユニット、1009…排気ユニット、1091…ダクト、1091a…上面、1093e…空間、1093s…空間、1933…壁部、1933a…開口端、1933b…内壁、1934…切り欠き部、1975…空気排出口。
図1
図2
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図6
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図8
図9
図10
図11