(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20250701BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20250701BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
B60W30/06
B60R99/00 340
B60R99/00 351
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2022018374
(22)【出願日】2022-02-09
【審査請求日】2024-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 和哉
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-075550(JP,A)
【文献】国際公開第2021/033632(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G06T 7/00- 7/90
B60R 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の画像情報を取得する取得装置と、表示器と、駐車支援制御プログラムが起動されると、前記取得装置により取得された前記車両の周囲の画像情報を前記表示器に表示し、乗員により前記画像情報に基づいて目標駐車位置が決定されると、前記目標駐車位置への前記車両の移動を支援する駐車支援制御を実行するよう構成された制御装置と、を含む駐車支援装置
であって、
前記制御装置は、乗員により登録スイッチが操作されると、前記車両の現在地の情報を取得し、現在地を登録地点として記憶装置に登録する登録制御と、前記車両が前記記憶装置に登録されている登録地点から予め設定された距離の範囲内にあり且つ車速が基準値以下であると判定したときに、前記駐車支援制御プログラムを起動する起動制御と、を行うよう構成された、駐車支援装置
において、
前記表示器はタッチパネル式の表示器であり、前記登録スイッチは、前記表示器に表示され、タッチにより操作され、登録のみのスイッチと登録及び起動のスイッチとを含むスイッチであり、前記制御装置は、前記登録及び起動のスイッチがタッチされたときには、前記登録制御を行い、その後前記起動制御を行うよう構成された、駐車支援装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の駐車支援装置において、前記制御装置は、前記車両が停止しており且つ前記車両の現在地の情報を取得可能であるときに、前記表示器に前記登録スイッチを表示するよう構成された、駐車支援装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の駐車支援装置において、前記制御装置は、車速が前記基準値以下であると判定すると、前記車両から前記予め設定された距離の範囲内に前記記憶装置に登録されている登録地点があるか否かを判定し、前記距離の範囲内に前記登録地点があると判定したときに、前記駐車支援制御プログラムを起動するよう構成された、駐車支援装置。
【請求項4】
車両の周囲の画像情報を取得する取得装置と、表示器と、駐車支援制御プログラムが起動されると、前記取得装置により取得された前記車両の周囲の画像情報を前記表示器に表示し、乗員により前記画像情報に基づいて目標駐車位置が決定されると、前記目標駐車位置への前記車両の移動を支援する駐車支援制御を実行するよう構成された制御装置と、を含む駐車支援装置であって、
前記制御装置は、乗員により登録スイッチが操作されると、前記車両の現在地の情報を取得し、現在地を登録地点として記憶装置に登録する登録制御と、前記車両が前記記憶装置に登録されている登録地点から予め設定された距離の範囲内にあり且つ車速が基準値以下であると判定したときに、前記駐車支援制御プログラムを起動する起動制御と、を行うよう構成された、駐車支援装置において、
前記駐車支援装置は、起動スイッチを含み、前記制御装置は、前記起動スイッチが操作されると、前記車両が前記記憶装置に登録されている登録地点から予め設定された距離の範囲内にあるか否かを判定することなく、前記
起動制御を行うよう構成された、駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両の駐車支援装置に係る。
【背景技術】
【0002】
カメラセンサなどにより取得された車両の周囲の画像情報が表示器に表示され、画像情報に基づいて乗員により目標駐車位置が決定されると、自動運転などにより目標駐車位置への車両の移動が支援されるよう構成された駐車支援装置が知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、車両と駐車スペースとの位置関係に応じた駐車モードに従い、車両が駐車スペースに至る駐車経路を算出し、算出された駐車経路に沿って車両を駐車スペースへ移動させる駐車支援制御を行う駐車支援装置が記載されている。更に、この駐車支援装置は、車両が駐車した駐車スペースと位置情報とが対応づけられた駐車情報を記憶し、車両が走行する際に駐車情報を参照し、車両が駐車スペースから所定距離以内に存在する場合には、駐車支援制御を起動するよう構成されている。
【0004】
下記の特許文献1に記載された駐車支援装置によれば、車両が駐車スペースから所定距離以内に存在する状況になれば、駐車支援制御が自動的に起動するので、運転者は起動スイッチの操作を行うことなく駐車支援制御を起動させるができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
〔発明が解決しようとする課題〕
上記公開公報に記載された駐車支援装置においては、自車両が駐車したことがある駐車スペースから所定距離以内に自車両が存在する状況にならなければ、駐車支援制御が自動的に起動しない。そのため、自車両が駐車したことがない場所においては、駐車支援制御を自動的に起動させることができない。
【0007】
本発明の主要な課題は、駐車支援制御を起動させたい地点を登録することにより、車両が駐車したことがない場所においても、駐車支援制御を自動的に起動させることができるよう改良された駐車支援装置を提供することである。
【0008】
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、車両(102)の周囲の画像情報を取得する取得装置(カメラセンサ12)と、表示器(52)と、駐車支援制御プログラムが起動されると、取得装置により取得された車両の周囲の画像情報(106)を表示器に表示し、乗員により画像情報に基づいて目標駐車位置(110B)が決定されると、目標駐車位置への車両の移動を支援する駐車支援制御を実行するよう構成された制御装置(10)と、を含む駐車支援装置(100)
であって、
制御装置(10)は、乗員により登録スイッチが操作されると、車両(102)の現在地の情報を取得し、現在地を登録地点として記憶装置(18)に登録する(S70、S80)登録制御(図2)と、車両が記憶装置に登録されている登録地点から予め設定された距離の範囲内にあり且つ車速(V)が基準値(Vc)以下であると判定したときに(S220、S240)、駐車支援制御プログラム(図4)を起動する(S250)起動制御(図3)と、を行うよう構成された駐車支援装置(基本の構成)
が提供される。
【0009】
表示器(52)はタッチパネル式の表示器であり、登録スイッチ(52A、52B)は、表示器に表示され、タッチにより操作され、登録のみのスイッチ(52A)と登録及び起動のスイッチ(52B)とを含むスイッチであり、制御装置(10)は、登録及び起動のスイッチがタッチされたときには(S50)、登録制御を行い(S80)、その後起動制御を行う(S90)よう構成される。
【0010】
上記の構成によれば、駐車支援制御プログラムが起動されると、取得装置により取得された車両の周囲の画像情報が表示器に表示され、乗員により画像情報に基づいて目標駐車位置が決定されると、目標駐車位置への車両の移動を支援する駐車支援制御が実行される。よって、駐車支援制御により、目標駐車位置への車両の移動が支援される。
【0011】
また、上記の構成によれば、乗員により登録スイッチが操作されると、車両の現在地の情報が取得され、現在地が登録地点として記憶装置に登録される。更に、車両が記憶装置に登録されている登録地点から予め設定された距離の範囲内にあり且つ車速が基準値以下であると判定されると、駐車支援制御プログラムが起動される。
【0012】
よって、乗員は登録スイッチを操作することにより、車両の現在地が車両を駐車したことがない場所であっても、車両の現在地を登録地点として記憶装置に登録することができる。更に、車両が記憶装置に登録されている登録地点から予め設定された距離の範囲内に位置し且つ車速が基準値以下であれば、駐車支援制御プログラムを起動させることができる。従って、駐車支援制御プログラムを起動させたい地点を登録することにより、車両を駐車したことがない場所であっても、車両が登録された地点に近づくと、起動スイッチを操作することなく、駐車支援制御プログラムを自動的に起動させることができる。
更に、上記の構成によれば、表示器(52)はタッチパネル式の表示器であり、登録スイッチ(52A、52B)は、表示器に表示され、タッチにより操作され、登録のみのスイッチ(52A)と、登録及び起動のスイッチ(52B)とを含むスイッチであり、制御装置(10)は、登録及び起動のスイッチがタッチされたときには(S50)、登録制御を行い(S80)、その後起動制御を行う(S90)。
よって、乗員は表示器に表示される登録スイッチをタッチにより操作することにより、車両の現在地の情報を取得し、現在地を登録地点として記憶装置に登録することができる。更に、乗員は、登録及び起動のスイッチをタッチすることにより、現在地を登録地点として記憶装置に登録することができるだけでなく、その後駐車支援制御プログラムを起動することができる。
【0015】
〔発明の態様〕
本発明の一つの態様においては、制御装置(10)は、車両(102)が停止しており且つ車両の現在地の情報を取得可能であるときに(S10)、表示器(52)に登録スイッチ(52A、52B)を表示する(S30)よう構成される。
【0016】
上記態様によれば、車両が停止しており且つ車両の現在地の情報を取得可能であるときに、表示器に登録スイッチが表示される。よって、乗員は、車両が停止しており且つ車両の現在地の情報を取得可能であるときに、表示器に表示される登録スイッチを操作することができる。
【0019】
更に、本発明の他の一つの態様においては、制御装置(10)は、車速(V)が基準値(Vc)以下であると判定すると(S240)、車両から予め設定された距離の範囲内に記憶装置に登録されている登録地点があるか否かを判定し(S220)、距離の範囲内に登録地点があると判定したときに、駐車支援制御プログラム(
図4)を起動する(S250)よう構成される。
【0020】
上記態様によれば、車速が基準値以下であると判定されると、車両から予め設定された距離の範囲内に記憶装置に登録されている登録地点があるか否かが判定され、距離の範囲内に登録地点があると判定されたときに、駐車支援制御プログラムが起動される。よって、車速が基準値以下であり、車両から予め設定された距離の範囲内に記憶装置に登録されている登録地点があれば、駐車支援制御プログラムを自動的に起動させることができる。
【0021】
更に、本発明
によれば、上記の基本の構成において、駐車支援装置(100)は、起動スイッチ(16)を含み、制御装置は、起動スイッチが操作されると、車両が記憶装置に登録されている登録地点から予め設定された距離の範囲内にあるか否かを判定することなく、駐車支援制御プログラム(
図4)を起動するよう構成される。
【0022】
上記の構成によれば、起動スイッチが操作されると、車両が記憶装置に登録されている登録地点から予め設定された距離の範囲内にあるか否かが判定されることなく、駐車支援制御プログラムが起動される。よって、乗員は、起動スイッチを操作することにより、車両が記憶装置に登録されている登録地点から予め設定された距離の範囲内にあるか否かに関係なく、駐車支援制御プログラムを起動させることができる。
【0023】
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いられる名称及び/又は符号が括弧書きで添えられている。しかし、本発明の各構成要素は、括弧書きで添えられた名称及び/又は符号に対応する実施形態の構成要素に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による駐車支援装置の実施形態を示す概略構成図である。
【
図2】実施形態における現在地登録制御プログラムに対応するルーチンを示すフローチャートである。
【
図3】実施形態における駐車支援制御の自動起動制御プログラムに対応するルーチンを示すフローチャートである。
【
図4】実施形態における駐車支援制御プログラムに対応するルーチンを示すフローチャートである。
【
図5】表示器に表示された「登録のみ」のスイッチ及び「登録及び起動」のスイッチを示す図である。
【
図6】車両の現在位置及び登録地点が示された左側俯瞰画像の例を示す図である。
【
図7】目標経路が設定された左側俯瞰画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明の実施形態にかかる駐車支援装置について詳細に説明する。
【0026】
<構成>
図1に示されているように、本発明の実施形態にかかる駐車支援装置100は、車両102に適用され、運転支援ECU10を含んでいる。車両102は、駆動ECU20、制動ECU30、電動パワーステアリングECU40及びメータECU50を備えている。ECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電子制御装置(Electronic Control Unit)を意味する。なお、以下の説明においては、電動パワーステアリングはEPSと呼称される。
【0027】
各ECUのマイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、読み書き可能な不揮発性メモリ(N/M)及びインターフェース(I/F)などを含んでいる。CPUは、ROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。更に、これらのECUは、CAN(Controller Area Network)104を介してデータ交換可能(通信可能)に互いに接続されている。従って、特定のECUに接続されたセンサ(スイッチを含む)の検出値などは、他のECUにも送信されるようになっている。
【0028】
運転支援ECU10は、駐車支援制御、追従車間距離制御、車線維持制御などの運転支援制御を行う中枢の制御装置である。実施形態においては、運転支援ECU10は、後に詳細に説明するように、他のECUと共働して、車両102を駐車するための現在地登録制御、駐車支援制御の自動起動制御、及び駐車支援制御を実行する。
【0029】
運転支援ECU10には、カメラセンサ12、レーダセンサ14及び起動スイッチ16が接続されている。カメラセンサ12及びレーダセンサ14は、それぞれ複数のカメラ装置及び複数のレーダ装置を含んでいる。運転支援ECU10は、不揮発性の記憶装置18を内蔵している。
【0030】
車外撮影カメラセンサ12の各カメラ装置は、図には示されていないが、車両102の周囲を撮影するカメラ部と、カメラ部によって撮影して得られた画像データを解析して道路の白線、他車両などの物標を認識する認識部とを備えている。認識部は、認識した物標に関する情報を所定時間の経過毎に運転支援ECU10に供給する。なお、カメラセンサ12に代えて、LiDAR(Light Detection And Ranging)が使用されてもよい。
【0031】
レーダセンサ14の各レーダ装置は、レーダ送受信部及び信号処理部(図示せず)を備えており、レーダ送受信部が、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する)を放射し、放射範囲内に存在する立体物(例えば、他車両、自転車、ガードレールなど)によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。信号処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間などに基づいて、自車両と立体物との距離、自車両と立体物との相対速度、自車両に対する立体物の相対位置(方向)などを表す情報を所定時間の経過毎に取得して運転支援ECU10に供給する。
【0032】
起動スイッチ16は、
図1には示されていないステアリングホイールのように運転者により操作可能な位置に設けられ、運転者によりオン及びオフに切換操作されるようになっている。起動スイッチ16がオンであるときには、そのことを示す信号が運転支援ECU10へ供給される。
【0033】
駆動ECU20には、
図1には示されていない駆動輪に駆動力を付与することにより車両102を加速させる駆動装置22が接続されている。駆動ECU20は、通常時には、駆動装置22により発生される駆動力が運転者による駆動操作に応じて変化するよう、駆動装置22を制御し、運転支援ECU10から指令信号を受信すると、指令信号に基づいて駆動装置22を制御する。
【0034】
なお、駆動装置22は、内燃機関及び自動変速機の組合せに限定されない。即ち、駆動装置22は、内燃機関及び無段変速機の組合せ、内燃機関及びモータの組合せである所謂ハイブリッドシステム、所謂プラグインハイブリッドシステム、燃料電池及びモータの組合せ、モータのように、当技術分野において公知の任意の駆動装置であってよい。
【0035】
制動ECU30には、
図1には示されていない車輪に制動力を付与することにより車両102を制動により減速させる制動装置32が接続されている。制動ECU30は、通常時には、制動装置32により発生される制動力が運転者による制動操作に応じて変化するよう、制動装置32を制御し、運転支援ECU10から指令信号を受信すると、指令信号に基づいて制動装置32を制御することにより自動制動を行う。なお、車輪に制動力が付与されていときには、
図1には示されていないブレーキランプが点灯される。
【0036】
EPS・ECU40には、EPS装置42が接続されている。EPS・ECU40は、後述の運転操作センサ60及び車両状態センサ70により検出された操舵トルクTs及び車速Vに基づいて、当技術分野において公知の要領にてEPS装置42を制御することにより、操舵アシストトルクを制御し、運転者の操舵負担を軽減する。また、EPS・ECU40は、EPS装置42を制御することにより、必要に応じて転舵輪を転舵することができる。よって、EPS・ECU40及びEPS装置42は、必要に応じて転舵輪を自動的に転舵する転舵装置として機能する。
【0037】
メータECU50には、運転支援ECU10による制御の状況などを表示するタッチパネル式の表示器52が接続されている。表示器52は、例えばメータ類及び各種の情報が表示されるマルチインフォーメーションディスプレイであってよく、後述のナビゲーション装置80のディスプレイであってもよい。後述のように、表示器52は、運転支援ECU10から指令信号を受信すると、現在地を登録するためのスイッチ、駐車位置を選択するための車両102の周囲の画像などを表示する。
【0038】
運転操作センサ60及び車両状態センサ70は、CAN104に接続されている。運転操作センサ60及び車両状態センサ70によって検出された情報(センサ情報と呼ぶ)は、CAN104に送信される。CAN104に送信されたセンサ情報は、各ECUにおいて適宜に利用可能である。なお、センサ情報は、特定のECUに接続されたセンサの情報であって、その特定のECUからCAN104に送信されてもよい。
【0039】
運転操作センサ60は、アクセルペダルの操作量を検出する駆動操作量センサ、マスタシリンダ圧力又はブレーキペダルに対する踏力を検出する制動操作量センサ、ブレーキペダルの操作の有無を検出するブレーキスイッチを含んでいる。更に、運転操作センサ60は、操舵角θを検出する操舵角センサ、操舵トルクTsを検出する操舵トルクセンサなどを含んでいる。
【0040】
車両状態センサ70は、車両102の車速Vを検出する車速センサ、車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ、車両の横方向の加速度を検出する横加速度センサ、及び車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサなどを含んでいる。
【0041】
更に、ナビゲーション装置80もCAN104に接続されている。ナビゲーション装置80は、車両102の位置を検出するGPS受信機と、地図情報及び道路情報を記憶する記憶装置と、地図情報及び道路情報の最新情報を外部から取得する通信装置とを備えている。ナビゲーション装置80は、車両102の現在地の情報を取得する装置として機能し、地図上における車両の現在地を示す信号を運転支援ECU10に出力する。
【0042】
実施形態においては、運転支援ECU10のROMは、現在地登録制御プログラム、駐車支援制御の自動起動制御プログラム及び駐車支援制御プログラムを記憶している。これらの制御プログラムは、それぞれ
図2乃至
図4に示されたフローチャートに対応しており、運転支援ECU10のCPUは、これらのプログラムに従って各制御を実行する。
【0043】
<現在地登録制御プログラム(
図2)>
次に、
図2に示されたフローチャートを参照して実施形態における現在地登録制御プログラムについて説明する。
図2に示されたフローチャートによる現在地登録制御は、車両102が停止状態にあるときに運転支援ECU10のCPUにより実行され、車両102が走行を再開すると、終了する。
【0044】
なお、車両状態センサ70の車速センサにより検出される車速Vが停止判定基準値(0又は正の定数)以下であるときに、車両が停止状態にあると判定されてよい。或は、車速センサにより検出される車速Vが停止判定基準値以下であり且つ
図1には示されていないブレーキランプがオンであるときに、車両が停止状態にあると判定されてよい。或は、車速センサにより検出される車速Vが停止判定基準値以下であり且つ
図1には示されていない変速機のシフトポジションがPレンジであるときに、車両が停止状態にあると判定されてよい。更に、車両状態センサ70の車速センサにより検出される車速Vが走行判定基準値(停止判定基準値よりも大きい正の定数)以上であるときに、車両が走行を再開したと判定されてよい。
【0045】
まず、ステップS10においては、CPUは、ナビゲーション装置80により車両102の現在地の情報を取得可能であるか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、本制御を一旦終了し、肯定判定をしたときには、本制御をステップS20へ進める。
【0046】
ステップS20においては、CPUは、駐車支援制御プログラムが既に起動しているかを判定する。CPUは、肯定判定をしたときには、本制御を終了し、否定判定をしたときには、制御をステップS30へ進める。
【0047】
ステップS30においては、CPUは、
図5に示されているように、表示器52に現在地登録のスイッチ(アイコン)として、「登録のみ」のスイッチ52A及び「登録及び起動」のスイッチ52Bを表示し、操作を促す。これらのスイッチは、乗員がタッチすることにより択一的にオンにすることができる。
【0048】
ステップS40においては、CPUは、「登録のみ」のスイッチ52Aがオンにされたか否かを判定する。CPUは、肯定判定をしたときには、本制御をステップS80へ進め、否定判定をしたときには、本制御をステップS50へ進める。
【0049】
ステップS50においては、CPUは、「登録及び起動」のスイッチ52Bがオンにされたか否かを判定する。CPUは、肯定判定をしたときには、本制御をステップS90へ進め、否定判定をしたときには、本制御をステップS60へ進める。
【0050】
ステップS60においては、CPUは、表示器52に現在地登録のスイッチの表示を開始してから終了判定の基準時間(正の定数)以上の時間が経過したか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、本制御を一旦終了し、肯定判定をしたときには、本制御をステップS100へ進める。
【0051】
ステップS70及びS80においては、CPUは、ナビゲーション装置80により取得された車両102の現在地の情報(例えば経度及び緯度)を、登録地点として記憶装置18に記憶することにより登録する。なお、ステップS70が完了すると、本制御はステップS100へ進み、ステップS80が完了すると、本制御はステップS90へ進む。
【0052】
ステップS90においては、CPUは、
図4に示されたフローチャートに対応する駐車支援制御プログラムを起動し、その後本制御をステップS100へ進める。
【0053】
ステップS100においては、CPUは、表示器52に現在地登録制御が終了する旨を表示したのち、現在地登録のスイッチの表示を終了する。
【0054】
以上の説明から解るように、現在地登録制御は、車両102が停止状態にあるときに実行され、ナビゲーション装置80により車両102の現在地の情報を取得可能であるときに(S10)、表示器52に「登録のみ」のスイッチ52A及び「登録及び起動」のスイッチ52Bが表示される(S30)。
【0055】
スイッチ52A又は52Bがオンにされると、ナビゲーション装置80により取得された車両102の現在地の情報が、登録地点として記憶装置18に記憶することにより登録される。よって、乗員は、車両102が登録地点として登録したい位置にあるときにスイッチ52A又は52Bをオンにすることにより(S40、S50)、自車両が駐車したことがない場所であっても、車両102の現在地を登録地点として登録することができる(S70、S80)。
【0056】
なお、乗員は、スイッチ52Bをオンにすることにより、自車両が駐車したことがない場所であっても、車両102の現在地を登録地点として登録することができると共に、駐車支援制御プログラムを起動することができる(S90)。
【0057】
<駐車支援制御の自動起動制御プログラム(
図3)>
次に、
図3に示されたフローチャートを参照して実施形態における駐車支援制御の自動起動制御プログラムについて説明する。
図3に示されたフローチャートによる自動起動制御は、
図1には示されていないイグニッションスイッチ(IGSW)がオンであるときに運転支援ECU10のCPUにより実行される。
【0058】
まず、ステップS210においては、CPUは、ナビゲーション装置80により取得された車両102の現在地の情報に基づいて、
図1には示されていない記憶装置18に記憶されている登録地点(登録済の地点)のなかから、最寄りの登録地点を検索する。なお、最寄りの登録地点を検索するに際しては、車両102の走行方向が考慮されてよい。
【0059】
ステップS220においては、CPUは、車両102が最寄りの登録地点から基準距離(正の定数)の範囲内に位置しているか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、本制御を一旦終了し、肯定判定をしたときには、本制御をステップS230へ進める。
【0060】
ステップS230においては、CPUは、表示器52に車両102が位置する領域の地図を表示すると共に、その地図に最寄りの登録地点(複数であってよい)を表示する。よって、運転者は表示器52に表示された地図を参照することにより、最寄りの登録地点の有無及び位置を認識することができる。なお、この地図及び最寄りの登録地点の表示のステップは省略されてもよい。
【0061】
ステップS240においては、CPUは、車両102の車速Vが低速判定の基準車速Vc(正の定数)以下であるか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、本制御を一旦終了し、肯定判定をしたときには、ステップS250において、駐車支援制御プログラム(
図4)を起動する。
【0062】
ステップS260においては、CPUは、車両102の車速Vが0であるか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、ステップS270において、表示器52に「停車して下さい」のように停車を推奨する旨を表示し、その後本制御をステップS260へ戻す。これに対し、CPUは、肯定判定をしたときには、ステップS280において、駐車支援制御プログラムのステップS310(
図4)へジャンプする。
【0063】
以上の説明から解るように、駐車支援制御の自動起動制御は、イグニッションスイッチがオンであるときに実行され、記憶装置18に記憶されている登録地点のなかから、最寄りの登録地点が検索される(S210)。車両102が最寄りの登録地点から基準距離の範囲内に位置していると判定されると(S220)、表示器52に車両102が位置する領域の地図が表示され、その地図に最寄りの登録地点が表示される(S230)。よって、運転者は、車両の現在地に近い登録地点の位置を認識することができる。
【0064】
車両102の車速Vが低速判定の基準車速Vc以下であると判定されると(S240)、駐車支援制御プログラムが起動される(S250)。よって、運転者は、地図に最寄りの登録地点が表示されている位置の近傍において、車速Vを低速判定の基準車速Vc以下に低下させることにより、起動スイッチ16を操作することなく、駐車支援制御プログラムを起動することができる。
【0065】
<駐車支援制御プログラム(
図4)>
次に、
図4に示されたフローチャートを参照して実施形態における駐車支援制御プログラムについて説明する。
図4に示されたフローチャートによる駐車支援制御は、上述の現在地登録制御又は駐車支援制御の自動起動制御により起動されたとき、又は起動スイッチ16により起動されたときに、運転支援ECU10のCPUにより実行される。
【0066】
まず、ステップS310においては、CPUは、表示器52に車両102の周囲の全周俯瞰画像を表示する。
図6に示されているように、運転者は、画像選択アイコン52Cをタッチすることにより、左側俯瞰画像、右側俯瞰画像、前側俯瞰画像及び後側俯瞰画像を表示させることができる。
図6は、左側俯瞰画像106の例であり、102nは車両102の現在位置を示し、星印は登録地点108を示している。
【0067】
ステップS320においては、CPUは、運転者が表示器52に表示された駐車可能な位置(駐車区画)にタッチすることにより、希望する駐車位置(目標駐車位置)を決定したか否かの判定を行う。CPUは、否定判定をしたときには、本制御をステップS310へ戻し、肯定判定をしたときには本制御をステップS330へ進める。なお、運転者は、希望する駐車位置を決定すると、車両102から降車し、その後は端末装置を操作することによりリモート駐車に関する必要な指示をすることができるようになっていてよい。
【0068】
ステップS330においては、CPUは、車両102の現在位置から目標駐車位置までの目標経路を設定し、表示器52に目標経路を表示すると共に、「駐車開始」のアイコン52D及び「登録及び駐車開始」のアイコン52Eを表示する。
図7は、目標経路が設定された左側俯瞰画像106の例を示している。
図7において、Pnは車両102の基準位置を示している。110は駐車区画を示し、110A及び110Bは駐車可能な駐車区画を示している。
【0069】
運転者が110Bの部分をタッチすることにより、駐車区画110Bを希望する駐車位置(目標駐車位置)に決定したとする。基準位置Pnの目標軌跡として車両102の現在位置102nから目標駐車位置110Bまでの目標経路112が設定されると共に、表示器52に目標経路112が表示される。
【0070】
ステップS340においては、CPUは、表示器52に表示された「駐車開始」のアイコン52D又は「登録及び駐車開始」のアイコン52Eがタッチされることにより、車両102の自動運転による移動が許可されているか否かの判定を行う。CPUは、否定判定をしたときには、ステップS340を繰り返し実行し、肯定判定をしたときには本制御をステップS350へ進める。なお、「登録及び駐車開始」のアイコン52Eがタッチされたときには、前述のステップS70及びS80と同様に、ナビゲーション装置80により取得された車両102の現在地の情報が、登録地点として記憶装置18に記憶することにより登録される。
【0071】
ステップS350においては、CPUは、他のECUと共働して、駆動装置22、制動装置32及びEPS装置42を自動的に制御する自動運転により、車両102を目標経路に沿って目標駐車位置へ向けて移動させる。なお、図には示されていないが、表示器52に表示された「停止」のアイコンをタッチすることにより、必要に応じて車両102を停止することができる。
【0072】
更に、車両102を目標駐車位置へ移動させることは、EPS装置42が自動的に制御され、車両の制駆動は運転者により行われる運転支援のような半自動運転により行われてもよい。
【0073】
ステップS360においては、CPUは、カメラセンサ14及びレーザセンサ16の検出結果に基づいて、車両102が目標駐車位置に到達したか否かの判定を行う。CPUは、否定判定をしたときには、本制御をステップS350へ戻し、肯定判定をしたときには、本制御をステップS370へ進める。
【0074】
ステップS370においては、CPUは、車両102が目標駐車位置に到達したことを表示器52に表示し、変速機のシフトポジションをPレンジへシフトし、イグニッションスイッチ(IGSW)をオフにする。なお、リモート駐車の場合には、車両102が目標駐車位置に到達したことが端末装置のディスプレイに表示される。
【0075】
以上の説明から解るように、駐車支援制御は、現在地登録制御又は駐車支援制御の自動起動制御により起動されたとき、又は起動スイッチ16により起動されたときに、実行される。駐車支援制御が起動されると、車両102の周囲の俯瞰画像が表示される(S310)。
【0076】
運転者により俯瞰画像を使用して目標駐車位置が決定されると(S320)、車両102の現在位置から目標駐車位置までの目標経路が設定され、表示器52に目標経路が表示され、「駐車開始」のアイコン52D及び「登録及び駐車開始」のアイコン52Eが表示される(S330)。
【0077】
何れかのアイコンがタッチされることにより、車両102の自動運転による移動が許可されていると判定されると(S340)、車両102が自動運転により目標経路に沿って目標駐車位置へ向けて移動される(S350)。車両102が目標駐車位置に到達したと判定されると(S360)、車両102が目標駐車位置に到達したことが表示器52に表示され、変速機のシフトポジションがPレンジへシフトされ、イグニッションスイッチがオフにされる(S370)。
【0078】
従って、運転者は、俯瞰画像を使用して目標駐車位置を決定し、アイコン52D又は52Eをタッチすることにより、車両102を自動運転により目標駐車位置へ移動させて駐車することができる。
【0079】
なお、運転者は、「登録及び駐車開始」のアイコン52Eをタッチすることにより、車両102の現在地を登録地点として登録することができると共に、車両102を自動運転により目標駐車位置へ移動させて駐車することができる。
【0080】
以上においては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0081】
例えば、上述の実施形態においては、登録スイッチは「登録のみ」のスイッチ52A及び「登録及び起動」のスイッチ52Bであり、表示器52に表示される(S30)。しかし、「登録及び起動」のスイッチ52Bは省略されてもよい。また、登録スイッチは、表示器52に表示されるスイッチではなく、起動スイッチ16と同様に、常設されたスイッチであってもよい。
【0082】
また、上述の実施形態においては、記憶装置18は運転支援ECU10に内蔵されているが、例えばクラウドに設置された記憶装置のように、車両102から無線通信によりアクセス可能な記憶装置であってもよい。
【0083】
また、上述の実施形態においては、「駐車開始」のアイコン52D及び「登録及び駐車開始」のアイコン52Eが表示器52に表示される。しかし、「登録及び駐車開始」のアイコン52Eは省略されてもよく、逆に、「駐車開始」のアイコン52Dがタッチされると、車両102の現在地が自動的に登録地点として登録されてもよい。但し、現在地が自動的に登録地点として登録される場合には、不必要な地点も登録され、登録地点の数が莫大な数になる。これに対し、実施形態によれば、起動スイッチ16の操作により駐車支援制御が起動された場合に、運転者が必要と思う地点を登録地点として登録することができ、不必要な地点が登録されることを回避することができる。
【符号の説明】
【0084】
10…運転支援ECU、12…カメラセンサ、14…レーダセンサ、16…起動スイッチ、20…駆動ECU、22…駆動装置、30…制動ECU、32…制動装置、40…EPS・ECU、42…EPS装置、50…メータECU、52…表示器、52A…「登録のみ」のスイッチ、52B…「登録及び起動」のスイッチ、60…運転操作センサ、70…車両状態センサ、80…ナビゲーション装置、100…運転支援装置、102…車両、108…登録地点