(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20250701BHJP
B60R 25/33 20130101ALI20250701BHJP
【FI】
G08B25/04 C
B60R25/33
(21)【出願番号】P 2022082532
(22)【出願日】2022-05-19
【審査請求日】2024-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】加納 輝之
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/110079(WO,A1)
【文献】特開2005-346276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0049925(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00-99/00
G01C 21/00-21/36,23/00-25/00
G08B 13/00-15/02,19/00-31/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駐車位置に関する情報を取得する第1の取得部と、
前記駐車位置における前記車両又は前記車両への持ち込み品若しくは搭載品の盗難、及び前記車両へのいたずらの少なくとも一方を含む車両被害の現在又は今後の発生の傾向に関する情報を取得する第2の取得部と、
前記車両が前記駐車位置に駐車されている状態で、前記第2の取得部により取得される情報に基づき、前記駐車位置における現在又は今後の前記車両被害が発生する可能性を推定する推定部と、
前記推定部により推定される、現在の前記車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に低い状態から高い状態になったことを表している場合、又は前記推定部により推定される、今後の前記車両被害が発生する可能性が前記所定基準に対して相対的に高い状態であることを予測している場合、前記車両被害が発生する可能性が相対的に高いことを表す通知を前記車両のユーザの端末装置に送信する通知部と、を備える、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の駐車位置における車両の持ち込み品や搭載品の盗難、車両へのいたずら等の車両被害が発生する可能性(危険度)を推定し、推定結果としての可能性が相対的に高い場合にユーザに通知を行う技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、搭乗者(運転者)の降車時に、車両被害が発生する可能性の推定が行われ、そのタイミングで、推定結果としての可能性が相対的に高い場合にユーザへの通知が行われる。そのため、例えば、車両の駐車位置における車両被害が発生する可能性が時間経過により変化し、車両被害が発生する可能性が相対的に低い状態から高い状態に変化するような状況には対応することができない。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、車両の駐車位置における車両被害が発生する可能性の時間経過による変化に合わせてユーザへの通知を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
車両の駐車位置に関する情報を取得する第1の取得部と、
前記駐車位置における前記車両又は前記車両への持ち込み品若しくは搭載品の盗難、及び前記車両へのいたずらの少なくとも一方を含む車両被害の現在又は今後の発生の傾向に関する情報を取得する第2の取得部と、
前記車両が前記駐車位置に駐車されている状態で、前記第2の取得部により取得される情報に基づき、前記駐車位置における現在又は今後の前記車両被害が発生する可能性を推定する推定部と、
前記推定部により推定される、現在の前記車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に低い状態から高い状態になったことを表している場合、又は前記推定部により推定される、今後の前記車両被害が発生する可能性が前記所定基準に対して相対的に高い状態であることを予測している場合、前記車両被害が発生する可能性が相対的に高いことを表す通知を前記車両のユーザの端末装置に送信する通知部と、を備える、
情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
上述の実施形態によれば、車両の駐車位置における車両被害が発生する可能性の時間経過による変化に合わせてユーザへの通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】車両被害監視システムの一例を示す図である。
【
図2】サーバにおける車両被害の監視に関する処理の第1例を示す図である。
【
図4】サーバにおける車両被害の監視に関する処理の第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0010】
[車両被害監視システムの概要]
図1を参照して、車両被害監視システム1の概要について説明する。
【0011】
図1は、車両被害監視システム1の一例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、車両被害監視システム1は、車両10と、サーバ20と、携帯端末30とを含む。
【0013】
車両被害監視システム1は、サーバ20において、車両10を対象とする車両被害の発生に関するリモートでの監視を行う。
【0014】
車両被害には、例えば、車両10或いは車両10の構成品の盗難が含まれる。車両10の構成品は、車両10また、車両被害には、車両10に対するいたずらが含まれてもよい。車両10に対するいたずらには、車両10(外装面)への傷付け行為やタイヤをパンクさせる行為等が含まれる。
【0015】
車両10は、車両被害に関する監視の対象である。車両10は、例えば、原動機として内燃機関(エンジン)のみを搭載するエンジン車である。また、車両10は、原動機として、内燃機関に加えて電動機を搭載するHEV(Hybrid Electric Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)やレンジエクステンダEVであってもよい。また、車両10は、原動機として、電動機のみを搭載するBEV(Battery Electric Vehicle)や水素電池車であってもよい。
【0016】
車両10は、所定の通信回線を通じて、サーバ20と通信可能に接続される。これにより、車両10は、車両10に関する情報(以下、「車両情報」)を取得し、所定の通信回線を通じて、サーバ20にアップロードすることができる。車両10は、例えば、周期的に、車両情報をサーバ20にアップロードする。また、車両10は、例えば、サーバ20から要求に応じて、車両情報をサーバ20にアップロードしてもよい。
【0017】
所定の通信回線は、例えば、基地局を末端とする移動体通信網、通信衛星を利用する衛星通信網、インターネット網等の広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)が含まれる。また、所定の通信回線は、例えば、WiFiやブルートゥース(登録商標)等の所定の無線通信規格に基づく近距離通信回線を含んでもよい。以下、サーバ20と携帯端末30との間の通信に利用される所定の通信回線についても同様であってよい。
【0018】
車両被害監視システム1により監視される車両10は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0019】
サーバ20(情報処理装置の一例)は、所定の通信回線を通じて、車両10から車両情報を取得し、車両情報に基づき、駐車されている車両10に対する車両被害に関する監視を行う。また、サーバ20は、所定の通信回線を通じて、車両被害に関する監視結果に関する通知を携帯端末30に送信する。
【0020】
サーバ20は、例えば、車両10の車両被害に関する監視を含む車両10に関する監視業務を遂行する監視センタに設置されるオンプレミスサーバである。また、サーバ20は、監視センタとは別の場所に設置されるクラウドサーバやエッジサーバであってもよい。
【0021】
サーバ20の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、外部との入出力用のインタフェース、入力装置、及び表示装置等を含むコンピュータを中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。補助記憶装置は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウスやタッチパネル等である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。インタフェースには、例えば、記録媒体と接続するための外部インタフェースやサーバ20の外部と通信を行うための通信インタフェース等が含まれる。これにより、サーバ20は、例えば、外部インタフェースを通じて、記録媒体から各種プログラムを取り込んだり、通信インタフェースを通じて、外部装置から各種プログラムをダウンロードしたりすることができる。また、サーバ20は、例えば、通信インタフェースを通じて、車両10や携帯端末30等の外部装置と相互に通信を行うことができる。
【0022】
携帯端末30(端末装置の一例)は、車両10のユーザが所持するユーザ端末である。携帯端末30は、所定の通信回線を通じて、サーバ20から車両10の車両被害に関する監視結果に関する通知を受信し、その通知の内容を視覚的或いは聴覚的な方法でユーザに通知する。
【0023】
携帯端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のPC等の可搬型の端末装置である。
【0024】
携帯端末30の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、携帯端末30は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、外部との入出力用のインタフェース、入力装置、及び表示装置等を含むコンピュータを中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAMやDRAMである。補助記憶装置は、例えば、HDDやSSDやEEPROMやフラッシュメモリ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウスやタッチパネル等である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等である。インタフェースには、例えば、記録媒体と接続するための外部インタフェースや携帯端末30の外部と通信を行うための通信インタフェース等が含まれる。これにより、携帯端末30は、例えば、外部インタフェースを通じて、記録媒体から各種プログラムを取り込んだり、通信インタフェースを通じて、外部装置から各種プログラムをダウンロードしたりすることができる。また、携帯端末30は、例えば、通信インタフェースを通じて、サーバ20等の外部装置と相互に通信を行うことができる。
【0025】
[車両被害監視システムの詳細構成]
次に、引き続き、
図1を参照して、車両被害監視システム1の詳細構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、車両10は、ECU(Electronic Control Unit)11と、リモートサービスECU12と、DCM(Data Communication Module)13とを含む。
【0027】
ECU11は、車両情報の取得に関する制御を行う。車両情報には、例えば、車両10の位置情報が含まれる。車両10の位置情報は、例えば、車両10に搭載されるGNSS(Global Navigation Satellite System)の出力に基づき取得される。また、車両情報には、例えば、車両10のドアの開閉状態に関する情報やドアの施錠の有無に関する情報が含まれる。また、車両情報には、例えば、車両10の座席への搭乗者の着座の有無に関する情報が含まれる。また、車両情報には、車両10の室内の状態を表す情報(例えば、車両10の室内に設置されるカメラの画像情報)が含まれる。
【0028】
ECU11の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、ECU11は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置を含むコンピュータを中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAMである。補助記憶装置は、例えば、EEPROMやフラッシュメモリである。インタフェース装置は、車両10の内部の通信回線に接続するために用いられる。これにより、例えば、車両10の内部の通信回線を通じて、可搬型の記録媒体から各種処理を実現するためのプログラムや各種データをECU11(補助記憶装置)にインストールすることができる。可搬型の記録媒体は、例えば、DLC(Data Link Coupler)等の外部接続用のコネクタに着脱可能なケーブルで接続される専用ツールである。また、記録媒体は、例えば、SDメモリカードやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。また、プログラムは、所定の通信回線を通じて、車両10の外部のコンピュータからダウンロードされ、補助記憶装置にインストールされてもよい。以下、リモートサービスECU12についても同様であってよい。
【0029】
例えば、ECU11は、所定の制御周期ごとに、車両10の位置情報、車両10のドアの開閉状態を表す情報、ドアの施錠の有無を表す情報等の車両情報を取得し出力する。
【0030】
リモートサービスECU12は、サーバ20によるリモートでの車両10の車両被害に関する監視サービスの支援に関する制御を行う。
【0031】
例えば、リモートサービスECU12は、ECU11から出力される車両情報を取得し、DCM13を通じて、サーバ20に車両情報を送信する。
【0032】
DCM13は、所定の通信回線に接続し、サーバ20等の外部装置と通信を行う。
【0033】
サーバ20は、機能部として、駐車位置情報取得部201と、車両被害傾向情報取得部202と、車両被害可能性推定部203と、通知部204とを含む。駐車位置情報取得部201、車両被害傾向情報取得部202、車両被害可能性推定部203、及び通知部204の機能は、例えば、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより実現される。
【0034】
駐車位置情報取得部201(第1の取得部の一例)は、車両10の駐車位置に関する情報を取得する。具体的には、駐車位置情報取得部201は、車両10が駐車されている状態と判断すると、車両10から受信された最新の車両情報に含まれる、車両10の最新の駐車位置に対応する車両10の最新の位置情報を取得する。
【0035】
車両被害傾向情報取得部202(第2の取得部の一例)は、車両10の駐車位置における現在の車両被害の傾向を表す情報を取得する。車両10の駐車位置での車両被害の傾向を表す情報は、例えば、時間帯を表す情報を含む。一日の時間帯によって、車両被害が発生する可能性が異なりうるからである。また、車両10の駐車位置での車両被害の傾向を表す情報は、例えば、車両10の駐車位置に相当する駐車場或いは駐車場を含む所定のエリア内での過去の車両被害の発生状況を表す統計情報を含む。また、例えば、この統計情報が時間帯別に整理されている場合、この統計情報のうちの対象(現在)の時間帯に相当する情報である。駐車場ごと或いはエリアごとの統計情報は、例えば、サーバ20の補助記憶装置等に予め格納され、車両被害傾向情報取得部202は、補助記憶装置等から読み出すことにより対象の駐車場や対象のエリアの統計情報を取得することができる。また、車両10の駐車位置での車両被害の傾向を表す情報は、例えば、車両10の駐車位置に相当する駐車場の環境に関する情報を含む。駐車場の環境に関する情報には、例えば、駐車場が人通りや車通りが多い道路に面しているかどうか、駐車場が屋内であるか屋外であるか等の情報が含まれる。例えば、車両10が人目につきやすいかどうかによって、車両被害が発生する可能性に違いが生じうるからである。また、例えば、駐車場が屋内の場合、監視人が滞在している可能性が高い一方で、屋外の場合、監視人が不在の可能性があり、車両被害が発生する可能性に違いが生じ得るからである。駐車場の環境に関する情報は、例えば、サーバ20の補助記憶装置等に予め格納され、車両被害傾向情報取得部202は、補助記憶装置等から読み出すことにより、駐車場の環境に関する情報を取得することができる。また、車両10の駐車位置での車両被害の傾向を表す情報は、例えば、車両10の室内の状態を表す情報を含む。車両10の室内の状態を表す情報には、例えば、車両10の室内の物品の有無、カーテンの開閉状態、シェードの設置の有無等の情報が含まれる。車両10の室内に物品が残されている場合や車両10の室内を容易にのぞき見られる状態の場合、車上荒らしの標的になり易いからである。例えば、車両被害傾向情報取得部202は、車両10から受信される車両情報に含まれる、車両10の室内の状態を表す情報に基づき、車両10の室内の状態を表す情報を取得することができる。
【0036】
車両被害可能性推定部203(推定部の一例)は、車両被害傾向情報取得部202により取得される情報に基づき、車両10の駐車位置における現在の車両被害が発生する可能性を推定する。
【0037】
例えば、車両被害傾向情報取得部202により取得される各種の情報と、車両被害が発生する可能性を表すスコアとの関係を表すマップやテーブルや変換式が予め準備され、サーバ20の補助記憶装置に格納される。スコアは、例えば、車両被害が発生する度合いを0%~100%の範囲の間で表現される。これにより、車両被害可能性推定部203は、車両被害傾向情報取得部202により取得される各種の情報に基づき、予め準備されるマップやテーブルや変換式を用いて、車両被害が発生する可能性(スコア)を推定することができる。
【0038】
また、車両被害傾向情報取得部202により取得される各種の情報を入力条件として、車両被害が発生する可能性を表すスコアを出力可能な学習済みモデルが予め準備され、サーバ20の補助記憶装置に格納されてもよい。これにより、車両被害可能性推定部203は、車両被害傾向情報取得部202により取得される各種の情報に基づき、予め準備される学習済みモデルを用いて、車両被害が発生する可能性(スコア)を推定することができる。
【0039】
通知部204は、車両被害可能性推定部203の推定結果が、車両10の駐車位置で車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に高いことを表す場合、その旨を表す通知を車両10のユーザの携帯端末30に送信する。これにより、携帯端末30は、サーバ20から通知の信号を受信すると、携帯端末30の表示装置を通じて、ユーザにその旨を通知することができる。車両10の駐車位置で車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に高いことを表す場合とは、車両10の駐車位置で車両被害が発生する可能性が所定基準以上の場合であってもよいし、所定基準を超える場合であってもよい。
【0040】
例えば、通知部204は、車両被害可能性推定部203により出力される車両被害が発生する可能性を表すスコアが所定基準以上である或いは所定基準を超える場合に、車両被害が発生する可能性が相対的に高いことを表す通知を携帯端末30に送信する。
【0041】
[車両被害の監視に関する処理]
次に、
図2~
図5を参照して、車両被害の監視に関する処理について説明する。
【0042】
<第1例>
図2は、サーバ20における車両被害の監視に関する処理の第1例を示す図である。
図3は、
図2の処理による作用を説明する図である。
【0043】
図2のフローチャートは、例えば、車両10が停止(イグニッションオフ)された直後の車両10の搭乗者が降車していない状況で繰り返し実行される。
【0044】
図2に示すように、ステップS102にて、サーバ20は、車両10から受信される最新の車両情報に基づき、車両10の搭乗者が降車したか否かを判定する。対象の搭乗者は、全ての座席の搭乗者であってもよいし、車両10の特定の座席(運転席)の搭乗者(運転者)に限定されてもよい。具体的には、サーバ20は、車両10の座席への搭乗者の着座の有無に関する情報、車両10のドアの開閉状態に関する情報、及び車両10のドアの施錠の有無に関する情報等に基づき、車両10の搭乗者が降車したか否かを判定してよい。サーバ20は、車両10の搭乗者が降車している場合、ステップS104に進み、車両10の搭乗者が降車していない場合、今回のフローチャートを終了する。
【0045】
ステップS104にて、駐車位置情報取得部201は、車両10から受信される最新の車両情報の中から最新の車両10の位置情報、即ち、車両10の位置情報を取得する。そして、車両被害傾向情報取得部202は、現在の、車両10の駐車位置における車両被害の傾向を表す情報を取得する。
【0046】
サーバ20は、ステップS104の処理が完了すると、ステップS106に進む。
【0047】
ステップS106にて、車両被害可能性推定部203は、ステップS104で取得される情報に基づき、車両10の駐車位置における現在の車両被害が発生する可能性を推定する。
【0048】
サーバ20は、ステップS106の処理が完了すると、ステップS108に進む。
【0049】
ステップS108にて、サーバ20は、ステップS106の推定結果に基づき、車両10の駐車位置における現在の車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に高いか否かを判定する。サーバ20は、車両10の駐車位置における現在の車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に高い場合、ステップS110に進み、それ以外の場合、今回のフローチャートを終了する。
【0050】
ステップS110にて、車両被害可能性推定部203は、車両10の駐車位置の周辺の駐車場における現在の車両被害が発生する可能性を推定する。例えば、車両被害可能性推定部203は、地図情報と紐付けられる駐車場のリスト情報の中から、車両10の駐車位置の周辺に相当する範囲内の駐車場を選択し、選択した駐車場ごとに、現在の車両被害が発生する可能性を推定する。地図情報及び駐車場のリスト情報は、例えば、サーバ20の補助記憶装置に予め格納される。そして、車両被害可能性推定部203は、選択した駐車場の中から、現在の車両被害が発生する可能性が車両10の駐車位置よりも低い駐車場を抽出する。車両10の周辺に相当する地理的な範囲は、一定の範囲であってもよいし、場所によって可変される範囲であってもよい。
【0051】
サーバ20は、ステップS110の処理が完了すると、ステップS112に進む。
【0052】
ステップS112にて、通知部204は、ステップS110の推定結果に基づき、現在の車両被害が発生する可能性が車両10の駐車位置よりも低い候補の駐車場を車両10のユーザの携帯端末30に通知する。通知部204は、現在の車両被害が発生する可能性が車両10の駐車位置よりも低い候補の駐車場が複数ある場合、全ての駐車場を通知してもよいし、そのうちの車両被害が発生する可能性が低い方から順に一部の駐車場のみを通知してもよい。
【0053】
尚、通知部204は、現在の車両被害が発生する可能性が車両10の駐車位置よりも低い周辺の駐車場がない場合、車両10の駐車位置における現在の車両被害が発生する可能性が相対的に高いことのみを車両10のユーザの携帯端末に通知してもよい。また、車両被害可能性推定部203は、現在の車両被害が発生する可能性が車両10の駐車位置よりも低い周辺の駐車場を抽出することができない場合、車両10の周辺に相当する範囲を予め規定された範囲から広げてもよい。これにより、サーバ20は、車両10の駐車位置から相対的に離れることにはなるものの、車両10の駐車位置の代替候補の駐車場を抽出し、ユーザに通知することができる。
【0054】
例えば、
図3に示すように、現在の車両被害の可能性が所定基準に対して相対的に高い駐車場A、及び駐車場Aよりも車両被害の可能性が低い駐車場Bが近隣に存在するエリアで、車両10が駐車場Aに駐車された場合を考える(シーン301)。
【0055】
この場合、サーバ20は、
図2のステップS102~S108の処理により、ユーザUが車両10から降車すると、車両10の駐車位置(駐車場A)における現在の車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に高いと判定する。そして、サーバ20は、ステップS110,S112の処理により、現在の車両被害が発生する可能性が車両10の駐車位置(駐車場A)より低い駐車場Bを抽出し、車両10の駐車位置の代替候補の駐車場BをユーザUの携帯端末30に通知する(シーン302)。
【0056】
これにより、ユーザUは、携帯端末30への通知を確認し、現在の車両被害の発生の可能性が駐車場Aよりも低い駐車場Bに駐車し直すことができる(シーン303)。
【0057】
<第2例>
図4は、サーバ20における車両被害の監視に関する処理の第2例を示す図である。
図5は、
図4の処理による作用を説明する図である。
【0058】
図4のフローチャートは、例えば、車両10が停止されており且つ
図3のフローチャートの実行タイミングが終了し且つ
図3のフローチャートでステップS112の通知がされなかった場合に繰り返し実行される。
【0059】
図4に示すように、ステップS202にて、サーバ20は、車両10から受信される最新の車両情報に基づき、車両10に搭乗者がいるか否かを判定する。具体的には、サーバ20は、車両10の座席への搭乗者の着座の有無に関する情報等に基づき、車両10に搭乗者がいるか否かを判定してよい。サーバ20は、車両10に搭乗者がいない場合、ステップS204に進み、車両10に搭乗者がいる場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0060】
ステップS204~S208は、
図2のステップS104~S108の処理と同じであるために説明を省略する。
【0061】
ステップS208にて、サーバ20は、車両10の駐車位置における現在の車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に高い場合、ステップS210に進み、それ以外の場合、今回のフローチャートを終了する。
【0062】
ステップS210にて、通知部204は、車両10の駐車位置における現在の車両被害が発生する可能性が相対的に高いことを車両10のユーザの携帯端末30に通知する。
【0063】
尚、車両10の搭乗者の降車後の経過時間が相対的に短い場合(例えば、5分以内の場合)に、サーバ20は、
図2のステップS110,S112と同様の処理を行ってもよい。同様に、車両10のユーザと車両10の駐車位置との距離が相対的に小さい場合(例えば、車両10のユーザと車両10の駐車位置との距離が1km以内の場合)に、サーバ20は、
図2のステップS110,S112と同様の処理を行ってもよい。この際、サーバ20は、例えば、携帯端末30に搭載されるGNSSセンサの出力を携帯端末30から受信し、携帯端末30の位置情報を取得することにより車両10のユーザの位置を把握することができる。
【0064】
サーバ20は、ステップS210の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0065】
例えば、
図5に示すように、現在の車両被害の可能性が所定基準に対して相対的に低い駐車場Cに車両10が駐車された場合を考える(シーン501)。
【0066】
本例では、車両10から搭乗者の降車後に、現在の車両被害の可能性が所定基準に対して相対的に低い状態から相対的に高い状態に変化している(シーン502)。
【0067】
この場合、サーバ20は、
図4のステップS202~S208の処理により、車両10の駐車位置(駐車場C)における現在の車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に低い状態から高い状態に変化したと判定する。そして、サーバ20は、
図4のステップS210の処理により、車両10の駐車位置(駐車場C)における現在の車両被害の可能性が相対的に高いことをユーザUの携帯端末30に通知する(シーン503)。
【0068】
これにより、ユーザUは、携帯端末30への通知を確認し、車両10を駐車している駐車場Cの車両被害が発生する可能性が相対的に低い状態から高い状態に変化したことを把握することができる。
【0069】
[他の実施形態]
次に、他の実施形態について説明する。
【0070】
上述の実施形態は、その内容同士が適宜組み合わせられたり、その内容に変形や変更が加えられたりしてもよい。
【0071】
例えば、上述の実施形態(車両被害の監視に関する処理の第1例)では、ステップS110の処理が省略されると共に、ステップS112に代えて、第2例(
図4)と同様に、ステップS210と同様の処理が採用されてもよい。つまり、サーバ20は、車両10の駐車位置における現在の車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に高い場合に、代替の駐車場の通知を行わず、その旨のみを車両10のユーザの携帯端末30に通知してもよい。
【0072】
また、上述の実施形態やその変形例において、車両被害可能性推定部203は、車両10の駐車位置における現在の車両被害が発生する可能性に代えて、或いは、加えて、今後の車両被害が発生する可能性を推定してもよい。例えば、車両被害可能性推定部203は、
図2のステップS106の処理に代えて、車両10の駐車位置における今後の所定時間での車両被害の可能性を推定する処理を行う。所定時間は、車両10の想定される駐車時間を表す。所定時間は、一定であってもよいし、時間帯や駐車場の場所等の条件に応じて、可変されてもよい。そして、サーバ20は、ステップS110の処理に代えて、車両10の駐車位置の周辺の駐車場における今後の所定時間の車両被害の可能性を推定し、今後の所定時間の車両被害が発生する可能性が車両10の駐車位置よりも低い候補の駐車場を抽出してよい。具体的には、車両被害可能性推定部203は、この場合、車両被害傾向情報取得部202は、車両10の駐車位置における今後の車両被害の傾向を表す情報を取得する。これにより、サーバ20は、今後の車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に高いことが予測される場合に、その旨をユーザの携帯端末30に通知したり、代替の駐車場をユーザの携帯端末30に通知したりすることができる。
【0073】
[作用]
次に、本実施形態に係る車両被害監視システム1(サーバ20)の作用について説明する。
【0074】
本実施形態では、サーバ20は、駐車位置情報取得部201と、車両被害傾向情報取得部202と、車両被害可能性推定部203と、通知部204と、を備える。具体的には、駐車位置情報取得部201は、車両10の駐車位置に関する情報を取得する。また、車両被害傾向情報取得部202は、車両10の駐車位置における車両10又は車両10への持ち込み品若しくは搭載品の盗難、及び車両10へのいたずらの少なくとも一方を含む車両被害の現在又は今後の発生の傾向に関する情報を取得する。車両10が駐車位置に駐車されている状態で、車両被害傾向情報取得部202により取得される情報に基づき、駐車位置における現在又は今後の車両被害が発生する可能性を推定する。そして、通知部204は、車両被害可能性推定部203により推定される、現在の車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に低い状態から高い状態になったことを表している場合、又は車両被害可能性推定部203により推定される、今後の車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に高い状態であることを予測している場合、車両被害が発生する可能性が相対的に高いことを表す通知を車両10のユーザの携帯端末30に送信する。
【0075】
これにより、例えば、車両10の駐車位置における車両被害が発生する可能性が時間経過により変化し、車両被害が発生する可能性が所定基準に対して相対的に低い状態から高い状態に変化するような場合に、その旨をユーザに通知することができる。
【0076】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・改良が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 車両被害監視システム
10 車両
11 ECU
12 リモートサービスECU
20 サーバ
30 携帯端末
201 駐車位置情報取得部
202 車両被害傾向情報取得部
203 車両被害可能性推定部
204 通知部