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特許7704081運転診断装置、運転診断システム、運転診断方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】運転診断装置、運転診断システム、運転診断方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/09 20120101AFI20250701BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20250701BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20250701BHJP
   G09B 9/042 20060101ALI20250701BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
B60W40/09
G08G1/00 D
G08G1/13
G09B9/042
G09B19/00 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022102957
(22)【出願日】2022-06-27
(65)【公開番号】P2024003664
(43)【公開日】2024-01-15
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋間 聡
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-149734(JP,A)
【文献】特開2015-092408(JP,A)
【文献】特開2001-132490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0046394(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 40/09
G08G 1/00
G08G 1/13
G09B 9/042
G09B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシフトレバーがRレンジ以外のシフトポジションから前記Rレンジに移動した切替時刻から所定時間だけ前で且つ車速と無関係に設定される第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯及び前記切替時刻から所定時間だけ後で且つ車速と無関係に設定される第2時刻と前記切替時刻との間の時間帯の少なくとも一方における前記車両の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値が、第2閾値以上か否かに基づいて、前記車両のバック操作に関する運転診断を行う運転診断部を備える運転診断装置。
【請求項2】
前記運転診断部が、前記第1時刻と前記第2時刻との間の時間帯における前記最大値と、前記第2閾値とに基づいて前記運転診断を行う請求項1に記載の運転診断装置。
【請求項3】
前記運転診断部が、前記第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯における前記最大値と、前記第2閾値とに基づいて前記運転診断を行う請求項1に記載の運転診断装置。
【請求項4】
前記運転診断部が、前記切替時刻と前記第2時刻との間の時間帯における前記最大値と、前記第2閾値とに基づいて前記運転診断を行う請求項1に記載の運転診断装置。
【請求項5】
前記シフトレバーの前記シフトポジションを検出するシフトポジションセンサと、
前記車速を検出する車速センサと、
請求項1又は請求項2に記載の前記運転診断部と、
を備える運転診断システム。
【請求項6】
車両のシフトレバーがRレンジ以外のシフトポジションから前記Rレンジに移動した切替時刻から所定時間だけ前で且つ車速と無関係に設定される第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯及び前記切替時刻から所定時間だけ後で且つ車速と無関係に設定される第2時刻と前記切替時刻との間の時間帯の少なくとも一方における前記車両の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値が、第2閾値以上か否かに基づいて、前記車両のバック操作に関する運転診断を行うステップを有する運転診断方法。
【請求項7】
車両のシフトレバーがRレンジ以外のシフトポジションから前記Rレンジに移動した切替時刻から所定時間だけ前で且つ車速と無関係に設定される第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯及び前記切替時刻から所定時間だけ後で且つ車速と無関係に設定される第2時刻と前記切替時刻との間の時間帯の少なくとも一方における前記車両の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値が、第2閾値以上か否かに基づいて、前記車両のバック操作に関する運転診断を行う処理、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転診断装置、運転診断システム、運転診断方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、運転中における危険状況を検知した場合に、ドライバの視野に準じた仮想視野映像を含む教師映像を運転終了時に自動再生する運転支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-57490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、カメラ等を用いない簡単な方法により、バック操作を行うときの運転診断を実行できない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、カメラ等を用いない簡単な方法により、バック操作を行うときの運転診断を実行可能な運転診断装置、運転診断システム、運転診断方法及びプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の運転診断装置は、車両のシフトレバーがRレンジ以外のシフトポジションから前記Rレンジに移動した切替時刻から所定時間だけ前で且つ車速と無関係に設定される第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯及び前記切替時刻から所定時間だけ後で且つ車速と無関係に設定される第2時刻と前記切替時刻との間の時間帯の少なくとも一方における前記車両の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値が、第2閾値以上か否かに基づいて、前記車両のバック操作に関する運転診断を行う運転診断部を備える。
【0007】
請求項1に記載の運転診断装置は、車両のシフトレバーがRレンジ以外のシフトポジションからRレンジに移動した切替時刻から所定時間だけ前で且つ車速と無関係に設定される第1時刻と切替時刻との間の時間帯及び切替時刻から所定時間だけ後で且つ車速と無関係に設定される第2時刻と切替時刻との間の時間帯の少なくとも一方における車両の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値が、第2閾値以上か否かに基づいて、車両のバック操作に関する運転診断を行う。継続時間の最大値が第2閾値以上の場合は、車両の運転者が目視による後方確認を、十分な時間に渡って実行している可能性が高いと考えられる。このように請求項1に記載の運転診断装置は、カメラ等を用いない簡単な方法により、バック操作を行うときの運転診断を実行可能である。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る運転診断装置は、請求項1記載の発明において、前記運転診断部が、前記第1時刻と前記第2時刻との間の時間帯における前記最大値と、前記第2閾値とに基づいて前記運転診断を行う。
【0009】
請求項2に記載の発明では、運転診断装置が、第1時刻と第2時刻との間の時間帯における継続時間の最大値と、第2閾値とに基づいて運転診断を行う。第1時刻と第2時刻との間の時間帯における継続時間の最大値が第2閾値以上の場合は、運転者が、シフトレバーをRレンジに移動させる前、シフトレバーをRレンジに移動させた後、又はシフトレバーをRレンジに移動させている間に後方確認を、十分な時間に渡って実行している可能性が高いと考えられる。従って、請求項2に記載の運転診断装置は、カメラ等を用いない簡単な方法により、バック操作を行うときの運転診断を実行可能である。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る運転診断装置は、請求項1の発明において、前記運転診断部が、前記第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯における前記最大値と、前記第2閾値とに基づいて前記運転診断を行う。
【0011】
請求項3に記載の発明では、運転診断装置が、第1時刻と切替時刻との間の時間帯における継続時間の最大値と、第2閾値とに基づいて運転診断を行う。第1時刻と切替時刻との間の時間帯における継続時間の最大値が第2閾値以上の場合は、運転者が、シフトレバーをRレンジに移動させる前に後方確認を、十分な時間に渡って実行している可能性が高いと考えられる。従って、請求項3に記載の運転診断装置は、カメラ等を用いない簡単な方法により、バック操作を行うときの運転診断を実行可能である。
【0012】
請求項4に記載の発明に係る運転診断装置は、請求項1の発明において、前記運転診断部が、前記切替時刻と前記第2時刻との間の時間帯における前記最大値と、前記第2閾値とに基づいて前記運転診断を行う。
【0013】
請求項4に記載の発明では、運転診断装置が、切替時刻と第2時刻との間の時間帯における継続時間の最大値と、第2閾値とに基づいて運転診断を行う。切替時刻と第2時刻との間の時間帯における継続時間の最大値が第2閾値以上の場合は、運転者が、シフトレバーをRレンジに移動させた後に後方確認を、十分な時間に渡って実行している可能性が高いと考えられる。従って、請求項4に記載の運転診断装置は、カメラ等を用いない簡単な方法により、バック操作を行うときの運転診断を実行可能である。
【0014】
請求項5に記載の発明に係る運転診断システムは、前記シフトレバーの前記シフトポジションを検出するシフトポジションセンサと、前記車速を検出する車速センサと、請求項1又は請求項2に記載の前記運転診断部と、を備える。
【0015】
請求項6に記載の発明に係る運転診断方法は、車車両のシフトレバーがRレンジ以外のシフトポジションから前記Rレンジに移動した切替時刻から所定時間だけ前で且つ車速と無関係に設定される第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯及び前記切替時刻から所定時間だけ後で且つ車速と無関係に設定される第2時刻と前記切替時刻との間の時間帯の少なくとも一方における前記車両の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値が、第2閾値以上か否かに基づいて、前記車両のバック操作に関する運転診断を行うステップを有する。
【0016】
請求項7に記載の発明に係るプログラムは、車両のシフトレバーがRレンジ以外のシフトポジションから前記Rレンジに移動した切替時刻から所定時間だけ前で且つ車速と無関係に設定される第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯及び前記切替時刻から所定時間だけ後で且つ車速と無関係に設定される第2時刻と前記切替時刻との間の時間帯の少なくとも一方における前記車両の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値が、第2閾値以上か否かに基づいて、前記車両のバック操作に関する運転診断を行う処理、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係る運転診断装置、運転診断システム、運転診断方法及びプログラムは、カメラ等を用いない簡単な方法により、バック操作を行うときの運転診断を実行可能である、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る運転診断装置へ検出値を送信可能な車両を示す図である。
図2】運転診断装置、車両及び携帯端末を備える運転診断システムを表す図である。
図3図2に示される運転診断装置の第1サーバの制御ブロック図である。
図4図2に示される第2サーバの機能ブロック図である。
図5】シーンリストを示す図である。
図6】シフトレバーがRレンジに移動させられるタイミングと、運転者による後方確認のタイミング、との関係の一例を示す図である。
図7】シフトレバーがRレンジに移動させられるタイミングと、運転者による後方確認のタイミング、との関係の図6とは別の例を示す図である。
図8】シフトレバーがRレンジに移動させられるタイミングと、運転者による後方確認のタイミング、との関係の図6及び図7とは別の例を示す図である。
図9】第2サーバが実行する処理を示すフローチャートである。
図10】第4サーバが実行する処理を示すフローチャートである。
図11図2に示された携帯端末が実行する処理を示すフローチャートである。
図12】携帯端末の表示部に表示された画像を示す図である。
図13】第1変形例の図6と同様の図である。
図14】第2変形例の図6と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る運転診断装置10、運転診断システム100、運転診断方法及びプログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の運転診断システム100(以下、システム100と称する)は、運転診断装置10、車両30及び携帯端末50を備える。
【0020】
運転診断装置10とネットワークを介してデータ通信可能な車両30は、図1に示されるようにECU(Electronic Control Unit)31、車速センサ32、シフトレバー33、シフトレバーポジションセンサ34、及びGPS(Global Positioning System)受信機35を有する。運転診断装置10による診断を受信可能な車両30には車両IDが付されている。車速センサ32、シフトレバーポジションセンサ34、及びGPS受信機35はECU31に接続されている。ECU31は、CPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fを含んで構成されている。ECU31のCPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。ECU31のCPUは、ROM又はストレージに記録されているプログラムに従って、各構成の制御及び各種の演算処理(情報処理)を行う。さらにCPUは、タイマー(図示省略)から日時に関する情報を取得可能である。ECU31のROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fは、後述する第1サーバ12のROM12B、RAM12C、ストレージ12D、通信I/F12E及び入出力I/F12Fと、それぞれ同じ構成及び機能を有する。これらの機能の詳細については後述する。上記ネットワークは、通信事業者の通信網及びインターネット網を含んでいる。車両30、後述する第1サーバ12、第4サーバ18及び携帯端末50は、上記ネットワークを介したデータ通信を行う。
【0021】
車両30はステアリング(図示省略)を有する。さらに図1に示されるように車両30は、アクセルペダル30A及びブレーキペダル30Bを有する。車両30の運転者の足によってアクセルペダル30Aが踏み込まれると、ECU31によって車両30の駆動源(図示省略)が制御される。なお、車両30の駆動源には、内燃機関及び電動モータの少なくとも一方が含まれる。運転者の足によってブレーキペダル30Bが踏み込まれると、ECU31によって車両30のブレーキ装置(図示省略)が制御される。
【0022】
車両30には、車両30の車速を検出する車速センサ32が設けられている。車両30に設けられたシフトレバー33は、D(ドライブ)レンジ、R(リバース)レンジ、P(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジの各シフトポジションに移動可能である。即ち、車両30はオートマチック車両(AT車両)である。シフトレバー33のシフトポジションはシフトレバーポジションセンサ34によって検出される。周知のように、シフトレバー33がDレンジにあるとき、駆動源の駆動力によって車両30は前進走行可能であり、シフトレバー33がRレンジにあるとき、駆動源の駆動力によって車両30は後進走行可能である。GPS受信機35はGPS衛星から送信されたGPS信号を受信することにより、車両30が走行している位置に関する情報(以下、「位置情報」と呼ぶ)を取得する。車速センサ32及びシフトレバーポジションセンサ34が検出した検出値は、検出された時刻を表す時刻情報及び位置情報と関連付けられながら、車両30に設けられたCAN(Controller Area Network)を介してECU31に送信され且つECU31のストレージに保存される。
【0023】
図2に示されるように運転診断装置10は、第1サーバ12、第2サーバ(運転診断部)14、第3サーバ16及び第4サーバ18を備える。例えば第1サーバ12、第2サーバ14、第3サーバ16及び第4サーバ18は、1つの建物の中に配置される。第1サーバ12及び第4サーバ18は上記ネットワークに接続されている。第1サーバ12と第2サーバ14はLAN(Local Area Network)により接続されている。第2サーバ14と第3サーバ16はLANにより接続されている。第3サーバ16と第4サーバ18はLANにより接続されている。即ち、運転診断装置10はクラウドコンピューティングシステムとして構築されている。
【0024】
図3に示されるように第1サーバ12は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、ストレージ12D、通信I/F(Inter Face)12E及び入出力I/F12Fを含んで構成されている。CPU12A、ROM12B、RAM12C、ストレージ12D、通信I/F12E及び入出力I/F12Fは、バス12Zを介して相互に通信可能に接続されている。第1サーバ12は、タイマー(図示省略)から日時に関する情報を取得可能である。
【0025】
CPU12Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU12Aは、ROM12B又はストレージ12Dからプログラムを読み出し、RAM12Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU12Aは、ROM12B又はストレージ12Dに記録されているプログラムに従って、各構成の制御及び各種の演算処理(情報処理)を行う。
【0026】
ROM12Bは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM12Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ12Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。通信I/F12Eは、第1サーバ12が他の機器と通信するためのインタフェースである。入出力I/F12Fは、様々な装置と通信するためのインタフェースである。
【0027】
車両30の車速センサ32、シフトレバーポジションセンサ34及びGPS受信機35が検出した検出値を表すデータである検出値データは、所定時間が経過する毎に、車両30の通信I/Fから上記ネットワークを介して第1サーバ12の通信I/F12Eへ送信され、且つ、検出値データはストレージ12Dに記録される。ストレージ12Dに記録される全ての検出値データには、車両IDに関する情報、時刻情報及び位置情報が含まれる。
【0028】
第2サーバ14、第3サーバ16及び第4サーバ18の基本構成は第1サーバ12と同じである。
【0029】
図4には第2サーバ14の機能構成の一例がブロック図で示されている。第2サーバ14は、機能構成として、送受信制御部141、シーン抽出部142、KPI取得部143、得点演算部144及び削除部145を有する。送受信制御部141、シーン抽出部142、KPI取得部143、得点演算部144、及び削除部145は、第2サーバ14のCPUがROMに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0030】
送受信制御部141は、第2サーバ14の通信I/Fを制御する。第2サーバ14の通信I/Fは、LANを介して第1サーバ12及び第3サーバ16の通信I/Fと情報を送受信する。第1サーバ12のストレージ12Dに記録された検出値データは、車両ID、時刻情報及び位置情報と紐づけられながら第2サーバ14の通信I/Fへ送信される。第1サーバ12から第2サーバ14へ送信される検出値データは、所定のデータ検出時間の間に取得されたデータ群を含む。このデータ検出時間は例えば30分である。以下、一つの車両IDに対応し且つデータ検出時間の間に取得されたデータ群を「検出値データ群」と称する。第1サーバ12に記録された検出値データ群は、取得された時刻が古いものから順に第2サーバ14の通信I/Fへ送信される。より詳細には、後述するように第2サーバ14のストレージから検出値データ群が削除されたときに、当該検出値データ群より新しい検出値データ群が第1サーバ12から第2サーバ14へ送信され、この新しい検出値データ群が第2サーバ14のストレージに保存される。
【0031】
シーン抽出部142は、第2サーバ14のストレージに保存された検出値データ群を、特定検出値を表すデータと、それ以外のデータとに識別する。より詳細には、シーン抽出部142は、後述するKPIの取得に必要なデータを、特定検出値を表すデータとして扱う。
【0032】
図5は、第2サーバ14のROMに記録されたシーンリスト22である。シーンリスト22は、車両30の様々な操作部材の操作内容に基づいて規定されている。シーンリスト22の最も大きな項目であるカテゴリは「安全」と「快適」である。シーンリスト22に規定された操作部材には、例えば、シフトレバー33、アクセルペダル30A、ブレーキペダル30B及びステアリングが含まれる。
【0033】
カテゴリ「安全」に含まれる抽出条件1が満たされたときに、シーン抽出部142は、第2サーバ14のストレージに保存された検出値データ群から、抽出条件1が成立した時刻を含む特定時間帯Ts(図6図8参照)において車速センサ32が検出した検出値を、特定検出値を表すデータとして抽出する。ここで抽出条件1は、シフトレバー33がRレンジ以外のシフトポジションからRレンジへ移動したことを表す信号をシフトレバーポジションセンサ34が出力したときに成立する。さらに当該信号をシフトレバーポジションセンサ34が出力したときの時刻を切替時刻Tc(図6図8参照)と称する。特定時間帯Tsは、切替時刻Tcより第1時間だけ前の第1時刻T1(図6図8参照)と、切替時刻Tcより第2時間だけ後の第2時刻T2(図6図8参照)と、の間の時間帯である。例えば、第1時間及び第2時間は3秒間である。即ち、例えば特定時間帯Tsは6秒間である。但し、第1時間及び第2時間は3秒間とは異なる長さの時間であってもよい。
【0034】
図5に示されたように、シーンリスト22の「安全」カテゴリには抽出条件1とは別の抽出条件が含まれ、「快適」カテゴリにも抽出条件1とは別の抽出条件が含まれる。これらの抽出条件は、アクセルペダル30A、ブレーキペダル30B及びステアリングに関するシーン、特定検出値、及びKPIと関連する。これらに関する詳細な説明は省略する。
【0035】
KPI取得部143は、シーンリスト22に記載されたいずれかの抽出条件が成立したときに、成立した抽出条件に対応するKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を取得(演算)する。
【0036】
例えば、シフトレバー33に関する抽出条件1が成立した場合にKPI取得部143は、車速センサ32が検出した車速に関するデータ(特定検出値)に基づいて、特定時間帯Tsにおいて車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間を求める。さらにKPI取得部143は、特定時間帯Tsにおける継続時間の最大値をKPIとして取得する。第1閾値は、例えば1km/hである。
【0037】
例えば、図6に示されるように、第1時刻T1より後の時刻t1と切替時刻Tcより後の時刻t2との間の時間帯A及び第2時刻T2より前の時刻t3と時刻T2との間の時間帯Bにおいて車速が連続して第1閾値以下になり、且つ、時間帯Aが時間帯Bより長い場合を想定する。この場合、継続時間の最大値は、時間帯Aの長さである。そのためKPI取得部143は、時間帯Aの長さをKPIとして取得する。さらにKPI取得部143は、継続時間の最大値である時間帯Aの長さと所定の第2閾値とを比較する。なお第2閾値は、例えば2秒間である。ここで時間帯Aの長さが第2閾値以上の場合を想定する。この場合、車両30の運転者は時間帯Aにおいて目視による後方確認を行ない、時刻t2においてブレーキペダル30Bから足を離した可能性が高い。即ち、運転者は実質的に目視による後方確認を十分な時間に渡って行った後に、シフトレバー33をRレンジ以外のシフトポジションからRレンジへ移動させた可能性が高い。さらに時刻t2と時刻t3との間においてアクセルペダル30Aが踏まれたこと又はクリープ現象に起因して車両30がバック動作を行い、時刻t3においてブレーキペダル30Bが踏まれた可能性が高い。
【0038】
また図7に示されるように、切替時刻Tcより前の時刻t4と切替時刻Tcより後の時刻t5との間の時間帯C及び第2時刻T2より前の時刻t6と時刻T2との間の時間帯Dにおいて車速が連続して第1閾値以下になり、且つ、時間帯Cが時間帯Dより長い場合を想定する。この場合、継続時間の最大値は、時間帯Cの長さである。そのためKPI取得部143は、時間帯Cの長さをKPIとして取得する。さらにKPI取得部143は、継続時間の最大値である時間帯Cの長さと第2閾値とを比較する。ここで時間帯Cの長さが第2閾値以上の場合を想定する。この場合、車両30の運転者は時間帯Cにおいて目視による後方確認を行ない、時刻t5においてブレーキペダル30Bから足を離した可能性が高い。即ち、運転者は実質的にシフトレバー33をRレンジ以外のシフトポジションからRレンジへ移動させた後に目視による後方確認を十分な時間に渡って行った可能性が高い。さらに時刻t5と時刻t6との間においてアクセルペダル30Aが踏まれたこと又はクリープ現象に起因して車両30がバック動作を行い、時刻t6においてブレーキペダル30Bが踏まれた可能性が高い。
【0039】
また図8に示されるように、切替時刻Tcより前の時刻t7と切替時刻Tcより後の時刻t8との間の時間帯E及び第2時刻T2より前の時刻t9と時刻T2との間の時間帯Fにおいて車速が連続して第1閾値以下になり、且つ、時間帯Eが時間帯Fより長い場合を想定する。この場合、継続時間の最大値は、時間帯Eの長さである。そのためKPI取得部143は、時間帯Eの長さをKPIとして取得する。さらにKPI取得部143は、継続時間の最大値である時間帯Eの長さと第2閾値とを比較する。ここで時間帯Eの長さが第2閾値以上の場合を想定する。この場合、車両30の運転者は時間帯Eにおいて目視による後方確認を行ない、時刻t8においてブレーキペダル30Bから足を離した可能性が高い。即ち、運転者は実質的に目視による後方確認を十分な時間に渡って行いながらシフトレバー33をRレンジ以外のシフトポジションからRレンジへ移動させた可能性が高い。さらに時刻t8と時刻t9との間においてアクセルペダル30Aが踏まれたこと又はクリープ現象に起因して車両30がバック動作を行い、時刻t9においてブレーキペダル30Bが踏まれた可能性が高い。
【0040】
なお、仮に継続時間の最大値が第2閾値未満の場合は、運転者が目視による後方確認を十分な時間に渡って行なうことなく、運転者が車両30にバック動作を実行させた可能性が高い。
【0041】
得点演算部144は、後述するように、演算されたKPIに基づいて安全度得点、快適度得点及び運転操作得点を演算する。
【0042】
シーン抽出部142、KPI取得部143及び得点演算部144が、ストレージに記録された一つの検出値データ群に対する上記処理を完了すると、取得された安全度得点、快適度得点及び運転操作得点に関するデータを第2サーバ14の通信I/Fが第3サーバ16の通信I/Fへ車両IDに関する情報と共に送信する。
【0043】
シーン抽出部142、KPI取得部143及び得点演算部144が一つの検出値データ群に対する上記処理を完了すると、削除部145が第2サーバ14のストレージから当該検出値データ群を削除する。
【0044】
第3サーバ16の通信I/Fは、第2サーバ14から送信された安全度得点、快適度得点及び運転操作得点に関するデータを受信する。第3サーバ16の通信I/Fが受信したこれらのデータは、第3サーバ16のストレージに記録される。
【0045】
第4サーバ18は、少なくともWebサーバ及びWebAppサーバとして機能する。第4サーバ18の通信I/Fは、第3サーバ16の通信I/Fから送信されたデータを受信し、受信したデータをストレージに記録する。
【0046】
図2に示される操作端末50は、CPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fを含んで構成されている。携帯端末50は、例えば、スマートフォン又はタブレット型コンピュータである。操作端末50のCPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。操作端末50にはタッチパネルを有する表示部51が設けられている。表示部51は操作端末50の入出力I/Fに接続されている。
【0047】
操作端末50は例えば、車両IDが付された車両30の運転者が所有する。携帯端末50には、所定の運転診断表示アプリケーションがインストールされている。操作端末50の通信I/Fは、第4サーバ18の通信I/Fと無線通信を行なうことが可能である。即ち、操作端末50の通信I/Fは、第4サーバ18の通信I/Fとデータの送受信を行うことが可能である。CPUによって制御される表示部51は、例えば、通信I/Fが第4サーバ18の通信I/Fから受信した情報及びタッチパネルを介して入力された情報を表示する。タッチパネルによって入力された情報は、操作端末50の通信I/Fが第4サーバ18の通信I/Fへ送信可能である。
【0048】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0049】
まず第2サーバ14のCPU(以下、第2CPUと称する)が行う処理の流れについて、図9のフローチャートを用いて説明する。第2CPUは、所定時間が経過する毎に、図9のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0050】
まずステップS10(以下、「ステップ」の文字を省略する)において第2サーバ14の送受信制御部141は、通信I/Fが第1サーバ12から検出値データ群を受信したか否かを判定する。換言すると、送受信制御部141は、第2サーバ14のストレージに検出値データ群が記録されているか否かを判定する。
【0051】
S10でYesと判定されたとき、第2CPUはS11へ進み、シーン抽出部142がストレージに保存された検出値データ群から、抽出条件が満たされた特定検出値を表すデータを抽出する。さらにKPI取得部143が、抽出された特定検出値を表すデータに基づいて各KPIを取得(演算)する。
【0052】
S11の処理を終えた第2CPUはS12へ進み、得点演算部144が安全度得点、快適度得点及び運転操作得点を演算する。
【0053】
例えば、図5の抽出条件1が成立したときに取得されるKPI(継続時間の最大値)が第2閾値以上のとき、このKPIに関する得点は100点である。一方、このKPIが第2閾値未満のとき、このKPIに関する得点は1点である。
【0054】
なお、抽出条件1以外の抽出条件が成立した場合は、得点演算部144が各操作対象のKPIに関する得点を演算する。
【0055】
さらに得点演算部144が安全度得点及び快適度得点を演算する。抽出条件1~抽出条件3に対応する各KPIに関する得点の合計点を、カテゴリ「安全」の項目数(3)で割った値(平均値)が、安全度得点である。本実施形態ではカテゴリ「快適」の項目数が「1」なので、抽出条件4に対応するKPIに関する得点が快適度得点である。
【0056】
さらに得点演算部144は、演算された安全度得点及び快適度得点に基づいて、運転操作得点を演算する。具体的には、得点演算部144は、安全度得点と快適度得点の合計点を、安全度得点と快適度得点の項目の合計(4)で割った値(平均値)を運転操作得点として取得する。
【0057】
S12の処理を終えた第2CPUはS13へ進み、通信I/Fが安全度得点、快適度得点及び運転操作得点に関するデータを、第3サーバ16へ車両IDに関する情報と共に送信する。
【0058】
S13の処理を終えた第2CPUはS14へ進み、削除部145が第2サーバ14のストレージから当該検出値データ群を削除する。
【0059】
S10でNoと判定したとき又はS14の処理を終えたとき、第2CPUは図9のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0060】
次に第4サーバ18のCPU(以下、第4CPUと称する)が行う処理の流れについて、図10のフローチャートを用いて説明する。第4CPUは、所定時間が経過する毎に、図10のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0061】
まずS20において第4サーバ18の第4CPUは、運転診断表示アプリケーションが起動されている携帯端末50の通信I/Fから第4サーバ18の通信I/Fへ表示リクエストが送信されたか否かを判定する。即ち、第4CPUは携帯端末50からのアクセス動作があったか否かを判定する。この表示リクエストには、携帯端末50と紐づけられた車両IDに関する情報が含まれる。
【0062】
S20でYesと判定されたとき、第4CPUはS21へ進み、第4サーバ18の通信I/Fが第3サーバ16との間で通信を行う。第4サーバ18の通信I/Fは、表示リクエストを送信した携帯端末50と紐づけられた車両IDに対応する安全度得点、快適度得点、運転操作得点に関するデータを第3サーバ16の通信I/Fから受信する。
【0063】
S21の処理を終えた第4CPUはS22へ進み、S21で受信したデータを用いて運転診断結果画像55(図12参照)を表すデータを生成する。運転診断結果画像55は、運転診断表示アプリケーションが起動されている携帯端末50の表示部51が表示可能である。
【0064】
S22の処理を終えた第4CPUはS23へ進み、S22で生成されたデータを、第4サーバ18の通信I/Fが携帯端末50の通信I/Fへ送信する。
【0065】
S20でNoと判定したとき又はS23の処理を終えたとき、第4CPUは図10のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0066】
次に携帯端末50のCPU(以下、端末CPUと称する)が行う処理の流れについて、図11のフローチャートを用いて説明する。端末CPUは、所定時間が経過する毎に、図11のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0067】
まずS30において端末CPUは、運転診断表示アプリケーションが起動中か否かを判定する。
【0068】
S30でYesと判定されたとき、端末CPUはS31へ進み、携帯端末50の通信I/Fが第4サーバ18の通信I/Fから運転診断結果画像55を表すデータを受信したか否かを判定する。
【0069】
S31でYesと判定されたとき、端末CPUはS32へ進み、運転診断結果画像55を表示部51に表示させる。
【0070】
図12に示されるように運転診断結果画像55は、安全快適度表示部56及び得点表示部57を有する。安全快適度表示部56には安全度得点及び快適度得点が表示される。得点表示部57には運転操作得点が表示される。
【0071】
S30でNoと判定したとき又はS32の処理を終えたとき、端末CPUは図11のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0072】
以上説明したように本実施形態では、特定時間帯Tsにおける車両30の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値と、第2閾値と、に基づいてシフトレバー33の操作に関する運転診断が行われる。上述のように、特定時間帯Tsにおける継続時間の最大値が第2閾値以上の場合は、運転者が、シフトレバー33をRレンジに移動させる前、シフトレバー33をRレンジに移動させた後、又はシフトレバー33をRレンジに移動させている間に後方確認を、十分な時間に渡って実行している可能性が高いと考えられる。即ち、継続時間の最大値が第2閾値以上の場合は、運転者が安全度の高いバック操作を実行している可能性が高いと判断できる。このように本実施形態の車両30は、カメラ等を用いない簡単な方法により、バック操作が行われるときの運転診断を実行可能である。換言すると、車両30はカメラ等を備えるドライブレコーダシステムを具備しないにも拘わらず、バック操作が行われるときの運転診断を実行可能である。
【0073】
さらに本実施形態では、運転操作得点(KPI)を用いて運転診断が行われる。そのため運転診断結果画像55を見た運転者は、自身の運転操作の特徴を容易に認識できる。
【0074】
さらにKPI取得部143が、検出値データ群の中で特定検出値のみを用いてKPIの演算を行う。そのため検出値データ群の全てを用いてKPIの演算を行う場合と比べて、KPI取得部143の演算負荷は小さい。従って運転診断装置10の演算負荷は小さい。
【0075】
以上、実施形態に係る運転診断装置10、システム100、運転診断方法及びプログラムについて説明したが、これらは本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
【0076】
例えば本発明は図13に示された第1変形例の態様で実施されてもよい。第1変形例では、第1時刻T1と切替時刻Tcとの間の時間帯である特定時間帯Ts1における継続時間の最大値と、第2閾値と、をKPI取得部143が比較する。図13の例では、第1時刻T1より後の時刻t10と切替時刻Tcとの間の時間帯Gの長さが継続時間の最大値である。時間帯Gの長さが第2閾値以上であるとKPI取得部143が判定した場合、車両30の運転者は時間帯Gにおいて目視による後方確認を行なった可能性が高い。即ち、運転者は実質的に目視による後方確認を十分な時間に渡って行った後に、シフトレバー33をRレンジへ移動させた可能性が高い。なお、この場合は切替時刻Tc以降においてアクセルペダル30Aが踏まれたこと又はクリープ現象に起因して車両30がバック動作を行い、さらにその後にブレーキペダル30Bが踏まれるものとする。
【0077】
また本発明は図14に示された第2変形例の態様で実施されてもよい。第2変形例では、切替時刻Tcと第2時刻T2と間の時間帯である特定時間帯Ts2における継続時間の最大値と、第2閾値と、をKPI取得部143が比較する。図14の例では、切替時刻Tcと切替時刻Tcより後の時刻t11の間の時間帯Hの長さが継続時間の最大値である。時間帯Hの長さが第2閾値以上であるとKPI取得部143が判定した場合、車両30の運転者は時間帯Hにおいて目視による後方確認を行なった可能性が高い。即ち、運転者は実質的にシフトレバー33をRレンジへ移動させた後に目視による後方確認を十分な時間に渡って行った可能性が高い。なお、この場合は時刻t11以降においてアクセルペダル30Aが踏まれたこと又はクリープ現象に起因して車両30がバック動作を行い、さらにその後にブレーキペダル30Bが踏まれるものとする。
【0078】
運転診断装置10を上記とは別の構成で実施してもよい。例えば、第1サーバ12、第2サーバ14、第3サーバ16及び第4サーバ18を一つのサーバにより実現してもよい。この場合は、例えばハイパーバイザーを利用して、当該サーバの内部を、第1サーバ12、第2サーバ14、第3サーバ16及び第4サーバ18にそれぞれ相当する領域に仮想的に区画してもよい。
【0079】
運転診断装置10がインターネットに接続されていなくてもよい。この場合は、例えば車両から取得した検出値データ群をポータブル式の記録媒体(例えば、USB)に記録させ、且つ、この記録媒体内の検出値データ群を第1サーバ12にコピーする。
【0080】
車両30がGPS受信機35の代わりに、GPS以外の全地球航法衛星システム(例えばガリレオ)の衛星からの情報を受信可能な受信機を備えてもよい。
【0081】
車両30のECU31が、シーン抽出部142、KPI取得部143及び得点演算部144に相当する機能を有してもよい。即ち、ECU31が運転診断部としての機能を有してもよい。
【0082】
運転診断結果画像55が、各バック操作に関する運転診断の結果を表す画像を含んでもよい。さらにこの画像が、バック操作が行われた時刻を表す時刻情報及びバック操作が行われた位置を表す位置情報を含んでもよい。さらに運転診断結果画像55が地図データを含み、この地図データが各バック操作が行われた時刻及び位置を表す情報を含んでもよい。このようにすれば、表示部51に表示された運転診断結果画像55を見た運転者は、自身が実行したバック操作の時刻及び位置を認識できる。
【0083】
[付記]
本発明の運転診断装置は以下の構成1~構成4を任意に組み合わせたものであってもよい。
〈構成1〉車両のシフトレバーがRレンジ以外のシフトポジションから前記Rレンジに移動した切替時刻から所定時間だけ前の第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯及び前記切替時刻から所定時間だけ後の第2時刻と前記切替時刻との間の時間帯の少なくとも一方における前記車両の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値と、第2閾値とに基づいて、前記車両のバック操作に関する運転診断を行う運転診断部を備える運転診断装置。
〈構成2〉前記運転診断部が、前記第1時刻と前記第2時刻との間の時間帯における前記最大値と、前記第2閾値とに基づいて前記運転診断を行う運転診断装置。
〈構成3〉前記運転診断部が、前記第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯における前記最大値と、前記第2閾値とに基づいて前記運転診断を行う運転診断装置。
〈構成4〉前記運転診断部が、前記切替時刻と前記第2時刻との間の時間帯における前記最大値と、前記第2閾値とに基づいて前記運転診断を行う運転診断装置。
さらに本発明の運転診断システムは以下の構成5と、構成1~4の少なくとも一つを組み合わせたものであってもよい。
〈構成5〉前記シフトレバーのシフトポジションを検出するシフトポジションセンサと、
前記車速を検出する車速センサと、前記運転診断部と、を備える運転診断システム。
さらに本発明の運転診断方法は以下の構成6と、構成1~4の少なくとも一つを組み合わせたものであってもよい。
〈構成6〉車両のシフトレバーがRレンジ以外のシフトポジションから前記Rレンジに移動した切替時刻から所定時間だけ前の第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯及び前記切替時刻から所定時間だけ後の第2時刻と前記切替時刻との間の時間帯の少なくとも一方における前記車両の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値と、第2閾値とに基づいて、前記車両のバック操作に関する運転診断を行うステップを有する運転診断方法。
さらに本発明のプログラムは以下の構成7と、構成1~4の少なくとも一つを組み合わせたものであってもよい。
〈構成7〉車両のシフトレバーがRレンジ以外のシフトポジションから前記Rレンジに移動した切替時刻から所定時間だけ前の第1時刻と前記切替時刻との間の時間帯及び前記切替時刻から所定時間だけ後の第2時刻と前記切替時刻との間の時間帯の少なくとも一方における前記車両の車速が継続して第1閾値以下になった時間である継続時間の最大値と、第2閾値とに基づいて、前記車両のバック操作に関する運転診断を行う処理、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0084】
10 運転診断装置
14 第2サーバ(運転診断部)
30 車両
32 車速センサ
33 シフトレバー
34 シフトレバーポジションセンサ
100 運転診断システム(システム)
T1 第1時刻
T2 第2時刻
Tc 切替時刻
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14