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特許7704093駐車場管理方法、プログラム、コンピュータ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】駐車場管理方法、プログラム、コンピュータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20250701BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250701BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20250701BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20250701BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20250701BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20250701BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20250701BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20250701BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20250701BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20250701BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20250701BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20250701BHJP
【FI】
H02J13/00 311Z
H02J7/00 P
H02J7/02 V
H02J7/00 302A
H02J13/00 301A
G08G1/14 A
B60L50/60
B60L53/14
B60L55/00
B60L58/10
G06Q50/40
G16Y20/20
G16Y20/30
G16Y10/40
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022116346
(22)【出願日】2022-07-21
(65)【公開番号】P2024013915
(43)【公開日】2024-02-01
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 尚
(72)【発明者】
【氏名】木野村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】大木 淳吏
(72)【発明者】
【氏名】高畑 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏光
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-215923(JP,A)
【文献】特開2022-098769(JP,A)
【文献】特開平04-080899(JP,A)
【文献】特開2020-067968(JP,A)
【文献】特開2013-127756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 7/00
H02J 7/02
G08G 1/14
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 55/00
B60L 58/10
G06Q 50/40
G16Y 20/20
G16Y 20/30
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された蓄電装置を充電可能に構成される給電設備が設置された駐車場を管理する駐車場管理方法であって、
前記駐車場の駐車スペースが不足するか否かを判断することと、
前記駐車場の駐車スペースが不足すると判断された場合に、前記駐車場に存在するいずれの車両にもエネルギーマネジメントを要請せず、前記駐車場に駐車している少なくとも1台の車両に退去を促す処理を実行することと、
前記駐車場の駐車スペースが不足しないと判断された場合に、前記駐車場に存在するいずれの車両にも前記退去を促す処理を実行せず、前記駐車場において前記給電設備と電気的に接続されている少なくとも1台の車両にエネルギーマネジメントを要請することと、
を含む、駐車場管理方法。
【請求項2】
当該駐車場管理方法は、
前記エネルギーマネジメントの要請を承諾した車両に前記駐車場に留まることを促す処理を実行することと、
前記エネルギーマネジメントの要請を承諾した車両に搭載された蓄電装置の充放電制御を実行することと、
をさらに含む、請求項に記載の駐車場管理方法。
【請求項3】
前記駐車スペースが不足するか否かを判断することは、
現在の前記駐車場が満車状態である場合に、前記駐車場の駐車スペースが不足すると判断することと、
今後の利用者数を予測することと、
現在の前記駐車場が非満車状態であり、かつ、前記駐車場の現在の空き状況と、予測された前記利用者数とから、前記駐車場が満車状態になると予測される場合に、前記駐車場の駐車スペースが不足すると判断することと、
現在の前記駐車場が非満車状態であり、かつ、前記駐車場の現在の空き状況と、予測された前記利用者数とから前記駐車場が満車状態にならないと予測される場合に、前記駐車場の駐車スペースが不足しないと判断することと、
を含む、請求項1に記載の駐車場管理方法。
【請求項4】
前記退去を促す処理を実行することは、
前記駐車場に設置された警光灯が警告を発すること、
を含む、請求項1に記載の駐車場管理方法。
【請求項5】
前記退去を促す処理を実行することは、
施設が前記駐車場に提供する通信ネットワークの使用を禁止すること、
を含む、請求項1に記載の駐車場管理方法。
【請求項6】
当該駐車場管理方法は、
前記駐車場の駐車スペースが不足すると判断された場合に、前記駐車場に対象車両が駐車しているか否かを判断することと、
前記駐車場に前記対象車両が駐車していると判断された場合に、前記対象車両に前記退去を促す処理を実行することと、
を含み、
前記対象車両は、前記給電設備を利用して蓄電装置を充電し、かつ、当該蓄電装置の充電開始から所定時間経過している車両である、請求項1に記載の駐車場管理方法。
【請求項7】
当該駐車場管理方法は、
第1退去促進処理として前記退去を促す処理を受けた前記対象車両が退去したか否かを確認することと、
前記第1退去促進処理を受けた前記対象車両が退去しない場合に、当該対象車両に対する第2退去促進処理を実行することと、
をさらに含み、
前記第1退去促進処理は、前記対象車両のユーザによって携帯される携帯端末に対する通知処理を含み、
前記第2退去促進処理は、前記第1退去促進処理を受けた前記対象車両の前記蓄電装置の強制放電処理を含む、請求項に記載の駐車場管理方法。
【請求項8】
駐車場を管理する駐車場管理方法であって、
前記駐車場には、車両に搭載された蓄電装置を充電可能に構成される給電設備が設置されており、
当該駐車場管理方法は、
第1サーバが、前記駐車場の駐車スペースが不足するか否かを判断することと、
前記駐車場の駐車スペースが不足すると判断された場合に、前記第1サーバが、前記駐車場に存在するいずれの車両にもエネルギーマネジメントを要請せず、前記駐車場に駐車している少なくとも1台の車両に退去を促す処理を実行することと、
前記駐車場の駐車スペースが不足しないと判断され、かつ、所定の条件が成立する場合に、前記第1サーバが、前記駐車場に存在するいずれの車両にも前記退去を促す処理を実行せず、前記給電設備と電気的に接続されている少なくとも1台の車両にエネルギーマネジメントを要請することと、
を含み、
前記所定の条件は、前記第1サーバが第2サーバからエネルギーマネジメントへの参加の要求を受けていることと、前記第2サーバからの要求に応えられる車両が前記駐車場に存在することとを含む、駐車場管理方法。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の駐車場管理方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶する記憶装置と、前記プログラムを実行するプロセッサとを備える、コンピュータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車場管理方法、プログラム、およびコンピュータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場に設置された給電設備を用いて、駐車中の車両に搭載された蓄電装置を充電する技術が知られている。例えば、特開2012-139008号公報(特許文献1)には、充電完了予測情報として充電時間を表示装置に表示させる電気自動車充電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-139008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電動車(例えば、電気自動車)の普及に伴い、敷地内の駐車場にEVSE(車両用給電設備)が設置された施設(店舗など)が増えている。そして、施設の駐車場において、車両に搭載された蓄電装置の充電が完了した後も、当該車両がその駐車場に滞在し続けることが問題になっている。
【0005】
一般に、店舗の駐車場に車両が長時間駐車することは、駐車スペース不足を招き、客の回転率を低下させるため、店主にとってデメリットであると考えられている。このため、こうした車両を店員が見つけた場合には、店員が車両に貼り紙をして退去を求めることがある。しかし、店舗の駐車場に駐車中の車両を店の経営のために利活用することで、店主と車両ユーザとの双方にメリットが生まれる可能性がある。例えば、駐車中の車両をエネルギーマネジメントに利用できるかもしれない。
【0006】
従来、施設の駐車場に駐車中の車両を利活用するという発想はなく、施設の駐車場に長時間駐車する車両には、一律に退去を求めていた。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、駐車場における駐車スペース不足を抑制しつつ、駐車場に駐車中の車両の利活用を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の観点に係る形態に従うと、以下に示す駐車場管理方法が提供される。
(第1項)当該駐車場管理方法は、駐車場を管理する方法であって、駐車場の駐車スペースが不足するか否かを判断することと、駐車場の駐車スペースが不足すると判断された場合に、駐車場に駐車している少なくとも1台の車両に退去を促す処理を実行することとを含む。
【0009】
上記方法によれば、駐車場の駐車スペースが不足すると判断された場合に、駐車中の車両に退去を促す処理が実行される。これにより、駐車場における駐車スペース不足が抑制される。その一方で、駐車場の駐車スペースが不足しない状況においては、駐車中の車両に退去を促す処理が実行されないため、駐車中の車両の利活用を図ることが可能になる。
【0010】
上記第1項に記載の駐車場管理方法は、以下に示す第2項~第7項のいずれか1項に記載の構成を有し得る。
【0011】
(第2項)第1項に記載の駐車場管理方法が以下の特徴をさらに有する。駐車場には、車両に搭載された蓄電装置を充電可能に構成される給電設備が設置されている。当該駐車場管理方法は、駐車場の駐車スペースが不足しないと判断された場合に、駐車場において給電設備と電気的に接続されている少なくとも1台の車両にエネルギーマネジメントを要請することをさらに含む。
【0012】
上記方法によれば、駐車場の駐車スペースが不足しないと判断された場合に、駐車中の車両にエネルギーマネジメントを要請する処理が実行される。これにより、駐車場における駐車スペース不足を抑制しつつ、駐車場に駐車中の車両をエネルギーマネジメントに利用しやすくなる。
【0013】
なお、車両は、電力を動力源の全てまたは一部として利用する電動車(xEV)であってもよい。xEVには、BEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCEV(燃料電池車)などが含まれる。
【0014】
(第3項)第2項に記載の駐車場管理方法が以下の特徴をさらに有する。当該駐車場管理方法は、エネルギーマネジメントの要請を承諾した車両に駐車場に留まることを促す処理を実行することと、エネルギーマネジメントの要請を承諾した車両に搭載された蓄電装置の充放電制御を実行することとをさらに含む。
【0015】
上記方法によれば、エネルギーマネジメントの要請を承諾した車両に対して、駐車場に留まることを促す処理が実行される。これにより、エネルギーマネジメントのために必要な車両の台数を確保しやすくなる。また、上記方法によれば、エネルギーマネジメントの要請を承諾した車両に対して、車両に搭載された蓄電装置の充放電制御が実行される。こうした充放電制御によってエネルギーマネジメントを行うことができる。
【0016】
駐車場に留まることを車両に促す処理の例としては、駐車場における車両ユーザの利便性を向上させる処理が挙げられる。例えば、施設が駐車場に提供する通信ネットワークの使用を車両ユーザに許可することで、駐車場に留まることを車両に促すことができる。
【0017】
(第4項)第1項~第3項のいずれか1項に記載の駐車場管理方法が以下の特徴をさらに有する。駐車スペースが不足するか否かを判断することは、今後の利用者数を予測することと、駐車場の現在の空き状況と予測された利用者数とを用いて駐車場の駐車スペースが不足するか否かを判断することとを含む。
【0018】
上記方法によれば、時々刻々と変動する駐車場の空きスペース(稼働率)および利用者数に基づいて、駐車場の駐車スペースが不足するか否かを的確に判断しやすくなる。
【0019】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の駐車場管理方法が以下の特徴をさらに有する。退去を促す処理を実行することは、駐車場に設置された警光灯が警告を発することを含む。
【0020】
上記のように、駐車場に設置された警光灯を使用することで、駐車場からの退去を車両に促すことができる。
【0021】
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の駐車場管理方法が以下の特徴をさらに有する。退去を促す処理を実行することは、施設が駐車場に提供する通信ネットワークの使用を禁止することを含む。
【0022】
上記のように、施設が駐車場に提供する通信ネットワークの使用を車両ユーザに禁止することで、駐車場からの退去を車両に促すことができる。
【0023】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載の駐車場管理方法が以下の特徴をさらに有する。当該駐車場管理方法は、退去を促す処理を受けた車両が退去したか否かを確認することと、退去を促す処理を受けた車両が退去しない場合に、当該車両に対する退去を促す処理の内容を変更することとをさらに含む。
【0024】
上記方法によれば、退去を促す処理を受けた車両が退去しない場合に、当該車両に対する退去を促す処理の内容を変更することで、より効果的な処理によって車両に退去を促すことができる。
【0025】
本開示の第2の観点に係る形態に従うと、以下に示す駐車場管理方法が提供される。
(第8項)当該駐車場管理方法は、駐車場を管理する方法である。駐車場には、車両に搭載された蓄電装置を充電可能に構成される給電設備が設置されている。当該駐車場管理方法は、駐車場の駐車スペースが不足するか否かを判断することと、駐車場の駐車スペースが不足しないと判断され、かつ、所定の条件が成立する場合に、給電設備と電気的に接続されている少なくとも1台の車両にエネルギーマネジメントを要請することとを含む。
【0026】
上記駐車場管理方法によれば、駐車場の駐車スペースが不足しないと判断され、かつ、所定の条件が成立する場合に、駐車中の車両にエネルギーマネジメントを要請する処理が実行される。これにより、駐車場における駐車スペース不足を抑制しつつ、駐車場に駐車中の車両をエネルギーマネジメントに利用しやすくなる。
【0027】
他の観点に係る形態に従うと、第1項~第8項のいずれか1項に記載の駐車場管理方法をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。ある形態においては、上記プログラムを記憶する記憶装置と、記憶装置に記憶されたプログラムを実行するプロセッサとを備えるコンピュータ装置が提供される。他の形態においては、上記プログラムを配信するコンピュータ装置が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、駐車場における駐車スペース不足を抑制しつつ、駐車場に駐車中の車両の利活用を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の実施の形態に係る駐車場管理システムの概要について説明するための図である。
図2図1に示した制御システムおよび電力設備の構成を示す図である。
図3図1に示した店舗のEVSEを利用したエネルギーマネジメントについて説明するための図である。
図4】本開示の実施の形態に係る駐車場管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0031】
図1は、本開示の実施の形態に係る駐車場管理システムの概要について説明するための図である。図1を参照して、この実施の形態に係る駐車場管理システムは、店舗100の駐車場200を管理する。この実施の形態では、店舗100がコンビニエンスストア(以下、単に「コンビニ」とも称する)である。ただしこれに限られず、店舗100の業態は任意である。店舗100は、例えば、百貨店、スーパーマーケット、またはショッピングモールの店舗であってもよい。
【0032】
ユーザUは、店舗100の客である。携帯端末50は、ユーザUによって携帯される端末である。この実施の形態では、携帯端末50として、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。スマートフォンはコンピュータを内蔵する。ただしこれに限られず、携帯端末50としては、任意の携帯端末を採用可能である。例えば、ラップトップ、タブレット端末、携帯型ゲーム機、ウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、スマートグラス、スマートグローブなど)、電子キーなども、携帯端末50として採用可能である。
【0033】
携帯端末50には、店舗100が提供するサービスを利用するためのアプリケーションソフトウェア(以下、「コンビニアプリ」と称する)がインストールされている。コンビニアプリにより、携帯端末50の識別情報(端末ID)が店舗100の制御システム110(より特定的には、後述する図2に示すサーバ111)に登録される。携帯端末50は、コンビニアプリを通じて、サーバ111と情報のやり取りを行うことができる。例えば、サーバ111はコンビニアプリを通じて携帯端末50にクーポン情報を提供する。サーバ111は、複数の端末に関する情報(ユーザ情報、ポイント情報など)を端末IDで区別して管理する。
【0034】
店舗100は、カメラ11と、無線LANルータ(以下、単に「ルータ」と表記する)12と、自動ドア装置13と、棚14a~14dと、キャッシュレジスタ(以下、単に「レジ」と表記する)15とを含む。LANは、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network)を意味する。
【0035】
カメラ11は、店舗100内を監視する監視カメラとして機能する。カメラ11は、常時作動しており、店舗100内の映像を逐次取得して保存する。ルータ12は、店内に無線LANを提供する。例えば、コンビニアプリをインストールした端末に、ルータ12が提供する無線LANの利用が許可される。自動ドア装置13は、扉と、通過対象を検知するセンサと、自動的に扉の開閉を行う機構とを有する。自動ドア装置13は、通過対象(例えば、人または物)の接近を検知すると自動で扉を開き、通過対象の通過を確認した後、扉を閉じる。
【0036】
棚14a~14dの各々には、商品が陳列される。棚14a~14dの各々は、価格表示部と、商品補充のための機構との少なくとも一方を有してもよい。価格表示部は、後述する図2に示すサーバ111からの指示に従って表示内容を変える表示装置を有し、状況に応じた商品価格を自動的に表示してもよい。棚14a~14dの各々はスライド式陳列棚であってもよい。
【0037】
レジ15は、主に料金の精算を行う。例えば、コンビニアプリをインストールした端末には、コンビニアプリ上に貯蓄されたポイント(仮想通貨)を用いてレジ15でキャッシュレス決済を行うことが許可される。レジ15は、販売時点情報管理システムが搭載されたPOS(Point Of Sales)レジであってもよい。POSレジは、販売情報を集積するように構成される。
【0038】
店舗100は、電力系統PGから電力の供給を受ける。電力系統PGは、電力網と発電設備と変電設備とを含む。電力網は送配電設備によって構築される。電力系統PGは、所定エリアに電力を供給する。店舗100は、その所定エリア内に位置する。店舗100の受電点にはスマートメータ180が設置されている。スマートメータ180は、電力系統PGと店舗100との間でやり取りされる電力量を計測する。
【0039】
店舗100は、制御システム110と、電力設備120とをさらに備える。図2は、制御システム110および電力設備120の構成を示す図である。
【0040】
図1とともに図2を参照して、制御システム110は、サーバ111と、EMS(Energy Management System)112とを含む。電力設備120は、PCS(Power Conditioning System)121と、分電盤122と、発電装置123と、蓄電装置124とを含む。
【0041】
電力系統PGと発電装置123と蓄電装置124との各々はPCS121と電気的に接続されている。電力系統PGは、例えば交流電力をPCS121に供給する。発電装置123および蓄電装置124の各々は、屋内に設置されてもよいし、屋外に設置されてもよい。発電装置123は、店舗100の屋根に設置された太陽光パネルと、駐車場200に設けられたソーラーカーポートとの少なくとも一方を含んでもよい。また、発電装置123は、風力発電装置を含んでもよい。また、発電装置123は、水素と酸素との化学反応によって発電する定置式のFC(Fuel Cell)発電機を含んでもよい。蓄電装置124は、定置式のESS(Energy Storage System)を含んでもよい。蓄電装置124は、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池、またはNAS(ナトリウム硫黄)電池を含んでもよい。
【0042】
PCS121は、回路部と、回路部を制御する制御部とを含む。回路部は、パワーコンディショニングに係る処理(例えば、電力変換および入出力調整)のための各種回路を含む。回路部は、AC(交流)/DC(直流)変換回路と変圧回路(例えば、絶縁トランスまたはDC/DCコンバータ)とPFC(Power Factor Correction)回路とを含んでもよい。PCS121は、入力される電力に電力変換処理(例えば、AC/DC変換と変圧と周波数変換との少なくとも1つの処理)を行い、分電盤122に対応する電力を分電盤122に供給する。また、PCS121は、入力される電力に電力変換処理を行い、蓄電装置124の充電に適した電力を蓄電装置124へ出力する。
【0043】
分電盤122は、図1に示した店舗100内の各種機器(カメラ11、ルータ12、自動ドア装置13、レジ15など)に電力を供給する。制御システム110(サーバ111およびEMS112)も、分電盤122から電力の供給を受ける。また、分電盤122は、図1に示した駐車場200の各種機器(EVSE20a~20d、カメラ210、ルータ220、車両検知センサ230など)にも電力を供給する。
【0044】
サーバ111は、店舗100内の各種機器(カメラ11、ルータ12、自動ドア装置13、レジ15など)と通信可能に構成される。また、サーバ111は、駐車場200の各種機器(EVSE20a~20d、カメラ210、ルータ220、車両検知センサ230など)とも通信可能に構成される。
【0045】
EMS112は、電力設備120に関する情報をPCS121から受け取り、PCS121の制御部に制御指令を送る。また、EMS112は、PCS121によって検出される電力量を用いて、エネルギーマネジメントの計画を作成する。具体的には、PCS121は、電力系統PGと発電装置123と蓄電装置124との各々からPCS121に入力される電力を個別に検出する電力量計を含む。また、PCS121は、PCS121から分電盤122と蓄電装置124との各々へ出力される電力を個別に検出する電力量計をさらに含む。EMS112は、各電力量計による検出結果から、店舗100におけるエネルギー収支情報(例えば、発電電力、需要電力、および蓄電電力)を取得して経時的に記録する。EMS112は、取得されたエネルギー収支情報と、電気料金に関する情報と、蓄電装置124のSOC(State Of Charge)とに基づいて、エネルギーマネジメントの計画(例えば、発電、充電、放電、および需要制限に関する計画)を作成する。店舗100が後述するVPP(仮想発電所)に参加する場合には、EMS112は、VPPに関するエネルギー収支も考慮してエネルギーマネジメントの計画を作成する。また、発電装置123が自然エネルギーを利用して発電を行う形態では、EMS112は、気象予測情報に基づいて発電電力を予測し、予測された発電電力を考慮してエネルギーマネジメントの計画を作成してもよい。EMS112は、PCS121に含まれる各電力量計による検出結果を確認しながら、作成された計画どおりにエネルギーマネジメントが実行されるように、PCS121を制御する。サーバ111とEMS112とは、相互に通信しながら協働してエネルギーマネジメントを実行する。
【0046】
再び図1を参照して、駐車場200は、EVSE20a~20dと、カメラ210と、無線LANルータ(以下、単に「ルータ」と表記する)220と、車両検知センサ230とを含む。なお、EVSEは、車両用給電設備(Electric Vehicle Supply Equipment)を意味する。
【0047】
カメラ210は、駐車場200全体を監視する監視カメラとして機能する。カメラ210は、常時作動しており、駐車場200の映像を逐次取得して保存する。図2に示したサーバ111は、カメラ11、210から、それぞれ店舗100内の映像、駐車場200の映像を取得することができる。ルータ220は、駐車場200全体に無線LANを提供する。例えば、コンビニアプリをインストールした端末に、ルータ220が提供する無線LANの利用が許可される。図2に示したサーバ111は、端末IDによって指定される特定の端末についてのみ無線LANの使用を禁止するように、ルータ12,220を制御することができる。
【0048】
駐車場200は、駐車枠P1~P8を有する。駐車枠P1、P2、P3、P4には、それぞれEVSE20a、20b、20c、20dが設けられている。他方、駐車枠P5,P6,P7,P8の各々には、EVSEが設けられていない。また、駐車枠P1~P8の各々には、車両検知センサ230が設けられている。車両検知センサ230は、地面に埋設するタイプのセンサ(例えば、ループコイル)であってもよいし、非埋設式のセンサ(例えば、エリアセンサ)であってもよい。駐車枠P1~P8の各々の車両検知センサ230による検出結果は、サーバ111(図2)へ出力される。サーバ111は、これらの検出結果に基づいて、駐車枠P1~P8の各々について駐車の有無を把握できる。例えば、図1に示す状態では、駐車枠P2、P4、P5、P7、P8に、それぞれ車両30a、30b、30c、30d、30eが駐車中であり、駐車枠P1,P3,P6の各々は空き状態である。なお、車両検知センサの代わりに、監視カメラ(カメラ210)または3D-LiDAR駐車管理システムによって、駐車場200の各駐車枠の状態(駐車/空き)が検出されてもよい。
【0049】
駐車場200に設置されたEVSE20a~20dの各々は、例えば給電機能付き充電器であり、車両に搭載された蓄電装置を充電可能に構成される。EVSE20a~20dのいずれかと電気的に接続された車両は、エネルギーマネジメントを実行することができる。
【0050】
図3は、店舗100のEVSE20a~20dを利用したエネルギーマネジメントについて説明するための図である。この実施の形態では、図1に示したEVSE20a~20dが同じ構成を有するため、以下では、これらを区別しない場合は「EVSE20」と称する。また、図3に示される車両30は、EVSE20を利用可能に構成される車両の一例に相当する。図1に示した車両30a~30eの各々は、以下に説明する車両30に準ずる構成を有してもよい。車両30のユーザは、前述した携帯端末50を所持する。
【0051】
図1図2とともに図3を参照して、サーバ700は、電力系統PGのTSO(系統運用者)に帰属するコンピュータに相当する。サーバ500は、アグリゲータに帰属するコンピュータに相当する。サーバ111(店舗100)とサーバ500とサーバ700とは、通信ネットワークNWを介して相互に通信可能に構成される。通信ネットワークNWは、例えばインターネットと無線基地局とによって構築される広域ネットワークである。また、ルータ12,220によって提供される無線LANも、通信ネットワークNWに接続される。携帯端末50(図1)は、ルータ12または220が提供する無線LANを介して、通信ネットワークNWに接続することができる。
【0052】
サーバ111,500,700の各々としては、プロセッサ、RAM(Random Access Memory)、および記憶装置を備えるコンピュータを採用できる。プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。記憶装置は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置は書き換え可能な不揮発性メモリを含んでもよい。各コンピュータにおいて、記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、各種の処理が実行される。ただし、これらの各種処理は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
【0053】
サーバ500は、IoT(モノのインターネット)を利用した高度なエネルギーマネジメント技術により複数の分散型エネルギーリソース(以下、「DER(Distributed Energy Resources)」とも称する)を束ねてVPP(仮想発電所)を実現するように構成される。VPPは、DERを遠隔・統合制御することによってあたかも1つの発電所のように機能させる仕組みである。サーバ500は、例えばサーバ700から電力系統PGのエネルギーマネジメントを要請されると、電力系統PGと電気的に接続されるDERをVPPに参加させることを、そのDERを管理するサーバに要求する。例えば、EVSE20と電気的に接続された車両30は、VPPのためのDERとして機能し得る。このため、サーバ500は、サーバ700からの要請に応じて、EVSE20と電気的に接続された車両30をVPPに参加させることをサーバ111に要求する。
【0054】
車両30は、バッテリ31と、電子制御装置(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と表記する)35とを備える。ECU35は、例えばプロセッサおよび記憶装置を備えるコンピュータである。車両30は、バッテリ31に蓄えられた電力を用いて走行可能に構成される電動車(xEV)である。車両30は、内燃機関を備えないBEVであってもよいし、内燃機関を備えるPHEVであってもよい。バッテリ31としては、公知の車両用蓄電装置(例えば、液式二次電池、全固体二次電池、または組電池)を採用できる。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。
【0055】
EVSE20の本体は、制御部21および回路部22を内蔵する。また、EVSE20は、充電ケーブル23および警光灯25をさらに備える。制御部21は、プロセッサおよび記憶装置を含み、サーバ111または500からの指令に従って回路部22を制御するように構成される。回路部22は、車両30に対する給電(例えば、バッテリ31の充電)のための回路と、電力系統PGに対する給電(逆潮流)のための回路とを含む。充電ケーブル23は、先端にコネクタ24(プラグ)を有する。
【0056】
車両30は、コネクタ24が着脱可能なインレット32を備える。インレット32は、充電口および放電口の両方として機能する充放電口に相当する。EVSE20の本体につながる充電ケーブル23のコネクタ24が駐車状態の車両30のインレット32に接続されることで、車両30はEVSE20と電気的に接続された状態(以下、「プラグイン状態」とも称する)になる。一方、例えば車両30の走行中においては、車両30がEVSE20と電気的に接続されていない状態(以下、「プラグアウト状態」とも称する)になる。EVSE20は、コネクタ24の状態(プラグイン状態/プラグアウト状態)を検出する接続検出回路(図示せず)を備える。接続検出回路は、コネクタ24の状態を制御部21へ出力する。また、制御部21は、回路部22に含まれるセンサ(図示せず)から、EVSE20の稼働状況(例えば、電力系統PGからの入力電力、車両30への出力電力、車両30からの入力電力、および電力系統PGへの出力電力)を示す情報を取得する。この実施の形態では、携帯端末50(コンビニアプリ)を通じてEVSE20に対して認証を行ったユーザにのみ、EVSE20の使用が許可される。この認証により、携帯端末50の識別情報(端末ID)がEVSE20に入力される。そして、EVSE20(制御部21)は、その端末IDを当該EVSE20の識別情報とともにサーバ111へ送信する。サーバ111は、EVSE20から受信した端末IDに基づいて、EVSE20を使用中のユーザを特定できる。EVSE20が使用されている期間においては、EVSE20に関する情報がEVSE20からサーバ111へ逐次送信される。
【0057】
電力系統PGから図2に示したPCS121および分電盤122を経由してEVSE20に電力が供給される。プラグイン状態においてバッテリ31の充電を行う場合には、EVSE20の回路部22が、供給される電力を、車両30への給電に適した電力に変換して、変換後の電力を充電ケーブル23のコネクタ24に出力する。この場合、コネクタ24からインレット32に入力される電力によってバッテリ31が充電される。プラグイン状態においてバッテリ31の放電を行う場合には、EVSE20の回路部22が、車両30からの電力(バッテリ31から放電された電力)を、電力系統PGに対応する電力に変換して、変換後の電力を図2に示した分電盤122およびPCS121を経由して電力系統PGに出力する。このように、EVSE20は、電力系統PGに対して逆潮流可能に構成される。
【0058】
プラグイン状態においては、EVSE20の制御部21と車両30のECU35とが、充電ケーブル23内の通信線を介して有線通信を行う。EVSE20においては、回路部22が、制御部21からの指令に従って、上述したバッテリ31の充電または放電を実行する。制御部21は、バッテリ31の充電中または放電中において、ECU35からバッテリ31の状態(例えば、温度、電流、電圧、およびSOC)を受信しつつ、充電電力または放電電力を目標値に近づけるように回路部22を制御する。なお、SOC(State Of Charge)は、蓄電残量を示し、例えば満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を0~100%で表わしたものである。
【0059】
警光灯25は、サーバ111によって制御される。警光灯25は、警告の有無を切り替え可能に構成される。警光灯25は、サーバ111から警告を指示されると、警告を実行し、サーバ111から警告停止を指示されると、警告を停止する。警光灯25は、平常時には消灯し、警告中は点滅または点灯してもよい。また、警光灯25は、平常時には第1色(例えば、緑色)で点灯し、警告中は第2色(例えば、赤色)で点灯してもよい。警光灯25は、スピーカ機能を有してもよく、警告中に音を鳴らしてもよい。
【0060】
サーバ111は、サーバ500からVPP参加の要求を受けると、プラグイン状態の車両30にエネルギーマネジメントを要請する。サーバ111は、例えば、エネルギーマネジメントを要請する信号を、車両30に対応する携帯端末50(すなわち、車両30のユーザによって携帯される携帯端末50)に送り、承諾/拒否のいずれかの返信を携帯端末50に要求する。サーバ111は、携帯端末50から承諾の返信を受けた場合には、車両30と電気的に接続されたEVSE20に関する情報(例えば、位置、通信アドレス、および仕様)をサーバ500に送り、EVSE20の遠隔制御をサーバ500に許可する。サーバ500は、EVSE20の制御部21と通信しながら、バッテリ31の充放電制御を実行する。サーバ500は、こうした充放電制御を通じて、VPPのためのエネルギーマネジメントを車両30に実行させることができる。詳細は後述するが、この実施の形態では、サーバ500がバッテリ31の充放電制御を実行しているときに、サーバ111が、駐車場200に留まることを促す処理(以下、「滞在促進処理」とも称する)を車両30に実行する。
【0061】
ところで、駐車場200に車両が長時間駐車すると、駐車場200の駐車スペースが不足しやすくなる。その一方で、駐車場200に駐車中の車両を店の経営のために利活用することで、店主と車両ユーザとの双方にメリットが生まれる可能性がある。そこで、この実施の形態に係る駐車場管理方法では、サーバ111が、駐車場200の駐車スペースが不足するか否かを判断する。そして、駐車場200の駐車スペースが不足すると判断された場合には、サーバ111が、駐車場200に駐車している少なくとも1台の車両に退去を促す処理を実行する。他方、駐車場200の駐車スペースが不足しないと判断された場合には、サーバ111が、EVSE20a~20dのいずれかと電気的に接続されている少なくとも1台の車両にエネルギーマネジメントを要請する。
【0062】
図4は、この実施の形態に係る駐車場管理方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、サーバ111によって繰り返し実行される。フローチャート中の「S」は、ステップを意味する。
【0063】
図1図3とともに図4を参照して、S11では、サーバ111が、駐車場200の現在の空き状況を取得する。具体的には、サーバ111は、駐車枠P1~P8の各々に設けられた車両検知センサ230から、駐車枠P1~P8の各々について駐車の有無を示す情報を取得する。
【0064】
S12では、サーバ111が、今後の集客数(利用者数)を予測するとともに、駐車場200の現在の空き状況と、予測された集客数とを用いて、駐車場200の駐車スペースが不足するか否かを判断する。サーバ111は、現時点から所定時間(例えば、30分)経過するまでの期間における集客数を予測してもよい。サーバ111は、例えば、時間帯ごとの集客数を示す履歴データに基づいて集客数を予測してもよい。サーバ111は、AI(人工知能)を用いた機械学習により得た学習済みモデルを用いて集客数を予測してもよい。具体的には、サーバ111は、現在時刻を入力すると今後の集客数を出力するように学習された学習済みモデルを用いて、今後の集客数を予測してもよい。
【0065】
この実施の形態では、駐車場200が満車状態(駐車枠P1~P8の全てが「駐車あり」の状態)である場合には、サーバ111は、S12においてYESと判断する。また、駐車場200が非満車状態(駐車枠P1~P8のいずれかが「駐車なし」の状態)である状況においても、予測された今後の集客数から駐車場200が満車状態になると予測される場合には、サーバ111は、S12においてYESと判断する。他方、駐車場200が非満車状態である状況において、予測された今後の集客数から駐車場200が満車状態にならないと予測される場合には、サーバ111は、S12においてNOと判断する。なお、駐車場200が完全空き状態(駐車枠P1~P8の全てが「駐車なし」の状態)である場合には、サーバ111は、S12においてNOと判断するが、後述するS21においてもNOと判断されることによって、図4に示す一連の処理は終了する。
【0066】
駐車場200の駐車スペースが不足するとサーバ111が判断した場合には(S12にてYES)、サーバ111は、S13において、駐車場200に駐車中の車両の中に、所定の要件を満たす車両(以下、「対象車両」と称する)が存在するか否かを判断する。所定の要件は任意に設定できるが、この実施の形態では、EVSE20a~20dのいずれかを利用して充電を行い、かつ、充電開始から所定時間経過している車両を、対象車両とする。すなわち、所定の要件は、EVSE20a~20dのいずれかを利用して充電を行ったことと、充電開始から所定時間(例えば、30分)経過していることとを含む。
【0067】
駐車場200に駐車中の車両の中に上記対象車両が存在する場合には(S13にてYES)、処理がS14に進む。複数の対象車両が存在する場合には、サーバ111は、以下に説明するS14~S18の処理を、対象車両ごとに実行する。
【0068】
S14では、サーバ111が第1退去促進処理を実行する。第1退去促進処理は、駐車場200からの退去を対象車両に促す処理である。この実施の形態では、第1退去促進処理が、対象車両に対応する携帯端末50(すなわち、対象車両のユーザによって携帯される携帯端末50)に対する通知処理および無線LAN使用禁止処理と、対象車両に対応する警光灯25(すなわち、対象車両と接続されるEVSE20の警光灯25)による警告処理とを含む。具体的には、サーバ111は、携帯端末50に対して退去を促す通知を行う。携帯端末50は、サーバ111からの通知を受信すると、例えば画面Sc1を表示する。画面Sc1は、対象車両のユーザに退去を促すメッセージを含む。また、サーバ111は、携帯端末50による無線LAN(詳しくは、店舗100がルータ12,220を通じて店舗100の敷地内に提供する通信ネットワーク)の使用を禁止するように、ルータ12,220を制御する。これにより、店舗100の敷地内(駐車場200を含む)における対象車両のユーザの利便性が低下する。また、サーバ111は、警光灯25が対象車両に退去を促す警告を発するように警光灯25を制御する。
【0069】
続くS15では、第1退去促進処理に応じて対象車両が退去したか否かを、サーバ111が判断する。サーバ111は、例えば、対象車両に対応する車両検知センサ230からの信号に基づいて、対象車両が退去したか否かを判断してもよい。
【0070】
対象車両が退去していない場合には(S15にてNO)、サーバ111は、S16において、所定の猶予期間が経過したか否かを判断する。所定の猶予期間は、例えば第1退去促進処理の開始から所定時間(例えば、10分)が経過するまでの期間である。
【0071】
対象車両が退去しておらず、かつ、上記猶予期間が経過していない間は(S15,S16の両方でNO)、S14~S16が繰り返される。これにより、第1退去促進処理が継続的に実行される。そして、対象車両が退去しないまま上記猶予期間が経過すると(S16にてYES)、処理がS17に進む。
【0072】
S17では、サーバ111が第2退去促進処理を実行する。第2退去促進処理は、第1退去促進処理とは異なる処理により、駐車場200からの退去を対象車両に促す処理である。第2退去促進処理は、第1退去促進処理よりも強く退去を促す処理であってもよい。この実施の形態では、第2退去促進処理が、第1退去促進処理に含まれる全ての処理に加えて、強制放電処理をさらに含む。具体的には、サーバ111は、対象車両に搭載された蓄電装置(バッテリ31)から分電盤122への放電が行われるように、対象車両に対応するEVSE20を制御する。放電された電力は、蓄電装置124に蓄電されてもよい。なお、第2退去促進処理は、強制放電処理に加えてまたは代えて、対象車両のユーザがコンビニアプリ上で獲得したポイントを没収する処理を含んでもよい。
【0073】
続くS18では、第2退去促進処理に応じて対象車両が退去したか否かを、サーバ111が判断する。サーバ111は、例えば、対象車両に対応する車両検知センサ230からの信号に基づいて、対象車両が退去したか否かを判断してもよい。対象車両が退去していない間は(S18にてNO)、S17およびS18が繰り返される。これにより、第2退去促進処理が継続的に実行される。そして、第2退去促進処理に応じて対象車両が退去すると(S18にてYES)、図4に示す一連の処理は終了し、処理は最初のステップ(S11)に戻る。
【0074】
駐車場200の駐車スペースが不足しないとサーバ111が判断した場合には(S12にてNO)、上述したS13~S18の処理は実行されることなく、処理はS21に進む。S21では、所定のVPP条件が成立するか否かを、サーバ111が判断する。
【0075】
この実施の形態では、サーバ111がサーバ500からVPP参加の要求を受けていること(第1VPP要件)と、サーバ500からの要求に応えられる車両が駐車場200に存在すること(第2VPP要件)との両方を満たす場合にVPP条件が成立し、いずれかの要件を満たさない場合にはVPP条件が成立しない。
【0076】
例えば、駐車枠P1~P4のいずれにもプラグイン状態で駐車している車両が存在しない場合には、サーバ111は第2VPP要件を満たさないと判断する。他方、上記プラグイン状態の車両が存在する場合には、サーバ111は、当該車両に搭載された蓄電装置のSOCに基づいて、当該車両がサーバ500からの要求に応えられるか否かを判断する。例えば、サーバ500が余剰電力の充電を要求する場合には、SOCが十分低い状態の車両はその要求に応えられるが、高SOC状態(例えば、満充電状態)の車両はその要求に応えられない。また、サーバ500が給電(放電)を要求する場合には、SOCが十分高い状態の車両はその要求に応えられるが、低SOC状態(例えば、完全放電状態)の車両はその要求に応えられない。
【0077】
VPP条件が成立しない場合には(S21にてNO)、図4に示す一連の処理は終了し、処理は最初のステップ(S11)に戻る。他方、VPP条件が成立する場合には(S21にてYES)、処理がS22に進む。以下では、S21においてサーバ500からの要求に応えられると判断された車両を、「VPP車両」と称する。複数のVPP車両が存在する場合には、サーバ111は、以下に説明するS22~S26の処理を、VPP車両ごとに実行する。
【0078】
S22では、サーバ111が、VPP車両にエネルギーマネジメントを要請する。具体的には、サーバ111は、VPP車両に対応する携帯端末50に要請信号を送り、承諾/拒否のいずれかの返信を携帯端末50に要求する。要請信号を受信した携帯端末50は、エネルギーマネジメントを要請するメッセージとともにエネルギーマネジメントの期間(以下、「VPP期間」とも称する)を表示し、さらに、承諾/拒否のいずれかの入力をユーザに要求する。
【0079】
続くS23では、エネルギーマネジメントを続行するか否かを、サーバ111が判断する。サーバ111がエネルギーマネジメントを要請したVPP車両のユーザから拒否の返信を受けた場合、あるいは要請から所定時間経過しても返信がない場合には、当該VPP車両によるエネルギーマネジメントは開始されないと判断され(S23にてNO)、処理がS26に進む。この場合、サーバ111は、S26において、当該VPP車両に対応する携帯端末50に、当該VPP車両はVPPに参加しない旨を伝えるメッセージを送る。このメッセージは携帯端末50に表示される。
【0080】
サーバ111がエネルギーマネジメントを要請したVPP車両のユーザから承諾の返信を受けた場合には、S23においてYESと判断され、処理がS24に進む。これにより、当該VPP車両によるエネルギーマネジメントが開始される。エネルギーマネジメントの実行中は、S23~S25の処理が繰り返し実行され、S23においてエネルギーマネジメントを続行するか否かが判断される。
【0081】
S24では、サーバ111が滞在促進処理を実行する。滞在促進処理は、駐車場200に留まることをVPP車両に促す処理である。この実施の形態では、滞在促進処理が、VPP車両に対応する携帯端末50(すなわち、VPP車両のユーザによって携帯される携帯端末50)に対する通知処理を含む。具体的には、サーバ111は、携帯端末50に対して駐車場200に留まることを促す通知を行う。携帯端末50は、サーバ111からの通知を受信すると、例えば画面Sc2を表示する。画面Sc2は、駐車場200に留まることをVPP車両のユーザに促すメッセージを含む。また、VPP車両によるエネルギーマネジメントの実行中は、サーバ111が、駐車場200および無線LAN(詳しくは、ルータ12,220が提供する無線LAN)の使用を当該VPP車両のユーザに許可する。サーバ111は、VPP車両のユーザが優先的に無線LANを使用できるように、他のユーザによる無線LANの使用を制限してもよい。
【0082】
S24で実行される滞在促進処理の内容は、エネルギーマネジメント開始からの経過時間に応じて変化してもよい。例えば、VPP期間内の所定タイミングになると、サーバ111は、コンビニアプリを通じてVPP車両のユーザにクーポンを発行する処理を、滞在促進処理として実行してもよい。また、サーバ111は、後述するエネルギーマネジメントの実績に応じたインセンティブとは別に、エネルギーマネジメント開始からの経過時間に応じたポイントを、コンビニアプリ上でVPP車両のユーザに付与してもよい。
【0083】
S25では、サーバ111が、VPP車両と電気的に接続されたEVSE20に関する情報(例えば、充放電制御のために必要な情報)をサーバ500に送り、EVSE20の遠隔制御をサーバ500に許可する。サーバ500は、EVSE20を介して、バッテリ31の充放電制御を実行する。サーバ500は、こうした充放電制御を通じて、VPPのためのエネルギーマネジメント(例えば、電力系統PGのエネルギーマネジメント)をVPP車両に実行させる。
【0084】
エネルギーマネジメントが開始された後のS23では、所定のVPP続行条件が成立するか否かを、サーバ111が判断する。
【0085】
この実施の形態では、VPP車両がプラグアウト状態になったこと(第1終了要件)と、エネルギーマネジメントに用いられるVPP車両の蓄電装置のSOCが所定の上限値以上になったこと(第2終了要件)と、エネルギーマネジメントに用いられるVPP車両の蓄電装置のSOCが所定の下限値以下になったこと(第3終了要件)と、VPP車両に対応する携帯端末50からサーバ111へ終了要求が送信されたこと(第4終了要件)と、エネルギーマネジメントが完了したこと(第5終了要件)とのいずれの終了要件も満たさない場合にはVPP続行条件が成立し、いずれかの終了要件を満たす場合にはVPP続行条件が成立しない。なお、SOCの上限値(第2終了要件)は、任意に設定できるが、例えば90%~100%の範囲から選ばれたSOC値であってもよい。SOCの下限値(第3終了要件)は、任意に設定できるが、例えば0%~50%の範囲から選ばれたSOC値であってもよい。エネルギーマネジメントの実行中において、サーバ111は、VPP車両に対応する携帯端末50にVPP車両のSOCを逐次送信してもよい。ユーザは、携帯端末50が表示する現在のSOCを見て、エネルギーマネジメントを続行するか否かを判断してもよい。ユーザが携帯端末50(コンビニアプリ)を通じてサーバ111に終了要求を送信すると、第4終了要件が満たされる。このように、VPP車両のユーザは、エネルギーマネジメントを途中でやめることができる。第5終了要件は、例えばVPP期間の終了時刻が到来することによって満たされる。
【0086】
上述したいずれかの終了要件を満たす場合には(S23にてNO)、エネルギーマネジメントが終了する。この場合、サーバ111は、S26において、当該VPP車両に対応する携帯端末50にエネルギーマネジメントの終了をその理由とともに伝えるメッセージを送る。このメッセージは携帯端末50に表示される。S26の処理が実行されると、図4に示す一連の処理は終了し、処理は最初のステップ(S11)に戻る。なお、エネルギーマネジメントが実行されていない期間においては、サーバ500によるEVSE20a~20dの遠隔制御は禁止される。
【0087】
VPPのためのエネルギーマネジメントが終了すると、サーバ111は、コンビニアプリを通じて、エネルギーマネジメントの実績に応じたインセンティブ(例えば、ポイント)をVPP車両のユーザに付与する。例えば、VPP参加の対価としてアグリゲータから店舗100の店主に支払われるインセンティブの一部がVPP車両のユーザに還元される。S26で送られるメッセージは、ユーザが獲得したインセンティブ情報(例えば、付与されたポイント数)を含んでもよい。ポイントは、仮想通貨のように扱われてもよいし、換金可能であってもよい。また、ポイントを品物または権利(例えば、ポイント数に見合ったサービスを受けられる権利)に変換できるようにしてもよい。
【0088】
以上説明したように、この実施の形態に係る駐車場管理方法は、図4に示した一連の処理を含む。S12では、サーバ111が、駐車場200の駐車スペースが不足するか否かを判断する。そして、駐車場200の駐車スペースが不足すると判断された場合には(S12にてYES)、サーバ111が退去促進制御(S13~S18)を実行する。この退去促進制御は、駐車場200に駐車している少なくとも1台の車両に退去を促す処理を実行すること(S14,S17)を含む。他方、駐車場200の駐車スペースが不足しないと判断された場合には(S12にてNO)、サーバ111が滞在促進制御(S21~S26)を実行する。この滞在促進制御は、駐車場200においてEVSE20と電気的に接続されている少なくとも1台の車両にエネルギーマネジメントを要請すること(S22)を含む。
【0089】
上記方法によれば、駐車場200の駐車スペースが不足すると判断された場合に、駐車中の車両に退去を促す処理が実行される。これにより、店舗100の駐車場200における駐車スペース不足が抑制される。その一方で、駐車場200の駐車スペースが不足しない状況においては、駐車中の車両に退去を促す処理は実行されない。そして、所定の条件(S21)が成立する場合には、駐車中の車両にエネルギーマネジメントが要請される。これにより、駐車中の車両の利活用が図られる。
【0090】
また、上記退去促進制御は、退去を促す処理(S14)を受けた車両が退去したか否かを確認すること(S15)と、退去を促す処理を受けた車両が退去しない場合に、当該車両に対する退去を促す処理の内容を変更すること(S17)とをさらに含む。こうした制御によれば、退去を促す処理(第1退去促進処理)を受けた車両が退去しない場合に、当該車両に対する退去を促す処理の内容を変更することで、より効果的な処理(第2退去促進処理)によって車両に退去を促すことができる。
【0091】
第1および第2退去促進処理の各々は、前述の処理内容に限られず、適宜変更可能である。例えば、図4のS14では第1退去促進処理として無線LAN使用禁止処理のみが実行され、図4のS17では、第2退去促進処理として警告処理のみが実行されてもよい。
【0092】
対象車両の要件は、前述の要件に限られず、適宜変更可能である。対象車両は、駐車枠P1~P4に駐車中の車両に限られない。駐車枠によらず、駐車場200に駐車中の全ての車両を対象車両としてもよい。対象車両に合わせて退去促進処理を決定してもよい。
【0093】
電力系統PG(外部電源)は、大規模な交流グリッドに限られず、マイクログリッドであってもよいし、DC(直流)グリッドであってもよい。また、エネルギーマネジメントシステムの構成は、図3に示した構成に限られない。例えば、サーバ500の機能がサーバ111に実装され、サーバ500が省略されてもよい。
【0094】
上記実施の形態では、駐車場200の駐車スペースが不足しないと判断された場合に、サーバ111が、駐車中の車両にエネルギーマネジメントを要請する。しかし、駐車中の車両の利活用方法は、エネルギーマネジメントに限られない。駐車場200の駐車スペースが不足しないと判断された場合に、サーバ111は、エネルギーマネジメント以外のサービスの提供を駐車中の車両に要請してもよい。具体的には、サーバ111は、駐車中の車両の装備を利用したサービスの提供(例えば、給電、演算、通信、またはトランクルームのために当該車両を提供すること)を、当該車両に要請してもよい。
【0095】
上記実施の形態では、図4に示した駐車場管理方法をコンピュータに実行させるプログラムを、サーバ111が保有する。サーバ111は、こうしたプログラムを記憶する記憶装置と、そのプログラムを実行するプロセッサとを備える。ただし、図4に示す処理は適宜変更可能である。例えば、図4に示される駐車場管理方法は、駐車場の駐車スペースが不足すると判断された場合に、駐車場に駐車している少なくとも1台の車両に退去を促す処理を実行すること(S13~S18)と、駐車場の駐車スペースが不足しないと判断され、かつ、所定の条件が成立する場合に、給電設備と電気的に接続されている少なくとも1台の車両にエネルギーマネジメントを要請すること(S21~S26)との両方を含むが、一方のみを含む形態に変更されてもよい。
【0096】
上記実施の形態では、オンプレミスサーバ(図2に示したサーバ111)によって駐車場管理方法が実行される。しかしこれに限られず、クラウドコンピューティングによってクラウド上にサーバ111の機能(特に、駐車場管理に係る機能)が実装されてもよい。
【0097】
上記の各種変形例は任意に組み合わせて実施されてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
20,20a~20d EVSE、21 制御部、22 回路部、23 充電ケーブル、25 警光灯、30,30a~30e 車両、31 バッテリ、32 インレット、35 ECU、50 携帯端末、100 店舗、111,500,700 サーバ、112 EMS、121 PCS、122 分電盤、200 駐車場、210 カメラ、220 無線LANルータ、230 車両検知センサ、P1~P8 駐車枠、PG 電力系統。
図1
図2
図3
図4