(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】ボルト供給装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20250701BHJP
B65G 47/08 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
B23P19/06 A
B65G47/08 D
(21)【出願番号】P 2022126937
(22)【出願日】2022-08-09
【審査請求日】2024-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】日比野 建
(72)【発明者】
【氏名】二村 友規
(72)【発明者】
【氏名】都築 進
(72)【発明者】
【氏名】重松 真弥
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-16914(JP,A)
【文献】特開2018-202566(JP,A)
【文献】米国特許第04926719(US,A)
【文献】特開2006-142414(JP,A)
【文献】実開昭59-100532(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
B65G 47/00-47/20;47/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ軸部の上部に前記ねじ軸部より外径の大きい大径部を有するボルトを、締結部材の取付孔に供給するボルト供給装置であって、
前記締結部材の上方に水平に配置されるガイドプレートと、
前記ねじ軸部を挿入した前記ボルトの前記大径部が引っ掛かるように前記大径部より狭い幅でかつ前記ガイドプレートの所定の中心位置を中心とした円弧状をなすように前記ガイドプレートを厚さ方向に貫通して形成されたガイド部と、
前記ガイド部の一端部に形成された、前記大径部より大きい開口径の落下孔と、
前記ガイドプレートの上面側に配置されるとともに、前記ガイド部に引っ掛かっている前記ボルトの一つごとに係合するポケット部を有し、前記ポケット部が前記ガイド部の他方の端部側から前記落下孔が設けられている一端部側に移動するように回転する回転板と、
前記落下孔の下側に設けられ、閉じることにより、前記落下孔から落下したボルトの前記大径部を係合させ、開くことにより、前記大径部の係合を解除して前記ボルトを前記取付孔に向けて落下させるチャック機構と、
前記ポケット部が前記ボルトを前記落下孔に移動させた後に前記回転板によって動作させられて前記チャック機構を開かせるリンク機構と
を備えていることを特徴とするボルト供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボルトを目標とする箇所に連続的に供給する装置に関し、特に頭部側にフランジ状の部分が設けられているボルトを落下させて供給する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の機械装置類は、複数の部品によって構成されており、それらの部品の締結にボルトが使用されていることは周知の通りである。ボルトによる締結には、ボルトの供給およびねじ込み(締め込み)の作業を行うことになるから、先ずは、ボルトを効率よく供給することが必要である。特許文献1には、ボルトを効率よく供給するように構成された装置が記載されている。その装置は、外周側に開いている複数の切り込み部分を円周方向に等間隔に形成した、平面視でいわゆる星形をなす回転型マガジンと、ドライビングビットを有するナットランナとを有しており、各切り込み部分にボルトを吊り下げた状態で保持させ、マガジンを回転させることにより、それらのボルトを順次取り出し位置に移動させ、その取り出し位置で、ナットランナによりボルトを保持してマガジンから取り出して所定箇所に供給し、締め付けるように構成されている。
【0003】
ボルトを、その姿勢を揃えて保持するマガジンを用いることは従来広く知られており、例えば特許文献2には、複数種類のボルトに対応するために、複数種類のヘッドを設けたマガジンが記載されている。上記の特許文献1に記載された回転型マガジンは、それぞれの切り込み部分にボルトをセットした状態で使用され、全てのボルトを取り出して空になった場合にはマガジンを交換するようになっている。これと同様にマガジンを交換するように構成した装置が特許文献3に記載されている。なお、ボルトもしくはネジをビットに保持させるために、真空吸着するように構成した装置が特許文献4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-80282号公報
【文献】特開2010-142888号公報
【文献】特開平5-57537号公報
【文献】特開昭63-216637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1などに開示されているマガジンを用いれば、連続的に供給するべき複数のボルトを、その姿勢を揃えて、ナットランナやビットに対する受け渡し箇所に供給することができる。しかしながら、従来知られている装置では、ナットランナやビットなどによってボルトをマガジンから取り出すとともに、締結箇所に移動させている。すなわち、従来の装置におけるマガジンは、ボルトをその姿勢を揃えて保持すること、およびナットランナもしくはビットに対する受け渡し位置へのボルトの移動を行うのにとどまり、締結箇所へのボルトの供給は、別途、ナットランナあるいはビットによって行っている。そのため、従来では、ボルトの供給に時間が掛かり、特にボルトの姿勢を変えずに高速で搬送することは困難であり、ボルト締結の効率化の点で改善すべき余地があった。
【0006】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、組み付けるべき部品の締結孔などの締結箇所(供給箇所)に、ボルトを迅速に、また連続して供給することができるボルト供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は、ねじ軸部の上部に前記ねじ軸部より外径の大きい大径部を有するボルトを、締結部材の取付孔に供給するボルト供給装置であって、前記締結部材の上方に水平に配置されるガイドプレートと、前記ねじ軸部を挿入した前記ボルトの前記大径部が引っ掛かるように前記大径部より狭い幅でかつ前記ガイドプレートの所定の中心位置を中心とした円弧状をなすように前記ガイドプレートを厚さ方向に貫通して形成されたガイド部と、前記ガイド部の一端部に形成された、前記大径部より大きい開口径の落下孔と、前記ガイドプレートの上面側に配置されるとともに、前記ガイド部に引っ掛かっている前記ボルトの一つごとに係合するポケット部を有し、前記ポケット部が前記ガイド部の他方の端部側から前記落下孔が設けられている一端部側に移動するように回転する回転板と、前記落下孔の下側に設けられ、閉じることにより、前記落下孔から落下したボルトの前記大径部を係合させ、開くことにより、前記大径部の係合を解除して前記ボルトを前記取付孔に向けて落下させるチャック機構と、前記ポケット部が前記ボルトを前記落下孔に移動させた後に前記回転板によって動作させられて前記チャック機構を開かせるリンク機構とを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明では、ガイド部にねじ軸部を挿入することにより、大径部を引っ掛けた状態でボルトがガイド部に吊り下げた状態で保持される。そのボルトごとに、回転板のポケット部が係合し、その回転板が回転することにより、各ボルトはガイド部を落下孔に向けて移動させられる。落下孔の開口径が大径部より大きいから、落下孔に移動したボルトは、落下孔からチャック機構に落下する。チャック機構が閉じていることにより、落下したボルトは、チャック機構によって吊り下げた状態に保持される。その直後に、リンク機構が回転板によって動作させられてチャック機構が開き、ボルトが取付孔に向けて落下する。したがって、ガイド部を設けてあるガイドプレートが、複数のボルトをその姿勢を揃えて保持するカートリッジもしくはマガジンに相当し、そのガイドプレートから取付孔にボルトを直接供給することになる。そのため、カートリッジもしくはマガジンに相当するガイドプレートからボルトを抜き取って移動させるなどの部材や動作が不要になり、多数のボルトを迅速に、また連続して、供給箇所である取付孔に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】そのチャック機構の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図2のチャック機構を、向きを変えて示す斜視図である。
【
図4】開閉爪が閉じている状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態はこの発明を実施した場合の一例に過ぎないのであって、この発明を限定するものではない。
【0011】
図1にこの発明の実施形態の主要部を示してある。
図1で符号「1」はガイドプレートであって、複数のボルト2を並べて保持するためのガイド部3を有している。ガイドプレート1は水平に配置された板状の部材であり、ガイド部3はガイドプレート1をその厚さ方向に貫通し、かつ円弧状に形成されたいわゆる長孔状の部分である。ボルト2は、ねじ軸部2aの上端部に、この発明の実施形態における大径部に相当する座金となるフランジ2cと、頭部2bとを有している。ガイド部3は、ボルト2のフランジ2cの外径より狭い幅になっており、したがってガイド部3にねじ軸部2aを挿入したボルト2のフランジ2cをガイド部3の開口縁に引っ掛けて吊り下げた状態にボルト2を保持するようになっている。すなわち、フランジ2cがこの発明の実施形態における大径部に相当している。
【0012】
ガイド部3は、ガイドプレート1の中心位置を中心とした回転角度で300度程度もしくはそれより幾分広い範囲に亘って円弧状に形成され、その一方の端部(ガイドプレート1を上から見て時計方向に回った端部)に落下孔4が形成されている。落下孔4は、ボルト2をガイドプレート1への係合を外してガイドプレート1から抜け落とすための部分であり、前記ガイド部3に繋がりかつ前記フランジ2cの外径より大きい内径の貫通孔である。
【0013】
ガイド部3によって保持されているボルト2を落下孔4に移動させる回転板5が設けられている。回転板5は、ボルト2のフランジ2cあるいは頭部2bに係合してボルト2をガイド部3内を落下孔4に向けて押して移動させるためのものであり、ボルト2と係合する部分として複数(
図1で六つ)のポケット部5aを有している。ポケット部5aは、回転板5の外周側に開いたU字状の凹部であり、回転板5がガイドプレート1の中心位置を中心にして回転することにより、ポケット部5aがガイド部3に沿ってその上面側を移動するように構成されている。言い換えれば、回転板5は、円周方向に一定の間隔をあけて半径方向で外側に突き出た六本の突起部5bを有しており、それらの突起部5bの間の部分がポケット部5aとなっている。したがって、回転板5はスターホイールと言い得る形状になっている。なお、回転板5をガイドプレート1の上から見て時計方向に回転させるモータ6が設けられている。
【0014】
ガイドプレート1の下面側で、上記の落下孔4の直下に、チャック機構7が設けられている。チャック機構7は、落下孔4から落下したボルト2を一旦受け止めた後、ほぼ真っ直ぐ(垂直)にボルト2を落下させるためのものである。すなわち、落下孔4に移動してきたボルト2は、その重心位置がガイド部3から落下孔4側にずれることにより落下し始めるが、その時点ではフランジ2cの一部(回転板5の回転方向で後ろ側の一部)がガイド部3に引っ掛かっているので、ボルト2は傾いて落下する。そのままでは、ボルト2を所定の対象箇所に供給することができず、あるいは締め付けるのにあたって姿勢を直す必要が生じるなどの不都合がある。そこで、チャック機構7を設けて、ボルト2を傾けることなく対象箇所に落下、供給するように構成してある。
【0015】
チャック機構7の一例を
図2ないし
図4に示してある。チャック機構7は、上述したガイドプレート1の下面に取り付けられる保持具8と、その保持具8の下端部に取り付けられた一対の開閉爪9a,9bと、その開閉爪9a,9bを開閉動作させるリンク機構10とを有している。保持具8は、ブラケットあるいはリテーナと称することのできる部材であって、ガイドプレート1のうち上述した落下孔4の直下に配置されている。そして、その落下孔4と中心軸線をほぼ一致させた貫通孔8aが形成されている。その貫通孔8aはボルト2を開閉爪9a,9bに導くためのものであって、ボルト2におけるフランジ2cの外径より大きい内径で、ボルト2の長さより短い円形断面の孔である。なお、貫通孔8aは、ガイド部3に沿って移動してきたボルト2を、その半径方向での外側から内側に導入するために、ガイド部3側を向く箇所に、
図2や
図3に示すように、軸線方向の全長に亘った切り開き部が形成されている。
【0016】
開閉爪9a,9bは、上記の貫通孔8aの下端開口部側に、貫通孔8aの中心軸線を挟んで対向しかつその中心軸線に対して接近および離隔するように設けられている。各開閉爪9a,9bは、上下方向にある程度の厚さを有しており、それぞれの対向面には、テーパ状の受け面9c,9dが形成されている。この受け面9c,9dは、
図4に示すように、両者一体となって、一部切り開かれたテーパ孔を形成する面であり、上側で内径が大きく、その内径はボルト2のフランジ2cの外径より大きい。これに対して下側の内径が小さく、その内径はボルト2のねじ軸部2aの外径より大きくかつフランジ2cの外径より小さい。各開閉爪9a,9bは、互いに平行な水平軸線を中心に回動するように上記の保持具8の下端部にいわゆるピン止めされ、その水平軸線を中心に回動することにより、互いに接近し、また離隔するようになっている。
図2および
図4は、各開閉爪9a,9bが互いに接近して閉じている状態を示しており、それぞれの受け面9c,9dによってテーパ孔が形成されている。開閉爪9a,9bが開いた状態を
図3に示してあり、それぞれの受け面9c,9dが互いに離隔し、その最も短い間隔がボルト2のフランジ2cの直径以上になる。すなわち、開閉爪9a,9bが閉じている状態では、フランジ2cが受け面9c,9dに引っ掛かってボルト2は吊り下げた状態で開閉爪9a,9bによって保持され、また開閉爪9a,9bが開いた場合には、各受け面9c,9dがフランジ2cの直径以上に離隔するので、フランジ2cの支えを失ってボルト2が垂直に落下するようになっている。
【0017】
リンク機構10は、開閉爪9a,9bを上記のように開閉動作させるための機構であり、上述した回転板5に連動して開閉爪9a,9bが開閉するように、回転板5によって動作させられる。具体的に説明すると、各開閉爪9a,9bにおける前記水平軸線方向での端部にリンク10a,10bの一端部が回転できるようにピンによって連結されている。それらのリンク10a,10bの他方の端部は上下動可能な昇降ブロック10cに回転できるようにピンによって連結されている。その昇降ブロック10cは、保持具8に上下方向に向けて形成されたガイド溝8bに上下動可能に係合している。したがって、保持具8と、各開閉爪9a,9bと、各リンク10a,10bと、昇降ブロック10cとがスライドてこ連鎖を構成しており、昇降ブロック10cが上昇することにより、各開閉爪9a,9bが互いに接近して閉じ、反対に昇降ブロック10cが下降することにより、各開閉爪9a,9bが互いに離隔して開くようになっている。
【0018】
昇降ブロック10cの下側には、特には図示しないが、昇降ブロック10cを押し上げるように作用するスプリングが配置されている。また、昇降ブロック10cには、上方に延びてガイドプレート1の上面側に突き出るプッシュ部10dが一体に設けられている。そのプッシュ部10dが突き出ている箇所は、ガイドプレート1のうち前述した落下孔4よりも、前記回転板5の回転方向で前方側に隣接する位置であり、さらには前記ポケット部5aとを仕切っている突起部5bが通過する位置である。
【0019】
プッシュ部10dの上端部は、回転板5(突起部5b)の回転方向で後方側を向いた傾斜面10eとなっている。これに対して突起部5bの下面は、プッシュ部10dにおける傾斜面10eに対向する傾斜面5c、すなわち突起部5bの回転方向で前方側を向いた傾斜面5cとなっている。これらの傾斜面10e,5cが面接触した状態で回転板5(突起部5b)が回転すると、それらの傾斜面10e,5cで生じる下向きの分力によってプッシュ部10dが、図示しないスプリングの弾性力に抗して押し下げられるようになっている。
【0020】
つぎに上述した構成のボルト供給装置によるボルト2の連続供給動作を説明する。いずれかのポケット部5aがガイド部3の始端部(回転板5もしくは突起部5bの回転方向で後ろ側の端部)に一致している状態で、その始端部に向けて、ねじ軸部2aを下向きにしてボルト2を落下させる。ボルト2のフランジ2cの外径がガイド部3の開口幅より大きいので、ボルト2はそのフランジ2cをガイド部3に引っ掛けた状態でガイドプレート1に吊り下げられる。回転板5が回転することによりボルト2はポケット部5aに押されてガイド部3の内部を移動する。後続のポケット部5aがガイド部3の始端部に一致する都度、ボルト2を順次落下させることにより、複数のボルト2が一定間隔でガイド部3に並べられる。
【0021】
ポケット部5aにより押されてガイド部3を移動するボルト2は、ガイド部3の一端部(回転板5の回転方向での終端部)に到達すると、その部分には、フランジ2cより大径の落下孔4が形成されているので、ボルト2はフランジ2cの支えが外れて落下する。
【0022】
その時点では、当該ボルト2が入っていたポケット部5aを区画している突起部5bのうち回転方向で前方側の突起部5bが、前述したプッシュ部10dの位置より前方側に外れていてプッシュ部10dが上方に突き出ている。すなわち、リンク機構10における昇降ブロック10cが上方に押し上げられ、その結果、各開閉爪9a,9bが互いに接近して閉じている。
【0023】
ボルト2はその閉じている開閉爪9a,9bに向けて落下する。ボルト2は落下孔4に落下する場合、フランジ2cの一部(回転板5の回転方向での後ろ側の一部)がガイド部3に引っ掛かり、そのために傾いて落下することがある。しかしながら、その下側に位置している開閉爪9a,9bの受け面9c,9dによる孔はテーパ孔となっているので、ボルト2の傾きは、そのテーパ孔によってほぼ鉛直方向の向きに修正される。
【0024】
そして、開閉爪9a,9bの各受け面9c,9dによって形成されているテーパ孔の最小径がフランジ2cの外径より小さいことにより、ボルト2はそのフランジ2cを受け面9c,9dに引っ掛けて吊り下げた状態に保持される。なおその場合、テーパ孔の下側の開口径をねじ軸部2aの外径よりわずかに大きい程度とすることにより、ボルト2の向きをほぼ鉛直方向に正すことが容易になる。
【0025】
ボルト2を落下させたポケット部5aを区画している後方側(回転方向での後方側)の突起部5bが更に回転して落下孔4を通過した直後、その下側の傾斜面5cがプッシュ部10dの上端の傾斜面10eに接触する。その状態で回転板5(突起部5b)が更に回転すると、プッシュ部10dが押し下げられる。そのプッシュ部10dと一体の昇降ブロック10cが下降することにより、前述したリンク機構10の作用によって各開閉爪9a,9bが互いに離隔して開く。その結果、受け面9c,9dにフランジ2cを引っ掛けていたボルト2が支えを失って落下する。その場合、各開閉爪9a,9bは、ボルト2の中心に対して左右両側に同時に開いてフランジ2cの支えを解くので、ボルト2は鉛直方向を向いた姿勢を保持したまま、すなわち傾くことなく落下する。
【0026】
上述したチャック機構7の直下に、組み付けるべき適宜の締結部材Wの取付孔Hを位置させておくことにより、チャック機構7から落下したボルト2は、その取付孔Hにそのねじ軸部2aの先端部を差し込んだ状態で、当該締結部材Wに供給される。こうして1本のボルト2を適宜の締結部材Wに供給した後、後続のボルト2を回転板5が落下孔4に移動させることにより、上述した一連の動作が繰り返されて、複数のボルト2を連続して適宜の締結部材Wに供給することができる。
【0027】
したがって、この発明の実施形態である上記のボルト供給装置によれば、複数本のボルト2をその姿勢を揃えて保持するガイドプレート1が、従来のマガジンの機能を果たし、そのガイドプレート1から適宜の締結部材Wの取付孔Hにボルト2を、姿勢を保持したまま供給することができる。そのため、従来必要としていた、マガジンからのボルトの取り出し、供給箇所への搬送などの過程を省くことができるので、効率良くボルト2を供給することができる。また、ボルト2を落下させて供給するとしても、ボルト2を傾けることがないので、取付孔などへの供給を失敗したり、連続的な供給が阻害されたりすることを未然に回避し、作業効率を向上させることができる。
【0028】
なお、6本のボルト2を1ユニットとする場合には、
図1ないし
図4に示す1台のボルト供給装置で6本のボルト2を連続して供給することができる。1ユニットのボルト2の本数がそれ以上に多い場合には、ガイド部3を長くするとともにポケット部5aの数を多くすればよく、あるいは複数台のボルト供給装置を上下に重ねて設けそれらのボルト供給装置のガイド部3に1ユニット分のボルト2を並べて配置すればよい。
【符号の説明】
【0029】
1 ガイドプレート
2 ボルト
2a ねじ軸部
2b 頭部
2c フランジ
3 ガイド部
4 落下孔
5 回転板
5a ポケット部
5b 突起部
5c 傾斜面
6 モータ
7 チャック機構
8 保持具
8a 貫通孔
8b ガイド溝
9a,9b 開閉爪
9c,9d 受け面
10 リンク機構
10a,10b リンク
10c 昇降ブロック
10d プッシュ部
10e 傾斜面
H 取付孔
W 締結部材