(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】車両用ランプ
(51)【国際特許分類】
F21S 45/00 20180101AFI20250701BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20250701BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20250701BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20250701BHJP
【FI】
F21S45/00
F21S41/20
F21V3/00 300
F21W102:00
(21)【出願番号】P 2022128886
(22)【出願日】2022-08-12
【審査請求日】2024-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅本 陽
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/220848(WO,A1)
【文献】特開2004-214076(JP,A)
【文献】特開2015-201337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/00
F21S 41/20
F21V 3/00
F21W 102/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられるとともに、開口部を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記開口部を覆うとともに、内面に防曇処理が施されているアウタレンズと、
前記ハウジングと前記アウタレンズとによって画定された内部空間内に配置されている光源と、
を備え、
前記アウタレンズは、透明な透明レンズと、前記透明レンズの上部の内面に配置された非透明な意匠レンズとを備え、
前記
意匠レンズの前記内面は、第1領域と、前記第1領域に隣接するとともに、前記第1領域よりも下方に位置している第2領域と、を有し、
前記
意匠レンズの前記内面には、前記第1領域と前記第2領域との境界に沿って突起、段差又は溝が設けられている、
車両用ランプ。
【請求項2】
前記車両用ランプが取り付けられた前記車両を日照下に配置したときに、前記第1領域の温度上昇量は、前記第2領域の温度上昇量よりも小さい、請求項1に記載の車両用ランプ。
【請求項3】
前記車両用ランプが前記車両に取り付けられたときに、
前記第1領域は、前記車両の部品によって上方から覆われる領域を含み、
前記第2領域は、前記部品によって上方から覆われる領域を含まない、請求項1に記載の車両用ランプ。
【請求項4】
前記突起、段差又は溝は、前記第1領域と前記第2領域との前記境界に対して、前記第1領域側に位置する、請求項3に記載の車両用ランプ。
【請求項5】
前記内部空間内に配置されるインナレンズユニットをさらに備え、
前記インナレンズユニットは、前記
意匠レンズの前記第1領域に対向する第3領域と、前記
意匠レンズの前記第2領域に対向する第4領域とを有し、
前記第3領域の熱吸収率は、前記第4領域の熱吸収率よりも小さい、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、車両用ランプ(例えば、ヘッドランプ、リアコンビネーションランプ等)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッドランプを有する車両が記載されている。このヘッドランプは、ハウジングと、アウタレンズとを備える。ヘッドランプの上方には、エンジンフードが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、上記のようなヘッドランプでは、アウタレンズの内面には防曇塗装膜が形成されている。この防曇塗装膜により、ヘッドランプ内の水蒸気は、水滴として結露することなく、防曇塗装膜に沿って水膜を形成する。これにより、アウタレンズの曇りを防止することができる。しかしながら、一定量を超える水膜が発生すると、アウタレンズの内面を伝った水膜が乾燥することにより、水膜の垂れ跡が発生するおそれがある。このような水膜の垂れ跡による見栄えの低下は、ヘッドランプに限られず、防曇処理が施されるランプ一般において生じ得る。
【0005】
上記の実情を鑑み、本明細書は、防曇処理が施された車両用ランプにおいて、見栄えが低下することを回避又は抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する技術は、車両用ランプに具現化される。その第1の態様において、車両用ランプは、車両に取り付けられるとともに、開口部を有するハウジングと、前記ハウジングの前記開口部を覆うとともに、内面に防曇処理が施されているアウタレンズと、前記ハウジングと前記アウタレンズとによって画定された内部空間内に配置されている光源と、を備える。前記アウタレンズの前記内面は、第1領域と、前記第1領域に隣接するとともに、前記第1領域よりも下方に位置している第2領域と、を有する。前記アウタレンズの前記内面には、前記第1領域と前記第2領域との境界に沿って突起、段差又は溝が設けられている。
【0007】
上記した車両用ランプでは、アウタレンズの内面に防曇処理が施されている。そのため、アウタレンズの曇りを防止することができる。さらに、アウタレンズは、第1領域と、第1領域よりも下方に位置している第2領域とを有しており、これらの領域の境界に沿って突起、段差又は溝(以下、突起等と称することがある)が設けられている。このような構成によると、一定量を超える水膜がアウタレンズに発生した場合であっても、突起等によって、当該水膜が第1領域から第2領域へ移動することを回避又は抑制することができる。これにより、水膜の垂れ跡による見栄えの低下を回避又は抑制することができる。
【0008】
第2の態様では、前記第1の態様において、車両用ランプが取り付けられた車両を日照下に配置したときに、第1領域の温度上昇量は、第2領域の温度上昇量よりも小さくてもよい。車両用ランプが取り付けられた車両が日照下に配置されたとき、アウタレンズの温度上昇量が小さい部分では、ハウジングとアウタレンズとによって画定される内部空間内の空気の温度との温度差が比較的に大きくなる。その後、それらの温度が低下すると、防曇処理が施されたアウタレンズでは、温度上昇量が小さい領域に水膜が形成されやすくなる。従って、上記した構成では、第2領域15bよりも、第1領域15aに水膜が発生しやすくなる。この点に関して、突起等が第1領域と第2領域との境界に沿って設けられているため、第1領域から第2領域へ水膜が移動することを回避又は抑制することができる。
【0009】
第3の態様では、前記第1又は前記第2の態様において、車両用ランプが車両に取り付けられたときに、第1領域は、車両の部品によって上方から覆われる領域を含み、第2領域は、当該部品によって上方から覆われる領域を含まなくてもよい。この場合、車両の部品によって上方から覆われる領域は、車両の部品によって上方から覆われない領域よりも、日照下における温度上昇量が小さくなる。従って、上記した構成においても、第2領域よりも、第1領域に水膜が発生しやすくなる。この点に関して、突起等が第1領域と第2領域との境界に沿って設けられているため、第1領域から第2領域へ水膜が移動することを回避又は抑制することができる。
【0010】
第4の態様では、前記第3の態様において、突起、段差又は溝は、第1領域と第2領域との境界に対して、第1領域側に位置してもよい。このような構成によると、車両用ランプが車両に取り付けられている状態において、アウタレンズの内面に設けられた突起等が、車両の部品によって上方から覆われることができる。そのため、車両用ランプを車両に取り付けたときの見栄えが低下することを回避できる。
【0011】
第5の態様では、前記第1の態様から前記第4の態様のいずれかにおいて、車両用ランプは、内部空間内に配置されるインナレンズユニットをさらに備えてもよい。この場合、インナレンズユニットは、アウタレンズの第1領域に対向する第3領域と、アウタレンズの第2領域に対向する第4領域とを有してもよい。第3領域の熱吸収率は、第4領域の熱吸収率よりも小さくてもよい。このような構成によると、第1領域は、第2領域よりも温度上昇量が小さくなることから、第2領域よりも、第1領域に水膜が発生しやすくなる。この点に関して、突起等が第1領域と第2領域との境界に沿って設けられているため、第1領域から第2領域へ水膜が移動することを回避又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1のヘッドランプ10の構成を概略的に示す図。ここで、車両100の意匠パネル102及び車体104は、破線で示されている。
【
図3】変形例のヘッドランプ110について、
図2に対応する拡大図。
【
図4】実施例2のヘッドランプ120について、
図2に対応する拡大図。
【
図5】実施例3のヘッドランプ130について、
図2に対応する拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)図面を参照して、実施例1のヘッドランプ10が搭載される車両100について説明する。車両100は、いわゆる自動車であって、路面を走行する車両である。車両100は、例えば、エンジン車、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車、ソーラーカー等である。本実施例で説明する技術の一部又は全部は、軌道を走行する車両にも同様に採用することができる。また、車両は、ユーザによって運転操作されるものに限られず、外部装置によって遠隔操作されるものや、自律走行するものであってもよい。
【0014】
図1に示すように、車両100は、意匠パネル102を備える。意匠パネル102は、車両100の前部の意匠性を向上させるための部材であり、ヘッドランプ10の上部に配置されている。そのため、ヘッドランプ10の一部は、意匠パネル102によって上方から覆われ、ヘッドランプ10の残部は、意匠パネル102によって上方から覆われない。なお、意匠パネル102は、車体104に取り付けられていてもよいし、ヘッドランプ10に取り付けられていてもよい。本実施例における意匠パネル102は、本技術における車両100の部品の一例である。他の実施形態において、車両100の部品は、車体104の前部に設けられているフード、フェンダ、フロントバンパ等であってもよい。
【0015】
ここで、図面におけるヘッドランプ10の各方向は、車両100に搭載されたときの方向、即ち車両100の方向に準ずる。従って、方向FRは、車両100の前後方向における前方を示し、方向RRは車両100の前後方向における後方を示す。また、方向LHは車両100の左右方向における左方を示し、方向RHは車両100の左右方向における右方を示す。そして、方向UPは車両100の上下方向における上方を示し、方向DWは車両100の上下方向における下方を示す。
【0016】
図1に示すように、ヘッドランプ10は、車両100の前部の左右両側に取り付けられ、車両100の前方に向けて光を照射する。ヘッドランプ10は、車両100の左右方向に関して互いに対称に設けられている。以下では、車両100の左側部分に設けられたヘッドランプ10を主に説明するが、その説明は、車両100の右側部分に設けられたヘッドランプにも適用される。また、本実施例に記載される技術は、ヘッドランプ10に限られず、リアコンビネーションランプ等の車両用ランプにも採用することができる。ここでいうリアコンビネーションランプとは、テールランプ、ブレーキランプ、及び、ターンシグナルランプ等が一体化されており、車両100の後部の左右両側に取り付けられる車両用ランプである。
【0017】
図1に示すように、ヘッドランプ10は、ハウジング12と、アウタレンズ14とを備える。ハウジング12は、光源22といったヘッドランプ10の構成部品を収容する筐体部材である。ハウジング12は、開口部12aを有し、開口部12aはハウジング12の前部に設けられている。アウタレンズ14は、ハウジング12の前方に設けられており、ハウジング12の開口部12aを覆っている。そのため、ハウジング12とアウタレンズ14とによって、内部空間ISが画定されている。一例ではあるが、ハウジング12とアウタレンズ14とは、接着剤16によって接続されている。また、特に限定されないが、ハウジング12の後部には、呼吸孔12bが設けられており、内部空間ISは、呼吸孔12bを介して外部と連通している。
【0018】
図1に示すように、アウタレンズ14は、透明レンズ18と、意匠レンズ20とを備える。透明レンズ18は、インナレンズ28a、28bを通過した光を透過させる透明なレンズである。意匠レンズ20は、ヘッドランプ10の意匠性を向上させる非透明なレンズである。一例ではあるが、本実施例における意匠レンズ20は、黒色に着色されている。透明レンズ18は、ヘッドランプ10の前部から上部に亘って配置されており、意匠レンズ20は、ヘッドランプ10の上部に配置されている。これにより、意匠レンズ20によって覆われた部分は、ヘッドランプ10の外部から視認されず、ヘッドランプ10の意匠性を向上させることができる。
【0019】
アウタレンズ14の内面15には、防曇処理が施されている。特に限定されないが、本実施例では、アウタレンズ14の内面15に防曇塗装膜が形成されている。そのため、透明レンズ18及び意匠レンズ20の各々の内面には、防曇塗装膜がそれぞれ形成されている。この防曇塗装膜は、界面活性剤を含む防曇塗料を塗布することによって形成されている。そのため、ヘッドランプ10内の水蒸気は、水滴として結露することなく、防曇塗装膜に沿って水膜を形成することから、アウタレンズ14の曇りを防止することができる。
【0020】
図1に示すように、ヘッドランプ10は、光源22をさらに備える。光源22は、可視光を発する発光体である。光源22は、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。光源22は、ハウジング12とアウタレンズ14とによって画定される内部空間IS内において、インナレンズ28a内に配置されている。光源22は、制御装置(不図示)によって制御可能に構成されており、制御装置からの指令によって発光が制御される。本実施例における光源22は、デイタイム・ランニング・ランプ(Daytime Running Lamps:DRL)を構成しており、
図1の紙面手前側に配置されている。これに代えて、又は加えて、光源22は、ターンシグナルランプを構成してもよい。
【0021】
図1に示すように、ヘッドランプ10は、インナレンズユニット24を備える。インナレンズユニット24は、ハウジング12とアウタレンズ14とによって形成される内部空間IS内に配置されており、ハウジング12によって支持されている。インナレンズユニット24には、リフレクタ26と、インナレンズ28a、28bと、エクステンション30とが含まれる。リフレクタ26は、光源22の光を反射する反射部材であり、リフレクタ26の前面には、アルミニウム蒸着等の蒸着処理が施されている。リフレクタ26は、光源22の後方に配置されている。インナレンズ28a、28bは、光源22の光を透過させる透明なレンズである。インナレンズ28a、28bには、第1インナレンズ28aと、第2インナレンズ28bとが含まれる。第1インナレンズ28aは、DRLの形状を画定しており、環状に設けられている。第2インナレンズ28bは、その一部が第1インナレンズ28aの前方に配置されている。エクステンション30は、光源22の光を遮光する非透明な樹脂である。エクステンション30は、インナレンズ28a、28bの周囲に配置されており、インナレンズ28a、28bからの光を遮光することで、ヘッドランプ10の意匠性を向上させている。なお、インナレンズユニット24に含まれるリフレクタ26、インナレンズ28a、28b、及び、エクステンション30の具体的な形状及び数はいずれも限定されず、ヘッドランプ10の意匠に応じて、適宜変更することができる。
【0022】
図1、2に示すように、アウタレンズ14の内面15は、第1領域15aと、第2領域15bとを有する。第1領域15aと第2領域15bとは互いに隣接しており、第2領域15bは、第1領域15aよりも下方に位置している。前述したように、ヘッドランプ10の上部には、意匠パネル102が配置されており、アウタレンズ14の一部は、意匠パネル102によって上方から覆われている。これにより、アウタレンズ14の内面15は、意匠パネル102によって上方から覆われる領域と、意匠パネル102によって上方から覆われない領域とに区分される。前者の領域が、前述した第1領域15aであり、後者の領域が、前述した第2領域15bである。車両100が日照下に配置されたときに、第1領域15aやそれに対向するインナレンズユニット24の部分では、意匠パネル102によって太陽光が遮られることで、温度上昇量が比較的に小さくなる。これに対して、第2領域15bやそれに対向するインナレンズユニット24の部分では、太陽光が照射されることから、温度上昇量が比較的に大きくなる。このように、第1領域15aと第2領域15bとの間では、車両100を日照下に配置したときに、温度上昇量が互いに相違する。
【0023】
図1、2に示すように、アウタレンズ14の内面15は、突起15cをさらに有する。突起15cは、第1領域15aと第2領域15bとの境界Bに沿って設けられている。前述したように、第1領域15aと第2領域15bは上下方向に隣接していることから、それらの境界Bは略水平方向に沿って延びており、突起15cも略水平方向に沿って連続的に延びている。突起15cは、第1領域15a及び第2領域15bから下方に突出している。なお、突起15cは、必ずしも境界B上に位置する必要はなく、境界Bに対してオフセットされていてもよい。
【0024】
上記したヘッドランプ10では、アウタレンズ14の内面15に防曇処理が施されている。そのため、アウタレンズ14の曇りを防止することができる。例えば、ヘッドランプ10が取り付けられた車両100を日照下に配置すると、アウタレンズ14の温度や、ハウジング12とアウタレンズ14とによって画定される内部空間IS内の空気の温度が上昇する。また、それらの温度上昇に伴って、例えばインナレンズユニット24を構成する高分子材料から水分が放出されて、内部空間IS内の水蒸気量が上昇する。その後、それらの温度が低下したときに、アウタレンズ14の内面15に結露が生じ得るが、当該内面15に施された防曇処理によって、水滴として結露することなく、内面15に沿って薄い水膜が形成される。
【0025】
但し、アウタレンズ14の内面15には、日照時の温度上昇量が比較的に小さい第1領域15aと、日照時の温度上昇量が比較的に大きい第2領域15bとが存在する。そのため、第2領域15bと比較して、第1領域15aでは水膜が厚く成長しやすい。第1領域15aの下方には、第2領域15bが存在するため、第1領域15aに発生した水膜は、第2領域15bへ伝ってしまうおそれがある。この場合、第2領域15bに水膜の垂れ跡が発生して、ヘッドランプ10の見栄えが低下するおそれがある。この点に関して、本実施例では、第1領域15aと第2領域15bの境界Bに沿って、突起15cが設けられている。このような構成によると、第1領域15aで水膜が厚く成長した場合でも、突起15cによって、当該水膜が第1領域15aから第2領域15bへ移動することを回避又は抑制することができる。これにより、水膜の垂れ跡による見栄えの低下を回避又は抑制することができる。
【0026】
一例ではあるが、アウタレンズ14の内面15に設けられる突起15cの位置は、適宜変更することができる。例えば、
図3に示すように、変形例のヘッドランプ110において、突起15cは、第1領域15aと第2領域15bとの境界Bに対して、第1領域15a側に位置する。このような構成によると、アウタレンズ14の内面15に設けられた突起15cが、意匠パネル102によって上方から覆われる。そのため、ヘッドランプ110の見栄えが低下することを回避できる。但し、他の実施形態として、突起15cは、境界Bに対して第2領域15b側に位置してもよい。即ち、突起15cは、境界Bに対していずれの側に位置してもよく、例えば境界Bを中心とする両側30mmの範囲内で、境界Bに沿って形成されてもよい。
【0027】
一例ではあるが、
図2に示すように、インナレンズユニット24は、アウタレンズ14の第1領域15aに対向する第3領域24aと、アウタレンズ14の第2領域15bに対向する第4領域24bとを有する。例えば、第3領域24aの熱吸収率が、第4領域24bの熱吸収率よりも小さい場合、意匠パネル102が存在しなくても、日照時における第1領域15aの温度上昇量は、日照時における第2領域15bの温度上昇量より小さくなる。その結果、第1領域15aでは、第2領域15bと比較して、水膜が厚く成長しやすい。しかしながら、前述と同様に、その水膜が第2領域15bへ伝うことは、突起15cによって回避又は抑制される。このように、本実施例で説明した技術は、アウタレンズ14の内面15に不均一な温度上昇が生じる様々な構成に対して、広く採用することができる。なお、インナレンズユニット24の第3領域24a及び第4領域24bの各々は、リフレクタ26、インナレンズ28a、28b、及び、エクステンション30のいずれかに設けられていればよい。
【0028】
(実施例2)次に、
図4を参照して、実施例2のヘッドランプ120について説明する。実施例1のヘッドランプ10と比較して、本実施例のヘッドランプ120では、アウタレンズ14の内面15に、突起15cに代えて、段差15dが設けられている。なお、実施例1と本実施例との間で、その他の構成については共通する。共通する構成については同一の符号を付すことによって、ここでは重複する説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、段差15dは、第1領域15aと第2領域15bとの境界Bに沿って設けられている。前述したように、第1領域15aと第2領域15bは上下方向に隣接していることから、それらの境界Bは略水平方向に沿って延びており、突起15cも略水平方向に沿って連続的に延びている。段差15dは、第1領域15aから、第1領域15aよりも下方に位置する第2領域15bに向けて、前方かつ下方へ延在している。段差15dは、第1領域15a及び第2領域15bと比較して、局所的に傾斜している。このような構成によっても、第1領域15aで水膜が厚く成長した場合に、段差15dによって、当該水膜が第1領域15aから第2領域15bへ移動することを回避又は抑制することができる。
【0030】
(実施例3)次に、
図5を参照して、実施例3のヘッドランプ130について説明する。実施例1のヘッドランプ10と比較して、本実施例のヘッドランプ130では、アウタレンズ14の内面15に、突起15cに代えて、溝15eが設けられている。なお、実施例1と本実施例との間で、その他の構成については共通する。共通する構成については同一の符号を付すことによって、ここでは重複する説明を省略する。
【0031】
図5に示すように、溝15eは、第1領域15aと第2領域15bとの境界Bに沿って設けられている。前述したように、第1領域15aと第2領域15bは上下方向に隣接していることから、それらの境界Bは略水平方向に沿って延びており、突起15cも略水平方向に沿って連続的に延びている。溝15eは、第1領域15a及び第2領域15bから上方へ窪んでいる。このような構成によっても、第1領域15aで水膜が厚く成長した場合に、溝15eによって、当該水膜が第1領域15aから第2領域15bへ移動することを回避又は抑制することができる。
【0032】
以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは組み合わせによって技術的有用性を発揮するものである。
【符号の説明】
【0033】
10、110、120、130 :ヘッドランプ、 12:ハウジング、 12a:開口部、 12b:呼吸孔、 14:アウタレンズ、 15:アウタレンズの内面、 15a:第1領域、 15b:第2領域、 15c:突起、 15d:段差、 15e:溝 22:光源、 24:インナレンズユニット、 24a:第3領域、 24b:第4領域、 100:車両、 102:意匠パネル 、104:車体