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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】車載機器の固定構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20250701BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20250701BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250701BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250701BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20250701BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20250701BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20250701BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K11/06
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M50/204 401H
H01M50/249
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022134849
(22)【出願日】2022-08-26
(65)【公開番号】P2024031348
(43)【公開日】2024-03-07
【審査請求日】2024-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日高 誠
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-253314(JP,A)
【文献】特開2007-106244(JP,A)
【文献】特開2014-114870(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1333835(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0198951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60K 11/06
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6563
H01M 50/204
H01M 50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載機器と、
前記車載機器に固定された第1ブラケットと、
前記車載機器に固定された第2ブラケットと、
前記第1ブラケットを前記車両に締結する第1締結部材と、
前記第2ブラケットを前記車両に締結する第2締結部材と、を備え、
前記第1ブラケットは、前記車両に設けられた第1締結面に締結される第1締結部を有し、
前記第2ブラケットは、前記車両に設けられた第2締結面に締結される第2締結部を有し、
前記第1締結部は、前記第1締結面に当接する第1当接面を含み、
前記第2締結部は、前記第2締結面に当接する第2当接面を含み、
前記車載機器は、ブロワで構成されており、
平面視において、前記第1締結部材の軸部の延長線及び前記第2締結部材の軸部の延長線は、いずれも前記ブロワの回転軸の延長線と交差しており、
前記第1締結部材の軸部の延長線と前記第2締結部材の軸部の延長線とのなす角は、鋭角に設定されている、車載機器の固定構造。
【請求項2】
前記第1締結面は、前記車両に搭載された電池パックの側面で構成されており、
前記ブロワは、前記電池パックを冷却するように構成されている、請求項1に記載の車載機器の固定構造。
【請求項3】
前記車両は、前記電池パック及び前記車載機器を収容する収容部を含み、
前記収容部は、前記電池パックの前記側面と対向する対向壁を有し、
前記車載機器は、前記電池パックの前記側面と前記対向壁との間に配置されており、
前記第2ブラケットは、前記電池パックの前記側面と前記対向壁とを結ぶ方向と交差する方向に前記車載機器から延びる形状を有する、請求項2に記載の車載機器の固定構造。
【請求項4】
前記第2締結面は、前記電池パックを前記収容部に取り付けるための取付け用ブラケットに形成されている、請求項3に記載の車載機器の固定構造。
【請求項5】
前記取付け用ブラケットは、前記収容部に固定される固定面を有し、
前記第2締結部材の軸部の延長線と前記固定面とのなす角は、鋭角に設定されている、請求項4に記載の車載機器の固定構造。
【請求項6】
車両に搭載される車載機器と、
前記車載機器に固定された第1ブラケットと、
前記車載機器に固定された第2ブラケットと、を備え、
前記第1ブラケットは、
前記車載機器の外周面に固定された第1基部と、
前記第1基部につながっており、前記車両に設けられた第1締結面に締結される第1締結部と、を有し、
前記第2ブラケットは、
前記車載機器の外周面のうち前記第1基部が接続されている部位から離間した部位に固定された第2基部と、
前記第2基部につながっており、前記車両に設けられた第2締結面に締結される第2締結部と、を有し、
前記第1締結部は、平面視において前記車載機器と重ならない位置に形成されており、
前記第2締結部は、平面視において前記車載機器と重ならない位置に形成されており、
前記第1締結部は、前記第1締結面に当接する第1当接面を含み、
前記第2締結部は、前記第2締結面に当接する第2当接面を含み、
前記第1当接面と前記第2当接面とのなす角は、鈍角に設定されている、車載機器の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載機器の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6035926号公報には、コントロールユニット等の車載機器と、車載機器をフロアパネルに固定するための第1のブラケットと、車載機器をクロスメンバに固定するための第2のブラケットと、を備える車載機器の固定構造が開示されている。第1のブラケットは、その一端部が車載機器の前方側に位置する側面に固定されており、車載機器から前方に向かって延びる形状を有している。第2のブラケットは、車載機器の後方側に位置する側面に固定された取付部と、クロスメンバに固定された取付部と、両取付部を連結する連結部と、を有している。連結部は、車両の前後方向に延びる形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6035926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許第6035926号公報に記載されるような車載機器の固定構造では、車載機器と各ブラケットとを含む構造の平面視における外形が大きくなる。
【0005】
本開示の目的は、平面視における外形を小さくすることが可能な車載機器の固定構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面に従った車載機器の固定構造は、車両に搭載される車載機器と、前記車載機器に固定された第1ブラケットと、前記車載機器に固定された第2ブラケットと、を備え、前記第1ブラケットは、前記車両に設けられた第1締結面に締結される第1締結部を有し、前記第2ブラケットは、前記車両に設けられた第2締結面に締結される第2締結部を有し、前記第1締結部は、前記第1締結面に当接する第1当接面を含み、前記第2締結部は、前記第2締結面に当接する第2当接面を含み、前記第1当接面と前記第2当接面とのなす角は、鈍角に設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、平面視における外形を小さくすることが可能な車載機器の固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態における車載機器の固定構造を概略的に示す斜視図である。
図2】車載機器の固定構造の側面図である。
図3】車載機器の固定構造の正面図である。
図4】第1締結部及びカラーを概略的に示す斜視図である。
図5】第1当接面と第2当接面との関係を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態における車載機器の固定構造を概略的に示す斜視図である。この車載機器の固定構造100は、複数の蓄電セルを含む電池パック20を備える車両(ハイブリッド車等)に好ましく適用される。
【0011】
図1に示されるように、車両のボデー10には、電池パック20と車載機器102とを収容する収容部11が形成されている。電池パック20は、側面20aを有しており、収容部11は、その側面20aと対向する対向壁12を有している。
【0012】
電池パック20は、当該電池パック20を収容部11に取り付けるための取付け用ブラケット30を介して収容部11に固定されている。取付け用ブラケット30は、金属からなる。取付け用ブラケット30は、締結部材によって電池パック20に固定されている。図1及び図2に示されるように、取付け用ブラケット30の一端部は、ボルトB20によって収容部11に固定されており、取付け用ブラケット30の他端部は、ボルトB30によって収容部11に固定されている。
【0013】
図1に示されるように、車載機器の固定構造100は、車載機器102と、第1ブラケット110と、第2ブラケット120と、カラー130と、を備えている。
【0014】
車載機器102は、車両に搭載される。本実施形態では、車載機器102は、電池パック20を冷却するためのブロワで構成されている。車載機器102は、電池パック20の側面20aと対向壁12との間に配置されている。
【0015】
第1ブラケット110は、車載機器102に固定されている。図1及び図3に示されるように、第1ブラケット110は、第1基部111と、少なくとも1つの第1締結部112と、を有している。本実施形態では、図1及び図2に示されるように、少なくとも1つの第1締結部112は、一対の第1締結部112を含んでいる。
【0016】
第1基部111は、車載機器102の外周面に固定されている。
【0017】
第1締結部112は、車両に設けられた第1締結面に締結される部位である。本実施形態では、第1締結面は、電池パック20の側面20aで構成されている。第1締結部112は、第1締結面に当接する第1当接面112S(図3及び図5を参照)を含んでいる。第1当接面112Sは、平坦に形成されている。
【0018】
図4に示されるように、第1締結部112には、金属からなるカラー130が接続されている。図5に示されるように、第1締結部112は、カラー130に設けられた基準穴112h及び電池パック20に設けられたネジ穴20hにボルトB1を挿入することによって第1締結面(側面20a)に締結されている。
【0019】
第2ブラケット120は、車載機器102に固定されている。図1図3に示されるように、第2ブラケット120は、第2基部121と、第2締結部122と、を有している。
【0020】
第2基部121は、車載機器102の外周面に固定されている。より詳細には、第2基部121は、車載機器102の外周面のうち第1基部111が接続されている部位から離間した部位に固定されている。
【0021】
第2締結部122は、電池パック20の側面20aと対向壁12とを結ぶ方向と交差する方向に第2基部121から延びる形状を有している。第2締結部122は、車両に設けられた第2締結面に締結される部位である。
【0022】
本実施形態では、第2締結面は、取付け用ブラケット30に形成されている。具体的に、取付け用ブラケット30は、ボルトB30によって収容部11に固定される固定面30aと、固定面30aに対して傾斜した傾斜面30bと、を有しており、傾斜面30bが第2締結面を構成している。収容部11のうち固定面30aが固定される面11aは、例えば水平に設定される。
【0023】
図5に示されるように、第2締結面(傾斜面30b)と固定面30aとのなす角θ2は、鋭角に設定されている。この角θ2は、平面視における車載機器102の搭載に必要な角度以上で、最大の曲げ角度以下に設定される。
【0024】
車載機器102の搭載に必要な角度は、車載機器102の成型と、以下の関係式(1)と、に基づいて設定される。
【0025】
X×cosθ2<平面視上の理想寸法・・・(1)
(Xは、車載機器102の組み付けに必要な平面視上の設計公差)
【0026】
最大の曲げ角度は、成型要件と、取付け用ブラケット30及び周辺部品間の隙間と、に基づいて設定される。
【0027】
図3及び図5に示されるように、第2締結部122は、第2締結面に当接する第2当接面122Sを含んでいる。第2当接面122Sは、平坦に形成されている。図5に示されるように、第1当接面112Sと第2当接面122Sとのなす角θ1は、鈍角に設定されている。第2締結部122は、傾斜面30bに溶接により固定されたボルトB2とナットN2とよって第2締結面に締結されている。図5に示されるように、第2締結部122には、金属からなるカラー130が接続されており、カラー130には、ボルトB2の挿通が可能でかつ公差を吸収可能な大きさの貫通孔122hが設けられている。なお、第2締結部122は、傾斜面30bに溶接されていないボルトとナットとによって第2締結面に締結されてもよい。
【0028】
以上に説明したように、本実施形態の車載機器の固定構造100では、第1締結部112の第1当接面112Sと第2締結部122の第2当接面122Sとのなす角θ1が鈍角であるため、車載機器102と各ブラケット110,120とを含む構造の平面視における外形を小さくすることが可能となる。
【0029】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0030】
[態様1]
車両に搭載される車載機器と、
前記車載機器に固定された第1ブラケットと、
前記車載機器に固定された第2ブラケットと、を備え、
前記第1ブラケットは、前記車両に設けられた第1締結面に締結される第1締結部を有し、
前記第2ブラケットは、前記車両に設けられた第2締結面に締結される第2締結部を有し、
前記第1締結部は、前記第1締結面に当接する第1当接面を含み、
前記第2締結部は、前記第2締結面に当接する第2当接面を含み、
前記第1当接面と前記第2当接面とのなす角は、鈍角に設定されている、車載機器の固定構造。
【0031】
この車載機器の固定構造では、第1締結部の第1当接面と第2締結部の第2当接面とのなす角が鈍角であるため、車載機器と各ブラケットとを含む構造の平面視における外形を小さくすることが可能となる。
【0032】
[態様2]
前記第1締結面は、前記車両に搭載された電池パックの側面で構成されており、
前記車載機器は、前記電池パックを冷却するためのブロワで構成されている、態様1に記載の車載機器の固定構造。
【0033】
この態様では、電池パックと車載機器とを含む構造の小型化が可能となる。
【0034】
[態様3]
前記車両は、前記電池パック及び前記車載機器を収容する収容部を含み、
前記収容部は、前記電池パックの前記側面と対向する対向壁を有し、
前記車載機器は、前記電池パックの前記側面と前記対向壁との間に配置されており、
前記第2ブラケットは、前記電池パックの前記側面と前記対向壁とを結ぶ方向と交差する方向に前記車載機器から延びる形状を有する、態様2に記載の車載機器の固定構造。
【0035】
この態様では、収容部の小型化と、第2ブラケットの対向壁への干渉の回避と、の双方が達成される。
【0036】
[態様4]
前記第2締結面は、前記電池パックを前記収容部に取り付けるための取付け用ブラケットに形成されている、態様3に記載の車載機器の固定構造。
【0037】
この態様では、車載機器を収容部に取り付けるための専用の取付部材が不要となり、さらに、取付け用ブラケットの調整により、第2締結面の調整が可能となる。
【0038】
[態様5]
前記取付け用ブラケットは、前記収容部に固定される固定面を有し、
前記第2締結面と前記固定面とのなす角は、鋭角に設定されている、態様4に記載の車載機器の固定構造。
【0039】
この態様では、平面視における車載機器及び第2ブラケットの外形が小さくなる。また、設計公差に起因する平面視上の第2締結部の移動量が低減される。このため、第2締結部を第2締結面に締結する締結部材の小型化が可能となる。
【0040】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0041】
10 ボデー、11 収容部、12 対向壁、20 電池パック、20a 側面(第1締結面)、30 取付け用ブラケット、30a 固定面、30b 傾斜面(第2締結面)、100 車載機器の固定構造、102 車載機器、110 第1ブラケット、111 第1基部、112 第1締結部、112S 第1当接面、120 第2ブラケット、121 第2基部、122 第2締結部、122S 第2当接面、130 カラー。
図1
図2
図3
図4
図5