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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】管理装置および管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20250701BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250701BHJP
【FI】
G06Q10/083
G06Q50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022145301
(22)【出願日】2022-09-13
(65)【公開番号】P2024040748
(43)【公開日】2024-03-26
【審査請求日】2024-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 満
(72)【発明者】
【氏名】石井 正彦
(72)【発明者】
【氏名】浅野 英貴
(72)【発明者】
【氏名】石井 伴和
(72)【発明者】
【氏名】戸次 幸司
(72)【発明者】
【氏名】米川 紘輔
(72)【発明者】
【氏名】竺原 慶和
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-004331(JP,A)
【文献】特開2010-159113(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0120121(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製品を混載して輸送する移動体を管理する管理装置であって、
前記移動体は、電気を用いて駆動する車両であり、
前記複数の製品は、第1製品および第2製品を含み、
輸送区間における前記車両の電力消費量、及び前記電力消費量をCO2排出量に換算するための換算情報を記憶する記憶装置と、
前記電力消費量、および、前記車両に積載された前記第1製品と前記第2製品との重量比に基づいて、輸送による前記第1製品のCO2排出量、および、輸送による前記第2製品のCO2排出量を算出する制御装置とを備え
前記輸送区間は、前記第1製品および前記第2製品が混載されている第1区間と、前記第1製品が積載され、かつ、前記第2製品が積載されていない第2区間とを含み、
前記制御装置は、
前記第1区間における前記電力消費量を、前記第1製品および前記第2製品の重量比に基づいて、前記第1製品および前記第2製品に対して按分し、
前記第2区間における前記電力消費量を、前記第1製品に対して按分し、
前記換算情報を用いて、前記第1製品に対して按分された前記電力消費量を、輸送による前記第1製品のCO2排出量に換算し、
前記換算情報を用いて、前記第2製品に対して按分された前記電力消費量を、輸送による前記第2製品のCO2排出量に換算する、管理装置。
【請求項2】
前記換算情報は、電力の種類毎に設定される、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
複数の製品を混載して輸送する移動体を管理する管理方法であって、
前記移動体は、電気を用いて駆動する車両であり、
前記複数の製品は、第1製品および第2製品を含み、
前記管理方法は、管理装置により実行され、
輸送区間における前記車両の電力消費量を読み出すステップと、
前記電力消費量、および、前記車両に積載された前記第1製品と前記第2製品との重量比に基づいて、輸送による前記第1製品のCO2排出量、および、輸送による前記第2製品のCO2排出量を算出するステップとを含み、
前記輸送区間は、前記第1製品および前記第2製品が混載されている第1区間と、前記第1製品が積載され、かつ、前記第2製品が積載されていない第2区間とを含み、
前記算出するステップは、
前記第1区間における前記電力消費量を、前記第1製品および前記第2製品の重量比に基づいて、前記第1製品および前記第2製品に対して按分するステップと、
前記第2区間における前記電力消費量を、前記第1製品に対して按分するステップと、
前記電力消費量をCO2排出量に換算するための換算情報を用いて、前記第1製品に対して按分された前記電力消費量を、輸送による前記第1製品のCO2排出量に換算するステップと、
前記換算情報を用いて、前記第2製品に対して按分された前記電力消費量を、輸送による前記第2製品のCO2排出量に換算するステップとを含む、管理方法。
【請求項4】
前記換算情報は、電力の種類毎に設定される、請求項3に記載の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、および、管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題への意識の高まりに伴って、市場に流通する製品の生産により排出されたCO2排出量への関心が高まってきている。サプライチェーンにおける上流企業(川上企業)は、製品を納入している下流企業(川下企業)から、当該製品を生産するために排出されたCO2排出量の開示を要求される場合がある。川上企業は、製品を生産するために排出されたCO2排出量を算出し、これを川下企業に開示する。
【0003】
たとえば、特開2016-126372号公報(特許文献1)には、製品(材料および部品を含む)の輸送工程におけるCO2排出量を算出する手法が開示されている。特開2016-126372号公報に開示された輸送工程におけるCO2排出量の手法は、予め定められた係数表と、企業の属する業種と、物品の購入額とから、物品の購入額に対応するCO2排出量を算出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-126372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製品を生産するために排出されたCO2排出量には、生産工程におけるCO2排出量だけでなく、輸送工程におけるCO2排出量も加味することが望ましい。たとえば、鉄道や輸送車等の製品を輸送する移動体には、納入先の異なる複数の製品(部品、原料)が混載されることがある。このような場合において、各納入製品の輸送工程におけるCO2排出量を正確に算出する手法の確立が望まれている。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、製品を輸送する移動体に複数の製品が混載されている場合において、各製品の輸送工程におけるCO2排出量を精度よく算出することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示のある局面に係る管理装置は、複数の製品を混載して輸送する移動体を管理する管理装置である。複数の製品は、第1製品および第2製品を含む。管理装置は、輸送区間において移動体が消費したエネルギ量を記憶する記憶装置と、エネルギ量、および、移動体に積載された第1製品と第2製品との重量比に基づいて、輸送による第1製品のCO2排出量、および、輸送による第2製品のCO2排出量を算出する制御装置とを備える。
【0008】
上記構成によれば、制御装置は、製品が混載されている輸送区間の輸送で消費されたエネルギ量、および、混載されている製品の重量比に基づいて、輸送による第1製品のCO2排出量、および、輸送による第2製品のCO2排出量が算出される。混載されている製品の重量比を用いることにより、輸送による第1製品のCO2排出量、および、輸送による第2製品のCO2排出量を適切に算出することができる。
【0009】
(2)ある実施の形態においては、制御装置は、重量比に基づいて、エネルギ量を第1製品および第2製品に対して按分して、輸送による第1製品のCO2排出量、および、輸送による第2製品のCO2排出量を算出する。
【0010】
上記構成によれば、制御装置は、製品が混載されている輸送区間の輸送で消費されたエネルギ量を、混載されている製品の重量比に基づいて按分する。重量比に基づいてエネルギ量を按分することにより、輸送による第1製品のCO2排出量、および、輸送による第2製品のCO2排出量を適切に算出することができる。
【0011】
(3)ある実施の形態においては、輸送区間は、第1製品および第2製品が混載されている第1区間と、第1製品が積載され、かつ、第2製品が積載されていない第2区間とを含む。制御装置は、第1区間において移動体が消費したエネルギ量を、第1製品および第2製品の重量比に基づいて、第1製品および第2製品に対して按分し、第2区間において移動体が消費したエネルギ量を、第1製品に対して按分する。
【0012】
上記構成によれば、制御装置は、区間毎に、当該区間で消費されたエネルギ量を、混載されている製品の重量比に基づいて按分する。第1区間においては、制御装置は、第1製品および第2製品が混載されているので、第1区間において移動体が消費したエネルギ量を、重量比に基づいて、第1製品および第2製品に対して按分する(割り当てる)。一方、第2区間においては、制御装置は、第2製品が積載されていないので、第2区間において移動体が消費したエネルギ量を、第1製品に対して按分する(割り当てる)。このように、製品の混載有無に基づいて分けられた区間毎に、区間で消費されたエネルギ量を按分することにより、輸送による第1製品のCO2排出量、および、輸送による第2製品のCO2排出量を適切に算出することができる。
【0013】
(4)ある実施の形態においては、記憶装置は、エネルギ量をCO2排出量に換算するための換算情報を記憶している。制御装置は、換算情報を用いて、第1製品に対して按分されたエネルギ量を、輸送による第1製品のCO2排出量に換算し、第2製品に対して按分されたエネルギ量を、輸送による第2製品のCO2排出量に換算する。
【0014】
上記構成によれば、電力消費量をCO2排出量に適切に換算することができる。
【0015】
(5)本開示の他の局面に係る管理方法は、複数の製品を混載して輸送する移動体を管理する管理方法である。複数の製品は、第1製品および第2製品を含む。管理方法は、輸送区間において移動体が消費したエネルギ量を読み出すステップと、エネルギ量、および、移動体に積載された第1製品と第2製品との重量比に基づいて、輸送による第1製品のCO2排出量、および、輸送による第2製品のCO2排出量を算出するステップとを含む。
【発明の効果】
【0016】
本開示によると、製品を輸送する移動体に複数の製品が混載されている場合において、各製品の輸送工程におけるCO2排出量を精度よく算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1に係る管理システム100の全体構成図である。
図2】実施の形態1に係る管理システム100のハードウェア構成図である。
図3】輸送鉄道5による輸送により排出されたCO2排出量を算出する機能を示す制御装置51の機能ブロック図である。
図4】制御装置51により実行される、輸送鉄道5による輸送により排出されたCO2排出量を算出するための処理の手順を示すフローチャートである。
図5】実施の形態2に係る管理システム100Aの全体構成図である。
図6】制御装置51により実行される、輸送鉄道5による輸送により排出されたCO2排出量を算出するための処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る管理システム100の全体構成図である。図2は、実施の形態1に係る管理システム100のハードウェア構成図である。管理システム100は、製品の生産により排出されたCO2排出量を管理するためのシステムである。
【0020】
図1および図2を参照して、管理システム100は、A企業に帰属するサーバ10と、B企業に帰属するサーバ20と、C企業に帰属するサーバ30と、D企業に帰属するサーバ40と、輸送車9A~9Dおよび輸送鉄道5を管理する管理センタ50とを備える。
【0021】
実施の形態1では、少なくとも、A企業とC企業とはサプライチェーンを形成している。A企業は、サプライチェーンにおける、C企業の上流企業である。A企業は、工場1において、製品15を生産している。製品15は、電子部品である。なお、製品15は電子部品であることに限られず、種々の原材料であってよい。工場1で生産された製品15は、たとえば、所定の納品単位に纏められ、製品セット16を形成する。製品セット16は、たとえば、複数の輸送手段を経由して、C企業の工場3に納品されている。
【0022】
また、実施の形態1では、少なくとも、B企業とD企業とはサプライチェーンを形成している。B企業は、サプライチェーンにおける、D企業の上流企業である。B企業は、工場2において、製品25を生産している。製品25は、電子部品である。なお、製品25は電子部品であることに限られず、種々の原材料であってよい。工場2で生産された製品25は、たとえば、所定の納品単位に纏められ、製品セット26を形成する。製品セット26は、たとえば、複数の輸送手段を経由して、D企業の工場4に納品されている。
【0023】
A企業のサーバ10は、製品15の単位個数あたりのCO2排出量Qp1を記憶している。CO2排出量Qp1は、A企業の生産ラインで原材料を使用して製品15を生産するために要したCO2排出量、および、上記原材料の生産により排出されたCO2排出量を含む。原材料の生産により排出されたCO2排出量は、サプライチェーンにおける上流企業(図示せず)から取得することができる。さらに、サーバ10は、CO2排出量Qp1を用いて、製品セット16あたりのCO2排出量Qp1setを算出し、これを記憶している。なお、以下では、CO2排出量Qp1setを「生産工程におけるCO2排出量Qp1set」とも称する。
【0024】
サーバ10は、C企業のサーバ30からの要求に応じて、あるいは、製品セット16がC企業に納品されたことを契機として、生産工程におけるCO2排出量Qp1setをサーバ30に送信する。
【0025】
B企業のサーバ20は、製品25の単位個数あたりのCO2排出量Qp2を記憶している。CO2排出量Qp2は、B企業の生産ラインで原材料を使用して製品25を生産するために要したCO2排出量、および、上記原材料の生産により排出されたCO2排出量を含む。原材料の生産により排出されたCO2排出量は、サプライチェーンにおける上流企業(図示せず)から取得することができる。さらに、サーバ20は、CO2排出量Qp2を用いて、製品セット26あたりのCO2排出量Qp2setを算出し、これを記憶している。なお、以下では、CO2排出量Qp2setを「生産工程におけるCO2排出量Qp2set」とも称する。
【0026】
サーバ20は、D企業のサーバ40からの要求に応じて、あるいは、製品セット26がD企業に納品されたことを契機として、生産工程におけるCO2排出量Qp2setをサーバ40に送信する。
【0027】
管理センタ50は、輸送車9A~9Dおよび輸送鉄道5を管理する。たとえば、管理センタ50を運営する企業は、A企業およびB企業から製品の輸送の依頼を受ける。なお、本実施の形態では、管理センタ50が輸送車9A~9Dおよび輸送鉄道5の両方を管理する例について説明するが、輸送車9A~9Dを管理する管理主体と、輸送鉄道5を管理する管理主体とが異なる場合もあり得る。このような場合には、輸送車9A~9Dを管理する管理センタと、輸送鉄道5を管理する管理センタとが設けられる。なお、以下では、輸送車9A~9Dの各々を特に区別しない場合には、総称して「輸送車9」と称することがある。
【0028】
製品セット16は、まず、A企業の工場1から輸送車9Aに積載されて、A駅6に輸送される。製品セット16は、A駅6において、輸送鉄道5に積載されて、B駅7に輸送される。そして、製品セット16は、B駅7において、輸送車9Cに積載されて、C企業の工場3に輸送される。製品セット26は、まず、B企業の工場2から輸送車9Bに積載されて、A駅6に輸送される。製品セット26は、A駅6において、輸送鉄道5に積載されて、B駅7に輸送される。そして、製品セット26は、B駅7において、輸送車9Dに積載されて、D企業の工場4に輸送される。ここで、製品セット16と製品セット26とは、輸送鉄道5に混載されてA駅6からB駅7に輸送される。
【0029】
輸送車9は、内燃機関(図示せず)を備えた車両である。また、輸送車9は、いずれも図示しないが、通信装置およびGPS(Global Positioning System)受信機を備える。通信装置は、たとえば、DCM(Data Communication Module)であってよい。輸送車9は、通信装置を介して、管理センタ50と通信可能に構成されている。輸送車9は、位置情報、および燃料消費量の情報を所定周期で管理センタ50に送信するように構成されている。燃料消費量の情報は、所定周期の間に輸送車9で消費された燃料の量を示す。燃料消費量の情報は、燃料の残量の情報であってもよい。
【0030】
輸送鉄道5は、電気あるいは燃料を用いて駆動する。輸送鉄道5は、電車であってもよいし、気動車であってもよい。実施の形態1では、輸送鉄道5は、電気を用いて駆動する電車である。輸送鉄道5は、いずれも図示しないが、電力変換装置、モータ、および通信装置を備える。輸送鉄道5は、電力消費量(エネルギ消費量)の情報を所定周期で管理センタ50に送信するように構成されている。
【0031】
管理センタ50は、制御装置51と、記憶装置52と、通信装置53とを備える。制御装置51、記憶装置52、および通信装置53は、バス54に接続されている。なお、管理センタ50は、本開示に係る「管理装置」の一例に相当する。
【0032】
制御装置51は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)を含む集積回路によって構成される。制御装置51は、メモリを含み、メモリに格納されている各種プログラムを実行する。各種プログラムには、オペレーティングシステム等が含まれる。メモリは、たとえば、上記各種プログラムを記憶しているROM(Read Only Memory)、および、ワーキングメモリとして機能し、各種プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)を含んで構成される。
【0033】
記憶装置52は、電力消費量をCO2排出量に換算するための第1換算式(第1換算情報)、および、燃料消費量をCO2排出量に換算するための第2換算式(第2換算情報)を記憶している。第1換算式は、たとえば、電力消費量に第1CO2排出係数を乗算するものであってもよい。第1CO2排出係数は、たとえば、国、政府、事業者等によって公表される値であってもよい。第1CO2排出係数は、電力の種類(再生可能エネルギか否か等)毎に設定されていてもよい。第2換算式は、たとえば、燃料消費量に第2CO2排出係数を乗算するものであってもよい。第2CO2排出係数は、たとえば、国、政府、事業者等によって公表される値であってもよい。第2CO2排出係数は、たとえば、燃料の種類(ガソリン、軽油、バイオディーゼル等)毎に設定されていてもよい。第1換算式および第2換算式は、たとえば、公表された第1CO2排出係数および公表された第2CO2排出係数の更新に伴って、制御装置51により更新される。
【0034】
通信装置53は、サーバ10~40の各々と通信可能に構成される。通信装置53とサーバ10~40の各々との通信は、たとえば、インターネット等を介して行なわれる。また、通信装置53は、輸送鉄道5および輸送車9と通信可能に構成される。通信装置53と、輸送鉄道5および輸送車9との通信は、たとえば、インターネット等を介して行なわれる。
【0035】
制御装置51は、輸送工程におけるCO2排出量を算出し、算出されたCO2排出量を、輸送先の企業(実施の形態1ではC企業およびD企業)に報告する。
【0036】
実施の形態1では、管理センタ50は、A企業のサーバ10から製品セット16の輸送依頼を受ける。サーバ10は、製品セット16の納品番号および重量の情報を管理センタ50に通知する。また、管理センタ50は、B企業のサーバ20から製品セット26の輸送依頼を受ける。サーバ20は、製品セット26の納品番号および重量の情報を管理センタ50に通知する。
【0037】
輸送車9Aおよび輸送車9Bが、A企業の工場1およびB企業の工場2で、製品セット16および製品セット26をそれぞれ受け取る。輸送車9Aは、A企業の工場1からA駅6へ製品セット16を輸送する。輸送車9Bは、B企業の工場2からA駅6へ製品セット26を輸送する。製品セット16および製品セット26は、輸送鉄道5に混載されて、A駅6からB駅7に輸送される。その後、B駅7において、製品セット16は、輸送車9Cに積載されて、C企業の工場3に納品される。B駅7において、製品セット26は、輸送車9Dに積載されて、D企業の工場4に納品される。
【0038】
なお、実施の形態1では、輸送車9A,9Cには、製品セット16のみが積載されるケースを想定している。また、輸送車9B,9Dには、製品セット26のみが積載されるケースを想定している。また、輸送鉄道5には、製品セット16,26のみが積載されるケースを想定している。
【0039】
制御装置51は、A企業の工場1からA駅6に製品セット16を輸送するために輸送車9Aが消費した燃料消費量Faに基づいて、輸送により排出されたCO2排出量Qaを算出する。制御装置51は、燃料消費量Faを第2換算式に入力して、CO2排出量Qaを算出する。また、制御装置51は、後述する手法により、A駅6からB駅7への輸送鉄道5による製品セット16の輸送により排出されたCO2排出量Qm1を算出する。さらに、制御装置51は、B駅7からC企業の工場3に製品セット16を輸送するために輸送車9Cが消費した燃料消費量Fcに基づいて、輸送により排出されたCO2排出量Qcを算出する。
【0040】
制御装置51は、以下の式(1)に従って、CO2排出量Qa、CO2排出量Qm1、およびCO2排出量Qcを加算して、製品セット16の輸送工程におけるCO2排出量Qt1setを算出する。
【0041】
Qt1set=Qa+Qm1+Qc・・・(1)
制御装置51は、通信装置53を介して、算出された輸送工程におけるCO2排出量Qt1setを、C企業のサーバ30に報告する。
【0042】
C企業のサーバ30は、A企業から報告された生産工程におけるCO2排出量Qp1setと、管理センタ50から報告された輸送工程におけるCO2排出量Qt1setとを加算して、納品された製品セット16のCO2排出量Q1setを算出する。たとえば、サーバ30は、CO2排出量Q1setを製品セット16に含まれている製品15の数で除算することにより、製品15のCO2排出量Q1を算出することができる。C企業のサーバ30は、CO2排出量Q1setおよびCO2排出量Q1を記憶する。
【0043】
制御装置51は、B企業の工場2からA駅6に製品セット26を輸送するために輸送車9Bが消費した燃料消費量Fbに基づいて、輸送により排出されたCO2排出量Qbを算出する。制御装置51は、燃料消費量Fbを第2換算式に入力して、CO2排出量Qbを算出する。また、制御装置51は、後述する手法により、A駅6からB駅7への輸送鉄道5による製品セット26の輸送により排出されたCO2排出量Qm2を算出する。さらに、制御装置51は、B駅7からD企業の工場4に製品セット26を輸送するために輸送車9Dが消費した燃料消費量Fdに基づいて、輸送により排出されたCO2排出量Qdを算出する。
【0044】
制御装置51は、以下の式(2)に従って、CO2排出量Qb、CO2排出量Qm2、およびCO2排出量Qdを加算して、製品セット26の輸送工程におけるCO2排出量Qt2setを算出する。
【0045】
Qt2set=Qb+Qm2+Qd・・・(2)
制御装置51は、通信装置53を介して、算出された輸送工程におけるCO2排出量Qt2setを、D企業のサーバ40に報告する。
【0046】
D企業のサーバ40は、B企業から報告された生産工程におけるCO2排出量Qp2setと、管理センタ50から報告された輸送工程におけるCO2排出量Qt2setとを加算して、納品された製品セット26のCO2排出量Q2setを算出する。たとえば、サーバ40は、CO2排出量Q2setを製品セット26に含まれている製品25の数で除算することにより、製品25のCO2排出量Q2を算出することができる。D企業のサーバ40は、CO2排出量Q2setおよびCO2排出量Q2を記憶する。
【0047】
図3は、輸送鉄道5による輸送により排出されたCO2排出量を算出する機能を示す制御装置51の機能ブロック図である。制御装置51は、電力消費量取得部511と、情報取得部512と、按分部513と、CO2排出量算出部514と、格納部515とを含む。制御装置51は、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより、電力消費量取得部511、情報取得部512、按分部513、CO2排出量算出部514、および格納部515として機能する。なお、電力消費量取得部511、情報取得部512、按分部513、CO2排出量算出部514、および格納部515を、たとえば、専用のハードウェア(電気回路)により実現することも可能である。
【0048】
電力消費量取得部511は、通信装置53を介して、輸送鉄道5から電力消費量の情報を取得する。電力消費量取得部511は、輸送鉄道5がA駅6からB駅7まで移動するまでの間に取得した電力消費量を積算する。電力消費量取得部511は、積算された電力消費量Etotalを記憶装置52に記憶させる。なお、電力消費量Etotalを按分部513に出力するように、電力消費量取得部511を構成してもよい。
【0049】
情報取得部512は、A企業のサーバ10から、製品セット16の納品番号および重量Mcの情報を取得する。情報取得部512は、納品番号および重量Mcの情報を記憶装置52に記憶させる。また、情報取得部512は、B企業のサーバ20から、製品セット26の納品番号および重量Mdの情報を取得する。情報取得部512は、納品番号および重量Mdの情報を記憶装置52に記憶させる。
【0050】
按分部513は、記憶装置52から、電力消費量Etotal、納品番号および重量Mc,Mdの情報を読み出す。按分部513は、電力消費量Etotalを、製品セット16および製品セット26の重量比に基づいて按分する。按分部513は、以下の式(3)に従って、製品セット16に割り当てられる電力消費量E1を算出する。また、按分部513は、以下の式(4)に従って、製品セット26に割り当てられる電力消費量E2を算出する。
【0051】
E1=Etotal×Mc/(Mc+Md)・・・(3)
E2=Etotal×Md/(Mc+Md)・・・(4)
按分部513は、算出された電力消費量E1および電力消費量E2を、対応する納品番号と紐付けて、CO2排出量算出部514に出力する。
【0052】
CO2排出量算出部514は、記憶装置52から第1換算式を読み出す。CO2排出量算出部514は、電力消費量E1を第1換算式に入力して、A駅6からB駅7への製品セット16の輸送により排出されたCO2排出量Qm1を算出する。また、CO2排出量算出部514は、電力消費量E2を第1換算式に入力して、A駅6からB駅7への製品セット26の輸送により排出されたCO2排出量Qm2を算出する。CO2排出量算出部514は、CO2排出量Qm1,Qm2を格納部515に出力する。
【0053】
格納部515は、CO2排出量Qm1,Qm2を、対応する納品番号と紐付けて、記憶装置52に記憶させる。
【0054】
図4は、制御装置51により実行される、輸送鉄道5による輸送により排出されたCO2排出量を算出するための処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、たとえば、C企業およびD企業への納品が完了したことが検知された際に開始される。C企業およびD企業への納品の完了は、たとえば、輸送車9C,9Dの位置情報に基づいて、輸送車9C,9DがC企業の敷地およびD企業の敷地にそれぞれ到着したことに基づいて判断してもよい。あるいは、制御装置51は、輸送車9C,9Dにそれぞれ対応付けられた配送者用の端末装置から納品完了の通知を受信したことに基づいて、C企業およびD企業への納品の完了を判断してもよい。図4および後述の図6に示すフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、制御装置51によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部が制御装置51内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
【0055】
S1において、制御装置51は、通信装置53を介して、A企業のサーバ10から、製品セット16の納品番号および重量Mcの情報を取得する。また、制御装置51は、通信装置53を介して、B企業のサーバ20から、製品セット26の納品番号および重量Mdの情報を取得する。制御装置51は、製品セット16の納品番号および重量Mcの情報、ならびに、製品セット26の納品番号および重量Mdの情報を記憶装置52に記憶させる。
【0056】
S2において、制御装置51は、通信装置53を介して、輸送鉄道5から電力消費量の情報を取得し、輸送鉄道5がA駅6からB駅7まで移動するまでの間に取得した電力消費量を積算する。制御装置51は、積算された電力消費量を、電力消費量Etotalとして算出する。制御装置51は、たとえば、電力消費量Etotalを記憶装置52に記憶させる。
【0057】
S3において、制御装置51は、電力消費量Etotal、製品セット16の納品番号および重量Mcの情報、ならびに、製品セット26の納品番号および重量Mdの情報を記憶装置52から読み出す。制御装置51は、電力消費量Etotalを、製品セット16および製品セット26の重量比に基づいて按分する。具体的には、制御装置51は、上述の式(3),(4)に従って、製品セット16に割り当てられる電力消費量E1、および、製品セット26に割り当てられる電力消費量E2をそれぞれ算出する。
【0058】
S4において、制御装置51は、記憶装置52から第1換算式を読み出し、電力消費量E1を第1換算式に入力して、A駅6からB駅7への製品セット16の輸送により排出されたCO2排出量Qm1を算出する。また、制御装置51は、電力消費量E2を第1換算式に入力して、A駅6からB駅7への製品セット26の輸送により排出されたCO2排出量Qm2を算出する。
【0059】
S5において、制御装置51は、CO2排出量Qm1,Qm2を、対応する納品番号と紐付けて、記憶装置52に記憶させる。より具体的には、制御装置51は、CO2排出量Qm1を、製品セット16の納品番号と紐付けて、記憶装置52に記憶させる。制御装置51は、CO2排出量Qm2を、製品セット26の納品番号と紐付けて、記憶装置52に記憶させる。
【0060】
以上のように、実施の形態1に係る管理センタ50は、輸送工程におけるCO2排出量を算出するにあたり、製品が混載されている輸送区間(実施の形態1では、A駅6からB駅7の区間)においては、当該輸送区間の輸送で消費されたエネルギ量(実施の形態1では、輸送鉄道5により消費された電力消費量)を、混載されている製品の重量比に基づいて按分する。重量比に基づいてエネルギ量を按分することにより、製品毎の輸送工程におけるCO2排出量を適切に算出することができる。
【0061】
なお、たとえば、輸送車9においても製品が混載される輸送区間がある場合には、当該輸送区間における燃料消費量Fを、混載されている製品の重量比で按分すればよい。
【0062】
[変形例1]
実施の形態1では、製品が混載されている輸送区間で消費されたエネルギ量を、混載されている製品の重量比に基づいて按分し、按分されたエネルギ量を、それぞれ換算式を用いてCO2排出量に換算した。しかしながら、エネルギ量のCO2排出量への換算と、按分との順序は問わない。たとえば、製品が混載されている輸送区間で消費されたエネルギ量をCO2排出量への換算し、その後に、換算されたCO2排出量を、混載されている製品の重量比に基づいて、製品セット16と製品セット26とに按分してもよい。変形例1は、後述の変形例2,3および実施の形態2と組み合わせることも可能である。
【0063】
[変形例2]
実施の形態1では、輸送車9は、内燃機関を備えた車両である例について説明した。しかしながら、輸送車9は、内燃機関を備えた車両に限られるものではない。たとえば、輸送車9は、電気自動車であってもよい。この場合、輸送車9は、バッテリおよびバッテリの電力を用いて駆動する駆動装置とを含む。輸送車9が電気自動車である場合には、燃料消費量に代えて、電力消費量を用いて、輸送車9による輸送により排出されたCO2排出量を算出すればよい。
【0064】
また、実施の形態1では、輸送鉄道および輸送車を移動体の例にして説明したが、移動体は、輸送鉄道および輸送車に限られるものではない。移動体は、たとえば、二輪車、航空機、ヘリコプター等であってもよい。
【0065】
[変形例3]
管理システム100において、分散型台帳技術を用いて企業間で情報を共有することも考えられる。この場合には、サーバ10~40および管理センタ50をノードとして機能させ、各ノードは、通知、報告の対象となる各種の情報を含むトランザクションデータを分散型台帳ネットワークに送信する。たとえば、トランザクションデータの共有範囲を当事者間に限定することが可能な分散型台帳基盤を採用してもよい。分散型台帳技術を用いて情報を授受することにより、情報の耐改ざん性を高めることができる。
【0066】
[実施の形態2]
実施の形態1および変形例1~3では、製品セット16と製品セット26とは、同じ駅で輸送鉄道5に積載されて、同じ駅まで輸送される例について説明した。しかしながら、製品セット16と製品セット26とは、互いに異なる駅で輸送鉄道5に積載されてもよいし、互いに異なる駅で輸送鉄道5から降ろされてもよい。実施の形態2では、一例として、製品セット16と製品セット26とが互いに異なる駅で輸送鉄道5から降ろされる例について説明する。
【0067】
図5は、実施の形態2に係る管理システム100Aの全体構成図である。なお、管理システム100Aのハードウェア構成図は、図2と同様である。
【0068】
図5を参照して、実施の形態1と同様、管理センタ50は、A企業のサーバ10から製品セット16の輸送依頼を受ける。サーバ10は、製品セット16の納品番号および重量の情報を管理センタ50に通知する。また、管理センタ50は、B企業のサーバ20から製品セット26の輸送依頼を受ける。サーバ20は、製品セット26の納品番号および重量の情報を管理センタ50に通知する。
【0069】
輸送車9Aおよび輸送車9Bが、A企業の工場1およびB企業の工場2で、製品セット16および製品セット26をそれぞれ受け取る。輸送車9Aは、A企業の工場1からA駅6へ製品セット16を輸送する。輸送車9Bは、B企業の工場2からA駅6へ製品セット26を輸送する。製品セット16および製品セット26は、輸送鉄道5に混載されて、A駅6から輸送される。実施の形態2では、A駅6とB駅7との間のC駅8で製品セット26が降ろされる。C駅8において、製品セット26は、輸送車9Dに積載されて、D企業の工場4に納品される。一方、製品セット16は、C駅8からB駅7へ輸送される。B駅7において、製品セット16は、輸送車9Cに積載されて、C企業の工場3に納品される。
【0070】
すなわち、輸送鉄道5には、A駅6からC駅8までの輸送区間では、製品セット16と製品セット26とが混載されており、C駅8からB駅7までの輸送区間では、製品セット16のみが積載されている。以下では、製品が混載されている輸送区間、すなわち、A駅6からC駅8までの輸送区間を「第1区間」とも称し、製品が混載されていない輸送区間、すなわち、C駅8からB駅7までの「輸送区間」を第2区間とも称する。
【0071】
管理センタ50の制御装置51は、輸送鉄道5から取得する電力消費量の情報を積算して、輸送鉄道5がA駅6からC駅8まで移動するまでの間の電力消費量(以下「第1区間の電力消費量」とも称する)Ejaを積算する。また、制御装置51は、輸送鉄道5がC駅8からB駅7まで移動するまでの間の電力消費量(以下「第2区間の電力消費量」とも称する)Ejbを積算する。
【0072】
制御装置51は、第1区間の電力消費量Ejaを、製品セット16および製品セット26の重量比に基づいて按分する。制御装置51は、以下の式(5)に従って、製品セット16に割り当てられる第1区間の電力消費量Eja1を算出する。また、制御装置51は、以下の式(6)に従って、製品セット26に割り当てられる第1区間の電力消費量Eja2を算出する。
【0073】
Eja1=Eja×Mc/(Mc+Md)・・・(5)
Eja2=Eja×Md/(Mc+Md)・・・(6)
次いで、制御装置51は、第2区間の電力消費量Ejbを、製品セット16および製品セット26の重量比に基づいて按分する。制御装置51は、以下の式(7)に従って、製品セット16に割り当てられる第2区間の電力消費量Ejb1を算出する。また、制御装置51は、以下の式(8)に従って、製品セット26に割り当てられる第2区間の電力消費量Ejb2を算出する。
【0074】
Ejb1=Ejb×Mc/(Mc+Md)・・・(7)
Ejb2=Ejb×Md/(Mc+Md)・・・(8)
第2区間では、輸送鉄道5に製品セット26は積載されていないので、Mdはゼロである。
【0075】
制御装置51は、輸送鉄道5による輸送区間(第1区間および第2区間)で消費された電力消費量の製品セット16への割り当て分である電力消費量E1を、以下の式(9)に従って算出する。また、制御装置51は、輸送鉄道5による輸送区間で消費された電力消費量の製品セット26への割り当て分である電力消費量E2を、以下の式(10)に従って算出する。
【0076】
E1=Eja1+Ejb1・・・(9)
E2=Eja2+Ejb2・・・(10)
制御装置51は、記憶装置52から第1換算式を読み出し、電力消費量E1を第1換算式に入力して、輸送鉄道5による製品セット16の輸送により排出されたCO2排出量Qm1を算出する。また、制御装置51は、電力消費量E2を第1換算式に入力して、輸送鉄道5による製品セット26の輸送により排出されたCO2排出量Qm2を算出する。
【0077】
制御装置51は、CO2排出量Qm1,Qm2を、対応する納品番号と紐付けて、記憶装置52に記憶させる。制御装置51は、記憶装置52に記憶されたCO2排出量Qm1,Qm2を用い、上述の式(1),(2)に従って、製品セット16の輸送工程におけるCO2排出量Qt1set、および、製品セット26の輸送工程におけるCO2排出量Qt2setを算出する。
【0078】
なお、A企業の工場1からA駅6への製品セット16の輸送により排出されたCO2排出量Qa、B企業の工場2からA駅6への製品セット26の輸送により排出されたCO2排出量Qb、B駅7からC企業の工場3への製品セット16の輸送により排出されたCO2排出量Qc、および、C駅8からD企業の工場4への製品セット26の輸送により排出されたCO2排出量Qdは、実施の形態1で説明したとおり、燃料消費量Fa~Fdと、第2換算式とを用いて算出することができる。
【0079】
図6は、制御装置51により実行される、輸送鉄道5による輸送により排出されたCO2排出量を算出するための処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、たとえば、C企業およびD企業への納品が完了したことが検知された際に開始される。
【0080】
S10において、制御装置51は、通信装置53を介して、A企業のサーバ10から、製品セット16の納品番号および重量Mcの情報を取得する。さらに、制御装置51は、通信装置53を介して、A企業のサーバ10から、製品セット16の輸送先の情報を取得する。また、制御装置51は、通信装置53を介して、B企業のサーバ20から、製品セット26の納品番号および重量Mdの情報を取得する。さらに、制御装置51は、通信装置53を介して、B企業のサーバ20から、製品セット26の輸送先の情報を取得する。制御装置51は、製品セット16の納品番号、重量Mcの情報、および製品セット16の輸送先の情報、ならびに、製品セット26の納品番号、重量Mdの情報、および製品セット26の輸送先の情報を記憶装置52に記憶させる。
【0081】
なお、制御装置51は、製品セット16の輸送先の情報および製品セット26の輸送先の情報に基づいて、製品セット16,26を輸送鉄道5から降ろす駅を決定することができる。ここでは、製品セット16を輸送鉄道5から降ろす駅は、B駅7に決定され、製品セット26を輸送鉄道5から降ろす駅は、C駅8に決定される。したがって、制御装置51は、A駅6からC駅8の区間(第1区間)では、輸送鉄道5に製品セット16,26が混載され、C駅8からB駅7の区間(第2区間)では、輸送鉄道5に製品セット16のみが積載されることを認識することができる。
【0082】
S11において、制御装置51は、通信装置53を介して、輸送鉄道5から電力消費量の情報を取得し、A駅6からC駅8まで移動するまでの間(第1区間)に輸送鉄道5が消費した電力消費量を積算する。すなわち、制御装置51は、第1区間の電力消費量Ejaを算出する。制御装置51は、第1区間の電力消費量Ejaを記憶装置52に記憶させる。
【0083】
S12において、制御装置51は、第1区間の電力消費量Ejaを、製品セット16および製品セット26の重量比に基づいて按分する。具体的には、上述の式(5),(6)に従って、製品セット16に割り当てられる第1区間の電力消費量Eja1、および、製品セット26に割り当てられる第1区間の電力消費量Eja2を算出する。
【0084】
S13において、制御装置51は、通信装置53を介して、輸送鉄道5から電力消費量の情報を取得し、C駅8からB駅7まで移動するまでの間(第2区間)に輸送鉄道5が消費した電力消費量を積算する。すなわち、制御装置51は、第2区間の電力消費量Ejbを算出する。
【0085】
S14において、制御装置51は、第2区間の電力消費量Ejbを、製品セット16および製品セット26の重量比に基づいて按分する。具体的には、上述の式(7),(8)に従って、製品セット16に割り当てられる第2区間の電力消費量Ejb1、および、製品セット26に割り当てられる第2区間の電力消費量Ejb2を算出する。この場合において、制御装置51は、重量Mdをゼロとする。
【0086】
S15において、制御装置51は、上述の式(9),(10)に従って、輸送鉄道5が消費した電力消費量の製品セット16への割り当て分である電力消費量E1、および、輸送鉄道5が消費した電力消費量の製品セット26への割り当て分である電力消費量E2を、それぞれ算出する。
【0087】
S16において、制御装置51は、記憶装置52から第1換算式を読み出し、電力消費量E1を第1換算式に入力して、輸送鉄道5による製品セット16の輸送により排出されたCO2排出量Qm1を算出する。制御装置51は、電力消費量E2を第1換算式に入力して、輸送鉄道5による製品セット26の輸送により排出されたCO2排出量Qm2を算出する。
【0088】
S17において、制御装置51は、CO2排出量Qm1,Qm2を、対応する納品番号と紐付けて、記憶装置52に記憶させる。より具体的には、制御装置51は、CO2排出量Qm1を、製品セット16の納品番号と紐付けて、記憶装置52に記憶させる。制御装置51は、CO2排出量Qm2を、製品セット26の納品番号と紐付けて、記憶装置52に記憶させる。
【0089】
以上のように、実施の形態2に係る管理センタ50は、製品セット16と製品セット26とが互いに異なる駅で輸送鉄道5から降ろされる場合には、輸送鉄道5により輸送される輸送区間を、製品セット16と製品セット26とが混載される第1区間と、製品セット16と製品セット26とが混載されない第2区間とに分ける。そして、管理センタ50は、区間毎に、当該区間で消費された電力消費量(エネルギ量)を、混載されている製品の重量比に基づいて按分する。これにより、製品セット16と製品セット26とが異なる駅で輸送鉄道5から降ろされる場合にも、それぞれの区間におけるCO2排出量を適切に算出することができる。
【0090】
なお、上記では、輸送鉄道5に製品セット16と製品セット26との2つのセット(製品)が混載される例について説明したが、輸送鉄道5に混載されるセットは3セット以上であってもよい。たとえば、輸送鉄道5に3セットが混載される場合には、輸送区間を、3セットが混載される区間、2セットが混載される区間、1セットが積載される区間に分ければよい。あるいは、輸送鉄道5の停車駅に基づいて区間を分けてもよい。たとえば、始発であるA駅から終点のB駅に輸送鉄道5が製品を輸送する場合において、A駅とB駅との中間にあるC駅およびD駅に停車することを想定する。この場合には、輸送鉄道5による輸送区間を、A駅からC駅までの区間、C駅からD駅までの区間、および、D駅からB駅までの区間に分けることができる。それぞれの区間で積載されている製品の重量比に基づいて、各製品に電力消費量を割り当てることができる。
【0091】
さらに、たとえば、1台の輸送車9が、A企業の工場1で製品セット16を積載し、次いでB企業の工場2で製品セット26を積載し、製品セット16および製品セット26をA駅6に輸送するケースも考えられる。このような場合には、輸送車9に対しても、輸送区間を、工場1から工場2までの区間と、工場2からA駅6までの区間とに分け、燃料消費量を、重量比に基づいて按分すればよい。これにより、輸送車9による輸送によって排出されたCO2排出量を適切に按分することができる。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1,2,3,4 工場、5 輸送鉄道、6 A駅、7 B駅、8 C駅、9,9A,9B,9C,9D 輸送車、10,20,30,40 サーバ、15,25 製品、16,26 製品セット、50 管理センタ、51 制御装置、52 記憶装置、53 通信装置、54 バス、100,100A 管理システム、511 電力消費量取得部、512 情報取得部、513 按分部、514 排出量算出部、515 格納部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6