(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】駐車支援システム、駐車支援方法、駐車支援プログラム及び遠隔操作プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20250701BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20250701BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20250701BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20250701BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20250701BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20250701BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 C
G08G1/09 F
B60R99/00 330
G16Y10/40
G16Y40/30
(21)【出願番号】P 2022163032
(22)【出願日】2022-10-11
【審査請求日】2024-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 直輝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大祐
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/168754(WO,A1)
【文献】特開2018-131201(JP,A)
【文献】特開2018-184029(JP,A)
【文献】特開2023-092664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/06
G08G 1/16
G08G 1/09
B60R 99/00
G16Y 10/40
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車支援システムであって、
ユーザーによる操作に応じて、自車両を車外から遠隔操作する信号を発信する遠隔操作装置と、
自車両の周囲に存在する物標に関する情報である周囲情報を取得する周囲センサと、
自車両に搭載されたプロセッサであって、
自車両を駐車スポットの外側から前記駐車スポットに進入させて駐車する入庫シーンにおいて、自車両が駐車される駐車スポットを前記周囲情報に基づいて特定する機能と、前記駐車スポットの内部に目標位置を設定する機能と、前記目標位置への経路を設定する機能と、前記遠隔
操作装置から送信される第一信号に応じて、前記経路に沿って自車両を移動させて前記目標位置に到達させ
、自車両の駆動装置が起動している状態を維持したまま待機する機能を有するプロセッサと、
を備え、
前記遠隔操作装置は、
前記入庫シーンにおいて前記第一信号を発信する操作に用いられる所定の第一画像を表示し、自車両が前記目標位置に到達した
時点から、前記第一画像に代えて、自車両の位置を修正する操作に用いられる第二画像を表示し、前記ユーザーによる操作に応じて、自車両の位置を修正する第二信号を発信し、
前記プロセッサは、前記第二信号を受信した場合に、前記第二信号に応じて自車両を移動させる、
ように構成された、駐車支援システム。
【請求項2】
駐車支援方法であって、
自車両を駐車スポットの外側から前記駐車スポットに進入させて駐車する操作に用いられる第一画像を遠隔操作装置に表示し、ユーザーによる操作に応じて自車両を所定の経路に沿って移動させるための第一信号を
前記遠隔操作装置から発信する第一遠隔操作ステップと、
自車両の周囲に存在する物標に関する情報である周囲情報を周囲センサから取得する周囲情報取得ステップと、
自車両に搭載されたプロセッサにより実行される入庫ステップであって、駐車スポットを前記周囲情報に基づいて特定する処理と、前記周囲情報に基づいて駐車スポットの内側に目標位置を設定する処理と、前記目標位置へ至る前記経路を設定する処理と、前記第一信号に応じて自車両を前記経路に沿って移動させて前記目標位置に到達させ
、自車両の駆動装置が起動している状態を維持したまま待機する処理が含まれた入庫ステップと、
自車両が前記目標位置に到達した
時点から、前記第一画像に代えて、自車両の位置を修正する操作に用いられる第二画像を前記遠隔操作装置に表示し、前記ユーザーによる操作に応じて自車両の位置を修正する第二信号を前記遠隔操作装置から発信する第二遠隔操作ステップと、
前記第二信号に応じて自車両を移動させる処理を前記プロセッサにより実行する位置修正ステップと、
を含む、
ように構成された、駐車支援方法。
【請求項3】
駐車支援システムを構成する自車両及び遠隔操作装置が備えるコンピュータに適用される車両用プログラム及び遠隔操作装置用プログラムを含む駐車支援プログラムであって、
前記車両用プログラムは、自車両が備えるコンピュータに、
自車両の周囲に存在する物標に関する情報である周囲情報を周囲センサから取得する周囲情報取得ステップと、
自車両を駐車する駐車スポットを前記周囲情報に基づいて特定する処理と、前記周囲情報に基づいて駐車スポットの内側に目標位置を設定する処理と、前記目標位置へ至る前記経路を設定する処理と、前記第一信号に応じて自車両を前記経路に沿って移動させて前記目標位置に到達させ、自車両の駆動装置が起動している状態を維持したまま待機する処理が含まれた入庫ステップと、
自車両が前記目標位置に到達した後に、自車両の位置を修正する第二信号を前記遠隔操作装置から受信して、前記第二信号に応じて自車両を移動させる位置修正ステップと、
を実行させるプログラムを含み、
前記遠隔操作装置用プログラムは、前記遠隔操作装置が備えるコンピュータに、
自車両を駐車スポットの外側から前記駐車スポットに進入させて駐車する操作に用いられる第一画像を表示し、ユーザーによる操作に応じて前記第一信号を発信する第一遠隔操作ステップと、
自車両が前記目標位置に到達した時点から、前記第一画像に代えて、自車両の位置を修正する操作に用いられる第二画像を表示し、前記ユーザーによる操作に応じて前記第二信号を前記遠隔操作装置から発信する第二遠隔操作ステップと、
を実行させるプログラムを含む、
ように構成された、駐車支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両を所定の駐車スポットに入庫させて駐車する駐車支援システム、駐車支援方法、駐車支援プログラム及び遠隔操作プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両に搭載されたセンサを用いて、自車両を駐車可能な駐車スポットを検知し、当該駐車スポットへ自車両を移動させて駐車させる自動駐車処理(自動駐車制御)を実行可能な駐車支援システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された駐車支援システム(以下、「従来システム」と称呼する。)のプロセッサ(自車両に搭載された演算装置)は、センサから取得した情報に基づいて、目標駐車位置を決定する。目標駐車位置は、自車両が駐車された状態の自車両の位置(例えば、自車両の重心の位置)である。プロセッサは、現在地(駐車スポットの外側の地点)から目標駐車位置へ至る経路を設定する。つぎに、運転者(ユーザー)は、自車両から降り、自車両の外側にて、遠隔操作装置を操作する。プロセッサは、遠隔操作装置から発信された信号に基づいて、自車両を前記経路に沿って移動させる。プロセッサは、自車両を目標駐車位置にて停止させる。そして、プロセッサは、自車両のシフトポジションを駐車ポジションに移行させるとともにパーキングブレーキを作動させた後に、イグニッションスイッチをオフ状態に移行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
上記の従来システムは、自車両が目標駐車位置に到達すると、自動駐車処理を完了する。自動駐車処理が完了した状態において、例えば、自車両が駐車スポットの枠線から少しはみ出している場合がある。また、例えば、自車両の車輪が輪留めに少し乗り上げている場合がある。このような状況においてユーザーが自車両の位置を修正することを希望する場合、当該ユーザーは、まず、遠隔操作装置とプロセッサとを無線通信回線を介して接続(認証作業を実行)する。つぎに、ユーザーは、遠隔操作装置を操作して自車両を再起動(イグニッションスイッチをオン状態に移行)させる。そして、ユーザーは、遠隔操作装置を操作して、自車両を移動させる。上記のように、従来システムを採用した場合、自車両の駐車位置を修正する作業が煩雑である。
【0006】
本発明の目的の一つは、自車両の駐車位置を簡単に修正可能な駐車支援システムを提供することである。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の駐車支援システム(1)は、
ユーザーによる操作に応じて、自車両(V)を車外から遠隔操作する信号を発信する遠隔操作装置(60)と、
自車両の周囲に存在する物標に関する情報である周囲情報を取得する周囲センサ(21、22)と、
自車両に搭載されたプロセッサ(10)であって、自車両を駐車スポットの外側から前記駐車スポットに進入させて駐車する入庫シーンにおいて、自車両が駐車される駐車スポット(PS)を前記周囲情報に基づいて特定する機能と、前記駐車スポットの内部に目標位置(TP)を設定する機能と、前記目標位置への経路(R)を設定する機能と、前記遠隔制御装置から送信される第一信号(S1)に応じて、前記経路に沿って自車両を移動させて前記目標位置に到達させ、自車両の駆動装置が起動している状態を維持したまま待機する機能を有するプロセッサと、
を備える。
前記遠隔操作装置は、前記入庫シーンにおいて前記第一信号を発信する操作に用いられる所定の第一画像を表示し、自車両が前記目標位置に到達した時点から、前記第一画像に代えて、自車両の位置を修正する操作に用いられる第二画像を表示し、前記ユーザーによる操作に応じて、自車両の位置を修正する第二信号(S2)を発信し、
前記プロセッサは、前記第二信号を受信した場合に、前記第二信号に応じて自車両を移動させる。
【0008】
本発明に係る駐車支援システムにおいて、プロセッサは、自車両を目標位置に到達させた時点から、自車両の制御システム(駆動装置、制動装置、ステアリング装置など)を起動したまま待機している。そして、当該状態から、ユーザーは、自車両の制御システムを再起動することなく、遠隔操作を開始して自車両の位置を修正できる。本発明に係る駐車支援システムによれば、ユーザーは、簡単に自車両の駐車位置を修正できる。
【0009】
本発明の一態様に係る駐車支援システムにおいて、
前記ユーザーが、前記目標位置にて自車両に乗り込み、自車両を運転操作して前記自車両の駐車位置を修正可能である。
【0010】
これによれば、プロセッサは自車両を目標位置に到達させた状態で待機している。よって、ユーザーは、自車両に乗り込んで、自車両を再起動することなく、すぐに自車両の位置を修正するための運転操作を開始できる。
【0011】
また、本発明に係る駐車支援方法及び駐車支援プログラムは、上記の駐車支援システムを構成する各装置が実行するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車支援システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、自車両を目標位置へ移動する過程を示す平面図である。
【
図3】
図3は、スマートフォンに表示される画像の一例である。
【
図4】
図4は、自車両の位置を修正する過程を示す平面図である。
【
図5】
図5は、駐車支援ECUの演算装置が実行するプログラムのフローチャートである。
【
図6】
図6は、スマートフォンの演算装置が実行するプログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(概略)
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る駐車支援システム1は、自動運転機能を備えた車両V(以下、「自車両」と称呼する。)に搭載される。駐車支援システム1は、駐車スポットPSに自車両を自動的に駐車させる機能(自動駐車機能)を有する。
【0014】
(具体的構成)
図1に示したように、駐車支援システム1は、駐車支援ECU10,車載センサ20、駆動装置30,制動装置40、ステアリング装置50及びスマートフォン60を含む。
【0015】
駐車支援ECU10は、自車両に搭載されたプロセッサであり、CPU10a、ROM10b、RAM10cなどを備えたマイクロコンピュータを含む。さらに、駐車支援ECU10は、後述するスマートフォン60と無線通信するための通信装置10dを備えている。
【0016】
駐車支援ECU10は、CAN(Controller Area Network)を介して、他のECU(例えば、後述する駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50などのECU)に接続されている。
【0017】
車載センサ20は、自車両の周囲に存在する物標に関する情報を取得する周囲センサを含む。例えば、車載センサ20は、周囲センサとしての超音波センサ21及びカメラ22を含む。
【0018】
超音波センサ21は、超音波を間欠的に自車両の周辺領域に放射し、立体物によって反射された超音波(反射波)を受信する。超音波センサ21は、超音波を送信してから反射波を受信するまでの時間に基づいて、自車両と立体物との距離、自車両に対する立体物の相対位置(方向)等を認識し、当該認識結果を駐車支援ECU10に送信する。
【0019】
カメラ22は、撮像装置及び画像解析装置を含む。撮像装置は、例えば、CCD(charge coupled device)或いはCIS(CMOS image sensor)の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像装置は、自車両の前部、後部、左側面部及び右側面部に設置されている。撮像装置は、所定のフレームレートで自車両の周辺領域をそれぞれ撮影して、画像データをそれぞれ取得する。撮像装置は、各画像データを画像解析装置に送信する。画像解析装置は、取得した画像データを解析して、その画像から自車両の周囲に存在する物標に関する情報を取得する。例えば、画像解析装置は、駐車スポットPSの壁、フェンスなどの形状や色、路面の模様などを認識し、当該認識結果を、駐車支援ECU10に送信する。
【0020】
さらに、車載センサ20は、スイッチ23を含む。スイッチ23は、運転者が後述する自動駐車制御を開始することを要求するための操作装置である。スイッチ23は、例えば、押しボタン式の常開スイッチ装置を含む。駐車支援ECU10は、スイッチ23のオン・オフ状態を監視している。
【0021】
駆動装置30は、駆動力を車輪(左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪)のうちの駆動輪に付与する。駆動装置30は、エンジンECU、内燃機関、変速機、駆動力を車輪に伝達する駆動力伝達機構などを含む。内燃機関は、スロットル弁を駆動するアクチュエータを含む。エンジンECUは、他のECU(駐車支援ECU10)から目標の駆動力を表す情報(制御信号)を取得し、当該情報に基づいて、内燃機関のアクチュエータを駆動する。このようにして、駆動輪に付与される駆動力が制御される。内燃機関が発生する駆動力は、変速機及び駆動力伝達機構を介して駆動輪に伝達される。また、エンジンECUは、他のECUから変速機のシフトポジションに関する情報(制御信号)を取得し、当該情報に基づいて、変速機のアクチュエータを駆動する。このようにして、変速機のシフトポジションが制御される。
【0022】
なお、駐車支援システム1が適用される車両が、ハイブリッド車両(HEV)である場合、エンジンECUは、車両駆動源としての「内燃機関及び電動機」の何れか一方又は両方によって発生する車両の駆動力を制御することができる。また、駐車支援システム1が適用される車両が電気車両(BEV)である場合、エンジンECUに代えて、車両駆動源としての「電動機」によって発生する車両の駆動力を制御する電動機ECUを用いればよい。
【0023】
制動装置40は、車輪(ブレーキディスク)に対して制動力を付与する。制動装置40は、ブレーキECU、ブレーキキャリパなどを含む。ブレーキキャリパは、ブレーキディスクにブレーキパッドを押し当てるアクチュエータを含む。ブレーキECUは、他のECUから目標の制動力を表す情報(制御信号)を取得し、当該情報に基づいて、ブレーキキャリパのアクチュエータを駆動する。このようにして、車輪(ブレーキディスク)に対して付与される制動力が制御される。
【0024】
ステアリング装置50は、操舵輪(左前輪及び右前輪)の舵角を制御する。ステアリング装置50は、ステアリングECU、ステアリング機構などを含む。ステアリング機構は、ナックルアーム、タイロッドなどを含むリンク機構である。ステアリング装置50は、さらに、ステアリング機構を駆動して舵角を変更するアクチュエータを含む。ステアリングECUは、他のECUから目標の舵角を表す情報(制御信号)を取得し、当該情報に基づいてアクチュエータを駆動する。このようにして、操舵輪の舵角が制御される。
【0025】
スマートフォン60は、所定のプログラムを実行することにより、自車両を遠隔操作する遠隔操作装置として機能する。すなわち、スマートフォン60は、ユーザーによる操作に応じて、自車両を遠隔操作する信号(例えば、後述する第一信号S1、第二信号S2など)を発信する。これらの信号は、所定の無線通信回線を介して、駐車支援ECU10に伝達される。
【0026】
(駐車支援機能)
運転者は、自車両を駐車させようとする駐車スポットPSの近傍にて、自車両を一旦停止させ、スイッチ23を押す。これにより、駐車支援システム1の駐車支援ECU10は、詳しくは後述するプログラムP1(駐車支援プログラム)の実行を開始する。すなわち、駐車支援ECU10は、駐車スポットPSに、自車両を自動的に駐車させる自動駐車制御を開始する。具体的には、駐車支援ECU10は、スイッチ23が押されたことを検知すると、超音波センサ21及びカメラ22から自車両の周囲に存在する物標の認識結果を表すデータを取得する。そして、駐車支援ECU10は、超音波センサ21及びカメラ22から取得したデータに基づいて、自車両が駐車される駐車スポットを特定するとともに、
図2に示した駐車スポットを含むマップM1を生成する。マップM1は、駐車スポットPSに対する自車両の位置及び姿勢を表す平面図である。
【0027】
つぎに、駐車支援ECU10は、マップM1に基づいて、駐車スポットPSにおいて自車両が駐車される目標位置TPを設定する。目標位置TPは、駐車スポットPS内において自車両の周囲に所定幅以上の空間が設けられた状態で自車両が駐車されたと仮定した際の自車両の重心の位置である。つぎに、駐車支援ECU10は、障害物を避けつつ自車両を目標位置TPへ移動させることができる経路R(自車両の重心の目標軌跡)を設定(演算)する。つぎに、駐車支援ECU10は、自車両を経路Rに沿って移動させるための制御信号パターン(駆動装置30、制動装置40及びステアリング装置50へそれぞれ供給する制御信号の時系列データ)を設定する。
【0028】
駐車支援ECU10は、マップM1に、目標位置TP及び経路Rを反映させる。駐車支援ECU10は、マップM1を図示しない車載表示器に表示させる。ユーザーは、表示された経路R、目標位置TPなどに問題がないことを確認する。
【0029】
つぎに、ユーザーは、スマートフォン60に予めインストールされたプログラムP2(遠隔操作プログラム)を起動する。プログラムP2は、駐車支援ECU10にプログラムP1を実行させるために、ユーザーによる操作に応じて自車両を遠隔操作する信号を発信する遠隔操作ステップを実行するプログラムである。スマートフォン60は、プログラムP2の実行を開始すると、図示しない初期画像を表示する。この状態で、ユーザーは、スマートフォン60と駐車支援ECU10とを、無線通信回線を介して接続する。すなわち、ユーザーは、所定の認証作業(ログインID及びパスワードの入力)を実行する。認証作業が完了すると、スマートフォン60は、
図3に示した画像G1を表示する。画像G1は、自車両を経路Rに沿って進行させるための画像であるダイヤルD、及び自動駐車制御を終了するための画像である終了ボタンTBを含む。
【0030】
ユーザーは自車両から降りてスマートフォン60を操作する。ユーザーが、車外にてダイヤルDを回転させると、スマートフォン60は、自車両を経路Rに沿って進行させることを表す第一信号S1を発信する。ユーザーがダイヤルDの回転操作を実行しているとき第一信号S1が発信される。ユーザーがダイヤルDの回転操作を停止すると、第一信号S1が発信されなくなる。駐車支援ECU10は、第一信号S1を受信しているとき、上記の制御信号パターンに従って自車両を制御する。これにより、自車両が経路Rに沿って徐々に進行する。駐車支援ECU10は、第一信号S1を受信していないとき、自車両を一時的に停止させる。ユーザーは、例えば、歩行者、自転車などが自車両に接近してきた場合に、ダイヤルDを静止させることにより、自車両を一時的に停止させることができる。なお、駐車支援ECU10は、自車両を経路Rに沿って進行させつつ、超音波センサ21及びカメラ22から自車両の周囲に存在する物標の認識結果を逐次取得する。そして、駐車支援ECU10は、上記の認識結果に基づいて、自車両の進行に支障を来す障害物を検知すると、自車両を一時的に停止させる。この場合、駐車支援ECU10は、スマートフォン60に、障害物が存在することを表す画像を表示させる。この状況では、駐車支援ECU10は、第一信号S1を受信不能になる。よって、ユーザーがダイヤルDを操作しても、自車両は進行しない。障害物が自車両から遠ざかり、自車両が進行可能になると、駐車支援ECU10は、第一信号S1を受信可能になる。障害物が移動せず、経路Rに沿って自車両を進行させることができない状態の継続時間が閾値を超えた場合、駐車支援ECU10は、「当該障害物を避けつつ自車両を目標位置TPへ到達させることができる新たな経路Rを設定可能か否か」を判定する。駐車支援ECU10は、新たな経路Rを設定可能な場合、当該新たな経路Rをスマートフォン60に一時的に表示させる。そして、駐車支援ECU10は、第一信号S1を受信可能になる。ユーザーは、ダイヤルDを操作することにより、自車両を新たな経路Rに沿って進行させることができる。なお、ダイヤルDの回転方向(時計回り又は反時計回り)は問われない。すなわち、ユーザーがダイヤルDを時計回り又は反時計回りに回転させると、駐車支援ECU10は、制御信号パターンに従って駆動装置等の制御を進める。
【0031】
駐車支援ECU10は、自車両が目標位置TPに到達すると、自車両を一時的に停止させる。さらに、駐車支援ECU10は、シフトポジションSPを駐車ポジションへ移行させる。この状態では、自車両のイグニッションスイッチがオン状態のままである。つまり、駐車支援ECU10は、自車両が目標位置TPに到達した場合に、自動駐車制御を終了せずに、自車両を待機させる(自動駐車制御を待機状態にする)。また、この待機状態では、駐車支援ECU10とスマートフォン60とが、引き続き、通信可能である。駐車支援ECU10は、自車両が目標位置TPに到達した(自車両が駐車スポットPSに入庫された)ことを表す信号RSを発信する。スマートフォン60は、信号RSを受信すると、
図3に示した画像G2を表示する。画像G2は、自車両の位置を修正する操作を開始するため画像である修正開始ボタンSB、及び自動駐車制御を終了するための画像である終了ボタンTBを含む。
【0032】
ユーザーが修正開始ボタンSBをタップした場合、スマートフォン60は、
図3に示した画像G3を表示する。画像G3は、自車両の移動方向(前進又は後進)を選択するための画像である前進ボタンFW及び後進ボタンBWを含む。さらに、画像G3は、画像G1と同様のダイヤルDを含む。加えて、画像G3は、終了ボタンTBを含む。ユーザーは、まず、前進ボタンFW又は後進ボタンBWをタップして、自車両を進行させる方向を選択する。スマートフォン60は、前記選択された方向を表す信号DSを発信する。駐車支援ECU10は、信号DSに応じて、シフトポジションSPを変更する。すなわち、前進ボタンFWがタップされた場合には、駐車支援ECU10は、シフトポジションSPを前進ポジションへ移行させる。一方、後進ボタンBWがタップされた場合には、駐車支援ECU10は、シフトポジションSPを後進ポジションへ移行させる。
【0033】
ユーザーがダイヤルDを回転させると、スマートフォン60は、前記選択された方向へ移動させるための第二信号S2を発信する。駐車支援ECU10は、第二信号S2を受信しているとき、駆動装置30を制御して、自車両を進行させる。なお、駐車支援ECU10は、操舵角θを「0°」に保持する。すなわち、駐車支援ECU10は、前記選択された方向(前方又は後方)へ直進させる(
図4を参照)。
【0034】
ユーザーは、所望の位置へ自車両が到達した時点で終了ボタンTBをタップする。スマートフォン60は、自動駐車制御を終了するための信号TSを発信するとともに、プログラムP2の実行を終了する。駐車支援ECU10は、信号TSを受信すると、シフトポジションSPを駐車ポジションへ移行させるとともに、パーキングブレーキを作動させた後、イグニッションスイッチをオフ状態へ移行させる。このようにして、自車両の位置が遠隔操作により修正される。
【0035】
なお、スマートフォン60が画像G2を表示している状態で、ユーザーは、修正開始ボタンSBをタップした後、自車両に乗り込んで、自車両の操作装置(アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングなど)を操作して、自車両の位置を修正してもよい。
【0036】
また、駐車支援システム1は、自動駐車制御の途中で所定の終了条件が成立した場合、自動駐車制御の実行を終了する。具体的には、上述したように、ユーザーが終了ボタンTBをタップした場合に、終了条件が成立する。また、ユーザーが自車両に乗り込んで自車両の操作装置を操作し始めた場合に終了条件が成立する。また、駐車支援ECU10とスマートフォン60との通信が途絶えた状態(ユーザーがスマートフォン60を操作しない状態)の継続時間が閾値を超えた場合に、終了条件が成立する。
【0037】
つぎに、
図5を参照して、駐車支援ECU10のCPU10a(以下、「CPUa」と称呼する。)が実行する処理(プログラムP1)を具体的に説明する。
【0038】
CPUaは、スイッチ23が押されたことを検知すると、ステップ100からプログラムP1の実行を開始し、ステップ101に進む。
【0039】
CPUaは、ステップ101に進むと、スマートフォン60の認証処理が完了したか否かを判定する。認証処理が完了した場合(101:Yes)、CPUaは、ステップ102に進む。一方、認証処理が未完了である場合(101:No)、CPUaは、ステップ101に戻る。
【0040】
CPUaは、ステップ102に進むと、CPUaは、車載センサ20から取得した情報に基づいて、目標位置TP及び経路Rを設定(又は新たに検知した障害物を避けるように修正)する。そして、CPUaは、ステップ103に進む。
【0041】
CPUaは、ステップ103に進むと、スマートフォン60から第一信号S1を受信したか否かを判定する。CPUaは、第一信号S1を受信した場合(103:Yes)、CPUaは、ステップ105に進む。一方、CPUaは、第一信号S1を受信しなかった場合(103:No)、ステップ104に進む。
【0042】
CPUaは、ステップ104に進むと、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件が成立した場合(104:Yes)、CPUaは、ステップ113に進み、プログラムP1の実行を終了する。終了条件が成立していない場合(104:No)、CPUaは、ステップ102に戻る。
【0043】
CPUaは、ステップ105に進むと、制御信号パターンに従って駆動装置等を制御して、自車両を経路Rに沿って進行させる。そして、CPUaは、ステップ106に進む。
【0044】
CPUaは、ステップ106に進むと、自車両が目標位置TPに到達したか否かを判定する。自車両が目標位置TPに到達した場合(106:Yes)、CPUaは、ステップ107に進む。一方、自車両が未だ目標位置TPに到達していない場合(106:No)、CPUaは、ステップ102に戻る。
【0045】
CPUaは、ステップ107に進むと、信号RSを発信するとともに、自車両を目標位置TPにて一時的に停止させて待機する。なお、イグニッションスイッチがオン状態に保持されている。そして、CPUaは、ステップ108に進む。
【0046】
CPUaは、ステップ108に進むと、スマートフォン60から信号DSを受信したか否かを判定する。CPUaは、信号DSを受信した場合(108:Yes)、ステップ109に進む。CPUaは、信号DSを受信しなかった場合(108:No)、後述するステップ112に進む
【0047】
CPUaは、ステップ109に進むと、信号DSに従って、シフトポジションSPを変更する。そして、CPUaは、ステップ110に進む。
【0048】
CPUaは、ステップ110に進むと、スマートフォン60から第二信号S2を受信したか否かを判定する。CPUaは、第二信号S2を受信した場合(110:Yes)、CPUaは、ステップ111に進む。一方、CPUaは、第二信号S2を受信しなかった場合(111:No)、ステップ112に進む。
【0049】
CPUaは、ステップ111に進むと、駆動装置等を制御して、自車両を進行(前進又は後進)させる。そして、CPUaは、ステップ112に進む。
【0050】
CPUaは、ステップ112に進むと、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件が成立した場合(112:Yes)、CPUaは、ステップ113に進み、プログラムP1の実行を終了する。終了条件が成立していない場合(112:No)、CPUaは、ステップ108に戻る。
【0051】
つぎに、
図6を参照して、スマートフォン60の演算装置(以下、「CPUb」と称呼する。)が実行する処理(プログラムP2)を具体的に説明する。
【0052】
プログラムP2は、所定のサーバーコンピュータからスマートフォン60にダウンロードされてインストールされる。ユーザーがスマートフォン60の表示装置に表示されているプログラムP2のアイコンをタップすると、CPUbは、ステップ200からプログラムP2の実行を開始し、ステップ201に進む。
【0053】
CPUbは、ステップ201に進むと、駐車支援ECU10の認証処理が完了したか否かを判定する。認証処理が完了した場合(201;Yes)、CPUbは、ステップ202に進む。一方、認証処理が未完了である場合(201:No)、CPUbは、ステップ201に戻る。
【0054】
CPUbは、ステップ202に進むと、画像G1を表示する。そして、CPUbは、ステップ203に進む。
【0055】
CPUbは、ステップ203に進むと、ダイヤルDが操作されているか否かを判定する。ダイヤルDが操作されている場合(203:Yes)、CPUbは、ステップ205に進む。一方、ダイヤルDが操作されていない場合(203:No)、CPUbは、ステップ204に進む。
【0056】
CPUbは、ステップ204に進むと、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件が成立した場合(204:Yes)、CPUbは、後述するステップ216に進む。終了条件が成立していない場合(204:No)、CPUbは、ステップ203に戻る。
【0057】
CPUbは、ステップ205に進むと、第一信号S1を発信する。そして、CPUbは、ステップ206に進む。
【0058】
CPUbは、ステップ206に進むと、信号RSを受信したか否かを判定する。CPUbは、信号RSを受信した場合(206:Yes)、ステップ207に進む。CPUbは、信号RSを受信していない場合(206:No)、ステップ203に戻る。
【0059】
CPUbは、ステップ207に進むと、画像G2を表示する。そして、CPUbは、ステップ208に進む。
【0060】
CPUbは、ステップ208に進むと、修正開始ボタンSBがタップされたか否かを判定する。修正開始ボタンSBがタップされた場合(208:Yes)、CPUbは、ステップ210に進む。一方、修正開始ボタンSBがタップされていない場合(208:No)、CPUbは、ステップ209に進む。
【0061】
CPUbは、ステップ209に進むと、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件が成立した場合(209:Yes)、CPUbは、後述するステップ216に進む。終了条件が成立していない場合(209:No)、CPUbは、ステップ208に戻る。
【0062】
CPUbは、ステップ210に進むと、画像G3を表示する。そして、CPUbは、ステップ211に進む。
【0063】
CPUbは、ステップ211に進むと、方向選択ボタン(前進ボタンFW又は後進ボタンBW)がタップされたか否かを判定する。方向選択ボタンがタップされた場合(211:Yes)、CPUbは、ステップ212に進む。一方、方向選択ボタンがタップされていない場合(211:No)、CPUbは、ステップ215に進む。
【0064】
CPUbは、ステップ212に進むと、方向選択ボタンに対応した信号DSを発信する。そして、CPUbは、ステップ213に進む。
【0065】
CPUbは、ステップ213に進むと、ダイヤルDが操作されているか否かを判定する。ダイヤルDが操作されている場合(213:Yes)、CPUbは、ステップ214に進む。一方、ダイヤルDが操作されていない場合(213:No)、CPUbは、ステップ215に進む。
【0066】
CPUbは、ステップ214に進むと、第二信号S2を発信する。そして、CPUbは、ステップ215に進む。
【0067】
CPUbは、ステップ215に進むと、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件が成立した場合(215:Yes)、CPUbは、ステップ216に進み、プログラムP2の実行を終了する。一方、終了条件が成立していない場合(215:No)、CPUbは、ステップ211に戻る。
【0068】
(効果)
駐車支援システム1によれば、駐車支援ECU10は、自車両を目標位置TPに到達させた時点から、イグニッションスイッチをオン状態に保持したまま、自動駐車制御を終了せずに待機している。そして、当該待機状態から、ユーザーは、自車両を再起動することなく、遠隔操作を開始して、自車両の位置を修正できる。よって、駐車支援システム1によれば、ユーザーは、簡単に自車両の駐車位置を修正できる。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0070】
(変形例1)
上記の駐車支援システム1は、遠隔操作により、自車両を目標位置TPから前方又は後方へ移動可能に構成されている。これに加え、駐車支援システム1は、遠隔操作により、自車両を目標位置から左方又は右方へ移動可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…駐車支援システム、10…駐車支援ECU、20…車載センサ、30…駆動装置、40…制動装置、50…ステアリング装置、60…スマートフォン