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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】運行管理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/127 20060101AFI20250701BHJP
【FI】
G08G1/127 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022169481
(22)【出願日】2022-10-21
(65)【公開番号】P2024061502
(43)【公開日】2024-05-07
【審査請求日】2024-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 伊吹
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-033025(JP,A)
【文献】特開2020-091673(JP,A)
【文献】特開2018-055474(JP,A)
【文献】特開2020-004336(JP,A)
【文献】特開2010-061582(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0010803(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客を乗せて運行される車両と通信を行う通信部と、
第1時間間隔で送信され、送信される時刻における前記車両の運行状態を示す第1データと、前記第1時間間隔よりも長い第2時間間隔で送信され、送信される時刻までの複数の時刻における前記車両の運行状態を示す第2データとを、前記通信部を介して前記車両から受信し、受信した第1データを参照して、前記車両が一連の運行状態のそれぞれに遷移した時刻を示す第3データを生成し、受信した第1データに、前記一連の運行状態のうちの少なくとも1つを示すデータの欠落があると判定すると、受信した第2データを参照して、前記第3データを補完する制御部と
を備え
前記一連の運行状態には、あらかじめ定められた順番があり、
前記制御部は、受信した第1データで示される運行状態が前記順番のとおりでない場合に前記欠落があると判定する運行管理装置。
【請求項2】
乗客を乗せて運行される車両と通信を行う通信部と、
第1時間間隔で送信され、送信される時刻における前記車両の運行状態を示す第1データと、前記第1時間間隔よりも長い第2時間間隔で送信され、送信される時刻までの複数の時刻における前記車両の運行状態を示す第2データとを、前記通信部を介して前記車両から受信し、受信した第1データを参照して、前記車両が一連の運行状態のそれぞれに遷移した時刻を示す第3データを生成し、受信した第1データに、前記一連の運行状態のうちの少なくとも1つを示すデータの欠落があると判定すると、受信した第2データを参照して、前記第3データを補完する制御部と
を備え
前記制御部は、前記複数の時刻のうち、受信した第2データで示される運行状態が前記一連の運行状態のうちの前記少なくとも1つに相当する最も早い時刻を、前記車両が前記一連の運行状態のうちの前記少なくとも1つに遷移した時刻として示すデータを前記第3データに追加することで、前記第3データを補完する運行管理装置。
【請求項3】
乗客を乗せて運行される車両と通信を行う通信部と、
第1時間間隔で送信され、送信される時刻における前記車両の運行状態を示す第1データと、前記第1時間間隔よりも長い第2時間間隔で送信され、送信される時刻までの複数の時刻における前記車両の運行状態を示す第2データとを、前記通信部を介して前記車両から受信し、受信した第1データを参照して、前記車両が一連の運行状態のそれぞれに遷移した時刻を示す第3データを生成し、受信した第1データに、前記一連の運行状態のうちの少なくとも1つを示すデータの欠落があると判定すると、受信した第2データを参照して、前記第3データを補完する制御部と
を備え
前記第1データは、前記第1データが送信される時刻における前記車両の運行状態を前記一連の運行状態のうちの1つで示すデータであり、
前記第2データは、前記複数の時刻における前記車両の運行状態をそれぞれ前記一連の運行状態よりも少ない2種類以上の運行状態のうちの1つで示すデータである運行管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記車両が自動運転で運行されているときに、前記第1データ及び前記第2データの両方を受信して、前記第3データを生成し、前記車両が手動運転で運行されているときに、前記第1データ及び前記第2データのうち前記第2データのみを受信し、受信した第2データを参照して、前記車両が前記2種類以上の運行状態のそれぞれに遷移した時刻を示す第4データを生成する請求項3に記載の運行管理装置。
【請求項5】
前記第2データは、前記車両に搭載され、前記車両の内部又は外部に向けて情報を提示するサイネージから得られるデータである請求項4に記載の運行管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運行管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動運転ECUの運転モードに応じて、記録するデータを変える装置が開示されている。「ECU」は、electronic control unitの略語である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-174413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転ECUから得られるデータを参照して、自動運転バスの運行を遠隔で管理することが考えられる。通信負荷を抑えるために、自動運転バスからデータを取得する頻度を制限することが望ましいが、必要なデータが欠落して、自動運転バスの運行を完全には管理できないおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、通信負荷を抑えつつ、車両の運行を遠隔で十分に管理できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る運行管理装置は、
乗客を乗せて運行される車両と通信を行う通信部と、
第1時間間隔で送信され、送信される時刻における前記車両の運行状態を示す第1データと、前記第1時間間隔よりも長い第2時間間隔で送信され、送信される時刻までの複数の時刻における前記車両の運行状態を示す第2データとを、前記通信部を介して前記車両から受信し、受信した第1データを参照して、前記車両が一連の運行状態のそれぞれに遷移した時刻を示す第3データを生成し、受信した第1データに、前記一連の運行状態のうちの少なくとも1つを示すデータの欠落があると判定すると、受信した第2データを参照して、前記第3データを補完する制御部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、通信負荷を抑えつつ、車両の運行を遠隔で十分に管理できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る運行管理装置の構成を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る運行管理装置の動作を示すフローチャートである。
図4】本開示の実施形態に係る自動モード運行実績判定ロジックの例を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る手動モード運行実績判定ロジックの例を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る運行監視画面表示の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について、図を参照して説明する。
【0010】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0011】
図1を参照して、本実施形態に係るシステム10の構成を説明する。
【0012】
本実施形態に係るシステム10は、運行管理装置20と、車両30とを備える。運行管理装置20は、ネットワーク40を介して、車両30と通信可能である。
【0013】
運行管理装置20は、データセンター又は運行管理センターなどの施設に設置され、車両30の運行を管理する事業者によって運用される。運行管理装置20は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバなどのコンピュータである。
【0014】
車両30は、乗客を乗せて運行される。車両30は、例えば、路線バスなどのバスとして運行される。車両30は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、水素車、HEV、PHEV、BEV、又はFCEVなどの任意の種類の自動車である。「HEV」は、hybrid electric vehicleの略語である。「PHEV」は、plug-in hybrid electric vehicleの略語である。「BEV」は、battery electric vehicleの略語である。「FCEV」は、fuel cell electric vehicleの略語である。車両30は、AVでもよいし、又は運転手によって運転されてもよいが、本実施形態では、いずれかを自由に選択することができる。「AV」は、autonomous vehicleの略語である。車両30は、MaaS専用車両でもよい。「MaaS」は、Mobility as a Serviceの略語である。
【0015】
車両30には、自動運転モジュール31と、サイネージ32と、第1通信機33と、第2通信機34とが搭載されている。
【0016】
自動運転モジュール31は、例えば、ECUである。自動運転モジュール31は、車両30の自動運転を制御する。例えば、自動運転モジュール31は、運行開始時刻が近づくと、運行管理装置20から送信される運行ダイヤを、第1通信機33を介して受信する。運行ダイヤでは、車両30が車庫を出発する時刻、車両30が始発停留所に到着する時刻、車両30が始発停留所を出発する時刻、車両30が最終停留所に到着する時刻、車両30が最終停留所を出発する時刻、及び車両30が車庫に到着する時刻が指定される。運行ダイヤでは、車両30が1つ以上の他の停留所に到着する時刻、及び車両30が1つ以上の他の停留所を出発する時刻が更に指定されてもよい。自動運転モジュール31は、受信した運行ダイヤに従って、車両30を自動運転で移動させる。
【0017】
サイネージ32は、例えば、車両30の内部の電光掲示板、車両30の内部の自動音声スピーカ、又は車両30の外部の電光掲示板である。サイネージ32は、車両30の内部又は外部に向けて情報を提示する。例えば、サイネージ32は、車両30が停留所に近づくと、その停留所に到着することを乗客又は周囲に通知する。あるいは、サイネージ32は、路線図上で車両30の位置をリアルタイムに表示してもよい。
【0018】
第1通信機33及び第2通信機34は、それぞれLTE、4G規格、又は5G規格などの移動通信規格に対応した通信機である。「LTE」は、Long Term Evolutionの略語である。「4G」は、4th generationの略語である。「5G」は、5th generationの略語である。第1通信機33は、自動運転モジュール31と運行管理装置20との間の通信に用いられる。第2通信機34は、サイネージ32と運行管理装置20との間の通信に用いられる。
【0019】
ネットワーク40は、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの任意の組合せを含む。「WAN」は、wide area networkの略語である。「MAN」は、metropolitan area networkの略語である。ネットワーク40は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。「LAN」は、local area networkの略語である。
【0020】
図1を参照して、本実施形態の概要を説明する。
【0021】
運行管理装置20は、第1データD1及び第2データD2を車両30から受信する。第1データD1は、第1時間間隔T1で送信され、送信される時刻における車両30の運行状態を示すデータである。第2データD2は、第1時間間隔T1よりも長い第2時間間隔T2で送信され、送信される時刻までの複数の時刻における車両30の運行状態を示すデータである。運行管理装置20は、受信した第1データD1を参照して、第3データD3を生成する。第3データD3は、車両30が「一連の運行状態」のそれぞれに遷移した時刻を示すデータである。運行管理装置20は、受信した第1データD1に、「一連の運行状態」のうちの少なくとも1つを示すデータの欠落があると判定すると、受信した第2データD2を参照して、第3データD3を補完する。
【0022】
本実施形態によれば、第1データD1に、運行管理に必要なデータの欠落があっても、後から受信する第2データD2を活用して、運行管理用のデータを補完することができる。よって、第1データD1が高頻度で送信されなくても、運行管理に必要なデータを確保することができる。すなわち、通信負荷を抑えつつ、車両30の運行を遠隔で十分に管理できるようになる。
【0023】
本実施形態では、運行管理装置20は、自動運転モジュール31から第1通信機33を介して第1データD1を取得するとともに、サイネージ32から第2通信機34を介して第2データD2を取得する。第1データD1は、車両30の運行状態を示す最新値として、状況番号を含む。状況番号「1」は、車両30の運行状態が「到着準備」であることを示す。状況番号「2」は、車両30の運行状態が「到着」であることを示す。状況番号「3」は、車両30の運行状態が「乗降中」であることを示す。状況番号「4」は、車両30の運行状態が「発車」であることを示す。第2データD2は、車両30の運行状態の履歴を示す累積データとして、時刻と状況番号との複数の組合せを含む。運行管理装置20は、車両30の運転モードが自動モードの場合、自動運転モジュール31からの情報を運行実績情報として採用する。第1データD1が欠落した場合、又は自動運転モジュール31の通信頻度よりも短い間に車両30の運行状態が2つ以上変化した場合、状況番号が欠落してしまう。そのため、運行管理装置20は、第2データD2の中から、欠落した状況番号と組合せになっている時刻のうち最も早い時刻を選択することにより、サイネージ32からの情報で運行実績情報を補完する。例えば、状況番号が「1」から「3」に飛んでおり、状況番号が連続していない場合、第2データD2の中から、欠落した状況番号「2」と組合せになっている時刻のうち最も早い時刻を選択する。その結果、車両30の運行状態が「到着準備」になった時刻と、車両30の運行状態が「乗降中」になった時刻とが特定されるだけでなく、自動運転モジュール31からの情報では不足している、車両30の運行状態が「到着」になった時刻も特定される。すなわち、車両30の運行状態が「到着準備」から「乗降中」になるまでの完全な運行実績に関する情報が取得可能となる。
【0024】
運行管理装置20は、車両30の運転モードが手動モードの場合、サイネージ32からの情報を運行実績情報として採用してもよい。
【0025】
運行管理装置20は、運行実績に関する情報を外部に提供してもよい。例えば、運行管理装置20は、第3データD3を、ネットワーク40を介して、第三者サービス50を提供する外部のサーバ装置に送信してもよい。
【0026】
図2を参照して、本実施形態に係る運行管理装置20の構成を説明する。
【0027】
運行管理装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを備える。
【0028】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部21は、運行管理装置20の各部を制御しながら、運行管理装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0029】
記憶部22は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM、ROM、又はフラッシュメモリである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。フラッシュメモリは、例えば、SSDである。「SSD」は、solid-state driveの略語である。磁気メモリは、例えば、HDDである。「HDD」は、hard disk driveの略語である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、運行管理装置20の動作に用いられるデータと、運行管理装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0030】
通信部23は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、Ethernet(登録商標)などの有線LAN通信規格に対応したインタフェース、又はIEEE802.11などの無線LAN通信規格に対応したインタフェースである。「IEEE」は、Institute of Electrical and Electronics Engineersの略称である。通信部23は、車両30と通信を行う。本実施形態では、通信部23は、特に第1通信機33及び第2通信機34と通信を行う。通信部23は、運行管理装置20の動作に用いられるデータを受信し、また運行管理装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0031】
運行管理装置20の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部21としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、運行管理装置20の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、運行管理装置20の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを運行管理装置20として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って運行管理装置20の動作を実行することにより運行管理装置20として機能する。
【0032】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSDカード、DVD、又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「SD」は、Secure Digitalの略語である。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0033】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムは、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものを含む。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0034】
運行管理装置20の一部又は全ての機能が、制御部21としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、運行管理装置20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0035】
図3を参照して、本実施形態に係る運行管理装置20の動作を説明する。この動作は、本実施形態に係る運行管理方法に相当する。
【0036】
ステップS1において、運行管理装置20の制御部21は、第1データD1を、通信部23を介して車両30から受信する。第1データD1は、第1時間間隔T1で送信され、送信される時刻における車両30の運行状態を「一連の運行状態」のうちの1つで示すデータである。本実施形態では、第1データD1は、自動運転モジュール31から得られるデータである。そのため、制御部21は、第1データD1を、通信部23を介して第1通信機33から受信する。
【0037】
ステップS1の処理は、第1通信機33から第1データD1が送信される度に実行される。すなわち、ステップS1の処理は、通信に異常がなければ、第1時間間隔T1で実行される。
【0038】
ステップS2において、運行管理装置20の制御部21は、第2データD2を、通信部23を介して車両30から受信する。第2データD2は、第1時間間隔T1よりも長い第2時間間隔T2で送信され、送信される時刻までの複数の時刻における車両30の運行状態をそれぞれ「一連の運行状態」よりも少ない「2種類以上の運行状態」のうちの1つで示すデータである。本実施形態では、第2データD2は、サイネージ32から得られるデータである。そのため、制御部21は、第2データD2を、通信部23を介して第2通信機34から受信する。
【0039】
ステップS2の処理は、第2通信機34から第2データD2が送信される度に実行される。すなわち、ステップS2の処理は、通信に異常がなければ、第2時間間隔T2で実行される。
【0040】
ステップS3において、運行管理装置20の制御部21は、車両30の運転モードが自動モードであるか、それとも手動モードであるかを判定する。自動モードでの運転の自動化のレベルは、例えば、SAEのレベル分けにおけるレベル3からレベル5のいずれかである。「SAE」は、Society of Automotive Engineersの略称である。手動モードでもある程度は運転が自動化されてよい。手動運転時の自動化のレベルは、例えば、SAEのレベル分けにおけるレベル0からレベル2のいずれかである。制御部21は、車両30から第1データD1が送信されているかどうかによって車両30の運転モードを判定してもよいし、又は車両30から運転モードを運行管理装置20に通知するデータを受信して車両30の運転モードを判定してもよい。
【0041】
ステップS3の処理は、ステップS1の処理が実行される度に実行される。ステップS3で車両30の運転モードが自動モードであると判定された場合、すなわち、車両30が自動運転で運行されているときは、ステップS4の処理が実行される。一方、ステップS3で車両30の運転モードが手動モードであると判定された場合、すなわち、車両30が手動運転で運行されているときは、ステップS7の処理が実行される。
【0042】
ステップS4において、運行管理装置20の制御部21は、ステップS1で受信した第1データD1を参照して、第3データD3を生成する。第3データD3は、車両30が「一連の運行状態」のそれぞれに遷移した時刻を示すデータである。
【0043】
ステップS5において、運行管理装置20の制御部21は、ステップS1で受信した第1データD1に、「一連の運行状態」のうちの少なくとも1つを示すデータの欠落があるかどうかを判定する。
【0044】
ステップS5で第1データD1に欠落があると判定された場合は、ステップS6の処理が実行される。一方、ステップS5で第1データD1に欠落がないと判定された場合は、ステップS8の処理が実行される。
【0045】
ステップS6において、運行管理装置20の制御部21は、ステップS2で受信した第2データD2を参照して、第3データD3を補完する。本実施形態では、制御部21は、複数の時刻のうち、ステップS2で受信した第2データD2で示される運行状態が「一連の運行状態」のうちの少なくとも1つに相当する最も早い時刻を、車両30が「一連の運行状態」のうちの少なくとも1つに遷移した時刻として示すデータを第3データD3に追加することで、第3データD3を補完する。その後、ステップS8の処理が実行される。
【0046】
ステップS6の処理は、ステップS2の処理が実行された後に実行される。すなわち、ステップS6の処理は、ステップS3からステップS5の処理が実行された後、第3データD3の補完に必要なデータが得られるまで待ってから実行される。
【0047】
ステップS7において、運行管理装置20の制御部21は、ステップS2で受信した第2データD2を参照して、第4データD4を生成する。第4データD4は、車両30が「2種類以上の運行状態」のそれぞれに遷移した時刻を示すデータである。その後、ステップS8の処理が実行される。
【0048】
ステップS7の処理は、ステップS2の処理が実行された後に実行される。すなわち、ステップS7の処理は、ステップS3の処理が実行された後、第4データD4の生成に必要なデータが得られるまで待ってから実行される。
【0049】
ステップS2で受信される第2データD2は、複数の時刻における車両30の運行状態をそれぞれ「2種類以上の運行状態」のうちの1つで示すデータではなく、複数の時刻における車両30の運行状態をそれぞれ「一連の運行状態」のうちの1つで示すデータであってもよい。そのような変形例において、ステップS7で生成される第4データD4は、車両30が「一連の運行状態」のそれぞれに遷移した時刻を示すデータである。
【0050】
ステップS8において、運行管理装置20の制御部21は、ステップS4で生成した第3データD3、若しくはステップS4で生成し、ステップS6で補完した第3データD3、又はステップS7で生成した第4データD4を実績データD5として記憶部22に保存する。制御部21は、保存した実績データD5を、通信部23を介して、第三者サービス50を提供する外部のサーバ装置に送信してもよい。
【0051】
図4に、本実施形態に係る自動モード運行実績判定ロジックの例を示す。
【0052】
自動運転モジュール31からは、「一連の運行状態」のいずれかに対応する状況番号を含むデータが1秒おきに得られる。「一連の運行状態」は、順番に「到着準備」、「到着」、「乗降中」、「発車」、・・・である。状況番号「1」、「2」、「3」、「4」、・・・は、それぞれ「一連の運行状態」の「到着準備」、「到着」、「乗降中」、「発車」、・・・に対応する。図4に示した例では、自動運転モジュール31から経過時間「0秒」、「1秒」、「2秒」、「3秒」、「4秒」、「5秒」、・・・に得られたデータに、それぞれ状況番号「1」、「1」、「2」、「2」、「2」、「3」、・・・が含まれている。
【0053】
第1時間間隔T1は、5秒間隔である。そのため、第1通信機33からは、第1データD1として、直近の経過時間と、自動運転モジュール31から直近に得られた状況番号との組合せを含むデータが5秒おきに送信される。第1通信機33は、データ送信に失敗したらデータを再送してもよい。第1通信機33は、データ送信に2回以上失敗したらデータを再送しなくてもよい。データ保証がない代わりに、通信負荷を軽減し、通信遅延を最小化することができる。図4に示した例では、第1通信機33から、第1データD1として、経過時間「0秒」と状況番号「1」との組合せを含むデータが送信されている。その後、第1通信機33から、第1データD1として、経過時間「5秒」と状況番号「3」との組合せを含むデータが送信されている。
【0054】
サイネージ32からは、「一連の運行状態」よりも少ない「2種類以上の運行状態」のいずれかに対応する状況番号を含むデータが1秒おきに得られる。「2種類以上の運行状態」は、順番に「移動中」、「到着」、・・・である。状況番号「1」、「2」、・・・は、それぞれ「2種類以上の運行状態」の「移動中」、「到着」、・・・に対応する。図4に示した例では、サイネージ32から経過時間「0秒」、「1秒」、「2秒」、「3秒」、「4秒」、「5秒」、・・・に得られたデータに、それぞれ状況番号「1」、「1」、「2」、「2」、「2」、「2」、・・・が含まれている。
【0055】
第2時間間隔T2は、30秒間隔である。そのため、第2通信機34からは、第2データD2として、直近30秒間の各経過時間と、サイネージ32から直近30秒間に得られた、対応する状況番号との組合せを含むデータが30秒おきに送信される。第2通信機34は、データ送信に失敗したらデータを再送してもよい。第2通信機34は、データ送信に成功するまでデータを何度も再送してもよい。データ保証があることで、データ解析に活用するために全データを蓄積することができる。図4に示した例では、第2通信機34から、第2データD2として、経過時間「0秒」、「1秒」、「2秒」、「3秒」、「4秒」、「5秒」、・・・と、状況番号「1」、「1」、「2」、「2」、「2」、「2」、・・・とのそれぞれの組合せを含むデータが送信されている。
【0056】
ステップS1において、運行管理装置20の制御部21は、第1データD1として、経過時間「0秒」と状況番号「1」との組合せを含むデータを、通信部23を介して第1通信機33から受信する。ステップS3において、制御部21は、車両30の運転モードが自動モードであると判定する。ステップS4において、制御部21は、第3データD3として、経過時間「0秒」と状況番号「1」との組合せを含むデータを生成する。ステップS5において、制御部21は、ステップS1で受信した第1データD1に欠落がないと判定する。ステップS8において、制御部21は、ステップS4で生成した第3データD3を実績データD5として記憶部22に保存する。
【0057】
再びステップS1において、運行管理装置20の制御部21は、第1データD1として、経過時間「5秒」と状況番号「3」との組合せを含むデータを、通信部23を介して第1通信機33から受信する。ステップS3において、制御部21は、車両30の運転モードが自動モードであると判定する。ステップS4において、制御部21は、第3データD3として、経過時間「5秒」と状況番号「3」との組合せを含むデータを生成する。ステップS5において、制御部21は、状況番号が「1」から「3」に飛んでいるため、ステップS1で受信した第1データD1に欠落があると判定する。ステップS2において、制御部21は、第2データD2として、経過時間「0秒」、「1秒」、「2秒」、「3秒」、「4秒」、「5秒」、・・・と、状況番号「1」、「1」、「2」、「2」、「2」、「2」、・・・とのそれぞれの組合せを含むデータを、通信部23を介して第2通信機34から受信する。ステップS6において、制御部21は、経過時間「0秒」、「1秒」、「2秒」、「3秒」、「4秒」、「5秒」、・・・のうち、状況番号が「2」の最も早い経過時間が「2秒」であるため、経過時間「2秒」と状況番号「2」との組合せを含むデータを第3データD3に追加することで、第3データD3を補完する。この例では、第2データD2に含まれる状況番号「2」は、第3データD3に含まれる状況番号「2」に相当する。すなわち、「2種類以上の運行状態」の「到着」は、「一連の運行状態」の「到着」に相当する。「2種類以上の運行状態」の「到着」は、「一連の運行状態」の「乗降中」にも相当してよい。「2種類以上の運行状態」の「移動中」は、「一連の運行状態」の「到着準備」に相当する。「2種類以上の運行状態」の「移動中」は、「一連の運行状態」の「発車」にも相当してよい。例えば、状況番号が「1」から「4」に飛んでいたとすると、制御部21は、経過時間「0秒」、「1秒」、「2秒」、「3秒」、「4秒」、「5秒」、・・・のうち、「2秒」を除く、状況番号が「2」の最も早い経過時間が「3秒」であるため、経過時間「3秒」と状況番号「3」との組合せを含むデータを第3データD3に更に追加することで、第3データD3を補完してもよい。ステップS8において、制御部21は、ステップS4で生成し、ステップS6で補完した第3データD3を実績データD5として記憶部22に保存する。
【0058】
図5に、本実施形態に係る手動モード運行実績判定ロジックの例を示す。
【0059】
図5に示した例では、自動運転モジュール31からはデータが得られない。そのため、第1通信機33からも第1データD1が送信されていない。
【0060】
図5に示した例では、サイネージ32から図4に示した例と同様のデータが得られる。そのため、第2通信機34からも、第2データD2として、図4に示した例と同様のデータが送信されている。
【0061】
ステップS2において、運行管理装置20の制御部21は、第2データD2として、経過時間「0秒」、「1秒」、「2秒」、「3秒」、「4秒」、「5秒」、・・・と、状況番号「1」、「1」、「2」、「2」、「2」、「2」、・・・とのそれぞれの組合せを含むデータを、通信部23を介して第2通信機34から受信する。ステップS3において、制御部21は、車両30の運転モードが手動モードであると判定する。ステップS7において、制御部21は、第4データD4として、経過時間「0秒」及び「2秒」と、状況番号「1」及び「2」とのそれぞれの組合せを含むデータを生成する。ステップS8において、制御部21は、ステップS7で生成した第4データD4を実績データD5として記憶部22に保存する。
【0062】
運行管理装置20の制御部21は、実績データD5に基づいて、車両30の位置及び状況を運行監視画面に表示してもよい。例えば、図6に示すように、運行監視画面では、各停留所が丸などの記号で表される。停留所間は直線で結ばれる。車両30が停留所Aに到着したときは、「一連の運行状態」の「到着」というテキストが表示されるとともに、停留所Aの記号の上に、三角など、車両30の記号が表示される。車両30が停留所Aを出発したときは、「一連の運行状態」の「発車」というテキストが表示されるとともに、停留所Aと次の停留所Bとを結ぶ直線の上で、停留所Aに近い位置に、車両30の記号が表示される。車両30が停留所Bへの到着を準備しているときは、「一連の運行状態」の「到着準備」というテキストが表示されるとともに、停留所Aと停留所Bとを結ぶ直線の上で、停留所Bに近い位置に、車両30の記号が表示される。車両30が停留所Bに到着したときは、「一連の運行状態」の「到着」というテキストが表示されるとともに、停留所Bの記号の上に、車両30の記号が表示される。
【0063】
上述したように、本実施形態では、運行管理装置20の制御部21は、車両30が自動運転で運行されているときに、第1データD1及び第2データD2の両方を受信して、第3データD3を生成する。制御部21は、車両30が手動運転で運行されているときに、第1データD1及び第2データD2のうち第2データD2のみを受信し、受信した第2データD2を参照して、第4データD4を生成する。本実施形態によれば、車両30が自動運転で運行されているときは、即時性のある運行実績の記録が可能になるとともに、不足データを補間することによって、車両30が手動運転で運行されているときと同様に、完全な運行実績の記録も可能になる。
【0064】
本実施形態によれば、車両30の到着を検知して特別な処理を実行するようなケースにおいて、処理漏れを防止することができる。例えば、最終停留所における車両30の到着後に運行監視画面内の路線図の表示を消すという処理の実行漏れを防止することができる。
【0065】
本実施形態によれば、データ欠落によるデータ分析への悪影響を防止することができる。例えば、1日の運行実績をまとめて報告する際の報告漏れを防止することができる。運行ダイヤの改定時に運行実績の確認漏れを防止することもできる。
【0066】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の2つ以上のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の2つ以上のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 システム
20 運行管理装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
30 車両
31 自動運転モジュール
32 サイネージ
33 第1通信機
34 第2通信機
40 ネットワーク
50 第三者サービス
図1
図2
図3
図4
図5
図6