(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】AVPシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20250701BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/09 V
(21)【出願番号】P 2023014246
(22)【出願日】2023-02-01
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
(72)【発明者】
【氏名】岡村 竜路
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 仙之
(72)【発明者】
【氏名】角間 大輔
【審査官】小林 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-095945(JP,A)
【文献】特開2020-124940(JP,A)
【文献】特開2020-187563(JP,A)
【文献】特開2020-201666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G06Q 10/00-10/30
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場と、乗降場所と、集荷場所と、を含む所定のエリアにおいて車両の移動を管理するAVPシステムであって、
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、ユーザからの駐車リクエストを受けて、前記乗降場所に停車する前記車両を駐車させる駐車処理を実行するように構成され、
前記駐車処理は、
前記集荷場所で前記車両から集荷予定の預け荷物の有無を
、前記車両が前記乗降場所に停車している際に取得することと、
前記預け荷物が有る場合に、前記車両を前記乗降場所から前記集荷場所に移動させることと、
前記車両を
前記集荷場所に
移動させた後、前記預け荷物が前記車両から集荷されたことを受けて前記車両を前記駐車場に駐車させることと、
を含む
ことを特徴とするAVPシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のAVPシステムであって、
前記駐車処理は、前記預け荷物が無い場合に、前記車両を前記駐車場に駐車させることをさらに含む
ことを特徴とするAVPシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のAVPシステムであって、
前記集荷場所は、集荷作業の動線距離がそれぞれ異なる複数の集荷スペースを含み、
前記車両を前記乗降場所から前記集荷場所に移動させることは、
前記預け荷物の属性情報を取得することと、
前記属性情報に基づいて前記預け荷物の集荷作業に伴う作業負担の大きさを判断することと、
前記複数の集荷スペースのうち、前記作業負担の大きさが大きいほど前記動線距離が短い集荷スペースに前記車両を停車させることと、
を含む
ことを特徴とするAVPシステム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のAVPシステムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、前記集荷場所に前記車両を移動させた後、前記預け荷物の集荷が完了したことを示す集荷済信号を受信したことを受けて、前記預け荷物が前記車両から集荷されたと判断するように構成されている
ことを特徴とするAVPシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のAVPシステムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、ユーザからの配車リクエストを受けて、前記駐車場に駐車する前記車両を配車させる配車処理をさらに実行するように構成され、
前記配車処理は、
前記集荷場所で前記車両が引き取り予定の引取荷物の有無を
、前記車両が前記駐車場に存在している際に取得することと、
前記引取荷物が有る場合に、前記車両を前記駐車場から前記集荷場所に移動させることと、
前記車両を前記集荷場所に移動させた後、前記引取荷物が前記車両に積載されたことを受けて前記車両を前記乗降場所に移動させることと、
を含む
ことを特徴とするAVPシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、所定の領域において車両の移動を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザを乗せるための第1の自動運転車両と、ユーザの荷物を載せるための第2の自動運転車両とを、ユーザの搭乗地点から空港まで隊列走行させる旨の制御指令を送信することと、空港到着後に、第1の自動運転車両を乗客ターミナルに移動させ、第2の自動運転車両を荷捌き場に移動させる旨の制御指令を送信することと、を実行する制御部を備えた情報処理装置が開示されている。
【0003】
その他、本技術分野の技術レベルを示す文献として以下の特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-135028号公報
【文献】特開2020-166764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空港やホテル等の施設の駐車場を利用するユーザは、車両に積載する荷物を預けることを予定している場合が想定される。しかしながら、荷物を車両から取り出して預かり場所まで持ち歩くことや預かり場所で手続を行うことは、ユーザにとって煩わしさを感じる行為の1つである。
【0006】
特許文献1に開示される技術によれば、第1の自動運転車両と第2の自動運転車両の2つの自動運転車両が用いられる。このため導入コストが高く、広く一般のユーザに普及させることが困難である。
【0007】
本開示の1つの目的は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、車両に積載する荷物を預けることを予定しているユーザの煩わしさを低減することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、駐車場と乗降場所と集荷場所とを含む所定のエリアにおいて車両の移動を管理するAVPシステムに関する。
【0009】
本開示に係るAVPシステムは、1又は複数のプロセッサを備え、1又は複数のプロセッサは、ユーザからの駐車リクエストを受けて、乗降場所に停車する車両を駐車させる駐車処理を実行するように構成される。1又は複数のプロセッサが実行する駐車処理は、集荷場所で車両から集荷予定の預け荷物の有無を取得することと、預け荷物が有る場合に、車両を乗降場所から集荷場所に移動させることと、車両を集荷場所に移動させた後、預け荷物が車両から集荷されたことを受けて車両を駐車場に駐車せることと、を含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車両に積載する荷物を預けることを予定しているユーザの煩わしさを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るAVPシステムによる駐車機能の概要について説明するための概念図である。
【
図2】本実施形態に係るAVPシステムによる配車機能の概要について説明するための概念図である。
【
図3】本実施形態に係るAVPシステムの構成を示す図である。
【
図4】プロセッサが実行する駐車処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】プロセッサが実行する配車処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】変形例に係るAVPシステムにおいてプロセッサが実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0013】
1.概要
本実施形態に係るAVPシステムは、所定のエリアにおいて、ユーザに自動バレーパーキング(AVP;Auto Valet Parking)機能を提供する。本実施形態に係るAVPシステムが適用される所定のエリアは、駐車場と、乗降場所と、集荷場所と、を含むように形成される。乗降場所は、ユーザが車両に乗降するための場所である。集荷場所は、荷物を集荷するための場所である。本実施形態に係るAVPシステムは、典型的には、空港の駐車場を含むエリアに適用される。この場合、集荷場所において集荷する荷物は、ユーザが目的地まで運ぼうとする荷物が想定される。
【0014】
本実施形態に係るAVPシステムが提供するAVP機能の1つは、ユーザからの駐車リクエストを受けて乗降場所に停車する車両を駐車場に駐車させる駐車機能である。以下、
図1を参照して駐車機能の概要について説明する。
【0015】
図1には、本実施形態に係るAVPシステムが適用される所定のエリア20の一例が示されている。
図1に一例として示すエリア20は、駐車場24と、乗降場所21と、集荷場所22と、を含み、それぞれは、車両が通行可能な道路で接続している。集荷場所22は、荷物の集荷先となる集荷施設30に併設されている。集荷施設30は、例えば、空港の手荷物預かりサービスのための施設である。また集荷場所22は、作業者4が作業を行うための3つの集荷スペース23a、23b、及び23cを含んでいる。
【0016】
まずユーザ2は、ユーザ端末200を操作して、駐車リクエストを管制センタ100に送信する。このときユーザ2は、乗降場所21に車両1を停車させ、車両1から降車していることが想定される。ユーザ端末200は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等である。この場合ユーザ端末200は、所定のアプリケーション上でAVP機能が利用可能となるように構成されていて良い。ただし、ユーザ端末200は、AVPシステムを構成するための専用端末であっても良い。例えば、ユーザ端末200は、乗降場所21に設置された専用端末であっても良い。
【0017】
管制センタ100は、駐車リクエストを受信すると、乗降場所21に停車する対象の車両1と通信して、駐車機能による車両1の移動を開始する。管制センタ100は、車両1に指令情報を送信することで、エリア20における車両1の移動を管理する。指令情報は、例えば、移動先地点、移動経路、駐車位置、等の情報である。車両1は、エリア20において、管制センタ100から受信する指令情報に従って自動運転を行うように構成される。
【0018】
本実施形態に係る駐車機能では、集荷場所22で車両1から集荷予定の預け荷物3aの有無が判断される。預け荷物3aは、例えば、空港の手荷物預かりサービスで目的地まで預けることを予定している荷物である。預け荷物3aが有る場合、管制センタ100は、車両1を集荷場所22に移動させ、いずれかの集荷スペースに車両1を停車させる。例えば管制センタ100は、乗降場所21から集荷場所22までの移動経路31aと集荷作業が行われる集荷スペース23bとを指示する指令情報を車両1に送信する。本実施形態に係る駐車機能では、預け荷物3aが有るユーザ2は、預け荷物3aを車両1に積載したまま乗降場所21を離れることができる。
【0019】
一方で預け荷物3aが無い場合、管制センタ100は、車両1を駐車場24に駐車させる。例えば管制センタ100は、乗降場所21から駐車場24までの移動経路32と駐車位置となる駐車枠42とを指示する指令情報を車両1に送信する。
【0020】
車両1が指令情報に従って集荷場所22まで移動し、いずれかの集荷スペースで停車することで、作業者4は、預け荷物3aの集荷作業を開始することができる。集荷作業が完了すると、預け荷物3aの集荷が完了したことを示す集荷済信号が管制センタ100に送信される。例えば集荷作業が完了したとき、作業者4は、作業者端末400を操作して、集荷済信号を送信する。この場合、作業者端末400は、預け荷物3aとユーザ2の照合が行われたことを条件として、集荷済信号が送信可能となるように構成されていて良い。例えば、作業者端末400は、管制センタ100から受信するユーザ2の識別情報と、預け荷物3aにあらかじめ取り付けられた識別コードを読み取ることで取得されるユーザ2の識別情報と、の照合を行うように構成される。このような構成を適用することにより、集荷場所22における預け荷物3aの集荷の管理性を向上させることができる。
【0021】
なお作業者端末400は、所定のアプリケーション上で動作する端末であっても良いし、AVPシステムを構成するための専用端末であっても良い。
【0022】
管制センタ100は、集荷済信号を受信すると、預け荷物3aが車両1から集荷されたと判断し、集荷場所22に停車する車両1を駐車場24に駐車させる。例えば管制センタ100は、集荷場所22から駐車場24までの移動経路31bと駐車位置となる駐車枠41とを指示する指令情報を車両1に送信する。
【0023】
車両1が駐車場24に駐車することで本実施形態に係る駐車機能が完了する。
【0024】
以上説明したように本実施形態に係るAVPシステムは駐車機能を提供する。本実施形態に係る駐車機能により、預け荷物3aが有る場合、車両1の駐車と併せて預け荷物3aの集荷が行われる。これによりユーザ2は、預け荷物3aを預かり場所まで持ち歩くことや預かり場所で手続を行うことを要しない。延いては、ユーザ2の煩わしさを低減することができる。
【0025】
本実施形態に係るAVPシステムが提供するAVP機能の他の1つは、ユーザ2からの配車リクエストを受けて駐車場24に駐車する車両1を配車させる配車機能である。以下、
図2を参照して配車機能の概要について説明する。なお
図2に示すエリア20は、
図1と同様である。
【0026】
まずユーザ2は、ユーザ端末200を操作して、配車リクエストを管制センタ100に送信する。このときユーザ2は、乗降場所21で待機している、又は乗降場所21に向かっていることが想定される。
【0027】
管制センタ100は、配車リクエストを受信すると、駐車場24に駐車する対象の車両1と通信して、配車機能による車両1の移動を開始する。
【0028】
本実施形態に係る配車機能では、集荷場所22で車両1が引き取り予定の引取荷物3bの有無が判断される。引取荷物3bは、例えば、空港の手荷物預かりサービスで目的地において引き取ることを予定している荷物である。引取荷物3bが有る場合、管制センタ100は、車両1を集荷場所22に移動させ、いずれかの集荷スペースに車両1を停車させる。例えば管制センタ100は、駐車場24から集荷場所22までの移動経路33aと集荷作業が行われる集荷スペース23bとを指示する指令情報を車両1に送信する。
【0029】
一方で引取荷物3bが無い場合、管制センタ100は、車両1を乗降場所21に移動させる。例えば管制センタ100は、駐車場24から乗降場所21までの移動経路34を指示する指令情報を車両1に送信する。
【0030】
車両1が指令情報に従って集荷場所22まで移動し、いずれかの集荷スペースで停車することで、作業者4は、引取荷物3bを車両1に積載する積載作業を開始することができる。積載作業が完了すると、引取荷物3bが車両1に積載されたことを示す積載済信号が管制センタ100に送信される。例えば積載作業が完了したとき、作業者4は、作業者端末400を操作して、積載済信号を送信する。この場合、作業者端末400は、引取荷物3bとユーザ2の照合が行われたことを条件として、積載済信号が送信可能となるように構成されていて良い。
【0031】
管制センタ100は、積載済信号を受信すると、集荷場所22に停車する車両1を乗降場所21に移動させる。例えば管制センタ100は、集荷場所22から乗降場所21までの移動経路33bを指示する指令情報を車両1に送信する。
【0032】
車両1が乗降場所21まで移動して停車することで本実施形態に係る配車機能が完了する。配車機能が完了した後、ユーザ2は、乗降場所21で停車する車両1に乗車して車両1の運転を開始することができる。
【0033】
以上説明したように本実施形態に係るAVPシステムは配車機能を提供する。本実施形態に係る配車機能により、引取荷物3bが有る場合、車両1の配車と併せて引取荷物3bの車両1への積載が行われる。これによりユーザ2は、引取荷物3bを引き取ることや引取荷物3bを乗降場所21まで持ち歩くことを要しない。延いては、ユーザ2の煩わしさを低減することができる。
【0034】
2.構成
以下、本実施形態に係るAVPシステムの構成について説明する。
図3は、本実施形態に係るAVPシステム10の構成の一例を示す図である。
【0035】
管制センタ100は、ユーザ端末200、作業者端末400、エリア環境検出センサ500、及び車両1と通信可能に構成される。例えば、管制センタ100は、これらの装置と移動体通信ネットワークやインターネットを介して接続している。
【0036】
エリア環境検出センサ500は、所定のエリア20に設置され、エリア20の環境を検出するセンサである。例えば、エリア環境検出センサ500は、駐車場24の空き状況の取得、集荷スペースの空き状況の取得、エリア20内の車両1の認識(位置、走行状態、等)、エリア20内の歩行者や障害物の認識、等を行う。エリア環境検出センサ500は、例えば、エリア20内の状況を撮像する1又は複数のカメラや駐車場24の駐車スペースに配置された車両検知センサ等で構成される。
【0037】
車両1は、車載センサ610と、通信装置620と、ECU630と、を備えている。
【0038】
車載センサ610は、車両1の運転環境に係る情報を検出する。車載センサ610として、カメラ、ミリ波レーダー、LiDAR、等の車両1の周囲環境(先行車、白線、障害物、等)を検出するセンサや車輪速センサ、IMU(Inertial measurement Unit)、等の車両1の走行状態(車速、加速度、ヨーレート、等)を検出するセンサが例示される。
【0039】
通信装置620は、車両1の外部の装置と通信して情報を送受信する。特に通信装置620は、管制センタ100と通信して指令情報を受信する。通信装置620は、例えば、移動体通信を行う通信モジュールである。
【0040】
ECU630は、車両1の種々の制御に係る処理を実行する。少なくともECU630は、管制センタ100から受信した指令情報に従って車両1の自動運転を行う処理を実行するように構成される。例えば、ECU630は、車載センサ610が検出する情報に基づいて、指令情報を満足するように車両1の走行軌道を生成する処理と、走行軌道に沿って車両1が走行するように車両1の加速、制動、操舵を制御する処理と、を実行する。ただし自動運転に係る処理は、好適な公知の技術を適用して良い。
【0041】
管制センタ100は、集荷荷物データベースD10にアクセス可能に構成されている。例えば、集荷荷物データベースD10は、インターネット上のデータサーバに格納され、管制センタ100は、インターネットを介してデータサーバと通信することにより集荷荷物データベースD10にアクセスする。
【0042】
集荷荷物データベースD10は、ユーザ2ごとに集荷場所22で集荷する荷物の情報を管理する。集荷荷物データベースD10は、例えば、ユーザ2が空港の手荷物預かりサービスを予約する際の予約情報で構成される。
図3には、集荷荷物データベースD10が管理する荷物の情報の一例が示されている。
図3に示す例では、集荷荷物データベースD10は、ユーザ3の識別情報であるユーザIDと紐づけて集荷場所22で集荷する荷物の種々の情報を管理している。
図3に示す例では、管理される荷物の情報として、集荷の状態、属性情報(サイズ、数量、重量)、荷物の預かり先を特定する便名、が示されている。
【0043】
管制センタ100は、処理部110と、通信部120と、を備えている。
【0044】
処理部110は、1又は複数のプロセッサ111(以下、単に「プロセッサ111」と呼ぶ。)と、1又は複数の記憶装置112(以下、単に「記憶装置112」と呼ぶ。)と、を含むコンピュータである。
【0045】
プロセッサ111は、管制センタ100に係る各種処理を実行する。プロセッサ111は、例えば、演算装置やレジスタ等を含むCPU(Central Processing Unit)で構成することができる。記憶装置112は、プロセッサ111と接続し、プロセッサ111の処理の実行に必要な各種情報を格納する。記憶装置112は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等の記録媒体で構成することができる。
【0046】
記憶装置112には、コンピュータプログラム113と、エリア環境情報114と、車両情報115と、が格納される。
【0047】
コンピュータプログラム113は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納される。コンピュータプログラム113は、プロセッサ111に処理を実行させるための複数のインストラクションにより構成される。プロセッサ111が複数のインストラクションに従って動作することにより、プロセッサ111による各種処理の実行が実現される。
【0048】
エリア環境情報114は、エリア環境検出センサ500によって検出された情報である。エリア環境情報114は、さらに所定のエリア20の地図情報を含んでいても良い。
【0049】
車両情報115は、車両1に関する情報である。車両情報115として、所定のエリア20における車両1の位置情報、車両1の走行状態、車両1の識別情報等が例示される。管制センタ100は、車両1から車両情報115を取得するように構成されていて良い。
【0050】
通信部120は、管制センタ100の外部の装置と通信して情報を送受信する。管制センタ100は、通信部120を介してユーザ端末200、作業者端末400、エリア環境検出センサ500、及び車両1と情報を送受信する。特に通信部120は、車両1と通信して指令情報を送信する。通信部120は、例えば、インターネットに接続して通信する装置である。
【0051】
3.処理
以下、管制センタ100が実行する処理、より詳しくはプロセッサ111が実行する処理について説明する。
【0052】
まず
図4を参照して、駐車機能においてプロセッサ111が実行する処理(駐車処理)について説明する。
図4に示す処理は、管制センタ100が駐車リクエストを受信したときに開始する。
【0053】
ステップS100で、プロセッサ111は、ユーザ2の預け荷物3aの有無を取得する。例えば、プロセッサ111は、ユーザ2のユーザIDを用いて集荷荷物データベースD10を参照することにより、ユーザ2の預け荷物3aの有無を取得する。この場合、駐車リクエストは、ユーザIDの情報を含んでいて良い。
【0054】
預け荷物3aが有る場合(ステップS110;Yes)、処理はステップS120に進む。預け荷物3aが無い場合(ステップS110;No)、処理はステップS140に進む。
【0055】
ステップS120で、プロセッサ111は、車両1を乗降場所21から集荷場所22に移動させるように指令情報を生成する。例えば、プロセッサ111は、エリア環境情報114から作業可能な集荷スペースを選択し、選択した集荷スペースと乗降場所21から集荷場所22までの移動経路とを指示する指令情報を生成する。車両1が指令情報に従って集荷場所22に移動した後、処理はステップS130に進む。
【0056】
ステップS130で、プロセッサ111は、集荷済信号を受信したか否かを判断する。つまり、プロセッサ111は、集荷場所22において預け荷物3aが車両1から集荷されたか否かを判断する。
【0057】
集荷済信号を受信した場合(ステップS130;Yes)、処理はステップS140に進む。集荷済信号を受信していない場合(ステップS130;No)、プロセッサ111は、所定の処理周期で再度ステップS130に係る処理を実行する。
【0058】
ステップS140で、プロセッサ111は、車両1を駐車場24に駐車させるように指令情報を生成する。例えばプロセッサ111は、エリア環境情報114から駐車可能な駐車位置を選択し、選択した駐車位置と駐車場24までの移動経路とを指示する指令情報を生成する。
【0059】
次に
図5を参照して、配車機能においてプロセッサ111が実行する処理(配車処理)について説明する。
図5に示す処理は、管制センタ100が配車リクエストを受信したときに開始する。
【0060】
ステップS200で、プロセッサ111は、ユーザ2の引取荷物3bの有無を取得する。例えば、プロセッサ111は、ユーザ2のユーザIDを用いて集荷荷物データベースD10を参照することにより、ユーザ2の引取荷物3bの有無を取得する。この場合、配車リクエストは、ユーザIDの情報を含んでいて良い。
【0061】
引取荷物3bが有る場合(ステップS210;Yes)、処理はステップS220に進む。引取荷物3bが無い場合(ステップS210;No)、処理はステップS240に進む。
【0062】
ステップS220で、プロセッサ111は、車両1を駐車場24から集荷場所22に移動させるように指令情報を生成する。車両1が指令情報に従って集荷場所22に移動した後、処理はステップS230に進む。
【0063】
ステップS230で、プロセッサ111は、積載済信号を受信したか否かを判断する。つまり、プロセッサ111は、集荷場所22において引取荷物3bが車両1に積載されたか否かを判断する。
【0064】
積載済信号を受信した場合(ステップS230;Yes)、処理はステップS240に進む。積載済信号を受信していない場合(ステップS230;No)、プロセッサ111は、所定の処理周期で再度ステップS230に係る処理を実行する。
【0065】
ステップS240で、プロセッサ111は、車両1を乗降場所21に移動させるように指令情報を生成する。
【0066】
以上説明したようにプロセッサ111が処理を実行することにより本実施形態に係るAVPシステム10のAVP機能が実現される。またこのようにプロセッサ111が処理を実行することにより、本実施形態に係るAVP方法が実現される。またこのようにプロセッサ111に処理を実行させるコンピュータプログラム113により、本実施形態に係るAVPプログラムが実現される。
【0067】
4.変形例
本実施形態に係るAVPシステム10は、以下のように変形した態様を適用しても良い。なお以下の説明では、上記の記載と重複する部分については適宜省略している。
【0068】
変形例に係る管制センタ100は、駐車機能又は配車機能において車両1を集荷場所22に移動させるとき、預け荷物3a又は引取荷物3bの属性情報に基づいて預け荷物3a又は引取荷物3bの集荷作業又は積載作業に伴う作業負担の大きさを判断するように構成される。そして、管制センタ100は、作業負担の大きさが大きいほど動線距離が短い集荷スペースに車両1を停車させるように構成される。
【0069】
例えば
図1に示すエリア20では、集荷スペース23aは集荷スペース23bよりも集荷施設30から遠く、集荷スペース23bは集荷スペース23cよりも集荷施設30から遠い。つまり、集荷スペース23a、23b、及び23cは、この順に集荷作業又は積載作業の動線距離が長い。従って管制センタ100は、駐車機能又は配車機能において車両1を集荷場所22に移動させるとき、作業負担の大きさに応じて集荷スペース23a、23b、及び23cから車両1を停車させる集荷スペースを選択するように構成される。例えば管制センタ100が作業負担の大きさを「大」「中」「小」といった段階的なレベルで判断するように構成されるとき、管制センタ100は、作業負担の大きさが「小」であるときは集荷スペース23aを選択し、作業負担の大きさが「中」であるときは集荷スペース23bを選択し、作業負担の大きさが「大」であるときは集荷スペース23cを選択するように構成される。
【0070】
駐車機能や配車機能が複数のユーザに対して提供された場合、集荷場所22では、複数の車両に対して集荷作業又は積載作業が行われることが想定される。上記の変形した態様を適用することにより、集荷スペースを効率的に活用することができ、集荷作業又は積載作業の作業効率を向上させることができる。
【0071】
図6は、変形例に係る駐車機能において、プロセッサ111が実行する処理の一例を示す図である。
図6に示す処理は、プロセッサ111が車両1を乗降場所21から集荷場所22に移動させるように指令情報を生成する処理(
図4のステップS120に係る処理)を実行するときに開始する。
【0072】
ステップS121で、プロセッサ111は、預け荷物3aの属性情報を取得する。例えば、プロセッサ111は、ユーザ2のユーザIDを用いて集荷荷物データベースD10を参照することにより、預け荷物3aの属性情報を取得する。
【0073】
ステップS122で、プロセッサ111は、ステップS121で取得した属性情報に基づいて預け荷物3aの集荷作業に伴う作業負担の大きさを判断する。プロセッサ111は、例えば、預け荷物3aのサイズ、数量、重量を指標として作業負担の大きさを判断することができる。この場合、プロセッサ111は、サイズ、数量、重量がそれぞれ大きいほど作業負担が大きいと判断することができる。なお作業負担の大きさは、前述したように「大」「中」「小」といった段階的なレベルで与えられても良いし、作業負担を数値化した値によって与えられても良い。
【0074】
ステップS123で、プロセッサ111は、ステップS122において判断した作業負担の大きさに応じて車両1を停車させる集荷スペースを選択する。ここでプロセッサ111は、作業負担の大きさが大きいほど動線距離が短い集荷スぺ―スを選択する。プロセッサ111は、エリア環境情報114を参照して各集荷スペースの空き状況と、各集荷スペースの動線距離の情報と、を取得するように構成されていて良い。
【0075】
ステップS124で、プロセッサ111は、ステップS123において選択した集荷スペースを指示する指令情報を生成する。ステップS124の後、ステップS120に係る処理の実行が終了する。
【0076】
以上説明したようにプロセッサ111が処理を実行することにより、変形例に係る駐車機能が実現される。なお変形例に係る配車機能についても、プロセッサ111が引取荷物3bに関して同様の処理を実行することで実現することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 車両、2 ユーザ、3a 預け荷物、3b 引取荷物、10 AVPシステム、 20 所定のエリア、21 乗降場所、22 集荷場所、24 駐車場、
30 集荷施設、100 管制センタ、110 処理部、111 プロセッサ、
112 記憶装置、 113 コンピュータプログラム