(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/60 20060101AFI20250701BHJP
B65H 31/02 20060101ALI20250701BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20250701BHJP
B65H 37/00 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
B65H29/60 B
B65H31/02
G03G15/00 460
B65H37/00
(21)【出願番号】P 2023076698
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2018206339の分割
【原出願日】2018-11-01
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上兼 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】野口 淳
(72)【発明者】
【氏名】福井 絵理
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-289645(JP,A)
【文献】特開2002-356267(JP,A)
【文献】特開2008-162708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/60
B65H 31/02
G03G 15/00
B65H 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に上下に並べて配置され、記録材を搬送する上側搬送部及び下側搬送部と、
前記上側搬送部から排出された用紙が排出される排紙トレイと、前記排紙トレイの下側に配置され、前記下側搬送部から搬送された記録材を受け取り、受け取った前記記録材を搬送する中継搬送部と、を備える中継部と、
上面を有し、前記装置本体の側面に配置され前記中継部を介して受け入れた前記記録材を処理する後処理部であって、前記上面は、
前記記録材の搬送方向上流側となる基端部が前記排紙トレイよりも低く
前記基端部に対して前記記録材の搬送方向下流側の終端部
が高くな
って搬送される前記記録材を載せる第1の上面とそれに続き
前記記録材の搬送方向における上流側となる基端部が前記第1の上面の前記終端部よりも低く
前記記録材の搬送方向下流側の終端部にかけてなだらかに高くなっている第2の上面からなる後処理部と、
前記記録材を、前記上側搬送部から前記排紙トレイと前記上面に搬送する場合と、前記下側搬送部に搬送する場合と、に制御する制御部と、を備え、
前記記録材が長尺シートである場合、前記記録材を前記上側搬送部から前記中継部の前記排紙トレイに搬送して前記後処理部の前記第1の上面及び前記第2の上面からスタッカトレイ上に排出する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の上面は、前記
記録材の搬送方向
上流側
となる基端
部側から前記第2の上面の
前記記録材の搬送方向
における上流側
となる基端
部側に向かって延びる側面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置本体と後処理装置とこれらの動作を制御する制御装置とを備えた画像形成システムにおいて、後処理装置は、画像形成装置本体が排出する長尺紙を受け取るための第1のセット位置と、非長尺紙を受け取るための第2のセット位置との間で移動可能である画像形成システムが知られている(特許文献1)。
【0003】
原稿を読み取るスキャナと、シート材に目的画像を形成する画像形成部と、上記スキャナと上記画像形成部の間に設けられた排紙部とを有し、上記画像形成部により目的画像が形成されたシート材が上記排紙部を介してスタックされる画像形成装置において、上記スキャナと上記画像形成部の間に設けられ、且つ、上記排紙部と接続され、上記排紙部から装置本体の一側面までシート材が搬送される搬送パスを具備するシート材搬送ユニットを備えた画像形成装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-248635号公報
【文献】特開2004-145363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、搬送される長尺シートを通常サイズの記録材を載せる載せ部のみに載せる場合に比較して、搬送方向における長い領域を支える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の画像形成装置は、
装置本体に上下に並べて配置され、記録材を搬送する上側搬送部及び下側搬送部と、
前記上側搬送部から排出された用紙が排出される排紙トレイと、前記排紙トレイの下側に配置され、前記下側搬送部から搬送された記録材を受け取り、受け取った前記記録材を搬送する中継搬送部と、を備える中継部と、
上面を有し、前記装置本体の側面に配置され前記中継部を介して受け入れた前記記録材を処理する後処理部であって、前記上面は、前記記録材の搬送方向上流側となる基端部が前記排紙トレイよりも低く前記基端部に対して前記記録材の搬送方向下流側の終端部が高くなって搬送される前記記録材を載せる第1の上面とそれに続き前記記録材の搬送方向における上流側となる基端部が前記第1の上面の前記終端部よりも低く前記記録材の搬送方向下流側の終端部にかけてなだらかに高くなっている第2の上面からなる後処理部と、
前記記録材を、前記上側搬送部から前記排紙トレイと前記上面に搬送する場合と、前記下側搬送部に搬送する場合と、に制御する制御部と、を備え、
前記記録材が長尺シートである場合、前記記録材を前記上側搬送部から前記中継部の前記排紙トレイに搬送して前記後処理部の前記第1の上面及び前記第2の上面からスタッカトレイ上に排出する、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第1の上面は、前記記録材の搬送方向上流側となる基端部側から前記第2の上面の前記記録材の搬送方向における上流側となる基端部側に向かって延びる側面を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、長尺用紙を通常サイズの記録材を載せる載せ部のみに載せる場合に比較して、搬送方向における長い領域を支えることができる
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、長尺シートの引っかかりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【
図2】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】長尺シート印刷の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図4】後処理部の上面側に視点をおいた斜視図である。
【
図5】(a)は中継部と後処理部の幅方向の関係を説明する平面模式図、(b)は中継部と後処理部の高さ方向の関係を説明する断面模式図である。
【
図6】後処理部の上面の開閉を説明する断面模式図である。
【
図7】(a)は後処理部の上面を奥側に視点をおいて示す斜視図、(b)は手前側に視点をおいて示す斜視図である。
【
図8】画像形成装置の外観全体を示す正面図である。
【
図9】後処理部の手前側の開閉を示す斜視図である。
【
図10】スタッカトレイの上面を示す斜視図である。
【
図11】(a)は画像形成装置の背面側に視点をおいた斜視図、(b)は画像形成装置の右側面を示す図である。
【
図12】長尺シートの搬送経路を示す画像形成装置の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
尚、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0016】
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
図1は本実施形態に係る画像形成装置1を示す概略構成図、
図2は画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。
図1に示す画像形成装置1は、記録材としての用紙Pに画像を形成する画像形成本体部2と、画像形成本体部2によって画像が形成された用紙Pに後処理を施す後処理部3と、画像形成本体部2の上面に配置され画像形成本体部2から排出される用紙Pを後処理部3へ搬送する中継部4を備えている。
以下、図面を参照しながら、画像形成装置1の全体構成及び動作を説明する。
【0017】
(1.1)画像形成本体部2の全体構成と動作
画像形成本体部2は、画像形成部10と、画像形成部10の底部に装着された給紙装置20と、画像形成部10の上部に装着された読取装置30と、操作表示部40と、制御装置50と、画像形成部10の左側方に装着された手差し給紙装置70とを備えて構成されている。
【0018】
画像形成部10は、露光装置12、感光体ユニット13、現像装置14、転写装置15、定着装置16を備えて構成され、画像情報を給紙装置20又は手差し給紙装置70から送り込まれた記録材としての用紙P上にトナー像として形成する。
【0019】
画像形成部10の上方には、読み取り部としての読取装置30が配置されている。読取装置30は、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ等のイメージセンサ(不図示)で、シートの画像を読み取り、電気信号である画像データに変換する。
【0020】
読取装置30の前面側には、ユーザーインターフェイスである操作表示部40が配置されている。操作表示部40は、液晶表示パネル、各種操作ボタン、タッチパネル等を組み合わせて構成され、画像形成装置1の利用者は、操作表示部40を介して各種の設定や指示の入力を行う。また、液晶表示パネルを介して画像形成装置1の利用者へ各種情報を表示する。
【0021】
制御装置50は、画像形成装置1の動作を制御する画像形成制御部501と、印刷処理要求に応じた画像データを準備する画像処理部502、電源装置53等を有する。画像処理部502は、外部の情報送信装置(例えばパーソナルコンピュータ等)から入力された印刷情報を潜像形成用の画像情報に変換して予め設定されたタイミングで、駆動信号を露光装置12に出力する。本実施形態の露光装置12は、LED(Light Emitting Diode)が線状に配置されたLEDヘッドにより構成されている。
電源装置53は、電源装置53は、感光体ユニット13、現像装置14、転写装置15等に画像形成のための所定のバイアス電圧を印加するとともに、露光装置12及び定着装置16等に電力を供給する。
【0022】
画像形成部10の底部には、給紙装置20が設けられている。給紙装置20は、用紙積載板21を備え、用紙積載板21の上面には多数の記録材としての用紙Pが積載される。用紙積載板21に積載され、規制板(不図示)で幅方向が位置決めされた用紙Pは、上側から1枚ずつ用紙引き出し部22により前方(-X方向)に引き出された後、レジストローラ対23のニップ部まで搬送される。
【0023】
画像形成部10の側方には手差し給紙装置70が設けられている。手差し給紙装置70は、開閉部材90に対して折りたたみ可能で、非定形サイズの用紙、特定の厚紙、ハガキ、通常サイズよりも長さが長い長尺シート、プラスチックフィルム等の給紙装置20では給送しにくい記録媒体を搬送ロール対24のニップ部まで送り出す。
【0024】
給紙装置20又は手差し給紙装置70から送り出された用紙Pはレジストローラ対23まで搬送され、レジストローラ対23で先端が整列された状態で二次転写ニップ部へ搬送される。
【0025】
感光体ユニット13は、給紙装置20の上方に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する感光体ドラム31を備えている。露光装置12により静電潜像が形成されたそれぞれの感光体ドラム31上には、それぞれの現像装置14によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像が形成される。
【0026】
各感光体ユニット13の感光体ドラム31に形成された各色トナー像は、転写装置15の中間転写ベルト51上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、レジストローラ対23から送り出され、搬送ガイドにより案内された用紙Pに二次転写ローラ52によって一括転写される。
【0027】
定着装置16は一対の加熱モジュール61と加圧モジュール62の圧接領域によって定着ニップ部NP(定着領域)が形成される。
転写装置15においてトナー像が一括転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で定着装置16の定着ニップ部NPに搬送され、一対の加熱モジュール61と加圧モジュール62により、加熱と圧着の作用でトナー像が定着される。
【0028】
定着トナー像が形成された用紙Pは、切り替えゲートG1、G2によってガイドされ、上下に並べて配置された排出ローラ対のうち、下側搬送部の一例としての第1排出ローラ対63から画像形成本体部2の胴内Sに配置された中継部4へ排出される。また、切り替えゲートG1の位置を切り替えて上側搬送部の一例としての第2排出ローラ対64から中継部4の上面4aに排出される。
【0029】
(1.2)後処理部3及び中継部4の構成と動作
後処理部3は、中継部4を介して画像形成本体部2から出力された用紙Pを受け取り、例えば用紙Pを集めて束ねるコンパイルトレイ310や用紙Pの端部を綴じる針綴じ機構(綴じ部)320を備えている。
【0030】
中継部4は、画像形成本体部2の第1排出ローラ対63を介して出力される用紙Pを受け取る入口ローラ41と、入口ローラ41で受け取られた用紙Pを下流側へと搬送する第1搬送ローラ42、42と、後処理部3に向けて用紙Pを搬送する第2搬送ローラ43とを有する。
【0031】
中継部4の上面4aは、画像形成本体部2の第2排出ローラ対64を介して出力される用紙Pを載せる排紙トレイTRとなっている。排紙トレイTRは、出力される用紙Pが通常サイズよりも長い長尺シートLPの場合には、第2排出ローラ対64から排出される長尺シートLPを後処理部3の上面3aへ向かって案内する案内ガイドとして機能する。
【0032】
後処理部3は、中継部4から用紙Pを受け取る受け取りローラ301の下流側に設けられ、用紙Pを複数枚集めて収容するコンパイルトレイ310と、コンパイルトレイ310に向けて用紙Pを排出する一対のローラである排出ローラ302とを備えている。
【0033】
また、後処理部3は、用紙Pをコンパイルトレイ310のエンドガイド310bに向けて押し込むよう回転するパドル303と、用紙Pの端部を揃えるためのタンパ305とを備えている。
さらに、後処理部3は、コンパイルトレイ310に集積された用紙束PBの端部を綴じる針綴じ機構320を有し、綴じられた用紙束PBはイジェクトローラ(用紙束搬送ローラ)304によって搬送、排出される。
【0034】
そして、後処理部3の側面側には、イジェクトローラ304によって排出された用紙束PBを使用者が取りやすいように昇降して積み重ねる積載部の一例としてのスタッカトレイTR2を備える。
【0035】
(2)長尺シートの搬送
図12は長尺シートLSの搬送経路を示す画像形成装置1の断面模式図、
図3は長尺シート印刷の動作の流れを示すフローチャート、
図4は後処理部3の上面側に視点をおいた斜視図、
図5(a)は中継部4と後処理部3の幅方向の関係を説明する平面模式図、(b)は中継部4と後処理部3の高さ方向の関係を説明する断面模式図、
図6は後処理部3の上面の開閉を説明する断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、画像形成装置1における長尺シートLSの搬送について説明する。
【0036】
(2.1)長尺シートの搬送
図12にその搬送経路を示すように、手差し給紙装置70から給紙された長尺シートLSは、レジストローラ対23で先端側が整列されて、画像形成部10で画像形成が行われる。そして、定着装置16で定着された長尺シートLSは、第2排出ローラ対64側へ切り替えられた切り替えゲートG1に案内されて上方へ搬送され第2排出ローラ対64から中継部4の上面4a上に搬送される。そして、中継部4の上面4a上を搬送されて後処理部3の上面3aに搬送される。
【0037】
用紙Pの搬送方向の長さがA3サイズ(420mm)よりも長い記録材の一例としての長尺シートLSに画像形成する場合、操作表示部40を介して長尺モードを選択する(S101)。長尺モードは、搬送経路において用紙サイズが長いことを前提に通常サイズとは異なる遅延ジャム等の処理がなされるようになっている。
長尺モードが選択された場合(S101;Yes)、手差し給紙装置70に長尺シートLSがセットされているか判断する(S102)。手差し給紙装置70に長尺シートLSがセットされている場合(S102;Yes)、手差し給紙装置70から給紙を開始する(S103)。
【0038】
そして、長尺シートLSの先端部がレジストローラ対23の手前で検知された場合(S104;Yes)、切り替えゲートG1、G2を切り替えて搬送経路を上側搬送部である第2排出ローラ対64側にする(S105)。これにより、定着後の長尺シートLSは中継部4の上面である排紙トレイTR上に搬送される。
そして長尺シートLSに画像形成を行い(S106)、第2排出ローラ対64で用紙後端が検知されるまで(S107;Yes)長尺シートLSを搬送する。このようにして、手差し給紙装置70から給紙された長尺シートLSは、第2排出ローラ対64から中継部4の上面4a(排紙トレイTR)に搬送される。
【0039】
(2.2)搬送路
図4に示すように、後処理部3の上面3aは、後処理部3の奥側(Y方向)で後処理部3全体の高さを有し後処理部3の内部を覆う奥側上面330と、後処理部3の手前側(-Y方向)で奥側上面330と同一高さを有する手前側上面340と、奥側上面330及び手前側上面340より高さが低い第1の上面350とそれに続く第2の上面360と、から構成されている。また、
図4に示すように、第2の上面360に続いて、延長トレイTR2bを有するスタッカトレイTR2が後処理部3の側面側で最も上方(Z方向)に移動して位置している。
【0040】
図5(a)に示すように、中継部4の上面4aにおける長尺シートLSの搬送領域W1は、中継部4の上面4aの幅W0より狭くなっている。そして、中継部4の下流側に配置された後処理部3の上面3aのうち、第1の上面350及び第2の上面360は長尺シートLSの搬送領域W1に対応して長尺シートLSを載せることができる幅W2を有している。
【0041】
図5(b)に示すように、第1の上面350の長尺シートLSの搬送方向上流側(-X方向)となる基端部350aは、中継部4の上面4aよりも低くなっている(
図5(b)拡大図に示すh1参照)。そして、第1の上面350は基端部350aに対して搬送方向下流側(X方向)の終端部350bが高くなっている。
【0042】
また、
図5(b)に示すように、第2の上面360の長尺シートLSの搬送方向における上流側となる基端部360aは、第1の上面350の終端部350bよりも低くなっている(
図5(b)拡大図に示すh2参照)。そして、第2の上面360は基端部360aに対して搬送方向下流側の終端部360bにかけてなだらかに高くなっている。
【0043】
このように、後処理部3の上面3aにおける長尺シートLSの搬送領域は、中継部4の上面4aと連続する基端部350aが中継部4の上面4aよりも低く、長尺シートLSの搬送方向下流側となる第2の上面360の終端部360bにかけてなだらかに高くなっている。
これにより、搬送される長尺シートLSを中継部4の上面4aから後処理部3の上面3aの一部である第1の上面350に引っかかることなく受け渡して搬送できるともに、長尺シートLSの垂れ下がりを軽減することができる。
【0044】
また、後処理部3の第1の上面350及び第2の上面360は第1の上面350の基端部350aから第2の上面360の終端部360bに向かってなだらかに高くなっているために、後処理部3の上面3aに載った長尺シートLSが搬送方向と逆方向に戻るのを軽減することができる。
【0045】
尚、本実施形態においては、後処理部3の上面3aにおける長尺シートLSの搬送領域W1は、長尺シートLSの搬送方向の下流側が高くなっていれば、第1の上面350及び第2の上面360に分割されて構成されている必要はなく一体に構成されてもよい。
また、
図4に示すように、後処理部3のスタッカトレイTR2の延長トレイTR2bを延長(
図4中 矢印A参照)しない場合であっても、後処理部3の上面3aにおける長尺シートLSの搬送領域W1において、長尺シートLSの搬送方向の下流側が高くなっている構成であればよい。
【0046】
本実施形態において、後処理部3の長尺シートLSの搬送領域である第2の上面360の搬送方向上流側端である基端部360aは、第1の上面350の搬送方向下流側端である終端部350bよりも低く、
図6に示すように、長尺シートLSの搬送方向の上流側に向かって開閉可能になっている(
図6に示す矢印参照)。
具体的には、第2の上面360は、基端部360aの下方(-Z方向)に開閉中心360cを有し、開閉操作の際に基端部360aが第1の上面350の終端部350bに接触することなく回転できるようになっている。
これにより、後処理部3の内部を露出させるために後処理部3の上側の一部を中継部4の上面4a側に移動させる構成に比較して、搬送される長尺シートLSの引っかかりを抑制することができる。
【0047】
(2.3)搬送路の両外側
図7(a)は後処理部3の上面3aを奥側に視点をおいて示す斜視図、(b)は手前側に視点をおいて示す斜視図、
図8は画像形成装置1の外観全体を示す正面図、
図9は後処理部3の手前側の開閉を示す斜視図である。
【0048】
図7(a)に示すように、後処理部3の手前側上面340は、長尺シートLSの搬送領域となる第1の上面350及び第2の上面360よりも高くなっている部分340aを有している(
図7(a)中 二点鎖線で囲んだ領域を参照)。高くなっている部分340aの側面340b(
図7(a)中 網点で示す領域を参照)は、長尺シートLSの搬送領域(
図7中 破線で示す)から手前側に間隔L1の位置に離間して立設されている。
これにより、長尺シートLSの装置本体手前側への落下を防止するとともに、長尺シートLSが中継部4の上面4aを介して後処理部3の第1の上面350に搬送される場合に、長尺シートLSの端部が高くなっている部分340aに当たらないようになっている。
【0049】
図7(b)に示すように、後処理部3の奥側上面330は、長尺シートLSの搬送領域となる第1の上面350及び第2の上面360よりも高くなっている部分330aを有している(
図7(b)中 二点鎖線で囲んだ領域を参照)。高くなっている部分330aの側面330b(
図7(b)中 網点で示す領域を参照)は、長尺シートLSの搬送領域(
図7中 破線で示す)から奥側に間隔L2の位置に離間して立設されている。
これにより、長尺シートLSが中継部4の上面4aを介して後処理部3の第1の上面350に搬送される場合に、長尺シートLSの端部が高くなっている部分330aに当たらないようになっている。
【0050】
また、長尺シートLSの搬送領域と手前側の高くなっている部分340aの側面340bの間隔L1は、長尺シートLSの搬送領域と奥側の高くなっている部分330aの側面330bの間隔L2よりも大きくなっている。これにより、後処理部3の第1の上面350及び第2の上面360に載った長尺シートを装置本体の手前側から取り出す際に、手前側の高くなっている部分340aが邪魔になりにくい。
【0051】
また、
図7に示すように、長尺シートLSの搬送領域と手前側の高くなっている部分340aと長尺シートLSの搬送領域と奥側の高くなっている部分330aの幅W3は、中継部4の上面4aにおける搬送領域よりも狭くなっている(
図7中 W0、W3参照)。
これにより、長尺シートの搬送方向と交差する幅方向への落下を防止することができる。
【0052】
後処理部3の手前側上面340の高くなっている部分340aは、
図8に示すように装置本体からの正面視で略矩形で凹凸がない形状となっている(
図8中 二点鎖線で囲んだ領域を参照)。これにより、装置本体からの正面視ですっきりとした外観が得られ意匠性に優れる。
【0053】
後処理部3の装置本体手前側は、
図9に示すように、長尺シートLSの搬送領域に面する奥側340Aと、搬送領域に面しない手前側340Bとに分割して形成され、手前側340Bは開閉可能となっている。これにより、長尺シートLSの搬送方向と交差する幅方向を規制しつつ、後処理部の内部を露出させることができる。
【0054】
後処理部3の手前側上面340は、
図8に示すように、中継部4の上面4aよりも高く読取装置30の下面30aよりも低くなるように構成されている(
図8中 h3参照)。これにより、長尺シートLSを装置本体の手前側から取り出すことができる。
【0055】
(2.4)搬送路の搬送方向先端側
図10はスタッカトレイTR2の上面を示す斜視図である。
後処理部3の右側面には、後処理された用紙束PBを積載するスタッカトレイTR2が配置されている。スタッカトレイTR2は、後処理部3の本体に設けられた昇降装置(不図示)で上下(Z方向)に昇降する(
図1中 矢印R参照)スタッカトレイ本体TR2aと、スタッカトレイ本体TR2aに連結された延長トレイTR2bを備えている。延長トレイTR2bは、スタッカトレイ本体TR2aに対して引き出し可能に構成されている(
図10中、矢印A参照)。
本実施形態においては、スタッカトレイTR2は、搬送される記録材が長尺シートLSである場合に、最も高い位置に位置して長尺シートLSを支えるようになっている。
【0056】
スタッカトレイTR2は、
図10に示すように、記録材の搬送方向と交差する方向の両側に後処理部3の第2の上面360の終端部360bよりも低い凹部TR2Aと、長尺シートLSの搬送領域に後処理部3の第2の上面360の終端部360bよりも高い上面TR2Bとを備えている。これにより、搬送される長尺シートLSを後処理部3の上面3aからスタッカトレイTR2の上面に引っかかることなく受け渡すことができる。
【0057】
図11(a)は画像形成装置1の背面側に視点をおいた斜視図、(b)は画像形成装置1の右側面を示す図である。
図11(スタッカトレイTR2は不図示)に示すように、画像形成装置1の右側面には、装置本体の内部に外部から空気を取り入れる吸気口95が設けられている。後処理部3は画像形成部10から排出される用紙Pを受け入れて後処理を施すように画像形成装置1の右側面に配置されている。
【0058】
本実施形態に係る後処理部3は後処理のための機構(不図示)が後処理部3の奥側に配置され、奥側上面330を有するカバー部材331で覆われている。カバー部材331は、
図11(b)に示すように、吸気口95を塞がないように配置されている。これにより、装置本体の右側面に後処理部3を配置しても装置本体内部へ必要な空気を吸気することができる。
【0059】
このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、記録材が長尺シートLSである場合には、装置本体に上下に並べて配置された第1排出ローラ対63、第2排出ローラ対64のうち上側に配置された上側搬送部としての第2排出ローラ対64から中継部4の上面に排出する。
長尺シートLSの搬送領域では、中継部4から記録材を受け取る後処理部3の上面が中継部4の上面4a低くなっており搬送される長尺シートLSを中継部4の上面4aから後処理部3の上面に引っかかることなく受け渡すことができる。
また、長尺シートLSの搬送領域においては、後処理部3の上面は搬送方向下流側に向かって高くなるようになだらかに傾斜しているために、長尺シートLSの引っかかりを抑制するとともに垂れ下がりを軽減することができる。
【符号の説明】
【0060】
1・・・画像形成装置
2・・・画像形成本体部
10・・・画像形成部
20・・・給紙装置
30・・・読取装置
40・・・操作表示部
50・・・制御装置
70・・・手差し給紙装置
3・・・後処理部
330・・・奥側上面
340・・・手前側上面
350・・・第1の上面
360・・・第2の上面
4・・・中継部
4a・・・上面
LS・・・長尺シート
TR1・・・排出トレイ
TR2・・・スタッカトレイ