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特許7704198現像装置およびそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】現像装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20250701BHJP
【FI】
G03G15/08 366
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023525440
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2022014853
(87)【国際公開番号】W WO2022254915
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2021094278
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021153947
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 遼
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-158577(JP,A)
【文献】特開2012-008257(JP,A)
【文献】特開2013-231802(JP,A)
【文献】特開2020-095241(JP,A)
【文献】特開平11-202627(JP,A)
【文献】特開2014-174495(JP,A)
【文献】特開2008-129128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送室と、仕切り部を挟んで前記第1搬送室と並列に配置される第2搬送室と、前記仕切り部の長手方向の両端部側で前記第1搬送室および前記第2搬送室を連通させる連通部と、を有し、トナーを含む現像剤を収容する現像容器と、
前記第1搬送室内に回転可能に支持される第1回転軸と、前記第1回転軸の外周面に形成される第1攪拌羽根と、を有し、前記第1搬送室内の前記現像剤を攪拌、搬送する第1攪拌搬送部材と、
前記第2搬送室内に回転可能に支持される第2回転軸と、前記第2回転軸の外周面に形成される第2攪拌羽根と、を有し、前記第2搬送室内の前記現像剤を攪拌、搬送する第2攪拌搬送部材と、
前記第2攪拌搬送部材に対向し、前記第2搬送室内の前記トナーを表面に担持する現像剤担持体と、を備える現像装置において、
前記第1回転軸は、現像剤搬送方向に対して前記第1回転軸の上流側端部から中央部までの間の領域に設けられた、前記第1搬送室内の前記現像剤搬送方向の下流側に進むにつれて軸径が増加するテーパー部と、前記現像剤搬送方向に対して前記テーパー部の下流側端部から、前記第1回転軸の下流側端部にかけての領域に設けられた、前記テーパー部の下流側端部と軸径が同一であるストレート部と、を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤搬送方向に対して、前記テーパー部の下流側端部の軸径は、上流側端部の軸径の1.2倍以上、かつ2.5倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記テーパー部の軸方向長さは、前記第1回転軸の全長の0.25倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像容器は、前記現像容器の外部に連通し、且つ前記現像剤搬送方向に対して前記第1搬送室の上流側から前記第1搬送室に連通するトナー補給経路を有し、
前記第1攪拌搬送部材は、前記トナー補給経路内に延びる前記第1回転軸の外周面に形成され、前記トナー補給経路内の前記トナーを前記第1搬送室に搬送する補給羽根を有し、
前記補給羽根の1ピッチ当たりの前記トナーの搬送量は、前記テーパー部の前記現像剤搬送方向の上流側端部に位置する前記第1攪拌羽根の1ピッチ当たりの前記現像剤の搬送量よりも、少ないことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
前記補給羽根の外径は、前記第1攪拌羽根の外径より小さいことを特徴とする請求項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記第2回転軸の軸径は、軸方向の全域にわたって、前記第1回転軸の前記現像剤搬送方向の下流側端部の軸径の0.9倍以上、かつ1.1倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像剤は、前記トナーと、磁性キャリアとを含む二成分現像剤であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項8】
前記第1回転軸および前記第2回転軸に接続され、前記第1回転軸および前記第2回転軸に回転駆動力を付与する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1回転軸および前記第2回転軸に正回転方向の回転駆動力を付与して前記現像剤を前記現像剤搬送方向に搬送する正回転モードと、前記第1回転軸および前記第2回転軸に逆回転方向の回転駆動力を付与して前記現像剤を前記現像剤搬送方向と反対方向に搬送する逆回転モードと、を実行可能であり、前記正回転モードの終了時に所定期間前記逆回転モードを実行することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像剤搬送方向に対して前記第2搬送室の下流側端部から、前記第2搬送室の下流側に位置する前記連通部までの間の位置に設けられた、前記現像容器の外部と連通する排気口を備え、
前記排気口は、前記第2攪拌羽根の外周縁の最上部に重なる位置、又は前記最上部よりも上方の位置にあることを特徴とする請求項に記載の現像装置。
【請求項10】
前記排気口内に配置され、前記現像剤の前記排気口からの流出を抑制可能であり通気性を有するフィルターを備えることを特徴とする請求項に記載の現像装置。
【請求項11】
前記フィルターは、連続気泡構造を有する複数の空隙部を有するウレタン材から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項12】
請求項1に記載の現像装置と、
前記現像剤担持体と対向し、前記現像剤担持体から供給される前記トナーを表面に担持する像担持体と、
を備える画像形成装置。
【請求項13】
前記連通部は、前記第1搬送室における前記現像剤搬送方向の上流側に位置する上流側連通部、又は前記第1搬送室における前記現像剤搬送方向の下流側に位置する下流側連通部であり、
前記テーパー部は、前記現像剤搬送方向に対して前記上流側連通部と重なることを特徴とする請求項に記載の現像装置。
【請求項14】
第1搬送室と、仕切り部を挟んで前記第1搬送室と並列に配置される第2搬送室と、前記仕切り部の長手方向の両端部側で前記第1搬送室および前記第2搬送室を連通させる連通部と、を有し、トナーを含む現像剤を収容する現像容器と、
前記第1搬送室内に回転可能に支持される第1回転軸と、前記第1回転軸の外周面に形成される第1攪拌羽根と、を有し、前記第1搬送室内の前記現像剤を攪拌、搬送する第1攪拌搬送部材と、
前記第2搬送室内に回転可能に支持される第2回転軸と、前記第2回転軸の外周面に形成される第2攪拌羽根と、を有し、前記第2搬送室内の前記現像剤を攪拌、搬送する第2攪拌搬送部材と、
前記第2攪拌搬送部材に対向し、前記第2搬送室内の前記トナーを表面に担持する現像剤担持体と、を備え、
前記連通部は、前記第1搬送室における現像剤搬送方向の上流側に位置する上流側連通部、又は前記第1搬送室における前記現像剤搬送方向の下流側に位置する下流側連通部である現像装置において、
前記第1回転軸および前記第2回転軸に接続され、前記第1回転軸および前記第2回転軸に回転駆動力を付与する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記第1回転軸は、前記第1回転軸の軸方向の全域に亘って設けられる、前記第1搬送室内の前記現像剤搬送方向の下流側に進むにつれて軸径が増加するテーパー部を有し、
前記制御部は、前記第1回転軸および前記第2回転軸に正回転方向の回転駆動力を付与して前記現像剤を前記現像剤搬送方向に搬送する正回転モードと、前記第1回転軸および前記第2回転軸に逆回転方向の回転駆動力を付与して前記現像剤を前記現像剤搬送方向と反対方向に搬送する逆回転モードと、を実行可能であり、前記正回転モードの終了時に所定期間前記逆回転モードを実行することを特徴とする現像装置。
【請求項15】
前記現像剤搬送方向に対して前記第2搬送室の下流側端部から、前記下流側連通部までの間の位置に設けられた、前記現像容器の外部と連通する排気口を備え、
前記排気口は、前記第2攪拌羽根の外周縁の最上部に重なる位置、又は前記最上部よりも上方の位置にあることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置およびそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置は、像担持体の外周面に形成された静電潜像を現像、すなわち静電潜像を顕在化したトナー像(可視像)を形成するための現像装置を備えている。
【0003】
このような現像装置として、特許文献1には、トナーを含む現像剤を収容する現像容器と、現像容器内の現像剤を攪拌、搬送する攪拌搬送部材と、現像容器に形成された開口部から一部分が露出する現像ローラーと、を備えるものがある(特許文献1)。現像容器は、第1搬送室と、第2搬送室とを備えている。攪拌搬送部材は、第1搬送室と第2搬送室とのそれぞれに配置されている。
【0004】
攪拌搬送部材は、現像容器に回転可能に支持される回転軸と、回転軸の外周面に形成された攪拌羽根と、を有する。回転軸は、現像装置に設けられた軸受部に支持されて、回転可能に支持されている。攪拌羽根が回転軸を中心に回転することで、現像容器内の現像剤が、現像容器内を循環しつつ現像ローラーへと供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-278271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば二成分現像方式の現像装置の場合、濃度の高い画像を連続して現像すると、多くのトナーが消費され、一度に多くのトナーが補給される。すると、補給されたトナーが現像容器内で十分に攪拌されず、トナー補給部周辺(現像剤搬送方向に対して現像容器の最上流側部分の周辺)のトナー濃度(現像剤中のキャリアに対するトナーの混合比率;T/C)が他の部分に比べて濃くなる。すると、形成された画像に濃度のむらが生じるおそれがある。また、現像容器内のトナーとキャリアが十分攪拌されていないため、トナーが適切に帯電しにくくなっている。このため、画像にいわゆる地肌かぶりが生じたり、帯電不足のトナーが飛散して、画像形成装置内を汚したりするおそれがあった。
【0007】
本発明は、現像容器内の現像剤の攪拌不足を抑制可能な現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、現像容器と、第1攪拌搬送部材と、第2攪拌搬送部材と、現像剤担持体と、を備える現像装置である。現像容器は、第1搬送室と、仕切り部を挟んで第1搬送室と並列に配置される第2搬送室と、仕切り部の長手方向の両端部側で第1搬送室および第2搬送室を連通させる連通部と、を有し、トナーを含む現像剤を収容する。第1攪拌搬送部材は、第1搬送室内に回転可能に支持される第1回転軸と、第1回転軸の外周面に形成される第1攪拌羽根と、を有し、第1搬送室内の現像剤を攪拌、搬送する。第2攪拌搬送部材は、第2搬送室内に回転可能に支持される第2回転軸と、第2回転軸の外周面に形成される第2攪拌羽根と、を有し、第2搬送室内の現像剤を攪拌、搬送する。現像剤担持体は、第2攪拌搬送部材に対向し、第2搬送室内のトナーを表面に担持する。第1回転軸は、第1回転軸の軸方向の少なくとも一部の領域に、第1搬送室内の現像剤搬送方向の下流側に進むにつれて軸径が増加するテーパー部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の構成によれば、第1回転軸がテーパー部を有するため、第1搬送室の容積は、上流側から下流側にかけて小さくなる。すなわち、第1攪拌搬送部材が搬送可能な現像剤の量は、現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって、徐々に減少していく。このため、第1搬送室内の現像剤は、下流側に向かう途中で上流側に押し戻されつつ搬送される。これにより、現像剤は、第1搬送室内で十分に攪拌された状態で、第2搬送室へと搬送される。従って、現像容器内の現像剤の攪拌不足を抑制可能な現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る現像装置3a~3dが搭載される画像形成装置100の内部構造を示す断面図
図2】カバー部材61、及び現像ローラー31を取り外した状態の現像装置3aを示す斜視図
図3】カバー部材61、及び現像ローラー31を取り付けた状態の現像装置3aの側面断面図
図4】現像装置3aを図3に示すA-A断面線で切断した、現像装置3aの攪拌部の断面を示す平面断面図
図5】本発明の現像装置3aの変形例を示す平面図
図6】本発明の現像装置3aの他の変形例を示す平面図
図7】供給搬送室22を示す現像容器20の側面断面図
図8】第2実施形態の現像装置3aの攪拌部の断面を示す平面断面図
図9】駆動部40の制御フローの一例を示すフローチャート
図10図8の状態から逆回転モードを実行した状態の現像装置の平面断面図
図11】第2実施形態に係る現像装置3aの側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の現像装置3a~3d、および現像装置3a~3dを備える画像形成装置100の第1実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態に係る現像装置3a~3dが搭載される画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。画像形成装置100(ここではカラープリンター)本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0013】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1cおよび1dが配設されており、さらに図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。その後、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9によって記録媒体の一例としての転写紙S上に二次転写される。さらに、トナー像が二次転写された転写紙Sは、定着部13においてトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。メインモーター(不図示)により感光体ドラム1a~1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0014】
トナー像が二次転写される転写紙Sは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0015】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a~1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a~1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a~1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a~1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a~1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dが設けられている。
【0016】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a~3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0017】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0018】
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、ベルト駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Sがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙S上に二次転写される。トナー像が二次転写された転写紙Sは定着部13へと搬送される。
【0019】
定着部13に搬送された転写紙Sは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面に画像が形成された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0020】
図2は、カバー部材61、及び現像ローラー31を取り外した状態の現像装置3aを示す斜視図である。図3は、カバー部材61、及び現像ローラー31を取り付けた状態の現像装置3aの側面断面図である。なお、以下の説明では図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb~Pdに配置される現像装置3b~3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0021】
図2図3に示すように、現像装置3aは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器20を備えている。現像容器20は、攪拌搬送室21(第1搬送室)と、供給搬送室22(第2搬送室)と、仕切壁20aと、連通部20b、20cと、カバー部材61と、トナー補給部32と、を備えている。
【0022】
攪拌搬送室21と、供給搬送室22とは並列に配置されている。仕切壁20aは、現像容器20内部に設けられ、現像容器20の内部を、攪拌搬送室21と、供給搬送室22とに区画している。連通部20b、20cは、仕切壁20aの長手方向の両端部で、攪拌搬送室21と、供給搬送室22とを連通させている。カバー部材61は、現像容器20の上部を塞ぎ、現像容器20の内部空間と外部空間とを隔てている。
【0023】
攪拌搬送室21および供給搬送室22には、トナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナーを磁性キャリアと混合して攪拌し、帯電させるための第1攪拌搬送部材25、第2攪拌搬送部材26が、それぞれ設けられている。第1攪拌搬送部材25、及び第2攪拌搬送部材26は、軸方向の両端部に設けられた軸支持部52を介して、現像容器20に固定された軸受部(図示省略)に回転可能に支持されている。
【0024】
第1攪拌搬送部材25、及び第2攪拌搬送部材26が回転することで、現像剤が攪拌されつつ軸方向(図3の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された連通部20b、20cを介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、連通部20b、20cによって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0025】
図3に示すように、現像容器20内において、供給搬送室22に設けられた第2攪拌搬送部材26の、右斜め上方には現像ローラー(現像剤担持体)31が配置されている。そして、現像ローラー31の外周面の一部が現像容器20の開口部20eから露出し、感光体ドラム1aに対向している。現像ローラー31は、図3において反時計回り方向に回転する。第1攪拌搬送部材25、第2攪拌搬送部材26、及び現像ローラー31は、メインモーター(不図示)からの駆動力によって所定の回転速度で回転する。
【0026】
現像ローラー31は、図3において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブ(不図示)と、現像スリーブ内に固定された複数の磁極を有するマグネット(不図示)とで構成されている。なお、ここでは表面がローレット加工された現像スリーブを用いているが、表面に多数の凹形状(ディンプル)を形成したものや、表面がブラスト加工された現像スリーブ、更には、ローレット加工や凹形状の形成に加えてブラスト加工を施したものや、メッキ処理を施したものを用いることもできる。
【0027】
図3に示すように、現像容器20には規制ブレード33が現像ローラー31の長手方向(図3の紙面と垂直な方向)に沿って取り付けられている。規制ブレード33の先端部と現像ローラー31の表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。規制ブレード33は、この僅かな隙間によって現像ローラー31の外周面上に供給されたトナーの層厚を、所定の厚みに規制している。
【0028】
現像装置3aには、電圧制御回路(不図示)を介して現像電圧電源(不図示)が接続されている。現像電圧電源は、直流電圧および交流電圧を重畳させた現像電圧を現像ローラー31に印加する。現像電圧および現像ローラー31内のマグネットの磁力により、現像ローラー31の表面に現像剤を付着(担持)させて磁気ブラシを形成する。
【0029】
図3に示すように、攪拌搬送室21の底面には、第1攪拌搬送部材25と高さ方向(図3の上下方向)に対向するようにトナー濃度センサー27が配置されている。トナー濃度センサー27は、攪拌搬送室21の、現像剤搬送方向の所定の位置(最もトナー濃度の値が高くなる位置)にある(図4参照)。トナー濃度センサー27は、画像形成装置100の所定の箇所に設けられた制御部59(図1参照)に接続されている。
【0030】
トナー濃度センサー27は、現像容器20内における現像剤の透磁率を検出し、この検出結果を制御部59に送信する。この検出結果に基づいて、制御部59は、現像剤中のトナー濃度(現像剤中のキャリアに対するトナーの混合比率;T/C)を判定し、トナーを補給するか否か判定する。トナー濃度が基準値(例えば6%)に近いほど、より好適にトナーが攪拌されている。制御部59は、トナー濃度が基準値に近くなるように、第1攪拌搬送部材25、及び第2攪拌搬送部材26の回転駆動や、トナーの補給を制御する。
【0031】
図2に示すように、トナー補給部32は、軸方向に対して現像容器20の側面部分に設けられている。トナー補給部32は、補給口58と、トナー補給経路34とを備えている。補給口58は、トナー補給部32の上部に開口する。補給口58は、トナーコンテナ4a(図1参照)に接続されている。トナー補給経路34は、補給口58から下方に延びて、現像剤搬送方向に対して上流側から攪拌搬送室21に連通している(図4参照)。トナーコンテナ4aに収容されたトナーは、補給口58及びトナー補給経路34を通って、攪拌搬送室21へと補給される。
【0032】
トナーを補給する際には、制御部59は、トナー補給モーター(不図示)に制御信号を送信する。この制御信号により、トナー補給モーターは、トナーコンテナ4a~4d内のトナーを、トナー補給部32(図2参照)を介して現像容器20内に補給する。このとき、制御部59は、トナー濃度センサー27によって現像容器20内の現像剤のトナー濃度を検出しつつ、検出されるトナー濃度が所定の基準値(6%)に近づくように、トナー補給モーターを制御しながらトナーを補給する。
【0033】
次に、現像装置3aの攪拌部の構成について詳細に説明する。図4は、現像装置3aを図3に示すA-A断面線で切断した、現像装置3aの攪拌部の断面を示す平面断面図である。
【0034】
上述の通り、仕切壁20aは、現像容器20の長手方向に延びて攪拌搬送室21と供給搬送室22を並列させるように区画している。図4に示すように、仕切壁20aの長手方向の一方側(図4の左側)の端部は、現像容器20の側壁部29bとともに上流側連通部20bを形成している。仕切壁20aの長手方向の他方側(図4の右側)の端部は、現像容器20の側壁部29aとともに下流側連通部20cを形成している。
【0035】
図2図4に示すように、攪拌搬送室21には第1攪拌搬送部材25が、供給搬送室22には第2攪拌搬送部材26がそれぞれ配置されている。第1攪拌搬送部材25は、第1回転軸23aと、第1螺旋羽根24a(第1攪拌羽根)と、補給羽根35と、を有する。第2攪拌搬送部材26は、第2回転軸23bと、第2螺旋羽根24b(第2攪拌羽根)と、を有する。
【0036】
第1回転軸23aは、現像容器20の長手方向(現像剤の搬送方向)に沿って延びる円筒状の軸体である。第1回転軸23aは、現像容器20の軸方向の両端部近傍まで延びている。現像剤搬送方向に対して第1回転軸23aの上流側の端部は、攪拌搬送室21から軸方向の外側に向かって突出し、トナー補給経路34内に位置している
【0037】
第1回転軸23aは、テーパー部36と、ストレート部37を有する。テーパー部36と、ストレート部37は、第1回転軸23aの、軸方向に隣り合った一部分である。テーパー部36は、現像剤搬送方向に対して、第1回転軸23aの上流側端部から中央部までの間(好ましくは、現像剤搬送方向に対して上流側連通部20bと重なる位置)に位置している。
【0038】
テーパー部36の軸径は、攪拌搬送室21内の現像剤搬送方向の上流側から下流側に進むにつれて、テーパー状に増加している。テーパー部36の現像剤搬送方向の下流側端部の軸径D1は、テーパー部36の現像剤搬送方向の上流側端部の軸径D2の、1.2倍以上、かつ1.5倍以下である。
【0039】
ストレート部37は、現像剤搬送方向に対してテーパー部36の下流側端部に連接している。ストレート部37の軸径は、現像剤搬送方向に対してテーパー部36の下流側端部の軸径D1と同一であり、現像剤搬送方向の下流側に進むにつれて変化することなく一定である。
【0040】
テーパー部36の軸方向長さL1は、第1回転軸23aの全長L3の0.25倍以上、かつ0.9倍以下である。好ましくは、テーパー部36の軸方向長さL1は、第1回転軸23aの、攪拌搬送室21内に位置する部分の軸方向の長さL2に対して、0.25倍以上、かつ0.95倍以下(より好ましくは、0.4倍以上、かつ0.6倍以下)である。
【0041】
第1螺旋羽根24aは、第1回転軸23aの外周面に形成されている。第1螺旋羽根24aは、第1回転軸23aと一体に形成され、軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成されている。第1螺旋羽根24aは、現像剤搬送方向に対して、攪拌搬送室21の、上流側連通部20bと重なる位置から下流側連通部20cに重なる位置まで延びている。
【0042】
第1螺旋羽根24aの外径D3は、テーパー部36の下流側端部の軸径D1の1.5倍以上、かつ1.8倍以下(好ましくは、1.6倍以上、かつ1.7倍以下)である。
【0043】
補給羽根35は、第1回転軸23aの、トナー補給経路34内に位置する部分の外周面に形成されている。補給羽根35は、第1回転軸23aと一体に形成され、軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成されている。補給羽根35は、第1螺旋羽根24aと逆巻きに形成されている。補給羽根35の1ピッチ当たりのトナーの搬送量は、テーパー部36の現像剤搬送方向の上流側端部に位置する第1螺旋羽根24aの1ピッチ当たりの現像剤の搬送量よりも、少ない。具体的には、補給羽根35のピッチは第1螺旋羽根24aのピッチよりも小さく、かつ補給羽根35の外径D4は、第1螺旋羽根24aの外径D3よりも小さい。
【0044】
第2回転軸23bの軸径は、軸方向の全域にわたって、テーパー部36の下流側端部の軸径D1の0.9倍以上、かつ1.1倍以下の値で一定となっている。すなわち、第2回転軸23bの軸径は、テーパー部36の上流側端部の軸径D2よりも大きい。第2螺旋羽根24bは、第2回転軸23bの外周面に形成されている。第2螺旋羽根24bは、第2回転軸23bと一体に形成され、軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成されている。第2螺旋羽根24bの外径は、第1螺旋羽根24aの外径D3と同等である。第2螺旋羽根24bは、第1螺旋羽根24aと逆巻きに形成されている。第2螺旋羽根24bは、現像剤搬送方向に対して、攪拌搬送室21の、上流側連通部20bと重なる位置から下流側連通部20cに重なる位置まで延びている。
【0045】
第1攪拌搬送部材25、及び第2攪拌搬送部材26が回転すると、現像容器20内の現像剤は、第1螺旋羽根24a、及び第2螺旋羽根24bによって、攪拌搬送室21から上流側連通部20b、供給搬送室22、下流側連通部20cへと循環しながら攪拌される(図2参照)。その際に、供給搬送室22内の現像剤が現像ローラー31に供給される。
【0046】
上述の通り、第1回転軸23aがテーパー部36を有するため、攪拌搬送室21の容積は、上流側から下流側にかけて小さくなっている。すなわち、第1攪拌搬送部材25が搬送可能な現像剤の量は、現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって、徐々に減少していく。このため、攪拌搬送室21内の現像剤は、下流側に向かう途中で上流側に押し戻されつつ搬送される。これにより、現像剤は、攪拌搬送室21内で十分に攪拌された状態で、供給搬送室22へと搬送される。従って、現像容器20内の現像剤の攪拌不足を抑制可能な現像装置3aを提供できる。
【0047】
ところで、従来、各攪拌搬送部材を除いた攪拌搬送室、及び供給搬送室そのものの容積が、現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かうにつれて小さくなるように、且つ、各攪拌搬送部材(第1攪拌搬送部材、及び第2攪拌搬送部材)の螺旋羽根の外径が、上流側から下流側に向かうにつれて小さくなるように構成された現像装置がある。このような現像装置では、現像剤搬送方向の上流側から下流側に進むにつれて、攪拌搬送部材が搬送可能な現像剤の量が急激に減少する。このため、攪拌搬送部材の下流側端部周辺(攪拌搬送室と供給搬送室とを連通する連通部の周辺)において、現像剤が搬送されにくくなり、現像剤が滞留してしまうおそれがある。すると、現像剤が滞留している箇所の周辺で、トナーが攪拌搬送部材の回転軸に固着し、軸径が増加する、いわゆる軸太りが生じるおそれがある。
【0048】
一方、本発明に係る現像装置3a~3dは、第1回転軸23aの軸径がテーパー部36においてテーパー状に増加する構成を採用している。また、第1螺旋羽根24aの外径D3は一定であり、第1攪拌搬送部材25を除いた攪拌搬送室21そのものの容積も一定である。このため、攪拌搬送室21内の現像剤搬送量は、上流側から下流側に向かって緩やかに低下する。これにより、攪拌搬送室21内の現像剤が円滑に搬送され、現像剤の滞留を抑制することができる。
【0049】
また、本発明に係る第2回転軸23bの軸径は、第1回転軸23aの下流側端部の軸径D1と同等(軸径D1の0.9倍以上、かつ1.1倍)であり、軸方向の全域に亘って一定である。このため、下流側連通部20cにおいて、現像剤の搬送量が変化しにくくなり、現像剤の滞留を抑制することができる。従って、本発明の現像装置3a~3dは、上述したような従来の現像装置に比べて、現像剤の滞留を抑制しつつ、現像剤の攪拌不足を抑制可能となっている。
【0050】
また、テーパー部36の上流側端部における軸径D2は、第2回転軸23bの軸径よりも小さい。このため、上流側連通部20bにおいて現像剤が供給搬送室22から攪拌搬送室21に流入する時に、現像剤の搬送量が増加するため、上流側連通部20bで現像剤が滞留しにくくなる。
【0051】
また、上述の通り、補給羽根35の1ピッチ当たりのトナーの搬送量は、テーパー部36の現像剤搬送方向の上流側端部に位置する第1螺旋羽根24aの1ピッチ当たりの現像剤の搬送量よりも少ない。このため、新たに補給されるトナーが、トナー補給経路34から攪拌搬送室21に流入する際に、トナー(現像剤)の搬送量が減少するのを抑制し、現像剤が滞留しにくくできる。また、上述の通り、補給羽根35の外径D4は、第1螺旋羽根24aの外径D3よりも小さい。このため、補給羽根35によって攪拌搬送室21に搬送されるトナーが、第1螺旋羽根24aの径方向内側に搬送されやすくなる。これにより、トナーが攪拌搬送室21の上流側端部で滞留しにくくなり、攪拌不足を抑制できる。
【0052】
なお、上記実施形態の第1攪拌搬送部材25は、図5に示すように、第1回転軸23aの軸径を比較的太くすることができる。この場合のテーパー部36の現像剤搬送方向の下流側端部の軸径D1は、現像剤搬送方向の上流側端部の軸径D2の1.5倍以上、かつ2.2倍以下である。また、この場合の第1螺旋羽根24aの外径D3は、テーパー部36の下流側端部の軸径D1の1.01倍以上、かつ1.05倍以下(好ましくは、1.02倍以上、かつ1.04倍以下)である。
【0053】
また、図6に示すように、第1攪拌搬送部材25は、第1回転軸23aの軸方向の全域に亘ってテーパー部36が設けられている構成を採用することができる。この場合、第1攪拌搬送部材25は、上述したストレート部37を備えていない。このようにすると、第1回転軸23aの軸径が、現像剤搬送方向の上流側から下流側に進むにつれて、より緩やかに増加するものとなる。すなわち、第1攪拌搬送部材25が搬送可能な現像剤の量が、現像剤搬送方向の上流側から下流側に進むにつれて、より緩やかに減少するものとなり、現像剤が滞留するのをより好適に抑制できる。
【0054】
ところで、現像剤を貯留する現像容器20内には、所々に空気の滞留によって形成された小空間が存在する。現像容器20にトナーが投入されて現像剤の嵩(攪拌搬送室21の底面から現像剤の表面までの高さ)が増すと、この小空間の空気が現像剤によって圧迫され、小空間の気圧(以下単に「気圧」と称する)が上昇する。
【0055】
ここで、従来の現像装置3a(第1回転軸23aが上述したテーパー部36を備えていない現像装置)は、第1回転軸23aの軸径が軸方向の両端に亘って一定であるため、現像剤の嵩も、第1回転軸23aの軸方向(現像剤搬送方向)に沿って一定の高さとなる。すると、上記小空間は、現像容器20の天面(現像容器20の内壁面のうち、第1回転軸23aおよび第2回転軸23bの上方に位置する面)と現像剤の表面との僅かな隙間に形成されるものとなる。このため、小空間の体積は比較的小さなものとなる。従って、小空間は、トナー補給量に対する気圧の上昇率が高くなり、少量のトナー補給によって比較的大きく気圧が上昇することとなる。気圧が上昇した小空間が、現像容器20のトナー補給経路34と連通すると、トナー補給経路34を通ってトナーコンテナ4a~4dの方へ空気が逆流する吐出気流が発生する。すると、トナー補給経路34から補給されるトナーが、この吐出気流により飛散したり、現像容器20内の現像剤が吐出気流によって飛散したりして、現像容器20の外部に現像剤が飛散するおそれがある。
【0056】
対して、本発明の現像装置3aは、上述した通り第1回転軸23aがテーパー部36を備えている。このため、図7に示すように、攪拌搬送室21の現像剤(図中の網かけ部分)の嵩は、現像剤搬送方向の上流側から下流側にかけて、徐々に高くなるようになる。これにより、上述した小空間SPは分断されにくくなっており、上述した従来の現像装置3a~3dに対して比較的体積の大きな一体の小空間SPが形成されやすくなっている。すると、トナー補給量に対する気圧の上昇率が比較的低いものとなり、仮に、小空間SPがトナー補給経路34と連通しても、吐出気流が生じにくくなる。従って、トナーが現像装置3a~3dの外部へ飛散するのを抑制することができる。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態の画像形成装置100に係る現像装置3a~3dについて図8図10を用いて説明する。なお、以下では、第1実施形態との相違点を述べ、第1実施形態と同様の構成は同じ符号を付して説明を省略している。
【0058】
図8は、第2実施形態の現像装置3aの攪拌部の断面を示す平面断面図である。図9は、駆動部40の制御フローの一例を示すフローチャートである。図10は、図8の状態から逆回転モードを実行した状態の現像装置の平面断面図である。
【0059】
図8に示すように、第1回転軸23aおよび第2回転軸23bには、駆動部40が接続されている。駆動部40は、複数のギアおよびモーター等の駆動源から構成されている。駆動部40は、第1回転軸23aおよび第2回転軸23bに回転駆動力を伝達し、第1回転軸23aおよび第2回転軸23bを回転させる。駆動部40は制御部59(図1参照)に接続されている。
【0060】
制御部59は、駆動部40を制御する。制御部59は、正回転モードと逆回転モードを実行可能である。印刷ジョブの実行中に選択される正回転モードでは、駆動部40によって、第1回転軸23aおよび第2回転軸23bに正回転方向の回転駆動力を付与する。正回転モードの実行中は、現像剤は、現像容器20内を現像剤搬送方向(図8に示す反時計回り方向)に搬送される。逆回転モードでは、駆動部40によって、第1回転軸23aおよび第2回転軸23bに逆回転方向の回転駆動力を付与する。逆回転モードの実行中は、現像剤は、現像容器20内を現像剤搬送方向と逆方向(図8に示す時計回り方向)に搬送される。
【0061】
図9に示すように、制御部59は、まず、パソコン等の上位機器から画像形成コマンドが入力されたか否かを判定する(ステップS1)。画像形成コマンドが入力されない場合は(ステップS1でNo)、そのまま画像形成コマンドが入力されるまで待機状態を継続する。画像形成コマンドが入力されると(ステップS1でYes)、上述した正回転モードを実行する(ステップS2)。
【0062】
次に、印刷ジョブが終了しているか否か判定する(ステップS3)。印刷ジョブが終了していない場合(ステップS3でNo)、継続して正回転モードを実行する。印刷ジョブが終了していると判定されると(ステップS3でYes)、正回転モードを終了し、逆回転モードを実行する(第1回転軸23aおよび第2回転軸23bへ伝達する回転駆動力の方向を、正回転方向から逆回転方向へ逆転させる)(ステップS4)。逆回転モードを所定期間実施した後、駆動部40を停止して、第1回転軸23aおよび第2回転軸23bへの回転駆動力の伝達を停止する(ステップS5)。そして、駆動部40の制御を終了する。
【0063】
本実施形態においても、第1実施形態同様に、テーパー部36の周辺に小空間SPが形成される(図8参照)。ここで、上述した通り正回転モードの終了とともに逆回転モードを実行することで、現像容器20中の現像剤が現像剤搬送方向と逆方向に搬送される。すると、図10に示すように、小空間SPも現像剤搬送方向の上流側(図10の破線で示す白矢印の方向)へと移動する。このため、小空間SPが連通部20bを跨いで供給搬送室22の下流側端部周辺にまで拡がる。すると、現像容器20内にトナーが補給されたときに、内圧の上昇率が比較的低くなり、上述した吐出気流が発生しにくくなる。
【0064】
また、図8、10、図11に示すように、第2実施形態に係る現像容器20には、排気口41が形成されているのが好ましい。排気口41は、供給搬送室22の壁面に形成された貫通孔であって、現像容器20の外部へと通じている。排気口41は、現像剤搬送方向に対して供給搬送室22の下流側端部から、連通部20bの間の位置に設けられている。排気口41は、現像剤搬送方向に対して連通部20bと重なる位置に設けられているのがより好ましい。排気口41は、第2搬送羽根24bの最上部(第2搬送羽根24の外周縁であって、最も上方に位置する部分)と、高さ方向に重なる位置、またはこの最上部より上方にあるのが好ましい。また、排気口41は、第2回転軸23bよりも、現像剤搬送方向に対して攪拌搬送室21に近い位置に配置されているのが好ましい。図8では排気口41は現像容器20の側面に開口するように示されているが、上面(図11に示す上方の面)に開口するようにしてもよい。
【0065】
このようにすると、逆回転モードの実行によって供給搬送室22まで拡張した小空間SPを、排気口41と連通させることができる。小空間SPと排気口41とが連通した状態で現像容器20にトナーを補給した場合、小空間SP中の空気は排気口41を通じて現像容器20の外部へ流出する。このため、小空間SPの気圧の上昇を抑制可能になり、吐出気流が発生しにくくなる。また、排気口41が高さ方向に対して第2搬送羽根24の最上部と重なる位置にあることで、現像剤が排気口41に流入しにくくなる。従って、排気口41を通じて現像剤が現像容器20の外部へと流出するのを抑制できる。また、排気口41が第2回転軸23bよりも、現像剤搬送方向に対して攪拌搬送室21に近い位置にあることで、小空間SPが排気口41に連通しやすくなる。
【0066】
また、上述した通り、排気口41は、現像剤搬送方向に対して供給搬送室22の下流側端部から、連通部20bの間の位置に設けられている。このようにすると、現像剤搬送方向に対してテーパー部36と排気口41との距離が比較的短くなる。このため、小空間SPが供給搬送室22まで拡張した際に、小空間SPが排気口41と連通しやすくなる。これにより、逆回転モードを実行する時間を比較的短くしつつ、より確実に小空間SPを排気口41と連通させることができ、吐出気流の発生を効果的に抑制できる。
【0067】
また、排気口41にはフィルター42が配置されているのが好ましい。フィルター42は、現像容器20の内部と外部との通気を確保しつつ、排気口41に流入した現像剤が現像容器20の外部へと流出するのを抑制する。フィルター42は、連続気泡構造を有する複数の空隙部を有するウレタン材から形成されているのが好ましい。
【0068】
このようにすることで、仮に排気口41に現像剤が流入したとしても、現像剤はフィルター42によってせき止められる。このため、現像剤が排気口41を通って現像容器20の外部へと流出するのを抑制できる。さらに、フィルター42を、連続気泡構造を有する複数の空隙部を有するウレタン材から形成することで、比較的簡易な構造で現像剤の流出を抑制可能となり、製造コストの増大を抑制できる。
【0069】
なお、本実施形態の第1回転軸23aは、図8から図10ではストレート部37を備える構成のものを示しているがこれに限られない。例えば、第1実施形態と同様に、ストレート部37を備えず、図6に示したような、第1回転軸23aの軸方向の全域に亘ってテーパー部36が設けられている構成を採用することができる。
【0070】
また、本実施形態の駆動部40は、複数のギアおよびモーター等の駆動源から構成されるとしたが、この駆動源に代えて、画像形成装置100に搭載されたメインモーター(不図示)の駆動力を第1回転軸23aおよび第2回転軸23bに伝達するものとしてもよい。
【0071】
以下、実施例により本発明の効果についてさらに詳細に説明する。
【実施例
【0072】
テーパー部36の有無による、現像容器20内の現像剤のトナー濃度の差を調査した。試験方法としては、図2に示した現像装置3aを図1に示すような画像形成装置100(カラープリンター)に搭載して現像動作を行い、その際のトナー補給後の攪拌搬送室21内のトナー濃度(%)を測定した。また、比較例として、長手方向に沿って第1回転軸23aの軸径が一定である第1攪拌搬送部材25を搭載した現像装置3aについて、本発明と同様に、トナー補給後のトナー濃度を測定した。
【0073】
比較例の第1攪拌搬送部材25は、第1回転軸23aの軸径が8mm、第1螺旋羽根24aの外径が13.5mm、第1螺旋羽根24aの条数は2条巻き、第1螺旋羽根のピッチは30mmである。
【0074】
対して、本発明の第1攪拌搬送部材25の第1回転軸23aの軸径は、テーパー部36の現像剤搬送方向の上流側端部(軸径D2)において6mm、テーパー部36の現像剤搬送方向の下流側端部(軸径D1)において、8mmである。第1螺旋羽根24aの外径D3は、13.5mmである。第1螺旋羽根24aの条数は2条巻き、ピッチは30mmである。
【0075】
試験は5回(N1~N5)行い、その際のトナー濃度(%)の平均値を算出した。また、上述の通り、トナー濃度が基準値に近いほど、現像容器20内のトナーがより好適に攪拌されている。そこで、トナー濃度についての基準値を6%とし、この基準値と上記平均値との差分値を算出した。そして、本発明における上記差分値と、比較例における上記差分値とを比較、検証した。その結果を、表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1に示す通り、本発明の現像装置3aでは、トナー濃度の差分値は、比較例のトナー濃度の差分値よりも小さい。このため、本発明の現像装置3aは、比較例の現像装置3aに比べて、トナー濃度が6%に近く、現像容器20内のトナーがより好適に攪拌されている。従って、本発明に係る現像装置3aは、比較例(従来構成)の現像装置3aに比べて、現像容器20内の現像剤の攪拌不足を抑制できる。
【0078】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンターに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンター、カラー複写機、ファクシミリ等、二成分現像方式を用いた種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌搬送部材を備えた現像装置に利用することができる。この現像装置を用いることで、画像形成不良の抑制や、装置本体内のトナー飛散を抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11