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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/85 20230101AFI20250701BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20250701BHJP
   H10N 30/045 20230101ALI20250701BHJP
   H10N 30/067 20230101ALI20250701BHJP
【FI】
H10N30/85
H10N30/853
H10N30/045
H10N30/067
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023531930
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 JP2022025546
(87)【国際公開番号】W WO2023276941
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2021107860
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100187584
【弁理士】
【氏名又は名称】村石 桂一
(72)【発明者】
【氏名】立石 貴志
(72)【発明者】
【氏名】田中 洪
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/017184(WO,A1)
【文献】特開2008-053527(JP,A)
【文献】国際公開第2020/049912(WO,A1)
【文献】特開2014-121201(JP,A)
【文献】特開2008-064866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/85
H10N 30/853
H10N 30/045
H10N 30/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトレット部を有して成る構造体であって、
前記構造体は、前記エレクトレット部の外側に可撓性部材を有して成り、
前記エレクトレット部は、セラミック成分を含んで成るセラミックエレクトレットであって、電荷保持セラミック部と該電荷保持セラミック部の内部に位置する内部電極とを備え、
前記エレクトレット部が可撓性を有し、
前記構造体がフレクソエレクトレットである、構造体。
【請求項2】
前記エレクトレット部を間に挟むように又は包囲するように前記可撓性部材が設けられている、請求項に記載の構造体。
【請求項3】
前記可撓性部材の内側に位置する前記セラミックエレクトレットの厚さが前記可撓性部材の厚さよりも小さい、請求項1または2に記載の構造体。
【請求項4】
前記電荷保持セラミック部が、第1電荷保持セラミック層と第2電荷保持セラミック層とから少なくとも構成されており、該第1電荷保持セラミック層と該第2電荷保持セラミック層との間に前記内部電極が位置付けられている、請求項1~のいずれかに記載の構造体。
【請求項5】
前記電荷保持セラミック部がセラミック成分と樹脂とを含むコンポジットである、請求項1~のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項6】
前記可撓性部材が樹脂成分を含んで成る、請求項1~のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項7】
前記可撓性部材が第1樹脂層と第2樹脂層とから少なくとも構成されており、該第1樹脂層と該第2樹脂層との間に前記エレクトレット部が位置付けられている、請求項1~に記載の構造体。
【請求項8】
前記第1樹脂層の外側表面の少なくとも一部に第1外部電極を備え、前記第2樹脂層の外側表面の少なくとも一部に第2外部電極を備える、請求項に記載の構造体。
【請求項9】
前記第1樹脂層と前記エレクトレット部との間に第1分極用電極を備え、前記第2樹脂層と前記エレクトレット部との間に第2分極用電極を備える請求項またはに記載の構造体。
【請求項10】
前記構造体のフレクソエレクトリック係数が1.3×10-8C/mよりも大きい、請求項1~のいずれかに記載の構造体。
【請求項11】
前記構造体が外部から力を受けて前記エレクトレット部が変位した場合、該エレクトレット部は断面視で1000mm以下の曲率半径を有する、請求項1~10のいずれかに記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はフレクソエレクトリック効果を奏する構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電効果が材料にかかる応力に比例して発生する電気分極現象であるのに対して、フレクソエレクトリック効果は、材料のひずみの空間的な変化率、すなわち「ひずみ勾配」に比例して発生する電気分極現象である(例えば、非特許文献1)。
例えば、液晶は形状変化を大きく取ることが容易に可能であるため、このような現象による電気分極が顕著に現れることが知られている。
これに対して、通常の固体材料では、大きなひずみ勾配が現れる変形形態が少ないこと、および、圧電効果による分極の方が一般に大きいことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国(CN)特許出願公開第109950045号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】2019年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集、336~337、信州大学、辺見信彦、「固体材料のフレクソエレクトリック効果とその応用の可能性について」
【文献】Flexoelectret: An Electret with a Tunable Flexoelectriclike Response, Xin Wen, Dongfan Li, Kai Tan, Qian Deng, and Shengping Shen, PHYSICAL REVIEW LETTERS 122, 148001 (2019).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、固体材料でフレクソエレクトリック効果を実用している例はほとんど見当たらず、例えばポリマー薄膜を利用したものが知られているにすぎない(例えば、特許文献1)。
【0006】
本発明者は、フレクソエレクトリック効果を奏することができる固体材料について依然開発の余地が残されていることを見出した。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、フレクソエレクトリック効果を奏することができる新たな構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された構造体の発明に至った。
【0009】
本開示に係る構造体は、エレクトレット部を有して成り、
前記構造体は、前記エレクトレット部の外側に可撓性部材を有して成り、
前記エレクトレット部は、セラミック成分を含んで成るセラミックエレクトレットであって、電荷保持セラミック部と該電荷保持セラミック部の内部に位置する内部電極とを備え、
前記エレクトレット部が可撓性を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る構造体は、フレクソエレクトリック効果を奏することができる新たな構造体となっている。具体的には、本開示の構造体は、セラミックエレクトレットを有するフレクソエレクトリック効果を奏する構造体となっており、少なくともその点で新たなフレクソエレクトレット構造体となっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る構造体を模式的に示す概略断面図である。
図2図2は、本開示の第1実施形態に係る構造体の変形例を模式的に示す概略断面図である。
図3図3は、本開示の第2実施形態に係る構造体を模式的に示す概略断面図である。
図4図4は、本開示の第3実施形態に係る構造体を模式的に示す概略断面図である。
図5図5は、本開示の第4実施形態に係る構造体を模式的に示す概略断面図である。
図6図6は、本開示の第5実施形態に係る構造体を模式的に示す概略断面図である。
図7図7は、本開示の第6実施形態に係る構造体を模式的に示す概略断面図である。
図8図8は、本開示の第7実施形態に係る構造体を模式的に示す概略断面図である。
図9図9は、フレクソエレクトレット構造体を模式的に示す概略図である。
図10図10は、フレクソエレクトリック効果の原理を模式的に説明するための概略図である。
図11図11は、従来のポリマーフレクソエレクトレット構造体を模式的に示す概略断面図である。
図12図12は、実施例1で測定したフレクソエレクトレット構造体の起電力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の一実施形態に係る構造体をより詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観および/または寸法比などは実物と異なり得る。
【0013】
本明細書で直接的または間接的に説明される「断面視」は、例えば、構造体を構成する層の積層方向に沿って構造体を切り取った仮想的な断面に基づいている。同様にして、本明細書で直接的または間接的に説明される“厚み”の方向は、例えば、構造体を構成する層の積層方向に基づいている。
【0014】
本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材もしくは部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、構造体の積層方向が上下方向に相当し得るところ、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」/「底面側」に相当し、その逆向きが「上方向」/「頂面側」に相当すると捉えることができる。
【0015】
本明細書で言及する各種の数値範囲は、特段の説明が付されない限り、下限および上限の数値そのものも含むことを意図している。なお、“約”、“およそ”および“程度”といった用語は、数パーセント、例えば±10%の変動又は違いを含み得ることを意味する。
【0016】
≪本開示の基礎となった知見等≫
フレクソエレクトリック効果を奏することができる固体材料、固体材料体または固体品(以下では総称して「固体材料品」とも称す)は、フレクソエレクトレット(flexoelectret)またはフレクソエレクトレット構造体と呼ばれている。
従来のフレクソエレクトレット構造体において「ひずみ勾配」が発生する様子を図9に模式的に示す。
図9(A)に示されるような例えば棒または梁などの形状を有するフレクソエレクトレット100に力(F)が加わって曲げモーメントが作用すると、図9(B)に示すようにフレクソエレクトレット100の厚さ方向に沿って例えば圧縮から引張へとひずみがある勾配(好ましくは一定の勾配)で変化する。このような空間的なひずみの変化率を「ひずみ勾配」と称する。
【0017】
図10の模式図を参照して例えばペロブスカイト構造などの結晶構造にひずみ勾配が生じる場合を説明する。例えば図10(A)に示す結晶構造の上方のイオン(白色)に左右方向(又は水平方向)から圧縮が加わり、下方のイオン(灰色)に左右方向(又は水平方向)からの引張が加わると、中央のイオン(黒丸)が下方に移動する(図10(B))。これにより、かかるイオンが例えば正イオンの場合では結晶構造の下方が正電荷を帯びるように電気分極する。
【0018】
このようにフレクソエレクトリック効果は固体材料品の分極処理に依存しない現象であるところ、分極処理したほうがフレクソエレクトリック効果による分極の大きさは、さらに大きくなると考えられる。
【0019】
ここで、固体材料品が応力を受けた場合、固体材料品に生じ得る電気分極は、以下の式(I)によって表すことができる。
[式I]
【0020】
μ(フレクソエレクトリック係数)は、4階のテンソル量であり、ひずみ勾配と分極量との間の比例定数を表す。
【0021】
例えば図9に示すように曲げによる変形(ベンディングモード)では、中立面で上下対称にひずみが変化し得るので圧電効果による分極量は全体として相殺され得る。そのため、式(I)は、以下の式(II)で表すことができる。
[式II]

[式III]
【0022】
このように固体材料品におけるフレクソエレクトリック効果、特に曲げによるフレクソエレクトリック効果は、フレクソエレクトリック係数で評価できる。
【0023】
一般的なポリマーの場合、フレクソエレクトリック係数は、1.0×10-8C/mである。例えば圧電性ポリマーとして知られているポリフッ化ビニリデン(PVDFの場合、1.3×10-8C/mであることが知られている。
【0024】
例えば図11に示されるように、電荷を保持する帯電ポリマー(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE))の薄膜201を2枚の外側ポリマー(PTFE)薄膜202で挟むことで形成されたポリマーフレクソエレクトレット200では、帯電ポリマー薄膜201によって2枚の外側ポリマー薄膜202を予め分極させておくことでフレクソエレクトリック係数が通常のポリマーの約5倍、具体的には5.3×10-8C/mにまで向上する(例えば特許文献1)。
【0025】
しかしながら、従来のフレクソエレクトレットの場合、圧電効果に比べてフレクソエレクトリック効果が小さいことが問題であった。特に圧電定数に対してフレクソエレクトリック係数が小さいことが問題であった。また、従来のポリマーエレクトレットの場合、ポリマーを原料として製造することから耐候性などの耐久性に乏しく、水および/または有機溶媒などの液体に接触または浸漬させた場合、電荷が消失してエレクトリック効果が低減するなどの問題があった。本開示はかかる問題に対して解決を試みた経緯を有する。より具体的には、フレクソエレクトリック係数、フレクソエレクトリック効果、耐候性などの耐久性、ならびに、水および/または有機溶媒などの液体に接触または浸漬させた場合であっても電荷が消失し難くフレクソエレクトリック効果をより長く維持できる、といった事項の少なくとも1つの点でより好適なフレクソエレクトリック性能を有する構造体を提供すべく開発が行われた経緯を有する。
【0026】
本開示の構造物は、上記の開発経緯を経て得られた。以下それについて説明する。
【0027】
例えばベンディングモードによるフレクソエレクトリック係数は、以下の式(IV)で示される通り、フレクソエレクトレット構造体全体の厚みおよびエレクトレット部の電荷密度に比例する(例えば非特許文献2)。

[式IV]
【0028】
このような知見から、エレクトレット部の電荷密度が大きいほどフレクソエレクトリック係数が大きくなることがわかった。そこで、本発明者らは、帯電ポリマーなどのポリマーエレクトレットよりも電荷密度の高いセラミックエレクトレットを用いることを検討した。また、ベンディングモードにとってより望ましいセラミックエレクトレット品を開発すべく、ベンディングモードにおいてもフレクソエレクトリック係数を向上させることを検討した。
【0029】
このような経緯も含め種々に鋭意検討を重ねた結果、最終的には以下の本開示の構造体を生み出すに至った。当該構造体は、前記エレクトレット部の外側に可撓性部材を有して成り、前記エレクトレット部は、セラミック成分を含んで成るセラミックエレクトレットであって、電荷保持セラミック部と該電荷保持セラミック部の内部に位置する内部電極とを備え、前記エレクトレット部が可撓性を有する。かかる本開示の構造体は、フレクソエレクトリック係数、フレクソエレクトリック効果、耐候性などの耐久性、ならびに、水および/または有機溶媒などの液体に接触または浸漬させた場合であっても電荷が消失し難くフレクソエレクトリック効果をより長く維持できる、といった事項の少なくとも1つの点でより向上したフレクソエレクトリック性能を有する構造体となり得る(尚、このような本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでなく、また、付加的な効果があってもよい)。
【0030】
≪本開示の構造体≫
本開示は、より向上したフレクソエレクトリック性能を有する構造体に関する(以下、「フレクソエレクトレット品」または「フレクソエレクトレット構造体」と称する場合もある)。
【0031】
本開示において、「フレクソエレクトリック性能」、特に「より向上したフレクソエレクトリック性能」とは、主として、より大きなフレクソエレクトリック係数、より大きなフレクソエレクトリック効果を奏することを意味する。
フレクソエレクトリック性能として、さらに、耐候性などの耐久性や、水および/または有機溶媒などの液体に接触または浸漬させた場合であっても電荷が消失し難くフレクソエレクトリック効果をより長く維持できるなどの性能を有していてもよい。
【0032】
本開示の構造体は、フレクソエレクトリック効果を奏することができる構造体である。よって、本開示の構造体は、「フレクソエレクトレット体」、「フレクソエレクトレット品」または「フレクソエレクトレット構造体」などと称すこともできる。
【0033】
本開示において、「フレクソエレクトリック効果」とは、構造体のひずみの空間的な変化率、すなわち「ひずみ勾配」に比例して発生し得る電気分極現象を意味する(図9参照)。フレクソエレクトリック効果は誘電体で発生し得る現象であるが、応力に比例して発生し得る圧電効果とは全く異なる電気分極現象である。
【0034】
例えば固体材料品が応力を受けた場合、かかる固体材料品に生じ得る電気分極は、上述したように、以下の式(I)によって表すことができる。

[式I]
【0035】
本開示において、「フレクソエレクトリック係数」(μ)とは、4階のテンソル量であり、ひずみ勾配と分極量との間の比例定数を意味する。
【0036】
図9に示すようなベンディングモードでは、中立面で上下対称にひずみが変化するので圧電効果による分極量は全体として相殺され得る(σ(応力)=0)。そのため、式(I)は、以下の式(II)で表すことができる。
[式II]


[式III]
【0037】
このようにベンディングモードでは、圧電効果による分極量が全体として相殺され得ることから、「フレクソエレクトリック係数」(μ)の値が大きいほど、電気分極(P)の値が大きくなる。換言すると、フレクソエレクトリック係数が大きいほど、フレクソエレクトリック効果がより大きくなる。
【0038】
本開示において、「ベンディングモード」とは、構造体に曲げが加わったときに構造体内にひずみが生じ得る系、換言すると構造体に曲げモーメントが作用し得る系を意味する。
【0039】
ただし、本開示におけるフレクソエレクトリック効果は、ベンディングモードでのフレクソエレクトリック効果に必ずしも限定されるものではない。
【0040】
本開示のフレクソエレクトレット構造体の「フレクソエレクトリック係数」は、例えばおよそ1.0×10-8C/mよりも大きく、好ましくは1.3×10-8C/mよりも大きく、より好ましくは5.0×10-8C/mよりも大きく、さらにより好ましくは5.3×10-8C/mよりも大きい。フレクソエレクトリック係数がこのような範囲内であると、より大きなフレクソエレクトリック効果を奏することができる。かかるフレクソエレクトリック係数の上限値は、特に制限はなく、例えば50×10-8C/m程度、40×10-8C/m程度、30×10-8C/m程度、20×10-8C/m程度、または10×10-8C/m程度であってよい。
【0041】
本開示において、フレクソエレクトレット構造体の形状には特に制限はない。フレクソエレクトレット構造体は、例えば板状もしくはシート状(短冊状を含む)、棒状、または繊維状(ファイバーを含む)など任意の形状を有していてよく、それゆえ、その断面形状に特に制限はない。フレクソエレクトレット構造体の断面形状が、例えば、矩形、および/または円形などの任意の幾何学的な形状を有していてよい。
【0042】
本開示において、フレクソエレクトレット構造体は、外力により曲げることができる形状および構成を有していてよい。換言すると、フレクソエレクトレット構造体は可撓性を有していてよい。フレクソエレクトレット構造体が全体として可撓性を有していることが好ましい。
【0043】
本開示において、フレクソエレクトレット構造体の「可撓性」とは、広義には、構造体(ならびにセラミックエレクトレットおよび可撓性部材などの構造体の構成要素)が外部からの力を受けて撓む又は変形することを意味し、好ましくは割れおよび/または欠け無く当該構造体が撓むことを意味する。狭義には、「可撓性」は、例えば図9に示すように、構造体を曲げたときに任意の曲率半径で構造体が曲がる、すなわち、その構成要素であるセラミックエレクトレットおよび可撓性部材が任意の曲率半径で曲がる(好ましくは、割れおよび/または欠け無く曲がる)ことを意味する。
【0044】
フレクソエレクトレット構造体が外部から力を受けて例えば図9(B)に示されるように曲がる場合(好ましくは、構造体に割れおよび/または欠け無く曲がる場合)、その構造体(好ましくはそのエレクトレット部)は、およそ5000mm以下の曲率半径を有していてよく、例えば、4000mm以下、3000mm以下、2000mm以下、1500mm以下、1300mm以下、1200mm以下、または1100mm以下の曲率半径を有していてよく、好ましくは1000mm以下の曲率半径を有する。つまり、ある好適な態様では、本開示の構造体が外部から力を受けてエレクトレット部が変位した場合、エレクトレット部は断面視で1000mm以下の曲率半径を有する。曲率半径がこのような範囲内であると、より大きな可撓性を奏し易くなり、ひいては、より大きなフレクソエレクトリック効果がもたらされ得る。上記の曲率半径の下限値は、特に制限はないものの、例えば500mm、600mm、700mm、800mm、900mm、または950mm程度であってよい。なお、上記の曲率半径は、例えば光学顕微鏡写真や電子顕微鏡写真など画像として得られる構造体の断面視または側面視(例えば代表的には図9(B)に示されるような断面視)において、構造体またはそのエレクトレット部の輪郭(特に主面輪郭)に基づいてよく、その輪郭のうち最も曲げが大きい輪郭箇所に基づいてよい。
【0045】
本開示において、フレクソエレクトレット構造体の「厚み」には特に制限はない。好ましくは、構造体の曲げに資するものであって、上記の可撓性、特に上記の曲率半径に資するような厚みを構造体が有している。
【0046】
フレクソエレクトレット構造体の全体の厚みは、およそ50mm以下、40mm以下、30mm以下、20mm以下であってよく、例えば10mm以下である。さらにいえば、フレクソエレクトレット構造体の全体の厚みが、5mm以下、例えば3mm以下、2.2mm以下、または2mm以下であってもよい(かかる値の下限値は、例えば0.5mmまたは1mm程度であってよい)。構造体の厚みがこのような範囲内であると、より大きなフレクソエレクトリック効果がもたらされ易い。
【0047】
(第1実施形態)
図1に本開示のフレクソエレクトレット構造体を第1実施形態として示す。図1に示す構造体は、本開示のフレクソエレクトレット構造体の概念を説明するためのものであって、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したに過ぎない。
【0048】
図1に示す構造体(10)(以下、「本開示の構造体」と称する場合もある)は、エレクトレット部(1)を有して成る構造体である。構造体(10)は、エレクトレット部(1)の外側に可撓性部材(2)を有して成る。好ましくは、構造体(10)は、エレクトレット部(1)の両側に相当する外側に可撓性部材(2)を有して成る。構造体(10)が可撓性部材(2)の内部にエレクトレット部(1)を有して成るともいえる。このようなエレクトレット部(1)は、セラミック成分を含んで成るセラミックエレクトレットであって、電荷保持セラミック部(3)と、当該電荷保持セラミック部(3)の内部または内側に位置する内部電極(4)とを備え、エレクトレット部(1)が可撓性を有している。つまり、セラミック成分を含んだセラミックエレクトレットとして設けられるエレクトレット部(1)は、内部電極(4)およびその外側に電荷保持セラミック部(3)を備えており、全体として可撓性を有している。
【0049】
本開示の構造体(10)では、可撓性を有するエレクトレット部(1)の外側(好ましくは両側)に可撓性部材(2)が設けられている。つまり、可撓性を呈する2種の部材が互いに重なるように又は積層するように設けられている。セラミックエレクトレットとして設けられるエレクトレット部(1)が可撓性を有しており、その主面に設けられる可撓性部材(2)も可撓性を有しているので、本開示の構造体は可撓性を呈し得る。よって、本開示の構造体(10)は、構造体全体として好適に曲げることができ、好ましくは曲げモーメントが好適に生じるように曲げることができる。構造体を例えば図9に示すように曲げると、曲げモーメントが好適に生じ、フレクソエレクトリック効果がもたらされる。
【0050】
構造体(10)は、エレクトレット部(1)がセラミック成分を含んで成るセラミックエレクトレットであること、そして、当該エレクトレット部(1)が電荷保持セラミック部(3)およびその内部に位置付けられた内部電極(4)を備えることを特徴の1つとする。
【0051】
以下にて詳細に説明するが、セラミックエレクトレットは、ポリマーエレクトレットとはまた違った技術的効果が奏され得る。具体的には、セラミックエレクトレットは、従来のポリマーエレクトレットと比較して、電荷保持セラミック部(3)において電荷密度をより高くすることができ、フレクソエレクトリック係数をより向上させることができる。したがって、本開示の構造体では、より大きなフレクソエレクトリック効果がもたらされ得る(以下の式(IV)参照)。従来のポリマーエレクトレットと比較して、同じ変位量でより大きな電圧の発生または起電が可能となる。
【0052】
また、構造体(10)が可撓性を有する範囲内でフレクソエレクトレット構造体の全体の厚み、なかでも特に可撓性部材の厚みを大きくすることによって、より大きなフレクソエレクトリック効果がもたらされ得、より大きな電圧の発生が可能となる(以下の式(IV)参照)。つまり、可撓性部材の有する厚みに起因してフレクソエレクトリック効果をより顕在化させることもできる。これにつき、後述するが、可撓性部材(2)は、内部電極(4)および電荷保持セラミック部(3)の各厚さよりも大きい厚さを有していてよい。
【0053】
これらの効果は、以下の式(IV)に示すように、例えばベンディングモードでのフレクソエレクトリック係数がフレクソエレクトレット構造体全体の「厚み」およびエレクトレット部の「電荷密度」に比例し得ることから理解できる。
[式IV]
【0054】
さらに、本開示の構造体では、セラミックエレクトレットが用いられることで、従来のポリマーエレクトレットと比較して、耐候性などの耐久性が向上し得、好ましくはより顕著にそのような耐久性が向上する。また、セラミックエレクトレットが用いられることで、水および/または有機溶媒などの液体に接触または浸漬させた場合であっても電荷が消失し難くフレクソエレクトリック効果をより長く維持し易くなる。したがって、より過酷な環境、特に野外や、より高温の環境などにおいても本開示の構造体を好適に使用できる。
【0055】
構造体(10)に含まれるエレクトレット部(1)は、以下にて詳説する通り、誘電体とみなすことができる。よって、特定の理論に拘束されるわけではないが、エレクトレット部(1)にて電気分極が発生することで、その外側に位置付けられた可撓性部材(2)においても電気分極が好適に誘起され易くなり、より大きなフレクソエレクトリック効果を奏し易くなり、より大きな電圧の発生が可能となり得る。
【0056】
ベンディングモードにおける構造体(10)の曲率半径は、例えば1500mm以下、1300mm以下、1200mm以下、または1100mm以下であり、好ましくは1000mm以下である。つまり、本開示の構造体は、セラミック要素を含む積層品でありながらも、好適な可撓性を呈することができ、より好適なフレクソエレクトリック効果がもたらされ得る。構造体(10)の全体厚みは、0.1mm以上10mm以下、または0.1mm以上5mm以下などであってよい。
【0057】
構造体(10)において、エレクトレット部(1)に含まれ得る電荷保持セラミック部(3)および内部電極(4)の厚み、ならびに可撓性部材(2)の厚みに関する比について特に制限はない。ある好適な態様では、構造体は、可撓性部材(2)>内部電極(4)>電荷保持セラミック部(3)の厚さ関係を有している。つまり、可撓性部材(2)の厚さは内部電極(4)の厚さより大きくてよく、内部電極(4)の厚さは電荷保持セラミック部(3)の厚さより大きくてよい(つまり、可撓性部材(2)の厚さは電荷保持セラミック部(3)の厚さよりも大きくてよい)。このような順序で各層の厚みを調節することで、より大きな可撓性を奏し易くなり、より大きなフレクソエレクトリック効果がもたらされ易くなる。なお、ここでいう電荷保持セラミック部(3)の厚さは構造体の断面視において内部電極(4)の上側または下側のいずれか一方に位置する電荷保持セラミック部を対象とした厚さである。同様に、可撓性部材(2)の厚さも構造体の断面視において内部電極(4)の上側または下側のいずれか一方に位置する可撓性部材の厚さを意味している。
【0058】
構造体(10)のフレクソエレクトリック係数は、例えば1.3×10-8C/mよりも大きく、好ましくは5.0×10-8C/mよりも大きく、より好ましくは5.3×10-8C/mよりも大きい(例えば、5.5×10-8C/mよりも大きい)。フレクソエレクトリック係数がこのような範囲内であると、本開示の構造体により大きなフレクソエレクトリック効果がもたらされ得る。かかる構造体(10)のフレクソエレクトリック係数の上限値は、特に制限はなく、30×10-8C/m、20×10-8C/m、10×10-8C/m、9×10-8C/m、8×10-8C/mなどであってよい(上限値は当該値自体を含むものであってよい)。
【0059】
構造体(10)は、より大きなフレクソエレクトリック係数を有し得、好適なフレクソエレクトリック効果(好ましくはより顕著なフレクソエレクトリック効果)を少なくとも奏し得るセラミックエレクトレットといった点で、これまでにないフレクソエレクトレット構造体として供され得る。
【0060】
以下では、構造体(10)に含まれる「エレクトレット部(1)」および「可撓性部材(2)」について詳説する。
【0061】
(エレクトレット部)
本開示において、「エレクトレット部」(1)は、典型的には、正または負のいずれか一方の電荷をその表面に保持することができる部分である。よって、エレクトレット部を「電荷保持部」と称すこともできる。エレクトレット部(1)は、正または負のいずれか一方の電荷をその表面に保持することによって、可撓性部材(2)の表面を分極させることができる。
【0062】
本開示の構造体において、エレクトレット部(1)は、セラミック成分を含んで成るセラミックエレクトレットである。セラミックエレクトレット(1)は、電荷保持セラミック部(3)と、この電荷保持セラミック部(3)の内部または内側に位置する電極、すなわち内部電極(4)とを備える(図1参照)。かかる電荷保持セラミック部(3)においては、少なくともセラミック成分が含まれる。
【0063】
構造体(10)が外部から力を受けてエレクトレット部(1)が変位した場合、特に曲げモーメントが作用した場合(図9参照)、エレクトレット部(1)はその断面視で5000mm以下の曲率半径を有し得、例えば、4000mm以下、3000mm以下、2000mm以下、1500mm以下、1300mm以下、1200mm以下、または1100mm以下の曲率半径を有し得、好ましくは1000mm以下の曲率半径を有する。エレクトレット部(1)のかかる範囲内の曲率半径は、より大きな又はより好適な可撓性が構造体にもたらされ得ることを意味しており、それゆえ、より大きなフレクソエレクトリック効果が構造体に奏され得る。かかる曲率半径の下限値は、特に制限はないものの、例えば500mm、600mm、700mm、800mm、900mm、または950mm程度であってよい。
【0064】
本開示の構造体において、可撓性部材の内側に位置するセラミックエレクトレットは、当該可撓性部材よりも薄い部材となってよい。つまり、構造体の断面視において、可撓性部材の内側に位置するセラミックエレクトレットの厚さは、その可撓性部材の厚さよりも小さくてよい。これにより、エレクトレットがセラミック成分を含みながらも、構造体全体として好適な可撓性を呈し易くなる。つまり、相対的に内側に位置するセラミックエレクトレットの厚さが相対的に外側に位置する可撓性部材の厚さよりも小さいことによって、構造体を曲げたときに任意の曲率半径で構造体が曲がり易くなり(好ましくは、割れおよび/または欠け無く曲がることができ)、好適なフレクソエレクトリック効果(好ましくはより顕著なフレクソエレクトリック効果)が構造体にもたらされ易くなる。
【0065】
(セラミックエレクトレット)
本開示において、「セラミックエレクトレット」とは、以下にて詳説する「セラミック成分」を含んで成るエレクトレットを意味する。電荷を保持することができれば、セラミックエレクトレットに含まれる具体的なセラミック成分に特に制限はない。本開示において、セラミックエレクトレットは、必ずしもそのすべてがセラミック成分で構成されていなくてもよい。例えば、セラミックエレクトレットは、セラミック成分とそれ以外の成分(例えば樹脂など)から構成されていたり、あるいは、セラミックエレクトレットの一部領域が非セミラック領域となっていたりしてもよい。
【0066】
(電荷保持セラミック部)
本開示において、「電荷保持セラミック部」(3)は、誘電分極によって、電荷をその表面に保持することができる。換言すると、電荷保持セラミック部(3)は、電界を加えると誘電分極を生じ得る物質、すなわち誘電体であってよい。ここで、誘電分極とは、誘電体内の電荷が、外部電界の作用で正負の極に分かれる現象をいう。本開示において、誘電分極は、電気分極と同じ意味の用語として使用され得る。
【0067】
電荷保持セラミック部は、セラミック成分を含んでなる部材であるところ、電極を備えていてよい。例えば、電荷保持セラミック部(3)は、その内部または内側に内部電極(4)を有しているところ、かかる内部電極(4)をアース接続またはグランド(GND)接続に供すことができる。電荷保持セラミック部(3)は、例えば内部電極(4)に接する面が正、その反対側の面が負の電荷を保持した場合、正の電荷はアースによって静電遮蔽され、電荷保持セラミック部(3)の外側には負の電荷のみが保持され得る。逆の場合は電荷保持セラミック部(3)の外側に正の電荷のみが保持され得る。このようにして、誘電分極または電気分極によって分極した場合、正または負のいずれか一方の極性に帯電可能である。
【0068】
電荷保持セラミック部(3)の内部または内側に配置される内部電極(4)の位置に特に制限はない。図1に示される態様でいえば、電荷保持セラミック部(3)と内部電極(4)とが互いに接するように内部電極(4)が電荷保持セラミック部(3)に介在している。電荷保持セラミック部(3)の2つの部材に挟まれるように内部電極(4)が介在しているともいえる。ある好適な態様では、電荷保持セラミック部(3)の幾何学的な中心に内部電極(4)が位置付けられる。例えば、図1に示されるように、電荷保持セラミック部(3)の厚さ方向(全体的な厚さ)においてその中間位置に内部電極(4)が存在するように当該内部電極(4)が位置付けられていてよい。
【0069】
電荷保持セラミック部(3)の形状には特に制限はない。電荷密度をより重視する場合、電荷保持セラミック部(3)が板状またはシート状の形状を有していてよい。つまり、電荷保持セラミック部(3)が同一平面上に延在する形態を有していてよい。例えば、電荷保持セラミック部(3)が層形状(好ましくは同一平面上に延在する層の形態、あるいは、湾曲面上にて延在する層の形態)を有していてよい。また、同様に電荷密度をより重視する場合、電荷保持セラミック部(3)が長尺形状を有していてよく、例えば短冊形状(好ましくは細長い短冊状)を有していてよい。あるいは、可撓性および/または柔軟性をより重視する場合、電荷保持セラミック部(3)がファイバー形状(特に細長い形状)を有していてよい。電荷保持セラミック部(3)の断面の形状(例えば、断面視における外輪郭)は、正方形、矩形または円形であってよく、その他、任意の幾何学的形状であってよい。例えば可撓性および/または柔軟性をより重視する場合、電荷保持セラミック部(3)は、その断面視にて円形輪郭または楕円形輪郭(例えば円形または楕円形の外輪郭)を有していてよい。ある好適な態様において、電荷保持セラミック部(3)が例えば筒状の形状を有している(図8参照)。
【0070】
電荷保持セラミック部(3)は、可撓性および/または柔軟性を好ましくは有している。例えば、電荷保持セラミック部(3)の厚み(断面視でとらえた場合の厚さ寸法)は、1mm以下の厚さであってよく、例えば、0.005mm以上1mm以下、0.005mm以上0.5mm以下、0.005mm以上0.3mm以下または0.01mm以上0.1mm以下であってよい。そのような厚さを有する電荷保持セラミック部(3)は、好適な可撓性および/または柔軟性を呈し易くなる。
【0071】
(内部電極)
本開示において、「内部電極」(4)は、導電性を有している。換言すれば、内部電極は、導電性を有する材料を少なくとも含んで成る。例えば、内部電極は、「金属」および/または下記で説明する「導電性材」を含んで成り、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
【0072】
内部電極(4)が導電性を有することによって、エレクトレット部の電極としてアース接続またはグランド(GND)接続に供すことができる。よって、電荷保持セラミック部(3)が誘電分極または電気分極によって分極した場合、電荷保持セラミック部(3)、特にその表面を正または負のいずれか一方に帯電させることができる。図1に示される態様では、対を成すように内部電極(4)の外側に設けられる2つの電荷保持セラミック部(3)の部材(つまり、内部電極(4)の上側に位置する電荷保持セラミック部(3)の部材と、内部電極(4)の下側に位置する電荷保持セラミック部(3)の部材)の両方ともが正に帯電しているか、あるいは当該電荷保持セラミック部(3)の2つの部材の両方ともが負に帯電しているかのいずれかの様式で電荷保持がなされ得る。好ましくは、そのような電荷保持セラミック部(3)では、特にその表面全体においていずれか一方の電荷が保持され得る。
【0073】
内部電極(4)に含まれ得る「金属」は、以下に記載の金属元素から構成され得る金属(例えば金属単体)または合金であってよい。
【0074】
内部電極(4)に含まれ得る金属または合金は焼結体であってもよい。内部電極(4)において焼結体からなる金属単体を用いてよい。換言すれば、本開示の構造体の電極(すなわち、第1実施形態では「内部電極」)は、焼結体であってよい。つまり、ある好適な態様では、内部電極は焼結電極となっている。このような焼結電極であっても、本開示の構造体では内部電極は、その外側に可撓性部材が設けられており、当該構造体の可撓性および/または柔軟性に好適に資するものとなっている。
【0075】
本開示において「焼結体」は、概して、無機物(例えば無機物を含む組成物のペースト)を加熱処理して焼き固めた焼結体(無機固体材料体)であってよい。例えば、本開示の構造体の電極(第1実施形態では「内部電極」)は、原料粉末(好ましくは金属原料粉末などの無機粉末)またはそれから得られるペーストなどを加熱処理で焼き固めることを通じて形成される焼結体であってよい。
【0076】
本開示の構造体における電極(第1実施形態では「内部電極」)に含まれ得る「金属」としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)およびプラチナ(Pt)からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0077】
本開示の構造体における電極(第1実施形態では「内部電極」)に含まれ得る「導電性材」は、電気伝導性を有する材料を意味しており、電気伝導性を有するものであればその具体的な種類には特に制限はない。
【0078】
「導電性材」として、例えば、「導電性フィラー」が挙げられる。ある好適な態様では、導電性フィラーは樹脂と組み合われていてよい。つまり、本開示の構造体における電極(第1実施形態では「内部電極」)に含まれ得る導電性材は、導電性フィラーと樹脂とのコンポジットであってよい。コンポジットとして導電性材が供されている場合、より大きな可撓性および/または柔軟性を内部電極(4)与え易くなり、ひいてはセラミックエレクトレットおよび構造体の可撓性をより向上させ易くなる。
【0079】
「導電性フィラー」とは、例えば樹脂などの高分子材料に導電性を付与する(電気/電子を通りやすくする)ことのできる材料または物質を意味しており、導電性を付与できるのであればその具体的な種類には特に制限はない。例えば、カーボン系、金属系および/または金属酸化物系などの導電性フィラーが挙げられる。導電性フィラーとして、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ナノカーボン材、金、銀、プラチナ、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、スズ、マンガン、ステンレス、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化亜鉛ニッケル、マグネシウム、タングステン、コバルト、クロムおよび/またはチタンなどを含んで成る導電性フィラーであってよい。
【0080】
「樹脂」とは、例えば高分子材料を意味している。樹脂の具体的な種類に特に制限はなく、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂などが本開示の構造体における電極(第1実施形態では「内部電極」)に含まれていてよい。当該樹脂は、例えば体積抵抗率1014[Ω・m]以下(温度が23±5℃、相対湿度が50±20%の温湿度条件における抵抗率)の樹脂であってよい。例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、エーテル樹脂、ポリエーテル樹脂、ケトン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メラミン樹脂および/またはシリコーン樹脂などの樹脂が本開示の構造体における電極(第1実施形態では「内部電極」)に含まれていてよい。
【0081】
本開示における「コンポジット」とは、2種類以上の材料が複合化された材料、すなわち、複合材料を意味している。例えば、コンポジットは上述の「導電性フィラー」と「樹脂」とが複合化された材料であってよい。しかしながら、本開示では必ずしもフィラー形態に限らない。つまり、本開示の構造体の電極(第1実施形態では「内部電極」)は、好ましくはコンポジット材料を含んで成るところ、そのコンポジット材料は、金属成分、合金成分および/またはカーボン成分と、樹脂成分とを含んで成るものであってよい。なお、本開示においては、そのようなコンポジット材料は2種類以上の材料を単に混合(又は配合)しただけの混合物(又は配合物)であってもよい。
【0082】
構造体の電極に用いられるコンポジットの導電性フィラーと樹脂との比(導電性フィラー/樹脂)は、重量基準で例えば99/1~1/99、好ましくは80/20~40/60である。
【0083】
内部電極(4)の形状に特に制限はなく、電荷密度をより重視する場合、板状またはシート状の形状を有していてよい。つまり、内部電極(4)が同一平面上に延在する形態を有していてよい。例えば、内部電極(4)が層形状(好ましくは同一平面上に延在する層の形態、あるいは、湾曲面上にて延在する層の形態)を有していてよい。また、同様に電荷密度をより重視する場合、内部電極(4)が長尺形状を有していてよく、例えば短冊形状(好ましくは細長い短冊状)を有していてよい。あるいは、可撓性および/または柔軟性をより重視する場合、内部電極(4)がファイバー状の形状(特に細長い形状)を有していてよい。内部電極(4)の断面の形状(例えば、断面視外輪郭)は、正方形、矩形または円形であってよく、その他、任意の幾何学的形状であってよい。
【0084】
内部電極(4)は、可撓性および/または柔軟性を好ましくは有している。例えば、内部電極(4)の厚み(断面視でとらえた場合の厚さ寸法)は、2mm以下の厚さ、1.5mm以下の厚さ、1mm以下の厚さ、0.1mm以下の厚さ、または0.05mm以下の厚さであってよく、例えば、0.005mm以上2mm以下、0.005mm以上1.5mm以下、0.01mm以上1mm以下、0.01mm以上0.5mm以下、0.01mm以上0.3mm以下、0.01mm以上0.1mm以下、または0.01mm以上0.05mm以下であってよい。そのような厚さを有する内部電極(4)は、好適な可撓性および/または柔軟性を呈し易い。内部電極(4)の厚みは電荷保持セラミック部(3)の厚みよりも大きくてよい。
【0085】
内部電極(4)は、電荷保持セラミック部(3)を支持する部材となっていてもよい。よって、内部電極(4)により、セラミックエレクトレットの強度をより高め易くなり、ひいてはエレクトレット(1)の強度をより高め易くなる。また、内部電極(4)はシールドとしても機能させてよい。かかる場合、内部電極(4)は、シールド部材となり得る。
【0086】
本開示の構造体(10)において内部電極(4)は金属および/または導電性フィラーなどを含み、外部との電気的な接続に資する。例えば、本開示の構造体(10)の電荷保持セラミック部(3)を帯電させた後(エレクトレット化した後)に内部電極(4)をアース接続またはGND接続することで電荷保持セラミック部(3)にて(好ましくは電荷保持セラミック部(3)の表面、より好ましくはその表面全域にわたって)正または負のいずれか一方の表面電位がもたされ得る。
このように内部電極(4)は、例えば図1に示す2つの電荷保持セラミック部(3)が互いに電荷を打ち消し合うのを好ましくは防止し、好適なフレクソエレクトリック効果(好ましくはより顕著なフレクソエレクトリック効果)が構造体にもたらされ得る。
【0087】
(可撓性部材)
本開示において、「可撓性部材」(2)とは、少なくとも可撓性を有する部材を意味している。可撓性部材(2)は、上記のエレクトレット部(1)、特に帯電した電荷保持セラミック部(3)によって分極することができる部材であってよい。
【0088】
可撓性部材(2)は、樹脂成分を含んで成ることが好ましい。例えば、可撓性部材(2)の成分のなかで樹脂成分が最も多い成分となっていてよい(このような場合、可撓性部材を特に“樹脂部材”または“可撓性樹脂部材”などと称すこともできる)。可撓性部材(2)が樹脂成分を含むことで、より好適な可撓性および帯電性を構造体に与え易くなる。
【0089】
可撓性部材(2)に含まれ得る樹脂は、高分子材料であってよい。高分子材料であれば樹脂の具体的な種類に特に制限はなく、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂などが構造体の可撓性部材に含まれていてよい。可撓性部材のより具体的な樹脂成分としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、エーテル樹脂、ポリエーテル樹脂、ケトン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、および/またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE))などを挙げることができる。
【0090】
可撓性部材(2)の厚み(断面視でとらえた場合の厚さ寸法)は、10mm以下、または5mm以下であってよく、例えば、0.05mm以上10mm以下、0.05mm以上8mm以下、0.1mm以上5mm以下、0.5mm以上5mm以下、0.5mm以上4mm以下、0.5mm以上3mm以下、0.5mm以上2mm以下の厚さであってよい。可撓性部材(2)の厚みが上記の範囲内であると、可撓性部材(2)がエレクトレット部(1)に追従して変形し易くなり、より好適な可撓性および/または柔軟性が構造体にもたらされ易くなる。構造体の可撓性および/または柔軟性がより顕在化され得る点でいえば、可撓性部材(2)の厚み(層を成している各層の厚み)は、内部電極(4)の厚みよりも大きいことが好ましい。
なお、可撓性部材(2)の厚みが上記の範囲内であると、エレクトレット部(1)よりも相対的に大きい厚みを有する部材として可撓性部材を供し易くなり、可撓性部材においてエレクトレット部(1)よりも変形量または変位量をより大きくできる。そのため、より好適なフレクソエレクトリック効果(例えば、より大きなフレクソエレクトリック効果)が構造体にもたらされ易くなる。
【0091】
(セラミック成分)
上述したように、本開示の構造体のエレクトレットにはセラミック成分が含まれる。特に、構造体のセラミックエレクトレットに設けられた電荷保持セラミック部にセラミック成分が含まれる。本開示において「セラミック成分」は、金属元素を含む無機化合物成分(酸化物、炭化物および/または窒化物)を意味している。例えば、セラミック成分は、その原料となる無機物(好ましくは無機物を含む組成物のペースト)を加熱処理して焼き固めた焼結体(無機固体材料体)に相当するものであってよい。
【0092】
「セラミック成分」の具体的なものとして特に制限はなく、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、リン酸三カルシウム、および/またはアパタイトなどのセラミックスが挙げられる。例えば、セラミックエレクトレットのセラミック成分がセラミックス系バイオマテリアルとして使用され得る成分であってよい。特にバイオマテリアルとして生体親和性を有するとともに高い機械的強度や破壊靭性、優れた電子物性などを有するアパタイトが本開示の構造体(特に、そのセラミックエレクトレット)に用いられていてよい。このような場合、アパタイトはバイオマテリアルとして知られているセラミックスであるにもかかわらずエレクトレットなどの分野にて用いられる点で特異性がもたらされ得る。
【0093】
「アパタイト」(apatite)は、リン酸カルシウム系機能性無機材料として知られているセラミックスであり、典型的には、リン(P)とカルシウム(Ca)を主成分とする。アパタイトは、概して、高い機械的強度や破壊靭性を有し、電子物性、生体親和性、イオン交換性、表面吸着性、光学性などに優れる。
本開示の構造体(10)では、このような材料をセラミックエレクトレットにおいて使用することで高い機械的強度や破壊靭性をエレクトレット部(1)に与え易くなると共に、可撓性および/または電荷保持能力の発現・制御などの電子物性を与え易くなる。
【0094】
「アパタイト」は、フルオロアパタイト、クロロアパタイトおよびハイドロキシアパタイトからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでもハイドロキシアパタイトを特に使用することが好ましい。ハイドロキシアパタイトはバイオマテリアルとして知られているセラミックスであるにもかかわらずエレクトレットなどの分野に用いられる点で特異性が供され得る。ハイドロキシアパタイトは高い機械的強度や破壊靭性だけでなく電荷保持能力などの優れた電子物性を本開示の構造体に与えることができる。
【0095】
「フルオロアパタイト」(FAp)(fluorapatite)は、その具体的な種類に制限はない。例えば、フルオロアパタイトは、特に制限はないが化学式:Ca(POFで示されるものであってよい。「フッ素アパタイト」、「フッ素リン灰石」と呼ばれるフルオロアパタイトが用いられてよい。
【0096】
「クロロアパタイト」(CAp)(chlorapatite)は、その具体的な種類に制限はない。例えば、クロロアパタイトは、特に制限はないが化学式:Ca(POClで示されるものであってよい。「塩素アパタイト」、「塩素リン灰石」とも呼ばれるクロロアパタイトが用いられてよい
【0097】
「ハイドロキシアパタイト」(HAp)(hydroxyapatite)は、その具体的な種類に制限はない。例えば、ハイドロキシアパタイトは、特に制限はないが化学式:Ca(POOHで示されるものであってよい。「水酸アパタイト」、「水酸リン灰石」とも呼ばれるハイドロキシアパタイトが用いられてよい。
【0098】
別の切り口でいえば、本開示において「セラミック成分」は、セラミック(セラミック結晶、特に金属酸化物)を構成し得る成分(元素)であれば特に制限はない。例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、バリウム(Ba)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、ランタン(La)、セシウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、フッ素(F)および塩素(Cl)からなる群から選択される少なくとも1種から構成されるセミラック成分がセラミックエレクトレットに含まれていてよい。また、セラミック成分は、例えば、鉛、ジルコニウム、チタンおよび酸素、あるいはチタン、バリウムおよび酸素、あるいはビスマス、ナトリウム、チタンおよび酸素、あるいはジルコニウムおよび酸素、あるいはイットリウム、ジルコニウムおよび酸素であってよい。
【0099】
セラミックエレクトレットのセラミック成分としてガラス成分が含まれていてもよい。かかるガラス成分としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、ホウ酸塩系ガラス、ホウケイ酸塩系ガラス、ホウケイ酸バリウム系ガラス、ホウ酸亜鉛系ガラス、ホウ酸バリウム系ガラス、ホウケイ酸ビスマス塩系ガラス、ホウ酸ビスマス亜鉛系ガラス、ビスマスケイ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、アルミノリン酸塩系ガラスおよびリン酸亜鉛系ガラスからなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0100】
セラミックエレクトレットにおいて、セラミック成分は、結晶粒または微結晶を含んでいてよい。なかでもセラミックエレクトレットの成分が、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム(BaTiO)(BT)、チタン酸ビスマスナトリウム((Bi1/2Na1/2)TiO)(BNT)、ジルコニア、イットリウム安定化ジルコニア、あるいはガラスであってよく、そのような成分を含んだ結晶粒または微結晶がセラミックエレクトレットに含まれていてよい。
【0101】
本開示において、「電荷保持セラミック部」(3)は、上記のセラミック成分を含む部分または部材である。よって、電荷保持セラミック部(3)は、上記のセラミック成分から構成されていてよく、あるいは、上記のセラミック成分と樹脂などの他の成分とから構成されるコンポジットであってもよい。電荷保持セラミック部(3)がコンポジットを含んで成る場合、可撓性および/または柔軟性を電荷保持セラミック部(3)に与え易くなり、ひいてはセラミックエレクトレットおよび構造体の可撓性がより向上し易くなる。
【0102】
「コンポジット」といった用語は、2種類以上の材料を意味するところ、「電荷保持セラミック部」(3)についていえば、少なくとも「セラミック成分」と「他の成分」とが複合化された材料(複合材料)を意味している。電荷保持セラミック部(3)に用いられるコンポジットは、2種類以上の材料を単に混合(又は配合)しただけの混合物(又は配合物)であってもよい。
【0103】
電荷保持セラミック部(3)に用いられるコンポジットの他の成分として供される「樹脂」は、高分子材料であってよい。高分子材料であれば樹脂の具体的な種類に特に制限はなく、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂などが電荷保持セラミック部に含まれていてよい。例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、および/またはアクリロニトリル樹脂などの樹脂成分が電荷保持セラミック部に含まれていてよい。電荷保持セラミック部に含まれるコンポジットのセラミック成分と樹脂との比(セラミック成分/樹脂)は、体積基準で、例えば99/1~1/99、好ましくは64/36~1/99、より好ましくは30/70~1/99、さらにより好ましくは20/80~1/99の範囲内である。
【0104】
(効果)
セラミック成分を含むセラミックエレクトレットとして供されているエレクトレット部(1)は、電荷保持セラミック部(3)と内部電極(4)とから構成されており、従来のポリマーエレクトレットと比較して、フレクソエレクトレット構造体の強度および/または電荷密度を向上(好ましくは顕著に向上)させ易くなっている。
【0105】
本開示の構造体では、エレクトレット部(1)の外側には可撓性部材(2)が設けられている。より好ましくは、エレクトレット部(1)を間に挟むように又は包囲するように可撓性部材(2)が設けられている。例えば、エレクトレット部(1)と接して互いに対向する位置に可撓性部材(2)が設けられてよい(例えば、図1に示されるように、2つの部材として供された第1の可撓性部材と第2の可撓性部材との双方がエレクトレット部(1)の外側主面に接しつつ互いに対向するように設けられてもよい)。このように本開示におけるエレクトレット部(1)は、フレクソエレクトレット構造体(10)の中心部に位置付け易くなっている。よって、エレクトレット部(1)は可撓性部材(2)に対して相対的に変形しにくい部材となり得る一方、可撓性部材(2)はエレクトレット部(1)に対して相対的に変形しやすい。別の切り口でいえば、エレクトレット部(1)は、可撓性部材(2)に対して相対的にヤング率(例えば見掛けのヤング率)を高くすることができ、その一方、可撓性部材(2)はエレクトレット部(1)に対して相対的に低いヤング率(例えば見掛けのヤング率)を有することができる。構造体を曲げに付すことを想定した場合、可撓性部材(2)がより好適に変位するともいえる。従って、本開示のフレクソエレクトレット構造体において、可撓性部材(2)は大きく変位する(好ましくは選択的に大きく変位する)ことができ、より大きなひずみ勾配が可撓性部材(2)にもたらされ易い。その結果、本開示の構造体は、より好適な(好ましくはより顕著な)フレクソエレクトリック効果を奏することができ、より大きな起電力を達成できる(発電量アップ、センサー感度アップなどを達成することができる)。尚、特定の理論に拘束されるわけではないが、従来のポリマーフレクソエレクトレットでは、ヤング率が一様となり得るので、上記のようなフレクソエレクトリックの発現とは異なり得る。
【0106】
さらに、従来のポリマーエレクトレットは、高温に晒されると電荷を失うことが欠点であった。また、水および/または有機溶媒が付着すると、それらが電場を遮蔽することから、外部に電場を形成できなくなる。これについて、本開示のフレクソエレクトレット構造体(10)は、エレクトレット部(1)、特に電荷保持セラミック部(3)と、当該電荷保持セラミック部(3)を覆う可撓性部材(2)とを備える。よって、可撓性部材(2)が水および/または有機溶媒から電荷保持セラミック部(3)を好適に保護する作用を有し得る。換言すると、可撓性部材(2)は保護層として機能することができる。その結果、本開示の構造体(10)は、従来のポリマーエレクトレットと比較して、より好適な耐候性などの耐久性(好ましくはより向上した耐候性などの耐久性)を呈すことができ、ひいては、野外を含めより過酷な高温の環境下(例えば、車など)でも使用することができる。
【0107】
(構造体10の変形例)
第1実施形態に係る構造体の変形例として図2に構造体10’を示す。構造体10’は、基本的には図1に示す構造体10に対応し得る。
【0108】
図2に示す構造体10’に含まれ得るエレクトレット部1’は、図1に示す構造体10のエレクトレット部1に対応し得る。図2の変形例は、構造体の構成要素がサブ部材から構成されている態様に相当する。例えば図2における構造体10’では、電荷保持セラミック部が複数のサブ部材から構成されている。具体的には、図2に示す構造体10’において、エレクトレット部1に含まれる電荷保持セラミック部3が第1電荷保持セラミック層3aと第2電荷保持セラミック層3bとから少なくとも構成されており、第1電荷保持セラミック層3aと第2電荷保持セラミック層3bとの間には図1に示す構造体10と同様に内部電極4が位置付けられている。
第1電荷保持セラミック層3aおよび第2電荷保持セラミック層3bは、それぞれ、図1に示す構造体10のエレクトレット部1に含まれる電荷保持セラミック層3と同様に構成することができる。
第1電荷保持セラミック層3aおよび第2電荷保持セラミック層3bは互いに同一の材質から成るものであってよい。あるいは、第1電荷保持セラミック層3aおよび第2電荷保持セラミック層3bは互いに異なる材質から成るものであってもよい。いずれの場合においても、第1電荷保持セラミック層3aと第2電荷保持セラミック層3bとの間に内部電極4が位置付けられていることから、第1電荷保持セラミック層3aおよび第2電荷保持セラミック層3bでは、特にその表面において、正または負のいずれか一方の電荷を帯電させることができ、より好適なエレクトリック効果(好ましくはより顕著なエレクトリック効果)がもたらされ得る。例えば、第1電荷保持セラミック層3aおよび第2電荷保持セラミック層3bの表面がともに同じ符号(+または-)の電荷を有することができ、少なくともその点で、より好適なエレクトリック効果(好ましくはより顕著なエレクトリック効果)がもたらされ得る。
第1電荷保持セラミック層3aと第2電荷保持セラミック層3bの厚みは互いに同一であってよい。あるいは、第1電荷保持セラミック層3aと第2電荷保持セラミック層3bの厚みは互いに異なっていてもよい。
構造体10’がエレクトレット部1’において第1電荷保持セラミック層3aと第2電荷保持セラミック層3bとを含んで成ることによって、構造体10’の中心部におけるヤング率(例えば見掛けのヤング率)が高くなり易くなり、可撓性部材とともに構造体の強度向上がもたらされ易くなる。
【0109】
図2に示す構造体10’では、可撓性部材2も複数のサブ部材から構成されている。より具体的には、図2に示す構造体10’において、可撓性部材2が第1可撓性部材2aと第2可撓性部材2bとから少なくとも構成されており、第1可撓性部材2aと第2可撓性部材2bとの間にエレクトレット部1’が位置付けられている。
第1可撓性部材2aと第2可撓性部材2bは互いに同一の材質から成るものであってよい。あるいは、第1可撓性部材2aと第2可撓性部材2bは互いに異なる材質から成るものであってもよい。いずれの場合であっても、図2における第1可撓性部材2aと第2可撓性部材2bは、図1に示す構造体10に含まれる可撓性部材2と同様に構成することができる。
構造体10’において第1可撓性部材2aおよび第2可撓性部材2bの厚みは互いに同一であってよい。あるいは、第1可撓性部材2aおよび第2可撓性部材2bの厚みは互いに異なっていてもよい。
【0110】
図2に示す構造体10’において、エレクトレット部1’に含まれる第1電荷保持セラミック層3a、第2電荷保持セラミック層3bおよび内部電極4、ならびに第1可撓性部材2aおよび第2可撓性部材2bは、それぞれ、板状またはシート状の形状を有していてよい。例えば、それらの各部材は、各々が同一平面上に延在するような形態を有していてよい。例えば、第1電荷保持セラミック層3a、第2電荷保持セラミック層3b、内部電極4、第1可撓性部材2aおよび第2可撓性部材2bが互いに積層して成る積層体として構造体10’が供されていてよい。第1電荷保持セラミック層3a、第2電荷保持セラミック層3b、内部電極4、第1可撓性部材2aおよび第2可撓性部材2bは、長尺形状を有していてよく、例えば短冊形状(特に細長い短冊状)を有していてよい。このような形状では図2に示す構造体10’が全体として板状またはシート状の形状を取り易く、より高い電荷密度に起因してより好適なエレクトリック効果(好ましくはより顕著なエレクトリック効果)がもたらされ易くなる。
【0111】
(第2実施形態)
図3に第2実施形態に係る構造体20を示す。構造体20は、基本的には図1に示す構造体10に対応し得る。図3に示す構造体20に含まれるエレクトレット部21は、図1に示す構造体10のエレクトレット部1に対応し得る。第2実施形態は、構造体の構成要素がサブ部材から構成されており、可撓性部材が樹脂部材から成る態様に相当する。
【0112】
構造体20では、図1に示す構造体10のエレクトレット部1に含まれる電荷保持セラミック部3が、第1電荷保持セラミック層23aと第2電荷保持セラミック層23bとから少なくとも構成されており、第1電荷保持セラミック層23aと第2電荷保持セラミック層23bとの間に内部電極24が位置付けられている。このような構成によって、構造体20の中心部におけるヤング率(例えば見掛けのヤング率)が高くなり易くなり、可撓性部材とともに構造体の強度向上がもたらされ易くなる。
【0113】
第1電荷保持セラミック層23aおよび第2電荷保持セラミック層23bは、それぞれ、図1に示す構造体10の電荷保持セラミック部3と同様に構成することができる。図3に示す構造体20において、上述した構造体と同様、第1電荷保持セラミック層23aと第2電荷保持セラミック層23bは互いに同一の材質から成るものであっても異なっていてもよい。同様にして、第1電荷保持セラミック層23aと第2電荷保持セラミック層23bの厚みは同一であっても異なっていてもよい。
【0114】
図3に示す内部電極24も図1に示す構造体10の内部電極4と同様に構成することができる。
【0115】
図3に示す構造体20では、可撓性部材が第1樹脂層22aと第2樹脂層22bとから少なくとも構成されており、第1樹脂層22aと第2樹脂層22bとの間にエレクトレット部21が位置付けられている。第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bは、エレクトレット部21よりも相対的にヤング率が低くなり得ることから、大きく変位し易く(好ましくは選択的に大きく変位し易く)、より大きなひずみ勾配が生じ得る。よって、構造体20において発生する起電力が大きくなり易い。
【0116】
第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bは、それぞれ、上記の樹脂成分を含んで成る層であってよい。つまり、第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bの各々は、上記の樹脂成分から成る部材であってよい。
【0117】
図3に示す構造体20において、第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bは互いに同一の材質から成るものであってよい。あるいは、第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bは互いに異なる材質から成るものであってもよい。また、第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bの厚みは互いに同一であってよい。あるいは、第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bの厚みは互いに異なっていてもよい。
【0118】
図3に示す構造体20において、エレクトレット部21に含まれる第1電荷保持セラミック層23a、第2電荷保持セラミック層23bおよび内部電極24、ならびに第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bは、それぞれ、板状またはシート状の形状を有していてよい。例えば、それらの各部材は、各々が同一平面上に延在するような形態を有していてよい。例えば、第1電荷保持セラミック層23a、第2電荷保持セラミック層23b、内部電極24、第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bが互いに積層して成る積層体として構造体20が供されていてよい。第1電荷保持セラミック層23a、第2電荷保持セラミック層23b、内部電極24、第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bは、長尺形状を有していてよく、例えば短冊形状(特に細長い短冊状)を有していてよい。このような形状を有することで図3に示す構造体20が全体として板状またはシート状の形状を取り易く、より高い電荷密度に起因してより好適なエレクトリック効果(好ましくはより顕著なエレクトリック効果)がもたらされ易くなる。
【0119】
(第3実施形態)
図4に第3実施形態に係る構造体30を示す。構造体30は、基本的には図3に示す構造体20に対応し得る。図4に示す構造体30に含まれるエレクトレット部31は、図3に示す構造体20のエレクトレット部21に対応し得る。第3実施形態は、構造体の構成要素がサブ部材から構成されており、可撓性部材が樹脂部材から成り、さらに、外部電極を付加的に備える態様に相当する。
【0120】
エレクトレット部31は、少なくとも第1電荷保持セラミック層33aと第2電荷保持セラミック層33bとを含んで成り、第1電荷保持セラミック層33aと第2電荷保持セラミック層33bとの間に内部電極34が位置付けられている。
【0121】
第1電荷保持セラミック層33aおよび第2電荷保持セラミック層33bは、それぞれ、図3に示す構造体20の第1電荷保持セラミック層23aおよび第2電荷保持セラミック層23bと同様に構成することができる。図4に示す構造体30において、上述した構造体と同様、第1電荷保持セラミック層33aと第2電荷保持セラミック層33bは互いに同一の材質から成るものであっても異なっていてもよい。同様にして、第1電荷保持セラミック層33aと第2電荷保持セラミック層33bの厚みは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0122】
図4に示す内部電極34は、図3に示す構造体20の内部電極24と同様に構成することができる。
【0123】
図4に示す構造体30は、第1樹脂層32aおよび第2樹脂層32bを含んで成り、第1樹脂層32aと第2樹脂層32bとの間にエレクトレット部31が位置付けられている。
【0124】
第1樹脂層32aおよび第2樹脂層32bは、それぞれ、図3に示す構造体20の第1樹脂層22aおよび第2樹脂層22bと同様に構成することができる。図4に示す構造体30において、第1樹脂層32aおよび第2樹脂層32bは互いに同一の材質から成るものであっても異なる材質から成るものであってよい。また、第1樹脂層32aおよび第2樹脂層32bの厚みも互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0125】
図4に示す第3実施形態に係る構造体30は、第1樹脂層32aの外側表面の少なくとも一部に第1外部電極5aを備えると共に、第2樹脂層32bの外側表面の少なくとも一部に第2外部電極5bを備える。
【0126】
第1外部電極5aおよび第2外部電極5bは、それぞれ、構造体30において、フレクソエレクトリック効果によって発生した電荷を取り出すため、あるいは発生した電位を測定するための電極であってよい。
【0127】
第1外部電極5aおよび第2外部電極5bの材質には、導電性樹脂(例えば、体積抵抗率1014[Ω・m]以下(温度が23±5℃、相対湿度が50±20%の温湿度条件における抵抗率)が含まれていてよい。導電性樹脂は、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂などであってよい。また、第1外部電極5aおよび第2外部電極5bの材質は、導電性フィラーと樹脂とから成るコンポジットであってもよい。かかる場合、導電性フィラーは、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ナノカーボン材、金、銀、プラチナ、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、スズ、マンガン、ステンレス、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化亜鉛ニッケル、マグネシウム、タングステン、コバルト、クロムおよび/またはチタンなどの成分を含むフィラーであってよい。樹脂は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、エーテル樹脂、ポリエーテル樹脂、ケトン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メラミン樹脂および/またはシリコーン樹脂など)であってよい。
また、第1外部電極5aおよび第2外部電極5bのために従来公知の電極材を使用してもよい。例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)およびプラチナ(Pt)からなる群から選択される少なくとも一種などの金属元素から形成された第1外部電極5aおよび第2外部電極5bであってよい。あるいは、第1外部電極5aおよび第2外部電極5bは、ITOなどの金属酸化物膜から構成されるものであってもよい。
【0128】
第1外部電極5aおよび第2外部電極5bの形状に特に制限はなく、例えば板状であってよい。好ましくは、第1外部電極5aおよび第2外部電極5bは薄膜状またはシート状の形状を有している。
【0129】
第1外部電極5aは、第1樹脂層32aの外側表面の少なくとも一部または全面に配置されていてよく、第1樹脂層32aの外側表面の幾何学的中心に配置されることが好ましい。
第2外部電極5bは、第2樹脂層32bの外側表面の少なくとも一部または全面に配置されていてよく、第2樹脂層32bの外側表面の幾何学的中心に配置されることが好ましい。
【0130】
第1外部電極5aおよび第2外部電極5bの厚みは、それぞれ、例えば1nm以上0.01mm以下である。厚みが上記の範囲内であると、構造体の可撓性を確保しつつも電荷を首尾よく取り出し易くなる。第1外部電極5aおよび第2外部電極5bの厚みは、第1樹脂層32aおよび第2樹脂層32bの厚みより小さくてよい。ある好適な態様では、第1外部電極5aおよび第2外部電極5bの厚さは、第1電荷保持セラミック層33a、第2電荷保持セラミック層33b、内部電極34、第1樹脂層32aおよび第2樹脂層32bのいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、または全てにおける各厚さよりも小さくなっている。
【0131】
図4に示す構造体30において、エレクトレット部31に含まれる第1電荷保持セラミック層33a、第2電荷保持セラミック層33bおよび内部電極34、ならびに、第1樹脂層32a、第2樹脂層32b、第1外部電極5aおよび第2外部電極5bは、それぞれ、板状またはシート状の形状を有することが好ましい。例えば、それらの各部材は、各々が同一平面上に延在するような形態を有していてよい。第1電荷保持セラミック層33a、第2電荷保持セラミック層33b、内部電極34、第1樹脂層32a、第2樹脂層32b、第1外部電極5aおよび第2外部電極5bが互いに積層して成る積層体として構造体30が供されてよい。第1電荷保持セラミック層33a、第2電荷保持セラミック層33b、内部電極34、第1樹脂層32a、第2樹脂層32b、第1外部電極5aおよび第2外部電極5bは、長尺形状を有していてよく、例えば短冊形状(特に細長い短冊状)を有していてよい。このような形状を有することで図4に示す構造体30が全体として板状またはシート状の形状を取り易く、より高い電荷密度に起因してより好適なエレクトリック効果(好ましくはより顕著なエレクトリック効果)がもたらされ易くなる。
【0132】
(第4実施形態)
図5に第4実施形態に係る構造体40を示す。構造体40は、基本的には図4に示す構造体30に対応し得る。図5に示す構造体40に含まれるエレクトレット部41は、図4に示す構造体30のエレクトレット部31に対応し得る。第4実施形態は、特に補助電極として分極用電極を備えた態様に相当する。
【0133】
エレクトレット部41は、少なくとも第1電荷保持セラミック層43aと第2電荷保持セラミック層43bとを含んで成り、第1電荷保持セラミック層43aと第2電荷保持セラミック層43bとの間に内部電極44が位置付けられている。
【0134】
第1電荷保持セラミック層43aおよび第2電荷保持セラミック層43bは、それぞれ、図4に示す構造体30の第1電荷保持セラミック層33aおよび第2電荷保持セラミック層33bと同様に構成することができる。図5に示す構造体40において、上述した構造体と同様、第1電荷保持セラミック層43aと第2電荷保持セラミック層43bは互いに同一の材質から成るものであっても異なっていてもよい。同様にして、第1電荷保持セラミック層43aと第2電荷保持セラミック層43bの厚みは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0135】
図5に示す内部電極44は、図4に示す構造体30の内部電極34と同様に構成することができる。
【0136】
構造体40は、第1樹脂層42aおよび第2樹脂層42bを含んで成り、第1樹脂層42aと第2樹脂層42bとの間にエレクトレット部41が以下にて詳説する第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bを介して位置付けられている。
【0137】
第1樹脂層42aおよび第2樹脂層42bは、それぞれ、図4に示す構造体30の第1樹脂層32aおよび第2樹脂層32bと同様に構成することができる。図5に示す構造体40において、第1樹脂層42aおよび第2樹脂層42bは互いに同一の材質から成るものであっても異なる材質からなるものであってもよい。また、第1樹脂層42aおよび第2樹脂層42bの厚みも互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0138】
図5に示す構造体40は、第1樹脂層42aの外側表面の少なくとも一部に第1外部電極45aを備え、第2樹脂層42bの外側表面の少なくとも一部に第2外部電極45bを備える。第1外部電極45aおよび第2外部電極45bは、それぞれ、図4に示す構造体30の第1外部電極5aおよび第2外部電極5bと同様に構成することができる。図5に示す構造体40において、第1外部電極45aおよび第2外部電極45bは互いに同一の材質から成るもの成るものであっても異なる材質からなるものであってもよい。また、第1外部電極45aおよび第2外部電極45bの厚みは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0139】
図5に示す構造体40は、分極用電極を備えている。具体的には、樹脂層とエレクトレット部との間に分極用電極を更に備えている。図5に示す構造体40では、第1樹脂層42aとエレクトレット部41との間(より具体的には第1樹脂層42aと第1電荷保持セラミック層43aとの間)に第1分極用電極6aを備えると共に、第2樹脂層42bとエレクトレット部41との間(より具体的には第2樹脂層42bと第2電荷保持セラミック層43bとの間)に第2分極用電極6bを備える。
【0140】
第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bは、それぞれ、構造体40において第1電荷保持セラミック層43aおよび第2電荷保持セラミック層43bをそれぞれ誘電分極または電気分極させるための電極であってよい。
このような第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bを追加することで、構造体40の製造後に電荷保持セラミック層43aと第2電荷保持セラミック層43bをそれぞれ誘電分極または電気分極させ易くなる。
【0141】
第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bの材質には導電性樹脂(例えば、体積抵抗率1014[Ω・m]以下(温度が23±5℃、相対湿度が50±20%の温湿度条件における抵抗率)が含まれていてよい。導電性樹脂は、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂であってよい。また、第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bの材質は、導電性フィラーと樹脂とから成るコンポジットであってもよい。かかる場合、導電性フィラーは、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ナノカーボン材、金、銀、プラチナ、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、スズ、マンガン、ステンレス、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化亜鉛ニッケル、マグネシウム、タングステン、コバルト、クロムおよび/またはチタンなどの成分を含むフィラーであってよい。樹脂は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、エーテル樹脂、ポリエーテル樹脂、ケトン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メラミン樹脂および/またはシリコーン樹脂など)であってよい。
また、第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bのために従来公知の電極材を使用してもよい。例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)およびプラチナ(Pt)からなる群から選択される少なくとも一種などの金属元素から形成された第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bであってよい。あるいは、第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bはITOなどの金属酸化物膜であってもよい。
【0142】
第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bの形状に特に制限はないが、板状であってよい。好ましくは、第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bは薄膜状またはシート状の形状を有している。
【0143】
第1分極用電極6aは、第1電荷保持セラミック層43aの少なくとも一部または全面に配置されていてよい。
第2分極用電極6bは、第2電荷保持セラミック層43bの少なくとも一部または全面に配置されていてよい。
【0144】
第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6bの厚みは、それぞれ、例えば1nm以上0.01mm以下である。厚みが上記の範囲内であると、構造体に可撓性を与えつつも電荷保持セラミック層43aおよび第2電荷保持セラミック層43bを首尾よく誘電分極または電気分極させ易くなる。
【0145】
図5に示す構造体40において、エレクトレット部41に含まれる第1電荷保持セラミック層43a、第2電荷保持セラミック層43bおよび内部電極44、ならびに、第1樹脂層42a、第2樹脂層42b、第1外部電極45a、第2外部電極45b、第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6aは、それぞれ、板状またはシート状の形状を有していてよい。例えば、それらの各部材は、各々が同一平面上に延在するような形態を有していてよい。第1電荷保持セラミック層43a、第2電荷保持セラミック層43b、内部電極44、第1樹脂層42a、第2樹脂層42b、第1外部電極45a、第2外部電極45b、第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6aが互いに積層して成る積層体として構造体40が供されていてよい。第1電荷保持セラミック層43a、第2電荷保持セラミック層43b、内部電極44、第1樹脂層42a、第2樹脂層42b、第1外部電極45a、第2外部電極45b、第1分極用電極6aおよび第2分極用電極6aは、長尺形状を有していてよく、例えば短冊形状(特に細長い短冊状)を有していてよい。このような形状を有することで図5に示す構造体40が全体として板状またはシート状の形状を取り易く、より高い電荷密度に起因してより好適なエレクトリック効果(好ましくはより顕著なエレクトリック効果)がもたらされ易くなる。
【0146】
(第5実施形態)
図6に第5実施形態に係る構造体50を示す。構造体50は、図3に示す構造体20に基本的に対応し得る。図6に示す構造体50に含まれ得るエレクトレット部51は、図3に示す構造体20のエレクトレット部21に対応し得る。
【0147】
エレクトレット部51は、少なくとも第1電荷保持セラミック層53aと第2電荷保持セラミック層53bとを含んで成り、第1電荷保持セラミック層53aと第2電荷保持セラミック層53bとの間に内部電極54が位置付けられている。第1電荷保持セラミック層53aおよび第2電荷保持セラミック層53bは、それぞれ、図3に示す構造体20の第1電荷保持セラミック層23aおよび第2電荷保持セラミック層23bと同様に構成することができる。図6に示す構造体50において、第1電荷保持セラミック層53aと第2電荷保持セラミック層53bとの材質は互いに同一の材質から成るもの成るものであっても異なる材質からなるものであってもよい。また、第1電荷保持セラミック層53aと第2電荷保持セラミック層53bの厚みも同一であっても異なっていてもよい。
【0148】
第5実施形態ではエレクトレット部が可撓性部材の内部に設けられている。図6に示す構造体50では、エレクトレット部51が樹脂部材または樹脂層52の内部に位置付けられている。換言すれば、エレクトレット部を包囲するように可撓性部材が設けられている。なお、エレクトレット部51は、その一部が樹脂部材または樹脂層52で覆われていなくてもよく、その一部が露出していてもよい。
【0149】
樹脂部材または樹脂層52は、上記の樹脂成分を含んで成ってよい。つまり、樹脂層52は、上記の樹脂成分から成る包囲部材であってよい。
【0150】
樹脂部材または樹脂層52の厚みは、例えば0.03mm以上10mm以下である。樹脂部材または樹脂層52は、均一であっても、均一でなくてもよい。樹脂部材または樹脂層52の厚みが上記の範囲内であると、より好適なエレクトリック効果(好ましくはより顕著なエレクトリック効果)が構造体50にもたらされ易くなる。
【0151】
図6に示す構造体50では、図5に示す形態と同様に、樹脂層52の外側表面の少なくとも一部に外部電極を備えていてもよい(図5に示す外部電極45a、45bを参照のこと)。樹脂層52とエレクトレット部51との間、具体的には樹脂層52と電荷保持セラミック層(53a,53b)との間に分極用電極を備えていてもよい(図5に示す分極用電極6a,6bを参照のこと)。
【0152】
(第6実施形態)
図7に第6実施形態に係る構造体60を示す。構造体60は、図6に示す構造体50に基本的に対応し得るところ、構造体50のエレクトレット部51の代わりに複数のエレクトレット部61を有して成る。複数のエレクトレット部61を設けることで、構造体60の可撓性をさらに向上させ易くなる。よって、第6実施形態に係る構造体60は様々な変形態様にも対応し易く、より好適なエレクトリック効果(好ましくはより顕著なエレクトリック効果)がもたらされ易い。複数のエレクトレット部61の数に特に制限はない。また、複数のエレクトレット部61は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0153】
エレクトレット部61は、少なくとも第1電荷保持セラミック層63aと第2電荷保持セラミック層63bとを含んで成り、第1電荷保持セラミック層63aと第2電荷保持セラミック層63bとの間に内部電極64が位置付けられている。第1電荷保持セラミック層63aおよび第2電荷保持セラミック層63bは、それぞれ、図6に示す構造体50の第1電荷保持セラミック層53aおよび第2電荷保持セラミック層53bと同様に構成することができる。
【0154】
図7に示す内部電極64は、図6に示す内部電極54と同様の材料を用いて形成することができる。図7に示す樹脂部材または樹脂層62は、上記の樹脂成分を含んで成ってよい。つまり、樹脂層62は、上記の樹脂成分から成る包囲部材であってもよい。図7に示す構造体60では、図5に示す形態と同様に、樹脂層62の外側表面の少なくとも一部に外部電極を備えていてもよい(図5に示す外部電極45a,45bを参照のこと)。図7に示す樹脂層62とエレクトレット部61との間、具体的には樹脂層62と電荷保持セラミック層(63a,63b)との間に分極用電極を備えていてもよい(図5に示す分極用電極6a,6bを参照のこと)。
【0155】
(第7実施形態)
図8に第7実施形態に係る構造体70を示す。構造体70は、図1に示す構造体10に基本的に対応し得るところ、図1の構造体10のエレクトレット部1の形状がファイバー状(好ましくは丸形断面輪郭または湾曲断面輪郭を有する細長い形状)に変更されて成る複数のエレクトレット部71を含んで成る。エレクトレット部71の数に特に制限はない(以下、エレクトレット部71をエレクトレットファイバー71と称す場合もある)。
【0156】
エレクトレット部71は、電荷保持セラミック部73と、かかる電荷保持セラミック部73の内部に位置する内部電極74とを備える。電荷保持セラミック部73と内部電極74とは互いに同心円状に配置される(例えば図示するような断面視において互いに同心円状に配置される)ことが好ましい。電荷保持セラミック部73が例えば鞘部として円筒形の形状を有し、内部電極74が芯部として供されて成るファイバー形状をエレクトレット部71が有していてよい。内部電極74は、例えば上記の金属元素を含んで成る金属ワイヤなどであってもよい。
【0157】
電荷保持セラミック部73は、図1に示す電荷保持セラミック部3と同様の材料を用いて形成することができる。図8に示す内部電極74は、図1に示す内部電極4と同様の材料を用いて形成することができる。内部電極74と電荷保持セラミック部73との断面積比(内部電極/電荷保持セラミック部)に特に制限はなく、例えば1/99~99/1、好ましくは1/8~8/1である。
【0158】
複数のエレクトレットファイバー71が互いに平行して配置されていてよい。このようなエレクトレットファイバー71を上下から挟むように可撓性部材として第1可撓性部材72aおよび第2可撓性部材72bが配置されていてよい。第1可撓性部材72aおよび第2可撓性部材72bは、それぞれ、図1に示す可撓性部材2と同様に構成することができる。
【0159】
第1可撓性部材72aと第2可撓性部材72bとの間において、エレクトレットファイバー71が存在しない部分は空洞(即ち、中空部)であってもよい。第1可撓性部材72aと第2可撓性部材72bとの間に第3可撓性部材75が配置されていてもよい。第3可撓性部材75は、図1に示す可撓性部材2と同様の材料から同様に構成してよい。
【0160】
第1可撓性部材72a、第2可撓性部材72bおよび第3可撓性部材75を構成する材料は、互いに同一であっても異なっていてもよい。電荷を均一に分極させて保持することをより重視する場合、第1可撓性部材72a、第2可撓性部材72bおよび第3可撓性部材75は互いに同一の材料から形成されてよい。第1可撓性部材72a、第2可撓性部材72bおよび第3可撓性部材75は、いずれも樹脂部材であってよい。
【0161】
図8に示す構造体70では、図5に示す形態と同様に、第1可撓性部材72aの外側表面の少なくとも一部に第1外部電極を備えていてもよく(図5に示す第1外部電極45aを参照のこと)、第2可撓性部材72bの外側表面の少なくとも一部に第2外部電極を備えていてもよい(図5に示す第2外部電極45bを参照のこと)。さらに、第1可撓性部材72aとエレクトレット部71との間、より具体的には第1可撓性部材72aと電荷保持セラミック部73との間に分極用電極を備えていてよい。同様にして、第2可撓性部材72bとエレクトレット部71との間、より具体的には第2可撓性部材72bと電荷保持セラミック部73との間に分極用電極を備えていてよい。
【0162】
分極用電極は、例えば円筒状の形状でエレクトレット部71の外側、より具体的には電荷保持セラミック部73の外周にスリーブ状に配置されていてよく、内部電極74とともに同心円状で配置されていてよい。
【0163】
分極用電極の厚みは、例えば1nm以上0.01mm以下である。厚みが上記の範囲内であると、構造体に可撓性を与えつつも電荷保持セラミック部73を首尾よく誘電分極または電気分極させ易くなる。
【0164】
構造体70がファイバー状の形状を有する複数のエレクトレット部(エレクトレットファイバー)71を含んで成ることによって、構造体70の強度を確保するとともに構造体70の可撓性をより向上させ易くなり、より好適なエレクトリック効果(好ましくはより顕著なエレクトリック効果)がもたらされ易くなる。
【0165】
エレクトレットファイバー71を単独で曲げたときの曲率半径は、例えば約1000mm以下である。また、エレクトレットファイバー71の引張り強度(破断伸び荷重)は、例えば約5kgf/mm以上である。
【0166】
以上、本開示のエレクトレット構造体を第1実施形態から第7実施形態として例示したが、各構成は、必要に応じて、適宜組み合わせて使用してよい。
【0167】
(製造方法)
本開示のフレクソエレクトレット構造体の製造方法に特に制限はない。例えば、電荷保持セラミック部とその内部に位置する内部電極とを備えるセラミックエレクトレット(例えば図1に示すエレクトレット部1)は、焼成などの技術を用いて一体的に形成してよい。好ましくは共焼結により電荷保持セラミック部と内部電極とを同時に作製することで可撓性および強度の両方を高めてもよい。
内部電極、外部電極および分極用電極なども焼成などの技術を用いて一体的に形成してよい。あるいは、内部電極、外部電極および分極用電極などは、積層、コーティング、メッキ、蒸着および/またはスパッタなどの技術を用いて形成してもよい。
また、電荷保持セラミック部は、積層、コーティング、蒸着および/またはスパッタなどの技術を用いて形成してもよい。
可撓性部材は、例えば樹脂コーティングおよび/または樹脂成形などの技術を用いて、エレクトレット部の外側に形成できる。
【0168】
(フレクソエレクトリック係数について)
本開示の構造体のフレクソエレクトリック係数は、上述したように、好ましくは1.3×10-8C/mよりも大きくなっている。このような本開示における「フレクソエレクトリック係数」は、式(III)にもとづいて算出する。
【実施例
【0169】
(実施例1)
図1に示すフレクソエレクトレット構造体10を以下のような手順で作製した。
(A)エレクトレット部の形成
アルミ箔からなる内部電極4(厚さ:30μm)をセラミック(本実施例では代表的なセラミックとしてヒドロキシアパタイト(HAp))からなる2枚の電荷保持セラミック部3(厚さ:75μm)で挟持することで形成されたエレクトレット部1(厚さ:180μm)を準備した。
(B)可撓性部材の形成
エレクトレット部1の電荷保持セラミック部3(HAp)の表面をマイナス(-)に帯電させた後、電荷保持セラミック部3(HAp)の上側に樹脂(本実施例では代表的な樹脂としてPET)からなる可撓性部材2(厚さ:1000μm)を形成し、図1に示す形態のフレクソエレクトレット構造体10を作製した(全体の厚さ:2180μm)。
図4に示す外部電極5a,5bと同様にして測定用の電極(本実施例ではCu箔電極)を可撓性部材2の表面に配置し、フレクソエレクトレット構造体10の起電力を測定した。結果を図12に示す。
【0170】
フレクソエレクトレット構造体10のフレクソエレクトリック係数は6×10-8C/mであった。また、フレクソエレクトレット構造体10およびエレクトレット部1の曲率半径は1000mmであった。
【0171】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0172】
特に制限はないものの、本開示のフレクソエレクトレット構造体はフレキシブルセンサーなどのセンサーに使用することができる。
本開示のフレクソエレクトレット構造体は、例えば、野外環境や、高温の環境下で使用することもできる。特に、車などにおいても本開示のフレクソエレクトレット構造体を使用することができる。
また、エネルギー捕獲、人工皮膚、自己給電装置などの分野においても本開示のフレクソエレクトレット構造体を使用できる。
【符号の説明】
【0173】
1,21,31,41,51,61,71 エレクトレット部
2 可撓性部材
2a,72a 第1可撓性部材
2b,72b 第2可撓性部材
3,73 電荷保持セラミック部
3a,23a,33a,43a,53a,63a 第1電荷保持セラミック層
3b,23b,33b,43b,53b,63b 第2電荷保持セラミック層
4,24,34,44,54,64,74 内部電極
5 外部電極
5a,45a 第1外部電極
5b,45b 第2外部電極
6 分極用電極
6a 第1分極用電極
6b 第2分極用電極
10,20,30,40,50,60,70 構造体
22,32,42,52,62 樹脂層
22a,32a,42a 第1樹脂層
22b,32b,42b 第2樹脂層
75 第3可撓性部材
100 フレクソエレクトレット
200 ポリマーフレクソエレクトレット
201 帯電ポリマー薄膜
202 ポリマー薄膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12